JP7263744B2 - 顔料分散体、およびインクジェット用インク - Google Patents
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前記重合体(B)の含有量は、無機顔料(A)100質量部に対して7.0質量部を超え、45質量部以下であり、
前記アニオン性基を有するモノマー単位のアニオン性基が、カルボキシル基、およびスルホン酸基から選ばれる1種以上である。
前記重合体(B)の含有量は、無機顔料(A)100質量部に対して7.0質量部を超え、45質量部以下であり、
前記アニオン性基を有するモノマー単位のアニオン性基が、カルボキシル基、およびスルホン酸基から選ばれる1種以上である。
本発明の顔料分散体は、各種の着色用途に使用することが可能であり、例えば、樹脂成形体、一般塗料、自動車用塗料、捺染剤、文具用インク(例えば、ボールペン用、万年筆用等)、グラビア印刷用インク、フレキソ印刷用インク、インクジェット用インク等が挙げられる。これらの中でも、インクジェット用インクがより好ましい。本明細書では、顔料分散体をインクジェット用インクに適用する態様を中心に説明する。
本明細書で無機顔料(A)は、白色インクとして使用可能な金属化合物の粒子である。無機顔料(A)は、例えば、金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物は、例えば、二酸化チタン(以降、酸化チタンと記載する)、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも高い白色度を示す屈折率、従来の印刷インクの色相を再現する観点から、酸化チタンが好ましい。酸化チタンの結晶構造には、ルチル型(正方晶)、アナターゼ型(正方晶)、ブルッカイト型(斜方晶)があるが、結晶の安定性、白色度、及び入手性の観点から、ルチル型酸化チタンが好ましい。
本明細書で重合体(B)は、1つ以上のアニオン性基を有するモノマー単位を有し、アニオン性基を有するモノマー単位のアニオン性基が、カルボキシル基、スルホン酸基から選ばれる少なくとも1種である。
重合体(B)は1つ以上のアニオン性基を有するモノマー単位を必須とし、必要に応じてアニオン性基をもたないモノマー単位を併用できる。
アニオン性基を有するモノマー単位のアニオン性基は、カルボキシル基、スルホン酸基が好ましい。アニオン性基の存在により重合体(B)が無機顔料(A)に吸着し易くなり、負帯電による斥力が働くため、無機顔料(A)同士が凝集し難くなる。
アニオン性基を有するモノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
アニオン性基をもたないモノマー単位は、例えば、ノニオン性モノマー、スチレン系モノマー、スチレン系モノマー以外の芳香族基含有モノマー、アルキル基含有モノマー等が好ましい。
ノニオン性モノマーは、例えば、アルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有するアルキレングリコール(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
ノニオン性モノマーの市販品は、例えば、NKエステルM-230G、同450G、同900G(以上、新中村化学工業社製)、ブレンマーPME-1000、同4000(以上、日油社製)、ライトエステル041MA(共栄社化学社製)等が挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、スチレンマクロマーなどが挙げられる。スチレン系モノマー以外の芳香族基含有モノマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンジ、フェノキシ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート、(ターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)クリレート等が挙げられる。
重合体(B)は、モノマー混合物を重合して合成できる。前記重合は、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が挙げられるところ、分子量、分子量分布の制御の容易さの面で溶液重合が好ましい。
重合開始剤の使用量は、モノマー混合物100質量部に対して、0.001~5質量部程度が好ましい。
顔料分散体の製造は、例えば、無機顔料(A)、重合体(B)、水、および必要に応じて消泡剤等の添加剤を配合し、予備混合する。次いで、得られた混合物を分散機等で分散して得る。
前記予備混合は、例えば、ディスパー、プラネタリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。予備混合は、少なくとも分散機に混合物を導入しやすい形態を得る目的で実施されるが、分散機での分散性の向上、無機顔料(A)と重合体(B)の吸着性の観点から、せん断強度を考慮した混練工程として位置付けてもよい。
分散時間は、顔料分散体が目的の分散粒径、粗大粒子の低減、白色度に到達するまでであるが、重合体(A)の吸着の観点と、無機顔料(A)の破砕の観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上である。また、100時間以下、より好ましくは75時間以下、さらに好ましくは50時間以下である。
本明細書のインクジェット用インクは、顔料分散体を含む。また、インクジェット用インクは、顔料分散体に加え、樹脂、塩基性物質、水、水溶性溶剤、界面活性剤、および架橋剤等から選択される材料を適宜追加して作製できる。
