JP7451634B2 - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、紙や樹脂フィルムなどの記録媒体を用いた広告や展示物を出力する際に、インクジェット記録装置が広く利用されるようになってきた。例えば、透明な記録媒体においても鮮明なカラー画像を表現するために、ブラックや基本色のインク(以下、これらをまとめてカラーインクと記載することがある)に加えて、白インクが併用される。具体的には、透明な記録媒体の画像を記録する領域を含む箇所に前もって白インクを付与して下地処理を行い、その上からカラーインクを付与する、又はその逆順で各インクを付与する(いわゆるバックプリント)記録方法が用いられている。
白インクの色材としては、低コストであるとともに、白さや隠ぺい性など白インクとして必要とされる特性に優れるため、酸化チタンが広く用いられている。一方で、酸化チタンを水性インク中で安定に分散させるためには、分散剤が必要である。しかし、金属酸化物である酸化チタンは、他の色のインクで用いられる色材と比べて比重が大きい。そのため、分散剤を用いても沈降を十分に抑制できないという課題があった。このような状況で、酸化チタンが一旦沈降してしまっても、酸化チタンを再び分散させる沈降回復性、顔料が乾燥して生じた固着物を溶解させる固着回復性が重視されるようになっている。
これまでに、インクの成分によって顔料の沈降回復性やインクの固着回復性を得るための手法が検討されてきた。例えば、酸化チタンをシリカで表面処理した後に、さらにシランカップリング剤で表面処理し、乾燥させることで、シランカップリング剤の一部を酸化チタンの粒子表面に共有結合させた乾燥二酸化チタン生成物の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。また、シリカ及びアルミナで表面処理を施された酸化チタン、(メタ)アクリル酸ホモポリマー又はその塩、及びレオロジー変性剤を含有するインク組成物が提案されている(特許文献2参照)。そして、第1の電荷を帯びた粉末を含む顔料、第1電荷とは異なる第2電荷を有するイオン性高分子、及び第1の電荷を有する多価イオンを含むインク組成物が提案されている(特許文献3参照)。
特表2017-521348号公報 特表2021-512077号公報 特開2019-044069号公報
本発明者らは、特許文献1で提案された乾燥二酸化チタンを用いて調製した水性インク並びに特許文献2及び特許文献3で提案されたインク組成物を用いて調製した水性インクを用いて、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性について検討した。その結果、より厳しい環境変化をも想定した性能が求められる現状に対して、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が不十分であり、ユーザーが円滑に使用するために性能向上の余地があることがわかった。
したがって、本発明者らの目的は、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性に優れる、酸化チタンを含有するインクジェット用の水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかる水性インクは、酸化チタン粒子、ポリアクリル酸、及びカリウムイオンを含有するインクジェット用の水性インクであって、前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、前記水性インク中の、前記ポリアクリル酸の含有量(質量%)が、前記アルミナの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上0.40倍以下であることを特徴とする。
本発明によれば、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性に優れる、酸化チタンを含有するインクジェット用の水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。酸化チタンや酸化チタン粒子のことを、単に「顔料」と記載することがある。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
酸化チタンなどの無機酸化物は、水性インク中の水性媒体を構成する水分子と反応して、その表面にヒドロキシ基(以下、「表面ヒドロキシ基」と記載することがある)を生ずる。このため、インクジェット用の水性インクにおいては、生成した表面ヒドロキシ基を活用しながら、インクの保存安定性をさらに向上するために、アルミナやシリカなどの無機酸化物で表面処理が施された状態で利用されることが一般的である。酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基は、表面処理に用いた無機化合物に対応した無機酸化物に固有の性質を持ち、無機化合物の種類によって酸としての強さの指標である等電点がそれぞれ異なる。したがって、酸化チタンはそれそのものも無機酸化物ではあるが、酸化チタン粒子の表面は、表面処理に用いた無機化合物に対応した無機酸化物の性質を示し、酸化チタン粒子の表面電荷は、水性媒体のpH、表面処理剤の種類、表面処理剤の使用量に強く依存する。
本発明者らは、インクに含有させる成分によって、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性を向上させることについて検討した。本発明者らは、まず、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が低下する要因を検討した。その結果、インク中では分散剤によって酸化チタン粒子間の距離が保たれていたものの、酸化チタン粒子間の距離が近くなると、酸化チタン粒子が凝集することが原因となって、これらの性能が低下していた。その際、酸化チタン粒子の表面電荷によって凝集が促進されやすいことを見出した。インクジェット用の水性インクの一般的な液性であるアルカリ性の条件では、酸化チタン粒子の表面のアルミナ及びシリカは表面ヒドロキシ基を形成する。さらに、アルミナ由来の表面ヒドロキシ基は、正電荷を帯びる一方で、シリカ由来の表面ヒドロキシ基は、負電荷を帯びる。そのため、酸化チタン粒子間の距離が近くなると、静電的な作用が働き、酸化チタン粒子の凝集が促進されると考えられる。
そこで、酸化チタン粒子の表面電荷の影響を抑えつつ、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が得られるような材料をインクに添加することを検討した。その結果、特定の表面処理が施された酸化チタン粒子、酸化チタン粒子に対して特定の質量比率のポリアクリル酸、及びカリウムイオンを含有する水性インクという構成によって、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性を向上できるという知見を得た。
すなわち、本発明のインクは以下の特徴を有する。まず、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカで被覆された酸化チタンである酸化チタン粒子を用いる。インクにはさらに、ポリアクリル酸、及びカリウムイオンを含有させる。ポリアクリル酸の含有量(質量%)は、酸化チタン粒子を被覆するアルミナの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上0.40倍以下である。上記の構成によって、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が向上するメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。
インクには、ポリアクリル酸及びカリウムイオンを含有させる。ポリアクリル酸は、炭化水素鎖に複数のカルボン酸基が結合した分子構造を持つ。また、カリウムイオンはアルカリ金属イオンのなかでもイオン半径やイオン化傾向が大きい。インク中にカリウムイオンが存在すると、ポリアクリル酸のカルボン酸基や酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基の電離が促進される。そして、電離したカルボン酸基は負電荷を帯びており、正電荷を帯びているアルミナ由来の表面ヒドロキシ基に静電的作用によって吸着する。そのため、酸化チタン粒子の正電荷をキャンセルすることが可能となり、酸化チタン粒子の凝集が抑制される。そのため、乾燥したインクを再溶解させる際に、カルボン酸基やヒドロキシ基が電離し溶解しやすくなり、優れたインクの固着回復性を得ることができる。インクにカリウムイオンが存在しない場合、カルボン酸基などの電離が促進されず、酸化チタン粒子のアルミナ由来の表面ヒドロキシ基との静電的な相互作用が生じない。また、酸化チタン表面のシリカ由来のヒドロキシ基の電離も促進されず、酸化チタン粒子間の静電的な反発力も十分に得られない。そのため、乾燥したインクを再溶解させづらくなり、インクの固着回復性が得られない。
ポリアクリル酸が吸着した酸化チタン粒子は、シリカ由来の表面ヒドロキシ基に加えて、ポリアクリル酸のカルボン酸基に由来する負電荷を帯びているため、酸化チタン粒子間の静電的な反発力をより強め、安定に分散させることができる。さらに、酸化チタン粒子間の距離が近づいても、ポリアクリル酸のスペーサー機能により一定以上の接近を抑制することができる。そのため、酸化チタン粒子の強い凝集を抑制し、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性を向上することができる。酸化チタン粒子がアルミナで被覆されていない場合は、ポリアクリル酸との吸着部位がなくなってしまう。そのため、ポリアクリル酸の吸着によって得られるはずの上記の作用が生じず、顔料の沈降回復性が得られない。酸化チタン粒子がアルミナのみで被覆されている場合は、ポリアクリル酸は吸着するものの、シリカ由来の表面ヒドロキシ基がないため、酸化チタン粒子間の静電的な反発力が十分に得られず、顔料の沈降回復性が得られない。
