JP2019085456A - 水系顔料分散体 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録物における速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性に優れる水系顔料分散体、該水系顔料分散体を含む水系インク、及び水系顔料分散体の製造方法を提供する。【解決手段】[1]顔料を含有するポリマー粒子群を含む水系顔料分散体であって、該顔料を含有するポリマー粒子群は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)により観察される200個の粒子の平均円形度が0.940以上0.998以下であり、該顔料を含有するポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)が100nm以上500nm以下である、水系顔料分散体、[2]前記[1]の水系顔料分散体を含む水系インク、及び[3]顔料、ポリマー分散剤、及び水を混合して、顔料を含有するポリマー粒子群を含む水系顔料分散体を得る工程1、得られた水系顔料分散体を加熱処理する工程2を有する水系顔料分散体の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、水系顔料分散体、該水系顔料分散体を含む水系インク、及び水系顔料分散体の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録媒体に直接吐出し、付着させて、文字や画像が記録された印刷物を得る記録方式であり、従来の記録方式と異なり版を使用しない記録方式であることから、少量多品種に対応できるオンデマンド印刷として広範囲にわたる利用分野が期待されている。特に近年では、従来の白地の紙に対する印刷から、白地ではない段ボール、板紙、樹脂フィルム等の記録媒体に対する印刷への要望が増加している。
白地ではない記録媒体に対する印刷の場合、白色を表現する目的や視認性を高める目的で白色インクが使用される。白色インクに用いる顔料としては、隠蔽性の高い無機顔料である酸化チタンが汎用されている。また、酸化チタン等の顔料の分散性を向上させることを目的として、ポリマー分散剤が用いられている。
一方、樹脂フィルム等の記録媒体上にインクジェット記録方法で印刷を行うと、液体成分の吸収が遅い、又は吸収されないため、インクの乾燥に時間がかかり、耐擦過性が劣る等の問題が知られている。
また、印字信頼性を改善するために、樹脂粒子の形状に着目した技術も提案されている。
例えば、特許文献1には、高品位な画像記録と目詰まりに対する高い信頼性を両立するインクジェット記録用インクとして、樹脂微粒子を含有し、該樹脂微粒子が、重量換算平均粒子径が0.05〜2.0μmの非球形粒子であり、該非球状粒子の平均非球形度が1.2以上であるインクが開示されている。
特許文献2は、保存性、吐出安定性に優れたインクジェット用インクとして、着色樹脂微粒子と分散媒とを有し、着色樹脂微粒子が、水系分散媒中に樹脂と着色剤と有機溶剤とを含む分散質が分散した乳化液中において、該分散質を合一させることにより製造されたものであり、その平均円形度が0.98〜1であるインクジェット用インクが開示されている。
特開平8−259863号公報 特開2008−222982号公報
白色インクはフィルム印刷等におけるベースインクとして使用され、印刷物等の記録物において文字や画像の背景に用いられることが多く、高い隠蔽率が求められる。隠蔽率を上げるためには、酸化チタン等の白色顔料の濃度を上げる必要があるが、単純に顔料の濃度を上げるとインク粘度が上昇するという問題がある。
従来の酸化チタンを用いた白色インクや、特許文献1及び2のインクは、白色顔料の分散が十分でない。隠蔽率を上げるためには、白色顔料の分散性を向上させる必要があり、そのためポリマー分散剤を多く使用する必要が生じる。それに伴い、インク粘度の上昇が大きくなり、インクジェット記録方式における吐出安定性が低下する。このインク粘度上昇を抑制するため、ポリマー分散剤の添加量が制限されており、その結果、隠蔽率が不十分になるとともに、速乾定着性、及び特に高温高湿下での耐擦過性が不十分となっていた。
本発明は、記録物における速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性に優れる水系顔料分散体、該水系顔料分散体を含む水系インク、及び水系顔料分散体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、白色顔料等の顔料を含有するポリマー粒子群を含む水系顔料分散体において、該顔料を含有するポリマー粒子群の平均円形度と体積中位粒径(D50)を特定の範囲とすることにより、該水系顔料分散体が、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性に優れたものになることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[4]を提供する。
[1]顔料を含有するポリマー粒子群(以下、「顔料含有ポリマー粒子群」ともいう)を含む水系顔料分散体であって、
該顔料を含有するポリマー粒子群は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)により観察される200個の粒子の平均円形度が0.940以上0.998以下であり、
該顔料を含有するポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)が100nm以上500nm以下である、水系顔料分散体(以下、単に「顔料分散体」ともいう)。
[2]前記[1]に記載の水系顔料分散体を含む水系インク。
[3]下記工程1及び2を有する、前記[1]に記載の水系顔料分散体の製造方法。
工程1:顔料、ポリマー分散剤、及び水を混合して、顔料を含有するポリマー粒子群を含む水系顔料分散体を得る工程
工程2:工程1で得られた水系顔料分散体を加熱処理する工程
[4]顔料を含有するポリマー粒子を含む水系顔料分散体であって、
該顔料を含有するポリマー粒子は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)による観察における粒子の円形度が0.940以上0.998以下であり、
粒径が100nm以上500nm以下である、水系顔料分散体。
なお、本明細書において、「水系」とは、顔料分散体又はインクに含有される媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。
本発明によれば、記録物における速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性に優れる水系顔料分散体、該水系顔料分散体を含む水系インク、及び水系顔料分散体の製造方法を提供することができる。
[水系顔料分散体]
本発明の水系顔料分散体は、顔料含有ポリマー粒子群を含む水系顔料分散体であって、
該顔料を含有するポリマー粒子群は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)により観察される200個の粒子の平均円形度が0.940以上0.998以下であり、
該顔料を含有するポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)が100nm以上500nm以下である。
本発明の水系顔料分散体は、水系インクに含有されて記録媒体上に記録されると、記録物における速乾定着性と高温高湿下での耐擦過性に優れる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の水系顔料分散体に含まれる顔料含有ポリマー粒子群は、従来の顔料を含むポリマー粒子群と比べて、平均円形度が0.940以上0.998以下の範囲にあり、球に近い形状を有することから粒子間内に溶媒を抱え込みにくいという特性を有する。また、顔料含有ポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)が100nm以上500nm以下であるため、顔料含有ポリマー粒子間にも溶媒を抱え込みにくく、且つ、印刷面の平滑性が増す。このため、印刷時の乾燥速度が速くなり、速乾定着性が良好になると考えられる。また、残留溶媒が少なくなるため、平滑性の増した印刷面の画像が高温高湿時にも膨潤しにくくなり、高温高湿時の耐擦過性が良好となると考えられる。
さらに、本発明の水系顔料分散体の製造方法によれば、顔料とポリマー分散剤を混合して、ポリマー分散剤が顔料粒子表面に吸着した水系顔料分散体を得た後、該水系顔料分散体を加熱処理する。こうすることによって、従来の顔料を含むポリマー粒子群と比べて、平均円形度が0.940以上0.998以下で体積中位粒径(D50)が100nm以上500nm以下の顔料含有ポリマー粒子群が得られやすくなるため、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性が向上すると考えられる。
<顔料>
