JP2007204632A - インク組成物およびこれを用いる記録方法 - Google Patents

インク組成物およびこれを用いる記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐オゾン性の更なる向上および色相変化の抑制が可能なインク組成物およびこれを用いる記録方法を提供すること。
【解決手段】特定のマゼンタ染料および水溶性有機溶剤を少なくとも含むインク組成物であって、前記水溶性有機溶剤中、チオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物が10質量%以上80%質量%以下を占めることを特徴とするインク組成物およびこれを用いた記録方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物およびこれを用いる記録方法に関するものであり、とくに耐オゾン性の更なる向上および色相変化の抑制が可能なインクジェット記録用インクとして好適なインク組成物およびこれを用いる記録方法に関する。
近年、コンピューターの普及に伴いインクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、フィルム、布等に印字・描画するために広く利用されている。
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
これらのインクのうち、水性インクは、製造・取り扱い性・臭気・安全性等の点を鼎立させ得る可能性の点では油性インクや固体(溶融型)インクよりは比較的優っているので、現用インクジェット記録用インクの主流となっている。
これらのインクジェット記録用インクに用いられる色素に対しては、溶剤(インク媒体)に対する溶解性が高いこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、空気、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、さらには、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、上記の諸要件を高いレベルで満たす色素を捜し求めることは、極めて難しい。特に、色相が優れていることと堅牢であることとは多くの場合に相反することであり、マゼンタインク用の色材には、上記した諸要件を満たすものが得にくく、とりわけ良好なマゼンタ色相と酸化性雰囲気に耐える光堅牢性を両立させた色素を見出すことは困難が伴う。
したがって、既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているにも係らず、未だに上記した全ての要求を満足する色素は、発見されていないのが現状である。
カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来から良く知られている染料や顔料では、インクジェット記録用インクに要求される色相と堅牢性とを両立させることは難しい。
堅牢性を向上させる染料として下記の特許文献1に記載のアリールアミンと5員ヘテロ環アミンから誘導されるアゾ染料が提案されている。しかし、これらの染料はイエロ−およびシアンの領域に好ましくない色相を有しているために、色再現性を悪化させる問題を有していた。
下記の特許文献2および特許文献3には、色相と光堅牢性の両立を目的としたインクジェット記録用インクが開示されている。しかし、各公報で用いている色素は、水溶性インクとして用いる場合には、水への溶解性が不十分である。また各公報に記載の色素をインクジェット用水溶性インクとして用いると、湿熱堅牢性にも問題が生じる。
これらの問題を解決する手段として、下記の特許文献4〜6に記載の改良されたマゼンタ色素とそれを用いたインクが提案されている。しかしながらこれらのインクジェット記録用インクでは、色再現性、出力画像の堅牢性のいずれも不十分であった。
さらに、写真画質用のインクジェット専用光沢紙に記録し、室内の壁面などに貼っておいた場合の画像の保存性が著しく悪い場合があることが判明した。本発明者はこの現象を、オゾン等、何らかの空気中の酸化性ガスによるものと推定している。また、ガラス製の額に入れる等の処置により空気の流れを遮断すると起こりにくくはなるもののそれでは使用条件が制約されてしまう。
この現象は、写真画質用のインクジェット専用光沢紙において特に顕著であり、写真画質が重要な特徴のひとつとなっている現在のインクジェット記録方式にとって大きな問題であった。
一方、上記のような水溶性染料を用いたインクジェット記録用インクは、上記利点を有する反面、褪色時に色相変化が生じるという問題点があり、その解決が求められている。
特開昭55−161856号公報 特開昭61−36362号公報 特開平2−212566号公報 特表平11−504958号公報 特開2002−371079号公報 特開2002−371214号公報
本発明の目的は、前記従来技術の項で述べたインクが抱えている問題点を解決することであり、具体的には、耐オゾン性の更なる向上および色相変化の抑制が可能なインク組成物およびこれを用いる記録方法を提供することにある。
本発明は、以下のとおりである。 1)下記一般式(1)で表される化合物および水溶性有機溶剤を少なくとも含むインク組成物であって、前記水溶性有機溶剤中、チオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物が10質量%以上80質量%以下を占めることを特徴とするインク組成物。
Figure 2007204632
一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基又はアシル基を表す。各置換基は、さらに置換されていてもよい。R2は、水素原子、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。各置換基はさらに置換されていてもよい。R4、R5、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。各置換基はさらに置換されていてもよい。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。
2)下記一般式(2)で表される化合物および水溶性有機溶剤を少なくとも含むインク組成物であって、前記水溶性有機溶剤中、チオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物が10質量%以上80質量%以下を占めることを特徴とするインク組成物。
Figure 2007204632
一般式(2)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わす。また、R1とR、またはR3とR4が結合して5または6員環を形成してもよい。aおよびeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、aおよびe が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。b、c、dは、各々独立にR1、R2と同義であり、aとb、または、eとdで互いに縮環していてもよい。Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。Qは、水素原子、脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。但し、一般式(2)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
3)上記1)または2)に記載のインク組成物を用いることを特徴とする記録方法。
4)インクジェット記録方法であることを特徴とする上記3)に記載の記録方法。
本発明によれば、使用される染料および水溶性有機溶剤の成分を特定したため、環境中の活性ガス(オゾン等)に対して染料の分解が抑制されて耐候性に優れ、しかも褪色時に色相変化が生じることのないインク組成物およびこれを用いた記録方法が提供される。
以下、本発明の具体的実施形態について詳細に説明する。
まず、一般式(1)で表される化合物(アゾ染料)について説明する。
一般式(1)は好ましくは一般式(1−R1)及び一般式(1−H1)である。さらに一般式(1−R1)は好ましくは一般式(1−R2)、一般式(1−R3)、及び一般式(1−R4)である。同様に一般式(1−H1)は好ましくは一般式(1−H2)である。一般式(1)で表される化合物は、水溶性であるものが好ましい。
Figure 2007204632
一般式(1−R1)中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、A1及びA2は、一般式(1)と同義であり、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基である。
Figure 2007204632
一般式(1−R2)中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、A1及びA2は、一般式(1−R1)と同義であり、R4は、置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基である。
Figure 2007204632
一般式(1−R3)中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、A1及びA2は、一般式(1−R1)と同義である。
Figure 2007204632
一般式(1−R4)中、R1、R2、R3、A1及びA2は、一般式(1−R1)と同義であり、R4、R5、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、又はカルバモイル基である。
Figure 2007204632
一般式(1−H1)中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、A1及びA2は、一般式(1)と同義である。
Figure 2007204632
一般式(1−H2)中、R1、R2、R6、A1及びA2は、一般式(1−H1)と同義であり、R5とR7が水素原子ではない。
以下に本発明の一般式(1)で表される化合物について詳しく述べる。R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基を表し、各置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基は、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル及び4−スルホブチルが含まれる。シクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が含まれる。
アラルキル基としては、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アラルキル基の例には、ベンジル基、及び2−フェネチル基が含まれる。アリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基及びイオン性親水性基が含まれる。アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
ヘテロ環基には、置換基を有するヘテロ環基及び無置換のヘテロ環基が含まれる。ヘテロ環基としては、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基の例には、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基及びイオン性親水性基が含まれる。へテロ環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基及び2−フリル基が含まれる。アシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
