JP2004331871A - インクジェット用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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敏樹 田口
Yoshiharu Okino
美晴 沖野
Toshiharu Tanaka
俊春 田中
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Abstract

【課題】得られる画像がビーディングやブロンズなどがなく良好な画像品質で、熱、光、オゾンなどに対する堅牢性に優れ、吐出安定性にも優れたインクジェット用インクを提供すること。
【解決手段】インクに含まれる少なくとも1つの染料の酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴である染料を用いて作製されたインクジェット用インク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の耐久性に優れたインクジェット用インク、インクセット、インクカートリッジ、記録用ヘッド、インクジェット用受像紙等を用いたインクジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報技術産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および記録装置も開発され、各々実用化されている。
これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造、取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
【0003】
これらのインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性が高いこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、空気、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、さらには、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。特に、良好なマゼンタ色相を有し、光堅牢性に優れた着色剤が強く望まれている。
既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているが、未だに全ての要求を満足する着色剤は、発見されていないのが現状である。カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来からよく知られている染料や顔料では、インクジェット記録用インクに要求される色相と堅牢性とを両立させることは難しい。
【0004】
その他のインクジェット用インクとしては、水性溶媒に顔料とは異なる形で固体微粒子を分散させたもの(ポリマー微粒子など)、ゲル化した状態のインク、固体を融解させてインクとして用いる方式、モノマー(染料そのものがモノマーのものや、モノマーに染顔料を分散させたものなど)タイプのインクなど種々のものが考案されている。
【0005】
インクジェット記録においては、上記のように、着色材料を含むインクの特性として、上記の耐久性以外に、高湿度条件下でも印字された画像が安定であること(にじみが起きないこと)、高濃度の印字部で着色剤の析出などが起きないこと(ブロンズが発生しないこと)、多色混合部で画像の乱れが生じないこと(ビーディングなどが生じないこと)などがその特性として要求される。
【0006】
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなハード(装置)の進歩に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
このインクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと(経時ニジミが良好な事))、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0007】
上記した諸特性の向上を目的として、近年では色材受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートが開発され実用化されている。このようなインクジェット記録用シートは多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れ高い光沢を有する。
【0008】
例えば、特開平10−119423号や同10−217601号公報等では、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を有する色材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用シートが提案されている。
これらの記録用シート、特に、無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなる色材受容層を設けたインクジェット記録用シートは、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を示すことができる。
【0009】
しかしながら、空気中の微量ガス、特にオゾンは、経時による記録画像の褪色の原因となる。上述の多孔質構造を有する色材受容層からなる記録材料は、多くの空隙を有することから、空気中のオゾンガスによって記録画像が褪色し易い。このため、上記多孔質構造の色材受容層を有する記録材料にとって、空気中のオゾンに対する耐性(耐オゾン性)は非常に重要な特性である。本発明では、この点を含め、画像安定性に優れたインクジェット記録方法を発明のターゲットとした。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−119423号公報
【特許文献2】
特開平10−217601号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、画像の耐久性に優れたインクジェット用インク、インクセット、インクカートリッジ、インクジェットヘッド、インクジェットハード、インクジェット記録用紙、ならびにその原料、製造方法など、その要素を総合的に組み合わせたインクジェット記録方法を見出すことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の手段は、下記1〜36項に列挙したインクジェット関連材料、装置、製造方法ならびに記録方法よって達成された。
1)λmaxが390nmから470nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.4以下である染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用イエローインクであって、インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、イエロー領域における反射吸収濃度(D)が、0.90〜1.10の点を1点そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、該速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とするインクジェット用イエローインク。
2)染料のλmaxが390nmから470nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.2以下であることを特徴とする第1項記載のインクジェット用イエローインク。
3)λmaxが470nmから580nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.4以下である染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用マゼンタインクであって、インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、マゼンタ領域における反射吸収濃度(D)が、0.90〜1.10の点を1点そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、該速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とするインクジェット用マゼンタインク。
4)染料のλmaxが470nmから580nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.2以下であることを特徴とする第3項記載のインクジェット用マゼンタインク。
5)λmaxが580nmから690nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.4以下である染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用シアンインクであって、インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、シアン領域における反射吸収濃度(D) が、0.90〜1.10の点を1点そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、該速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とするインクジェット用シアンインク。
6)染料のλmaxが580nmから690nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.2以下であることを特徴とする第5項記載のインクジェット用シアンインク。
7)λmaxが500nmから700nmにあり、吸光度1.0に規格化した希薄溶液の吸収スペクトルにおける半値幅が100nm以上である染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用ブラックインクにおいて、該ブラックインクを用いてJISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字し、これをステータスAフィルターにより測定した反射濃度(Dvis)を初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度(Dvis)が初期濃度値の80%となるまでの時間から強制褪色速度定数(kvis)を定めたときに、該速度定数(kvis)が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とするインクジェット用ブラックインク。
8)染料のλmaxが350nmから500nmにある染料を少なくとも1種と、第7項記載の染料を少なくとも1種、溶解または分散してなるインクジェット用ブラックインク。
9)染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用ブラックインクにおいて、該ブラックインクを用いてJISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字し、これをステータスAフィルターにより測定したC,M,Y3色の反射濃度(D,D,D)を初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、それぞれの反射濃度(D,D,D)が初期濃度値の80%となるまでの時間から強制褪色速度定数(k,k,k)を定めたときに、該3つの速度定数のうちの最大値と最小値の比(R)を求めた場合、該比(R)が1.2以下であることを特徴とするインクジェット用ブラックインク。
10)インクに含まれる少なくとも1つの染料の酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることを特徴とする第1〜9項記載のインクジェット用インク。
11)第1〜10項のいずれかに記載のインクに含まれる染料の少なくとも1つが下記一般式(1)〜(4)で表される染料であることを特徴とするインクジェット用インク。
一般式(1);
11−N=N−B11
一般式(1)中、A11およびB11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい複素環基を表す。
一般式(2);
【0013】
【化4】
Figure 2004331871
【0014】
一般式(2)中、X21、X22、X23およびX24は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR2122、スルホ基、−CONR2122、または−COOR21を表す。Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。R21、R22は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。
21、Y22、Y23およびY24は、それぞれ独立に、一価の置換基を表す。
21〜a24、b21〜b24は、それぞれX21〜X24およびY21〜Y24の置換基数を表す。a21〜a24はそれぞれ独立に0〜4の数を表すが、全てが同時に0になることはない。b21〜b24はそれぞれ独立に0〜4の数を表す。なお、a21〜a24およびb21〜b24が2以上の数を表すとき、複数のX21〜X24およびY21〜Y24はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。
一般式(3);
【0015】
【化5】
Figure 2004331871
【0016】
一般式(3)中、A31は5員複素環を表す。
31およびB32は、各々、=CR31−、−CR32=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR31−もしくは−CR32=を表す。
35およびR36は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。
、R31、R32は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、または複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
31とR35、またはR35とR36が結合して5または6員環を形成してもよい。
一般式(4);
41−(N=N−(B41)m)n−N=N−C41
一般式(4)中、A41、B41およびC41は、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族基または複素環基を表す。mは1または2であり、nは0以上の整数である。
12)イエローインクが一般式(1)で表される染料の少なくとも1つ、シアンインクが一般式(2)で表される染料の少なくとも1つ、マゼンタインクが一般式(3)で表される染料の少なくとも1つ、またはブラックインクが一般式(4)で表される染料の少なくとも1つ及び一般式(1)で表される染料の少なくとも1つを含有することを特徴とする第11項記載のインクジェット用インク。
13)一般式(2)で表される染料が特に下記一般式(5)で表されるものであることを特徴とする第11または12項記載のインクジェット用インク。
一般式(5)
【0017】
【化6】
Figure 2004331871
【0018】
前記一般式(5)中、X51〜X54、Y51〜Y58、およびMは、それぞれ一般式(2)のX21〜X24、Y21〜Y24、Mと同義である。a51〜a54は、それぞれ独立に、1または2の整数を表す。
14)第1〜13項のいずれかに記載のインクを、少なくとも1つ含有することを特徴とするインクジェット用インクセット。
15)第1〜13項のいずれかに記載のインクを少なくとも1つ充填した、インクジェット用インクカートリッジ。
16)第1〜13項のいずれかに記載のインクを吐出して印字することが可能なインクジェット用記録ヘッド。
17)一般式(1)〜(5)で表される染料を少なくとも1種含有するインクジェット用インク原液。
18)第17項記載のインクジェット用原液から、第1〜13項のいずれかに記載のインクを作製することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法。
19)第1〜13項のいずれかに記載のインク、第14項記載のインクセット、第15項記載のインクカートリッジ、もしくは第16項記載のインクジェットヘッドのいずれかを用いて、支持体上に色材受容層を有するインクジェット記録用シートに印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
20)前記色材受容層が、更に水溶性樹脂を含有するインクジェット記録用シートであることを特徴とする、第19項記載のインクジェット記録方法。
21)前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、ゼラチン類の少なくとも1種であるインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、第19または20項記載のインクジェット記録方法。
22)前記色材受容層が、更に微粒子を含有するインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、第19〜21項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
23)前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、擬ベーマイトの少なくとも1種であるインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、第19〜22項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
24)前記色材受容層が、水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有するインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、第19〜23項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
25)前記色材受容層が、更に媒染剤を含有するインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、第19〜24項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
26)前記媒染剤として、有機アミンポリマーを含有することを特徴とする、第25項記載のインクジェット記録方法。
27)前記媒染剤として、無機の金属酸化物もしくはハロゲン化物を含有することを特徴とする、第25項記載のインクジェット記録方法。
28)前記色材受容層が、少なくとも微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液を前記塗布層又は塗膜に付与することにより行われることを特徴とするインクジェット記録用シートを用いる、第19〜28項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
29)前記14項記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
30)前記14項記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、370nm以下のUV光をカットした条件でキセノン照射機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
31)前記14項記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、ガラスを通したキセノン照射機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
32)前記14項記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、80℃ドライの条件下で保存して強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
33)前記14項記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、80℃70%RHの条件下で保存して強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
34)前記14項記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、蛍光灯照射機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
35)前記14項記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、50℃−50kg/cmの空気加圧条件を達成可能なオートクレーブ試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
36)第29〜35項のいずれかに記載の条件を満たすようにインクならびにメディアを選択し、画像形成することを特徴とする、第19〜28項記載のインクジェット記録方法。
37)一般式(N1)、(N2)、または(N3)で表されるノニオン性界面活性剤を少なくとも1つ含有することを特徴とする、第1〜13項のいずれかに記載のインク、または第14項に記載のインクセット。
38)一般式(B)(好ましくは、一般式(B1)、または一般式(B2)(好ましくは一般式(B3))で表されるベタイン化合物(好ましくはベタイン界面活性剤)を少なくとも1つ含有することを特徴とする、第1〜13項、第37項のいずれかに記載のインク、または第14項に記載のインクセット。
39)一般式(A)で表される環状溶剤を少なくとも1つ含有することを特徴とする、第1〜13項、第37項、第38項のいずれかに記載のインク、または第14項に記載のインクセット。
40)一般式(Y)で表される尿素系化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とする、第1〜13第、第37項〜39項第のいずれかに記載のインク、または請求項14に記載のインクセット。
41)第19〜28項のいずれかに記載の色材受容層がインク一般式(B)(好ましくは、一般式(B1)、または一般式(B2)(好ましくは一般式(B3))で表されるベタイン化合物(好ましくはベタイン界面活性剤)を少なくとも1つ含有することを特徴とする、第19〜28項のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
42)該インクにおいて、染料由来以外のイオンの合計質量が、該インクに対して1質量%以下であることを特徴とする第1〜13項のいずれかに記載のインク。
【0019】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に用いるインクジェット用インクに含まれる染料について解説する。
本発明において使用する染料は、堅牢性、オゾンガスに対する堅牢性の点から、酸化電位が1.0V(vsSCE)よりも貴である染料が好ましく、1.1V(vsSCE)よりも貴である染料がさらに好ましく、1.2V(vsSCE)よりも貴である染料が特に好ましい。染料の種類としては、上記物性要件を満たすアゾ染料や金属キレート染料が特に好ましい。
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New InstrumentalMethods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers社刊)やA.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年 JohnWiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
【0020】
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10−4〜1×10−6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。
なお、電位を一義的に規定する為、本発明では、0.1moldm−3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むジメチルホルムアミド中(染料の濃度は0.001moldm−3)で直流ポーラログラフィーにより測定した値(vs SCE)を染料の酸化電位とする。
【0021】
Eoxの値は試料から電極への電子の移りやすさを表わし、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより卑となる。本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、染料骨格に電子求引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望ましい。
【0022】
また、本発明において使用する染料のうち、カラー画像形成に使用する染料の場合は、堅牢性が良好であると共に色相が良好であるということが好ましく、特に吸収スペクトルにおいて長波側の裾切れが良好であることが好ましい。このためλmaxを基準として、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.2以下であるイエロー染料が好ましく、0.1以下がさらに好ましい。
逆に、黒色画像形成用の染料の場合は、スペクトルのなるべく広範な領域をカバーすることが好ましく、半値幅で100nm以上の染料を好ましく使用する。
【0023】
(イエロー染料)
このような酸化電位及び吸収特性を満足するイエロー染料として、一般式(1)で表さ表されるものが好ましい。
【0024】
一般式(1) A11−N=N−B11
【0025】
一般式(1)中、A11およびB11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい複素環基を表す。
前記複素環としては、5員環または6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、N,O,S原子が好ましい。
【0026】
一般式(1)において、A11で表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、トリアゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ピリジン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸およびこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。中でも5−ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、2,6−ジアミノピリジン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0027】
11で表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。中でもピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがさらに好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0028】
11およびB11で表される複素環基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、またはイオン性親水性基が例として挙げられる。
【0029】
一般式(1)の染料を水溶性染料として使用する場合には、分子内にイオン性親水性基を少なくとも1つ有することが好ましい。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属イオン、特にリチウムイオンが好ましい。
【0030】
一般式(1)で表される染料の中でも、下記一般式(1−A)、(1−B)、(1−C)の染料が好ましい。
一般式(1−A);
【0031】
【化7】
Figure 2004331871
【0032】
一般式(1−A)中、R1およびR3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基またはイオン性親水性基を表し、R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基または複素環基を表し、R4は複素環基を表す。
【0033】
一般式(1−B);
【0034】
【化8】
Figure 2004331871
【0035】
一般式(1−B)中、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基またはイオン性親水性基を表し、Zaは−N=、−NH−、または−C(R11)=を表し、ZbおよびZcは各々独立して、−N=または−C(R11)=を表し、R11は水素原子または非金属置換基を表し、R6は複素環基を表す。
【0036】
一般式(1−C);
【0037】
【化9】
Figure 2004331871
【0038】
一般式(1−C)中、R7およびR9は、各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはイオン性親水性基を表し、R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル、アリールスルホニル基、アシル基、アミノ基、ヒドロキシ基、またはイオン性親水性基を表し、R10は複素環基を表す。
【0039】
前記一般式(1−A)、(1−B)および(1−C)中、R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基および無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基としては、炭素原子数が1乃至20のアルキル基が好ましい。前記置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、および4−スルホブチルが含まれる。
【0040】
R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基および無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5乃至12のシクロアルキル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が含まれる。
R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基および無置換のアラルキル基が含まれる。前記アラルキル基としては、炭素原子数が7乃至20のアラルキル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アラルキル基の例には、ベンジル、および2−フェネチルが含まれる。
【0041】
R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基および無置換のアリール基が含まれる。前記アリール基としては、炭素原子数が6乃至20のアリール基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
【0042】
R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基および無置換のアルキルチオ基が含まれる。前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1乃至20のアルキルチオ基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アルキルチオ基の例には、メチルチオおよびエチルチオが含まれる。
【0043】
R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基および無置換のアリールチオ基が含まれる。前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6乃至20のアリールチオ基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールチオ基の例には、フェニルチオ基およびp−トリルチオが含まれる。
【0044】
R2及び後述のR22で表される複素環基は、5員または6員の複素環が好ましくそれらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、N、S、Oが好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であっても良い。前記複素環はさらに置換されていてもよく、置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが挙げられる。好ましい複素環は、6員の含窒素芳香族複素環であり、特にトリアジン、ピリミジン、フタラジンを好ましい例としてあげることができる。
【0045】
R8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
R1、R3、R5、R8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシが含まれる。
【0046】
R8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ、p−メトキシフェノキシおよびo−メトキシフェノキシが含まれる。
R8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2乃至20のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルアミノ基の例には、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミドおよび3,5−ジスルホベンズアミドが含まれる。
【0047】
R8が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基および無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1乃至20のスルホニルアミノ基が好ましい。前記スルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ、およびエチルスルホニルアミノが含まれる。
R8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2乃至20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0048】
R8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1乃至20のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド、3,3−ジメチルウレイドおよび3−フェニルウレイドが含まれる。
R7、R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2乃至20のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
【0049】
R2、R7、R8、R9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
R8が表す置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0050】
R8が表すアルキルスルホニルおよびアリールスルホニル基の例には、メチルスルホニルおよびフェニルスルホニルが含まれる。
R2、R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1乃至20のアシル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチルおよびベンゾイルが含まれる。
【0051】
R8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基および無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例にはアルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。アミノ基の例には、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノおよび2−クロロアニリノが含まれる。
【0052】
R4、R6、R10で表される複素環基は、一般式(1)のB11で表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も先述のものと同じである。置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、アリール基、アルキルまたはアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、およびアシルアミノ基等が含まれ、前記アルキル基およびアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0053】
前記一般式(1−B)中、Zaは−N=、−NH−、または−C(R11)=を表し、ZbおよびZcは各々独立して、−N=または−C(R11)=を表し、R11は水素原子または非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(1−B)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0054】
【化10】
Figure 2004331871
【0055】
上記で説明した各置換基がさらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、先述の一般式(1)の複素環A11、B11に置換してもよい置換基を挙げることが出来る。
【0056】
前記一般式(1−A)〜(1−C)で表される染料を水溶性染料として使用する場合には、分子内にイオン性親水性基を少なくとも1つ有することが好ましい。前記一般式(1−A)〜(1−C)中の、R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9の少なくともいずれかがイオン性親水性基である染料の他、前記一般式(1−A)〜(1−C)中の、R1〜R11がさらにイオン性親水性基を置換基として有する染料が含まれる。
【0057】
上記一般式(1−A)、(1−B)、及び(1−C)のうち、好ましいものは一般式(1−A)であるが、中でも下記一般式(1−A1)で表されるものが特に好ましい。
一般式(1−A1)
【0058】
【化11】
Figure 2004331871
【0059】
一般式(1−A1)中、R21およびR23は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基またはアリール基を表す。R22は、アリール基または複素環基を表す。XおよびYは、一方は窒素原子を表し、他方は−CR24を表す。R24は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリール基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アリールスルフィニル基、アリールオキシ基またはアシルアミノ基を表す。それぞれの置換基はさらに置換していてもよい。
一般式(1−A1)において、イオン性親水性基を有する染料が好ましい。
【0060】
以下に、一般式(1)で表される染料の好ましい具体例を示すが、本発明に用いられる染料は、下記の具体例に限定されるものではない。これらの化合物は特開平2−24191号、特開2001−279145号、特願2000−124832号を参考にして合成できる。
また、以下の具体例では、イオン性親水性基の対イオンとしてナトリウムイオンとする例を多く挙げているが、対イオンとしてはそれに限定するものでなく、合成時に調製し、任意のイオンとすることができる。
【0061】
【化12】
Figure 2004331871
【0062】
【化13】
Figure 2004331871
【0063】
【化14】
Figure 2004331871
【0064】
【化15】
Figure 2004331871
【0065】
【化16】
Figure 2004331871
【0066】
【化17】
Figure 2004331871
【0067】
【化18】
Figure 2004331871
【0068】
【化19】
Figure 2004331871
【0069】
【化20】
Figure 2004331871
【0070】
【化21】
Figure 2004331871
【0071】
【化22】
Figure 2004331871
【0072】
【化23】
Figure 2004331871
【0073】
【化24】
Figure 2004331871
【0074】
【化25】
Figure 2004331871
【0075】
【化26】
Figure 2004331871
【0076】
【化27】
Figure 2004331871
【0077】
【化28】
Figure 2004331871
【0078】
【化29】
Figure 2004331871
【0079】
【化30】
Figure 2004331871
【0080】
【化31】
Figure 2004331871
【0081】
一般式(1)で表されるイエロー染料のインク中での含有量は、0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
【0082】
〔シアン染料〕
本発明のインクジェット記録用インク組成物において使用する染料は、フタロシアニン染料であり、中でも一般式(2)で表されるものが好ましい。フタロシアニン染料は堅牢な染料として知られていたが、インクジェット用記録色素として使用した場合、オゾンガスに対する堅牢性に劣ることが知られている。本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、フタロシアニン骨格に電子求引性基を導入して酸化電位を1.0V(vs SCE)よりも貴とすることが望ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも貴であるものがより好ましく、1.2V(vs SCE)より貴であるものが最も好ましい。
【0083】
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New InstrumentalMethods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers社刊)やA.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年 JohnWiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
【0084】
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10−4〜1×10−6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。
なお、電位を一義的に規定する為、本発明では、0.1moldm−3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むジメチルホルムアミド中(染料の濃度は0.001moldm−3)で直流ポーラログラフィーにより測定した値(vs SCE)を染料の酸化電位とする。
【0085】
Eoxの値は試料から電極への電子の移りやすさを表わし、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより卑となる。本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、フタロシアニン骨格に電子求引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望ましい。従って、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いれば、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のようにσp値が大きい置換基を導入することにより酸化電位をより貴とすることができると言える。
このような電位調節をするために、本発明においては、特に一般式(2)で表されるフタロシアニン染料を用いることが好ましい。
【0086】
以下、上記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料について詳細に説明する。
一般式(2)において、X21、X22、X23およびX24は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR2122、スルホ基、−CONR2122、または−CO21を表す。これらの置換基の中でも、−SO−Z、−SO−Z、−SONR2122および−CONR2122が好ましく、特に−SO−Zおよび−SONR2122が好ましく、−SO−Zが最も好ましい。ここで、その置換基数を表すa21〜a24のいずれかが2以上の数を表す場合、X21〜X24のうち、複数存在するものは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に上記のいずれかの基を表す。また、X21、X22、X23およびX24は、全て同一の置換基であってもよく、または、例えばX21、X22、X23およびX24が全て−SO−Zであり、かつ各Zが異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であってもよく、あるいは互いに異なる置換基(例えば−SO−Zと−SONR2122)を含んでいてもよい。
【0087】
上記Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基であり、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。
【0088】
上記R21、R22は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。なかでも、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、および置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、および置換複素環基がさらに好ましい。但し、R21、R22がいずれも水素原子であることは好ましくない。
【0089】
21、R22およびZが表す置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R21、R22、Y21、Y22、Y23およびY24が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。なお、アルキル基の炭素原子数は置換基の炭素原子を含まず、他の基についても同様である。
【0090】
21、R22およびZが表す置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R21、R22、Y21、Y22、Y23およびY24が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。なかでも、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、およびスルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
【0091】
21、R22およびZが表す置換もしくは無置換のアルケニル基としては、炭素原子数が2〜30のアルケニル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルケニル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R21、R22、Y21、Y22、Y23およびY24が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。なかでも、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
【0092】
21、R22およびZが表す置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアラルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R21、R22、Y21、Y22、Y23およびY24が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。なかでも、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
【0093】
