JP3958855B2 - 構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤を含有するインクジェット用インク組成物 - Google Patents

構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤を含有するインクジェット用インク組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ用の水性インクに関し、より詳細には、構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマーを含有する、インクジェット用の水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット印刷は、電子信号に呼応したインクの飛沫が、紙や透明フィルムのような被印刷物上に付着する、非衝撃的な印刷法である。インクジェットプリンタは、その比較的騒音のない操作と相まって、低コストでありまた出力したものが高品質なため、コンピュータ用の他種のプリンタに較べて人気のある選択肢となっている。
【0003】
染料と顔料の双方が、インクジェットプリンタ用のインク着色剤として使用されている。染料ベースのインクは、一般に着色特性に優れるものの、顔料ベースのインクに較べていくつか不利な点がある。染料は通常水溶性であり、被印刷物上で乾燥した後もそうである。この染料は水がこぼれると容易に再溶解し、またその画像は、フェルトペンマーカーが触れるとにじむ。その上、染料は顔料に較べ光安定性に劣り、またオフィスの照明下でさえ色あせることが知られている。このように、染料ベースのインクは、耐湿性およびより優れた光安定性の求められる用途には、しばしば不適当である。顔料は、凝集しにくくまた沈殿しにくい顔料分散剤を作れるのであれば、好ましい着色剤である。
【0004】
水ベースの顔料分散液は、この技術分野ではよく知られており、かつ塗料などのフィルムを様々な基板につけるのに、商業的に用いられている。顔料分散液は、一般に非イオン的技術かまたはイオン的技術のいずれかによって安定化する。非イオン的技術を採用する場合は、水の中に入り込んで、エントロピー的または立体的な安定化を提供する、水溶性で親水性のある部分を有したポリマーによって、顔料粒子を安定化する。この目的に有用なポリマーの代表的なものには、ポリビニルアルコール、セルロース系物質、エチレンオキシドで変性したフェノール、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリマーがある。この非イオン的技術は、pHの変化やイオンの汚染に敏感ではないが、最終生成物が水に対し不安定であるために、多くの用途において非常に不利である。したがって、インクなどに用いた場合、顔料は水分にさらされると、すぐにじむ傾向がある。
【0005】
更に、インクを詰めることで機能する連続フロー・プリンタ(continuous flow printer) では、顔料ベースのインクが凝集することもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
耐水性とにじみ耐性の良好なインクジェットインクが要望されている。特に、連続フロー・システムに用いる顔料ベースのインクについて、水およびにじみ耐性を改善しながら、分散液の装填安定性を維持することが求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット用インク組成物は、(a)水性担体媒体と;(b)着色剤と;そして(c)構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤と、を含有することを特徴とする。
【0008】
ここで、エマルジョンポリマー添加剤は、アクリル系およびメタクリル系モノマー;ビニル系モノマー;マレイン酸;無水マレイン酸;スチレン;イタコン酸;N−ビニルピロリドン;アクリルアミド;メタクリルアミド;およびそれらの誘導体からなる群より選ばれるモノマーから調製されることができる。
【0009】
さらにまた、アクリル系およびメタクリル系モノマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリロニトリル、メタクリル酸2−トリメチルシロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸ソルビル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリロニトリル、アクリル酸2−トリメチルシロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸p−トリル、アクリル酸ソルビル、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸t−ブチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、およびアクリル酸ジエチルアミノエチルからなる群より選ばれることができる。
【0010】
また、エマルジョンポリマー添加剤は、下記式で表される親水性モノマーを更に含有することができる。
【0011】
【数2】
CH2 =C(X)(Y′)
[式中、XはHまたはCH3 であり;Y′は、C(O)OH、C(O)NR23 、C(O)OR4 NR23 、C(O)OR5 、またはそれらの塩である(ここで、R2 およびR3 は、それぞれ独立してH、もしくはC1 〜C9 のアルキル、アリールまたはアルキルアリールであり;R4 はC1 〜C5 のアルキルジラジカルであり;そしてR5 は、ヒドロキシ基またはエーテル基を含んでいてもよいC1 〜C20のアルキルジラジカルである)]
また、エマルジョンポリマー添加剤は、エチレングリコールジメタクリレートおよびエチレングリコールトリアクリレートからなる群より選ばれる、少量の架橋性モノマーを更に含有することができる。