2は、水素原子、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。R4,R5,R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、カルバモイル基を表し、各置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基に関しては、上記R1と同義である。アルケニル基には、置換基を有するアルケニル基及び無置換のアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が5〜12のアルケニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基等が含まれる。スルホニル基としては、アルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル基、及びアリールスルホニル基、例えばフェニルスルホニル基等が含まれる。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。
3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表し、これら各置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基の詳細は上記R4,R5,R6及びR7の場合と同じである。A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。置換基を有していてもよい炭素原子の置換基は、上記R4,R5,R6及びR7の場合と同じである。
一般式(1)に関して、R1〜R7、A1及びA2が表す好ましい置換基の例を以下に示す。R1は、アルキル基及びアリール基が好ましい。さらに、アルキル基のうち、イソプロピル基、t−ブチル基が最も好ましい。アリール基では、フェニル基及びピラゾール母核側から見て2位、4位又は6位のいずれかにさらなる置換基を有するフェニル基が好ましい。R2はシアノ基が最も好ましい。
3は、電子吸引性基で置換されたアリール基又はヘテロ環基が好ましい。ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。
3の上記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上のの電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基及びσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられ、好ましくはシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子である。上記ヘテロ環基は、電子吸引性基で置換されていてもいなくてもよい。
1及びA2は、既に述べたように、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。A1とA2が共に炭素原子である場合が、より優れた性能を発揮できる点で好ましい。炭素原子のさらなる置換基としては、炭素原子数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基が好ましい。また、R4、R5、R6及びR7は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、スルホニル基、アシル基、ヘテロ環基が好ましく、さらにはスルホニル基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基が最も好ましい。なお、既に述べたことであるが、R4とR5は共に水素原子となることはなく、またR6とR7が共に水素原子となることはない。
本発明の一般式(1)で表される化合物を水溶性として用いる場合、R3、R4、R5、R6、及びR7のうち少なくとも2つ以上のスルホ基、又はカルボキシル基で置換されていることが好ましく、さらには3つ以上のスルホ基、又はカルボキシル基で置換されていることがより好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物の製造方法は公知であり、例えば特開2002−371079号公報に開示されている。
本発明の一般式(1)で現される化合物の具体例(例示化合物1−1〜8−3)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2007204632



Figure 2007204632



Figure 2007204632



Figure 2007204632



Figure 2007204632
Figure 2007204632
Figure 2007204632
Figure 2007204632
Figure 2007204632
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Figure 2007204632



Figure 2007204632
Figure 2007204632



Figure 2007204632



Figure 2007204632
Figure 2007204632
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。一般式(2)で表される化合物は、水溶性であるものが好ましい。
1、R2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。
3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基(置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基等)、アリール基(置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基等)、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基(アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基)、またはスルファモイル基を表す。好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルバモイル基であり、各置換基はさらに置換されていてもよい。
また、R1とR、あるいはR3とR4が結合して5または6員環を形成してもよい。
aおよびeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、aおよびeが共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。b、c、dは、各々独立にR1、R2と同義であり、aとb、または、eとdで互いに縮環していてもよい。但し、一般式(2)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
また一般式(2)において、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。
Z1の上記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上のの電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基およびσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられ、Z1として好ましくはシアノ基、ニトロ基、またはハロゲン原子であり、ハロゲン原子、またはシアノ基がより好ましく、シアノ基が最も好ましい。
2は、水素原子、脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。Z2としては水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルケニル基又はスルホニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。各置換基はさらに置換されていてもよい。
アルキル基には、置換基を有するアルキル基および無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基は、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピルおよび4−スルホブチルが含まれる。
シクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基および無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が含まれる。
アラルキル基としては、置換基を有するアラルキル基および無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アラルキル基の例には、ベンジル基、および2−フェネチル基が含まれる。
アリール基には、置換基を有するアリール基および無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基およびイオン性親水性基が含まれる。アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
ヘテロ環基には、置換基を有するヘテロ環基および無置換のヘテロ環基が含まれる。ヘテロ環基としては、5員または6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基の例には、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基およびイオン性親水性基が含まれる。ヘテロ環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基および2−フリル基が含まれる。
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。
置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
アルケニル基には、置換基を有するアルケニル基および無置換のアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が5〜12のアルケニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基等が含まれる。
スルホニル基としては、アルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル基、およびアリールスルホニル基、例えばフェニルスルホニル基等が含まれる。
ただし、R3とR4が共に水素原子であることはない。
Qは、水素原子、脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。好ましくはは、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、これら各置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基の詳細は上記R1、R2の場合と同じである。
Qは、電子吸引性基で置換された、アリール基またはヘテロ環基が好ましい。
