JP2016194041A - インクジェット用インク、印刷物、およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用インク、印刷物、およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、一般の印刷基材に対して印字性に優れており、特に非吸水性基材または難吸水性基材の記録媒体への印字性が良好である。さらにインクジェットノズルからの吐出安定性・インキの分散性・保存安定性・印字物の耐水性に優れる水系インクジェット用インクとそれを用いた印刷物、およびインクジェット記録方法を提供することにある。【解決手段】前記課題は、水、顔料(A)、顔料分散樹脂(B)、水溶性溶剤(C)、熱可逆型高分子(D)を含有してなるインクジェット用インクにおいて、該熱可逆型高分子(D)が下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位を含みかつ下限臨界共溶温度Tcが20℃〜100℃であるインクジェット用インキによって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、一般の印刷基材に対して印字性に優れており、特に非吸水性基材または難吸水性基材の記録媒体への印字性が良好であり、さらにインクジェットノズルからの吐出安定性・インキの分散性・保存安定性・印字物の耐水性に優れる水系インクジェット用インクとそれを用いた印刷物、およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインキ液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置の騒音が小さく、操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィースや家庭での出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機としての利用が期待され、環境面および印刷物の耐性面等から水性顔料インキが求められている。水性顔料インキは、顔料が水に不溶であるため、インキ中での顔料分散を保つために分散樹脂を用いて水中での分散安定化を図っている。(例えば特許文献1,2,3参照)。
近年要求される高速印刷によって鮮明な画像を形成するためには、水性顔料インキが記録媒体へ着弾した後の乾燥性を上げる必要がある。インキの乾燥機構は蒸発と記録媒体への浸透に分類されるが、インクジェットインキにはノズルの乾燥防止を目的として保湿剤と位置づけられる高沸点の水溶性溶剤が含まれているためにインキの蒸発速度を上げるには限界があり、記録媒体への浸透性の寄与が非常に大きかった。
記録媒体への浸透が遅いと、紙面上にインキが多く残存することになり色むらが発生したり、多色印刷の場合はインキが混色してしまう。特に、非吸水性基材または難吸水性基材の記録媒体、例えばコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどはインキの浸透が遅いため色むら・混色が生じやすい。
特許文献4には、記録媒体への浸透性が高い高沸点の水溶性溶剤を添加することによりノズルの乾燥防止および乾燥性の向上を図り、印字性を高めることが開示されている。しかしインキ中への浸透性溶剤の添加だけでは、特に非吸水性基材または難吸水性基材の記録媒体に対する印字性はまだ不足しており、改善が望まれていた。
一方、水性インキを用いて鮮明な画像を形成する方法として、下限臨界共溶温度Tcをもつ感温材料を使用する方法が開示されている。(特許文献5、6、7)
特許文献5には、ポリオキシエチレン等の感温材料を用いたインキが開示されている。しかしながら、染料水溶液を用いたインキでは耐光性が不足し、色素が媒体に溶解しているためか、感温材料の相転移に伴うインキの刺激応答性が悪く色むらや混色等の印字性はまだ不足していた。また、顔料分散液を用いたインキでも感温樹脂の親水性が高すぎるためか、色むらや混色等の印字性は不足していた。さらにこれら染料/顔料インキは保存安定性が保持できない、吐出安定性が悪い、また、感温樹脂の親水性が高いために耐水性が悪いという課題がある。
特許文献6には、オキシエチレン基を含有するトリブロックポリマーを用いたインキが開示されている。これら染料水溶液を用いたインキは、室温(25度)付近では色素をトリブロックポリマーミセル中に包含した状態で存在し、トリブロック中のオキシエチレン基の相転移温度以下である0℃や5℃に冷却することでポリマーを分子溶解させ、インキが増粘することで定着性の改善を図っている。しかしながら記録媒体に印字されるときにはトリブロックポリマーは溶解状態であるため水分子や溶媒の分子を取り込みやすく、さらにトリブロックポリマーの親水性も高いために耐水性が悪いという課題がある。また、印字性、保存安定性、吐出安定性にも課題がある。
特許文献7には、ポリオキシアルキレン基を含有する感温材料を用いたインキが開示されている。しかしながらこれらインキは、感温材料の親水性が高いためか、特に非吸水性基材または難吸水性基材の記録媒体に対しては色むらや混色等の印字性がまだ不足しており、改善が望まれていた。また、耐水性、保存安定性、吐出安定性にも課題がある。
特開昭64−6074号 特開昭64−31881号公報 特開平3−210373号公報 特開2012−188582 特許第3486449 特表2005−532470 特開平8−333534
本発明の目的は、インクジェット記録用の顔料インキにおいて、一般の印刷基材に対して印字性に優れており、特に非吸水性基材または難吸水性基材の記録媒体への印字性が良好であり、さらにインクジェットノズルからの吐出安定性・インキの分散性・保存安定性・印字物の耐水性に優れる水系インクジェット用インクとそれを用いた印刷物、およびインクジェット記録方法を提供することにある。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
即ち本発明は、
水、顔料(A)、顔料分散樹脂(B)、水溶性溶剤(C)、熱可逆型高分子(D)を含有してなるインクジェット用インクであって、該熱可逆型高分子(D)が下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位を含みかつ下限臨界共溶温度Tcが20℃〜100℃であるインクジェット用インクに関する。
一般式(1)


(一般式(1)中、R1は水素原子、またはアルキル基を表す。R2、R3はエチレン基、直鎖もしくは分岐のプロピレン基、または直鎖もしくは分岐のブチレン基を表し、R2とR3は異なる。R4は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。n、mは0〜30の整数を表し、n+m≧1である。)
一般式(2)