本発明において、顔料は、印字濃度、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、水系顔料分散体及び水系インク中で、ポリマーで分散された、顔料を含有するポリマー粒子群(顔料含有ポリマー粒子群)として含有される。
本発明に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよく、レーキ顔料、蛍光顔料を用いることもできる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム等の金属酸化物、真珠光沢顔料等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料類;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンツイミダゾロン顔料、スレン顔料等の多環式顔料類等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンから選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
(白色顔料)
本発明においては白色顔料が好ましく用いられる。白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム等の白色無機顔料が挙げられるが、汎用性の観点から、酸化チタン及び酸化亜鉛が好ましく、酸化チタンがより好ましい。
酸化チタンの結晶構造には、ルチル型(正方晶)、アナターゼ型(正方晶)、ブルッカイト型(斜方晶)があるが、結晶の安定性、隠蔽性、及び入手性の観点から、本発明ではルチル型酸化チタン(以下、単に「酸化チタン」ともいう)を用いることが好ましい。
酸化チタンは気相法又は液相法で製造することができるが、結晶性の高いものを得られ易いことから、気相法で製造された酸化チタンがより好ましい。
酸化チタンは、未処理のものを用いることもできるが、良好な分散性を得る観点から、表面処理されたものが好ましい。酸化チタンの表面処理としては無機物による表面処理や、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、シリコーンオイル等の有機物による表面処理等が挙げられるが、無機物による表面処理が好ましい。
酸化チタンの無機物による表面処理法としては、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、ジルコニア(ZrO)、酸化マグネシウム(MgO)等から選ばれる1種以上で処理する方法が挙げられる。
表面処理した酸化チタンの粉末は、800以上1000℃以下で焼成することにより、粒子間の焼結を抑制して、二次粒子サイズの流動性、分散性を向上させることもできる。
酸化チタンの粒子形状は、粒状、針状等があり特に制限されないが、その平均一次粒子径は、白色度の観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは150nm以上、より更に好ましくは200nm以上であり、そして、隠蔽性の観点から、好ましくは350nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは280nm以下である。
なお、酸化チタンの平均一次粒子径は、一次粒子の長径の算術平均であり、実施例に記載の方法により測定される。
ルチル型二酸化チタンの市販品例としては、テイカ株式会社製の商品名:JRシリーズ、石原産業株式会社製の商品名:タイペークR、CR、PFシリーズ、堺化学工業株式会社製の商品名:Rシリーズ、チタン工業株式会社製の商品名:KURONOS KRシリーズ、huntsmann社製の商品名:TRシリーズ等が挙げられる。
上記の顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(ポリマー分散剤)
本発明において、顔料を含有するポリマー粒子群(顔料含有ポリマー粒子群)は、顔料とポリマー分散剤を含有する。ポリマー分散剤は、水溶性ポリマーで構成されていても水不溶性ポリマーで構成されていても、それらの混合物であってもよいが、顔料への吸着性及び水系媒体中への分散安定性の観点から、水不溶性ポリマーが好ましい。また、ポリマー分散剤は、顔料、特に白色顔料への吸着性の観点から、アニオン性基を有するポリマーが好ましい。
なお、「水不溶性ポリマー」とは、未中和の状態でも、またその一部を中和した後でも水不溶性であるポリマーをいい、「水不溶性」とは、ポリマーを水に分散させたとき、透明とならないことを意味する。具体的には、(i)ポリマーを105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下であること、又は(ii)上記(i)の分散物に対して、レーザー光や通常光を当てて観察し、チンダル現象が認められることをいう。
一方、「水溶性ポリマー」とは、上記と同様の条件でポリマーを水に分散、溶解させたときに、その溶解量が10g以上であることをいう。
ポリマー分散剤は、塩生成基を有し、該塩生成基の少なくとも1部が塩基性化合物で中和されたものであることが好ましい。
ポリマー分散剤として使用しうるポリマーとしては、ビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。また、市販のポリマー粒子の分散液を用いることもできる。
市販のポリマー粒子の分散液としては、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂からなる粒子の分散液が好ましい。その具体例としては、「Neocryl A1127」(DSM NeoResins社製、アニオン性自己架橋水系アクリル樹脂)、「ジョンクリル390」(BASFジャパン株式会社製)等のアクリル樹脂、「WBR−2018」「WBR−2000U」(大成ファインケミカル株式会社製)等のウレタン樹脂、「SR−100」、「SR102」(以上、日本エイアンドエル株式会社製)等のスチレン−ブタジエン樹脂、「ジョンクリル7100」、「ジョンクリル734」、「ジョンクリル538」(以上、BASFジャパン株式会社製)等のスチレン−アクリル樹脂及び「ビニブラン701」(日信化学工業株式会社製)等の塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
ポリマー分散剤は、顔料の分散を効率よく行う観点から、ビニルモノマー(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニルポリマーが好ましく、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と、(b)疎水性モノマー(以下「(b)成分」ともいう)及び(c)ノニオン性モノマー(以下「(c)成分」ともいう)から選ばれる1種以上とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニルポリマーがより好ましい。
ポリマー分散剤は、好ましくは(a)成分由来の構成単位と、(b)成分及び(c)成分から選ばれる1種以上由来の構成単位を含有するが、更にマクロモノマー由来の構成単位等を含有してもよい。
〔(a)塩生成基含有モノマー〕
(a)塩生成基含有モノマーは、得られるポリマーの分散性を高める観点から用いられる。ポリマーの分散性が高まれば、得られる顔料分散体の分散性が向上し、ひいてはインクの保存安定性が向上する。
(a)塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマーが挙げられるが、アニオン性モノマーが好ましい。カチオン性モノマーを用いる場合は、アニオン性モノマーと併用することが好ましく、ポリマー分散剤として、アニオン性となるように、カチオン性モノマーを用いることがより好ましい。
塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられるが、これらの中でもカルボキシ基が好ましい。
アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。 カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、ポリマー分散剤による顔料の分散性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。
〔(b)疎水性モノマー〕
(b)疎水性モノマーとしては、ポリマー分散剤の顔料への親和性を高め、分散性、安定性を向上させる観点から用いることができる。疎水性モノマーの好適例としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられるが、上記と同様の観点から、アルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、好ましくは炭素数1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、炭素数22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、(イソ)ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
