JP2001114820A - 感温性着色ポリマー組成物、感温性着色ポリマーおよびその製造方法、ならびにインクジェット記録用インク - Google Patents

感温性着色ポリマー組成物、感温性着色ポリマーおよびその製造方法、ならびにインクジェット記録用インク

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JP2001114820A
JP2001114820A JP29992299A JP29992299A JP2001114820A JP 2001114820 A JP2001114820 A JP 2001114820A JP 29992299 A JP29992299 A JP 29992299A JP 29992299 A JP29992299 A JP 29992299A JP 2001114820 A JP2001114820 A JP 2001114820A
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JP
Japan
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polymer
colored polymer
temperature sensing
temperature
ink
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JP29992299A
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English (en)
Inventor
Tadayoshi Ozaki
忠義 尾崎
Yoshihiro Inaba
義弘 稲葉
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い着色力を有し、分散安定性(溶液安定
性)が高く、かつ加熱により粒径分布がシャープなポリ
マー粒子が形成される感温性着色ポリマー組成物、該感
温性着色ポリマーおよびその製造方法、ならびにインク
ジェット記録用インクを提供すること。特に、インクジ
ェット記録用に用いた場合、長期保存安定性と画像のフ
ェザリングの防止が可能な感温性着色ポリマー組成物を
提供すること。 【解決手段】 ポリマーが下限臨界共溶温度(LCS
T)を持つN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドモ
ノマーと、カチオン性モノマーとを少なくとも共重合成
分として含む水溶性ポリマーと、アニオン染料とを反応
させた感温性着色ポリマーを水性媒体中に含有してなる
感温性着色ポリマー組成物、該感温性着色ポリマーおよ
びその製造方法、ならびにインクジェット記録用イン
ク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペイント、水性塗
料、紙塗工剤、フィルム用コ−ティング材等から記録材
料にまで広く用いることが可能な着色ポリマー組成物お
よびその製造方法に関するものであり、特に、筆記具、
マーカー、マーキングペン等から、各種印刷機、インク
ジェットプリンタ、その他の画像形成装置に用いられる
インク記録材料として好適に用いることができる、温度
によって水への溶解性を変化させることが可能な着色ポ
リマー組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット用インクには水性
染料や顔料を水に溶解または分散したインクが使用され
ている。しかし、このタイプのインクは用紙内部へのイ
ンクのにじみ(フェザリング)、インクの裏抜けが生じ
易いという問題がある。また、顔料を水系媒体に分散さ
せたインクの場合、顔料の凝集が発生しやすく、インク
の貯蔵、分散安定性等に問題があった。また、ラテック
スを染料または顔料で着色したインクが提案されている
が、同様に長期保存によってラテックスが凝集・沈降し
てしまうという問題があった。これらの問題に対して、
色材とLCST(下限臨界共溶温度)を持つ水溶性ポリ
マーを含有したインクが提案されている。上記ポリマー
は室温付近では溶解しているが、ポリマーのLCST以
上に加熱することによって会合疎水化し、インクの粘度
が低下し、さらに冷却すると再溶解・増粘するという特
性を有している。インクの加熱によって得られる着色会
合体を記録媒体に付着させると、温度の低下と共に会合
体が増粘するため、インクの記録媒体内部への浸透が抑
制できるというものである。
【0003】特開平6−248208号公報には、可逆
的熱ゲル化特性を有する水溶性セルロースエーテルを含
有したインクが開示されている。この場合、発色性、定
着性に優れ、フェザリングの少ない印刷物が得られる
が、ゲルの冷却による再溶解速度が低いという特徴か
ら、高速印字には適さないという問題があった。特開平
6−248208には、ポリビニルアセタール、メチル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポ
リイソプロピルアクリルアミドから選択される少なくと
も1種の水溶性ポリマーと一価アルコールを含有し、6
0℃〜80℃の範囲において液組成物が均一溶液である
ことを特徴とするインクが開示されている。この場合、
定着性に優れ、発色性の良好な画像形成が可能となる
が、記録媒体にインクが付着した際、色材が上記ポリマ
ーと結合していないため、色材の記録媒体中への浸透が
完全に抑えられず、フェザリングの発生をなくすことは
できないという問題があった。
【0004】特開昭60−11542号公報には熱可逆
的に転移温度以上で感熱ゲル化し、かつ乾燥によって水
