JP4011824B2 - インクジェット用インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録画像の品質が高く、吐出安定性に優れたインクジェット用インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの普及に伴いインクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭でも利用されている。インクジェットプリンターで印字する受像材料は、インクジェット専用紙だけでなく、普通紙、フイルムあるいは布まで利用されている。インクジェット用インクとしては、油性インク、水性インクおよび固体状インクが提案されている。ただし、製造の容易さ、取り扱いの容易さ、臭気の少なさ、および安全性の観点から、水性インクが主に用いられている。
水性インクは、一般に、水溶性染料を水に溶解して調製されている。染料水溶液からなる水性インクは、透明性と色濃度とが高いが、耐水性が低いとの問題がある。また、水性インクで普通紙に印字すると、滲み(ブリード)を生じて、印字品質が低下しやすい。さらに、水性インクは、耐光性が低いとの欠点もある。
【0003】
水溶性染料に代えて顔料や分散染料を用いた水性インクが提案されている(例えば、特開昭56−157468号、特開平4−18468号、同10−110126号、同10−195355号の各公報記載)。水溶性染料に代えて、顔料や分散染料を用いると、耐水性は改善されるが不充分である。一般に、顔料や分散染料は、水溶性染料よりも発色が劣る。また、分散物の安定性が低いため、インクジェットプリンターの吐出口で、詰まりを起こしやすい。
特開昭58−45272号公報に、ウレタンポリマーラテックス粒子に染料を内包させる方法が記載されている。しかし、必要な濃度まで染料を粒子に内包させると、着色粒子の分散安定性に問題が生じる。
さらに、顔料や染料を分散させたインクは、多孔質光沢紙に浸み込まないとの問題もある。最近のインクジェットプリンターでは、写真画質の画像を記録するため多孔質写真光沢紙にプリントする場合が多い。インクが多孔質光沢紙に浸み込まないと、画像の耐擦過性に問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、発色性に優れ、ノズル先端での目詰まりがなく微粒子で分散安定性に優れ、特に多孔質写真光沢紙へのしみこみが良好な水性インクを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)〜(4)のインクジェット用インク組成物および下記(5)のインクジェット記録方法を提供する。
(1)沸点が150℃以上である有機溶媒に染料が溶解している油相が水性媒体中に乳化しており、有機溶媒は染料の重量の0.5倍乃至4倍の範囲の量であり、有機溶媒が後述する式(S−I)で表されるリン酸エステルであり、25℃における油相の粘度が20乃至8000mPa・sであることを特徴とするインクジェット用インク組成物。
(2)25℃における油相の粘度が、100乃至4000mPa・sである(1)に記載のインクジェット用インク組成物。
(3)油相の油滴の体積平均粒径が、100nm以下である(1)または(2)に記載のインクジェット用インク組成物。
(4)25℃における油相の比重が、0.90乃至1.15である(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のインクジェット用インク組成物。
(5)支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料に、インク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が、(1)乃至(4)の何れか1つに記載のインク組成物からなることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット用インク組成物は、油相が液滴(油滴)として水性媒体中に乳化している乳化物の状態である。
水性媒体は、水または水と少量の水混和性有機溶剤との混合物を意味する。水性媒体は、必要に応じて、界面活性剤、湿潤剤、安定剤あるいは防腐剤のような添加剤を含むことができる。
油相は、油溶性染料を水非混和性の高沸点有機溶媒に溶解して得られる。有機溶媒の沸点は、150℃以上である。油相は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤あるいは粘度調整剤のような添加剤を含むことができる。
油相の粘度は、20乃至8000mPa・sである。粘度は、100乃至4000mPa・smであることが好ましく、200乃至3000mPa・sであることが最も好ましい。油相の粘度が高いと、インクジェットインクが写真光沢紙へ浸み込みにくく、結果として印字後の耐擦過性が劣化する。
油相の粘度は、公知(例えば、実験化学講座、第4版、113頁に記載)の方法で測定できる。市販の粘度計(例えば、回転振動式粘度計)を用いて測定してもよ。
油相の粘度は、油溶性染料に対して使用する有機溶媒の使用量で調節できる。また、有機溶媒または油溶性染料の種類の変更によっても、粘度を調節できる。有機溶媒の粘度は、油相の粘度に直接影響する。また、エステル結合またはエーテル結合が多く、炭素−炭素間または炭素−ヘテロ原子間の回転障壁の小さい構造の油溶性染料を用いると、粘度が低い油相が得られる。
【0007】
油溶性染料は、水に対する溶解度が1重量%以下であることが好ましい。
イエロー染料の例には、アリールアゾ染料、ヘテロアリールアゾ染料、アゾメチン染料、メチン染料およびキノン染料が含まれる。アリールアゾ染料およびヘテロアリールアゾ染料は、カップリング成分として、フェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類または開鎖型活性メチレン化合物を有することができる。アゾメチン染料は、カップリング成分として、開鎖型活性メチレン化合物を有することができる。メチン染料には、ベンジリデン染料およびモノメチンオキソノール染料が含まれる。キノン染料には、ナフトキノン染料およびアントラキノン染料が含まれる。
さらに、キノフタロン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、アクリジン染料およびアクリジノン染料もイエロー染料として用いることができる。クロモフォアの一部が解離することにより、イエローを呈する化合物もイエロー染料として用いることができる。解離のためのカウンターカチオンは、無機カチオン(例、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン)でも、有機のカチオン(例、ピリジニウムイオン、4級アンモニウムイオン)であってもよい。カチオンからなる部分構造を有するポリマーカチオンを、カウンターカチオンとしてもよい。
【0008】
マゼンタ染料の例には、アリールアゾ染料、ヘテロアリールアゾ染料、アゾメチン染料、メチン染料、カルボニウム染料、キノン染料および縮合多環染料が含まれる。アリールアゾ染料およびヘテロアリールアゾ染料は、カップリング成分として、フェノール類、ナフトール類またはアニリン類を有することができる。アゾメチン染料は、カップリング成分として、ピラゾロン類またはピラゾロトリアゾール類開鎖型活性メチレン化合物を有することができる。メチン染料には、アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料およびオキソノール染料が含まれる。カルボニウム染料には、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料およびキサンテン染料が含まれる。キノン染料には、ナフトキノン染料、アントラキノン染料およびアントラピリドン染料が含まれる。縮合多環染料んいは、ジオキサジン染料が含まれる。
クロモフォアの一部が解離することにより、マゼンタを呈する化合物もマゼンタ染料として用いることができる。解離のためのカウンターカチオンは、無機カチオン(例、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン)でも、有機のカチオン(例、ピリジニウムイオン、4級アンモニウムイオン)であってもよい。カチオンからなる部分構造を有するポリマーカチオンを、カウンターカチオンとしてもよい。
【0009】
シアン染料の例には、アゾメチン染料、ポリメチン染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、アリールアゾ染料、ヘテロアリールアゾ染料、インジゴ染料およびチオインジゴ染料が含まれる。アゾメチン染料には、インドアニリン染料およびインドフェノール染料が含まれる。ポリメチン染料には、シアニン染料、オキソノール染料およびメロシアニン染料が含まれる。カルボニウム染料には、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料およびキサンテン染料が含まれる。アリールアゾ染料およびヘテロアリールアゾ染料は、カップリング成分として、フェノール類、ナフトール類またはアニリン類を有することができる。
クロモフォアの一部が解離することにより、シアンを呈する化合物もシアン染料として用いることができる。解離のためのカウンターカチオンは、無機カチオン(例、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン)でも、有機のカチオン(例、ピリジニウムイオン、4級アンモニウムイオン)であってもよい。カチオンからなる部分構造を有するポリマーカチオンを、カウンターカチオンとしてもよい。
【0010】
