JP3859260B2 - 水性着色樹脂分散体、水性インク及びインクジェット用記録液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水性着色樹脂分散体に関する。更に詳しくは、インクジェットプリンター用インク、印刷機用水性インク、筆記具用水性インク、水性塗料、化粧品等に用いられる水性着色樹脂分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機溶剤中に油溶性染料を溶解した溶剤系インクは溶剤を使用するため環境、安全面で問題であり、近年水溶性インクが多く使用されるようになった。
一方、水溶性染料を用いた水溶性インクは溶媒が水で、また色相の鮮明さや色数の豊富さといった使い易さがある反面、耐水性、滲み、耐光性等が劣る問題がある。
【0003】
顔料を水性媒体に分散させた水性インクは、耐水性、耐光性は良好であるが色数が少なく、色調の鮮明さや透明性に劣り、長期的な保存性も十分でないという問題がある。
これらの欠点を改善すべく着色樹脂微粒子を用いた水性インクの開発が近年多く報告されている。(例えば、特開昭61−19651号及び特公平4−54685号公報参照)その中にあって乳化重合による着色樹脂微粒子は粒子径が1μm以下と細かくインク等への利用価値が極めて高いものとの評価を得ている。
【0004】
しかしながら、水性媒体内に乳化重合時に使用される乳化剤や分散剤が多量に残留するため水性インク自体の浸透性が大きく滲みや表面濃度の低下といった問題点がある。更に、この乳化剤による分散劣化により長期的な保存安定性が劣るため、いまだ実用化されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、滲みや耐水性その他表面濃度の低下といった点の改善された長期保存安定性に優れた水性着色樹脂分散体を提供することを目的とするものである。また、本発明は、水性塗料、化粧品、筆記用インキ、印刷用インキ等に有用であり、特にインクジェット用記録液に有用な経時安定性に優れた高濃度水性インクを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は重合性不飽和単量体を、該重合性不飽和単量体に親和性のある着色剤を溶解または分散させた後、水性媒体中にてアニオン性及び/又はノニオン性反応性乳化剤を用いて乳化重合させて得られた着色樹脂微粒子を含有することを特徴とする水性着色樹脂分散体及びその水性着色樹脂分散体からなる水性インク、更にその水性着色樹脂分散体からなるインクジェット用記録液を要旨とするものである。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明者らは種々検討した結果、先ず、着色樹脂微粒子の表面にアニオン性及び/又はノニオン性の反応性乳化剤(以下反応性乳化剤という)が固定化され、それによって親水性基が緻密に粒子表面を一様に覆っている粒子が水性媒体中で最も安定であり、インク化した時の分散安定性や長期保存安定性が特に優れると考え、その考えを基に発明を完成させたものである。
【0008】
この水性着色樹脂分散体の特徴は、着色樹脂微粒子と反応性乳化剤が一体として固定されており、固定化されたスルホン酸基やカルボン酸基、アルキレンオキシ基等の親水性基が緻密に粒子表面を一様に覆っているために、この粒子自体が極めて安定した分散性を備えていることである。
【0009】
従って、この着色樹脂微粒子の水性分散体は、これをインク化した時、長期間の保存安定性に特に優れる。また、通常の乳化剤を用いる乳化重合では水性媒体中に乳化剤が多量に残留するため、これをインク化した時この乳化剤の影響で浸透性が大きくなり、滲みや表面濃度の低下が問題であった。しかしこの反応性乳化剤を用いる本発明の着色樹脂微粒子を用いた場合、水性媒体中に乳化剤がほとんど残留しないため、滲みが少なく表面濃度の高いインクが得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この着色樹脂微粒子は、重合性不飽和単量体に着色剤を溶解または分散させた後反応性乳化剤を用いて乳化重合を行って得られる。反応性乳化剤を用いて乳化重合した乳化重合体の粒子は平均粒径を0.01〜10μm、好ましくは0.01〜1μmに調節する点以外は、それ自体公知の任意の方法で製造できる。反応性乳化剤を用いた乳化重合法は重合性不飽和単量体を水性媒体中にサブミクロン粒子に乳化分散させラジカル重合開始剤の存在下で乳化重合させ得られる。
【0011】
上記乳化重合の重合性不飽和単量体としてはビニル芳香族炭化水素、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、アルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−置換マレイミド、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、メチルビニルケトン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。好ましくは、油溶性の特にビニル芳香族炭化水素や(メタ)アクリル酸エステル類が望ましい。ビニル芳香族単量体は、式(1)
