JP2002332437A - インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置

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JP2002332437A
JP2002332437A JP2001140599A JP2001140599A JP2002332437A JP 2002332437 A JP2002332437 A JP 2002332437A JP 2001140599 A JP2001140599 A JP 2001140599A JP 2001140599 A JP2001140599 A JP 2001140599A JP 2002332437 A JP2002332437 A JP 2002332437A
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Hiroshi Tomioka
洋 冨岡
勝彦 ▲高▼橋
Katsuhiko Takahashi
Yutaka Kurabayashi
豊 倉林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像を形成した場合に、より一層広い色再現
範囲を有し、ブリードの発生が抑制され、耐水性に優
れ、色の均一性にも優れた高品質なインクジェット記録
物が得られ、液体組成物のインクジェット特性にも優れ
る液体組成物とインクとが組み合わされたインクセッ
ト、被記録媒体に着色部を形成する方法、及びインクジ
ェット記録装置の提供。 【解決手段】 色材を含む少なくとも1つ以上のインク
と、色材と反応性を有する微粒子を含む液体組成物とを
独立に備えているインクセットであって、液体組成物
が、水溶性ポリマー及びこれを架橋する架橋剤のいずれ
か一方を含み、且つインクが、水溶性ポリマー及びこれ
を架橋する架橋剤の他方を含んでいるインクセット、被
記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記
録装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー画像の形成
において発色性と色の均一性が高く、ブリードの発生が
抑制され、耐水性や耐擦過性にも優れた画像を得る技術
に関し、とりわけ、インクジェット記録方式を利用した
画像形成に最適に使用できるインクセット、これを用い
た被記録媒体に着色部を形成する方法、及びインクジェ
ット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、インクを飛
翔させ、紙等の被記録媒体にインクを付着させて記録を
行うものである。例えば、特公昭61−59911号公
報、特公昭61−59912号公報及び特公昭61−5
9914号公報において開示されている、吐出エネルギ
ー供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーを
インクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出
させる方式のインクジェット記録方法によれば、記録ヘ
ッドの高密度マルチオリフィス化を容易に実現すること
ができ、高解像度及び高品位の画像を高速で記録するこ
とができる。
【0003】ところで、従来のインクジェット記録方法
に用いられるインクとしては、水及び色材を主成分と
し、これにノズル内でのインクの乾燥防止、ノズルの目
詰まり防止等の目的でグリコール等の水溶性高沸点溶剤
を含有しているものが一般的である。そのためこのよう
なインクを用いて被記録媒体に記録を行った場合には、
十分な定着性が得られなかったり、被記録媒体としての
記録紙表面における填料やサイズ剤の不均一な分布によ
ると推定される不均一画像の発生等の問題を生じる場合
がある。一方、近年は、インクジェット記録物に対して
も、銀塩写真と同レベルの高い画質を求める要求が強く
なっており、インクジェット記録画像の画像濃度を高め
ること、色再現領域を広げること、更には、記録物の色
の均一性を向上させることに対する技術的な要求が非常
に高くなっている。
【0004】このような状況のもとで、インクジェット
記録方法の安定化、そしてインクジェット記録方法によ
る記録物の品質向上を図るために、これまでにも種々の
提案がなされてきている。被記録媒体に関する提案のう
ちの一つとして、被記録媒体の基紙表面に、充填材やサ
イズ剤を塗工する方法が提案されている。例えば、充填
材として色材を吸着する多孔質微粒子を基紙に塗工し、
この多孔質微粒子よってインク受容層を形成する技術が
開示されている。これらの技術を用いた被記録媒体とし
て、インクジェット用コート紙等が市販されている。
【0005】このような状況のもとで、インクジェット
記録方法の安定化、そして、インクジェット記録方法に
よる記録物の品質向上を図るために、これまでにも種々
の提案がなされてきている。以下に、その代表的なもの
の幾つかを分類してまとめた。 (1)インクに揮発性溶剤や浸透溶剤を内添する方法;
被記録媒体へのインクの定着性を早める手段として特開
昭55−65269号公報に、インク中に界面活性剤等
の浸透性を高める化合物を添加する方法が開示されてい
る。また、特開昭55−66976号公報には、揮発性
溶剤を主体としたインクを用いることが開示されてい
る。
【0006】(2)インクにインクと反応する液体組成
物を被記録媒体上で外添し、混合する方法;画像濃度の
向上、耐水性の向上、更にはブリーディングの抑制を目
的として、記録画像を形成するためのインクの噴射に先
立ち、或いは噴射後に、被記録媒体上に画像を良好にせ
しめる液体組成物を付与する方法が提案されている。例
えば、特開昭63−60783号公報には、塩基性ポリ
マーを含有する液体組成物を被記録媒体に付着させた
後、アニオン染料を含有したインクによって記録する方
法が開示されており、特開昭63−22681号公報に
は、反応性化学種を含む第1の液体組成物と該反応性化
学種と反応を起こす化合物を含む第二の液体組成物を被
記録媒体上で混合する記録方法が開示されており、更
に、特開昭63−299971号公報には、1分子当た
り2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有す
る液体組成物を被記録媒体上に付与した後、アニオン染
料を含有するインクで記録する方法が開示されている。
また、特開昭64−9279号公報には、コハク酸等を
含有した酸性液体組成物を被記録媒体上に付与した後、
アニオン染料を含有したインクで記録する方法が開示さ
れている。
【0007】また、特開昭64−63185号公報に
は、インクの付与に先立って染料を不溶化させる液体組
成物を紙に付与するという方法が開示されている。更
に、特開平8−224955号公報には、分子量分布領
域の異なるカチオン性物質を含む液体組成物を、アニオ
ン性化合物を含むインクと共に用いる方法が開示され、
また、特開平8−72393号公報には、カチオン性物
質と微粉砕セルロースを含む液体組成物をインクと共に
用いる方法が開示されており、いずれも画像濃度が高
く、印字品位、耐水性が良好で、色再現性、ブリーディ
ングにおいても良好な画像が得られることが記載されて
いる。また、特開昭55−150396号公報には、被
記録媒体上に染料インクで記録した後に、染料とレーキ
を形成する耐水化剤を付与する方法が開示され、記録画
像の耐水性を付与することが提案されている。
【0008】(3)インクと微粒子含有液体組成物とを
被記録媒体上で混合する方法;特開平4−259590
号公報に、無機物質からなる無色の微粒子を含有する無
色液体を被記録媒体上に付与した後、非水系記録液を付
着させる方法が開示され、特開平6−92010号公報
には、微粒子を含む溶液、又は微粒子及びバインダーポ
リマーを含む溶液を被記録媒体上に付与した後、顔料、
水溶性樹脂、水溶性溶剤及び水を含むインクを付着させ
る方法が開示され、特開2000−34432号公報に
は、水不溶性微粒子から成る液体組成物とインクとを含
む記録材料が開示されており、いずれも、紙種によらず
印字品位や発色性の良好な画像が得られることが記載さ
れている。
【0009】(4)インク同士を反応させる方法;特開
平8−259869号公報には、一方のインクに、不溶
性の微粒子及びポリアクリル酸又はポリメタクリル酸を
含み、且つ他方のインク中に、上記ポリアクリル酸又は
ポリメタクリル酸をゲル化させる高分子材料を含んだイ
ンクセットが開示されている。この方法では、印字品位
やブリードが良好な画像が得られることが記載されてい
る。
【0010】(背景技術)本発明者らは、上記したよう
な各種のインクジェット記録技術について検討を重ねた
結果、各々の技術課題に対してはそれぞれ優れた効果を
確認できるものの、それと引き換えに、他のインクジェ
ット記録特性が低下してしまう場合があることを見出し
た。例えば、上記した被記録媒体の基紙表面に充填材や
サイズ剤を塗工して得られる被記録媒体(以降、コート
紙という)は、高品質な画像を形成することができる技
術として認知されている。
【0011】一般に、高彩度の画像を得るためには、色
材を凝集させずに単分子状態で被記録媒体の表面に残す
ことが必要であることは知られている。コート紙の多孔
質微粒子には、このような機能がある。しかしながら、
高い画像濃度と画像彩度を得るためには、与えられたイ
ンク中の色材に対して、多量の多孔質微粒子で、基紙を
覆い隠すような厚いインク受容層の形成が不可欠とな
り、結果として、基紙の質感が失われてしまうという問
題がある。本発明者らは、このように基紙の質感を失う
程のインク受容層が必要なのは、色材が、多孔質微粒子
に効率的に吸着していないことに起因すると推測した。
【0012】一層のインク受容層を有するコート紙を想
定して、以下に説明する。図9は、コート紙表面付近の
断面を模式的に示したものである。同図において、90
1は基紙であり、903はインク受容層を示す。一般
に、インク受容層903は、多孔質微粒子905とそれ
らを固定化する接着剤907を有する。インクが付与さ
れると、インクは多孔質微粒子905間の空隙を毛管現
象によって浸透し、インク浸透部909を形成する。同
図に示したように、インク受容層での多孔質微粒子90
5は局所的には密度が異なるため、この毛管現象による
インクの浸透の仕方は場所によって異なる。このため、
インクの浸透工程において、色材は多孔質微粒子表面に
均一には接触できず、色材が効率的に多孔質微粒子に吸
着されない。
【0013】更に、接着剤907によってインクの浸透
が阻害される部分も生じており、インク受容層903内
にはインクが浸透できない部分が存在し、発色には寄与
しない部分が発生する。即ち、従来のコート紙において
は、上記のような理由により、多孔質微粒子の量に対し
て効率的に色材を単分子状態で吸着することができず、
この結果、高品質の画像を得るためには多量の多孔質微
粒子が必要となり、基紙の質感を損なうこととなってい
た。
【0014】更に、本発明者らの検討によれば、前記し
た(1)の技術を採用することで、インクの被記録媒体
への定着性は向上するものの、画像濃度の低下や、普通
紙への記録やカラー画像の記録に重要とされる色再現範
囲が低下してしまう場合があることがわかった。又、本
発明者らの検討によれば、前記した(2)の技術によれ
ば、インク中の色材を被記録媒体表面に留めることがで
きるため、高い画像濃度の記録物を得ることができる
が、色材を被記録媒体の表面で凝集させているためか、
色の再現範囲や彩度が十分に得られない場合があった。
また、前記の(3)で説明した従来技術では、微粒子を
含む溶液の付与により被記録媒体の表面状態の改質は得
られたものの、コート紙と同等レベルの高精彩な画像は
得られていない。更に特に、非水系記録液に関しては、
色材の選択性や記録付与方法等の制限もあり、その自由
度に課題が残る。このように、従来の方法にはいずれも
課題が残されているため、本発明者らは、近年において
求められているより一層の高品位なインクジェット記録
物に対しては、新たなインクジェット記録技術の開発が
必要であるとの認識を持つに至った。本発明は、これら
の認識に基づき為されたものである。また、前記(4)
で説明した技術では、ブリードや文字品位の向上に効果
が見られたが、前記(2)の技術の場合と同様に、色の
再現範囲や彩度が十分に得られない場合があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、より一層広い色再現範囲を有し、ブリードの発生が
抑制された、耐水性に優れ、色の均一性にも優れた高品
質なインクジェット記録物を得るために用いられるイン
クセットであって、印字における信頼性、具体的には、
保存安定性、記録ヘッドからの吐出安定性にも優れる液
体組成物を用いたインクセットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、より一層広い色再現範囲を
有し、ブリードの発生が抑制され、耐水性や、色の均一
性にも優れ、更に、ベタ部のスジムラが少なく、しか
も、より高度な耐擦過性をも備えた優れたインクジェッ
ト記録物を普通紙に対しても形成することができると同
時に、印字における信頼性にも優れる被記録媒体に着色
部を形成する方法を提供する点にある。また、本発明の
他の目的は、より一層色再現範囲が広く、ブリードの発
生が抑制され、耐水性や、色の均一性にも優れ、更に、
ベタ部のスジムラの発生が良好な状態に抑制され、しか
も、より高度に耐擦過性をも備えた優れたインクジェッ
ト記録物を形成することのできると同時に、印字におけ
る信頼性にも優れるインクジェット記録装置を提供する
ことにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の本発
明によって達成することができる。即ち、本発明は、色
材を含む少なくとも1つ以上のインクと、該色材と反応
性を有する微粒子を含む液体組成物とをそれぞれ独立に
備えているインクセットであって、該液体組成物が、水
溶性ポリマー及びこれを架橋する架橋剤のいずれか一方
を含み、且つ、上記インクが、水溶性ポリマー及びこれ
を架橋する架橋剤の他方を含んでいることを特徴とする
インクセットである。また、本発明は、上記のインクセ
ットを用いる被記録媒体に着色部を形成する方法であっ
て、色材を含むインクを被記録媒体に付与する過程
(i)と液体組成物を被記録媒体に付与する過程(ii)
とを有し、且つ、上記被記録媒体の表面において、該イ
ンクと該液体組成物とを互いに液体状態で接するように
して付与させることを特徴とする被記録媒体に着色部を
形成する方法である。また、本発明は、上記のインクセ
ットを用いるインクジェット記録装置であって、色材を
含むインクを収容したインク収容部と、該インクを吐出
させるためのインクジェットヘッドを備えた第1の記録
ユニットと、液体組成物を収容した液体組成物収容部
と、該液体組成物を吐出させるためのインクジェットヘ
ッドとを備えた第2の記録ユニットとを備えていること
を特徴とするインクジェット記録装置である。
【0017】また、本発明は、色材を含む少なくとも1
つ以上のインクと、該インクと共に被記録媒体に付与さ
れて該被記録媒体上に着色部を形成するのに用いられる
微粒子を含む液体組成物とからなるインクセットであっ
て、該液体組成物が、水溶性ポリマー及びこれを架橋す
る架橋剤のいずれか一方を含み、且つ、上記インクが、
水溶性ポリマー及びこれを架橋する架橋剤の他方を含
み、上記着色部の形成が、上記液体組成物と上記インク
とが液体の状態で接触し、液体組成物中の微粒子表面に
インク中の色材がインク中で有している分子状態と実質
的に同等の分子状態を保持しつつ吸着若しくは結合して
なされることを特徴とするインクセットである。
【0018】本発明者らは、前記した従来技術の課題を
解決すべく鋭意検討の結果、色材を吸着する作用を有す
る微粒子を有する液体組成物を用い、且つ、該微粒子表
面に効率的に色材を吸着若しくは結合させるために、該
微粒子を溶媒中に分散させ、インクと共に液体状態で用
いることにより、色材と微粒子とを液−液状態で反応さ
せることが可能となり、その結果として、画像の濃度や
彩度を信頼性よく向上させることができることを見出し
た。更に、これに加えて、水溶性ポリマーと、これを架
橋するための架橋剤の2種類の成分を、上記液体組成物
と、これと組み合わせて用いるインクとに振り分けて含
有させておき、画像を形成する際に、被記録媒体の表面
においてインクと液体組成物とが互いに液体状態で接す
るように構成すれば、インク及び液体組成物中の水溶性
ポリマーと、これを架橋するための架橋剤とが架橋反応
を起こし、この際に、水溶性ポリマーが、インク中の色
材や液体組成物中の微粒子、或いは、これらの微粒子か
ら形成される微粒子凝集物を取り込みながら、架橋剤を
介して三次元的に架橋する結果、強固な皮膜が形成さ
れ、これによって、画像の濃度や彩度の向上に加え、着
色部における耐擦過性や耐水性が飛躍的に向上し、優れ
た画像が得られることを見出して、本発明に至った。
尚、本明細書において「色材と反応性を有する微粒子」
或いは「色材と微粒子との反応」における「反応」と
は、色材と微粒子との共有結合の他、イオン的結合、物
理的・化学的吸着、吸収、付着、その他の両者の相互作
用を意味するものとする。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を更に詳しく説明する。被記録媒体に着色部を
形成する方法の好ましい実施態様としては、上記したイ
ンクセットを用いて、色材を含むインクを被記録媒体に
付与する過程(i)、及び液体組成物を被記録媒体に付
与する過程(ii)とを有し、且つ、上記被記録媒体の表
面において、水溶性ポリマー若しくはこれを架橋する架
橋剤を含むインクと液体組成物とを互いに液体状態で接
するようにして付与する構成とすることが挙げられる。
かかる実施態様を採用することによって、より一層広い
色再現領域を有し、ブリードの発生が抑制され、画像の
耐水性や、色の均一性にも優れ、更に、ベタ部のスジム
ラが少なく、より高度な耐擦過性をも備えたインクジェ
ット記録物が安定して得られる。
【0020】更に上記目的を達成することのできる本発
明のインクセットの一実施態様としては、インクが、ア
ニオン性若しくはカチオン性の水性インクであり、且つ
液体組成物が、該水性インクに対して逆極性に表面が帯
電している微粒子を分散状態で含む水性の液体組成物で
ある組み合わせのインクセット、また、被記録媒体上に
着色部を形成する際に用いられた場合に、液体組成物中
の微粒子が、インク中の色材の凝集を防ぎつつ該微粒子
表面に色材が吸着されるように構成されているインクセ
ットが挙げられる。更には、インク又は液体組成物に含
有させる水溶性ポリマーのイオン性が、ノニオン性若し
くは両性であるインクセット等が挙げられる。このよう
な実施態様のインクセットを用いれば、より一層広い色
再現領域を有し、ブリードの発生が抑制され、耐水性
や、色の均一性にも優れ、更にはベタ部のスジムラが少
なく、より高度な耐擦過性をも備えたインクジェット記
録物が安定して得られる。また、記録に用いるインクや
液体組成物自体は、上記したように、その構成が極めて
シンプルであるために、高品質且つ高信頼性のインクジ
ェット記録を容易に且つ安定して行なうことができると
いう効果が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を更に詳しく説明する。被記録媒体に着色部を
形成する方法の好ましい実施態様としては、色材を含む
上記のインクを被記録媒体に付与する工程(i)、及び
上記の液体組成物を被記録媒体に付与する工程(ii)と
を有し、且つ上記被記録媒体の表面において、インクと
液体組成物とが互いに液体状態で接するように付与され
るように構成することが挙げられる。かかる実施態様を
採用することによって、より一層広い色再現領域を有
し、ブリードの抑制や色の均一性にも優れ、更に、ベタ
部のスジムラが少なく、良好な耐擦過性をも備えたイン
クジェット記録物が安定して得られる。
【0022】本発明によって上記したような優れた効果
が奏される理由は、明確でないが、本発明者らは、以下
の理由によるものと考えている。先ず、本発明における
記録のメカニズムについて、図13及び図14に従って
説明する。尚、ここでは、インクとしてアニオン性基を
有する水溶性染料(アニオン性染料)を含む水性インク
を用い、これと組み合わせる液体組成物として、表面が
カチオン性に帯電している微粒子が分散状態で含まれて
いる水性の液体組成物を用いた場合について説明する。
【0023】以下に、本発明にかかる記録画像につい
て、図13を用いて説明する。先ず、説明に先立ち、言
葉の定義を行う。本発明において、「単分子状態」と
は、染料や顔料等の色材が、インク中で溶解若しくは分
散した状態をほぼ保っていることを指している。このと
き、色材が多少の凝集を引き起こしたとしても、彩度が
低下しない範囲であれば、この「単分子状態」に含まれ
ることとする。例えば、染料の場合、単分子であること
が好ましいと考えられるため、便宜上、染料以外の色材
についても「単分子状態」と呼ぶこととする。
【0024】図13は、本発明にかかる記録画像の着色
部Iが、主画像部IMとその周辺部ISとから成り立っ
ている状態を模式的に示した図である。図13におい
