JP2002332438A - インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置

Info

Publication number
JP2002332438A
JP2002332438A JP2001140600A JP2001140600A JP2002332438A JP 2002332438 A JP2002332438 A JP 2002332438A JP 2001140600 A JP2001140600 A JP 2001140600A JP 2001140600 A JP2001140600 A JP 2001140600A JP 2002332438 A JP2002332438 A JP 2002332438A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
liquid composition
fine particles
recording medium
recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001140600A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Shirota
勝浩 城田
Hiroshi Tomioka
洋 冨岡
Masao Kato
真夫 加藤
Yutaka Kurabayashi
豊 倉林
Koichiro Nakazawa
広一郎 中澤
Fumitaka Goto
文孝 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001140600A priority Critical patent/JP2002332438A/ja
Publication of JP2002332438A publication Critical patent/JP2002332438A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発色性に優れるより高品質なインクジェット
記録画像を得ることができ、信頼性にも優れたインクセ
ット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジ
ェット記録装置の提供。 【解決手段】 色材を含むアニオン性若しくはカチオン
性の化合物を含有する着色インクと、該着色インクとは
逆極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれ
ている水性の液体組成物とからなるインクセットにおい
て、上記インクセットは色の異なる複数の着色インクか
らなり、且つ該着色インク同士が反応することを特徴と
するインクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法
及びインクジェット記録装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー画像の形成
において発色性と色の均一性に優れた画像を得る技術に
関し、とりわけ、インクジェット記録方式を利用した画
像形成に最適に使用できるインクセット、被記録媒体に
着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、インクを飛
翔させ、紙等の被記録媒体にインクを付着させて記録を
行うものである。例えば、特公昭61−59911号公
報、特公昭61−59912号公報及び特公昭61−5
9914号公報において開示されている、吐出エネルギ
ー供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーを
インクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出
させる方式のインクジェット記録方法によれば、記録ヘ
ッドの高密度マルチオリフィス化を容易に実現すること
ができ、高解像度及び高品位の画像を高速で記録するこ
とができる。
【0003】ところで、従来のインクジェット記録方法
に用いられるインクは、水を主成分とし、これにノズル
内でのインクの乾燥防止、ノズルの目詰まり防止等の目
的でグリコール等の水溶性高沸点溶剤を含有しているも
のが一般的である。そのためこのようなインクを用いて
被記録媒体に記録を行った場合には、十分な定着性が得
られなかったり、被記録媒体としての記録紙表面におけ
る填料やサイズ剤の不均一な分布によると推定される不
均一画像の発生等の問題を生じる場合がある。一方、近
年は、インクジェット記録画像に対しても、銀塩写真と
同レベルの高い画質を求める要求が強くなっており、イ
ンクジェット記録画像の画像濃度を高めること、色再現
領域を広げること、更には記録画像の色の均一性を向上
させることに対する技術的な要求が非常に高くなってい
る。
【0004】このような状況のもとで、インクジェット
記録方法の安定化、そしてインクジェット記録方法によ
る記録画像の品質向上を図るために、これまでにも種々
の提案が為されてきている。被記録媒体に関する提案の
うちの一つとして、被記録媒体の基紙表面に、充填材や
サイズ剤を塗工する方法が提案されている。例えば、充
填材として色材を吸着する多孔質微粒子を基紙に塗工
し、この多孔質微粒子よってインク受容層を形成する技
術が開示されている。これらの技術を用いた被記録媒体
として、インクジェット用コート紙等が発売されてい
る。
【0005】このような状況のもとで、インクジェット
記録方法の安定化、そしてインクジェット記録方法によ
る記録画像の品質向上を図るために、これまでにも種々
の提案が為されてきている。以下に、その代表的なもの
の幾つかをまとめる。 (1)インクに揮発性溶剤や浸透溶剤を内添する方法;
被記録媒体へのインクの定着性を早める手段として特開
昭55−65269号公報には、インク中に界面活性剤
等の浸透性を高める化合物を添加する方法が開示されて
いる。また、特開昭55−66976号公報には、揮発
性溶剤を主体としたインクを用いることが開示されてい
る。 (2)インクに、インクと反応する液体組成物を被記録
媒体上で混合する方法;画像濃度の向上、耐水性の向
上、更にはブリーディングの抑制を目的として、記録画
像を形成するためのインクの噴射に先立ち或いは噴射後
に、被記録媒体上に画像を良好にせしめる液体組成物を
付与する方法が提案されている。
【0006】例えば、特開昭63−60783号公報に
は、塩基性ポリマーを含有する液体組成物を被記録媒体
に付着させた後、アニオン染料を含有したインクによっ
て記録する方法が開示されており、特開昭63−226
81号公報には、反応性化学種を含む第1の液体組成物
と該反応性化学種と反応を起こす化合物を含む第二の液
体組成物を被記録媒体上で混合する記録方法が開示され
ており、更に特開昭63−299971号公報には、1
分子当たり2個以上のカチオン性基を有する有機化合物
を含有する液体組成物を被記録媒体上に付与した後、ア
ニオン染料を含有するインクで記録する方法が開示され
ている。また、特開昭64−9279号公報には、コハ
ク酸等を含有した酸性液体組成物を被記録媒体上に付与
した後、アニオン染料を含有したインクで記録する方法
が開示されている。
【0007】また、更に特開昭64−63185号公報
には、染料を不溶化させる液体組成物をインクの付与に
先立って紙に付与するという方法が開示されている。更
に特開平8−224955号公報には、分子量分布領域
の異なるカチオン性物質を含む液体組成物を、アニオン
性化合物を含むインクとともに用いる方法が開示され、
また、特開平8−72393号公報には、カチオン性物
質と微粉砕セルロースを含む液体組成物をインクととも
に用いる方法が開示されており、いずれも画像濃度が高
く、印字品位、耐水性が良好で、色再現性、ブリーディ
ングにおいても良好な画像が得られることが記載されて
いる。また、特開昭55−150396号公報には、被
記録媒体上に染料インクで記録した後に、染料とレーキ
を形成する耐水化剤を付与する方法が開示され、記録画
像の耐水性を付与することが提案されている。
【0008】(3)インクと微粒子含有液体組成物とを
被記録媒体上で混合する方法;特開平4−259590
号公報に、無機物質からなる無色の微粒子を含有する無
色液体を被記録媒体上に付与した後、非水系記録液を付
着させる方法が開示され、特開平6−92010号公報
には、微粒子を含む溶液、又は微粒子及びバインダーポ
リマーを含む溶液を被記録媒体上に付与した後、顔料、
水溶性樹脂、水溶性溶剤及び水を含むインクを付着させ
る方法が開示されており、いずれも、紙種によらず印字
品位や発色性の良好な画像が得られることが記載されて
いる。
【0009】(背景技術)本発明者らは上記したような
各種のインクジェット記録技術について検討を重ねた結
果、各々の技術課題に対しては優れた効果を確認できる
ものの、それと引き換えに、他のインクジェット記録特
性が低下してしまう場合があることを見出した。例え
ば、上記した被記録媒体の基紙表面に充填材やサイズ剤
を塗工して得られる被記録媒体(以降コート紙という)
は、高品質な画像を形成することができる技術として認
知されている。
【0010】一般に、高彩度の画像を得るためには、色
材を凝集させずに単分子状態で被記録媒体の表面に残す
ことが必要であることは知られている。コート紙の多孔
質微粒子にはこのような機能がある。しかしながら、高
い画像濃度と画像彩度を得るためには、与えられたイン
ク中の色材に対して、多量の多孔質微粒子で、基紙を覆
い隠すような厚いインク受容層の形成が不可欠となり、
結果として、基紙の質感が失われてしまうという問題が
ある。本発明者らは、このように基紙の質感を失う程の
インク受容層が必要なのは、色材が多孔質微粒子に効率
的に吸着していないことに起因すると推測した。
【0011】1層のインク受容層を有するコート紙を想
定して以下に説明する。図9は、コート紙表面付近の断
面を模式的に示したものである。同図において、901
は基紙であり、903はインク受容層を示す。一般に、
インク受容層903は、多孔質微粒子905とそれらを
固定化する接着剤907を有する。インクが付与される
と、インクは多孔質微粒子905間の空隙を毛管現象に
よって浸透し、インク浸透部909を形成する。同図に
示したようにインク受容層での多孔質微粒子は局所的に
は密度が異なるため、この毛管現象によるインクの浸透
の仕方は場所によって異なる。このため、インクの浸透
過程において、色材は多孔質微粒子表面に均一には接触
できず、色材が効率的に多孔質微粒子に吸着されない。
【0012】更に接着剤907によってインクの浸透が
阻害される部分も生じており、インク受容層903内に
はインクが浸透できない部分が存在し、発色には寄与し
ない部分が発生する。即ち、従来のコート紙において
は、上記のような理由により、多孔質微粒子の量に対し
て効率的に色材を単分子状態で吸着することができず、
この結果、高品質の画像を得るためには多量の多孔質微
粒子が必要となり、基紙の質感を損なうこととなってい
た。
【0013】さらに上記(1)の技術を採用すること
で、インクの被記録媒体への定着性は向上するものの、
画像濃度の低下や、普通紙への記録やカラー画像の記録
に重要とされる色再現範囲が低下してしまう場合があっ
た。又、上記(2)の技術によれば、インク中の色材を
被記録媒体表面に留めることができるため、高い画像濃
度の記録物を得ることができる。しかし、色材を被記録
媒体の表面で凝集させているためか、色の再現範囲や彩
度が十分に得られない場合があった。また上記(3)で
説明した従来技術では、微粒子を含む溶液の付与により
被記録媒体の表面状態の改質はえられたものの、コート
紙と同等レベルの高精彩な画像は得られなかった。さら
に特に、非水系記録液ものに関しては色材の選択性や記
録付与方法などの制限もあり、その自由度に課題が残
る。このように、従来の方法にはいずれも課題が残され
ているため、近年において求められているより一層の高
品位なインクジェット記録物に対しては、新たなインク
ジェット記録技術の開発が必要であるとの認識を、本発
明者らは持つに至った。本発明は、上記した新たな知見
に基づき為されたものである。
【0014】本発明者らは、以上のような新たな知見に
基づき、色材を吸着する作用を有する微粒子を用い、且
つ該微粒子に効率的に色材を吸着若しくは結合させるた
めに、該微粒子を分散させ、インクとともに液体状態で
用いることにより、色材と微粒子とを液−液状態で反応
させることが可能となり、その結果として画像の濃度や
彩度を信頼性良く向上させることができることを見出し
た。更に着色インク同士に反応性をもたせることによ
り、1パス印字等、高速印字時においても着色インク間
での境界滲み、即ち、ブリード現象等の発生のない鮮明
な画像を得られることを見出し、本発明に至った。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、より一層広い色再現範囲を有し、ブリードの抑制や
色の均一性にも優れた高品質なインクジェット記録画像
を得るために用いられるインクセットを提供するととも
に、印字における信頼性、具体的には保存安定性、記録
ヘッドからの吐出安定性にも優れるインクセットを提供
することにある。
【0016】また、本発明の他の目的は、より一層広い
色再現範囲を有し、ブリードの抑制や色の均一性にも優
れ、更にベタ部のスジムラが少なく、良好な耐擦過性を
も備えた優れたインクジェット記録画像を普通紙に対し
ても形成することができるとともに、印字における信頼
性にも優れる被記録媒体に着色部を形成する方法を提供
することにある。
【0017】また、本発明の他の目的は、より一層色再
現範囲が広く、ブリードの抑制や色の均一性にも優れ、
ベタ部のスジムラの発生が良好な状態に抑制された耐擦
過性にも優れたインクジェット記録画像を形成すること
のできるとともに、印字における信頼性にも優れるイン
クジェット記録装置、インクカートリッジ並びに記録ユ
ニットを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的は下記の本発明
によって達成することができる。即ち、本発明は、色材
を含むアニオン性若しくはカチオン性の化合物を含有し
ている第1のインクと、色材を含むアニオン性若しくは
カチオン性の化合物を含有している第2のインクと、該
第1及び第2のインクの少なくとも一方とは逆極性に表
面が帯電している微粒子が分散状態で含んでいる水性の
液体組成物と、を具備しているインクセットであって、
該該第1及び第2のインクは、互いに異なる色を有
し、、且つ該第1及び第2のインクは記録媒体上で接触
したときに反応することを特徴とするインクセットを提
供する。
【0019】また、本発明は、第1及び第2のインクの
少なくとも一方が多価金属塩を含有する上記のインクセ
ット;多価金属がアルカリ土類金属である上記のインク
セット;第1及び第2のインク同士のpHの差が2以上
である上記のインクセット;第1のインクがアニオン性
若しくはカチオン性であり、第2のインクが該第1のイ
ンクとは逆極性である上記のインクセット;第1及び第
2のインクが、各々イエローインク、マゼンタインク、
シアンインク、ブラックインク、レッドインク、ブルー
インク及びグリーンインクから選ばれる少なくとも1つ
である上記のインクセット;第1のインクに含有される
色材がアニオン性であり、且つ液体組成物にカチオン性
微粒子が含有され、該カチオン性微粒子のゼータ電位が
+5〜+90mVの範囲に含まれる上記のインクセッ
ト;第1のインクに含有される色材がアニオン性であ
り、且つ液体組成物が酸を含み、該液体組成物のpHが
2〜7の範囲に調整されている上記のインクセットを提
供する。
【0020】また、本発明は、第1のインクに含有され
る色材がカチオン性であり、且つ液体組成物にアニオン
性微粒子が含有され、該アニオン性微粒子のゼータ電位
が−5〜−90mVの範囲に含まれる上記のインクセッ
ト;第1のインクに含有される色材がカチオン性であ
り、且つ液体組成物が塩基を含み、該液体組成物のpH
が7〜12の範囲に調整されている上記のインクセッ
ト;液体組成物中に含まれる塩基の水中での一次解離定
数pKbが5以下である上記のインクセット;液体組成
物中に分散されている微粒子の平均粒子直径が0.00
5〜1μmの範囲にある上記のインクセット;第1及び
第2のインクの少なくとも一方がアニオン性基を有する
水溶性染料を含む上記のインクセット;第1及び第2の
インクの少なくとも一方が表面にアニオン性基を有する
顔料を含む上記のインクセット;第1及び第2のインク
の少なくとも一方が、顔料と、該顔料の分散剤であるア
ニオン性化合物とを含む上記のインクセットを提供す
る。
【0021】また、本発明は、(i)前記インクセット
を構成する液体組成物を被記録媒体に付与させる過程、
及び(ii)前記インクセットを構成する第1のインク及
び第2のインクのうち、少なくとも該液体組成物と異な
る極性を有するインクを被記録媒体に付与させる過程を
有する被記録媒体に着色部を形成する方法であって、過
程(i)及び(ii)は、被記録媒体の表面において、該
液体組成物と該インクとが互いに液体状態で接するよう
に行うことを特徴とする被記録媒体への着色部の形成方
法を提供する。
【0022】また、本発明は、少なくとも過程(i)が
行われた後に、過程(ii)が行なわれる上記の着色部の
形成方法;少なくとも過程(ii)が行われた後に、過程
(i)が行われる上記の着色部の形成方法;過程(ii)
が行われた後に、過程(i)が行われ、その後に再び過
程(ii)が行われる上記の着色部の形成方法;過程(i
i)におけるインクの被記録媒体への付与を、該インク
を記録信号に応じてオリフィスから吐出させる方式のイ
ンクジェット記録方法によって行なう上記の着色部の形
成方法;インクジェット記録方法が、インクに熱エネル
ギーを作用させることによってインクをオリフィスから
吐出させる方法である上記の着色部の形成方法;過程
(i)における液体組成物の被記録媒体への付与を、該
液体組成物を記録信号に応じてオリフィスから吐出させ
る方式のインクジェット記録方法によって行なう上記の
着色部の形成方法;インクジェット記録方法が、液体組
成物に熱エネルギーを作用させて液体組成物をオリフィ
スから吐出させる方法である上記の着色部の形成方法を
提供する。
【0023】また、本発明は、前記インクセットを構成
する第1及び第2のインクを各々収容しているインク収
容部と、各々のインクを吐出させるためのインクジェッ
トヘッドを備えた第1の記録ユニットと、前記インクセ
ットを構成する液体組成物を収容している液体組成物収
容部と、該液体組成物を吐出させるためのインクジェッ
トヘッドとを備えた第2の記録ユニットとを備えている
ことを特徴とするインクジェット記録装置:インクジェ
ットヘッドが、熱エネルギーを作用させて液体を吐出さ
せるサーマルインクジェットヘッドである上記のインク
ジェット記録装置を提供する。
【0024】また、本発明は、着色インク同士が反応す
る、アニオン性若しくはカチオン性の化合物を含む着色
インクとともに被記録媒体に付与され、該被記録媒体上
に着色部を形成するのに用いられる微粒子を含む液体組
成物であって、上記着色部の形成が、上記液体組成物と
上記インクとが液体の状態で接触し、且つ液体組成物の
微粒子表面に、インク中の色材がインク中で有している
分子状態と実質的に同等の分子状態を保持しつつ吸着若
しくは結合して為されることを特徴とする液体組成物を
提供する。
【0025】また本発明は、前記インクセットを構成す
る第1及び第2のインクを各々収容しているインク収容
部と、前記インクセットを構成する液体組成物を収容し
ている液体組成物収容部と、を具備していることを特徴
とするインクカートリッジを提供する。
【0026】また本発明は、前記インクセットを構成す
る第1及び第2のインクを各々収容しているインク収容
部と、前記インクセットを構成している液体組成物を収
容している液体組成物収容部と、該第1及び第2のイン
ク並びに該液体組成物の各々を吐出するインクジェット
ヘッドとを具備していることを特徴とする記録ユニット
を提供する。
【0027】尚、本明細書において「着色インク同士の
反応」とは、着色インクに含有される色材、及び添加剤
等のインク構成成分間で引き起こされる化学的相互作
用、具体的には、イオン的結合、物理的・化学的吸着、
吸収、付着、その他の現象を意味するものとする。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を更に詳しく説明する。被記録媒体に着色部を
形成する方法の好ましい実施態様としては、(i)色材
を含む複数の着色インクからなり且つ該インク同士が反
応性を有するインクセットを被記録媒体に付与する過
程、及び(ii)上記本発明の液体組成物を被記録媒体に
付与する過程とを有し、且つ上記被記録媒体の表面にお
いて、インクと液体組成物とが互いに液体状態で接する
ように付与されるように構成することが挙げられる。か
かる実施態様を採用することによって、上記(i)の過
程にてブリードが抑制され、次いで上記(ii)の過程に
おいてより一層広い色再現領域を有し、色の均一性にも
優れ、更にベタ部のスジムラが少なく、良好な耐擦過性
をも備えたインクジェット記録画像が安定して得られ
る。尚、上記(i)及び(ii)の過程の順番はどちらか
一方に限定されるものではなく、着色インク中の色材及
び添加剤種と、液体組成物中の微粒子の種類等の組み合
わせで適宜決定することができる。
【0029】本発明によって上記したような本発明の目
的が達成される理由は明らかでないが、本発明者らは、
以下の理由によるものと考えており、上記(i)及び
(ii)の過程における記録のメカニズムについて夫々説
明する。一般的に、水ベースの低粘度インクをインクジ
ェット方式で被記録媒体上に付与すると、異なる二つの