(一般式(2)中、R5は水素原子、またはアルキル基を表す。Zは直接結合、−CONR7−、または−COO−を表す。R6はアルキル基、またはアリール基を表し、R7は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す)
また、本発明は、熱可逆型高分子(D)が一般式(2)で表される構造単位を5〜70重量%含む前記インクジェット用インクに関する。
また、本発明は、一般式(2)で表される構造単位を形成する単量体の分配係数の対数値logPが0.90以上である前記インクジェット用インクに関する。
また、本発明は、前記水溶性溶剤(C)が、グリコールエーテル類、およびジオール類からなる群より選ばれる少なくとも一種である前記インクジェット用インクに関する。
また、本発明は、前記グリコールエーテル類が(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルである前記インクジェット用インクに関する。
また、本発明は、前記ジオール類が炭素数3〜6のアルカンジオールである前記インクジェット用インクに関する。
また、本発明は、前記顔料分散樹脂(B)が、下記の単量体A、単量体B及び単量体Cを共重合組成に少なくとも含む前記インクジェット用インクに関する。
単量体A:芳香環を有するエチレン性不飽和単量体
単量体B:炭素数が10以上24以下のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体
単量体C:酸基を有するエチレン性不飽和単量体
また、本発明は、記録媒体に、前記インクジェット用インクを印刷した印刷物に関する。
また、本発明は、記録媒体が、非吸水性または難吸水性の基材である前記印刷物。
表面温度が熱可逆型高分子(D)の下限臨界共溶温度Tc以上である記録媒体上に、前記インクジェット用インクの液滴を吐出し、付着させて印字を行うインクジェット記録方法。
本発明によれば、一般の印刷基材、特に非吸水性基材または難吸水性基材の記録媒体への印字性が良好であり、さらにインクジェットノズルからの吐出安定性・インキの分散性・保存安定性・印字物の耐水性に優れる水系インクジェット用インクとそれを用いた印刷物、およびインクジェット記録方法を提供できる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明のインクジェット用顔料インキ(以下、インキ又は顔料インキという)について説明する。
<熱可逆型高分子(D)>
本発明の顔料インキは、下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位を含みかつ下限臨界共溶温度Tcが20℃〜100℃である熱可逆型高分子(D)を含有してなることを特徴とする。
一般式(1)



(一般式(1)中、R1は水素原子、またはアルキル基を表す。R2、R3はエチレン基、直鎖もしくは分岐のプロピレン基、または直鎖もしくは分岐のブチレン基を表し、R2とR3は異なる。R4は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。n、mは0〜30の整数を表し、n+m≧1である。)
1、R4におけるアルキル基としては炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、デシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、ヘキサデシル基などが挙げられる。
4におけるアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ノニルフェニル基、ナフチル基または、パラクミルフェニル基等が挙げられる。
アルキル基やアリール基は、その水素原子の一部もしくは全部をハロゲン等の官能基に置換されていてもよい。
熱可逆型高分子(D)における一般式(1)の部分は、本発明の顔料インキ中で熱可逆型高分子(D)が熱により溶解と不溶化の熱可逆的相転移を発現するための構造である。R2、R3、4の構造やn、mの数により相転移を発現する温度(下限臨界共溶温度Tc)を調節できる。
一般式(1)を構成する単量体の具体例としては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコーループロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコールーテトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコールーテトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールーテトラブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基末端アルキレンオキシド含有(メタ)アクリレート;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;
エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノパラクミルフェニルエーテルアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノメタクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート;
等を挙げる事ができる。これらの群から単独または複数用いることができる。
Tcの調節のしやすさから、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
一般式(2)


