JP5202048B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
近年の情報技術産業の急速な発展に伴ない、種々の情報処理システムが開発されると共に、各々の情報処理システムに適した記録方法及び記録装置も実用化されている。これらの中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から広く利用されるようになっている。そして、インクジェット記録方法を利用した記録では、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきている。
インクジェット記録用の記録材料は一般に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)ドット径が適正で均一であること(滲みのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)画像部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)白色度が高いこと、(9)保存安定性が高いこと(長期保存で黄変着色や画像の滲みのないこと)、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(低カールであること)、(11)ハード走行性が良好なこと等の特性を持つことが求められている。
上記に鑑み、近年ではインクを受容する層が多孔質構造を有する記録材料が実用化されている。これによれば、速乾性に優れ、高い光沢が得られるとされている。ところが、記録画像に対する品質は常に高いものが求められる傾向にあり、特に画像の色濃度、色合いに対する要求は厳しい。例えば、画像のコントラストや濃淡のメリハリ等の点では高濃度域が濃色であること、色合いや彩り等の点ではブロンジングなどの発生がないことが重要である。
良好な色の画像を再現できる記録方法を提供することを目的として、水に分散または溶解する着色剤、湿潤剤、ホウ酸またはホウ酸塩および水を含み、表面張力が50mJ/m2以下、pHが8以上である水性インクを用い、水酸基を有する水溶性高分子物質を塗布した記録層を有する被記録材に、インクジェット記録法によって画像を形成することを特徴とする記録方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、高速印字、写真画質のインクジェット記録を行うことができるように境界にじみの発生を抑えたインク等を提供することを目的として、ホウ素の含有量が10ppb〜30ppmであるインク等が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、耐光性、耐オゾン性、及び耐擦過性に特に優れた画像の記録を可能とするインクジェット記録用インク組成物を提供することを目的として、少なくとも、エチレン性不飽和モノマーと、酸化電位が1.0V(vs SCE)より貴である染料と、有機ホウ素化合物とを含むことを特徴とするインクジェット記録用インク組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、ガス堅牢性および光堅牢性に優れた画像を形成することができるインクジェット記録方法を提供することを目的として、支持体上に少なくとも1種の無機媒染剤を含む色材受容層を有するインクジェット記録用シート上に、少なくとも1種のイエロー染料を含有するイエローインク、少なくとも1種のマゼンタ染料を含有するマゼンタインク、及び少なくとも1種のシアン染料を含有するシアンインクを最小の構成要素とするインクセットであって、該マゼンタ染料および該シアン染料の酸化電位がそれぞれ0.8V(vsSCE)よりも貴であるインクジェット記録用インクセットを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平06−032047号公報 特開2003−096362号公報 特開2006−016455号公報 特開2004−001469号公報
しかし、上記従来の技術においてもブロンジングの発生を十分に抑えることは困難な場合があった。さらに、インクジェットインクによる印画部と未印画部との間の光沢差が大きく、写真画質として問題が生じる場合があった。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ブロンジング及び印画部と未印画部との間の光沢差の発生を抑制可能なインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
<1> 無機微粒子と水溶性樹脂とホウ酸、ホウ酸塩及びホウ砂から選択される少なくとも一種のホウ素化合物とを少なくとも含有し、前記ホウ素化合物と前記水溶性樹脂との比率(前記ホウ素化合物/前記水溶性樹脂)が5質量%以上14質量%以下である色材受容層を支持体上に有するインクジェット記録用シートの前記色材受容層の設けられた側に、前記ホウ素化合物を0.01質量%〜1質量%と水溶性染料とを少なくとも含有するインクジェット用インクを少なくとも一種含んで構成されるインクセットを用いて画像形成するインクジェット記録方法である。
<2> 前記インクセットを構成するインクジェット用インクの少なくとも一種に含まれる水溶性染料が、下記一般式(C−I)で表されるシアン染料である<1>に記載のインクジェット記録方法である。
一般式(C−I)において、X1、X2、X3およびX4はそれぞれ独立にσpが0.40以上の電子吸引性基を表す。Y1、Y2、Y3およびY4はそれぞれ独立に一価の置換基を表す。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。a1〜a4、b1〜b4は、それぞれX1〜X4、およびY1〜Y4の置換基数を表す。a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、b1〜b4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。ただしa1〜a4の総和は2以上である。
<3> 前記無機微粒子が、気相法シリカ及び擬ベーマイトから選択される少なくとも一種である<1>又は<2>に記載のインクジェット記録方法である。
<4> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールである<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
本発明によれば、ブロンジング及び印画部と未印画部との間の光沢差の発生を抑制可能なインクジェット記録方法が提供される。
以下、本発明のインクジェット記録方法について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、無機微粒子と水溶性樹脂とホウ酸、ホウ酸塩及びホウ砂から選択される少なくとも一種のホウ素化合物とを少なくとも含有し、前記ホウ素化合物と前記水溶性樹脂との比率(前記ホウ素化合物/前記水溶性樹脂)が5質量%以上14質量%以下である色材受容層を支持体上に有するインクジェット記録用シートの前記色材受容層の設けられた側に、前記ホウ素化合物と水溶性染料とを少なくとも含有するインクジェット用インクを少なくとも一種含んで構成されるインクセットを用いて画像形成するものである。
本発明のインクジェット記録方法によれば、ブロンジング及び印画部と未印画部との間の光沢差の発生を抑制することが可能となる。
印画部と未印画部との間の光沢差の発生が抑制される理由は明らかではないが、以下のように推察される。インクジェット記録用シートの前記色材受容層の設けられた側にインクを打滴して画像を形成すると、色材受容層におけるインクの打滴された部分(印画部)がインク中の溶剤を吸収して膨潤する。そのため印画部と未印画部との間で色材受容層表面の光沢差が生ずる。色材受容層の膨潤は、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を少ないホウ素化合物の量で硬化させて形成された色材受容層の場合に顕著に起こりうる。本発明のインクジェット記録方法では、水溶性樹脂を硬化するのに十分な量のホウ素化合物を用いて色材受容層の硬化を強固にする。さらに、インク中にホウ素化合物を添加することにより、色材受容層の印画部におけるホウ素化合物の量が未印画部よりも多くなり印画部の硬化がより強固になる。その結果として、印画部の膨潤が抑制され印画部と未印画部との間の光沢差が少なくなると推察される。
また、ブロンジングの発生が抑制される理由についても明らかではないが、以下のように推察される。ブロンジングはインク中に含まれる染料が会合するために起こると考えられる。ここで、色材受容層の膨潤の程度が大きいと、色材受容層における無機微粒子と水溶性樹脂とにより形成された空隙が塞がり色材受容層のインク吸収性が悪化する。すると、打滴されたインクは色材受容層に吸収されにくくなり色材受容層表面に局在化しやすくなる。同様に、インク中に含まれる染料も色材受容層表面に局在することになるため、色材受容層表面で染料が会合しやすくなり、ブロンジングが発生する。本発明のインクジェット記録方法では、上述のように印画部の膨潤が抑制されるため打滴されたインクが色材受容層に十分に吸収される。その結果として色材受容層表面で染料が会合しにくくなりブロンジングの発生が抑制されると推察される。
以下、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクセット及びインクジェット記録用シートを構成する各構素について説明する。
<インクセット>
本発明に用いられるインクセットは、ホウ酸、ホウ酸塩及びホウ砂から選択される少なくとも一種のホウ素化合物と水溶性染料とを少なくとも含有するインクジェット用インクを少なくとも一種含んで構成される。本発明に用いられるインクセットがフルカラーの画像形成に用いられるものである場合、少なくとも1種のイエロー染料を含有するイエローインク、少なくとも1種のマゼンタ染料を含有するマゼンタインク、及び少なくとも1種のシアン染料を含有するシアンインクを最小の構成要素とし、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの少なくとも一種が前記ホウ素化合物と水溶性染料とを少なくとも含有するインクジェット用インクとして構成される。本発明においては、インクセットに含まれる全てのインクジェット用インクが前記ホウ素化合物と水溶性染料とを少なくとも含有するインクジェット用インクであることが好ましい。
−染料−
本発明に用いられるインクセットを構成するインクジェット用インクの少なくとも一種は、ホウ素化合物と共に水溶性染料を含む。本発明において染料が「水溶性」であるとは、20℃において水に染料が固形分で1%以上溶解することをいう。本発明に用いられる水溶性染料は特に限定されるものではない。
本発明においては、染料同士が会合しやすく、ブロンジングの発生しやすい下記一般式(C−I)で表される水溶性染料をシアン染料として用いた場合に、本発明における「ブロンジングの発生の抑制」の効果が顕著に得られる。但し、下記一般式(C−I)で表される染料が必ずしも水溶性染料でなくともよい。
一般式(C−I)において、X1、X2、X3およびX4はそれぞれ独立にσpが0.40以上の電子吸引性基を表す。Y1、Y2、Y3およびY4はそれぞれ独立に一価の置換基を表す。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。a1〜a4、b1〜b4は、それぞれX1〜X4、およびY1〜Y4の置換基数を表す。a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、b1〜b4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。ただしa1〜a4の総和は2以上であり、3以上が好ましく、特にa1=a2=a3=a4=1である場合が最も好ましい。X1、X2、X3、X4、Y1、Y2、Y3、Y4上のいずれかの位置に置換基としてイオン性親水性基を有することにより、一般式(C−I)で表されるシアン染料に水溶性を付与することができる。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。
