JP5216214B2 - インクジェット用インク、インクジェット用インクの製造方法、インクジェット用インクセットならびにインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インク組成物としては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造、取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
このようなインクを普通紙上に印画して、画像形成後に水に濡れると染料が大きくにじんで広がってしまうということもわかった。
さらに、染料の特徴として、耐オゾン性が不十分であることも問題となっていた。
〔1〕 アニオン解離基を有する水溶性染料、水および/または水溶性有機溶媒を含むインクジェット用インクであって、該アニオン解離基とイオンペアを形成可能なポリマーとして、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート又はトリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテートから選択されるモノマー単位が単独で重合したホモポリマー又は、該モノマーと他のモノマーとの共重合体であるカチオン性ポリマーから選択される少なくとも1つを含有し、該アニオン解離基を有する水溶性染料として、下記一般式(3)で表されるものを少なくとも1つ使用することを特徴とする、インクジェット用インク。
一般式(3);
一般式(3)中、A 31 は5員複素環を表す。
B 31 およびB 32 は、各々、=CR 31 −、−CR 32 =を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR 31 −もしくは−CR 32 =を表す。
R 35 およびR 36 は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。
G 3 、R 31 、R 32 は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、または複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
R 31 とR 35 、またはR 35 とR 36 が結合して5または6員環を形成してもよい。
〔2〕 前記カチオン性ポリマーが水溶性ポリマーであることを特徴とする、〔1〕に記載のインクジェット用インク。
〔3〕 前記カチオン性ポリマーと前記アニオン解離基を有する水溶性染料を水中であらかじめ混合した後、生成した塩を脱塩の後にインクを調液することを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェット用インクの製造方法。
〔4〕 前記カチオン性ポリマーと前記アニオン解離基を有する水溶性染料を水中であらかじめ混合した後、生成した塩を脱塩の後にインクが調液されたことを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェット用インク。
〔5〕 一般式(3)で表される染料が下記一般式(3−A)で表される染料であることを特徴とする、〔1〕、〔2〕及び〔4〕のいずれか一項に記載のインクジェット用インク。
一般式(3−A);
一般式(3−A)中、R 31 及びR 32 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはシアノ基を表し、各置換基の水素原子は置換されていてもよく、R 33 及びR 34 は、それぞれ独立に、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表し、R 35 及びR 36 は、それぞれ独立に、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル基またはアリールスルホニル基を表し、各置換基の水素原子は置換されていてもよく、Z 31 は炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、または炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基を表し、Z 32 は水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Qは置換されていてもよいベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環, ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環、またはチアン環を表し、さらに、上記R 31 〜R 36 、Z 31 、Z 32 及びQは、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基から選択されるイオン性親水性基を有していてもよい。
〔6〕 〔1〕、〔2〕、〔4〕及び〔5〕のいずれか一項に記載のインクの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする、インクジェット用インクセット。
〔7〕 〔1〕、〔2〕、〔4〕及び〔5〕のいずれか一項に記載のインクもしくは〔6〕に記載のインクセットの少なくともいずれか1つを使用して、インクジェットプリンターにより普通紙もしくはインクジェット専用紙上に画像記録を行うことを特徴とする、インクジェット記録方法。
本発明は、上記〔1〕〜〔7〕項に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載した。
(1) アニオン解離基を有する水溶性染料、水および/または水溶性有機溶媒を含むインクジェット用インクであって、該アニオン解離基とイオンペアを形成可能なカチオン性ポリマーを、少なくとも1種含有することを特徴とする、インクジェット用インク。
(2) 前記カチオン性ポリマーが水溶性ポリマーであることを特徴とする、(1)に記載のインクジェット用インク。
(3) 前記カチオン性ポリマーと前記アニオン解離基を有する水溶性染料を水中であらかじめ混合した後、生成した塩を脱塩の後にインクを調液することを特徴とする、インクジェット用インクの製造方法。
(4) 前記カチオン性ポリマーと前記アニオン解離基を有する水溶性染料を水中であらかじめ混合した後、生成した塩を脱塩の後にインクが調液されたことを特徴とする、(1)または(2)に記載のインクジェット用インク。