て、1301は被記録媒体、1302は被記録媒体の繊
維間に生じる空隙を示す。また、1303は、インク中
の色材1305が化学的に吸着する液体組成物中の微粒
子を模式的に示したものである。図13に示したよう
に、本発明によって得られるインクジェット記録画像で
は、主画像部IMは、色材1305が単分子或いは単分
子に近い状態(以降「単分子状態」と略す)で均一に表
面に吸着した微粒子1303と、かかる色材の単分子状
態を保持した微粒子の凝集物1307とで構成されてい
る。1309は、主画像部IM内の被記録媒体繊維近傍
に存在する、微粒子同士の凝集物である。このような主
画像部IMは、被記録媒体繊維に微粒子1303が物理
的又は化学的に吸着する工程と、色材1305と微粒子
1303とが液−液状態で吸着する工程とによって形成
される。そのため、色材自体の発色特性が損なわれるこ
とが少なく、しかも、普通紙等のインクの沈み込み易い
被記録媒体においても画像濃度や彩度が高く、コート紙
並みの色再現範囲の広い画像の形成が可能となる。
【0025】一方、微粒子1303表面に吸着されず、
インク中に残った色材1305は、被記録媒体1301
に対して横方向にも深さ方向にも浸透するため、周辺部
ISにインクは微少な滲みを形成する。このように被記
録媒体1301の表面近傍に色材が残り、且つ周辺部に
インクの微少な滲みを形成させるために、シャドウ部や
ベタ部等のインク付与量が多い画像領域においても、白
モヤや色ムラが少なく、色の均一性に優れる画像が形成
される。尚、図13に示したように、被記録媒体130
1がインクや液体組成物の浸透性を有するものである場
合には、本態様はインク成分や液体組成物成分の被記録
媒体内部への浸透は必ずしも妨げられるものではなく、
ある程度の浸透を許容するものである。
【0026】更に、本発明のインクセットを用いた場合
においては、被記録媒体の表面近傍に存在する微粒子凝
集物1309が形成される際に、凝集物の内部に、ある
程度の大きさの細孔が形成される。前述のインク中で単
独に存在していた色材1305は、被記録媒体内部へと
インクが浸透していく際に、この微粒子凝集物1309
の細孔内部へと浸透し、細孔の入口付近や内壁に、理想
的な単分子状態で吸着されるので、色材は、より多く被
記録媒体の表面近傍に残留することになる。これによっ
て、より一層優れた発色性を有する記録物を得ることが
可能となる。
【0027】また、本発明のインクセットでは、インク
或いは液体組成物中のいずれかに水溶性ポリマーが含ま
れ、該水溶性ポリマーを含んでいないインク中或いは液
体組成物中のいずれかに上記水溶性ポリマーと架橋する
架橋剤とが含まれているため、インクと液体組成物とが
被記録媒体1301の表面に液−液状態で付与される
と、水溶性ポリマーと架橋剤との架橋反応が起こる。そ
の結果、水溶性ポリマーは、色材や微粒子、微粒子凝集
物を取り込みながら、架橋剤を介して三次元的に架橋し
て強固な皮膜が形成される。このため、本発明のインク
セットを画像形成に用いた場合は、着色部の擦過性や耐
水性が飛躍的に向上するものと考えられる。
【0028】図14(1)〜(4)は、本発明にかかる
被記録媒体に着色部を形成する方法の一実施態様の着色
部1400の概略断面図、及びその形成工程を説明する
模式図である。同図において、1401は、インクと液
体組成物との反応物、例えば、色材と微粒子との反応物
を主として含む部分(以降「反応部」と略す)であり、
図13の主画像部IMに相当する部分である。1402
は、液体組成物との反応に実質的に関与しなかったイン
クが、反応部1401の辺縁に流出することによって形
成された部分(以降「インク流出部」と略す)であり、
図13の周辺部ISに相当する。かかる着色部1400
は、例えば、下記のようにして形成される。尚、図14
(1)に示した1405は、被記録媒体の繊維間に生じ
ている空隙を模式的に表したものである。下記に述べる
ように、本発明のインクセットを使用する本発明にかか
る被記録媒体に着色部を形成する方法によれば、非常に
高い画像濃度を有し、且つ彩度の高い記録物が安定して
得られるが、この理由は、以下に説明するメカニズムが
奏合される結果、達成されたものと考えている。
【0029】先ず、図14(1)に示したように、色材
と反応性を有する微粒子1409を有する液体組成物1
406が、液滴として被記録媒体1403に付与される
と、図14(2)に示したように、被記録媒体表面に液
体組成物の液溜り1407が形成される。該液溜り14
07内で、被記録媒体1403の繊維表面の近傍の微粒
子1409は、被記録媒体の繊維表面に物理的又は化学
的に吸着する。この時、分散状態が不安定となって微粒
子同士の凝集物1411を形成するものもあると考えら
れる。一方で、液溜り1407内の繊維より離れた部分
では、微粒子1409は、もとの均一な分散状態を保っ
ていると考えられる。
【0030】次いで、図14(2)に示したように、色
材1404を有するインク1413が、液滴として被記
録媒体1403に付与されると、先ず、インク1413
と液溜り1407の界面において、インク中の色材14
04は微粒子1409に化学的に吸着する(図14
(3)参照)。この反応は、液同士の反応(液−液反
応)であるため、図14(3)−2に示したように、色
材1404は単分子状態で、微粒子1409の表面に均
一に吸着すると考えられる。即ち、微粒子1409表面
では、色材1404同士は凝集を起こさないか、或いは
凝集しても僅かであると推測される。その結果、反応部
1401の表層部には、単分子状態で色材1404が吸
着された微粒子1409が多数形成される。この結果、
画像の発色に最も影響を与える表面層に、色材1404
が単分子状態で残存することとなるため、形成される画
像は、高い画像濃度を有し、且つ彩度の高いものとな
る。
【0031】更に、これらの色材1404が表面に吸着
した微粒子1409は、分散状態が不安定となるため、
微粒子同士で凝集するものと考えられる。ここで、形成
された凝集物1415は、図14(3)−2に示したよ
うに、その内部にも単分子状態の色材1404を保持し
たものとなる。かかる凝集物1415の存在によって、
本発明の被記録媒体に着色部を形成する方法では、より
高画像濃度で、且つ高彩度の記録画像の形成が可能とな
る。
【0032】更に、未反応の色材1404の一部は、液
溜り1407内を拡散し、未反応の微粒子1409の表
面に吸着する。このように、液溜り1407内部で、色
材1404と微粒子1409との反応が更に進行するた
め、より高濃度で彩度の高い画像が形成される。一方、
先に説明した被記録媒体1403の繊維表面に形成され
た微粒子の凝集物1411には、液溜り1407の液相
が被記録媒体内への浸透を抑制する役割があると考えら
れる。このため、液溜り1407では、浸透が抑制され
た液体組成物中の微粒子1409と色材1404とがよ
り多く混在することが可能となる結果、色材1404と
微粒子1409との接触確率が高められ、反応が比較的
均一に、且つ充分に進行する。この結果、より均一で、
画像の濃度と彩度とに優れた画像の形成が可能となる。
【0033】また、図14(1)に示した液体組成物1
406が被記録媒体1403に付与された際や、図14
(2)に示した液体組成物の液溜り1407にインク1
413が付与された際には、微粒子1409を分散させ
ている分散媒が変化することによって微粒子1409の
分散が不安定となり、色材1404が吸着する前に微粒
子1409間で凝集を起こすものも存在する。ここでい
う分散媒の変化とは、2種若しくはそれ以上の異種の液
体が混合したときに一般的に観察される変化、例えば、
液相のpHや固形分濃度、液媒体(溶剤)組成、溶存イ
オン濃度等の物性変化を指し、液体組成物が被記録媒体
やインクと接触した際にこれらの変化が、急激且つ複合
的に生じて微粒子の分散安定性を破壊し、凝集物141
5を生成するものと考えられる。これらの凝集物141
5は、繊維間の空隙を埋める効果や、色材1404を吸
着した微粒子1409を、より被記録媒体1403の表
面近傍に残存させる効果をもたらすと推測される。
【0034】また、これら液溜り1407内で形成され
た凝集物1415は、被記録媒体1403に吸着してい
るものもあれば、液相内を動ける(流動性を有する)も
のも存在するが、流動性を有するものは、前述した色材
1404と微粒子1409との反応工程と同様に、微粒
子凝集物1415表面に色材が単分子状態で吸着し、よ
り大きな凝集塊を形成するが、これが発色性の向上に寄
与しているものと考えられる。即ち、この大きな凝集塊
は、液相が繊維に沿って浸透する際に液相と共に移動
し、空隙を埋めて被記録媒体1403の表面を平滑化
し、より均一で高濃度の画像の形成に寄与するものと考
えられる。
【0035】本発明によって、従来のものと比較して非
常に高濃度且つ高発色の画像が得られることは後述する
結果により明らかであるが、以上、説明したように、こ
れは、本発明のインクセットを構成するインクと液体組
成物とが共に被記録媒体に付与されると、インク中の色
材1404が、液体組成物の構成成分である微粒子14
09若しくは微粒子凝集物1415に、単分子状態で吸
着され、その状態で被記録媒体1403の表面近傍に残
るためであると考えられる。更に、色材が単分子状態で
吸着し、被記録媒体の表面近傍に残った微粒子は、この
状態で被記録媒体の表面に定着するので、形成される画
像の耐擦過性や耐水性等の堅牢性も向上する。
【0036】尚、上記においては、液体組成物及びイン
クの順で、被記録媒体に付与した場合について説明した
が、インクと液体組成物との液−液反応が達成されれ
ば、インクと液体組成物との被記録媒体への付与順序は
何ら限られるものでない。従って、インクを付与し、次
いで液体組成物を付与する順であってもよい。
【0037】更に、図14(2)にも示した通り、被記
録媒体に付与された液体組成物中の微粒子1409の少
なくとも一部は、液体組成物の構成成分である液媒体の
被記録媒体内部への浸透に伴って、被記録媒体1403
内部に浸透していると考えられる。他方、図14(4)
に明示したように、色材1404が、先に浸透している
微粒子1409に、単分子状態で吸着若しくは結合する
ことも十分に想定し得ることである。このように、被記
録媒体内部において、色材1404が単分子状態で吸着
若しくは結合している微粒子1409も、発色性の向上
に寄与していると考えられる。更に、このような液媒体
の浸透によって、インクの定着性も向上すると考えられ
る。
【0038】また、本発明のインクセットを用いること
によって、前述の被記録媒体の表面近傍に存在する微粒
子凝集物1411が形成される際に、凝集物の内部に
は、ある程度の大きさの細孔が形成される。液溜り14
07の中で、微粒子1409に吸着しきれなかった色材
1404は、被記録媒体1403内部へと浸透していく
際に、液媒体成分と共に、細孔を通って微粒子凝集物1
411の内部へと浸透するものもある。その際、色材1
404は、微粒子凝集物内の細孔の入口付近や細孔内壁
に吸着し、溶媒成分のみが被記録媒体1403内部へと
浸透していくことによって、色材をより多く微粒子凝集
物1411の表面や内部に効率よく吸着させ、被記録媒
体の表面近傍に残留させることができる。更に、色材1
404が染料の場合、微粒子凝集物1411の細孔直径
は、色材1404のインク中で存在している分子サイズ
の1〜数倍程度であるために、細孔内部に吸着した色材
1404は、色材同士の凝集が極めて起こり難く、理想
的な単分子状態を形成することが可能となる。このこと
が発色性の更なる向上に大きく寄与し、より一層広い色
再現範囲を有する記録物を得ることを可能とする。
【0039】また、本発明者らの検討によれば、微粒子
凝集物1411の細孔物性は、液体組成物1406中に
含まれる微粒子1409だけでなく、液体組成物やイン
クを構成する液媒体組成等によっても影響されることが
わかり、液体組成物から微粒子凝集物を形成し、この微
粒子凝集物の、ある特定の細孔半径領域における細孔容
積が、被記録媒体上で形成される画像形成能と非常に相
関性が高いことを見出した。
【0040】更に、本発明では、被記録媒体の表面で、
液体組成物中の微粒子と、インク中の色材とを液相で反
応させることにより、例えば、上記色材がアニオン性で
あるときは、これとは逆極性のカチオン性微粒子表面
に、極めて効率的に色材が吸着することとなる。また、
本発明では、上記メカニズムと同時進行的に、下記反応
メカニズムが起こると考えられる。以下、液体組成物1
406中に水溶性ポリマー1416が含まれ、インク中
には、該水溶性ポリマーの架橋剤1417が含まれる形
態を例にとって説明する。
【0041】即ち、液体組成物1406中に含まれる水
溶性ポリマー1416は、インク中に含まれる架橋剤1
417と、液体組成物とインクとが接触した界面近傍
や、これらが混合した液溜りにおいて架橋反応が起こ
る。その際、水溶性ポリマー1416は架橋剤1417
を介して三次元的に架橋し、同時に、色材1404や微
粒子1409、被記録媒体とも直接若しくは架橋剤を介
して吸着・結合して強固な皮膜を形成する(図14
(4)参照)。これによって、本発明のインクセットを
使用して形成した着色部は、耐擦過性や耐水性が飛躍的
に向上したものとなると考えられる。また、高速印刷や
高精彩印刷等の目的に応じて、水溶性ポリマー及び架橋
剤の種類や濃度、或いは被記録媒体への付与量等を適宜
選択することによって、架橋反応の速度を適宜に制御
し、この結果、着色部の滲みや異色画像境界部でのブリ
ード等を、所望する状態にコントロールすることができ
る。尚、上記では液体組成物中に水溶性ポリマーを、イ
ンクに架橋剤を含んだ構成で説明したが、当然、逆の構
成であっても、被記録媒体上で、それぞれを液体同士で
接触させることにより同様なメカニズムで架橋反応が起
こり、目的とする効果を得ることができる。
【0042】また、本発明者らの検討によれば、先に説
明したように、本発明では、被記録媒体の表面で、液体
組成物中の微粒子と、インク中の色材とを液相で反応さ
せるように構成しているため、インクをアニオン性若し
くはカチオン性の水性インクとし、且つ、これと併用す
る液体組成物を、かかる水性インクに対して逆極性に表
面が帯電している微粒子を分散状態で含む水性の液体組
成物とした場合に、特に良好な結果が得られることがわ
かった。即ち、例えば、インク中の色材がアニオン性で
あるときは、液体組成物中の微粒子としてカチオン性の
ものを使用すれば、極めて効率的に、液体組成物中の微
粒子表面に色材が吸着することとなる。これに対し、イ
ンクジェット用コート紙を用いることによって本発明と
同程度の色材吸着を達成しようとすると、多量のカチオ
ン性多孔質微粒子が必要となり、基紙を覆い隠すような
厚いインク受容層の形成が不可欠となる。このため、コ
ート紙を用いた場合には、基紙の質感を損ねる結果に繋
がる。かかる従来技術の場合と比較し、本発明のインク
セットを用いての画像形成では、液体組成物を構成する
微粒子の量は少なくてすむため、被記録媒体の質感を損
ねることなく、印字部と未印字部で質感において違和感
のない良好な画像形成が可能となる。
【0043】以上、説明したように、本発明は、前記に
挙げた従来技術の(1)の技術の場合のように、色材自
体の被記録媒体表面での残存量が十分でなかったり、
(2)に挙げた従来技術のように、色材の被記録媒体表
面での残存量が十分であっても、色材同士を凝集させて
しまったりするものではなく、微粒子表面に吸着した色
材を、微粒子と共に被記録媒体表面に残すことができ、
且つ、それらの色材が単分子状態を保持しているため、
高発色な画像が得ることが可能となる。
【0044】また、本発明は、微粒子を含む液体組成物
と、色材を有するインクとを被記録媒体の表面に付与し
て画像を形成するという点において、前記した従来技術
において(3)に挙げて説明した、インクに微粒子含有
液体組成物を外添する方法と一見類似しているかのよう
に見える。しかし、前記したように、本発明では、液体
組成物と色材とを積極的に反応させ、液体組成物中の微
粒子を色材の凝集(レーキ)を抑える手段として用いて
いるのに対し、上記(3)で説明した従来技術では、微
粒子を含む溶液の付与の目的は、被記録媒体の表面状態
の改質であり全く異なる。即ち、従来技術においては、
本発明の、液体組成物中の微粒子とインク中の色材との
間で化学的な反応を生じさせるという思想は、何ら開示
されていない。そして、そのメカニズムの差異に基づく
と推測される、これらの従来の記録技術にかかる記録物
と、本発明によって得られる記録物との品質の差異は明
白なものであり、本発明によれば、画像の濃度と彩度と
に非常に優れ、しかも定着性等の画像特性にも優れた画
像が得られる。
【0045】以下に、本発明のインクセットを構成する
液体組成物及びインクについて具体的に述べる。 <水溶性ポリマー及び架橋剤>先ず、本発明のインクセ
ットを特徴づける水溶性ポリマー及び架橋剤について説
明する。前記したように、これらの2成分は、インクセ
ットを構成するインクと液体組成物に、それぞれ1成分
ずつ振り分けられて含有される。従って、水溶性ポリマ
ーがインク中に含有されている場合には、架橋剤は、水
溶性ポリマーを含まなかった液体組成物に含まれること
になる。
【0046】本発明で使用する水溶性ポリマーと架橋剤
との組み合わせは、以下の作用をもたらすための成分と
して、液体組成物及びインクに1成分ずつ振り分けられ
て含有されるが、これらの成分は、着色部を形成する際
に、水溶性ポリマーと架橋剤とが被記録媒体の表面近傍
にて架橋反応を起こすことにより発現するものであり、
以下の作用は、単独成分のみでもたらされるものではな
い。 (1)色材及びこれを吸着した微粒子、微粒子凝集物、
被記録媒体を相互に吸着・結合し三次元的に水溶性ポリ
マーが架橋して、耐擦過性に優れた強固な着色部を形成
する。 (2)ポリマーが三次元架橋されることで不溶化し、着
色部が高度に耐水化される。 (3)被記録媒体の表面近傍及び内部での色材の拡散を
制御し、高速印刷時で引き起こされる異色画像境界領域
のブリードや滲みを抑制する。 (4)液体組成物とインクとに1成分ずつ振り分けて含
有させることによって構成がシンプルになるため、高度
に信頼性が確保され、保存安定性や吐出安定性に優れた
ものとなる。
【0047】上記作用をもたらすための水溶性ポリマー
及び架橋剤の具体例を以下に列挙するが、勿論、上記作
用をもたらすのもであればこれに限定されるものではな
い。先ず、水溶性ポリマーの例としては、具体的に以下
のものが挙げられる。ノニオン性若しくは両性ポリマー
としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサ
イド、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、メ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセル
ロース誘導体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド
縮合物、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、グアーガ
ム、キサンタンガム、デンプン等が挙げられる。アニオ
ン性ポリマーとしては、例えば、スチレン−アクリル酸
共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキル
エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ス
チレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重
合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メ
タクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、ス
チレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナ
フタレン−アクリル酸共重合体、アルギン酸、ポリアク
リル酸或いはこれらの塩、及び誘導体、ナフタレンスル
ホン酸ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。また、
カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイ
ミン、ポリビニルアミン、ポリアミンスルホン、ポリア
リルアミン、キトサン等の塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩
等、また、別の具体例としては、ノニオン性高分子物質
の一部をカチオン化した化合物でもよい。具体的には、
ビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレート4級塩
との共重合体、アクリルアマイドとアミノメチルアクリ
ルアマイド4級塩との共重合体、カチオン化デンプン等
が挙げられる。これらは単独で、若しくは2種以上を組
み合わせて用いることもできる。
【0048】尚、これら水溶性ポリマーは、上記作用を
効果的に発現するために、質量分子量が1,000〜3
0,000の範囲のものが好ましく用いられる。また、
インク若しくは液体組成物中での含有量としては、0.