不溶性となるポリマー物質を含んでなるインクジェット
用水性インクが開示されている。この場合、高い画像濃
度を有しフェザリングやブリーディングのない画像形成
が可能となるが、会合体の析出には有機溶媒、アンモニ
アの揮発を伴なうものがあり、画像形成時に異臭が発生
するという問題があった。一方、ポリマーまたはゲルの
染料による着色方法も広く知られている。特開昭60−
11542には水溶性ポリマーをカチオン染料によって
着色したポリマーが開示されている。この場合、長期保
存安定性と耐光性に優れた画像形成が可能となるが、耐
水性に問題があった。またポリマーの着色において、7
0℃以上という高温でかつ1時間以上の混合、かつ酸性
下での処理を必要とし、製造コストおよび処理工程での
安全性が懸念される。また、着色粒子としてエマルジョ
ンと混合させる旨記載されているが、工程が増えるばか
りでなく、製品の均一性、経時保存性に問題があった。
【0005】特開平4−274480号公報にはアクリ
ル系モノマーとアントラキノン等の染料を結合させた
後、重合を行った着色ゲルを用いた表示素子が開示され
ている。この場合、温度変化によって膨潤・収縮を繰り
返す着色したゲルが得られるが、染料含有モノマーの合
成・精製という工程が増えること、モノマーの重合阻害
が発生しやすいことなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記問題点を解決し、高い着色力を有し、分散安定
性(溶液安定性)が高く、かつ加熱により粒径分布がシ
ャープなポリマー粒子が形成される感温性着色ポリマー
組成物、感温性着色ポリマーおよびその製造方法、なら
びにインクジェット記録用インクを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の感温性
着色ポリマー組成物、インクジェット記録用インク、前
記組成物のための感温性着色ポリマー、およびその製造
法を提供することにより解決される。 (1) ポリマーが下限臨界共溶温度(LCST)を持
つN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドモノマー
と、カチオン性モノマーとを少なくとも共重合成分とし
て含む水溶性ポリマーと、アニオン染料とを反応させた
感温性着色ポリマーを水性媒体中に含有してなる感温性
着色ポリマー組成物。本発明の感温性着色ポリマーの水
溶液は溶液安定性に優れ、高い着色力を有している。ま
た前記水溶液の加熱によって生ずる凝集ポリマー粒子も
安定でかつ粒径分布がシャープであり、また、加熱・冷
却を繰り返し行っても粒径が変化することがない(凝集
しない)。 (2)カチオン性モノマーが下記構造式で示される4級
化アンモニウム塩基含有化合物であることを特徴とす
る、前記(1)に記載の感温性着色ポリマー組成物。
【0008】
【化1】
【0009】ここで、R1は水素原子またはメチル基、
2、R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜10のアルキ
ル基またはアラルキル基を示し、nは1ないし6の整数
を示す。R2およびR3が結合して一つの環を形成しても
よい。X-はハロゲンイオン、または構造中に−COO-
基もしくは−SO3 -基を有するアニオンを表す。Yは酸
素またはNR5を示し、R5は水素原子または炭素数1〜
3のアルキル基を示す。 (3)水、水溶性有機溶媒、およびポリマーが下限臨界
共溶温度(LCST)を持つN−アルキル置換(メタ)
アクリルアミドモノマーと、カチオン性モノマーとを少
なくとも共重合成分として含む水溶性ポリマーと、アニ
オン染料とを反応させた感温性着色ポリマーを含むイン
クジェット記録用インク。本発明のインクジェット記録
インクは、前記(1)に記載の感温性着色ポリマーを含
むため、貯蔵安定性が高く、またフェザリングのない高
発色の記録物を得ることができる。 (4)ポリマーが下限臨界共溶温度(LCST)を持つ
N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドモノマーと、
カチオン性モノマーとを少なくとも共重合体成分として
含む水溶性ポリマーと、アニオン染料を反応させたこと
を特徴とする感温性着色ポリマー。本発明の感温性着色
ポリマーは、水溶液とした状態で前記(1)に記載の優
れた特性を有する。 (5)ポリマーが下限臨界共溶温度(LCST)を持つ
N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドモノマーと、
カチオン性モノマーとを少なくとも含むモノマーを共重
合させ、その後アニオン染料と反応させることを特徴と
する、感温性着色ポリマーの製造方法。本発明の感温性
着色ポリマーは、製造工程が少なく低コストで、安全に
製造することが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、N−アル
キル置換(メタ)アクリルアミドとカチオン性モノマー
との共重合によって得られるカチオン性ポリマーとアニ
オン染料との反応を利用して得られる着色ポリマー含有
インクについて鋭意研究を重ねてきた。その結果、ポリ
マーがLCSTを持つN−アルキル置換(メタ)アクリ
ルアミドを、カチオン性モノマーと共重合させ、ポリマ
ー中にランダムに存在するカチオン性基を、アニオン染
料と反応させることにより上記問題点を克服できること
を見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、ポ
リマーが少なくともLCSTを持つN−アルキル置換