【0012】
また、構造性ポリマー安定剤は、ブロックポリマーとグラフトポリマーとからなる群より選ばれることができる。
【0013】
また、着色剤は顔料分散剤であることができる。
【0014】
さらにまた、顔料分散剤は、顔料とポリマー性分散剤とを含有することができる。
【0015】
また、ポリマー性分散剤はブロックコポリマーであり、かつ、インク組成物の全重量に基づき、約0. 1〜8重量%の顔料と、0. 1〜8重量%のブロックコポリマーと、94〜99. 8重量%の水性担体媒体と、そして0. 01〜5重量%の固形分としての、構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤と、を含有することができる。
【0016】
また、構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤は、インク組成物の全重量に基づき0. 01〜20固形分重量%の量で存在することができる。
【0017】
さらにまた、構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤は、インク組成物の全重量に基づき0. 01〜5固形分重量%の量で存在することができる。
【0018】
また、構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤は、インク組成物の全重量に基づき5. 1〜20固形分重量%の量で存在することができる。
【0019】
また、着色剤は顔料とブロックコポリマー分散剤とを含有しており、かつ、インク組成物の全重量に基づき、約0. 1〜8重量%の顔料と、0. 1〜8重量%のブロックコポリマー分散剤と、64〜94. 7重量%の水性担体媒体と、そして5. 1〜20重量%の固形分としてのエマルジョンポリマー添加剤と、を含有することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、一般にインクジェットプリンタに、特にサーマルインクジェットプリンタ(thermal ink jet printer )および連続フロー・インクジェットプリンタに用いるのに著しく適した、インクジェットインク組成物を提供する。このインクは、保存中およびプリンタ内での双方で、長期間安定である。分散染料ベースのインクは、水と、通常は構造性ポリマー分散剤である分散剤で安定化した分散染料と、そして構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤と、を含有する。染料ベースのインクは、水性担体媒体と、染料と、そして任意で、構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤と、を含有する。このインクを、特定のインクジェットプリンタの要件に適合させて、調和のとれた光安定性、にじみ耐性、粘度、表面張力、高い光学密度、固化耐性、および装填安定性を、適当に提供してもよい。
【0021】
水性担体媒体
水性担体媒体は、水、または水と少なくとも1種の水溶性有機溶媒との混合物である。適切な混合物は、所望の表面張力や粘度といった特定の用途における要件、選択した着色剤、インクの乾燥時間、および被印刷物の種類によって選択する。選択しうる代表的な水溶性有機溶媒は、米国特許第5, 085, 698号に開示されている。水と、ジエチレングリコールのような多価アルコールとの混合物は、水性担体媒体として好ましい。
【0022】
水と水溶性溶媒との混合物を用いる場合は、水性担体媒体は、通常約30%〜約95%の水を含有しており、残り(即ち70〜5%)は水溶性溶媒である。好ましくは、水性担体媒体は、60〜95重量%が水である。水性担体媒体は、選択した着色剤の種類によって、全インク組成物の70〜99. 8重量%を占める。好ましくは、水性担体媒体は、有機顔料を選択した場合は94〜99. 8%を占め;無機顔料を選択した場合は70〜99. 8%を占め;そして染料を選択した場合は80〜99. 8%を占める。
【0023】
着色剤
本発明のインク組成物に有用な着色剤は、染料と顔料の双方である。「染料」なる用語によって、われわれは、印刷過程のある時点で可溶性になる着色剤を意味する。「顔料」なる用語によって、われわれは、印刷過程中ずっと不溶性である(即ち、粒子状かまたは結晶状である)着色剤を意味する。顔料は、本発明の組成物に用いるのに好ましい着色剤である。
【0024】
顔料:
有用な顔料は、多様な有機および無機顔料を単独で、または組み合わせて含有する。顔料粒子は、インクジェット印刷装置を通して、特に、通常10ミクロン〜50ミクロンにわたる径を有する吐出ノズルにおいて、インクが自由に流れるために、十分に小さいものである。粒子径はまた、インクの耐用期間中不可欠な、顔料分散安定性に影響を与える。微小粒子のブラウン運動によって、粒子は沈殿しにくくなる。また、色の濃度を最強とするには、小さい粒子を用いるのが望ましい。有用な粒子径の範囲は、およそ0. 005ミクロン〜15ミクロン、好ましくは0. 005ミクロン〜5ミクロン、最も好ましくは0. 01〜0. 3ミクロンである。
【0025】
選択した顔料は、乾燥した形かまたは湿った形[即ちプレスケーキ(presscake) ]で用いてよい。プレスケーキ状では、顔料は、乾燥したものより凝集しないので、インクを調製する工程でそれほど分離させる必要はない。本発明を実施するのに用いうる代表的な市販の乾燥およびプレスケーキ顔料は、1992年2月4日に発行された米国特許第5, 085, 698号に開示されている。
【0026】
金属または金属酸化物の微小粒子も、本発明を実施するのに用いてもよい。たとえば、金属および金属酸化物は、磁性インクジェットインクの調製に適している。シリカ、アルミナ、チタニア等の微小粒子状の酸化物も選択してよい。更に、銅、鉄、スチール、アルミニウムおよび合金のような微細に分離した金属粒子を、適当な用途に選択してもよい。