好ましい油溶性染料の例には、カラーインデックス(C.I.)の分類で、ソルベント・ブラック3、7、27、29、34;ソルベント・イエロー14、16、19、29、30、56、82、93、162;ソルベント・レッド1、3、8、18、24、27、43、49、51、72、73、109、122、132、218;ソルベント・バイオレット3;ソルベント・ブルー2、11、25、35、70;ソルベント・グリーン3、7;ソルベント・オレンジ2;ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、201、204、224、237;ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119、163;ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356、362;ディスパーズバイオレット33;ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365、368;およびディスパーズグリーン6:1、9が含まれる。
【0011】
市販の油溶性染料(例えば、Nubian Black PC-0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308 、Vali Fast Blue 2606 、Oil Blue BOS、オリエント化学(株)製;およびNeopenYellow 075 、Neopen Mazenta SE1378 、Neopen Blue 808 、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238、BASF社製)を用いてもよい。
下記式(I)で表わされる油溶性アゾメチン染料が好ましい。
【0012】
【化2】
【0013】
式中、R1 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ、−OR11、−SR12、−COOR13、−OCOR14、−NR15R16、−CONR17R18、−SO2 R19、−SO2 NR20R21、−NR22CONR23R24、−NR25COOR26、−COR27、−NR28COR29または−NR30SO2 R31であって、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30およびR31は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基であり;Aは、−NR4 R5 またはヒドロキシであって、R4 およびR5 は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基であり;X1 は、=C(R6 )−または=N−であり;X2 は、−C(R7 )=または−N=であり;R2 、R3 、R6 およびR7 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ、−OR51、−SR52、−COOR53、−OCOR54、−NR55R56、−CONR57R58、−SO2 R59、−SO2 NR60R61、−NR62CONR63R64、−NR65COOR66、−COR67、−NR68COR69または−NR70SO2 R71であって、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70およびR71は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基であり、R2 とR3 、R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 およびR6 とR7 は、互いに結合して環を形成してもよく;Zは、5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群であって、含窒素複素環は脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ、−OR81、−SR82、−COOR83、−OCOR84、−NR85R86、−CONR87R88、−SO2 R89、−SO2 NR90R91、−NR92CONR93R94、−NR95COOR96、−COR97、−NR98COR99または−NR100 SO2 R101 により置換されていてもよく、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89、R90、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、R98、R99、R100 およびR101 は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基であり、含窒素複素環は別の環と縮合環を形成してもよい。
【0014】
式(I)において、Zは、−Y2 =Y1 −N=であることが好ましい。Y1 およびY2 の一方は−C(R8 )=であり、他方は−N=であって、R8 は水素原子、脂肪族基または芳香族基である。
式(I)において、Aは、−NR4 R5 であることが好ましい。
【0015】
式( II )で表わされる油溶性のピラゾロアゾールアゾメチン染料が、さらに好ましい。
【0016】
式(II)において、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 およびR7 は、式(I)における定義と同様である。
式(II)において、Y1 およびY2 の一方は−C(R8 )=であり、他方は−N=であって、R8 は水素原子、脂肪族基または芳香族基である。
式(II)において、Y1 が−C(R8 )=であり、Y2 が−N=であることが特に好ましい。
【0017】
前記式(I)において、R1 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ、−OR11、−SR12、−COOR13、−OCOR14、−NR15R16、−CONR17R18、−SO2 R19、−SO2 NR20R21、−NR22CONR23R24、−NR25COOR26、−COR27、−NR28COR29または−NR30SO2 R31である。R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30およびR31は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。
R1 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−OR11、−SR12、−NR15R16、−SO2 R19、−NR22CONR23R24、−NR25COOR26、−NR28COR29または−NR30SO2 R31であることが好ましく、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−OR11または−NR15R16であることがより好ましく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、
置換アルコキシ基、フェノキシ基、置換フェノキシ基、ジアルキルアミノ基または置換ジアルキルアミノ基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素原子数が1乃至10のアルキル基、炭素原子数が1乃至10の置換アルキル基、炭素原子数6乃至10のアリール基または炭素原子数6乃至10の置換アリール基であることがさらにまた好ましく、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基または炭素原子数が1乃至6の置換アルキル基であることが最も好ましい。
【0018】
本明細書において、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。
アルキル基は分岐を有していてもよい。また、アルキル基は環を形成していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至18であることがさらに好ましい。
置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。
アルケニル基は分岐を有していてもよい。また、アルケニル基は環を形成していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至18であることがさらに好ましい。
置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。
アルキニル基は分岐を有していてもよい。また、アルキニル基は環を形成していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至18であることがさらに好ましい。
置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様であるアラルキル基および置換アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分は下記アリール基と同様である。
置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基および置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、複素環基、−OR111 、−SR112 、−COOR113 、−NR114 R115 、−CONR116 R117 、−SO2 R118 および−SO2 NR119 R120 が含まれる。R111 、R112 、R113 、R114 、R115 、R116 、R117 、R118 、R119 およびR120 は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。
置換アラルキル基のアリール部分の置換基の例は、下記置換アリール基の置換基の例と同様である。
【0019】