21、R22およびZが表す置換もしくは無置換のアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ、R21、R22、Y21、Y22、Y23およびY24が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。なかでも、染料の酸化電位を貴とし堅牢性を向上させるので電子吸引性基が特に好ましい。電子吸引性基としては、ハメットの置換基定数σp値が正のものが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が更に好ましい。
【0094】
21、R22およびZが表す複素環基としては、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。以下にR21、R22およびZで表される複素環基を、置換位置を省略して複素環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。なかでも、芳香族複素環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。それらは置換基を有していてもよく、置換基の例としては、後述のZ、R21、R22、Y21、Y22、Y23およびY24が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。好ましい置換基は前記アリール基の置換基と、更に好ましい置換基は、前記アリール基の更に好ましい置換基とそれぞれ同じである。
【0095】
21、Y22、Y23およびY24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、またはスルホ基を挙げる事ができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
なかでも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0096】
、R21、R22、Y21、Y22、Y23およびY24が更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げる置換基を更に有してもよい。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖または分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性およびインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。以上の各基の具体例:例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、複素環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、複素環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基および4級アンモニウム基)が挙げられる。
【0097】
前記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料が水溶性である場合には、イオン性親水性基を有することが好ましい。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンのなかでも、アルカリ金属塩が好ましく、特にリチウム塩は染料の溶解性を高めインク安定性を向上させるため特に好ましい。
【0098】
イオン性親水性基の数としては、フタロシアニン系染料1分子中少なくとも2個有することが好ましく、スルホ基および/またはカルボキシル基を少なくとも2個有することが特に好ましい。
【0099】
一般式(2)中、a21〜a24およびb21〜b24は、それぞれX21〜X24およびY21〜Y24の置換基数を表す。a21〜a24は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表すが、全てが同時に0になることはない。b21〜b24は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。なお、a21〜a24およびb21〜b24のいずれかが2以上の整数であるときは、X21〜X24およびY21〜Y24のいずれかは複数個存在することになり、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0100】
21とb21は、a21+b21=4の関係を満たす。特に好ましいのは、a21が1または2を表し、b21が3または2を表す組み合わせであり、そのなかでも、a21が1を表し、b21が3を表す組み合わせが最も好ましい。
【0101】
22とb22、a23とb23、a24とb24の各組み合わせにおいても、a21とb21の組み合わせと同様の関係であり、好ましい組み合わせも同様である。
【0102】
Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
Mとして好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。
【0103】
また、水酸化物としては、Si(OH)、Cr(OH)、Sn(OH) 等が好ましく挙げられる。
【0104】
さらに、ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl、VCl、VCl、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
【0105】
なかでも、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0106】
また、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料は、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)または3量体を形成してもよく、その時のMはそれぞれ同一であっても異なるものであってもよい。
【0107】
この場合、Lで表される2価の連結基は、オキシ基−O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニル基−SO−、イミノ基−NH−、メチレン基−CH−、およびこれらを組み合わせて形成される基が好ましい。
【0108】
前記一般式(2)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0109】
前記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料のなかでも、前記一般式(5)で表される構造のフタロシアニン染料が更に好ましい。以下に、一般式(5)で表されるフタロシアニン染料について詳しく述べる。
【0110】
前記一般式(5)において、X51〜X54、Y51〜Y58は一般式(2)の中のX21〜X24、Y21〜Y24とそれぞれ同義であり、好ましい例も同じである。また、Mは一般式(2)中のMと同義であり、好ましい例も同様である。
【0111】
一般式(5)中、a51〜a54は、それぞれ独立に、1または2の整数であり、好ましくは4≦a51+a52+a53+a54≦6を満たし、特に好ましくはa51=a52=a53=a54=1のときである。
【0112】
51、X52、X53およびX54は、それぞれ全く同じ置換基であってもよく、または例えばX51、X52、X53およびX54が全て−SO−Zであり、かつ各Zは異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であってもよく、あるいは互いに異なる置換基を、例えば−SO−Zと−SONR2122を含んでいてもよい。
【0113】
一般式(5)で表されるフタロシアニン染料のなかでも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
51〜X54としては、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR2122または−CONR2122が好ましく、特に−SO−Zまたは−SONR2122が好ましく、−SO−Zが最も好ましい。
【0114】
は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、そのなかでも、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基が最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
【0115】
21、R22は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、そのなかでも、水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基がより好ましい。ただしR21、R22が共に水素原子であることは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させるという理由から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
【0116】
51〜Y58は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、またはスルホ基であることが好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0117】
51〜a54は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、全てが1であることが特に好ましい。
【0118】
は、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
【0119】
前記一般式(5)で表されるフタロシアニン染料が水溶性である場合には、イオン性親水性基を有することが好ましい。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンのなかでも、アルカリ金属塩が好ましく、特にリチウム塩は染料の溶解性を高めインク安定性を向上させるため特に好ましい。
【0120】
イオン性親水性基の数としては、フタロシアニン系染料1分子中に少なくとも2個有することが好ましく、スルホ基および/またはカルボキシル基を少なくとも2個有することが特に好ましい。
【0121】
前記一般式(5)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0122】
前記一般式(5)で表されるフタロシアニン染料の化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
【0123】
ここで、ハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明で用いる染料の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
【0124】
前記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料は、その合成法によって不可避的に置換基Xn(n=1〜4)およびYm(m=1〜4)の導入位置および導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、従って一般式はこれら類縁体混合物を統計的に平均化して表している場合が多い。本発明では、これらの類縁体混合物を以下に示す三種類に分類すると、特定の混合物が特に好ましいことを見出したものである。すなわち前記一般式(2)および(5)で表されるフタロシアニン系染料類縁体混合物を置換位置に基づいて以下の三種類に分類して定義する。一般式(5)中におけるY51、Y52、Y53、Y54、Y55、Y56、Y57、Y58を各々1、4、5、8、9、12、13、16位とする。
【0125】
(1)β−位置換型:2およびまたは3位、6およびまたは7位、10およびまたは11位、14およびまたは15位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(2)α−位置換型:1およびまたは4位、5およびまたは8位、9およびまたは12位、13およびまたは16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料
(3)α、β−位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料
【0126】
本明細書中において、構造が異なる(特に、置換位置が異なる)フタロシアニン染料の誘導体を説明する場合、上記β−位置換型、α−位置換型、α,β−位混合置換型を使用する。
【0127】
本発明に用いられるフタロシアニン染料は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行’Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
【0128】
本発明の一般式(2)で表されるフタロシアニン染料は、国際公開00/17275号、同00/08103号、同00/08101号、同98/41853号、特開平10−36471号などに記載されているように、例えば無置換のフタロシアニン化合物のスルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン化される個数も制御が困難である。従って、このような反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の個数や置換位置の異なる混合物を与える。従ってそれを原料として合成する時には、複素環置換スルファモイル基の個数や置換位置は特定できないので、得られるフタロシアニン染料としては置換基の個数や置換位置の異なる化合物が何種類か含まれるα,β−位混合置換型混合物として得られる。
【0129】
前述したように、例えばスルファモイル基のような電子求引性基を数多くフタロシアニン核に導入すると酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。上記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている個数が少ない、即ち酸化電位がより卑であるフタロシアニン染料が混入してくることが避けられない。従って、オゾン耐性を向上させるためには、酸化電位がより卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いることがより好ましい。
【0130】
本発明の一般式(5)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)および/またはジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を一般式(6)で表される金属誘導体と反応させるか、或いは下記式で表される4−スルホフタロニトリル誘導体(化合物R)と一般式(6)で表される金属誘導体を反応させて得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
【0131】
【化32】
Figure 2004331871
【0132】
上記各式中、Xpは上記一般式(5)におけるX51、X52、X53またはX54に相当する。また、Yq、Yq’は、それぞれ上記一般式(5)におけるY51、Y 、Y53、Y54、Y55、Y56、Y57またはY58に相当する。化合物Rにおいて、M’はカチオンを表す。
【0133】
M’が表すカチオンとしては、Li、Na、Kなどのアルカリ金属イオン、またはトリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオンなどの有機カチオンなどが挙げられる。
【0134】
一般式(6):M−(Y)d
【0135】
一般式(6)中、Mは前記一般式(2)のMおよび前記一般式(5)のMと同義であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価または2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
【0136】
即ち、上記の合成法に従えば、望みの置換基を特定の数だけ導入することができる。特に本発明のように酸化電位を貴とするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、上記の合成法は、一般式(2)のフタロシアニン化合物を合成するための既に述べた方法と比較して極めて優れたものである。
【0137】
かくして得られる前記一般式(5)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ−位置換型となっている。
【0138】
【化33】
Figure 2004331871
【0139】
上記合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX51、X52、X53およびX54が全く同じ置換基であるβ−位置換型フタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組み合わせて使用すれば、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつ染料や、あるいは、互いに異なる種類の置換基をもつ染料を合成することができる。一般式(5)の染料のなかでも、互いに異なる電子吸引性置換基を持つこれらの染料は、染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できるので、特に好ましい。
【0140】
本発明では、いずれの置換型においても酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることが堅牢性の向上に非常に重要であることが見出され、その効果の大きさは前記先行技術から全く予想することができないものであった。また、原因は詳細には不明であるが、なかでも、α,β−位混合置換型よりはβ−位置換型の方が色相、光堅牢性、オゾンガス耐性等において明らかに優れている傾向にあった。
【0141】
前記一般式(2)および(5)で表されるフタロシアニン染料の具体例(例示化合物I−1〜I−12および101〜190)を下記に示すが、本発明に用いられるフタロシアニン染料は、下記の例に限定されるものではない。
【0142】
【化34】
Figure 2004331871
【0143】
【化35】
Figure 2004331871
【0144】
【化36】
Figure 2004331871
【0145】
【化37】
Figure 2004331871
【0146】
【化38】
Figure 2004331871
【0147】
【化39】
Figure 2004331871
【0148】
【表1】
Figure 2004331871
【0149】
【表2】
Figure 2004331871
【0150】
【表3】
Figure 2004331871
【0151】
【表4】
Figure 2004331871
【0152】
【表5】
Figure 2004331871
【0153】
【表6】
Figure 2004331871
【0154】
【表7】
Figure 2004331871
【0155】
【表8】
Figure 2004331871
【0156】
【表9】
Figure 2004331871
【0157】
【表10】
Figure 2004331871
【0158】
【表11】
Figure 2004331871
【0159】
なお、化合物No.146〜190のM−Pc(Xp1)m(Xp2)nで示されるフタロシアニン化合物の構造は下記の通りである。
【0160】
【化40】
Figure 2004331871
【0161】
前記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料は、前述した特許に従って合成することが可能である。また、一般式(5)で表されるフタロシアニン染料は、前記した合成方法の他に、特開2001−226275号、同2001−96610号、同2001−47013号、同2001−193638号の各公報に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体および合成ルートについてはこれらに限定されるものでない。
【0162】
一般式(2)で表されるフタロシアニン染料のインク中での含有量は、0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
【0163】
〔マゼンタ染料〕
本発明で使用されるマゼンタ染料は、水性媒体中において500〜580nmの分光領域に吸収極大を有し、かつ1.0V(vsSCE)よりも貴の酸化電位を有するアゾ染料であることが好ましい。
【0164】
このマゼンタ染料であるアゾ染料の好ましい染料の構造上の特徴の第1は、一般式(複素環A)−N=N−(複素環B)で表される発色団を有する染料であることである。この場合、複素環Aと複素環Bは同一の構造であってもよい。複素環A及び複素環Bは、具体的には5員環、または6員環の複素環で、ピラゾ−ル、イミダゾ−ル、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、チアゾ−ル、セレナゾ−ル、ピリドン、ピラジン、ピリミジン、ピリジンから選ばれた複素環である。具体的には特願2000−15853、特願2001−15614、特開平2002−309116号公報,特願2001−195014などに記載されている。
【0165】
さらに、前記アゾ染料の好ましい構造上の特徴の第2は、アゾ基が、少なくともその一方に芳香族含窒素6員複素環をカップリング成分として直結させたアゾ染料であることで、その具体例は特願2001−110457に記載されている。
【0166】
構造上の好ましい特徴の第3は、助色団が芳香族環アミノ基または複素環アミノ基の構造を有することであり、具体的にはアニリノ基、ヘテリルアミノ基である。
【0167】
好ましい構造上の特徴の第4は立体構造を有することである。具体的には特願2002−12015に記載されている。
【0168】
アゾ染料に上記構造上の特徴を持たせることにより、染料の酸化電位を高め、オゾン耐性を向上させることができる。酸化電位を高める手段としては、アゾ染料のα水素を除去することが挙げられる。また、酸化電位を高める観点からも、一般式(3)のアゾ染料は好ましい染料である。アゾ染料の酸化電位を高める手段については、具体的には特願2001−254878に記載されている。
【0169】
上記特徴を有するアゾ染料を用いた本発明のマゼンタインクとしては、λmax(吸収極大波長)が500〜580nmであることが色相の点で優れており、さらに最大吸収波長の長波側と短波側の半値幅が小さい、すなわちシャープな吸収であることが好ましい。具体的には特開平2002−309133号公報に記載されている。また一般式(3)のアゾ染料を用いて、α位にメチル基を導入することにより吸収のシャープ化を具現できる。
【0170】
また、該アゾ染料を用いたマゼンタインクのオゾンガスに対する強制褪色速度定数は、5.0×10−2[hour−1]以下が好ましく、3.0×10−2[hour−1]がより好ましく、1.5×10−2[hour−1]以下が特に好ましい。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数の測定は、当該マゼンタインクのみを反射型受像媒体に印画して得られた画像の該インクの主分光吸収領域の色であってステータスAのフィルターを通して測定した反射濃度が0.90〜1.10の濃度の着色領域を初期濃度点として選択し、この初期濃度を開始濃度(=100%)とする。この画像を5mg/Lのオゾン濃度を常時維持するオゾン褪色試験機を用いて褪色させ、その濃度が初期濃度の80%となるまでの時間を測定し、この時間の逆数[hour−1]を求め、褪色濃度と時間関係が一次反応の速度式に従うとの仮定のもとに、褪色反応速度定数とする。
試験用の印画パッチは、JISコード2223の黒四角記号を印字したパッチ、マクベスチャートの階段状カラーパッチ、そのほか測定面積が得られる任意の階段濃度パッチを用いることができる。
測定用に印画される反射画像(階段状カラーパッチ)の反射濃度は、国際規格ISO5−4(反射濃度の幾何条件)を満たした濃度計によりステータスAフィルターを透した測定光で求められた濃度である。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数測定用の試験チャンバーには、内部のオゾンガス濃度を定常的に5mg/Lに維持可能のオゾン発生装置(例えば乾燥空気に交流電圧を印可する高圧放電方式)が設けられ、曝気温度は25℃に調節される。
なお、この強制褪色速度定数は、光化学スモッグ、自動車排気、家具の塗装面や絨毯などからの有機蒸気、明室の額縁内の発生ガスなどの環境中の酸化性雰囲気による酸化の受け易さの指標であって、オゾンガスによってこれらの酸化性雰囲気を代表させた指標である。
【0171】
以下に、上記特徴を有し、本発明で用いられるアゾ染料である前記一般式(3)で表される染料について説明する。
一般式(3)において、A31は5員複素環基を表す。
31およびB32は、各々、=CR31−、−CR32=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR31−もしくは−CR32=を表す。
35およびR36は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていてもよい。
【0172】
、R31およびR32は、各々独立して、水素原子または置換基を示し、該置換基は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、該各置換基の水素原子はさらに置換されていてもよい。
31とR35、またはR35とR36が結合して5〜6員環を形成してもよい。
【0173】
一般式(3)において、A31は5員複素環基を表すが、複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。A31の好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
【0174】
下記一般式(a)から(f)において、R307からR320は一般式(3)におけるG、R31、R32と同じ置換基を表す。
一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
【0175】
【化41】
Figure 2004331871
【0176】
一般式(3)において、B31およびB32は、各々、=CR31−および−CR32=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR31−もしくは−CR32=を表すが、各々、=CR31−、−CR32=を表すものがより好ましい。
【0177】
35、R36は好ましくは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。該各置換基の水素原子は置換されていてもよい。ただし、R35およびR36が同時に水素原子であることはない。
【0178】
としては水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、または複素環チオ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基またはアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アミノ基(好ましくは、アニリノ基)、アシルアミノ基が最も好ましい。該各置換基の水素原子は置換されていてもよい。
【0179】
31、R32として好ましいものは、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げることができる。該各置換基の水素原子は置換されていてもよい。
31とR35、またはR35とR36が結合して5〜6員環を形成してもよい。
【0180】
31が置換基を有する場合、またはR31、R32、R35、R36またはGの置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R31、R32で挙げた置換基を挙げることができる。
【0181】
上記一般式(3)で表される染料が水溶性染料である場合には、A31、R31、R32、R35、R36、G上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
【0182】
ここで、一般式(3)の説明において使用される用語(置換基)について説明する。これら用語は一般式(3)及び後述の一般式(3−A)においても共通である。
【0183】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0184】
脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。「置換アルキル基」等に用いる「置換」とは、「アルキル基」等に存在する水素原子が上記G、R31、R32で挙げた置換基等で置換されていることを示す。
【0185】
脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
【0186】
芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。
芳香族基の例には、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。
【0187】
複素環基には、置換複素環基が含まれる。複素環基は、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。前記複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。前記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。前記複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
【0188】
カルバモイル基には、置換カルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0189】
アルコキシカルボニル基には、置換アルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0190】
アリールオキシカルボニル基には、置換アリールオキシカルボニル基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0191】
複素環オキシカルボニル基には、置換複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
【0192】
アシル基には、置換アシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0193】
アルコキシ基には、置換アルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0194】
アリールオキシ基には、置換アリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0195】
複素環オキシ基には、置換複素環オキシ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
【0196】
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。前記シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
【0197】
アシルオキシ基には、置換アシルオキシ基が含まれる。前記アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0198】
カルバモイルオキシ基には、置換カルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0199】
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換アルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0200】
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換アリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0201】
アミノ基には、置換アミノ基が含まれる。該置換基としてはアルキル基、アリール基または複素環基が含まれ、アルキル基、アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基には、置換アルキルアミノ基が含まれる。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。
【0202】
アリールアミノ基には、置換アリールアミノ基が含まれる。前記アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリールアミノ基の例としては、フェニルアミノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
【0203】
複素環アミノ基には、置換複素環アミノ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
【0204】
アシルアミノ基には、置換アシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0205】
ウレイド基には、置換ウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0206】
スルファモイルアミノ基には、置換スルファモイルアミノ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0207】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換アルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0208】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換アリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0209】
アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基には、置換アルキルスルホニルアミノ基及び置換アリールスルホニルアミノ基が含まれる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N−フェニル−メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、および3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
【0210】
複素環スルホニルアミノ基には、置換複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チエニルスルホニルアミノ基、3−ピリジルスルホニルアミノ基が含まれる。
【0211】
アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基には、置換アルキルチオ基、置換アリールチオ基及び置換複素環チオ基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルキルチオ基、アリールチオ基及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0212】
アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基には、置換アルキルスルホニル基および置換アリールスルホニル基が含まれる。アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基およびフェニルスルホニル基をあげる事ができる。
【0213】
複素環スルホニル基には、置換複素環スルホニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルホニル基の例には、2−チエニルスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基が含まれる。
【0214】
アルキルスルフィニル基およびアリールスルフィニル基には、置換アルキルスルフィニル基および置換アリールスルフィニル基が含まれる。アルキルスルフィニル基およびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基をあげる事ができる。
【0215】
複素環スルフィニル基には、置換複素環スルフィニル基が含まれる。複素環としては、前記複素環基で記載の複素環が挙げられる。前記複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジルスルフィニル基が含まれる。
【0216】
スルファモイル基には、置換スルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0217】
一般式(3)の中でも、特に好ましい構造は、下記一般式(3−A)で表されるものである。
一般式(3−A);
【0218】
【化42】
Figure 2004331871
【0219】
式中、R31、R32、R35およびR36は一般式(3)と同義である。
33およびR34は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
【0220】
31はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z31はσp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。
【0221】
具体的には、ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基)を例として挙げることができる。
【0222】
ハメット置換基定数σp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
【0223】
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、およびヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンゾイミダゾリル)を挙げることができる。
【0224】
ハメット置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0225】
31としては、上記のなかでも、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
【0226】
32は水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。Z32は好ましくは脂肪族基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
【0227】
Qは水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基もしくは複素環基を表す。中でもQは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環およびチアン環等が挙げられる。
【0228】
一般式(3−A)で説明した各置換基の水素原子は置換されていてもよい。該置換基としては、一般式(3)で説明した置換基、G、R31、R32で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
【0229】
前記一般式(3)で表されるアゾ染料として特に好ましい置換基の組み合わせは、R35およびR36として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R35およびR36が共に水素原子であることは無い。
【0230】
として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基であり、もっとも好ましくは水素原子、アミノ基、アシルアミノ基である。
【0231】
31のうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
【0232】
31およびB32がそれぞれ=CR31−、−CR32=であり、R31、R32は各々好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、カルボキシル基、シアノ基、カルバモイル基である。
【0233】
尚、前記一般式(3)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0234】
前記一般式(3)で表されるアゾ染料の具体例を以下に示すが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0235】
【化43】
Figure 2004331871
【0236】
【化44】
Figure 2004331871
【0237】
【化45】
Figure 2004331871
【0238】
【化46】
Figure 2004331871
【0239】
【化47】
Figure 2004331871
【0240】
【化48】
Figure 2004331871
【0241】
【化49】
Figure 2004331871
【0242】
【化50】
Figure 2004331871
【0243】
【化51】
Figure 2004331871
【0244】
【化52】
Figure 2004331871
【0245】
【化53】
Figure 2004331871
【0246】
【化54】
Figure 2004331871
【0247】
【化55】
Figure 2004331871
【0248】
一般式(3)で表されるアゾ染料のインク中での含有量は、0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。また、その20℃における水への溶解度(又は安定状態での分散度)は、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上である。
【0249】
〔ブラック染料〕
本発明で使用するブラックインクには、波長λmaxが500nmから700nmにあり、吸光度1.0に規格化した希薄溶液の吸収スペクトルにおける半値幅(Wλ,1/2)が100nm以上(好ましくは120nm以上500nm以下、さらに好ましくは120nm以上350nm以下)である染料(L)を使用する。
【0250】
この染料(L)単独で、画像品質の高い「(しまりのよい)黒」=観察光源によらず、かつB、G、Rのいずれかの色調が強調されにくい黒を実現できる場合は、この染料を単独でブラックインク用染料として使用することも可能であるが、通常はこの染料の吸収が低い領域をカバーする染料と併用するのが一般的である。通常はイエロー領域に主吸収(λmaxが350から500nm)を有する染料(S)と併用するのが好ましい。また、さらに他の染料と併用してブラックインクを作製することも可能である。
【0251】
本発明においては、該染料を単独もしくは混合して水性媒体中に溶解または分散することによりブラックインクを作製するが、インクジェット記録用ブラックインクとして好ましい性能、すなわち、1)耐候性に優れること、および/または、2)褪色後も黒のバランスが崩れないことを満足するために、下記の条件を満たすようなインクを作製するのが好ましい。
【0252】
まず、該ブラックインクを用いてJISコード2223の黒四角番号を48ポイントで印字し、これをステータスAフィルター(ビジュアルフィルター)により測定した反射濃度(Dvis)を初期濃度として規定する。ステータスAフィルターを搭載した反射濃度測定機としては、たとえばX−Rite濃度測定機などを挙げることができる。ここで「黒」を濃度測定する場合、標準的な観察反射濃度としてDvisによる測定値を使用する。この印刷物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度(Dvis)が初期反射濃度値の80%となるまでの時間(t)から強制褪色速度定数(kvis)を「0.8=exp(−kvis・t)」なる関係式から求める。
ブラックインクでは、該速度定数(kvis)が5.0×10−2[hour−1]以下が好ましく、3.0×10−2[hour−1]以下がより好ましく、1.0×10−2[hour−1]以下が特に好ましい。(条件1)
【0253】
また、該ブラックインクを用いてJISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字し、これをステータスAフィルターにより測定した濃度測定値で、DvisではないC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)3色の反射濃度(D,D,D)も初期濃度として規定する。ここで、(D,D,D)は、(レッドフィルターのよるC反射濃度、グリーンフィルターのよるM反射濃度、ブルーフィルターのよるY反射濃度)を示す。この印刷物を上記の方法に従って5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、それぞれの反射濃度(D,D,D)が初期濃度値の80%となるまでの時間からも同様に強制褪色速度定数(k,k,k)を定める。該3つの速度定数を求めて、その最大値と最小値の比(R)を求めた場合(たとえばkが最大値で、kが最小値の場合、R=k/kである)、該比(R)が1.2以下が好ましく、1.1以下がより好ましく、1.05以下が特に好ましい。(条件2)
【0254】
なお、上記で使用した「JISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字した印字物」は、濃度測定に十分な大きさを与えるため、測定機のアパーチャーを十分にカバーする大きさに画像を印字したものである。
【0255】
また、ブラックインクに使用する少なくとも1つの染料の酸化電位は、前述の通り、1.0V(vs SCE)よりも貴、好ましくは1.1V(vs SCE)よりも貴、さらに好ましくは1.2V(vs SCE)よりも貴、最も好ましくは1.25V(vs SCE)よりも貴であり、その染料の少なくとも1つはλmaxが500nm以上であることが好ましい。(条件3)
【0256】
さらに、ブラックインクとしては、前記一般式(4)に記載のアゾ染料を使用して作製する。一般式(4)に記載のアゾ染料としては、まずλmaxが500nmから700nmにあり、吸光度1.0に規格化した希薄溶液の吸収スペクトルにおける半値幅が100nm以上である染料(L)に該当するものを挙げることができる。これの他に、λmaxが350nmから500nmにある染料(S)も同様に一般式(4)の染料に該当するものとして挙げることができる。好ましくは染料(L)の少なくとも1つが一般式(4)の染料であるが、特に好ましくは染料(L)、(S)のいずれにおいても少なくとも1つが一般式(4)の染料であり、中でもインク中全染料の90質量%が一般式(4)の染料であることが好ましい。(条件4)
【0257】
本発明におけるブラックインクは、上記条件1〜4のいずれか少なくとも1つを満たすブラックインクである。
【0258】
以下に、一般式(4)で表される染料について説明する。
一般式(4)中、A41、B41およびC41は、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族基または置換されていてもよい複素環基を表す(A41およびC41は一価の基であり、B41は二価の基である)。
mは1または2であり、nは0以上の整数であり、好ましくはm=n=1である。
一般式(4)で表されるアゾ染料は、特に下記一般式(4−A)で表される染料であることが好ましい。
一般式(4−A);
【0259】
【化56】
Figure 2004331871
【0260】
上記一般式(4−A)中、A41、B41は一般式(4)におけると同義である。B42およびB43は、各々=CR41−および−CR42=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR41−もしくは−CR42=を表す。
【0261】
、R41およびR42は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
【0262】
45、R46は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。但し、R45、R46が同時に水素原子であることはない。
また、R41とR45、あるいはR45とR46が結合して5乃至6員環を形成してもよい。
【0263】
一般式(4−A)で表されるアゾ染料は、さらに下記一般式(4−B)で表される染料であることが好ましい。
一般式(4−B);
【0264】
【化57】
Figure 2004331871
【0265】
上記一般式(4−B)中、R47およびR48は、一般式(4−A)のR41と同義である。
【0266】
ここで、一般式(4)、一般式(4−A)および一般式(4−B)の説明において使用される用語(置換基)について説明する。これらの用語は後述する一般式(4−C)、一般式(4−D)の説明にも共通するものである。
【0267】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0268】
脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
【0269】
1価の芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。1価の芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。1価の芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。2価の芳香族基は、これらの1価の芳香族基を2価にしたものであり、その例にはとしてフェニレン、p−トリレン、p−メトキシフェニレン、o−クロロフェニレンおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニレン、ナフチレンなどが含まれる。
【0270】
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましく、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSをあげることができる。上記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。1価及び2価の複素環基に用いられる複素環の例には、ピリジン、チオフェン、チアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、及びフラン環が含まれる。
【0271】
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0272】
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0273】
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0274】
複素環オキシカルボニル基には、置換基を有する複素環オキシカボニル基および無置換の複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。上記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。上記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0275】
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。上記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0276】
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。上記置換基の例には、アルコキシ基およびイオン性親水性基が含まれる。上記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0277】
複素環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基および無置換の複素環オキシ基が含まれる。上記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。上記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。上記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
【0278】
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
【0279】
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0280】
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0281】
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0282】
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0283】
アミノ基には、アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基および無置換の複素環アミノ基が含まれる。複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
【0284】
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換基のアシルアミノ基が含まれる。アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0285】
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0286】
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0287】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0288】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0289】
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。これらスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N−フェニル−メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、および3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
【0290】
複素環スルホニルアミノ基には、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基および無置換の複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0291】
複素環スルホニル基には、置換基を有する複素環スルホニル基および無置換の複素環スルホニル基が含まれる。複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
【0292】
複素環スルフィニル基には、置換基を有する複素環スルフィニル基および無置換の複素環スルフィニル基が含まれる。複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
【0293】
アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0294】
アルキルおよびアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルホニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルホニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基およびフェニルスルホニル基を挙げることができる。
【0295】
アルキルおよびアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルフィニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルフィニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0296】
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0297】
次に、一般式(4)、(4−A)および(4−B)について更に説明する。
以下の説明において、基、置換基は、既に説明したことが適用される。
一般式(4)において、A41、B41、C41は、それぞれ独立して、置換されていてもよい芳香族基(A41、C41は1価の芳香族基、例えばアリール基;B41は2価の芳香族基、例えばアリーレン基)または置換されていてもよい複素環基(A41、C41は1価の複素環基;B41は2価の複素環基)を表す。芳香族環の例としてはベンゼン環やナフタレン環をあげることができ、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSをあげることができる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
置換基としてはアリールアゾ基または複素環アゾ基であってもよい。
41、B41、C41の少なくとも1つが複素環基であるのが好ましく、A41、B41、C41の少なくとも2つが複素環基であるのがより好ましい。また、A41、B41、C41の全てが複素環基であってもよい。
【0298】
41の好ましい複素環基として、下記一般式(4−C)で表される芳香族含窒素6員複素環基があげられる。C41が、下記一般式(4−C)で表される芳香族含窒素6員複素環基である場合は、一般式(4)は一般式(4−A)に相当する。
一般式(4−C);
【0299】
【化58】
Figure 2004331871
【0300】
一般式(4−C)において、B42およびB43は、各々、=CR41−および−CR42=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR41−もしくは−CR42=を表す。各々、=CR41−、−CR42=を表すものがより好ましい。
45、R46は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。R45、R46で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。但し、R45、R46が同時に水素原子であることはない。
【0301】
、R41、R42は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
【0302】
で表される置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールチオ基、または複素環チオ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)またはアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アニリノ基、アシルアミノ基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0303】
41、R42で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
41とR45、あるいはR45とR46が結合して5乃至6員環を形成してもよい。A41、R41、R42、R45、R46、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R41、R42で挙げた置換基を挙げることができる。また、A41、R41、R42、R45、R46、G上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。
【0304】
置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよい。塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が挙げられ、なかでもリチウムイオンが好ましい。
【0305】
41が環構造であるときの好ましい複素環としてはチオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。中でも下記(h)から(l)で表されるチオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環が好ましい。なお、B41が(h)で表されるチオフェン環であり、C41が前記一般式(4−C)で表される構造であるときは、一般式(4)は一般式(4−B)に相当することになる。
【0306】
【化59】
Figure 2004331871
【0307】
上記式(h)から(l)において、R409からR417は、一般式(4−A)におけるG、R41、R42と同義の置換基を表す。
【0308】
一般式(4−B)で表される染料のうち、特に好ましい構造は、下記一般式(4−D)で表されるものである。
一般式(4−D);
【0309】
【化60】
Figure 2004331871
【0310】
式中、Zはハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Zは、σp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。
【0311】
具体的には、ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
【0312】
ハメット置換基定数σp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
【0313】
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、およびヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。
【0314】
ハメット置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0315】
としては、なかでも、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
【0316】
一般式(4−D)中のR41、R42、R45、R46は、一般式(4−A)と同義である。R43、R44は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
【0317】
一般式(4−D)で説明した各基は更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(4−A)で説明した置換基、G、R41、R42で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
【0318】
前記一般式(4−B)で表されるアゾ染料として特に好ましい置換基の組み合わせは、R45およびR46として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R45およびR46が共に水素原子であることは無い。
として、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アシルアミノ基である。
41のうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
42およびB43が、それぞれ=CR41−、−CR42=であり、R41、R42は、各々好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、カルボキシル基、シアノ基、カルバモイル基である。
【0319】
尚、前記アゾ染料の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0320】
前記一般式(4)で表されるアゾ染料の具体例を以下に示すが、本発明は、下記の例に限定されるものではなく、また下記の具体例中でカルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれ、なかでもリチウムイオンが好ましい。
【0321】
【化61】
Figure 2004331871
【0322】
【化62】
Figure 2004331871
【0323】
【化63】
Figure 2004331871
【0324】
【化64】
Figure 2004331871
【0325】
【化65】
Figure 2004331871
【0326】
【化66】
Figure 2004331871
【0327】
前記一般式(4)、(4−A)、(4−B)、(4−D)で表されるアゾ染料は、ジアゾ成分とカプラーとのカップリング反応によって合成することができる。主たる合成法としては、特願2002−113460に記載の方法により合成できる。
【0328】
λmaxが350nmから500nmにある染料(S)としては、後述のイエロー染料及び黄色顔料が好ましく用いることができる。
【0329】
一般式(4)で表されるアゾ染料のインク中での含有量は、0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
【0330】
本発明のインクには、前記染料とともにフルカラーの画像を得るため、あるいは色調を整えるために、他の染料を併用してもよい。併用することができる染料の例としては以下を挙げることができる。
【0331】
イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエローを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0332】
マゼンタ染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系色素等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてマゼンタを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0333】
シアン染料としては、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料のようなアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてシアンを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。
【0334】
また、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料等の水溶性染料を併用することもできる。なかでも好ましいものとしては、
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243 、247
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291
C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112 、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326
C.I. アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I.リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I.リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38
C.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34
C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I.ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I.ベーシックブラック8、等が挙げられる。
【0335】
さらに、顔料を併用することもできる。
本発明のインクに用いることのできる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W. Herbst, K. Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments (VCH Verlagsgesellschaft、93年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性または塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC. I. Pigment Yellow 34, 37, 42, 53など、赤系顔料のC. I. Pigment Red 101, 108など、青系顔料のC.I. Pigment Blue 27, 29,17:1など、黒系顔料のC. I. Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC. I. Pigment White 4,6,18,21などを挙げることができる。
【0336】
画像形成用に好ましい色調を持つ顔料としては、青ないしシアン顔料ではフタロシアニン顔料、アントラキノン系のインダントロン顔料(たとえばC. I. Pigment Blue 60など)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料が好ましく、特にフタロシアニン顔料(好ましい例としては、C. I. Pigment Blue 15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6などの銅フタロシアニン、モノクロロないし低塩素化銅フタロシアニン、アルニウムフタロシアニンでは欧州特許860475号に記載の顔料、C. I. Pigment Blue 16である無金属フタロシアニン、中心金属がZn、Ni、Tiであるフタロシアニンなど、中でも好ましいものはC. I. Pigment Blue 15:3、同15:4、アルミニウムフタロシアニン)が最も好ましい。
【0337】
赤ないし紫色の顔料では、アゾ顔料(好ましい例としては、C. I. Pigment Red 3、同5、同11、同22、同38、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49:1、同52:1、同53:1、同57:1、同63:2、同144、同146、同184)など、中でも好ましいものはC. I. Pigment Red 57:1、同146、同184)、キナクリドン系顔料(好ましい例としてはC. I. Pigment Red 122、同192、同202、同207、同209 、C. I. Pigment Violet 19、同42、なかでも好ましいものはC. I. Pigment Red 122)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料(好ましい例としてはキサンテン系のC. I. Pigment Red 81:1、C. I. Pigment Violet 1、同2、同3、同27、同39)、ジオキサジン系顔料(例えばC. I. Pigment Violet 23、同37)、ジケトピロロピロール系顔料(例えばC. I. Pigment Red 254)、ペリレン顔料(例えばC. I. Pigment Violet 29)、アントラキノン系顔料(例えばC. I. Pigment Violet 5:1、同31、同33)、チオインジゴ系(例えばC. I. Pigment Red 38、同88)が好ましく用いられる。
【0338】
黄色顔料としては、アゾ顔料(好ましい例としてはモノアゾ顔料系のC. I. Pigment Yellow 1, 3, 74, 98、ジスアゾ顔料系のC. I. Pigment Yellow 12, 13,14, 16, 17, 83、総合アゾ系のC. I. Pigment Yellow 93, 94, 95, 128, 155、ベンズイミダゾロン系のC. I. Pigment Yellow 120, 151, 154, 156, 180など、なかでも好ましいものはベンジジン系化合物を原料に使用しなもの)、イソインドリン・イソインドリノン系顔料(好ましい例としてはC. I. Pigment Yellow 109, 110, 137, 139など)、キノフタロン顔料(好ましい例としてはC. I. Pigment Yellow 138など)、フラパントロン顔料(例えばC. I. Pigment Yellow 24など)が好ましく用いられる。
【0339】
黒顔料としては、無機顔料(好ましくは例としてはカーボンブラック、マグネタイト)やアニリンブラックを好ましいものとして挙げることができる。
この他、オレンジ顔料(C. I. Pigment Orange 13, 16など)や緑顔料(C. I. Pigment Green 7など)を使用してもよい。
【0340】
本発明のインクに使用できる顔料は、上述の裸の顔料であってもよいし、表面処理を施された顔料でもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート、ジアゾニウム塩から生じるラジカルなど)を顔料表面に結合させる方法などが考えられ、次の文献や特許に記載されている。
▲1▼ 金属石鹸の性質と応用(幸書房)
▲2▼ 印刷インキ印刷(CMC出版 1984)
▲3▼ 最新顔料応用技術(CMC出版 1986)
▲4▼ 米国特許5,554,739号、同5,571,311号
▲5▼ 特開平9−151342号、同10−140065号、同10−292143号、同11−166145号
特に、上記▲4▼の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記▲5▼の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
【0341】
本発明のインクおいては、顔料はさらに分散剤を用いて分散されていてもよい。分散剤は、用いる顔料に合わせて公知の種々のもの、例えば界面活性剤型の低分子分散剤や高分子型分散剤を用いることができる。分散剤の例としては特開平3−69949号、欧州特許549486号等に記載のものを挙げることができる。また、分散剤を使用する際に分散剤の顔料への吸着を促進するためにシナジストと呼ばれる顔料誘導体を添加してもよい。
本発明のインクに使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
【0342】
(界面活性剤)
次に、本発明のインクジェット用インクが含有する界面活性剤について説明する。本発明のインクジェット記録用インク組成物に界面活性剤を含有させ、インクの液物性を調整することで、インクの吐出安定性を向上させ、画像の耐水性の向上や印字したインクの滲みの防止などに優れた効果を持たせることができる。その例としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルオキシスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライド、トリメチルセチルアンモイニウムクロライド、テロラブチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。中でも特にノニオン系界面活性剤が好ましく使用される。
【0343】
中でも本発明では特に下記一般式(N1)、(N2)及び(N3)のものが好ましい。
一般式(N1)
【0344】
【化67】
Figure 2004331871
【0345】
一般式(N1)中、Rn21は炭素数5〜40のアルキル基を表わす。mn1はエチレンオキシドの平均付加モル数を表わし、2〜40である。
【0346】
一般式(N1)中、Rn21は炭素数5〜40、好ましくは炭素数8〜18のアルキル基を表し、直鎖であっても分岐であってもよく、また置換されていてもよい。
n21で表されるアルキル基に置換可能な基としては、アリール基(例えばフェニル、o−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。
【0347】
n21で表されるアルキル基の具体例としては、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、2−エチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−n−ブチルペンチル、1−n−ペンチルヘキシル、1−n−ヘキシルヘプチル、1−n−ヘプチルオクチル、1−n−オクチルノニル、6−メトキシヘキシル、2−フェニルエチル等を挙げることができる。
【0348】
n1はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40であり、好ましくは3〜30であり、特に好ましくは3〜20である。
【0349】
本発明における一般式(N1)で表される化合物の内、特に好ましいのは下記一般式(N1−1)で表される化合物である。
一般式(N1−1)
【0350】
【化68】
Figure 2004331871
【0351】
一般式(N1−1)中、Rn23、Rn24は各々炭素数4〜10の飽和炭化水素であり、Rn23とRn24の炭素数の合計が8〜18であり、mn11は3〜20である。Rn23、Rn24で表される炭素数4〜10の飽和炭化水素としてはn−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル等を挙げることができる。R11とR12の炭素数の合計は8〜18であり、8〜16がさらに好ましい。m11は3〜20であり、より好ましくは5〜20であり、さらに好ましくは6〜18である。
【0352】
以下に、一般式(N1)で表わされる化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0353】
【化69】
Figure 2004331871
【0354】
【表12】
Figure 2004331871
【0355】
一般式(N2)
【0356】
【化70】
Figure 2004331871
【0357】
一般式(N2)中、Rn22は炭素数5〜40のアルキル基を表し、mn2はエチレンオキシドの平均付加数を表し、2〜40である。
次に一般式(N2)で表される化合物について説明する。
一般式(N2)中、Rn22は炭素数5〜40、好ましくは炭素数5〜30のアルキル基を表し、直鎖であっても分岐であってもよく、また置換されていてもよい。
n22で表されるアルキル基に置換可能な基としては、アリール基(例えばフェニル、o−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。Rで表されるアルキル基の具体例としては、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、2−エチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−n−ブチルヘプチル、1−n−ヘキシルノニル、1−n−ヘプチルデシル、1−n−オクチルドデシル、1−n−デシルテトラデシル、6−メトキシヘキシル、2−フェニルエチル等を挙げることができる。
【0358】
n2はエチレンオキシドの平均付加数を表し、2〜40であり、好ましくは3〜30であり、特に好ましくは4〜20である。
【0359】
本発明における、一般式(N2)で表される化合物のうち、特に好ましいのは下記一般式(N2−1)で表される化合物である。
一般式(N2−1)
【0360】
【化71】
Figure 2004331871
【0361】
一般式(N2−1)中、Rn25、Rn26は各々炭素数2〜20の飽和炭化水素基であり、炭素数4〜13が好ましい。Rn25、Rn26で表される炭素数2〜20の飽和炭化水素基としてはエチル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル等を挙げることができる。m21はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40であり、3〜30が好ましい。
【0362】
以下に、一般式(N2)で表わされる化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0363】
【化72】
Figure 2004331871
【0364】
【表13】
Figure 2004331871
【0365】
本発明の一般式(N1)(N2)で表される化合物は、公知の方法を用いて合成する事が可能であり、例えば藤本武彦著 全訂版「新・界面活性剤入門」(1992年)94頁〜107頁等に記載の方法で得ることができる。また本発明において、一般式(N1)(N2)で表される化合物は1種のみを用いてもよいし、異なる化合物の2種以上を用いても構わない。
【0366】
一般式(N3)
【0367】
【化73】
Figure 2004331871
【0368】
式中Rn31 、Rn32 はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す。さらに詳しく説明すると、Rn31、Rn32はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等)を表し、置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。このうち、Rn31、Rn32としては炭素数1〜12の無置換の直鎖アルキル基もしくは無置換の分岐アルキル基が好ましく、その特に好ましい具体的としてはメチル、エチル、n−ブチル、2−メチルブチル、2,4−ジメチルペンチル等を挙げることができる。
【0369】
n32は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表し、アルキル基、フェニル基は置換されていてもよい。
n33のアルキル基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、フェニル基を挙げることができる。Rn33のフェニル基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。Rn33のうち好ましいのは、水素原子あるいは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましいのは水素原子である。
【0370】
Xは水素原子、
【0371】
【化74】
Figure 2004331871
【0372】
を表し、Rn34、Rn35はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す。Rn34、Rn35の好ましい置換基や具体例は、上記のRn31、Rn32と同じ群から選ばれる置換基や具体例である。Rn36は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表し、その好ましい具体例は上記のRと同じ群から選ばれる置換基や具体例である。
n3、mn4はそれぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、mn3+mn4は0〜100、好ましくは0〜50、特に好ましくは0〜40である。
ここで、mn3=0の時Rn33は水素原子を表し、mn4=0の時Rn36は水素原子を表す。またXが水素原子を表す時、mn3は1〜100を表し、好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜40を表す。
【0373】
以下に一般式(N3)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0374】
【化75】
Figure 2004331871
【0375】
【化76】
Figure 2004331871
【0376】
【化77】
Figure 2004331871
【0377】
本発明の一般式(N3)で表される化合物は市販品として容易に入手する事ができ、その具体的な商品名としてはサーフィノール61,82,104,420,440,465,485,504、CT−111,CT−121,CT−131,CT−136,CT−141,CT−151,CT−171,CT−324,DF−37,DF−58,DF−75,DF−110D,DF−210,GA,OP−340,PSA−204,PSA−216,PSA−336,SE,SE−F,ダイノール604(以上、日信化学(株)およびAir Products社)、オルフィンA,B,AK−02,CT−151W,E1004,E1010,P,SPC,STG,Y,32W(以上、日信化学(株))等を挙げることができる。
【0378】
本発明の一般式(N3)で表される化合物は、公知の方法を用いて合成する事が可能であり、例えば藤本武彦著 全訂版「新・界面活性剤入門」(1992年)94頁〜107頁等に記載の方法で得ることができる。また本発明において、一般式(I)で表される化合物は1種のみを用いてもよいし、異なる化合物の2種以上を用いても構わない。
【0379】
本発明の一般式(N3)で表される化合物を含め界面活性剤の含有量はインクに対して0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量である。
【0380】
(ベタイン化合物)
また、本発明のインクには、にじみ防止の観点から、ベタイン化合物(中でも特にベタイン型界面活性剤が好ましい)を使用することも可能である。
ここで言うベタイン化合物とは、分子中にカチオン性の部位とアニオン性の部位を両方とも有する化合物を表し、ベタイン系界面活性剤とは、分子中にカチオン性の部位とアニオン性の部位を両方とも有し、かつ界面活性を有する化合物を表す。カチオン性の部位としてはアミン性の窒素原子、ヘテロ芳香族環の窒素原子、炭素との結合を4つ有するホウ素原子、リン原子などを挙げることができる。この中で好ましくはアミン性の窒素原子もしくはヘテロ芳香族環の窒素原子である。中でも特に第4級の窒素原子であることが好ましい。アニオン性の部位としては、水酸基、チオ基、スルホンアミド基、スルホ基、カルボキシル基、イミド基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げることができる。この中でも特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。界面活性剤分子全体としての荷電は、カチオン、アニオン、中性のいずれでもよいが、好ましくは中性である。
中でも、本発明に使用するベタインは下記一般式(B)で表される化合物が好ましい。
一般式(B)
(R−N−[(L−(COOM
式中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Lは2価の連結基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、プロトン化された有機アミンもしくは含窒素へテロ環基、4級アンモニウムイオン基を表し、式中のN原子からなるアンモニウムイオンの対イオンとなる場合は、カチオンとして存在しない基を表す。qは1以上の整数を表し、rは1以上4以下の整数を表す。kは0以上4以下の整数を表し、mは1以上の整数を表す。pは0以上4以下の整数を表し、p+rは3または4である。p+rが4である場合はN原子はプロトン化されたアンモニウム原子となる。mが2以上の時はLは同じでも異なっていてもよい。qが2以上の時はCOOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上の時はL−(COOMは同じでも異なっていてもよい。kが2以上の時はRは同じでも異なっていてもよい。pが2以上の時はRは同じでも異なっていてもよい。
本発明に使用するベタイン化合物としては、下記一般式(B1)または(B2)で表される化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(B1)
【0381】
【化78】
Figure 2004331871
【0382】
式中、RB1〜RB3はアルキル基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数1ないし20の基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基など)、アリール基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数6ないし20の基である。例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、クミル基、ドデシルフェニル基など)、ヘテロ環基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数2ないし20の基である。例えばピリジル基、キノリル基など)。を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。この中で特に好ましくはアルキル基である。Lは2価の連結基を表す。この例としては、アルキレン基、アリーレン基を基本的な構成単位として含む2価の連結基が好ましい。連結主鎖部に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含有してもよい。RB1〜R B3もしくはLには種々の置換基が置換可能である。例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。また、RB1〜RB3もしくはLを介して、ベタイン構造が複数含まれていてもよい。
【0383】
本発明で使用するベタイン化合物においては、RB1〜RB3もしくはL中の少なくとも1つに、炭素数8以上の基を含有する。中でも特に、RB1〜RB3に長鎖アルキル基が含有されるものが好ましい。
【0384】
一般式(B2)
(R)−N−[(L−(COOM
式中、R、L、q、r、m、pは一般式(1)におけると同義ある。M はアルカリ金属イオンまたは水素原子である。但し、p+rは3である。pが2以上の時はRは同じでも異なっていてもよい。
【0385】
一般式(B)及び一般式(B2)について以下に説明する。
【0386】
式中、Rはアルキル基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数1ないし20の基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基など)、アリール基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数6ないし20の基である。例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、クミル基、ドデシルフェニル基など)、ヘテロ環基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数2ないし20の基である。例えばピリジル基、キノリル基など)を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。この中で特に好ましくはアルキル基である。
【0387】
は2価以上の連結基を表す。この例としては、アルキレン基、アリーレン基等を基本的な構成単位として含む2価以上の連結基が好ましい。連結主鎖部に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含有してもよい。
【0388】
RもしくはLには種々の置換基が置換可能である。例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。また、RもしくはLを介して、ベタイン構造が複数含まれていてもよい。
【0389】
は水素原子、アルカリ金属カチオン(たとえばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン)、アンモニウムイオン、アミン性の有機カチオン(1ないし3級アミンの場合、プロトン化されたものを表す。たとえばプロトン化されたメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピラジン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン等。4級アンモニウム塩の場合、たとえばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオン、メチルピリジニウムイオン、ベンジルピリジニウムイオン等。)を表す。中でも特にある仮金属イオンもしくは水素原子が好ましい。
【0390】
q、rは1以上の整数を表す。k、mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表す。pは0以上の整数を表し、p+rは3もしくは4である。p+rが4の場合、N原子は4級アンモニウムカチオンとなり、Mのうちの1つが解離状態のアニオンとなる。
【0391】
さらに、RまたはLに炭素数8以上の炭化水素基が含まれていることが好ましく、下記一般式(B3)で表される化合物が最も好ましく使用される。
【0392】
一般式(B3)
R−N−(L−COOM
【0393】
R,Lは先述と同様である。Rは特にアルキル基が好ましく、Lはアルキレン基であることが好ましい。
【0394】
以下に本発明の化合物として好ましい例を列挙するが、本発明はもちろんこれによって限定されるものではない。
【0395】
【化79】
Figure 2004331871
【0396】
【化80】
Figure 2004331871
【0397】
【化81】
Figure 2004331871
【0398】
【化82】
Figure 2004331871
【0399】
【化83】
Figure 2004331871
【0400】
【化84】
Figure 2004331871
【0401】
【化85】
Figure 2004331871
【0402】
【化86】
Figure 2004331871
【0403】
【化87】
Figure 2004331871
【0404】
【化88】
Figure 2004331871
【0405】
ベタイン系界面活性剤の好ましい添加量は広い範囲を持つが、好ましくはインク組成物中の0.001〜50質量%、さらに好ましくは0.01〜20質量%である。2種以上を併用する場合、最大使用量の化合物は最小使用量の化合物に対して、質量比で1〜10000倍で使用される。
【0406】
本発明のインクジェット用インクは、水性媒体中に前記染料と、好ましくは界面活性剤とを溶解または分散させることによって作製することができる。本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
【0407】
本発明のインクセットに使用するインクは、染料を水ならびに水溶性有機溶媒に溶解及び/又は分散してなるインクである。中でも水溶性染料による水溶液タイプのインクであることが好ましい。またインクセット中、ベタイン化合物を有するインクは何色のものであってもよく、特に色を有さないインクをベタイン化合物のために用意してもよい。
【0408】
本発明のベタイン化合物を使用した場合、インクにおいて気泡が発生する場合がある。この気泡は、インクジェット記録において印字欠陥を生じさせることがあるため、インクに泡を消す作用を有する化合物(=消泡剤)を添加することにより、この問題を解決することができる。
消泡剤としては、プルロニック系消泡剤(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン型消泡剤)、やシリコーン型消泡剤など、種々のものを使用することができる。
【0409】
(溶媒一般記載)
本発明のインクジェット記録用インクは、水性媒体中に前記のアゾ染料と界面活性剤を溶解および/または分散させることによって作製することができる。本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
【0410】
本発明において用いることができる水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミンン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)およびその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。尚、前記水混和性有機溶剤は、2種類以上を併用してもよい。
【0411】
また、別の用途の溶剤化合物として、グリセリンの水酸基が化学修飾された化合物を別途使用することも可能である。
グリセリンの水酸基は3つ存在するが、本発明に使用する化合物では、1つが修飾されたもの、2つ修飾されたもの、3つすべてが修飾されたもののいずれも使用することができる。
水酸基の修飾は酸素原子に修飾基を置換することによって行うことができる。用いることができる修飾基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)を挙げることができる。
【0412】
これらの修飾基はさらに置換基を有することができる。その例としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。
【0413】
これらの修飾基が結合したグリセリン化合物は、水混和性であることが好ましい。そのために置換基としては水溶性を付与するタイプのものが好ましい。このような基としてはたとえば、ポリオキシエチレン基、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、アミノ基、スルファモイル基、ヘテロ環基、カルバモイル基など、ヘテロ原子を多数有し、解離性の基を持った原子団である。
【0414】
以下に水酸基が化学修飾されたグリセリンの好ましい例を示すが、本発明はもちろんこれによって限定されるものではない。
【0415】
【化89】
Figure 2004331871
【0416】
【化90】
Figure 2004331871
【0417】
【化91】
Figure 2004331871
【0418】
インクにおける、水酸基が化学修飾されたグリセリンの添加量は、広い範囲で使用可能であるが、好ましくは0.001〜80質量%、より好ましくは0.01〜50質量%である。
【0419】
さらには、別の溶剤として、炭素数3以上のアルキレンジオールもしくはその同族体溶媒を別途使用することも可能である。
アルキレンジオールはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど種々の溶媒が知られているが、本発明では炭素数3以上のアルキレンジオールもしくはその同族体溶媒を使用する。同族体とはここで、アルキレンジオールの一部が修飾された化合物を表す。
【0420】
修飾基の例としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。
【0421】
これらの修飾基が結合したアルキレンジオール同族体化合物は、水混和性であることが好ましい。そのために置換基としては水溶性を付与するタイプのものが好ましい。このような基としてはたとえば、ポリオキシエチレン基、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、アミノ基、スルファモイル基、ヘテロ環基、カルバモイル基など、ヘテロ原子を多数有し、解離性の基を持った原子団である。
【0422】
以下に前記化合物として好ましい例を示すが、本発明はもちろんこれによって限定されるものではない。
【0423】
【化92】
Figure 2004331871
【0424】
【化93】
Figure 2004331871
【0425】
(環状溶剤一般記載)
さらに、インクの性能を向上可能な添加剤として下記一般式(A)で表される化合物を添加することも可能である。
一般式(A)
【0426】
【化94】
Figure 2004331871
【0427】
式中、Xaはカルボニルもしくはヘテロ原子を含有する基を表す。Zaは環状有機物を構成可能な原子群を表す。
一般式(A)中、Xaはカルボニルもしくはヘテロ原子を含有する基を表す。Xaの例としては、カルボニル基、オキシカルボニル基、炭酸エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、アミノ基、イミノ基、エーテル基、チオエーテル基、リン酸誘導体基、ホスホン酸誘導体基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルホニルウレア基などを挙げることができる。
Zaは環状有機物を構成可能な原子群を表す。Zは炭素原子のみで構成された環でもよいが、炭素原子の鎖の中にさらにヘテロ原子を含んでもよい。また、環が芳香族性を有してもよいし、有さないものでもよい。さらに環が2つ縮合したタイプの化合物を形成してもよい。
一般式(A)で表される化合物は、その構造中に様々な置換基を有することができる。例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。
一般式(A)で表される化合物は、好ましくは単環で、常温常圧条件下で液体のものが好ましい。さらに、油溶性の構造、水溶性の構造のものなど種々のものが使用可能であるが、好ましくは水溶性の化合物である。
以下に、一般式(A)で表される化合物として好ましく使用されるものの例を列挙するが、本発明はもちろんこれによって限定されるものではない。
(好ましく使用される化合物の例)
シクロヘキサノン、シクロペンタノン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン、2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、エチレン尿素、スルホラン等である。
一般式(A)で表される化合物の添加量は広い範囲で使用可能であるが、好ましくは、インク組成物に対して0.001〜50質量%、特に好ましくは、0.1〜10質量%である。
(尿素系化合物一般記載)
さらに下記の化合物を好ましく使用することができる。
一般式(Y)
Xy−Yy−Zy
式中、Xyは−N(Qy)−Qyで表される基を表す。Zyは−N(Qy)−Qy で表される基もしくは−O−Qyで表される基を表す。Yyは、−W−(Gy) −(Hy)−で表される基を表す。ここでWおよび/またはHyは、−CO−,−SO−, −PO(Qy)−で表される基を表す。Gyは2価の連結基を表す。Qy〜Qyは、水素原子、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ヘテロアリールアミノ基のいずれかを表す。XyとZyは互いに結合して環を形成しても良い。k、nはそれぞれ0または1を表す。
Xyは−N(Qy)−Qyで表される基を表す。Zyは−N(Qy)−Qyで表される基もしくは−O−Qyで表される基を表す。Yyは、−W−(Gy)−(Hy)−で表される基を表す。ここでWおよび/またはHyは、−CO−,−SO−,−PO(Qy)−で表される基を表す。ここで好ましくはカルボニル基、スルホニル基である。Gyは2価の連結基を表す。例えばアルキレン基(好ましくは炭素数1ないし20である。例えばメチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,8−オクチレン基等)、アルケニレン基(好ましくは炭素数1ないし20である。例えばビニレン基等)、アルキニレン基、アリーレン基(好ましくは炭素数1ないし20である。例えば1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,8−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等)、エーテル基、イミノ基、アルキルイミノ基、チオエーテル基、−V−で表される基(Vはヘテロ環を表す)などを挙げることができる。Q〜Qは、水素原子、アミノ基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えば、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテン−2−イル基、シクロヘキセン−1−イル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えばエチニル基、1−プロピニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ピレニル基などが挙げられる。)、ヘテロ環基、ヘテロアリール基(好ましくは5または6員環であり、他の環と縮合しても良い。ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えば、ピリジル基、ピペリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラヒドロフリル基、チエニル基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、4−フェニルフェノキシ基シなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基、ヘテロアリールオキシ基(ヘテロ環の例は先述したものと同様である。)、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ヘテロアリールアミノ基(アミノ基は1ないし2級のいずれでもよい。置換している基の例は先述したものと同様である。)のいずれかを表す。これらの基は置換基を有してもよい。その置換基の例としては例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ホルミル基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えば、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテン−2−イル基、シクロヘキセン−1−イル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えばエチニル基、1−プロピニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ピレニル基などが挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員環であり、他の環と縮合しても良い。ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えば、ピリジル基、ピペリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラヒドロフリル基、チエニル基などが挙げられる。)、1〜3級アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ビスヘテロ環アミノ基など。好ましくは3級アミノ基であり、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16である。例えばジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基などが挙げられる。)、イミノ基(−CRy11=NRy12または−N=CRy13Ry14で表される基。ここでRy11〜Ry14は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、1〜3級アミノ基から選ばれる基である。好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、4−フェニルフェノキシ基シなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、シクロヘキシルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基などが挙げられる。)カルボンアミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基、N−メチルベンゾイルアミド基などが挙げられる。)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、p−トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ジフェニルカルバモイル基、ジオクチルカルバモイル基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、無置換のスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、ジフェニルスルファモイル基、ジオクチルスルファモイル基などが挙げられる。)、アルキルカルボニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、ラウロイル基などが挙げられる。)、アリールカルボニル基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基などが挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基などが挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、1−ナフタレンスルホニル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えばフェノキシカルボニル基、1−ナフトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基などが挙げられる。)、アリールカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えばベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基などが挙げられる。)、ウレタン基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシカルボンアミド基、フェノキシカルボンアミド基、メチルアミノカルボンアミド基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メチルアミノカルボンアミド基、ジメチルアミノカルボンアミド基、ジフェニルアミノカルボンアミド基などが挙げられる。)、炭酸エステル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシカルボニルオキシ基、フェノキシカルボニルオキシ基などが挙げられる。)などを挙げることができる。中でも、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましく、特に好ましくはアルキル基、アリール基である。
XyとZyは、好ましくは水素原子もしくはアルキル基が置換したアミノ基である。XyとZyは、互いに結合して環を形成しても良い。k、nはそれぞれ0または1を表し、好ましくは0である。
一般式(N)で表される化合物の好ましい添加量は広い範囲を持つが、好ましくはインク組成物中の0.1 〜80質量%、さらに好ましくは1 〜50質量%である。以下に一般式(N」)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はもちろんこれによって限定されるものではない。
(具体例)
尿素
メチル尿素
N,N’ジメチル尿素
テトラメチル尿素
エチル尿素
テトラエチル尿素
エチレン尿素
イミダゾリジノン
スルホニル尿素
オキサミド
ヘキサメチルホスホトリアミド(HMPA)
オキサゾリジノン
4−イソプロピルオキサゾリジノン
2−メチル−2−オキサゾリン
2−エチル−2−オキサゾリン
ヒドロキシ尿素
テトラヒドロ−2−ピリミドン
セミカルバジド
ビューレット
グリコールウリル
ヒダントイン
1−メチルヒダントイン
5,5−ジメチルヒダントイン
5−ヒダントイン酢酸
アラントイン
パラバン酸
ウラゾール
4−メチルウラゾール
5,6−ジヒドロウラシル
バルビツール酸
1,3−ジメチルバルビツール酸
ジメチルオキサミド
マロンジアミド
コハクアミド
アジパミド
セバシンアミド
フマルアミド
2−オキサゾリドン
3−メチルー2−オキサゾリジノン
2,5−オキサゾリジンジオン
(キレート剤一般記載)
本発明のインク組成物は、さらにインク組成物中に金属キレート剤を含有することもできる。金属キレート剤とは金属イオンと結合した分子の中に2個以上のドナー原子を持つ金属イオン錯体を形成可能な化合物を指す。
このような化合物としては種々の化合物が知られている。
たとえば脂肪族もしくは芳香族のカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸以上のポリカルボン酸、オキシカルボン酸、ケトカルボン酸、チオカルボン酸、芳香族アルデヒド、アミン系化合物、ジアミン化合物、ポリアミン化合物、アミノポリカルボン酸、ニトリロトリ酢酸誘導体、エチレンジアミンポリカルボン酸、アミノ酸、ヘテロ環カルボン酸、ヘテロ環類、ピリミジン類、ヌクレオシド類、プリン塩基類、β−ジケトン類、オキシン類等を挙げることができる。この中でも特にエチレンジアミンポリカルボン酸類または窒素原子のローンペアがドナーとして作用可能なキレート剤が好ましい。
このような例としては、前記ベタイン化合物で例示のX2−20〜X2−27の化合物及び下記の例のものが挙げられる。
【0428】
このような例としては、特に限定されないが、ピリジン−2−カルポン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、イミノジ酢酸〈IDA)、イミノジプロピオン酸、N−メチルイミノジ酢酸、N,N′−エチレンジアミンジ酢酸〈EDDA)、エチレンジアミンテトラ酢酸〈EDTA〉、エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸−N,N′−ジプロピオン酸〈EDPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸〈EDTP)、1,2−プロピレンジアミンテトラ酢酸〈PDTA)、トリメチレンジアミンテトラ酢酸〈THTA)、テトラメチレンジアミンテトラ酢酸、ペンタメチレンジアミンテトラ酢酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ酢酸、オクタメチレンジアミンテトラ酢酸、1,2−シクロペンタンジアミンテトラ酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸〈CDTA〉、1,3,5−トリアミノシクロヘキサンヘキサ酢酸(CTHA〉、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸〔2,2−オキシビス(エチルイミノジ酢酸)〕〈E−EDTA〉、ジエチレントリアミンペンタ酢酸〈DTPA〉、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸〈GEDTA〉、トリメチレンテトラアミンヘキサ酢酸〈TTHA〉、キノリン−2−カルボン酸、キノリン−8−カルボン酸、8−ヒドロキシシノリン、1,10−フェナントロリン、2−メチル−1,10−フェナントロリン〈70〉、5−メチル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン等が挙げられる。
【0429】
本発明におけるインク組成物へのキレート剤添加量は、アゾ染料に対して、0.01〜100mol倍、好ましくは0.05〜50mol倍、特に好ましくは、0.1〜10mol倍である。
【0430】
(防腐剤一般記載)
本発明のインク組成物は、さらにインク組成物中に防腐剤を含有することもできる。
本発明に使用可能な防腐剤としては、種々のものが使用可能である。
重金属イオンを含有する無機物系の防腐剤(銀イオン含有物など)や塩類をまず挙げることができる。有機系の防腐剤としては、第4級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等)、フェノール誘導体(フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、キシレノール、ビスフェノール等)、フェノキシエーテル誘導体(フェノキシエタノール等)、ヘテロ環化合物(ベンゾトリアゾール、プロキセル等)など種々のものが使用可能である。
これらの化合物は油溶性の構造、水溶性の構造のものなど種々のものが使用可能であるが、好ましくは水溶性の化合物である。
中でも、これらの防腐剤を2種以上併用して使用するとさらに効果が認められる。2種以上組み合わせる場合、その防腐剤種は異なった構造のものであることが好ましい。
防腐剤の添加量は広い範囲で使用可能であるが、好ましくは、0.001〜10質量%、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0431】
前記アゾ染料が油溶性染料の場合は、該油溶性染料を高沸点有機溶媒中に溶解させ、水性媒体中に乳化分散させることによって調製することができる。
本発明に用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
例えば、フタール酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロへキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド)、アルコール類またはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)などが挙げられる。高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕で使用してもよい。
【0432】
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例及び/またはこれら高沸点有機溶媒の合成方法は例えば米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521 号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165 号、同4−232946号、同4−346338号等に記載されている。
上記高沸点有機溶媒は、油溶性染料に対し、質量比で0.01〜3.0倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用する。
【0433】
本発明では油溶性性染料や高沸点有機溶媒は、水性媒体中に乳化分散して用いられる。乳化分散の際、乳化性の観点から場合によっては低沸点有機溶媒を用いることができる。低沸点有機溶媒としては、常圧で沸点約30℃以上150℃以下の有機溶媒である。例えばエステル類(例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、エチルプロピオネート、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート)、アルコール類(例えばイソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、セカンダリーブチルアルコール)、ケトン類(例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)等が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
【0434】
乳化分散は、高沸点有機溶媒と場合によっては低沸点有機溶媒の混合溶媒に染料を溶かした油相を、水を主体とした水相中に分散し、油相の微小油滴を作るために行われる。この際、水相、油相のいずれか又は両方に、後述する界面活性剤、湿潤剤、染料安定化剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。
【0435】
本発明の乳化分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0436】
また、乳化直後の安定化を図る目的で、上記界面活性剤と併用して水溶性ポリマーを添加することもできる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共重合体が好ましく用いられる。また多糖類、カゼイン、ゼラチン等の天然水溶性ポリマーを用いるのも好ましい。さらに染料分散物の安定化のためには実質的に水性媒体中に溶解しないアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、ビニルエーテル類、アクリロニトリル類の重合により得られるポリビニルやポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート等も併用することができる。これらのポリマーは−SO 、−COOを含有していること好ましい。これらの実質的に水性媒体中に溶解しないポリマーを併用する場合、高沸点有機溶媒の20質量%以下用いられることが好ましく、10質量%以下で用いられることがより好ましい。
【0437】
乳化分散により油溶性性染料や高沸点有機溶媒を分散させて水性インクとする場合、特に重要なのはその粒子サイズのコントーロールである。インクジェットにより画像を形成した際の、色純度や濃度を高めるには平均粒子サイズを小さくすることが必須である。体積平均粒子サイズで好ましくは1μm以下、より好ましくは5〜100nmである。
前記分散粒子の体積平均粒径および粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の417〜418ページに記載されている方法を用いるなど、公知の方法で容易に測定することができる。例えば、インク中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均粒子サイズ測定機(例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり特に好ましい。
体積平均粒径とは粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の総体積で割ったものである。体積平均粒径については「高分子ラテックスの化学」(室井宗一著 高分子刊行会)」119ページに記載がある。
【0438】
また、粗大粒子の存在も印刷性能に非常に大きな役割を示すことが明らかになった。即ち、粗大粒子がヘッドのノズルを詰まらせる、あるいは詰まらないまでも汚れを形成することによってインクの不吐出や吐出のヨレを生じ、印刷性能に重大な影響を与えることが分かった。これを防止するためには、インクにした時にインク1μl中で5μm以上の粒子を10個以下、1μm以上の粒子を1000個以下に抑えることが重要である。
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。これらの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種添加剤を加えた後、インクカートリッジに充填する直前でもよい。
平均粒子サイズを小さくし、且つ粗大粒子を無くす有効な手段として、機械的な乳化装置を用いることができる。
【0439】
乳化装置としては、簡単なスターラーやインペラー撹拌方式、インライン撹拌方式、コロイドミル等のミル方式、超音波方式など公知の装置を用いることができるが、高圧ホモジナイザーの使用は特に好ましいものである。
高圧ホモジナイザーは、US−4533254号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等がある。
また、近年になってUS−5720551号に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEE INTERNATIONAL LTD.)があげられる。
【0440】
高圧乳化分散装置で乳化する際の圧力は50MPa以上であり、好ましくは60MPa以上、更に好ましくは180MPa以上である。
例えば、撹拌乳化機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのは特に好ましい方法である。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、湿潤剤や界面活性剤等の添加剤を添加した後、カートリッジにインクを充填する間に再度高圧ホモジナイザーを通過させる方法も好ましい方法である。
高沸点有機溶媒に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化物の安定性及び安全衛生上の観点から低沸点溶媒を除去するのが好ましい。低沸点溶媒を除去する方法は溶媒の種類に応じて各種の公知の方法を用いることができる。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この低沸点有機溶剤の除去工程は乳化直後、できるだけ速やかに行うのが好ましい。
【0441】
本発明で得られたインクジェット記録用インク組成物には、インクの噴射口での乾操による目詰まりを防止するための乾燥防止剤、インクを紙によりよく浸透させるための浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤等の添加剤を適宜選択して適量使用することができる。
【0442】
本発明に使用される乾燥防止剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0443】
本発明に使用される浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に10〜30質量%含有すれば充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0444】
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0445】
本発明では、画像の保存性を向上させるために使用される酸化防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0446】
本発明に使用される防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
尚、これらの詳細については「防菌防黴剤事典」(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載されている。
また、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは、インク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
【0447】
本発明では前記した界面活性剤とは別に表面張力調整剤として、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
本発明のインクの表面張力は、これらを使用してあるいは使用しないで20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。
【0448】
(染料安全性)
本発明においては、これらの染料について、下記安全性試験の項目を満足するものを使用する。
すなわち、Amesテスト陰性、変異原性試験が陰性、皮膚刺激性試験が重度でないこと、皮膚感作性試験が重度でないこと、落下墜落試験におけるTNT比活性が0.1以下であることをなどである。
【0449】
(インク製造方法)
本発明のインクを製造する際には、染料の最も良溶媒である水にまず高濃度で溶解し、不溶解物が存在しないようなインク原液を作製することが好ましい。しかる後に、必要な添加物、溶媒を加え、最終的に水で濃度調節を行い、所望の濃度のインクを製造する。
溶解操作には、超音波照射による溶解、反転アジターやディゾルバ、アンカー撹拌等種々の撹拌による撹拌での溶解を行うことができる。ここで、使用する水としては、抵抗値18Mオーム以上の超純水を使用することが好ましい。
インク原液を作製する際には、濾過により固形分であるゴミを除く工程を加えることが好ましい。また、製造にはクリーンな環境が好ましく、最終インクの製造現場は最低でもクラス10000、好ましくはクラス1000以下の工程である必要がある。
濾過作業には濾過フィルターを使用するが、このときの濾過フィルターとは、有効径が1μm以下、好ましくは0.3μm以下のフィルターを用いる。フィルターの材質としては種々のものが使用できるが、特に水溶性染料のインクの場合には、水系の溶媒用に作製されたフィルターを用いるのが好ましい。中でも特にゴミの出にくい、ポリマー材料で作製されたジャケット型のフィルターを用いるのが好ましい。濾過法としては送液によりジャケットを通過させてもよいし、加圧濾過、減圧濾過のいずれの方法も利用可能である。インク原液の染料濃度として好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは5〜25質量%である。
【0450】
インク原液は水系の溶液であるため、腐敗による不溶解物の生成が問題となることがある。これを防止するために、インク原液には防腐剤を添加することが好ましい。
本発明に使用可能な防腐剤としては、種々のものが使用可能である。
重金属イオンを含有する無機物系の防腐剤(銀イオン含有物など)や塩類をまず挙げることができる。有機系の防腐剤としては、第4級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等)、フェノール誘導体(フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、キシレノール、ビスフェノール等)、フェノキシエーテル誘導体(フェノキシエタノール等)、ヘテロ環化合物(ベンゾトリアゾール、プロキセル等)など種々のものが使用可能である。
これらの化合物は油溶性の構造、水溶性の構造のものなど種々のものが使用可能であるが、好ましくは水溶性の化合物である。
防腐剤の添加量は広い範囲で使用可能であるが、好ましくは、0.001〜10質量%、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0451】
水溶性インクに使用する染料を合成する場合には、染料自体が水溶性であるため、染料本体を化合物として取り出す場合に、水以外の溶媒を使用しなければならない。ここで主に使用されるのが、高い塩濃度の塩水溶液や、低沸点有機溶媒である。
インクジェット用インクは塩の含有を嫌うため、染料の取り出しには有機溶媒を使用することが好ましい。
【0452】
ここでいう有機溶媒とは、有機合成化学において使用される汎用溶媒であればいずれのものも使用可能である。中でも低沸点有機溶媒が特に好ましい。
例えば、アルコール類(炭素数8以下が好ましく、特に好ましくは炭素数4以下である。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等)、多価アルコール類(炭素数8以下が好ましく、特に好ましくは炭素数4以下である。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等)、エステル類(炭素数10以下が好ましく、特に好ましくは炭素数6以下である。例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、安息香酸メチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等)、エーテル類(炭素数10以下が好ましく、特に好ましくは炭素数6以下である。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、2−メトキシー1−プロパノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン等)、アミド類(炭素数10以下が好ましく、特に好ましくは炭素数6以下である。例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等)、炭化水素類(炭素数10以下が好ましく、特に好ましくは炭素数6以下である。例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン等)、ケトン類(炭素数10以下が好ましく、特に好ましくは炭素数6以下である。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、ニトリル類(炭素数10以下が好ましく、特に好ましくは炭素数6以下である。例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル等)、その他、スルホランや酢酸なども使用することが可能である。
【0453】
本発明では、インクジェット用インクに使用する染料を合成するためにこれらの溶媒を使用するが、その溶媒の染料中における残存濃度を極力低下させるために、脱溶媒操作を行う。
脱溶媒操作はインク原液もしくはインクのいずれでも行うことができるが、好ましくはインク原液で行い、最終インクで所望の溶媒を含む染料水溶液にすることが好ましい。
【0454】
脱溶媒の方法としては種々の方法を挙げることができるが、溶媒が低沸点の場合、インク原液温度を上昇させて除去する工程や、減圧状態にして溶媒を除去する工程等を使用することができる、この場合、その気圧レベルにおいて、溶媒の沸点まで溶液温度を上昇させる必要はないが、蒸気圧を好ましいレベルに上げること、さらには蒸発潜熱による溶液の温度上昇を防ぐための加温は必要である。また、上記の上流に近い方法以外に、インク原液を限外濾過膜による処理を行うことにより溶媒を除去する工程も使用することができる。限外濾過膜としては、分画分子量で100〜100000、好ましくは1000〜10000のレベルのものを使用することが好ましい。例えば、旭化成限外濾過モジュールACV−3050等を使用することが可能である。
【0455】
脱溶媒により、インク原液中の溶媒濃度を下げる場合、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。
(脱塩精製)
無機イオンのインク中の含有量を極力低減させるためには、種々の手法を用いることができる。
第一に、インクに使用する素材に含有される無機イオンを素材合成時に除去する方法を挙げることができる。水溶性インク素材の場合、特に水溶性を向上させる目的でイオン解離性基を数多く導入する場合が多い。このとき、素材合成時に多量の無機物を含んだり、カウンターイオンとして必然的に無機イオンが含まれてきたりする。前者のイオンを除くためには、イオン選択性透過膜を用いた電気分解透析法による脱塩精製法や、イオン交換樹脂による方法、ゲル濾過法による脱塩精製などを行うことができる。
また、合成時に積極的にイオン交換する方法も使用することができる。たとえば、過剰のアンモニアや有機アミン類を添加して金属イオンと交換する方法や、アニオンの場合ならば有機カルボン酸と交換する方法を挙げることができる。
【0456】
第二に、この脱塩精製を、インク原材料の状態、すなわち各種素材を水などの溶媒に溶解した濃厚な水溶液(プレインク)で行ってもよい。場合によっては、完成インクでの脱塩精製も可能である。
本発明のインクセットに使用するインクは、染料を水ならびに水溶性有機溶媒に溶解もしくは分散してなるインクである。中でも水溶性染料による水溶液タイプのインクであることが好ましい。
【0457】
本発明において、特に問題となるイオンは、強酸のカウンターアニオンである。その例としては、硫酸イオン、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、有機スルホン酸イオンなどであり、この含有量は特に低く抑える必要がある。
好ましくは500ppm以下、特に好ましくは300ppm以下、最も好ましくは、100ppm以下である。
【0458】
(インク保管方法)
インクもしくはインク原液は液体であり、保管する場合にその物性や化学的な性質が変化しないように保管することが必要となる。
たとえば、pHが強酸性領域や強塩基性領域にあると、インクもしくはインク原液中で染料の加水分解が進行したり、容器を腐食したり、pH変動により物性が大きく変動したりすることがある。
また、インクもしくはインク原液は液体であるため、接液する容器が問題となる場合がある。本発明では、インクもしくはインク原液に含まれる素材と反応して、不溶解物を形成しないような素材でできた容器を使用する。
また、インクもしくはインク原液に含まれる染料の構造によっては、金属との反応を起こしやすいものも存在する。その場合、かかる金属を含む容器は使用しないことが好ましい。
また、インクもしくはインク原液の保存温度も重要である。水系のインクの場合、水の沸点近くまでの高温で保存した際に、染料の構造の一部が加水分解されることも考え得る。また逆に凍結してしまう温度レベルまで低温に下げると、析出による不溶解物が発生するおそれがある。
さらには、輸送や保管の際にインクもしくはインク原液が空気中の微量ガス(二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物等)と反応して、変質してしまう恐れもあるので、インクもしくはインク原液は密閉された状態で保管される必要がある。
【0459】
本発明に用いられるインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましいので、粘度を調製する目的で、粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げられる。更に詳しくは、「粘度調製技術」(技術情報協会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されている。
【0460】
(ポリマー材料)
本発明のインクにはポリマー材料を使用することもできる。そのポリマー化合物としては、ビニル重合型ポリマー、縮重合型ポリマー、開環重合型ポリマー等種々のものが利用できる。
本発明のインクは水系のインクであるため、水溶性のポリマー化合物はそのまま使用することができる。また、油溶性のポリマー化合物であっても、乳化重合により得られるラテックス分散物を使用することができるし、油溶性ポリマーを溶媒に溶解した後に乳化分散させ、その分散物を使用することも可能である。
【0461】
本発明に使用できるポリマーのモノマー単位を以下に列挙してみる。
【0462】
まず、ビニル重合モノマーとしては下記のもの等を挙げることができる。
アクリル酸
アクリル酸メチル
アクリル酸エチル
アクリル酸プロピル
アクリル酸ブチル
アクリル酸t−ブチル
アクリル酸ヒドロキシエチル
アクリル酸ヒドロキシエトキシエチル
アクリル酸オクチル
アクリル酸ドデシル
アクリルアミド
N−メチルアクリルアミド
N,N−ジメチルアクリルアミド
N,N−ジエチルアクリルアミド
N,N−ジブチルアクリルアミド
N−t−ブチルアクリルアミド
N,N−ジオクチルアクリルアミド
N−t−オクチルアクリルアミド
メタクリル酸
メタクリル酸メチル
メタクリル酸エチル
メタクリル酸プロピル
メタクリル酸ブチル
メタクリル酸t−ブチル
メタクリル酸ヒドロキシエチル
メタクリル酸ヒドロキシエトキシエチル
メタクリル酸オクチル
メタクリル酸ドデシル
メタクリルアミド
N−メチルメタクリルアミド
N,N−ジメチルメタクリルアミド
N,N−ジエチルメタクリルアミド
N,N−ジブチルメタクリルアミド
N−t−ブチルメタクリルアミド
N,N−ジオクチルメタクリルアミド
N−t−オクチルメタクリルアミド
2−ビニルピリジン
3−ビニルピリジン
4−ビニルピリジン
N−ビニルピラゾール
N−ビニルイミダゾール
スチレン
4−メチルスチレン
スチレン−4−スルホン酸ナトリウム
スチレン4−スルフィン酸ナトリウム
4−ビニル安息香酸
4−ビニル安息香酸エチル
N−ビニルピロリドン
1−ビニルナフタレン
N−ビニルカルバゾール
クロロメチルスチレン
エチルビニルエーテル
安息香酸アリル
酢酸ビニル
安息香酸ビニル
酢酸アリル
次に縮重合系モノマーとしては、下記のものを挙げることができる。
アジピン酸など多価カルボン酸もしくはそのエステル、酸ハロゲン化物
フェノールもしくはアルコール性水酸基を複数持つ化合物
求核置換可能なハロゲン原子の置換したアリール基を複数持つ化合物
アミノ基を複数持つ化合物
さらには、カプロラクタムやラクトンのような開環により、多数分子が縮合するタイプのモノマーを挙げることができる。
また、エポキシ基やオキセタン基などを有するモノマーも好ましく使用できる。
下記に本発明に好ましく使用できるポリマーの具体例を示すが、本発明はもちろんこれによって限定されない。
(PPOP型固定)
本発明では、上記染料を安定に固定するために、染料インクを印字後に、染料と相互作用可能な化合物を含むインクを印字する。このような技術については、特開平9−234943号、同9−286940号、同11−10856号、同11−105415号、特開2000−263921号、同2000−281947号、同2000−281948号、同2001−48934号などにも記載がある。
本発明では、上記染料と特に相互作用が強い素材を選択して使用する。
その例としては例えば2価以上の多価金属塩の塩や、アミノ基やグアニジン、アミジン、ピリジン系ヘテロ環といったカチオン基を多数含むポリカチオン化合物、アミノ基やグアニジン、アミジンといったカチオン基を主鎖または側鎖に含むポリマーなどである。
下記にその例を挙げるが、本発明はもちろんこれらによって限定されるものではない。
【0463】
【化95】
Figure 2004331871
【0464】
【化96】
Figure 2004331871
【0465】
【化97】
Figure 2004331871
【0466】
【化98】
Figure 2004331871
【0467】
本発明において、上記化合物は、別の印字ノズルから印字され、画像固定をより堅固にするものである。
この場合の印字ノズルは、染料インクと同じ場所にあっても異なる場所にあってもよいが、染料インクとの相互作用が強いため、別系統のノズルとして存在させる方が好ましい。
また、印字前後にこれらの化合物を噴射して画像固定を行うことができるが、染料インクの吸収阻害を防止するために、これらの化合物はインクの印字後に画像上に付与されることが好ましい。この場合、画像に対してイメージワイズに付与することもできるし、画像全体をカバーするように付与することも可能である。
【0468】
本発明の化合物を付与する場合、その添加量としてはインク全体に含まれる染料の質量比で0.0001〜1000倍、好ましくは0.001〜100倍、特に好ましくは0.01〜10倍である。
【0469】
さらに、高画質の画像形成を行う場合、受像材料に、さらに本発明の化合物の作用をより高める化合物を、あらかじめ添加しておくことも可能である。
(酸プレカーサー)
本発明のインクジェット用インクには、酸プレカーサーを含有させることもできる。
酸プレカーサーとは、インク調液時もしくはインク保存時には酸性を示さないが、経時もしくは印字後の反応で、酸を放出するもしくは反応の結果として系を酸性にしうる化合物のことを表す。このような化合物を機能別に一般式とともに以下に記載する。
一般式群
【0470】
【化99】
Figure 2004331871
【0471】
酸プレカーサーの例としては、たとえば加水分解によってカルボン酸を放出可能なエステル類、アミド類、イミド類などをまず挙げることができる(一般式1〜6)。
【0472】
一般式中、R101はアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ、N−メチルアニリノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。R101として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、中でも電子吸引性基が置換したこれらの基が好ましい。
【0473】
102〜R106,R109はアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。R106,R109として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、中でも電子吸引性基が置換したこれらの基が好ましい。
【0474】
107,R108は水素原子、互いに連結することにより2重結合を形成する化学結合、もしくはハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。2つの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0475】
〜Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、−N(R113)−O−、−O−N(R113)− で表される基を表す。ここでR113は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)のいずれかを表す。
【0476】
〜Yは、カルボニル基、スルホニル基、−PO(R114)R115で表される基を表す。ここでR114、R115はアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ、N−メチルアニリノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。
【0477】
次の例としては、C=N二重結合の炭素原子に置換したハロゲン原子など、酸塩化物の等価構造を有する化合物を挙げることができる。(一般式7)
【0478】
【化100】
Figure 2004331871
【0479】
式中、Zはヘテロ芳香族環を形成可能な原子群を表す。Qはハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、塩素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ、N−メチルアニリノ等が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ等が挙げられる。)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜10であり、例えばベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。この中でも好ましくはハロゲン原子である。
【0480】
さらに次のタイプの酸プレカーサーとしては、β脱離により酸を放出しうる化合物を挙げることができる。(一般式8)
【0481】
【化101】
Figure 2004331871
【0482】
式中、Wは炭素原子もしくは窒素原子を表す。R110、R111は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ、N−メチルアニリノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル等が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル等が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。中でも好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基である。
【0483】
112、R113は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル等が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル等が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基である。
【0484】
求核置換反応により、ハードなアニオンを放出することにより、酸を放出するのと同じ効果を現す化合物も使用可能である。(一般式9)
【0485】
【化102】
Figure 2004331871
【0486】