色間の隣接した境界部分において複数のインク同士が互
いに交じり合う、所謂ブリード現象が発生する。ブリー
ドに対する従来の解決策はインクの表面張力を下げ、イ
ンクの浸透性を上げるという手法が主として用いられて
いる。この方法によればブリードの発生を抑制すること
は可能であるが、発色性の低下、文字等の輪郭部におけ
る滲み(エッジシャープネスの低下)等の現象が生ずる
という問題点があった。
【0030】先ず、上記(ii)過程での記録のメカニズ
ムについて、図13及び図14に従って説明する。尚、
ここでは、インクとしてアニオン性基を有する水溶性染
料(アニオン性染料)を含む着色インクを用い、同時に
液体組成物として、表面がカチオン性に帯電している微
粒子が分散状態で含まれている水性の液体組成物を用い
た場合について説明する。
【0031】以下に、本発明にかかる記録画像について
図13を用いて説明する。先ず、説明に先立ち言葉の定
義を行う。本発明において「単分子状態」とは、染料や
顔料等の色材が、インク中で溶解若しくは分散した状態
をほぼ保っていることを指している。このとき、色材が
多少の凝集を引き起こしたとしても、彩度が低下しない
範囲であれば、この「単分子状態」に含まれることとす
る。例えば、染料の場合、単分子であることが好ましい
と考えられるため、便宜上染料以外の色材についても
「単分子状態」と呼ぶこととする。
【0032】図13は、本発明にかかる記録画像の着色
部Iが、主画像部IMとその周辺部ISとから成り立っ
ている状態を模式的に示した図である。図13におい
て、1301は被記録媒体、1302は被記録媒体の繊
維間に生じる空隙を示す。また、1303は、色材13
05が化学的に吸着する微粒子を模式的に示したもので
ある。図13に示したように、本発明のインクジェット
記録画像では、主画像部IMは、色材1305が、単分
子或いは単分子に近い状態(以降「単分子状態」と略
す)で均一に表面に吸着した微粒子1303と、色材の
単分子状態を保持した微粒子の凝集物1307とで構成
されている。
【0033】1309は、主画像部IM内の被記録媒体
繊維近傍に存在する微粒子同士の凝集物である。主画像
部IMは、被記録媒体繊維に微粒子1303が物理的又
は化学的に吸着する過程と、色材1305と微粒子13
03とが液−液状態で吸着する過程によって形成された
ものである。そのため、色材自体の発色特性が損なわれ
ることが少なく、普通紙等のインクの沈み込み易い記録
媒体においても、画像濃度や彩度が高く、コート紙並み
の色再現範囲の広い画像の形成が可能となる。
【0034】一方、微粒子表面1303に吸着されず、
インク中に残った色材1305は、被記録媒体1301
に対して横方向にも深さ方向にも浸透するため、周辺部
ISにインクは微少な滲みを形成する。このように記録
媒体1301の表面近傍に色材が残り、且つ周辺部にイ
ンクの微少な滲みを形成させるために、シャドウ部やベ
タ部等のインク付与量が多い画像領域においても、白モ
ヤや色ムラが少なく色の均一性に優れる。尚、図13に
示したように、被記録媒体1301がインクや液体組成
物の浸透性を有するものである場合には、本態様はイン
ク成分や液体組成物成分の被記録媒体内部への浸透は必
ずしも妨げられるものではなく、ある程度の浸透を許容
するものである。
【0035】更に本発明の液体組成物を用いた場合にお
いては、被記録媒体の表面近傍に存在する微粒子凝集物
1309が形成される際に、凝集物の内部にある程度の
大きさの細孔が形成される。前述のインク中で単独に存
在していた色材1305は被記録媒体内部へと浸透して
いく際に微粒子凝集物1309の細孔内部へと浸透し、
細孔の入口付近や内壁に理想的な単分子状態で吸着し
て、色材をより多く被記録媒体の表面近傍に残留させる
ことができる。これによってより一層優れた発色性の記
録画像を得ることができる。
【0036】図14(1)〜(4)は、本発明にかかる
被記録媒体に着色部を形成する方法の1実施態様の着色
部1400の概略断面図及びその形成過程を説明する概
略過程図である。同図において、1401はインクと液
体組成物との反応物、例えば、色材と微粒子との反応物
を主として含む部分(以降「反応部」と略す)であり、
図13の主画像部IMに相当する部分である。1402
は、液体組成物との反応に実質的に関与しなかったイン
クが、反応部1401の辺縁に流出することによって形
成された部分(以降「インク流出部」と略す)であり、
図13の周辺部ISに相当する。かかる着色部1400
は、例えば、以下のようにして形成される。尚、同図に
示した1405は、被記録媒体の繊維間に生じる空隙を
模式的に表したものである。
【0037】先ず、色材1404と反応性を有する液体
組成物1406とが液滴として被記録媒体1403に付
与され(図14(1))、その結果、液体組成物の液溜
り1407が形成される(図14(2))。該液溜り1
407内で、被記録媒体の繊維表面の近傍の微粒子14
09は、被記録媒体の繊維表面に物理的又は化学的に吸
着する。この時、分散状態が不安定となって微粒子同士
の凝集物1411を形成するものもあると考えられる。
一方で、液溜り1407内の繊維より離れた部分では、
微粒子1409は、もとの分散状態を保っていると考え
られる。
【0038】次いで、インク1413が、液滴として被
記録媒体1403に付与される(図14(2))。その
結果、先ずインク1413と液溜り1407の界面にお
いて色材1404は、微粒子1409に化学的に吸着す
る。この反応は、液同士の反応(液−液反応)であるた
め、色材1404は単分子状態で、微粒子1409の表
面に均一に吸着すると考えられる(図14(3)−
2)。即ち、微粒子表面では、色材同士は凝集を起こさ
ないか或いは凝集しても僅かであると推測される。その
結果、反応部1401の表層部に単分子状態で色材14
04が吸着された微粒子が多数形成され、発色に最も影
響を与える表面層に色材を単分子状態で残存させること
ができるため、高画像濃度であって、且つ彩度の高い記
録画像を形成する。
【0039】次いで、これら色材1404が吸着した微
粒子は、分散状態が不安定となるため微粒子同士で凝集
すると考えられる(図14(3)−2)。即ち、ここで
形成された凝集物1415は、その内部にも単分子状態
の色材を保持している。この凝集物1415により、高
画像濃度、且つ高彩度の記録画像が形成される。
【0040】更に未反応の色材1404の一部は、液溜
り1407内を拡散し、未反応の微粒子1409の表面
に吸着する。このように、液溜り1407内部で色材と
微粒子との反応が更に進行するため、より高濃度で彩度
の高い画像が形成される。先に説明した被記録媒体の繊
維表面に形成された微粒子の凝集物1411には、液溜
り1407の液相が被記録媒体内への浸透を抑制する役
割があると考えられる。このため、液溜り1407で
は、浸透が抑制された液体組成物中の微粒子1409と
色材1404とがより多く混在することが可能となる。
これにより、色材1404と微粒子1409との接触確
率が高められ、反応が比較的均一に、且つ充分に進行
し、より均一で、画像の濃度と彩度とに優れた画像が形
成される。
【0041】また、液体組成物1406が被記録媒体1
403に付与された際(図14(1))や、液溜り14
07にインク1413が付与された際には(図14
(2))、微粒子1409を分散させている分散媒が変
化することによって微粒子1409の分散が不安定とな
り、色材1404が吸着する前に微粒子1409間で凝
集を起こすものも存在する。ここでいう分散媒の変化と
は、2種若しくはそれ以上の異種の液体が混合したとき
に一般的に観察される変化、例えば、液相のpHや固形
分濃度、溶剤組成、溶存イオン濃度等の物性変化を指
し、液体組成物が被記録媒体やインクと接触した際にこ
れらの変化が急激且つ複合的に生じて、微粒子の分散安
定性を破壊し凝集物を生成するものと考えられる。これ
らの凝集物は、繊維間の空隙を埋める効果や、色材を吸
着した微粒子を、より被記録媒体の表面近傍に残存させ
る効果をもたらすと推測される。
【0042】また、これら液溜り1407内で形成され
た凝集物は、被記録媒体に吸着しているものもあれば、
液相内を動ける(流動性を有する)ものも存在するが、
流動性を有するものは、前述の色材と微粒子との反応過
程と同様に、微粒子凝集物表面に色材が単分子状態で吸
着し、より大きな凝集塊を形成し、これが発色性の向上
に寄与しているものである。液相が繊維に沿って浸透す
る際に液相とともに移動し、空隙を埋めて被記録媒体の
表面を平滑化し、より均一で高濃度の画像の形成に寄与
すると考えられる。
【0043】本発明によって高発色の画像が得られるこ
とは、後述の結果により明らかであるが、これは、上記
したように、色材が単分子状態で微粒子若しくは微粒子
凝集物に吸着され、その状態で被記録媒体の表面近傍に
残ったためであると考えられる。色材が単分子状態で吸
着し、被記録媒体の表面近傍に残った微粒子は被記録媒
体の表面に定着する。これにより画像の耐擦過性や耐水
性等の堅牢性が向上する。
【0044】尚、これまで、液体組成物及びインクの順
で、被記録媒体に付与した場合で説明してきたが、イン
クと液体組成物との液−液反応が達成されれば、インク
と液体組成物との被記録媒体への付与順はこれに何ら限
られるものでなく、先ずインクを、次いで液体組成物を
付与する順であってもよい。更に図14(2)にも示し
た通り、被記録媒体に付与した液体組成物中の微粒子の
少なくとも一部は、液媒体の被記録媒体内部への浸透に
伴って、被記録媒体内部に浸透していると考えられる。
【0045】他方、図14(4)に明示したように、色
材が、先に浸透している微粒子に、単分子状態で吸着若
しくは結合していることも十分に想定し得ることであ
る。この様に被記録媒体内部において、色材が単分子状
態で吸着若しくは結合している微粒子も、発色性の向上
に寄与していると考えられる。更にこのような液媒体の
浸透により、定着性も向上すると考えられる。
【0046】また、本発明の液体組成物を用いることに
より、前述の被記録媒体の表面近傍に存在する微粒子凝
集物1411が形成される際に、凝集物の内部にある程
度の大きさの細孔が形成される。液溜り1407の中で
微粒子1409に吸着しきれなかった色材1404は、
被記録媒体内部へと浸透していく際に溶媒成分とともに
細孔を通って微粒子凝集物1411の内部へと浸透する
ものもある。その際、色材1305は微粒子凝集物内の
細孔の入口付近や細孔内壁に吸着し、溶媒成分のみが被
記録媒体内部へと浸透していくことによって、色材をよ
り多く微粒子凝集物1411の表面や内部に効率よく吸
着させ、被記録媒体の表面近傍に残留させることができ
る。
【0047】更に色材1404が染料の場合、微粒子凝
集物1411の細孔直径は色材1404のインク中で存
在している分子サイズの1〜数倍程度であるために、細
孔内部に吸着した色材1404は、色材同士の凝集が極
めて起こり難く、理想的な単分子状態を形成することが
可能となる。このことが発色性の更なる向上に大きく寄
与し、より一層広い色再現範囲を有する記録画像を得る
ことができる。
【0048】また、微粒子凝集物1411の細孔物性
は、液体組成物中に含まれる微粒子だけでなく、溶媒組
成等によっても影響されることが分かり、液体組成物か
ら微粒子凝集物を形成し、この微粒子凝集物のある特定
の細孔半径領域における細孔容積が、被記録媒体上で形
成される画像形成能と非常に相関性が高いことを見出し
た。
【0049】更に本発明では、被記録媒体の表面で、微
粒子と色材とを液相で反応させることにより、色材がア
ニオン性であるときは、極めて効率的にカチオン性微粒
子表面に色材が吸着することとなる。ここで、インクジ
ェット用コート紙において、本発明と同程度の色材吸着
を達成しようとすると、多量のカチオン性多孔質微粒子
が必要となり、基紙を覆い隠すような厚いインク受容層
の形成が不可欠となる。そのために、コート紙では基紙
の質感を損ねる結果に繋がるが、本発明の液体組成物を
構成する微粒子の量は少なくできるため、被記録媒体の
質感を損ねることなく、記録画像と未印字部で質感にお
いて違和感のない画像形成が可能となる。
【0050】また、本発明は、微粒子を含む液体組成物
とインクとを被記録媒体の表面に付与して画像を形成す
るという点において、前記した従来技術において(3)
に挙げて説明した、インクに微粒子含有液体組成物を外
添する方法と一見類似しているかのように見える。しか
し、本発明は、上記したように液体組成物と色材とを積
極的に反応させ、液体組成物中の微粒子を色材の凝集
(レーキ)を抑える手段として用いているのに対し、上
記(3)で説明した従来技術では、微粒子を含む溶液の
付与の目的は、被記録媒体の表面状態の改質であり、極
性の異なる微粒子とインク中の色材との間で化学的な反
応を生じさせるという思想は何ら開示されていない。そ
して、そのメカニズムの差異に基づくと推測される、こ
れらの記録技術にかかる記録画像と、本発明によって得
られる記録画像との品質の差異は明白なものであった。
【0051】次いで、前記(i)過程での記録のメカニ
ズムについて説明する。この過程は、前記(ii)過程に
おいてブリードの抑制効果が不充分な場合において、そ
れを改善するのに有効な過程である。即ち、前記インク
セットのうち、特定のインク同士が互いに反応する過程
である。1例を挙げると、ブリード現象が目立ち易いブ
ラックインクと、それ以外のカラーインク間の境界部に
おいて、少なくとも何れか一方の色材を凝集や析出等の
反応を起こさせることにより滲みを防止するのに特に有
効である。
【0052】前記反応を生じさせるのに有効な具体的手
段としては、 1)着色インクの少なくとも1つに多価金属塩を含有さ
せる方法。1例としては、ブラックインクに色材として
カーボンブラック等の顔料を分散させたものと、アルカ
リ土類金属等の多価金属塩を含有させたカラーインクか
らなるインクセットを用意する。該インクセットが被記
録媒体表面で接触した個所において、上記ブラック顔料
が多価金属塩と反応を起こして凝集物を発生させ、その
作用でブリードが抑制される。多価金属塩を含有するカ
ラーインク中で使用される色材としては、長期間インク
を保存した際に沈殿物等の発生の無い酸性染料や直接性
染料等の水溶性染料が望ましい。
【0053】2)着色インク同士のpHの差が2以上と
なるようなインクセットを用いる方法。上記1)と同様
に、顔料インクと染料インクが被記録媒体上で接触する
際、両者のpH差を2以上とすることで顔料の分散が不
安定になり、該顔料が凝集する結果ブリードが抑制され
る。顔料、染料ともにアニオン性のものを使用する際
は、顔料インクのpHを染料インクのpHより高く設定
し、且つその差が2以上となるようにするのが好まし
い。更に好ましい条件としては、顔料インクのpHを7
以上、染料インクのpHを5以下とするのが個々のイン
ク単独での保存安定性と、接触後のブリード抑制効果と
いう点で好ましい。 3)インクセットにアニオン性の着色剤とカチオン性の
着色剤を含有するインクを用いる方法。
【0054】以下に本発明と従来技術の思想の相違点に
ついて述べる。インクジェット用コート紙において、本
発明と同程度の色材吸着を達成しようとすると、多量の
カチオン性多孔質微粒子が必要となり、基紙を覆い隠す
ような厚いインク受容層の形成が不可欠となる。そのた
めに、コート紙では基紙の質感を損ねる結果に繋がる
が、本発明の液体組成物を構成する微粒子の量は少なく
できるため、被記録媒体の質感を損ねることなく、印字
部と未印字部で質感において違和感のない画像形成が可
能となる。前記1)の技術のように色材自体の被記録媒
体表面での残存量が十分で無かったり、前記2)の技術
のように色材の被記録媒体表面での残存量が十分であっ
ても、色材同士を凝集させてしまうものでは無く、本発
明では、微粒子表面に吸着した色材が微粒子とともに被
記録媒体表面に残すことが出来、かつ、それらの色材が
単分子状態を保持しているため高発色な画像が得ること
が可能となる。
【0055】また、本発明は、微粒子を含む液体組成物
とインクとを被記録媒体の表面に付与して画像を形成す
るという点において、前記した従来技術において(3)
に挙げて説明した、インクに微粒子含有液体組成物を外
添する方法と一見類似しているかのように見える。しか
し、本発明は、上記したように液体組成物と色材とを積
極的に反応させ、液体組成物中の微粒子を色材の凝集
(レーキ)を抑える手段として用いているのに対し、上
記(3)で説明した従来技術では、微粒子を含む溶液の
付与の目的は、被記録媒体の表面状態の改質であり、極
性の異なる微粒子とインク中の色材との間で化学的な反
応を生じさせるという思想は何ら開示されていない。そ
して、そのメカニズムの差異に基づくと推測される、こ
れらの記録技術にかかる記録物と、本発明によって得ら
れる記録物との品質の差異は明白なものであった。
【0056】<液体組成物>以下に本発明にかかる液体
組成物について説明する。 [液体組成物の測定方法]本発明では、以下の方法に従
って少なくとも微粒子と溶媒を含む液体組成物から得ら
れる微粒子凝集物のある特定の細孔半径領域における細
孔容積を測定する。先ず、これらの細孔物性を測定する
に当たり、上記液体組成物を以下の手順で前処理する。 (1)上記液体組成物を大気雰囲気下120℃で10時
間乾燥してほぼ溶媒分を蒸発させて乾燥する。 (2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で
昇温させた後700℃で3時間焼成する。 (3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し焼成物を
粉体化する。 ここで上記前処理を施す理由としては、乾燥によって液
体組成物から微粒子凝集物を形成させ、焼成により溶媒
成分を完全に除去して凝集物の内部の細孔を空にして空
隙を形成するためである。
【0057】本発明で用いる細孔半径と細孔容積の測定
方法として、窒素吸着脱離法を好適に用いることができ
る。本発明で測定する対象となる微粒子凝集物の細孔の
サイズは、細孔半径が3nm〜30nmの領域での細孔
容積である。この領域における細孔容積が画像形成能に
対し相関性が高い理由は明確ではないが、推測するに、
この細孔半径より小さい領域では微粒子凝集物の内部へ
の色材や溶媒成分の浸透が著しく低下し、細孔に起因し
た色材の吸着が少なく、実質的に発色性の向上に関与し
ないと考えられる。一方、この細孔半径の領域よりも大
きな細孔では色材や溶媒成分の浸透が起こりやすくなる
反面、細孔の入口付近や内部に吸着した色材は細孔自体
の光散乱の影響によって色材が光の吸収に関与しにくく
なり、逆に発色性の低下が引き起こされると考えられ
る。
【0058】よって細孔半径が3nm〜30nmの領域
と、30nmを越える領域での細孔容積を測定すること
が形成画像の発色性能の測定に効果的である。この領域
における細孔物性の測定方法としては窒素吸着脱離法に
よる方法がもっとも最適である。細孔半径と細孔容積は
前処理した試料を120℃8時間真空脱気した後、窒素
吸着脱離法よりBarrettらの方法(J.Am.C
hem.Soc.,Vol73,373,1951)か
ら求めることができる。更に好ましい測定方法としては
細孔半径が3nm〜20nmの領域と、20nmを越え
る領域での細孔容積を測定することである。この範囲で
は色材が染料である場合、特により一層の発色性の向上
を測定するうえで好ましい。
【0059】[微粒子凝集物の細孔半径及び細孔容積]
微粒子凝集物の細孔半径は前述の如く、色材の速やかな
浸透と細孔入口付近や内壁への吸着及び細孔内部での色
材の凝集を防ぐ観点から3nm〜30nmの範囲である
ことが好ましいと考えられる。また、発色性の向上に寄
与するだけの色材を内部に取り込むためには同時にある
程度の容量が必要である。また、細孔容積が増すことで
微粒子凝集物内の細孔の数も増加すると考えられ、細孔
内部への色材の吸着量だけでなく、細孔の入口付近での
吸着量も増加すると考えられる。
【0060】よってこれらの観点から本発明に好適に用
いられる液体組成物は、細孔半径が3nm〜30nmの
範囲における細孔容積が0.4ml/g以上で、細孔半
径が30nmを越える領域での細孔容積が0.1ml/
g以下となるような微粒子凝集物を形成可能なように微
粒子を含んでいるものであることが好ましい。微粒子凝
集物の細孔半径及び細孔容積を上記した範囲内とするこ
とによって、色材や溶媒成分が細孔内部により効率的に
浸透し、また細孔自体の光散乱も抑制される為か、発色
性のより一層の向上を図ることができる。
【0061】より好ましい範囲としては細孔半径が3n
m〜20nmの範囲における細孔容積が0.4ml/g
以上で、細孔半径が20nmを越える領域での細孔容積
が0.1ml/g以下であるのが好ましい。細孔が3n
m〜20nmの半径の範囲に多く存在することによって
特に色材に染料を用いた場合において、発色性は更に向
上し、より一層広い色再現範囲を有する画像が形成でき
る。液体組成物から形成される微粒子凝集物の細孔半径
や細孔容積は、含まれる微粒子の化学種や形状、大きさ
ばかりでなく、溶剤種やその他の添加物及びそれらの組
成比等により変化し、これらの条件を制御することによ
って微粒子凝集物の形成状態をコントロールできると考
えられる。
【0062】(微粒子)本発明において、液体組成物中
に含まれる微粒子に望まれる作用としては、 1)インクと混合した際に、色材の本来持つ発色性を損
なわずに、色材を吸着すること。 2)インクと混合した際、或いは被記録媒体に付与され
た際に、分散安定性が低下して、被記録媒体の表面に残
存すること。 等が挙げられる。これらの作用は1種若しくは2種以上
の微粒子によって達成されてもよい。
【0063】1)の作用を満たすための性質として、例
えば、微粒子が色材と逆のイオン性を呈することが挙げ
られる。これにより、微粒子は色材を静電的に吸着でき
る。色材がアニオン性の場合は、カチオン性の微粒子を