インク中のポリアクリル酸の含有量(質量%)は、アルミナの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上0.40倍以下である。このアルミナは酸化チタンを被覆するものである。前記質量比率が上記の範囲内であれば、ポリアクリル酸を酸化チタン粒子に吸着させて、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性を向上することができる。前記質量比率が0.05倍未満であると、吸着するポリアクリル酸が不足してしまい、酸化チタン粒子の表面の正電荷を十分にキャンセルできないため、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が得られない。前記質量比率が0.40倍超であると、酸化チタン粒子に吸着できる量を上回るポリアクリル酸が存在することになり、インク中に遊離した状態のポリアクリル酸が多くなる。遊離した状態のポリアクリル酸は、インク中のイオン量の増加に寄与し、酸化チタン粒子の分散状態の不安定化を引き起こしてしまうため、顔料の沈降回復性が得られない。
本発明では、酸化チタンの表面がアルミナ及びシリカで被覆された酸化チタン粒子に、ポリアクリル酸を吸着させるという構成によって、ポリアクリル酸がアルミナ由来の表面ヒドロキシ基の正電荷をキャンセルすることができる。そのため、沈降や乾燥によって酸化チタン粒子間の距離が接近しても、静電的な作用による凝集を抑制できるだけではなく、ポリアクリル酸のスペーサー機能によって酸化チタン粒子の一定以上の接近を妨げ、凝集を抑制できる。さらに、インク中にカリウムイオンが存在することによって、ポリアクリル酸のカルボン酸基や酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基の電離を促進することができる。つまり、遊離した状態のポリアクリル酸の量を減らすことができる。その結果、酸化チタン粒子の分散状態の不安定化が抑制され、これにより酸化チタン粒子の凝集を抑制できる。本発明では、これらの構成を満足することによって、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性を向上することができる。
<水性インク>
本発明のインクは、特定の無機酸化物によって被覆された酸化チタン粒子、ポリアクリル酸、及びカリウムイオンを含有するインクジェット用の水性インクである。このインクは、酸化チタンが白色顔料であるため、白インクであることが好ましい。以下、本発明のインクを構成する成分、インクの物性などについて詳細に説明する。
(色材)
インクは色材(顔料)として、特定の無機酸化物によって酸化チタンに表面処理が施された酸化チタン粒子を含有する。つまり、インクは、その表面が特定の無機酸化物で被覆された酸化チタンである酸化チタン粒子を含有する。インク中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上20.00質量%以下であることが好ましい。また、インク中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下であることがさらに好ましい。なかでも、インク中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上15.00質量%以下であることが特に好ましい。
酸化チタンは、白色顔料であり、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の3つの結晶形が存在する。なかでも、ルチル型の酸化チタンが好ましい。酸化チタンの工業的製造方法としては、硫酸法及び塩素法が挙げられ、本発明で用いる酸化チタンはいずれの製造方法によるものであってもよい。
酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(以下、平均粒子径とも表す。)は、200nm以上500nm以下であることが好ましい。なかでも、酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径は、200nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として、小粒子径側から積算して50%となる粒子の直径である。酸化チタン粒子のD50は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:非球形、屈折率:2.60、の条件で測定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計を使用することができる。勿論、測定条件などは上記に限られない。
酸化チタンは、アルミナ及びシリカで表面処理が施されているものを用いる。表面処理により光触媒活性能の抑制や分散性の向上が期待される。本明細書において、「アルミナ」は、酸化アルミニウムのようなアルミニウムの酸化物の総称である。また、本明細書において、「シリカ」は、二酸化ケイ素、又は二酸化ケイ素によって構成される物質の総称である。酸化チタンを被覆するアルミナ及びシリカの大部分は、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの形態で存在している。
酸化チタン粒子に占める、酸化チタンの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、90.00質量%以上であることが好ましい。また、酸化チタン粒子に占める、酸化チタンの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、98.50質量%以下であることが好ましい。酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.50倍未満であると、前記アルミナの割合(質量%)が少なくなりすぎて、インク中でポリアクリル酸が十分に吸着できず、ポリアクリル酸の吸着によって得られるはずの分散安定性などが十分に得られない。その結果、顔料の沈降回復性が十分に得られない場合がある。前記質量比率が1.00倍超であると、前記アルミナの割合(質量%)が多くなりすぎて、ポリアクリル酸でキャンセルしきれないアルミナ由来の表面ヒドロキシ基の正電荷によって、酸化チタン粒子の凝集が起こりやすくなってしまう。そのため、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。また、酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、0.50質量%以上4.00質量%以下であることが好ましい。なかでも、酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、1.00質量%以上4.00質量%以下であることがさらに好ましい。前記アルミナの割合が0.50質量%未満であると、ポリアクリル酸との静電的な作用が十分に生じず、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。前記アルミナの割合が4.00質量%超であると、ポリアクリル酸でキャンセルしきれないアルミナ由来の表面ヒドロキシ基の正電荷によって、酸化チタン粒子の凝集が起こりやすくなってしまう。そのため、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。酸化チタン粒子に占める、シリカの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、1.00質量%以上4.00質量%以下であることが好ましい。前記シリカの割合を上記の範囲とすることで、シリカ由来の表面ヒドロキシ基による負電荷の静電的な反発力を得られるだけでなく、後述するシラン化合物を用いる場合にも、前記シラン化合物との反応性が適度に調整され、酸化チタン粒子の凝集をさらに抑制できる。その結果、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性をさらに向上できる。
酸化チタン粒子に占める、アルミナ及びシリカの割合、すなわち、アルミナ及びシリカの被覆量を測定する方法としては、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析によるアルミニウム及びケイ素元素の定量分析が挙げられる。この場合、表面に被覆している原子がすべて酸化物になっていると仮定し、得られたアルミニウム及びケイ素の値をその酸化物、つまり、アルミナ及びシリカに換算することで算出できる。酸化チタン粒子に占める、誘導結合プラズマ発光分析で得られるアルミニウム元素の割合(質量%)は、ケイ素元素の割合(質量%)に対する質量比率で、0.57倍以上1.13倍以下であることが好ましい。この値をその酸化物、すなわち、アルミナ及びシリカに換算すると、酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下となる。
酸化チタンの表面処理方法としては、湿式処理、乾式処理などが挙げられる。例えば、酸化チタンを液媒体に分散させた後、アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなどの表面処理剤と反応させて表面処理を行うことができ、これら表面処理剤の比率を適宜変更することによって所望の特性に調整することもできる。表面処理には、本発明の効果が損なわれない限り、アルミナ及びシリカ以外にも、酸化亜鉛やジルコニアなどの無機酸化物、ポリオールなどの有機物を利用することができる。