式中、R114はアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル等が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル等が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。)、リン酸基、アルキルホスホン酸基、アリールホスホン酸基、ジアルキルホスホン酸基、ジアリールホスホン酸基から選ばれる基を表す。中でも好ましくはアリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基である。
【0487】
115、R116は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ、N−メチルアニリノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル等が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル等が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。中でも好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基である。
【0488】
光により酸を放出する化合物も使用可能である。(一般式10)
【0489】
【化103】
Figure 2004331871
【0490】
式中、R117、R118は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばピリジル、ピラジル、イミダゾリル、テノイル、ピリミジル、トリアジル、キノリル等が挙げられる。)アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ、N−メチルアニリノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル等が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル等が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。)から選ばれる基を表す。中でも好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基であり、少なくとも一方がアシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基である。
【0491】
空気中に放出されることにより、酸素酸化されて酸性を現出する化合物も使用することができる。この例としては、カルボン酸の還元体であるアルデヒド、スルホン酸の還元体であるスルフィン酸やチオール等を挙げることができる。
また、酸を連続的に生成するタイプの酸増殖剤も使用することができる。
【0492】
上記一般式中のR101〜R118は置換基を有することも可能である。例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。
【0493】
下記の本発明で好ましく使用できる酸プレカーサーの例を列挙するが、本発明はもちろんこれによって限定されるものではない。
【0494】
【化104】
Figure 2004331871
【0495】
【化105】
Figure 2004331871
【0496】
【化106】
Figure 2004331871
【0497】
【化107】
Figure 2004331871
【0498】
本発明の酸プレカーサーはインク中に0.01〜20質量パーセント、好ましくは0.1〜10質量パーセント、さらに好ましくは0.5〜5質量パーセント含有される。
【0499】
本発明のインクセットに使用するインクは、染料を水もしくは有機溶媒に溶解してなるインクである。中でも水溶性染料による水溶液タイプのインクであることが好ましい。
【0500】
(UVキュア)
本発明のインクに使用する染料を使用して、重合硬化型の画像形成材料を形成することもできる。重合用のモノマーとしては、多官能のビニルモノマー、カチオン重合モノマーなど種々のものが使用できる。
このときの開始剤は、UV光で重合開始可能なもの、電子線で重合開始可能なものなどいずれも使用できるが、好ましくはUV光で重合開始できるものである。
インクの形成方法としては、モノマーに本発明の染料を溶解するか、分散するなどして、物性を調節しインクとして作製することが可能である。
【0501】
(物性)
本発明のインクの粘度は、好ましくは30cP以下、さらに好ましくは20cP以下、最も好ましくは、10cP以下である。
インクの好ましいpHとしては4〜11、さらに好ましくは7〜10である。
インク表面張力としては好ましくは、25〜50dyn/cm、さらに好ましくは、30〜40dyn/cmである。
(インク化工程)
本発明のインクジェット用インクは、上記の通り、まずは染料などを高濃度に溶解した原液を脱溶媒、脱塩など必要な操作を経て作製する。この際、腐敗防止のため、防腐剤が添加されていることが好ましい。
脱塩については、インク(少なくとも染料、水、水混和性有機溶剤からなるインク)において、染料由来以外のイオンの合計質量が、該インクに対して1質量%以下であることが好ましく、インクに使用する素材を脱塩精製の後、使用することが好ましい。
特に本発明のインクにおいては、染料や添加剤などからインク中に存在する染料由来以外のイオン(イオンAと称す)の合計質量をインク総重量に対して1質量%以下に抑えることが好ましい。ここでいうイオンAとは、素材(染料を含むインクの組成成分をいう)に付随する混入不純物または素材そのものから導入されるイオンを意味する。ただし、本発明においては、アンモニウムイオンを揮発性の化合物として取り扱い、このイオンAから除外すると共に染料のカウンターイオンもイオンAから除外する。
例えば、イオンAとしては、染料や添加剤の調製の際に混入する不純物である無機及び/又は有機塩由来のイオン等が挙げられる。
イオンAの総量としては、インクの1質量%以下であることが本発明の要件であるが、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは、0.1質量%以下である。
上記インク原液に対して、水溶性有機溶媒、界面活性剤、防腐剤、キレート剤など機能性添加物を加え、インクとして完成させる。このインクをカートリッジに詰めるが、インクカートリッジとしては種々のものが使用できる。
カートリッジを使用しないでタンクから直接ノズルで液供給することも可能である。
【0502】
また本発明では分散剤、分散安定剤として上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるれるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
【0503】
本発明の画像記録方法に用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムおける支持体はLBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等をからなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚み10〜250μm、坪量は10〜250g/mが望ましい。
支持体にそのまま受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよい。さらに支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテンおよびそれらのコポリマー)でラミネートした紙およびプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィンポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0504】
支持体上に設けられる受像層には、多孔質材料や水性バインダーが含有される。また、受像層には顔料を含むのが好ましく、顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。これらの顔料は2種以上を併用してもよい。
【0505】
受像層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独または2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
【0506】
受像層は、顔料及び水性バインダーの他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、硬膜剤その他の添加剤を含有することができる。
【0507】
受像層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される
【0508】
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
【0509】
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダーアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0510】
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。また、前記ベタイン界面活性剤を、媒染力向上のために使用することも可能である。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
【0511】
硬膜剤としては特開平1−161236号公報の222頁に記載されている材料等を用いることが出来る。
【0512】
その他の受像層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0513】
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0514】
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0515】
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バック層を含む)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。ポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止できる。
【0516】
本発明では、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0517】
本発明のベタイン界面活性剤を色材受容層に含有させる際には、水溶性有機溶媒、例えばアルコール化合物(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)、エーテル化合物(テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、アミド化合物(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、ケトン化合物(アセトンなど)等を混合して水への親和性を高めた状態で添加してもよい。
【0518】
本発明のベタイン界面活性剤が十分な水溶性を持たない場合は、疎水性の有機溶媒、例えばエステル化合物(酸酸エチル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ブチル、ステアリン酸メチル、トリクレジルフォスフェートなど)、エーテル化合物(アニソール、ヒドロキシエトキシベンゼン、ハイドロキノンジブチルエーテルなど)、炭化水素化合物(トルエン、キシレン、ジイソプロピルナフタレンなど)、アミド化合物(N−ブチルベンゼンスルホンアミド、ステアリンン酸アミドなど)、アルコール化合物(2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなど)、ケトン化合物(ヒドロキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、シクロヘキサンなど)、又は上述の水溶性有機溶媒等を混合して添加してもよい。添加するときの形態は、油滴、ラテックス、固体分散、ポリマー分散などでもよい。
【0519】
(水溶性樹脂)
本発明のインクジェット記録用シートでは、その色材受容層が、本発明のベタイン界面活性剤と共に水溶性樹脂を含有するのが好ましい。
【0520】
上記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
【0521】
以上の中でも、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたものなどがあげられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の段落番号[0011]〜[0014]に記載の化合物なども挙げられる。
これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
【0522】
本発明の水溶性樹脂の含有量としては、色材受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
【0523】
(微粒子)
本発明のインクジェット記録用シートでは、その色材受容層が、本発明のベタイン界面活性剤と共に水溶性樹脂及び微粒子を含有するのが更に好ましい。
色材受容層が微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、該微粒子の色材受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用シートが得られるので好ましい。ここで、微粒子の色材受容層における固形分含有量とは、色材受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
本発明の上記微粒子としては、有機微粒子及び無機微粒子を使用できるが、インク吸収性及び画像安定性の点から、無機微粒子を含有するのが好ましい。
【0524】
上記有機微粒子としては例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
【0525】
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子又は擬ベーマイトが好ましい。微粒子は1次粒子のまま用いても、又は2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
更に、平均一次粒径が20nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
【0526】
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
【0527】
上記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmで多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmであり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
【0528】
上記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0529】
上記気相法シリカの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0530】
また、シリカ微粒子は、前述の他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
【0531】
本発明の無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al・nHO)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
【0532】
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0ml/gが好ましく、0.5〜1.5ml/gがより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
【0533】
上述の微粒子をインクジェット記録用シートに用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
【0534】
本発明の色材受容層を主として構成する、前述の水溶性樹脂と上記微粒子とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。尚、透明性を保持する観点からは、微粒子特にシリカ微粒子に組み合わされる水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
【0535】
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造の色材受容層を形成されると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質の色材受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0536】
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、前記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0537】
<微粒子と水溶性樹脂との含有比>
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、色材受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
【0538】
本発明の色材受容層は、上記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
【0539】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、色材受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、色材受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5:1以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2:1以上であることがより好ましい。
【0540】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x/y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0541】
(架橋剤)
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、微粒子および水溶性樹脂を含む塗布層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0542】
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコールの架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二硼酸塩(例えば、Mg、Co )、メタ硼酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四硼酸塩(例えば、Na・10HO)、五硼酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
【0543】
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0544】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0545】
上記架橋剤の付与は、ホウ素化合物を例にすると下記のように行われることが好ましい。すなわち、色材受容層が、微粒子、ポリビニルアルコールを含有する水溶性樹脂、およびホウ素化合物を含有する塗布液(以下、第1の塗布液ということがある)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液(以下、第2の塗布液ということがある)を前記塗布層または塗膜に付与することにより行われる。
架橋剤の使用量は、水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0546】
(媒染剤)
本発明においては、形成画像の耐水性及び耐経時ニジミの向上を図るために、色材受容層に媒染剤が含有されるのが好ましい。
上記媒染剤としては有機媒染剤としてカチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)、又は無機媒染剤が好ましく、該媒染剤を色材受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、耐水性や耐経時ニジミを向上させることができる。有機媒染剤および無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤および無機媒染剤を併用してもよい。
無機媒染剤の場合、第4族の酸化物もしくはハロゲン化物、さらにはその混合組成の化合物などを利用することができる。例えばポリ塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムの部分水素化物などである。
【0547】
媒染剤は微粒子と水溶性樹脂を含む塗布液(第1の塗布液)に添加する方法、又は微粒子との間で凝集を生ずる懸念がある場合は、第2の塗布液に含有させ塗布する方法を利用できる。
【0548】
上記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0549】
上記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
【0550】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
【0551】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0552】
具体的には、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
【0553】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0554】
また、アリルアミン、ジアリルアミンやその誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)が挙げられる。尚、これらのアリルアミンおよびジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0555】
前記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェットインク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さいモノマーをいう。
上記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0556】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
上記非媒染モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
【0557】
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カオチン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO共重合物、ジアリルアミン塩−SO共重合物、第4級アンモニウム塩基置換アルキル基をエステル部分に有する(メタ)アクリレート含有ポリマー、第4級アンモニウム塩基置換アルキル基を有するスチリル型ポリマー等も好ましいものとして挙げることができる。
【0558】
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号、特公平5‐35162号、同5−35163号、同5‐35164号、同5−88846号、特開平7−118333号、特開2000−344990号、特許第2648847号、同2661677号等の各公報に記載のもの等が挙げられる。中でもポリアリルアミン及びその誘導体が特に好ましい。
【0559】
本発明における有機媒染剤としては、特に経時滲みの防止の観点から、重量平均分子量が100000以下のポリアリルアミン及びその誘導体が好ましい。
【0560】
本発明のポリアリルアミン又はその誘導体としては、公知の各種アリルアミン重合体及びその誘導体が使用できる。このような誘導体としては、ポリアリルアミンと酸との塩(酸としては塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸などの有機酸、あるいはこれらの組み合せや、アリルアミンの一部分のみを塩にしたもの)、ポリアリルアミンの高分子反応による誘導体、ポリアリルアミンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(該モノマーの具体例としては(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、(メタ)アクリルアミド類、アクリロニトリル、ビニルエステル類等)が挙げられる。
【0561】
ポリアリルアミンおよびその誘導体の具体例としては、特公昭62‐31722号、特公平2‐14364号、特公昭63−43402号、同63−43403号、同63−45721号、同63−29881号、特公平1−26362号、同2−56365号、同2−57084号、同4−41686号、同6−2780号、同6−45649号、同6−15592号、同4−68622号、特許第3199227号、同3008369号、特開平10‐330427号、同11‐21321号、特開2000‐281728号、同2001‐106736号、特開昭62−256801号、特開平7‐173286号、同7‐213897号、同9−235318号、同9−302026号、同11‐21321号、国際公開(WO)99/21901号、国際公開(WO)99/19372号、特開平5−140213号、特表平11‐506488号等の各公報に記載の化合物があげられる。
【0562】
本発明の媒染剤としては無機媒染剤を用いることも可能で、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。
無機媒染剤の具体例としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
【0563】
具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等があげられる。
【0564】
本発明の無機媒染剤としては、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩または錯体)が好ましい。
本発明で色材受容層に含まれる上記媒染剤量は、0.01g/m〜5g/mが好ましく、0.1g/m〜3g/mがより好ましい。
【0565】
(その他の成分)
本発明のインクジェット記録用シートは、必要に応じて、更に各種の公知の添加剤、例えば酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することができる。
【0566】
本発明において、色材受容層は酸を含有していてもよい。酸を添加することで、色材受容層の表面pHを3〜8、好ましくは5〜7.5に調整する。これにより白地部の耐黄変性が向上するので好ましい。表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面PHの測定の内A法(塗布法)により測定を行う。例えば、前記A法に相当する(株)共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して該測定を行うことができる。
【0567】
具体的な酸の例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸金属塩(Zn,Al,Ca,Mg等の塩)、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、スルファニル酸、スルファミン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ほう酸、ボロン酸等が挙げられる。これらの酸の添加量は、色材受容層の表面PHが3〜8になるように決めればよい。
上記の酸は金属塩(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)の形態で使用してもよい。
【0568】
本発明においては、色材受容層が紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの保存性向上剤を含有することが好ましい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール化合物(ヒンダードフェノール化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
【0569】
これらの中でも、アルキル化フェノール化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ヒドロキシアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が好ましい。
【0570】
具体的な化合物例は、特願2002−13005号、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特公平4−34512号、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号、米国特許第2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号、
【0571】
特公昭45−4699号、同54−5324号、ヨーロッパ公開特許第223739号、同309401号、同309402号、同310551号、同第310552号、同第459416号、ドイツ公開特許第3435443号、特開昭54−48535号、同60−107384号、同60−107383号、同60−125470号、同60−125471号、同60−125472号、同60−287485号、同60−287486号、同60−287487号、同60−287488号、同61−160287号、同61−185483号、同61−211079号、同62−146678号、同62−146680号、同62−146679号、同62−282885号、同62−262047号、同63−051174号、同63−89877号、同63−88380号、同66−88381号、同63−113536号、
【0572】
同63−163351号、同63−203372号、同63−224989号、同63−251282号、同63−267594号、同63−182484号、特開平1−239282号、特開平2−262654号、同2−71262号、同3−121449号、同4−291685号、同4−291684号、同5−61166号、同5−119449号、同5−188687号、同5−188686号、同5−110490号、同5−1108437号、同5−170361号、特公昭48−43295号、同48−33212号、米国特許第4814262号、同第4980275号等の各公報に記載のものがあげられる。
【0573】
前記その他の成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。この前記その他の成分は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。本発明のインクジェット記録用シートでは、上記その他の成分の添加量としては、0.01〜10g/mが好ましい。
【0574】
また、無機微粒子の分散性を改善する目的で、無機表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能性基(例えば、ビニル基、アミノ基(1級〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基)、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好ましい。
【0575】
本発明において、色材受容層用塗布液は界面活性剤を含有しているのが好ましい。該界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、第1の塗布液および第2の塗布液において使用することができる。また、上記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0576】
上記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号、特開昭59−49535号、同63−236546号、特開平5−303205号、同8−262742号、同10−282619号、特許第2514194号、特許2759795号、特開2000−351269号の各公報等に記載されているものを好適に使用できる。上記両性界面活性剤のなかでも、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型が好ましい。上記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0577】
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などがあげられる。
【0578】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体をへて誘導される化合物があげられる。
例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどがあげられる。
【0579】
前記シリコン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性としてアミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0580】
本発明で界面活性剤の含有量としては、色材受容層用塗布液に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、色材受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0581】
本発明において、色材受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
【0582】
(支持体)
本発明の支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0583】
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
【0584】
高光沢性の不透明支持体としては、色材受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
【0585】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、上記各種紙支持体、上記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0586】
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
【0587】
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0588】
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0589】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0590】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0591】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0592】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0593】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、上記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0594】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0595】
特に、色材受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度および色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上に色材受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0596】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0597】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0598】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0599】
(インクジェット記録用シートの作製)
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、例えば、支持体表面に少なくとも微粒子と水溶性樹脂を含む第一の塗布液(以後、「塗布液(A)」と言うこともある)を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前のいずれかに少なくとも媒染剤を含むpHが8以上の第二の塗布液(以後、「塗布液(B)」と言うこともある)を付与した後、該第二の塗布液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)により形成されるのが好ましい。
この様にして架橋硬化させた色材受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
【0600】
上記の様にすると、媒染剤が色材受容層の表面近くに多く存在するので、インクジェットの色材が十分に媒染され、印字後の文字や画像の耐水性が向上するので好ましい。媒染剤の一部は上記塗布液(A)に含有させてもよく、その場合は、塗布液(A)と塗布液(B)の媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
【0601】
本発明において、少なくとも微粒子(例えば、気相法シリカ)と水溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)とを含有する色材受容層用塗布液(塗布液(A))は、例えば、以下のようにして調製することができる。即ち、
気相法シリカ微粒子と分散剤を水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(ホウ素化合物)、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、更に本発明における本発明のベタイン界面活性剤を色材受容層用塗布液に含ませる場合には該化合物を加えて、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することができる。
【0602】
また、上記気相法シリカと分散剤とからなる水分散物の調製は、気相法シリカ水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
上記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的におこなうという点から、撹拌型分散機、コロイドミル分散機または高圧分散機が好ましい。
【0603】
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0604】
また、上記分散剤としてはカオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、前述の媒染剤の例などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
【0605】
該色材受容層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
【0606】
色材受容層用塗布液(塗布液(A))の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に塗布液(B)が付与されるが、該塗布液(B)は、塗布後の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与してもよい。即ち、色材受容層用塗布液(塗布液(A))の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に媒染剤を導入することで好適に製造される。
【0607】
ここで、前記「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥速度」の現象を示す。この「恒率乾燥速度」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0608】
上記の通り、第一の塗布液の塗布後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
【0609】
上記第一の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与する方法としては、▲1▼塗布液(B)を塗布層上に更に塗布する方法、▲2▼スプレー等の方法により噴霧する方法、▲3▼塗布液(B)中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0610】
前記方法▲1▼において、塗布液(B)を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第一塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0611】
該媒染剤溶液(塗布液(B))の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥および硬化がおこなわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
【0612】
また、上記媒染剤溶液(塗布液(B))を、色材受容層塗布液(塗布液(A))を塗布すると同時に付与する場合、色材受容層塗布液(塗布液(A))および媒染剤溶液(塗布液(B))を、該色材受容層塗布液(塗布液(A))が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることにより色材受容層を形成することができる。
【0613】
上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
【0614】
上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターによりおこなった場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、色材受容層塗布液(塗布液(A))および媒染剤溶液(塗布液(B))の塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
【0615】
上記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。上記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、上記媒染剤を含有させることもできる。
【0616】
支持体上に色材受容層を形成した後、該色材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
【0617】
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0618】
上記色材受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mmで、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0619】
また、色材受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率および細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
【0620】
また、色材受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
【0621】
本発明のインクジェット記録用シートの構成層(例えば、色材受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
【0622】
また、本発明のインクジェット記録用シートは、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
【0623】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を表し、「平均分子量」及び「重合度」は、「質量平均分子量」及び「質量平均重合度」を表す。
【0624】
(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/mの原紙を抄造した。
【0625】
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/mとなるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/mlに調整された基紙を得た。
【0626】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/mとなるように塗布した。
【0627】
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
【0628】
〔インクジェット記録〕
本発明におけるインクの記録材料上への打滴体積は0.1pl以上100pl以下が好ましい。打滴体積のより好ましい範囲は0.5pl以上50pl以下であり、特に好ましい範囲は2pl以上50pl以下である。
【0629】
本発明では、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。インクの打滴体積の制御は主にプリントヘッドにより行われる。
【0630】
例えばサーマルインクジェット方式の場合、プリントヘッドの構造で打滴体積を制御することが可能である。すなわち、インク室、加熱部、ノズルの大きさを変えることにより、所望のサイズで打滴することができる。またサーマルインクジェット方式であっても、加熱部やノズルの大きさが異なる複数のプリントヘッドを持たせることで、複数サイズの打滴を実現することも可能である。
ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式の場合、サーマルインクジェット方式と同様にプリントヘッドの構造上打滴体積を変えることも可能であるが、後述するようにピエゾ素子を駆動する駆動信号の波形を制御することにより、同じ構造のプリントヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
【0631】
本発明においてインクを、記録材料へ打滴するときの吐出周波数は1kHz以上が好ましい。
写真のように、高画質の画像を記録するためには、小さいインク滴で鮮鋭度の高い画像を再現するため、打滴密度を600dpi(1インチあたりのドット数)以上とする必要がある。
一方、インクを複数のノズルを有するヘッドで打滴するにあたり、記録紙とヘッドが互いに直交する方向に移動して記録するタイプでは同時に駆動できるヘッドの数は数十から200程度であり、ラインヘッドと呼ばれるヘッドが固定されたタイプでも数百であるという制約がある。これは駆動電力に制約があることや、ヘッドでの発熱が画像に影響を及ぼすため、多数のヘッドノズルを同時に駆動できないためである。このため、打滴密度を上げて記録するには、記録速度が長くなりがちであるが、駆動周波数を高くすることにより、記録速度を上げることが可能である。
【0632】
打滴周波数を制御するには、サーマルインクジェット方式の場合、ヘッドを加熱するヘッド駆動信号の周波数を制御することで可能である。
ピエゾ方式の場合、ピエゾを駆動する信号の周波数を制御することで可能である。
ピエゾヘッドの駆動に関して説明する。プリントすべき画像信号はプリンタ制御部により、打滴サイズ、打滴速度、打滴周波数が決定され、プリントヘッドを駆動する信号が作成される。駆動信号はプリントヘッドに供給される。ピエゾを駆動する信号により打滴サイズ、打滴速度、打滴周波数が制御される。ここで打滴サイズと打滴速度は駆動波形の形状と振幅で決定され、周波数は信号の繰返し周期で決定される。
この打滴周波数を10kHzに設定すると、100マイクロ秒ごとにヘッドは駆動され、400マイクロ秒で1ラインの記録が終了する。記録紙の移動速度を400マイクロ秒に1/600インチすなわち約42ミクロン移動するように設定することにより、1.2秒に1枚の速度でプリントすることができる。