用い、逆に色材がカチオン性の場合はアニオン性の微粒
子が用いられる。イオン性以外に色材を吸着する要素と
しては、微粒子のサイズや質量或いは表面の形状が挙げ
られる。例えば、表面に多数の細孔を持つ多孔質微粒子
は、特有の吸着特性を示し、細孔の大きさや形状等、複
数の要素によって色材を吸着できる。
【0064】2)の作用は、インクや被記録媒体との相
互作用によって引き起こされる。このため、各構成によ
り達成されればよいが、例えば、微粒子の性質として、
インク組成成分や被記録媒体の構成成分と逆のイオン性
を呈することが挙げられる。また、インク中或いは液体
組成物中に電解質を共存させることによっても、微粒子
の分散安定性は影響を受ける。本発明において、上記
1)と2)の作用のどちらか一方の作用が瞬時に得られ
ることが望ましい。更には上記1)と2)と両方の作用
が瞬時に得られることが好ましい。
【0065】以下、夫々のイオン性微粒子を含有する液
体組成物に関して、具体的に説明する。 [カチオン性化合物含有液体組成物]カチオン性の液体
組成物としては、例えば、カチオン性基を表面に有する
微粒子と酸を含み、該微粒子が安定に分散されてなる液
体組成物が挙げられる。本発明においては、カチオン性
の液体組成物として、例えば、酸を含みpHが2〜7に
調整されたもの、また、ゼータ電位が+5〜+90mV
のものを好適に用いることができる。
【0066】(pH及びゼータ電位について)液体組成
物のゼータ電位について述べる。ゼータ電位の基本原理
について以下に示す。一般に、固体が液体中に分散して
いる系において、固相の表面に遊離電荷がある場合、固
相界面付近の液相には反対電荷の荷電層が電気的中性を
保つように現れる。これは電気的二重層と呼ばれ、この
電気的二重層による電位差のことをゼータ電位と呼んで
いる。ゼータ電位がプラスである場合、微粒子の表面は
カチオン性を示し、マイナスではアニオン性を示す。一
般に、その絶対値が高いほど微粒子間に働く静電的反発
力が強くなり、分散性がよいと言われ、同時に微粒子表
面のイオン性が強いことが考えられる。即ち、カチオン
性微粒子のゼータ電位が高いほどカチオン性が強く、イ
ンク中のアニオン性化合物を引き付ける力が強いと言え
る。
【0067】更に本発明者らが鋭意検討した結果、ゼー
タ電位が+5〜+90mVの範囲にある液体組成物を用
いた場合に、被記録媒体上に形成してなる着色部が、特
に優れた発色特性を呈することを見出した。その理由は
定かではないが、おそらく、微粒子のカチオン性が適度
であるために急速なアニオン性化合物(アニオン性色
材)の凝集が起こらずに、アニオン性化合物が微粒子表
面に薄く均一に吸着するので、色材が巨大なレーキを形
成しにくく、その結果、色材本来の発色特性がより良好
な状態で発現されるものと考えられる。
【0068】更に本発明のカチオン性の液体組成物で
は、アニオン性化合物を微粒子表面に吸着した後も、微
粒子が弱いカチオン性を呈しつつ分散不安定状態となる
ことで、微粒子が凝集しながら被記録媒体中に存在する
アニオン性のセルロース繊維等の表面に容易に吸着し
て、被記録媒体の表面近傍に残り易くなっていると考え
られる。
【0069】この結果、以下に挙げる優れた効果が得ら
れるものと考えられる。即ち、インクジェット用コート
紙並みの優れた発色特性と、シャドウ部やベタ部等のイ
ンク付与量が多い画像領域において、白モヤや色ムラが
少なく、色の均一性に優れたものとなる。また、コート
紙と比べて極めて効率よく微粒子にアニオン性化合物が
吸着して発色するために、カチオン性微粒子の付与量も
少なくできるので、とりわけ普通紙に印字した場合に
は、紙の風合いを損なうことがなく、記録画像の耐擦過
性にも優れる。より好ましいゼータ電位の範囲として
は、例えば、ゼータ電位が+10〜+85mVの範囲に
あるカチオン性微粒子を含む液体組成物を使用した場合
には、ベタ印字した際にドット間の境界が目立ち難くな
り、ヘッドスキャンによるスジムラのより一層の低減を
達成することができ、更には、ゼータ電位が+15〜+
65mVの範囲にあるカチオン性微粒子を含む液体組成
物を使用すると、紙種によらず、極めて優れた発色性を
有する画像を得ることが可能となる。
【0070】本発明のカチオン性の液体組成物のpH
は、保存安定性とアニオン性化合物の吸着性の観点か
ら、25℃付近で2〜7の範囲にあることが好ましい。
このpHの範囲内においては、アニオン性のインクと混
合した際に、アニオン性化合物の安定性を著しく低下さ
せることがないため、アニオン性化合物同士の強い凝集
を引き起こすことがなく、記録画像の彩度が下がった
り、くすんだ画像となることを有効に防止することがで
きる。また、上記範囲内であるとカチオン性微粒子の分
散状態も良好であるので、液体組成物の保存安定性や記
録ヘッドからの吐出安定性を良好に維持することができ
る。
【0071】更にはインクと混合した際に、アニオン性
物質がカチオン性微粒子表面に十分に吸着されるので、
被記録媒体内部への色材の過度の浸透が抑えられ、優れ
た発色性のインクジェット記録画像を得られる。より好
ましいpHの範囲としては、pHが3〜6であり、この
範囲では、長期保存による記録ヘッドの腐食を極めて有
効に防止できるとともに、記録画像の耐擦過性もより一
層向上する。
【0072】(カチオン性微粒子)次に、本発明のカチ
オン性の液体組成物を構成する成分について述べる。第
1の成分として挙げられるカチオン性の微粒子は、上記
した作用効果を達成するために、液体組成物中に分散さ
れた状態において粒子自体の表面がカチオン性を呈する
ことを要する。表面をカチオン性とすることによって、
アニオン性のインクと混合した際に、アニオン性の色材
が粒子表面に速やかに吸着し、色材の被記録媒体内部へ
の過度の浸透が抑えられるので、十分な画像濃度のイン
クジェット記録画像が得られる。
【0073】これに対し、微粒子表面がカチオン性でな
く、且つ液体組成物の中で水溶性のカチオン性化合物と
別々に存在しているような場合には、カチオン性化合物
を中心に色材が凝集を起こし、色材自体の発色特性を損
なうためにインクジェット用コート紙並みの発色性を達
成することが困難となる。そのため本発明の液体組成物
に用いられる微粒子は、その表面がカチオン性である必
要があるが、本質的にカチオン性である微粒子は勿論の
こと、本来は静電的にアニオン性或いは中性である微粒
子であっても、処理によって表面がカチオン化された微
粒子であれば本発明の液体組成物に用いることができ
る。
【0074】本発明で好適に用いられるカチオン性微粒
子は、被記録媒体上で形成されるこれらの微粒子による
凝集物に細孔が形成されるものであれば本発明の目的を
達成するに十分であるために特に微粒子の材料種に限定
はない。1例として具体例を挙げるとすれば、例えば、
カチオン化した、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、
チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカボリア、セリ
ア、マグネシア、シリカマグネシア、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等や
これらの複合微粒子や有機微粒子、無機有機複合微粒子
等が挙げられる。そして、本発明の液体組成物において
は、これらを1種又は2種以上混合して使用することが
できる。
【0075】特に微粒子としてアルミナ水和物を用いた
場合は粒子表面が正電荷をもっているために好ましく、
中でもX線回折法で、べーマイト構造を示すアルミナ水
和物が優れた発色性や色の均一性、保存安定性等の点で
好ましい。アルミナ水和物は下記の一般式により定義さ
れる。 Al23-n(OH)2n・mH2O 但し式中、nは0〜3の整数の一つを表し、mは0〜1
0、好ましくは0〜5の値を有する。mH2Oの表現
は、多くの場合に結晶格子の形成に関与しない脱離可能
な水相を表すものであり、そのために、mは整数でない
値をとることもできる。但し、mとnは同時に0とはな
らない。
【0076】一般にベーマイト構造を示すアルミナ水和
物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層
状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示
す。完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰
な水を(020)面の層間に含んだ構造をとることもで
きる。この擬ベーマイトのX線回折図形はベーマイトよ
りもブロードな回折ピークを示す。
【0077】ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別の
できるものではないので、本発明では特に断わらない限
り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物
(以下アルミナ水和物という)という。(020)面が
面間隔及び(020)の結晶厚さは、回折速度2θが1
4〜15°に現れるピークを測定して、ピークの回折角
度2θと半値幅Bから、面間隔はブラッグ(Bragg)の
式で、結晶厚さはシェラー(Scherrer)の式を用いて求
めることができる。(020)の面間隔はアルミナ水和
物の親水性・疎水性の目安として用いることができる。
本発明で用いるアルミナ水和物の製造方法としては、特
に限定されないが、ベーマイト構造をもつアルミナ水和
物を製造できる方法であれば、例えば、アルミニウムア
ルコキシドの加水分解、アルミン酸ナトリウムの加水分
解等の公知の方法で製造することができる。
【0078】特開昭56−120508号公報に開示さ
れているように、X線回折的に無定形のアルミナ水和物
を、水の存在下で50℃以上で加熱処理することによっ
てベーマイト構造に変えて用いることができる。特に好
ましく用いることができる方法は、長鎖のアルミニウム
アルコキシドに対して酸を添加して加水分解・解膠を行
うことによってアルミナ水和物を得る方法である。ここ
で、長鎖のアルミニウムアルコキシドとは、例えば、炭
素数が5以上のアルコキシドであり、更に炭素数12〜
22のアルコキシドを用いると、後述するようにアルコ
ール分の除去及びアルミナ水和物の形状制御が容易にな
るために好ましい。
【0079】添加する酸としては有機酸及び無機酸の中
から1種又は2種以上を自由に選択して用いることがで
きるが、加水分解の反応効率及び得られたアルミナ水和
物の形状制御や分散性の点で硝酸が最も好ましい。この
過程の後に水熱合成等を行って粒子径を制御することも
可能である。硝酸を含むアルミナ水和物の分散液を用い
て水熱合成を行うと、水溶液中の硝酸がアルミナ水和物
表面に硝酸根として取り込まれ、該水和物の水分散性を
向上させることができる。また、水熱合成の後、アルミ
ナ水和物スラリーに適宜酸を加えpH調整し濃縮するこ
とで、少量の酸濃度で極めて安定な高固形分濃度のアル
ミナ水和物スラリーを調製することができる。こうした
スラリーを用いた場合は後述する酸を別途外添する必要
なく、アルミナ水和物微粒子の分散安定性に優れた液体
組成物を作製することができる。
【0080】上記アルミニウムアルコキシドの加水分解
による方法は、アルミナヒドロゲルやカチオン性アルミ
ナを製造する方法と比較して、各種イオン等の不純物が
混入し難いという利点がある。更に長鎖のアルミニウム
アルコキシドは加水分解後の長鎖のアルコールが、例え
ば、アルミニウムイソプロキシド等の短鎖のアルコキシ
ドを用いる場合と比較して、アルミナ水和物の脱アルコ
ールを完全に行うことができるという利点もある。加水
分解の開始時の溶液のpHを6未満に設定することが好
ましい。pHが8を越えると、最終的に得られるアルミ
ナ水和物が結晶質になるので好ましくない。
【0081】また、本発明で用いられるアルミナ水和物
としては、X線回折法でベーマイト構造を示すものであ
れば、二酸化チタン等の金属酸化物を含有したアルミナ
水和物を用いることもできる。二酸化チタン等の金属酸
化物の含有比率はアルミナ水和物の0.01〜1.00
質量%が光学濃度が高くなるので好ましく、より好まし
くは0.13〜1.00質量%であり、色材の吸着速度
が速くなって、滲みやビーディングが発生し難くなる。
更に前記二酸化チタンはチタンの価数が+4価であるこ
とが必要である。二酸化チタンの含有量は硼酸に融解し
てICP法で調べることができる。また、アルミナ水和
物中の二酸化チタンの分布とチタンの価数はESCAを
用いて分析することができる。
【0082】アルミナ水和物の表面をアルゴンイオンで
100秒及び500秒エッチングして、チタンの含有量
の変化を調べることができる。二酸化チタンはチタンの
価数が+4価よりも小さくなると、二酸化チタンが触媒
として働くようになって記録画像の耐候性が低下した
り、記録画像の黄変が起こり易くなることがある。
【0083】二酸化チタンの含有はアルミナ水和物の表
面近傍だけでもよく、内部まで含有していてもよい。ま
た、含有量が表面から内部にかけて変化していてもよ
い。表面のごく近傍にのみ二酸化チタンが含有されてい
ると、アルミナ水和物の電気的特性が維持され易いの
で、更に好ましい。
【0084】二酸化チタンを含有したアルミナ水和物の
製造方法としては、例えば、学会出版センター刊「表面
の科学」第327頁(田丸謙二編、1985年)に記載
されているような、アルミニウムアルコキシドとチタン
アルコキシドの混合液を加水分解して製造する方法が好
ましい。その他の方法としては前記アルミニウムアルコ
キシドとチタンアルコキシドの混合液を加水分解すると
きに、結晶成長の核としてアルミナ水和物を添加して製
造することもできる。
【0085】二酸化チタンの代わりにシリカ、マグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、
硼素、ゲルマニウム、錫、鉛、ジルコニウム、インジウ
ム、燐、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリ
ブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッ
ケル、ルテニウム等の酸化物を含有させて用いることが
できる。例えば、シリカを含有したアルミナ水和物は記
録画像の耐擦過性の向上に効果がある。
【0086】本発明に好適に用いられるアルミナ水和物
の(020)面の面間隔は0.614nm〜0.626
nmの範囲が好適に用いられ、この範囲内では液体組成
物中でのアルミナ水和物粒子の分散安定性が良好で、保
存安定性や吐出安定性に優れた液体組成物が得られる。
この理由は定かでないが、(020)面の面間隔が上記
範囲内であれば、アルミナ水和物の疎水性及び親水性の
両比率が適度な範囲であるため、液体組成物中で粒子同
士の適度な反発による分散安定や吐出口内部での濡れ性
のバランスが適度であることにより、液体組成物の吐出
安定性が良好になるものと推測している。
【0087】また、アルミナ水和物の(020)面の結
晶厚さは4.0〜10.0nmの範囲が好ましく、この
範囲内であると透明性や色材の吸着性が優れるために好
ましい。本発明者らの知見によれば、(020)面の面
間隔と(020)面の結晶厚さは相関があるので、(0
20)面の面間隔が上記範囲内であれば(020)面の
結晶厚さを4.0〜10.0nmの範囲に調整すること
ができる。
【0088】更に、上記アルミナ水和物や金属アルミニ
ウム、アルミニウム塩等をカ焼等の熱処理により生成さ
れるアルミナ(酸化アルミニウム)も同様に正電荷をも
つため好適に用いられる。アルミナとしてはα型、γ
型、更にδ、χ、η、ρ、β型などの結晶状態を持つも
のがあり、表面がカチオン性に保たれた形で、水中にて
安定的に分散するものであればいずれも用いることが出
来る。中でもγ型は表面が活性で、色材の吸着力が高
く、比較的微粒化された安定な微粒子分散体も形成しや
すいため、発色性や保存性、吐出安定性等に優れ、好適
に用いることが出来る。
【0089】また、本発明で使用する上記したようなカ
チオン性微粒子は、印字後の発色性、色の均一性及び保
存安定性等の観点から、動的光散乱方式により測定され
る平均粒子直径が0.005〜1μmの範囲のものが好
適に用いられる。この範囲内では、被記録媒体内部への
過度の浸透を有効に防ぐことができ、発色性や色の均一
性の低下を抑えることができる。また、カチオン性微粒
子が液体組成物中で沈降することも抑えられ、液体組成
物の保存安定性の低下も有効に防止することができる。
より好ましくは平均粒子直径が0.01〜0.8μmの
範囲内のものであり、このような微粒子を用いれば、被
記録媒体に印字した後の画像の耐擦過性や記録画像の質
感が特に好ましいものとなる。更に好ましくは平均粒子
直径が0.03〜0.3μmの範囲内のものであり、こ
のような微粒子は被記録媒体上で形成される微粒子凝集
物の細孔が、目的とする細孔半径領域において効果的に
形成し易いために好ましい。
【0090】(カチオン性微粒子の細孔物性・形状)ま
た、本発明で使用する上記したようなカチオン性微粒子
は、被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔を効
率的に形成すると同時に、微粒子自体の表面に色材を効
率よく吸着させるうえにおいて、上記窒素吸着脱離法に
おける微粒子の極大細孔半径が2nm〜12nmで、全
細孔容積が0.3ml/g以上であるものが好ましい。
より好ましくは微粒子の極大細孔半径が3nm〜10n
mで、全細孔容積が0.3ml/g以上であるものが、
被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的
とする細孔半径領域において効果的に形成され易いため
に好ましい。
【0091】本発明で使用する上記微粒子のBET比表
面積が70〜300m2/gの範囲内であると、微粒子
表面への色材の吸着点が十分存在することによって、単
分子状態で色材をより効果的に被記録媒体の表面近傍に
残し易くなり、発色性の向上に寄与する。
【0092】また、本発明で使用する微粒子の形状は、
微粒子をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴
下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察し
て求めることができる。本発明においては被記録媒体上
で微粒子凝集物を形成させる際に凝集物内に細孔を形成
させる点で、微粒子形状が針状や平板形状、若しくは球
状の一次粒子が、ある方向性を持って繋がった二次粒子
を形成している棒状やネックレス状等の非球形状のもの
を好適に用いることができる。
【0093】本発明者らの知見によれば、平板状の形状
の方が針状や毛状束(繊毛状)よりも水への分散性が良
く、微粒子凝集物を形成した場合に微粒子の配向がラン
ダムになるために細孔容積が大きくなるのでより好まし
い。ここで毛状束形状とは針状の微粒子が側面同士を接
して髪の毛の束のように集まった状態をいう。特に本発
明で好ましく用いることができるアルミナ水和物の中で
も擬ベーマイトには前記文献(Rocek J.,etal,Applied
Catalysis,74巻、29〜36頁、1991年)に記載
されたように、繊毛状とそれ以外の形状があることが一
般に知られている。
【0094】平板形状の粒子のアスペクト比は特公平5
−16015号公報に定義されている方法で求めること
ができる。アスペクト比は粒子の厚さに対する直径の比
で示される。ここで直径とは、アルミナ水和物を顕微鏡
又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等し
い面積を有する円の直径を示すものとする。縦横比はア
スペクト比と同じように観察して平板面の最小値を示す
直径と最大値を示す直径の比で表わされる。
【0095】また、毛状束形状の場合には、アスペクト
比を求める方法は、毛状束を形成する個々の針状のアル
ミナ水和物粒子を円柱として、上下の円の直径と長さを
それぞれ求めて、その比をとって求めることができる。
最も好ましいアルミナ水和物の形状は、平板状では平均
アスペクト比が3〜10の範囲で、毛状束では平均アス
ペクト比が3〜10の範囲が好ましい。平均アスペクト
比が上記範囲内であれば、微粒子凝集物を形成したとき
に粒子間に隙間が形成され易いため多孔質構造を容易に
形成することができる。
【0096】本発明の液体組成物中における上記したよ
うなカチオン性微粒子の含有量としては、使用する物質
の種類により、最適な範囲を適宜決定すればよいが、質
量基準で0.1〜40%の範囲が本発明の目的を達成す
るうえで好適な範囲であり、より好ましくは1〜30
%、更には3〜15%の範囲が好適である。このような
範囲内では、紙種によらず優れた発色の画像を安定に得
ることができ、また、液体組成物の保存安定性や吐出安
定性にも特に優れている。
【0097】(酸)先に述べたように、本発明の液体組
成物は、酸を含み、pHが2〜7に調整されたものであ
ることが好ましいが、この第2の成分である酸は、カチ
オン性微粒子表面をイオン化し、表面電位を高めること
により、液中での微粒子の分散安定性を向上させるとと
もに、インク中のアニオン性化合物(アニオン性色材)
の吸着性向上や、液体組成物の粘度調整の役割を果た
す。本発明に好適に用いられる酸は、使用するカチオン
性微粒子と組み合わせて、所望のpHやゼータ電位或い
は微粒子分散性等の物性が得られるものであれば特に限
定はなく、下記に挙げる無機酸や有機酸等から自由に選
択して使用することができる。
【0098】具体的には、無機酸としては、例えば、塩
酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、硼酸、炭酸等
が挙げられ、有機酸としては、例えば、下記に挙げるよ
うなカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸等が挙げられ
る。
【0099】カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢
酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フル
オロ酢酸、トリメチル酢酸、メトキシ酢酸、メルカプト
酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、
フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイ
ル酸、p−トルイル酸、o−クロロ安息香酸、m−クロ
ロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ブロモ安息香
酸、m−ブロモ安息香酸、p−ブロモ安息香酸、o−ニ
トロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、p
−ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、m−アミノ安
息香酸、p−アミノ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、
m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸等が挙げ
られる。
【0100】また、スルホン酸としては、例えば、ベン
ゼンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、エチルベ
ンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメ
チルベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、1−
スルホナフタレン、2−スルホナフタレン、ヘキサンス
ルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等
が挙げられる。
【0101】また、アミノ酸としては、グリシン、アラ
ニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−
アラニン、タウリン、セリン、ε−アミノ−n−カプロ
ン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン等が
挙げられる。
【0102】そして、本発明の液体組成物においては、
これらを1種又は2種以上混合して使用することができ
る。これらの中でも、酸の水中での一次解離定数pka
が5以下のものは、カチオン性微粒子の分散安定性やア
ニオン性化合物の吸着性に特に優れるため、好適に用い
ることができる。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、燐
酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、マレイン
酸、マロン酸等が挙げられる。
【0103】本発明の液体組成物では、液体組成物中に
おけるカチオン性微粒子(A)と酸(B)の混合比率
を、質量基準でA:B=200:1〜5:1、より好ま
しくは150:1〜8:1の範囲となるようにすること
が、カチオン性微粒子の分散安定性の向上及びアニオン
性化合物の微粒子表面への吸着性の向上を図るうえで好
ましい。
【0104】(他の構成成分)次に、カチオン性の液体
組成物を構成するその他の成分について具体的に説明す
る。本発明のカチオン性の液体組成物は、上記したカチ
オン性微粒子を必須の成分とし、好ましくは上記したよ
うな酸を含み、その他に、通常は液媒体として水を含む
が、更に水溶性有機溶剤及びその他の添加剤を含んでい
てもよい。
【0105】この際に使用する水溶性有機溶剤として
は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレ
ングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコー
ル、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アル
コールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチル
アルコール等の1価アルコール類の他、グリセリン、N
−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダ
ゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメ
チルサルホキサイド等が挙げられる。上記水溶性有機溶
剤の含有量については特に制限はないが、例えば、液体
組成物全質量の5〜60%、更には5〜40%が好適な
範囲である。
【0106】また、本発明の液体組成物には、更にこの
他、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、
各種界面活性剤、酸化防止剤及び蒸発促進剤、水溶性カ
チオン性化合物やバインダー樹脂等の添加剤を適宜に配
合しても構わない。界面活性剤の選択は、液体組成物の
被記録媒体への浸透性を調整するうえで特に重要であ
る。水溶性カチオン性化合物は、液体組成物のカチオン
性の更なる付与等を目的に、本発明の作用効果を阻害し
ない範囲において自由に選択して添加できる。
【0107】バインダー樹脂は、カチオン性微粒子の更
なる耐擦過性の向上等の目的で、被記録媒体の質感や液
体組成物の保存安定性や吐出安定性を損ねない範囲にお
いて併用することができ、例えば、水溶性ポリマーやエ
マルジョン、ラテックス等から自由に選択して使用する
ことができる。
【0108】(液体組成物の表面張力)本発明の液体組
成物は、無色或いは白色であることがより好ましいが、
被記録媒体の色に合わせて調色してもよい。更に以上の
ような液体組成物の各種物性の好適な範囲としては、表
面張力を10〜60mN/m(dyn/cm)、より好
ましくは10〜40mN/m(dyn/cm)とし、粘
度を1〜30mPa・s(cP)としたものである。
【0109】[アニオン性液体組成物]本発明のアニオ
ン性の液体組成物は、アニオン性基を表面に有する微粒
子を必須の構成成分とし、該微粒子が安定に分散してい
ることを特徴とするが、更には塩基を含み、pHが7〜
12に調整されているものや、ゼータ電位が−5〜−9
0mVであるものが好ましい。
【0110】(pH及びゼータ電位について)本発明者
らが鋭意検討した結果、液体組成物のゼータ電位が−5
〜−90mVの範囲にあるものは、インク中のカチオン
性化合物(カチオン性色材)がアニオン性微粒子の表面
に特に効率よく吸着し、被記録媒体上において特に優れ
た発色特性を呈することを見出した。その理由は定かで
はないが、おそらく先に説明したカチオン性液体組成物
の場合と同様に、微粒子のアニオン性が適度であるため
に、インク中のカチオン性化合物の急速な凝集が起こら
ずに、微粒子表面に薄く均一に吸着することで色材が巨
大なレーキを形成せず、色材本来の発色特性がよりよく
発現されるものと考えられる。更に本発明のアニオン性
の液体組成物においては、カチオン性化合物を微粒子表
面に吸着した後に分散不安定となり、被記録媒体上で溶
媒成分が浸透する際の濃度変化で微粒子同士が凝集して
表面近傍に残り易くなるものと考えられる。
【0111】この結果、以下に挙げる優れた効果が得ら
れるものと考えられる。即ち、インクジェット用コート
紙並みの優れた発色特性とシャドウ部やベタ部等のイン
ク付与量が多い画像領域において、白モヤや色ムラが少
なく色の均一性に優れる。また、コート紙と比べて極め
て効率よく微粒子表面にカチオン性化合物が吸着し、発
色するために、アニオン性微粒子の付与量も少なくで
き、とりわけ普通紙に印字した場合には、紙の風合いが
保たれ、記録画像の耐擦過性も良くなる。より好ましい
ゼータ電位の範囲としては、例えば、ゼータ電位が−1
0〜−85mVの範囲にあるアニオン性微粒子を含む液
体組成物を使用した場合には、ベタ印字した際にドット
間の境界が目立ち難くなり、ヘッドスキャンによるスジ
ムラのより一層の低減を達成することができ、更には、
ゼータ電位が−15〜−65mVの範囲にあるアニオン
性微粒子を含む液体組成物を使用すると、紙種によら
ず、極めて優れた発色性を有する画像を得ることが可能
となる。
【0112】本発明のアニオン性の液体組成物のpH
は、保存安定性とカチオン性化合物の吸着性の観点から
25℃付近で7〜12の範囲であることが好ましい。こ
のpH範囲内においては、カチオン性のインクと混合し
た際に、カチオン性化合物の安定性を著しく低下させる
ことがないため、カチオン性化合物同士の強い凝集を引
き起こすことがなく、記録画像の彩度が下がったり、く
すんだ画像となることを有効に防止することができる。
【0113】また、上記のような範囲内にあれば、アニ
オン性微粒子の分散性も良好であるため、液体組成物の
保存安定性や記録ヘッドからの吐出安定性を良好に維持
することができる。更にはインクと混合した際に、カチ
オン性物質がアニオン性微粒子表面に十分に吸着され、
被記録媒体の内部への色材の過度の浸透を抑えるため、
優れた発色性のインクジェット記録画像を得られる。よ
り好ましい液体組成物のpHの範囲は8〜11であり、
pHがこの範囲内であれば、長期保存による記録ヘッド
の腐食を極めて有効に防止できるとともに、記録画像の
耐擦過性もより一層向上する。
【0114】(アニオン性微粒子)次に、本発明のアニ
オン性の液体組成物を構成する成分について述べる。第
1の成分として挙げられるアニオン性の微粒子は、上記
した作用効果を達成するために、液体組成物中に分散さ
れた状態において粒子自体の表面がアニオン性を呈する
ものであることが好ましい。表面をアニオン性とするこ
とによってカチオン性のインクと混合した際に、カチオ
ン性の色材を粒子表面に吸着でき、色材が被記録媒体内
部へ過度に浸透することが抑えられるので、十分な画像
濃度のインクジェット記録画像を得ることができる。
【0115】これに対し、微粒子表面がアニオン性でな
く、且つ液体組成物の中で、水溶性のアニオン性化合物
と別々に存在している場合には、アニオン性化合物を中
心に色材が凝集を起こし、色材自体の発色特性を損なう
ために、インクジェット用コート紙並みの発色性を達成
することが困難となる。そのため本発明の液体組成物で
用いる微粒子は、表面がアニオン性に帯電していること
が必要であるが、本質的にアニオン性である微粒子は勿
論のこと、本来は静電的にカチオン性或いは中性の微粒
子であっても、処理によって表面がアニオン化された微
粒子であれば用いることができる。
【0116】本発明で好適に用いられるアニオン性微粒
子は、被記録媒体上で形成されるこれらの微粒子による
凝集物に細孔が形成されるものであれば本発明の目的を
達成するに十分であるために特に微粒子の材料種に限定
はない。1例として具体例を挙げるとすれば、例えば、
アニオン化した、シリカ、チタニア、ジルコニア、ボリ
ア、シリカボリア、セリア、マグネシア、シリカマグネ
シア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛等
やこれらの複合微粒子や有機微粒子、無機有機複合微粒
子等が挙げられる。そして、本発明の液体組成物におい
ては、これらを1種又は2種以上混合して使用すること
ができる。
【0117】また、本発明で使用するアニオン性微粒子
は、先に説明したカチオン性微粒子の場合と同様に、印
字後のインクの発色性、色の均一性及び保存安定性の観
点から、動的光散乱方式により測定される平均粒子直径
が0.005〜1μmの範囲のものが好適である。より
好ましくは平均粒子直径が0.01〜0.8μmの範囲
内のものであり、このような微粒子を用いれば、被記録
媒体に印字した後の耐擦過性や質感が特に好ましいもの
となる。更に好ましくは平均粒子直径が0.03〜0.
3μmの範囲内のものであり、このような微粒子は被記
録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的とす
る細孔半径領域において効果的に形成し易いために好ま
しい。
【0118】(アニオン性微粒子の細孔物性・形状)ま
た、本発明で使用する上記したようなアニオン性微粒子
は、被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔を効
率的に形成すると同時に、微粒子自体の表面に色材を効
率よく吸着させるうえにおいて前記窒素吸着脱離法にお
ける微粒子の極大細孔半径が2nm〜12nmで、全細
孔容積が0.3ml/g以上であるものが好ましい。よ
り好ましくは微粒子の極大細孔半径が3nm〜10nm
で、全細孔容積が0.3ml/g以上であるものが被記
録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的とす
る細孔半径領域において効果的に形成され易いために好
ましい。
【0119】本発明で使用する微粒子のBET比表面積
は70〜300m2/gの範囲内であると、微粒子表面
への色材の吸着点が十分存在することによって単分子状
態で色材をより効果的に被記録媒体の表面近傍に残し易
くなり、発色性の向上に寄与する。
【0120】また、本発明で使用する微粒子の形状は、
微粒子をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴
下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察し
て求めることができる。本発明においては被記録媒体上
で微粒子凝集物を形成させる際に凝集物内に細孔を形成
させる点で、微粒子形状が針状や平板形状、若しくは球
状の一次粒子がある方向性を持って繋がった二次粒子を
形成している棒状やネックレス状等の非球形状のものを
好適に用いることができる。本発明者らの知見によれ
ば、平板状の形状の方が針状よりも水への分散性が良
く、微粒子凝集物を形成した場合に微粒子の配向がラン
ダムになるために細孔容積が大きくなるのでより好まし
い。
【0121】上記したようなアニオン性微粒子の液体組
成物中の含有量としては、使用する物質の種類により、
最適な範囲を適宜に決定すればよいが、質量基準で0.
1〜40%の範囲とすることが本発明の目的を達成する
上で好適な範囲であり、より好ましくは1〜30%、更
には3〜15%の範囲が好適である。このような範囲内
では、紙種によらず、優れた発色の画像を安定に得るこ
とができ、また、液体組成物の保存安定性や吐出安定性
にも特に優れている。
【0122】(塩基)先に述べたように、本発明のアニ
オン性の液体組成物は、塩基を含み、pHが7〜12に
調整されたものであることが好ましいが、この第2の成
分である塩基は、アニオン性微粒子表面をイオン化し、
表面電位を高めることにより液中での分散安定性を向上
させるとともに、インク中のカチオン性化合物(カチオ
ン性色材)の吸着性向上や液体組成物の粘度調整の役割
を果たす。本発明に好適に用いられる塩基は、使用する
アニオン性微粒子と組み合わせた場合に、所望のpH、
ゼータ電位及び微粒子分散性等の物性が得られるもので
あれば特に限定はなく、下記に挙げるような無機化合物
や有機化合物等から自由に選択して、使用することがで
きる。
【0123】具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、
水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、
アンモニア、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、モル
ホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、
ノルマルブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノ
ールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタ
ノールアミン、ノルマルブチルジエタノールアミン、ジ
ノルマルブチルエタノールアミン、モノイソプロパノー
ルアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパ
ノールアミン等のアルカノールアミンを用いることがで
きる。これらの中でも特に、塩基の水中での一次解離定
数pkbが5以下の塩基は、アニオン性微粒子の分散安
定性やカチオン性化合物(カチオン性色材)の吸着性に
特に優れるため、好適に用いられる。
【0124】本発明の液体組成物中でのアニオン性微粒
子(A)と塩基(B)の混合比率は、質量基準でA:B
=200:1〜5:1、より好ましくは150:1〜
8:1の範囲であれば、アニオン性微粒子の分散安定性
や、該微粒子表面へのカチオン性化合物の吸着性に優れ
るために好ましい。
【0125】(他の構成成分)次に、アニオン性の液体
組成物を構成するその他の成分について具体的に説明す
る。本発明のアニオン性の液体組成物は、上記したアニ
オン性微粒子を必須の成分とし、好ましくは上記したよ
うな塩基を含み、その他に、通常は液媒体として水を含
むが、更に水溶性有機溶剤及びその他の添加剤、例え
ば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、各種界面活性
剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、水溶性アニオン性化合物
やバインダー樹脂等の添加剤を適宜配合してもかまわな
い。
【0126】(液体組成物の表面張力)本発明のアニオ
ン性の液体組成物は、無色或いは白色であるのがより好
ましいが、被記録媒体の色に合わせて調色してもよい。
更に以上のような液体組成物の各種物性の好適な範囲と
しては、表面張力を10〜60mN/m(dyn/c
m)、より好ましくは10〜40mN/m(dyn/c
m)とし、粘度を1〜30mPa・s(cP)としたも
のである。
【0127】(液体組成物の製造方法)前記微粒子を含
む本発明の液体組成物の製造方法としては、一般に分散
に用いられている方法等の中から選択して用いることが
できる。具体的には液体組成物中の微粒子の平均粒子径
や粒度分布を上記範囲にするために、ロールミル、サン
ドミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超高
圧乳化機(例えば、商品名ナノマイザー等)等の分散機
を用いて分散処理や、遠心分離や限外ろ過等による分級
処理等が好適に用いられ,これらの処理手段によって液
体組成物中の微粒子の分散粒子径を揃えることができ
る。
【0128】<着色インク> [アニオン性色材含有インク]次に、上記で説明したカ
チオン性の液体組成物と組み合わせて本発明のインクセ
ットを構成する水性のアニオン性色材含有インクについ
て説明する。ここでいうインクセットとは、本発明の液
体組成物と、アニオン性物質(アニオン性色材)を含有
する少なくとも1種類のアニオン性色材含有インクとの
組み合わせをいう。また、このインクセットから本発明
の液体組成物を除いた、少なくとも1種類のインクの組
み合わせをインクサブセットと呼ぶ。
【0129】本発明で使用するアニオン性色材含有イン
クは、色材としてアニオン性基を含有する水溶性染料を
用いるか或いは色材として顔料を用いる場合には、アニ
オン性化合物を併用させたもの(これも本発明ではアニ
オン性色材という)を用いることが好ましい。本発明で
使用される上記のようなアニオン性色材含有インクに
は、更にこれに、水、水溶性有機溶剤及びその他の成
分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活
性剤、酸化防止剤等が必要に応じて含まれて構成され
る。以下、これらのインクの各構成成分について説明す
る。
【0130】(水溶性染料)本発明で使用するアニオン
性基を有する水溶性染料としては、例えば、カラーイン
デックス(Color Index)に記載されている水溶性の酸
性染料、直接染料、反応性染料であれば特に限定されな
い。また、カラーインデックスに記載のないものでも、
アニオン性基、例えば、スルホン基、カルボキシル基等
を有するものであれば特に限定されない。ここでいう水
溶性染料の中には、溶解度のpH依存性があるものも含
まれる。
【0131】(顔料)水性のアニオン性色材含有インク
の別の形態としては、上記のようなアニオン性基を有す
る水溶性染料の代わりに、顔料及びアニオン性化合物を
用い、水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、
粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防
止剤等を必要に応じて含むインクであってもよい。ここ
で、アニオン性化合物が顔料の分散剤であってもよい
し、顔料の分散剤がアニオン性でない場合に、分散剤と
は別のアニオン性化合物を添加したものでもよい。勿
論、分散剤がアニオン性化合物である場合でも、更に他
のアニオン性化合物を添加したものでもよい。
【0132】本発明で使用することができる顔料には特
に限定はないが、例えば、以下に説明する顔料が好適に
使用できる。先ず、ブラック顔料インクに使用されるカ
ーボンブラックとしては、ファーネス法やチャネル法で
製造されたカーボンブラックで、一次粒径が15〜40
mμm、BET法による比表面積が50〜300m2
g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発
分が0.5〜10質量%、pH値が2〜9を有するもの
が好ましい。
【0133】このようなものとしては、例えば、No.