(5) 前記カチオン性ポリマーのカチオンの少なくとも1つが窒素原子由来のカチオンであることを特徴とする、(1)、(2)及び(4)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
(6) 前記染料として、下記一般式(1)〜(4)で表されるものを少なくとも1つ使用することを特徴とする、(1)、(2)、(4)、ないしは(5)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
(A11−N=N−B11)n−L
Y21、Y22、Y23およびY24は、それぞれ独立に、一価の置換基を表す。
a21〜a24、b21〜b24は、それぞれX21〜X24およびY21〜Y24の置換基数を表す。
a21〜a24はそれぞれ独立に0〜4の数を表すが、全てが同時に0になることはない。b21〜b24はそれぞれ独立に0〜4の数を表す。なお、a21〜a24およびb21〜b24が2以上の数を表すとき、複数のX21〜X24およびY21〜Y24はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。
B31およびB32は、各々、=CR31−、−CR32=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR31−もしくは−CR32=を表す。
R35およびR36は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。
G3、R31、R32は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、または複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
R31とR35、またはR35とR36が結合して5または6員環を形成してもよい。
A41−N=N−B41−N=N−C41
一般式(5);
(8) (1)、(2)、(4)、(6)、ないしは(7)のいずれかに記載のインクの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする、インクジェット用インクセット。
(9) (1)、(2)、(4)、(6)、ないしは(7)に記載のインクもしくは(8)に記載のインクセットの少なくともいずれか1つを使用して、インクジェットプリンターにより普通紙もしくはインクジェット専用紙上に画像記録を行うことを特徴とする、インクジェット記録方法。
本発明のインクジェット用インクは、アニオン解離基を有するアニオン性染料を色材として使用し、これとイオンペアを形成可能なカチオンを分子内に含むポリマー化合物を同時に含むという特徴を有する。
中でも、プロトン化されたアミン性窒素原子を含む基や、グアニジン、アミジン、アンモニウム塩、アミジニウム塩、グアニジウム塩、ヘテロ6員環芳香族化合物のプロトン化された基等、窒素原子由来のカチオンを含む基であることが好ましい。
カチオン性ポリマー化合物としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー化合物が好適に用いられるが、カチオン性の他のポリマー化合物も使用することができる。
上記ポリマー化合物は、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(ポリマー化合物モノマー)や、該モノマーと他のモノマー(以下、「他のポリマー化合物モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー化合物は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
上記他のポリマー化合物モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
上記他のポリマー化合物モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
本発明では、酸化電位が1.0Vより貴である染料(好ましくは1.1Vより貴である染料、特に好ましくは1.15Vより貴である染料)を用いることが好ましく、染料の酸化電位を1.0Vより貴とすることにより、画像耐久性、特にオゾン耐性に優れる画像を得ることができる。
本発明において使用するイエロー染料は、堅牢性、オゾンガスに対する堅牢性の点から、酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴である染料が好ましく、1.1V(vs SCE)よりも貴である染料がさらに好ましく、1.15V(vs SCE)よりも貴である染料が特に好ましい。染料の種類としては、上記物性要件を満たすアゾ染料が特に好ましい。
複素環としては、5員環または6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であっても良く、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であっても良い。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、N、O、S原子が好ましい。nは1または2から選ばれる整数を表し、2がより好ましい。LはA11もしくはB11と任意の位置で結合した置換基を表し、nが1の場合にはLは水素原子もしくは1価の置換基を表し、nが2の場合にはLは単なる結合もしくは2価の連結基を表す。
Lが表す1価の置換基としては、上記A11及びB11に置換する置換基もしくは下記のイオン性親水性基を挙げることができる。Lが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環残基、−CO−、−SOn−(nは0、1、2)、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、アリール基を表す)、−O−、およびこれらの連結基を組み合わせた二価の基であり、さらにそれらはA11及びB11に置換する置換基で挙げた置換基もしくは下記のイオン性親水性基を有していても良い。
一般式(1−A);
一般式(1−B)
R1、R3、R5、R8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、ヒドロキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシが含まれる。