本発明の効果が損なわれない限り、インクは、酸化チタン以外の、その他の顔料を含有してもよい。この場合、白インク以外の色のインクとすることもできる。インク中のその他の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上1.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(ポリアクリル酸)
インクは、ポリアクリル酸を含有する。ポリアクリル酸は、酸化チタン粒子の分散を補助する作用を持つ。インク中のポリアクリル酸の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上0.50質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.20質量%以下であることがさらに好ましい。ポリアクリル酸の含有量が0.01質量%未満であると、酸化チタン粒子の表面の正電荷をキャンセルすることができず、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。ポリアクリル酸の含有量が0.50質量%超であると、酸化チタン粒子に吸着できる以上のポリアクリル酸が存在することになる。そのため、遊離した状態のポリアクリル酸によって塩析が起こりやすくなる。その結果、酸化チタン粒子の分散が不安定になって、凝集を引き起こしてしまうと考えられる。そのため、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
ポリアクリル酸は、炭化水素鎖を構成する炭素原子の1個おきに、複数のカルボン酸基が置換した構造を持つ化合物である。ポリアクリル酸は、市販品であっても、合成した化合物であっても好適に用いることができる。ポリアクリル酸の合成方法としては、公知の合成方法のいずれを用いてもよい。ポリアクリル酸は、例えば、アクリル酸の重合によって合成することができる。ポリアクリル酸のカルボン酸基は酸型であっても塩型であってもよい。塩型の場合、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属や、(有機)アンモニウムなどの塩が挙げられる。インクの保存安定性の観点で、ポリアクリル酸は、アルカリ金属塩型であることが好ましい。
ポリアクリル酸の重量平均分子量は、1,000以上6,000以下であることが好ましい。また、ポリアクリル酸の重量平均分子量は、1,000以上5,000以下であることがさらに好ましい。なかでも、ポリアクリル酸の重量平均分子量は、1,000以上3,000以下であることが特に好ましい。ポリアクリル酸の重量平均分子量が1,000未満であると、ポリアクリル酸が酸化チタン粒子に吸着しても、分子のサイズが小さすぎて、酸化チタン粒子間の接近を抑制するスペーサーとしての作用が弱い。そのため、酸化チタン粒子が沈降した際に酸化チタン粒子同士が接近することで凝集が進んでしまい、顔料の沈降回復性が十分に得られない場合がある。ポリアクリル酸の重量平均分子量が6,000超であると、ポリアクリル酸の分子のサイズが大きすぎて、カルボン酸基が複数の酸化チタン粒子の表面に吸着してしまい、複数の酸化チタン粒子をポリアクリル酸で架橋してしまうことが考えられる。その場合、酸化チタン粒子がポリアクリル酸の架橋によって凝集してしまい、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
(1価カチオン)
インクは、1価カチオンであるカリウムイオンを含有する。本明細書における「1価カチオン」は、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムを指し、プロトン(H)は含まない。カリウムイオンは、ポリアクリル酸のカルボン酸基の電離を促進する。ポリアクリル酸のカルボン酸基の電離を効率よく促進するためには、インク中のカリウムイオンの含有量(ppm)は、インク全質量を基準として、300ppm以上であることが好ましい。カリウムイオンの含有量が300ppm未満であると、インク中のカリウムイオンが少なすぎて、ポリアクリル酸のカルボン酸基や酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基の電離を十分に促進できない。その結果、乾燥したインク組成物の再溶解が起こりづらくなり、インクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
インクに、カリウムイオンを含有させるためには、例えば、イオン解離によってカリウムイオンを生じる化合物をインクに添加すればよい。このような化合物としては、例えば、無機カリウム塩、有機カリウム塩などを挙げることができる。無機のカリウム塩としては、例えば、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウムなどのハロゲン化カリウム;炭酸カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、硝酸カリウム、ホウ酸カリウムなどの無機酸のカリウム塩;水酸化カリウム;酢酸カリウム、安息香酸カリウムなどの有機酸のカリウム塩、などをインクに添加すればよい。また、インクの必須成分であるポリアクリル酸をカリウム塩型として用いたり、ポリアクリル酸以外の成分をカリウム塩型として用いたりして、これらのカリウム塩をイオン解離させることによって、インクにカリウムイオンを含有させることもできる。
インクは、カリウムイオンの他にも、カリウムイオンとは異なる1価カチオン(以下、その他の1価カチオンと記載する)を含有することが好ましい。その場合、カリウムイオンの含有量(質量%)は、その他の1価カチオンの含有量(質量%)よりも多いことが好ましい。カリウムイオンの含有量がその他の1価カチオンの含有量と同じか、それよりも少ないと、カリウムイオンと比べてイオン半径及びイオン化傾向が小さいイオンが多くなる。すると、ポリアクリル酸のカルボン酸基の電離を促進する効率がやや低下し、インクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
インク中の1価カチオンの合計含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、700ppm以上1,300ppm以下であることが好ましい。この1価カチオンの合計含有量は、インクの必須成分であるカリウムイオン、及び、その他の1価カチオンの合計の含有量である。1価カチオンの合計含有量が700ppm未満であると、インク中のポリアクリル酸のカルボン酸基や酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基の電離を促進する1価カチオンが少ない状態となる。そのため、酸化チタン粒子の表面へのポリアクリル酸の吸着不足やそれに伴う酸化チタン粒子間の静電的な反発力などの斥力の低下が生じる。その結果、顔料の沈降回復性が十分に得られない場合がある。1価カチオンの合計含有量が1,300ppm超であると、1価カチオンが増えすぎてしまい、塩析によって凝集が引き起こされる。そのため、顔料の沈降回復性が十分に得られない場合がある。なお、インクが2価以上のカチオンを含有する場合、その含有量は、インク全質量を基準として、10ppm以下であることが好ましい。インクは、2価以上のカチオンを含有しなくてもよい。インク中の1価カチオンの合計含有量は、例えば、ICP発光分析やイオンクロマトグラフを用いて各種の1価カチオンの含有量を定量することで、測定することができる。
(分散剤)
インクは、酸化チタン粒子を分散するための分散剤を含有してもよい。なかでも、下記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上1.00質量%以下であることが好ましく、0.02質量以上0.50質量%以下であることがさらに好ましい。
一般式(1)で表される化合物中のケイ素原子に結合したORの一部は、水性媒体中で加水分解し、シラノール基を形成する。そのため、酸化チタン粒子表面のシリカ由来の表面ヒドロキシ基との親和性がある。また、一般式(1)で表される化合物は、前述のようにシラノール基を形成できる構造に加えて、連結基となるXを介して、繰り返し単位として炭素数2乃至4のアルキレンオキサイド基をn個有する構造(一般式(1)中の(OR)を持つ。以下、上記の構造をアルキレンオキサイド鎖とも表す。アルキレンオキサイド鎖は親水性を有するため、水性媒体中で適度に伸長して、立体障害による反発力を示す。そのため、一般式(1)で表される化合物は、酸化チタン粒子の分散剤としての作用を持つ。
Figure 0007451634000001
(一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。炭素数1乃至4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基が挙げられる。なかでも、加水分解のしやすさの観点から、メチル基が好ましい。R、R、及びRがそれぞれ炭素数4超のアルキル基であると、加水分解してシラノール基を形成することが難しくなってしまい、酸化チタン粒子との親和性が得られない。そのため、酸化チタン粒子を安定に分散させることができず、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。ROの数を表すaは1乃至3であり、Rの数を表すbは0乃至2であり、a+b=3である。なかでも、aが3であるとともに、bが0である、すなわち、ケイ素原子の置換基が3つともROであることが好ましい。