1〜20質量%の範囲が上記作用と保存性や吐出安定性
とのバランスの観点から好ましい。
【0049】また、上記に挙げたような水溶性ポリマー
と組み合わせる架橋剤としては、水溶性ポリマーの親水
基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等)と
反応して三次元架橋するものが好適に用いられる。具体
的には、例えば、硼酸、硼酸塩(例:オルト硼酸塩、I
nBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO
3)2、Co3(BO3)、二硼酸塩(例:Mg225、Co
225)、メタ硼酸塩(例:LiBO2、Ca(B
2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例:Na2
47・10H2O)、五硼酸塩(例:KB58・4H
2O、Ca2611・7H2O、CsB55)、アルミニ
ウム塩(例:クロム明ばん、カリ明ばん、ポリ塩化アル
ミニウム)、ジルコニウム塩(例:硫酸ジルコニウム、
酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル)、リン酸塩(例:ピ
ロリン酸塩)、アルデヒド系(例:ホルムアルデヒド、
グリオキザール、ジアセチル)、メラミン・ホルムアル
デヒド(例:メチロールメラミン、アルキル化メチロー
ルメラミン)、シクロペンタンジオン等のケトン系化合
物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−
4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、2,4−ジ
クロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハ
ロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルス
ルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス
(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリア
クリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビ
ニル化合物;ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒ
ダントイン等のN−メチロール化合物;1,6−ヘキサ
メチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合
物;米国特許明細書第3017280号、同第2983
611号に記載されたアジリジン系化合物;米国特許明
細書第3100704号に記載されるカルボキシイミド
系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエ
ポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−
ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコク
ロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボ
キシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキ
サン等のジオキサン系化合物;メチロール尿素、レゾー
ル樹脂、ポリイソシアネート等を挙げることができる。
これらは単独で、若しくは2種以上組み合わせて用いる
こともできる。
【0050】尚、インク若しくは液体組成物中における
これらの架橋剤の含有量としては、前記した作用を効果
的に発現させ、同時にインクや液体組成物の保存性や吐
出安定性とのバランスの観点から、0.01〜10質量
%の範囲とすることが好ましい。
【0051】更に、本発明で使用する水溶性ポリマー及
び架橋剤は、液体組成物やインクのイオン性、或いは、
これらの構成成分である色材及び微粒子の特性、溶剤組
成等に応じて相性のよいものを、上記に列挙したものの
中から適宜に選択して用いることが好ましい。本発明に
おいては、特に、上記に挙げたものの中でも、ノニオン
性や両性の水溶性ポリマーであるポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラ
チン、カゼイン、デンプン等は、架橋剤として、硼酸、
硼酸塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩等の無機塩
や、アルデヒド系、メチロール化合物、エポキシ化合物
等との組み合わせによって強固な皮膜を形成するため好
ましく用いることができる。更には、架橋剤として、上
記に挙げたような無機塩は、水溶性ポリマーと速やかに
架橋反応を起こし、高速印刷時においてもブリードや滲
みの発生を抑制する効果に優れるため、好適に使用でき
る。
【0052】尚、これらの水溶性ポリマー及び架橋剤
は、例えば、液体組成物に水溶性ポリマーを含み、イン
クが、色の異なる複数のインクを有するインクセットの
場合、全ての色のインクに架橋剤を含めてもよいし、ど
れか1つ以上の色のインクに架橋剤を含めてもよい。ま
た、逆に、液体組成物に架橋剤を含み、インクに水溶性
ポリマーを含める場合においても同様である。
【0053】次に、本発明のインクセットを構成する液
体組成物及びインクのその他の構成成分等について詳細
に説明する。先ず、本明細書におけるカチオン性のイン
ク若しくはアニオン性のインクの定義について述べる。
インクのイオン特性について言うとき、インク自体は荷
電されておらず、それ自体では中性であることは、当該
技術分野においてよく知られていることである。ここで
いうアニオン性のインク若しくはカチオン性のインクと
は、インク中の成分、例えば、色材がアニオン性基若し
くはカチオン性基を有し、インク中において、これらの
基がアニオン性基又はカチオン性基として挙動するよう
に調整されているインクを指すものである。また、アニ
オン性又はカチオン性の液体組成物に関しても、その意
味は上記と同様である。
【0054】<液体組成物>先ず、本発明のインクセッ
トを構成する液体組成物について説明する。 (微粒子凝集物)先に記録のメカニズムで述べたが、本
発明の液体組成物を画像形成に用いた場合においては、
含有されている特定の微粒子によって被記録媒体の表面
近傍に微粒子凝集物が形成されるが、かかる凝集物の内
部には、ある程度の大きさの細孔が形成される。する
と、インク中で単独に存在していた色材は、被記録媒体
内部へとインクが浸透していく際に、この微粒子凝集物
の細孔内部へと浸透し、細孔の入口付近や内壁に、理想
的な単分子状態で吸着されるので、色材は、より多く被
記録媒体の表面近傍に残留することになり、これによっ
て、より一層優れた発色性を有する記録物を得ることが
可能となる。
【0055】従って、本発明の液体組成物は、画像形成
の際に、微粒子凝集物内に適度な細孔が形成されるよう
に構成することが好ましい。ここで、液体組成物中に含
有される微粒子によって形成される細孔は、下記の方法
で測定することができる。即ち、少なくとも微粒子と溶
媒を含む液体組成物から得られる微粒子凝集物につい
て、下記の方法で、ある特定の細孔半径領域における細
孔容積を測定し、かかる値が好適な範囲内となるように
構成することによって、上記した記録のメカニズムが実
行され、良好な画像形成が可能となる。これらの微粒子
凝集物の物性を測定するにあたっては、先ず、測定対象
である液体組成物を以下の手順で前処理する。 (1)微粒子が含有されている液体組成物を大気雰囲気
下120℃で10時間乾燥して、ほぼ溶媒分を蒸発させ
て乾燥する。 (2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で
昇温させた後、700℃で3時間焼成する。 (3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し、焼成物
を粉体化する。 ここで、上記前処理を施す理由は、乾燥によって液体組
成物から微粒子凝集物を形成させ、焼成によって液体組
成物中の溶媒成分を完全に除去して、凝集物の内部の細
孔を空にして空隙を形成するためである。
【0056】本発明では、上記のようにして形成した微
粒子凝集物の細孔の細孔半径と細孔容積の測定方法とし
て、窒素吸着脱離法を好適に用いることができる。そし
て、このような方法で測定した微粒子凝集物の細孔のサ
イズが、細孔半径が3nm〜30nmの領域における細
孔容積が特定の範囲にある場合に、良好な画像形成が可
能となることがわかった。この細孔のサイズ領域におけ
る細孔容積が画像形成能に対し相関性が高い理由は明確
ではないが、推測するに、この細孔半径より小さい領域
では、微粒子凝集物の内部への色材や溶媒成分の浸透が
著しく低下し、細孔に起因した色材の吸着が少なく、実
質的に発色性の向上に関与しないと考えられる。一方、
この細孔半径の領域よりも大きな細孔では、色材や溶媒
成分の浸透が起こり易くなる反面、細孔の入口付近や内
部に吸着した色材は、細孔自体の光散乱の影響によって
色材が光の吸収に関与しにくくなり、逆に発色性の低下
が引き起こされると考えられる。
【0057】従って、前記したような前処理を測定対象
の液体組成物に行った場合に形成される微粒子凝集物に
ついて、細孔半径が3nm〜30nmの領域と、30n
mを超える領域での細孔容積を測定することが、液体組
成物を用いて形成した形成画像の発色性能の測定方法と
して効果的である。この領域における細孔物性の測定方
法としては、窒素吸着脱離法による方法が最も好まし
い。細孔半径と細孔容積は、上記した前処理した液体組
成物試料を120℃で8時間真空脱気した後、窒素吸着
脱離法よりBarrettらの方法(J.Am.Che
m.Soc.,Vol73,373,1951)から求
めることができる。更に好ましい発色性能の測定方法
は、微粒子凝集物に形成された細孔について、細孔半径
が3nm〜20nmの領域と、20nmを超える領域で
の細孔容積を測定することである。この範囲では、色材
が染料である場合に、特に、より一層の発色性の向上が
得られるため、好ましい。
【0058】(微粒子凝集物の細孔半径及び細孔容積)
微粒子凝集物の細孔半径は前述の如く、色材の速やかな
浸透と細孔入口付近や内壁への吸着及び細孔内部での色
材の凝集を防ぐ観点から、3nm〜30nmの範囲であ
ることが好ましいと考えられる。また、発色性の向上に
寄与するだけの色材を内部に取り込むためには、同時
に、ある程度の容量が必要である。また、細孔容積が増
すことで微粒子凝集物内の細孔の数も増加すると考えら
れ、細孔内部への色材の吸着量だけでなく、細孔の入口
付近での吸着量も増加すると考えられる。
【0059】よって、これらの観点から、本発明に好適
に用いられる液体組成物は、前記したような方法で微粒
子凝集物内の細孔を測定した場合に、細孔半径が3nm
〜30nmの範囲における細孔容積が0.4ml/g以
上で、細孔半径が30nmを超える領域での細孔容積が
0.1ml/g以下であるものが好ましい。即ち、本発
明の液体組成物を構成する際に、微粒子凝集物内の細孔
半径及び細孔容積を上記この範囲とすることによって、
微粒子凝集物の細孔内部への色材や溶媒成分の浸透によ
り、色材の吸着がより効率的になり、発色性のより一層
の向上を図ることができる。
【0060】更に、より好ましい範囲としては、細孔半
径が3nm〜20nmの範囲における細孔容積が0.4
ml/g以上で、細孔半径が20nmを超える領域での
細孔容積が0.1ml/g以下であるように本発明の液
体組成物を構成することが好ましい。細孔が3nm〜2
0nmの半径の範囲の細孔が多く存在することによっ
て、発色性は更に向上し、より一層広い色再現範囲を有
する画像が形成できる。液体組成物から形成される微粒
子凝集物の細孔半径や細孔容積は、含まれる微粒子の化
学種や形状、大きさばかりでなく、溶剤種やその他の添
加物及びそれらの組成比等により変化し、これらの条件
を制御することによって微粒子凝集物の形成状態をコン
トロールできると考えられる。
【0061】(微粒子の作用)本発明のインクセットを
構成する液体組成物中に含まれる微粒子に望まれる作用
としては、下記の1)及び2)等が挙げられるが、これ
らの作用は、1種若しくは2種以上の微粒子によって達
成されてもよい。 1)インクと混合した際に、色材の本来有する発色性を
損なうことなく色材を粒子表面に吸着できること。 2)インクと混合された際、或いは被記録媒体に付与さ
れた際に、分散安定性が低下して、被記録媒体の表面に
残存すること。
【0062】上記した1)の作用を満たすために、微粒
子が有すると好ましい性質としては、例えば、微粒子
が、組み合わせて使用される色材と逆のイオン性を呈す
るものであることが挙げられる。かかる性質を有する微
粒子を用いれば、色材は、微粒子表面に静電的に吸着す
る。例えば、インクに用いる色材がアニオン性である場
合は、カチオン性の微粒子を用い、逆に、色材がカチオ
ン性の場合は、アニオン性の微粒子を用いればよい。上
記したイオン性以外の色材を吸着する要素としては、微
粒子のサイズや重量、或いは表面の形状が挙げられる。
例えば、表面に多数の細孔を持つ多孔質微粒子は、特有
の吸着特性を示し、細孔の大きさや形状等の複数の要素
によって、色材を良好に吸着できるものとなる。
【0063】前記した2)の作用は、インクや被記録媒
体との相互作用によって引き起こされる。このため、各
構成により達成されればよいが、例えば、微粒子の性質
として、インク組成成分や被記録媒体構成成分と逆のイ
オン性を呈することが挙げられる。また、インク中、或
いは液体組成物中に、電解質を共存させることによって
も微粒子の分散安定性は影響を受ける。本発明において
は、前記した1)と2)の作用のいずれか一方が、イン
クと液体組成物とが混合された場合に瞬時に得られるよ
うに構成することが望ましい。更には、前記した1)と
2)の両方の作用が、インクと液体組成物とが混合され
た場合に瞬時に得られるように構成することがより好ま
しい。
【0064】以下、本発明で使用する液体組成物の好ま
しい形態として、カチオン性或いはアニオン性のイオン
性微粒子を含有するものに関して、それぞれ具体的に説
明する。 [カチオン性液体組成物]カチオン性の液体組成物とし
ては、例えば、カチオン性基を表面に有する微粒子と酸
を含み、該微粒子が安定に分散されてなる液体組成物が
挙げられる。本発明において好適なカチオン性の液体組
成物としては、例えば、酸を含み、そのpHが2〜7に
調整されたものや、或いは、ゼータ電位が+5〜+90
mVのものが挙げられる。
【0065】(pH及びゼータ電位について)ここで、
液体組成物のゼータ電位について述べる。先ず、ゼータ
電位の基本原理について説明する。一般に、固体が液体
中に分散している系において、固相の表面に遊離電荷が
ある場合、固相界面付近の液相には、反対電荷の荷電層
が電気的中性を保つように現れる。これは、電気的二重
層と呼ばれ、この電気的二重層による電位差のことをゼ
ータ電位と呼んでいる。ゼータ電位がプラスである場
合、微粒子の表面はカチオン性を示し、マイナスではア
ニオン性を示す。一般に、その絶対値が高いほど微粒子
間に働く静電的反発力が強くなり、分散性がよいと言わ
れ、同時に微粒子表面のイオン性が強いことが考えられ
る。即ち、カチオン性微粒子では、ゼータ電位が高いほ
どカチオン性が強く、インク中のアニオン性化合物を引
き付ける力が強いと言える。
【0066】更に、本発明者らは、画像形成に用いる液
体組成物のゼータ電位と、形成される画像の画質との関
係について鋭意検討した結果、ゼータ電位が+5〜+9
0mVの範囲にある液体組成物を用いた場合には、被記
録媒体上に形成してなる着色部が、特に優れた発色特性
を呈することを見出した。その理由は定かではないが、
おそらく、微粒子のカチオン性が適度であるために、急
速なアニオン性化合物(アニオン性色材)の凝集が起こ
らずにアニオン性化合物が微粒子表面に薄く均一に吸着
するので、色材が巨大なレーキを形成しにくく、その結
果、色材本来の発色特性がより良好な状態で発現される
ものと考えられる。更に、本発明のカチオン性の液体組
成物では、アニオン性化合物を微粒子表面に吸着した後
も、微粒子が弱いカチオン性を呈しつつ分散不安定状態
となることで、微粒子が凝集しながら、被記録媒体中に
存在するアニオン性のセルロース繊維等の表面に容易に
吸着して、被記録媒体の表面近傍に残り易くなっている
と考えられる。
【0067】この結果、以下に挙げる優れた効果が得ら
れるものと考えられる。即ち、本発明のインクセットを
使用することによって、インクジェット用コート紙並み
の優れた発色特性と、シャドウ部やベタ部等のインク付
与量が多い画像領域において、白モヤや色ムラが少な
く、色の均一性に優れたものとなる。また、コート紙と
比べて極めて効率よく微粒子表面に、色材等のアニオン
性化合物が吸着し発色するために、カチオン性微粒子の
付与量も少なくできるので、とりわけ普通紙に印字した
場合には、紙の風合いを損なうことがなく、印字部の耐
擦過性にも優れる良好な画像が得られる。より好ましい
ゼータ電位の範囲としては、例えば、ゼータ電位が+1
0〜+85mVの範囲にあるカチオン性微粒子を含む液
体組成物を使用した場合には、ベタ印字した際にドット
間の境界が目立ち難くなり、ヘッドスキャンによるスジ
ムラのより一層の低減を達成することができる。更に、
ゼータ電位が+15〜+65mVの範囲にあるカチオン
性微粒子を含む液体組成物を使用すると、紙種に因ら
ず、極めて優れた発色性を有する画像を得ることが可能
となる。
【0068】本発明で使用するカチオン性の液体組成物
のpHは、保存安定性とアニオン性化合物の吸着性の観
点から、25℃付近で2〜7の範囲にあることが好まし
い。このpHの範囲内においては、アニオン性のインク
と混合した際に、アニオン性化合物の安定性を著しく低
下させることがないため、アニオン性化合物同士の強い
凝集を引き起こすことがなく、記録画像の彩度が下がっ
たり、くすんだ画像となることを有効に防止することが
できる。また、上記範囲内であるとカチオン性微粒子の
分散状態も良好であるので、液体組成物の保存安定性や
記録ヘッドからの吐出安定性を良好に維持することがで
きる。更には、インクと混合した際に、アニオン性物質
がカチオン性微粒子表面に十分に吸着されるので、被記
録媒体内部への色材の過度の浸透が抑えられ、優れた発
色性のインクジェット記録物を得られる。より好ましい
pHの範囲としては、pHが3〜6であり、この範囲で
は、長期保存による記録ヘッドの腐食を極めて有効に防
止できると共に、印字部の耐擦過性もより一層向上す
る。
【0069】(カチオン性微粒子)次に、本発明で使用
するカチオン性の液体組成物を構成する成分について述
べる。第1の成分として挙げられるカチオン性の微粒子
は、前記した作用効果を達成するために、液体組成物中
に分散された状態において、微粒子自体の表面がカチオ
ン性を呈することを要する。表面をカチオン性とするこ
とによって、アニオン性のインクと混合した際に、アニ
オン性の色材が粒子表面に速やかに吸着し、色材の被記
録媒体内部への過度の浸透が抑えられるので、十分な画
像濃度のインクジェット記録物が得られる。これに対
し、微粒子表面がカチオン性でなく、且つ液体組成物の
中で、水溶性のカチオン性化合物と別々に存在している
ような場合には、カチオン性化合物を中心に色材が凝集
を起こし、色材自体の発色特性を損なうために、インク
ジェット用コート紙並みの発色性を達成することは困難
となる。そのため、本発明で使用する液体組成物に用い
られる微粒子は、その表面がカチオン性である必要があ
るが、本質的にカチオン性である微粒子は勿論のこと、
本来は静電的にアニオン性或いは中性である微粒子であ
っても、処理によって表面がカチオン化された微粒子で
あれば、本発明で使用する液体組成物の構成材料として
好適に用いることができる。
【0070】本発明で好適に用いられるカチオン性微粒
子としては、被記録媒体上で形成されるこれらの微粒子
による凝集物に細孔が形成されるものであれば本発明の
目的を十分に達成できるので、特に微粒子の材料種に限
定はない。一例として具体例を挙げるとすれば、例え
ば、カチオン化した、シリカ、アルミナ、アルミナ水和
物、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカボリア、セ
リア、マグネシア、シリカマグネシア、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト
等や、これらの複合微粒子や有機微粒子、無機有機複合
微粒子等が挙げられる。そして、本発明で使用する液体
組成物においては、これらの中から単独で、或いは二種
以上混合して使用することができる。
【0071】上記した中でもアルミナ水和物からなる微
粒子は、特に、粒子表面が正電荷を有しているため好ま
しく、更に、X線回折法でべーマイト構造を示すアルミ
ナ水和物を用いれば、優れた発色性や色の均一性、保存
安定性等の点で好ましい。アルミナ水和物は、下記の一
般式により定義される。
【0072】Al23-n(OH)2n・mH2O 但し、上記式中、nは0〜3の整数の一つを表し、mは
0〜10、好ましくは0〜5の値を有する。mH2Oの
表現は、多くの場合に結晶格子の形成に関与しない脱離
可能な水相を表すものであり、そのために、mは、整数
でない値をとることもできる。但し、mとnは同時に0
とはならない。
【0073】一般に、ベーマイト構造を示すアルミナ水
和物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する
層状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを
示す。完全ベーマイトの他に、擬ベーマイトと称する、
過剰な水を(020)面の層間に含んだ構造をとること
もできる。この擬ベーマイトのX線回折図形は、完全ベ
ーマイトよりもブロードな回折ピークを示す。
【0074】ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別の
できるものではないので、本発明では特に断わらない限
り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物
(以下、単にアルミナ水和物)という。(020)面が
面間隔及び(020)の結晶厚さは、回折角度2θが1
4〜15°に現れるピークを測定して、ピークの回折角
度2θと半値幅Bから、面間隔は、ブラッグ(Brag
g)の式で、結晶厚さはシェラー(Scherrer)
の式を用いて求めることができる。(020)の面間隔
は、アルミナ水和物の親水性・疎水性の目安として用い
ることができる。本発明で用いるアルミナ水和物の製造
方法としては、特に限定されないが、ベーマイト構造を
もつアルミナ水和物を製造できる方法であれば、例え
ば、アルミニウムアルコキシドの加水分解や、アルミン
酸ナトリウムの加水分解等の公知の方法で製造すること
ができる。
【0075】特開昭56−120508号公報に開示さ
れているように、X線回折的に無定形のアルミナ水和物
を、水の存在下で50℃以上で加熱処理することによっ
てベーマイト構造に変えて用いることができる。特に好
ましく用いることができる方法は、長鎖のアルミニウム
アルコキシドに対して酸を添加して加水分解・解膠を行
うことによってアルミナ水和物を得る方法である。ここ
で、長鎖のアルミニウムアルコキシドとは、例えば、炭
素数が5以上のアルコキシドであり、更に炭素数12〜
22のアルコキシドを用いると、後述するように製造工
程におけるアルコール分の除去及びアルミナ水和物の形
状制御が容易になるため好ましい。
【0076】上記において、長鎖のアルミニウムアルコ
キシドに対して添加する酸としては、有機酸及び無機酸
の中から1種又は2種以上を自由に選択して用いること
ができるが、加水分解の反応効率及び得られたアルミナ
水和物の形状制御や分散性の点で、硝酸を用いることが
最も好ましい。この工程の後に、水熱合成等を行って粒
子径を制御することも可能である。硝酸を含むアルミナ
水和物の分散液を用いて水熱合成を行うと、水溶液中の
硝酸がアルミナ水和物表面に硝酸根として取り込まれ、
該水和物の水分散性を向上させることができる。また、
水熱合成の後、アルミナ水和物スラリーに適宜酸を加え
pH調整し、濃縮することで、少量の酸濃度で極めて安
定な高固形分濃度のアルミナ水和物スラリーを調製する
ことができる。こうしたスラリーを用いた場合は後述す
る酸を別途外添する必要はなく、アルミナ水和物微粒子
の分散安定性に優れた液体組成物を作製することができ
る。
【0077】上記した長鎖のアルミニウムアルコキシド
の加水分解によるアルミナ水和物の方法は、アルミナヒ
ドロゲルやカチオン性アルミナを製造する方法と比較し
て、各種イオン等の不純物が混入し難いという利点があ
る。更に、長鎖のアルミニウムアルコキシドは、加水分
解後の長鎖のアルコールが、例えば、アルミニウムイソ
プロキシド等の短鎖のアルコキシドを用いる場合と比較
して、アルミナ水和物の脱アルコールを完全に行うこと
ができるという利点もある。上記した方法においては、
加水分解の開始時の溶液のpHを6未満に設定すること
が好ましい。pHが8を超えると、最終的に得られるア
ルミナ水和物が結晶質になるので、好ましくない。
【0078】また、本発明で用いられるアルミナ水和物
としては、X線回折法でベーマイト構造を示すものであ
れば、二酸化チタン等の金属酸化物が含有されたアルミ
ナ水和物を用いることもできる。二酸化チタン等の金属
酸化物の含有比率は、アルミナ水和物の0.01〜1.