本明細書において、芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。
アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。
置換アリール基の置換基の例にはハロゲン原子、シアノ、ニトロ、脂肪族基、複素環基、−OR121 、−SR122 、−COOR123 、−NR124 R125 、−CONR126 R127 、−SO2 R128 および−SO2 NR129 R130 が含まれる。R121 、R122 、R123 、R124 、R125 、R126 、R127 、R128 、R129 およびR130 は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。
【0020】
本明細書において、複素環基は、5員または6員の飽和または不飽和複素環を含むことが好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例にはB、N、O、S、SeおよびTeが含まれる。ヘテロ原子としてはN、OおよびSが好ましい。複素環は、炭素原子が遊離の原子価(一価)を有する(複素環基は炭素原子において結合する)ことが好ましい。飽和複素環の例には、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環および1,3−チアゾリジン環が含まれる。不飽和複素環の例には、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびキノリン環が含まれる。
複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例にはハロゲン原子、シアノ、ニトロ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR131 、−SR132 、−COOR133 、−NR134 R135 、−CONR136 R137 、−SO2 R138 および−SO2 NR139 R140 が含まれる。R131 、R132 、R133 、R134 、R135 、R136 、R137 、R138 、R139 およびR140 は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。
【0021】
前記式(I)において、Aは、−NR4 R5 またはヒドロキシである。ヒドロキシよりも、−NR4 R5 の方が好ましい。R4 およびR5 は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。R4 およびR5 は、それぞれ独立に、水素原子、または脂肪族基であることが好ましく、水素原子、アルキル基または置換アルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素原子数が1乃至18のアルキル基または炭素原子数が1乃至18の置換アルキル基であることが最も好ましい。
【0022】
前記式(I)において、X1 は=C(R6 )−または=N−であり、X2 は、−C(R7 )=または−N=である。X1 とX2 の一方は、=C(R6 )−または−C(R7 )=であることが好ましい。X1 が=C(R6 )−であり、X2 が−C(R7 )=であることがさらに好ましい。
前記式(I)において、R2 、R3 、R6 およびR7 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ、−OR51、−SR52、−COOR53、−OCOR54、−NR55R56、−CONR57R58、−SO2 R59、−SO2 NR60R61、−NR62CONR63R64、−NR65COOR66、−COR67、−NR68COR69または−NR70SO2 R71である。R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70およびR71は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。
【0023】
R2 およびR7 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、−OR51、−NR62CONR63R64、−NR65COOR66、−NR68COR69または−NR70SO2 R71であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、アルキル基、置換アルキル基、−NR62CONR63R64または−NR68COR69であることがより好ましく、水素原子、塩素原子、炭素原子数が1乃至10のアルキル基または炭素原子数が1乃至10の置換アルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または炭素原子数1乃至4の置換アルキル基であることが最も好ましい。
R3 およびR6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、アルキル基または置換アルキル基であることがより好ましく、水素原子、塩素原子、炭素原子数が1乃至10のアルキル基、炭素原子数が1乃至10の置換アルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素原子数が1乃至4のアルキル基、炭素原子数が1乃至4の置換アルキル基であることが最も好ましい。
【0024】
前記式(I)において、R2 とR3 、R3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 およびR6 とR7 は、互いに結合して環を形成できる。環を形成する組み合わせは、R3 とR4 、R4 とR5 またはR5 とR6 であることが好ましい。
R2 とR3 またはR6 とR7 が互いに結合して形成する環は、5員環または6員環であることが好ましい。環は、芳香族環(例、ベンゼン環)または不飽和複素環(例、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、ピリミジン環、ピロール環、フラン環)であることが好ましい。
R3 とR4 またはR5 とR6 が互いに結合して形成する環は、5員環または6員環であることが好ましい。環の例には、テトラヒドロキノリン環およびジヒドロインドール環が含まれる。
R4 とR5 が互いに結合して形成する環は、5員環または6員環であることが好ましい。環の例には、ピロリジン環、ピペリジン環およびモルホリン環が含まれる。
【0025】
前記式(I)において、Zは、5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群である。Zは、5員の含窒素複素環を形成することが好ましい。5員の含窒素複素環の例にはイミダゾール環、トリアゾール環およびテトラゾール環が含まれる。トリアゾール環が好ましく、前記式(II)で示されるトリアゾール環がさらに好ましい。
含窒素複素環は、肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ、−OR81、−SR82、−COOR83、−OCOR84、−NR85R86、−CONR87R88、−SO2 R89、−SO2 NR90R91、−NR92CONR93R94、−NR95COOR96、−COR97、−NR98COR99または−NR100 SO2 R101 により置換されていてもよい。R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89、R90、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、R98、R99、R100 およびR101 は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。含窒素複素環は、別の環と縮合環を形成してもよい。
【0026】
前記式(II)において、Y1 およびY2 は、それぞれ独立に−C(R8 )=または−N=である。R8 は水素原子、脂肪族基または芳香族基である。R8 は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基であることが好ましく、水素原子、炭素原子数が1乃至150の置換アルキル基または炭素原子数が6乃至150の置換アリール基であることがさらに好ましく、炭素原子数が1乃至100の置換アルキル基または炭素原子数が6乃至100の置換アリール基であることが最も好ましい。Y1 およびY2 が共に−C(R8 )=である場合、二つのR8 が互いに結合して環を形成してもよい。形成する環は、6員環であることが好ましい。環は、芳香族環(例、ベンゼン環)であることが好ましい。
Y1 が−C(R8 )=であり、Y2 が−N=であることが特に好ましい。
【0027】
以下に、式(I)で表わされるアゾメチン染料の例を挙げる。
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
式(I)で表わされるアゾメチン染料は、特開平4−126772号、特公平7−94180号の各公報に記載された方法を参考にして合成することができる。
二種類以上の染料を併用してもよい。
【0033】
有機溶媒の沸点は、150℃以上である。沸点は、170℃以上であることが好ましい。有機溶媒の誘電率(25℃における真空中に対する比誘電率)は、3乃至12であることが好ましく、4乃至10であることがさらに好ましい。
高沸点有機溶媒については、米国特許2322027号明細書に記載がある。
高沸点有機溶媒の例には、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステル、フェノールおよびアミドが含まれる。
本発明に用いる高沸点有機溶媒を、下記式(S−I)で表す。下記式(S− II )〜(S−IX)で表される高沸点有機溶媒を併用してもよい。