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、R1 は水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子であり、R2 は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、或いはビニル基である。)
で示すことができる。
【0014】
このビニル芳香族炭化水素の具体例としては例えばスチレン、α−メチルスチレン、o,m,p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼン等の単独または2種以上の組み合わせを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
また(メタ)アクリル酸エステル単量体は式(2)
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、R3 は水素原子又は低級アルキル基、R4 は水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基或いはビニルエステル基等である。)
で示すことができる。
【0017】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル酸プロピル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、又はテトラエチレングリコールジメタクリル酸エステル、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
これらの重合性不飽和単量体は1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。勿論、生成着色樹脂微粒子の性質を用途に応じて改善を行うため少量の水溶性単量体を加えて重合させてもよい。
水溶性単量体としては、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有するものが挙げられ、これらの酸基は、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、等の形でも遊離酸の形でもよくその適当な例は、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシメチルメタクリロイルホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリロイルホスフェート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリロイルホスフェート、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、テトラヒドロテレフタル酸、イタコン酸、マレイン酸等である。
【0019】
反応性乳化剤
本発明で用いるアニオン性及び/又はノニオン性反応性乳化剤としては、例えばラジカル重合可能なα,β−エチレン性不飽和基及び界面活性能を有する限り、いかなる反応性乳化剤でもよい。反応性乳化剤は通常、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などのα,β−エチレン性不飽和基と、スルホン酸基またはその塩などのイオン解離可能な基やアルキレンオキシ基などの親水基を有している乳化剤である。反応性乳化剤には、例えば、下記一般式(3)〜(6)で表される化合物が含まれる。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、R5 は置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、炭素数4〜18の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数4〜18のアルケニル基又はベンジル基などのアラルキル基)、R6 は水素原子またはメチル基を示し、Mは有機塩基または無機塩基(例えば、アルカリ金属、アンモニウム基、アミン残基またはアルカノールアミン残基)を示す。)
【0023】
【化5】
【0024】
(Ra ,Rb 及びRc は各々水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基)を示し、R7 は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、炭素数4〜18の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数4〜18のアルケニル基又はベンジル基などのアラルキル基)を示し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは2〜20の整数、Mは有機塩基または無機塩基(例えば、アルカリ金属、アンモニウム基、アミン残基またはアルカノールアミン残基)を示す。)
【0025】
【化6】
【0026】
