JP6256157B2 - インクジェット用顔料インキ - Google Patents

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Description

本発明は、一般の印刷基材、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水性の高い基材への印字性に優れ、インクジェットノズルからの吐出安定性、保存安定性に優れる水系インクジェット用顔料インキに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインキ液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置の騒音が小さく、操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィースや家庭での出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機としての利用が期待され、環境面および印刷物の耐性面等から水性顔料インキが求められている。
水性顔料インキは、顔料が水に不溶であるため、インキ中での顔料分散を保つために分散樹脂を用いて水中での分散安定化を図っている。(例えば特許文献1,2,3参照)。
また、インクジェット記録方式の場合、ノズルの乾燥防止を目的として、保湿剤と位置づけられる高沸点の水溶性溶剤が含まれている。
一般的に、水性インキの乾燥機構は、インキが基材へ着弾後、基材への浸透と蒸発に分類されるが、浸透の寄与が非常に大きく、コート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水性が高い基材はインキの浸透が遅いため、多色印刷の場合はインキが混色してきれいな画像を形成できない、印刷速度を上げられない等の問題があった。
このため、インキ中に基材への浸透性の高い高沸点の水溶性溶剤を添加することにより乾燥性の向上を図る必要がある。しかしながら、インキ中への浸透性溶剤の添加は、顔料分散状態を安定化させている分散樹脂の溶解状態を変化させ、顔料分散性および保存安定性を著しく低下させる場合があった。この課題に対し、長鎖アルキルモノマーと、スチレン等とを有する顔料分散剤を用いた水性インクジェットインクにおいて、疎水性が高い基材における印字性とインクの保存安定性とを両立することが開示されている(特許文献4)。
しかしながら、上記のインクジェットインキでは、近年益々要求が高まっている印刷速度の向上に対し、浸透性溶剤の浸透が追いつかず、印字性の要求レベルを達成することは困難であった。また、浸透性溶剤を増やしたり、より基材への浸透性が高い溶剤を使用するとインキの保存安定性が低下し実用困難であるという問題があった。
特開昭64−6074号 特開昭64−31881号公報 特開平3−210373号公報 特開2012−140476号公報
本発明の目的は、インクジェット記録用の顔料インキにおいて、一般の印刷基材、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水性の高い基材への浸透性に優れることにより、印字性に優れ、インクジェットノズルからの吐出安定性とインキの保存安定性に優れるインクジェット用顔料インキを提供することにある。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
即ち本発明は、顔料、水溶性溶剤、水及び顔料分散樹脂を含むインクジェット用顔料インキにおいて、前記顔料分散樹脂が、炭素数10以上のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体である単量体A、下記一般式(1)に示す単量体B、及び酸基を有するエチレン性不飽和単量体である単量体Cを共重合組成に含むコポリマー(共重合体)を含むことを特徴としたインクジェット用顔料インキに関する。
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜5のアルキレン基、mは1〜30の整数、 R3は芳香環構造を含む1価の置換基を表す。)
また本発明は、顔料分散樹脂中の単量体重量組成比が、下記に示す組成比であることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
単量体A:5〜60重量%
単量体B:5〜80重量%
単量体C:5〜70重量%
また本発明は、顔料分散樹脂が、酸基を塩基性化合物で中和してなることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
また本発明は、顔料分散樹脂の酸価が、120mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
また本発明は、単量体Aが、炭素数22のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体であることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
また本発明は、単量体BにおけるR3が、下記一般式(2)または下記一般式(3)に示される構造であることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
一般式(2)
(一般式(2)中、*は結合手を表す。)
一般式(3)
(一般式(3)中、*は結合手を表す。)
また本発明は、塩基性化合物が、ジメチルアミノエタノールであることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
また本発明は、水溶性溶剤が、グリコールエーテル類およびジオール類から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
また本発明は、グリコールエーテル類が、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルであることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
また本発明は、ジオール類が、炭素数3〜6のアルカンジオールであることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
