JP6256157B2 - インクジェット用顔料インキ - Google Patents
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Description
また、インクジェット記録方式の場合、ノズルの乾燥防止を目的として、保湿剤と位置づけられる高沸点の水溶性溶剤が含まれている。
一般式(1)
単量体A:5〜60重量%
単量体B:5〜80重量%
単量体C:5〜70重量%
まず印字性に優れる最大の理由は、インキ中の水溶性溶剤(有機溶剤)にある。水溶性溶剤は一般に基材への浸透性が高いため、インキの乾燥性が向上し、優れた印字性を得ることが可能となる。コート紙(片面に20g/m2程度塗工した紙)、アート紙(片面に40g/m2程度塗工した紙)や塩化ビニルシートに印字する場合は、特にこの寄与が大きい。
本発明の顔料インキは、炭素数10以上のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体である単量体A、下記一般式(1)に示す単量体B、及び酸基を有するエチレン性不飽和単量体である単量体Cを共重合してなる共重合体である顔料分散樹脂を含有してなることを特徴とする。
本発明で使用する単量体Aは、炭素数10以上のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体である。長鎖アルキル基は疎水性が高く、これを有する単量体Aを重合成分に組み込む事によって、顔料分散樹脂の疎水性を高める事ができる。その結果、分散樹脂の溶媒溶解性は低くなり、先述の高浸透性溶剤存在下においても分散樹脂は顔料から溶媒へ脱着する事なく、強固な顔料吸着を保持する事が可能となる。
単量体Aの具体例としては、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、もしくはベヘニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
汎用性や重合性などの観点から、ラウリル(メタ)アクリレートやベヘニル(メタ)アクリレート等のようなアクリル酸アルキルエステル類を選択する事が特に好ましい。また、保存安定性の向上をより高度に図るための炭素数は、好ましくは12以上30以下の範囲、より好ましくは炭素数18以上24以下の範囲、更には炭素数22である事が特に好ましい。
本発明で使用する単量体Bは、前記一般式(1)で示される、炭素数2〜5のアルキレンオキシ鎖の末端に芳香環構造を含む1価の置換基を有する(メタ)アクリレートである。分散樹脂中に、単量体Aと併せて芳香環構造を含む単量体を導入する事で、分散樹脂はπ電子相互作用による顔料への高い親和性を得る事ができ、更に良好な吸着状態を形成する事が可能となる。
芳香環構造を含むが、アルキレンオキシ鎖を含まない単量体として、例えばスチレンやベンジル(メタ)アクリレート等を用い、これらを単量体Aと組み合わせると、分散樹脂の顔料吸着力は強く発現する。しかしながら、印字性は不十分でありインキの浸透力を更に求めて、インキ中溶剤の疎水性度や量が増加していった際は、このような単量体組み合わせでも分散樹脂の吸着力は不十分であり、顔料からの脱着が生じてしまう。
この場合は、分散樹脂中の芳香環による顔料への親和性を更に高める必要があり、炭素数2〜5のアルキレンオキシ鎖の末端に芳香環構造を含む1価の置換基を有する(メタ)アクリレート(単量体B)を選択することが顔料への親和性の点で重要である。
単量体Bがスチレン等と比較して良好である点について、以下が考えられる。炭素数2〜5のアルキレンオキシ鎖はインキ中の水溶性溶剤に親和性が高く、インキ中では拡がりを持つと考えられるため、単量体B中の芳香環構造(一般式(1)中のR3)は、スチレン等の芳香環と比較してインキ中でフレキシブルに可動する事ができ、顔料へ作用しやすいものと思われる。
特に好ましいのは(iii)である。これは、複数の独立した芳香環による強いπ電子相互作用と、顔料への作用しやすさに起因するものと考えられる。
保存安定性の向上をより高度に図るためには、上記に例示した中では、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレートやエトキシ化オルトーフェニルフェノール(メタ)アクリレートを含む事が好ましい。
本発明で使用する単量体Cは、酸基を有するエチレン性不飽和単量体である。顔料分散樹脂にこれを用いるのは、通常の分散樹脂と同様、イオン化した際の電荷反発のためである。顔料に吸着した分散樹脂が、酸をイオン化した状態で有し、水性溶媒中で、顔料どうしの電荷反発が起こり、分散性が保たれるものと考えられる。
単量体Cの具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニルスルホン酸、N-t-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸、EO変性リン酸(メタ)アクリレートなどが挙げられる。保存安定性の向上をより高度に図るためには、カルボン酸含有(メタ)アクリレートが好ましく、アクリル酸やメタクリル酸を含む事がより好ましい。
顔料分散樹脂は、前記単量体A〜C以外のその他の単量体を重合組成に含んでいてもよい。その他の単量体としては、炭素数1〜9のアルキル系エチレン性不飽和単量体、アルキレングリコール系エチレン性不飽和単量体(前記単量体Bを除く)、水酸基含有エチレン性不飽和単量体、窒素含有エチレン性不飽和単量体、芳香環基含有エチレン性不飽和単量体(前記単量体Bを除く)等がある。
更に具体的に例示すると、アルキル系エチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜9のアルキル(メタ)アクリレートがあり、極性の調節を目的とする場合には好ましくは炭素数2〜9、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、アルキレングリコール系エチレン性不飽和単量体としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等、末端に水酸基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノ(メタ)アクリレート等、
メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等、末端にアルコキシ基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼンなどが挙げられる。
芳香環基含有エチレン性不飽和単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、クロロスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール等が挙げられる。
更にその他の不飽和化合物としては、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜9のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレート類;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン等のパーフルオロアルキル、アルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有ビニルモノマー、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラノール基含有ビニル化合物及びその誘導体;
脂肪酸ビニル化合物としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル等;
アルキルビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等;
α−オレフィン化合物としては、1−ヘキセン、1−オクテン等;
ビニル化合物としては、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物、シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、等;
エチニル化合物としては、アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等;、などを挙げることができ、これらの群から単独または複数用いることができる。
本発明の顔料分散樹脂において、構成成分である単量体A〜Cの重量組成比は、
単量体A:5〜60重量%、単量体B:5〜80重量%、単量体C:5〜70重量%、である事が好ましく、なかでも、
単量体A:15〜50重量%、単量体B:10〜75重量%、単量体C:10〜60重量%、である事がより好ましく、
単量体A:20〜50重量%、単量体B:20〜60重量%、単量体C:15〜40重量%、である事が特に好ましい。
本発明のインキの構成成分として用いる上記のような単量体成分を共重合してなる顔料分散樹脂は、重量平均分子量が2,000〜100,000の範囲であることが好ましく、更には、重量平均分子量が5,000〜80,000の範囲のものであることが好ましい。
また、本発明のインキの構成成分である顔料分散樹脂は、酸基を有するエチレン性不飽和単量体(単量体C)を共重合してなるが、単量体Cの構成比率より算出される顔料分散樹脂の酸価が、50mgKOH/g以上600mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、120mgKOH/g以上500mgKOH/g以下の範囲であることがより好ましい。
本発明で使用する顔料分散樹脂の酸価が上記の範囲よりも低いと顔料インキの分散安定性が低下し、吐出安定性が悪化する傾向がある。また、本発明で使用する顔料分散樹脂の酸価が上記の範囲より高いと、顔料表面に対する顔料分散樹脂の付着力が低下し、顔料インキの保存安定性が低下する傾向がある。尚、本発明における顔料分散樹脂やポリマーの重量平均分子量や酸価は、常法によって測定することができる。
本発明のインキについて、顔料分散樹脂の添加量は、インキ中の顔料全重量に対して3重量%以上70重量%以下の範囲であり、好ましくは5重量%以上60重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上45重量%以下の範囲である。
本発明のインキは、含有する顔料分散樹脂を形成するための、酸基を有する単量体をイオン化することで、顔料粒子の分散安定化を図ることができる。このために、塩基性化合物によってインキ全体を中性又はアルカリ性に調整することが好ましい。但し、アルカリ性が強過ぎると、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食の原因となる場合があるので、7〜10のpH範囲とするのが好ましい。
この際に使用される塩基性化合物(pH調整剤)としては、下記のものが挙げられる。例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール等の各種有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。
ジメチルアミノエタノールは沸点が高く、インキ吐出性の点で特に好ましい。
塩基性化合物でpH調整することで、上記したような顔料分散樹脂は、水性液媒体中に、分散又は溶解される。
顔料分散樹脂は、通常のアクリルの溶液重合により得られる。しかしながら、アクリルの溶液重合時には溶剤に溶解しており、水性媒体中に分散または溶解させるためには、以下の方法がある。
(1)一つ目の方法としては、水と共沸する溶剤中で重合し、その後、水とアミンを加えて中和し、水性化する。さらに、溶剤を水と共沸させ、溶媒は完全に水のみとする。
(2)二つ目の方法としては、最終的にインキに含まれる水溶性溶剤を合成溶媒として重合する。その後、水とアミンを加えて中和し水性化するが、溶剤は取り除くことをせず、そのまま後述のプレミキシング、分散処理を行う。
1−ブタノールがあり、さらに好ましくは1−ブタノールがある。
二つ目の方法の合成溶媒としては、最終的にインキに含まれる水性溶媒であれば良いが、顔料分散樹脂に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
本発明のインキは、インキの全質量中に、質量比で、0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上12質量%以下の範囲で、顔料を含有させたものであることが好ましい。本発明においては、下記に挙げるような顔料を使用することができる。