R8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2乃至20のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、前述のアリール基の置換基と同じものが挙げられる。前記アシルアミノ基の例には、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミドおよび3,5−ジスルホベンズアミドが含まれる。
R8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2乃至20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノが含まれる。
R7、R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2乃至20のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
R8が表す置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
R2、R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1乃至20のアシル基が好ましい。
前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチルおよびベンゾイルが含まれる。
一般式(1−A1);
次に、シアン染料であるフタロシアニン染料について詳細に説明する。
本発明で使用されるフタロシアニン染料は、耐光性、オゾン耐性がともに優れ、色相・表面状態の変化が小さい(ブロンズが生じにくく、染料が析出しにくい)ことが好ましい。
構造上の特徴の第一は、無置換のフタロシアニンのスルホン化を経由しないフタロシアニン染料であることである。構造上の特徴の第二は、フタロシアニンのベンゼン環のβ位に電子吸引性基を有することであり、特に好ましくは全てのベンゼン環のβ位に電子吸引性基を有することである。具体的にはスルホニル基が置換したもの(特開2002−249677号、特開2003−119415号)、スルファモイル基全般が置換したもの(特開2002−302623号、特開2003−3109号)、ヘテロ環スルファモイル基が置換したもの(特開2002−294097号、特開2003−3086号)、ヘテロ環スルホニル基が置換したもの(特開2002−275386号、特開2003−3099号)、特定スルファモイル基が置換したもの(特開2002−256167号)、カルボニル基が置換したもの(特開2003−213153号)、溶解性、インク安定性向上、ブロンズ対策のため特定置換基を有するものが好ましく、具体的には不斉炭素を有する(特開2003−213168号)、Li塩にしたもの(特開2003−213167号)、が有用である。
1)エプソンPM写真用受像紙上に印画した画像の反射濃度ODが1.0の部位にキセノン光(Xe 1.1W/m(間欠条件))をTACフィルターありで3日間照射した際の色素残存率が90%以上あるシアンインク。
2)印画した画像のステータスAフィルターにおける反射濃度が0.9〜1.1となる部位を5ppmのオゾン環境に24時間保存した際の色素残存率が60%以上(好ましくは80%以上)あるシアンインク。
3)2の条件でオゾン褪色させた後、水中に流出するCuイオン量は全染料の20%以下であるシアンインク。
4)特定受像紙の受像層の上部30%以上まで浸透可能なシアンインク。
本発明では、前述の通り、フタロシアニン骨格に電子求引性基を導入して酸化電位を1.0V(vs SCE)よりも貴とすることが望ましい。そのため、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のようにハメットの置換基定数σp値(電子求引性や電子供与性の尺度)が大きい置換基を導入することにより酸化電位をより貴とすることができる。
このような電位調節をする理由からも、上記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料を用いることは好ましい。
一般式(2)において、X21、X22、X23およびX24は、それぞれ独立に、−SO−Z2、−SO2−Z2、−SO2NR21R22、スルホ基、−CONR21R22、または−CO2R21を表す。これらの置換基の中でも、−SO−Z2、−SO2−Z2、−SO2NR21R22および−CONR21R22が好ましく、特に−SO2−Z2および−SO2NR21R22が好ましく、−SO2−Z2が最も好ましい。ここで、その置換基数を表すa21〜a24のいずれかが2以上の数を表す場合、X21〜X24のうち、複数存在するものは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に上記のいずれかの基を表す。また、X21、X22、X23およびX24は、全て同一の置換基であってもよく、または、例えばX21、X22、X23およびX24が全て−SO2−Z2であり、かつ各Z2が異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であってもよく、あるいは互いに異なる置換基(例えば−SO2−Z2と−SO2NR21R22)を含んでいてもよい。
なかでも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖または分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性およびインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。以上の各基の具体例:例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、複素環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、複素環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基および4級アンモニウム基)が挙げられる。
Mとして好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。
X51〜X54としては、それぞれ独立に、−SO−Z2、−SO2−Z2、−SO2NR21R22または−CONR21R22が好ましく、特に−SO2−Z2または−SO2NR21R22が好ましく、−SO2−Z2が最も好ましい。
(2)α−位置換型:1およびまたは4位、5およびまたは8位、9およびまたは12位、13およびまたは16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(3)α、β−位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