σpが0.40以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスホノ基、ホスホリル基他、電子吸引性基で置換されたアルキル基(トリハロメチル基、パーフルオロアルキル基、ジシアノメチル基、イミノメチル基等)、電子吸引性基で置換されたアルケニル基(トリシアノビニル基など)、4級塩置換基(スルホニウム基、アンモニウム基、ホスホニウム基)も挙げる事ができる。上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基又はその他の置換基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基などが挙げられる。
ここで、ハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
前記一般式(C−I)で表されるフタロシアニン染料の中でも、一般式(C−II)で表される構造のフタロシアニン染料が更に好ましい。以下に本発明の一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料について詳しく述べる。
一般式(C−II)において、X11〜X14はそれぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、スルホ基、−CONR12、又は−CO21を表す。Y11〜Y18はそれぞれ独立に、一価の置換基を表す。、Mは水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。a11〜a14はそれぞれそれぞれX11〜X14の置換基数を表し、独立に1又は2の整数を表す。
Zはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。
一般式(C−II)中、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。
11、X12、X13およびX14は、それぞれ全く同じ置換基であっても良く、あるいは例えばX11、X12、X13およびX14が全て−SO2−Zであるが各Zは互いに異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であっても良く、あるいは例えば−SO2−Zと−SO2NR12が同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいても良い。
一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
11〜X14としては、各々独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、または−CONR12が好ましく、特に−SO2−Z、または−SO2NR12が好ましく、−SO2−Zが最も好ましい。
Zはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。ただしR,Rが共に水素原子であることは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
11〜Y18は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。a11〜a14はそれぞれ独立に1または2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
前記(C−I)もしくは(C−II)で表されるフタロシアニン染料が水溶性である場合には、イオン性親水性基を有することが好ましい。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましく、特にリチウム塩は染料の溶解性を高めインク安定性を向上させるため特に好ましい。
イオン性親水性基の数としては、フタロシアニン系染料1分子中少なくとも2個以上有するものが好ましく、特にスルホ基及び/又はカルボキシル基を少なくとも2個以上有するものが特に好ましい。
前記一般式(C−II)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明で好ましく使用されるフタロシアニン染料の化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
前記一般式(C−I)で表されるフタロシアニン誘導体は、その合成法によって不可避的に置換基Xn(n=1〜4)及びYm(m=1〜4)の導入位置及び導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、従って一般式はこれら類縁体混合物を統計的に平均化して表している場合が多い。本発明では、これらの類縁体混合物を以下に示す三種類に分類すると、特定の混合物が特に好ましいことを見出したものである。すなわち前記一般式(C−I)及び(C−II)で表されるフタロシアニン系染料類縁体混合物を置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。
(1)β-位置換型:2及び又は3位、6及び又は7位、10及び又は11位、14及び又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(2)α-位置換型:1及び又は4位、5及び又は8位、9及び又は12位、13及び又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料
(3)α,β-位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料
本明細書中において、構造が異なる(特に、置換位置が異なる)フタロシアニン染料の誘導体を説明する場合、上記β-位置換型、α-位置換型、α,β-位混合置換型を使用する。
本発明に用いられるフタロシアニン誘導体は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
本発明の一般式(C−I)で表されるフタロシアニン化合物は、WO00/17275、同00/08103、同00/08101、同98/41853、特開平10−36471号などに記載されているように、例えば無置換のフタロシアニン化合物のスルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン化される個数も制御が困難である。従って、このような反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の個数や置換位置の異なる混合物を与える。従ってそれを原料として本発明の化合物を合成する時には、複素環置換スルファモイル基の個数や置換位置は特定できないので、本発明の化合物としては置換基の個数や置換位置の異なる化合物が何種類か含まれるα,β-位混合置換型混合物として得られる。
前述したように、例えばスルファモイル基のような電子求引性基を数多くフタロシアニン核に導入すると酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。上記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている個数が少ない、即ち酸化電位がより卑であるフタロシアニン染料が混入してくることが避けられない。従って、オゾン耐性を向上させるためには、酸化電位がより卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いることがより好ましい。
それに対して、本発明の一般式(C−II)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)及び/又はジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を一般式(C−III)で表される金属誘導体と反応させて得られる。あるいは下記式で表される4-スルホフタル酸誘導体(化合物R)と一般式(C−III)で表される金属誘導体を反応させて得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
上記各式中、Xpは上記一般式(C−II)におけるX11 、X12 、X13 又はX14に相当する。また、Yq,Yq’はそれぞれ上記一般式(C−II)におけるY11,Y12,Y13,Y14,Y15,Y16,Y17、又はY18に相当する。
一般式(C−III):M−(Y)
一般式(C−III)中、Mは前記一般式(C−II)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
即ち、上記の合成法に従えば望みの置換基を特定の数だけ導入することができるのである。染料の酸化電位を貴とするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、上記の合成法は一般式(C−I)の合成法と比較して極めて優れたものである。
かくして得られる前記一般式(C−II)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ−位置換型となっている。
上記合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX11、X12、X13およびX14が全く同じ置換基であるβ位置置換型フタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組み合わせて使用すれば、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつ染料や、あるいは、互いに異なる種類の置換基をもつ染料を合成することができる。一般式(C−II)の染料の中でも互いに異なる電子吸引性置換基を持つこれらの染料は、染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できる為、特に好ましい。
前記一般式(C−I)及び(C−II)で表されるフタロシアニン染料は、前述した特許に従えば合成することが可能であり、特願2001−226275号、同2001−96610号、同2001−47013号、同2001−193638号に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
本発明において、マゼンタおよびイエロー染料として用いることのできる好ましいアゾ染料は下記一般式(II)で表されるものである。
Het(A)−N=N−Het(B) 一般式(II)
一般式(II)において、Het(A)およびHet(B)は5または6員不飽和ヘテロ環を表わす。Het(A)およびHet(B)で表わされる不飽和ヘテロ環の例としては、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環などが挙げられる。これらの不飽和ヘテロ環はさらに置換基を有している。不飽和ヘテロ環上の置換基同士が結合することで、炭化水素環または不飽和ヘテロ環との縮合環を形成しても良く、さらに縮合環上に置換基を有しても良い。含窒素不飽和ヘテロ環の場合には、窒素原子は4級化されていてもよい。また、互変異性となり得る不飽和ヘテロ環については、互変異性体の1つのみを記載している場合でも、他の互変異性体も合わせて含まれる。
染料が水溶性染料である場合には、置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。
Het(A)およびHet(B)で表わされるヘテロ環として好ましくは、チアゾール環、イソチアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環である。さらに好ましくは、イソチアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環である。最も好ましくはピラゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、ピリジン環である。