(式中、R6 は式(3),(4)におけるのと同様の意義を示し、R8 は置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、炭素数8〜24のアルキル基、炭素数8〜24のアルケニル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基)またはアシル基を示し、Xは水素原子、ノニオン性またはアニオン性親水基を示し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは0〜100の整数である。)
【0027】
反応性乳化剤の添加量
反応性乳化剤の量は重合安定性、粗大粒子の発生防止、エマルジョンの機械的、化学的および被膜の耐水性などを損なわない範囲で選択でき、例えば重合性不飽和単量体100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜7.5重量部、さらに好ましくは1〜7重量部、最も好ましくは2〜7重量部程度である。重合性不飽和単量体100重量部に対する反応性乳化剤の量が、0.1重量部未満であると重合安定性、機械的または化学的安定性が損なわれる場合があり、10重量部を越えると被膜の耐水性や基材に対する密着性が低下する場合がある。
【0028】
なお、乳化重合に際して長期保存安定性や滲みなどが損われない範囲であれば、必要に応じて、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの界面活性剤、ポリビニルアルコールや水溶性ポリマーなどの保護コロイドを併用してもよい。
【0029】
重合方法
重合方法は、慣用の乳化重合法に準じて行うことができ、例えば脱イオン水、反応性乳化剤、重合開始剤、着色剤を含む重合性不飽和単量体を一括して仕込んで重合する方法、前記仕込み薬品を前もって乳化した後連続的にまたは間欠的に供給する方法、重合性不飽和単量体及び他の薬品を別々に連続的または間欠的に供給する方法、反応性乳化剤および重合開始剤のうち少なくとも1つの成分をそれぞれ連続的にまたは間欠的に供給しながら重合する方法などが挙げられる。
【0030】
また、連続的に供給する場合には、前記重合性不飽和単量体を予め乳化して重合するプレエマルジョンまたは前記の方法を組合わせた方法などが採用でき、乳化重合においては、多段重合法、シード重合法などの慣用の方法も採用できる。これらの方法において、着色剤は、通常は重合性不飽和単量体に溶解又は分散させて存在させる。重合反応温度は、重合開始剤の種類に応じて選択でき、通常、40〜100℃、好ましくは、50〜90℃、さらに好ましくは、50〜85℃程度で行うことができ、反応時間は、通常、1〜12時間(例えば3〜10時間)程度である。
【0031】
中和剤
酸性モノマーを用いる場合、乳化重合の開始から終了に至る適当な段階または重合終了後に、塩基性物質を加えて、pHを調整すると、エマルジョンの重合安定性、凍結安定性、機械的安定性、化学的安定性などを向上させることができる。エマルジョンのpHは5以上、好ましくは6〜9、さらに好ましくは7〜9程度の中性又はアニオン性(アルカリ性)である場合が多い。塩基性物質としては、有機塩基(例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、モルホリンなど)及び無機塩基(例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)が使用できる。
【0032】
粒子径及び粒子形状
着色樹脂微粒子の粒子径は、分散安定性、吐出安定性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは1μm以下であることが望ましい。
さらに、着色樹脂微粒子は均質であってもよく、異相構造(例えば、コア/シェル構造、ミクロドメイン構造など)であってもよい。また樹脂微粒子の形状は球状であってもよく、異形形状であってもよい。
【0033】
重合開始剤
乳化重合は、重合開始剤を用いて行うことができる。重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、などの過硫酸塩、過酸化水素などの水溶性重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は水溶性のレドックス型重合開始剤系を構成してもよい。またはアゾビスジメチルバレロニトリル(和光純薬工業社製 V−60)等の油溶性重合開始剤を用いてもよい。
【0034】
樹脂の分子量を調整するために、各種の連鎖移動剤、例えば、カテコール類などのアルコール類、チオール類、メルカプタン類などを用いてもよい。連鎖移動剤の使用量は、例えば、重合性不飽和単量体の総量100重量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2.5重量部程度である。
【0035】
着色法
重合性不飽和単量体に染料を溶解あるいは分散し、この着色剤を含有する単量体を反応性乳化剤のミセルの中で一挙に重合させて水分散性の着色樹脂微粒子を得る。
使用する重合性不飽和単量体に親和性のある着色剤としての染料としては、油溶性染料、分散染料、水不溶性含金属染料、バット染料その他ホトクロミック色素、樹脂着色剤等があげられるが、良好な発色性という点からは重合性不飽和単量体に対する溶解度が高いほうが良く、例えば油溶性染料や分散染料が良い。