芳香族基含有モノマーとしては、スチレン系モノマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン及び2−メチルスチレンが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
これらの中でも、(b)成分としては、スチレン系モノマー、炭素数3以上10以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレン、炭素数3以上8以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
〔(c)ノニオン性モノマー〕
(c)ノニオン性モノマーは、ポリマー分散剤の顔料への親和性を高め、分散性、安定性を向上させる観点から用いることができる。
(d)ノニオン性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(n=1〜30、その中のエチレングリコール:n=1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレートがより好ましい。
ポリマー分散剤は、顔料の分散安定性を向上させる観点から、更に片末端に(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性官能基を有する数平均分子量500以上100,000以下のマクロマー、及びポリオキシアルキレングリコール鎖を有するノニオン性モノマー等を含有してもよい。
ポリマー分散剤を構成するポリマー中の各構成単位の含有量は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、以下のとおりである。
(a)成分由来の構成単位は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
(b)成分由来の構成単位を含む場合、その含有量は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
(c)成分由来の構成単位を含む場合、その含有量は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは88質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
ポリマー分散剤が水不溶性ポリマーである場合、(a)成分及び(b)成分由来の構成単位を含むことが好ましい。この場合、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、(a)成分由来の構成単位は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
また、(b)成分由来の構成単位は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
また、(a)成分及び(b)成分由来の構成単位の合計量は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%であり、そして、100質量%以下、好ましくは100質量%である。
ポリマー分散剤が水溶性ポリマーである場合、(a)成分及び(c)成分由来の構成単位を含むことが好ましい。この場合、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、(a)成分由来の構成単位は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
また、(c)成分由来の構成単位は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましく50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは88質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
また、(a)成分及び(c)成分由来の構成単位の合計量は、ポリマー分散剤の全構成単位中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%であり、そして、100質量%以下、好ましくは100質量%である。
ポリマー分散剤を構成するポリマーの重量平均分子量は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上、更に好ましくは15,000以上、より更に好ましくは20,000以上であり、そして、好ましくは500,000以下、より好ましくは300,000以下、更に好ましくは200,000以下、より更に好ましくは100,000以下、より更に好ましくは80,000以下である。
なお、ポリマー分散剤の重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、(a)成分がアニオン性モノマーである場合のポリマー分散剤の酸価は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは100mgKOH/g以上、より好ましくは200mgKOH/g以上、更に好ましくは300mgKOH/g以上、より更に好ましくは450mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは700mgKOH/g以下、より好ましくは650mgKOH/g以下、更に好ましくは600mgKOH/g以下である。
(ポリマー分散剤の製造)
ポリマー分散剤は、前記モノマー混合物を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることにより製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール、炭素数3以上5以下のケトン類、エーテル類、エステル類等が挙げられる。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキシド等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、等の公知のラジカル重合開始剤が挙げられる。
重合連鎖移動剤としては、3−メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の連鎖移動剤が挙げられる。
また、重合モノマーの連鎖の様式に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合様式でもよい。
好ましい重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。重合時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下である。また、重合雰囲気は、好ましくは窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気である。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。
顔料含有ポリマー粒子群の製造方法については後述する。
<走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察による平均円形度>
本発明に係る顔料含有ポリマー粒子群は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、走査型透過電子顕微鏡(STEM)により観察される200個の粒子の平均円形度が0.940以上0.998以下である。平均円形度は、好ましくは0.950以上、より好ましくは0.960以上、更に好ましくは0.970以上、より更に好ましくは0.975以上であり、そして、好ましくは0.995以下、より好ましくは0.992以下、更に好ましくは0.990以下、より更に好ましくは0.988以下である。
STEM観察による平均円形度の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
なお、特許文献1には、平均非球形度が1.2以上である非球形樹脂微粒子を含有するインクが開示されているが、その段落〔0037〕に「得られた水分散体中に存在する粒子はSEM観察により球状粒子数個〜十個前後がデンドライト状に凝集融着した非球形形状であった。」とあるとおり、特許文献1に記載の平均非球形度は、本発明に係る平均円形度とは異なるものである。
<体積中位粒径(D50)>
本発明に係る顔料含有ポリマー粒子群は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、その体積中位粒径(D50)が、100nm以上500nm以下である。体積中位粒径(D50)は、好ましくは120nm以上、より好ましくは150nm以上、更に好ましくは200nm以上、より更に好ましくは250nm以上、より更に好ましくは300nm以上であり、そして、好ましくは480nm以下、より好ましくは460nm以下、更に好ましくは440nm以下、より更に好ましくは400nm以下である。