(メタ)アクリルアミドと、カチオン性モノマーとを共
重合することによって得られる感温性カチオンポリマー
をアニオン染料で染色することによって、十分な着色濃
度と良好な分散安定性(溶液安定性)を有し、かつその
水溶液の加熱により粒径分布がシャープなポリマー粒子
が形成される感温性着色ポリマーが得られることを見出
し、本発明を完成させた。
【0011】本発明における感温性着色ポリマーは、ポ
リマーがLCST特性を示すN−アルキル置換アクリル
アミドと、カチオン性モノマーとの共重合によって得ら
れる感温性カチオンポリマーを重合時、または重合後に
添加するアニオン染料で染色することで得られる。一般
的に下限臨界共溶温度LCSTは、Low Critical Solu
tion Temperature を意味し、LCST特性とは、ある
物質について、溶媒に対する溶解性がある温度より低い
場合には溶解するが、その温度以上では溶解しない特性
を意味し、本発明においては、N−アルキル置換(メ
タ)アクリルアミドのポリマーが水性液体、たとえば
水、水と親水性有機溶媒(低級アルコール等)との混合
溶媒に対する溶解性がLCST特性を示すことを意味す
る。本発明におけるLCST温度は、感温性着色ポリマ
ー組成物の用途によっても異なるが、たとえばインクジ
ェット用インクに用いる場合には、LCST温度は、室
温ないし該インクの加熱温度、たとえば100℃の範囲
内にあることが好ましい。
【0012】本発明のN−アルキル置換(メタ)アクリ
ルアミドとしては、ポリマーがLCSTを持つ(メタ)
アクリルアミド系モノマーの少なくとも一つ以上から選
ぶことができる。詳細には、N−シクロプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n
−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−
エチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル
アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリ
ルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アク
リロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N
−テトラヒドロフリルアクリルアミド等が挙げられる。
LCSTが室温以上であることが必要となるため、N−
シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルア
クリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N,N−
ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン
が好ましい。
【0013】これらのモノマーを用いることによって、
水溶液をLCST以上に加熱することで着色ポリマーは
疎水粒子化することができる。記録媒体が紙等の親水性
物質の場合、水系溶媒はすばやく記録媒体に浸透し、着
色ポリマーのみが記録媒体表面付近に残存するためフェ
ザリングが防止できるという利点を持っている。全モノ
マー中の上記N−アルキル置換アクリルアミドの割合は
30〜99モル%の範囲で選ばれるのが好ましい。さら
に好ましくは40〜95モル%である。30モル%より
少ない場合には加熱時の粒子形成が困難になり、99モ
ル%を超える場合には、ポリマーの着色性・分散安定性
が低下する。また本発明で用いるカチオン性モノマーと
しては、ポリマーにカチオン性を導入するために通常使
用される分子中に重合性基とカチオン性基を有するモノ
マーが特に制限なく使用できるが、ジアリルジメチルア
ンモニウムクロライド等のカチオン性モノマー、および
下記構造式で示される四級化アンモニウム塩基を有する
(メタ)アクリル酸エステルあるいは(メタ)アクリル
アミド等が好ましく使用できる。
【0014】
【化2】
【0015】ここで、R1は水素原子またはメチル基、
2,R3、R4は炭素数1〜10のアルキル基、または
アラルキル基、nは1から6の整数。さらに、R2,R3
とはそれぞれ末端が結合して一つの環を形成していても
よい。X-はハロゲンイオン、または構造中に−COO-
基または−SO3 -基を有するアニオンを示す。Yは酸素
またはNR5を示す。ただし、R5は水素原子または炭素
数1〜3のアルキル基を示す。
【0016】具体的には、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アク
リレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の
(メタ)アクリル酸エステル類、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メ
タ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリルアミド、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリル
アミド等のN−一置換(メタ)アクリルアミド類、ま
た、N−メチル-N-ジメチルアミノメチル(メタ)アク
リルアミド等、N−メチル-N-ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、N−エチル-N-ジメチルアミ
ノメチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−二置換