本発明で使用されるマゼンタ染料は、水性媒体中において500〜580nmの分光領域に吸収極大を有し、かつ1.0V(vs SCE)よりも貴の酸化電位を有するアゾ染料であることが好ましい。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数の測定は、当該マゼンタインクのみを反射型受像媒体に印画して得られた画像の該インクの主分光吸収領域の色であってステータスAのフィルターを通して測定した反射濃度が0.90〜1.10の濃度の着色領域を初期濃度点として選択し、この初期濃度を開始濃度(=100%)とする。この画像を5mg/Lのオゾン濃度を常時維持するオゾン褪色試験機を用いて褪色させ、その濃度が初期濃度の80%となるまでの時間を測定し、この時間の逆数[h-1]を求め、褪色濃度と時間関係が一次反応の速度式に従うとの仮定のもとに、褪色反応速度定数とする。
試験用の印画パッチは、JISコード2223の黒四角記号を印画したパッチ、マクベスチャートの階段状カラーパッチ、そのほか測定面積が得られる任意の階段濃度パッチを用いることができる。
測定用に印画される反射画像(階段状カラーパッチ)の反射濃度は、国際規格ISO5−4(反射濃度の幾何条件)を満たした濃度計によりステータスAフィルターを透した測定光で求められた濃度である。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数測定用の試験チャンバーには、内部のオゾンガス濃度を定常的に5mg/Lに維持可能のオゾン発生装置(例えば乾燥空気に交流電圧を印可する高圧放電方式)が設けられ、曝気温度は25℃に調節される。
なお、この強制褪色速度定数は、光化学スモッグ、自動車排気、家具の塗装面や絨毯などからの有機蒸気、明室の額縁内の発生ガスなどの環境中の酸化性雰囲気による酸化の受け易さの指標であって、オゾンガスによってこれらの酸化性雰囲気を代表させた指標である。
一般式(3);
B31およびB32は、各々、=CR31−、−CR32=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR31−もしくは−CR32=を表す。
R35およびR36は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、該各置換基の水素原子は置換されていてもよい。
R31とR35、またはR35とR36が結合して5〜6員環を形成してもよい。
A31の好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
R31とR35、またはR35とR36が結合して5〜6員環を形成してもよい。
芳香族基の例には、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。
一般式(3−A);
R33およびR34は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、該置換基は脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい
。
よびチアン環等が挙げられる。
本発明で使用するブラックインクには、波長λmaxが500nmから700nmにあり、吸光度1.0に規格化した希薄溶液の吸収スペクトルにおける半値幅(Wλ,1/2)が100nm以上(好ましくは120nm以上500nm以下、さらに好ましくは120nm以上350nm以下)である染料(L)を使用する。
ブラックインクでは、該速度定数(kvis)が5.0×10-2[h-1]以下が好ましく、3.0×10-2[h-1]以下がより好ましく、1.0×10-2[h-1]以下が特に好ましい。(条件1)
(条件3)
一般式(4)中、A41、B41およびC41は、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族基または置換されていてもよい複素環基を表す(A41およびC41は一価の基であり、B41は二価の基である)。置換基としては芳香族アゾ基または複素環アゾ基であってもよい。
一般式(4)で表されるアゾ染料は、特に下記一般式(4−A)で表される染料であることが好ましい。
一般式(4−A);
また、R41とR45、あるいはR45とR46が結合して5乃至6員環を形成してもよい。
一般式(4−B);
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。上記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。上記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基および無置換の複素環アミノ基が含まれる。複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
以下の説明において、基、置換基は、既に説明したことが適用される。
一般式(4)において、A41、B41、C41は、それぞれ独立して、置換されていてもよい芳香族基(A41、C41は1価の芳香族基、例えばアリール基;B41は2価の芳香族基、例えばアリーレン基)または置換されていてもよい複素環基(A41、C41は1価の複素環基;B41は2価の複素環基)を表す。芳香族環の例としてはベンゼン環やナフタレン環をあげることができ、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSをあげることができる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
置換基としてはアリールアゾ基または複素環アゾ基であってもよい。
A41、B41、C41の少なくとも1つが複素環基であるのが好ましく、A41、B41、C41の少なくとも2つが複素環基であるのがより好ましい。また、A41、B41、C41の全てが複素環基であってもよい。
一般式(4−C);
R45、R46は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。R45、R46で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。但し、R45、R46が同時に水素原子であることはない。
R41とR45、あるいはR45とR46が結合して5乃至6員環を形成してもよい。