水溶性溶剤は、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
インクジェットインクの作製法の一例を説明する。
顔料分散体に対して、樹脂、塩基性物質、水、水溶性溶剤、さらに必要に応じてアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、pH調整剤等及びその他の成分を添加して作製する。
顔料分散体を撹拌下、所望の成分を添加し、十分撹拌して作製する。撹拌の際、必要に応じて加温できる。
(無機顔料(A))
タイペーク CR-58(石原産業社製)
二酸化チタン(ルチル型)
平均一次粒子径:0.28μm
第一の被覆層を形成した化合物:アルミナ
タイペーク CR-80(石原産業社製)
二酸化チタン(ルチル型)
平均一次粒子径:0.25μm
第一の被覆層を形成した化合物:アルミナ、シリカ
・アニオン性基としてカルボキシル基を有する重合体
アロン A-10SL(東亞合成社製)
ポリアクリル酸
Mw5,000
不揮発分40%
・アニオン性基としてカルボキシル基、およびスルホン酸基を有する重合体のナトリウム塩
アロン A-6012(東亞合成社製)
ポリアクリル酸スルホン酸系共重合体ナトリウム
Mw10,000
不揮発分40%
Joncryl 690(BASF)
スチレンアクリル樹脂
Mw16,500
不揮発分 98.5%
ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル
プロピレングリコール
・ノニオン性界面活性剤
サーフィノールDF110D(EVONIK社製)
プロキセルGXL(ロンザ社製)
水酸化ナトリウム50.0部をイオン交換水50.0部に溶解し、50.0%水酸化ナトリウム水溶液を作製した。200mlガラス瓶にアロンA-10SL(不揮発分40%)を69.5部はかり取り、これに50%水酸化ナトリウム水溶液を30.0部添加した。この際、ガラス瓶容器を氷冷して50℃以下を維持しながら50%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。50%水酸化ナトリウム水溶液の添加後、混合液のpHを確認し、さらに50%水酸化ナトリウム水溶液を0.5部追加して撹拌しpHが9.2~9.5の範囲となるよう調整し、アロンA-10SLの濃度が28.1%のアロンA-10SL NaOH水溶液を得た。
水酸化ナトリウム50.0部をイオン交換水50.0部に溶解し、50.0%水酸化ナトリウム水溶液を作製した。200mlガラス瓶に粉砕したJoncryl690を20.0部はかり取り、これにイオン交換水を73.2部を加えディスパーで撹拌しながら液温が50℃となるように加温した。これに、50%水酸化ナトリウム水溶液を6.8部添加し、Joncryl690が溶解するまで撹拌し、Joncryl690の濃度が20%のJoncryl690 NaOH水溶液を得た。
225mlのガラス瓶に、アロンA-10SL NaOH水溶液を9.3部と、イオン交換水を55.7部を加えてよく撹拌し、0.8mmジルコニアビーズ160部を添加し、最後にタイペークCR-80を35.0部を添加して、シェーカー(サカタインクスエンジニアリング株式会社製オートマチックシェーカーSK450)に設置して6時間分散した。分散後ビーズを除去し顔料分散体(1)を得た。顔料分散体の粒度分布(d50)はNanotrac Wave(マイクロトラック・ベル社製)を使用しイオン交換水で希釈して測定した。体積平均粒径のd50の値を用いた。
表1に記載の無機顔料(A)、重合体(B)、使用量に変更した以外は作製例1と同様の方法で顔料分散体(2)~(19)を作製した。また、作製例1と同様の方法で粒度分布を測定した。評価結果は表1に記載した通りである。
作製例1で製造した顔料分散体(1)を使用してインクジェット用インク(1)を作製した。
顔料分散体(1)以外のインク成分(インク成分液)をあらかじめ混合し、これを撹拌下、顔料分散体(1)へ添加し作製した。
顔料分散体以外のインク成分の作製は、100mlのガラス容器に、イオン交換水24.7部、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル7.0部、プロピレングリコール23.0部、サーフィノールDF110D1.5部、プロキセルGXL0.2部、疎水性基と親水性基からなる樹脂としてJoncyrl690 NaOH水溶液15.0部をはかり取りディスパーで混合しインク成分液を作製した。
200mlのガラス容器に顔料分散体(1)を28.6部をはかり取り、液温25℃下、ディスパーで撹拌しながら、インク成分液71.4部を添加し、30分間撹拌しインクジェット用インク(1)を得た。得られたインクの組成を表3に記載する。
実施例1の材料を表3~4に記載された材料および使用量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2~17、比較例1~2のインクジェット用インク(2)~(19)をそれぞれ作製した。
ただし、実施例1、5~7、11~13、16、および17は参考例である。
インクジェット用インクの長期の保存後の分散状態の評価は、インクジェット用インクを70℃で4週間経時する促進評価を行った。結果を表3~4に示す。
インクジェット用インク作製直後と70℃4週間後の粘度の変化率を評価した。