00重量%であれば光学濃度が高くなるので好ましく、
より好ましくは0.13〜1.00重量%であり、この
ようなものを使用すれば、色材の吸着速度が速くなっ
て、滲みやビーディングが発生し難くなる。更に、前記
二酸化チタンはチタンの価数が+4価であることが必要
である。二酸化チタンの含有量は硼酸に融解してICP
法で調べることができる。また、アルミナ水和物中の二
酸化チタンの分布とチタンの価数はESCAを用いて分
析することができる。
【0079】例えば、アルミナ水和物の表面をアルゴン
イオンで100秒及び500秒エッチングして、チタン
の含有量の変化を調べることができる。二酸化チタン
は、チタンの価数が+4価よりも小さくなると、二酸化
チタンが触媒として働くようになって、得られる印字物
の耐候性が低下したり、印字部の黄変が起こり易くなる
ことがある。
【0080】二酸化チタンの含有はアルミナ水和物の表
面近傍だけでもよく、内部まで含有していてもよい。ま
た、含有量が表面から内部にかけて変化していてもよ
い。表面のごく近傍にのみ二酸化チタンが含有されてい
ると、アルミナ水和物の電気的特性が維持され易いの
で、更に好ましい。
【0081】二酸化チタンを含有したアルミナ水和物を
製造する方法としては、例えば、学会出版センター刊
「表面の科学」第327頁(田丸謙二編、1985年)
に記載されているような、アルミニウムアルコキシドと
チタンアルコキシドの混合液を加水分解して、製造する
方法が好ましい。その他の方法としては、前記アルミニ
ウムアルコキシドとチタンアルコキシドとの混合液を加
水分解するときに、結晶成長の核としてアルミナ水和物
を添加して製造することもできる。
【0082】二酸化チタンの代わりに、シリカ、マグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜
鉛、硼素、ゲルマニウム、錫、鉛、ジルコニウム、イン
ジウム、燐、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、
モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、
ニッケル、及びルテニウム等の酸化物を含有させたもの
を用いることもできる。例えば、シリカを含有したアル
ミナ水和物は印字部の耐擦過性の向上に効果がある。
【0083】本発明で使用する液体組成物の製造に好適
に用いられるアルミナ水和物としては、その(020)
面の面間隔が0.614nm〜0.626nmの範囲の
ものが好適に用いられる。この範囲内では液体組成物中
でのアルミナ水和物粒子の分散安定性が良好で、保存安
定性や吐出安定性に優れた液体組成物が得られる。この
理由は定かではないが、(020)面の面間隔が上記範
囲内にあるものは、アルミナ水和物の疎水性及び親水性
の量比率が適度な範囲であるため、液体組成物中で粒子
同士の適度な反発による分散安定や、吐出口内部での濡
れ性のバランスが適度であることにより、液体組成物の
吐出安定性が良好になるものと推測している。
【0084】また、本発明で使用するアルミナ水和物と
しては、その(020)面の結晶厚さが4.0〜10.
0nmの範囲のものが好ましい。この範囲内であると、
透明性や色材の吸着性に優れるからである。本発明者ら
の知見によれば、(020)面の面間隔と(020)面
の結晶厚さは相関があるので、(020)面の面間隔が
上記範囲内であれば、(020)面の結晶厚さを4.0
〜10.0nmの範囲に調整することができる。
【0085】更に、上記アルミナ水和物や金属アルミニ
ウム、アルミニウム塩等をか焼等の熱処理することによ
り生成されるアルミナ(酸化アルミニウム)も同様に正
電荷をもつため、本発明に好適に用いられる。アルミナ
としてはα型、γ型、更にδ、χ、η、ρ、β型等の結
晶状態を持つものがあり、表面がカチオン性に保たれた
形で、水中にて安定的に分散するものであればいずれも
用いることができる。中でもγ型は表面が活性で、色材
の吸着力が高く、比較的微粒化された安定な微粒子分散
体も形成し易いため、発色性や保存性、吐出安定性等に
優れ、好適に用いることができる。
【0086】また、本発明で使用する上記したようなカ
チオン性微粒子は、印字後の発色性、色の均一性及び保
存安定性等の観点から、動的光散乱方式により測定され
る平均粒子直径が0.005〜1μmの範囲のものが好
適に用いられる。この範囲内では、被記録媒体内部への
過度の浸透を有効に防ぐことができ、発色性や色の均一
性の低下を抑えることができる。また、カチオン性微粒
子が液体組成物中で沈降することも抑えられ、液体組成
物の保存安定性の低下も有効に防止することができる。
より好ましくは、平均粒子直径が0.01〜0.8μm
の範囲内のものであり、このような微粒子を用いれば、
被記録媒体に印字した後の画像の耐擦過性や質感が特に
好ましいものとなる。更に好ましくは、平均粒子直径が
0.03〜0.3μmの範囲内のものであり、このよう
な微粒子は被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細
孔が、目的とする細孔半径領域において効果的に形成し
易いため好ましい。
【0087】(カチオン性微粒子の細孔物性・形状)ま
た、本発明で使用する上記したようなカチオン性微粒子
は、被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔を効
率的に形成すると同時に、微粒子自体の表面に色材を効
率よく吸着させるうえにおいて、上記窒素吸着脱離法に
おける微粒子の極大細孔半径が2nm〜12nmで、全
細孔容積が0.3ml/g以上であるものが好ましい。
より好ましくは、微粒子の極大細孔半径が3nm〜10
nmで、全細孔容積が0.3ml/g以上であるもの
が、被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、
目的とする細孔半径領域において効果的に形成され易い
ため好ましい。
【0088】本発明で使用する上記微粒子は、そのBE
T比表面積が70〜300m2/gの範囲内であると、
微粒子表面への色材の吸着点が十分に存在することによ
って、単分子状態で色材をより効果的に被記録媒体の表
面近傍に残し易くなり、発色性の向上に寄与できるの
で、好ましい。
【0089】また、本発明で使用する微粒子の形状は、
微粒子をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴
下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察し
て求めることができる。本発明においては、被記録媒体
上で微粒子凝集物を形成させる際に凝集物内に細孔を形
成させる点で、微粒子形状が針状や平板形状、若しくは
球状の1次粒子が、ある方向性を持って繋がった二次粒
子を形成している棒状やネックレス状等の非球形状のも
のを好適に用いることができる。
【0090】本発明者らの知見によれば、平板状の形状
の方が針状や毛状束(繊毛状)よりも水への分散性がよ
く、微粒子凝集物を形成した場合に、微粒子の配向がラ
ンダムになるために細孔容積が大きくなるので、より好
ましい。ここで毛状束形状とは、針状の微粒子が側面同
士を接して髪の毛の束のように集まった状態をいう。特
に、本発明で好ましく用いることができるアルミナ水和
物の中でも、擬ベーマイトには、前記文献(Rocek J.,
etal, Applied Catalysis,74巻、29〜36頁、1
991年)に記載されたように、繊毛状とそれ以外の形
状があることが一般に知られている。
【0091】平板形状の粒子のアスペクト比は、特公平
5−16015号公報に定義されている方法で求めるこ
とができる。アスペクト比は、粒子の厚さに対する直径
の比で示される。ここで直径とは、アルミナ水和物を、
顕微鏡又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積
と等しい面積を有する円の直径を示すものとする。縦横
比はアスペクト比と同じように観察して、平板面の最小
値を示す直径と最大値を示す直径の比で表わされる。ま
た、毛状束形状の場合には、アスペクト比を求める方法
は、毛状束を形成する個々の針状のアルミナ水和物粒子
を円柱として、上下の円の直径と長さをそれぞれ求め
て、その比をとって求めることができる。最も好ましい
アルミナ水和物の形状は、平板状では平均アスペクト比
が3〜10の範囲で、毛状束では平均アスペクト比が3
〜10の範囲が好ましい。平均アスペクト比が上記範囲
内であれば、微粒子凝集物を形成したときに、粒子間に
隙間が形成され易いため多孔質構造を容易に形成するこ
とができる。
【0092】本発明で使用する液体組成物中における上
記したようなカチオン性微粒子の含有量としては、使用
する物質の種類により、最適な範囲を適宜決定すればよ
いが、質量基準で0.1〜40%の範囲が本発明の目的
を達成するうえで好適な範囲であり、より好ましくは1
〜30%、更には3〜15%の範囲が好適である。この
ような範囲内では、紙種に因らず、優れた発色の画像を
安定に得ることができ、また液体組成物の保存安定性や
吐出安定性にも特に優れている。
【0093】(酸)先に述べたように、本発明で使用す
る液体組成物は、酸を含み、pHが2〜7に調整された
ものであることが好ましいが、この第2の成分である酸
は、カチオン性微粒子表面をイオン化し、表面電位を高
めることにより、液中での微粒子の分散安定性を向上さ
せると共に、インク中のアニオン性化合物(アニオン性
色材)の吸着性向上や、液体組成物の粘度調整の役割を
果たす。本発明に好適に用いられる酸は、使用するカチ
オン性微粒子と組み合わせて、所望のpHやゼータ電位
或いは微粒子分散性等の物性が得られるものであれば特
に限定はなく、下記に挙げる無機酸や有機酸等から自由
に選択して使用することができる。
【0094】具体的には、無機酸としては、例えば、塩
酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、硼酸、及び炭
酸等が挙げられ、有機酸としては、例えば、下記に挙げ
るようなカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸等が挙げら
れる。
【0095】カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢
酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フル
オロ酢酸、トリメチル酢酸、メトキシ酢酸、メルカプト
酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、
フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイ
ル酸、p−トルイル酸、o−クロロ安息香酸、m−クロ
ロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ブロモ安息香
酸、m−ブロモ安息香酸、p−ブロモ安息香酸、o−ニ
トロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、p
−ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、m−アミノ安
息香酸、p−アミノ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、
m−メトキシ安息香酸、及びp−メトキシ安息香酸等が
挙げられる。
【0096】また、スルホン酸としては、例えば、ベン
ゼンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、エチルベ
ンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメ
チルベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、1−
スルホナフタレン、2−スルホナフタレン、ヘキサンス
ルホン酸、オクタンスルホン酸、及びドデカンスルホン
酸等が挙げられる。
【0097】また、アミノ酸としては、グリシン、アラ
ニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−
アラニン、タウリン、セリン、ε−アミノ−n−カプロ
ン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン等が
挙げられる。
【0098】そして、本発明で使用する液体組成物にお
いては、これらを1種又は2種以上混合して使用するこ
とができる。これらの中でも、使用する酸の水中での一
次解離定数pkaが5以下のものは、カチオン性微粒子
の分散安定性やアニオン性化合物の吸着性に特に優れる
ため、特に好適に用いることができる。このようなもの
としては、具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢
酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、及
びマロン酸等が挙げられる。
【0099】本発明で使用する液体組成物では、液体組
成物中におけるカチオン性微粒子(A)と酸(B)の混
合比率を、重量基準でA:B=200:1〜5:1、よ
り好ましくは150:1〜8:1の範囲となるようにす
ることが、カチオン性微粒子の分散安定性の向上、及び
アニオン性化合物の微粒子表面への吸着性の向上を図る
うえで好ましい。
【0100】(他の構成成分)次に、カチオン性の液体
組成物を構成するその他の成分について具体的に説明す
る。本発明で使用するカチオン性の液体組成物は、上記
したカチオン性微粒子を必須の成分とし、好ましくは上
記したような酸を含み、その他に、通常は液媒体として
水を含むが、更に、液媒体として水溶性有機溶剤及びそ
の他の添加剤を含んでいてもよい。
【0101】この際に使用する水溶性有機溶剤として
は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレ
ングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコー
ル、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アル
コールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチル
アルコール等の1価アルコール類の他、グリセリン、N
−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダ
ゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメ
チルサルホキサイド等が挙げられる。上記水溶性有機溶
剤の含有量については特に制限はないが、例えば、液体
組成物全重量の5〜60%、更には5〜40%が好適な
範囲である。
【0102】また、本発明で使用する液体組成物には、
更にこの他、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、
防腐剤、各種界面活性剤、酸化防止剤及び蒸発促進剤、
水溶性カチオン性化合物やバインダー樹脂等の添加剤を
適宜に配合しても構わない。界面活性剤の選択は、液体
組成物の被記録媒体への浸透性を調整するうえで特に重
要である。水溶性カチオン性化合物は、液体組成物のカ
チオン性の更なる付与等を目的に、本発明の作用効果を
阻害しない範囲において自由に選択し、添加できる。
【0103】バインダー樹脂は、カチオン性微粒子の更
なる耐擦過性の向上等の目的で、被記録媒体の質感や液
体組成物の保存安定性や吐出安定性を損ねない範囲にお
いて併用することができ、例えば、水溶性ポリマーやエ
マルジョン、ラテックス等から自由に選択し、使用する
ことができる。
【0104】(液体組成物の表面張力)本発明で使用す
る液体組成物は、無色或いは白色であることがより好ま
しいが、被記録媒体の色に合わせて調色してもよい。更
に、以上のような液体組成物の各種物性の好適な範囲と
しては、表面張力を10〜60mN/m(dyn/c
m)、より好ましくは10〜40mN/m(dyn/c
m)とし、粘度を1〜30mPa・s(cP)としたも
のである。
【0105】[アニオン性液体組成物]次に、本発明で
使用するアニオン性の液体組成物について説明する。ア
ニオン性の液体組成物は、アニオン性基を表面に有する
微粒子を必須の構成成分とし、該微粒子が安定に分散し
ていることを特徴とするが、更には塩基を含み、pHが
7〜12に調整されているものや、ゼータ電位が−5〜
−90mVであるものが好ましい。
【0106】(pH及びゼータ電位について)本発明者
らが鋭意検討した結果、液体組成物のゼータ電位が−5
〜−90mVの範囲にあるものは、インク中のカチオン
性化合物(例えば、カチオン性色材)がアニオン性微粒
子の表面に特に効率よく吸着し、被記録媒体上において
特に優れた発色特性を呈することを見出した。その理由
は定かではないが、おそらく先に説明したカチオン性液
体組成物の場合と同様に、微粒子のアニオン性が適度で
あるために、インク中のカチオン性化合物の急速な凝集
が起こらずに、微粒子表面に薄く均一に吸着することで
色材が巨大なレーキを形成せず、色材本来の発色特性が
よりよく発現されるものと考えられる。更に、本発明で
使用するアニオン性の液体組成物においては、カチオン
性化合物を、アニオン性微粒子表面に吸着した後に分散
不安定となり、被記録媒体上で溶媒成分が浸透する際の
濃度変化で微粒子同士が凝集して表面近傍に残り易くな
るものと考えられる。
【0107】この結果、以下に挙げる優れた効果が得ら
れるものと考えられる。即ち、インクジェット用コート
紙並みの優れた発色特性とシャドウ部やベタ部等のイン
ク付与量が多い画像領域において、白モヤや色ムラが少
なく色の均一性に優れる。また、コート紙と比べて極め
て効率よく微粒子表面にカチオン性化合物が吸着し、発
色するために、アニオン性微粒子の付与量も少なくで
き、とりわけ普通紙に印字した場合には、紙の風合いが
保たれ、印字部の耐擦過性もよくなる。より好ましいゼ
ータ電位の範囲としては、例えば、ゼータ電位が−10
〜−85mVの範囲にあるアニオン性微粒子を含む液体
組成物を使用した場合には、ベタ印字した際にドット間
の境界が目立ち難くなり、ヘッドスキャンによるスジム
ラのより一層の低減を達成することができ、更には、ゼ
ータ電位が−15〜−65mVの範囲にあるアニオン性
微粒子を含む液体組成物を使用すると、紙種に因らず、
極めて優れた発色性を有する画像を得ることが可能とな
る。
【0108】本発明で使用するアニオン性の液体組成物
のpHは、保存安定性とカチオン性化合物の吸着性の観
点から、25℃付近で7〜12の範囲であることが好ま
しい。このpH範囲内においては、カチオン性のインク
と混合した際に、カチオン性化合物の安定性を著しく低
下させることがないため、カチオン性化合物同士の強い
凝集を引き起こすことがなく、記録画像の彩度が下がっ
たり、くすんだ画像となることを有効に防止することが
できる。また、上記のような範囲内にあれば、アニオン
性微粒子の分散性も良好であるため、液体組成物の保存
安定性や記録ヘッドからの吐出安定性を良好に維持する
ことができる。更には、インクと混合した際に、カチオ
ン性物質がアニオン性微粒子表面に十分に吸着され、被
記録媒体の内部への色材の過度の浸透を抑えるため、優
れた発色性のインクジェット記録物を得られる。より好
ましい液体組成物のpHの範囲は、8〜11であり、p
Hがこの範囲内であれば、長期保存による記録ヘッドの
腐食を極めて有効に防止できると共に、印字部の耐擦過
性もより一層向上する。
【0109】(アニオン性微粒子)次に、本発明で使用
するアニオン性の液体組成物を構成する成分について述
べる。第1の成分として挙げられるアニオン性の微粒子
は、上記した作用効果を達成するために、液体組成物中
に分散された状態において粒子自体の表面がアニオン性
を呈するものであることが好ましい。表面をアニオン性
とすることによってカチオン性のインクと混合した際
に、カチオン性の色材を粒子表面に吸着でき、色材が被
記録媒体内部へ過度に浸透することが抑えられるので、
十分な画像濃度のインクジェット記録物を得ることがで
きる。これに対し、微粒子表面がアニオン性でなく、且
つ液体組成物の中で、水溶性のアニオン性化合物と別々
に存在している場合には、アニオン性化合物を中心に色
材が凝集を起こし、色材自体の発色特性を損なうため
に、インクジェット用コート紙並みの発色性を達成する
ことが困難となる。そのため本発明で使用する液体組成
物で用いる微粒子は、表面がアニオン性に帯電している
ことが必要であるが、本質的にアニオン性である微粒子
は勿論のこと、本来は静電的にカチオン性或いは中性の
微粒子であっても、処理によって表面がアニオン化され
た微粒子であれば用いることができる。
【0110】本発明で好適に用いられるアニオン性微粒
子は、被記録媒体上で形成されるこれらの微粒子による
凝集物に細孔が形成されるものであれば、本発明の目的
を達成するのに十分であるために、特に微粒子の材料種
に限定はない。一例として、具体例を挙げるとすれば、
例えば、アニオン化した、シリカ、チタニア、ジルコニ
ア、ボリア、シリカボリア、セリア、マグネシア、シリ
カマグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及
び酸化亜鉛等やこれらの複合微粒子や有機微粒子、無機
有機複合微粒子等が挙げられる。そして、本発明で使用
する液体組成物においては、これらを1種又は2種以上
混合して使用することができる。
【0111】また、本発明で使用するアニオン性微粒子
は、先に説明したカチオン性微粒子の場合と同様に、印
字後のインクの発色性、色の均一性及び保存安定性の観
点から、動的光散乱方式により測定される平均粒子直径
が0.005〜1μmの範囲のものが好適である。より
好ましくは、平均粒子直径が0.01〜0.8μmの範
囲内のものであり、このような微粒子を用いれば、被記
録媒体に印字した後の記録物の耐擦過性や質感が特に好
ましいものとなる。更に好ましくは、平均粒子直径が
0.03〜0.3μmの範囲内のものであり、このよう
な微粒子は、被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の
細孔が、目的とする細孔半径領域において効果的に形成
し易いため好ましい。
【0112】(アニオン性微粒子の細孔物性・形状)ま
た、本発明で使用する上記したようなアニオン性微粒子
は、被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔を効
率的に形成すると同時に、微粒子自体の表面に色材を効
率よく吸着させるうえにおいて、前記窒素吸着脱離法に
おける微粒子の極大細孔半径が2nm〜12nmで、全
細孔容積が0.3ml/g以上であるものが好ましい。
より好ましくは、微粒子の極大細孔半径が3nm〜10
nmで、全細孔容積が0.3ml/g以上であるものが
被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的
とする細孔半径領域において効果的に形成され易いため
好ましい。
【0113】本発明で使用する微粒子のBET比表面積
は、70〜300m2/gの範囲内であると、微粒子表
面への色材の吸着点が十分に存在することになり、単分
子状態で色材をより効果的に被記録媒体の表面近傍に残
し易くなるので、発色性の向上に寄与できる。
【0114】また、本発明で使用する微粒子の形状は、
微粒子をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴
下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察し
て求めることができる。本発明においては被記録媒体上
で微粒子凝集物を形成させる際に凝集物内に細孔を形成
させる点で、微粒子形状が針状や平板形状、若しくは球
状の1次粒子がある方向性を持って繋がった二次粒子を
形成している棒状やネックレス状等の非球形状のものを
好適に用いることができる。本発明者らの知見によれ
ば、平板状の形状の方が針状よりも水への分散性がよ
く、微粒子凝集物を形成した場合に微粒子の配向がラン
ダムになるために細孔容積が大きくなるのでより好まし
い。
【0115】上記したようなアニオン性微粒子の液体組
成物中の含有量としては、使用する物質の種類により、
最適な範囲を適宜に決定すればよいが、重量基準で0.