【0034】
【化7】
【0035】
式(S−I)において、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、脂肪族基またはアリール基である。
式(S−I)において、a、bおよびcは、それぞれ独立に、0または1である。
【0036】
式(S−II)において、R4 およびR5 は、それぞれ独立に、脂肪族基またはアリール基である。
式(S−II)において、R6 は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基である。
式(S−II)において、dは、0〜3の整数である。dが2または3の場合、複数のR6 は互いに異なっていてもよい。
【0037】
式(S-III)において、Arは、アリール基である。
式(S-III)において、eは、1〜6の整数である。
式(S-III)において、R7 は、e価の炭化水素基である。炭化水素基の炭化水素主鎖に、エーテル結合が含まれていてもよい。
【0038】
式(S−IV)において、R8 は、脂肪族基である。
式(S−IV)において、fは、1〜6の整数である。
式(S−IV)において、R9 は、f価の炭化水素基である。炭化水素基の炭化水素主鎖に、エーテル結合が含まれていてもよい。
【0039】
式(S−V)において、gは、2〜6の整数である。
式(S−V)において、R10は、g価の脂肪族基である。
式(S−V)において、R11は、脂肪族基またはアリール基である。
【0040】
式(S−VI)において、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基またはアリール基である。
式(S−VI)において、Xは、−CO−または−SO2 −を表わす。R12とR13またはR13とR14は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0041】
式(S-VII)において、R15は、脂肪族基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基またはシアノである。
式(S-VII)において、R16は、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基である。
式(S-VII)において、hは、0〜3の整数を表わす。hが2または3の場合、複数のR16は互いに異なっていてもよい。
【0042】
式(S-VIII)において、R17およびR18は、それぞれ独立に、脂肪族基またはアリール基である。
式(S-VIII)において、R19は、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基である。
式(S-VIII)において、iは、0〜4の整数を表わす。iが2、3または4の場合、複数のR19は互いに異なっていてもよい。
【0043】
式(S−IX)において、R20およびR21は、脂肪族基またはアリール基である。
式(S−IX)において、jは1または2である。
【0044】
式(S−I)〜(S−IX)における脂肪族基は、分岐を有していてもよい。また、脂肪族基は、環状であってもよい。脂肪族基の置換基の例には、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル、アシルオキシ基およびエポキシ基が含まれる。
【0045】
式(S−I)〜(S−IX)における脂肪族基が環状である場合、3員乃至7員環であることが好ましい。環状脂肪族基の置換基の例には、ハロゲン原子、脂肪族基、ヒドロキシル、アシル基、アリール基、アルコキシ基およびエポキシ基が含まれる。環状脂肪族基に架橋構造を導入してもよい。架橋構造を構成する連結基の例には、メチレン、エチレンおよびイソプロピリデンが含まれる。
【0046】
式(S−I)〜(S−IX)におけるアリール基は、置換基を有していてもよい。アリール基の置換基の例には、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびアルコキシカルボニル基が含まれる。
【0047】
式(S−I)〜(S−IX)における炭化水素基は、環状構造や不飽和結合を有していてもよい。環状構造の環の例には、ベンゼン環、シクロペンタン環およびシクロヘキサン環が含まれる。炭化水素基は置換基を有していてもよい。炭化水素基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アシルオキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびエポキシ基が含まれる。
【0048】
前記式(S−I)において、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素原子数が3乃至24の脂肪族基または炭素原子数が6乃至24のアリール基である。炭素原子数が4乃至18の脂肪族基または炭素原子数が6乃至18のアリール基であることがさらに好ましい。
脂肪族基の例には、n−ブチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシルおよび4−メチルシクロヘキシルが含まれる。
アリール基の例には、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシクル、クメニル、p−メトキシフェニルおよびp−メトキシカルボニルフェニルが含まれる。
前記式(S−I)において、a、b、cは、それぞれ、1であることが好ましい。
【0049】
前記式(S−II)において、R4 およびR5 は、それぞれ独立に、炭素原子数が3乃至24の脂肪族基または炭素原子数が6乃至24のアリール基であることが好ましく、炭素原子数が4乃至18の脂肪族基または炭素原子数が6乃至18のアリール基であることがさらに好ましい。
脂肪族基の例には、n−ブチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、エトキシカルボニルメチル、1,1−ジエチルプロピル、2−エチル−1−メチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、1−エチル−1,5−ジメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ボルニルおよび1−メチルシクロヘキシルが含まれる。
アリール基の例には、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシクル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−t−オクチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2,4,−ジ−t−ブチルフェニルおよび2,4,−ジ−t−ペンチルフェニルが含まれる。
【0050】
前記式(S−II)において、R6 は、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至18のアルキル基、炭素原子数が1乃至18のアルコキシ基、炭素原子数が6乃至18のアリールオキシ基、炭素原子数が2乃至19のアルコキシカルボニル基または炭素原子数が6乃至25のアリールオキシカルボニル基であることが好ましい。
ハロゲン原子は、塩素原子であることが好ましい。
アルキル基の例には、メチル、イソプロピル、t−ブチルおよびn−ドデシルが含まれる。
アルコキシ基の例には、メトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシおよびベンジルオキシが含まれる。
アリールオキシ基の例には、フェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシおよび4−t−ブチルフェノキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニルおよび2−エチルヘキシルオキシカルボニルが含まれる。
式(S−II)において、dは、0または1であることが好ましい。
【0051】
前記式(S-III)において、Arは、炭素原子数が6乃至24のアリール基であることが好ましく、炭素原子数が6乃至18のアリール基であるアリール基であることがさらに好ましい。
アリール基の例には、フェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、1−ナフチル、4−n−ブトキシフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル)である。
前記式(S-III)において、eは、1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがさらに好ましい。
前記式(S-III)において、R7 は、炭素原子数が2乃至24のe価の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数が2乃至18のe価の炭化水素基であることがさらに好ましい。
炭化水素基の例には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、−(CH2 )2 −および以下の各基が含まれる。
【0052】
【化8】
【0053】
炭化水素基の炭化水素主鎖に、エーテル結合が含まれていてもよい。エーテル結合を含む炭化水素基の炭素原子数は、4乃至24であることが好ましく、4乃至18であることがさらに好ましい。
エーテル結合を含む炭化水素基の例には、−CH2 CH2 OCH2 CH2 −、−CH2 CH2 (OCH2 CH2 )3 −、−CH2 CH2 CH2 OCH2 CH2 CH2 −および以下の各基が含まれる。
【0054】
【化9】
【0055】
前記式(S−IV)において、R8 は、炭素原子数が3乃至24の脂肪族基であることが好ましく、炭素原子数が3乃至17の脂肪族基であることがさらに好ましい。