粘度はE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、ローター(名称1°34‘×R24)、25℃ において回転数20rpmで測定し、3分後の値を粘度として評価した。なお、粘度計は粘度計校正用標準液 JS10(日本グリース社製)を用いて校正した。
評価基準は以下の通りである。
○:70℃4週間保存後の粘度変化率が±10%未満(良好)
△:70℃4週間保存後の粘度変化率が±10%以上±20%未満(実用上問題なし)
×:70℃4週間保存後の粘度変化率が±20%以上(実用不可)
インクジェット用インク作製直後と70℃4週間後の粒度分布(d50)の変化率を評価した。
粒度分布(d50)はNanotrac Wave(マイクロトラック・ベル社製)を使用しイオン交換水で希釈して測定した。体積平均粒径のd50の値を用いた。
評価基準は以下の通りである。
○:70℃4週間保存後のd50の変化率が±10%未満(良好)
△:70℃4週間保存後のd50の変化率が±10%以上±20%未満(実用上問題なし)
×:70℃4週間保存後のd50の変化率が±20%以上(実用不可)
インクジェット用インク作製直後と70℃4週間後の粗大粒子を評価した。
粗大粒子の変化は、25mmφのガラスファイバー製フィルター(GF/B 目開き1.0μm GEヘルスケアライフサイエンス社製)を使用した減圧濾過時のインクの通過時間で評価した。粗大粒子が多い、または保存経時後に増加している場合は、フィルターが目詰まりをおこし通過時間が長くなる。また、粗大粒子が過剰になるとフィルターが閉塞しインクを全量ろ過することができない。一般にインクジェットヘッドへインクを供給する経路に使用されるフィルターは1μmより大きく、本試験方法によりろ過を通過すれば十分といえる。
(評価条件)
評価インクは、顔料分散体中の無機顔料の不揮発分が10%となるように、実施例1記載の方法で作製した。コックを経由して減圧ポンプを付属したサクションベッセル(ADVANTEC社製 VT-500 0.5L)に15mlの目盛のついたファンネルと25mmφのガラスファイバー製フィルター(GF/B GEヘルスケアライフサイエンス社製)をのせた直径25mmフィルターホルダー(ADVANTEC社製)をのせた。サクションベッセル内が減圧されないようにコックを使用して減圧ポンプ(東京理化学器械社製 アスピレーター A-1000S)を稼働し、インク15mlをファンネルのメモリを使用してはかり取った。次いで、ポンプとサクションベッセルの開圧をスタートとしインク全量がフィルターを通過する時間を計測した。60秒以内にろ過フィルターが閉塞し顔料分散体が通過しない場合はファンネル内に残留したインクの量を計測した。評価基準は以下の通りである。
○:インク通過時間が35秒未満(良好)
△:インク通過時間が35秒以上60秒未満(実用上問題なし)
×:インク通過時間が60秒以上(実用不可)
インクジェット用インク作製直後の白色度を目視とL*値で評価した。透明のフィルム(TAC50 125×300m2 R1 エム・ビー・エス社製)を塗工台(K101コ
ントロールコーター RK Print Coat Instruments)にセットし、メータバー K101 ウェット12μm(RK Print Coat Instruments)を用いて、スピード6にてインクを塗工後、80℃で3分間乾燥した。乾燥したフィルムを均一濃度板(濃度2.0 半光沢タイプ 富士フイルム社製)の上にのせ、X-rite i1(ビデオジェット・エックスライト社製)を用いてL*値を測
定し白色度とした。測定条件は、観測光源:D50、観測視野:2°、濃度:DIN,白色基準:Abs、フィルター:No、Mファクター:M0 とした。CIELabLabを測定した時のL*値を使用した。評価基準は以下の通りである。
○:L*値及び目視のいずれもが十分である(良好)
△:L*値または目視のいずれかが不十分である(問題なし)
×:L*値及び目視のいずれもが不十分である(不良)
Claims (7)
- 無機顔料(A)、および1つ以上のアニオン性基を有するモノマー単位を有する重合体(B)を含む顔料分散体であって、
無機顔料(A)は、ルチル型酸化チタン表面に、シリカ、およびアルミナからなる群より選択される1種以上により被覆された第一の被覆層を有する被覆顔料であり、
無機顔料(A)の平均一次粒子径は0.1μm~0.6μmであり、
前記重合体(B)の含有量は、無機顔料(A)100質量部に対して12質量部以上、25質量部以下であり、
前記重合体(B)は、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸塩から選択される1種以上であり、
前記重合体(B)の質量平均分子量は、5,000以上である、
顔料分散体。 - 前記重合体(B)の質量平均分子量は、50,000以下である、請求項1記載の顔料分散体。
- 前記重合体(B)は、スルホン酸基含有ポリアクリル酸である、請求項1または2記載の顔料分散体。
- 請求項1~3いずれか1項に記載の顔料分散体を含む、インクジェット用インク。
- さらに疎水性基、および親水性基を含む樹脂を含む、請求項4記載のインクジェット用インク。
- 前記疎水性基、および親水性基を含む樹脂は、スチレン(メタ)アクリル樹脂、スチレン(無水)マレイン酸樹脂、および(メタ)アクリル樹脂の少なくともいずれかを含む、
請求項5記載のインクジェット用インク。 - 前記疎水性基、および親水性基を含む樹脂の含有量は、無機顔料(A)100質量部に対して、20質量部~150質量部である、請求項5または6記載のインクジェット用インク。
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