1〜40重量%の範囲とすることが本発明の目的を達成
する上で好適な範囲であり、より好ましくは1〜30重
量%、更には3〜15重量%の範囲が好適である。この
ような範囲内では、紙種に因らず、優れた発色の画像を
安定に得ることができ、また液体組成物の保存安定性や
吐出安定性にも特に優れている。
【0116】(塩基)先に述べたように、本発明で使用
するアニオン性の液体組成物は、塩基を含み、pHが7
〜12に調整されたものであることが好ましいが、この
第2の成分である塩基は、アニオン性微粒子表面をイオ
ン化し、表面電位を高めることにより液中での分散安定
性を向上させると共に、インク中のカチオン性化合物
(カチオン性色材)の吸着性向上や液体組成物の粘度調
整の役割を果たす。本発明に好適に用いられる塩基は、
使用するアニオン性微粒子と組み合わせた場合に、所望
のpH、ゼータ電位及び微粒子分散性等の物性が得られ
るものであれば特に限定はなく、下記に挙げるような無
機化合物や有機化合物等から自由に選択して、使用する
ことができる。
【0117】具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、
水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、
アンモニア、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、モル
ホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、
ノルマルブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノ
ールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタ
ノールアミン、ノルマルブチルジエタノールアミン、ジ
ノルマルブチルエタノールアミン、モノイソプロパノー
ルアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパ
ノールアミン等のアルカノールアミンを用いることがで
きる。これらの中でも特に、塩基の水中での一次解離定
数pkbが5以下の塩基は、アニオン性微粒子の分散安
定性やカチオン性化合物(カチオン性色材)の吸着性に
特に優れるため、好適に用いられる。
【0118】本発明で使用する液体組成物中でのアニオ
ン性微粒子(A)と塩基(B)の混合比率は、重量基準
でA:B=200:1〜5:1、より好ましくは15
0:1〜8:1の範囲であれば、アニオン性微粒子の分
散安定性や、該微粒子表面へのカチオン性化合物の吸着
性に優れるため好ましい。
【0119】(他の構成成分)次に、アニオン性の液体
組成物を構成するその他の成分について具体的に説明す
る。本発明で使用するアニオン性の液体組成物は、上記
したアニオン性微粒子を必須の成分とし、好ましくは上
記したような塩基を含み、その他に、通常は液媒体とし
て水を含むが、更に水溶性有機溶剤及びその他の添加
剤、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、各種界
面活性剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、水溶性アニオン性
化合物やバインダー樹脂等の添加剤を適宜配合してもか
まわない。
【0120】(液体組成物の表面張力)本発明で使用す
るアニオン性の液体組成物は、無色或いは白色であるの
がより好ましいが、被記録媒体の色に合わせて調色して
もよい。更に以上のような液体組成物の各種物性の好適
な範囲としては、表面張力を10〜60mN/m(dy
n/cm)、より好ましくは10〜40mN/m(dy
n/cm)とし、粘度を1〜30mPa・s(cP)と
したものである。
【0121】(液体組成物の製造方法)前記微粒子を含
む本発明で使用する液体組成物の製造方法としては、一
般に分散に用いられている方法等の中から選択して用い
ることができる。具体的には、液体組成物中の微粒子の
平均粒子径や粒度分布を上記範囲にするために、ロール
ミル、サンドミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイ
ザー、超高圧乳化機(例えば商品名ナノマイザー等)等
の分散機を用いて分散処理や、遠心分離や限外濾過等に
よる分級処理等が好適に用いられ、これらの処理手段に
よって液体組成物中の微粒子の分散粒子径を揃えること
ができる。
【0122】<水性インク> [アニオン性インク]次に、先に説明した本発明で使用
するカチオン性の液体組成物と組み合わせて本発明のイ
ンクセットを構成する際に使用する、水性のアニオン性
インクについて説明する。ここでいうインクセットと
は、例えば、前記したカチオン性の液体組成物と、アニ
オン性物質(アニオン性色材)を含有する少なくとも1
種類以上のアニオン性インクとの組み合わせをいう。ま
た、このインクセットから本発明で使用する液体組成物
を除いた、少なくとも1種類のインクの組み合わせをイ
ンクサブセットと呼ぶ。本発明で使用するアニオン性イ
ンクは、色材として、アニオン性基を含有する水溶性染
料を用いるか、或いは色材として顔料を用いる場合に
は、アニオン性化合物を併用させたもの(これも本発明
ではアニオン性色材という)を用いることが好ましい。
本発明で使用される上記のようなアニオン性インクに
は、更にこれに、水、水溶性有機溶剤及びその他の成
分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活
性剤、酸化防止剤等が必要に応じて含まれて構成され
る。以下、これらのインクの各構成成分について説明す
る。
【0123】(水溶性染料)本発明で使用するアニオン
性基を有する水溶性染料としては、例えば、カラーイン
デックス(Color Index)に記載されている水溶性の酸
性染料、直接染料、反応性染料であれば特に限定されな
い。また、カラーインデックスに記載のないものでも、
アニオン性基、例えば、スルホン基、カルボキシル基等
を有するものであれば特に限定されない。ここでいう水
溶性染料の中には、溶解度のpH依存性があるものも含
まれる。
【0124】(顔料)水性のアニオン性インクの別の形
態としては、上記のようなアニオン性基を有する水溶性
染料の代わりに、顔料及びアニオン性化合物を用い、
水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調
整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等
を必要に応じて含むインクであってもよい。ここで、ア
ニオン性化合物が顔料の分散剤であってもよいし、顔料
の分散剤がアニオン性でない場合に、分散剤とは別のア
ニオン性化合物を添加したものでもよい。勿論、分散剤
がアニオン性化合物である場合でも、更に、他のアニオ
ン性化合物を添加したものでもよい。
【0125】本発明で使用することができる顔料には特
に限定はないが、例えば、以下に説明する顔料が好適に
使用できる。先ず、ブラック顔料インクに使用されるカ
ーボンブラックとしては、ファーネス法やチャネル法で
製造されたカーボンブラックで、一次粒径が15〜40
mμ、BET法による比表面積が50〜300m2
g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮
発分が0.5〜10重量%、pH値が2〜9を有するも
のが好ましい。
【0126】このようなものとしては、例えば、No.
2300、No.900、MCF88、No.40、N
o.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、
三菱化成製)、RAVEN 1255(コロンビア製)、REGA
L 400R、REGAL 660R、MOGUL L(以上、キヤボ
ット製)、Color Black FW1、Color Black FW1
8、Color Black S170、Color Black S150、Pr
intex 35、Printex U(以上、デグッサ製)等の市販
品を使用することができる。また、本発明のために新た
に試作されたものでもよい。
【0127】イエローインクに使用される顔料として
は、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yel
low 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow
13、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow
83等が挙げられる。
【0128】マゼンタインクとして使用される顔料とし
ては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red
7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(C
a)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red
57(Ca)、C.I.Pigment Red112、C.I.Pigment Red
122等が挙げられる。
【0129】シアンインクとして使用される顔料として
は、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue
2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:
3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、
C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6等が挙げられる。ま
た、上記いずれの色の色材に関しても、本発明のために
新たに製造されたものでも使用可能である。
【0130】(顔料分散剤)本発明で使用するインクに
用いることができる顔料の分散剤としては、アニオン性
基の存在によって、顔料を、水、若しくは水性媒体に安
定に分散させる機能を有する水溶性樹脂なら、どのよう
なものでも使用可能である。特に、重量平均分子量が
1,000〜30,000の範囲のものが好ましい。更
に好ましくは3,000〜15,000の範囲である。
具体的には、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニ
ルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチ
レン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等
の疎水性単量体、又はアクリル酸、アクリル酸誘導体、
マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン
酸誘導体、フマル酸及びフマル酸誘導体から選ばれる二
つ以上の単量体からなるブロック共重合体、グラフト共
重合体或いはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙
げられる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に
可溶なアルカリ可溶型の樹脂である。
【0131】更に親水性単量体からなるホモポリマー又
はそれらの塩でもよい。また、ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース、ナフタレンスルホン酸ホ
ルムアルデヒド縮合物等の水溶性樹脂も使用することが
可能である。しかし、アルカリ可溶型の樹脂を用いた場
合の方が、分散液の低粘度化が可能で、分散も容易であ
るという利点がある。前記水溶性樹脂は、インク全量に
対して0.1〜5重量%の範囲で使用されることが好ま
しい。
【0132】本発明で使用し得る顔料インクは、以上の
如き顔料及び水溶性樹脂を水溶性媒体中に分散又は溶解
して構成される。本発明に用い得る顔料系インクにおい
て好適な水性媒体としては、水及び水溶性有機溶剤の混
合溶媒であり、水としては種々のイオンを含有する一般
の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用する
のが好ましい。
【0133】分散剤が、アニオン性高分子ではない場
合、上述した顔料を含むインクに更にアニオン性化合物
を添加することが好ましい。本発明で好適に使用される
アニオン性化合物としては、顔料分散剤の項で説明した
アルカリ可溶性樹脂等の高分子物質の他、下記に挙げる
ような低分子量のアニオン性界面活性剤を挙げることが
できる。
【0134】低分子量のアニオン性界面活性剤の具体的
なものとしては、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナ
トリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイ
ルエタノールアミドエステル二ナトリウム、ポリオキシ
エチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、カルボ
キシル化ポリオキシエチレンラウリルエーテルナトリウ
ム塩、カルボキシル化ポリオキシエチレントリデシルエ
ーテルナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウ
ム、アルキル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる
が、これらに限定されるわけではない。以上のようなア
ニオン性物質の好適な使用量としては、インク全量に対
して、0.05〜10重量%の範囲であり、更に好適に
は0.05〜5重量%である。
【0135】(自己分散型顔料)また、アニオン性のイ
ンクに用いることのできる顔料としては、分散剤を用い
ることなしに、水若しくは水性媒体に分散させることの
できる自己分散型の顔料も使用できる。自己分散型の顔
料は、顔料表面に少なくとも1種のアニオン性親水性基
が、直接、若しくは他の原子団を介して結合されている
ものである。アニオン性の親水性基が、例えば、下記に
挙げた親水性基の中から選択される少なくとも1種であ
るもの、更に他の原子団が、炭素原子数1〜12のアル
キレン基、置換基を有してもよいフェニレン基又は置換
基を有してもよいナフチレン基であるものが挙げられ
る。 −COOM、−SO3M、−SO2NH2、 −PO3HM、−PO32 (上記式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニ
ウム、又は有機アンモニウムを表わす。)
【0136】このように顔料表面への親水性基の導入に
よってアニオン性に帯電させた顔料は、イオンの反発に
よって優れた水分散性を有するため、水性インク中に含
有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定した分
散状態を維持する。特に、顔料がカーボンブラックであ
る場合に好ましい。
【0137】(インク中の添加成分)また、上記の成分
の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとする
ために、界面活性剤、消泡剤或いは防腐剤等をインク中
に添加することができ、更に市販の水溶性染料等を添加
することもできる。
【0138】界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級ア
ルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩
類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活
性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
ソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコー
ル、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤が
あり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用で
きる。その使用量は、分散剤の添加量により異なるが、
インク全量に対して、0.01〜5重量%が望ましい。
この際、インクの表面張力は30mN/m(dyn/c
m)以上になるように活性剤の添加する量を決定するこ
とが好ましい。なぜなら、本発明で使用するインクジェ
ット記録方式においては、ノズル先端の濡れによる印字
ヨレ(インク滴の着弾点のズレ)等の発生を有効に抑え
ることができるからである。
【0139】以上で説明したような顔料系インクの作成
方法としては、はじめに、顔料分散用樹脂及び水を少な
くとも含有する水溶液に、顔料を添加して攪拌した後、
後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて
遠心分離処理を行って、所望の分散液を得る。次に、こ
の分散液に上記に掲げたような成分を更に加えて攪拌し
て、インクとすればよい。
【0140】また、アルカリ可溶型の樹脂を使用する場
合には、樹脂を溶解させるために塩基を添加することを
要する。この際、樹脂を溶解させるためのアミン或いは
塩基の量は、樹脂の酸価から計算によって求められるア
ミン或いは塩基量の1倍以上を添加することが必要であ
る。アミン或いは塩基の量は、以下の式によって計算で
求められる。
【0141】更に顔料を含む水溶液を分散処理する前に
プレミキシングを30分間以上行うと、顔料の分散効率
がよくなる。このプレミキシング操作は、顔料表面の濡
れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進するも
のである。
【0142】アルカリ可溶型樹脂を使用した場合の分散
液に添加される塩基類としては、例えば、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機ア
ミン或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機
塩基を用いることが好ましい。
【0143】一方、顔料インクの調製に使用する分散機
は、一般に使用される分散機ならいかなるものでもよい
が、例えば、ボールミル、サンドミル等が挙げられる。
その中でも、高速型のサンドミルが好ましく、例えば、
スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジ
テータミル、グレンミル、ダイノールミル、パールミ
ル、コボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0144】尚、本発明で使用するインクは、上記成分
の他に必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤、p
H調製剤、防錆剤、防カビ剤、酸化防止剤、蒸発促進
剤、キレート化剤及び水溶性ポリマー等の添加剤を添加
してもよい。
【0145】本発明で用いることのできる上記色材を溶
解又は分散する液媒体は、水と水溶性有機溶剤との混合
物であることが好ましい。具体的な水溶性有機溶剤とし
ては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、
n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n
−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、te
rt−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルア
ルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングコリコール等のポリアルキ
レングリコール類、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコー
ル、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレング
リコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチ
ル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノ
メチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低
級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラ
ン、ジメチルサルフォオキサイド、2−ピロリドン、ε
−カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイ
ミド等のイミド化合物等が挙げられる。
【0146】上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般に
は、インクの全重量に対して重量%で1%〜40%が好
ましく、より好ましくは3%〜30%の範囲である。ま
た、インク中の水の含有量は30〜95重量%の範囲と
した場合、色材の溶解性等も良好であり、インクの粘度
が高くなることを抑えることができ、且つインクの固着
特性を十分に満足させることができる。
【0147】本発明で使用するアニオン性インクは、一
般の水性筆記用具としても使用できるが、熱エネルギー
によるインクの発泡現象によりインクを吐出させるタイ
プのインクジェット記録方法に適用する場合に特に好適
であり、吐出が極めて安定となり、サテライトドットの
発生等が生じないという特徴がある。但し、この場合に
は、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱伝導
率)を調整する場合もある。
【0148】[カチオン性インク]次に、先に説明した
アニオン性の液体組成物と組み合わせて本発明のインク
セットを構成する水性のカチオン性インクについて説明
する。ここでいうインクセットとは、本発明で使用する
液体組成物とカチオン性物質(カチオン性色材)を含有
する少なくとも1種類以上のインクとの組み合わせをい
う。また、このインクセットから本発明で使用する液体
組成物を除いた、少なくとも1種類以上のインクの組み
合わせをインクサブセットと呼ぶ。本発明で使用するカ
チオン性インクは、色材として、カチオン性基を含有す
る水溶性染料を用いるか、又は色材として顔料を用いる
場合には、カチオン性化合物を併用させること(本発明
ではこの併用もカチオン性色材という)が好ましい。本
発明で使用される上記のようなインクには、更にこれ
に、水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘
度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止
剤等が必要に応じて含まれて構成される。以下、これら
のインクの各構成成分について説明する。
【0149】(水溶性染料)本発明で使用するカチオン
性基を有する水溶性染料としては、例えば、カラーイン
デックス(Color Index)に記載されている水溶性の染
料であれば特に限定はない。また、カラーインデックス
に記載のないものでも、カチオン性基を有するものであ
れば特に限定はない。尚、ここでいう水溶性染料の中に
は、溶解度のpH依存性があるものも含まれる。
【0150】(顔料)本発明で使用するインクの別の形
態としては、上記したカチオン性基を有する水溶性染料
の代わりに、顔料及びカチオン性化合物を用い、水、水
溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、
pH調整剤、防腐剤、界面活性剤或いは酸化防止剤等を
必要に応じて含むインクであってもよい。ここで、カチ
オン性化合物が顔料の分散剤であってもよいし、顔料の
分散剤がカチオン性でない場合に、分散剤とは別のカチ
オン性化合物を添加したものでもよい。勿論、分散剤が
カチオン性化合物である場合でも、更に他のカチオン性
化合物を添加してもよい。本発明で使用することができ
る顔料としては特に限定はなく、アニオン性インクの項
で述べた顔料を好適に用いることができる。
【0151】(顔料分散剤)本発明で使用するインク中
の顔料の分散剤は、カチオン性基の存在によって顔料を
水、若しくは水性媒体に安定に分散させる機能を有する
水溶性樹脂ならどんなものでも使用可能である。具体例
としては、ビニルモノマーの重合によって得られるもの
であって、得られる重合体の少なくとも一部がカチオン
性を有するものであればよい。カチオン性の部分を構成
するためのカチオン性モノマーとしては、下記の如き第
3級アミンモノマーの塩及びこれらの4級化された化合
物が挙げられる。
【0152】N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート [CH2=C(CH3)−COO−C24N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート [CH2=CH−COO−C24N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート [CH2=C(CH3)−COO−C36N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート [CH2=CH−COO−C36N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアクリルアミド [CH2=CH−CON(CH3)2]、 N,N−ジメチルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CON(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド [CH2=CH−CONHC24N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CONHC24N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド [CH2=CH−CONH−C36N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CONH−C36N(CH3)2] 等が挙げられる。
【0153】第3級アミンの場合において、塩を形成す
るための化合物としては、塩酸、硫酸及び酢酸等が挙げ
られ、4級化に用いられる化合物としては、塩化メチ
ル、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、エピクロロヒ
ドリン等が挙げられる。これらの中でも、塩化メチルや
ジメチル硫酸等が本発明で使用する分散剤を調製するう
えで好ましい。以上のような第3級アミンの塩或いは第
4級アンモニウム化合物は水中ではカチオンとして振る
舞い、中和された条件では酸性が安定溶解領域である。
これらモノマーの共重合体中での含有率は20〜60重
量%の範囲が好ましい。
【0154】上記高分子分散剤の構成に用いられるその
他モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、長鎖のエチレンオキシド鎖を側鎖に有す
るアクリル酸エステル等のヒドロキシ基を有するアクリ
ル酸エステル、スチレン系モノマー等の疎水性モノマー
類及びpH7近傍の水に溶解可能な水溶性モノマーとし
て、アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルピロ
リドン類、ビニルピリジン類、ビニルオキサゾリン類が
挙げられる。疎水性モノマーとしては、スチレン、スチ
レン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導
体、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロ
ニトリル等の疎水性モノマーが用いられる。共重合によ
って得られる高分子分散剤中において水溶性モノマー
は、共重合体を水溶液中で安定に存在させるために15
〜35重量%の範囲で用い、且つ疎水性モノマーは、共
重合体の顔料に対する分散効果を高めるために20〜4
0重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0155】(自己分散型顔料)カチオン性に帯電した
顔料の場合、直接若しくは他の原子団を介して結合した
親水性基が、例えば、下記に挙げる第4級アンモニウム
基から選ばれる少なくとも1つを結合したものが挙げら
れる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0156】
【0157】上記式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖
状又は分岐鎖状のアルキル基、置換若しくは未置換のフ
ェニル基、又は置換若しくは未置換のナフチル基を表
す。尚、上記のカチオン性基には、カウンターイオンと
して、例えば、NO3 -やCH3COO-が存在する。
【0158】上記したような親水性基が結合されてカチ
オン性に帯電している自己分散型顔料を製造する方法と
しては、例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル
基を結合させる方法を例にとって説明すると、顔料を3
−アミノ−N−エチルピリジニウムブロマイドで処理す
る方法が挙げられる。
【0159】このように顔料表面への親水性基の導入に
よってカチオン性に帯電させた顔料は、イオンの反発に
よって優れた水分散性を有するため、水性インク中に含
有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定した分
散状態を維持する。特に上記顔料がカーボンブラックで
ある場合が好ましい。
【0160】(インクの表面張力)更に本発明で使用す
るカチオン性インクは普通紙等に記録した場合の印字記
録物のインクの浸透性と同時に、インクジェット用ヘッ
ドに対するマッチングを良好にする面から、インク自体
の物性として25℃における表面張力が30〜68mN
/m(dyn/cm)、粘度が15mPa・s(cP)
以下、好ましくは10mPa・s(cP)以下、より好
ましくは5mPa・s(cP)以下に調整されることが
望ましい。
【0161】<水性インクの濃度>上記したアニオン性
及びカチオン性のインク中に含まれる色材成分の質量濃
度は、水性染料、顔料や自己分散型顔料等の色材の種類
に応じて適宜選択されるが、インクの質量に対し、0.