2300、No.900、MCF88、No.40、N
o.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、
三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL
400R、REGAL660R、MOGUL L(以上、キヤボット
製)、Color Black FW1、Color Black FW18、Color
Black S170、Color Black S150、Printex 35、
Printex U(以上、デグッサ製)等の市販品を使用する
ことができる。また、本発明のために新たに試作された
ものでもよい。
【0134】イエローインクに使用される顔料として
は、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yel
low 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow
13、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow
83等が挙げられる。
【0135】マゼンタインクとして使用される顔料とし
ては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red
7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(C
a)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red
57(Ca)、C.I.Pigment Red112、C.I.Pigment Red
122等が挙げられる。
【0136】シアンインクとして使用される顔料として
は、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue
2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:
3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、
C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6等が挙げられる。ま
た、上記いずれの色の色材に関しても、本発明のために
新たに製造されたものでも使用可能である。
【0137】(顔料分散剤)本発明で使用するインクに
用いることができる顔料の分散剤としては、アニオン性
基の存在によって、顔料を水、若しくは水性媒体に安定
に分散させる機能を有する水溶性樹脂ならどんなもので
も使用可能である。特に、重量平均分子量が1,000
〜30,000の範囲のものが好ましい。更に好ましく
は3,000〜15,000の範囲である。具体的に
は、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタ
レン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不
飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等の疎水性
単量体、又はアクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン
酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導
体、フマル酸及びフマル酸誘導体から選ばれる二つ以上
の単量体からなるブロック共重合体、グラフト共重合体
或いはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられ
る。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶な
アルカリ可溶型の樹脂である。
【0138】更に親水性単量体からなるホモポリマー又
はそれらの塩でもよい。また、ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース、ナフタレンスルホン酸ホ
ルムアルデヒド縮合物等の水溶性樹脂も使用することが
可能である。しかし、アルカリ可溶型の樹脂を用いた場
合の方が、分散液の低粘度化が可能で、分散も容易であ
るという利点がある。前記水溶性樹脂はインク全量に対
して0.1〜5質量%の範囲で使用されることが好まし
い。
【0139】本発明で使用し得る顔料インクは、以上の
如き顔料及び水溶性樹脂を水溶性媒体中に分散又は溶解
して構成される。本発明に用い得る顔料インクにおいて
好適な水性媒体としては、水及び水溶性有機溶剤の混合
溶媒であり、水としては種々のイオンを含有する一般の
水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するの
が好ましい。
【0140】分散剤が、アニオン性高分子ではない場
合、上述した顔料を含むインクに更にアニオン性化合物
を添加することが好ましい。本発明で好適に使用される
アニオン性化合物としては、顔料分散剤の項で説明した
アルカリ可溶性樹脂等の高分子物質の他、下記に挙げる
ような低分子量のアニオン性界面活性剤を挙げることが
できる。
【0141】低分子量のアニオン性界面活性剤の具体的
なものとしては、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナ
トリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイ
ルエタノールアミドエステル二ナトリウム、ポリオキシ
エチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、カルボ
キシル化ポリオキシエチレンラウリルエーテルナトリウ
ム塩、カルボキシル化ポリオキシエチレントリデシルエ
ーテルナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウ
ム、アルキル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる
が、これらに限定されるわけではない。以上のようなア
ニオン性物質の好適な使用量としては、インク全量に対
して、0.05〜10質量%の範囲であり、更に好適に
は0.05〜5質量%である。
【0142】(自己分散型顔料)また、アニオン性のイ
ンクに用いることのできる顔料としては、分散剤を用い
ることなしに、水若しくは水性媒体に分散させることの
できる自己分散型の顔料も使用できる。自己分散型の顔
料は、顔料表面に少なくとも1種のアニオン性親水性基
が直接若しくは他の原子団を介して結合されているもの
である。アニオン性の親水性基としては、例えば、下記
に挙げた親水性基の中から選択される少なくとも1種で
あるもの、更に他の原子団が、炭素原子数1〜12のア
ルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基又は置
換基を有してもよいナフチレン基であるものが挙げられ
る。 −COOM、−SO3M、−SO2NH2、 −PO3HM、−PO32 (上記式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニ
ウム、又は有機アンモニウムを表わす。)
【0143】このように顔料表面への親水性基の導入に
よってアニオン性に帯電させた顔料は、イオンの反発に
よって優れた水分散性を有するため、着色インク中に含
有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定した分
散状態を維持する。特に顔料がカーボンブラックである
場合に好ましい。
【0144】(インク中の添加成分)また、上記の成分
の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとする
ために、界面活性剤、消泡剤或いは防腐剤等をインク中
に添加することができ、更に市販の水溶性染料等を添加
することもできる。
【0145】界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級ア
ルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩
類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活
性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
ソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコー
ル、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤が
あり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用で
きる。その使用量は、分散剤の添加量により異なるが、
インク全量に対して、0.01〜5質量%が望ましい。
この際、インクの表面張力は30mN/m(dyn/c
m)以上になるように活性剤の添加する量を決定するこ
とが好ましい。なぜなら、本発明で使用するインクジェ
ット記録方式においては、ノズル先端の濡れによる印字
ヨレ(インク滴の着弾点のズレ)等の発生を有効に抑え
ることができるからである。
【0146】以上で説明したような顔料インクの作成方
法としては、はじめに、顔料分散用樹脂及び水を少なく
とも含有する水溶液に、顔料を添加して攪拌した後、後
述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠
心分離処理を行って、所望の分散液を得る。次に、この
分散液に上記に掲げたような成分を更に加えて攪拌し
て、インクとすればよい。
【0147】また、アルカリ可溶型の樹脂を使用する場
合には、樹脂を溶解させるために塩基を添加することを
要する。この際、樹脂を溶解させるためのアミン或いは
塩基の量は、樹脂の酸価から計算によって求められるア
ミン或いは塩基量の1倍以上を添加することが必要であ
る。アミン或いは塩基の量は、以下の式によって計算で
求められる。
【0148】更に顔料を含む水溶液を分散処理する前に
プレミキシングを30分間以上行うと、顔料の分散効率
が良くなる。このプレミキシング操作は、顔料表面の濡
れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進するも
のである。
【0149】アルカリ可溶型樹脂を使用した場合の分散
液に添加される塩基類としては、例えば、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機ア
ミン或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機
塩基を用いることが好ましい。
【0150】一方、顔料インクの調製に使用する分散機
は、一般に使用される分散機ならいかなるものでもよい
が、例えば、ボールミル、サンドミル等が挙げられる。
その中でも、高速型のサンドミルが好ましく、例えば、
スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジ
テータミル、グレンミル、ダイノールミル、パールミ
ル、コボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0151】尚、本発明で使用するインクは、上記成分
の他に必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤、p
H調製剤、防錆剤、防カビ剤、酸化防止剤、蒸発促進
剤、キレート化剤及び水溶性ポリマー等の添加剤を添加
してもよい。
【0152】本発明で用いることのできる上記色材を溶
解又は分散する液媒体は、水と水溶性有機溶剤との混合
物であることが好ましい。具体的な水溶性有機溶剤とし
ては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、
n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n
−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、te
rt−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルア
ルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングコリコール等のポリアルキ
レングリコール類、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−へキサントリオール、チオジグリコー
ル、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレング
リコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチ
ル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノ
メチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低
級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラ
ン、ジメチルサルフォオキサイド、2−ピロリドン、ε
−カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイ
ミド等のイミド化合物等が挙げられる。
【0153】上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般に
は、インクの全質量に対して1%〜40%が好ましく、
より好ましくは3%〜30%の範囲である。また、イン
ク中の水の含有量は30〜95質量%の範囲とした場
合、色材の溶解性等も良好であり、インクの粘度が高く
なることを抑えることができ、且つ固着特性を十分に満
足させることができる。
【0154】本発明で使用するアニオン性色材含有イン
クは、一般の水性筆記用具のインクとしても使用できる
が、熱エネルギーによるインクの発泡現象によりインク
を吐出させるタイプのインクジェット記録方法に適用す
る場合に特に好適であり、吐出が極めて安定となり、サ
テライトドットの発生等が生じないという特徴がある。
但し、この場合には、熱的な物性値(例えば、比熱、熱
膨張係数、熱伝導率)を調整する場合もある。
【0155】[カチオン性色材含有インク]次に、先に
説明したアニオン性の液体組成物と組み合わせて本発明
のインクセットを構成する水性のカチオン性色材含有イ
ンクについて説明する。ここでいうインクセットとは、
本発明の液体組成物とカチオン性物質(カチオン性色
材)を含有する少なくとも1種類のインクとの組み合わ
せをいう。また、このインクセットから本発明の液体組
成物を除いた、少なくとも1種類のインクの組み合わせ
をインクサブセットと呼ぶ。
【0156】本発明で使用するカチオン性色材含有イン
クは、色材として、カチオン性基を含有する水溶性染料
を用いるか、又は色材として顔料を用いる場合には、カ
チオン性化合物を併用させること(本発明ではこの併用
もカチオン性色材という)が好ましい。本発明で使用さ
れる上記のようなインクには、更にこれに、水、水溶性
有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH
調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が必要に応
じて含まれて構成される。以下、これらのインクの各構
成成分について説明する。
【0157】(水溶性染料)本発明で使用するカチオン
性基を有する水溶性染料としては、例えば、カラーイン
デックス(Color Index)に記載されている水溶性の染
料であれば特に限定はない。また、カラーインデックス
に記載のないものでも、カチオン性基を有するものであ
れば特に限定はない。尚、ここでいう水溶性染料の中に
は、溶解度のpH依存性があるものも含まれる。
【0158】(顔料)本発明で使用するインクの別の形
態としては、上記したカチオン性基を有する水溶性染料
の代わりに、顔料及びカチオン性化合物を用い、水、水
溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、
pH調整剤、防腐剤、界面活性剤或いは酸化防止剤等を
必要に応じて含むインクであってもよい。ここで、カチ
オン性化合物が顔料の分散剤であってもよいし、顔料の
分散剤がカチオン性でない場合に、分散剤とは別のカチ
オン性化合物を添加したものでもよい。勿論、分散剤が
カチオン性化合物である場合でも、更に他のカチオン性
化合物を添加してもよい。本発明で使用することができ
る顔料としては特に限定はなく、アニオン性色材含有イ
ンクの項で述べた顔料を好適に用いることができる。
【0159】(顔料分散剤)本発明で使用するインク中
の顔料の分散剤は、カチオン性基の存在によって顔料を
水、若しくは水性媒体に安定に分散させる機能を有する
水溶性樹脂ならどんなものでも使用可能である。具体例
としては、ビニルモノマーの重合によって得られるもの
であって、得られる重合体の少なくとも一部がカチオン
性を有するものであればよい。カチオン性の部分を構成
するためのカチオン性モノマーとしては、下記の如き第
3級アミンモノマーの塩及びこれらの4級化された化合
物が挙げられる。
【0160】具体的には、 N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート [CH2=C(CH3)−COO−C24N(C
32]、 N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート [CH2=CH−COO−C24N(CH32]、 N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート [CH2=C(CH3)−COO−C36N(C
32]、 N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート [CH2=CH−COO−C36N(CH32]、 N,N−ジメチルアクリルアミド [CH2=CH−CON(CH32]、 N,N−ジメチルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CON(CH32]、 N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド [CH2=CH−CONHC24N(CH32]、 N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CONHC24N(C
32]、 N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド [CH2=CH−CONH−C36N(CH32]、 N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CONH−C36N(C
32] 等が挙げられる。
【0161】第3級アミンの場合において、塩を形成す
るための化合物としては、塩酸、硫酸及び酢酸等が挙げ
られ、4級化に用いられる化合物としては、塩化メチ
ル、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、エピクロロヒ
ドリン等が挙げられる。これらの中でも、塩化メチルや
ジメチル硫酸等が本発明で使用する分散剤を調製するう
えで好ましい。以上のような第3級アミンの塩或いは第
4級アンモニウム化合物は水中ではカチオンとして振る
舞い、中和された条件では酸性が安定溶解領域である。
これらモノマーの共重合体中での含有率は20〜60質
量%の範囲が好ましい。
【0162】上記高分子分散剤の構成に用いられるその
他モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、長鎖のエチレンオキシド鎖を側鎖に有す
るアクリル酸エステル等のヒドロキシ基を有するアクリ
ル酸エステル、スチレン系モノマー等の疎水性モノマー
類及びpH7近傍の水に溶解可能な水溶性モノマーとし
て、アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルピロ
リドン類、ビニルピリジン類、ビニルオキサゾリン類が
挙げられる。疎水性モノマーとしては、スチレン、スチ
レン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導
体、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロ
ニトリル等の疎水性モノマーが用いられる。共重合によ
って得られる高分子分散剤中において水溶性モノマー
は、共重合体を水溶液中で安定に存在させるために15
〜35質量%の範囲で用い、且つ疎水性モノマーは、共
重合体の顔料に対する分散効果を高めるために20〜4
0質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0163】(自己分散型顔料)カチオン性に帯電した
顔料の場合、直接若しくは他の原子団を介して結合した
親水性基が、例えば、下記に挙げる第4級アンモニウム
基から選ばれる少なくとも1つを結合したものが挙げら
れる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0164】
【0165】上記式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖
状又は分岐鎖状のアルキル基、置換若しくは未置換のフ
ェニル基、又は置換若しくは未置換のナフチル基を表
す。尚、上記のカチオン性基には、カウンターイオンと
して、例えば、NO3 -やCH3COO-が存在する。
【0166】上記したような親水性基が結合されてカチ
オン性に帯電している自己分散型顔料を製造する方法と
しては、例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル
基を結合させる方法を例にとって説明すると、顔料を3
−アミノ−N−エチルピリジニウムブロマイドで処理す
る方法が挙げられる。
【0167】このように顔料表面への親水性基の導入に
よってカチオン性に帯電させた顔料は、イオンの反発に
よって優れた水分散性を有するため、着色インク中に含
有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定した分