A41、R41、R42、R45、R46、G4で表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G4、R41、R42で挙げた置換基を挙げることができる。また、A41、R41、R42、R45、R46、G4上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。
一般式(4−D);
G4として、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アシルアミノ基である。
A41のうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
B42およびB43が、それぞれ=CR41−、−CR42=であり、R41、R42は、各々好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、カルボキシル基、シアノ基、カルバモイル基である。
また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。
C.I. ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247
C.I. ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I. ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163
C.I. ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291
C.I. ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
C.I. アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I. アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
C.I. アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
C.I. アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326
C.I. アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I. リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55
C.I. リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I. リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I. リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38
C.I. リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34
C.I. ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I. ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I. ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I. ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I. ベーシックブラック8、等が挙げられる。
この他、オレンジ顔料(C. I. Pigment Orange 13, 16など)や緑顔料(C. I. Pigment Green 7など)を使用してもよい。
(1)金属石鹸の性質と応用(幸書房)
(2)印刷インキ印刷(CMC出版 1984)
(3)最新顔料応用技術(CMC出版 1986)
(4)米国特許5,554,739号、同5,571,311号
(5)特開平9-151342号、同10-140065号、同10-292143号、同11-166145号
特に、上記(4)の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記(5)の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
本発明のインクに使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
本発明のインクジェット用インクに界面活性剤を含有させ、インクの液物性を調整することで、インクの吐出安定性を向上させ、画像の耐水性の向上や印画したインクの滲みの防止などに優れた効果を持たせることができる。
界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルオキシスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムクロライド、テロラブチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。中でも特にノニオン系界面活性剤が好ましく使用される。
このときの溶解方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。中でも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
本発明に用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロへキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド)、アルコール類またはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)などが挙げられる。高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕で使用してもよい。
上記高沸点有機溶媒は、油溶性染料に対し、質量比で0.01〜3.0倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用する。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。なお、本発明に用いる染料が水溶性で、添加剤が油溶性の場合にも前記乳化法を適用し得る。