Qの上記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上のの電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基およびσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられ、好ましくはシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子である。上記ヘテロ環基は、電子吸引性基で置換されていてもいなくてもよい。
3、R4は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、またはアシル基、aおよびeは、アルキル基またはハロゲン原子が好ましく、aおよびeが共にアルキル基の時は無置換アルキル基であって、aおよびeの炭素数の合計が3以上(好ましくは5以下)であり、a、b、c、dは、各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、イオン性親水性基(好ましくは各々水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、イオン性親水性基)の場合が好ましい組み合わせである。
1はシアノ基が最も好ましい。
2は、アルキル基またはアリール基が好ましい。さらに、アルキル基のうち、炭素数3〜4のアルキル基(好ましくはイソプロピル基、t−ブチル基)が好ましい。アリール基では、フェニル基およびピラゾール母核側から見て2位、4位または6位のいずれかにさらなる置換基を有するフェニル基が好ましい。
一般式(2)に関して、好ましい置換基の組み合わせ例を以下に示す。Z1はシアノ基;Z2は、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基(好ましくはt−ブチル基);R1は水素原子;R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基);R3、R4は各々水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、またはアシル基、好ましくは水素原子、ヘテロ環(好ましくはベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環(好ましくは無置換またはスルホ置換のベンゾチアゾール環))基またはアルキルおよび/またはスルホが置換されたフェニル基;aおよびeは、各々がアルキル基であって、a+eが炭素数3以上(好ましくは5以下)の置換されていてもよいアルキル基、好ましくは炭素数4以上5以下の無置換アルキル基;b、c、dは、各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、イオン性親水性基(好ましくは各々水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、スルホ基);Qは、ヘテロ環(好ましくはベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環(好ましくはスルファモイルもしくはスルホ置換の、ベンズオキサゾール環またはベンゾチアゾール環))基の場合が好ましい組み合わせである。
一般式(2)で表される化合物(アゾ染料)はその分子内にイオン性親水性基を少なくとも1つ(好ましくは3つ以上6つ以下)有する。イオン性親水性基は、イオン性解離基である限りいかなるものであってもよい。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、中でもカルボキシル基、スルホ基が好ましい。特に少なくとも1つはスルホ基である事が最も好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
上記アゾ染料はその分子内にイオン性親水性基を3つ以上6つ以下有することが好ましく、スルホ基を3つ以上6つ以下有することがより好ましく、スルホ基を3つ以上5つ以下有することが更に好ましい。
(アゾ染料の製造方法)
一般式(2)で表されるアゾ染料は、下記方法、<1>および/又は<2>のいずれかの方法により得られる。
方法<1>は、下記の工程を含む方法である。
(a)アミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する工程、(b)上記工程(a)で形成されたジアゾニウム塩をカップリング剤と反応させて、置換基が導入された化合物を形成する工程、および
(c)塩基の存在下で、上記工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させて一般式(2)前駆化合物を形成する工程。
方法<1>において、工程(a)で使用するジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウムの希塩酸水溶液を使用するのが好ましい。また、亜硝酸イソペンチルおよびニトロシル硫酸なども、ジアゾ化剤として使用することができる。工程(b)で使用するカップリング剤としては、含窒素6員ヘテロ環カプラーを用いることが最も好ましい。工程(c)でアルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤とともに使用する塩基としては、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基および、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基を挙げることができる。
方法<2>は、一般式(2)前駆化合物に求電子反応によって水溶性基を導入する工程を含む方法である。さらに求電子反応は下記に詳述する方法が好ましい。
方法<2>における求電子反応としてはスルホン化、マンニッヒ反応、フリーデルクラフツ反応があり、中でもスルホン化が好ましい。
一般式(2)前駆化合物をスルホン化する方法としては、濃硫酸、10%から60%までの発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化イオウ、アミド硫酸等のスルホン化剤を用いてスルホン化することができる。また、溶剤を用いてもよく、溶剤としては、酢酸、無水酢酸、スルホラン、酢酸エチル、エーテル、四塩化炭素、アセトニトリル等を用いても良い。
一般式(2)前駆化合物において、R3、R4およびb(d)、cがスルホン化されることが好ましく、R3、R4およびb(d)、cの置換基が、複数のスルホン化されうる反応点のある場合には、置換位置の異なるスルホン化された色素が混入しても良い。この場合、主たるスルホン化された色素に対して、HPLC面積%で、0.1%から20%の範囲で置換位置の異なるスルホン化された色素が混入していても良い。反応温度(摂氏)は―5度から80度までが望ましく、さらに望ましくは10度から70度の範囲である。反応時間は30分から10時間の間が望ましく、さらに望ましくは1時間から6時間の間である。
一般式(2)前駆化合物の製造方法において、前記脱酸素条件としては、反応系内を窒素、アルゴン等の不活性ガスで満たして製造することが望ましく、さらには反応液内をこれらの不活性ガスでバブリングさせることが好ましい。
方法<1>の工程(a)で使用する出発物質であるアミノピラゾールは、米国特許第3,336,285号明細書およびヘテロサイクルズ(Heterocycles),20,519(1983)および特公平6−19036号公報等に記載されている方法によって合成することができる。
方法<1>の工程(b)で用いられるピリジンカプラー(カップリング剤)は、特開昭51−83631号公報、特開昭49−74718号公報、特公52−46230号公報等に記載されている方法で合成することができる。
本発明のインク組成物に用いるアゾ染料の具体例を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2007204632
Figure 2007204632
Figure 2007204632
なお、上記各表における−SOH基では、−SOLi基も好適である。
上記一般式(2)で表されるアゾ染料の合成例を以下に示すが、この方法に限定されるものではない。
一般式(2)で表される化合物の合成方法としては、下記の化合物(d−5)の例を示す。
化合物(d−5)の合成
(1)化合物(d−5a)の合成
5-アミノ-3-tert-ブチル-4-シアノピラゾール(1)24.1g(0.147mol)、濃塩酸45ml、酢酸30ml、プロピオン酸45mlを内温0℃で攪拌させ、水20mlに溶解させた亜硝酸ナトリウム10.1g(0.147mol)を10分間で滴下した。そのまま30分間攪拌させた。カプラー成分(2)84.7g(0.147mol)をメタンスルホン酸231ml、酢酸147ml、プロピオン酸221mlに溶解させ、0℃で攪拌し、上記ジアゾニウム塩を30分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、さらに反応液を30分攪拌させた後、水2250mlに氷750gを添加し攪拌させたところへ、上記反応液を徐々に加え、析出した化合物(d−5a)を吸引濾過し単離した。収量73.8g、収率85%。
(2)化合物(d−5b)の合成
化合物(d−5a)21g(35.5mmol)にヘテリル化剤(3)26.6g(157mmol)、炭酸カリウム21.7g、DMSO147mlを加え、窒素バブリングさせながら内温92℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、室温まで冷却し、反応系から析出した化合物(d−5b)を吸引濾過にて単離した。さらにこの粗結晶を水3L中で分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引ろ過して目的化合物(d−5b)を得た。収量20.0g、収率63.5%。λmax=558nm(DMF溶液)。
m/Z(POSI)=858。
(3)化合物(d−5)の合成
化合物(d−5b)2g(2.33mmol)を東京化成製スルホラン7gに分散させ、内温15℃で日曹サルファン(三酸化硫黄)1.7gを滴下した。滴下終了後、内温70℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を20℃に冷却し、水2mlを滴下させた。内温5℃に冷却し、25wt%水酸化ナトリウム水溶液を3.3ml滴下、さらにソディウムメトキシド28wt%メタノール溶液を0.8ml滴下させた。さらにメタノールを4ml滴下し、析出した無機塩をろ過し、2mlのメタノールで共洗いした。このろ液に酢酸カリウム2g、メタノール5.6mlを添加し、さらにエタノール22,5mlを添加して、染料を晶析させ、吸引ろ過およびエタノールによる洗浄を行って、粗結晶の化合物(d−5)を得た。上記無機塩を含む粗結晶は、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトフラフィー(溶離液、水/メタノール=1:1(v/v))で脱塩精製し、化合物d−5を得た。得量2g、収率66%。λmax(DMSO)=567.1nm、ε=46900
本発明のインク組成物(本発明のインクともいう)は、一般式(1)または(2)のアゾ染料の少なくとも1種を、水性媒体中に溶解または分散してなり、アゾ染料を好ましくは、0.2〜20質量%含有し、より好ましくは、0.3〜15質量%含有し、さらに好ましくは0.5〜10質量%含有する。
本発明に用いられる一般式(1)または(2)で表される染料は、染料の酸化電位がインクの水性媒体において1.0VvsSCEより貴、好ましくは1.1VvsSCEより貴、特に好ましくは1.2Vより貴である。電位を高める手段としては、(ヘテロ環A)−N=N−(ヘテロ環B)で表される発色団を有する型の染料構造の選択、アゾ基が少なくともその一方にアリール含窒素6員ヘテロ環をカップリング成分として直結させたアゾ染料の選択、アリール環アミノ基またはヘテロ環アミノ基含有構造を助色団として有するアゾ染料の選択、さらにはアゾ染料のα水素除去である。とくに上記一般式(2)の染料が貴の電位を発現する。