脂肪族基の例には、n−プロピル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、ペンタデシル、8,9−エポキシヘプタデシル、シクロプロピル、シクロヘキシルおよび4−メチルシクロヘキシルが含まれる。
前記式(S−IV)において、fは、1乃至4の整数であることが好ましく、1乃至3の整数であることがさらに好ましい。
前記式(S−IV)において、R9 は、炭素原子数が2乃至24のf価の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数が2乃至18のf価の炭化水素基であることがさらに好ましい。炭化水素基の炭化水素主鎖に、エーテル結合が含まれていてもよい。エーテル結合を含む炭化水素基の炭素原子数は、4乃至24であることが好ましく、4乃至18であることがさらに好ましい。
炭化水素基およびエーテル結合を含む炭化水素基の例は、上記R7 の例と同様である。
【0056】
前記式(S−V)において、gは、2乃至4の整数であることが好ましく、2または3であることがさらに好ましい。
前記式(S−V)において、R10は、g価の脂肪族基である。
脂肪族基の例には、−CH2 −、−(CH2 )2 −、−(CH2 )4 −、−(CH2 )7 −および以下の各基が含まれる。
【0057】
【化10】
【0058】
前記式(S−V)において、R11は、炭素原子数が4乃至24の脂肪族基または炭素原子数が6乃至24のアリール基であることが好ましく、炭素原子数が4乃至18の脂肪族基または炭素原子数が6乃至18のアリール基であることがさらに好ましい。
脂肪族基およびアリール基の例は、前記R4 と同様である。
【0059】
前記式(S−VI)において、R12は、炭素原子数が3乃至20の脂肪族基または炭素原子数が6乃至24のアリール基であることが好ましく、炭素原子数が3乃至18の脂肪族基または炭素原子数が6乃至18のアリール基であることがさらに好ましい。
脂肪族基の例には、n−プロピル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、n−ペンタデシル、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシメチル、4−t−オクチルフェノキシメチル、3−(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)プロピル、1−(2,4−ジ−t−ブチルフェキシ)プロピル、シクロヘキシルおよび4−メチルシクロヘキシルが含まれる。
アリール基の例は、前記Arの例と同様である。
【0060】
前記式(S−VI)において、R13およびR14は、それぞれ独立に、炭素原子数が3乃至24の脂肪族基または炭素原子数が6乃至18のアリール基であることが好ましく、炭素原子数が3乃至18の脂肪族基または炭素原子数が6乃至15のアリール基であることがさらに好ましい。
脂肪族基の例には、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、シクロペンチルおよびシクロプロピルが含まれる。
アリール基の例には、フェニル、1−ナフチルおよびp−トリルが含まれる。
前記式(S−VI)において、R13とR14とが互いに結合して形成する環は、ピロリジン環、ピペリジン環およびモルホリン環が好ましい。
前記式(S−VI)において、R12とR13とが互いに結合して形成する環は、ピロリドン環が好ましい。
前記式(S−VI)において、Xは、−CO−であることが好ましい。
【0061】
前記式(S-VII)において、R15は、炭素原子数が3乃至24の脂肪族基、炭素原子数が5乃至24のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が3乃至24のアルキルスルホニル基、炭素原子数が6乃至30のアリールスルホニル基、炭素原子数が6乃至32のアリール基またはシアノであることが好ましく、炭素原子数が3乃至18の脂肪族基、炭素原子数が5乃至17のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が3乃至18のアルキルスルホニル基、炭素原子数が6乃至24のアリールスルホニル基、炭素原子数が6乃至24のアリール基またはシアノであることがさらに好ましい。
脂肪族基の例には、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル、2−ブチル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ドデシル、2−ヘキサデシル、t−ペンタデシル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
アルコキシカルボニル基の例には、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルおよびn−ドデシルオキシカルボニルが含まれる。
アルキルスルホニル基の例には、n−ブチルスルホニルおよびn−ドデシルスルホニルが含まれる。
アリールスルホニル基の例には、p−トリルスルホニル、p−ドデシルフェニルスルホニルおよびp−ヘキサデシルオキシフェニルスルホニルが含まれる。
アリール基の例には、フェニルおよびp−トリルが含まれる。
【0062】
前記式(S-VII)において、R16は、ハロゲン原子、炭素原子数が3乃至24のアルキル基、炭素原子数が5乃至17のシクロアルキル基、炭素原子数が6乃至32のアリール基、炭素原子数が1乃至24のアルコキシ基または炭素原子数が6乃至32のアリールオキシ基であることが好ましく、塩素原子、炭素原子数が3乃至18のアルキル基、炭素原子数が5乃至15のシクロアルキル基、炭素原子数が6乃至24のアリール基、炭素原子数が1乃至18のアルコキシ基または炭素原子数が6乃至24のアリールオキシ基であることがさらに好ましい。
アルキル基の例は、上記R15の例と同様である。
シクロアルキル基の例には、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
アリール基の例には、フェニルおよびp−トリルが含まれる。
アルコキシ基の例には、メトキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、n−ドデシルオキシおよびn−ヘキサデシルオキシが含まれる。
アリールオキシ基の例には、フェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−t−オクチルフェノキシ、m−ペンタデシルフェノキシおよびp−ドデシルオキシフェノキシが含まれる。
前記式(S-VII)において、hは、1または2であることが好ましい。
【0063】
前記式(S-VIII)において、R17およびR18は、それぞれ独立に、炭素原子数が3乃至24の脂肪族基または炭素原子数が6乃至18のアリール基であることが好ましく、炭素原子数が3乃至18の脂肪族基または炭素原子数が6乃至15のアリール基であることがさらに好ましい。
脂肪族基およびアリール基の例は、前記R13およびR14と同様である。
前記式(S-VIII)において、R19は、ハロゲン原子、炭素原子数が3乃至24のアルキル基、炭素原子数が5乃至17のシクロアルキル基、炭素原子数が6乃至32のアリール基、炭素原子数が1乃至24のアルコキシ基または炭素原子数が6乃至32のアリールオキシ基であることが好ましく、塩素原子、炭素原子数が3乃至18のアルキル基、炭素原子数が5乃至15のシクロアルキル基、炭素原子数が6乃至24のアリール基、炭素原子数が1乃至18のアルコキシ基または炭素原子数が6乃至24のアリールオキシ基であることがさらに好ましい。
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基のおよびアリールオキシ基の例は、前記R15またはR16と同様である。
【0064】
前記式(S−IX)において、R20およびR21は、それぞれ独立に、炭素原子数が3乃至24の脂肪族基または炭素原子数が6乃至24のアリール基であることが好ましく、炭素原子数が4乃至18の脂肪族基または炭素原子数が6乃至18のアリール基であることがさらに好ましい。
脂肪族基およびアリール基の例は、前記R1 、R2 およびR3 と同様である。
前記式(S−IX)において、jは、1であることが好ましい。
【0065】
式(S−I)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0066】
【化11】
【0067】
【化12】
【0068】
【化13】
【0069】
式(S−II)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0070】
【化14】
【0071】
【化15】
【0072】
【化16】
【0073】
式(S-III)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0074】
【化17】
【0075】
式(S−IV)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0076】
【化18】
【0077】
【化19】
【0078】
式(S−V)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0079】
【化20】
【0080】
【化21】
【0081】
式(S−VI)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0082】
【化22】
【0083】
【化23】
【0084】
【化24】
【0085】
式(S-VII)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0086】
【化25】
【0087】