さらに本発明は、ジオール類が1,2−ブタンジオール、および1,2−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記インクジェット用顔料インキに関する。
本発明によれば、一般の印刷基材、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水性の高い基材への印字性に優れ、インクジェットノズルからの吐出安定性、保存安定性に優れる水系インクジェット用顔料インキが提供される。以下に、本発明のインキが何故、優れた効果を発揮するかについて説明する。
まず印字性に優れる最大の理由は、インキ中の水溶性溶剤(有機溶剤)にある。水溶性溶剤は一般に基材への浸透性が高いため、インキの乾燥性が向上し、優れた印字性を得ることが可能となる。コート紙(片面に20g/m程度塗工した紙)、アート紙(片面に40g/m程度塗工した紙)や塩化ビニルシートに印字する場合は、特にこの寄与が大きい。
しかしながら、このような高浸透性の水溶性溶剤には、顔料の分散性を低下させるという大きな問題がある。理由は定かではないが、高浸透性溶剤は疎水性が高く、インキ中の溶媒の疎水性が高くなるために、顔料に吸着している分散樹脂が溶媒へ脱着しやすくなり、分散性が低下するものと考えられる。近年の高まる印字性要求レベルに応じて、より高いインキの浸透性を求めて水溶性溶剤の量を増やしたり、あるいはより疎水性度の高い水溶性溶剤種を選択したりすると、この傾向は特に顕著に現れる。
そこで、顔料分散樹脂の重合成分として、炭素数10以上のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(単量体A)、炭素数2〜5のアルキレンオキシ鎖の末端に芳香環構造を含む一価の置換基を有する(メタ)アクリレート(単量体B)、酸基を有するエチレン性不飽和単量体(単量体C)を用いる事により、先述のような高浸透性溶剤存在下においても、顔料分散樹脂の顔料に対する吸着力、親和性、電荷反発力を保持する事が可能になる。すなわち、浸透性の高い溶剤を多量に使用した場合においても印字性とノズルからの吐出性に優れ、浸透性の高い溶剤を多量に使用しても分散性が低下せず保存安定性に優れるインキを得ることができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明のインクジェット用顔料インキ(以下、インキ又は顔料インキという)について説明する。
<顔料分散樹脂>
本発明の顔料インキは、炭素数10以上のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体である単量体A、下記一般式(1)に示す単量体B、及び酸基を有するエチレン性不飽和単量体である単量体Cを共重合してなる共重合体である顔料分散樹脂を含有してなることを特徴とする。
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜5のアルキレン基、mは1〜30の整数、 R3は芳香環構造を含む1価の置換基を表す。)
(単量体A)
本発明で使用する単量体Aは、炭素数10以上のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体である。長鎖アルキル基は疎水性が高く、これを有する単量体Aを重合成分に組み込む事によって、顔料分散樹脂の疎水性を高める事ができる。その結果、分散樹脂の溶媒溶解性は低くなり、先述の高浸透性溶剤存在下においても分散樹脂は顔料から溶媒へ脱着する事なく、強固な顔料吸着を保持する事が可能となる。
単量体Aの具体例としては、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、もしくはベヘニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
汎用性や重合性などの観点から、ラウリル(メタ)アクリレートやベヘニル(メタ)アクリレート等のようなアクリル酸アルキルエステル類を選択する事が特に好ましい。また、保存安定性の向上をより高度に図るための炭素数は、好ましくは12以上30以下の範囲、より好ましくは炭素数18以上24以下の範囲、更には炭素数22である事が特に好ましい。
(単量体B)
本発明で使用する単量体Bは、前記一般式(1)で示される、炭素数2〜5のアルキレンオキシ鎖の末端に芳香環構造を含む1価の置換基を有する(メタ)アクリレートである。分散樹脂中に、単量体Aと併せて芳香環構造を含む単量体を導入する事で、分散樹脂はπ電子相互作用による顔料への高い親和性を得る事ができ、更に良好な吸着状態を形成する事が可能となる。
芳香環構造を含むが、アルキレンオキシ鎖を含まない単量体として、例えばスチレンやベンジル(メタ)アクリレート等を用い、これらを単量体Aと組み合わせると、分散樹脂の顔料吸着力は強く発現する。しかしながら、印字性は不十分でありインキの浸透力を更に求めて、インキ中溶剤の疎水性度や量が増加していった際は、このような単量体組み合わせでも分散樹脂の吸着力は不十分であり、顔料からの脱着が生じてしまう。
この場合は、分散樹脂中の芳香環による顔料への親和性を更に高める必要があり、炭素数2〜5のアルキレンオキシ鎖の末端に芳香環構造を含む1価の置換基を有する(メタ)アクリレート(単量体B)を選択することが顔料への親和性の点で重要である。
単量体Bがスチレン等と比較して良好である点について、以下が考えられる。炭素数2〜5のアルキレンオキシ鎖はインキ中の水溶性溶剤に親和性が高く、インキ中では拡がりを持つと考えられるため、単量体B中の芳香環構造(一般式(1)中のR3)は、スチレン等の芳香環と比較してインキ中でフレキシブルに可動する事ができ、顔料へ作用しやすいものと思われる。
一般式(1)におけるR2は、2〜3の範囲である事が、インキ中の水および水溶性溶剤への親和性の観点から好ましい。
また、一般式(1)におけるR3については、例えば(i)フェニル基のような芳香環が1つしか含まれないもの、(ii)ナフチル基のような縮環型のもの、(iii)ビフェニル基やビスフェノールのような独立した芳香環が2つ以上含まれるもの等が挙げられ、いずれも好ましい効果を発現する。これら芳香環構造は置換基を有していてもよい。
特に好ましいのは(iii)である。これは、複数の独立した芳香環による強いπ電子相互作用と、顔料への作用しやすさに起因するものと考えられる。