一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。炭素数2乃至4のアルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基が挙げられる。なかでも、エチレン基が好ましい。ORの個数、つまり、アルキレンオキサイド基の個数を表すn(平均値)は6乃至24である。nが6未満であると、アルキレンオキサイド鎖の長さが短すぎて、立体障害による反発力が十分に得られないため、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。nが24超であると、アルキレンオキサイド鎖の長さが長すぎるため、親水性が高まり水性媒体中に遊離しやすくなる。そのため、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基との親和性が十分に得られず、酸化チタン粒子の凝集を効率よく抑制しづらい場合がある。そのため、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
一般式(1)中、Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。Xが単結合である場合、ケイ素原子とORが直接結合していることを意味する。炭素数1乃至6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基などが挙げられる。なかでも、n-プロピレン基が好ましい。Xが炭素数6超のアルキレン基であると、一般式(1)で表される化合物の疎水性が高くなりすぎて、酸化チタン粒子を安定に分散する作用が弱く、顔料の沈降回復性及びインクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。一般式(2)で表される化合物は、ケイ素原子に結合するORが3個であるため、水性媒体中でその一部が加水分解して、ケイ素原子に結合するヒドロキシ基を3個形成することが可能であり、酸化チタン粒子との親和性を有する部分を増やすことができる。また、下記一般式(2)で表される化合物は、エチレンオキサイド基の繰り返し構造を持つ。そのため、水性媒体中で適度にエチレンオキサイド鎖が伸長し、立体障害による反発力を得ることができる。
Figure 0007451634000002
(一般式(2)中、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。mは8乃至24である。)
インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.002倍以上0.10倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.002倍未満であると、酸化チタン粒子を安定に分散させる作用が弱い。そのため、顔料の沈降回復性が十分に得られない場合がある。前記質量比率が0.10倍超であると、一般式(1)で表される化合物の割合が高くなりすぎて、一般式(1)で表される化合物の分子間での縮合(自己縮合)が生じやすい。そのため、一般式(1)で表される化合物が分散剤として作用することなく消費されてしまう。このような状況では、一般式(1)で表される化合物の縮合物によって、酸化チタン粒子の凝集物を密にする作用が生ずると考えられ、インクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
(樹脂)
インクには、樹脂を含有させることができる。樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂などが挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂が好ましい。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上25.00質量%以下であることが好ましく、3.00質量%以上15.00質量%以下であることがさらに好ましい。なかでも、5.00質量%以上15.00質量%以下であることが特に好ましい。
樹脂は、耐擦過性や隠蔽性などの記録される画像の各種特性を向上させる用途でインクに含有させることができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、樹脂は、水性媒体に溶解し得る水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と等量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、とすることができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA-EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子を用いる場合、その酸価は、0mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、5,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
(水性媒体)
インクは、水性媒体として水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水溶性(好ましくは、25℃において水に任意の割合で溶解するもの)であれば特に制限はない。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性化合物類、含硫黄極性化合物類などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、10.00質量%以上40.00質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が50.00質量%超であると、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の添加剤)
インクには、上記の添加剤以外に、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。なかでも、インクは界面活性剤を含有することが好ましい。カリウムイオンを含有するインクとするために、これらの添加剤を用いることができる。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上2.00質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、インクの各種物性の調整に用いるため、酸化チタン粒子との親和性が低く、少量で効果をもたらすノニオン性界面活性剤が好ましい。
(インクの物性)
インクは、インクジェット方式に適用するインクであるので、その物性を適切に制御することが好ましい。25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。インクの表面張力は、インク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましい。25℃におけるインクのpHは、7.0以上9.0以下であることが好ましい。インクのpHはガラス電極などを搭載した一般的なpHメータで測定することができる。
<インクの用途>
上記で説明した本発明のインクは、酸化チタン粒子を含有するため、白インクとして用いることが好ましい。この場合、上記の通り、透明な記録媒体においても鮮明なカラー画像を表現するために、前もって白インクを付与して下地処理を行い、その上からカラーインクを付与する、又はその逆順で各インクを付与する(いわゆるバックプリント)ことができる。カラーインクは、酸化チタン粒子とは異なる色材、つまり、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの色を呈するインクである。以下、本発明のインク(以下、単に白インクとも記載する)と併用されるカラーインクについて詳細に説明する。
<カラーインク>
(色材)
カラーインクは、酸化チタン粒子以外の色材(以下、白と区別するため、「カラー顔料」や、単に「顔料」とも記載する)を含有する。カラーインク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。なかでも、カーボンブラック、有機顔料を用いることが好ましい。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを挙げることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを挙げることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(-R-)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(-R-)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
(1価カチオン)