【化26】
【0088】
式(S-VIII)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0089】
【化27】
【0090】
式(S−IX)で表される高沸点有機溶媒の例を、以下に示す。
【0091】
【化28】
【0092】
二種類以上の高沸点有機溶媒を混合して用いてもよい。高沸点有機溶媒の組み合わせの例には、トリクレジルホスフェートとジブチルフタレートとの組み合わせ、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケートとの組み合わせおよびジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)との組み合わせが含まれる。
高沸点有機溶媒は、染料の重量の0.1倍乃至10倍の範囲の量で使用することが好ましく、0.5倍乃至4倍の範囲の量で使用することがさらに好ましい。
【0093】
高沸点有機溶媒の合成方法については、米国特許2322027号、同2533514号、同2772163号、同2835579号、同3594171号、同3676137号、同3689271号、同3700454号、同3748141号、同3764336号、同3765897号、同3912515号、同3936303号、同4004928号、同4080209号、同4127413号、同4193802号、同4207393号、同4220711号、同4239851号、同4278757号、同4353979号、同4363873号、同4430421号、同4430422号、同4464464号、同4483918号、同4540657号、同4684606号、同4728599号、同4745049号、同4935321号、同5013639号、欧州特許276319A号、同286253A号、同289820A号、同309158A号、同309159A号、同309160A号、同509311A号、同510576A号、東独特許147009号、同157147号、同159573号、同225240A号、英国特許2091124A号の各明細書、および特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号の各公報に記載がある。
【0094】
低沸点有機溶媒を、高沸点有機溶媒と併用してもよい。
低沸点有機溶媒は、常圧での沸点が30℃以上、150℃以下の有機溶媒である。低沸点有機溶媒の例には、エステル(例、エチルアセテート、ブチルアセテート、エチルプロピオネート、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート)、アルコール(例、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、セカンダリーブチルアルコール)、ケトン(例、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)およびエーテル(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン)が含まれる。
【0095】
インク組成物は、染料を高沸点有機溶媒に溶解して得た油相を、水性溶媒(水相)に乳化して調製する。
油相または水相に、必要に応じて、界面活性剤、湿潤剤、染料安定化剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤のような添加剤を加えることができる。
乳化法としては、水相中に油相を添加する方法が一般的である。ただし、油相中に水相を滴下してから転相する転相乳化法を採用してもよい。
【0096】
乳化において界面活性剤を用いることができる。アニオン界面活性剤またはノニオン界面活性剤が好ましい。アニオン界面活性剤の例には、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物およびポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が含まれる。ノニオン界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルおよびオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーが含まれる。
また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤(市販品としては、SURFYNOLS、AirProducts&Chemicals社製)を用いてもよい。アミンオキシド型の両性界面活性剤(例、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシド)を用いることもできる。界面活性剤については、特開昭59−157636号号公報(37〜38頁)およびリサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)に記載がある。
【0097】
界面活性剤に加えて、水溶性ポリマーを水相に添加してもよい。水溶性ポリマーは、乳化物を安定化する機能がある。水溶性ポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドおよびこれらのコポリマーが含まれる。また、多糖類(例、デンプン)やタンパク質(例、カゼイン、ゼラチン)のような天然水溶性ポリマーを用いてもよい。
【0098】
また、水分散型(自己乳化型)ポリマーを添加してもよい。水分散型ポリマーも、乳化物を安定化する機能がある。水分散型ポリマーは、さらに、イオン解離型、非イオン性分散性基含有型および混合型に分類できる。イオン解離型のポリマーの例には、カチオン性の解離基(例、三級アミノ)を有するポリマーおよびアニオン性の解離基(例、カルボキシル、スルホ)を有するポリマーが含まれる。非イオン性分散性基含有型のポリマーの例には、非イオン性分散性基(例、ポリエチレンオキシ基)を有するポリマーが含まれる。アニオン性の解離性基を有するイオン解離型のポリマー、非イオン性分散性基含有型のポリマー、およびこれらの混合型のポリマーが好ましい。
【0099】
乳化物中の油滴の体積平均粒子サイズは、100nm以下であることが好ましく、1乃至50nmであることがさらに好ましい。
体積平均粒子サイズは、公知の方法で測定できる。例えば、インク組成物中の染料濃度が0.1〜1重量%の範囲になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均サイズ測定機(マイクロトラックUPA、日機装(株)製)を用いて容易に測定できる。
また、インク1μl中に含まれるサイズが5μm以上の油滴の数を、10個以下に抑制することが好ましい。また、インク1μl中に含まれるサイズが1μm以上の油滴の数を、1000個以下に抑制することが好ましい。
粗大な油滴は、遠心分離法や精密濾過法で除去することができる。粗大な油滴は、乳化物の調製直後からインクカートリッジに充填する直前までの任意の時期に実施できる。
機械的な乳化装置を使用すると、油滴の平均サイズを小さくし、かつ粗大な油滴を減少させることができる。
【0100】
乳化は、スターラー攪拌装置、インペラー撹拌装置、インライン撹拌装置、ミル(例、コロイドミル)、超音波攪拌装置あるいは高圧ホモジナイザーを使用して実施できる。高圧ホモジナイザーの使用が好ましい。
高圧ホモジナイザーについては、米国特許4533254号明細書および特開平6−47264号公報に記載がある。市販の高圧ホモジナイザー(例、ゴーリンホモジナイザー、A.P.V GAULIN INC.製;マイクロフルイダイザー、MICROFLUIDEX INC.製;アルティマイザー、株式会社スギノマシン製)を用いてもよい。超高圧ジェット流を利用する高圧ホモジナイザー(米国特許5720551号明細書記載)を用いることが特に好ましい。超高圧ジェット流を用いた市販の乳化装置(DeBEE2000、BEE INTERNATIONAL LTD.社製)を用いることもできる。
【0101】
高圧乳化分散装置で乳化する際の圧力は、500bar以上であることが好ましく、600bar以上であることがさらに好ましく、1800bar以上であることが最も好ましい。
二種以上の乳化装置を併用してもよい。撹拌装置で乳化した後、高圧ホモジナイザーでの乳化を実施することが特に好ましい。撹拌装置での乳化と、高圧ホモジナイザーでの乳化との間に、湿潤剤や界面活性剤のような添加剤を加えてもよい。
油相が、高沸点有機溶媒に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化後に低沸点溶媒を除去することが好ましい。低沸点溶媒は、加熱蒸発、真空蒸発あるいは限外濾過により除去できる。低沸点有機溶剤の除去は、なるべく乳化直後に実施することが好ましい。
【0102】
乾燥防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、乳化剤、乳化安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤あるいはキレート剤をインクジェット用インクに添加することができる。
等の添加剤を適宜選択して適量使用することができる。
【0103】
乾燥防止剤として、水より蒸気圧が低い水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤の例には、多価アルコール(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン)、多価アルコールの低級アルキルエーテル(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル)複素環化合物(例、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン)、含硫黄化合物(例、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン)、多官能化合物(例、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン)および尿素誘導体が含まれる。多価アルコールが特に好ましい。二種類以上の乾燥防止剤を併用してもよい。インクジェット用インクは、乾燥防止剤を10乃至50重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0104】