一般式(1)におけるR3が、(iii)ビフェニル基やビスフェノールのような独立した芳香環が2つ以上含まれるものとしては、、下記一般式(2)または下記一般式(3)に示される構造であることが好ましい。
一般式(2)
(式(2)中、*は一般式(1)に示す化合物への連結部を表す。)
一般式(3)
(式(3)中、*は一般式(1)に示す化合物への連結部を表す。)
単量体Bの具体例としては、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性フタル酸(メタ)アクリレート、エトキシ化オルトーフェニルフェノール(メタ)アクリレート、ナフチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
保存安定性の向上をより高度に図るためには、上記に例示した中では、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレートやエトキシ化オルトーフェニルフェノール(メタ)アクリレートを含む事が好ましい。
(単量体C)
本発明で使用する単量体Cは、酸基を有するエチレン性不飽和単量体である。顔料分散樹脂にこれを用いるのは、通常の分散樹脂と同様、イオン化した際の電荷反発のためである。顔料に吸着した分散樹脂が、酸をイオン化した状態で有し、水性溶媒中で、顔料どうしの電荷反発が起こり、分散性が保たれるものと考えられる。
単量体Cの具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニルスルホン酸、N-t-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸、EO変性リン酸(メタ)アクリレートなどが挙げられる。保存安定性の向上をより高度に図るためには、カルボン酸含有(メタ)アクリレートが好ましく、アクリル酸やメタクリル酸を含む事がより好ましい。
(その他の単量体)
顔料分散樹脂は、前記単量体A〜C以外のその他の単量体を重合組成に含んでいてもよい。その他の単量体としては、炭素数1〜9のアルキル系エチレン性不飽和単量体、アルキレングリコール系エチレン性不飽和単量体(前記単量体Bを除く)、水酸基含有エチレン性不飽和単量体、窒素含有エチレン性不飽和単量体、芳香環基含有エチレン性不飽和単量体(前記単量体Bを除く)等がある。
[炭素数1〜9のアルキル系エチレン性不飽和単量体]
更に具体的に例示すると、アルキル系エチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜9のアルキル(メタ)アクリレートがあり、極性の調節を目的とする場合には好ましくは炭素数2〜9、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
[アルキレングリコール系エチレン性不飽和単量体]
また、アルキレングリコール系エチレン性不飽和単量体としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等、末端に水酸基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノ(メタ)アクリレート等、
メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等、末端にアルコキシ基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[水酸基含有エチレン性不飽和単量体]
水酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼンなどが挙げられる。
窒素含有エチレン性不飽和単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド等のモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド等が挙げられる。
[芳香環基含有エチレン性不飽和単量体]
芳香環基含有エチレン性不飽和単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、クロロスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール等が挙げられる。
[その他のエチレン性不飽和単量体]
更にその他の不飽和化合物としては、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜9のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレート類;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン等のパーフルオロアルキル、アルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有ビニルモノマー、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラノール基含有ビニル化合物及びその誘導体;
脂肪酸ビニル化合物としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル等;
アルキルビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等;
α−オレフィン化合物としては、1−ヘキセン、1−オクテン等;
ビニル化合物としては、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物、シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、等;
エチニル化合物としては、アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等;、などを挙げることができ、これらの群から単独または複数用いることができる。
(単量体A〜Cの重量組成比)
本発明の顔料分散樹脂において、構成成分である単量体A〜Cの重量組成比は、
単量体A:5〜60重量%、単量体B:5〜80重量%、単量体C:5〜70重量%、である事が好ましく、なかでも、