【0027】
染料:
染料は、水性担体媒体に可溶かまたは不溶なものでよく、ここでは後者を「分散染料」と称する。
【0028】
インクに用いる分散染料の色と量は、主として選ばれた機能であり、主にそのインクで達成する所望の印刷の色や、染料の純度およびその濃度に依存する。低濃度の染料では十分に鮮明な色が得られない。高濃度では、プリントヘッドの性能が劣ってしまうか、または許容できないほどの暗い色となる。分散染料は、インクの全重量に基づき、重量で0. 01〜20%、好ましくは0. 05〜8%、より好ましくは1〜5%の量存在する。本発明に有用な分散染料は、米国特許第5, 053, 495号、第5, 203, 912号、第5, 102, 448号等に開示されている。
【0029】
陰イオン性、陽イオン性、両性、および非イオン性の染料のような慣用の染料は、本発明において有用である。そのような染料は、当業者にはよく知られている。陰イオン性染料は、水性溶液中で陰イオンの色を生じるものであり、陽イオン性染料は、水性溶液中で陽イオンの色を生じるものである。典型的には、陰イオン性染料は、カルボン酸またはスルホン酸基をイオン性部分として含んでいる。陽イオン性染料は、通常は四級窒素基を含有している。
【0030】
本発明で最も有用な陰イオン性染料には、たとえば、酸性、直接、食品、媒染、および反応性染料がある。陰イオン性染料は、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、スチルベン化合物、トリアリールメタン化合物、キサンテン化合物、キノリン化合物、チアゾール化合物、アジン化合物、オキサジン化合物、チアジン化合物、アミノケトン化合物、アントラキノン化合物、インディゴイド化合物、およびフタロシアニン化合物からなる群より選ばれる。
【0031】
本発明で最も有用な陽イオン性染料は、主として塩基性染料、および繊維のような被着色物上の酸の部分と結合するように設計されている、ある種の媒染染料を含む。そのような染料の有用なものには、とりわけ、アゾ化合物、ジフェニルメタン化合物、トリアリールメタン、キサンテン化合物、アクリジン化合物、キノリン化合物、メチンまたはポリメチン化合物、チアゾール化合物、インダシンまたはインドフェニル化合物、アジン化合物、オキサジン化合物およびチアジン化合物があり、それらは、当業者によく知られているものである。
【0032】
インク組成物に用いる染料の色と量は、大部分、そのインクで達成する所望の印刷の色や、染料の純度およびその濃度に主に依存して選ばれる機能である。染料は、典型的には、インクの全重量に基づき、重量で0. 01〜20%、好ましくは0. 05〜8%、より好ましくは1〜5%の量存在する。
【0033】
分散剤
本発明を実施するのに適したポリマー分散剤には、ランダムポリマーおよび、ブロックコポリマーや分岐型ポリマーのような構造性ポリマー分散剤が含まれる。これらのポリマーは、そのままの状態で、陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性でありうる。
【0034】
ランダムポリマーは、構造性ポリマーほど顔料分散液を安定化する効果はないため、それほど好ましくない。しかし、水溶性であるための親水性部分および、顔料と相互作用するための疎水性部分の双方を有し、かつ、その数平均分子量が分散安定性に寄与しているランダムポリマーは、本発明を実施するのに効果的に用いることができる。このようなポリマー分散剤は、米国特許第4, 597, 794号に開示されている。
【0035】
本発明を実施するのに適したブロックポリマーは、AB、BAB、およびABC型の構造である。疎水性と親水性のブロックを有し、かつ、その調和したブロックの大きさが分散安定性に寄与しているブロックポリマーは、本発明を実施するのに有利に用いうる。疎水性の(顔料が結合する)ブロックに官能基を組み入れ、顔料とポリマー分散剤との特定の相互作用を強くして、分散安定性を改善することができる。これらのポリマーについての詳細な記載は、上記した米国特許第5, 085, 698号および第5, 272, 201号、ならびに欧州特許出願公開第0 556 649 A1号に見られる。
【0036】
ポリマーに含まれる官能基のいずれかを塩として、水性担体媒体に可溶化させる必要が生じることがある。酸モノマーの塩は、モノ−、ジ−、トリメチルアミン、モルホリン、n−メチルモルホリンなどの有機塩基;ジメチルエタノールアミン(DMEA)、メチルジエタノールアミン、モノ−、ジ−、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン;ピリジン;2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール;水酸化アンモニウム;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、およびカリウムなどのアルカリ金属等の化合物より選ばれる、対となる成分によって作ることができる。好ましい中和剤には、ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ならびに水酸化ナトリウムと水酸化カリウムがあり、サーマルインクジェットプリンタ用のインクとしては、水酸化カリウムが特に好ましい。アミノモノマーの塩は、酢酸、ギ酸、シュウ酸、ジメチロールプロピオン酸などの有機酸や、塩化物、フッ化物、および臭化物などのハロゲン、ならびに、硫酸、硝酸、リン酸などのその他の無機酸等の化合物より選ばれる、対となる成分によって作ることができる。アミノ基は、また、テトラアルキルアンモニウム塩に変換することもできる。両性ポリマー、すなわち酸基とアミノ基の双方を含有するポリマーは、酸か塩基のいずれかを添加し、中和してから用いてよい。
【0037】