Het(A)およびHet(B)は置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスホノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。中でもハロゲン原子、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスホリル基、ホスホノ基、ホスフィノイル基、ホスホニル基、ホスフィノイルオキシ基、ホスフィノイルアミノ基のような置換基を上げることができるが、なかでも電子吸引性基が好ましく、特にσpが0.40以上の置換基が好ましい。σpが0.40以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスホノ基、ホスホリル基他、電子吸引性基で置換されたアルキル基(トリハロメチル基、パーフルオロアルキル基、ジシアノメチル基、イミノメチル基等)、電子吸引性基で置換されたアルケニル基(トリシアノビニル基など)、4級塩置換基(スルホニウム基、アンモニウム基、ホスホニウム基)も挙げる事ができる。上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基などが挙げられる。
またヘテロ環上の置換基同士が結合することで、ヘテロ環と縮合環を形成しても良く、さらに縮合環上に置換基を有しても良い。
好ましいマゼンタ染料としては、一般式(M−I)で表されるものである。
一般式(M−I)中、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。B1およびB2は各々−CR1=および−CR2=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が−CR1=もしくは−CR2=を表す。R5およびR6は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。
G、R1およびR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、または複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていても良い。R1とR5、またはR5とR6が結合して5または6員環を形成しても良い。
一般式(M−I)において、 Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。複素環のヘテロ原子の例には、N、O、及びSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げる事ができる。各複素環基は更に置換基を有していても良い。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
上記一般式(a)から(f)において、R7からR20はG、R1、R2で説明した置換基と同じ置換基を表す。一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
一般式(M−I)において、B1およびB2は各々−CR1=および−CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR1=又は−CR2=を表すが、各々−CR1=、−CR2=を表すものがより好ましい。
5、R6は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル又はアリールスルホニル基、スルファモイル基を表わし、各基は更に置換基を有していても良い。 R5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基を挙げる事ができる。 さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していても良い。 ただしR5、R6が同時に水素原子であることはない。
G、R1、およびR2は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
Gで表される置換基としては水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、又は複素環チオ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)又はアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アニリノ基、アシルアミノ基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していても良い。
1、R2で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げる事ができる。各基は更に置換基を有していても良い。R1とR5、またはR5とR6が結合して5または6員環を形成しても良い。
A、R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R1、R2で挙げた置換基を挙げる事ができる。
本発明の染料が水溶性染料である場合には、A、R1、R2、R5、R6、G上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
本明細書において、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分はフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、及びアリル基をあげる事ができる。
本明細書において、芳香族基はアリール基及び置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。前記複素環基は5員又は6員環の複素環基が好ましい。前記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。前記複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基及び2−フリル基が含まれる。
アルキル及びアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニル基、無置換のアルキル及びアリールスルホニル基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基及びフェニルスルホニル基をあげる事ができる。
アルキル及びアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルフィニル基、無置換のアルキル及びアリールスルフィニル基が含まれる。アルキル及びアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基及びフェニルスルフィニル基をあげる事ができる。
アシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
アミノ基には、アルキル基、アリール基又は複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基及び複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基及びジエチルアミノ基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基及び無置換のアリールアミノ基が含まれる。前記アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。前記アリールアミノ基の例としては、フェニルアミノ基及び2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基及び無置換の複素環アミノ基が含まれる。前記複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基及び3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基及びo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。前記シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
複素環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基及び無置換の複素環オキシ基が含まれる。前記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基及び無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基及び無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換基のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N-フェニルアセチルアミノ及び3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基及びアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基及び3−フェニルウレイド基が含まれる。
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基及び無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、及び無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記スルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N-フェニル-メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、及び3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が含まれる。
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基及び無置換のアシルオキシ基が含まれる。前記アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルオキシ基の例には、アセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基及び無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基及び無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基及び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキル,アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル,アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル,アリール及び複素環チオ基が含まれる。前記アルキル,アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキル,アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2-ピリジルチオ基が含まれる。
複素環オキシカルボニル基には、置換基を有する複素環オキシカボニル基及び無置換の複素環オキシカルボニル基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
複素環スルホニルアミノ基には、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基及び無置換の複素環スルホニルアミノ基が含まれる。前記複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