ここでいう酸化電位の測定法としては、染料を溶解した水溶液もしくは水混合溶媒系において参照電極としてSCE(標準飽和カロメル電極)を基準とする測定法で、作用極としてグラファイト電極又は白金電極を使用した直流ポーラログラフィー、滴下水銀電極によるポーラログラフィー、サイクリックボルタンメトリー法(CV)、回転リングディスク電極法、櫛形電極法等、種々の測定法が利用可能である。酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10-2〜1×10-6mol・dm-3溶解し、上記測定法を用いてSCE(標準飽和カロメル電極)に対する値として測定する。また用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
酸化電位の値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を用いて校正することにより、測定された電位の値の再現性を保証することができ、かつ上記いずれの電位測定手段でも同じ測定値を得ることができる。
酸化電位が1.0VvsSCEより貴のアゾ染料は、別の耐酸化性基準は、オゾンガスに対する強制褪色速度定数であり、好ましいアゾ染料は、強制褪色速度定数が5.0×10−2[hr-1]以下、好ましくは3.0×10−2[hr-1]、より好ましくは1.5×10−2[hr-1]以下であることがよい。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数の測定は、当該インクのみを反射型受像媒体に印画して得られた画像の該インクの主分光吸収領域の色であってステータスAのフィルターを通して測定した反射濃度が0.90〜1.10の濃度の着色領域を初期濃度点として選択し、この初期濃度を開始濃度(=100%)とする。この画像を5mg/Lのオゾン濃度を常時維持するオゾン褪色試験機を用いて褪色させ、その濃度が初期濃度の80%となるまでの時間を測定し、この時間の逆数[hour−1]を求め、褪色濃度と時間関係が一次反応の速度式に従うとの仮定のもとに、褪色反応速度定数とする。したがって、求められる褪色速度定数は当該インクによって印画された着色領域の褪色速度定数であるが、本明細書では、この値をインクの褪色速度定数として用いる。
試験用の印画パッチは、JISコード2223の黒四角記号を印字したパッチ、マクベスチャートの階段状カラーパッチ、そのほか測定面積が得られる任意の階段濃度パッチを用いることができる。
測定用に印画される反射画像(階段状カラーパッチ)の反射濃度は、国際規格ISO5−4(反射濃度の幾何条件)を満たした濃度計によりステータスAフィルターを透した測定光で求められた濃度である。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数測定用の試験チャンバーには、内部のオゾンガス濃度を定常的に5mg/Lに維持可能のオゾン発生装置(例えば乾燥空気に交流電圧を印可する高圧放電方式)が設けられ、曝気温度は25℃に調節される。
なお、この強制褪色速度定数は、光化学スモッグ、自動車排気、家具の塗装面や絨毯などからの有機蒸気、明室の額縁内の発生ガスなどの環境中の酸化性雰囲気による酸化の受け易さの指標であって、オゾンガスによってこれらの酸化性雰囲気を代表させた指標である。
次ぎに本発明のインク(マゼンタインク)の色相について述べる。マゼンタ用インクとしては、λmaxが500〜580nmであることが色相の点で優れており、さらに最大吸収波長の長波側と短波側の半値幅が小さい、すなわちシャープな吸収であることが好ましい。具体的には特開平2002−309133号公報に記載されている。またα位にメチル基を導入することにより吸収のシャ−プ化を具現できる。
本発明のマゼンタインクには、上記した本発明に係る特定のアゾ染料のほかに、色調を整えるため等の目的で他の染料を添加することもできる。また、フルカラー用インクセットを構成するために、本発明のマゼンタインクとともにシアンインク、イエローインクおよびブラックインクを合わせて用いるが、それらもそれぞれの色素が用いられる。これらの併用することが出来る色素の例としては以下を挙げることが出来る。
イエロー色素としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン色素;例えばベンジリデン色素やモノメチンオキソノール色素等のようなメチン色素;例えばナフトキノン色素、アントラキノン色素等のようなキノン系色素などがあり、これ以外の色素種としてはキノフタロン色素、ニトロ・ニトロソ色素、アクリジン色素、アクリジノン色素等を挙げることができる。これらの色素は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエローを呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
マゼンタ色素としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン色素;例えばアリーリデン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、オキソノール色素のようなメチン色素;ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素のようなカルボニウム色素、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系色素、例えばジオキサジン色素等のような縮合多環系色素等を挙げることができる。これらの色素は、クロモフォアの一部が解離して初めてマゼンタを呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
シアン色素としては、例えばインドアニリン色素、インドフェノール色素のようなアゾメチン色素;シアニン色素、オキソノール色素、メロシアニン色素のようなポリメチン色素;ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素のようなカルボニウム色素;フタロシアニン色素;アントラキノン色素;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ色素を挙げることができる。これらの色素は、クロモフォアの一部が解離して初めてシアンを呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
また、ポリアゾ染料などのブラック色素も使用することが出来る。
また、本発明で使用するアゾ染料を含む色素は実質的に水溶性又は水分散性のものである。具体的には20℃における色素の水への溶解度または分散度は2質量%上であり、好ましくは5質量%以上である。
そのほかの水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料等の水溶性染料を併用することもできる。
なかでも好ましいものとしては、
C.I. ダイレクトレッド1、2、4、9、11、23、26、31、37、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、87、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、219、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247、254、
C.I. ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I. ダイレクトイエロー4、8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、120、130、132、142、144、157、161、163
C.I. ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、290、291
C.I. ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
C.I. アシッドレッド1、8、35、42、52、57、62、80、81、82、87、94、111、114、115、118、119、127、128、131、143、144、151、152、154、158、186、245、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I. アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
C.I. アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
、C.I. アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、87、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、185、205、207、220、221、230、232、247、249、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326
C.I. アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I. リアクティブレッド3、6、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55、63、106、107、112、113、114、126、127、128、129、130、131、137、160、161、174、180
C.I. リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I. リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I. リアクティブブルー2、3、5、7、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38、82、89、158、182、190、203、216、220、244
C.I. リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34
C.I. ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I. ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I. ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I. ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I. ベーシックブラック8、
等が挙げられる。
上記式で表される染料以外に、下記各公報に記載の染料も好ましく用いることができる。