体積中位粒径(D50)は、体積分率で測定した累積体積頻度が、粒径の小さい方から累積して50%になる粒径を意味し、その測定方法は、実施例に記載のとおりである。
なお、特許文献2に記載の着色樹脂微粒子について、その段落〔0107〕に「粒径、粒度分布の測定は、100μmのアパーチャーチューブを用いたコールターカウンターマルチサイザーTAII(ベックマン・コールター株式会社製)により行った。・・・平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIP−1000)を用いた測定により求めた。」とあるとおり、特許文献2に記載の樹脂微粒子はFPIPで測定しうる粒子径の大きなものであり、本発明に係る粒径範囲とは異なるものである。
([ポリマー/顔料]の質量比)
水系顔料分散体中の[ポリマー/顔料]の質量比は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.2以上であり、そして、好ましくは8以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
ここでポリマーの質量は、後述する本発明の水系顔料分散体の製造方法による場合、工程1−1で用いたポリマー分散剤及び工程1−2でシード重合したポリマーの合計量となる。
前記質量比[ポリマー/顔料]の算出は、顔料とポリマーの質量を顔料含有ポリマー粒子群の製造時の原料の仕込み量や、熱重量測定(TG)等から求めて、行うことができる。
(顔料を含有しないポリマー粒子の割合)
水系顔料分散体中における、ポリマー全質量に対する、顔料を含有しないポリマー粒子の質量の割合は、インクの粘度を低くする観点から、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下、より更に好ましくは10重量%以下、より更に好ましくは5重量%以下、より更に好ましくは3重量%以下、より更に好ましくは2重量%以下である。
顔料を含有しないポリマー粒子の割合は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[水系顔料分散体の製造方法]
本発明の水系顔料分散体は、下記工程1及び2を有する方法により効率的に製造することができる。
工程1:顔料、ポリマー分散剤、及び水を混合して、顔料を含有するポリマー粒子群(顔料含有ポリマー粒子群)を含む水系顔料分散体を得る工程
工程2:工程1で得られた水系顔料分散体を加熱処理する工程
また、工程1は、下記工程1−1を有し、更に下記工程1−2を有することが好ましい。
工程1−1:顔料、ポリマー分散剤、水を混合して、顔料含有ポリマー粒子群を含む水系顔料分散体Aを得る工程
工程1−2:工程1−1で得られた水系顔料分散体Aに、重合性モノマーを混合して重合し、顔料含有ポリマー粒子群を含む水系顔料分散体Bを得る工程
<工程1>
工程1は、顔料、ポリマー分散剤、及び水を混合して、顔料含有ポリマー粒子群を含む水系顔料分散体を得る工程である。
工程1−1においては、上記と同様して水系顔料分散体Aを得る。
顔料及びポリマー分散剤の詳細は上述のとおりである。
工程1又は工程1−1において、水系顔料分散体を得るための分散方法に特に制限はないが、顔料、ポリマー分散剤、及び水系媒体を含有する混合物(以下、「微粒子混合物」ともいう)を分散処理すれば、より効率的に水系顔料分散体を得ることができる。
(水系媒体)
前記水系媒体とは、水を主成分とする媒体をいう。水以外の有機溶媒としては、炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、炭素数3以上8以下のケトン類、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、顔料への濡れ性、ポリマー分散剤の溶解性、及びポリマー分散剤の顔料への吸着性の観点から、炭素数4以上6以下のケトンがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが更に好ましく、メチルエチルケトンがより更に好ましい。ポリマー分散剤を溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
水系媒体中の水の含有量は、環境性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
(中和)
ポリマー分散剤の塩生成基であるカルボキシ基の少なくとも一部を中和する場合は、pHを7以上11以下になるようにすることが好ましい。
中和剤としては、得られる顔料分散体、インクの保存安定性の観点から、アルカリ金属水酸化物や有機アミン等の塩基性化合物が用いられ、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等が挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
有機アミンとしては、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。また、該ポリマー分散剤を予め中和しておいてもよい。
中和剤は、十分かつ均一に中和を促進させる観点から、中和剤水溶液として用いることが好ましい。中和剤水溶液の濃度は、上記の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
ポリマー分散剤のカルボキシ基の中和度は、得られる顔料分散体、インクの保存安定性等の観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは25モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは50モル%以下である。
ここで中和度とは、中和剤(アルカリ金属水酸化物)のモル当量数をポリマー分散剤のカルボキシ基のモル当量数で除した値である。本来、中和度は100モル%を超えることはないが、本発明では中和剤の使用量から計算するため、中和剤を過剰に用いた場合は100モル%を超える。
(微粒子混合物の分散処理)
水系顔料分散体を得るための分散方法に特に制限はない。剪断応力を加える分散だけで顔料の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは微粒子混合物を予備分散させた後、更に剪断応力を加えて本分散を行い、顔料の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。
予備分散においては、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、超音波分散機等を用いることができるが、中でも超音波分散機が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの中では、顔料を小粒子径化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましい。メディア式分散機を用いる場合、メディアの材質は、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの直径は、顔料含有ポリマー粒子群を十分に微細化する観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。
分散時間は、顔料含有ポリマー粒子群を十分に微細化する観点から、好ましくは0.3時間以上、より好ましくは1時間以上であり、そして、製造効率の観点から、好ましくは200時間以下、より好ましくは50時間以下である。
水系顔料分散体の不揮発成分濃度(固形分濃度)は、水系顔料分散体の分散安定性を向上させる観点及びインクの調製を容易にする観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
なお、水系顔料分散体の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
水系顔料分散体中の顔料の含有量は、水系顔料分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
水系顔料分散体中のポリマー分散剤の含有量は、顔料表面へのポリマー分散剤の吸着を高め、顔料を均一に分散させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、そして、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下である。なお、ポリマー分散剤が塩の場合の質量は、未中和の酸型の量に換算する(以下同様)。