(一般式(2)中、R5は水素原子、またはアルキル基を表す。Zは直接結合、−CONR7−、または−COO−を表す。R6はアルキル基、またはアリール基を表し、R7は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す)
5、R6、R7におけるアルキル基およびアリール基としては、一般式(1)で挙げたものと同じものが挙げられる。
熱可逆型高分子(D)における一般式(2)の部分は、その疎水性の高さから、本発明の顔料インキ中で熱可逆型高分子(D)が顔料やバインダー樹脂などの部材と相互作用する機能と、下限臨界共溶温度Tcを調節する機能をもつ。
一般式(2)を構成する単量体の具体例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有(メタ)アクリレート;
1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等のビニル化合物類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族基含有エチレン性不飽和単量体;
トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン基含有エチレン性不飽和単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;
等を挙げる事ができる。これらの群から単独または複数用いることができる。
ここで、本発明のインキが何故、優れた効果を発揮するかについて説明する。
第一に、印字性に優れる理由を説明する。一般式(1)および一般式(2)を含みかつ下限臨界共溶温度Tcが20℃〜100℃である熱可逆型高分子(D)をインキ中に添加することで、熱可逆型高分子(D)の一般式(1)のアルキレンオキシド構造と一般式(2)の疎水性基があるため、レベリング性をコントロールし色むらや多色印刷時の混色が抑制されていると考えられる。
加えて、一般的な印刷工程に含まれる乾燥で与えられる熱エネルギーでも部分的もしくは完全に熱可逆型高分子(D)の相転移が起こっているためと考えられる。これは、熱可逆型高分子(D)が溶解状態からTc以上の温度になって不溶化したことでインキの分散状態に変化をもたらしたことによるものと推察している。理由は定かではないが、熱可逆型高分子(D)には、相転移を引き起こす一般式(1)のアルキレンオキシド構造の部位と、さらに顔料やバインダー樹脂などのインキ部材と相互作用しやすい疎水性基すなわち一般式(2)の部位が両方あるため、熱可逆型高分子(D)の相転移に伴ってインキの分散状態の変化がより顕著に現れ、色むらや多色印刷時の混色が抑制されると考えている。したがって、特に表面の温度がTc以上である記録媒体に印字したときに優れた印字性を得る事ができるものと考えられる。
また、印字性に優れる理由として、熱可逆型高分子(D)の相転移に伴ってインキの分散状態に変化が生じ、乾燥性も向上していることも挙げられる。これは、熱可逆型高分子(D)の不溶化により、水や水溶性溶剤が揮発しやすい環境になるからであると考えられる。
第二に、インキの耐水性が良好であることについて説明する。一般にポリエチレングリコールなどのようなアルキレンオキシド構造を含む高分子材料をインキに添加すると、その親水性の高さから、印刷物の耐水性が悪化する。しかしながら、本発明の熱可逆型高分子(D)は、一般式(2)の疎水性基を含むため、印刷物の耐水性を向上させることができる。
第三に、インキの分散性、保存安定性、吐出安定性が良好であることについて説明する。ポリエチレングリコールなどのようなアルキレンオキシド構造を含む高分子材料をインキに添加すると、分散状態に悪影響を及ぼす場合がある。しかしながら、本発明の熱可逆型高分子(D)は、一般式(2)の疎水性基を含むため、添加するだけでは分散状態に影響を与えず、むしろ分散補助剤のような働きをしていると考えられる。また、単量体A、B、Cを含む顔料分散樹脂(B)と組み合わせることにより、さらに保存安定性は良好となる。また理由は定かではないが、インキの保存時に一時的にTc以上の温度がかかり熱可逆型高分子(D)が不溶化しインキの分散状態に変化が生じても、バルクのインキでは熱可逆的に分散状態が保たれるためか、長期保存安定性が良好である。インキの分散性、保存安定性が良好であるため、吐出安定性も良好である。
一般式(2)で表される構造単位を形成する単量体の分配係数の対数値logPは、耐水性の観点から0.90以上のものが好ましく、汎用性、重合性の観点から、25.0以下のものが好ましい。さらに、1.00以上23.0以下が好ましく、さらに2.00以上20.0以下のものがより好ましい。分配係数の対数値logPが0.90以上であると、熱可逆型高分子(D)の耐水性に優れるため好ましく、顔料やバインダー樹脂などの部材と相互作用しやすいため色むらや多色印刷時の混色がより発生しにくい。
分配係数の対数値logPを求める方法としては、大別すると、実験的に実測して求める方法と、計算により求める方法とが知られている。本発明では、計算により求めた値であれば特に限定されないが、具体的には、Perkin Elmer社製のChemBio Ultra ver.13.0を用いて計算した「logP」の数値である。
分配係数の対数値logPが0.90以上のものとしては、例えばスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有エチレン性不飽和単量体、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
熱可逆型高分子(D)に含まれる一般式(2)は5重量%〜70重量%の範囲が好ましい。5重量%以上では、耐水性により優れる。70重量%以下では、水に溶解しやすく、Tcの調節が容易である。
熱可逆型高分子(D)は、一般式(1)と一般式(2)以外のその他の構成単位を含んでいてもよいが、一般式(1)と一般式(2)の合計は80〜100重量%の範囲が好ましい。
熱可逆型高分子(D)の下限臨界共溶温度Tcは、20℃〜100℃が好ましい。より好ましくは、30℃〜90℃、さらに好ましくは35℃〜80℃である。20℃未満では、室温下、インキ中で熱可逆型高分子(D)がほとんど不溶の状態で存在するため、相転移による分散状態の変化が少ない。そのため印字性が向上しない。Tcの温度は、熱可逆型高分子(D)の一般式(1)および一般式(2)の構造とその重合比率、重量平均分子量によって調節できる。
本発明では、熱可逆型高分子(D)の下限臨界共溶温度Tcを以下の測定方法で得られた値を使用している。熱可逆型高分子(D)が5重量%の水溶液を作製し、1cm角型ガラスセルに充填し、ブランクを水とした。紫外可視分光光度計(日本分光V−570)で500nmの透過率を測定した。透過率の測定は温度を可変して行い、温度可変には、ペルチェ式恒温角型セルホルダ(日本分光ETC−505型)を用いて、温度コントロールを行った。透過率が50%になったときの温度をTcとした。
ここで、熱可逆型高分子(D)の相転移時の状態について説明する。熱可逆型高分子(D)は分子量分布を持った高分子であるため、相転移温度で全ての分子が不溶化するのではなく、一定の温度幅を持って相転移する。そのため、例えば下限臨界共溶温度Tcが50℃であっても、49℃で不溶化する高分子、51℃で不溶化する高分子とあり、全体の平均として50℃で相転移する。相転移温度は重量平均分子量が小さいものほど低くなる。
熱可逆型高分子(D)の重量平均分子量が1,000〜300,000の範囲であることが好ましく、更には、重量平均分子量が1,500〜100,000の範囲のものであることが好ましい。
本発明のインキについて、熱可逆型高分子(D)の添加量は、インキ中に0.1重量%以上20重量%以下の範囲であり、好ましくは1重量%以上10重量%以下の範囲である。
(熱可逆型高分子(D)の製造方法)
熱可逆型高分子(D)は、通常のアクリルの溶液重合により得られる。しかしながら、アクリルの溶液重合時には水溶性溶剤に溶解しており、水性媒体中に分散または溶解させるためには、以下の方法がある。
(1)一つ目の方法としては、水と共沸する水溶性溶剤中で重合し、その後、水を加えて溶剤を水と共沸させ脱溶剤し、最終的に溶媒は完全に水のみとする。
(2)二つ目の方法としては、最終的にインキに含まれる水溶性溶剤を合成溶媒として重合する。その後、溶剤は取り除くことをせず、そのまま後述のプレミキシング、分散処理を行う。
一つ目の方法の合成溶媒としては、水と共沸するものであれば良いが、熱可逆型高分子(D)に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールがあり、さらに好ましくは1−ブタノールがある。
二つ目の方法の合成溶媒としては、最終的にインキに含まれる水溶性溶剤であれば良いが、熱可逆型高分子(D)に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
<顔料(A)>
本発明のインキは、インキの全質量中に、質量比で、0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上12質量%以下の範囲で、顔料を含有させたものであることが好ましい。本発明においては、下記に挙げるような顔料を使用することができる。先ず、本発明で使用することのできる黒色の顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40mμm(nm)、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10質量%、pH値が2乃至10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビアンカーボン製)、REGAL330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット
製)、Nipex90、Nipex150T、Nipex 160IQ、Nipex 170IQ、Nipex 75、Printex 85、Printex 95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、エボニックデグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
本発明で使用することのできるイエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213等が挙げられる。
また、マゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、9、12、31、48、49、52、53、57、97、112、122、147、149、150、168、177、178、179、202、206、207、209、238、242、254、255、269、C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、37、40、50等が挙げられる。
また、シアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15:3、15:4、16、22、C.I.Vat Blue 4、6等が挙げられる。
さらに、上記以外の色の顔料を用いることもでき、その場合も含め、何れの顔料も各色インキにおいて単独でも、2つ以上の顔料を混合してもよい。勿論、本発明は、これらに限られるものではない。また、以上の他、自己分散型顔料等も使用することが可能である。
<顔料分散樹脂(B)>
本発明の顔料インキ中に含まれる顔料分散樹脂(B)は、顔料分散性を有する樹脂であれば特に限定されないが、水系での分散安定化の観点から、カルボキシル基もしくはヒドロキシル基、アルキレンオキシド基を有する水溶性樹脂が好ましい。例えば、アクリル系、スチレンーアクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系の樹脂が挙げられる。顔料分散樹脂(B)は、後述のプレミキシングおよび分散処理の段階で添加されるものであり、顔料吸着基である疎水性基と水および水溶性溶剤に溶解させるための親水性基を兼ね備えたものである。疎水性基とは例えば芳香環を有する構造や長鎖アルキル基を有する構造が挙げられる。親水性基とは例えば酸基やアミノ基またはその塩化合物、水酸基、エーテル構造が挙げられる。顔料吸着能の観点から、疎水基を有するエチレン性不飽和単量体の合計は全エチレン性不飽和単量体中の30重量%以上含まれることが好ましい。