(メタ)アクリルアミド類等をメチルクロライド、エチ
ルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイドジ
メチル硫酸、ジエチル硫酸、クロル酢酸メチル等の四級
化剤で四級化反応して得られる化合物であり、これらの
モノマーの少なくとも一種類以上を用いることができ
る。全モノマー中のカチオン性モノマーの割合は1〜7
0モル%の範囲で選ばれるのが好ましい。さらに好まし
くは5〜60モル%である。1モル%より少ないと分散
安定性と十分な着色性が得られず、70モル%を超える
場合には凝集が発生し、分布のシャープな微小の粒子を
得ることができない。またポリマーに感温性を付与する
モノマーとカチオン性を付与するモノマーとの相対的割
合は95:5〜70:30の範囲にあることが、着色性
と加熱時の分散安定性の点からみて好ましい。
【0017】この他に水溶性とLCST特性を損なわな
い範囲で各種モノマーを共重合成分として用いることが
できる。具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル
(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリド
ン、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、(無
水)マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、N,N−ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエ
チルアミノプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリ
シジル(メタ)アクリレート、N−ブチル(メタ)アク
リルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミ
ド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル
等が好適であるが、これらのモノマーは全モノマー中の
50wt%以下が好ましく、さらに好ましくは20wt
%以下である。また、酢酸ビニルと共に重合を行い、部
分鹸化によってポリビニールアルコール部を持つポリマ
ーとしてもよい。共重合によって得られた感温性カチオ
ンポリマーの分子量は1万以上100万以下であること
が好ましい。1万以下の場合、感温性と着色性が共に不
十分となり、100万を超えた場合には、再溶解速度が
遅くなったり、水溶液が糸を引くようになるため好まし
くない。
【0018】感温性着色ポリマーの重合法は特に限定は
なく、水溶液重合、溶液重合、沈殿重合、その他公知の
重合法を用いることができる。重合に使用する開始剤は
従来の重合開始剤が利用できる。例えば、過酸化物系開
始剤、アゾ系開始剤のいずれであってもよい。具体的に
は、反応溶媒が水である場合、例えば、過酸化物系水溶
性開始剤として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチ
ルヒドロペルオキシド等が、アゾ系水溶性剤として、
2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチル
-プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2
−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2-
(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,
2’−アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパ
ン]、2,2‘−アゾビス(2−メチルN−フェニルプ
ロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス [N
−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオン
アミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−
クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]
二塩酸塩、、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等が
挙げられる。また、メタノール、エタノール等のモノマ
ーを溶解しうる親水性有機溶媒を少なくとも一種類を用
いた反応溶媒中での重合においては、2,2‘−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチ
ルブチロニトリル)、ジメチル 2,2’−アゾビスイ
ソブチレート等を用いることができる。
【0019】ラジカル重合を促進させるために、例え
ば、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸
第一鉄、グルコース、ホルムアルデヒドナトリウムスル
ホキシレート、L−アスコルビン酸およびその塩、亜硫
酸水素ナトリウムなどの還元剤、グリシン、アラニン、
エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤を
併用することができるまた、生成するポリマーの分子量
を制御するため、連鎖移動剤を用いることができる。連
鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン、オクチ
ルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−
ヘキシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等の
メルカプタン類、四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲ
ン系化合物が通常モノマーの総量に対して、0.001
〜10wt%を重合時に添加することができる。重合に
用いる溶媒としては、重合反応中に原料のモノマーに対
して実質的に不活性であり、かつ原料および生成するポ
リマーを溶解することができればよく、具体的には、水
または水と均一に混合可能な親水性有機溶媒あるいはこ
れらの混合溶媒を用いることができる。親水性有機溶媒
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール等の低級アルコール、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等の環状エーテル、アセトン、アセトニ
トリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド等が上げられる。反応溶媒と
して親水性有機溶媒を用いた場合には、感温性カチオン
ポリマーがLCST特性を示すため、また人体への接触
危険性を取り除くために、親水性有機溶媒を留去するな
どして除去した後に純水によって再分散することが好ま
しい。ただし、親水性有機溶媒がメタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコー
ルの場合には、インクの吐出性能を向上させるためイン
ク全量に対して0〜10wt%の範囲で残留させておい
てもよい。
【0020】共重合によって得られた感温性カチオンポ
リマー水溶液中はホモポリマー、未反応のモノマー、お
よび開始剤等の不純物を含んでいる。これらの不純物を
除去するために、限外ろ過、透析等の従来公知の分離法
を用いて感温性カチオンポリマーを精製することができ
る。また、本発明で感温性カチオンポリマーの染色に使
用するアニオン染料は、アニオン性基を含有する水溶性
染料を意味する。ここで言うアニオン染料の中には、溶
解度のpH依存性があるものも当然含まれる。本発明で
使用するアニオン染料としては、カラーインデックス
(COLOUR INDEX)に記載されている水溶性
の酸性染料、直接染料、反応性染料および食用染料であ
れば特に制限はない。又、カラーインデックスに記載の
ない染料でもアニオン性基、例えば、スルホン基、カル
ボキシル基等を有するものであれば、特に問題なく使用
することが出来るが、反応性の観点から分子内にアニオ
ン性基のみを持つ染料が特に好ましい。
【0021】本発明において使用することが可能な水溶
性アニオン性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブ
ラック-2、-4、-9、-11、-17、-19、-22、-32、-80、-1
51、-154、-168、-171、-194、-195、C.I.ダイレクトブ
ルー-1、-2、-6、-8、-22、-34、-70、-71、-76、-78、
-86、-112、-142、-165、-199、-200、-201、-202、-20
3、-207、-218、-236、-287、-307、 C.I..ダイレクト
レッド-1、-2、-4、-8、-9、-11、-13、-15、-20、-2
8、-31、-33、-37、-39、-51、-59、-62、-63、-73、-7
5、-80、-81、-83、-87、-90、-94、-95、-99、-101、-
110、-189、-227、 C.I.ダイレクトバイオレット-2、-
5、-9、-12、-18、-25、-37、-43、-66、-72、-76、-8
4、-92、-107、 C.I.ダイレクトイエロー-1、-2、-4、-
8、-11、-12、-26、-27、-28、-33、-34、-41、-44、-4
8、-58、-86、-87、-88、-132、-135、-142、-144、-17
3、 C.I.フードブラック-1、-2、 C.I.アシッドブラッ
ク-1、-2、-7、-16、-24、-26、-28、-31、-48、-52、-
63、-107、-112、-118、-119、-121、-156、-172、-19
4、-208、 C.I.アシッドブルー-1、-7、-9、-15、-22、
-23、-27、-29、-40、-43、-55、-59、-62、-78、-80、
-81、-83、-90、-102、-104、-111、-185、-249、-25
4、 C.I.アシッドレッド-1、-4、-8、-13、-14、-15、-
18、-21、-26、-35、-37、-52、-110、-144、-180、-24
9、-257、 C.I.アシッドイエロー-1、-3、-4、-7、-1
1、-12、-13、-14、-18、-19、-23、-25、-34、-38、-4
1、-42、-44、-53、-55、-61、-71、-76、-78、-79、-1
22等が挙げられる。
【0022】感温性カチオンポリマーとアニオン染料と
の反応(染色)は重合時または重合終了後、室温から重
合反応温度までの範囲で染料水溶液を添加することによ
って可能であるが、重合終了後に行うことが好ましい。
本発明によれば、高温での処理を必要としないばかり
か、染色に必要な時間は最低1分でよく、長くても2時
間で完了することができる。感温性カチオンポリマーと
アニオン性染料との反応は当量で行われるので、アニオ