工程1における顔料とポリマー分散剤の質量比[顔料/ポリマー分散剤]は、好ましくは75/25以上、より好ましくは80/20以上、更に好ましくは85/15以上であり、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは96/4以下、更に好ましくは93/7以下である。
工程1では、工程1−2として、得られた水系顔料分散体Aに、重合性モノマーを混合して重合し、顔料を含有するポリマー粒子群を含む水系顔料分散体を得ることが好ましい。
(重合性モノマー)
重合性モノマーは、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、疎水性モノマーを含むことが好ましく、(メタ)アクリレートモノマー、芳香族基含有モノマー、及び複素環含有モノマーから選ばれる1種以上を含むことがより好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1以上10以下、好ましくは炭素数1以上8以下のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、炭素数1以上8以下、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
芳香族基含有モノマーとしては、炭素数6以上22以下の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレートがより好ましい。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレン、2−メチルスチレンがより好ましい。また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
複素環含有モノマーとしては、炭素数5以上22以下、好ましくは炭素数5以上10以下の複素環を有するビニルモノマーが好ましく、4−ビニルピリジン等の六員複素環を有するビニルモノマーがより好ましい。
重合性モノマーは、前記のモノマーの1種又は2種以上を用いることができる。
重合性モノマーは、(メタ)アクリレートモノマー、芳香族基含有モノマー、及び複素環含有モノマーから選ばれる1種以上の重合性モノマー以外に、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等のアニオン性モノマー、及びカチオン性モノマーを添加することもできる。これらの中では、カルボン酸モノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
また、必要に応じて更に、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノマーを使用することもできる。
(メタ)アクリレートモノマー、芳香族基含有モノマー、及び複素環含有モノマーから選ばれる1種以上の重合性モノマーの含有量は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、重合性モノマー中、好ましく80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
疎水性モノマー以外、好ましくは((メタ)アクリレートモノマー、芳香族基含有モノマー、及び複素環含有モノマーから選ばれる1種以上の重合性モノマー以外の他のモノマーの含有量は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、重合性モノマー中、好ましく20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
(シード重合法)
シード重合法は、顔料表面にポリマー分散剤が吸着した粒子をシード粒子として、重合性モノマーを添加、混合し、シード粒子に重合性モノマーを吸収させ、重合開始剤を添加して、シード粒子内でラジカル重合する方法である。重合性モノマーの添加方法に特に制限はなく、モノマー滴下法、モノマー一括仕込み法、プレエマルション法等の公知の方法で行うことができるが、モノマー連続滴下法が好ましい。以下、シード重合法について説明する。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、通常の乳化重合に用いられるものであればいずれも使用できるが、水溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスジイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]4水和物等のアゾ系重合開始剤、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。これらの中でも重合性モノマーの重合を促進し、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、水溶性アゾ系重合開始剤が好ましい。
シード重合では連鎖移動剤を用いることもできる。例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類、ジペンテン、インデン、1、4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテン等が挙げられる。
シード重合においては、重合安定性を高めるために、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、乳化重合用のアニオン性又は非イオン性等の公知の界面活性剤を用いることができる。
重合性モノマーの使用量は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、工程2の重合反応に用いる全系組成物に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
顔料に対する重合性モノマーの質量比(重合性モノマー/顔料)は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1.0以上であり、そして、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。
ポリマー分散剤に対する重合性モノマーの質量比(重合性モノマー/ポリマー分散剤)は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、より更に好ましくは8以上であり、そして、好ましくは50以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは25以下である。
重合性モノマーの滴下は、重合制御の観点から、連続滴下が好ましく、その滴下速度は、重合体モノマーの全量を滴下する時間として、好ましくは3時間以上、より好ましくは5時間以上であり、そして、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。
重合開始剤の使用量は、重合性モノマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
重合温度は、重合開始剤の分解温度により適宜調整されるが、反応性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、得られる重合体の分子量分布の観点から、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下である。
本発明においては、必要に応じて、得られたポリマーを更に架橋処理することもできる。架橋剤としては、分子中に2以上のエポキシ基等の反応性官能基を有する化合物、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が好ましい。
<工程2>
工程2は、工程1又は工程1−1で得られた水系顔料分散体(B)を加熱処理する工程である。
工程2における加熱処理は、顔料を含有するポリマー粒子群の平均円形度を0.940以上0.998以下となるように制御し、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、加熱処理温度(Th)とポリマー分散剤を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
Tg−5℃≦加熱処理温度(Th)≦Tg+40℃ (1)
ポリマー分散剤を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)は、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下である。
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
加熱処理温度(Th)は、上記と同様の観点から、下記式(1−1)を満たすことがより好ましく、下記式(1−2)を満たすことが更に好ましい。
Tg−3℃≦加熱処理温度(Th)≦Tg+38℃ (1−1)
Tg≦加熱処理温度(Th)≦Tg+35℃ (1−2)
また、加熱処理温度(Th)は、好ましくは100℃以下、より好ましくは99℃以下、更に好ましくは98℃以下、より更に好ましくは95℃以下である。