先ず、本発明で使用することのできる黒色の顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40mμm(nm)、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10質量%、pH値が2乃至10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビアンカーボン製)、REGAL330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット製)、Nipex90、Nipex150T、Nipex 160IQ、Nipex 170IQ、Nipex 75、Printex 85、Printex 95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、エボニックデグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
また、マゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、9、12、31、48、49、52、53、57、97、112、122、147、149、150、168、177、178、179、202、206、207、209、238、242、254、255、269、C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、37、40、50等が挙げられる。
また、シアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15:3、15:4、16、22、C.I.Vat Blue 4、6等が挙げられる。
さらに、上記以外の色の顔料を用いることもでき、その場合も含め、何れの顔料も各色インキにおいて単独でも、2つ以上の顔料を混合してもよい。勿論、本発明は、これらに限られるものではない。また、以上の他、自己分散型顔料等、新たに製造された顔料も使用することが可能である。
本発明のインクジェットインキを形成する場合に好適な水性媒体は、水及び水溶性溶剤(有機溶剤)の混合溶媒であるが、水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
(水性エマルジョン)
さらに、本発明のインキは、水性のエマルジョンを含有することが好ましい。水性のエマルジョンを含有することで、粘度はあまり上昇させずに、印字した塗膜の耐性を向上させることができる。これにより、耐水性、耐溶剤性、耐擦過性などが向上する。水溶性の樹脂を添加しても、ある程度耐性の向上は期待できるが、粘度が上昇してしまう傾向にある。インクジェットインキの場合、ノズルからインキを吐出できる粘度にはある範囲があり、あまり粘度が高いとインキを吐出することができなくなることがあるため、粘度の上昇を抑えることは重要である。
また、本発明のインキは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、インキの全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下、好ましくは0.2質量%以上5質量%以下が好適である。
上記したような成分からなる本発明のインキの製造方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。先ず初めに、顔料分散樹脂と、水とが少なくとも混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、必要に応じてこの顔料分散液に、水溶性溶剤、或いは、上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインクとする。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール54.5部、ベヘニルアクリレート40.0部、化合物5 20.0部、アクリル酸40.0部、チオグリセロール1.2部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、V−601(和光純薬製)0.3部を添加した後、7時間反応させる事で、重量平均分子量は約3万、酸価は約300(mgKOH/g)の共重合体1溶液を得た。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール51.2部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を210部添加して、不揮発分24%の顔料分散樹脂(A−1)の水溶液ないし水性分散体を得た。
表1、2に示す配合組成で、合成例1と同様の方法で合成し、合成例2〜15、17、19、20、比較合成例1、比較合成例4の顔料分散樹脂の水溶液ないし水性分散体を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール89.7部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ラウリルメタクリレート35部、化合物1 20部、アクリル酸45部、およびV−601(和光純薬製)7.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量は約2万4千、酸価は約350(mgKOH/g)の共重合体16溶液を得た。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール57.6部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を162部添加して、不揮発分24%の顔料分散樹脂(A−16)の水溶液ないし水性分散体を得た。
表1、2に示す配合組成で、合成例16と同様の方法で合成し、合成例18、比較合成例2〜3、比較合成例5の顔料分散樹脂を得た。
LMA:ラウリルメタクリレート
STMA:ステアリルメタクリレート
VA:ベヘニルアクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
St:スチレン
BzMA:ベンジルメタクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
2EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート
V−601:ラジカル重合開始剤(和光純薬製)
DMAE:ジメチルアミノエタノール
化合物1:下記化合物(1)に示す単量体
化合物2:下記化合物(2)に示す単量体
化合物3:下記化合物(3)に示す単量体
化合物4:下記化合物(4)に示す単量体
化合物5:下記化合物(5)に示す単量体
化合物6:下記化合物(6)に示す単量体
化合物7:下記化合物(7)に示す単量体
化合物8:下記化合物(8)に示す単量体
化合物9:下記化合物(9)に示す単量体
(顔料分散体(B−1)の製造)
下記の組成の混合物を均一になるようにディスパーで予備分散した後、直径0.5mmジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散体(B−1)を得た。
青顔料(Pigment Blue 15:3) 20.0部
顔料分散樹脂(A−1) 25.0部
水 55.0部
顔料および顔料分散樹脂の種類と質量比率を表3〜6に記載したように変更する以外は、顔料分散体(B−1)と同様にして、顔料分散体(B−2〜116)を得た。
青顔料:Pigment Blue 15:3
赤顔料:Pigment Red 122
黄顔料:Pigment Yellow 150
墨顔料: Printex85
[実施例1]
(インクジェットインキ(J−1)の製造)
下記の組成の混合物を均一になるようにディスパーで攪拌混合し、インクジェットインキ(J−1)を得た。
顔料分散体(B−1) 25.0部
1,2-ヘキサンジオール 15.0部
水 60.0部
このとき、インキ100部の中に、顔料5部、分散樹脂1.5部が含まれている。
(インクジェットインキ(J−2〜136)の製造)
顔料分散体の種類と配合量を表7〜11に記載したように変更する以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインキ(J−2〜136)を得た。
得られたインクジェットインキ(J−1〜136)の経時安定性、印字性、吐出性の評価を下記方法で行った。表7〜11に評価結果を示す。
インキを70℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、経時前後でのインキの粘度変化について測定した。70℃1週間保存前後の粘度の変化率が±3%未満なら6、±3%以上±5%未満であれば5、±5%以上±10%未満であれば4、±10%以上±15%未満であれば3、±15%以上±20%未満であれば2、±20%以上であれば1とした。評価が4、5、6のものは実用上問題はない。
インキの粘度はE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。
インキをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m2)に印刷した。印刷したサンプルをルーペで観察し、ドットのつながりや色のムラなどを評価した。印刷品質が非常に良好なものは◎、良好なものは○、ある程度良好なものは△、良好でないものは×とした。
インキを連続吐出させ、打ち出された液滴の状態を観察した。吐出不良がないものは◎、ほとんど見られないものは○、やや見られるものは△、多いものは×とした。
BDG:ブチルジグリコール
HeDG:ヘキシルジグリコール、(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル)
1.2-HD:1-2ヘキサンジオール
1.2-BD:1-2ブタンジオール
PG:プロピレングリコール
1,3-PD:1,3-プロパンジオール
Claims (11)
- 顔料、水溶性溶剤、水及び顔料分散樹脂を含むインクジェット用顔料インキにおいて、
前記顔料分散樹脂が、炭素数10以上のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体であ
る単量体A、下記一般式(1)に示す単量体B、及び酸基を有するエチレン性不飽和単量
体である単量体Cを共重合組成に含むコポリマー(共重合体)を含むことを特徴としたイ
ンクジェット用顔料インキ。
一般式(1)
基、mは1〜30の整数、 R3は下記一般式(2)に示される構造を表す。)
一般式(2)
(一般式(2)中、*は結合手を表す。) - 顔料分散樹脂中の単量体重量組成比が、下記に示す組成比であることを特徴とする請求
項1記載のインクジェット用顔料インキ。
単量体A:5〜60重量%
単量体B:5〜80重量%
単量体C:5〜70重量% - 顔料分散樹脂が、酸基を塩基性化合物で中和してなることを特徴とする請求項1または
2記載のインクジェット用顔料インキ。 - 顔料分散樹脂の酸価が、120mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることを特徴とする
請求項1〜3いずれか記載のインクジェット用顔料インキ。 - 単量体Aが、炭素数22のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体であることを特
徴とする請求項1〜4いずれか記載のインクジェット用顔料インキ。 - 単量体Bが、エトキシ化オルトーフェニルフェノール(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のインクジェット用顔料インキ。
- 塩基性化合物が、ジメチルアミノエタノールであることを特徴とする請求項3記載のイ
ンクジェット用顔料インキ。 - 水溶性溶剤が、グリコールエーテル類およびジオール類から選ばれる少なくとも一種で
あることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のインクジェット用顔料インキ。 - グリコールエーテル類が、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルである
ことを特徴とする請求項8記載のインクジェット用顔料インキ。 - ジオール類が、炭素数3〜6のアルカンジオールであることを特徴とする請求項8記載
のインクジェット用顔料インキ。 - ジオール類が1,2−ブタンジオール、および1,2−ヘキサンジオールから選ばれる
少なくとも一種であることを特徴とする請求項8または10記載のインクジェット用顔料
インキ。
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