散状態を維持する。特に上記顔料がカーボンブラックで
ある場合が好ましい。
【0168】(インクの表面張力)更に本発明で使用す
るカチオン性色材含有インクは普通紙等に記録した場合
の記録画像のインクの浸透性と同時に、インクジェット
用ヘッドに対するマッチングを良好にする面から、イン
ク自体の物性として25℃における表面張力が30〜6
8mN/m(dyn/cm)、粘度が15mPa・s
(cP)以下、好ましくは10mPa・s(cP)以
下、より好ましくは5mPa・s(cP)以下に調整さ
れることが望ましい。
【0169】<着色インクの濃度>上記したアニオン性
及びカチオン性のインク中に含まれる色材成分の質量濃
度は、水性染料、顔料や自己分散型顔料等の色材の種類
に応じて適宜選択されるが、インクの質量に対し0.1
〜20質量%、特には0.1〜12質量%の範囲が好ま
しい。
【0170】また、色材成分の質量濃度が0.3〜7%
の範囲では、液体組成物中の微粒子の濃度とインク中の
色材の濃度との関係に関して、質量基準で、該微粒子1
に対して色材が1.2以下、特には1.0以下とした場
合、通常の2液系の記録条件の下で形成される画像の発
色性は特に優れたものとなる。
【0171】本発明にかかるインクセットを構成する第
1のインク及び第2のインクは、被記録媒体上で、両者
が接触したときに反応を生じるように構成することによ
って、異なる色領域の境界におけるブリードを有効に緩
和することができる。ここで、「反応」なる文言は、少
なくとも一方のインクに溶解若しくは分散している色材
の溶解状態あるいは分散状態が、2つのインクの接触に
よって不安定化することをも包含している。そして2つ
のインクを反応性とする手段として、例えば 1) 第1または第2のインクに多価金属塩を添加す
る; 2) 第1及び第2のインクの接触により混色部におい
てpH変化を生じさせる 3) 第1のインクと第2のインクとで極性を逆にす
る、 等の方法が挙げられる。
【0172】<多価金属塩>本発明で好ましく用いるこ
とができる前記多価金属塩とは、二価以上の多価金属イ
オンと、該多価金属イオンのカウンターイオンとしての
陰イオンとからなる。多価金属イオンの具体例として
は、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Ni2+、Zn2+等の二価
金属イオン、Al3+、Fe3+等の三価金属イオンが挙げ
られる。カウンターイオン(陰イオン)としては、Cl
-、NO3-、SO4-、CH3COO-等が挙げられる。特
にCa2+又はMg2+よりなる金属塩はブリード抑制効果
が高く好ましい。
【0173】好ましく使用できる具体的な化合物例とし
ては、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、硝酸マグネ
シウム、硝酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シュ
ウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム等が挙げられる
が、これらに限定されるものではい。これら多価金属塩
の着色インク中における濃度は印字品質や目詰まり防止
の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、好まし
くは0.1〜20質量%程度であり、より好ましくは
0.5〜10質量%程度である。なお、多価金属塩を添
加するインク中の色材としては、溶解性に優れた染料、
具体的には例えばスルホン基を2つ以上有しているよう
な染料を用いることが好ましい。
【0174】<pH調整剤>着色インク境界でのブリー
ドを抑制するために使用されるpH調整剤としては、塩
酸、酢酸及びカルボキシル基を有する化合物、炭酸、硫
酸及びスルホン基を有する化合物、硝酸、リン酸化合
物、亜硫酸、亜硝酸等の酸性物質、及びアルカリ金属水
酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルコールアミン
類、アンモニウム塩類等のアルカリ性物質が挙げられ
る。
【0175】<被記録媒体に着色部を形成する方法>次
に、本発明の被記録媒体に着色部を形成する方法につい
て説明する。本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法は、(i)色材を含む、アニオン性若しくはカチオン
性の着色インクを被記録媒体に付与する過程、及び(i
i)該インクとは逆の極性に表面が帯電している微粒子
が分散状態で含まれている液体組成物を被記録媒体に付
与する過程とを有し、上記被記録媒体の表面において、
着色インクと液体組成物とが互いに液体状態で接するよ
うに付与することを特徴とする。以下、上述したように
構成されている液体組成物及び着色インクを被記録媒体
上に付与する方法について説明する。
【0176】本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法は、上記で説明したような液体組成物を被記録媒体上
に付与する過程(ii)と、色材を含む、アニオン性若し
くはカチオン性の着色インクを被記録媒体に付与する過
程(i)を含むが、その際に、色材を含む着色インクに
よって形成される被記録媒体の着色部形成領域、又は着
色部形成領域とその近傍に液体組成物を付与して、着色
インクと液体組成物とが互いに液体状態で接するように
付与する。ここでいう着色部形成領域とは、インクのド
ットが付着する領域のことであり、着色部形成領域の近
傍とは、インクのドットが付着する領域の外側の1〜5
ドット程度離れた領域のことを指す。
【0177】本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法では、前記した本発明の液体組成物と着色インクとが
被記録媒体上で互いに液体状態で接するようになれば、
これらをいずれの方法で付与させてもよい。従って、液
体組成物とインクのいずれを先に被記録媒体上に付与す
るかは問題ではない。例えば、過程(ii)を行なった後
に過程(i)を行なってもよいし、過程(i)を行なっ
た後に過程(ii)を行なてもよい。また、過程(i)を
行なった後に、過程(ii)を行ない、その後に再び過程
(i)を行なうことも好ましい。
【0178】また、液体組成物を被記録媒体に先に付与
させた場合に、液体組成物を被記録媒体に付与してか
ら、インクを被記録媒体上に付与させるまでの時間につ
いては特に制限されるものではないが、互いに液体状態
で接するようにするためには、ほぼ同時或いは数秒以内
にインクを被記録媒体上に付与させることが好ましい。
【0179】(被記録媒体)上記した本発明の被記録媒
体に着色部を形成する方法に使用される被記録媒体とし
ては、特に限定されるものではなく、従来から使用され
ている、コピー用紙、ボンド紙等のいわゆる普通紙が好
適に使用される。勿論、インクジェット記録用に特別に
作製されたコート紙やOHP用透明フィルムも好適に使
用される。更に一般の上質紙や光沢紙にも好適に使用す
ることができる。
【0180】(液体組成物の付与方法)本発明の液体組
成物を被記録媒体上に付与せしめる方法としては、例え
ば、スプレーやローラー等によって被記録媒体の全面に
付与せしめる方法も考えられるが、更に好ましくはイン
クを付与する着色部形成領域或いは着色部形成領域とそ
の着色部形成領域の近傍にのみに選択的且つ均一に液体
組成物を付与せしめることのできるインクジェット方式
により行うのが好ましい。また、この際には、種々のイ
ンクジェット記録方式を用いることができるが、特に好
ましいのは、熱エネルギーによって発生した気泡を用い
て液滴を吐出する方式である。
【0181】<インクジェット記録装置>次いで、本発
明のインクジェット記録装置について説明する。本発明
のインクジェット記録装置は、前記説明した色材を含
む、アニオン性若しくはカチオン性の着色インクを収容
したインク収容部と、該インクを吐出させるインクジェ
ットヘッドを備えた第1の記録ユニットと、前記本発明
の液体組成物、好ましくは上記着色インクとは逆の極性
に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれている
液体組成物を収容した液体組成物収容部と、該液体組成
物を吐出させるインクジェットヘッドを備えた第2の記
録ユニットとを備えていることを特徴とする。以下、こ
れらについて説明する。
【0182】図1は、本発明を適用したインクジェット
記録装置の概略構成の1例を示す模式的斜視図である。
図1において、1は、インクを吐出して記録を行うため
の記録ヘッドを構成するカートリッジであり、2は、液
体組成物を吐出するための液体組成物吐出ヘッドを構成
するカートリッジである。図示の例では、異なる色のイ
ンクを用いる4個の記録用カートリッジ1と1個の液体
組成物吐出用カートリッジ2が使用されている。
【0183】記録用の各カートリッジ1は、その上部に
インクタンク部、下部にインク吐出部(記録部)を設け
た構造をしている。液体組成物用のカートリッジ2は、
その上部に液体組成物タンク部、下部に液体組成物吐出
部を設けた構造をしている。更に、これらカートリッジ
1、2には、駆動信号等を受信するためのコネクタが設
けられている。3はキャリッジである。
【0184】キャリッジ3上には、それぞれ異なる色の
インクで記録するための4個の記録ヘッドカートリッジ
(記録ヘッド)1と1個の液体組成物吐出用ヘッドカー
トリッジ(液体組成物吐出ヘッド)2が位置決め搭載さ
れている。また、該キャリッジ3には各記録ヘッド1及
び液体組成物吐出ヘッド2を駆動するための信号等を伝
達するためのコネクタホルダーが設けられており、該コ
ネクタホルダーを介して各ヘッドカートリッジ1、2に
電気的に接続されている。
【0185】各記録ヘッド1は、それぞれ異なった色の
インク、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シ
アン(C)及びブラック(B)のインクを収納してい
る。本図では、図示左から、イエロー、マゼンタ、シア
ン及びブラックの各インクの記録ヘッドカートリッジ
(記録ヘッド)1Y、1M、1C及び1Bが搭載され、
そして右端には前記液体組成物を収納した液体組成物吐
出ヘッドカートリッジ(液体組成物吐出ヘッド)2が搭
載されている。
【0186】図1において、4はキャリッジ3の主走査
方向に延在し、該キャリッジを摺動自在に支持する走査
レール、5はキャリッジ3を往復動させるための駆動力
を伝達する駆動ベルトである。また、6、7及び8、9
は、それぞれ、記録ヘッドによる記録位置の前後に配置
されて被記録媒体10の挟持搬送を行うための搬送ロー
ラ対である。紙等の被記録媒体10は、記録位置の部分
で、記録面を平坦に規制するためのプラテン(不図示)
に圧接状態で案内支持されている。この時、キャリッジ
3に搭載された各ヘッドカートリッジ(ヘッド)1、2
の吐出口形成面は、該キャリッジ3から下方へ突出して
被記録媒体搬送用ローラ7、9間に位置し、プラテン
(不図示)の案内面に圧接された被記録媒体10に平行
に対向するようになっている。
【0187】本図のインクジェット記録装置の記録領域
を外れた左側に設定されたホームポジションの近傍に
は、回復ユニット11が配設されている。回復ユニット
11には、4個の記録ヘッド(ヘッドカートリッジ)1
Y、1M、1C及び1Bに対応する4個のキャップ12
と1個の液体組成物吐出ヘッド(ヘッドカートリッジ)
2に対応する1個のキャップ13が上下方向に昇降可能
に設けられている。そして、キャリッジ3がホームポジ
ションにあるときには、各ヘッド1、2の吐出口形成面
に対して対応するキャップ12、13とが圧接接合され
ることにより、各ヘッド1、2の吐出口が密封(キャッ
ピング)される。キャッピングすることにより、吐出口
内のインク溶剤の蒸発によるインクの増粘・固着が防止
され、吐出不良の発生が防止されている。
【0188】また、回復ユニット11は、各キャップ1
2に連通した吸引ポンプ14とキャップ13に連通した
吸引ポンプ15を備えている。これらのポンプ14、1
5は、記録ヘッド1や液体組成物吐出ヘッド2に吐出不
良が生じた場合に、それらの吐出口形成面をキャップ1
2、13でキャッピングして吸引回復処理を実行するの
に使用される。更に、回復ユニット11には、ゴム等の
弾性部材からなる2個のワイピング部材(ブレード)1
6、17が設けられている。ブレード16はブレードホ
ルダー18によって保持され、ブレード17はブレード
ホルダー19によって保持されている。
【0189】本発明の概略図においては、前記ブレード
ホルダー18、19は、それぞれ、キャリッジ3の移動
を利用して駆動されるブレード昇降機構(不図示)によ
り昇降され、それによって、前記ブレード16、17
は、ヘッド(カートリッジ)1、2の吐出口形成面に付
着したインクや異物をワイピングすべく突出(上昇)し
た位置(ワイピング位置)と吐出口形成面に接触しない
後退(下降)した位置(待機位置)との間で昇降する。
この場合、記録ヘッド1をワイピングするブレード16
と液体組成物吐出ヘッド2をワイピングするブレード1
7は、互いに独立して、個別に昇降できるように構成さ
れている。
【0190】そして、キャリッジ3が図1中右側(記録
領域側)からホームポジション側へ移動するとき、或い
はホームポジション側から記録領域側へ移動するとき
に、ブレード16が各記録ヘッド1の吐出口形成面と当
接し、ブレード17が液体組成物吐出ヘッド2の吐出口
形成面と当接し、相対移動によってそれらの吐出口形成
面の拭き取り(ワイピング)動作が行われる。
【0191】図2は、インク吐出部とインクタンクを一
体化した構造の記録ヘッド(カートリッジ)1を示す模
式的斜視図である。尚、液体組成物吐出ヘッド2は、貯
蔵及び使用する液体が液体組成物である点を除き、記録
ヘッド1と実質上同じ構成をしている。図2において、
記録ヘッド1は、上部にインクタンク部21を、下部に
インク吐出部(記録ヘッド部)22を有しており、更
に、インク吐出部22を駆動するための信号等を受信す
るとともにインク残量検知信号を出力するためのヘッド
側コネクタ23を有している。このコネクタ23はイン
クタンク部21に並ぶ位置に設けられている。
【0192】記録ヘッド1は、図2中底面側(被記録媒
体10側)に吐出口形成面81を有し、該吐出口形成面
81には複数の吐出口が形成されている。各吐出口に通
じる液路部分に、インクを吐出するのに必要なエネルギ
ーを発生する吐出エネルギー発生素子が配置されてい
る。
【0193】前記記録ヘッド(ヘッドカートリッジ)1
は、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録手
段であり、インク吐出部22とインクタンク21を一体
化した交換可能なインクジェットカートリッジで構成さ
れている。この記録ヘッド1は、熱エネルギーを利用し
てインクを吐出するインクジェット記録手段であって、
熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたも
のである。また、前記記録ヘッド1は、前記電気熱変換
体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰
による気泡の成長及び収縮によって生じる圧力変化を利
用して、吐出口よりインクを吐出させ、記録を行なうも
のである。
【0194】図3は、記録ヘッド1(液体組成物吐出ヘ
ッド2)のインク吐出部22(液体組成物吐出部22
A)の構造を模式的に示す部分斜視図である。図3にお
いて、被記録媒体(記録用紙等)10と所定の隙間(例
えば、約0.5〜2.0mm程度)をおいて対面する吐
出口形成面81には、所定のピッチで複数の吐出口82
が形成され、共通液室83と各吐出口82とを連通する
各液路84の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを
発生するための電気熱変換体(発熱抵抗体等)85が配
設されている。前記複数の吐出口82は記録ヘッド1の
移動方向(主走査方向)と交叉する方向に並ぶような位
置関係で配列されている。こうして、画像信号又は吐出
信号に基づいて対応する電気熱変換体85を駆動(通
電)して、液路84内のインクを膜沸騰させ、その時に
発生する圧力によって吐出口82からインクを吐出させ
る記録ヘッド1が構成されている。
【0195】図4〜図6は、以上のインクジェット記録
装置のワイピング動作を示す模式図である。図4はキャ
リッジ3が記録領域側からホームポジション側へ移動す
る場合を示す。図4において、(A)のようにキャリッ
ジ4上の記録ヘッド1及び液体組成物吐出ヘッド2が右
側(記録領域側)よりホームポジションに向かって移動
してくる。そうすると、(B)のように、先ず、インク
用のキャップ12と液体組成物用のキャップ13との間
にあるインク用のブレード16が上昇し、キャリッジ3
の移動に伴って各記録ヘッド1Y、1M、1C及び1B
を順次ワイピングしていく。
【0196】更に、図4の(C)のように、各記録ヘッ
ド1が液体組成物用のブレード17上を通過した後、こ
の液体組成物用のブレード17を上昇させて(D)のよ
うに液体組成物吐出ヘッド2の吐出口形成面を同時にワ
イピングする。インク用のブレード16が4個目の記録
ヘッド1をワイピングし、更に液体組成物路用のブレー
ド17が液体組成物吐出ヘッド2をワイピングし終わっ
た後、それぞれのブレード16、17は下降し、待機位
置で待機する。図4では、キャリッジ3が図1中の右側
(記録領域)から回復ユニット11の有るホームポジシ
ョン側へ移動するときにブレード16、17によるワイ
ピングが実行されるように構成したが、ワイピング方向
はこれに限定されるものではなく、図5のようにキャリ
ッジ3がホームポジション側から右側(記録領域側)へ
移動する際にワイピングを行うように構成してもよい。
【0197】図5において、(A)では、インク用のブ
レード16と液体組成物用のブレード17を同時に上昇
させ、キャリッジ3を右方向へ(記録領域側へ)移動さ
せることにより、記録ヘッド1と液体組成物吐出ヘッド
2を同時にワイピングし(B)、液体組成物吐出ヘッド
2のワイピングが終了すると同時に液体組成物用のブレ
ード17のみを下降させて待機させ、インク用のブレー
ド17はそのまま残りの記録ヘッド1のワイピングを行
う(C)。最後に、図5の(D)のように、全ての記録
ヘッド1のワイピングが終了したところで、インク用の
ブレード16を下降させて一連のワイピング動作を終了
する。
【0198】図5で説明したようなワイピング方向を採
用することにより、ワイピングにより除去されてブレー
ド16、17に付着した液滴が該ブレードの弾性によっ
て被記録媒体10の搬送部へ飛散し、被記録媒体10を
不用意に汚す危険性を無くすことができる。
【0199】更に、図6に示すように、記録ヘッド1の
ワイピング方向と液体組成物吐出ヘッド2のワイピング
方向を異ならせてもよい。図6において、例えば(A)
及び(B)に示すように、キャリッジ3がホームポジシ
ョン側から右側(記録領域側)へ移動するときにインク
用のブレード16で記録ヘッド1をワイピングし、
(C)及び(D)に示すように、キャリッジ3が記録領
域側からホームポジション側へ移動するときに液体組成
物用のブレード17で液体組成物吐出ヘッド2のみをワ
イピングするようにしてもよい。このようなワイピング
方向を採ることにより、ブレード16の弾性力によって
飛散するインクが液体組成物吐出ヘッド2に付着した
り、逆に、ブレード17の弾性力によって飛散した液体
組成物が記録ヘッド1に付着するという不都合(危険
性)を無くすか、或いは大幅に減少させることができ
る。
【0200】また、図1においては、記録ヘッド1用の
キャップ12と液体組成物吐出ヘッド2用のキャップ1
3とを別々にして互いに独立させ(専用にし)、更に、
これらのキャップ12、13に接続される吸引ポンプ1
4、15も記録ヘッド1用と液体組成物吐出ヘッド2用
とに独立させて別々(専用)にした。これにより、キャ
ップ12、13及びポンプ14、15内において、イン
クと該インクと反応性を有する液体組成物とを接触させ
ることなく、これらの廃液を処理することができ、高い
信頼性を維持することが可能になる。
【0201】図7は、ポンプ14、15から排出される
インク及び液体組成物を廃インクタンク内へ回収するた
めの回収系統を示す模式図である。図7において、キャ
ップ12に連通した吸引ポンプ14により記録ヘッド1
から吸引された廃インク、並びにキャップ13に連通し
た吸引ポンプ15により液体組成物吐出ヘッド2から吸
引された廃液は、記録装置外へ漏れ出さないように、そ
れぞれ独立した経路を通して廃液タンク24内に回収さ
れ、収納される。
【0202】前記廃液タンク24は、その内部に多孔質
の吸収体25が充填され、該吸収体25に廃液を吸収保
持するように構成されている。この廃液タンク24は、
記録装置本体内に設けられている。図7では、記録ヘッ
ド1用の吸引ポンプ14からの廃インク導管26と液体
組成物吐出ヘッド2用の吸引ポンプ15からの廃液導管
27とは、図示のように、廃液タンク24の両端の互い
に離れた位置に接続されている。こうすることにより、
廃液タンク24内の液体組成物とインクは吸収体25内
に液が充分に吸収された状態で、はじめて接触するよう
になるため、多孔質吸収体25が吸収保持できる液の量
を充分に確保することができる。
【0203】図8は、図7の廃液回収系統において、廃
液タンク24内の吸収体25を上下2段に配置し、下段
の吸収体25Aにインクを吸収させ、上段の吸収体25
Bに液体組成物を吸収させるように構成した廃液回収系
統を示す模式図である。図8の構成によれば、下段のイ
ンク吸収体25Aが溢れた場合でも、上段の吸収体25
Bとそこに吸収されている液体組成物により、インク中
の染料は上段の吸収体25Bで反応して固定化されるた
め、該インクが漏れ出して記録装置内外を汚すことはな
い。
【0204】また、別の形態のインクジェット記録装置
としては、色材を含む、アニオン性若しくはカチオン性
の着色インクを収容したインク収容部と、前記本発明の
液体組成物、好ましくは上記着色インクとは逆の極性に
表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれている液
体組成物を収容した液体組成物収容部と、上記インク収
容部に収容されている着色インクと上記液体組成物収容
部に収容されている液体組成物とを各々独立に吐出させ
るためのインクジェットヘッドとを備えていることを特
徴とする。以下、これらについて説明する。
【0205】図10は、そのようなカートリッジ100
1の1例を示すものであるが、図中の1003は、イン