加熱処理の時間は、加熱処理温度(Th)により異なるが、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上であり、そして、好ましくは24時間以下、より好ましくは20時間以下、更に好ましくは15時間以下である。
(体積中位粒径(D50))
加熱処理工程前の顔料含有ポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)は、好ましくは100nm以上、より好ましくは120nm以上、更に好ましくは150nm以上、より更に好ましくは200nm以上、より更に好ましくは250nm以上、より更に好ましくは300nm以上であり、そして、好ましくは500nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは460nm以下、より更に好ましくは440nm以下、より更に好ましくは400nm以下である。
加熱処理工程後の顔料含有ポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)は、前記のとおり、100nm以上、より好ましくは120nm以上、更に好ましくは150nm以上、より更に好ましくは200nm以上、より更に好ましくは250nm以上、より更に好ましくは300nm以上であり、そして、500nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは460nm以下、より更に好ましくは440nm以下、より更に好ましくは400nm以下である。
また、加熱処理工程前後の顔料含有ポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)の比(加熱処理後/加熱処理前)は、顔料を含有するポリマー粒子群の平均円形度を0.940以上0.998以下となるように制御し、速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは1.00以上であり、そして、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.13以下、更に好ましくは1.10以下、より更に好ましくは1.08以下である。
また、得られた水系顔料分散体において、顔料とポリマーの質量比[顔料/ポリマー]、顔料を含有しないポリマー粒子の割合は、前記のとおりである。
本発明の水系顔料分散体中における各成分の含有量は、以下のとおりである。
(顔料の含有量)
水系顔料分散体中の顔料の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、分散性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
(顔料を含有するポリマー粒子群の含有量)
水系顔料分散体中の顔料を含有するポリマー粒子群の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、分散性の観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。
(水の含有量)
水系顔料分散体中の水の含有量は、環境負荷低減の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
本発明は、また、顔料を含有するポリマー粒子を含む水系顔料分散体であって、
該顔料を含有するポリマー粒子は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)による観察における粒子の円形度が0.940以上0.998以下であり、
粒径が100nm以上500nm以下である、水系顔料分散体をも提供する。
本発明は、顔料を含有するポリマー粒子群ではなく、顔料を含有するポリマー粒子を規定したものであるが、顔料、顔料を含有するポリマー粒子、円形度、粒径は、前述したものと同様である。
この場合、水系顔料分散体中の顔料を含有するポリマー粒子の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
[水系インク]
本発明の水系インクは、本発明の水系顔料分散体を含有する。
本発明の水系インクは、本発明の水系顔料分散体をそのまま、あるいは、本発明に係る水系顔料分散体に、必要に応じて、水、有機溶媒、界面活性剤、湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加、混合することにより得ることができる。
本発明の水系インクは、有機溶媒を含有することが好ましく、更に界面活性剤を含有することが好ましい。
有機溶媒としては、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアリールエーテル、環状カーボネート、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物等が挙げられる。これらの中では、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましい。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。これらの中では、非イオン性界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の水系インクは、フレキソ印刷用、グラビア印刷用、又はインクジェット記録用の水系インクとして用いることができ、インクジェット記録においても吐出安定性に優れることから、インクジェット記録用の水系インクとして用いることが好ましく、インクジェット記録用水系白色インクとして用いることがより好ましい。
なお、本明細書において、「記録」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念である。
本発明の水系インク中における各成分の含有量、インク物性は、以下のとおりである。
(顔料の含有量)
水系インク中の顔料の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、分散性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
(有機溶媒の含有量)
水系インク中の有機溶媒の含有量は、インクジェット記録装置等における吐出安定性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
(水の含有量)
水系インク中の水の含有量は、環境負荷低減の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
(水系インク物性)
25℃における水系インクのpHは、インクジェット記録装置等における吐出安定性の観点から、好ましくは5.5以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上であり、そして、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.0以下、更に好ましくは9.5以下、より更に好ましくは9.0以下である。
25℃における水系インクの粘度は、インクジェット記録装置等における吐出安定性の観点から、好ましくは2.0mPa・s以上、より好ましくは3.0mPa・s以上、更に好ましくは3.5mPa・s以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9.0mPa・s以下、更に好ましくは7.0mPa・s以下である。
[インクジェット記録方法]
本発明の水系インクは、普通紙、上質紙等の吸水性記録媒体やインクジェット専用紙等の記録媒体に記録するインクジェット記録方法に用いることができるが、光沢性に優れることから、アート紙、コート紙等の低吸水性記録媒体や合成樹脂フィルム等の非吸水性記録媒体に記録するインクジェット記録方法にも好適に用いることができる。
なお、本発明において、「非吸水性」又は「低吸水性」とは、該記録媒体と水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量が0g/m以上10g/m以下であることを意味する。該吸水量は、自動走査吸液計(例えば、熊谷理機工業株式会社製 KM500win)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下で、純水の接触時間100m秒における転移量を該吸水量として測定できる。
記録媒体としては、好ましくは合成樹脂フィルムである。合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じてコロナ処理等の表面処理を行っていてもよい。
一般的に入手できる合成樹脂フィルムとしては、例えば、ルミラーT60(東レ株式会社製、ポリエチレンテレフタレート)、テイジンテトロンフィルムP(帝人株式会社製、ポリエステル)、PVC80B P(リンテック株式会社製、塩化ビニル)、カイナスKEE70CA(リンテック株式会社製、ポリエチレン)、ユポSG90 PAT1(リンテック株式会社製、ポリプロピレン)、ボニールRX(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、ナイロン)等が挙げられる。