分散ポリマーの量は、そのポリマーの構造、分子量およびその他の特性、ならびにインク組成物中のその他の成分に依存する。本発明を実施するのに選択されるブロックポリマーは、数平均分子量が20, 000未満、好ましくは10, 000未満であって、典型的には1, 500〜6, 000の範囲にある。
【0038】
ポリマー性分散剤は、インク組成物の全重量に基づき0. 1〜25重量%、好ましくは0. 1〜8重量%の量存在する。この量が大きすぎると、所望のインク粘度を維持するのが難しくなる。ポリマーが不十分である場合は、分散安定性に悪影響がある。
【0039】
エマルジョンポリマー添加剤
エマルジョンポリマー添加剤は、アクリル系またはメタクリル系モノマー;酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル系モノマー:マレイン酸または無水マレイン酸;スチレン;イタコン酸;N−ビニルピロリドン;アクリルアミド;メタクリルアミド;およびそれらの誘導体から調製してよい。代表的なアクリル系またはメタクリル系モノマーには、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル(BMAまたはNBMA)、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル(LMA)、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート(ETEGMA)、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリロニトリル、メタクリル酸2−トリメチルシロキシエチル、メタクリル酸グリシジル(GMA)、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸ソルビル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリロニトリル、アクリル酸2−トリメチルシロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸p−トリル、アクリル酸ソルビル、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸t−ブチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミド、およびジメチルアクリルアミドがある。好ましいのは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチル、メタクリル酸、またはメタクリル酸ジメチルアミノエチルから調製したエマルジョンである。
【0040】
エマルジョンポリマーは、エチレングリコールジメタクリレートまたはエチレングリコールトリアクリレート等の架橋性モノマーを少量含んでいてもよい。
【0041】
エマルジョンポリマーは、CH2 =C(X)(Y′)[式中、XはHまたはCH3 であり、Y′は、C(O)OH、C(O)NR23 、C(O)OR4 NR23 、C(O)OR5 、またはそれらの塩である(ただし、R2 およびR3 は、それぞれ独立してH、もしくはC1 〜C9 のアルキル、アリールまたはアルキルアリールであり、R4 はC1 〜C5 のアルキルジラジカルであり、そしてR5 、ヒドロキシまたはエーテル基を含んでいてもよいC1 〜C20のアルキルジラジカルである)]のような親水性モノマーを更に含有して、溶解性をある程度変えてもよい。しかし、エマルジョンポリマーまたはその塩を完全に水溶性にするのに十分な量の親水性モノマーは、存在すべきではない。
【0042】
構造性ポリマー安定剤
エマルジョンポリマーは、ジブロックおよびトリブロックポリマーのようなブロックポリマー、ならびにグラフトポリマーからなる群より選ばれる、構造性ポリマーで安定化する。有用なジブロックポリマーは米国特許第5, 085, 698号に開示されており、また有用なトリブロックポリマーは米国特許第5, 519, 085号に開示されている。
【0043】
構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤は、インク組成物の全重量に基づき、サーマルインクジェット用には0. 01〜20固形分重量%、好ましくは0. 01〜5固形分重量%の量、また、連続フロー式、ピエゾ式、およびエアブラシ式印刷用には、5. 1〜20固形分重量%の量で存在してよい。
【0044】
その他の成分
本発明の要件に沿って多様な添加剤を用い、インク組成物の特性を特定の用途に適合するようにしてもよい。界面活性剤は、浸透力を最大にするのみならず、表面張力を変えるのに用いてよい。しかし、界面活性剤の種類と使用量は、顔料分散の不安定化を避けるか、または本発明のインクの利点をそこなわないように、慎重に選ばなくてはならない。
【0045】
当業者によく知られているように、インク組成物に殺生物剤を用いて、微生物の増殖を阻害してもよい。EDTAのような金属イオン封鎖剤を加えて、重金属不純物の有害な作用を除いてもよい。湿潤剤、粘度調節剤、およびその他のアクリル性または非アクリル性ポリマーのような他の公知の添加剤を加えて、インク組成物の様々な特性を望ましいように改善してもよい。
【0046】
インクの特性および調製
本発明のインク組成物は、他のインクジェットインクと同様の方法で調製してよい。不溶性着色剤を含有するインクは、選択した着色剤およびポリマー系分散剤をあらかじめ混合し、着色剤を分散させるかまたは解こうさせることにより調製する。この分散工程は、横型のミニミル、ボールミル、またはアトリッター内で処理するか、あるいは、液体ジェット相互作用室(liquid jet interaction chamber)内で、少なくとも5000psi(ポンド/平方インチ)の液圧で、混合物を複数のノズルに通して、着色剤が水性担体媒体中に均一に分散した分散液を製造することによって、達成してよい。インクベースの染料は、分散装置中よりもむしろ容器中で十分撹拌して調整する。