クが収容されているインク収容部、1005は、液体組
成物が収容されている液体組成物収容部である。該カー
トリッジは、図11に示すように、インク及び液体組成
物の各々を吐出せしめる記録ヘッド1101に着脱可能
に構成されてなるとともに、カートリッジ1001を記
録ヘッド1101に装着した状態では、液体組成物及び
インクが、記録ヘッド1101に供給されるように構成
されているものである。
【0206】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、前記の如きヘッドとインクカートリッジと
が別体となったものに限らず、図6に示す如きそれらが
一体となったものも好適に用いられる。
【0207】図15において、1500は記録ユニット
であって、この中にインクを収容したインク収容部、例
えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸
収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部1
501からインク滴として吐出される構成になってい
る。インク吸収体の材料としては、例えば、ポリプロピ
レンやポリウレタンを用いることができる。1502
は、記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連
通口である。
【0208】更に本発明で使用する記録ユニットの他の
実施態様として、インクと液体組成物とを、1個のイン
クタンク内の各々の収納部に収納し、且つインク及び液
体組成物の各々を吐出させるための記録ヘッドを一体的
に備えた記録ユニット、具体的には、例えば、図12に
示すように、液体組成物を収容部1201Lに、ブラッ
クインクを収容部1201Bkに、また、イエロー、シ
アン及びマゼンタのカラーインクを各々カラーインク収
納部1201Y、1201M及び1201Cに収納し、
更に各々のインクを各々個別に吐出させることができる
ように、インク流路を分けて構成した記録ヘッド120
3を備えているような記録ユニット1201が挙げられ
る。
【0209】図16は、本発明にかかるインクジェット
記録装置の他の実施態様の概略構成を示す模式的斜視図
である。図16において、4はキャリッジ3の主走査方
向に延在し、該キャリッジを摺動自在に支持する走査レ
ール、5はキャリッジ3を往復動させるための駆動力を
伝達する駆動ベルトである。また、6、7及び8、9
は、それぞれ、記録ヘッドによる記録位置の前後に配置
されて被記録媒体10の挟持搬送を行うための搬送ロー
ラ対である。
【0210】紙等の被記録媒体10は、記録位置の部分
で、記録面を平坦に規制するためのプラテン(不図示)
に圧接状態で案内支持されている。この時、キャリッジ
3に搭載された各ヘッドカートリッジ(ヘッド)1、2
の吐出口形成面は、該キャリッジ3から下方へ突出して
被記録媒体搬送用ローラ7、9間に位置し、プラテン
(不図示)の案内面に圧接された被記録媒体10に平行
に対向するようになっている。
【0211】図16において、キャリッジ3上には合計
6個のヘッドカートリッジが位置決め搭載されており、
本実施例では、キャリッジ3上の図示左端から右側へ向
けて、イエローの記録ヘッド1Y、マゼンタの記録ヘッ
ド1M、シアンの記録ヘッド1C、ブラックの記録ヘッ
ド1B、液体組成物吐出ヘッド2及び第2のブラックの
記録ヘッド1BBの順に配置されている。
【0212】液体組成物吐出ヘッド2はインク中の色材
と反応性を有する液体組成物を被記録媒体10へ吐出す
るものである。また、右端の第2のブラックの記録ヘッ
ド1BBは、往復記録での副走査記録時等に使用される
ブラックインクを用いる記録ヘッドである。つまり、前
述の各実施例におけるブラック記録ヘッド1Bの次に
(右隣に)液体組成物吐出ヘッド2を配置し、更にその
次に(右端)に前記ブラックの記録ヘッド1BBを配置
する構成が採られている。
【0213】図16において、記録領域の左側には回復
ユニット11が配設され、該回復ユニット11において
は、前記ヘッドカートリッジ1、2の配置に対応して、
左から右へ、記録ヘッド1Y、1M、1C及び1Bをキ
ャッピングするキャップ12が順次配置され、その次に
(右隣に)液体組成物吐出ヘッド2をキャッピングする
キャップ13が配置され、更にその右隣(右端)には第
2のブラック記録ヘッド1BBをキャッピングするキャ
ップ12が配置されている。
【0214】そして各々のキャップは上下方向に昇降可
能に設けられており、キャリッジ3がホームポジション
にあるときには、各ヘッド1、2の吐出口形成面に対し
て対応するキャップ12、13が各々圧接されることに
より、各ヘッド1、2の吐出口が密封(キャッピング)
され、これにより吐出口内のインク溶剤の蒸発によるイ
ンクの増粘及び固着が防止され、吐出不良の発生が防止
されている。
【0215】また、回復ユニット11は、各キャップ
1、2に連通した吸引ポンプ14とキャップ13に連通
した吸引ポンプ15を備えている。これらのポンプ1
4、15は記録ヘッド1や液体組成物吐出ヘッド2に吐
出不良が生じた場合に、それらの吐出口形成面をキャッ
プ12、13でキャッピングして吸引回復処理を実行す
るのに使用される。更に左端から5番目の液体組成物用
のキャップ13と6番目(右端)のブラックインク用の
キャップ12との間に液体組成物吐出ヘッド2用のブレ
ード17が配置され、右端のキャップ12の右側(記録
領域側)に各記録ヘッド1用のブレード16が配置され
ている。
【0216】そしてブレード17はブレードホルダー1
9によって保持され、ブレード16はブレードホルダー
によって保持されている。この態様においては、ブレー
ドホルダー19は、各々キャリッジ3の移動を利用して
駆動されるブレード昇降機構(不図示)による昇降さ
れ、それによってブレード16、17は、ヘッド1、2
の吐出口形成面に付着したインクや異物をワイピングす
べく突出した位置(ワイピング位置)と吐出口形成面に
接触しない後退した位置(待機位置)との間で昇降す
る。この場合、記録ヘッド1をワイピングするブレード
16と液体組成物吐出ヘッド2をワイピングするブレー
ド17は、互いに独立して個別に昇降できるように構成
されている。
【0217】図17は、図16のインクジェット記録装
置のワイピング動作を示す模式図である。図16におい
て、(A)に示すように、記録ヘッド用のブレード16
が突出(上昇)した後、キャリッジ3に搭載された各ヘ
ッドが右側(記録領域側)からホームポジションに向か
って移動してくる。上昇した記録ヘッド用のブレード1
6は、(B)に示すように、キャリッジ3の左向き移動
に伴い記録ヘッド1を順次ワイピングしていく。そして
(C)に示すように、液体組成物吐出ヘッド2が記録ヘ
ッド用のブレード16の手前(右隣)にきた時点で該ブ
レード16が待機位置まで後退(下降)し、該ブレード
16と液体組成物吐出ヘッド2との接触が防止される。
【0218】更にキャリッジ3が左向きに移動して液体
組成物吐出ヘッド2が記録ヘッド用ブレード6を通過し
た時点で、(D)に示すように、記録ヘッド用ブレード
6及び液体組成物吐出ヘッド用ブレード17の両方を突
出(上昇)させる。そして、キャリッジ3の左向き移動
に伴って、(E)に示すように、ブレード17による液
体組成物吐出ヘッド2のワイピングとブレード16によ
る右端の記録ヘッド1BBのワイピングを同時に行う。
全てのヘッド1、2のワイピングが終了した後、(F)
に示すように、両方のブレード16、17を後退(下
降)させ、待機位置で待機させる。
【0219】図16及び図17の実施例では、キャリッ
ジ3が記録領域側(右側)から回復ユニット11のある
ホームポジション側へ移動するときにブレード16、1
7によるワイピングを行うようにしたが、ワイピング方
向はこれに限定されるものではなく、ホームポジション
側から右側(記録領域側)へ移動する際にワイピングす
るようにしてもよい。
【0220】図16のインクジェット記録装置は、液体
組成物吐出ヘッド2からインク中の色材と反応性を有す
るような、本発明にかかる液体組成物を被記録媒体10
に吐出し、各記録ヘッド1から吐出されたインクと被記
録媒体10上で接触させて記録画像を形成可能なように
構成されている。被記録媒体10上ではインク中の色材
が液体組成物と反応することによって、インク中の色材
が単分子状態で微粒子表面に吸着し、その微粒子によっ
て画像の形成が為されるため、発色性や色の均一性に優
れた画像が得られる。
【0221】尚、本発明に使用する記録装置において、
上記ではインク及び液体組成物に熱エネルギーを作用さ
せてインク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例
に挙げたが、その他、圧電素子を使用するピエゾ方式の
インクジェット記録装置でも同様に利用できる。
【0222】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、「部」及び「%」とあ
るのは特に断りのない限り質量基準である。
【0223】先ず、本発明の液体組成物の作製について
説明する。以下に示す各成分を混合溶解した後、ポアサ
イズが1μmのメンブレンフィルター(商品名、フロロ
ポアフィルター、住友電工(株)製)にて加圧濾過し、
本発明の液体組成物A〜Dを得た。
【0224】(アルミナ水和物の合成例)米国特許明細
書第4,242,271号に記載の方法でアルミニウム
ドデキシドを製造した。次に、米国特許明細書第4,2
02,870号に記載された方法で、前記アルミニウム
ドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造し
た。このアルミナスラリーをアルミナ水和物の固形分が
8.2%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのp
Hは9.7であった。3.9%の硝酸溶液を加えてpH
を調整し、表1に示す熟成条件でコロイダルゾルを得
た。このコロイダルゾルを表1に示す酸でpHを調整
し、固形分濃度20%に濃縮してA〜Dのアルミナ水和
物スラリーを作製した。これらのスラリー中のアルミナ
水和物は水中で表面がプラスに帯電し、カチオン性を示
す。また、これらのアルミナ水和物スラリーをイオン交
換水に希釈し分散させてコロジオン膜上に滴下して測定
用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察したところす
べて平板形状の微粒子であった。
【0225】
【0226】<液体組成物Aの組成> ・グリセリン 10.0部 ・ジエチレングリコール 7.5部 ・アルミナ水和物スラリーA 50.0部 ・水 32.5部
【0227】上記成分を乳化分散機TKロボミックス
(特殊機化工業(株)製)にて3000rpmで30分
間混合した後、遠心分離処理(4000rpm、15分
間)を行い、粗大粒子を除去して液体組成物Aとした。
【0228】<液体組成物Bの組成> ・1.5−ペンタンジオール 10.0部 ・エチレングリコール 7.5部 ・アルミナ水和物スラリーB 50.0部 ・水 32.5部
【0229】上記成分を乳化分散機TKロボミックス
(特殊機化工業(株)製)にて3000rpmで30分
間混合した後、遠心分離処理(4000rpm、15分
間)を行い、粗大粒子を除去して液体組成物Bとした。
【0230】<液体組成物Cの組成> ・グリセリン 7.5部 ・プロピレングリコール 7.5部 ・アルミナ水和物スラリーC 50.0部 ・水 35.0部
【0231】上記成分を乳化分散機TKロボミックス
(特殊機化工業(株)製)にて3000rpmで30分
間混合した後、遠心分離処理(4000rpm、15分
間)を行い、粗大粒子を除去して液体組成物Cとした。
【0232】<液体組成物Dの組成> ・2−ピロリドン 7.5部 ・エチレン尿素 7.5部 ・アルミナ水和物スラリーD 50.0部 ・水 35.0部
【0233】上記成分を乳化分散機TKロボミックス
(特殊機化工業(株)製)にて3000rpmで30分
間混合した後、遠心分離処理(4000rpm、15分
間)を行い、粗大粒子を除去して液体組成物Dとした。
【0234】上記液体組成物A〜Dを下記評価方法によ
り測定を行い、各々の評価結果を表2に示した。 1)微粒子の平均粒子径 微粒子の固形分濃度を0.1%になるよう液体組成物を
イオン交換水で希釈した後、超音波洗浄機にて5分間分
散させて、電気泳動光散乱光度計(大塚電子(株)社
製、ELS−8000、液温25℃、石英セル使用)を
用いて散乱強度を測定した。平均粒子径は付属のソフト
ウェアを用い、散乱強度からキュムラント解析法により
求めた。
【0235】2)pH 液体組成物に対し、液温25℃でpHメーター計(堀場
製作所(株)製、カスタニーpHメーターD−14)を
用いて測定した。
【0236】3)ゼータ電位 微粒子の固形分濃度が0.1%になるよう液体組成物を
イオン交換水で分散させた後に、ゼータ電位測定機(ブ
ルックヘブン社製、BI−ZETA plus、液温2
0℃、アクリルセル使用)で測定した。
【0237】4)タンク保存性 液体組成物をインクタンクに詰めた後、60℃の恒温槽
に1ヶ月間静置保存してタンク内の液体組成物の液物性
及び記録ヘッドからの吐出性を評価した。 ○:タンク内でほぼ沈降が見られず、吐出安定性も良
好。 ×:タンク内で著しく沈降し吐出性も不安定。
【0238】5)細孔半径及び細孔容積 下記手順に従って前処理した後、試料をセルに入れ、1
20℃で8時間真空脱気してカンタクローム社製のオム
ニソーブ1を用いて窒素吸着脱離法により測定した。細
孔半径及び細孔容積はBarrettらの方法(J.A
m.Chem.Soc.,Vol73,373,195
1)により計算から求めた。 (1)上記液体組成物を大気雰囲気下120℃で10時
間乾燥してほぼ溶媒分を蒸発させて乾燥する。 (2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で
昇温させた後700℃で3時間焼成する。 (3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し焼成物を
メノウ乳鉢で摺り潰して粉体化する。
【0239】
【0240】次に、本発明の実施例及び比較例で使用す
るインクサブセット1及び2の作製について説明する。
【0241】<インクサブセット1の作製>下記に示す
各成分によって顔料分散液を調製し、これを用いてブラ
ックインクBk1を作製した。カラーインクとしては、
下記に示す水溶性染料を色材として使用してイエロー、
マゼンタ及びシアンの各染料インク、Bk1、Y1、M
1及びC1を得、これらの染料インクからなる組み合わ
せをインクサブセット1とした。これらのインクのpH
調製にはブラックインクには水酸化カリウムを、カラー
インクには酢酸を夫々使用した。
【0242】[ブラックインクBk1] (顔料分散液の作製) ・スチレン-アクリル酸-アクリル酸エチル共重合体 (酸価140、重量平均分子量5,000) 1.5部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・ジエチレングリコール 5.0部 ・イオン交換水 81.5部
【0243】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新
たに試作されたカーボンブラック(MCF88、三菱化
学製)10部、イソプロピルアルコール1部を加え、3
0分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処
理を行った。 分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径 粉砕メディアの充填率:50%(体積比) 粉砕時間:3時間 更に遠心分離処理(12,000rpm.、20分間)
を行い、粗大粒子を除去して分散液とした。
【0244】(ブラックインクBk1の作製)上記の顔
料分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合
し、顔料を含有するインクを作製し、これをブラックイ
ンクBk1とした。 ・上記顔料分散液 30.0部 ・グリセリン 10.0部 ・エチレングリコール 5.0部 ・N−メチルピロリドン 5.0部 ・エチルアルコール 2.0部 ・イオン交換水 48.0部 ブラックインクBk1のpH:8.0
【0245】[イエローインクY1] ・C.I.アシッドイエロー23 2.0部 ・ジエチレングリコール 8部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製) 0.2部 ・イソプロピルアルコール 4部 ・硝酸マグネシウム 2.5部 ・水 83.3部 イエローインクY1のpH:7.1
【0246】[マゼンタインクM1] ・C.I.アシッドレッド289 3部 ・グリセリン 7部 ・尿素 3部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製) 0.2部 ・イソプロピルアルコール 4部 ・硝酸カルシウム 3.0部 ・水 79.8部 マゼンタインクM1のpH:6.5
【0247】[シアンインクC1] ・C.I.ダイレクトブルー199 3部 ・エチレングリコール 7部 ・ジエチレングリコール 10部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製) 0.3部 ・硝酸マグネシウム 2.5部 ・水 77.2部 シアンインクC1のpH:7.5
【0248】<インクサブセット2の作製>下記に示す
各成分からなるインク(Bk2、Y2、M2及びC2)
を組み合わせてインクサブセット2とした。これらのイ
ンクのpH調製にはブラックインクには水酸化カリウム
を、カラーインクには酢酸を夫々使用した。
【0249】[ブラックインクBk2]ブラックインク
Bk1と同一組成のものを使用した。 ブラックインクBk2のpH:8.0
【0250】[イエローインクY2] ・C.I.ダイレクトイエロー23 3.0部 ・エチレングリコール 18部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製) 0.2部 ・イソプロピルアルコール 4部 ・水 82部 イエローインクY2のpH:4.0
【0251】[マゼンタインクM2] ・C.I.アシッドレッド52 3部 ・グリセリン 7部 ・尿素 7部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製) 0.2部 ・イソプロピルアルコール 4部 ・水 78.8部 マゼンタインクM2のpH:5.0
【0252】[シアンインクC2] ・C.I.アシッドブルー9 3部 ・エチレングリコール 7部 ・ジエチレングリコール 10部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製) 0.3部 ・水 79.7部 シアンインクC2のpH:5.9
【0253】<インクサブセット3の作製>下記に示す
各成分によって顔料分散液を調製し、これを用いてカチ
オン性顔料含有ブラックインクBk3を作製した。
【0254】(カチオン性顔料分散液の作製) ・ポリ−N,N′−ジメチル−3,5− メチレンピペリジニウム塩 2部 (Mw=3700) ・ジエチレングリコール 5部 ・イオン交換水 78部
【0255】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、樹脂分を完全に溶解する。この溶液に比表
面積が180m2/g、DBPAが122m1/100
gのカーボンブラックを15部加え、30分間プレミキ
シングを行った後、ブラックインクBk1と同一条件で
分散処理い、カチオン性ブラック顔料分散液を作成し
た。
【0256】(ブラックインクBk3の作製)上記の顔
料分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合
し、顔料を含有するインクを作製し、これをブラックイ
ンクBk3とした。 ・上記顔料分散液 30.0部 ・グリセリン 10.0部 ・エチレングリコール 5.0部 ・N−メチルピロリドン 5.0部 ・イオン交換水 50.0部
【0257】[イエローインクY3]ブラックインクB
k1の調製の際に使用したカーボンブラック(MCF8
8、三菱化学製)10部を、ピグメントイエロー74に
代えたこと以外はブラックインクBk1の調製と同様に
して、顔料含有イエローインクY3を調製した。
【0258】[マゼンタインクM3]ブラックインクB
k1の調製の際に使用したカーボンブラック(MCF8
8、三菱化学製)10部を、ピグメントレッド7に代え
たこと以外はブラックインクBk1の調製と同様にし
て、顔料含有マゼンタインクM3を調製した。
【0259】[シアンインクC3]ブラックインクBk
1の調製の際に使用したカーボンブラック(MCF8
8、三菱化学製)10部を、ピグメントブルー15:3
に代えたこと以外はブラックインクBk1の調製と同様
にして、顔料含有シアンインクC3を調製した。
【0260】(実施例1〜実施例12)上記のようにし
て得られた本発明の液体組成物A〜Dと、インクサブセ
ット1(Bk1、Y1、M1及びC1)、インクサブセ
ット2(Bk2、Y2、M2及びC2)、及びインクサ
ブセット3(Bk3、Y3、M3及びC3)の各色イン
クを用いて、下記の表3の組み合わせで、印字を行っ
た。これを本発明の実施例1〜12とした。
【0261】
【0262】上記のようにして液体組成物A〜Dとイン
クサブセット1、2及び3を組み合わせて使用する実施
例1〜12の着色部の形成方法においては、PPC用紙
(キヤノン製)に記録を行った。また、その際に使用し
たインクジェト記録装置としては、図1に示したのと同
様の記録装置を用い、図3に示した記録ヘッドを5つ用
いてカラー画像を形成した。この際、液体組成物を先打
ちして先ず記録紙上に付着させ、その後インクを付着さ
せた。
【0263】具体的には、評価項目(1)は印字領域を
3回の走査で印字する3パスファイン印字を行い、評価
項目(2)では1パス印字を行った。評価項目(1)に
おいて、液体組成物は各パス毎にイエロー、マゼンタ、
シアン及びブラックのいずれかのインクが印字される画
素位置に印字を行った。即ち、各パス毎のイエロー、マ
ゼンタ、シアン及びブラックの印字データの論理和を液
体組成物の印字データとして用いた。尚、実施例9〜1
2に関しては、発色性は、有彩色の部分で評価した。ま
た、該ファイン印字時のファインマスクの種類には、特
に制限はなく、公知の技術が利用可能であるので、ここ
での詳細な説明は省略する。
【0264】ここで用いた記録ヘッドは、600dpi
の記録密度を有し、駆動条件としては、駆動周波数9.