単量体A:15〜50重量%、単量体B:10〜75重量%、単量体C:10〜60重量%、である事がより好ましく、
単量体A:20〜50重量%、単量体B:20〜60重量%、単量体C:15〜40重量%、である事が特に好ましい。
(顔料分散樹脂の重量平均分子量、酸価)
本発明のインキの構成成分として用いる上記のような単量体成分を共重合してなる顔料分散樹脂は、重量平均分子量が2,000〜100,000の範囲であることが好ましく、更には、重量平均分子量が5,000〜80,000の範囲のものであることが好ましい。
また、本発明のインキの構成成分である顔料分散樹脂は、酸基を有するエチレン性不飽和単量体(単量体C)を共重合してなるが、単量体Cの構成比率より算出される顔料分散樹脂の酸価が、50mgKOH/g以上600mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、120mgKOH/g以上500mgKOH/g以下の範囲であることがより好ましい。
本発明で使用する顔料分散樹脂の酸価が上記の範囲よりも低いと顔料インキの分散安定性が低下し、吐出安定性が悪化する傾向がある。また、本発明で使用する顔料分散樹脂の酸価が上記の範囲より高いと、顔料表面に対する顔料分散樹脂の付着力が低下し、顔料インキの保存安定性が低下する傾向がある。尚、本発明における顔料分散樹脂やポリマーの重量平均分子量や酸価は、常法によって測定することができる。
(顔料分散樹脂の添加量)
本発明のインキについて、顔料分散樹脂の添加量は、インキ中の顔料全重量に対して3重量%以上70重量%以下の範囲であり、好ましくは5重量%以上60重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上45重量%以下の範囲である。
[塩基性化合物]
本発明のインキは、含有する顔料分散樹脂を形成するための、酸基を有する単量体をイオン化することで、顔料粒子の分散安定化を図ることができる。このために、塩基性化合物によってインキ全体を中性又はアルカリ性に調整することが好ましい。但し、アルカリ性が強過ぎると、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食の原因となる場合があるので、7〜10のpH範囲とするのが好ましい。
この際に使用される塩基性化合物(pH調整剤)としては、下記のものが挙げられる。例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール等の各種有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。
ジメチルアミノエタノールは沸点が高く、インキ吐出性の点で特に好ましい。
塩基性化合物でpH調整することで、上記したような顔料分散樹脂は、水性液媒体中に、分散又は溶解される。
(顔料分散樹脂の製造方法)
顔料分散樹脂は、通常のアクリルの溶液重合により得られる。しかしながら、アクリルの溶液重合時には溶剤に溶解しており、水性媒体中に分散または溶解させるためには、以下の方法がある。
(1)一つ目の方法としては、水と共沸する溶剤中で重合し、その後、水とアミンを加えて中和し、水性化する。さらに、溶剤を水と共沸させ、溶媒は完全に水のみとする。
(2)二つ目の方法としては、最終的にインキに含まれる水溶性溶剤を合成溶媒として重合する。その後、水とアミンを加えて中和し水性化するが、溶剤は取り除くことをせず、そのまま後述のプレミキシング、分散処理を行う。
一つ目の方法の合成溶媒としては、水と共沸するものであれば良いが、顔料分散樹脂に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールがあり、さらに好ましくは1−ブタノールがある。
1−ブタノールがあり、さらに好ましくは1−ブタノールがある。
二つ目の方法の合成溶媒としては、最終的にインキに含まれる水性溶媒であれば良いが、顔料分散樹脂に対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
本発明のインキにおいて、上記で説明した顔料分散樹脂は、インキの全質量に対して、0.1質量%以上8質量%以下の範囲で含有させるのが好ましい。
本発明のインキにおいては、必要に応じて、ロジン、シェラック及びデンプン等の天然樹脂や、前記した顔料分散樹脂でない合成樹脂も好ましく用いることができる。この場合の天然樹脂や合成樹脂は、前記した顔料分散樹脂の添加量を上回らない程度に含有させることが好ましい。
<顔料>
本発明のインキは、インキの全質量中に、質量比で、0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上12質量%以下の範囲で、顔料を含有させたものであることが好ましい。本発明においては、下記に挙げるような顔料を使用することができる。
先ず、本発明で使用することのできる黒色の顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40mμm(nm)、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10質量%、pH値が2乃至10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビアンカーボン製)、REGAL330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット製)、Nipex90、Nipex150T、Nipex 160IQ、Nipex 170IQ、Nipex 75、Printex 85、Printex 95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、エボニックデグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
本発明で使用することのできるイエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213等が挙げられる。
また、マゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、9、12、31、48、49、52、53、57、97、112、122、147、149、150、168、177、178、179、202、206、207、209、238、242、254、255、269、C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、37、40、50等が挙げられる。