特開平10−130557号、特開平9−255906号、特開平6−234944号、特開平7−97541号、欧州特許982371号、WO 00/43450、WO 00/43451、WO 00/43452、WO 00/43453、WO 03/106572、WO 03/104332、特開2003−238862号、特開2004−83609号、特開2002−302619号、特開2002−327131号、特開2002−265809号、WO 04/087815、WO 02/090441、WO 03/027185、WO 04/085541、特開2003−321627、特開2002−332418、特開2002−332419、WO 02/059216、WO 02/059215、WO 04/087814、WO 04/046252、WO 04/046265、米国特許6652637B、WO 03/106572、WO 03/104332、特表2002−540281、特許第3558213号、特許第3558212号、特許第3558211号、特開2004−285351、特開2004−323605、WO 04/104108、特開2003-192930号、WO 99/48981、欧州特許公開1063268A号等に記載のアントラピリドン染料、欧州特許682088B1号、WO 94/16021A、WO 96/24636A、米国特許6468338号、WO 03/106572A、特開平9-124965号、特開平6-220377号、特開平6-234944号、WO 98/44053号,WO 00/58407、欧州特許公開1378549A号、同755984A号、同1052274A号、同1048701号に記載のアゾ染料、特開2000-160079号、特開平10-130557号、WO 01/48090A、WO 01/62854A、WO 2004/7622A、欧州特許公開1086999A号、同982371A号に記載のキレートアゾ染料、欧州特許公開1243627A号、同1243626A号、同1394227A号、特開2003-34758号、WO 02/34844A、WO 04/87815号。
更に、本発明のマゼンタインクやこれとインクセットとして組み合わせられる他のインクには顔料も併用し得る。
本発明に用いられる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W. Herbst, K. Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments (VCH Verlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性または塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC. I. Pigment Yellow 34, 37, 42, 53など、赤系顔料のC. I. Pigment Red 101, 108など、青系顔料のC. I. Pigment Blue 27, 29,17:1など、黒系顔料のC. I. Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC. I. Pigment White 4,6,18,21などを挙げることができる。
画像形成用に好ましい色調を持つ顔料としては、青ないしシアン顔料ではフタロシアニン顔料、アントラキノン系のインダントロン顔料(たとえばC. I. Pigment Blue 60など)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料が好ましく、特にフタロシアニン顔料(好ましい例としては、C. I. Pigment Blue 15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6などの銅フタロシアニン、モノクロロないし低塩素化銅フタロシアニン、アルニウムフタロシアニンでは欧州特許860475号に記載の顔料、C. I. Pigment Blue 16である無金属フタロシアニン、中心金属がZn、Ni、Tiであるフタロシアニンなど、中でも好ましいものはC. I. Pigment Blue 15:3、同15:4、アルミニウムフタロシアニン)が最も好ましい。
赤ないし紫色の顔料では、アゾ顔料(好ましい例としては、C. I. Pigment Red 3、同5、同11、同22、同38、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49:1、同52:1、同53:1、同57:1、同63:2、同144、同146、同184)など、中でも好ましいものはC. I. Pigment Red 57:1、同146、同184)、キナクリドン系顔料(好ましい例としてはC. I. Pigment Red 122、同192、同202、同207、同209、C. I. Pigment Violet 19、同42、なかでも好ましいものはC. I. Pigment Red 122)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料(好ましい例としてはキサンテン系のC. I. Pigment Red 81:1、C. I. Pigment Violet 1、同2、同3、同27、同39)、ジオキサジン系顔料(例えばC. I. Pigment Violet 23、同37)、ジケトピロロピロール系顔料(例えばC. I. Pigment Red 254)、ペリレン顔料(例えばC. I. Pigment Violet 29)、アントラキノン系顔料(例えばC. I. Pigment Violet 5:1、同31、同33)、チオインジゴ系(例えばC. I. Pigment Red 38、同88)が好ましく用いられる。
黄色顔料としては、アゾ顔料(好ましい例としてはモノアゾ顔料系のC. I. Pigment Yellow 1, 3, 74, 98、ジスアゾ顔料系のC. I. Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 83、総合アゾ系のC. I. Pigment Yellow 93, 94, 95, 128, 155、ベンズイミダゾロン系のC. I. Pigment Yellow 120, 151, 154, 156, 180など、なかでも好ましいものはベンジジン系化合物を原料に使用しなもの)、イソインドリン・イソインドリノン系顔料(好ましい例としてはC. I. Pigment Yellow 109, 110, 137, 139など)、キノフタロン顔料(好ましい例としてはC. I. Pigment Yellow 138など)、フラパントロン顔料(例えばC. I. Pigment Yellow 24など)が好ましく用いられる。
黒顔料としては、無機顔料(好ましくは例としてはカーボンブラック、マグネタイト)やアニリンブラックを好ましいものとして挙げることができる。
この他、オレンジ顔料(C. I. Pigment Orange 13, 16など)や緑顔料(C. I. Pigment Green 7など)を使用してもよい。
本技術に使用できる顔料は、上述の裸の顔料であっても良いし、表面処理を施された顔料でも良い。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート、ジアゾニウム塩から生じるラジカルなど)を顔料表面に結合させる方法などが考えられ、次の文献や特許に記載されている。
(1)金属石鹸の性質と応用(幸書房)
(2)印刷インキ印刷(CMC出版 1984)
(3)最新顔料応用技術(CMC出版 1986)
(4)米国特許5,554,739号、同5,571,311号
(5)特開平9-151342号、同10-140065号、同10-292143号、同11-166145号
特に、上記(4)の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記(5)の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
本発明においては、顔料はさらに分散剤を用いて分散されていてもよい。分散剤は、用いる顔料に合わせて公知の種々のもの、例えば界面活性剤型の低分子分散剤や高分子型分散剤を用いることが出来る。分散剤の例としては特開平3-69949号、欧州特許549486号等に記載のものを挙げることができる。また、分散剤を使用する際に分散剤の顔料への吸着を促進するためにシナジストと呼ばれる顔料誘導体を添加してもよい。
本技術に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
次に、本発明のインク組成物が含有し得る界面活性剤について説明する。
本発明のインク組成物に界面活性剤を含有させ、インクの液物性を調整することで、インクの吐出安定性を向上させ、画像の耐水性の向上や印字したインクの滲みの防止などに優れた効果を持たせることができる。
一般式(1)または(2)で表されるマゼンタ染料を含有する本発明のインク組成物では、界面活性剤としてベタイン系界面活性剤および/又はノニオン系界面活性剤をインク媒体である水性媒体中に溶解および/又は分散させることによって、とくに色素の堅牢性を維持してかつ記録画像の滲みを防止する効果が顕著となる。
ここで、「水性媒体」とは、水又は水と少量の水溶性有機溶剤との混合物に、必要に応じて界面活性剤、湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
本発明のインクに含まれるベタイン系界面活性剤は、基本的には親水性基を有して、上記マゼンタ染料の水性媒体への溶解、分散性を向上させることで色素の堅牢性を維持し、かつ記録画像のにじみを防止しているが、ベタイン系界面活性剤は例えば油溶性染料の分散に用いる場合も含まれる。
ここで言うベタイン系界面活性剤とは、その分子中にカチオン性の部位とアニオン性の部位を両方とも有し、かつ界面活性を有する化合物を表す。カチオン性の部位としてはアミン性の窒素原子、ヘテロアリール環の窒素原子、炭素との結合を4つ有するホウ素原子、リン原子などを挙げることができる。この中で好ましくはアンモニウム構造の窒素原子もしくはヘテロアリール環(好ましくはイミダゾリウム構造)の窒素原子である。中でも特に第4級の窒素原子であることが好ましい。アニオン性の部位としては、水酸基、チオ基、スルホンアミド基、スルホ基、カルボキシル基、イミド基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げることができる。この中でも特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。好ましくは、カルボキシル基又はスルホ基含有界面活性剤である。分子全体としての荷電は、カチオン、アニオン、中性のいずれでもよいが、好ましくは中性である。
ベタイン系界面活性剤として好ましくは前記の化合物Aおよび化合物Bであり、特に一般式(A)および一般式(B)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2007204632
一般式(A)において、RS1、RS2はそれぞれアルキル基を表し、RS3はカルボキシル基を含有するアルキル基またはスルホ基を含有するアルキル基を表す。
Figure 2007204632
一般式(B)において、RS4、RS5、RS6は各々独立して、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。RS4、RS5、RS6は各々独立して、アルキル基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16の基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基など)、アリール基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14の基である。例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、クミル基、ドデシルフェニル基など)、ヘテロ環基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12の基である。例えばピリジル基、キノリル基など)。を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。環状構造の具体例としては、例えばピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。RS4、RS5、RS6として、特に好ましくはアルキル基である。