複素環スルホニル基には、置換基を有する複素環スルホニル基及び無置換の複素環スルホニル基が含まれる。前記複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる
複素環スルフィニル基には、置換基を有する複素環スルフィニル基及び無置換の複素環スルフィニル基が含まれる。前記複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる
本発明において、一般式(M−I)で表される染料は、好ましくは下記一般式(M−II)で表される染料である。
一般式(M−II)中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
1、R2、R5、R6は一般式(M−I)と同義である。R3、R4は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表わす。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。Z2は水素原子、脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。Qは水素原子、脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子又は炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環及びチアン環等が挙げられる。
一般式(M−II)で説明した各基は更に置換基を有していても良い。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(M−I)で説明した置換基、G、R1、R2で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、及びヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。 σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
前記一般式(M−I)で表されるアゾ色素として特に好ましい置換基の組み合わせは、R5及びR6として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5及びR6が共に水素原子であることは無い。
Gとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基であり、もっとも好ましくは水素原子、アミノ基、アシルアミノ基である。
Aのうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
1およびB2がそれぞれ−CR1=、−CR2=あり、R1,R2は各々好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、カルボキシル基、シアノ基、カルバモイル基である。
以下に本発明で用いることのできる染料の好ましい例を示すが、これらは本発明を詳しく説明するためのものであって、これらにより本発明は限定されない。尚、括弧内に染料の酸化電位を示す。
まず、本発明に用いることのできる、イエロー染料の具体例〔Y−1〜Y−35〕を挙げる。
次に、本発明に用いることのできる、マゼンタ染料の具体例〔M−1〜M−26〕を挙げる。
次に、本発明に用いることのできる、シアン染料の具体例〔C−1〜C−50〕を挙げる。
なお、上記染料の具体例のうち、「Cu−Pc−」は銅フタロシアニン構造を表す。
本発明に適用しうる化合物例は、このほか特願2001−96610号、同2001−24352号、同2001−47013号、同2001−57063号、同2001−76689号、同2001−193638号、同2001−15614号、同2001−110457号、同2001−110335号にも記載されているが、これらに限定されるものではない。また、前記の各化合物は、ここに挙げた特許に記載された方法で容易に合成できる。
インクジェット用インク中に含まれる染料の含有量は、インク100質量部に対して、染料を0.1質量部以上20質量部以下含有するのが好ましい。
−ホウ素化合物−
本発明に用いられるインクセットを構成するインクジェット用インクの少なくとも一種は、水溶性染料と共にホウ酸、ホウ酸塩及びホウ砂から選択される少なくとも一種のホウ素化合物を含む。
ホウ酸またはホウ酸塩としては、ホウ素原子を有する酸(ホウ酸、オルトホウ酸、2ホウ酸、メタホウ酸、4ホウ酸、5ホウ酸など)またはその塩が好ましい。
ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ほう砂、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸リチウム水和物、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム水和物、ホウ酸カリウム、ホウ酸カリウム水和物、ホウ酸アルミニウム水和物、メタホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム水和物、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム水和物、四ホウ酸アンモニウム水和物、四ホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム水和物、四ホウ酸カリウム水和物、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸二ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム水和物、五ホウ酸アンモニウム水和物、ペルオキソホウ酸ナトリウム水和物等が挙げられる。
ホウ素化合物の含有量が多くなりすぎると、インク中で凝集する場合があり、インクヘッドの目詰まりを起こす可能性があるので注意する必要がある。
インクジェット用インク中に含まれるホウ素化合物の含有量は、0.01質量%〜1質量%が好ましく、0.05質量%〜0.5質量%がさらに好ましい。
本発明に用いられるインクジェット用インクは、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において添加しうる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
前記乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
前記乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
前記浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。前記浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
前記紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。前記紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
前記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。前記褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、チオエーテル類、チオウレア類(チオエーテル類とチオウレア類の例は特開2002−36717号公報、また、チオエーテル類の例は特開2002−86904号公報に記載)、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
前記防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
前記pH調整剤としては前記中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。前記pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
前記表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。尚、本発明に係るインクジェット用インクの表面張力は25〜70mN/mが好ましい。さらに25〜60mN/mが好ましい。また本発明に係るインクジェット用インクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型やN,N−ジメチル−N−ラウリル−カルボメチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩含有ベタイン型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157、636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
前記消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
本発明に係る染料が油溶性の場合に水性媒体に分散させる方法としては、特開平11−286637号、特開2001−240763、特開2001−262039、特開2001−247788のように染料と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特開2001−262018、特開2001−240763、特開2001−335734、特願2000−203857のように高沸点有機溶媒に溶解した本発明における染料を水性媒体中に分散することが好ましい。本発明における染料を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記特許に記載されたものを好ましく使用することができる。あるいは、染料を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、先述の特許以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特願2000−87539号の各公報に詳細が記載されていて、本発明に係るインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
前記水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
各インクに含まれる染料としては、前述の各種染料が用いられる。通常、各インクは、親油性媒体や水性媒体中に染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。
本発明において、同色相のインクとして2種以上の異なるインクを用いる場合、1種のインク濃度に対して、他種のインク濃度が0.05〜0.5倍であることが好ましい。
本発明のインクセットは、フルカラーの画像形成に用いることができるが、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
<インクジェット記録用シート>
本発明に用いられるインクジェット記録用シートは、無機微粒子と水溶性樹脂とホウ酸、ホウ酸塩及びホウ砂から選択される少なくとも一種のホウ素化合物とを少なくとも含有し、前記ホウ素化合物と前記水溶性樹脂との比率(前記ホウ素化合物/前記水溶性樹脂)が5質量%以上14質量%以下である色材受容層を支持体上に有するものである。インクジェット記録用シートに用いられるホウ素化合物の具体例は上述のとおりである。
−水溶性樹脂−
上記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