【0047】
この分散液は、一般に、濃縮した形で作ることが望ましい。濃縮した分散液は、次いで適当な液体を加えて、特定の用途に望ましい粘度、色、色合い、密度、および印刷領域範囲が得られるような、適当な濃度まで希釈する。
【0048】
サーマルインクジェットプリンタでは、インク液滴の速度、液滴の容積、および流れ安定性は、インクの表面張力と粘度に大きく左右される。連続フロー・インクジェットプリンタでは、インク液滴の速度、液滴の容積、および流れ安定性は、インクの表面張力、粘度、および装填安定性に大きく左右される。インクジェット印刷システムで使用するのに適したインクジェットインクは、約20ダイン/cm〜約80ダイン/cmの範囲、より好ましくは20℃で25ダイン/cm〜約65ダイン/cmの範囲の表面張力を有するべきである。許容可能な粘度は、20cP以下、好ましくは20℃で約1. 0cP〜約10. 0cPの範囲である。
【0049】
【実施例】
以下の実施例(部およびパーセンテージは、特にことわりのない限り、重量に基づいている)により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0050】
エマルジョンポリマー安定剤1:
12リットルのフラスコは、機械的撹拌機、温度計、N2 入口、乾燥管出口、および添加用漏斗を備えたものである。テトラヒドロフラン(THF)4002gおよびp−キシレン7. 7gを、このフラスコに仕込んだ。次いで、触媒として、テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1. 0Mアセトニトリル溶液2. 0mlを加えた。開始剤として、1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチルプロペン155. 1g(0. 891M)を注入した。供給I[メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル2801g(17. 8M)]を0. 0分の時点で開始し、45分かけて加えた。供給Iが完了(99%を越えるモノマーが反応)して100分後、供給II[メタクリル酸ブチル2045g(14. 4M)]を開始し、30分かけて添加した。400分の時点で、310gの乾燥メタノールを上記の溶液に加え、蒸留を開始した。合計で1725gの溶媒を除去した。蒸留完了後、イソプロパノール1783gを加えた。
【0051】
これにより、固形分が49. 6%の、メタクリル酸ブチル//メタクリル酸ジメチルアミノエチル(20//20)ジブロックポリマーを製造した。次いでこのポリマーを、濃リン酸2052g(17. 8M)で中和し、水に転化して(inverted)、ポリマー系塩の15%溶液を作った。
【0052】
エマルジョンポリマー安定剤2:
12リットルのフラスコは、撹拌機、温度計、N2 入口、乾燥管出口、および添加用漏斗を備えたものである。テトラヒドロフラン(THF)3004gおよびメシチレン7. 6gを、このフラスコに仕込んだ。次いで、触媒として、テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1. 0Mアセトニトリル溶液3. 0mlを加えた。開始剤として、1, 1−ビス(トリメチルシロキシ)−2−メチルプロペン240gを注入した。供給I(テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1. 0Mアセトニトリル溶液3. 0ml)を開始し、150分かけて加えた。供給II(メタクリル酸トリメチルシリル1636g)を0. 分の時点で開始し、30分かけて添加した。供給IIが完了して50分後、供給III(メタクリル酸ブチル1469gおよびエトキシトリエチレングリコールメタクリレート1274g)を開始し、30分かけて加えた。320分の時点で、663gの乾燥メタノールを上記の溶液に加え、蒸留を開始した。第一段階の蒸留の間、624. 0gの物質をフラスコから除去した。メタノール332gを加えた。蒸留を続け、合計で1239gの溶媒を除去した。
【0053】
これにより、数平均分子量(Mn)が5140で、固形分が50. 8%の、メタクリル酸ブチル/エトキシトリエチレングルコールメタクリレート//メタクリル酸ABブロックポリマー(5/10//10)を製造した。このポリマー701gを127gのKOH(45%溶液)で中和し、その溶液を2673gの脱イオン水で希釈した。
【0054】
エマルジョンポリマー安定剤3:
12リットルのフラスコは、撹拌機、温度計、N2 入口、乾燥管出口、および添加用漏斗を備えたものである。テトラヒドロフラン(THF)3027gおよびp−キシレン6. 2gを、このフラスコに仕込んだ。次いで、触媒として、テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1. 0Mアセトニトリル溶液2. 5mlを加えた。開始剤として、1, 1−ビス(トリメチルシロキシ)−2−メチルプロペン234. 4gを注入した。供給I(テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1. 0Mアセトニトリル溶液2. 5ml)を開始し、150分かけて加えた。供給II(メタクリル酸トリメチルシリル1580g)を0. 0分の時点で開始し、30分かけて添加した。供給IIが完了して120分後、供給III(メタクリル酸ブチル1425gおよびメタクリル酸メチル503g)を開始し、30分かけて加えた。320分の時点で、650gの乾燥メタノールを上記の溶液に加え、蒸留を開始した。第一段階の蒸留の間、1250. 0gの物質をフラスコから除去した。イソプロパノール1182gを加えた。蒸留を続け、合わせて2792gの溶媒を除去した。
【0055】