S7はカルボキシル基を含有するアルキル基またはスルホ基を含有するアルキル基を表す。RS7はカルボキシル基またはスルホ基を含有する置換基(好ましくは、カルボキシル基またはスルホ基を含有する、アルキル基、アリ−ル基またはヘテロ環基)を表す。
前記アルキル基、アリ−ル基またはヘテロ環基はRS4、RS5、RS6で記載したものと同様なものが挙げられ、同様なものが好ましい。RS7は−L−COOで表される基であることが好ましい。Lは2価の連結基を表す。この例としては、アルキレン基、アリーレン基を基本的な構成単位として含む2価の連結基が好ましい。連結主鎖部に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含有してもよい。Lとしてはアルキレン基(メチレン、エチレンが好ましく、メチレンがより好ましい)が好ましい。
S4、RS5、RS6もしくはLには種々の置換基が置換可能である。例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むものであり具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されても良い。また置換基が二つ以上ある場合は、同一でも異なっていても良い。また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。また、RS4、RS5、RS6もしくはLを介して、ベタイン構造が複数含まれていてもよい。
本発明に用いる一般式(B)で表される化合物において、RS4、RS5、RS6およびLで表される基のいずれかに炭素数8以上の基を含有する場合が好ましい。中でもRS4、RS5、RS6に炭素数8以上の長鎖アルキル基が含有されるものが特に好ましい。LをCH(RS8)と表し、RS8は水素原子または炭素数8以上のアルキル基を表し、RS4、RS5、RS6、RS8のいずれかが炭素数8以上のアルキル基である場合がより好ましい。
本発明に用いる一般式(A)で表される化合物において、RS1、RS2はそれぞれ独立にアルキル基を表し、RS3はカルボキシ基またはスルホ基を含有するアルキル基を表す。
S1、RS2で表されるアルキル基は上記のRS4、RS5、RS6で挙げられたと同様なものが適用される。
S3は前記のRS7と同様なものが挙げられる。RS3はカルボキシアルキル基およびスルホアルキル基(該基のアルキル部分の炭素原子数は1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。)である場合が好ましい。
一般式(A)又は一般式(B)で表されるベタイン系界面活性剤の好ましい添加量(染料の分散に用いた量をも含むこととする)は広い範囲を持つが、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.01〜15質量%であり、さらに好ましくは0.01〜10質量%であり、特に好ましくは0.01〜5質量%である。
以下に本発明に好ましく用いられるベタイン系界面活性剤の具体例を示すが、本発明はもちろんこれによって限定されるものではない。
Figure 2007204632
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また、ベタイン系界面活性剤として、1分子中に2つ以上のカルボン酸基および/又はその塩を有するベタイン系界面活性剤も好ましく用いられる。
これらの具体例としては、アルキルイミノジ酢酸、アルキルイミノジプロピオン酸、アルキルニトリルトリ酢酸、アルキルイミノトリプロピオン酢酸、エチレンジアミン四酢酸、およびその誘導体などが挙げられる。これらの化合物は、酸の形で用いられても良いし、塩の形で用いられてもよい。また、一つの分子中で酸と塩とが混ざっていてもよい。
これらの化合物は、1分子中に複数のカルボン酸基を有するため、これらの化合物が染料分子と結びつくと、染料の見かけのカルボン酸基が増えることになる。そのため、染料と媒染剤、又はセルロース繊維との結びつきが強くなり、その結果インク滲み耐性や耐水性が向上する。
以下に、これらのベタイン系界面活性剤の具体例を示すが、本発明はもちろんこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2007204632
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本発明のインクに含まれるノニオン系界面活性剤は、一般式(1)または(2)で表されるマゼンタ染料の分散性、相溶性、色素堅牢性、画像にじみ抑止性などについて基本的には上記ベタイン系活性剤について述べたことと同じ効果を有している。とくにインクの吐出安定性や紙への浸透性の点からノニオン性界面活性剤が好ましい。
とりわけ、下記一般式(I)または(II)あるいは一般式(III)で表される化合物が好ましい。
まず、一般式(I)で表される化合物について説明する。
Figure 2007204632
一般式(I)中、R21は炭素数5〜40、好ましくは炭素数8〜18のアルキル基を表し、直鎖であっても分岐であってもよく、また置換されていてもよい。
21で表されるアルキル基に置換可能な基としては、アリール基(例えばフェニル、o−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。
21で表されるアルキル基の具体例としては、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、2−エチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−n−ブチルペンチル、1−n−ペンチルヘキシル、1−n−ヘキシルヘプチル、1−n−ヘプチルオクチル、1−n−オクチルノニル、6−メトキシヘキシル、2−フェニルエチル等を挙げることができる。
1はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40であり、好ましくは3〜30であり、特に好ましくは3〜20である。
一般式(I)で表される化合物のうち、特に好ましいのは下記一般式(I−1)で表される化合物である。
Figure 2007204632
一般式(I−1)中、R22、R23は各々炭素数4〜10の飽和炭化水素を表し、R22、R23の炭素数の合計が8〜18である。m11はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、3〜20である。R22、R23で表される炭素数4〜10の飽和炭化水素としてはn−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル等を挙げることができる。R22とR23の炭素数の合計は8〜18であり、8〜16がさらに好ましい。m11は3〜20であり、より好ましくは5〜20であり、さらに好ましくは6〜18である。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007204632
以下の表17に、一般式(I−1)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007204632
次に一般式(II)で表される化合物について説明する。
Figure 2007204632
一般式(II)中、R24は炭素数5〜40、好ましくは炭素数5〜30のアルキル基を表し、直鎖であっても分岐であってもよく、また置換されていてもよい。
24で表されるアルキル基に置換可能な基としては、アリール基(例えばフェニル、o−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。R24で表されるアルキル基の具体例としては、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、2−エチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−n−ブチルヘプチル、1−n−ヘキシルノニル、1−n−ヘプチルデシル、1−n−オクチルドデシル、1−n−デシルテトラデシル、6−メトキシヘキシル、2−フェニルエチル等を挙げることができる。
2はエチレンオキシドの平均付加数を表し、2〜40であり、好ましくは3〜30であり、特に好ましくは4〜20である。
一般式(II)で表される化合物のうち、特に好ましいのは下記一般式(II−1)で表される化合物である。
Figure 2007204632
一般式(II−1)中、R25、R26は各々炭素数2〜20の飽和炭化水素基であり、炭素数4〜13が好ましい。R25、R26で表される炭素数2〜20の飽和炭化水素基としてはエチル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル等を挙げることができる。m21はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40であり、3〜30が好ましい。
以下に、一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007204632
一般式(II−1)で表される化合物としては、例えば、2−ブチルオクタン酸のポリエチレンオキシドの片末端エステル、ウンデカン−6−オールのポリエチレンオキシド付加物などが挙げられる。以下の表18に、一般式(II−1)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007204632
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物は、公知の方法を用いて合成することが可能であり、例えば藤本武彦著 全訂版「新・界面活性剤入門」(1992年)94〜107頁等に記載の方法で得ることができる。
次に一般式(III)で表される化合物について説明する。
Figure 2007204632
式中R31、R32はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す。
さらに詳しく説明すると、R31、R32はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等)を表し、置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。このうち、R31、R32としては炭素数1〜12の無置換の直鎖アルキル基もしくは無置換の分岐アルキル基が好ましく、その特に好ましい具体例としてはメチル、エチル、n−ブチル、2−メチルブチル、2,4−ジメチルペンチル等を挙げることができる。
32は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表し、アルキル基、フェニル基は置換されていてもよい。
33のアルキル基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、フェニル基を挙げることができる。R33のフェニル基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。R33のうち好ましいのは、水素原子あるいは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましいのは水素原子である。
Xは水素原子、
Figure 2007204632