前記分散粒子の体積平均粒径および粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の417〜418ページに記載されている方法を用いるなど、公知の方法で容易に測定することができる。例えば、インク中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均粒径測定機(例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり特に好ましい。
体積平均粒径とは粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の総体積で割ったものである。体積平均粒径については「高分子ラテックスの化学(室井 宗一著 高分子刊行会)」の119ページに記載がある。
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。これらの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種添加剤を加えた後、インクカートリッジに充填する直前でもよい。
平均粒子サイズを小さくし、且つ粗大粒子を無くす有効な手段として、機械的な乳化装置を用いることができる。
高圧ホモジナイザーは、US−4533254号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等がある。
また、近年になってUS−5720551号に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEE INTERNATIONAL LTD.)があげられる。
例えば、撹拌乳化機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのは特に好ましい方法である。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、湿潤剤や界面活性剤等の添加剤を添加した後、カートリッジにインクを充填する間に再度高圧ホモジナイザーを通過させる方法も好ましい方法である。
高沸点有機溶媒に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化物の安定性及び安全衛生上の観点から低沸点溶媒を除去するのが好ましい。低沸点溶媒を除去する方法は溶媒の種類に応じて各種の公知の方法を用いることができる。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この低沸点有機溶媒の除去工程は乳化直後、できるだけ速やかに行うのが好ましい。
超音波振動とは、インクが記録ヘッドで加えられる圧力によって気泡を発生することを防止するため、記録ヘッドで受けるエネルギーと同等かそれ以上の超音波エネルギーを予めインクの製造工程中に加えて気泡を除去しておくものである。
超音波振動は、通常、振動数20kHz以上、好ましくは40kHz以上、より好ましくは50kHzの超超音波である。また超音波振動により液に加えられるエネルギーは、通常、2×107J/m3以上、好ましくは5×107J/m3以上、より好ましくは1×108J/m3以上である。また、超音波振動の付与時間としては、通常、10分〜1時間程度である。
即ち、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する工程中でもその工程後であってもいずれの場合にも行うことができる。換言すれば、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、インク調製後に製品となるまでの間に任意に1回以上行うことができる。
上記残余の溶媒を混合する工程は、単独工程でも複数工程でもよい。
超音波振動を加える工程における、超音波振動発生手段としては、超超音波分散機等の公知の装置が挙げられる。
尚、これらの詳細については「防菌防黴剤事典」(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載されている。
また、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは、インク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウムなどの無機化合物やアンモニア水、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ピペリジン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、キノリン、ピコリン、ルチジン、コリジン等の有機塩基を使用することも可能である。
酸性化合物としては、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸、酒石酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サッカリン酸、フタル酸、ピコリン酸、キノリン酸等の有機化合物を使用することもできる。
伝導度の測定方法は、市販の飽和塩化カリウムを用いた電極法により測定可能である。
伝導度は主に水系溶液中のイオン濃度によってコントロール可能である。塩濃度が高い場合、限外濾過膜などを用いて脱塩することができる。また、塩等を加えて伝導度調節する場合、種々の有機物塩や無機物塩を添加することにより調節することができる。
無機物塩としては、ハロゲン化物カリウム、ハロゲン化物ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、サッカリン酸カリウム、フタル酸カリウム、ピコリン酸ナトリウム等の有機化合物を使用することもできる。
また、他の添加剤の成分を選定することによっても伝導度を調整し得る。
粘度の調製はインク溶媒の添加量で任意に調製可能である。インク溶媒として例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどがある。
また、粘度調整剤を使用してもよい。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げられる。更に詳しくは、「粘度調製技術」(技術情報協会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されている。
表面張力を調整する目的において、前記カチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤を添加することができる。界面活性剤は、インクジェット用インクに対して0.01〜20質量%の範囲で用いられることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲で用いられることがさらに好ましい。また、界面活性剤は2種以上を併用することができる。