その中でも、アクリル系、スチレンーアクリル系が好ましく、さらに次の単量体A、単量体B、単量体Cを共重合組成に少なくとも含む顔料分散樹脂(B)が好ましい。
単量体A:芳香環を有するエチレン性不飽和単量体
単量体B:炭素数が10以上24以下のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体
単量体C:酸基を有するエチレン性不飽和単量体
(単量体A)
顔料分散樹脂(B)に含まれる単量体Aは、顔料分散樹脂と顔料との間でπ―π相互作用が強まり、非常に強い顔料吸着と微細分散を可能にする。その結果、顔料分散樹脂は顔料から溶媒へ脱着する事なく、強固な顔料吸着を保持する事が可能であり、微細な分散状態を長期間維持することが可能となる。単量体Aの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、クロロスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性フタル酸(メタ)アクリレート、エトキシ化オルトーフェニルフェノール(メタ)アクリレート、ナフチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール等が挙げられる。
(単量体Bおよび単量体C)
単量体Bは長鎖アルキルを構造中に有しており、その疎水性相互作用の高さから、単量体Aと併用する事により、非常に強い顔料吸着と微細分散を実現する事ができ、さらに微細な分散状態を長期間維持することが可能となる。単量体Bの具体例としては、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、もしくはベヘニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
汎用性や重合性などの観点から、ラウリル(メタ)アクリレートやベヘニル(メタ)アクリレート等のような(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を選択する事が特に好ましい。また、分散性の向上をより高度に図るための炭素数は、好ましくは12以上24以下の範囲、より好ましくは炭素数18以上24以下の範囲である。
単量体Cは酸基を有しており、イオン化した際の電荷反発によって微細分散安定化が可能となる。単量体Cの具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニルスルホン酸、N-t-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、EO変性リン酸(メタ)アクリレートなどが挙げられる。保存安定性の向上をより高度に図るためには、カルボン酸含有(メタ)アクリレートが好ましく、アクリル酸やメタクリル酸を含む事がより好ましい。
(その他の単量体)
顔料分散樹脂は、前記単量体A〜C以外のその他の単量体を重合組成に含んでいてもよい。その他の単量体としては、炭素数1〜9のアルキル系エチレン性不飽和単量体、アルキレングリコール系エチレン性不飽和単量体、水酸基含有エチレン性不飽和単量体、窒素含有エチレン性不飽和単量体等がある。
[炭素数1〜9のアルキル系エチレン性不飽和単量体]
更に具体的に例示すると、アルキル系エチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜9のアルキル(メタ)アクリレートがあり、極性の調節を目的とする場合には好ましくは炭素数2〜9、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
[アルキレングリコール系エチレン性不飽和単量体]
また、アルキレングリコール系エチレン性不飽和単量体としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等、末端に水酸基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノ(メタ)アクリレート等、
メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等、末端にアルコキシ基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[水酸基含有エチレン性不飽和単量体]
水酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼンなどが挙げられる。
[窒素含有エチレン性不飽和単量体]
窒素含有エチレン性不飽和単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド等のモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド等が挙げられる。
[その他のエチレン性不飽和単量体]
フッ素系エチレン性不飽和単量体としては、M−3F(共栄社化学株式会社)、ビスコート3F、ビスコート4F、ビスコート8F、ビスコート8FM、ビスコート13F(大阪有機化学工業株式会社)等;
脂肪酸ビニル化合物としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル等;
アルキルビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等;
α−オレフィン化合物としては、1−ヘキセン、1−オクテン等;
ビニル化合物としては、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物、シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、等;
エチニル化合物としては、アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等;、などを挙げることができ、これらの群から単独または複数用いることができる。
(単量体A〜Cの重量組成比)
本発明の顔料分散樹脂において、構成成分である単量体A〜Cの重量組成比は、
単量体A:5〜50重量%、単量体B:5〜65重量%、単量体C:5〜50重量%、である事が好ましく、なかでも、
単量体A:5〜40重量%、単量体B:10〜55重量%、単量体C:10〜50重量%、である事がより好ましい。
また、単量体A+単量体B+単量体Cの合計が70重量%以上が好ましい。3成分の合計が70重量%以上のとき、分散性、長期保存安定性が向上する。
(顔料分散樹脂(B)の重量平均分子量、酸価)
顔料分散樹脂(B)は、重量平均分子量が2,000〜100,000の範囲であることが好ましく、更には、重量平均分子量が5,000〜80,000の範囲のものであることが好ましい。
顔料分散樹脂(B)が、酸基を有するエチレン性不飽和単量体(単量体C)を共重合してなる場合、単量体Cの構成比率より算出される顔料分散樹脂(B)の酸価が、50mgKOH/g以上600mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、100mgKOH/g以上500mgKOH/g以下の範囲であることがより好ましい。
本発明で使用する顔料分散樹脂(B)の酸価が50mgKOH/g以上であると顔料分散樹脂(B)が水に溶けやすくなり顔料インキの分散性、保存安定性が向上し、さらに吐出安定性が向上する傾向がある。また、600mgKOH/g以下であると、顔料表面に対する顔料分散樹脂(B)の付着力が向上し、顔料インキの保存安定性が向上する傾向がある。尚、本発明における顔料分散樹脂(B)や熱可逆型高分子(D)、後述するバインダー樹脂等のポリマーの重量平均分子量や酸価は、常法によって測定することができる。
(顔料分散樹脂(B)の添加量)
本発明のインキについて、顔料分散樹脂(B)の添加量は、インキ中の顔料全重量に対して3重量%以上70重量%以下の範囲であり、好ましくは5重量%以上60重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上45重量%以下の範囲である。
[塩基性化合物]
本発明のインキは、含有する顔料分散樹脂(B)を形成するための、酸基を有する単量体をイオン化することで、顔料粒子の分散安定化を図ることができる。このために、塩基性化合物によってインキ全体を中性又はアルカリ性に調整することが好ましい。但し、アルカリ性が強過ぎると、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食の原因となる場合があるので、7〜10のpH範囲とするのが好ましい。
この際に使用される塩基性化合物(pH調整剤)としては、下記のものが挙げられる。例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール等の各種有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。
ジメチルアミノエタノールは沸点が高く、インキ吐出性の点で特に好ましい。
塩基性化合物でpH調整することで、上記したような顔料分散樹脂(B)は、水性液媒体中に、分散又は溶解される。
(顔料分散樹脂(B)の製造方法)
顔料分散樹脂(B)は、通常のアクリルの溶液重合により得られる。しかしながら、アクリルの溶液重合時には水溶性溶剤に溶解しており、水性媒体中に分散または溶解させるためには、以下の方法がある。
(1)一つ目の方法としては、水と共沸する水溶性溶剤中で重合し、その後、水を加えて溶剤を水と共沸させ脱溶剤し、最終的に溶媒は完全に水のみとする。
(2)二つ目の方法としては、最終的にインキに含まれる水溶性溶剤(C)を合成溶媒として重合する。その後、溶剤は取り除くことをせず、そのまま後述のプレミキシング、分散処理を行う。
一つ目の方法の合成溶媒としては、水と共沸するものであれば良いが、顔料分散樹脂(B)に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールがあり、さらに好ましくは1−ブタノールがある。
二つ目の方法の合成溶媒としては、最終的にインキに含まれる水溶性溶剤(C)であれば良いが、顔料分散樹脂(B)に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
本発明のインキにおいて、上記で説明した顔料分散樹脂(B)は、インキの全質量に対して、0.1質量%以上8質量%以下の範囲で含有させるのが好ましい。
本発明のインキにおいては、必要に応じて、ロジン、シェラック及びデンプン等の天然樹脂や、前記した顔料分散樹脂(B)でない合成樹脂も好ましく用いることができる。この場合の天然樹脂や合成樹脂は、前記した顔料分散樹脂の添加量を上回らない程度に含有させることが好ましい。
<水性媒体(水、水溶性溶剤(C))>
本発明のインクジェットインキを形成する場合に好適な水性媒体は、水及び水溶性溶剤(C)(有機溶剤)の混合溶媒であるが、水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
水と混合して使用される水溶性溶剤(C)(有機溶剤)としては特に制限されないが、ジオール類や、グリコールエーテル類などが効果的である。これらの溶剤種は沸点が高いため、保湿剤としての働きが十分であり、インキの吐出安定性が良好である。
ジオール類の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどがあげられる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ペンタエチレングリコールメチルエチルエーテル、2-メトキシ-1-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキ
シ-3-メチルブタノール 、1-メトキシ-2-ブタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールなどがあげられる。
本発明のインキで、熱可逆型高分子(D)の効果が特に発揮されやすいものは、ジオール類においては、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の炭素数3〜6のアルカンジオールである事がより好ましく、中でもプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオールが特に好ましい。また、グリコールエーテル類においては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルやジエチレングリコールモノヘキシルエーテル等のような(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルである事がより好ましい。