を表し、R34、R35はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す。R34、R35の好ましい置換基や具体例は、上記のR31、R32と同じ群から選ばれる置換基や具体例である。R36は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表し、その好ましい具体例は上記のR33と同じ群から選ばれる置換基や具体例である。
3、m4はそれぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、m3+m4は0〜100、好ましくは0〜50、特に好ましくは0〜40である。
ここで、m3=0の時R33は水素原子を表し、m4=0の時R36は水素原子を表す。またXが水素原子を表す時、m3は1〜100を表し、好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜40を表す。
一般式(III)で表される化合物のうち、特に好ましいのは下記一般式(III−1)で表される化合物である。
Figure 2007204632
式中、R37、R38、R39およびR40は、それぞれ独立に、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。m31とm41はそれぞれエチレンオキシドの付加モル数を表し、それらの和が0〜40、好ましくは2〜20となる数である。
以下に、一般式(III)または一般式(III−1)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007204632
Figure 2007204632
Figure 2007204632
一般式(III)または一般式(III−1)で表される化合物は、公知の方法を用いて合成することが可能であり、例えば藤本武彦著 全訂版「新・界面活性剤入門」(1992年)94頁〜107頁等に記載の方法で得ることができる。
また、一般式(III)または一般式(III−1)で表される化合物は市販品としても容易に入手することができ、その具体的な商品名としてはサーフィノール61,82,104,420,440,465,485,504、CT−111,CT−121,CT−131,CT−136,CT−141,CT−151,CT−171,CT−324,DF−37,DF−58,DF−75,DF−110D,DF−210,GA,OP−340,PSA−204,PSA−216,PSA−336,SE,SE−F,ダイノール604(以上、日信化学(株)およびAir Products&Chemicals社)、オルフィンA,B,AK−02,CT−151W,E1004,E1010,P,SPC,STG,Y,32W(以上、日信化学(株))等を挙げることができる。
一般式(III−1)で表される化合物としては、例えば、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物(SURFYNOLシリーズ(Air Products&Chemicals社))などが好ましく、なかでも分子量が200以上1000以下のものが好ましく、分子量300以上900以下のものがさらに好ましく、分子量400以上900以下のものが特に好ましい。
本発明でインクに含有させる界面活性剤としては、インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少ないことが好ましく、この観点からも上記したベタイン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤が好ましい。なかでも発泡性の観点からノニオン性界面活性剤が好ましく、疎水性部位が2本鎖もしくは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤として一般式(I−1)又は一般式(II−1)で表される化合物、疎水性部位の中央付近に親水性基を有するノニオン性界面活性剤として一般式(III−1)で表される化合物が好ましい。
本発明に用いるインクにノニオン系界面活性剤を用いる場合、その含有量は、0.01〜20質量%であり、好ましくは0.01〜15質量%、さらに好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.01〜5質量%である。インク中のノニオン系界面活性剤のみが用いられてその濃度が0.01質量%より少ないと、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生などのように印字品質が著しく低下する傾向がある。またインク中の界面活性剤が20質量%より多いと、吐出時、ハード表面へのインクの付着等により印字不良となる場合がある。この観点から、本発明のインクの静的表面張力は、25℃において20mN/m以上が好ましく、25mN/m以上がより好ましい。また、25℃において60mN/m以下が好ましく、50mN/m以下がより好ましく、40mN/m以下が特に好ましい。静的表面張力については、さらに後述する。
また、本発明のインクにおいては、上記したベタイン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を併用すること、またそれ以外にも別種の界面活性剤を併用することが可能である。
別種の界面活性剤を併用することにより、表面張力等のインクの液物性を調整すること、インクの吐出安定性を向上させること、画像の耐水性の向上や印字したインクの滲み防止性が向上することなどで、本発明の上記界面活性剤の効果が補強されることもある。
これら上記界面活性剤と併用できる界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、脂肪アミン塩、4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、フッ素系、シリコン系化合物などが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を用いることができる。
具体的には、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルオキシスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムクロライド、テロラブチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
これらの併用してもよい界面活性剤は、本発明の効果を失わない範囲内で添加することが可能であるが、そのの含有量はインクに対して0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量であり、かつ上記したベタイン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤の濃度を超えない範囲で用いられる。界面活性剤の含有量の合計はインクに対して0.01〜20質量%、好ましくは0.01〜15質量%、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。好ましくは、実質的に上記したベタイン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤のみが界面活性剤として用いられる。
本発明において、界面活性剤は、後述する色材の乳化分散を必用とする場合、および表面張力調整剤として用いる場合にも使用するので、界面活性剤の更なる説明は、それぞれの項で加えることとする。
本発明のインク組成物は、水性媒体中に前記のアゾ染料と界面活性剤を溶解および/または分散させることによって作製することができる。本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水溶性有機溶剤との混合物に、必要に応じて湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
本発明のインクは、水溶性有機溶剤を含有するものであり、水溶性有機溶剤中、チオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物が10質量%以上80質量%以下、好ましくは15質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上50質量%以下である。10質量%よりも少ないと、耐オゾン性改良の効果が少なく、また色相変化の抑制も不十分である。一方、80質量%を越えると、インクの物性を調整するのが困難になり、インクジェット記録用インクとしては吐出性が不良になってしまう。チオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物を用いることにより、耐オゾン性の更なる向上および色相変化の抑制が可能となる。なお、本明細書では水溶性有機溶剤の説明の以外の欄でもチオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物の例示が存在するが、本発明のインクにおけるチオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物の量とは、インク中に含まれるこれら化合物の総量である。
チオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物としては、特開2005−119220号公報に記載のチオエーテルもしくはその酸化体であるスルホキシドなどが例として挙げられるが、それに限定されない。好ましくは、2,2’チオジエタノールおよびジメチルスルホキシド、2,2−ビスヒドロキシエチルスルホキシド、3,6ジチオオクタン1,8ジオール、最も好ましいものは2,2’チオジエタノールおよびジメチルスルホキシドである。
前記以外に用いられ得る水溶性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、尿素、尿素誘導体およびその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。尚、前記水溶性有機溶剤は、25℃において液体でも固体でもよい化合物であり、2種類以上を併用してもよい。
水溶性有機溶剤の使用量は、本発明のインク中、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%である。また本発明でいう水溶性とは、25℃の水に対する溶解度が、1g/100g以上であることを意味する。
前記アゾ染料が油溶性染料の場合は、該油溶性染料を高沸点有機溶媒中に溶解させ、水性媒体中に乳化分散させることによって調製することができる。
本発明に用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロへキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド)、アルコール類またはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)などが挙げられる。高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕で使用してもよい。
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例および/またはこれら高沸点有機溶媒の合成方法は例えば米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等に記載されている。
上記高沸点有機溶媒は、油溶性染料に対し、質量比で0.01〜3.0倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用する。