【0633】
本発明のインクジェット用インクを用いるインクジェット記録(印刷)装置の構成、プリンタの構成に関しては、たとえば特開平11−170527号公報に開示されるような様態が好適である。また、インクカートリッジに関しては、たとえば特開平5−229133号公報に開示されるものが好適である。吸引およびその際に印字ヘッド〔28〕を覆うキャップ等の構成に関しては、たとえば特開平7−276671号公報に開示されるものが好適である。また、ヘッド近傍には特開平9−277552号公報に開示されるような気泡を排除するためのフィルターを備えることが好適である。
また、ノズルの表面は特願2001−16738に記載されるような撥水処理を施すことが好適である。用途としては、コンピュータと接続されるプリンタであってもよいし、写真をプリントすることに特化した装置であってもよい。
【0634】
本発明のインクジェット用インクは、記録材料へ打滴するときの平均打滴速度が2m/sec以上とするのが好ましく、5m/sec以上とするのがより好ましい。
打滴速度を制御するには、ヘッドを駆動する波形の形状と振幅を制御することにより行う。
また複数の駆動波形を使い分けることにより、同じヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
【0635】
本発明に使用するインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置としては後記のものをも好ましく使用できる。
【0636】
本発明の画像形成用のインクを作製するには、下記のステップを経て作製することができる。
すなわち、染料を水系溶媒に溶解または分散する工程、この濃厚溶液をインクとして調液する工程(染料から直接調液してもよい)、このインクをカートリッジに充填する工程、カートリッジを装置に装填する工程(カートリッジを使用しないインク給液法を採用することも可能である)である。
ここで使用する水は、不純物(特に金属イオンなど)を含まない水であることが必須である。特に好ましくは、18Mオーム/cm以上の超純水の使用が好ましい。
【0637】
本発明記載の染料を用いたインクは、下記に記載するシステムに対して適用可能である。
インクを収納するカートリッジとしては、特開昭50−74341、特許第3171214号等に開示されるようにインク吸収体を有する容器に収容することも可能である。また特開平2−187364に開示されるように、インクタンクと、インク吸収体とが別体となったものでも良い。またこれに限らず、特開平5−4349、特開平5−16381、特開平5−16385、特開平5−16389、特開平5−42680、特開平5−57901、特開平5−124217、特開平5−162324、特開平5−162325、特開平5−162329、特開平5−162332、特開平5−229139、特開平5−238016、特開平5−261935、特開平5−345425、特開平6−966、特開平6−968、特開平6−8468、特開平6−15845、特開平6−40041 、特開平6−40044、特開平6−55741、特開平6−71898、特開平6−87221、特開平6−115086、特開平6−126976、特開平6−134990、特開平6−134999、特開平6−143606、特開平6−198907、特開平6−210870、特開平6−226990、特開平6−246926、特開平6−255121、特開平6−305160、特開平6−312514、特開平6−320745、特開平6−320746、特開平6−320747、特開平6−320753、特開平6−320759、特開平6−328707、特開平6−328711、特開平6−340092、特開平7−17048、特開平7−25024、特開平7−25025 、特開平7−32605、特開平7−47686、特開平7−47688、特開平7−52403、特開平7−52404、特開平7−52406、特開平7−60977、特開平7−68783、特開平7−76100 、特開平7−89082、特開平7−89084、特開平7−89095、特開平7−125233、特開平7−137273、特開平7−148935、特開平7−148937、特開平7−148938、特開平7−148940、特開平7−164637、特開平7−178922、特開平7−186405、特開平7−195703、特開平7−195706、特開平7−205439、特開平7−205442、特開平7−223323、特開平7−299912、特開平7−314714、特開平7−314724、特開平7−314727、特開平7−314728、特開平7−314731、特開平7−323560、特開平7−323561、特開平7−323563、特開平7−323566、特開平7−329312、特開平8−11319、特開平8−11320、特開平8−25644、特開平8−25648、特開平8−25649、特開平8−39820、特開平8−58106、特開平8−90785 、特開平8−112907、特開平8−112909、特開平8−112910、特開平8−112914、特開平8−132641、特開平8−132643、特開平8−142343、特開平8−192518、特開平8−192520、特開平8−197743、特開平8−216423、特開平8−230206、特開平8−244247、特開平8−258279、特開平8−267776、特開平8−276602、特開平8−281963、特開平8−300678、特開平8−310003、特開平8−310006、特開平8−332738、特開平8−336982、特開平9−20014、特開平9−20015、特開平9−24619、特開平9−24623、特開平9−57999 、特開平9−70983、特開平9−94972、特開平9−104118、特開平9−136427、特開平9−141886、特開平9−169119、特開平9−174867、特開平9−174868、特開平9−183231、特開平9−183236、特開平9−187965、特開平9−200409、特開平9−220814、特開平9−234880、特開平9−240001、特開平9−254402、特開平9−262987、特開平9−262989、特開平9−277545、特開平9−286116、特開平10−24599、特開平10−24603、特開平10−24606、特開平10−24613、特開平10−86397、特開平10−95129、特開平10−119296、特開平10−119309、特開平10−140062、特開平10−157396、特開平10−166613、特開平10−166614、特開平10−217502、特開平10−244682、特開平10−250095、特開平10−264403、特開平10−264407、特開平10−278296、特開平10−305589、特開平10−305590、特開平10−323990、特開平11−78053、特開平11−91122、特開平11−91132、特開平11−99663、特開平11−99664、特開平11−115202、特開平11−129494、特開平11−157090、特開平11−198399、特開平11−240182、特開平11−254694、特開平11−286118、特開平11−286121、特開平11−334097、特開平11−342622、特開2000−979、特開2000−15826、特開2000−15827、特開2000−43290、特開2000−62206、特開2000−71471、特開2000−79698、特開2000−79700、特開2000−85143、特開2000−85144、特開2000−85145、特開2000−94706、特開2000−94709、特開2000−94711、特開2000−103082、特開2000−127429、特開2000−127431、特開2000−127439、特開2000−127454、特開2000−141682、特開2000−141684、特開2000−141694、特開2000−141697、特開2000−171285、特開2000−190518、特開2000−233509、特開2000−233519、特開2000−246915、特開2000−255081、特開2000−263805、特開2000−263810、特開2000−263812、特開2000−272142、特開2000−289217、特開2000−289219、特開2000−289221、特開2000−296623、特開2000−301736、特開2000−309108、特開2000−318177、特開2000−318186、特開2001−1539、特開2001−1542、特開2001−18416、特開2001−30509、特開2001−30513、特開2001−63079、特開2001−63097、特開2001−113717、特開2001−138532 、特開2001−146008、特開2001−158110、特開2001−162823、特開2001−191549、特開2001−205822、特開2001−219577、特開2001−239674、特開2001−260381、特開2001−270127、特開2001−301379、特開2001−310480、特開2001−334677、特開2001−353879、特開2002−1987、特開2002−1988、特開2002−19141、特開2002−19153、特開2002−19154、特開2002−19155、特開2002−120383、特開2002−127454、特開2002−144595、特開2002−144601、特開2002−160383、特開2002−192746、特開2002−211001、特開2002−240321、特開2002−264354、特開2002−273917、特開2002−283588、特開2002−294114、特開2002−307703、特開2002−307705、特開2002−326376、特開2002−331682、特開2002−331683、特開2002−361899、特開2002−361906、特開2003−1848、特開2003−1851、特開2003−11381、特開2003−25603、特開2003−34039、特開2003−39700、特開2003−48328、特開2003−54002に開示される形態であってもよい。
【0638】
また、特開平8−174860に開示されるように、インク供給室の圧力が低下した場合に、弁の移動によりインクを供給する形態のカートリッジを用いることも可能である。またこれに限らず、特開平5−92578、特開平5−96741、特開平5−138893、特開平5−185600、特開平5−185603、特開平5−229137、特開平5−229139、特開平5−256375、特開平5−338203、特開平6−8465、特開平6−17951、特開平6−17952、特開平6−31933、特開平6−47922、特開平6−79881、特開平6−143600、特開平6−183029、特開平6−208419、特開平6−328719、特開平7−25021、特開平7−40543、特開平7−68782、特開平7−76103、特開平7−76105、特開平7−81079、特開平7−125256、特開平7−214790、特開平7−276666、特開平7−290721、特開平8−20114、特開平8−174855、特開平8−183185、特開平8−187874、特開平8−187875、特開平8−230212、特開平8−290577、特開平8−336982、特開平9−20013、特開平9−109404、特開平9−109416、特開平9−150524、特開平9−174875、特開平9−187959、特開平9−187960、特開平9−201982、特開平9−226144、特開平9−234882、特開平9−240003、特開平9−277565、特開平9−290514、特開平10−6520、特開平10−29318、特開平10−34966、特開平10−44468、特開平10−52923、特開平10−86402、特開平10−86407、特開平10−109426、特開平10−119310、特開平10−146963、特開平10−157155、特開平10−217510、特開平10−235892、特開平10−235900、特開平10−244684、特開平10−244685、特開平10−291300、特開平10−315495、特開平11−20181、特開平11−20182、特開平11−42795、特開平11−78049、特開平11−91122、特開平11−91123、特開平11−91125、特開平11−91841、特開平11−138858、特開平11−157093、特開平11−170555、特開平11−170558、特開平11−188890、特開平11−192717、特開平11−207990、特開平11−254702、特開平11−254703、特開平11−309869、特開平11−320901、特開平11−348310、特開2000−978、特開2000−2346 、特開2000−2348、特開2000−33710、特開2000−43293、特開2000−94706、特開2000−141687、特開2000−158663、特開2000−190525、特開2000−190529、特開2000−203049、特開2000−203051、特開2000−211151、特開2000−211152、特開2000−211156、特開2000−263807、特開2000−289224、特開2000−289225、特開2000−301733、特開2000−309108、特開2000−309109、特開2000−318184、特開2000−334975、特開2000−334978、特開2000−343723、特開2001−1540、特開2001−1543、特開2001−1550、特開2001−1554、特開2001−1555、特開2001−63087、特開2001−63098、特開2001−96206、特開2001−96765、特開2001−113726、特開2001−158110、特開2001−171139、特開2001−171141、特開2001−180003、特開2001−199080、特開2001−199084、特開2001−212971、特開2001−212972、特開2001−212974、特開2001−212975、特開2001−212989、特開2001−219573、特開2001−219581、特開2001−225479、特開2001−225480、特開2001−232806、特開2001−253093、特開2001−270128、特開2001−270129、特開2001−270130、特開2001−277777、特開2001−287380、特開2001−293876、特開2001−310479に開示される形態であってもよい。
【0639】
また、特開平5−16377に開示されるように変形可能な容器に収納し、タンクとなすことも可能である。このとき、特公平4−43785、特開平5−16382、特開平5−112015、特開平5−185607、特開平5−238017、特開平6−336020、特開平6−344626、特開平7−68779、特開平7−68780、特開平7−101074、特開平7−125242、特開平7−246712、特開平7−323575、特開平8−72232、特開平8−72258、特開平8−99416、特開平8−112913、特開平8−132640、特開平8−150730、特開平8−187872、特開平8−252928、特開平8−323988、特開平9−220816、特開平9−234886、特開平9−327929、特開平10−6521、特開平10−109426、特開平10−109431、特開平10−114081 、特開平10−119310、特開平10−129007、特開平10−138506、特開平10−181043 、特開平10−244690、特開平10−315495、特開平11−10902、特開平11−42795、特開平11−58772、特開平11−105300、特開平11−105303、特開平11−115203、特開平11−123833、特開平11−138839、特開平11−138850、特開平11−138856、特開平11−138858、特開平11−188890、特開平11−188894、特開平11−188895、特開平11−192720、特開平11−227220、特開平11−254702、特開平11−320901、特開平11−342630、特開平11−342634、特開2000−6432、特開2000−15830、特開2000−37879、特開2000−43293、特開2000−79699、特開2000−85137、特開2000−94717、特開2000−141687、特開2000−141695、特開2000−158666、特開2000−185395、特開2000−185411、特開2000−190525、特開2000−190529、特開2000−203049、特開2000−211151、特開2000−211152、特開2000−211156、特開2000−218812、特開2000−218815、特開2000−218822、特開2000−229421、特開2000−233511、特開2000−233512、特開2000−238280、特開2000−246917、特開2000−246918、特開2000−255077、特開2000−263807、特開2000−280486、特開2000−280493、特開2000−289222、特開2000−289223、特開2000−296625、特開2000−301732、特開2000−301737、特開2000−309109、特開2000−313124、特開2000−318181、特開2000−318184、特開2000−343722、特開2000−343723、特開2001−1536、特開2001−18410、特開2001−38920、特開2001−63086、特開2001−63087、特開2001−71524、特開2001−113716、特開2001−162822、特開2001−162830、特開2001−199080、特開2001−199084、特開2001−212971、特開2001−212972、特開2001−212974、特開2001−212975、特開2001−212984、特開2001−219570、特開2001−219575、特開2001−219576、特開2001−225482、特開2001−232806、特開2001−239676、特開2001−246761、特開2001−253093、特開2001−270128、特開2001−270133、特開2001−277535、特開2001−287380、特開2001−301187、特開2001−328283、特開2001−334685、特開2002−1992、特開2002−19140、特開2002−36579、特開2002−46292、特開2002−52737、特開2002−86745、特開2002−86748、特開2002−103640、特開2002−120374、特開2002−137416、特開2002−166572、特開2002−187292、特開2002−192751、特開2002−200771、特開2002−234183、特開2002−240322、特開2002−248788、特開2002−248792、特開2002−273898、特開2002−273906、特開2002−307707、特開2002−307708、特開2002−307709、特開2002−316422、特開2002−321379、特開2002−355992、特開2002−361894、特開2003−1846、特開2003−1850、特開2003−11382、特開2003−11385、特開2003−39704、特開2003−48315、特開2003−53985、特開2003−53993、特開2003−53995、特開2003−53996、特開2003−63036、に開示されるようにサブタンクを有するとさらに安定した供給が可能となる。
【0640】
インクを打滴する方式としては、特開平5−104725、特開昭63−25050、特開平5−254117、特開平5−309845、特開平5−318774、特開昭62−263062、特開昭62−288050、特開平6−64161、特開昭62−121061、特開平7−32593、特開平7−205447、特開平8−11324、特開平8−244252、特開平8−252911、特開平8−258271、特開平8−267791、特開平8−309969、特開平8−323979、特開平2−184443、特開平8−336988、特開平9−123464、特開平9−166705、特開平9−183227、特開平9−248913、特開平10−166567、特開平10−235854、特開平10−323977、特開平10−328594、特開平11−28809、特開平11−34314、特開平11−34315、特開平11−34316、特開平11−314358、特開平11−320892、特開2000−62161、特開2000−188885、特開2000−188888、特開平7−205447、特開平8−252911、特開2001−63064、特開2001−63065、特開2001−105588、特開2001−138509、特開2001−162806、特開2001−179983、特開2001−205802、特開2001−253069、特開2001−315329、特開2002−36595、特開2002−67298、特開2002−254655、特開2002−254656、特開2002−320894に開示されるように、連続的にインク滴を吐出させ、画像に応じて滴を偏向してメディアに着弾させるか、させないかを選択制御する方式であってもよいし、所謂オンデマンド方式と呼ばれる、画像として必要な滴のみを吐出させる方式であってもよい。
【0641】
オンデマンド方式は、特開平5−16349、特開平5−57888、特開平5−104715、特開平5−177831、特開平5−177832、特開平5−177833、特開平5−278217、特開平5−305710、特開平5−318723、特開平5−345414、特開平6−15819、特開平6−23979、特開平6−71881、特開平6−91893、特開平6−143569、特開平6−155733、特開平6−171097、特開平6−171098、特開平6−179262、特開平6−226966、特開平7−132592、特開平7−156394、特開平7−276634、特開平7−290705、特開平8−1928、特開平8−1932、特開平8−58091、特開平8−238779、特開平8−300651、特開平8−309976、特開平9−57963、特開平9−70975、特開平9−70976、特開平9−70978、特開平9−150520、特開平9−156093、特開平9−156094、特開平9−164676、特開平9−164677、特開平9−174839、特開平9−193376、特開平9−216358、特開平10−16209、特開平10−81022、特開平10−146966、特開平10−166592、特開平10−181012、特開平10−235859、特開平10−250069、特開平11−20165、特開平11−58790、特開平11−105275、特開平11−105276、特開平11−129464、特開平11−151817、特開平11−170529、特開平11−197602、特開平11−227193、特開平11−320875、特開平11−334066、特開2000−103061、特開2000−103089、特開2000−177125、特開2000−203036、特開2000−255061、特開2000−280483、特開2000−289197、特開2000−289201、特開2000−296619、特開2000−325882、特開2000−334940、特開2000−351217、特開2001−10041、特開2001−63047、特開2001−162796、特開2001−187453、特開2001−225488、特開2001−232791、特開2001−232793、特開2001−270105、特開2002−20702、特開2002−28552、特開2002−137404、特開2002−144558、特開2002−144587、特開2002−192716、特開2002−200752、特開2002−205389、特開2002−219800、特開2002−248766、特開2002−273887、特開2002−283559、特開2002−283576、特開2002−356370、特開2003−39674に開示されるように、圧電素子等を用いて構造体の変形によりインク圧を発生させ、吐出させる方式であってもよいし、特開平1−234255、特開平2−38053、特開平2−215540、特開平2−231149、特開平4−133743、特開平4−361056、特開平4−366645、特開平5−24199、特開平5−31919、特開平5−64890、特開平5−155037、特開平5−177881、特開平5−185606、特開平5−220946、特開平5−220977、特開平5−261924、特開平5−270011、特開平5−278221、特開平5−293974、特開平5−301340、特開平6−960、特開平6−15826、特開平6−31910、特開平6−31937、特開平6−71907、特開平6−91998、特開平6−99576、特開平6−106733、特開平6−115074、特開平6−122201、特開平6−135006、特開平6−155767、特開平6−183031、特開平6−191039、特開平6−191057、特開平6−198906、特開平6−226998、特開平6−262773、特開平6−278283、特開平6−286138、特開平6−297716、特開平6−312517、特開平6−312518、特開平6−312520、特開平6−316078、特開平6−328695、特開平6−328733、特開平6−340094、特開平7−40548、特開平7−60968、特開平7−60970、特開平7−76088、特開平7−89070、特開平7−89099、特開平7−89100、特開平7−137240、特開平7−178930、特開平7−232434、特開平7−323550、特開平8−25635、特開平8−58118、特開平8−104006、特開平8−112901、特開平8−118684、特開平8−132622、特開平8−132645、特開平8−156258、特開平8−183179、特開平8−183180、特開平8−183181、特開平8−183186、特開平8−183187、特開平8−216395、特開平8−216432、特開平8−281929、特開平8−281974、特開平8−281975、特開平9−1790、特開平9−11472、特開平9−11504、特開平9−131875、特開平9−131900、特開平9−141873、特開平9−156102、特開平9−183222、特開平9−254368、特開平9−254412、特開平9−272198、特開平10−6488、特開平10−16251、特開平10−71730、特開平10−119274、特開平10−119286、特開平10−119291、特開平10−128958、特開平10−157113、特開平10−157137、特開平10−181027、特開平10−211693、特開平10−226054、特開平10−230594、特開平10−264370、特開平10−264371、特開平10−315455、特開平11−48462、特開平11−48481、特開平11−99637、特開平11−99651、特開平11−138773、特開平11−170499、特開平11−170502、特開平11−170527、特開平11−198358、特開平11−235833、特開平11−240148、特開平11−309882、特開2000−127376、特開2000−203025、特開2000−218835、特開2001−54956、特開2001−54962、特開2001−63060、特開2001−205827、特開2001−212991、特開2001−225488、特開2001−232822、特開2001−239681、特開2002−67357、特開2002−127426、特開2002−144608、特開2002−248753、特開2002−337344に開示されるように、熱エネルギーによる気化にともなう膨張により発生する圧力で吐出する方式であってもよい。
【0642】
このとき、ノズルは特開平5−31908、特開平5−77420、特開平5−104727、特開平5−147212、特開平5−147213、特開平5−193143、特開平5−193144、特開平5−229127、特開平5−246030、特開平5−261930、特開平5−261931、特開平5−293960、特開平5−318736、特開平5−330059、特開平5−330062、特開平6−15829、特開平6−23985、特開平6−31473、特開平6−31915、特開平6−64170、特開平6−79874 、特開平6−91883、特開平6−99581、特開平6−155750、特開平6−155751、特開平6−171082、特開平6−183010、特開平6−191043、特開平6−206312、特開平6−285666、特開平6−297180、特開平6−316076、特開平6−320736、特開平6−328699、特開平7−60973、特開平7−117229、特開平7−137284、特開平7−171965、特開平7−186393、特開平7−205426、特開平7−285224、特開平7−304177、特開平7−314695、特開平7−329306、特開平8−1930、特開平8−34120、特開平8−39490、特開平8−39805、特開平8−71775、特開平8−71776、特開平8−72250、特開平8−99410、特開平8−118657、特開平8−132399、特開平8−169114、特開平8−174842、特開平8−192517、特開平8−216414、特開平8−238776、特開平8−281946、特開平8−281962、特開平8−295025、特開平8−309998、特開平9−52358、特開平9−52369、特開平9−193400、特開平9−216368、特開平9−234871、特開平9−239975、特開平10−16235、特開平10−44409、特開平10−58171、特開平10−76666、特開平10−95109、特開平10−100411、特開平10−100415、特開平10−151756、特開平10−157138、特開平10−166595 、特開平10−175316、特開平10−209113、特開平10−217482、特開平10−230609 、特開平10−235872、特開平10−235874、特開平10−244676、特開平10−278279 、特開平10−291316、特開平10−314965、特開平10−315463、特開平10−337876 、特開平11−997、特開平11−998、特開平11−10889、特開平11−10890、特開平11−58745、特開平11−70660、特開平11−91114、特開平11−188868、特開平11−245412 、特開平11−320894、特開平11−334084、特開平11−342612、特開2000−6424、特開2000−77824、特開2000−118009、特開2000−127411、特開2000−203028、特開2000−203031、特開2000−203032、特開2000−218801、特開2000−218802、特開2000−246894、特開2000−258143、特開2000−263264、特開2000−263794、特開2000−289211、特開2000−289212、特開2000−296620、特開2000−302488、特開2000−318160、特開2000−318161、特開2000−318162、特開2000−334955、特開2000−334963、特開2000−343000、特開2001−10060、特開2001−10066、特開2001−10067、特開2001−10068、特開2001−10062、特開2001−10064、特開2001−18398、特開2001−113698、特開2001−150674、特開2001−150686、特開2001−158102 、特開2001−171130、特開2001−171128、特開2001−179986、特開2001−212965 、特開2001−260361、特開2001−277514、特開2001−304819、特開2001−329392 、特開2001−347668、特開2002−1966、特開2002−19124、特開2002−59551、特開2002−75964、特開2002−96472、特開2002−137381、特開2002−144583、特開2002−160371、特開2002−166557、特開2002−292870、特開2002−292879、特開2002−347252、特開2002−347253、特開2002−355978、特開2003−1829、特開2003−25590、特開2003−25592に記載されるような形態に適用可能である。なお、このとき複数色のインクを吐出させるため、ノズルは特開平5−16373、特開平6−218924、特開平6−226975、特開平7−178902、特開平8−174819、特開平8−290586、特開平9−150508、特開平9−150513、特開平10−58716、特開平10−193625、特開平11−48482、特開平11−91120、特開平11−227194、特開平11−254689、特開2000−127401 、特開2000−218803、特開2000−246901、特開2000−289205、特開2001−38890、特開2001−80081、特開2001−96734、特開2001−121698、特開2001−293862、特開2001−310463、特開2001−353876、特開2002−52722、特開2002−67343、特開2002−96479、特開2002−127416、特開2002−144590、特開2002−205396、特開2002−210966、特開2002−225281、特開2002−254635、特開2002−316420、特開2002−321374、特開2002−331668、特開2002−355975に記載されるように、複数列に構成されることにより、高速にカラー画像を形成することが可能となり、さらに複数列のノズル列を有するヘッドユニットを複数配置することにより更に高速化が可能となる。
【0643】
また、ノズルの表面は、特開平5−116327、特開平5−124198、特開平5−193140、特開平5−201005、特開平5−293963、特開平5−318743、特開平5−330063、特開平5−338180、特開平6−40040、特開平6−71892、特開平6−106727、特開平6−122210、特開平6−143586、特開平6−171094、特開平6−198894、特開平6−210857、特開平6−246921、特開平6−305149、特開平6−305151、特開平6−305152、特開平6−305153、特開平6−316079、特開平6−328688、特開平6−336009、特開平6−344560、特開平7−52395、特開平7−60972、特開平7−89077、特開平7−89079、特開平7−138763、特開平7−164635、特開平7−205428、特開平7−314693、特開平7−314694、特開平7−329303、特開平8−118659、特開平8−132625、特開平8−132626、特開平8−142333、特開平8−156262、特開平8−230195、特開平8−309997、特開平8−323984、特開平8−336977、特開平9−1808、特開平9−11465、特開平9−76492、特開平9−123461、特開平9−131880、特開平9−132657、特開平9−136416、特開平9−136421、特開平9−136422、特開平9−136423、特開平9−164689、特開平9−201975、特開平9−216370、特開平9−277536、特開平9−300626、特開平9−327922、特開平10−6494、特開平10−6513、特開平10−29308、特開平10−71721、特開平10−151744、特開平10−157141、特開平10−235869、特開平10−235870、特開平10−264400、特開平10−286967、特開平10−337874、特開平11−58746、特開平11−115193、特開平11−138822、特開平11−157082、特開平11−179921、特開平11−188879、特開平11−198384、特開平11−198385、特開平11−207966、特開平11−235826、特開平11−268278、特開平11−268279、特開平11−268284、特開平11−277749、特開平11−309863、特開2000−25231、特開2000−263794、特開2000−326514、特開2001−18398、特開2001−121709、特開2001−158818、特開2001−199069、特開2001−233972 、特開2001−246753、特開2001−260362、特開2001−310473、特開2001−315339 、特開2001−329392、特開2001−334671、特開2001−347668、特開2001−348444 、特開2001−353876、特開2002−46277、特開2002−59557、特開2002−103615、特開2002−127429、特開2002−160370、特開2002−187267、特開2002−219797、特開2002−225282、特開2002−292878に開示されるような表面処理を施すことにより、汚れの付着を防ぎ、安定した吐出を実現することができる。
【0644】
このような処理を施しても、なおノズル表面にインク滴の飛沫が付着する場合があり、また紙粉等の汚れが付着する場合がある。このため、特開平5−261942、特開平6−71904、特開平6−71905、特開平6−191060、特開平6−234209、特開平6−320743、特開平6−344574、特開平7−47681、特開平7−125263、特開平7−132607、特開平7−195708、特開平7−290716、特開平9−1832、特開平9−58023、特開平9−174865、特開平9−216387、特開平10−250089、特開2001−30507、特開2001−38917、特開2001−287382に開示されるように、ブレードにより清掃を行うことが好ましい。
【0645】
また、ノズルから各色のインクが均等に吐出させるとは限らず、特定のインクは長時間吐出されない場合もありうる。このようなときに、ノズル表面のインク乾燥を防止するため、特開平5−169668、特開平11−157102、特開2000−117993、特開2000−118004、特開2000−185410、特開2000−218826、特開2001−105613、特開2001−105629、特開2002−19132、特開2002−36594、特開2002−187293 、特開2002−254666、特開2002−307727、特開2002−337364に開示されるように、画像領域外で適宜インクを吐出させ、ヘッドに新しいインクを補給することにより、インク物性を適性値に維持することが好ましい。
【0646】
また、このような処置を施してもなお気泡がヘッド内に進入もしくはヘッド内で発生することがある。このような場合は、特開平5−515、特開平5−16376、特開平5−169668、特開平5−201008、特開平5−338133、特開平6−965、特開平6−8460、特開平6−31929、特開平6−64180、特開平6−79877、特開平6−79880、特開平6−106732、特開平6−115083、特開平6−143553、特開平6−234209、特開平6−238915、特開平6−255114、特開平6−262768、特開平6−270420、特開平6−293137、特開平6−328729、特開平6−340091、特開平7−9684、特開平7−40540、特開平7−101080、特開平7−125225、特開平7−125226、特開平7−125263、特開平7−132607、特開平7−132615、特開平7−137271、特開平7−205438、特開平7−266570、特開平7−276669、特開平7−290715、特開平7−304190、特開平7−314703、特開平7−323557、特開平8−58103、特開平8−58115、特開平8−224896、特開平8−276598、特開平8−281968、特開平8−310001、特開平8−323998、特開平8−336984、特開平9−1827、特開平9−11486、特開平9−30008、特開平9−57989、特開平9−57990、特開平9−58015、特開平9−58021、特開平9−76533、特開平9−118012、特開平9−141881、特開平9−141883、特開平9−150523、特開平9−187953、特開平9−216373、特開平9−267480、特開平10−34946、特開平10−34951、特開平10−44471、特開平10−119265、特開平10−119295、特開平10−119311、特開平10−128989、特開平10−129007、特開平10−157151、特開平10−166603、特開平10−175306、特開平10−193627、特開平10−202904、特開平10−217491、特開平10−217493、特開平10−250088、特開平10−296997、特開平10−305587、特開平10−305596、特開平10−323996、特開平10−324001、特開平11−115218、特開平11−115275、特開平11−138832、特開平11−138858、特開平11−157102、特開平11−157103、特開平11−192715、特開平11−245393、特開平11−334092、特開平11−334094、特開2000−15832、特開2000−33705、特開2000−43293、特開2000−62199、特開2000−62213、特開2000−85150、特開2000−85156、特開2000−103073、特開2000−118004、特開2000−141675 、特開2000−185410、特開2000−198214、特開2000−251674、特開2000−280494 、特開2000−343728、特開2001−18409、特開2001−18422、特開2001−54949、特開2001−58421、特開2001−71519、特開2001−88315、特開2001−105629、特開2001−138531、特開2001−138546、特開2001−171094、特開2001−180012、特開2001−212969、特開2001−212990、特開2001−219567、特開2001−246759、特開2001−260371、特開2001−260392、特開2001−341319、特開2002−36575、特開2002−36576、特開2002−36577、特開2002−52729、特開2002−86745、特開2002−103598、特開2002−103639、特開2002−127435、特開2002−127467、特開2002−127468、特開2002−137407、特開2002−137418、特開2002−166563、特開2002−166576、特開2002−192736、特開2002−210994、特開2002−211008、特開2002−234194、特開2002−234195、特開2002−254666、特開2002−283590、特開2002−307699、特開2002−307700、特開2002−347260、特開2002−355982、特開2002−356026、特開2002−361880、特開2002−361908、特開2003−53983に記載されるように、ヘッド外より強制的にインクを吸引することにより、物性の変化したインクを廃棄すると共に、気泡もヘッド外に排出することができる。
【0647】
さらに、長時間打滴しない場合は、特開平5−169668、特開平6−262768、特開平6−270420、特開平6−278287、特開平7−9684、特開平7−32602、特開平7−47683、特開平7−68767、特開平7−68769、特開平7−178896、特開平7−246711、特開平7−246715、特開平7−256891、特開平7−276669、特開平7−323557、特開平8−58105、特開平8−118670、特開平8−142351、特開平8−224865、特開平8−224896、特開平8−281968、特開平9−1827、特開平9−52372、特開平9−58015、特開平9−76535、特開平9−131898、特開平9−136407、特開平9−164693、特開平9−187953、特開平9−226108、特開平9−234879、特開平9−309210、特開平10−119311、特開平10−138464、特開平10−193627、特開平10−217441、特開平10−305596、特開平10−323987、特開平10−323988、特開平11−78041、特開平11−138830、特開平11−138832、特開平11−192716、特開平11−334093、特開2000−85135、特開2000−103073、特開2000−118004、特開2000−203041、特開2000−203042、特開2000−263801、特開2000−343727、特開2001−18422、特開2001−58421、特開2001−88314、特開2001−105629、特開2001−138531、特開2001−138546、特開2001−179999、特開2001−225478、特開2001−246759、特開2001−246765、特開2001−253081、特開2001−260372、特開2001−277527、特開2001−277529、特開2001−287377、特開2001−301185、特開2002−59568、特開2002−86745、特開2002−103649、特開2002−127439、特開2002−137407、特開2002−137408、特開2002−137418、特開2002−154213、特開2002−166563、特開2002−166576、特開2002−187287、特開2002−187288、特開2002−187289、特開2002−192736、特開2002−225299、特開2002−234195、特開2002−248780、特開2002−273897、特開2002−307699、特開2002−307700、特開2002−307701、特開2002−307727、特開2002−321376、特開2002−355982、特開2003−1837、特開2003−1855、特開2003−11377、特開2003−19810に開示されるように、キャップでノズル表面を覆うことにより、ノズル表面の乾燥を防止することができる。
【0648】
これらの措置を講じても、なお吐出しない場合がありうる。ノズルの一部が吐出しない状態で画像をプリントすると、画像にムラが発生する等の問題が発生する。このようなことを避けるため、特開平5−318765、特開平6−143548、特開平6−312512、特開平8−150713、特開平8−323976、特開平8−323992、特開平8−323993、特開平9−83702、特開平9−174824、特開平9−240018、特開平10−193619、特開平11−227174、特開2000−15790、特開2000−15791、特開2000−15847、特開2000−52542、特開2000−272116、特開2000−309090、特開2000−343686、特開2001−138519、特開2001−315318、特開2001−315363、特開2002−1935、特開2002−79693、特開2002−178492、特開2002−321368に開示されるように、吐出しないことを検出して処置をとることが有効である。
【0649】
ヘッドユニットを特開平5−8410、特開平5−167838、特開平6−99593、特開平6−115099、特開平7−52374、特開平9−1830、特開平9−193417、特開平10−151755、特開平10−151773、特開平10−157094、特開平10−157095、特開平10−157172、特開平10−250117、特開平10−291329、特開平10−337892、特開平11−58791、特開2000−108387、特開2000−238301、特開2000−309112、特開2001−10029、特開2001−80093、特開2001−96770、特開2001−130033、特開2001−146032、特開2001−171154に記載されるように機械的に移動させ、これと同期してメディアを直交方向に間欠的に移動させることにより重畳打滴をおこなうと、メディアの間欠的な移動の精度不良にともなうムラを見えにくくする効果があり、高画質を実現することが可能となる。
このとき、ヘッドの移動速度、メディアの移動量、ノズル数の関係を適宜設定することにより、画質と記録速度の関係を好ましい関係に設定することが可能となる。
【0650】