カラーインクは、1価カチオンを含有することが好ましい。1価カチオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムが挙げられる。なかでも、カリウムイオンを含有することが好ましい。カラーインクに複数の1価カチオンを含有させてもよい。この場合の1価カチオンの含有量は、カラーインク中の1価カチオンの合計量とする。カラーインク中の1価カチオンの含有量(ppm)は、インク全質量を基準として、980ppm以上6,500ppm以下であることが好ましい。カラーインク中の1価カチオンの含有量を上記の範囲より大きくすると、塩析によりカラーインクの保存安定性が得られない場合がある。なお、カラーインクが2価以上のカチオンを含有する場合、その含有量は、インク全質量を基準として、10ppm以下であることが好ましい。カラーインクは、2価以上のカチオンを含有しなくてもよい。カラーインク中の1価カチオンの含有量は、例えば、ICP発光分析やイオンクロマトグラフを用いて各種の1価カチオンの含有量を定量することで、測定することができる。
カラーインクに、1価カチオンを含有させるためには、例えば、イオン解離によって1価カチオンを生ずる化合物をインクに添加すればよい。このような化合物としては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。アルカリ金属塩としては、例えば、フッ素、塩素、臭素などのハロゲンのアルカリ金属塩;炭酸、硫酸、リン酸、硝酸、ホウ酸などの無機酸のアルカリ金属塩;アルカリ金属の水酸化物;酢酸、安息香酸などの有機酸のアルカリ金属塩、などが挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば、フッ素、塩素、臭素などのハロゲンのアンモニウム塩;炭酸、硫酸、リン酸、硝酸、ホウ酸などの無機酸のアンモニウム塩;酢酸、安息香酸などの有機酸のアンモニウム塩、などが挙げられる。
カラーインク中の1価カチオンの含有量Mは、白インク中の1価カチオンの含有量Mに対する比率(M/M)で、1.40倍以上5.00倍以下であることが好ましい。なかでも、前記比率は、3.00倍以下であることがさらに好ましい。前記M/Mの値を、上記の範囲とすることで、酸化チタン粒子の凝集を適度に調整して、発色性に優れる2次色画像を記録できる。
(樹脂分散剤)
カラーインクには、顔料を分散させるための樹脂(樹脂分散剤)を含有させることができる。すなわち、カラーインクの色材は、樹脂分散顔料とすることができる。カラーインク中の樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上25.00質量%以下であることが好ましく、3.00質量%以上15.00質量%以下であることがさらに好ましい。なかでも、5.00質量%以上15.00質量%以下であることが特に好ましい。顔料の分散方式が自己分散の場合は、樹脂分散剤を含有しなくてもよい。
樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させ得るものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、水溶性樹脂を用いることが好ましい。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、多糖類、ポリペプチド類などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有する単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα-メチルスチレンの少なくとも一方の単量体に由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基、エチレンオキサイド基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性単量体を重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性単量体、これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体などを挙げることができる。酸性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。酸性単量体の塩がイオン解離した1価カチオンを利用して、カラーインクに1価カチオンを含有させてもよい。
疎水性ユニットは、アニオン性基、エチレンオキサイド基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、上記の親水性基を有しない、疎水性単量体を重合することで形成することができる。疎水性単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有する単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体などを挙げることができる。
樹脂分散剤として用いる樹脂の酸価は、0mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂分散剤の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、5,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。樹脂分散剤の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
(その他の樹脂)
カラーインクには、樹脂分散剤とは異なる樹脂(その他の樹脂)を含有させることができる。カラーインク中のその他の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましい。その他の樹脂は、記録される画像の各種特性を向上させる用途でカラーインクに含有させることができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、樹脂は、水性媒体に溶解し得る水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
その他の樹脂の酸価は、0mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。その他の樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、5,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。その他の樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
(水性媒体)
カラーインクは、水性媒体として水を含有する水性のインクである。カラーインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。カラーインク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水溶性(好ましくは、25℃において水に任意の割合で溶解するもの)であれば特に制限はない。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性化合物類、含硫黄極性化合物類などを用いることができる。カラーインク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、10.00質量%以上40.00質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が3.00質量%未満であると、インクジェット記録装置内でインクが固着してしまい、耐固着性が十分に得られない場合がある。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が50.00質量%超であると、インクの粘度が高くなりすぎて流動性が低下し、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の添加剤)
カラーインクには、上記の添加剤以外に、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。なかでも、カラーインクは界面活性剤を含有することが好ましい。カラーインク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上2.00質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、カラーインクの各種物性の調整に用いるため、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
(カラーインクの物性)
カラーインクは、インクジェット方式に適用するインクであるので、その物性を適切に制御することが好ましい。25℃におけるカラーインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。カラーインクの表面張力は、カラーインク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。また、25℃におけるカラーインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましい。25℃におけるカラーインクのpHは、7.0以上11.0以下であることが好ましく、7.0以上9.0以下であることがさらに好ましい。カラーインクのpHは、ガラス電極などを搭載した一般的なpHメータで測定することができる。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インク(白インク)である。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。例えば、白インクによる画像を記録する場合は一般的なインクジェット記録方法にそのまま適用することができる。また、カラーインクの下地処理として白インクを用いる場合は、白インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、カラーインク(ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどのインク)を付与して画像を記録すればよい。また、カラーインクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、白インクを付与するバックプリントにも用いることができる。記録媒体としては、特に制限されないが、本発明の水性インクは白インクとして用いることができるため、透明、又は、有色の記録媒体を用いることが好ましい。また、記録媒体は、樹脂フィルムなどの液媒体の吸収性の小さい難吸収性媒体(非吸収性媒体)であってもよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