これらの水溶性溶剤(C)は単独で使用しても良く、複数を混合して使用することもできる。上記したような水溶性溶剤(C)のインキ中における含有量が、インキの全質量の10質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上40質量%以下の範囲である。
また、水の含有量としては、インキの全質量の10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは、30質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上70質量%以下の範囲である。
また印刷する基材の種類によっては、その溶解性の向上を目的に、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルオキサゾリジノン、N−エチルオキサゾリジノンなどの水溶性の含窒素複素環化合物を添加することもできる。
<バインダー樹脂>
本発明のインキは、水溶性バインダー樹脂もしくは水性エマルジョンバインダー樹脂を含有することが好ましい。これらバインダー樹脂を含有することで、印字した塗膜の耐性を向上させることができる。これにより、耐水性、耐溶剤性、耐擦過性などが向上する。また、塗膜の光沢度が向上する効果もある。
(水溶性バインダー樹脂)
本発明のインキに使用される水溶性樹脂としては、例えば、アクリル系、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン酸系、アクリロニトリル−アクリル系、ビニルナフタレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポレチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール系、水溶性セルロース、ゼラチン、ガゼイン等のたんぱく質、でんぷん等の各樹脂を挙げることができる。また、その他の水溶性樹脂としてはリン酸基、スルホン酸基を有する単量体を共重合したり、分子内にポリエチレンオキサイド基を含有する単量体の共重合により水溶化することも可能である。水溶性の樹脂であれば特に限定されるものではなく、市販の樹脂も好適に使用することができる。
上記の中でも、インキの保存安定性の点から、特に、カルボキシル基を有する水溶性樹脂が好ましい。例えば、アクリル系、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン酸系、ビニルナフタレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系樹脂を挙げることが出来る。
更に好ましくは、アクリル系、スチレン−アクリル系樹脂を挙げることができる。
水溶性樹脂の重量平均分子量としては、重量平均分子量で2500〜100000のものが好ましく、5000〜50000のものがより好ましい。水溶性樹脂の酸価としては、30mgKOH/g以上500mgKOH/g以下のものが好ましく、35mgKOH/g以上300mgKOH/g以下のものがより好ましい。
(水性エマルジョンバインダー樹脂)
本発明のインキは、水性エマルジョンバインダー樹脂を使用することがより好ましい。水性エマルジョンバインダー樹脂は、添加しても粘度が上昇しにくいためインキの吐出安定性が良好である。また、水性エマルジョンバインダー樹脂と熱可逆型高分子(D)を組み合わせることで光沢度などの画質向上の効果が得られる。これは、推測ではあるが、水性エマルジョンバインダー樹脂が樹脂微粒子で分散した状態であるため、熱可逆型高分子(D)の相転移に伴って、バインダー樹脂微粒子の分散状態が変化するためであると考えている。
水性エマルジョンバインダー樹脂としては、(メタ)アクリル酸系樹脂エマルジョン、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂エマルジョン、スチレン−マレイン酸系樹脂エマルジョン、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン、スチレン系樹脂エマルジョン、ブタジエン系樹脂エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル樹脂エマルジョン、塩化ビニル系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン等があげられる。
中でも、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂エマルジョンが、画像形成性の点から好ましい。
上記したような水溶性バインダー樹脂や水性エマルジョンバインダー樹脂は単独で使用しても良いし、併用してもよい。バインダー樹脂のインキ中における総含有量は、固形分で、インキの全質量の1質量%以上30質量%以下の範囲であり、より好ましくは、3質量%以上20質量%以下の範囲である。
(添加剤)
また、本発明のインキは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、インキの全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下、好ましくは0.2質量%以上5質量%以下が好適である。
<インクジェット用インクの製造>
上記したような成分からなる本発明のインキの製造方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。先ず初めに、顔料分散樹脂(B)と、水とが少なくとも混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次にこの顔料分散液に、水溶性溶剤(C)、熱可逆型高分子(D)、必要に応じて、上記で挙げたような適宜に選択された界面活性剤等の添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインクとする。
本発明のインキの作製方法においては、上記で述べたように、インキの調製に分散処理を行って得られる顔料分散液を使用するが、顔料分散液の調製の際に行う分散処理の前に、プレミキシングを行うのが効果的である。即ち、プレミキシングは、顔料分散樹脂(B)と水とが混合された水性媒体に顔料を加えて行えばよい。このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への顔料分散樹脂(B)の吸着を促進することができるため、好ましい。プレミキシングは、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌混合することが好ましい。
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられる。その中でも、ビーズミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
さらに、上記した顔料のプレミキシング及び分散処理において、顔料分散樹脂(B)は水のみに溶解もしくは分散した場合であっても、水溶性溶剤(C)と水の混合溶媒に溶解もしくは分散した場合であっても良い。特に分散処理においては、先述したように顔料分散樹脂(B)の合成溶媒とした水溶性溶剤(C)と水の混合溶媒に、顔料分散樹脂(B)が溶解もしくは分散している場合の方が、分散処理過程で安定な分散体を得ることができる場合がある。
本発明のインキは、インクジェット記録用であるので、顔料としては、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。即ち、顔料粒子を含有するインキをインクジェット記録方法に好適に使用できるようにするためには、ノズルの耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いることが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、下記の方法が挙げられる。先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組み合わせ等の手法がある。
本発明のインクジェット用インキで印刷する印刷媒体は公知のものが使用可能である。例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、合成紙、インクジェット専用紙などの紙媒体や、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルムなどのプラスチック媒体である。また、非吸水性基材または難吸収性基材とは、水を吸収し難い、もしくは吸収速度が遅い記録媒体を示し、コート紙、アート紙、キャスト紙などの紙媒体や、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PETなどのプラスチック基材やアルミ、ステンレスなどの金属基材、ガラス、木材等が挙げられる。
水を吸収し難い、もしくは吸収速度が遅い紙媒体のうち、特にブリストー法による水溶性溶媒の吸収速度が0.01以上100未満のものが好ましい。好ましくは0.01以上80未満、さらに好ましくは0.01以上50未満である。吸収速度とは、ブリストー法によって出された吸液量を時間に対してプロットしたグラフの傾きを表す。ブリストー法で用いた水溶性溶媒は1,3−プロパンジオール/水=1/1の水溶液である。
本願のインクジェット用インクの印刷方法は特に限定されないが、表面温度が熱可逆型高分子(D)の下限臨界共溶温度Tc以上である記録媒体上にインクの液滴を吐出し、付着させて印字を行う方法が好ましい。記録媒体は加温されていてもよく、その方法は限定されずに従来公知の装置を用いることができる。
特に、加温しながら印刷することで、インキ滴が印刷媒体へ着弾した後、熱可逆型高分子(D)の相転移が生じ、高い品質の印刷物を得ることが可能となる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。またポリマーの重量平均分子量(Mw)、酸価の測定方法は以下の通りである。
(重量平均分子量(Mw))
重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8220GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(酸価)
酸価は、ピリジン水溶液に樹脂固形分1gを溶解し、0.5N水酸化カリウム水溶液で滴定した。
<熱可逆型高分子(D)の製造方法>
(合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ブタノール97部を仕込み、窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し攪拌した。次にブレンマーPME400(日油社製)55.0部、ベンジルメタクリレート45.0部、AIBN3.3部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させて、重量平均分子量が10500の共重合体溶液を得た。次にこの反応容器に分離管を取り付けた後、イオン交換水97部を添加し、1−ブタノールと共沸させることで、反応系内から1−ブタノールを除去した。続いて、合計のイオン交換水が241.0部になるように残りのイオン交換水を添加して、不揮発分30%の熱可逆型高分子(D−1)の水溶液を得た。
(合成例2〜4、6〜17)
表1に示す配合組成で、合成例1と同様の方法で合成し、合成例2〜4、6〜17の熱可逆型高分子(D)の水溶液を得た。
(合成例5)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、プロピレングリコール241部を仕込み、窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し攪拌した。次にNKエステルAMP−20GY(新中村化学社製)60.0部、ブチルアクリレート40.0部、AIBN3.3部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させて、重量平均分子量が11500、不揮発分30%の熱可逆型高分子(D−5)のプロピレングリコール溶液を得た。