浸透促進剤としては、アルコール(例、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール)、硫酸エステル塩(例、ラウリル硫酸ナトリウム)、脂肪酸塩(例、オレイン酸ナトリウム)またはノニオン性界面活性剤を用いることができる。インクジェット用インクは、浸透促進剤を10乃至30重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0105】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール化合物(特開昭58−185677号、同61−190537号、特開平2−782号、同5−197075号、同9−34057号の各公報記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号、特開平5−194483号の各公報、米国特許3214463号明細書記載)、桂皮酸化合物(特公昭48−30492号、同56−21141号、特開平10−88106号の各公報記載)またはトリアジン化合物(特開平4−298503号、同8−53427号、同8−239368号、同10−182621号、特表平8−501291号の各公報記載)を用いることができる。紫外線吸収剤については、リサーチディスクロージャーNo.24239号にも記載がある。また、紫外線を吸収して蛍光を発する蛍光増白剤を用いてもよい。そのような蛍光増白剤の例には、スチルベン化合物およびベンズオキサゾール化合物が含まれる。
【0106】
酸化防止剤としては、褪色防止剤として知られている有機化合物または金属錯体化合物を使用することができる。有機褪色防止剤には、ハイドロキノン化合物、アルコキシフェノール化合物、ジアルコキシフェノール化合物、フェノール化合物、アニリン化合物、アミン化合物、インダン化合物、クロマン化合物、アルコキシアニリン化合物およびヘテロ環化合物が含まれる。金属錯体褪色防止剤には、ニッケル錯体および亜鉛錯体が含まれる。酸化防止剤については、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.1
8716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162、特開昭62−215272号公報(127頁〜137頁)に記載がある。
【0107】
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンまたはその塩を用いることができる。インクジェット用インクは、防黴剤を0.02乃至1.00重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0108】
pH調整剤としては、アルカリ金属水酸化物(例、水酸化リチウム、水酸化カリウム)、炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム)、カルボン酸塩(例、酢酸カリウム)、無機塩(例、ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム)または有機塩基(例、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン)を用いることができる。
インクジェット用インクは、pHを6乃至10に調整することが好ましく、7乃至10に調整することがさらに好ましい。
【0109】
表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤またはアニオン界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は、25℃での水に対する溶解度が0.5重量%以上であることが好ましい。
インクジェット用インクは、表面張力を20乃至60mN/mに調整することが好ましく、25乃至45mN/mに調整することがさらに好ましい。
インクジェット用インクの粘度(前述した油相ではなく、インク全体の粘度)は、30mPa・s以下であるが好ましく、20mPa・s以下であることがさらに好ましい。
【0110】
乳化剤または乳化安定剤として、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤を用いることができる。
消泡剤として、フッ素化合物、シリコーン化合物やキレート剤(例、EDTA)を使用することができる。
添加剤は、油相、水相または乳化後の乳化物に添加する。通常は、添加剤を乳化後の乳化物に添加する。
【0111】
インクジェット記録方法に用いる受像材料には、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙(特開昭62−238783号、特開平2−276670号、同7−276789号、同8−169172号、同8−27693号、同9−323475号、同10−153989号、同10−217473号、同10−217597号、同10−235995号、同10−337947号の各公報記載)、フイルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属および陶磁器が含まれる。
【0112】
受像材料の支持体は、紙であることが好ましい。紙支持体は、化学パルプ(例、LBKP、NBKP)、機械パルプ(例、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP)あるいは古紙パルプ(DIP)を用い、必要に応じて添加剤(例、顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤)を混合して、抄紙装置(例、長網抄紙機、円網抄紙機)から製造できる。
合成紙またはプラスチックフイルムを支持体として用いてもよい。
支持体の厚さは、10乃至250μmであることが好ましい。
紙支持体の坪量は、10乃至250g/m2 であることが好ましい。
支持体上に受像層を設けることが好ましく、白色無機顔料粒子を含有する受像層を設けることがさらに好ましい。また、支持体にバックコート層を設けてもよい。
紙支持体をサイズプレスしてから、受像層またはバックコート層を設けてもYよい。サイズプレスは、親水性ポリマー(例、デンプン、ポリビニルアルコール)を用いて実施する。
支持体と受像層またはバックコート層との間に、アンカーコート層を設けてもよい。
【0113】
紙支持体をカレンダー処理して、表面を平坦にしてから、上記の各層を設けてもよい。カレンダー処理は、カレンダー装置(例、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー)を用いて実施できる。
両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン、それらのコポリマー)でラミネートした紙またはプラスチックフイルムも、支持体として好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することができる。
【0114】
受像層は、一般に、顔料および水性バインダーを含む。
顔料としては、白色顔料が好ましく、無機白色顔料が特に好ましい。
無機白色顔料の例には、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛および炭酸亜鉛が含まれる。
無機白色顔料は、多孔性であることが好ましい。細孔面積が大きい合成非晶質シリカが、好ましく用いられる。合成非晶質シリカとしては、乾式製造法によって得られる無水珪酸および湿式製造法によって得られる含水珪酸を使用できる。含水珪酸が特に好ましい。
有機白色顔料を無機白色顔料と併用してもよい。有機白色顔料の例には、スチレン系顔料、アクリル系顔料、尿素樹脂およびメラミン樹脂が含まれる。
【0115】
受像層の水性バインダーとしては、水溶性ポリマー(例、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体)または水分散性ポリマー(例、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン)を用いることができる。ポリビニルアルコールおよびシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましい。二種類以上の水性バインダーを併用してもよい。
受像層は、顔料および水性バインダーに加えて、媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤および界面活性剤を添加することができる。
【0116】
受像層に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤を用いることが好ましい。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、および米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報(212〜215頁)に記載のポリマー媒染剤が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される
【0117】