記録媒体の単位領域へのインクの付与を、記録ヘッドと記録媒体との複数回の相対走査に分けて行うマルチパス記録が好ましい。特に、単位領域への白インクの付与及びカラーインクの付与を、それぞれ異なる相対走査で行うことが好ましい。これにより、各インクが接触するまでの時間が長くなり、混合が抑制されやすくなる。単位領域とは、1画素や1バンドなどの任意の領域として設定することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。また、酸化チタン粒子の分散液を「顔料分散液」と記載する。
<酸化チタンの準備>
あらかじめ表面処理が施された市販の酸化チタン粒子、及び、未処理の酸化チタンを表面処理して調製した酸化チタン粒子を用いた。酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「Nanotrac WaveII-EX150」、マイクロトラック・ベル製)を使用して測定した。酸化チタン粒子の特性を表1に示す。表1中、TITANIX:JR、JR-403、JR-405、及びJR-600Aは、テイカ製のルチル型酸化チタンの商品名である。
(アルミナ及びシリカの被覆量の測定)
酸化チタン粒子に占める、アルミナ及びシリカの割合、すなわち、アルミナ及びシリカの被覆量は以下のようにして測定した。準備した酸化チタン粒子を硝酸に添加した液体を試料として、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光装置によるアルミニウム及びケイ素元素の定量分析を行った。この際、表面に被覆している原子がすべて酸化物になっていると仮定し、得られたアルミニウム及びケイ素の値をその酸化物、つまりアルミナ及びシリカに換算して質量比率を算出した。
(酸化チタン粒子1、3~6、8、10)
酸化チタンの表面処理を湿式法により行い、各酸化チタン粒子を製造した。湿式法による表面処理は、未処理の酸化チタンに、表面処理剤(アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなど)を接触させるもので、表面処理剤の使用量や比率を適宜調整することで、任意の比率に表面処理を施した。
具体的には、表面処理が施されていない、ルチル型の酸化チタン(商品名「TITANIX JR」、テイカ製)300部、及び、純水700部をホモジナイザーで混合した。そして、撹拌しながら90℃に昇温し、水酸化カリウム(pH調整剤)を添加して、pHを10.5に調整した。次に、ケイ酸ナトリウムを添加して、希硫酸(pH調整剤)を約1時間かけて添加することで、pHを5.0に調整した。約1時間反応を継続させた。その後、90℃で、アルミン酸ナトリウムを少量ずつ添加した。この際、pHを維持するために、希硫酸を併用してpHを6.0以上8.0以下に維持した。アルミン酸ナトリウムの添加後、約1時間反応を継続し、分散液を得た。分散液を25℃まで冷却した後、遠心分離機による沈降と、イオン交換水への再分散を繰り返すことで精製し、120℃で乾燥させることで、アルミナ及びシリカの少なくとも一方で表面処理が施された各酸化チタン粒子を得た。表1に各酸化チタン粒子の特性を示す。
(酸化チタン粒子2、7、9、11)
市販の酸化チタン粒子(アルミナやシリカにより予め表面処理が施されているものを含む)を酸化チタン粒子2、7、9、11として用いた。表1に酸化チタン粒子2、7、9、11の特性を合わせて示す。市販の酸化チタン粒子の中には、アルミナやシリカ以外にも、ジルコニアや酸化亜鉛などの無機酸化物、ポリオールなどの有機化合物が含まれているものもあったが、その割合は、多くとも1.0%程度であった。そのため、便宜上、酸化チタン粒子に占める、酸化チタンの割合T(%)(表1中の「酸化チタンT(%)」)にまとめて示した。
Figure 0007451634000003
<一般式(1)で表される化合物の準備>
一般式(1)で表される化合物を以下の手順で合成した。一般式(1)で表される化合物として合成した化合物、及び、比較化合物の合成条件、構造を、それぞれ表2及び表3に示す。一般式(1)で表される化合物は、原料(ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルなど)をアリル化及びヒドロシリル化することによって合成することができる。
撹拌子及び窒素導入管を備えた3つ口フラスコに、表2に記載の原料、塩基、及び溶媒を入れ、25℃で30分撹拌した。「水素化ナトリウム」としては、60%水素化ナトリウムのパラフィン分散液を用い、表2に示す水素化ナトリウムの使用量となるように分散液を用いた。そして、表2に記載の臭化物を滴下しながら25℃で撹拌し、滴下終了後12時間撹拌を続け、反応物を含む溶液を得た。反応物を含む溶液から、未反応の水素化ナトリウム及び中和物(臭化ナトリウム)をろ別した後、減圧によりTHFを除去し、濃縮物を得た。濃縮物を純水500部に溶解させ、この水溶液をヘキサン200mLで3回抽出した後、ジクロロメタン200mLで抽出した。生成物を含む溶媒を硫酸マグネシウムの添加により乾燥し、減圧して濃縮することで、アリル化した化合物をそれぞれ得た(アリル化の工程)。
撹拌子及びアルゴン導入管を備え、不動態化処理をした乾燥丸底フラスコに、表2に記載のアリル化した原料及びシラン化合物を入れ、85℃で撹拌した。そして、65mmol/L塩化白金酸・一水和物のイソプロピルアルコール水溶液を0.54部添加し、85℃で5時間加熱した。反応終了後、混合物を25℃まで放冷し、減圧により過剰のシラン化合物を除去した。残留物をトリエトキシシランによって不動態化処理を行ったシリカゲルを担体として、カラムクロマトグラフィーによる精製を行い、各化合物を得た(ヒドロシリル化の工程)。カラムクロマトグラフィーによる精製の際には、酢酸エチル/ヘキサン/エタノール=85/15/5(体積基準)の溶離液を利用した。
Figure 0007451634000004
Figure 0007451634000005
<顔料分散液の調製>
下記の手順で顔料分散液を製造した。顔料分散液の製造条件を表4に示す。
(顔料分散液1~20、22~24)
表4に示す酸化チタン粒子40.00部、分散剤、中和剤、及び成分の合計が100.00部となるイオン交換水を混合し、ホモジナイザーを用いて予備分散を行った。その後、0.5mmジルコニアビーズを用いて25℃、ペイントシェーカーで12時間分散処理(本分散)を行った。中和剤を使用する場合、その使用量は、本分散におけるpHが10.5となるように適宜調整した。本分散におけるpHは、本分散を開始する時点で、pHメータ(商品名「ポータブル型pHメータD-74」、堀場製作所製)を用いて測定した値である。ジルコニアビーズをろ別し、必要に応じてイオン交換水を適量加え、酸化チタン粒子の含有量が40.00%の各顔料分散液を調製した。表4中、ポリアクリル酸は、後述する方法で合成したものであり、重量平均分子量は5,000、カリウム塩型であった。
(顔料分散液21)
特許文献1の実施例3の顔料3kの調製方法に準じて顔料分散液を調製した。具体的には、上記の顔料分散液19の製造方法にしたがって、顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液を撹拌しながら35℃の送風による乾燥で水分を除去した後、105℃のオーブンで4時間15分乾燥し、酸化チタン粒子の粉体を得た。酸化チタン粒子の粉体を適量のイオン交換水で再分散させ、酸化チタン粒子の含有量が40.00%の顔料分散液21を調製した。
Figure 0007451634000006
<樹脂粒子の合成>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、過硫酸カリウム0.2部、及びイオン交換水74.0部を入れ、窒素ガスを導入した。表5に示すモノマー、及び乳化剤(商品名「NIKKOL BC15」、日光ケミカルズ製)0.3部を混合し、混合物を得た。得られた混合物を、四つ口フラスコに撹拌下で1時間かけて滴下した後、温度80℃で2時間反応させた。その後、内容物を25℃まで冷却した後、樹脂の酸価と等モルの中和剤、及び適量のイオン交換水を加え、樹脂粒子の含有量が40.0%であり、体積基準の累積50%粒子径が100nmである各樹脂粒子の水分散液を調製した。樹脂粒子の酸価を表5に示す。表5中の各成分の詳細を以下に示す。
・BMA:メタクリル酸ブチル
・MAA:メタクリル酸
Figure 0007451634000007
<ポリアクリル酸の合成>
アクリル酸を常法により重合して、ポリアクリル酸を合成した。重合の際の加熱の温度及び時間を調整することで、重量平均分子量を調整した。酸価と等モルの水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、及びアンモニアでカルボン酸基をそれぞれナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩型とした。
<アルミナ粒子を含む液体の調製>