また、シアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15:3、15:4、16、22、C.I.Vat Blue 4、6等が挙げられる。
さらに、上記以外の色の顔料を用いることもでき、その場合も含め、何れの顔料も各色インキにおいて単独でも、2つ以上の顔料を混合してもよい。勿論、本発明は、これらに限られるものではない。また、以上の他、自己分散型顔料等、新たに製造された顔料も使用することが可能である。
本発明のインクジェットインキは、顔料分散樹脂を水性媒体中に溶解、あるいは懸濁させた後、この液中に顔料を投入し、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌混合した後、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型サンドミルといったビーズミルやロールミル、メディアレス分散機等の種々の分散機を用いて分散して製造することができる。
<水性媒体(水、水溶性溶剤)>
本発明のインクジェットインキを形成する場合に好適な水性媒体は、水及び水溶性溶剤(有機溶剤)の混合溶媒であるが、水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
水と混合して使用される水溶性溶剤(有機溶剤)としては特に制限されないが、ジオール類や、グリコールエーテル類などが効果的である。これらの溶剤種は基材への浸透が非常に速く、コート紙、アート紙や塩化ビニルシートといった溶媒の吸収性の低い基材に対しても、浸透が速い。そのため、印字の際の乾燥が速く、正確な印字を実現することができる。また、沸点が高いため、保湿剤としての働きも十分である。
ジオール類の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどがあげられる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ペンタエチレングリコールメチルエチルエーテル、2-メトキシ-1-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール 、1-メトキシ-2-ブタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールなどがあげられる。
基材への浸透性で特に効果が高いものは、ジオール類においては、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の炭素数3〜6のアルカンジオールである事がより好ましく、中でも1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが特に好ましい。また、グリコールエーテル類においては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルやジエチレングリコールモノヘキシルエーテル等のような(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルである事がより好ましい。
これらの有機溶剤は単独で使用しても良く、複数を混合して使用することもできるが、前述のコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどに対して、より高い浸透性を付与するために、上記したような有機溶剤の総量としてのインキ中における含有量が、インキの全質量の10質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上40質量%以下の範囲である。
また、水の含有量としては、インキの全質量の10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは、30質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上70質量%以下の範囲である。
また印刷する基材の種類によっては、その溶解性の向上を目的に、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルオキサゾリジノン、N−エチルオキサゾリジノンなどの水溶性の含窒素複素環化合物を添加することもできる。
<その他の成分>
(水性エマルジョン)
さらに、本発明のインキは、水性のエマルジョンを含有することが好ましい。水性のエマルジョンを含有することで、粘度はあまり上昇させずに、印字した塗膜の耐性を向上させることができる。これにより、耐水性、耐溶剤性、耐擦過性などが向上する。水溶性の樹脂を添加しても、ある程度耐性の向上は期待できるが、粘度が上昇してしまう傾向にある。インクジェットインキの場合、ノズルからインキを吐出できる粘度にはある範囲があり、あまり粘度が高いとインキを吐出することができなくなることがあるため、粘度の上昇を抑えることは重要である。
上記したような水性のエマルジョンのインキ中における含有量は、固形分で、インキの全質量の2質量%以上30質量%以下の範囲であり、より好ましくは、3質量%以上20質量%以下の範囲である。
(添加剤)
また、本発明のインキは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、インキの全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下、好ましくは0.2質量%以上5質量%以下が好適である。
<インクジェットインキの製造>
上記したような成分からなる本発明のインキの製造方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。先ず初めに、顔料分散樹脂と、水とが少なくとも混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、必要に応じてこの顔料分散液に、水溶性溶剤、或いは、上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインクとする。