以上の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号、特開昭58−181687号、特開平10−259213号、特開2001−72711号、特開2002−103805号、特開2000−63427号、特開2002−308928号、特開2001−205919号、特開2002−264489号等に記載されたものなどがあげられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11-165461号公報の[0011]〜[0012]に記載の化合物、特開2001−205919号、特開2002−264489号に記載の化合物などもあげられる。
本発明に用いられる水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明の水溶性樹脂の含有量としては、色材受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
−無機微粒子−
本発明のインクジェット記録用シートでは、その色材受容層が、無機微粒子を含有する。
色材受容層が無機微粒子と水溶性樹脂とを含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、該無機微粒子の色材受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用シートが得られるので好ましい。ここで、無機微粒子の色材受容層における固形分含有量とは、色材受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
本発明においては、必要に応じて有機微粒子を無機微粒子と共に併用してもよい。
上記有機微粒子としては例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子又は擬ベーマイトが好ましい。微粒子は1次粒子のまま用いても、又は2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
更に、平均一次粒径が30nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特に、シリカ微粒子及び擬ベーマイトから選択される少なくとも一種が好ましい。
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
上記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
上記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
上記気相法シリカの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
また、シリカ微粒子は、前述の他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
本発明の無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
上述の微粒子をインクジェット記録用シートに用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
本発明の色材受容層を主として構成する、前述の水溶性樹脂と上記微粒子とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。
尚、透明性を保持する観点からは、微粒子特にシリカ微粒子に組み合わされる水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造の色材受容層を形成されると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質の色材受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、前記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
<微粒子と水溶性樹脂との含有比>
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x:y)〕は、色材受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
本発明の色材受容層は、上記質量含有比〔PB比(x:y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、色材受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、色材受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x:y)としては5:1以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2:1以上であることがより好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x:y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
−架橋剤−
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、前記水溶性樹脂を含む塗布層が更に前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含むことが好ましく、特に前記微粒子と前記水溶性樹脂とを併用し、さらに該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
水溶性樹脂としてポリビニルアルコールを用いた場合、上述のホウ素化合物がポリビニルアルコールの硬化剤として作用する。
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、一種単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋硬化は、無機微粒子、水溶性樹脂等を含有する塗布液(以下、「塗布液A」ということがある)及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液(以下、「塗布液B」ということがある)を前記塗布層に付与することにより行うことが好ましい。塩基性溶液は、更にpHは7.5以上が好ましく、特に8以上が好ましい。
上記架橋剤の付与は、ホウ素化合物を例にすると下記のように行われることが好ましい。すなわち、色材受容層が、微粒子、ポリビニルアルコールを含む水溶性樹脂を含有する塗布液(塗布液A)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液(塗布液B)を前記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤たるホウ素化合物は、塗布液A、又は塗布液Bのいずれかに含有すればよく、塗布液A及び塗布液Bの両方に含有させておいてもよい。
色材受容層におけるホウ素化合物と水溶性樹脂との比率(ホウ素化合物/水溶性樹脂)は、5質量%以上14質量%以下であるが、6質量%以上12質量%以下がさらに好ましく、6質量%以上10質量%以下が特に好ましい。色材受容層におけるホウ素化合物と水溶性樹脂との比率が5質量%未満であると、インクの吸収不良、黒濃度の低下又はブロンズの問題を生ずることがある。また、ホウ素化合物と水溶性樹脂との比率が14質量%よりも大きいと、塗布液粘度の増粘、印画部と未印画部の光沢差又は膜割れの問題を生ずることがある。
−媒染剤−
本発明における色材受容層には少なくとも1種の無機媒染剤を含有してもよい。
無機媒染剤としては、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。
無機媒染剤の具体例としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(塩基性ポリ水酸化アルミニウム)、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性スルファミン酸アルミニウム、塩基性アルミニウムグリシネート、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、コハク酸ジルコニル、しゅう酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、乳酸ジルコニウムナトリウム、塩基性ジルコニウムグリシネート、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等があげられる。
本発明の無機媒染剤としては、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩または錯体)が好ましい。
特にアルミニウム含有化合物、ジルコニウム含有化合物が好ましい。
さらに水溶性アルミニウム化合物(硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物ウムなど)、水溶性ジルコニウム化合物(酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウムなど)が好ましい。特にポリ塩化アルミニウムが好ましい。
無機媒染剤は単独で使用しても併用してもよい。併用して用いる場合は、少なくともアルミニウム含有化合物またはジルコニウム含有化合物を含むのが好ましい。更にアルミニウム含有化合物及びジルコニウム含有化合物を併用するのが好ましい。
本発明で色材受容層に含まれる上記媒染剤量は、0.01g/m2〜5g/m2が好ましく、0.1g/m2〜3g/m2がより好ましい。
本発明においては、無機媒染剤と併用して、形成画像の耐水性及び耐経時ニジミの向上を図るために、色材受容層に有機媒染剤を含有していてもよい。
上記有機媒染剤としてカチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤が好ましく、該媒染剤を色材受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、耐水性や耐経時ニジミを向上させることができる。有機媒染剤および無機媒染剤はそれぞれ複数種で使用しても良い。
媒染剤は微粒子と水溶性樹脂を含む前記塗布液Aに添加する方法、又は微粒子との間で凝集を生ずる懸念がある場合は、前記塗布液Bに含有させ塗布する方法を利用できる。
上記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
上記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
具体的には、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、アリルアミン、ジアリルアミンやその誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)が挙げられる。尚、これらのアリルアミンおよびジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
前記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェットインク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さいモノマーをいう。
上記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