ン性染料の添加量は、最大、ポリマー中のカチオン性基
の当量に相当する添加量まで変化させることにより、ポ
リマーの着色濃度を制御することができる。アニオン染
料を過剰に添加しすぎると、水系分散媒に遊離する染料
が生じるため好ましくない。遊離の染料が存在する場合
には、透析、限外ろ過等の従来公知の分離法によって遊
離の染料を除去することもできる。また、染料水溶液の
濃度はポリマー中のカチオン性基との反応から、比較的
高濃度で行うのが好ましく、0.1〜50wt%、さら
に好ましくは0.1〜20wt%の範囲で添加すればよ
い。
【0023】また、本発明において、分子内にカルボン
酸等の弱酸の官能基を持つ染料での染色において界面活
性剤の添加も可能である。使用できる界面活性剤として
は、ノニオン性界面活性剤であれば何でもよく、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアル
キルエステル類、ポリオキシエチレンアルキルソルビタ
ンエステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、
グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステ
ル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオ
キシエチレングリコール脂肪酸エステル類などから任意
に選ぶことができる。界面活性剤の添加量は、若干量で
効果があり、ポリマーに対して0〜10wt%、好まし
くは0〜5wt%である。界面活性剤は重合後の染色時
に添加しても、また重合時に添加してもよい。
【0024】上記のようにして合成した本発明の感温性
着色ポリマーの水溶液(水溶性有機溶媒を含んでいてよ
い。以下に同じ)は安定(分散安定性)であり、したが
って該ポリマーをインクジェット用記録インクに用いた
場合、インク貯蔵性が長期間に亘り極めて良好である。
また、本発明の感温性着色ポリマーには前記のようなカ
チオン性モノマーを導入したことにより、着色剤がポリ
マー分子に化学的に結合するため、ポリマーと着色剤の
結合は強固であり、たとえば感温性着色ポリマーに水洗
等の処理を加えても着色剤がポリマー分子から離脱する
ことはない。したがって、本発明の感温性着色ポリマー
をインクジェット記録用材料に用いた場合、着色力が高
くまた滲みなどが生ずることもない(高発色でフェザリ
ングがない)、優れた記録特性が得られる。また、本発
明の感温性着色ポリマーにカチオン性モノマーを導入し
たことにより、N−アルキル置換アクリルアミドのLC
ST以上に加熱するとポリマー粒子の析出時にポリマー
中のカチオン性基が粒子表面に局在化し、水に不溶化し
たN−アルキル置換基は粒子内部に集中する。そのた
め、粒子表面のカチオン性基による静電反発が作用し、
ポリマー粒子が互いに凝集することを防止できるという
特徴を持っている。したがって、加熱によって不溶化し
た凝集ポリマー粒子は粒径分布がシャープであるという
特性を有している。さらに、本発明の感温性着色ポリマ
ーの水溶液に加熱・冷却処理を繰り返し行ってもポリマ
ー粒子が凝集することなく、ポリマー粒子の粒径は初期
の状態から変化することがない。
【0025】本発明の感温性着色ポリマーをインクジェ
ット記録用インクとして用いる場合には、インクの溶媒
に添加剤として、ノズルの耐目詰まり性、保湿性を改善
するために、親水性高沸点低揮発性溶媒を加えることも
できる。用いられる親水性高沸点低揮発性溶媒として
は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等
の高沸点低揮発性の多価アルコール類が用いられ、ある
いはそれらのモノエーテル化物、ジエーテル化物、エス
テル化物、例えばエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等
が挙げられ、 その他、N―メチルー2―ピロリドン、
1,3ージメチルイミダゾリジノン、モノエタノールア
ミン、N,N−ジメチル エタノールアミン、N,N−
ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−
n−ブチルジエタノールアミン、トリイソプロパノール
アミン、トリエタノールアミン等の含窒素有機溶剤等の
水溶性有機溶剤も使用することができる。
【0026】またインクの主溶媒である水に対して、乾
燥性、浸透性の向上を目的として、エタノール、1−プ
ロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−
ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール等の
一価アルコールを添加することもできる。本インクの水
性溶媒には定着性向上剤として水溶性ポリマーを溶解さ
せて用いることもできる。例えば、ポリエチレンオキサ
イド等のポリアルキルオキサイド、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ア
ルカリ可溶型のアクリル酸系樹脂、にかわ、ゼラチン、
カゼイン、アルブミン、アラビアゴム、アルギン酸、メ
チルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ポリビニルエーテル、ポリビ
ニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、αーシ
クロデキストリン、グルコース、キシロース、スクロー
ス、マルトース、アラビノース、マルチトール、デンプ
ン等の単糖類、二糖類、多糖類、配糖体等が挙げられ