前記インクジェット記録方法においては、インク液滴を記録媒体上に吐出して記録した後、記録媒体上に着弾したインク液滴を乾燥する工程を有することが好ましい。
乾燥工程においては、記録物の品質の向上の観点から、記録媒体表面温度は、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、熱による記録媒体の変形抑制とエネルギー低減の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
以下の合成例、実施例及び比較例において、「%」は特記しない限り「質量%」である。
(1)ポリマー分散剤の重量平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8320GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−gel Super AWM−H、TSK−gel Super AW3000、guardcolumn Super AW−H)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F−550、F−80、F−10、F−1、A−1000)、PStQuick C(F−288、F−40、F−4、A−5000、A−500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定した。
(2)ポリマー分散剤のガラス転移温度(Tg)の測定
(2−1)試料の調製
凍結乾燥機「FDU−2100」及び「DRC−1000」(いずれも東京理化器械株式会社製)を用いて、水系顔料分散体1gを−25℃にて1時間、−10℃にて10時間、25℃にて4時間真空乾燥を行い、水分量が1%以下となるまで乾燥させ、紛体試料を得た。
(2−2)ガラス転移温度の測定
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に昇温速度10℃/分で150℃まで昇温しながら測定した。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
(3)酸化チタンの平均一次粒子径の測定
酸化チタンの平均一次粒子径は、透過電子顕微鏡「JEM−2100」(日本電子株式会社製)を用いて、画像解析ソフト(アメリカ国立衛生研究所製、ImageJ)により処理し、画像解析で500個の酸化チタン一次粒子を無作為に抽出してその粒子径を測定し、その平均を算出して算術平均粒子径とした。なお、酸化チタンに長径と短径がある場合は、長径を用いて算出した。
(4)水系顔料分散体の固形分濃度の測定
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)の条件にて乾燥させた後、測定試料の水分(%)を測定し、下記式により固形分濃度を算出した。
固形分濃度(%)=100−測定試料の水分(%)
(5)平均円形度の測定
水系顔料分散体を、固形分0.1質量%となるように、イオン交換水で希釈した。これを、親水化処理したエラスチックカーボン膜(応研商事株式会社、ELS−C10)に塗布し、自然乾燥させたものを、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)(株式会社日立製作所製、S−4800)を用いて、STEMモード、加速電圧30KVの条件で透過像を得た。撮影されたSTEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、A像くん)により処理し、「円相当径」と「周囲長」を算出した。
算出された円相当径及び周囲長に基づき、下記式により、粒子200個各々の円形度を求め、更に円形度のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を粒子の平均円形度とした。
円形度=(円相当径から求めた円周長)/(周囲長)
(6)水系顔料分散体の体積中位粒径(D50)の測定
株式会社堀場製作所製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−950」を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定した。
(7)顔料を含有しないポリマー粒子量の測定
遠心分離機(日立工機株式会社製、CR−22G)、ローターR12Aを用い、測定試料を100g入れた後、25℃雰囲気下、回転数88rpm(相対遠心加速度RCF:150G)で10分間遠心分離した。次いで、上澄み液を除去し沈殿成分を70℃、8kPaの条件で8時間乾燥させた後、沈殿成分の質量を求めた。
顔料を含有しないポリマー粒子の質量は、全体の固形分質量から沈殿成分の質量を減じて求めた。更に下記式より顔料を含有しないポリマー粒子量の割合を算出した。
顔料を含有しないポリマー粒子の割合=[(顔料を含有しないポリマー粒子量)/ポリマーの仕込み量]×100(%)
(8)水系インクの粘度の測定
E型粘度計「TV−25」(東機産業株式会社製、標準コーンロータ1°34’×R24使用、回転数50rpm)を用いて、25℃にて粘度を測定した。
(9)水系インクのpHの測定
pH電極「6337−10D」(株式会社堀場製作所製)を使用した卓上型pH計「F−71」(株式会社堀場製作所製)を用いて、25℃における水系インクのpHを測定した。
合成例1(水不溶性ポリマー分散剤1の合成)
温度計、還流装置を具備した500mL四つ口丸底フラスコに、1、4−ジオキサン(溶媒)100g、スチレン(和光純薬工業株式会社製)26g、アクリル酸(和光純薬工業株式会社製)33.9g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名V−65、重合開始剤)1.5g、3−メルカプトプロピオン酸(東京化成工業株式会社製、重合連鎖移動剤)0.3gを入れ、マグネチックスターラーで10分間混合した。前記混合物を窒素で10分間バブリングした後、水浴にて77℃に加温し、5時間撹拌し、反応を完結させた。その後、該反応液を1Lのn−ヘキサン中に投入し、再沈殿させた。その後80℃、8kPaで、8時間乾燥させ、重量平均分子量22100の水不溶性ポリマー分散剤1を収率99%で得た。
水酸化ナトリウムで中和度30モル%に中和したポリマー分散剤(2質量%)の水分散液は、通常光による観察でチンダル現象が認められ、水不溶性ポリマーであることが確認された。
合成例2(水溶性ポリマー分散剤2の合成)
滴下ロートを備えたガラス製反応容器2Lに水233gを仕込み、窒素雰囲気下で80℃まで昇温した。次に、窒素ガス雰囲気下、滴下溶液1としてメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド(EO)平均付加モル数n=23、新中村化学工業株式会社製、商品名「NKエステルM−230G」)164g、メタクリル酸34gのモノマー溶液と、滴下溶液2として濃度7%の2−メルカプトエタノール水溶液27gと、滴下溶液3として濃度6%の過硫酸アンモニウム水溶液32gの3液を各々同時に90分かけて徐々に反応容器内に滴下した。次に、濃度6%の過硫酸アンモニウム水溶液11gを30分かけて徐々に反応容器内に滴下し、滴下終了後、80℃で1時間熟成させた。その後、ロータリーエバポレータで水を除去した後、80℃、8kPaで、24時間乾燥させ、重量平均分子量51000の水溶性ポリマー分散剤2を収率99%で得た。
実施例1
(1)水系顔料分散体1の製造
200mLガラスビーカーにイオン交換水30g、合成例1で得られた水不溶性ポリマー分散剤1を1g、水酸化ナトリウム(中和剤)0.094g(ポリマーの中和度:30モル%に相当)、酸化チタンJR−405(テイカ株式会社製)10gをいれ、マグネチックスターラーで撹拌しながら超音波分散機(株式会社日本精機製作所製、US−3001)で1時間分散した。その後、ビーズミル型分散機(寿工業株式会社製、ウルトラ・アペックス・ミル、型式UAM-05、メディア粒子:ジルコニアビーズ、粒径:50μm)を用いて20℃で8時間混合分散後、200メッシュ金網でジルコニアビーズを取り除き、イオン交換水で濃度調整を行い、顔料分散体A1(固形分濃度30質量%)を得た。
三方コック及びセプタムシールを具備した100mLの2口なす型フラスコに、得られた顔料分散体A1を37g、及び水溶性アゾ重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]4水和物、商品名:VA−057)を0.06g入れ、窒素で10分間バブリングした。次いでスチレン12g及びブチルアクリレート3gの混合物を入れた20mLのハミルトンガスタイトシリンジをマイクロシリンジポンプ(アズワン株式会社製、MSP−3D)にセットした。前記なす型フラスコを60℃の水浴につけ、前記モノマーを0.9g/hの速度で反応液に滴下した。滴下終了後、60℃で2時間反応させた。