(比較合成例1)
特開2005−532470を参考に合成を行った。三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃に加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、イソブチルビニルエーテル(Aブロック)12mmol(ミリモル)、酢酸エチル16mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.05mmol、及びトルエン11mlを加え、反応系を冷却した。系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロリド(ジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとの等モル混合物)を0.2mmol加え重合を開始した。分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、Aブロックの重合の完了を確認した。
次いで、2−メトキシエチルビニルエーテル(Bブロック)を12mmol添加し、重合を続行した。GPCを用いるモニタリングによって、Bブロックの重合の完了を確認した後、10mmolの4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチル(Cブロック)のトルエン溶液を添加して、重合を続行した。20時間後、重合反応を停止した。重合反応の停止は、系内に0.3質量%のアンモニア/メタノール水溶液を加えて行った。反応混合物溶液をジクロロメタンにて希釈し、0.6M塩酸で3回、次いで蒸留水で3回洗浄した。得られた有機相をエバポレーターで濃縮・乾固したものを真空乾燥させた。ついでセルロースの半透膜を用いてメタノール溶媒中透析を繰り返し行い、モノマー性化合物を除去し、目的物であるMn=40000のトリブロックポリマーを得た。さらに得られたブロックポリマーをプロピレングリコールと水酸化ナトリウム水混合溶液中で加水分解し、Cブロック成分が加水分解され、ナトリウム塩化された比較樹脂1を得た。これにイオン交換水を加え、不揮発分30%の比較樹脂1の水溶液を得た。比較樹脂1のTcは20℃であった。
(比較合成例2)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ブタノール97部を仕込み、窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し攪拌した。次にブレンマー70PEP−350B(日油社製、ポリエチレングリコールーポリプロピレングリコールモノメタクリレート)100.0部、AIBN3.3部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させて、重量平均分子量が9500の共重合体溶液を得た。次にこの反応容器に分離管を取り付けた後、イオン交換水97部を添加し、1−ブタノールと共沸させることで、反応系内から1−ブタノールを除去した。続いて、合計のイオン交換水が241.0部になるように残りのイオン交換水を添加して、不揮発分30%の比較樹脂2の水溶液を得た。比較樹脂2のTcは43℃であった。
<顔料分散樹脂(B)の製造方法>
(合成例18)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し攪拌した。次にスチレン35.0部、ラウリルメタクリレート35.0部、アクリル酸30.0部、V601(和光純薬製)6.6部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させて、重量平均分子量が約16000、酸価は234(mgKOH/g)の共重合体溶液を得た。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、イオン交換水を296部添加して、不揮発分20%の顔料分散樹脂(B−1)の水溶液を得た。
(合成例19〜25、27〜30)
表2に示す配合組成で、合成例18と同様の方法で合成し、合成例19〜25、27〜30の顔料分散樹脂(B)の水溶液を得た。
(合成例26)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール89.4部、スチレン20.0部、ベヘニルアクリレート40部、アクリル酸40部、チオグリセロール1.2部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、V−601(和光純薬製)0.3部を添加した後、7時間反応させて、重量平均分子量は約30000、酸価は299(mgKOH/g)の共重合体溶液を得た。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール49.7部添加し中和した。これは、アクリル酸を103%中和する量である。さらに、イオン交換水を267.0部添加して、不揮発分20%の顔料分散樹脂(B−9)の水溶液を得た。