これにより、数平均分子量(Mn)が2900で、固形分が50. 5%の、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル//メタクリル酸ABブロックポリマー(10/5//10)を製造した。このポリマー396g、2−アミノ−2ーメチル−1−プロパノール(AMP)68gおよび脱イオン水1536gを一緒にして混合し、ポリマーの水溶液を形成した。
【0056】
分散剤ポリマー1:
12リットルのフラスコは、機械的撹拌機、温度計、N2 入口、乾燥管出口、および添加用漏斗を備えたものである。テトラヒドロフラン(THF)4002gおよびp−キシレン7. 7gを、このフラスコに仕込んだ。次いで、触媒として、テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1. 0Mアセトニトリル溶液2. 0mlを加えた。開始剤として、1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチルプロペン155. 1g(0. 891M)を注入した。供給I[メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル2801g(17. 8M)]を0. 0分の時点で開始し、45分かけて加えた。供給Iが完了(99%を越えるモノマーが反応)して100分後、供給II[メタクリル酸ベンジル1568g(8. 91M)]を開始し、30分かけて添加した。400分の時点で、310gの乾燥メタノールを上記の溶液に加え、蒸留を開始した。合わせて1725gの溶媒を除去した。蒸留完了後、イソプロパノール1783gを加えた。
【0057】
これにより、数平均分子量(Mn)が5000で固形分が49. 6%の、メタクリル酸ベンジル//メタクリル酸ジメチルアミノエチル(10//20)ジブロックポリマーを製造した。
【0058】
分散剤ポリマー2:
1リットルのフラスコは、機械的撹拌機、温度計、N2 入口、乾燥管出口、および添加用漏斗を備えたものである。テトラヒドロフラン(THF)83gおよびメシチレン0. 1gを、このフラスコに仕込んだ。次いで、触媒として、テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1. 0M THF溶液230μlを加えた。開始剤として、1, 1−ビス(トリメチルシロキシ)−2−メチルプロペン5. 0g(0. 020mol)を注入した。供給I(テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1. 0M THF溶液230μl)を開始し、130分かけて加えた。供給II[メタクリル酸トリメチルシリル40. 86g(0. 250mol)]を0. 0分の時点で開始し、30分かけて添加した。供給IIが完了(99%を越えるモノマーが反応)して30分後、供給III[メタクリル酸ベンジル56. 90g(0. 323mol)]を開始し、60分かけて加えた。供給IIIが完了(99%を越えるモノマーが反応)して10分後、供給IV[エトキシトリエチレングリコールメタクリレート21. 21g(0. 0862mol)]を開始し、30分かけて加えた。150分の時点で、12gのメタノールを加えた。次いで、98gの溶媒とトリメチルメトキシシランを飛ばし、153gの2−ピロリドンと置換した。
【0059】
これにより、固形分が40%の、エトキシトリエチレングルコールメタクリレート//メタクリル酸ベンジル//メタクリル酸(4//15//12)トリブロックポリマーを製造した。このブロックコポリマー溶液100gに、水酸化カリウムの45%水溶液11gを加えて80%まで中和し、均一な溶液が得られるまで撹拌した。中和した後、材料を289gの脱イオン水で固形分が10%となるまで減じた。pHは8だった。
【0060】
顔料分散液1:
シアン顔料分散液を、以下の成分を完全に混合することによって調製した:
Figure 0003958855
次いでこの混合物を、2ロールミルに仕込んで、45分間処理させた。これにより、60%の顔料と40%のポリマーを含有する、顔料分散液チップを製造した。その顔料/分散剤(P/D)比は、1. 5/1であった。次いで、5. 47gの86. 0%リン酸、33. 3gの分散液、および161. 23gの脱イオン水を混合し、水性顔料濃縮物を作ることによって、この2ロールミルチップを中和した。
【0061】
これにより、顔料を10%および、リン酸で中和したポリマーに由来のアミン基90モル%を含有する、水性シアン顔料濃縮物を得た。
【0062】
顔料分散液2:
1リットルのビーカーは、機械的撹拌機を備えたものである。このビーカーに、分散剤ポリマー2を94gと水13gを入れた。撹拌しながら、18. 7gのFW黒色顔料(ニュージャージー州リッジフィールドパーク所在のDegussa Corp. 製)を少しずつ分けて加えた。完全な混合物となったら、M−110F型マイクロフルーダイザ(Mikrofluidizer)(マサチューセッツ州ニュートン所在のMicrofluidics Corp. 製)に5回通した。この処理をした後の平均粒径は、108nmであり、分散液の顔料濃度は15%であった。
【0063】
エマルジョン1:
エマルジョンポリマー安定剤1で安定化したメタクリル酸n−ブチルのエマルジョンポリマーを、以下のようにして調製した:
Figure 0003958855
反応器の中身を還流させた。還流した時点で、水27. 5gとVA−044(和光純薬製)0. 68gを加えた。別のフラスコ内で、供給1(水561g;メタクリル酸n−ブチル225g;エマルジョンポリマー安定剤1溶液142g)を、エッペンバッハ(Eppenbach) ホモジナイザーを用いてよく混合した。次いで供給1を、100分かけて反応フラスコに加えた。供給1の添加が完了したら、反応フラスコの中身をもう60分間還流させた後、12. 5gの水と 0. 68gのVA−044との混合物を反応フラスコに加えた。反応フラスコの中身を更に60分間還流し、次いで室温に冷却した。得られるエマルジョンの固形分は、23%だった。