このようにヘッドが移動するにあたり、インクを保持するタンクはヘッドに対して固定されヘッドと共に移動する形態であってもよいし、特開平5−112015、特開平5−124214、特開平5−138899、特開平5−201011、特開平5−201027、特開平5−238017、特開平5−338203、特開平6−234209、特開平6−255128、特開平6−286157、特開平7−17046、特開平7−52406、特開平7−68779、特開平7−137271、特開平7−186405、特開平7−214790、特開平7−237302、特開平7−237303、特開平7−246713、特開平7−290722、特開平7−323575、特開平8−1957、特開平8−11319、特開平8−72232、特開平8−132640、特開平8−150727、特開平8−150730、特開平8−238783、特開平9−94956、特開平9−164697、特開平9−220816、特開平9−277561、特開平9−295413、特開平9−300652、特開平9−327929、特開平10−6521、特開平10−44456、特開平10−86395、特開平10−86407、特開平10−138511、特開平10−193637、特開平10−267737、特開平10−278289、特開平10−286974、特開平10−291300、特開平10−329340、特開平11−42795、特開平11−42796、特開平11−70666、特開平11−91124、特開平11−91125、特開平11−91127、特開平11−91128、特開平11−91129、特開平11−91130、特開平11−91137、特開平11−105300、特開平11−115203、特開平11−138841、特開平11−138858、特開平11−188890、特開平11−192717、特開平11−207985、特開平11−254702、特開平11−254703、特開平11−263023、特開平11−320901、特開平11−342630、特開2000−15830、特開2000−52569、特開2000−85137、特開2000−94706、特開2000−103074、特開2000−103075、特開2000−117998、特開2000−127423、特開2000−141707、特開2000−158667、特開2000−185395、特開2000−190529、特開2000−203051、特開2000−211156、特開2000−218815、特開2000−225713、特開2000−229421、特開2000−238281、特開2000−280486、特開2000−289222、特開2000−289232、特開2000−296625、特開2000−301732、特開2000−301737、特開2000−318184、特開2001−18412、特開2001−38920、特開2001−71524、特開2001−88323、特開2001−113724、特開2001−138534、特開2001−138543、特開2001−171139、特開2001−171141、特開2001−199083、特開2001−212972、特開2001−219571、特開2001−225479、特開2001−260371、特開2001−260382、特開2001−270132、特開2001−270133、特開2001−310481、特開2001−334685、特開2002−11867、特開2002−11868、特開2002−36579、特開2002−67348、特開2002−120385、特開2002−137416、特開2002−144601 、特開2002−172803、特開2002−187292、特開2002−211003、特開2002−234179 、特開2002−234180、特開2002−248779、特開2002−248782、特開2002−248789 、特開2002−248792、特開2002−301831、特開2002−307707、特開2002−307795 、特開2002−321379、特開2002−355985、特開2003−1845、特開2003−1849、特開2003−1850、特開2003−11382、特開2003−19812、に開示されるように、タンクは移動せずヘッドが移動し、タンクとヘッドは変形可能なチューブで連結されていても良い。
【0651】
さらにノズルを特開平5−138877、特開平5−177827、特開平6−155728、特開平6−183029、特開平7−171956、特開平7−276617、特開平7−276618、特開平7−276619、特開平7−276633、特開平8−192546、特開平9−57955、特開平9−226131、特開平9−239968、特開平9−254366、特開平10−764、特開平11−291581、特開平11−334047、特開2000−6389、特開2000−127362、特開2000−334935、特開2001−171070、特開2001−293848、特開2001−293853、特開2001−315385、特開2001−350425、特開2002−11865、特開2002−59550、特開2002−59561、特開2002−79657、特開2002−96462、特開2002−144542、特開2002−248744、特開2002−254649、特開2002−292857、特開2002−292858、特開2002−292954、特開2002−321345、特開2002−321378、特開2002−331687、特開2002−332144、特開2002−347226に記載されるように画像の幅と同等以上の幅分配置し、所謂ラインヘッドとなし、これらのノズルからの打滴と同時にメディアを移動させることにより、高速に画像を形成することが可能となる。
【0652】
記録するべき画像信号は、特開平6−210905、特開平6−293155、特開平7−32657、特開平7−81208、特開平7−264428、特開平7−264429、特開平7−274025、特開平8−163383、特開平9−18727、特開平9−69960、特開平9−74494、特開平9−102883、特開平9−102885、特開平9−109422、特開平9−170181、特開平10−271353、特開平10−278311、特開平10−278350、特開平10−285415、特開平11−20208、特開平11−48586、特開平11−78125、特開平11−170574、特開2000−134489、特開2000−181170、特開2001−10090、特開2001−47665、特開2001−277555、特開2001−309197、特開2002−36598、特開2002−60664、特開2002−105365、特開2002−160416、特開2002−241661、特開2002−338853、特開2003−39738、特開2003−51940に記載されるように、良好な色再現を得るべく信号処理を施すことが好ましい。
【0653】
(インクの用途)
本発明のインクの用途としては下記のものを挙げることができる。
【0654】
本発明のインクジェット記録用インクは、画像耐性に優れ、スペクトルがシャープで更に重合阻害作用が少ないので、カラーフィルターの作成や三次元着色造形にも好適に使用することが出来る。
【0655】
カラーフィルターはカラーテレビ、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器、自動車ナビゲーションシステム、パチンコ遊戯台等に使用されているカラー液晶パネルやカラービデオカメラ、イメージスキャナー等に使用される。フォトリソ工程が少なくて済むインクジェット方式を用いたカラーフィルターは、特開昭59−75205号公報、特開昭61−245106号公報、特開昭63−235901号公報、特開平1−217302号公報、特開平4−123005号公報、特開平7−146406号公報、特開平8−292317号公報、特開平8−271715号公報、特開平9−49921号公報、特許第2872596号明細書、特許第2952171号明細書、特許第3261011号明細書、特開平9−90115号公報、特開平9−318812号公報、特開平10−10515号公報、特開平11−202114号公報、特開2003−57427号公報等に記載の方法で作成することができる。
【0656】
本発明のインクジェット記録用インクをカラーフィルターの作成に適用するには、所定の着色効果が得られ、且つ所定の光学特性に合った染料を必要に応じ選定し、硬化性樹脂や水溶性溶媒その他の添加剤を適宜選択し、粘度、表面張力、接触角等の物性を吐出特性や適用基板に見合うように調整することで可能である。粘度は1〜20cpsであり、表面張力は20から60mN/m、好ましくは25から55mN/m、より好ましくは28から50mN/mの範囲である。パターニングの方法も、ストライプ状、格子状など適宜選択できる。又、適宜ブラックマトリックスを設けても良い。赤(R),緑(G),青(B)の各画素サイズは、40〜100μm程度が一般的である。
【0657】
三次元造形は、感光性樹脂や感光性樹脂製のフィルムよりなる像形成材料に選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を所定回数繰り返すことにより、硬化樹脂層が一体的に積層されてなる三次元立体像を形成する光造形法である。該三次元造形法に関しては、「光造形法」日刊工業新聞社(1990)に詳しく説明されている。又、特開昭60−247515号公報、特開昭63−39324号公報、特開平1−218831号公報、特開平2−36926号公報、特開平3−158228号公報等に記載の方法で作成することができる。実用的には、三次元CADやパーソナルコンピュータなどの設計デザインや三次元モデルデータから実体モデルを作成し意匠の確認や製品の試作等に応用される。該三次元立体像に着色を施すことにより、意匠デザイン、機械や人体等のスケルトンモデルの内部構造等をより見易い模型として得ることができる。
本発明のインクジェット記録用インクを三次元造形へのインクジェット法による着色に適用するには、該三次元造形の樹脂層を積層するプロセスで着色インクとして適用することができる。インクの性状は樹脂層の特性に合わせて適宜調整するのが好ましい。又、該三次元造形用の硬化性樹脂インクとして適用しても良い。
【0658】
本発明のインクジェット記録用インクは、通常のパーソナル分野やビジネス分野の文書や画像などの記録に留まらず、オンデマンド捺染、ダンボールや缶詰などの産業用マーキング、ワイドフォーマットやデジタルカラープルーフ出力、乗車券や入場券などの有価証券や各種カードなどの情報記録媒体へのオンデマンド記録などインク液滴を吐出させて印字記録を行うインクジェット記録装置およびインクジェット記録方式に好適に使用されるが、本発明の水性インクの用途はこれに限定されない。例えば、インクジェット記録以外の印刷や筆記具、スプレイ等による記録方法で、種々の用途に使用することもできる。中でも、記録方法や手段に係わらず、画像やパターンの耐性を必要とする用途や、重合反応を伴う画像形成用途に有用である。例えば、ディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料および屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
【0659】
ディスプレイ画像用材料としては、ポスター、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、商業宣伝用チラシ、包装紙、タグ、ラベル、ラッピング材料、紙袋、ビニール袋、パッケージ材料、看板、交通機関(自動車、バス、電車など)の側面に描画や添付した画像、ロゴ入りの洋服、等各種の物を指す。本発明の染料をディスプレイ画像の形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0660】
室内装飾材料としては、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、照明器具の部材、家具の部材、床や天井のデザイン部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0661】
屋外装飾材料としては、壁材、ルーフィング材、看板、ガーデニング材料屋外装飾小物(置物や人形など)、屋外照明器具の部材、道路標識、旗、のぼり、垂れ幕等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像ののみならず、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0662】
以上のような用途において、パターンが形成されるメディアとしては、普通紙やインクジェット専用紙、写真用紙、OHP用フィルムに限らず、布(不織布、テント地も含む)や皮革、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、鉱物、木材など種々の物を挙げることができる。
【0663】
又、転写可能な中間転写媒体に、本発明のインクジェット記録用インクを用いて画像を形成した後、被転写体と中間転写媒体の受像面とを対面させ、加熱又は加圧し、次いで被転写体から中間転写媒体を剥離することにより、一般紙、金属、プラスチック、ガラス等にも特殊な表面処理を施すことなく、パターンを形成することも出来る。該方法は、カラープルーフとして特に有用である。転写の手段としては、アイロン、サーマルヘッド、ホットスタンパー、熱ロール等の従来公知の加熱・加圧手段がいずれも使用できる。例えば、個人用途で画像形成する場合は、中間転写媒体の裏面に当て布をして、或いは直接にアイロン等の簡易治具で被転写体にインク受容層を転写することが好ましい。そして、業務用ではラミネーター等の簡易装置を使用することが好ましい。更に、量産向けに画像形成する場合は、ヒートロールやヒートプレスの自動装置を使用することが好ましい。転写する被転写体としては特に限定されるものではなく、例えば、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、金属、ガラス等いずれの物質でもよく、又形状的には、カード、はがき、パスポート、便箋、レポート用紙、ノート、カタログ等いずれのものでもよく、特に表面の粗い普通紙、ラフ紙にも適用可能である。
【0664】
染色形態としては、媒染、捺染、もしくは反応性基を導入した反応性染料の形で色素を固定化することもできる。この中で、好ましくは媒染形態で染色されることが好ましい。
【0665】
本発明のインクジェット記録インクで作成された記録物を、更に、耐気性、耐オゾン性、耐水性、耐傷性等の画像耐性や取り扱い性を向上するために、必要に応じてインクジェット記録後、得られた画像やパターン上に樹脂によるオーバーコートやフィルムラミネートを施しても良い。
【0666】
本発明のインク液を調液する際には、水溶性インクの場合、まず水に溶解することが好ましい。そのあと、各種溶剤や添加物を添加し、溶解、混合して均一なインク液とする。
このときの溶解方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。中でも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
【0667】
本発明において用いることができる上記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)およびその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。尚、前記水混和性有機溶剤は、2種類以上を併用してもよい。
【0668】
前記染料が油溶性染料の場合は、該油溶性染料を高沸点有機溶媒中に溶解させ、水性媒体中に乳化分散させることによって調製することができる。
本発明に用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロへキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド)、アルコール類またはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)などが挙げられる。高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕で使用してもよい。
【0669】
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例及び/またはこれら高沸点有機溶媒の合成方法は例えば米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等に記載されている。
上記高沸点有機溶媒は、油溶性染料に対し、質量比で0.01〜3.0倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用する。
【0670】
本発明では油溶性染料や高沸点有機溶媒は、水性媒体中に乳化分散して用いられる。乳化分散の際、乳化性の観点から場合によっては低沸点有機溶媒を用いることができる。低沸点有機溶媒としては、常圧で沸点約30℃以上150℃以下の有機溶媒である。例えばエステル類(例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、エチルプロピオネート、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート)、アルコール類(例えばイソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、セカンダリーブチルアルコール)、ケトン類(例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)等が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
【0671】
乳化分散は、高沸点有機溶媒と場合によっては低沸点有機溶媒の混合溶媒に染料を溶かした油相を、水を主体とした水相中に分散し、油相の微小油滴を作るために行われる。この際、水相、油相のいずれか又は両方に、後述する界面活性剤、湿潤剤、染料安定化剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。なお、本発明に用いる染料が水溶性で、添加剤が油溶性の場合にも前記乳化法を適用し得る。
【0672】
乳化分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0673】
また、乳化直後の安定化を図る目的で、上記界面活性剤と併用して水溶性ポリマーを添加することもできる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共重合体が好ましく用いられる。また多糖類、カゼイン、ゼラチン等の天然水溶性ポリマーを用いるのも好ましい。さらに染料分散物の安定化のためには実質的に水性媒体中に溶解しないアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、ビニルエーテル類、アクリロニトリル類の重合により得られるポリビニルやポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート等も併用することができる。これらのポリマーは−SO 、−COOを含有していること好ましい。これらの実質的に水性媒体中に溶解しないポリマーを併用する場合、高沸点有機溶媒の20質量%以下用いられることが好ましく、10質量%以下で用いられることがより好ましい。
【0674】
乳化分散により油溶性染料や高沸点有機溶媒を分散させて水性インクとする場合、特に重要なのはその粒子サイズのコントロールである。インクジェットにより画像を形成した際の、色純度や濃度を高めるには平均粒子サイズを小さくすることが必須である。体積平均粒径で好ましくは1μm以下、より好ましくは5〜100nmである。
前記分散粒子の体積平均粒径および粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の417〜418ページに記載されている方法を用いるなど、公知の方法で容易に測定することができる。例えば、インク中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均粒径測定機(例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり特に好ましい。
体積平均粒径とは粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の総体積で割ったものである。体積平均粒径については「高分子ラテックスの化学(室井 宗一著 高分子刊行会)」の119ページに記載がある。
【0675】
また、粗大粒子の存在も印刷性能に非常に大きな役割を示すことが明らかになった。即ち、粗大粒子がヘッドのノズルを詰まらせる、あるいは詰まらないまでも汚れを形成することによってインクの不吐出や吐出のヨレを生じ、印刷性能に重大な影響を与えることが分かった。これを防止するためには、インクにした時にインク1μl中で5μm以上の粒子を10個以下、1μm以上の粒子を1000個以下に抑えることが重要である。
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。これらの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種添加剤を加えた後、インクカートリッジに充填する直前でもよい。
平均粒子サイズを小さくし、且つ粗大粒子を無くす有効な手段として、機械的な乳化装置を用いることができる。
【0676】
乳化装置としては、簡単なスターラーやインペラー撹拌方式、インライン撹拌方式、コロイドミル等のミル方式、超音波方式など公知の装置を用いることができるが、高圧ホモジナイザーの使用は特に好ましいものである。
高圧ホモジナイザーは、US−4533254号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等がある。
また、近年になってUS−5720551号に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEE INTERNATIONAL LTD.)があげられる。
【0677】
高圧乳化分散装置で乳化する際の圧力は50MPa以上であり、好ましくは60MPa以上、更に好ましくは180MPa以上である。
例えば、撹拌乳化機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのは特に好ましい方法である。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、湿潤剤や界面活性剤等の添加剤を添加した後、カートリッジにインクを充填する間に再度高圧ホモジナイザーを通過させる方法も好ましい方法である。
高沸点有機溶媒に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化物の安定性及び安全衛生上の観点から低沸点溶媒を除去するのが好ましい。低沸点溶媒を除去する方法は溶媒の種類に応じて各種の公知の方法を用いることができる。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この低沸点有機溶剤の除去工程は乳化直後、できるだけ速やかに行うのが好ましい。
【0678】
なお、インクジェット用インクの調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
【0679】
本発明のインクジェット用インクの製造においては、染料などの添加物の溶解工程等に超音波振動を加えることもできる。
超音波振動とは、インクが記録ヘッドで加えられる圧力によって気泡を発生することを防止するため、記録ヘッドで受けるエネルギーと同等かそれ以上の超音波エネルギーを予めインクの製造工程中に加えて気泡を除去しておくものである。
超音波振動は、通常、振動数20kHz以上、好ましくは40kHz以上、より好ましくは50kHzの超超音波である。また超音波振動により液に加えられるエネルギーは、通常、2×10J/m以上、好ましくは5×10J/m以上、より好ましくは1×10J/m以上である。また、超音波振動の付与時間としては、通常、10分〜1時間程度である。
【0680】
超音波振動を加える工程は、染料を媒体に投入以降であれば何時行っても効果を示す。完成後のインクを一旦保存した後に超音波振動を加えても効果を示す。しかし、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する際に超音波振動を付加することが、気泡除去の効果がより大きく、尚且つ超音波振動により色素の媒体への溶解及び/又は分散が促進されるので好ましい。
即ち、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する工程中でもその工程後であってもいずれの場合にも行うことができる。換言すれば、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、インク調製後に製品となるまでの間に任意に1回以上行うことができる。
【0681】
実施の形態としては媒体中に溶解及び/又は分散する工程は、前記染料を全媒体の一部分の媒体に溶解する工程と、残余の媒体を混合する工程とを有することが好ましく、上記少なくともいずれかの工程に超音波振動を加えることが好ましく、染料を全媒体の一部分の媒体に溶解する工程に少なくとも超音波振動を加えることが更に好ましい。
上記残余の溶媒を混合する工程は、単独工程でも複数工程でもよい。
【0682】
また、本発明によるインク製造に加熱脱気あるいは減圧脱気を併用することは、インク中の気泡除去の効果を上げるので好ましい。加熱脱気工程あるいは減圧脱気工程は、残余の媒体を混合する工程と同時またはその後に実施することが好ましい。
超音波振動を加える工程における、超音波振動発生手段としては、超超音波分散機等の公知の装置が挙げられる。
【0683】
本発明のインクジェット用インクを作製する際には、さらに調液した後に行われる、濾過により固形分であるゴミを除く工程が重要である。この作業には濾過フィルターを使用するが、このときの濾過フィルターとは、有効径が1μm以下、好ましくは0.3μm以下0.05μm以上、特に好ましくは0.3μm以下0.25μm以上のフィルターを用いる。フィルターの材質としては種々のものが使用できるが、特に水溶性染料のインクの場合には、水系の溶媒用に作製されたフィルターを用いるのが好ましい。中でも特にゴミの出にくい、ポリマー材料で作製されたフィルターを用いるのが好ましい。濾過法としては送液によりフィルターを通過させてもよいし、加圧濾過、減圧濾過のいずれの方法も利用可能である。
【0684】
この濾過後には溶液中に空気を取り込むことが多い。この空気に起因する泡もインクジェット記録において画像の乱れの原因となることが多いため、前述の脱泡工程を別途設けることが好ましい。脱泡の方法としては、濾過後の溶液を静置してもよいし、市販の装置などを用いた超超音波脱泡や減圧脱泡等種々の方法が利用可能である。超超音波による脱泡の場合は、好ましくは30秒〜2時間、より好ましくは5分〜1時間程度脱泡操作を行うとよい。
【0685】
これらの作業は、作業時におけるゴミの混入を防ぐため、クリーンルームもしくはクリーンベンチなどのスペースを利用して行うことが好ましい。本発明では特にクリーン度としてクラス1000以下のスペースにおいてこの作業を行うことが好ましい。ここで「クリーン度」とは、ダストカウンターにより測定される値を指す。
【0686】
本発明のインクジェット用インクには、インクの噴射口での乾操による目詰まりを防止するための乾燥防止剤、インクを紙によりよく浸透させるための浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤等の添加剤を適宜選択して適量使用することができる。
【0687】
本発明に使用される乾燥防止剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0688】
本発明に使用される浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に10〜30質量%含有すれば充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0689】
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンゾオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0690】
本発明では、画像の保存性を向上させるために使用される酸化防止剤として、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0691】
本発明に使用される防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
尚、これらの詳細については「防菌防黴剤事典」(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載されている。
また、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは、インク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
【0692】
本発明に使用されるpH調整剤はpH調節、分散安定性付与などの点で好適に使用することができ、25℃でのインクのpHが8〜11に調整されていることが好ましい。pHが8未満である場合は染料の溶解性が低下してノズルが詰まりやすく、11を超えると耐水性が劣化する傾向がある。pH調製剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機アルカリ等が、酸性のものとして有機酸、無機酸等が挙げられる。
塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウムなどの無機化合物やアンモニア水、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ピペリジン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、キノリン、ピコリン、ルチジン、コリジン等の有機塩基を使用することも可能である。
酸性化合物としては、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸、酒石酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サッカリン酸、フタル酸、ピコリン酸、キノリン酸等の有機化合物を使用することもできる。
【0693】
本発明のインクの伝導度は0.01〜10S/mの範囲である。中でも好ましい範囲は伝導度が0.05〜5S/mの範囲である。
伝導度の測定方法は、市販の飽和塩化カリウムを用いた電極法により測定可能である。
伝導度は主に水系溶液中のイオン濃度によってコントロール可能である。塩濃度が高い場合、限外濾過膜などを用いて脱塩することができる。また、塩等を加えて伝導度調節する場合、種々の有機物塩や無機物塩を添加することにより調節することができる。
無機物塩としては、ハロゲン化物カリウム、ハロゲン化物ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、サッカリン酸カリウム、フタル酸カリウム、ピコリン酸ナトリウム等の有機化合物を使用することもできる。
また、他の添加剤の成分を選定することによっても伝導度を調整し得る。
【0694】
本発明のインク粘度は、25℃において1〜20mPa・sである。更に好ましくは2〜15mPa・sであり、特に好ましくは2〜10mPa・sである。30mPa・sを超えると記録画像の定着速度が遅くなり、吐出性能も低下する。1mPa・s未満では、記録画像がにじむために品位が低下する。
粘度の調製はインク溶剤の添加量で任意に調製可能である。インク溶剤として例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどがある。
また、粘度調整剤を使用してもよい。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げられる。更に詳しくは、「粘度調製技術」(技術情報協会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されている。
【0695】
液体の粘度測定法はJISのZ8803に詳細に記載されているが、市販品の粘度計にて簡便に測定することができる。例えば、回転式では東京計器のB型粘度計、E型粘度計がある。本発明では山一電機の振動式VM−100A−L型により25℃にて測定した。粘度の単位はパスカル秒(Pa・s)であるが、通常はミリパスカル秒(mPa・s)を用いる。
【0696】
本発明で用いるインクの表面張力は動的・静的表面張力のいずれも、25℃において20〜50mN/m以下であることが好ましく、20〜40mN/m以下であることが更に好ましい。表面張力が50mN/mを超えると吐出安定性、混色時のにじみ、ひげ等印字品質が著しく低下する。また、インクの表面張力を20mN/m以下にすると吐出時、ハード表面へのインクの付着等により印字不良となる場合がある。
表面張力を調整する目的において、前記カチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤を添加することができる。界面活性剤は、インクジェット用インクに対して0.01〜20質量%の範囲で用いられることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲で用いられることがさらに好ましい。また、界面活性剤は2種以上を併用することができる。
【0697】
静的表面張力測定法としては、毛細管上昇法、滴下法、吊環法等が知られているが、本発明においては、静的表面張力測定法として、垂直板法を用いている。
ガラスまたは白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液面と板との接する部分に沿って液体の表面張力が下向きに働く。この力を上向きの力で釣り合わせて表面張力を測定することができる。
【0698】
また、動的表面張力測定法としては、例えば、「新実験化学講座、第18巻、界面とコロイド」[(株)丸善、p.69〜90(1977)]に記載されるように、振動ジェット法、メニスカス落下法、最大泡圧法などが知られており、さらに、特開平3−2064号公報に記載されるような液膜破壊法が知られているが、本発明においては、動的表面張力測定法として、バブルプレッシャー差圧法を用いている。以下、その測定原理と方法について説明する。
【0699】
撹拌して均一となった溶液中で気泡を生成すると、新たな気−液界面が生成され、溶液中の界面活性剤分子が水の表面に一定速度で集まってくる。バブルレート(気泡の生成速度)を変化させたとき、生成速度が遅くなれば、より多くの界面活性剤分子が泡の表面に集まってくるため、泡がはじける直前の最大泡圧が小さくなり、バブルレートに対する最大泡圧(表面張力)が検出できる。好ましい動的表面張力測定としては、大小二本のプローブを用いて溶液中で気泡を生成させ、二本のプローブの最大泡圧状態での差圧を測定し、動的表面張力を算出する方法を挙げることができる。
【0700】
本発明のインク中における不揮発性成分は、インクの全量の10〜70質量%であることがインクの吐出安定性やプリント画質、画像の各種堅牢性や印字後の画像の滲みと印字面のべたつき低減の点で好ましく、20〜60質量%であることがインクの吐出安定性や印字後の画像の滲みの低減の点でさらに好ましい。
ここで、不揮発性成分とは、1気圧のもとでの沸点が150℃以上の液体や固体成分、高分子量成分を意味する。インクジェット記録用インクの不揮発性成分は、染料、高沸点溶媒、必要により添加されるポリマーラテックス、界面活性剤、染料安定化剤、防黴剤、緩衝剤などであり、これら不揮発性成分の多くは、染料安定化剤以外ではインクの分散安定性を低下させ、また印字後にもインクジェット受像紙上に存在するため、受像紙での染料の会合による安定化を阻害し、画像部の各種堅牢性や高湿度条件下での画像の滲みを悪化させる性質を有している。
【0701】
本発明においては高分子量化合物を含有することも可能である。ここで高分子量化合物とは、インク中に含まれている数平均分子量が5000以上のすべての高分子化合物を指す。これらの高分子化合物としては水性媒体中に実質的に溶解する水溶性高分子化合物や、ポリマーラテックス、ポリマーエマルジョンなどの水分散性高分子化合物、さらには補助溶剤として使用する多価アルコールに溶解するアルコール可溶性高分子化合物などが挙げられるが、実質的にインク液中に均一に溶解又は分散するものであれば、いずれも本発明における高分子量化合物に含まれる。
【0702】
水溶性高分子化合物の具体例としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、多糖類、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチンなどの天然水溶性高分子、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共重合体などの水性アクリル樹脂、水性アルキッド樹脂、分子内に−SO 、−COO基を有してい実質的に水性媒体中に溶解する水溶性高分子化合物が挙げられる。
また、ポリマーラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス、スチレンーアクリルラテックスやポリウレタンラテックスなどが挙げられる。さらに、ポリマーエマルジョンとしては、アクリルエマルジョンなどが挙げられる。
これらの水溶性高分子化合物は単独でも2種以上併用して用いることもできる。
【0703】
水溶性高分子化合物は、すでに述べたように粘度調整剤として、吐出特性の良好な粘度領域にインクの粘度を調節するために使用されるが,その添加量が多いとインクの粘度が高くなってインク液の吐出安定性が低下し、インクが経時したときに沈殿物によってノズルがつまり易くなる。
粘度調整剤の高分子化合物の添加量は、添加する化合物の分子量にもよるが(高分子量のものほど添加量は少なくて済む)、インク全量に対して添加量を0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜1質量%である。
本発明では前記した界面活性剤とは別に表面張力調整剤として、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0704】
また本発明では分散剤、分散安定剤として上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
【0705】
〔受像材料〕
本発明に用いられる受像材料としては、下記で説明する反射型メディアである記録紙及び記録フィルムが挙げられる。
【0706】
記録紙及び記録フィルムにおける支持体はLBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。支持体としては、これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/mが望ましい。
支持体にそのまま受像層及びバックコート層を設けて本発明のインクの受像材料としてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよい。さらに支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテンおよびそれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙およびプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0707】
支持体上に設けられる受像層には、多孔質材料や水性バインダーが含有される。また、受像層には顔料を含むのが好ましく、顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法(気相法)によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能である。
【0708】
上記顔料を受像層に含有する記録紙としては、具体的には、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号などに開示されたものを用いることができる。
【0709】
受像層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独または2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
【0710】
受像層は、顔料及び水性バインダーの他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐ガス性向上剤、界面活性剤、硬膜剤その他の添加剤を含有することができる。
【0711】
受像層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0712】
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド等が挙げられる。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
【0713】
耐光性向上剤、耐ガス性向上剤としては、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、チオエーテル化合物、チオ尿素化合物、チオシアン酸化合物、アミン化合物、ヒンダードアミン化合物、TEMPO化合物、ヒドラジン化合物、ヒドラジド化合物、アミジン化合物、ビニル基含有化合物、エステル化合物、アミド化合物、エーテル化合物、アルコール化合物、スルフィン酸化合物、糖類、水溶性還元性化合物、有機酸、無機酸、ヒドロキシ基含有有機酸、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、ヘテロ環化合物、水溶性金属塩、有機金属化合物、金属錯体等があげられる。
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものがあげられる。
【0714】
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
【0715】
硬膜剤としては特開平1−161236号公報の222頁、特開平9−263036号、特開平10−119423号、特開2001−310547号に記載されている材料などを用いることができる。
【0716】
その他の受像層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0717】
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0718】
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0719】
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バック層を含む)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。ポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−136648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止できる。
【0720】
〔インクジェット記録〕
本発明におけるインクの記録材料上への打滴体積は0.1pl以上100pl以下が好ましい。打滴体積のより好ましい範囲は0.5pl以上50pl以下であり、特に好ましい範囲は2pl以上50pl以下である。
【0721】
本発明では、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。インクの打滴体積の制御は主にプリントヘッドにより行われる。
【0722】
例えばサーマルインクジェット方式の場合、プリントヘッドの構造で打滴体積を制御することが可能である。すなわち、インク室、加熱部、ノズルの大きさを変えることにより、所望のサイズで打滴することができる。またサーマルインクジェット方式であっても、加熱部やノズルの大きさが異なる複数のプリントヘッドを持たせることで、複数サイズの打滴を実現することも可能である。
ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式の場合、サーマルインクジェット方式と同様にプリントヘッドの構造上打滴体積を変えることも可能であるが、後述するようにピエゾ素子を駆動する駆動信号の波形を制御することにより、同じ構造のプリントヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
【0723】
本発明においてインクを、記録材料へ打滴するときの吐出周波数は1kHz以上が好ましい。
写真のように、高画質の画像を記録するためには、小さいインク滴で鮮鋭度の高い画像を再現するため、打滴密度を600dpi(1インチあたりのドット数)以上とする必要がある。
一方、インクを複数のノズルを有するヘッドで打滴するにあたり、記録紙とヘッドが互いに直交する方向に移動して記録するタイプでは同時に駆動できるヘッドの数は数十から200程度であり、ラインヘッドと呼ばれるヘッドが固定されたタイプでも数百であるという制約がある。これは駆動電力に制約があることや、ヘッドでの発熱が画像に影響を及ぼすため、多数のヘッドノズルを同時に駆動できないためである。このため、打滴密度を上げて記録するには、記録速度が長くなりがちであるが、駆動周波数を高くすることにより、記録速度を上げることが可能である。
【0724】
打滴周波数を制御するには、サーマルインクジェット方式の場合、ヘッドを加熱するヘッド駆動信号の周波数を制御することで可能である。
ピエゾ方式の場合、ピエゾを駆動する信号の周波数を制御することで可能である。
ピエゾヘッドの駆動に関して説明する。プリントすべき画像信号はプリンタ制御部により、打滴サイズ、打滴速度、打滴周波数が決定され、プリントヘッドを駆動する信号が作成される。駆動信号はプリントヘッドに供給される。ピエゾを駆動する信号により打滴サイズ、打滴速度、打滴周波数が制御される。ここで打滴サイズと打滴速度は駆動波形の形状と振幅で決定され、周波数は信号の繰返し周期で決定される。
この打滴周波数を10kHzに設定すると、100マイクロ秒ごとにヘッドは駆動され、400マイクロ秒で1ラインの記録が終了する。記録紙の移動速度を400マイクロ秒に1/600インチすなわち約42ミクロン移動するように設定することにより、1.2秒に1枚の速度でプリントすることができる。
【0725】
本発明のインクジェット用インクを用いる印刷装置の構成、プリンタの構成に関しては、たとえば特開平11−170527号公報に開示されるような様態が好適である。また、インクカートリッジに関しては、たとえば特開平5−229133号公報に開示されるものが好適である。吸引およびその際に印字ヘッド28を覆うキャップ等の構成に関しては、たとえば特開平7−276671号公報に開示されるものが好適である。また、ヘッド近傍には特開平9−277552号公報に開示されるような気泡を排除するためのフィルターを備えることが好適である。
また、ノズルの表面は特願2001−16738に記載されるような撥水処理を施すことが好適である。用途としては、コンピュータと接続されるプリンタであってもよいし、写真をプリントすることに特化した装置であってもよい。
【0726】
本発明のインクジェット用インクは、記録材料へ打滴するときの平均打滴速度が2m/sec以上とするのが好ましく、5m/sec以上とするのがより好ましい。
打滴速度を制御するには、ヘッドを駆動する波形の形状と振幅を制御することにより行う。
また複数の駆動波形を使い分けることにより、同じヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
【0727】
〔インクジェット用途〕
本発明のインクジェット用インクは、インクジェット記録以外の用途に使用することもできる。例えば、ディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料および屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
【0728】
ディスプレイ画像用材料としては、ポスター、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、商業宣伝用チラシ、包装紙、ラッピング材料、紙袋、ビニール袋、パッケージ材料、看板、交通機関(自動車、バス、電車など)の側面に描画や添付した画像、ロゴ入りの洋服、等各種の物を指す。本発明の染料をディスプレイ画像の形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0729】
室内装飾材料としては、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、照明器具の部材、家具の部材、床や天井のデザイン部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0730】
屋外装飾材料としては、壁材、ルーフィング材、看板、ガーデニング材料屋外装飾小物(置物や人形など)、屋外照明器具の部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像ののみならず、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
【0731】
以上のような用途において、パターンが形成されるメディアとしては、紙、繊維、布(不織布も含む)、プラスチック、金属、セラミックス等種々の物を挙げることができる。染色形態としては、媒染、捺染、もしくは反応性基を導入した反応性染料の形で色素を固定化することもできる。この中で、好ましくは媒染形態で染色されることが好ましい。
【0732】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0733】
(実施例1)
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してインク液LM−101を調製した。
〔ライトマゼンタインク LM−101処方〕
(固形分)
本発明のマゼンタ色素 7.5g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
〔ライトマゼンタインク LM−101処方〕
(固形分)
さらに上記処方でマゼンタ色素(a−36)を30gに増量したマゼンタ用インク液 M−101を調製した。
〔マゼンタインク M−101処方〕
(固形分)
本発明のマゼンタ色素(a−36) 30g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
LM−101とM−101に対して、下記の通りに添加物を加えた以外は全く同じ組成のインクLM−102〜108、M−102〜108をそれぞれ作製した。