アルミナ粒子を含む液体は、以下の手法で調製した。具体的には、両性アルミナ粒子(商品名「Dispal 23N4-80」、分散粒子径90nm、Sasol製)の含有量が10%であるアルミナ粒子分散液を用意した。アルミナ粒子分散液のpHを、強酸(1mol/L塩酸)によって4.0に調整し、アルミナ粒子分散液をプロペラミキサーで均一になるまで混合し、ビーズミルを用いて粉砕し、アルミナ粒子を含む液体(アルミナ粒子の含有量:10%)を得た。
<インクの調製>
表6~表9の上段に示す種類及び量の各成分を混合し、撹拌した。アセチレノールE60(商品名)は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。プロキセルGXL(S)(商品名)は、LONZA製の防腐剤である。その後、ポアサイズ5.0μmのメンブレンフィルタ(ザルトリウス製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表6~表9中、ポリアクリル酸は、その重量平均分子量と塩の種類をまとめて記載した。例えば、「ポリアクリル酸(Mw:1,500、Na塩)」と記載されている場合は、重量平均分子量が1,500であり、ナトリウム塩型のポリアクリル酸であることを示す。
(インク中の1価カチオンの合計含有量の算出)
インク中の1価カチオンの合計含有量の測定は、ICP発光分析により行った。具体的には、調製した各インクの顔料の含有量が0.04%となるようにイオン交換水で希釈し、ICP発光分析装置(商品名「SPS5100 ICP-OES」、SII製)を使用して各種の1価カチオンの含有量を定量した。また、1価カチオンのうち、アンモニウムイオンの濃度は、イオンクロマトグラフ(商品名「DX-320」、ダイオネクス製)を用いて測定した。そして、定量した1価カチオンの含有量から、希釈前のインクの酸化チタン粒子の含有量における1価カチオンの合計含有量(ppm)を算出した。表6~表9の下段に各インクの特性とともに、カリウムイオン、及び1価カチオンの合計含有量をまとめて示す。
Figure 0007451634000008
Figure 0007451634000009
Figure 0007451634000010
Figure 0007451634000011
<評価>
上記で得られた各インクについて、以下の項目の評価を行った。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「A」、及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表10に示す。
(沈降回復性)
上記で得られた各インク8.0gを10mLのポリテトラフルオロエチレン製の遠心チューブに入れた。液体の表面から約1cmまでの液体をサンプリングし、波長550nmにおける吸光度を測定した(振とう前の吸光度とする)。吸光度の測定には、分光光度計(商品名「U-3011」、日立ハイテクサイエンス製)を用いた。25℃で6日間保存した後、振とう機(商品名「ラボシェイカーワイド SR-5」、アズワン製)を用いて180rpmで5分振とうし、酸化チタン粒子の再分散を行った。振とうの後に、液体の表面から約1cmまでの液体をサンプリングして、同様に波長550nmにおける吸光度を測定した(振とう後の吸光度とする)。「吸光度の回復率」=100×(「振とう後の吸光度」)/(「振とう前の吸光度」)の式に基づいて、吸光度の回復率を算出し、以下に示す評価基準にしたがって、顔料の沈降回復性を評価した。
A:吸光度の回復率が、90%以上であった。
B:吸光度の回復率が、85%以上90%未満であった。
C:吸光度の回復率が、85%未満であった。
(固着回復性)
上記で得られたインク5.0gをそれぞれ開放系の容器に入れ、温度30℃、相対湿度10%の環境で1日間乾燥させた。容器中のインクの残留物の質量を測定した(初期の残留物の質量とする)。インクの残留物に同じ種類のインクを3.0g滴下し、撹拌を行った。その後、残留物を含むインクをろ過し、再度残留物の質量を測定した(再溶解後の残留物の質量とする)。「再溶解後の残留率」=100×(「再溶解後の残留物の質量」)/(「初期の残留物の質量」)の式に基づいて、再溶解後の残留率を算出し、以下に示す評価基準にしたがって、インクの固着回復性を評価した。再溶解後の残留率が低いほど、記録ヘッドで乾燥したインクの固着物を容易に除去できる、つまりインクの固着回復性がよいことを意味する。
A:再溶解後の残留率が、20%未満であった。
B:再溶解後の残留率が、20%以上50%未満であった。
C:再溶解後の残留率が、50%以上であった。
Figure 0007451634000012
<2次色画像の発色性>
実施例1のインクで下地を形成した後、以下のように調製したカラーインクを付与して得られた2次色画像の発色性の評価を行った。
<カラー顔料分散液の調製>
(カラー顔料分散液1~4)
表11に示す種類及び量の顔料、分散剤、及び成分の合計が100.00%となるイオン交換水を混合し、ホモジナイザーを用いて予備分散を行った。分散剤としては、顔料親和性基を有する共重合体(商品名「DISPERBYK-199」、ビックケミー・ジャパン製)を用いた。その後、0.5mmジルコニアビーズを用いて25℃、ペイントシェーカーで12時間分散処理(本分散)を行った。ジルコニアビーズをろ別し、必要に応じてイオン交換水を適量加え、カラー顔料分散液1~4を調製した。
(カラー顔料分散液5)
カラー顔料分散液5としては、市販の顔料分散液(商品名「Cab-O-Jet 400」、キャボット製、顔料の含有量15.00%)に、イオン交換水を混合して顔料の含有量を14.00%としたものを用いた。上記の顔料分散液には、顔料(カーボンブラック)の粒子表面に他の原子団を介してホスホン酸基が結合した自己分散顔料が含まれている。
Figure 0007451634000013
<カラーインクの調製>
表12の上段に示す種類及び量の各成分を混合し、撹拌した。ビニブラン2685(商品名)は、日信化学工業製のアクリルエマルジョン(アクリル樹脂粒子の含有量:30%)の商品名である。水酸化カリウムを含むイオン交換水は、表12の下段に示す1価カチオンの含有量となるように水酸化カリウムを加えたイオン交換水であり、成分の合計が100.0%となるように、残量を添加した。その後、ポアサイズ5.0μmのメンブレンフィルタ(ザルトリウス製)にて加圧ろ過を行い、カラーインク33~41を調製した。各カラーインクのpHは、pHメータ(商品名「ポータブル型pHメータD-74」、堀場製作所製)を用いて測定した。カラーインクのpHは、7.0~11.0の範囲内であった。
(発色性)
上記で調製した実施例1のインク及び各カラーインクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS PRO 10-S」、キヤノン製)にセットした。この装置は、シリアル方式で記録を行うものであり、記録ヘッドの主走査方向に直交する副走査方向(記録媒体の搬送方向)に沿って、複数の吐出口列が配置されている。実施例1のインク、及びカラーインクが充填されたインクカートリッジを、それぞれの吐出口列が隣り合う位置となるように、装置にセットした。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域(1画素)に、3.8ngのインク滴を4滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。この条件で、マルチパス記録(記録媒体の単位領域へのインクの付与を、記録ヘッドと記録媒体との複数回の相対走査に分けて行う)により以下の評価用画像を記録した。
具体的には、実施例1のインク及びカラーインクを異なる記録パスで重ねて付与する条件で評価用画像を記録した。実施例1のインクは、副走査方向における上流側の吐出口列のうち1/2に当たる吐出口から吐出するように設定した。また、カラーインクは、副走査方向における下流側の吐出口列のうち1/2に当たる吐出口から吐出するように設定した。そして、白インクの記録デューティが100%であるベタ画像に重なるように、カラーインクの記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。得られた記録物を120℃のオーブンで10分乾燥し、評価用画像を得た。
上記で得られた評価用画像における2次色画像について、蛍光分光濃度計(商品名「FD-7」、コニカミノルタジャパン製)を使用して、Lab表色系におけるL、a、及びbを測定した。そして、C={(L+(a+(b1/2の式に基づいて彩度Cを算出し、以下に示す評価基準にしたがって二次色画像の発色性を評価した。画像の彩度Cの値が高いほど、画像の発色性が良いことを意味する。
A:画像の彩度Cの値が、35以上であった。
B:画像の彩度Cの値が、35未満であった。
実施例40及び41の2次色画像の発色性の評価は、実施例39と同じ「B」であったが、実施例39の方が優れていた。
Figure 0007451634000014
本実施例の開示は、以下の構成及び方法を含む。
[構成1]
酸化チタン粒子、ポリアクリル酸、及びカリウムイオンを含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、
前記水性インク中の、前記ポリアクリル酸の含有量(質量%)が、前記アルミナの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上0.40倍以下であることを特徴とする水性インク。
[構成2]
前記水性インクがさらに、前記カリウムイオンとは異なる1価カチオンを含有するとともに、前記カリウムイオンの含有量(質量%)が、前記カリウムイオンとは異なる1価カチオンの含有量(質量%)よりも大きい構成1に記載の水性インク。