る。
【0027】
【実施例】次に本発明を実施例に基づき、さらに具体的
に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下
の実施例に制限されるものではない。なお、実施例中、
パーセントは特に断りがなければ重量基準を示す。 合成例1−感温性ポリマーの合成(1)− 温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素導入管を備えた
500ml四つ口フラスコにN−イソプロピルアクリル
アミド(NIPAMと略称する。以下同様)25.75
g、塩化メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウム
(METMACと略称する。以下同様)4.68gにイ
オン交換水を加えて240gとした。このときのモノマ
ーのモル比はNIPAM/ METMAC=85/15
である。ついで、内容物を激しく攪拌しつつ、フラスコ
内を窒素置換した後25℃に加熱し、その温度を保ちな
がら1%過硫酸カリウム水溶液5gと1%亜硫酸水素ナ
トリウム水溶液5gを添加し、24時間重合を行い、無
色透明のポリマー水溶液(固形物濃度11%)を得た。
NIPAM/ METMAC(モル比)がおよそ85/
15の感温性ポリマー(1)が得られた。得られたポリ
マー水溶液を33℃(LCST温度)以上に加熱すると
ポリマー粒子が析出し、水溶液は白濁し、この白濁溶液
を冷却すると無色透明になった。白濁した状態で堀場製
作所社製粒度分布計LA−920を用いて測定したとこ
ろ、粒径は0.14μmであった。この感温性カチオン
ポリマー(1)を限外ろ過を35℃で加熱しながら行
い、METMACホモポリマーを除去した。
【0028】合成例2−感温性ポリマーの合成(2)− モノマーとしてNIPAM10.97g、METMAC
1.99g(モノマーモル比91/9)を加えて反応温
度を70℃において、開始剤に0.3%過硫酸カリウム
水溶液5gを用いて合成例1と同様な操作を行った。N
IPAM/ METMAC(モル比)がおよそ91/9
の感温性ポリマー(2)を得た。得られた感温性カチオ
ンポリマー(2)の水溶液を33℃以上に加熱すると、
水溶液は白濁した。白濁時のポリマー粒径は0.14μ
mであった。
【0029】合成例3−感温性ポリマーの合成(3)− 溶媒としてイオン交換水の代わりにエタノールを、開始
剤として過硫酸カリウムの代わりに2,2‘−アゾビス
イソブチロニトリルの1%エタノール溶液1gを用いた
以外は、前記合成例2と同様の操作を行い、ポリマー溶
液を得た。NIPAM/ METMAC(モル比)がお
よそ91/9の感温性ポリマー(3)が得られた。この
ポリマー溶液のエタノールを留去後、析出した感温性カ
チオンポリマー(3)に純水50gを添加し再分散し
た。このポリマー水溶液を35℃に加熱すると白濁し、
さらに冷却すると白濁が消え無色透明になった。白濁時
の粒径を測定すると、0.69μmであった。
【0030】比較合成例1 モノマーのMETMACを除いた以外は合成例1と同様
の操作によって、ポリマー(A)を得た。ポリマー水溶
液を35℃に加熱すると、白濁凝集物が得られた。
【0031】比較合成例2 モノマーのNIPAMを除いた以外は合成例1と同様の
操作によって、ポリマー(B)を得た。ポリマー水溶液
を35℃に加熱しても、ポリマーの白濁現象は見られな
かった。
【0032】比較合成例3 モノマーとしてメタクリル酸エチル42g、METMA
C8.5gを用いて、反応温度を80℃にした以外は合
成例2と同様の操作によって、平均粒径0.33μmの
カチオン性ラテックスを得た。
【0033】実施例1 合成例1で得られた感温性カチオンポリマー(1)の1
%水溶液250gに、C.I.アシッドレッド94の1
%水溶液70gを加えて5分間攪拌し、本発明の水性イ
ンクを得た(カチオン性基は、染料と反応)。染色性を
確認する目的で限外ろ過(ろ紙の分画分子量1000
0)を行ったところ、ろ液は無色透明で染料が完全にポ
リマーに結合していることが分かった。また、得られた
インクを一週間静置させておいたが、凝集物は発生して
いなかった。この水溶液を35℃に加熱し粒径を測定す
ると、平均粒径が0.48μmで分布はシャープであっ
た。この水溶液は加熱・冷却を繰り返しても粒径の変化
はなかった。
【0034】実施例2 合成例2で得られた感温性カチオンポリマー(2)1%
水溶液250gに対して、C.I.アシッドレッド88
の0.4%水溶液70gを加え5分間攪拌し本発明の水
性インクを得た(カチオン性基は、染料と反応)。実施
例1と同様に限外ろ過を行ったところ、ろ液は無色透明
で、染料はポリマーに完全に結合していた。また、得ら
れたインクを一週間静置させたが、凝集物は発生してい
なかった。この水溶液を実験例1と同様に加熱し粒径を
測定すると、平均粒径が0.25μmで分布はシャープ
であった。この水溶液は加熱・冷却を繰り返しても粒径
の変化はなかった。
【0035】実施例3 合成例3で得られた感温性カチオンポリマー(3)1%
水溶液250gに対して、分子内にアニオン性基を二つ
有するC.I.ダイレクトイエロー144の1%水溶液
70gを加え5分間攪拌し本発明の水性インクを得た
(カチオン性基は、染料と反応)。実施例1と同様に限
外ろ過を行ったところ、ろ液は無色透明で染料は粒子表
面に完全に結合していた。また、得られたインクを一週
間静置させたが、凝集物は発生していなかった。この水
溶液を加熱し粒径を測定すると、平均粒径が0.61μ
mで分布はシャープであった。この水溶液は加熱・冷却
を繰り返しても粒径の変化はなかった。