表1、2中の略称を以下に示す。
ブレンマーPME100(日油社製)




ブレンマーPME400(日油社製)



ブレンマーPME1000(日油社製)



ブレンマー50POEP−800B(日油社製)



ブレンマーPP500(日油社製)



NKエステルAMP−20GY(新中村化学社製)



70PEP−350B(日油社製)



AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
St:スチレン
BzMA:ベンジルメタクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート
MA:メチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
CHA:シクロヘキシルアクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
STMA:ステアリルメタクリレート
VA:ベヘニルアクリレート
AIBN:ラジカル重合開始剤(和光純薬製)
V−601:ラジカル重合開始剤(和光純薬製)
DMAE:ジメチルアミノエタノール
<バインダー樹脂の製造方法>
(定着樹脂1の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、メチルメタクリレート70.0部、ラウリルメタクリレート10.0部、ステアリルメタクリレート10.0部、メタクリル酸10.0部、およびV−601(和光純薬製)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、水溶性樹脂溶液を得た。水溶性樹脂の重量平均分子量は約15000であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール10.4部添加し中和した。これは、メタクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を200部添加し、水性化した。これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が30%になるように水を加えた。これより固形分30%の定着樹脂1の水溶液を得た。
(定着樹脂2の製造例)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬株式会社製)0.2部とを仕込み、別途、2−エチルヘキシルアクリレート40部、メチルメタクリレート50部、スチレン7部、ジメチルアクリルアミド2部、メタクリル酸1部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬株式会社製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を60℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液20部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を60℃で5分間保持した後、内温を60℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液の残りを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。ジエチルアミノエタノールを添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で固形分を40%に調整して定着樹脂2の樹脂微粒子水分散体を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
<顔料分散体の製造方法>
(顔料分散体(C−1)の製造)
下記の組成の混合物を均一になるようにディスパーで予備分散した後、直径0.5mmジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散体(C−1)を得た。
青顔料(Pigment Blue 15:3) 20.0部
顔料分散樹脂(B−1) 30.0部
イオン交換水 50.0部
(顔料分散体(C−2〜25)の製造)
顔料および顔料分散樹脂の種類と質量比率を表3〜6に記載したように変更する以外は、顔料分散体(C−1)と同様にして、顔料分散体(C−2〜25)を得た。