1〜20質量%、特には0.1〜12質量%の範囲が好
ましい。また、色材成分の質量濃度が0.3〜7質量%
の範囲では、液体組成物中の微粒子の濃度とインク中の
色材の濃度との関係に関して、質量基準で、該微粒子1
に対して色材が1.2以下、特には1.0以下とした場
合、通常の2液系の記録条件の下で形成される画像の発
色性は特に優れたものとなる。
【0162】<被記録媒体に着色部を形成する方法>次
に、本発明の被記録媒体に着色部を形成する方法につい
て説明する。本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法は、上記で説明したインク及び液体組成物が組み合わ
されてなり、液体組成物及びインクに水溶性ポリマー及
びその架橋剤がそれぞれ振り分けられた状態で含有され
ている本発明のインクセットを用い、色材を含む水性イ
ンクを被記録媒体に付与する工程(i)、及び該色材と
反応性を有する微粒子が含まれている液体組成物を被記
録媒体に付与する工程(ii)とを有し、上記被記録媒体
の表面において、水性インクと液体組成物とが互いに液
体状態で接するように付与することを特徴とする。更に
好ましくは、本発明のインクセットを用い、色材を含
む、アニオン性若しくはカチオン性の水性インクを被記
録媒体に付与する工程(i)、及び該インクとは逆の極
性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれてい
る液体組成物を被記録媒体に付与する工程(ii)とを有
し、被記録媒体の表面において、水性インクと液体組成
物とが互いに液体状態で接するように付与することを特
徴とする。以下、上述したように構成されている液体組
成物及び水性インクを被記録媒体上に付与する方法につ
いて説明する。
【0163】本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法の好ましい形態としては、上記で説明したような液体
組成物を被記録媒体上に付与する工程(ii)と、色材を
含む水性インクを被記録媒体に付与する工程(i)を含
むが、その際に、被記録媒体の着色部形成領域、又は着
色部形成領域とその近傍に液体組成物を付与して、水性
インクと液体組成物とが互いに液体状態で接するように
付与する。ここでいう着色部形成領域とは、インクのド
ットが付着する領域のことであり、着色部形成領域の近
傍とは、インクのドットが付着する領域の外側の1〜5
ドット程度離れた領域のことを指す。
【0164】本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法では、前記した本発明で使用する液体組成物と水性イ
ンクとが被記録媒体上で互いに液体状態で接するように
なれば、これらをいずれの方法で付与させてもよい。従
って、液体組成物とインクのいずれを先に被記録媒体上
に付与するかは問題ではない。例えば、工程(ii)を行
なった後に工程(i)を行なってもよいし、工程(i)
を行なった後に工程(ii)を行なてもよい。また、工程
(i)を行なった後に、工程(ii)を行ない、その後に
再び工程(i)を行なうことも好ましい。また、液体組
成物を被記録媒体に先に付与させた場合に、液体組成物
を被記録媒体に付与してから、インクを被記録媒体上に
付与させるまでの時間については特に制限されるもので
はないが、互いに液体状態で接するようにするために
は、ほぼ同時或いは数秒以内にインクを被記録媒体上に
付与させることが好ましい。
【0165】(被記録媒体)上記した本発明の被記録媒
体に着色部を形成する方法に使用される被記録媒体とし
ては、特に限定されるものではなく、従来から使用され
ている、コピー用紙、ボンド紙等のいわゆる普通紙が好
適に使用される。勿論、インクジェット記録用に特別に
作製されたコート紙やOHP用透明フィルムも好適に使
用される。更に一般の上質紙や光沢紙にも好適に使用す
ることができる。
【0166】(液体組成物の付与方法)本発明で使用す
る液体組成物を被記録媒体上に付与せしめる方法として
は、例えば、スプレーやローラー等によって被記録媒体
の全面に付与せしめる方法も考えられるが、更に好まし
くはインクを付与する着色部形成領域或いは着色部形成
領域とその着色部形成領域の近傍にのみに選択的且つ均
一に液体組成物を付与せしめることのできるインクジェ
ット方式により行うのが好ましい。また、この際には、
種々のインクジェット記録方式を用いることができる
が、特に好ましいのは、熱エネルギーによって発生した
気泡を用いて液滴を吐出する方式である。
【0167】<インクジェット記録装置>以下、本発明
のインクジェット記録装置の具体例について説明する。
本発明のインクジェット記録装置の一形態は、色材を含
むインクを収容したインク収容部と、該インクを吐出さ
せるインクジェットヘッドを備えた第1の記録ユニット
と、水性インクとは逆の極性に表面が帯電している微粒
子が分散状態で含まれている本発明の液体組成物を収容
した液体組成物収容部と、該液体組成物を吐出させるイ
ンクジェットヘッドを備えた第2の記録ユニットとを備
えていることを特徴とする。
【0168】図1は、本発明の上記形態を有するインク
ジェット記録装置である出力情報を記録するインクジェ
ット方式のプリンタの概略構成の一例を示す模式的斜視
図である。図1において、1は、インクを吐出してプリ
ントを行って着色部を形成するためのインクジェットヘ
ッドを構成するカートリッジ(以下、プリント用ヘッド
カートリッジ)であり、2は、液体組成物を吐出するた
めの液体組成物吐出ヘッドを構成するカートリッジ(以
下、液体組成物用ヘッドカートリッジ)である。図示の
例では、異なる色のインクを用いる4個のプリント用ヘ
ッドカートリッジ1と1個の液体組成物用ヘッドカート
リッジ2が使用されている。プリント用の各ヘッドカー
トリッジ1は、その上部にインクタンク部、下部にイン
ク吐出部(プリント部)を設けた構造をしている。液体
組成物用のヘッドカートリッジ2は、その上部に液体組
成物タンク部、下部に液体組成物吐出部を設けた構造を
している。更に、これらのヘッドカートリッジ1及び2
には、駆動信号等を受信するためのコネクタが設けられ
ている。3はキャリッジである。
【0169】キャリッジ3上には、それぞれ異なる色の
インクでプリントするための4個のプリント用ヘッドカ
ートリッジ1と、1個の液体組成物用ヘッドカートリッ
ジ2が位置決め搭載されている。また、該キャリッジ3
には、各プリント用ヘッドカートリッジ1及び液体組成
物用ヘッドカートリッジ2を駆動するための信号等を伝
達するためのコネクタホルダーが設けられており、該コ
ネクタホルダーを介して各ヘッドカートリッジ1及び2
に電気的に接続されている。
【0170】各プリント用ヘッドカートリッジ1は、そ
れぞれ異なった色のインク、例えば、イエロー(Y)、
マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のイン
クを収納している。本図では、図示左から、イエロー、
マゼンタ、シアン、ブラックの各インクのプリント用ヘ
ッドカートリッジ1Y、1M、1C、1Bが搭載され、
そして右端には、前記液体組成物を収納した液体組成物
用ヘッドカートリッジ2が搭載されている。
【0171】図1において、4はキャリッジ3の主走査
方向に延在し該キャリッジを摺動自在に支持する走査レ
ール、5はキャリッジ3を往復動させるための駆動力を
伝達する駆動ベルトである。また、6、7及び8、9
は、それぞれ、各ヘッドカートリッジのプリントヘッド
によるプリント位置の前後に配置されて被記録媒体10
の挟持搬送を行うための搬送ローラ対である。紙等の被
記録媒体10は、プリント位置の部分で、プリント面を
平坦に規制するためのプラテン(不図示)に圧接状態で
案内支持されている。この時、キャリッジ3に搭載され
た各ヘッドカートリッジ1及び2の吐出口形成面は、該
キャリッジ3から下方へ突出して被記録媒体搬送用ロー
ラ7、9間に位置し、プラテン(不図示)の案内面に圧
接された被記録媒体10に平行に対向するようになって
いる。
【0172】本図のインクジェットプリンタのプリント
領域を外れた左側に設定されたホームポジションの近傍
には、回復ユニット11が配設されている。回復ユニッ
ト11には、4個のプリント用ヘッドカートリッジ1
Y、1M、1C、1Bのインク吐出部に対応する4個の
キャップ12と、1個の液体組成物用ヘッドカートリッ
ジ2のの液体組成物吐出部に対応する1個のキャップ1
3が上下方向に昇降可能に設けられている。そして、キ
ャリッジ3がホームポジションにあるときには、各ヘッ
ドカートリッジ1、2の吐出部の吐出口形成面に対して
対応するキャップ12及び13とが圧接接合されること
により、各ヘッドカートリッジ1、2の吐出口が密封
(キャッピング)される。キャッピングすることによ
り、吐出口内のインク溶剤の蒸発によるインクの増粘・
固着が防止され、吐出不良の発生が防止されている。
【0173】また、回復ユニット11は、各キャップ1
2に連通した吸引ポンプ14とキャップ13に連通した
吸引ポンプ15を備えている。これらのポンプ14、1
5は、プリント用ヘッドカートリッジ1や液体組成物用
ヘッドカートリッジ2に吐出不良が生じた場合に、それ
らの吐出口形成面をキャップ12、13でキャッピング
して吸引回復処理を実行するのに使用される。更に、回
復ユニット11には、ゴム等の弾性部材からなる2個の
ワイピング部材(ブレード)16及び17が設けられて
いる。ブレード16はブレードホルダー18によって保
持され、ブレード17はブレードホルダー19によって
保持されている。
【0174】図に示した装置においては、前記ブレード
ホルダー18、19は、それぞれ、キャリッジ3の移動
を利用して駆動されるブレード昇降機構(不図示)によ
り昇降され、それによって、前記ブレード16及び17
は、各ヘッドカートリッジ1及び2の吐出口形成面に付
着したインクや異物をワイピングすべく突出(上昇)し
た位置(ワイピング位置)と吐出口形成面に接触しない
後退(下降)した位置(待機位置)との間で昇降する。
この場合、プリント用ヘッドカートリッジ1の吐出口形
成面をワイピングするブレード16(以下、インク用ブ
レード)と液体組成物用ヘッドカートリッジ2の吐出口
形成面をワイピングするブレード17(以下、液体組成
物用ブレード)は、互いに独立して、個別に昇降できる
ように構成されている。
【0175】そして、キャリッジ3が図1中右側(プリ
ント領域側)からホームポジション側へ移動するとき、
或いはホームポジション側からプリント領域側へ移動す
るときに、ブレード16が各プリント用ヘッドカートリ
ッジ1の吐出口形成面と当接し、ブレード17が液体組
成物吐出ヘッド2の吐出口形成面と当接し、相対移動に
よってそれらの吐出口形成面の拭き取り(ワイピング)
動作が行われる。
【0176】図2は、インク吐出部とインクタンクを一
体化した構造のプリント用ヘッドカートリッジ1を示す
模式的斜視図である。尚、液体組成物用ヘッドカートリ
ッジ2は、貯蔵及び使用する液体が液体組成物である点
を除き、プリント用ヘッドカートリッジ1と実質上同じ
構成をしている。図2において、プリント用ヘッドカー
トリッジ1は、上部にインクタンク部21を、下部にイ
ンク吐出部(プリントヘッド部)22を有しており、更
に、インク吐出部22を駆動するための信号等を受信す
ると共に、インク残量検知信号を出力するためのヘッド
側コネクタ23を有している。このコネクタ23はイン
クタンク部21に並ぶ位置に設けられている。プリント
用ヘッドカートリッジ1は、図2中、底面側(被記録媒
体10側)に吐出口形成面81を有し、該吐出口形成面
81には複数の吐出口が形成されている。各吐出口に通
じる液路部分に、インクを吐出するのに必要なエネルギ
ーを発生する吐出エネルギー発生素子が配置されてい
る。
【0177】前記プリント用ヘッドカートリッジ1は、
そのインク吐出部からインクを吐出してプリントを行う
インクジェットプリント手段であり、インク吐出部22
とインクタンク21とを一体化した交換可能なインクジ
ェットカートリッジで構成されている。このプリント用
ヘッドカートリッジ1は、熱エネルギーを利用してイン
クを吐出するインクジェットプリント手段であって、熱
エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたもの
である。また、前記プリント用ヘッドカートリッジ1
は、前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギー
により生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生
じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出さ
せ、プリントを行なうものである。
【0178】図3は、プリント用ヘッドカートリッジ1
(液体組成物用ヘッドカートリッジ2)のインク吐出部
22(液体組成物吐出部22A)の構造を模式的に示す
部分斜視図である。図3において、被記録媒体(プリン
ト用紙等)10と所定の隙間(例えば、約0.5〜2.