【0036】実施例4 感温性カチオンポリマー(1)1%水溶液250gに対
して、分子内にアニオン性基を二つ有するC.I.アシ
ッドブルー158の1%水溶液70gを加え5分間攪拌
し本発明の水性インクを得た(カチオン性基は、染料と
反応)。実施例1と同様に限外ろ過を行ったところ、ろ
液は無色透明で染料は粒子表面に完全に結合していた。
また、得られたインクを一週間静置させたが、凝集物は
発生していなかった。この水溶液を加熱し粒径を測定す
ると、平均粒径が0.49μmで分布はシャープであっ
た。この水溶液は加熱・冷却を繰り返しても粒径の変化
はなかった。
【0037】比較例1 ポリマー(A)1%水溶液250gに実施例1と同様の
操作を行ったところ、限外ろ過のろ液は着色しており、
ポリマーは染料によって十分に着色されていなかった。
35℃の加熱によって凝集が発生したが、分布のシャー
プな微小粒子は得られなかった。
【0038】比較例2 ポリマー(B)1%水溶液250gに実施例1と同様の
操作を行ったところ、限外ろ過のろ液は無色透明であっ
たが、室温で凝集体が発生した。
【0039】比較例3 比較合成例3で得られたカチオン性ラテックス1%分散
液250gに対して、実施例1と同様の操作を行ったと
ころ、平均粒径が0.45μmで分布はシャープであっ
た。限外ろ過のろ液は無色透明であった。
【0040】比較例4 C.I.アシッドレッド94の1%水溶液250gを調
製し、染料溶解型の比較インクを作製した。
【0041】[評価]テスト印字にはインクジェットプ
リンタDeskJet1200[ヒューレットパッカー
ド社製]を用いた。DeskJet1200は紙等の記
録媒体を加熱する機能を持ち、印字時における紙の温度
は80℃であった。得られた8種類のインクを専用イン
クカートリッジに充填し、再生紙[富士ゼロックス社製
R紙]にテスト印字を行った。画質評価は、テスト印字
部を25倍のルーペで観察し、ドットの再現性とフェザ
リングを目視判定し、下記の評価基準に基づきそれぞれ
画質を評価した。また、印字部の裏抜け状態を目視判定
し評価した。さらに、溶液安定性を評価する目的でイン
クを35℃で1ヶ月間静置させた時の沈澱物生成の有無
を調べた。沈澱物が発生しないものを○、発生するもの
を×とした。 (画質評価の基準) A:フェザリングがなく、ドット形状が良好なレベル B:フェザリングが少し認められるが、実用上問題はな
いレベル C:フェザリングが目立ち、ドット形状が不良で実用上
問題があるレベル
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の感温性着色ポリマーの水溶液は
溶液安定性に優れ、高い着色力を有している。また前記
水溶液の加熱によって生ずる凝集ポリマー粒子も安定で
かつ粒径分布がシャープであり、また、加熱・冷却を繰
り返し行っても粒径が変化することがない(凝集しな
い)。また本発明の感温性着色ポリマーは、製造工程が
少なく低コストで、安全に製造することが可能である。
また、この感温性着色ポリマーの組成物をインクジェッ
ト記録材料に用いた場合、インクの貯蔵安定性が高く、
またフェザリングのない高発色の記録物を得ることがで
きる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC01 2H086 BA53 BA56 4J039 AD10 AD12 BE04 CA03 EA32 EA44 GA24 4J100 AL08Q AM17P AM19P AM21P AM21Q BA32Q BC02P BC53P CA04 CA31 HB34 HB50 HB52 HB53 HC04 HC09 HC36 HC43 HC54 HC63 HC70 JA01 JA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマーが下限臨界共溶温度(LCS
    T)を持つN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドモ
    ノマーと、カチオン性モノマーとを少なくとも共重合成
    分として含む水溶性ポリマーと、アニオン染料とを反応
    させた感温性着色ポリマーを水性媒体中に含有してなる
    感温性着色ポリマー組成物。
  2. 【請求項2】 水、水溶性有機溶媒、およびポリマーが
    下限臨界共溶温度(LCST)を持つN−アルキル置換
    (メタ)アクリルアミドモノマーと、カチオン性モノマ
    ーとを少なくとも共重合成分として含む水溶性ポリマー
    と、アニオン染料とを反応させた感温性着色ポリマーを
    含むインクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 ポリマーが下限臨界共溶温度(LCS
    T)を持つN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドモ
    ノマーと、カチオン性モノマーとを少なくとも共重合体
    成分として含む水溶性ポリマーと、アニオン染料を反応
    させたことを特徴とする感温性着色ポリマー。
  4. 【請求項4】 ポリマーが下限臨界共溶温度(LCS
    T)を持つN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドモ
    ノマーと、カチオン性モノマーとを少なくとも含むモノ
    マーを共重合させ、その後アニオン染料と反応させるこ
    とを特徴とする、感温性着色ポリマーの製造方法。
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