【0036】
勿論水溶性染料でも重合性不飽和単量体の種類によっては、水性媒体中に認め得る量の溶解した染料が存在しないという条件下で水溶性染料、例えば酸性染料、カチオン染料、塩基性染料、水溶性含金属染料、反応染料等も使用し得る。
またイオン性重合性不飽和単量体と反対のイオン性を有する水溶性染料を用いて、両者を造塩させ、この造塩物を反応性乳化剤のミセルの中で重合させることもできる。
【0037】
使用する染料の量は、染料の溶解度にもよるが、一般に重合性不飽和単量体基準で0.1〜20重量%、好ましくは、1〜10重量%の範囲にあることが望ましい。
また、重合性不飽和単量体に溶解し難いまたは溶解しない染料や顔料については単量体の中で高分子分散剤等を使用し微分散後、同様の乳化重合法にて着色微粒子を得ることができる。
【0038】
一方、着色剤の堅牢度を向上させる目的で紫外線吸収剤や酸化防止剤等を着色剤と共に重合性不飽和単量体に添加し、同様の乳化重合法にて着色微粒子を得ることができる。また香料や防カビ剤等も同様に着色剤と共に重合性不飽和単量体に添加して着色樹脂微粒子を得ることもできる。
【0039】
粒子含有量
本発明の水性分散体は水性媒体中に分散された着色樹脂微粒子を、一般に水性分散体全重量に対し1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の濃度で含有する。
勿論、この水性分散体からなる水性インクは上記着色樹脂微粒子の他に分散安定に望ましい分散剤等の成分や、インクに望ましい配合成分を含有させることができる。
【0040】
例えば、補助的に着色樹脂微粒子の分散安定性や沈降防止の目的で各種界面活性剤や高分子安定剤を含ませることもある。また着色樹脂微粒子の湿潤性や再湿潤性を高めるために、エチレングリコール、グリセリン、各種多価アルコール等を含ませることもできる。更にこれにインク中に混入する金属イオンを封鎖する目的で各種キレート剤等の金属封鎖剤を配合し、またインクや画像の保存安定性を向上させるために各種殺菌剤、防カビ剤、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を配合することもできる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「部」は特に断わらない限り「重量部」を表わす。
【0042】
実施例 1
赤色系油溶染料オイルレッド(Oil Red(Sudan IV)CI 26105)(東京化成工業(株)製品)0.8重量部をメタクリル酸メチル20重量部、メタクリル酸n−ブチル20重量部及びアクリル酸0.8重量部の重合性単量体混合液に溶解し、この溶液を下記反応性乳化剤(商品名:テラムルS−180A、花王(株)製品)2重量部が脱イオン水20重量部に溶解された水溶液に加え、乳化させた。
商品名:テラムルS−180A
【0043】
【化7】
【0044】
この乳化液を、内部で脱イオン水40重量部が80℃に昇温された反応器(攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス流入管を備えた反応器)に窒素気流下、3時間にわたって滴下し、滴下終了後さらに2時間加熱を継続した後、室温に冷却し、25%アンモニア水0.8重量部を添加、中和させて着色水性樹脂分散体を得た。
【0045】
実施例 2
重合性不飽和単量体としてスチレン20重量部、メタクリル酸n−ブチル20重量部、アクリル酸0.8重量部を用いた以外は実施例1と同様にして乳化重合し、着色水性樹脂分散体を得た。
【0046】
実施例 3
実施例1で用いた反応乳化剤に代えて下記式で表わされる反応乳化剤(商品名:アクアロンHS−10、第一工業製薬(株)製品)2.0重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして乳化重合し、着色水性樹脂分散体を得た。
商品名:アクアロンHS−10
【0047】
【化8】
【0048】
実施例 4
実施例1で用いた反応乳化剤に代えて下記式で表わされる反応乳化剤(商品名:エレミノールJS−2、三洋化成工業(株)製品)2.0重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして乳化重合し、着色水性樹脂分散体を得た。
商品名:エレミノールJS−2
【0049】
【化9】
【0050】
実施例 5
実施例2で用いた反応乳化剤に代えて下記式で表わされる反応乳化剤(商品名:アデカリアソープSE−10N、旭電化工業(株)製品)2.0重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして乳化重合し、着色水性樹脂分散体を得た。
商品名:アデカリアソープSE−10N
【0051】
【化10】
【0052】
実施例 6
スチレン30重量部、メタクリル酸メチル30重量部に高分子分散剤(商品名:Disper BYK 161ビックケミ・ジャパン(株)製品)6重量部に銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.Pigment Blue15:3)6重量部を加えて60mlのガラスビーズ(直径0.5mm)の中で16時間にわたってミリングを行い、0.5μm以下の銅フタロシアニンブルーの分散液を得た。