顔料インキの作製方法においては、上記で述べたように、インキの調製に分散処理を行って得られる顔料分散液を使用するが、顔料分散液の調製の際に行う分散処理の前に、プレミキシングを行うのが効果的である。即ち、プレミキシングは、顔料分散樹脂と水とが混合された水性媒体に顔料を加えて行えばよい。このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進することができるため、好ましい。
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられる。その中でも、ビーズミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
さらに、上記した顔料のプレミキシング及び分散処理において、顔料分散樹脂は水のみに溶解もしくは分散した場合であっても、水溶性溶剤と水の混合溶媒に溶解もしくは分散した場合であっても良い。特に分散処理においては、先述したように顔料分散樹脂の合成溶媒とした水溶性溶剤と水の混合溶媒に、顔料分散樹脂が溶解もしくは分散している場合の方が、分散処理過程で安定な分散体を得ることができる場合がある。
本発明のインキは、インクジェット記録用であるので、顔料としては、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。即ち、顔料粒子を含有するインキをインクジェット記録方法に好適に使用できるようにするためには、ノズルの耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いることが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、下記の方法が挙げられる。先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組み合わせ等の手法がある。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また樹脂の重量平均分子量(Mw)は以下の通りである。
(樹脂の重量平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
<顔料分散樹脂の製造方法>
(合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール54.5部、ベヘニルアクリレート40.0部、化合物5 20.0部、アクリル酸40.0部、チオグリセロール1.2部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、V−601(和光純薬製)0.3部を添加した後、7時間反応させる事で、重量平均分子量は約3万、酸価は約300(mgKOH/g)の共重合体1溶液を得た。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール51.2部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を210部添加して、不揮発分24%の顔料分散樹脂(A−1)の水溶液ないし水性分散体を得た。
(合成例2〜15、17、19、20、比較合成例1、比較合成例4)
表1、2に示す配合組成で、合成例1と同様の方法で合成し、合成例2〜15、17、19、20、比較合成例1、比較合成例4の顔料分散樹脂の水溶液ないし水性分散体を得た。
(合成例16)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール89.7部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ラウリルメタクリレート35部、化合物1 20部、アクリル酸45部、およびV−601(和光純薬製)7.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量は約2万4千、酸価は約350(mgKOH/g)の共重合体16溶液を得た。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール57.6部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を162部添加して、不揮発分24%の顔料分散樹脂(A−16)の水溶液ないし水性分散体を得た。
(合成例18、比較合成例2〜3、比較合成例5)
表1、2に示す配合組成で、合成例16と同様の方法で合成し、合成例18、比較合成例2〜3、比較合成例5の顔料分散樹脂を得た。
表1、2中の略称を以下に示す。
LMA:ラウリルメタクリレート
STMA:ステアリルメタクリレート
VA:ベヘニルアクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
St:スチレン
BzMA:ベンジルメタクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
2EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート
V−601:ラジカル重合開始剤(和光純薬製)
DMAE:ジメチルアミノエタノール
化合物1:下記化合物(1)に示す単量体
化合物2:下記化合物(2)に示す単量体
化合物3:下記化合物(3)に示す単量体
化合物4:下記化合物(4)に示す単量体
化合物5:下記化合物(5)に示す単量体
化合物6:下記化合物(6)に示す単量体
化合物7:下記化合物(7)に示す単量体
化合物8:下記化合物(8)に示す単量体
化合物9:下記化合物(9)に示す単量体
化合物(1)
化合物(2)
化合物(3)
化合物(4)
化合物(5)
化合物(6)
化合物(7)
化合物(8)
化合物(9)
<顔料分散体の製造方法>
(顔料分散体(B−1)の製造)
下記の組成の混合物を均一になるようにディスパーで予備分散した後、直径0.5mmジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散体(B−1)を得た。
青顔料(Pigment Blue 15:3) 20.0部
顔料分散樹脂(A−1) 25.0部
水 55.0部
(顔料分散体(B−2〜116)の製造)