0mm程度)をおいて対面する吐出口形成面81には、
所定のピッチで複数の吐出口82が形成され、共通液室
83と各吐出口82とを連通する各液路84の壁面に沿
ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱
変換体(発熱抵抗体等)85が配設されている。前記複
数の吐出口82はプリント用ヘッドカートリッジ1の移
動方向(主走査方向)と交叉する方向に並ぶような位置
関係で配列されている。こうして、画像信号または吐出
信号に基づいて対応する電気熱変換体85を駆動(通
電)して、液路84内のインクを膜沸騰させ、その時に
発生する圧力によって吐出口82からインクを吐出させ
るプリント用ヘッドカートリッジ1が構成されている。
【0179】図4〜図6は以上のインクジェットプリン
タのワイピング動作を示す模式図である。図4はキャリ
ッジ3がプリント領域側からホームポジション側へ移動
する場合を示す。図4において、(A)のようにキャリ
ッジ4上のプリント用ヘッドカートリッジ1及び液体組
成物用ヘッドカートリッジ2が右側(プリント領域側)
よりホームポジションに向かって移動してくる。そうす
ると、(B)のように、先ず、インク用のキャップ12
と液体組成物用のキャップ13との間にあるインク用ブ
レード16が上昇し、キャリッジ3の移動に伴って各プ
リントヘッド1Y、1M、1C、1Bを順次ワイピング
していく。
【0180】更に、図4の(C)のように、各プリント
用ヘッドカートリッジ1が、液体組成物用ブレード17
上を通過した後、この液体組成物用ブレード17を上昇
させて(D)のように液体組成物ヘッドカートリッジ2
の吐出口形成面を同時にワイピングする。インク用ブレ
ード16が4個目のプリントヘッド1をワイピングし、
更に液体組成物用ブレード17が液体組成物用ヘッドカ
ートリッジ2の吐出部をワイピングし終わった後、それ
ぞれのブレード16、17は下降し、待機位置で待機す
る。図4では、キャリッジ3が図1中の右側(プリント
領域)から回復ユニット11の有るホームポジション側
へ移動するときにブレード16、17によるワイピング
が実行されるように構成したが、ワイピング方向はこれ
に限定されるものではなく、図5のようにキャリッジ3
がホームポジション側から右側(プリント領域側)へ移
動する際にワイピングを行うように構成してもよい。
【0181】図5において、(A)では、インク用ブレ
ード16と液体組成物用ブレード17を同時に上昇さ
せ、キャリッジ3を右方向へ(プリント領域側へ)移動
させることにより、プリント用ヘッドカートリッジ1と
液体組成物用ヘッドカートリッジ2を同時にワイピング
し(B)、液体組成物用ヘッドカートリッジ2のワイピ
ングが終了すると同時に液体組成物用のブレード17の
みを下降させて待機させ、インク用ブレード16はその
まま残りのプリント用ヘッドカートリッジ1のワイピン
グを行う(C)。最後に、図5の(D)のように、全て
のプリント用ヘッドカートリッジ1のワイピングが終了
したところで、インク用ブレード16を下降させて一連
のワイピング動作を終了する。図5で説明したようなワ
イピング方向を採用することにより、ワイピングにより
除去されてブレード16及び17に付着した液滴が該ブ
レードの弾性によって被記録媒体10の搬送部へ飛散
し、被記録媒体10を不用意に汚す危険性を無くすこと
ができる。
【0182】更に、図6に示すように、プリント用ヘッ
ドカートリッジ1のワイピング方向と液体組成物用ヘッ
ドカートリッジ2のワイピング方向を異ならせてもよ
い。図6において、例えば(A)及び(B)に示すよう
に、キャリッジ3がホームポジション側から右側(プリ
ント領域側)へ移動するときにインク用ブレード16で
プリント用ヘッドカートリッジ1をワイピングし、
(C)及び(D)に示すように、キャリッジ3がプリン
ト領域側からホームポジション側へ移動するときに液体
組成物用ブレード17で液体組成物用ヘッドカートリッ
ジ2の吐出部のみをワイピングするようにしてもよい。
このようなワイピング方向を採ることにより、ブレード
16の弾性力によって飛散するインクが液体組成物用ヘ
ッドカートリッジ2の吐出部に付着したり、逆に、ブレ
ード17の弾性力によって飛散した液体組成物がプリン
ト用ヘッドカートリッジ1の吐出部に付着するという不
都合(危険性)をなくすか、大幅に減少させることがで
きる。
【0183】また、図1においては、プリント用ヘッド
カートリッジ1用のキャップ12と液体組成物用ヘッド
カートリッジ2用のキャップ13とを別々にして互いに
独立させ(専用にし)、更に、これらのキャップ12及
び13に接続される吸引ポンプ14、15も、プリント
用ヘッドカートリッジ1用と、液体組成物用ヘッドカー
トリッジ2用とに独立させて別々(専用)にした。これ
により、キャップ12、13、及びポンプ14、15内
において、インクと該インクと反応性を有する液体組成
物とを接触させることなく、これらの廃液を処理するこ
とができ、高い信頼性を維持することが可能になる。
【0184】図7は、ポンプ14、15から排出される
インク及び液体組成物を廃インクタンク内へ回収するた
めの回収系統を示す模式図である。図7において、キャ
ップ12に連通した吸引ポンプ14によりプリント用ヘ
ッドカートリッジ1から吸引された廃インク、並びにキ
ャップ13に連通した吸引ポンプ15により液体組成物
用ヘッドカートリッジ2から吸引された廃液は、プリン
タ外へ漏れ出さないように、それぞれ独立した経路を通
して廃液タンク24内に回収され、収納される。
【0185】前記廃液タンク24は、その内部に多孔質
の吸収体25が充填され、該吸収体25に廃液を吸収保
持するように構成されている。この廃液タンク24は、
プリンタ本体内に設けられている。図7では、プリント
用ヘッドカートリッジ1用の吸引ポンプ14からの廃イ
ンク導管26と液体組成物用ヘッドカートリッジ2用の
吸引ポンプ15からの廃液導管27とは、図示のよう
に、廃液タンク24の両端の互いに離れた位置に接続さ
れている。こうすることにより、廃液タンク24内の液
体組成物とインクは吸収体25内に液が充分に吸収され
た状態ではじめて接触するようになるため、多孔質吸収
体25が吸収保持できる液の量を充分に確保することが
できる。
【0186】図8は、図7の廃液回収系統において、廃
液タンク24内の吸収体25を上下2段に配置し、下段
の吸収体25Aにインクを吸収させ、上段の吸収体25
Bに液体組成物を吸収させるように構成した廃液回収系
統を示す模式図である。図8の構成によれば、下段のイ
ンク吸収体25Aが溢れた場合でも、上段の吸収体25
Bとそこに吸収されている液体組成物により、インク中
の染料は上段の吸収体25Bで反応し固定化されるた
め、該インクが漏れ出してプリンタ内外を汚すことはな
い。
【0187】また、本発明の別の形態のインクジェット
記録装置は、色材を含む、アニオン性若しくはカチオン
性の水性インクを収容したインク収容部と、上記水性イ
ンクとは逆の極性に表面が帯電している微粒子が分散状
態で含まれている前記本発明の液体組成物を収容した液
体組成物収容部と、上記インク収容部に収容されている
水性インクと上記液体組成物収容部に収容されている液
体組成物とを各々独立に吐出させるためのインクジェッ
トヘッドとを備えていることを特徴とする。以下、かか
る形態のインクジェット記録装置について説明する。
【0188】図10は、そのような形態のインクジェッ
ト記録装置の一例であるカートリッジ1001を示すも
のであるが、図中の1003は、インクが収容されてい
るインク収容部、1005は、液体組成物が収容されて
いる液体組成物収容部である。該カートリッジは、図1
1に示すように、インク及び液体組成物の各々を吐出せ
しめる記録ヘッド1101に着脱可能に構成されてなる
と共に、カートリッジ1001を記録ヘッド1101に
装着した状態では、液体組成物及びインクが、記録ヘッ
ド1101に供給されるように構成されているものであ
る。
【0189】本発明のインクジェット記録装置は、上記
の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったも
のに限らず、図15に示す如きそれらが一体となったも
のでもよい。図15において、1500は、記録ユニッ
トであって、この中にインクを収容したインク収容部、
例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク
吸収体中のインクが、複数のオリフィスを有するヘッド
部1501からインク滴として吐出される構成になって
いる。インク吸収体の材料としては、例えば、ポリプロ
ピレンやポリウレタンを用いることができる。1502
は、記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連
通口である。
【0190】更に、本発明で使用する記録ユニットの他
の実施態様として、インクと液体組成物とを、1個のイ
ンクタンク内の各々の収納部に収納し、且つインク及び
液体組成物の各々を吐出させるための記録ヘッドを一体
的に備えた記録ユニット、具体的には、例えば、図12
に示すように、液体組成物を収容部1201Lに、ブラ
ックインクを収容部1201Bkに、また、イエロー、
シアン及びマゼンタのカラーインクを各々カラーインク
収納部1201Y、1201M及び1201Cに収納
し、更に、これらを各々個別に吐出させることができる
ように、インク流路を分けて構成した記録ヘッド120
3を備えているような記録ユニット1201が挙げられ
る。
【0191】図16は、本発明のインクジェット記録装
置であるインクジェットプリンタの他の実施態様の概略
構成を示す、模式的斜視図である。図16において、4
は、キャリッジ3の主走査方向に延在し、該キャリッジ
を摺動自在に支持する走査レール、5は、キャリッジ3
を往復動させるための駆動力を伝達する駆動ベルトであ
る。また、6、7及び8、9は、それぞれ、プリントヘ
ッドによるプリント位置の前後に配置されて被プリント
材10の挟持搬送を行うための搬送ローラ対である。紙
等の被プリント材10は、プリント位置の部分で、プリ
ント面を平坦に規制するためのプラテン(不図示)に圧
接状態で案内支持されている。この時、キャリッジ3に
搭載された各ヘッドカートリッジ1及び2の吐出口形成
面は、該キャリッジ3から下方へ突出して被記録媒体搬
送用ローラ7、9間に位置し、プラテン(不図示)の案
内面に圧接された被記録媒体10に平行に対向するよう
になっている。
【0192】図16において、キャリッジ3上には合計
6個のヘッドカートリッジが位置決め搭載されており、
本実施例では、キャリッジ3上の図示左端から右側へ向
けて、イエローのプリン用ヘッドカートリッジ1Y、マ
ゼンタのプリント用ヘッドカートリッジ1M、シアンの
プリント用ヘッドカートリッジ1C、ブラックのプリン
ト用ヘッドカートリッジ1B、液体組成物用ヘッドカー
トリッジ2、第2のブラックのプリント用ヘッドカート
リッジ1BBの順に配置されている。液体組成物用ヘッ
ドカートリッジ2は、インク中の色材と反応性を有する
本発明の液体組成物を被記録媒体10へ吐出するもので
ある。また、右端の第2のブラックのプリント用ヘッド
カートリッジ1BBは、往復プリントでの副走査プリン
ト時等に使用されるブラックインクを用いるプリント用
ヘッドカートリッジである。つまり、前述の各実施例に
おけるブラックプリント用ヘッドカートリッジ1Bの次
に(右隣に)液体組成物用ヘッドカートリッジ2を配置
し、更にその次に(右端)に前記ブラックのプリント用
ヘッドカートリッジ1BBを配置する構成が採られてい
る。
【0193】図16において、プリント領域の左側には
回復ユニット11が配設され、該回復ユニット11にお
いては、前記ヘッドカートリッジ1及び2の配置に対応
して、左から右へ、プリント用ヘッドカートリッジ1
Y、1M、1C、1Bの吐出部をキャッピングするキャ
ップ12が順次配置され、その次に(右隣に)液体組成
物用ヘッドカートリッジ2の吐出部をキャッピングする
キャップ13が配置され、更に、その右隣(右端)には
第2のブラックプリント用ヘッドカートリッジ1BBの
吐出部をキャッピングするキャップ12が配置されてい
る。そして各々のキャップは、上下方向に昇降可能に設
けられており、キャリッジ3がホームポジションにある
ときには、各ヘッド1、2の吐出口形成面に対して対応
するキャップ12、13が各々圧接されることにより、
各ヘッドカートリッジ1及び2の吐出口が密封(キャッ
ピング)され、これにより吐出口内のインク溶剤の蒸発
によるインクの増粘や、固着が防止され、吐出不良の発
生が防止されている。
【0194】また、回復ユニット11は、各キャップ
1、2に連通した吸引ポンプ14とキャップ13に連通
した吸引ポンプ15を備えている。これらのポンプ1
4、15はプリント用ヘッドカートリッジ1や液体組成
物用ヘッドカートリッジ2の吐出部に吐出不良が生じた
場合に、それらの吐出口形成面をキャップ12、13で
キャッピングして吸引回復処理を実行するのに使用され
る。更に、左端から5番目の液体組成物用のキャップ1
3と6番目(右端)のブラックインク用のキャップ12
との間に、液体組成物用のブレード17が配置され、右
端のキャップ12の右側(プリント領域側)に各プリン
ト用ヘッドカートリッジ1の吐出部用のブレード16が
配置されている。そしてブレード17はブレードホルダ
ー19によって保持され、ブレード16はブレードホル
ダー18によって保持されている。
【0195】この態様においては、ブレードホルダー1
9は、各々キャリッジ3の移動を利用して駆動されるブ
レード昇降機構(不図示)による昇降され、それによっ
てブレード16及び17は、ヘッドカートリッジ1及び
2の吐出口形成面に付着したインクや異物をワイピング
すべく突出した位置(ワイピング位置)と吐出口形成面
に接触しない後退した位置(待機位置)との間で昇降す
る。この場合、プリント用ヘッドカートリッジ1の吐出
部をワイピングするブレード16と液体組成物用ヘッド
カートリッジ2の吐出部をワイピングするブレード17
は、互いに独立して個別に昇降できるように構成されて
いる。
【0196】図17は、図16のインクジェットプリン
トターのワイピング動作を示す模式図である。図16に
おいて、(A)に示すように、プリン用のブレード16
が突出(上昇)した後、キャリッジ3に搭載された各ヘ
ッドが右側(プリント領域側)からホームポジションに
向かって移動してくる。上昇したインク用ブレード16
は、(B)に示すように、キャリッジ3の左向き移動に
伴いプリントヘッド1を順次ワイピングしていく。そし
て、(C)に示すように、液体組成物用ヘッドカートリ
ッジ2が、インク用ブレード16の手前(右隣)にきた
時点で、該ブレード16が待機位置まで後退(下降)
し、該ブレード16と液体組成物ヘッドカートリッジ2
の吐出ヘッドとの接触が防止される。
【0197】更に、キャリッジ3が左向きに移動して、
液体組成物用ヘッドカートリッジ2がプリントヘッド用
ブレード16を通過した時点で、(D)に示すように、
インク用ブレード16、及び液体組成物用ブレード17
の両方を突出(上昇)させる。そして、キャリッジ3の
左向き移動に伴って、(E)に示すように、ブレード1
7による液体組成物用ヘッドカートリッジ2のワイピン
グとブレード16による右端のプリントヘッド1BBの
ワイピングを同時に行う。全てのヘッド1、2のワイピ
ングが終了した後、(F)に示すように、両方のブレー
ド16、17を後退(下降)させ、待機位置で待機させ
る。
【0198】図16及び図17の実施例では、キャリッ
ジ3がプリント領域側(右側)から回復ユニット11の
あるホームポジション側へ移動するときにブレード16
及び17によるワイピングを行うようにしたが、ワイピ
ング方向はこれに限定されるものではなく、ホームポジ
ション側から右側(プリント領域側)へ移動する際にワ
イピングするようにしてもよい。
【0199】図16のインクジェットプリンタは、液体
組成物吐出ヘッド2からインク中の色材と反応性を有す
るような、本発明にかかる液体組成物を被記録媒体10
に吐出し、各プリントヘッド01から吐出されたインク
と被記録媒体10上で接触させて記録物を形成可能なよ
うに構成されている。被記録媒体10上ではインク中の
色材が液体組成物と反応することによって、インク中の
色材が単分子状態で微粒子表面に吸着し、その微粒子に
よって画像の形成がなされるため、発色性や色の均一性
に優れた画像が得られる。
【0200】尚、本発明に使用する記録装置において、
上記ではインク及び液体組成物に熱エネルギーを作用さ
せてインク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例
に挙げたが、その他、圧電素子を使用するピエゾ方式の
インクジェット記録装置でも同様に利用できる。
【0201】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、部及び%とあるのは特
に断りのない限り質量基準である。先ず、本発明で使用
する液体組成物の作製について説明する。その際に使用
する微粒子を下記のようにして作製した。
【0202】(アルミナ水和物の作製)米国特許明細書
第4,242,271号に記載の方法でアルミニウムド
デキシドを製造した。次に、米国特許明細書第4,20
2,870号に記載された方法で、前記アルミニウムド
デキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造した。
このアルミナスラリーをアルミナ水和物の固形分が8.
2%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのpHは
9.7であった。3.9%の硝酸溶液を加えてpHを
5.3に調整し、オートクレーブにて120℃で8時間
熟成させてコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾル
を用い、硝酸でpHを4.0に調整し、固形分濃度20
%に濃縮してアルミナ水和物スラリーを作製した。これ
らのスラリー中のアルミナ水和物は水中で表面がプラス
に帯電し、カチオン性を示す。また、これらのアルミナ
水和物スラリーをイオン交換水に希釈し分散させてコロ
ジオン膜上に滴下して測定用試料を作製し、透過型電子
顕微鏡で観察したところ全て平板形状の微粒子であっ
た。
【0203】上記で得られたアルミナ水和物スラリーを
含む以下に示す各成分を混合溶解した後、ポアサイズが
1μmのメンブレンフィルター(商品名、フロロポアフ
ィルター、住友電工(株)製)にて加圧濾過し、本発明
で使用する液体組成物A〜Dを得た。
【0204】<液体組成物Aの組成> ・1.5−ペンタンジオール 10.0部 ・エチレングリコール 7.5部 ・アルミナ水和物スラリー 50.0部 ・10%PVA水溶液(GL−03、日本合成化学 工業) 30.0部 ・水 2.5部 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
(株)製)にて3,000rpmで30分間混合した
後、遠心分離処理(4,000rpm、15分間)を行
い、粗大粒子を除去して液体組成物Aとした。
【0205】 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
(株)製)にて3,000rpmで30分間混合した
後、遠心分離処理(4,000rpm、15分間)を行
い、粗大粒子を除去して液体組成物Bとした。
【0206】<液体組成物Cの組成> ・グリセリン 7.5部 ・プロピレングリコール 7.5部 ・アルミナ水和物スラリー 50.0部 ・オキシ硝酸ジルコニウム 2.0部 ・水 33.0部 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
(株)製)にて3,000rpmで30分間混合した
後、遠心分離処理(4,000rpm、15分間)を行
い、粗大粒子を除去して液体組成物Cとした。
【0207】<液体組成物Dの組成> ・2−ピロリドン 7.5部 ・エチレン尿素 7.5部 ・アルミナ水和物スラリー 50.0部 ・硼酸 2.5部 ・水 32.5部 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
(株)製)にて3000rpmで30分間混合した後、
遠心分離処理(4000rpm、15分間)を行い、粗
大粒子を除去して液体組成物Dとした。
【0208】上記で得られた液体組成物A〜Dについ
て、表1に、下記の方法で測定した物性値と、下記の評
価方法及び評価基準で評価した結果を示した。 (1)微粒子の平均粒子径 微粒子の固形分濃度が0.1%となるように、各液体組
成物A〜Dをイオン交換水で希釈した後、超音波洗浄機
にて5分間分散させて、電気泳動光散乱光度計(大塚電
子(株)社製、ELS−8000、液温25℃、石英セ
ル使用)を用いて散乱強度を測定した。平均粒子径は、
付属のソフトウェアを用い、上記で得られた散乱強度か
らキュムラント解析法によって求めた。
【0209】(2)pH 各液体組成物に対し、液温25℃でpHメーター計(堀
場製作所(株)製、カスタニーpHメーターD−14)
を用いて測定した。
【0210】(3)ゼータ電位 微粒子の固形分濃度が0.1%になるように各液体組成
物A〜Dをイオン交換水で分散させた後に、ゼータ電位
測定機(ブルックヘブン社製、BI−ZETAplu
s、液温20℃、アクリルセル使用)で測定した。
【0211】(4)タンク保存性 各液体組成物A〜Dをインクタンクに詰めた後、60℃
の恒温槽に1ヶ月間静置保存して、タンク内の液体組成
物の液物性の変化、及び記録ヘッドからの吐出性を、下
記の基準で評価した。 ○:タンク内でチクソ性が発現せず、吐出安定性も良
好。 ×:タンク内でチクソ性が発現し、吐出性も不安定。
【0212】(5)細孔半径及び細孔容積 下記手順に従って前処理した後、試料をセルに入れ、1
20℃で8時間真空脱気してカンタクローム社製のオム
ニソーブ1を用いて窒素吸着脱離法により測定した。細
孔半径及び細孔容積はBarrettらの方法(J.Am.C
hem.Soc.,Vol73,373,1951)により計算から求めた。 (1)上記液体組成物を大気雰囲気下120℃で10時
間乾燥してほぼ溶媒分を蒸発させて乾燥する。 (2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で
昇温させた後700℃で3時間焼成する。 (3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し焼成物を
メノウ乳鉢で摺り潰して粉体化する。
【0213】
【0214】次に、本発明の実施例及び比較例で使用す
るインクサブセット1及び2の作製について説明する。 <インクサブセット1の作製>下記に示す各成分を混合
し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズが0.45μmの
フロロポアフィルター(商品名、住友電工(株)製)に
て加圧濾過し、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシア
ンの各染料インク、Bk1、Y1、M1及びC1を得、
これらの染料インクからなる組み合わせをインクサブセ
ット1とした。
【0215】[ブラックインクBk1] ・C.I.ダイレクトブラック195 2.5部 ・2−ピロリドン 10部 ・グリセリン 5部 ・イソプロピルアルコール 4部 ・硼砂 1.2部 ・水 77.3部
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】<インクサブセット2の作製>下記に示す
各成分によって顔料分散液を調製し、これを用いてブラ
ックインクBk2を作製した。更に、同様の顔料分散液
を用いてイエロー、マゼンタ及びシアンの各顔料イン
ク、Y2、M2及びC2を得、これらの顔料インクから
なる組み合わせをインクサブセット2とした。
【0220】[ブラックインクBk2] (顔料分散液の作製) ・スチレン-アクリル酸-アクリル酸エチル共重合体 (酸価140、質量平均分子量5000)1.5部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・ジエチレングリコール 5.0部 ・イオン交換水 81.5部
【0221】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新
たに試作されたカーボンブラック(MCF88、三菱化
成製)10質量部、イソプロピルアルコール1質量部を
加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件
で分散処理を行った。 ・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積比) ・粉砕時間:3時間 更に、遠心分離処理(12,000rpm.、20分
間)を行い、粗大粒子を除去して顔料分散液とした。
【0222】(ブラックインクBk2の作製)上記の顔
料分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合
し、顔料を含有するインクを作製し、これをブラックイ
ンクBk2とした。
【0223】[イエローインクY2]ブラックインクB
k2の調製の際に使用したカーボンブラック(MCF8
8、三菱化成製)10質量部を、ピグメントイエロー7
4に代えたこと以外はブラックインクBk2の調製の場
合と同様にして、顔料含有イエローインクY2を調製し
た。
【0224】[マゼンタインクM2]ブラックインクB
k2の調製の際に使用したカーボンブラック(MCF8
8、三菱化成製)10質量部を、ピグメントレッド7に
代えたこと以外はブラックインクBk2の調製の場合と
同様にして、顔料含有マゼンタインクM2を調製した。
【0225】[シアンインクC2]ブラックインクBk
2の調製の際に使用したカーボンブラック(MCF8
8、三菱化成製)10質量部を、ピグメントブルー15
に代えたこと以外はブラックインクBk2の調製の場合
と同様にして、顔料含有シアンインクC2を調製した。
【0226】(実施例1〜実施例4)上記のようにして
得られた液体組成物A〜Dと、インクサブセット1(B
k1、Y1、M1及びC1)、及びインクサブセット2
(Bk2、Y2、M2及びC2)の各色インクとを下記
の表2の組み合わせとし、実施例1〜4のインクセット
を得た。
【0227】
【0228】上記の液体組成物A〜Dとインクサブセッ
ト1及び2を組み合わせた実施例1〜4インクセットを
用いて、PPC用紙(キヤノン製)に記録を行った。そ
の際に使用したインクジェト記録装置としては、図1に
示したのと同様の記録装置を用い、図3に示した記録ヘ
ッドを5つ用いてカラー画像を形成した。この際、液体
組成物を先打ちして先ず記録紙上に付着させ、その後、
インクを付着させた。そして、得られた画像について評
価した。
【0229】具体的には、評価項目(1)〜(5)まで
は印字領域を3回の走査で印字する3パスファイン印字
を行い、評価項目(6)では2パス印字を行った。この
とき、液体組成物は各パス毎にイエロー、マゼンタ、シ
アン及びブラックのいずれかのインクが印字される画素
位置に印字を行った。即ち、各パス毎のイエロー、マゼ
ンタ、シアン及びブラックの印字データの論理和を液体
組成物の印字データとして用いた。尚、該ファイン印字
時のファインマスクの種類には、特に制限はなく、公知
の技術が利用可能であるので、ここでの詳細な説明は省
略する。
【0230】ここで用いた記録ヘッドは、600dpi
の記録密度を有し、駆動条件としては、駆動周波数9.