上記非媒染モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと他のモノマー(媒染モノマー、非媒染モノマー)との共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとSO2との共重合体、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリジアリル塩酸塩等に代表される環状アミン樹脂およびその誘導体(共重合体も含む);ポリジエチルメタクリロイルオキシエチルアミン、ポリトリメチルメタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルベンジルメタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルヒドロキシエチルアクリロイルオキシエチルアンモニウムクロリド等に代表される2級アミノ、3級アミノまたは4級アンモニウム塩置換アルキル(メタ)アクリレート重合体及び他のモノマーとの共重合体;ポリエチレンイミンおよびその誘導体、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリビニルアミン及びその誘導体等に代表されるポリアミン系樹脂;ポリアミドーポリアミン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂等に代表されるポリアミド樹脂;カチオン化でんぷん、キトサンおよびキトサン誘導体等に代表される多糖類;ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物等に代表されるジシアンジアミド誘導体;ポリアミジンおよびポリアミジン誘導体;ジメチルアミンエピクロロヒドリン付加重合物等に代表されるジアルキルアミンエピクロロヒドリン付加重合物およびその誘導体;第4級アンモニウム塩置換アルキル基を有するスチレン重合体およびその他のモノマーとの共重合体等も好ましいものとして挙げることができる。
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−157277号、同10−217601号、特開2001−138621号、同2000−211235号、同2001−138627号、特開平8−174992号、特公平5−35162号、同5−35163号、同5−35164号、同5−88846号、特許第2648847号、同2661677号等の各公報に記載のもの等が挙げられる。
無機媒染剤量と有機媒染剤量を併用する場合は、その比率は保存性とにじみのバランスで決定すればよく、その際使用する媒染剤のなかで、無機媒染剤の比が5%以上、好ましくは10%以上が好ましい。媒染剤量は、0.01g/m2〜5g/m2が好ましく、0.1g/m2〜3g/m2がより好ましい。
−その他の成分−
本発明のインクジェット記録用シートは、必要に応じて、更に各種の公知の添加剤、例えば酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することができる。
本発明において、色材受容層は酸を含有していてもよい。酸を添加することで、色材受容層の表面pHを3〜8、好ましくは4〜6に調整する。これにより白地部の耐黄変性が向上するので好ましい。表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面PHの測定の内A法(塗布法)により測定を行う。例えば、前記A法に相当する(株)共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して該測定を行うことができる。
具体的な酸の例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸金属塩(Zn,Al,Ca,Mg等の塩)、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、スルファニル酸、スルファミン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ほう酸、ボロン酸や前述の有機、無機媒染剤で酸性のもの等が挙げられる。これらの酸の添加量は、色材受容層の表面PHが3〜8になるように決めればよい。
上記の酸は金属塩(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)の形態で使用してもよい。
本発明においては、色材受容層が紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの保存性向上剤を含有することが好ましい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール化合物(ヒンダードフェノール化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオエーテル結合を有する脂肪族、芳香族及び/又は複素環式化合物、ビスフェノール化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル化フェノール化合物、チオエーテル結合を有する脂肪族、芳香族及び/又は複素環式化合物、ビスフェノール化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ヒドロキシアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が好ましい。
具体的な化合物例は、特開2002―36717号、特開平2002―86904号、特願2002-13005号、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特公平4−34512号、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号、米国特許第2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号、
特公昭45−4699号、同54−5324号、ヨーロッパ公開特許第223739号、同309401号、同309402号、同310551号、同第310552号、同第459416号、ドイツ公開特許第3435443号、特開昭54−48535号、同60−107384号、同60−107383号、同60−125470号、同60−125471号、同60−125472号、同60−287485号、同60−287486号、同60−287487号、同60−287488号、同61−160287号、同61−185483号、同61−211079号、同62−146678号、同62−146680号、同62−146679号、同62−282885号、同62−262047号、同63−051174号、同63−89877号、同63−88380号、同66−88381号、同63−113536号、
同63−163351号、同63−203372号、同63−224989号、同63−251282号、同63−267594号、同63−182484号、特開平1−239282号、特開平2−262654号、同2−71262号、同3−121449号、同4−291685号、同4−291684号、同5−61166号、同5−119449号、同5−188687号、同5−188686号、同5−110490号、同5−1108437号、同5−170361号、特公昭48−43295号、同48−33212号、米国特許第4814262号、同第4980275号等の各公報に記載のものがあげられる。
前記その他の成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。この前記その他の成分は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。本発明のインクジェット記録用シートでは、上記その他の成分の添加量としては、0.01〜10g/m2が好ましい。
また、無機微粒子の分散性を改善する目的で、無機表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能性基(例えば、ビニル基、アミノ基(1級〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基)、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基、チオエーテル基等)を有するものが好ましい。
本発明において、色材受容層用塗布液は界面活性剤を含有しているのが好ましい。該界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、第1の塗布液および第2の塗布液において使用することができる。また、上記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号、特開昭59−49535号、同63−236546号、特開平5−303205号、同8−262742号、同10−282619号、特許第2514194号、特許2759795号、特開2000-351269号の各公報等に記載されているものを好適に使用できる。上記両性界面活性剤のなかでも、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型が好ましい。上記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム )、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などがあげられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体をへて誘導される化合物があげられる。
例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどがあげられる。
前記シリコン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性としてアミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
本発明で界面活性剤の含有量としては、色材受容層用塗布液に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、色材受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
本発明において、色材受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
−支持体−
本発明の支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
高光沢性の不透明支持体としては、色材受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、上記各種紙支持体、上記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、上記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、色材受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度および色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上に色材受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
(インクジェット記録用シートの作製)
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等があげられる。色材受容層は、支持体上に1層でもよいし、多層構成になっていてもよく、さらにインク溶媒吸収層、中間層、保護層等を有していてもよい。本発明の無機媒染剤は色材受容層の全層またはインク受理表面付近に存在させればよい。
また、例えば、支持体表面に少なくとも微粒子と水溶性樹脂を含む第一の塗布液(以後、「塗布液(A)」と言うこともある)を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前のいずれかに少なくとも塩基性化合物を含むpHが7.1以上の第二の塗布液(以後、「塗布液(B)」と言うこともある)を付与した後、該第二の塗布液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)により形成されるのが好ましい。ここで、本発明の無機媒染剤は、上記塗布液(A)あるいは塗布液(B)の少なくとも一方に含有されるのが好ましい。特に塗布液(A)に含有されるのが好ましい。また、上記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤も、上記塗布液(A)あるいは塗布液(B)の少なくとも一方に含有されるのが好ましい。