表3〜6中の略称を以下に示す。
青顔料:Pigment Blue 15:3
赤顔料:Pigment Red 122
黄顔料:Pigment Yellow 14
墨顔料: Pigment Black 7
<インクジェット用インクの製造方法>
[実施例1]
(インクジェット用インク(J−1)の製造)
下記の組成の混合物を均一になるようにディスパーで攪拌混合し、インクジェット用インク(J−1)を得た。
顔料分散体(C−1) 25.0部
プロピレングリコール 20.0部
イオン交換水 18.0部
熱可逆型高分子(D−1) 17.0部
バインダー樹脂(定着樹脂1) 20.0部
[実施例2〜79、比較例1〜16]
(インクジェット用インク(J−2〜95)の製造)
顔料分散体の種類、熱可逆型高分子(D)の種類、バインダー樹脂の種類、水溶性溶剤の種類と、それら配合量を表7〜11に記載したように変更する以外は、実施例1と同様にして、インクジェット用インク(J−2〜95)を得た。
<インクジェット用インクの単色評価>
得られたインクジェット用インク(J−1〜95)の分散性、保存安定性、印刷紙面の加温なしの状態で印刷した印字物の色むら性および耐水性、印刷紙面をTc以上に加温した状態で印刷した印字物の色むら性および耐水性、吐出性の評価を下記方法で行った。表7〜11に評価結果を示す。
(インキの分散性)
インキが微細に分散できており、発色が非常に良好であるものを5、良好であるものは4、ある程度良好なものは3、やや悪いものは2、悪いものは1とした。評価が3,4,5のものは実用上問題ない。
(インキの長期保存安定性)
インキを70℃の恒温機に2週間保存、経時促進させた後、経時前後でのインキの粘度変化について測定した。粘度変化が少ないほど優れており、70℃2週間保存前後の粘度変化が±5%未満であれば○、±5%以上±10%未満であれば△、±10%以上であれば×とした。
インキの粘度はE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。
(インキの印字物の印字性)
インキをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m、吸収速度4)に印刷した。印刷は、紙面を加温しない状態で印刷したものと、紙面をTcの温度以上(熱可逆型高分子(D−14)は100℃、(D−14)以外は50℃)に加温した状態で印刷したものを用意した。印刷したサンプルをルーペで観察し、ドットのつながり、色のムラを評価した。印字性が最も良好なものを6、最も悪いものを1とし、1〜6の点数で比較評価した。評価3〜6が実用上問題ないレベルである。
(インキの印字物の耐水性)
インキをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m、吸収速度4)に印刷した。印刷は、紙面を加温しない状態で印刷したものと、紙面をTcの温度以上(熱可逆型高分子(D−14)は100℃、(D−14)以外は50℃)に加温した状態で印刷したものを用意した。水をふくませた綿棒で印字物をこすって塗膜面の剥がれやすさを評価した。耐水性が非常に良好なものは5、良好なものは4、ある程度良好なものは3、やや悪いものは2、悪いものは1とした。
(インキの印字物の光沢度)
インキをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m、吸収速度4)に印刷した。印刷は、紙面を加温しない状態で印刷したものと、紙面をTcの温度以上(熱可逆性高分子(D−14)は100℃、(D−14)以外は50℃)に加温した状態で印刷したものを用意した。これをBYK−Gardner製のマイクロトリグロス光沢計を用いて60°光沢度の評価を行った。光沢度が非常に良好なものは5、良好なものは4、ある程度良好なものは3、やや悪いものは2、悪いものは1とした。
(インキの吐出性)
インキを連続吐出させ、打ち出された液滴の状態を観察した。ノズル詰まりや液滴のまとまり不良、飛行まがりなどの吐出不良がないものは◎、ほとんど見られないものは○、やや見られるものは△、多いものは×とした。




表7〜11中の略称を以下に示す。
BDG:ブチルジグリコール
HeDG:ヘキシルジグリコール、(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル)
1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール
1,2−BD:1,2−ブタンジオール
PG:プロピレングリコール
1,3−PD:1,3−プロパンジオール
PEG6000:ポリエチレングリコール(ADEKA社製、平均分子量8300、Tc48℃)
表7〜11の結果から明らかなように、実施例のいずれもがインキ分散性、長期保存安定性、印字性、耐水性、吐出性、光沢度の面で良好であった。一方で表11の比較例においては、感温材料がなかったり、比較感温材料を用いたりしたために、分散性、長期保存安定性、印字性、吐出性、光沢度が実施例に大きく劣る。
[実施例80〜139、比較例17〜28]
<インクジェット用インクの多色評価>
得られたインクジェット用インク(J−1〜95)を使用して、表12〜15の組み合わせで、2色間の混色性を下記評価で行った。表12〜15に評価結果を示す。
(インキの多色印字物の混色性)
コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m、吸収速度4)に、バーコーター(第一理科社製、No.10(wet膜厚22.9μm))でインキ2色が接触するように同時に引いた。評価は、紙面加温なし、50℃加温、100℃加温の3条件で行った。2色の境界、すなわち2色が接している部分に全く混色がみられずきれいに色別れしているほど良い。混色性が最も良好なものを6、最も悪いものを1とし、1〜6の点数で比較評価した。評価3〜6が実用上問題ないレベルである。








表12〜15の結果から明らかなように、実施例のいずれもが2色間の混色性が良好であった。一方で表15の比較例においては、感温材料がなかったり、比較感温材料を用いたりしたために、2色間の混色性が実施例に大きく劣る。

Claims (10)

  1. 水、顔料(A)、顔料分散樹脂(B)、水溶性溶剤(C)、熱可逆型高分子(D)を含有してなるインクジェット用インクであって、該熱可逆型高分子(D)が下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位を含みかつ下限臨界共溶温度Tcが20℃〜100℃であるインクジェット用インク。
    一般式(1)



    (一般式(1)中、R1は水素原子、またはアルキル基を表す。R2、R3はエチレン基、直鎖もしくは分岐のプロピレン基、または直鎖もしくは分岐のブチレン基を表し、R2とR3は異なる。R4は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。n、mは0〜30の整数を表し、n+m≧1である。)
    一般式(2)



    (一般式(2)中、R5は水素原子、またはアルキル基を表す。Zは直接結合、−CONR7−、または−COO−を表す。R6はアルキル基、またはアリール基を表し、R7は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。)
  2. 熱可逆型高分子(D)が一般式(2)で表される構造単位を5〜70重量%含む請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 一般式(2)で表される構造単位を形成する単量体の分配係数の対数値logPが0.90以上である請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記水溶性溶剤(C)が、グリコールエーテル類、およびジオール類からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3いずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  5. 前記グリコールエーテル類が(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルである請求項4記載のインクジェット用インク。
  6. 前記ジオール類が炭素数3〜6のアルカンジオールである請求項4または5記載のインクジェット用インク。
  7. 前記顔料分散樹脂(B)が、下記の単量体A、単量体B及び単量体Cを共重合組成に少なくとも含む請求項1〜6いずれか1項に記載のインクジェット用インク。
    単量体A:芳香環を有するエチレン性不飽和単量体
    単量体B:炭素数が10以上24以下のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体
    単量体C:酸基を有するエチレン性不飽和単量体
  8. 記録媒体に、請求項1〜7いずれか1項に記載のインクジェット用インクを印刷した印刷物。
  9. 記録媒体が、非吸水性または難吸水性の基材である請求項8記載の印刷物。
  10. 表面温度が熱可逆型高分子(D)の下限臨界共溶温度Tc以上である記録媒体上に、請求項1〜7いずれか1項に記載のインクジェット用インクの液滴を吐出し、付着させて印字を行うインクジェット記録方法。
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