その後、90℃の水浴につけ、2時間撹拌して加熱処理し、減圧下で水を除去して固形分濃度を調整し、水系顔料分散体B1(固形分濃度40質量%)を得た。
得られた水系顔料分散体B1中の、顔料の含有量は15.4質量%、顔料含有ポリマー粒子群の含有量は39.6質量%、水の含有量は60質量%であった。
(2)水系インク1の製造
ガラス製容器に、上記(1)で得られた水系顔料分散体B1を8g、及びイオン交換水を13g入れ、マグネチックスターラーで10分間撹拌した。次いで、マグネチックスターラーで撹拌を継続しながら、プロピレングリコール18g、サーフィノール104(日信化学工業株式会社製、アセチレン系非イオン性界面活性剤)0.1gを入れ、更にマグネチックスターラーで1時間撹拌した。その後、5μmのディスポーザルメンブレンフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)を用いてろ過を行い、水系インク1を得た。
得られた水系インク中の、顔料の含有量は3.3質量%、顔料含有ポリマー粒子群の含有量は10.5質量%、水の含有量は45.5質量%であり、該水系インク1のpHは7.8、粘度は5.5mPa・sであった。
比較例1〜4、実施例2〜10
実施例1において、表1に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様にして水系インクを得た。
実施例11
(1)水系顔料分散体11の製造
200mLガラスビーカーにイオン交換水30g、合成例2得られた水溶性ポリマー分散剤2を15g、水酸化ナトリウム(中和剤)0.36g(ポリマーの中和度:30モル%に相当)、酸化チタンJR−405(テイカ株式会社製)10gをいれ、マグネチックスターラーで撹拌しながら超音波分散機(株式会社日本精機製作所製、US−3001)で1時間分散した。その後、ビーズミル型分散機(寿工業株式会社製、ウルトラ・アペックス・ミル、型式UAM-05、メディア粒子:ジルコニアビーズ、粒径:50μm)を用いて20℃で8時間混合分散後、200メッシュ金網でジルコニアビーズを取り除き、イオン交換水で濃度調整を行い、顔料分散体A11(固形分濃度30質量%)を得た。
その後、68℃の水浴につけ、2時間撹拌して加熱処理し、水系顔料分散体B11(固形分濃度30質量%)を得た。
得られた水系顔料分散体B11中の、顔料の含有量は11.8質量%、顔料含有ポリマー粒子群の含有量は26.5質量%、水の含有量は54.2質量%であった。
(2)水系インク11の製造
上記(1)で得られた水系顔料分散体B11を8g使用した以外は実施例1(2)と同様にして、水系インク11を得た。
上記の実施例、比較例で用いた顔料の詳細は、以下のとおりである。
(酸化チタン)
・JR−405:テイカ株式会社製、ルチル型、Al処理、平均一次粒子径210nm
・MT−600B:テイカ株式会社製、ルチル型、未処理、平均一次粒子径50nm
・JR−301:テイカ株式会社製、ルチル型、Al処理、平均一次粒子径300nm
(シアン顔料)
・PB15:3(ピグメントブルー15:3、大日精化工業株式会社製)
・実施例11は、プロピレングリコールの代わりに、エチレングリコール18gを入れた。
<水系インクの評価>
得られた水系インクを用いて、下記の方法で印刷し、印刷物の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)インクジェット印刷
温度30±1℃、相対湿度30±5%の環境で、インクジェットヘッド(京セラ株式会社製、KJ4B−QA06NTB−STDV、ピエゾ式、ノズル数2656個)を装備したインクジェット印刷評価装置(株式会社トライテック製)に水系インクを充填した。
ヘッド電圧26V、周波数25kHz、吐出液適量18pl、ヘッド温度35℃、解像度600dpi、吐出前フラッシング回数200発、負圧−4.0kPaを設定し、記録媒体の長手方向と搬送方向が同じになる向きに、記録媒体を搬送台に減圧で固定した。前記印刷評価装置に印刷命令を転送し、Duty100%の画像を印刷した。
なお、記録媒体として、ポリエステルフィルム(帝人株式会社製、テイジンテトロンフィルムP、厚み12um)を用い、印字終了後、定温乾燥器(ヤマト科学株式会社製 DVS602)にて40℃で加熱乾燥を行った。
(2)速乾定着性の評価
上記(1)と同じインクジェット印刷評価装置で印刷後、10秒ごとに取り出し、ベタ印刷部を印刷面に長さ5cm、幅15mmのテープ「セロテープ(登録商標)CT15」(ニチバン株式会社製)を、1cmの余白を残し4cm貼りつけ、角度90°で10cm/secの速度で該テープを剥がした。テープ側に印刷物が初めてつかなくなった時間を速乾定着性の評価基準とした。値が小さいほど速乾定着性に優れる。
(3)高温高湿下の耐擦過性の評価
上記(1)で得られたベタ印刷物を、前記定温乾燥器にて45℃で20分加熱乾燥を行った。その後、温度35℃、相対湿度70%の高湿条件下にて24時間放置し、評価サンプルを得た。
温度、相対湿度を変えずに、前記印刷物に対して、セルロース製不織布「ベンコットM3−II」(旭化成せんい株式会社製)に錘の底面(底面の面積78.5cm)を用いて荷重2kgをかけて5往復擦過した。擦過前後のベンコット表面の画像濃度を、反射濃度計「RD−915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定した。擦過前後の画像濃度差を算出し、該算出値を用いて高温高湿下での耐擦過性を評価した。
値が小さいほど耐擦過性に優れる。
Figure 2019085456
表1から、実施例1〜11の水系インクは、比較例1〜4の水系インクに比べて、記録物における速乾定着性、及び高温高湿下での耐擦過性に優れることが分かる。

Claims (12)

  1. 顔料を含有するポリマー粒子群を含む水系顔料分散体であって、
    該顔料を含有するポリマー粒子群は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)により観察される200個の粒子の平均円形度が0.940以上0.998以下であり、
    該顔料を含有するポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)が100nm以上500nm以下である、水系顔料分散体。
  2. 顔料を含有するポリマー粒子群の平均円形度が0.960以上0.998以下である、請求項1に記載の水系顔料分散体。
  3. 水系顔料分散体中の[ポリマー/顔料]の質量比が0.3以上8以下である、請求項1又は2に記載の水系顔料分散体。
  4. 水系顔料分散体中における、ポリマー全質量に対する、顔料を含有しないポリマー粒子群の質量の割合が、25重量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の水系顔料分散体。
  5. 顔料が白色顔料である、請求項1〜4のいずれかに記載の水系顔料分散体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の水系顔料分散体を含む水系インク。
  7. インクジェット記録用である、請求項6に記載の水系インク。
  8. 下記工程1及び2を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の水系顔料分散体の製造方法。
    工程1:顔料、ポリマー分散剤、及び水を混合して、顔料を含有するポリマー粒子群を含む水系顔料分散体を得る工程
    工程2:工程1で得られた水系顔料分散体を加熱処理する工程
  9. 加熱処理温度(Th)とポリマー分散剤を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)が、下記式(1)を満たす、請求項8に記載の水系顔料分散体の製造方法。
    Tg−5℃<加熱処理温度(Th)<Tg+40℃ (1)
  10. 加熱処理温度が100℃以下である、請求項9に記載の水系顔料分散体の製造方法。
  11. 加熱処理工程前後の顔料を含有するポリマー粒子群の体積中位粒径(D50)の比[加熱処理後のD50/加熱処理前のD50]が、1.00以上1.15以下である、請求項8〜10のいずれかに記載の水系顔料分散体の製造方法。
  12. 顔料を含有するポリマー粒子を含む水系顔料分散体であって、
    該顔料を含有するポリマー粒子は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)による観察における粒子の円形度が0.940以上0.998以下であり、
    粒径が100nm以上500nm以下である、水系顔料分散体。
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JPWO2019188856A1 (ja) * 2018-03-30 2020-12-10 富士フイルム株式会社 インクジェットインク組成物、メンテナンス方法、画像記録方法、及び、画像記録物

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