6kHzとした。600dpiのヘッドを使用したとき
の1ドット当たりの吐出量はイエロー、マゼンタ、シア
ンインク及び液体組成物については夫々15ng、ブラ
ックインクについては1ドット当たり30ngのヘッド
を使用した。尚、これらの記録条件は、実施例及び比較
例を通じて同一である。
【0265】(比較例1〜比較例2)インクサブセット
4、液体組成物A及びBを用いて、下記の表4のように
して印字を行った。 <インクサブセット4>インクサブセット1のカラーイ
ンク(イエローインクY1、マゼンタインクM1及びシ
アンインクC1)から硝酸マグネシウム、硝酸カルシウ
ムを夫々除き、その分をイオン交換水に置き換えた以外
はインクサブセット1と同様な組成及び作成条件として
インクサブセット4を作製した。
【0266】
【0267】上記インクサブセット4、液体組成物A及
びBを用いて記録(比較例1及び2)において用いた記
録ヘッドは、600dpiの記録密度を有し、駆動条件
としては、駆動周波数9.6kHzとした。600dp
iのヘッドを使用したときの1ドット当たりの吐出量
は、イエロー、マゼンタ及びシアンインクについては夫
々約15ng、ブラックインクについては1ドット当た
り約30ngのヘッドを使用し、実施例1〜12の場合
と同条件で記録を行った。
【0268】[評価方法及び評価基準]上記の実施例1
〜実施例8及び比較例1、2で得られた夫々の記録画像
について、下記の評価方法及び評価基準で評価を行っ
た。その結果を表5に示した。
【0269】(記録画像の評価方法) (1)発色性 高精細XYZ・CIELAB・RGB標準画像(SHIPP)(監修:高
精細標準画像作成委員会、発行:画像電子学会)のRG
Bカラーチャートをプリンタを用いて印字し、それらの
カラーチャートを測色した。発色性の評価は同技術解説
書に記載されている方法で色彩分布の3次元的な広がり
(以下、文中では色域体積と呼ぶ)の計算を行って比較
した。その際、印字画像を形成する際の画像処理は同一
条件とし、測色は、印字後24時間経過後、GRETAGスペ
クトロリノで光源:D50、視野:2°の条件で測定し
た。その評価基準を以下に示した。インクサブセットの
みの印字画像(比較例1及び2)に対しての色域体積の
比を評価基準とした。
【0270】AAA:色域体積比が1.7倍以上。 AA:色域体積比が1.5〜1.7倍。 A:色域体積比が1.4〜1.5倍。 BB:色域体積比が1.2〜1.4倍。 B:色域体積比が1.0〜1.2倍。 C:色域体積比が1.0倍未満。
【0271】尚、これとは別に、インクジェット用コー
ト紙(商品名:カラーBJ用紙LC−101、キヤノン
(株)製)を用いてインクサブセット1で印字して画像
を形成し、上記の比較例1の記録画像との色域体積の比
を求めたところ1.3倍であった。
【0272】(6)ブリード プリンターを用いて、シアンとブラックのベタ画像を隣
接して印字した後、色間境界部のブリードを目視で評価
した。評価基準は以下の通りである。 AAA:目視ではブリーディングを視認できない。 AA:ブリーディングはしているが非常に僅かである。 A:ブリーディングはしているが殆ど目立たない。 B:ブリーディングはしているが、実質上問題のないレ
ベルである。 C:色の境界紙がハッキリしないほどブリーディングし
ている。
【0273】
【0274】(実施例13〜19)使用する被記録媒体
の種類による画像品質への影響を調べるため、上記で作
成した液体組成物Bとインクサブセット1とを用いて、
下記1)〜7)の商品名で広く流通している7種類の
「普通紙」を用い、これらの普通紙上で、インクサブセ
ット1を構成する4色のインク各々と該液体組成物Bと
を上記実施例と同様に印字して実施例13〜19の記録
画像を形成した。この画像を、上記した評価基準に基づ
き評価した。得られた結果を下記表6に示した。
【0275】被記録媒体 1)キヤノン社製:PB用紙 2)キヤノン社製:Brilliant White
paper 3)Union Camp社製:Great Whit
e Inkjet 4)ハンマーミル(Hammermill)社製:Je
t Print 5)ゼロックス(Xerox)社製:Xerox 40
24 6)ヒューレットパッカード(Hewlett Pac
kard)社製:Bright White Inkj
et Paper 7)Aussdat Ray社製:Ray Jet
【0276】
【0277】以上の結果、実施例13〜19の着色部の
形成方法においては、表6に示されているように、被記
録材の種類によらず、発色性、ブリードのいずれにおい
ても満足できる画像が得られることが確認できた。
【0278】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インクジェット用コート紙並みの優れた発色性を有する
インクジェット記録画像が得られ、且つ1パス印字を行
ってもブリードの発生個所が極めて少ない非常に良好な
インクジェット記録画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したインクジェット記録装置を
模式的に示す一部破断斜視図。
【図2】 図1中のヘッドカートリッジの模式的斜視
図。
【図3】 図1中のヘッドカートリッジのインク吐出部
の構造を模式的に示す部分斜視図。
【図4】 図1のインクジェット記録装置のワイピング
動作を示す模式図であり、(A)は各ヘッドの記録領域
側からホームポジションへの移動とインク用ブレードの
上昇、(B)は記録ヘッドのワイピング、(C)は液体
組成物吐出ヘッドのワイピング、(D)は各ブレードの
下降をそれぞれ示す。
【図5】 図1のインクジェット記録装置のワイピング
動作を示す模式図であり、(A)は各ブレードの上昇、
(B)は各ヘッドのホームポジションから記録領域側へ
の移動、(C)は液体組成物用ブレードの下降、(D)
は記録ヘッドのワイピングとインク用ブレードの下降を
それぞれ示す。
【図6】 図1のインクジェット記録装置のワイピング
動作を示す模式図であり、(A)はインク用ブレードの
上昇、(B)は各ヘッドのホームポジション側から記録
領域側への移動と記録ヘッドのワイピング、(C)は各
ヘッドの記録領域側からホームポジション側への移動と
インク用ブレードの待機と液体組成物用ブレードの上
昇、(D)各ヘッドのホームポジション側への移動と液
体組成物吐出ヘッドのワイピングをそれぞれ示す。
【図7】 図1のインクジェット記録装置の廃液回収系
統を示す模式図。
【図8】 図7の廃液回収系統の一部変更例を示す模式
図。
【図9】 コート紙にインクジェット記録を行なったと
きの着色部の状態を説明する模式的断面図。
【図10】 本発明にかかるインクカートリッジの一実
施態様を示す概略図。
【図11】 図10のインクカートリッジを装着した記
録ヘッドの概略図。
【図12】 本発明にかかる記録ユニットの一実施態様
を示す概略図。
【図13】 本発明にかかるインクジェット画像の着色
部の状態を説明する模式的断面図。
【図14】 本発明にかかるインクジェット記録画像の
着色部の形成過程を示す概略過程図。
【図15】 記録ユニットの斜視図。
【図16】 本発明にかかるインクジェット記録装置の
一つの実施態様を模式的に示す一部破断斜視図である。
【図17】 図16のインクジェット記録装置のワイピ
ング動作を示す模式図であり、(A)はインク用ブレー
ドの上昇、(B)は記録ヘッドのワイピング、(C)は
インク用ブレードの下降、(D)は液体組成物が適正位
置についた後の両ブレードの上昇、(E)は液体組成物
と第2のブラックインク用ヘッドのワイピング、(F)
は両ブレードの下降をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1:記録ヘッド(インク吐出ヘッドカートリッジ) 2:液体組成物吐出ヘッド(液体組成物吐出ヘッドカー
トリッジ) 3:キャリッジ 4:ガイド軸(走査レール) 5:駆動ベルト 6,7:搬送ローラ 8,9:搬送ローラ 10:被記録媒体 11:回復ユニット 12:キャップ(記録ヘッド用) 13:キャップ(液体組成物吐出ヘッド用) 14:吸引ポンプ(インク用) 15:吸引ポンプ(液体組成物用) 16:ブレード(記録ヘッド用) 17:ブレード(液体組成物吐出ヘッド用) 18:ブレードホルダー(記録ヘッドブレード用) 19:ブレードホルダー(液体組成物吐出ヘッドブレー
ド用) 21:液貯留タンク部 22:(インク)吐出部 22A:(液体組成物)吐出部 23:ヘッド側コネクタ 24:廃液タンク 25:吸収体 25A:インク吸収体 25B:液体組成物吸収体 26:廃インク導管 27:廃液導管 81:吐出口形成面 82:吐出口 83:共通液室 84:液路 85:電気熱変換体(発熱抵抗体等) 901:基紙 903:インク受容層 905:多孔質微粒子 907:接着剤 909:インク浸透部 1001:カートリッジ 1003:インク収容部 1005:液体組成物収容部 1101:記録ヘッド 1201:記録ユニット 1201Y:イエローインク収容部 1201M:マゼンタインク収容部 1201C:シアンインク収容部 1201L:液体組成物収容部 1201Bk:ブラックインク収容部 1203:記録ヘッド 1301:被記録媒体 1302:被記録媒体の繊維間の空隙 1303:微粒子 1305:色材 1307:(色材を保持する)微粒子の凝集物 1309:(被記録媒体の繊維付近の)微粒子の凝集物 I:着色部 IM:主画像部 IS:周辺部 1400:着色部 1401:反応部 1402:インク流出部 1403:被記録媒体 1404:色材 1405:被記録媒体の繊維間の空隙 1406:液体組成物 1407:液溜り 1409:微粒子 1411:微粒子同士の集まり 1413:インク 1415:色材が付着した微粒子の凝集物 1500:記録ユニット 1501:ヘッド部 1502:大気連通口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 真夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 倉林 豊 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 中澤 広一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 後藤 文孝 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA05 EA11 EE17 FA03 FC01 FC02 HA42 HA44 2H086 BA02 BA55 BA59 BA60 4J039 AB02 AD02 AD03 AD06 AD09 AD10 AD14 AD17 AE01 BA04 BA10 BA16 BA17 BA18 BA19 BA21 BA24 BA29 BA30 BA31 BA32 BA35 BA39 BC05 BC12 BC19 BC29 BC33 BC47 BC54 BC65 BE01 BE06 BE22 CA03 CA06 EA15 EA16 EA17 EA20 EA36 EA41 EA42 EA44 EA47 GA24

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材を含むアニオン性若しくはカチオン
    性の化合物を含有している第1のインクと、色材を含む
    アニオン性若しくはカチオン性の化合物を含有している
    第2のインクと、該第1及び第2のインクの少なくとも
    一方とは逆極性に表面が帯電している微粒子が分散状態
    で含んでいる水性の液体組成物と、を具備しているイン
    クセットであって、該第1及び第2のインクは、互いに
    異なる色を有し、且つ該第1及び第2のインクは記録媒
    体上で接触したときに反応することを特徴とするインク
    セット。
  2. 【請求項2】 該第1及び第2のインクの少なくとも一
    方が多価金属の塩を含有する請求項1に記載のインクセ
    ット。
  3. 【請求項3】 該多価金属がアルカリ土類金属である請
    求項1に記載のインクセット。
  4. 【請求項4】 該第1及び第2のインク同士のpHの差
    が2以上である請求項1に記載のインクセット。
  5. 【請求項5】 該第1のインクがアニオン性もしくはカ
    チオン性のインクであり、該第2のインクが該第1のイ
    ンクとは逆極性のインクである請求項1に記載のインク
    セット。
  6. 【請求項6】 該第1及び第2のインクが各々イエロー
    インク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックイン
    ク、レッドインク、ブルーインク及びグリーンインクか
    ら選ばれるインクである請求項1に記載のインクセッ
    ト。
  7. 【請求項7】 該第1のインクに含有される色材がアニ
    オン性であり、且つ液体組成物にカチオン性微粒子が含
    有され、該カチオン性微粒子のゼータ電位が+5〜+9
    0mVの範囲に含まれる請求項1〜6の何れか1項に記
    載のインクセット。
  8. 【請求項8】 該第1のインクに含有される色材がアニ
    オン性であり、且つ液体組成物が酸を含み、該液体組成
    物のpHが2〜7の範囲に調整されている請求項1〜7
    の何れか1項に記載のインクセット。
  9. 【請求項9】 液体組成物中に含まれる酸の水中での一
    次解離定数pKaが5以下である請求項8に記載のイン
    クセット。
  10. 【請求項10】 該第1のインクに含有される色材がカ
    チオン性であり、且つ液体組成物にアニオン性微粒子が
    含有され、該アニオン性微粒子のゼータ電位が−5〜−
    90mVの範囲に含まれる請求項1〜10の何れか1項
    に記載のインクセット。
  11. 【請求項11】 該第1のインクに含有される色材がカ
    チオン性であり、且つ液体組成物が塩基を含み、該液体
    組成物のpHが7〜12の範囲に調整されている請求項
    1〜10の何れか1項に記載のインクセット。
  12. 【請求項12】 液体組成物中に含まれる塩基の水中で
    の一次解離定数pKbが5以下である請求項11に記載
    のインクセット。
  13. 【請求項13】 液体組成物中に分散されている微粒子
    の平均粒子直径が0.005〜1μmの範囲にある請求
    項1〜12の何れか1項に記載のインクセット。
  14. 【請求項14】 該第1及び第2のインクの少なくとも
    一方がアニオン性基を有する水溶性染料を含む請求項1
    〜9の何れか1項に記載のインクセット。
  15. 【請求項15】 該第1及び第2のインクの少なくとも
    一方が表面にアニオン性基を有する顔料を含む請求項1
    〜9の何れか1項に記載のインクセット。
  16. 【請求項16】 該第1及び第2のインクの少なくとも
    一方が顔料と、該顔料の分散剤であるアニオン性化合物
    とを含む請求項1〜9の何れか1項に記載のインクセッ
    ト。
  17. 【請求項17】 (i)請求項1のインクセットを構成
    する液体組成物を被記録媒体に付与させる過程、及び
    (ii)請求項1のインクセットを構成する第1のインク
    及び第2のインクのうち、少なくとも該液体組成物と異
    なる極性を有するインクを被記録媒体に付与させる過程
    を有する被記録媒体に着色部を形成する方法であって、
    過程(i)及び(ii)は、被記録媒体の表面において、
    該液体組成物と該インクとが互いに液体状態で接するよ
    うに行うことを特徴とする被記録媒体への着色部の形成
    方法。
  18. 【請求項18】 少なくとも過程(i)が行われた後
    に、過程(ii)が行なわれる請求項17に記載の被記録
    媒体への着色部の形成方法。
  19. 【請求項19】 少なくとも過程(ii)が行われた後
    に、過程(i)が行われる請求項17に記載の被記録媒
    体への着色部の形成方法。
  20. 【請求項20】 過程(ii)が行われた後に、過程
    (i)が行われ、その後に再び過程(ii)が行われる請
    求項17に記載の被記録媒体への着色部の形成方法。
  21. 【請求項21】 過程(ii)におけるインクの被記録媒
    体への付与を、該インクを記録信号に応じてオリフィス
    から吐出させる方式のインクジェット記録方法によって
    行なう請求項17〜20の何れか1項に記載の被記録媒
    体への着色部の形成方法。
  22. 【請求項22】 インクジェット記録方法が、インクに
    熱エネルギーを作用させることによってインクをオリフ
    ィスから吐出させる方法である請求項21に記載の被記
    録媒体への着色部の形成方法。
  23. 【請求項23】 過程(i)における液体組成物の被記
    録媒体への付与を、該液体組成物を記録信号に応じてオ
    リフィスから吐出させる方式のインクジェット記録方法
    によって行なう請求項17〜22の何れか1項に記載の
    被記録媒体への着色部の形成方法。
  24. 【請求項24】 インクジェット記録方法が、液体組成
    物に熱エネルギーを作用させて液体組成物をオリフィス
    から吐出させる方法である請求項23に記載の被記録媒
    体への着色部の形成方法。
  25. 【請求項25】 請求項1に記載のインクセットを構成
    する第1及び第2のインクを各々収容しているインク収
    容部と、各々のインクを吐出させるためのインクジェッ
    トヘッドを備えた第1の記録ユニットと、請求項1に記
    載のインクセットを構成する液体組成物を収容している
    液体組成物収容部と、該液体組成物を吐出させるための
    インクジェットヘッドとを備えた第2の記録ユニットと
    を備えていることを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  26. 【請求項26】 請求項1に記載のインクセットを構成
    する第1及び第2のインクを各々収容しているインク収
    容部と、請求項1に記載のインクセットを構成する液体
    組成物を収容している液体組成物収容部と、上記インク
    収容部に収容されている各インクと上記液体組成物収容
    部に収容されている液体組成物とを独立に吐出させるた
    めのインクジェットヘッドとを備えていることを特徴と
    するインクジェット記録装置。
  27. 【請求項27】 インクジェットヘッドが、熱エネルギ
    ーを作用させて液体を吐出させるサーマルインクジェッ
    トヘッドである請求項25又は26に記載のインクジェ
    ット記録装置。
  28. 【請求項28】 着色インク同士が反応する、アニオン
    性若しくはカチオン性の化合物を含む着色インクととも
    に被記録媒体に付与され、該被記録媒体上に着色部を形
    成するのに用いられる微粒子を含む液体組成物であっ
    て、上記着色部の形成が、上記液体組成物と上記インク
    とが液体の状態で接触し、且つ液体組成物の微粒子表面
    に、インク中の色材がインク中で有している分子状態と
    実質的に同等の分子状態を保持しつつ吸着若しくは結合
    して為されることを特徴とする液体組成物。
  29. 【請求項29】 請求項1に記載のインクセットを構成
    する第1及び第2のインクを各々収容しているインク収
    容部と、請求項1に記載のインクセットを構成する液体
    組成物を収容している液体組成物収容部と、を具備して
    いることを特徴とするインクカートリッジ。
  30. 【請求項30】 請求項1に記載のインクセットを構成
    する第1及び第2のインクを各々収容しているインク収
    容部と、請求項1に記載のインクセットを構成している
    液体組成物を収容している液体組成物収容部と、該第1
    及び第2のインク並びに該液体組成物の各々を吐出する
    インクジェットヘッドとを具備していることを特徴とす
    る記録ユニット。
JP2001140600A 2001-05-10 2001-05-10 インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置 Pending JP2002332438A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001140600A JP2002332438A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001140600A JP2002332438A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002332438A true JP2002332438A (ja) 2002-11-22

Family

ID=18987181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001140600A Pending JP2002332438A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002332438A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004065500A1 (ja) * 2003-01-24 2004-08-05 Sony Corporation 液組成物、記録液、液体カートリッジ、液体吐出カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法
JP2005220182A (ja) * 2004-02-04 2005-08-18 Fuji Xerox Co Ltd インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
WO2005087500A1 (ja) * 2004-03-16 2005-09-22 Canon Kabushiki Kaisha 液体組成物、液体組成物とインクのセット、インクジェット記録装置、及び画像形成方法
CN100432162C (zh) * 2003-01-24 2008-11-12 索尼株式会社 液体组合物、记录液体、液体盒、液体喷出盒、液体喷出单元及液体喷出的方法
CN100443302C (zh) * 2004-03-16 2008-12-17 佳能株式会社 液体组合物、成套的液体组合物与墨水、喷墨记录装置、以及图像形成方法
US8083339B2 (en) 2003-11-07 2011-12-27 Ricoh Company, Ltd. Ink set, treating liquid, recording liquid, image recording apparatus and image recording method
JP2018203794A (ja) * 2017-05-30 2018-12-27 理想科学工業株式会社 調湿基材用水性インクジェットインクセット及び加飾された調湿基材の製造方法
JP2020055926A (ja) * 2018-09-28 2020-04-09 株式会社リコー インクセット

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004065500A1 (ja) * 2003-01-24 2004-08-05 Sony Corporation 液組成物、記録液、液体カートリッジ、液体吐出カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法
CN100432162C (zh) * 2003-01-24 2008-11-12 索尼株式会社 液体组合物、记录液体、液体盒、液体喷出盒、液体喷出单元及液体喷出的方法
US7771037B2 (en) 2003-01-24 2010-08-10 Sony Corporation Liquid spraying method using a recording liquid having a pH of 4-6
US8075125B2 (en) 2003-01-24 2011-12-13 Sony Corporation Liquid spraying cartridge containing a recording liquid having a pH of over 4 and under 6
US8075124B2 (en) 2003-01-24 2011-12-13 Sony Corporation Liquid cartridge containing a recording liquid having a pH of over 4 and under 6
US8083339B2 (en) 2003-11-07 2011-12-27 Ricoh Company, Ltd. Ink set, treating liquid, recording liquid, image recording apparatus and image recording method
JP2005220182A (ja) * 2004-02-04 2005-08-18 Fuji Xerox Co Ltd インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
WO2005087500A1 (ja) * 2004-03-16 2005-09-22 Canon Kabushiki Kaisha 液体組成物、液体組成物とインクのセット、インクジェット記録装置、及び画像形成方法
CN100443302C (zh) * 2004-03-16 2008-12-17 佳能株式会社 液体组合物、成套的液体组合物与墨水、喷墨记录装置、以及图像形成方法
JP2018203794A (ja) * 2017-05-30 2018-12-27 理想科学工業株式会社 調湿基材用水性インクジェットインクセット及び加飾された調湿基材の製造方法
JP2020055926A (ja) * 2018-09-28 2020-04-09 株式会社リコー インクセット
JP7210984B2 (ja) 2018-09-28 2023-01-24 株式会社リコー インクセット、印刷方法、電極の製造方法、及び電気化学素子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100518990B1 (ko) 액체 조성물, 잉크 세트, 피기록 매체에 착색부를형성하는 방법 및 잉크젯 기록 장치
US6719420B2 (en) Liquid composition, ink set, method for forming colored portion on recording medium, and ink-jet recording apparatus
US6746114B2 (en) Ink set, process for forming colored portion and ink-jet recording apparatus
JP3927851B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録物の製造方法
US6830709B2 (en) Method of measuring liquid composition, liquid composition, ink set, method for forming colored portion on recording medium, and ink-jet recording apparatus
JP3927850B2 (ja) 記録方法、記録装置、記録物、記録物の製造方法
US6863391B2 (en) Liquid composition, ink set, method of forming a colored section on recording medium and ink-jet recording apparatus
JP3780162B2 (ja) 液体組成物、インクセット、被記録媒体への着色部の形成方法及びインクジェット記録装置
JP3559762B2 (ja) 液体組成物、及び、それを用いたインクセット及び画像形成方法
JP2001199150A (ja) インクセット、被記録媒体への着色部の形成方法、及びインクジェット記録装置
EP1099731B1 (en) Image forming process, ink set, image by ink-jet recording, recorded article, surface-treated article and surface treating process
JP2002332436A (ja) インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2002332437A (ja) インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2002332438A (ja) インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2001199149A (ja) 画像形成方法、インクセット、液滴噴射記録画像、記録物、表面処理された物品及び表面処理方法
JP3631220B2 (ja) インクセット及び着色部の形成方法
JP3799292B2 (ja) 液体組成物、インクセット及び被記録媒体に着色部を形成する方法
JP3631188B2 (ja) 液体組成物、インクセット及び被記録媒体に着色部を形成する方法
JP3799291B2 (ja) 液体組成物、インクセット及び被記録媒体に着色部を形成する方法
JP2003026977A (ja) インクセット、インクによる画像の定着性向上方法、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2002331742A (ja) 液体組成物、インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法、カートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置
JP2002331749A (ja) 液体組成物、インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法、インクジェット記録装置、カートリッジ及び記録ユニット
JP2002332432A (ja) インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2002331741A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2002331675A (ja) 液体吐出装置及び液体吐出ヘッド