【0734】
【表14】
Figure 2004331871
【0735】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−970Cのマゼンタインク・ライトマゼンタインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−970Cのインクを用いて、マゼンタの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙画彩に画像を印刷し、インクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
(評価実験)
1)吐出安定性については、プリンターを10℃20%RH、10℃90%RH、35℃20%RH、35℃90%RHの4つの恒温恒湿室に設置し、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後、48時間電源プラグをはずして放置させた。その後、再起動してA4でサンプル画像を20枚出力し、以下の基準で評価した。
A:全ての環境条件下、印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:ある条件では印字の乱れのある出力が発生する
C:ある条件では印刷開始から終了まで印字の乱れあり
D:全ての条件で印刷開始から終了まで印字の乱れあり
2)画像保存性については、マゼンタの階段状に濃度の変化した純色ベタパターン画像印字サンプルを作製し、以下の評価を行った。
▲1▼光堅牢性は印字直後の画像濃度CiをX−rite 310にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が70%以上の場合をA、2点が70%未満の場合をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとした。
▲2▼熱堅牢性については、80℃15%RHの条件下に10日間、試料を保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
▲3▼耐オゾン性については、前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。また、光褪色については、人物の写真をアウトプットしたサンプルを用い、褪色後の評価を行った。画像に大きな変化が見られないものをA、若干の劣化はあるが許容範囲のものをB、劣化が明確にわかるものをC、劣化がひどく画像としての価値がほとんど認められないものをDとして評価した。
得られた結果を表に示す。
【0736】
【表15】
Figure 2004331871
【0737】
表の結果から、本発明のインクセットを使用した系ではすべての性能で比較例に対して勝っていることがわかった。
(実施例2)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトシアン用インク液(LC−101)を調製した。
〔ライトシアンインク LC−101処方〕
(固形分)
本発明のシアン色素 (154) 15g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
さらに上記処方でシアン色素(154)を47gに増量したシアン用インク液 C−101を調製した。
〔シアンインク C−101処方〕
(固形分)
本発明のシアン色素 (154) 47g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
LC−101とC−101に対して、下記の通りに添加物を加えた以外は全く同じ組成のインクLC−102〜108、C−102〜108をそれぞれ作製した。
【0738】
【表16】
Figure 2004331871
【0739】
これらのインクをヒューレットパッカード(HP)社製インクジェットプリンターdeskjet5551のシアンインク・ライトシアンインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはdeskjet5551のインクを用いて、シアンの単色画像を印字させた。受像シートはHP社純正写真用紙に画像を印刷し、インクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
(評価実験)
1)吐出安定性については、プリンターを10℃20%RH、10℃90%RH、35℃20%RH、35℃90%RHの4つの恒温恒湿室に設置し、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後、48時間電源プラグをはずして放置させた。その後、再起動してA4でサンプル画像を20枚出力し、以下の基準で評価した。
A:全ての環境条件下、印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:ある条件では印字の乱れのある出力が発生する
C:ある条件では印刷開始から終了まで印字の乱れあり
D:全ての条件で印刷開始から終了まで印字の乱れあり
2)画像保存性については、マゼンタの階段状に濃度の変化した純色ベタパターン画像印字サンプルを作製し、以下の評価を行った。
▲1▼光堅牢性は印字直後の画像濃度CiをX−rite 310にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が70%以上の場合をA、2点が70%未満の場合をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとした。
▲2▼熱堅牢性については、80℃15%RHの条件下に10日間、試料を保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
▲3▼耐オゾン性については、前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。また、光褪色については、人物の写真をアウトプットしたサンプルを用い、褪色後の評価を行った。画像に大きな変化が見られないものをA、若干の劣化はあるが許容範囲のものをB、劣化が明確にわかるものをC、劣化がひどく画像としての価値がほとんど認められないものをDとして評価した。
得られた結果を表に示す。
【0740】
【表17】
Figure 2004331871
【0741】
表の結果から、本発明のインクセットを使用した系では吐出安定性の面で比較例に対して勝っていることがわかった。また、色素の堅牢性の面でHP社のインク(純正インク)に比べて勝っていることがわかった。
(実施例3)
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してイエローインク液 Y−101を調製した。
〔イエローインク Y−101処方〕
(固形分)
本発明のイエロー染料 (YI−58) 50g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
さらに上記処方でマゼンタ染料ならびにシアン染料を加えたダークイエローインク液 DY−101を調製した。
〔ダークイエローインク DY−101処方〕
(固形分)
本発明のイエロー染料 (YI−58) 50g/l
マゼンタ染料 (A) 2g/l
シアン染料 (B) 2g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
ここで使用したイエロー染料(YI−58)及び(YI−59)の酸化電位は、染料の1mmol/l水溶液を用いた滴下水銀電極法、サイクリックボルタンメトリー(CV)法、回転リングディスク電極法のいずれの測定法においても、1.0V(vs SCE)以上であった。
また、インクの比較タイプとしてエプソン(株)社製のPM−970Cのイエローインクカートリッジ、ダークイエローインクカートリッジを使用した。
以上の染料を使用して、下記イエローインクならびにダークイエローインクを作製した。
【0742】
【表18】
Figure 2004331871
【0743】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−970Cのイエローインク・ダークイエローインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−970Cのインクを用いて、階段状に濃度が変化したイエローの単色画像パターンならびにグレーの画像パターンを印字させた。また、これとは別にISO/JIS 12640のテスト画像チャートを用いて画像の色調を目視評価した。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」に画像を印刷し、画像品質ならびにインクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
(評価実験)
1)吐出安定性については、プリンターを10℃20%RH、10℃90%RH、35℃20%RH、35℃90%RHの4つの恒温恒湿室に設置し、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後、48時間電源プラグをはずして放置させた。その後、再起動してA4でサンプル画像を20枚出力し、以下の基準で評価した。
A:全ての環境条件下、印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:ある条件では印字の乱れのある出力が発生する
C:ある条件では印刷開始から終了まで印字の乱れあり
D:全ての条件で印刷開始から終了まで印字の乱れあり
2)画像保存性については、マゼンタの階段状に濃度の変化した純色ベタパターン画像印字サンプルを作製し、以下の評価を行った。
▲1▼光堅牢性は印字直後の画像濃度CiをX−rite 310にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が70%以上の場合をA、2点が70%未満の場合をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとした。
▲2▼熱堅牢性については、80℃15%RHの条件下に10日間、試料を保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
▲3▼耐オゾン性については、前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。また、光褪色については、人物の写真をアウトプットしたサンプルを用い、褪色後の評価を行った。画像に大きな変化が見られないものをA、若干の劣化はあるが許容範囲のものをB、劣化が明確にわかるものをC、劣化がひどく画像としての価値がほとんど認められないものをDとして評価した。
得られた結果を表に示す。
【0744】
【表19】
Figure 2004331871
【0745】
表の結果から、本発明のインクを使用した系ではすべての性能で比較例に対して勝っていることがわかった。
(実施例4)
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してブラックインク液 Bk−101を調製した。
〔ブラックインク Bk−101処方〕
(固形分)
本発明のブラック染料(L:長波側) (BL−1) 70g/l
本発明のブラック染料(S:短波側) (BS−1) 15g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
エーロゾルOT(EOT) 10g/l 10g/l
ここで使用したブラック染料(L:BL−1 および S:BS−1)の酸化電位(Eox)は、染料の1mmol/l水溶液を用いた滴下水銀電極法、サイクリックボルタンメトリー法、ならびに回転リングディスク電極法のいずれの測定法においても、1.0V(vs SCE)以上であった。
これらのインクを、キャノン社のPIXUS950iインクジェットプリンターのブラックインクカートリッジインク部に充填して用いたインクセットと、そのままの純正インクカートリッジを用いた系においてブラックの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、インクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
また、インクの比較タイプとしてキャノン社製のPIXUS950iのブラックインクカートリッジを使用した。
以上のBk−101処方を変更して、下表のブラックインクを作製した。
【0746】
【表20】
Figure 2004331871
【0747】
【化108】
Figure 2004331871
【0748】
これらのインクを、キャノン社のPIXUS950iインクジェットプリンターのブラックインクカートリッジインク部に充填して用いたインクセットと、その他のカラーインクはPIXUS950iの純正インクを用いた系においてブラックの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、インクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
(評価実験)
1)吐出安定性については、プリンターを10℃20%RH、10℃90%RH、35℃20%RH、35℃90%RHの4つの恒温恒湿室に設置し、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後、48時間電源プラグをはずして放置させた。その後、再起動してA4でサンプル画像を20枚出力し、以下の基準で評価した。
A:全ての環境条件下、印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:ある条件では印字の乱れのある出力が発生する
C:ある条件では印刷開始から終了まで印字の乱れあり
D:全ての条件で印刷開始から終了まで印字の乱れあり
2)画像保存性については、マゼンタの階段状に濃度の変化した純色ベタパターン画像印字サンプルを作製し、以下の評価を行った。
▲1▼光堅牢性は印字直後の画像濃度CiをX−rite 310にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が70%以上の場合をA、2点が70%未満の場合をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとした。
▲2▼熱堅牢性については、80℃15%RHの条件下に10日間、試料を保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。染料残像率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が90%以上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとした。
▲3▼耐オゾン性については、前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。また、光褪色については、人物の写真をアウトプットしたサンプルを用い、褪色後の評価を行った。画像に大きな変化が見られないものをA、若干の劣化はあるが許容範囲のものをB、劣化が明確にわかるものをC、劣化がひどく画像としての価値がほとんど認められないものをDとして評価した。
得られた結果を表に示す。
【0749】
【表21】
Figure 2004331871
【0750】
表の結果から、本発明のインクを使用した系ではすべての性能で比較例に対して勝っていることがわかった。特に、本発明の系では黒の画像の締まりに変化がなく、良好な状態を保っていた。
(実施例5)
(色材受容層用塗布液Aの調製)
下記組成中の▲1▼気相法シリカ微粒子と▲2▼イオン交換水と▲3▼「PAS−M−1」を混合し、KD−P((株)シンマルエンタープライゼス製)を用いて、回転数10000rpmで20分間かけて分散させた後、下記▲4▼ポリビニルアルコールと▲5▼ホウ酸と▲6▼ポリオキシエチレンラウリルエーテルと▲7▼イオン交換水を含む溶液を加え、更に回転数10000rpmで20分間かけて再度分散を行ない、色材受容層用塗布液Aを調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=▲1▼:▲4▼)は、4.5:1であり、色材受容層用塗布液AのpHは、3.5で酸性を示した。
【0751】
<色材受容層塗布液Aの組成>
▲1▼気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 10.0部
((株)トクヤマ製の「レオシールQS−30」、平均一次粒子径7nm)
▲2▼イオン交換水 51.7部
▲3▼「PAS−M−1」(60%水溶液) 0.83部
(分散剤、日東紡(株)製)
▲4▼ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)8%水溶液 27.8部
((株)クラレ製の「PVA124」、鹸化度98.5%、重合度2400)
▲5▼ホウ酸(架橋剤) 0.4部
▲6▼ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 1.2部
(花王(株)製「エマルゲン109P」(10%水溶液)、HLB値13.6)
▲7▼イオン交換水 33.0部
【0752】
(インクジェット記録用シートの作製)
上記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記から得た色材受容層用塗布液Aを、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて200ml/mの塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この期間は恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の媒染剤溶液Bに30秒間浸漬して該塗布層上にその20g/mを付着させ(媒染剤溶液を付与する工程)、更に80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これにより、乾燥膜厚32μmの色材受容層が設けられた本発明のインクジェット記録用シートR−1を作製した。
【0753】
<媒染剤塗布液Bの組成>
▲1▼硼酸(架橋剤) 0.65部
▲2▼ポリアリルアミン「PAA−10C」10%水溶液 25部
(媒染剤、日東紡(株)製)
▲3▼イオン交換水 59.7部
▲4▼塩化アンモニウム(表面pH調製剤) 0.8部
▲5▼ポリオキシエチレンラウリルエーテル(POERE) 10部
(花王(株)製の「エマルゲン109P」、2%水溶液、HLB値13.6)
▲6▼メガファック「F1405」10%水溶液 2.0部
(大日本インキ化学工業(株)製のフッ素系界面活性剤)
【0754】
上記インクジェット記録シートR−1に対して、下記の通りに添加物を加えた以外は、R−1と全く同じ組成のインクジェット記録シートR−2〜R−8をそれぞれ作製した。
【0755】
【表22】
Figure 2004331871
【0756】
これらのインクジェット記録シートをEPSON社製インクジェットプリンターPM−970Cの給紙部に装填し、PM−970Cのインクセットを用いて、ブラックの単色画像を印字させた。この画像を用いて高湿条件下における画像堅牢性の評価を行った。
(評価実験)
高湿条件下での画像のにじみについては、ブラックの3cm×3cmの正方形パターンが4つそれぞれ1mmの白地隙間を形成するように「田」の字型に並んだ印字パターンを作製し、この画像サンプルを25℃90%RHの条件下、72時間保存後に白地隙間における黒染料のにじみを観察し、印字直後に対する白地の黒濃度増加がステータスAのBkフィルターにおいて、0.01以下の場合をA、0.01〜0.05の場合をB、0.05以上の場合をCとした。
得られた結果を表に示す。
【0757】
【表23】
Figure 2004331871
【0758】
表の結果から、本発明のインクジェット記録シートを使用した系ではブラックにじみの面ですべての比較例に対して勝っていることがわかった。
ただし同様の実験を、媒染剤ポリアリルアミン「PAA−10C」の未反応モノマー2%含有品で行ったところ、R−4〜R−8のにじみ評価はいずれもBとなった。このことからも本発明の効果が認められた。
(実施例6)
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトマゼンタ用インク液 LM−101を調製した。
〔ライトマゼンタインク LM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ色素 (a−36) 7.5g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
さらに上記処方でマゼンタ色素(a−36)を23gに増量したマゼンタ用インク液 M−101を調製した。
〔マゼンタインク M−101処方〕
(固形分)
マゼンタ色素 (a−36) 30g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
LM−101とM−101に対して、下記の通りに添加物を加えた以外は全く同じ組成のインクLM−102〜108、M−102〜108をそれぞれ作製した。
【0759】
【表24】
Figure 2004331871
【0760】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−970Cのマゼンタインク・ライトマゼンタインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−970Cのインクを用いて、マゼンタの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、高湿条件下における画像堅牢性の評価を行った。
(評価実験)
高湿条件下での画像のにじみについては、マゼンタの3cm×3cmの正方形パターンが4つそれぞれ1mmの白地隙間を形成するように「田」の字型に並んだ印字パターンを作製し、この画像サンプルを25℃90%RHの条件下、72時間保存後に白地隙間におけるマゼンタ染料のにじみを観察し、印字直後に対する白地のマゼンタ濃度増加がステータスAのマゼンタフィルターにおいて、0.01以下の場合をA、0.01〜0.05の場合をB、0.05以上の場合をCとした。
得られた結果を表に示す。
【0761】
【表25】
Figure 2004331871
【0762】
表の結果から、本発明のインクセットを使用した系ではMにじみの面ですべての比較例に対して勝っていることがわかった。
(実施例7)
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトシアン用インク液(LC−101)を調製した。
〔ライトシアンインク LC−101処方〕
(固形分)
シアン色素 (154) 15g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
さらに上記処方でシアン色素(CD−1)を68gに増量したシアン用インク液 C−101を調製した。
〔シアンインク C−101処方〕
(固形分)
シアン色素 (154) 47g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
LC−101とC−101に対して、下記の通りに添加物を加えた以外は全く同じ組成のインクLC−102〜108、C−102〜108をそれぞれ作製した。
【0763】
【表26】
Figure 2004331871
【0764】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−970Cのシアンインク・ライトシアンインクのカートリッジに装填し、実施例6と同様の評価を行った。
得られた結果を表に示す。
【0765】
【表27】
Figure 2004331871
【0766】
表の結果から、本発明のインクセットを使用した系ではシアンのにじみの面ですべての比較例に対して勝っていることがわかった。
(実施例8)
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してベタイン単独インクを調製した。
【0767】
【表28】
Figure 2004331871
【0768】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−970Cの黒インクのカートリッジに装填した。
実施例6におけるLM−101,M−101をマゼンタインクとして用いて、他のカラーインクPM−970Cの純正インクを用いたインクセットを作製した。マゼンタインクにより実施例1と同様に「田」の字形の印字を行った後に、B−1〜5のインクを用いて、その部分にベタ印字を行った。
この画像サンプルを25℃90%RHの条件下、72時間保存後に白地隙間におけるマゼンタ染料のにじみを観察し、印字直後に対する白地のマゼンタ濃度増加がステータスAのマゼンタフィルターにおいて、0.01以下の場合をA、0.01〜0.05の場合をB、0.05以上の場合をCとした。
得られた結果を表に示す。
【0769】
【表29】
Figure 2004331871
【0770】
表の結果から、本発明のインクセットを使用した系ではマゼンタのにじみの面ですべての比較例に対して勝っていることがわかった。
(実施例9)
下記の処方で、各インクの濃厚インク原液を作製した。
(処方)
表30中の各インク用染料* 150g/l
PROXEL XL2 5g/l
超純水(抵抗値18MΩ以上) 850ml
*ダークイエロー(DY)及びブラック(Bk)インクの場合は表30の各染料の比率で染料全量を150gとした。
各インクは表30の如く、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(LM)、イエロー(Y)、ダークイエロー(DY)、ブラック(Bk)であり、各インクはインクセット101構成になるように各原液、染料以外の成分の混合物に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過して各インク液によるインクセット101を調製した。
【0771】
【表30】
Figure 2004331871
【0772】
表中の略称は下記の通り。
BTZ:ベンゾトリアゾール
UR:尿素
DGB:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
TGB:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
DEG:ジエチレングリコール
TEG:トリエチレングリコール
GR:グリセリン
PRD: 2−ピロリドン
TEA:トリエタノールアミン(TEA)
SW:サーフィノールSTG
インクセット101に使用した染料は、下記の通りの有機溶媒を含有するものであった。
【0773】
【表31】
Figure 2004331871
【0774】
上記染料を含有する各濃厚インクを、下記の要領で脱溶媒した後にインクとしたインクセット102,103をそれぞれ作製した。
102:ロータリーエバポレーターを用いた減圧蒸留によって、濃厚インク中の溶媒濃度を50ppm以下にしたもの。
103:限外濾過モジュールを使用して、濃厚インク中の溶媒濃度を50ppm以下にしたもの。
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−950Cのインクカートリッジに装填し、グレーの階段状画像パターンと人物の写ったポートレート画像を印字させた。
受像シートは、富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」に画像を印刷し、画像品質ならびにインクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
(評価実験)
1)吐出安定性については、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後機械を止め、15℃30%RHの環境、さらに35℃90%RH の環境にプリンターをそれぞれ480時間ずつ放置し、その後A4画像100枚を出力して、以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
2)画像保存性については、印字サンプルを用いて、以下の評価を行った。ここで印字サンプルは、シアンならびにグレーの、階段状に濃度の変化したパターンを印字して、このパターン中でX−rite濃度測定機のステータスAのフィルターを用いて、濃度が1.0±0.1となっているパターンにおいて褪色試験における濃度測定の指標とした。
▲1▼光堅牢性は印字後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を7日照射した後、画像評価を行った。
▲2▼熱堅牢性については、80℃70%RHの条件下に10日間、試料を保存して、同様の評価を行った。
▲3▼耐オゾン性については、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、同様の評価を行った。
いずれもシアンならびにグレー濃度で初期に比べて85%以上残存している場合をA、70−85%の場合をB、70%以下の場合をCとした。
得られた結果を表に示す。
【0775】
【表32】
Figure 2004331871
【0776】
表の結果から、本発明の系では、吐出性も問題なく、堅牢性の面でも比較例に対して勝っていることがわかった。
(実施例10)
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトマゼンタ用インク液 LM−101を調製した。
〔ライトマゼンタインク LM−101処方〕
(固形分)
マゼンタ色素 (a−36) 7.5g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
さらに上記処方でマゼンタ色素(a−36)を30gに増量したマゼンタ用インク液 M−101を調製した。
〔マゼンタインク M−101処方〕
(固形分)
マゼンタ色素 (a−36) 30g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 80g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 150g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
LM−101とM−101に対して、下記の通りにイオンA含有量を変化させた以外は全く同じ組成のインクLM−102〜105、M−102〜105をそれぞれ作製した。イオンA含有量の変化は、用いる染料に表33に記載した脱イオン精製法を適用するか、否かによった。なお、このとき、各インクに含まれるイオンA濃度をイオンクロマトグラフによって分析し、その総和を質量%濃度として、表33中にまとめて記載した。
【0777】
【表33】
Figure 2004331871
【0778】
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−970Cのマゼンタインク・ライトマゼンタインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−970Cのインクを用いて、マゼンタの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」に画像を印刷し、印字品質の評価を行った。
(評価実験)
印字品質は吐出安定性で評価した。すなわち、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後機械を止め、15℃30%RHの環境、さらに35℃90%RHの環境にプリンターをそれぞれ240時間ずつ放置し、その後A4画像100枚を出力して、以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
【0779】
【表34】
Figure 2004331871
【0780】
表より本発明のものは、比較例に比べ、吐出安定性の点で優れていることがわかる。
【0781】
【発明の効果】
本発明によれば、吐出安定性に優れ、得られる画像の品質が良好で、画像保存性に優れるインクジェット用インクを提供できる。

Claims (41)

  1. λmaxが390nmから470nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.4以下である染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用イエローインクであって、インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、イエロー領域における反射吸収濃度(D)が、0.90〜1.10の点を1点そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、該速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とするインクジェット用イエローインク。
  2. 染料のλmaxが390nmから470nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.2以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用イエローインク。
  3. λmaxが470nmから580nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.4以下である染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用マゼンタインクであって、インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、マゼンタ領域における反射吸収濃度(D)が、0.90〜1.10の点を1点そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、該速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とするインクジェット用マゼンタインク。
  4. 染料のλmaxが470nmから580nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.2以下であることを特徴とする請求項3記載のインクジェット用マゼンタインク。
  5. λmaxが580nmから690nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.4以下である染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用シアンインクであって、インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、シアン領域における反射吸収濃度(D)が、0.90〜1.10の点を1点そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、該速度定数が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とするインクジェット用シアンインク。
  6. 染料のλmaxが580nmから690nmにあり、λmaxの吸光度I(λmax)と、λmax+70nmの吸光度I(λmax+70nm)との比I(λmax+70nm)/ I(λmax)が、0.2以下であることを特徴とする請求項5記載のインクジェット用シアンインク。
  7. λmaxが500nmから700nmにあり、吸光度1.0に規格化した希薄溶液の吸収スペクトルにおける半値幅が100nm以上である染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用ブラックインクにおいて、該ブラックインクを用いてJISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字し、これをステータスAフィルターにより測定した反射濃度(Dvis)を初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度(Dvis)が初期濃度値の80%となるまでの時間から強制褪色速度定数(kvis)を定めたときに、該速度定数(kvis)が5.0×10−2[hour−1]以下であることを特徴とするインクジェット用ブラックインク。
  8. 染料のλmaxが350nmから500nmにある染料を少なくとも1種と、請求項7記載の染料を少なくとも1種、溶解または分散してなるインクジェット用ブラックインク。
  9. 染料を少なくとも1種、水性媒体中に溶解または分散してなるインクジェット用ブラックインクにおいて、該ブラックインクを用いてJISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字し、これをステータスAフィルターにより測定したC,M,Y3色の反射濃度(D,D,D)を初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、それぞれの反射濃度(D,D,D)が初期濃度値の80%となるまでの時間から強制褪色速度定数(k,k,k)を定めたときに、該3つの速度定数のうちの最大値と最小値の比(R)を求めた場合、該比(R)が1.2以下であることを特徴とするインクジェット用ブラックインク。
  10. インクに含まれる少なくとも1つの染料の酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であることを特徴とする請求項1〜9記載のインクジェット用インク。
  11. 請求項1〜10記載のインクに含まれる染料の少なくとも1つが下記一般式(1)〜(4)で表される染料であることを特徴とするインクジェット用インク。
    一般式(1);
    11−N=N−B11
    一般式(1)中、A11およびB11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい複素環基を表す。
    一般式(2);
    Figure 2004331871
    一般式(2)中、X21、X22、X23およびX24は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR2122、スルホ基、−CONR2122、または−COOR21を表す。Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。R21、R22は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。
    21、Y22、Y23およびY24は、それぞれ独立に、一価の置換基を表す。
    21〜a24、b21〜b24は、それぞれX21〜X24およびY21〜Y24の置換基数を表す。a21〜a24はそれぞれ独立に0〜4の数を表すが、全てが同時に0になることはない。b21〜b24はそれぞれ独立に0〜4の数を表す。なお、a21〜a24およびb21〜b24が2以上の数を表すとき、複数のX21〜X24およびY21〜Y24はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
    Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。
    一般式(3);
    Figure 2004331871
    一般式(3)中、A31は5員複素環を表す。
    31およびB32は、各々、=CR31−、−CR32=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR31−もしくは−CR32=を表す。
    35およびR36は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。
    、R31、R32は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、または複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
    31とR35、またはR35とR36が結合して5または6員環を形成してもよい。
    一般式(4);
    41−(N=N−(B41)m)n−N=N−C41
    一般式(4)中、A41、B41およびC41は、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族基または複素環基を表す。mは1または2であり、nは0以上の整数である。
  12. イエローインクが一般式(1)で表される染料の少なくとも1つ、シアンインクが一般式(2)で表される染料の少なくとも1つ、マゼンタインクが一般式(3)で表される染料の少なくとも1つ、またはブラックインクが一般式(4)で表される染料の少なくとも1つ及び一般式(1)で表される染料の少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項11記載のインクジェット用インク。
  13. 一般式(2)で表される染料が下記一般式(5)で表される染料であることを特徴とする上記1に記載のインクジェット用インク。請求項1に記載のインクを少なくとも1種含むことを特徴とする請求項11または12記載のインクジェット用インク。
    一般式(5)
    Figure 2004331871
    一般式(5)中、X51〜X54、Y51〜Y58、およびMは、それぞれ一般式(2)のX21〜X24、Y21〜Y24、Mと同義である。a51〜a54は、それぞれ独立に、1または2の整数を表す。
  14. 請求項1〜13記載のインクを、少なくとも1つ含有することを特徴とするインクジェット用インクセット。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載のインクを少なくとも1つ充填した、インクジェット用インクカートリッジ。
  16. 請求項1〜13のいずれかに記載のインクを吐出して印字することが可能なインクジェット用記録ヘッド。
  17. 一般式(1)〜(5)で表される染料を少なくとも1種含有するインクジェット用インク原液。
  18. 請求項17記載のインクジェット用原液から、請求項1〜13記載のインクを作製することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法。
  19. 請求項1〜13のいずれかに記載のインク、請求項14記載のインクセット、請求項15記載のインクカートリッジ、もしくは請求項16記載のインクジェットヘッドのいずれかを用いて、支持体上に色材受容層を有するインクジェット記録用シートに印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
  20. 前記色材受容層が、更に水溶性樹脂を含有するインクジェット記録用シートであることを特徴とする、請求項19記載のインクジェット記録方法。
  21. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、ゼラチン類の少なくとも1種であるインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、請求項19または20記載のインクジェット記録方法。
  22. 前記色材受容層が、更に微粒子を含有するインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、請求項19〜21のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  23. 前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、擬ベーマイトの少なくとも1種であるインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、請求項19〜22のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  24. 前記色材受容層が、水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有するインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、請求項19〜23のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  25. 前記色材受容層が、更に媒染剤を含有するインクジェット記録用シートを用いることを特徴とする、請求項19〜24のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  26. 前記媒染剤として、有機アミンポリマーを含有することを特徴とする、請求項25記載のインクジェット記録方法。
  27. 前記媒染剤として、無機の金属酸化物もしくはハロゲン化物を含有することを特徴とする、請求項25記載のインクジェット記録方法。
  28. 前記色材受容層が、少なくとも微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液を前記塗布層又は塗膜に付与することにより行われることを特徴とするインクジェット記録用シートを用いる、請求項19〜28のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  29. 前記請求項14記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
  30. 前記請求項14記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、370nm以下のUV光をカットした条件でキセノン照射機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
  31. 前記請求項14記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、ガラスを通したキセノン照射機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
  32. 前記請求項14記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、80℃ドライの条件下で保存して強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
  33. 前記請求項14記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、80℃70%RHの条件下で保存して強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
  34. 前記請求項14記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、蛍光灯照射機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
  35. 前記請求項14記載のインクセットであって、各色インクを反射型メディアに印画した後に、ステータスAフィルターを通して反射濃度を測定し、メインの色相領域における反射吸収濃度が、0.90〜1.10の点を1点、そのインクの初期濃度として規定して、この印画物を、50℃−50kg/cmの空気加圧条件を達成可能なオートクレーブ試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度が初期濃度の80%となるまでの時間から求めた強制褪色速度定数を定めたときに、インクセット中における各色インクの強制褪色速度定数を2つ選び出してその比を求めた際に、どの2つを選び出してもその比が0.5以上2.0以下であることを特徴とするインクセット。
  36. 請求項29〜35のいずれかに記載の条件を満たすようにインクならびにメディアを選択し、画像形成することを特徴とする、請求項19〜28のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  37. 一般式(N1)、(N2)、または(N3)で表されるノニオン性界面活性剤を少なくとも1つ含有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のインク、または請求項14に記載のインクセット。
  38. 一般式(B)(好ましくは、一般式(B1)、または一般式(B2)(好ましくは一般式(B3))で表されるベタイン化合物(好ましくはベタイン界面活性剤)を少なくとも1つ含有することを特徴とする、請求項1〜13、37のいずれかに記載のインク、または請求項14に記載のインクセット。
  39. 一般式(A)で表される環状溶剤を少なくとも1つ含有することを特徴とする、請求項1〜13、37、38のいずれかに記載のインク、または請求項14に記載のインクセット。
  40. 一般式(Y)で表される尿素系化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とする、請求項1〜13、37〜39のいずれかに記載のインク、または請求項14に記載のインクセット。
  41. 請求項19〜28のいずれかに記載の色材受容層がインク一般式(B)(好ましくは、一般式(B1)、または一般式(B2)(好ましくは一般式(B3))で表されるベタイン化合物(好ましくはベタイン界面活性剤)を少なくとも1つ含有することを特徴とする、請求項19〜28のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
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