ガラスまたは白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液面と板との接する部分に沿って液体の表面張力が下向きに働く。この力を上向きの力で釣り合わせて表面張力を測定することができる。
ここで、不揮発性成分とは、1気圧のもとでの沸点が150℃以上の液体や固体成分、高分子量成分を意味する。インクジェット記録用インクの不揮発性成分は、染料、高沸点溶媒、必要により添加されるポリマーラテックス、界面活性剤、染料安定化剤、防黴剤、緩衝剤などであり、これら不揮発性成分の多くは、染料安定化剤以外ではインクの分散安定性を低下させ、また印画後にもインクジェット受像紙上に存在するため、受像紙での染料の会合による安定化を阻害し、画像部の各種堅牢性や高湿度条件下での画像の滲みを悪化させる性質を有している。
また、ポリマーラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス、スチレンーアクリルラテックスやポリウレタンラテックスなどが挙げられる。さらに、ポリマーエマルジョンとしては、アクリルエマルジョンなどが挙げられる。
これらの水溶性高分子化合物は単独でも2種以上併用して用いることもできる。
粘度調整剤の高分子化合物の添加量は、添加する化合物の分子量にもよるが(高分子量のものほど添加量は少なくて済む)、インク全量に対して添加量を0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜1質量%である。
本発明では前記した界面活性剤とは別に表面張力調整剤として、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
本発明に用いられる受像材料としては、下記で説明する反射型メディアである記録紙及び記録フィルムが挙げられる。
支持体にそのまま受像層及びバックコート層を設けて本発明のインクの受像材料としてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよい。さらに支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテンおよびそれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙およびプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものがあげられる。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
本発明におけるインクの記録材料上への打滴体積は0.1pl以上100pl以下が好ましい。打滴体積のより好ましい範囲は0.5pl以上50pl以下であり、特に好ましい範囲は2pl以上50pl以下である。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。インクの打滴体積の制御は主にプリントヘッドにより行われる。
ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式の場合、サーマルインクジェット方式と同様にプリントヘッドの構造上打滴体積を変えることも可能であるが、後述するようにピエゾ素子を駆動する駆動信号の波形を制御することにより、同じ構造のプリントヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
写真のように、高画質の画像を記録するためには、小さいインク滴で鮮鋭度の高い画像を再現するため、打滴密度を600dpi(1インチあたりのドット数)以上とする必要がある。
一方、インクを複数のノズルを有するヘッドで打滴するにあたり、記録紙とヘッドが互いに直交する方向に移動して記録するタイプでは同時に駆動できるヘッドの数は数十から200程度であり、ラインヘッドと呼ばれるヘッドが固定されたタイプでも数百であるという制約がある。これは駆動電力に制約があることや、ヘッドでの発熱が画像に影響を及ぼすため、多数のヘッドノズルを同時に駆動できないためである。このため、打滴密度を上げて記録するには、記録速度が長くなりがちであるが、駆動周波数を高くすることにより、記録速度を上げることが可能である。
ピエゾ方式の場合、ピエゾを駆動する信号の周波数を制御することで可能である。
ピエゾヘッドの駆動に関して説明する。プリントすべき画像信号はプリンタ制御部により、打滴サイズ、打滴速度、打滴周波数が決定され、プリントヘッドを駆動する信号が作成される。駆動信号はプリントヘッドに供給される。ピエゾを駆動する信号により打滴サイズ、打滴速度、打滴周波数が制御される。ここで打滴サイズと打滴速度は駆動波形の形状と振幅で決定され、周波数は信号の繰返し周期で決定される。
この打滴周波数を10kHzに設定すると、100マイクロ秒ごとにヘッドは駆動され、400マイクロ秒で1ラインの記録が終了する。記録紙の移動速度を400マイクロ秒に1/600インチすなわち約42ミクロン移動するように設定することにより、1.2秒に1枚の速度でプリントすることができる。
また、ノズルの表面は特願2001−16738に記載されるような撥水処理を施すことが好適である。用途としては、コンピュータと接続されるプリンタであってもよいし、写真をプリントすることに特化した装置であってもよい。
打滴速度を制御するには、ヘッドを駆動する波形の形状と振幅を制御することにより行う。
また複数の駆動波形を使い分けることにより、同じヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
本発明のインクジェット用インクは、インクジェット記録以外の用途に使用することもできる。例えば、ディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料および屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
なお、「インクM−104〜M−106(本発明)」は、「インクM−104〜M−106(参考例)」と読み替えるものとする。
(固形分)
下記マゼンタ染料A 30g/l
尿素(UR) 30g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2(PXL) 3.5g/l
(液体成分)
トリエチレングリコール(TEG) 120g/l
グリセリン(GR) 150g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 130g/l