【0064】
エマルジョン2:
固形分10%のエマルジョンポリマー安定剤2および1%のブチルメルカプタン連鎖移動剤を含む、メタクリル酸ブチル/エトキシトリエチレングリコールメタクリレート(20/80)のエマルジョンを、以下の操作にしたがって調製した。
【0065】
まず、メタクリル酸ブチル(100. 0g)と、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート(400. 0g)と、ブチルメルカプタン(5. 0g)と、2−ピロリドン(65. 0g)と、Liponic (登録商標) EG-1(35. 0g)と、エマルジョンポリマー安定剤2(390. 3g)と、そして水(259. 68g)と、の乳化した混合物を調製した。これらの成分を、ゆっくり撹拌し、次いで高速ホモジナイザーで20分間撹拌した。
【0066】
次いで、脱イオン水(557. 5g)、2−ピロリドン(67. 5g)、および登録商標 Liponic EG-1(35. 0g)を、加熱用マントル、撹拌機、N2 入口、温度計、冷却器、および添加用漏斗を備えた、樹脂製の釜に加えた。この容器を、70℃に加熱した。
【0067】
供給I:あらかじめ乳化した混合物(1255. 0g)
供給II:脱イオン水(50. 0g)、重亜硫酸ナトリウム(0. 675g)
供給III:脱イオン水(15. 75g)、過硫酸アンモニウム(1. 175g)
供給IV:脱イオン水(15. 75g)、過硫酸アンモニウム(0. 25g)
上記の釜に、供給Iの10%、供給IIの10%、供給IIIの全量を、1分間かけて加えた。残りの、供給Iの90%および供給IIの90%を、75分間かけて釜に供給した。この工程のおよそ中間の時点で、供給IVの3分の1を加えた。供給Iおよび供給IIが完了した後、供給IVの追加の3分の1を加えた。反応を15分間続け、供給IVの残りの3分の1を加えた。反応を更に120分間続け、混合物を冷却し、濾過した。
【0068】
エマルジョン3:
637gのメタクリル酸メチルと63gのメタクリル酸n−ブチルを、高速撹拌装置(ホモジナイザー)内で、700gのエマルジョンポリマー安定剤3溶液と315gの脱イオン水に加えることによって、エマルジョンを調製した。固形分が45重量%はある、あらかじめ乳化した混合物が形成するまで、およそ30分間撹拌を続けた。この乳化した混合物を入れた滴下漏斗、空気撹拌機、窒素入口、および加熱用マントルを備えた樹脂製の釜で、実験室規模の重合を行った。最終生成物の固形分が25%となるような量の脱イオン水を、釜に加えた。釜内部の空気を窒素置換して、水を70〜72℃に加熱した。次いで、あらかじめ乳化した混合物の10分の1と、重亜硫酸ナトリウムの2%水溶液および0. 25%(乳化した混合物に用いたモノマーの重量に基づく)の過硫酸アンモニウムを6. 5重量%の水溶液としたものとを、樹脂製の釜に加えた。温度を80℃に上げ、この温度を重合の間中保持した。残りの乳化した混合物と、重亜硫酸ナトリウム溶液を、75分かけて加えた。加えた亜硫酸物の合計量は、モノマー濃度に基づいて0. 14%であった。二倍量の水性過硫酸アンモニウム溶液を調製し、三回に分けて加えた。一回目は、乳化した混合物と亜硫酸ナトリウム添加の中間の時点で行い、二回目は、これらの物質の添加が終わったときに行い、そして三回目は、その15分後に行った。得られるラテックスを、80〜85℃で120分間保持し、次いで冷却し、濾過した。
【0069】
実施例1
以下の組成を有する、二種類のシアン性インクを調製した:
Figure 0003958855
上記のそれぞれのインクを、ギルバート・ボンド紙上にドローダウン(draw down) した。さまざまな時間の間隔を置いて、脱イオン水を像の上に滴下することで、像の耐水性を調べた。像から洗い流された着色剤の量を、0〜5の等級で評価した。0級は、耐水性が良好で、像から洗い流された着色剤が検出できなかったことを示し、5級は、高濃度の着色剤が洗い流されたことを示す。結果を以下にまとめて示す。
【0070】
Figure 0003958855
上記の表は、エマルジョンポリマーの添加によって、像の耐水性が改善されたことを示している。
【0071】
実施例2
以下の成分を、マグネティック・スターラーで10〜15分間撹拌して混合することにより、インクを調製した。
【0072】
Figure 0003958855
このインクを、Hewlett Packard DeskJet Printer から、間隔が1/8インチで、平行した7本の1/8インチの黒い実線パターンとなるように吐出させた。像の質およびペン性能は優れていた。この像を5分間放置し、次いで市販の黄色のハイライトペンで印を付けた。この紙の、像のない部分の黒いにじみを、1〜5の等級(1は全くにじみがなく、5はひどくにじんでいることを意味する)で主観的に評価した。結果を以下に示す。
【0073】
Figure 0003958855
実施例3
以下の成分からインクを調製した。まず顔料と分散剤を混合して顔料分散液を形成し、その後他の成分と混合してインクを形成した。
【0074】
Figure 0003958855
コントロール3
エマルジョンポリマー安定剤3の代わりに、固形分10重量%のラウリル硫酸ナトリウム(WAQE,WITCO Chemical 社製の登録商標 Duponol)を用いてエマルジョン3を調製する以外は、実施例2に記載した方法を繰り返した。
【0075】
試験:
コントロール3と実施例3のインクを、Scitex Digital Printing (SDP) プリントヘッドを用い、二元偏向(binary deflection) モードで連続インクジェット印刷装置から吐出させた。100時間後、コントロール3の飛沫安定性は低下したが、実施例3の飛沫安定性は良好で、長時間(少なくともおよそ200時間)安定であった。