顔料および顔料分散樹脂の種類と質量比率を表3〜6に記載したように変更する以外は、顔料分散体(B−1)と同様にして、顔料分散体(B−2〜116)を得た。
表3〜6中の略称を以下に示す。
青顔料:Pigment Blue 15:3
赤顔料:Pigment Red 122
黄顔料:Pigment Yellow 150
墨顔料: Printex85
<インクジェットインキの製造方法>
[実施例1]
(インクジェットインキ(J−1)の製造)
下記の組成の混合物を均一になるようにディスパーで攪拌混合し、インクジェットインキ(J−1)を得た。
顔料分散体(B−1) 25.0部
1,2-ヘキサンジオール 15.0部
水 60.0部
このとき、インキ100部の中に、顔料5部、分散樹脂1.5部が含まれている。
[実施例2〜116、比較例1〜20]
(インクジェットインキ(J−2〜136)の製造)
顔料分散体の種類と配合量を表7〜11に記載したように変更する以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインキ(J−2〜136)を得た。
<インクジェットインキの評価>
得られたインクジェットインキ(J−1〜136)の経時安定性、印字性、吐出性の評価を下記方法で行った。表7〜11に評価結果を示す。
(インキの経時保存安定性)
インキを70℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、経時前後でのインキの粘度変化について測定した。70℃1週間保存前後の粘度の変化率が±3%未満なら6、±3%以上±5%未満であれば5、±5%以上±10%未満であれば4、±10%以上±15%未満であれば3、±15%以上±20%未満であれば2、±20%以上であれば1とした。評価が4、5、6のものは実用上問題はない。
インキの粘度はE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。
(インキの印字性)
インキをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m2)に印刷した。印刷したサンプルをルーペで観察し、ドットのつながりや色のムラなどを評価した。印刷品質が非常に良好なものは◎、良好なものは○、ある程度良好なものは△、良好でないものは×とした。
(インキの吐出性)
インキを連続吐出させ、打ち出された液滴の状態を観察した。吐出不良がないものは◎、ほとんど見られないものは○、やや見られるものは△、多いものは×とした。
表7〜11中の略称を以下に示す。
BDG:ブチルジグリコール
HeDG:ヘキシルジグリコール、(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル)
1.2-HD:1-2ヘキサンジオール
1.2-BD:1-2ブタンジオール
PG:プロピレングリコール
1,3-PD:1,3-プロパンジオール
表7〜10の結果から明らかなように、実施例のいずれもがインキ経時安定性、印字性、吐出性の面で良好であった。一方で表11の比較例においては、印字性は良好なものもあるが、インキ経時安定性および吐出性の面で実施例に大きく劣る。

Claims (11)

  1. 顔料、水溶性溶剤、水及び顔料分散樹脂を含むインクジェット用顔料インキにおいて、
    前記顔料分散樹脂が、炭素数10以上のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体であ
    る単量体A、下記一般式(1)に示す単量体B、及び酸基を有するエチレン性不飽和単量
    体である単量体Cを共重合組成に含むコポリマー(共重合体)を含むことを特徴としたイ
    ンクジェット用顔料インキ。
    一般式(1)
    (一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜5のアルキレン
    基、mは1〜30の整数、 R3下記一般式(2)に示される構造を表す。)
    一般式(2)

    (一般式(2)中、*は結合手を表す。)
  2. 顔料分散樹脂中の単量体重量組成比が、下記に示す組成比であることを特徴とする請求
    項1記載のインクジェット用顔料インキ。
    単量体A:5〜60重量%
    単量体B:5〜80重量%
    単量体C:5〜70重量%
  3. 顔料分散樹脂が、酸基を塩基性化合物で中和してなることを特徴とする請求項1または
    2記載のインクジェット用顔料インキ。
  4. 顔料分散樹脂の酸価が、120mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることを特徴とする
    請求項1〜3いずれか記載のインクジェット用顔料インキ。
  5. 単量体Aが、炭素数22のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体であることを特
    徴とする請求項1〜4いずれか記載のインクジェット用顔料インキ。
  6. 単量体Bが、エトキシ化オルトーフェニルフェノール(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のインクジェット用顔料インキ。
  7. 塩基性化合物が、ジメチルアミノエタノールであることを特徴とする請求項3記載のイ
    ンクジェット用顔料インキ。
  8. 水溶性溶剤が、グリコールエーテル類およびジオール類から選ばれる少なくとも一種で
    あることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のインクジェット用顔料インキ。
  9. グリコールエーテル類が、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルである
    ことを特徴とする請求項8記載のインクジェット用顔料インキ。
  10. ジオール類が、炭素数3〜6のアルカンジオールであることを特徴とする請求項8記載
    のインクジェット用顔料インキ。
  11. ジオール類が1,2−ブタンジオール、および1,2−ヘキサンジオールから選ばれる
    少なくとも一種であることを特徴とする請求項8または10記載のインクジェット用顔料
    インキ。
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