この様にして架橋硬化させた色材受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
本発明において、少なくとも微粒子(例えば、気相法シリカ)と水溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)とを含有する色材受容層用塗布液(塗布液(A))は、例えば、以下のようにして調製することができる。即ち、
気相法シリカ微粒子と分散剤を水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(ホウ素化合物)、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、更に本発明における無機媒染剤を色材受容層用塗布液に含ませる場合には該化合物を加えて、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することができる。
また、上記気相法シリカと分散剤とからなる水分散物の調製は、気相法シリカ水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
上記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的におこなうという点から、撹拌型分散機、コロイドミル分散機または高圧分散機が好ましい。
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
また、上記分散剤としてはカオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、前述の有機媒染剤の例などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
支持体上に色材受容層を形成した後、該色材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
上記色材受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
また、色材受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率および細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ポアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
また、色材受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
本発明のインクジェット記録用シートの構成層(例えば、色材受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、特開平10−228076号の各公報に記載がある。尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
また、本発明のインクジェット記録用シートは、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
支持体上には、前記色材受容層と支持体との間の接着性を高め、電気抵抗値を適切に調整する等の目的で、下塗層を設けてもよい。
尚、前記色材受容層は、支持体の片面のみに設けてもよいし、カール等の変形を防止する等の目的で、支持体の両面に設けてもよい。OHP等で用いる場合であって、前記色材受容層を支持体の片面のみに設ける場合は、その反対側の表面、或いはその両面に、光透過性を高める目的で反射防止膜を設けることもできる。
また、前記色材受容層が設けられる側の支持体の表面に、ホウ酸又はホウ素化合物を塗工し、その上に色材受容層を形成することにより、色材受容層の光沢度や表面平滑性を確保し、かつ高温高湿環境下における印画後の画像の経時ニジミを抑制することもできる。
−インクジェット記録方式−
本発明のインクジェット記録方法においては、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
(水性インクの調製)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後KOH 10mol/LにてpH=9に調整し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターを用いて減圧濾過してライトマゼンタ用インク液を調製した。
・下記構造式で示されるマゼンタ染料(化合物M−1) 7.5g/L
・ジエチレングリコール 50g/L
・尿素 10g/L
・グリセリン 200g/L
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 120g/L
・トリエタノールアミン 6.9g/L
・ベンゾトリアゾール 0.08g/L
・2−ピロリドン 20g/L
・サーフィノール465
(界面活性剤 エアープロダクスジャパン製) 10.5g/L
・PROXEL XL−2(殺菌剤:ICIジャパン製) 3.5g/L
・ホウ酸 1g/L
さらに染料種、添加剤を変えることにより、マゼンタインク、ライトシアンインク、シアンインク、イエローインク、ブラックインクを調整し、表1に示す濃度のインクセット101を作製した。





(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/mlに調整された基紙を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み40μmとなるように押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
次のようにして、シリカ微分散液を作製した。
(シリカ微分散液A−1の調製)
ホモミキサーで2000rpmで攪拌されているイオン交換水553部の中に気相法シリカ 25部(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m2/g)(以下シリカ)を添加、続いて、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(シャロールDC902P、50%水溶液 第一工業製薬)を処方量の0.33部を添加しさらにシリカを50部添加さらにジメチルジアリルアンモニウムクロリド(シャロールDC902P、50%水溶液 第一工業製薬)を処方量の0.67部添加しシリカを25部添加してその後水溶性多価金属化合物として酢酸ジルコニル(ジルコゾールZA−30 50%水溶液 第一稀元素工業)0.54部を添加溶解し、ホモミキサー(特殊機化工業製;T.K.ホモディスパー)で4000rpm 30℃で120分処理してシリカ予分散液を作製した。 この予分散液をさらに、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)で、130MPa、1パスで分散して、シリカ濃度が約15質量%のシリカ微分散液を作製した。
(色材受容層塗布液A−1の調製)
<ポリビニルアルコールとジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P)とエマルゲン109Pの共溶解品(以下PVA共溶解品という。)の作製>
下記成分を冷却下混合後、90℃に加温して溶解して、PVA共溶解品とした。
イオン交換水 88.6部
エマルゲン109P(花王(株)製) 0.23部
ブチセノール20P(協和発酵ケミカル(株)製) 2.1部
ポリビニルアルコール 7.0部
((株)クラレ製の「PVA235」、鹸化度88.5%、重合度3500)
次に、上記で得られた(1)シリカ微分散液A−1に、上記で得られた(2)PVA共溶解品の溶液、及び下記成分(3)〜(7)を加え、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)回転数2000rpmで20分間かけて再度分散を行ない、下記組成からなる色材受容層用塗布液A−1を調製した。
<色材受容層塗布液A−1の組成>
(1)シリカ微分散液A−1 58.9部
(2)PVA共溶解品(水溶性樹脂)7.61%水溶液 31.2部
(3)ホウ酸(架橋剤) 0.2部
(4)イオン交換水 1.3部
(5)スーパーフレックス650(第一工業製薬(株)製) 2.2部
(6)エタノール 0.6部
(7)ポリ塩化アルミニウム(アルファイン83、大明化学(株)) 1.3部
次に、下記組成の各成分を混合し、媒染剤塗布液Bを調製した。
<媒染剤塗布液Bの組成>
(1)炭酸アンモニウム(関東化学製試薬1級) 5.0部
(2)イオン交換水 89.0部
(3)エマルゲン109P(10%水溶液)(花王(株)製) 6.0部
(インクジェット記録用シートの作製)
上記より得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、このオモテ面に上記の色材受容層用塗布液A−1をエクストルージョンダイコーターを用いて175ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。塗布層は、この期間恒率乾燥を示した。減率乾燥を示す前に上記の媒染剤塗布液Bに3秒浸漬して該塗布層上にその15g/m2を付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた(硬化工程)。これより、乾燥膜厚35μmの色材受容層が設けられたインクジェット記録用シートを得た。
上述のようにして得られたインクジェット記録用シートに対して、下記方法に基づいて吸収性、黒濃度、ブロンジング及び光沢差の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
<吸収性>
エプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−A950」のカートリッジに上述のようにして調製したインクセット101を詰め、23℃60%RHの条件で黒ベタ印画を行った。印画直後、インクジェット記録用シートの黒ベタ印画を行った側に普通紙を重ね軽く圧着し、普通紙に転写したインクの程度を目視で観察し、下記基準に基づき評価した。
○:全く転写がない。
△:やや転写する。
×:転写が著しい。
<黒濃度>
エプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−A950」のカートリッジに上述のようにして調製したインクセット101を詰め、インクジェット記録用シートにブラックのベタ画像を印画し、23℃、60%RHの環境下で24時間保管した。その後、インクジェット記録用シートについて黒濃度を反射濃度測定計(X−rite社製、Xrite938)にて測定した。
<ブロンジング>
エプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−A950」のカートリッジに上述のようにして調製したインクセット101を詰め、35℃80%RHの条件でインクジェット記録用シートへのシアンのベタ印画を行ない、印画したインクジェット記録用シートを23℃、65%RHの雰囲気に24時間放置し、ブロンズの発生程度を目視で観察し、下記基準に基づき評価した。
○:まったくブロンズは発生しなかった。
△:一部ブロンズが発生していた。
×:全面にブロンズが発生していた。
<光沢差>
エプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−A950」のカートリッジに上述のようにして調製したインクセット101を詰め、30℃80%RHの条件でインクジェット記録用シートへ黒ベタ印画を行い、印画部と未印画部との60°での光沢差を下記基準に基づき評価した。
○:光沢差が5未満で、光沢差がまったく気にならない。
△:光沢差が5以上10未満で、光沢差が若干気になる。
×:光沢差が10以上で、光沢差が気になる。
〔実施例2〕