【0076】
【発明の効果】
本発明のインクは安定で、粘度が低く、印刷の質に優れ、乾燥後のにじみ耐性に優れ、そしてキャップをはずしてからの使用可能時間、または固まるまでの時間が長い。このインクは、連続式、ピエゾ電子オンデマンド (drop-on-demand) 、および熱的(サーマル)またはバブルジェットオンデマンド式のような多様なインクジェットプリンタに用いてよく、特にサーマルインクジェットプリンタで用いるのに適合している。このインクは、また、エアブラシ印刷装置にも有用であろう。

Claims (13)

  1. (a)水性担体媒体と;
    (b)着色剤と;そして
    (c)構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤と、
    を含有することを特徴とするインクジェット用インク組成物。
  2. 前記エマルジョンポリマー添加剤が、アクリル系およびメタクリル系モノマー;ビニル系モノマー;マレイン酸;無水マレイン酸;スチレン;イタコン酸;N−ビニルピロリドン;アクリルアミド;メタクリルアミド;およびそれらの誘導体からなる群より選ばれるモノマーから調製されることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記のアクリル系およびメタクリル系モノマーが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリロニトリル、メタクリル酸2−トリメチルシロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸ソルビル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリロニトリル、アクリル酸2−トリメチルシロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸p−トリル、アクリル酸ソルビル、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸t−ブチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、およびアクリル酸ジエチルアミノエチルからなる群より選ばれることを特徴とする請求項2に記載のインク組成物。
  4. 前記エマルジョンポリマー添加剤が、下記式で表される親水性モノマーを更に含有することを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
    Figure 0003958855
    [式中、XはHまたはCH3 であり;Y′は、C(O)OH、C(O)NR23 、C(O)OR4 NR23 、C(O)OR5 、またはそれらの塩である(ここで、R2 およびR3 は、それぞれ独立してH、もしくはC1 〜C9 のアルキル、アリールまたはアルキルアリールであり;R4 はC1 〜C5 のアルキルジラジカルであり;そしてR5 は、ヒドロキシ基またはエーテル基を含んでいてもよいC1 〜C20のアルキルジラジカルである)]
  5. 前記エマルジョンポリマー添加剤が、エチレングリコールジメタクリレートおよびエチレングリコールトリアクリレートからなる群より選ばれる、架橋性モノマーを更に含有することを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  6. 前記構造性ポリマー安定剤が、ブロックポリマーとグラフトポリマーとからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  7. 前記着色剤が顔料分散剤であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  8. 前記顔料分散剤が、顔料とポリマー性分散剤とを含有することを特徴とする請求項7に記載のインク組成物。
  9. 前記ポリマー性分散剤がブロックコポリマーであり、かつ、インク組成物の全重量に基づき、約0. 1〜8重量%の顔料と、0. 1〜8重量%のブロックコポリマーと、94〜99. 8重量%の水性担体媒体と、そして0. 01〜5重量%の固形分としての、構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤と、を含有することを特徴とする請求項8に記載のインク組成物。
  10. 前記の構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤が、インク組成物の全重量に基づき0. 01〜20固形分重量%の量で存在することを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  11. 前記の構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤が、インク組成物の全重量に基づき0. 01〜5固形分重量%の量で存在することを特徴とする請求項10に記載のインク組成物。
  12. 前記の構造性ポリマーで安定化したエマルジョンポリマー添加剤が、インク組成物の全重量に基づき5. 1〜20固形分重量%の量で存在することを特徴とする請求項10に記載のインク組成物。
  13. 前記着色剤が顔料とブロックコポリマー分散剤とを含有しており、かつ、インク組成物の全重量に基づき、約0. 1〜8重量%の顔料と、0. 1〜8重量%のブロックコポリマー分散剤と、64〜94. 7重量%の水性担体媒体と、そして5. 1〜20重量%の固形分としてのエマルジョンポリマー添加剤と、を含有することを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
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