6kHzとした。600dpiのヘッドを使用したとき
の1ドット当たりの吐出量はイエロー、マゼンタ、シア
ンインク及び液体組成物については夫々15ng、ブラ
ックインクについては1ドット当たり30ngのヘッド
を使用した。尚、これらの記録条件は、実施例及び比較
例を通じて同一である。
【0231】(比較例1〜比較例2)インクサブセット
1及び2のみを用いて、下記の表3のようにして印字を
行った。
【0232】上記インクサブセット1及びインクサブセ
ット2のみを用いて記録(比較例1及び2)において用
いた記録ヘッドは、600dpiの記録密度を有し、駆
動条件としては、駆動周波数9.6kHzとした。60
0dpiのヘッドを使用したときの1ドット当たりの吐
出量は、イエロー、マゼンタ及びシアンインクについて
は夫々約15ng、ブラックインクについては1ドット
当たり約30ngのヘッドを使用し、実施例1〜4の場
合と同条件で記録を行った。
【0233】[評価方法及び評価基準]上記の実施例1
〜実施例4及び比較例1、2で得られた夫々の記録画像
について、下記の評価方法及び評価基準で評価を行っ
た。その結果を表4に示した。
【0234】(記録画像の評価方法) (1)発色性 高精細XYZ・CIELAB・RGB標準画像(SHI
PP)(監修:高精細標準画像作成委員会、発行:画像
電子学会)のRGBカラーチャートをプリンタを用いて
印字し、それらのカラーチャートを測色した。発色性の
評価は同技術解説書に記載されている方法で色彩分布の
3次元的な広がり(以下、文中では色域体積と呼ぶ)の
計算を行い、比較した。その際、印字画像を形成する際
の画像処理は同一条件とし、測色は、印字後24時間経
過後、GRETAGスペクトロリノで光源:D50、視
野:2°の条件で測定した。その評価基準を以下に示し
た。インクサブセットのみの印字画像(比較例1及び
2)に対しての色域体積の比を、評価基準とした。
【0235】AAA:色域体積比が1.7倍以上 AA :色域体積比が1.5〜1.7倍未満 A :色域体積比が1.4〜1.5倍未満 BB :色域体積比が1.2〜1.4倍未満 B :色域体積比が1.0〜1.2倍未満 C :色域体積比が1.0倍未満
【0236】尚、これとは別に、インクジェット用コー
ト紙(商品名:カラーBJ用紙LC−101、キヤノン
(株)製)を用いてインクサブセット1で印字して画像
を形成し、上記の比較例1の印字物との色域体積の比を
求めたところ1.3倍であった。
【0237】(2)均一性 前記したプリンタを用いて、二次色のレッド、ブルー及
びグリーンのベタ画像を印字した後、目視にて、白モヤ
と色ムラに関して色の均一性を評価した。特に均一性の
悪い色を評価対象とした。評価基準は、以下の通りであ
る。 A:白モヤや色ムラは殆ど発生しない。 B:若干紙の繊維に沿って白モヤや色ムラが見えるが、
実質上問題のないレベルである。 C:紙の繊維に沿って著しく白モヤや色ムラが見える。
【0238】(3)スジムラ 前記したプリンタを用いて、二次色のレッド、ブルー及
びグリーンのベタ画像を印字した後、目視にて、スジム
ラを評価した。特にスジムラの悪い色を評価対象とし
た。評価基準は以下の通りである。 A:スジムラは殆ど発生しない。 B:若干ヘッドスキャン毎のスジムラが見えるが、実質
上問題のないレベルである。 C:著しくヘッドスキャン毎の白いスジムラが見える。
【0239】(4)耐擦過性 前記したプリンタを用いて、イエロー、マゼンタ、シア
ン及びブラック各色のインクのベタ画像を印字した。印
字して16時間後、印字部の上にシルボン紙を重ね、更
にその上に3.5cm×3.5cmの分銅を載せ、40
g/cm3の圧力をかけながら15cm/secの速度
でシルボン紙を3回引張って印字部の耐擦過性を評価し
た。評価基準は以下の通りである。 AA:シルボン紙へのインク付着、印字部の色落ちとも
に全く発生しない。 A:インク付着、インク落ちは殆ど発生しない。 B:若干インクがシルボン紙に付着するが、印字部の色
落ちは目立つレベルではない。 C:インクがシルボン紙に多く付着し、明確に印字部の
色落ちが生じる。
【0240】(5)耐水性 前記したプリンタを用いて、イエロー、マゼンタ、シア
ン、及びブラック各色のインクのベタ画像を印字し、2
4時間放置する。マクベス濃度計によって各色ベタ画像
の濃度を測定した後、静水に浸す。5分後に静水から取
り出し、24時間放置する。マクベス濃度計によって、
静水浸漬後の各色ベタ画像の濃度を測定する。評価基準
は以下の通りである。 A:静水浸漬後の濃度が静水浸漬前の濃度の90%以上
(濃度残存率≧90%) B:静水浸漬後の濃度が静水浸漬前の濃度の80%以上
90%未満(90%>濃度残存率≧80%) C:静水浸漬後の濃度が静水浸漬前の濃度の80%未満
(80%>濃度残存率)
【0241】(6)ブリード 前記プリンタを用いて、シアンとブラックのベタ画像を
隣接して印字した後、色間境界部のブリードを目視で評
価した。評価基準は、以下の通りである。 AA:ブリーディングを視認できない。 A :ブリーディングは殆ど目立たない。 B :ブリーディングはしているが、実質上問題のない
レベルである。 C :色の境界線がハッキリしないほどブリーディング
している。
【0242】
【0243】(実施例5〜11)使用する被記録媒体の
種類による画像品質への影響を調べるため、上記で作成
した液体組成物Aとインクサブセット1とを用いて、下
記1)〜7)の商品名で広く流通している7種類の「普
通紙」を用い、これらの普通紙上で、インクサブセット
1を構成する4色のインク各々と、該液体組成物Aとを
上記実施例と同様に印字して実施例5〜11の記録画像
を形成した。この画像を、上記した評価基準に基づき評
価した。得られた結果を下記表5に示した。
【0244】被記録媒体 1)キヤノン社製:PB用紙 2)キヤノン社製:Brilliant White
paper 3)Union Camp社製:Great Whit
e Inkjet 4)ハンマーミル(Hammermill)社製:Jet Pri
nt 5)ゼロックス(Xerox)社製:Xerox 40
24 6)ヒューレットパッカード(Hewlett Packard)社
製:Bright White Inkjet Pap
er 7)Aussdat Ray社製:Ray Jet
【0245】
【0246】以上の結果、実施例5〜11の着色部の形
成方法においては、表5に示されているように、被記録
材の種類によらず、発色性、均一性、スジムラ、耐擦過
性及び耐水性、ブリードのいずれにおいても満足できる
画像が得られることが確認できた。
【0247】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特に、普通紙の風合いを残しながらインクジェット用コ
ート紙並みの優れた発色性と色の均一性が得ることがで
き、ベタ画像部のスジムラが少なく、印字部の耐擦過
性、耐水性に優れたインクジェット記録画像が得られ、
且つ保存性や吐出安定性等の信頼性にも優れるインクセ
ット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジ
ェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリンタを模
式的に示す一部破断斜視図。
【図2】図1中のヘッドカートリッジの模式的斜視図。
【図3】図1中のヘッドカートリッジのインク吐出部の
構造を模式的に示す部分斜視図。
【図4】図1のインクジェットプリンタのワイピング動
作を示す模式図であり、(A)は各ヘッドのプリント領
域側からホームポジションへの移動とインク用ブレード
の上昇、(B)はプリントヘッドのワイピング、(C)
は液体組成物吐出ヘッドのワイピング、(D)は各ブレ
ードの下降をそれぞれ示す。
【図5】図1のインクジェットプリンタのワイピング動
作を示す模式図であり、(A)は各ブレードの上昇、
(B)は各ヘッドのホームポジションからプリント領域
側への移動、(C)は液体組成物用ブレードの下降、
(D)はプリントヘッドのワイピングとインク用ブレー
ドの下降をそれぞれ示す。
【図6】図1のインクジェットプリンタのワイピング動
作を示す模式図であり、(A)はインク用ブレードの上
昇、(B)は各ヘッドのホームポジション側からプリン
ト領域側への移動とプリントヘッドのワイピング、
(C)は各ヘッドのプリント領域側からホームポジショ
ン側への移動とインク用ブレードの待機と液体組成物用
ブレードの上昇、(D)各ヘッドのホームポジション側
への移動と液体組成物吐出ヘッドのワイピングをそれぞ
れ示す。
【図7】図1のインクジェットプリンタの廃液回収系統
を示す模式図。
【図8】図7の廃液回収系統の一部変更例を示す模式
図。
【図9】コート紙にインクジェット記録を行なったとき
の着色部の状態を説明する模式的断面図。
【図10】本発明にかかるインクカートリッジの一実施
態様を示す概略図。
【図11】図10のインクカートリッジを装着した記録
ヘッドの概略図。
【図12】本発明にかかる記録ユニットの一実施態様を
示す概略図。
【図13】本発明にかかるインクジェット画像の着色部
の状態を説明する模式的断面図。
【図14】本発明にかかるインクジェット記録画像の着
色部の形成工程を示す概略工程図。
【図15】記録ユニットの斜視図。
【図16】本発明にかかるインクジェットプリンタの一
つの実施態様を模式的に示す一部破断斜視図である。
【図17】図16のインクジェットプリンタのワイピン
グ動作を示す模式図であり、(A)はインク用ブレード
の上昇、(B)はプリントヘッドのワイピング、(C)
はインク用ブレードの下降、(D)は液体組成物が適正
位置についた後の両ブレードの上昇、(E)は液体組成
物と第2のブラックインク用ヘッドのワイピング、
(F)は両ブレードの下降をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1:プリント用ヘッドカートリッジ 2:液体組成物用ヘッドカートリッジ 3:キャリッジ 4:ガイド軸(走査レール) 5:駆動ベルト 6、7:搬送ローラ 8、9:搬送ローラ 10:被記録媒体 11:回復ユニット 12:キャップ(インク用) 13:キャップ(液体組成物用) 14:吸引ポンプ(インク用) 15:吸引ポンプ(液体組成物用) 16:ブレード(インク用) 17:ブレード(液体組成物用) 18:ブレードホルダー(ブレード16用) 19:ブレードホルダー(ブレード17用) 21:液貯留タンク部 22:(インク)吐出部 22A:(液体組成物)吐出部 23:ヘッド側コネクタ 24:廃液タンク 25:吸収体 25A:インク吸収体 25B:液体組成物吸収体 26:廃インク導管 27:廃液導管 81:吐出口形成面 82:吐出口 83:共通液室 84:液路 85:電気熱変換体(発熱抵抗体等) 901:基紙 903:インク受容層 905:多孔質微粒子 907:接着剤 909:インク浸透部 1001:カートリッジ 1003:インク収容部 1005:液体組成物収容部 1101:記録ヘッド 1201:記録ユニット 1201Y:イエローインク収容部 1201M:マゼンタインク収容部 1201C:シアンインク収容部 1201L:液体組成物収容部 1201Bk:ブラックインク収容部 1203:記録ヘッド 1301:被記録媒体 1302:被記録媒体の繊維間の空隙 1303:微粒子 1305:色材 1307:(色材を保持する)微粒子の凝集物 1309:(被記録媒体の繊維付近の)微粒子の凝集物 I:着色部 IM:主画像部 IS:周辺部 1400:着色部 1401:反応部 1402:インク流出部 1403:被記録媒体 1404:色材 1405:被記録媒体の繊維間の空隙 1406:液体組成物 1407:液溜り 1409:微粒子 1411:微粒子同士の集まり 1413:インク 1415:色材が付着した微粒子の凝集物 1500:記録ユニット 1501:ヘッド部 1502:大気連通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉林 豊 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 FC01 2H086 BA02 BA04 BA05 BA51 BA53 BA55 BA56 BA59 BA60 4J039 AB01 AB02 AB07 AC01 AC02 AD02 AD03 AD06 AD09 AD10 AD12 AD14 AD17 AD20 AD22 AE01 AE03 AE04 AE07 AE09 AE13 BA04 BA13 BA14 BA15 BA16 BA19 BA21 BA30 BA31 BA32 BA33 BA34 BA35 BA36 BA37 BA38 BA39 BC07 BC09 BC10 BC11 BC13 BC14 BC15 BC16 BC18 BC19 BC27 BC28 BC33 BC35 BC36 BC40 BC50 BC51 BC54 BD03 BE01 BE02 BE12 BE25 BE28 BE30 BE33 CA03 EA03 EA29 EA36 EA38 EA42 EA44 EA46 EA47 GA24

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材を含む少なくとも1つ以上のインク
    と、該色材と反応性を有する微粒子を含む液体組成物と
    をそれぞれ独立に備えているインクセットであって、該
    液体組成物が、水溶性ポリマー及びこれを架橋する架橋
    剤のいずれか一方を含み、且つ、上記インクが、水溶性
    ポリマー及びこれを架橋する架橋剤の他方を含んでいる
    ことを特徴とするインクセット。
  2. 【請求項2】 インクが、アニオン性若しくはカチオン
    性の水性インクであり、且つ液体組成物が、該水性イン
    クに対して逆極性に表面が帯電している微粒子を分散状
    態で含む水性の液体組成物である請求項1に記載のイン
    クセット。
  3. 【請求項3】 被記録媒体上に着色部を形成する際に用
    いられ、液体組成物中の微粒子が、インク中の色材の凝
    集を防ぎつつ該微粒子表面に色材が吸着されるように構
    成されている請求項1に記載のインクセット。
  4. 【請求項4】 被記録媒体上に着色部を形成する際に用
    いられ、液体組成物中の微粒子が、該微粒子表面にイン
    ク中の色材が単分子状態で吸着されるように構成されて
    いる請求項1に記載のインクセット。
  5. 【請求項5】 水溶性ポリマーのイオン性が、ノニオン
    性若しくは両性である請求項1に記載のインクセット。
  6. 【請求項6】 水性インクが、イエローインク、マゼン
    タインク、シアンインク、ブラックインク、レッドイン
    ク、ブルーインク及びグリーンインクからなる群から選
    ばれる少なくとも1つである請求項1に記載のインクセ
    ット。
  7. 【請求項7】 水性インクが、イエローインク、マゼン
    タインク及びシアンインクを各々別個の状態で含んでい
    る請求項1に記載のインクセット。
  8. 【請求項8】 水性インクが、イエローインク、マゼン
    タインク、シアンインク及びブラックインクを各々別個
    の状態で含んでいる請求項1に記載のインクセット。
  9. 【請求項9】 水性インクがアニオン性であり、且つ、
    液体組成物のゼータ電位が+5〜+90mVの範囲内に
    ある請求項1〜8の何れか1項に記載のインクセット。
  10. 【請求項10】 水性インクがアニオン性であり、且
    つ、液体組成物が酸を含み、該液体組成物のpHが2〜
    7の範囲に調整されている請求項1〜8の何れか1項に
    記載のインクセット。
  11. 【請求項11】 液体組成物中に含まれる酸が、水中で
    の一次解離定数pKaが5以下のものである請求項10
    に記載のインクセット。
  12. 【請求項12】 水性インクがカチオン性であり、且
    つ、液体組成物のゼータ電位が−5〜−90mVの範囲
    内にある請求項1〜8の何れか1項に記載のインクセッ
    ト。
  13. 【請求項13】 水性インクがカチオン性であり、且
    つ、液体組成物が塩基を含み、該液体組成物のpHが7
    〜12の範囲に調整されている請求項1〜8の何れか1
    項に記載のインクセット。
  14. 【請求項14】 液体組成物中に含まれる塩基が、水中
    での一次解離定数pKbが5以下のものである請求項1
    3に記載のインクセット。
  15. 【請求項15】 液体組成物中に分散されている微粒子
    の平均粒子直径が0.005〜1μmの範囲にある請求
    項1〜14の何れか1項に記載のインクセット。
  16. 【請求項16】 水性インクがアニオン性であり、且
    つ、該水性インクにアニオン性化合物が含有されている
    請求項1〜11及び請求項15の何れか1項に記載のイ
    ンクセット。
  17. 【請求項17】 アニオン性化合物が、アニオン性基を
    有する水溶性染料を含む請求項16に記載のインクセッ
    ト。
  18. 【請求項18】 アニオン性化合物が、表面にアニオン
    性基を有する顔料を含む請求項16に記載のインクセッ
    ト。
  19. 【請求項19】 水性インクが、顔料と、該顔料の分散
    剤であるアニオン性化合物とを含む請求項16に記載の
    インクセット。
  20. 【請求項20】 水性インクがカチオン性であり、且
    つ、該水性インクにカチオン性化合物が含有されている
    請求項1〜8及び請求項12〜15の何れか1項に記載
    のインクセット。
  21. 【請求項21】 請求項1に記載のインクセットを用い
    る被記録媒体に着色部を形成する方法であって、色材を
    含むインクを被記録媒体に付与する過程(i)と液体組
    成物を被記録媒体に付与する過程(ii)とを有し、且
    つ、上記被記録媒体の表面において、インクと液体組成
    物とを互いに液体状態で接するようにして付与させるこ
    とを特徴とする被記録媒体に着色部を形成する方法。
  22. 【請求項22】 インクがアニオン性若しくはカチオン
    性の水性インクであり、且つ液体組成物が、該インクと
    は逆の極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含
    まれている水性の液体組成物である請求項21に記載の
    被記録媒体に着色部を形成する方法。
  23. 【請求項23】 少なくとも過程(ii)が行われた後
    に、過程(i)が行なわれる請求項21に記載の被記録
    媒体への着色部の形成方法。
  24. 【請求項24】 少なくとも過程(i)が行われた後
    に、過程(ii)が行われる請求項21に記載の被記録媒
    体への着色部の形成方法。
  25. 【請求項25】 過程(i)が行われた後に、過程(i
    i)が行われ、その後に再び過程(i)が行われるよう
    に構成する請求項21に記載の被記録媒体への着色部の
    形成方法。
  26. 【請求項26】 過程(i)における水性インクの被記
    録媒体への付与を、該水性インクを記録信号に応じてオ
    リフィスから吐出させる方式のインクジェット記録方法
    によって行なう請求項21〜25の何れか1項に記載の
    被記録媒体への着色部の形成方法。
  27. 【請求項27】 インクジェット記録方法が、インクに
    熱エネルギーを作用させることによってインクをオリフ
    ィスから吐出させる方法である請求項26に記載の被記
    録媒体への着色部の形成方法。
  28. 【請求項28】 過程(ii)における液体組成物の被記
    録媒体への付与を、該液体組成物を記録信号に応じてオ
    リフィスから吐出させる方式のインクジェット記録方法
    によって行なう請求項21〜27の何れか1項に記載の
    被記録媒体への着色部の形成方法。
  29. 【請求項29】 インクジェット記録方法が、液体組成
    物に熱エネルギーを作用させて液体組成物をオリフィス
    から吐出させる方法である請求項28に記載の被記録媒
    体への着色部の形成方法。
  30. 【請求項30】 請求項1に記載のインクセットを用い
    るインクジェット記録装置であって、色材を含むインク
    を収容したインク収容部と、該インクを吐出させるため
    のインクジェットヘッドを備えた第1の記録ユニット
    と、液体組成物を収容した液体組成物収容部と、該液体
    組成物を吐出させるためのインクジェットヘッドとを備
    えた第2の記録ユニットとを備えていることを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  31. 【請求項31】 請求項1に記載のインクセットを用い
    るインクジェット記録装置であって、色材を含むインク
    を収容したインク収容部と、液体組成物を収容した液体
    組成物収容部と、上記インク収容部に収容されているイ
    ンクと上記液体組成物収容部に収容されている液体組成
    物とを各々独立に吐出させるためのインクジェットヘッ
    ドとを備えていることを特徴とするインクジェット記録
    装置。
  32. 【請求項32】 インクジェットヘッドが、熱エネルギ
    ーを作用させて液体を吐出させるサーマルインクジェッ
    トヘッドである請求項30又は31に記載のインクジェ
    ット記録装置。
  33. 【請求項33】 色材を含む少なくとも1つ以上のイン
    クと、該インクと共に被記録媒体に付与されて該被記録
    媒体上に着色部を形成するのに用いられる微粒子を含む
    液体組成物とからなるインクセットであって、該液体組
    成物が、水溶性ポリマー及びこれを架橋する架橋剤のい
    ずれか一方を含み、且つ、上記インクが、水溶性ポリマ
    ー及びこれを架橋する架橋剤の他方を含み、上記着色部
    の形成が、上記液体組成物と上記インクとが液体の状態
    で接触し、液体組成物中の微粒子表面にインク中の色材
    がインク中で有している分子状態と実質的に同等の分子
    状態を保持しつつ吸着若しくは結合してなされることを
    特徴とするインクセット。
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