インク中に含まれるホウ酸をホウ砂に変更した以外は実施例1と同様にしてインクセット及びインクジェット記録用シートを作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
〔実施例3〕
インク中に含まれるホウ酸をホウ酸リチウムに変更した以外は実施例1と同様にしてインクセット及びインクジェット記録用シートを作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
〔実施例4〕
[擬ベーマイトアルミナ分散液の作製]
イオン交換水2042gをディゾルバーで攪拌しながら、擬ベーマイトアルミナ(触媒化成工業(株)製、カタロイドAP-5、一次粒子径:8nm)708gを添加し、擬ベーマイトアルミナの粗分散液を得た。このときのディゾルバーの回転数は3000rpm、回転時間は10分間であった。
このアルミナ粗分散液を高圧分散機(スギノマシン社製、アルティマイザーHJP25005)にて微分散を行ない、固形分濃度25%の白色透明な擬ベーマイトアルミナ分散液を得た。このときの圧力は100MPa、吐出量は600g/minであった。
得られた擬ベーマイトアルミナ分散液の平均粒子径(二次粒子の平均粒径)は0.06μmであった。平均粒子径は、擬ベーマイトアルミナ分散液を適当な濃度までイオン交換水で薄めて、液温30℃で動的光散乱法により計測した。測定器は、LB−500(株式会社堀場製作所製)を使用した。
[気相法シリカ分散液の作製]
イオン交換水3365gをディゾルバーで攪拌しながら、有機カチオンポリマーとして、アクリレート系カチオンポリマー(三洋化成工業(株)製、ケミスタット7005;I/O値=1.89)35gを添加し、気相法シリカ(日本アエロジル社製、アエロジル300、一次粒子径:7nm)600gを添加し、気相法シリカ粗分散液を得た。このときのディゾルバーの回転数は3000rpm、回転時間は10分間であった。
この気相法シリカ粗分散液を高圧分散機(スギノマシン社製、アルティマイザーHJP25005)にて微分散を行ない、固形分濃度15%の白色透明な気相法シリカ分散液を得た。このときの圧力は100MPa、吐出量は600g/minであった。
得られた気相法シリカ分散液の平均粒子径(二次粒子の平均粒径)は0.1040μmであった。平均粒子径は、シリカ分散液を適当な濃度までイオン交換水で薄めて、液温30℃で動的光散乱法により計測した。測定器は、LB−500(株式会社堀場製作所製)を使用した。
[色材受容層形成用塗布液の作製]
−上層形成用塗布液(第1の色材受容層形成用塗布液)−
上記で得られた擬ベーマイトアルミナ分散液1012.5g、イオン交換水405g、7.5%ホウ酸水溶液97.1g、ケン化度88%、重合度4500のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA245)の7%水溶液346.7g、10%界面活性剤水溶液(日光ケミカルズ(株)製、スワノールAM2150)11.4gを、それぞれの液を60℃に保温後、混合し、上層形成用塗布液として、擬ベーマイトアルミナを含む色材受容層形成用塗布液を得た。
−下層形成用塗布液(第2の色材受容層形成用塗布液)−
上記で得られた気相法シリカ分散液892.2g、ケン化度88%、重合度4500のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA245)の7%水溶液467.4g、10%界面活性剤水溶液(日光ケミカルズ(株)製、スワノールAM2150)11.4g、イオン交換水84.2g、59%AP−7(日本アルコール(株)製、工業用エタノール)160gを混合前に30℃に保温した。各液を30℃で保温しながら良く混合し、下層形成用塗布液として、気相法シリカを含む色材受容層形成用塗布液を得た。
[支持体の作製]
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mなるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
上記より得られたポリオレフィン樹脂被覆紙表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成であって、ゼラチン量が50mg/mとなるように下引き層を形成して支持体を作製した。
−下引き層−
・石灰処理ゼラチン ・・・100部
・スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 ・・・2部
・クロム明ばん ・・・10部
[インクジェット記録用シートの作製]
上記の下引き層が形成された支持体上に、それぞれ45℃に保温した前記上層形成用塗布液と前記下層形成用塗布液とを、同時にスライドビード塗布装置で重層塗布した。塗布形成された塗布層を、乾燥時の塗布層の膜面温度が20℃未満となる乾燥条件、具体的には、塗布層の膜面温度が12℃になるように30秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃、10%RH、次いで35℃、10%RHという乾燥条件で乾燥し、インクジェット記録用シートを作製した。
このとき、上層の擬ベーマイトアルミナの塗布量が固形分で20g/m、下層の気相法シリカの塗布量が固形分で9.0g/mとなるように塗布した。
このようにして得られたインクジェット記録用シートを用いた以外は実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
〔実施例5〕
実施例1において、(色材受容層塗布液A−1の調製)で用いたポリビニルアルコールを「PVA235」から日本酢ビ・ポバール製 「JM−33」 鹸化度95mol% 重合度3300に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作成した。このインクジェット記録用シートを用いた以外は実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
〔実施例6〕
<色材受容層塗布液A−1の組成>におけるホウ酸の量を0.15部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作成した。このインクジェット記録用シートを用いた以外は実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
〔実施例7〕
<色材受容層塗布液A−1の組成>におけるホウ酸の量を0.3部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作成した。このインクジェット記録用シートを用いた以外は実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
〔比較例1〕
インク中のホウ酸を除いた以外は実施例1と同様にしてインクセット及びインクジェット記録用シートを作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表3に示す。
〔比較例2〕
色材受容層用塗布液A−1(175ml/mの塗布量)を下記ンク受容層用塗布液A−2(110ml/mの塗布量)に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作成した。得られたインクジェット記録用シートを用いた以外は実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表3に示す。
<色材受容層塗布液A−2の組成>
PVA共溶解品(水溶性樹脂)7.61%水溶液 50部
イオン交換水 50部
〔比較例3〕
<色材受容層塗布液A−1の組成>におけるホウ酸の量を0.4部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作成した。このインクジェット記録用シートを用いた以外は実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表3に示す。
〔比較例4〕
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量120g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン100質量部の樹脂に対して、10質量部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70質量部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30質量部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/mとなるように塗布乾燥して支持体を作成した。
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
上記支持体に下記組成の色材受容層塗布液をスライド塗布装置で塗布し乾燥した。下記に示す色材受容層塗布液は、気相法シリカが9質量%の固形分濃度になるように調製した。この塗布液を気相法シリカの塗布量が固形分で、19g/mになるように塗布、乾燥してインクジェット記録用シートを作成した。このインクジェット記録シートを用いた以外は実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表3に示す。
<色材受容層組成>気相法シリカ 100部 (平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m/g)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部 (第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 20部 (ケン化度88%、平均重合度3500)
フェノ−ルスルホン酸亜鉛 3部
3,6−ジチオ−1,8−オクタンジオール 5部
〔比較例5〕
<色材受容層塗布液A−1の組成>におけるホウ酸の量を0.1部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作成した。このインクジェット記録用シートを用いた以外は実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表3に示す。

Claims (4)

  1. 無機微粒子と水溶性樹脂とホウ酸、ホウ酸塩及びホウ砂から選択される少なくとも一種のホウ素化合物とを少なくとも含有し、前記ホウ素化合物と前記水溶性樹脂との比率(前記ホウ素化合物/前記水溶性樹脂)が5質量%以上14質量%以下である色材受容層を支持体上に有するインクジェット記録用シートの前記色材受容層の設けられた側に、前記ホウ素化合物を0.01質量%〜1質量%と水溶性染料とを少なくとも含有するインクジェット用インクを少なくとも一種含んで構成されるインクセットを用いて画像形成するインクジェット記録方法。
  2. 前記インクセットを構成するインクジェット用インクの少なくとも一種に含まれる水溶性染料が、下記一般式(C−I)で表されるシアン染料である請求項1に記載のインクジェット記録方法。

    一般式(C−I)において、X1、X2、X3およびX4はそれぞれ独立にσpが0.40以上の電子吸引性基を表す。Y1、Y2、Y3およびY4はそれぞれ独立に一価の置換基を表す。Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。a1〜a4、b1〜b4は、それぞれX1〜X4、およびY1〜Y4の置換基数を表す。a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、b1〜b4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。ただしa1〜a4の総和は2以上である。
  3. 前記無機微粒子が、気相法シリカ及び擬ベーマイトから選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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