[構成3]
前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下である構成1又は2に記載の水性インク。
[構成4]
前記酸化チタン粒子に占める、前記酸化チタンの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、90.00質量%以上である構成1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成5]
前記酸化チタン粒子に占める、前記酸化チタンの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、98.50質量%以下である構成1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成6]
前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、0.50質量%以上4.00質量%以下である構成1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成7]
前記酸化チタン粒子に占める、前記シリカの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、1.00質量%以上4.00質量%以下である構成1乃至6のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成8]
前記酸化チタン粒子に占める、誘導結合プラズマ発光分析で得られるアルミニウム元素の割合(質量%)が、ケイ素元素の割合(質量%)に対する質量比率で、0.57倍以上1.13倍以下である構成1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成9]
前記酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径が、200nm以上400nm以下である構成1乃至8のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成10]
前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下である構成1乃至9のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成11]
前記ポリアクリル酸の重量平均分子量が、1,000以上6,000以下である構成1乃至10のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成12]
前記ポリアクリル酸の重量平均分子量が、1,000以上3,000以下である構成1乃至11のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成13]
前記ポリアクリル酸の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.01質量%以上0.50質量%以下である構成1乃至12のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成14]
前記水性インク中の、カリウムイオンの含有量(ppm)が、インク全質量を基準として、300ppm以上である構成1乃至13のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成15]
前記水性インク中の、1価カチオンの合計含有量(ppm)が、インク全質量を基準として、700ppm以上1,300ppm以下である構成1乃至14のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成16]
さらに、下記一般式(1)で表される化合物を含有する構成1乃至15のいずれか1項に記載の水性インク。
Figure 0007451634000015
(一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
[構成17]
前記水性インク中の、前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.002倍以上0.10倍以下である構成16に記載の水性インク。
[構成18]
前記水性インクのpHが、7.0以上9.0以下である構成1乃至17のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成19]
インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、構成1乃至18のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
[構成20]
インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、構成1乃至18のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。

Claims (20)

  1. 酸化チタン粒子、ポリアクリル酸、及びカリウムイオンを含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、
    前記水性インク中の、前記ポリアクリル酸の含有量(質量%)が、前記アルミナの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上0.40倍以下であることを特徴とする水性インク。
  2. 前記水性インクがさらに、前記カリウムイオンとは異なる1価カチオンを含有するとともに、前記カリウムイオンの含有量(質量%)が、前記カリウムイオンとは異なる1価カチオンの含有量(質量%)よりも大きい請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下である請求項1に記載の水性インク。
  4. 前記酸化チタン粒子に占める、前記酸化チタンの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、90.00質量%以上である請求項1に記載の水性インク。
  5. 前記酸化チタン粒子に占める、前記酸化チタンの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、98.50質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  6. 前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、0.50質量%以上4.00質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  7. 前記酸化チタン粒子に占める、前記シリカの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、1.00質量%以上4.00質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  8. 前記酸化チタン粒子に占める、誘導結合プラズマ発光分析で得られるアルミニウム元素の割合(質量%)が、ケイ素元素の割合(質量%)に対する質量比率で、0.57倍以上1.13倍以下である請求項1に記載の水性インク。
  9. 前記酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径が、200nm以上400nm以下である請求項1に記載の水性インク。
  10. 前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  11. 前記ポリアクリル酸の重量平均分子量が、1,000以上6,000以下である請求項1に記載の水性インク。
  12. 前記ポリアクリル酸の重量平均分子量が、1,000以上3,000以下である請求項1に記載の水性インク。
  13. 前記ポリアクリル酸の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.01質量%以上0.50質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  14. 前記水性インク中の、カリウムイオンの含有量(ppm)が、インク全質量を基準として、300ppm以上である請求項1に記載の水性インク。
  15. 前記水性インク中の、1価カチオンの合計含有量(ppm)が、インク全質量を基準として、700ppm以上1,300ppm以下である請求項1に記載の水性インク。
  16. さらに、下記一般式(1)で表される化合物を含有する請求項1に記載の水性インク。
    Figure 0007451634000016

    (一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
  17. 前記水性インク中の、前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.002倍以上0.10倍以下である請求項16に記載の水性インク。
  18. 前記水性インクのpHが、7.0以上9.0以下である請求項1に記載の水性インク。
  19. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  20. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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