2−ピロリドン(PRD) 60g/l
トリエタノールアミン(TEA) 7g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
受像シートには富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」を用い、これに画像を印刷し、画像保存性、耐オゾン性および画像耐水性の評価を行った。
<耐オゾン性の評価>
耐オゾン性については、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内に試料を5日間放置し、オゾンガス下放置前後のパターンSの濃度を、X−rite310にて測定し、染料残存率を求め評価した。
この際、ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
マゼンタ染料残像率が90%以上の場合をA、80〜90%の場合をB、80%未満の場合をCとした。
画像の耐水性については、上記のパターン画像を普通紙に印刷し、印画されたこの画像サンプルを、水中に30秒間浸漬した後、引き上げたときの画像の乱れによって評価した。
にじみによって字の判読が不可能になったものをC、字は判読できるがにじみが著しいものをB、水洗後も字がはっきりとしており、画像が乱れていないものをAとした。
評価結果を下表に示す。
これに対し、インクに、(4)アミノ基を有する重合体(M−104)、(5)イミダゾール基を有する重合体(M−105)、および(6)第4級アンモニウム塩基を有する重合体(M−106、M−107)、を添加した場合にはオゾン耐性に富む画像が得られる。
本件出願において、外国における優先権主張の利益が請求されている、個々およびすべての外国特許出願の全体にわたる開示内容は、ここに引用され、すべてが加えられる。
Claims (7)
- アニオン解離基を有する水溶性染料、水および/または水溶性有機溶媒を含むインクジェット用インクであって、該アニオン解離基とイオンペアを形成可能なポリマーとして、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート又はトリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテートから選択されるモノマー単位が単独で重合したホモポリマー又は、該モノマーと他のモノマーとの共重合体であるカチオン性ポリマーから選択される少なくとも1つを含有し、該アニオン解離基を有する水溶性染料として、下記一般式(3)で表されるものを少なくとも1つ使用することを特徴とする、インクジェット用インク。
一般式(3);
一般式(3)中、A 31 は5員複素環を表す。
B 31 およびB 32 は、各々、=CR 31 −、−CR 32 =を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR 31 −もしくは−CR 32 =を表す。
R 35 およびR 36 は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。
G 3 、R 31 、R 32 は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、または複素環チオ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
R 31 とR 35 、またはR 35 とR 36 が結合して5または6員環を形成してもよい。 - 前記カチオン性ポリマーが水溶性ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 前記カチオン性ポリマーと前記アニオン解離基を有する水溶性染料を水中であらかじめ混合した後、生成した塩を脱塩の後にインクを調液することを特徴とする、請求項1又は2に記載のインクジェット用インクの製造方法。
- 前記カチオン性ポリマーと前記アニオン解離基を有する水溶性染料を水中であらかじめ混合した後、生成した塩を脱塩の後にインクが調液されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
- 一般式(3)で表される染料が下記一般式(3−A)で表される染料であることを特徴とする、請求項1、2及び4のいずれか一項に記載のインクジェット用インク。
一般式(3−A);
一般式(3−A)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはシアノ基を表し、各置換基の水素原子は置換されていてもよく、R33及びR34は、それぞれ独立に、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表し、R35及びR36は、それぞれ独立に、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル基またはアリールスルホニル基を表し、各置換基の水素原子は置換されていてもよく、Z31は炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、または炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基を表し、Z32は水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Qは置換されていてもよいベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環, ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環、またはチアン環を表し、さらに、上記R31〜R36、Z31、Z32及びQは、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基から選択されるイオン性親水性基を有していてもよい。 - 請求項1、2、4及び5のいずれか一項に記載のインクの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする、インクジェット用インクセット。
- 請求項1、2、4及び5のいずれか一項に記載のインクもしくは請求項6に記載のインクセットの少なくともいずれか1つを使用して、インクジェットプリンターにより普通紙もしくはインクジェット専用紙上に画像記録を行うことを特徴とする、インクジェット記録方法。
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