【0053】
この分散液40重量部を、脱イオン水20重量部に実施例1で使用した「テラムル S−180A」2重量部を添加した水溶液に加えて乳化させ、これに10%過硫酸アンモニウム水溶液2重量部を添加した。
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス流入管を備えた反応器に脱イオン水40重量部を添加して80℃に昇温し、この反応器に前記乳化液を、窒素気流下3時間にわたって滴下し、滴下終了後、さらに2時間加熱を継続した後、室温に冷却し25%アンモニア水0.8重量部を添加し中和させて青色水性樹脂分散体を得た。
【0054】
比較例 1
実施例2の反応性乳化剤に代えて、ラウリル硫酸ナトリウム2重量部を使用した以外は、実施例2と同様の条件で着色水性樹脂分散体を得た。
【0055】
比較例 2
実施例1の反応性乳化剤に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を使用した以外は、実施例1と同様の条件で着色水性樹脂分散体を得た。
【0056】
比較例 3
実施例2の反応性乳化剤に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を使用した以外は、実施例2と同様の条件で着色水性樹脂分散体を得た。
【0057】
(インク評価)
・インク液の調製
着色水性樹脂分散体 70部
グリセリン 10部
エチレングリコール 10部
イソプロピルアルコール 10部
実施例1〜5及び比較例1〜3の着色水性樹脂分散体の反応生成液を固形分30%に調整して使用し上記記録液組成にてインク化し以下のようにして評価を行った。
【0058】
・印字試験
インクジェットプリンター(ヒューレット パッカード社製品 商品名:Desk Writer C)で電子写真用紙(Xerox社製品 商品名:4024紙)にインクジェット記録を行った。
【0059】
・耐水性試験
印字試験で得た印字物をビーカーに取った水道水に5秒間浸せきした。印字物を乾燥後、字汚れの有無を目視評価した。結果は以下のように分類し、下記第1表に示した。
○…字汚れほとんどなし
△…かすかに字汚れあるが実用上問題なし
×…字汚れがひどい
【0060】
・耐光性試験
印字物をキセノンフェードメーター(スガ試験機(株)製品)を用いて100時間照射した後の変退色を目視評価した。結果は以下のように分類し下記第1表に示した。
○…良好
△…変退色はあるが実用上問題なし
×…変退色がひどい
【0061】
・インクの保存安定性試験
インク液をテフロン容器に密閉し、60℃で1ケ月保存し、ゲル化や沈殿物の有無を目視評価した。結果は以下のように分類し下記第1表に示した。
○…ゲル化や沈殿物ほとんどなし
△…かすかにゲル化や沈殿物がみられるが実用上問題なし
×…ゲル化や沈殿物がひどい
【0062】
・耐擦性試験
印字試験で得た印字物を指で上からなぞったときの地汚れの有無を目視判断した。結果は以下のように分類し下記第1表に示した。
○…地汚れほとんどなし
△…かすかに地汚れあるが実用上問題なし
×…地汚れがひどい
【0063】
・粒度分布測定
上記実施例に記された方法で得られたインク液に於ける着色樹脂微粒子の平均粒子径 MICROTORAC粒度分布計 形式9230UPA(日機装(株)製品)を用いて測定した。
この測定に使用した測定溶媒の屈折率は1.81、比重は1.0の条件で測定を行った。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
本発明の水性着色樹脂分散体を用いることにより、保存安定性が良好で滲みもなく高濃度の記録が可能なインクを調製することができる。またこのインクは、印刷物の耐擦性に優れ、記録物の印字品位もよく、耐光性や耐水性その他諸堅牢性も良好な記録が可能である。このように本発明の水性着色樹脂分散体は、上記の特性を有することから、インクジェット用及び筆記具用に止まらず、他の多くの用途のインクとして使用することができる。
Claims (6)
- 重合性不飽和単量体を、該重合性不飽和単量体に親和性のある着色剤を溶解または分散させた後、水性媒体中にてアニオン性及び/又はノニオン性反応性乳化剤を用いて乳化重合させて得られた着色樹脂微粒子を含有することを特徴とする水性着色樹脂分散体。
- 着色剤が水不溶性の染料及び/又は顔料である請求項1記載の水性着色樹脂分散体。
- 着色剤が水溶性の染料である請求項1記載の水性着色樹脂分散体。
- 着色樹脂微粒子の平均粒子径が0.01〜10μmの範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の水性着色樹脂分散体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水性着色樹脂分散体からなる水性インク。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水性着色樹脂分散体からなるインクジェット用記録液。
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