耐水化剤としては、カチオン樹脂を用いることが好ましい。カチオン樹脂の例には、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミドおよびコロイダルシリカが含まれる。ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが特に好ましい。カチオン樹脂は、受像層の全固形分の1乃至15重量%の範囲で用いることが好ましく、3乃至10重量%の範囲で用いることがさらに好ましい。
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダーアミン系酸化防止剤あるいはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(例、ベンゾフェノン)を用いることができる。硫酸亜鉛が特に好ましい。
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
受像層には、さらに、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤あるいは硬膜剤を添加してもよい。
二層以上の受像層を設けてもよい。
【0118】
バックコート層には、白色顔料あるいは水性バインダーを添加できる。
白色無機顔料の例には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウムおよび水酸化マグネシウムが含まれる。有機白色顔料の例には、スチレン系顔料、アクリル系顔料、ポリエチレン顔料、マイクロカプセル顔料、尿素樹脂およびメラミン樹脂が含まれる。
水性バインダーとしては、水溶性ポリマーまたは水分散性ポリマーが用いられる。水溶性ポリマーの例には、ポリスチレン、ポリマレイン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが含まれる。これらのコポリマー(例、スチレン/マレイン酸塩コポリマー、スチレン/アクリル酸塩コポリマー)を用いてもよい。水分散性ポリマーの例には、スチレンブタジエンラテックスおよびアクリルエマルジョンが含まれる。
バックコート層は、さらに、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤あるいは耐水化剤を含むことができる。
【0119】
受像材料を構成する層に、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバック層に添加しても、カールを防止できる
【0120】
インクジェットの記録方法は、公知の方式に従い実施できる。インクジェット方式には、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、およびインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式がある。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式、あるいは無色透明のインクを用いる方式も含まれる。
【0121】
【実施例】
[実施例1]
油溶性染料(d−7)8gおよびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム5gを、高沸点有機溶媒(s−2)6g、高沸点有機溶媒(s−11)10gおよび酢酸エチル50mlの混合液中に添加し、70℃にて溶解させた。
得られた溶液(油相)中に、500mlの脱イオン水(水相)をマグネチックスターラーで撹拌しながら添加し、O/W型の乳化物を調製した。
乳化物を、600barの圧力で高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、MICROFLUIDEX INC.製)を5回通過させることで、さらに微細に乳化した。乳化物をロータリーエバポレーターにて酢酸エチルの臭気が無くなるまで、脱低沸点溶媒処理を行った。
得られた微細乳化物に、ジエチレングリコール130g、グリセリン60g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.2gおよび脱イオン水700mlを添加してライトマゼンタインクを作製した。
【0122】
(試料102〜107の作製)
染料、高沸点有機溶媒、水溶性溶剤や界面活性剤を、表1に示すように変更した以外は、試料101と同様にして試料102〜107を作製した。なお、試料103、106および107は参考例である。
【0123】
(試料108の作製)
染料の量および高沸点有機溶媒の量を表1に示すように変更し、重量平均分子量が50000であるポリブチルメタクリレートを表1に示すように添加した以外は、試料101と同様にして試料108を作製した。
【0124】
(試料109の作製)
界面活性剤の量を、表1に示すように変更した以外は、試料101と同様にして試料109を作製した。
【0125】
(試料110の作製)
染料の量を表1に示すように変更し、高沸点有機溶媒を除き、重量平均分子量が50000であるポリブチルメタクリレートを表1に示すように添加した以外は、試料101と同様にして試料110を作製した。
【0126】
(試料111の作製)
市販の屋外用顔料マゼンタインク(カレイダ、富士写真フイルム(株)製)を、そのまま試料111として用いた。
【0127】
試料101〜試料111のインク内の油滴または粒子について、体積平均サイズを測定機(マイクロトラックUPA、日機装(株)製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
次に、表1に記載の比率で、染料、高沸点有機溶媒、ポリマーおよび酢酸エチルを混合し、70℃で溶解した後、100℃のホットプレート上で酢酸エチルの臭気がなくなるまで加熱した。同時に、残存した混合物の重量が酢酸エチル以外の成分の添加量の合計重量になっていることを確認し、酢酸エチルが完全に蒸発していることを確認した。なお、界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウムは添加しなかった。調製した油相のモデルを25℃に保ち、回転振動式粘度計(ビスコメイトVM−100A、山一電機(株)製)で粘度を測定した。プローブは原則としてM(中粘度タイプ、測定可能範囲:100〜10000mPa・s)を使用し、粘度が500mPa・s以下の場合はL(低粘度タイプ・測定可能範囲0.4〜500mPa・s)を使用した。結果を表1に示す。
また、油相モデルの25℃における比重を測定した。結果を表1に示す。
【0128】
インク試料101〜111をインクジェットプリンター(PM670C、エプソン(株)製)のカートリッジに詰め、市販のフォトプリント紙(フォト光沢紙EX、富士写真フイルム(株)製;PM写真用紙、エプソン(株)製;およびプロフェッショナルフォトペーパー、キャノン(株)製)に画像の印刷を行った。印刷性能は、ベタ画像を印字したときの印字スジを目視で評価し、擦過性試験は、印字1時間後および1日後に、印字した画像を消しゴムでこすり、濃度変化があるかどうかを目視で評価した。また、これらのインクを60℃および冷蔵(4℃)で1週間保存した後の、インクの状態(にごり、沈降、クリーミング)を目視で評価した。
以上の結果も表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
油相粘度が8000mPa・s以下であるインクは、顔料インク(試料110)と比較すると、擦過性に優れ、高い画像定着性を有する。油相粘度が4000mPa・s以下であり、かつ油相比重が0.90〜 1.15であるインクは、印字直後から画像定着性に優れ、インクの経時安定性も非常に優れている。
【0131】
[実施例2]
マゼンタ染料(d−7)の代わりに、イエロー染料(Y−1)またはシアン染料(C−1)を用いた以外は、実施例1の試料101の作製と同様にして、イエローインク(試料201)またはシアンインク(試料202)を調製した。
【0132】
【化29】
【0133】
調製したインクを用いて、インクジェットプリンター(PM770C、エプソン(株)製)で印刷したところ、良好な印刷性能、画像定着性およびインク保存安定性が認められた。
また、マゼンタインク(試料101)、イエローインク(試料201)、シアンインク(試料202)を混合してブラックインクを作製した。このブラックインクを用いて、インクジェットプリンター(PM770C、エプソン(株)製)で印刷したところ、良好な印刷性能、画像定着性およびインク保存安定性が認められた。
【0134】
[実施例3]
実施例1で作製した同じインクを、インクジェットプリンター(BJ−F850、キャノン(株)製)のカートリッジに詰め、フォト光沢紙(GP−301、キャノン(株)製)に画像をプリントしたところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0135】
【発明の効果】
本発明により、分散インクの欠点であった写真光沢紙への定着性が解決でき、印字性能、画像定着性、保存安定性のよい分散型インクジェットインクの作製が可能となった。
Claims (5)
- 25℃における油相の粘度が、100乃至4000mPa・sである請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
- 油相の油滴の体積平均粒径が、100nm以下である請求項1または2に記載のインクジェット用インク組成物。
- 25℃における油相の比重が、0.90乃至1.15である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
- 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料に、インク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が、請求項1乃至4の何れか1項に記載のインク組成物からなることを特徴とするインクジェット記録方法。
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