本発明では油溶性染料や高沸点有機溶媒は、水性媒体中に乳化分散して用いられる。乳化分散の際、乳化性の観点から場合によっては低沸点有機溶媒を用いることができる。低沸点有機溶媒としては、常圧で沸点約30℃以上150℃以下の有機溶媒である。例えばエステル類(例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、エチルプロピオネート、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート)、アルコール類(例えばイソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、セカンダリーブチルアルコール)、ケトン類(例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)等が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
乳化分散は、高沸点有機溶媒と場合によっては低沸点有機溶媒の混合溶媒に染料を溶かした油相を、水を主体とした水相中に分散し、油相の微小油滴を作るために行われる。この際、水相、油相のいずれか又は両方に、後述する界面活性剤、湿潤剤、染料安定化剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。なお、本発明に用いるアゾ染料が水溶性で、添加剤が油溶性の場合にも前記乳化法を適用し得る。
乳化分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
また、乳化直後の安定化を図る目的で、上記界面活性剤と併用して水溶性ポリマーを添加することもできる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共重合体が好ましく用いられる。また多糖類、カゼイン、ゼラチン等の天然水溶性ポリマーを用いるのも好ましい。さらに染料分散物の安定化のためには実質的に水性媒体中に溶解しないアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、ビニルエーテル類、アクリロニトリル類の重合により得られるポリビニルやポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート等も併用することができる。これらのポリマーは−SO3 -、−COO-を含有していること好ましい。これらの実質的に水性媒体中に溶解しないポリマーを併用する場合、高沸点有機溶媒の20質量%以下用いられることが好ましく、10質量%以下で用いられることがより好ましい。
乳化分散により油溶性染料や高沸点有機溶媒を分散させて水性インクとする場合、特に重要なのはその粒子サイズのコントロールである。インクジェットにより画像を形成した際の、色純度や濃度を高めるには平均粒子サイズを小さくすることが必須である。体積平均粒径で好ましくは1μm以下、より好ましくは5〜100nmである。
前記分散粒子の体積平均粒径および粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の417〜418ページに記載されている方法を用いるなど、公知の方法で容易に測定することができる。例えば、インク中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均粒径測定機(例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり特に好ましい。
体積平均粒径とは粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の総体積で割ったものである。
体積平均粒径については「高分子ラテックスの化学(室井 宗一著 高分子刊行会)」の119ページに記載がある。
また、粗大粒子の存在も印刷性能に非常に大きな役割を示すことが明らかになった。即ち、粗大粒子がヘッドのノズルを詰まらせる、あるいは詰まらないまでも汚れを形成することによってインクの不吐出や吐出のヨレを生じ、印刷性能に重大な影響を与えることが分かった。これを防止するためには、インクにした時にインク1μl中で5μm以上の粒子を10個以下、1μm以上の粒子を1000個以下に抑えることが重要である。
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。これらの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種添加剤を加えた後、インクカートリッジに充填する直前でもよい。
平均粒子サイズを小さくし、且つ粗大粒子を無くす有効な手段として、機械的な乳化装置を用いることができる。
乳化装置としては、簡単なスターラーやインペラー撹拌方式、インライン撹拌方式、コロイドミル等のミル方式、超音波方式など公知の装置を用いることができるが、高圧ホモジナイザーの使用は特に好ましいものである。
高圧ホモジナイザーは、米国特許第4533254号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等がある。
また、近年になって米国特許第US−5720551号に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEE INTERNATIONAL LTD.)があげられる。
高圧乳化分散装置で乳化する際の圧力は50MPa以上であり、好ましくは60MPa以上、更に好ましくは180MPa以上である。
例えば、撹拌乳化機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのは特に好ましい方法である。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、湿潤剤や界面活性剤等の添加剤を添加した後、カートリッジにインクを充填する間に再度高圧ホモジナイザーを通過させる方法も好ましい方法である。
高沸点有機溶媒に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化物の安定性および安全衛生上の観点から低沸点溶媒を除去するのが好ましい。低沸点溶媒を除去する方法は溶媒の種類に応じて各種の公知の方法を用いることができる。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この低沸点有機溶剤の除去工程は乳化直後、できるだけ速やかに行うのが好ましい。
本発明で得られたインク組成物には、インクの噴射口での乾操による目詰まりを防止するための乾燥防止剤、インクを紙によりよく浸透させるための浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤等の添加剤を適宜選択して適量使用することができる。
本発明に使用される乾燥防止剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等のヘテロ環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
本発明に使用される浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に10〜30質量%含有すれば充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンゾオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
本発明では、画像の保存性を向上させるために使用される酸化防止剤としては、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式および化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
本発明のインクは腐食を防止する観点から、さらにインク中に防腐剤を含有するということが好ましい。本発明において、防腐剤とは微生物、特に細菌・真菌(カビ)の発生、発育を防止する機能を有するものを言う(防黴剤とも言う)。
本発明に有用な防腐剤として、以下のものが効果的に使用することができる。
無機系の防腐剤として重金属イオンを含有する(銀イオン含有物や銅錯体化合物など)やそれらの塩類をまず挙げることができる。有機系の防腐剤としては、第4級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、セチルピリジニウムクロリド、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等)、フェノール誘導体(フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、キシレノール、ビスフェノール等)、フェノキシエーテル誘導体(フェノキシエタノール等)、ヘテロ環化合物(ベンゾトリアゾール、プロキセル(PROXEL)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、酸アミド類、カルバミン酸、カルバメート類、アミジン・グアニジン類、ピリジン類(ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド等)、ジアジン類、トリアジン類、ピロール・イミダゾール類、オキサゾール・オキサジン類、四硝酸ペンタエリスリトール、ベンゾトリアゾール類、チアゾール・チアジアジン類、チオ尿素類、チオセミカルバジド類、ジチオカルバメート類、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、スルファミド類、抗生物質類(ペニシリン、テトラサイクリン等)、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびその塩など種々のものが使用可能である。防腐剤としては防菌防微ハンドブック(技報堂:1986)、防菌防黴剤事典(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載のものも使用できる。
これらの化合物は油溶性の構造、水溶性の構造のものなど種々のものが使用可能であるが、好ましくは水溶性の化合物である。特に好ましくはプロキセル、ベンゾトリアゾールが使用できる。
中でも本発明では、これらの防腐剤を2種以上併用して使用すると、インクの長期間の経時における吐出安定性が格段に向上し、本発明の効果がさらに良好に発揮される。2種以上組み合わせる場合、その防腐剤種は異なった化学構造の骨格を有するものであることが好ましい。また、2種以上の防腐剤を含有する場合には、少なくとも1種の防腐剤が、ヘテロ環化合物であることが好ましい。例えば、ヘテロ環化合物と抗生物質の組み合わせ、ヘテロ環化合物とフェノール誘導体との組み合わせ等が好ましく挙げられる。2種の防腐剤を組み合わせる場合の含有量比は、特に限定的ではないが、防腐剤A/防腐剤B=0.01〜100(質量比)の範囲が好ましい。
防腐剤の添加量は広い範囲で使用可能であるが、0.001〜10質量%、好ましくは、0.02〜5.00質量%、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
本発明に使用されるpH調整剤はpH調節、分散安定性付与などの点で好適に使用する事ができ、25℃でのインクのpHが4〜11に調整されていることが好ましい。pHが4未満である場合は染料の溶解性が低下してノズルが詰まりやすく、11を超えると耐水性が劣化する傾向がある。pH調製剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機アルカリ等が、酸性のものとして有機酸、無機酸等が挙げられる。
前記有機塩基としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニウムなどが挙げられる。また、前記有機酸としては酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、塩酸,硫酸、リン酸などが挙げられる。
本発明の前記一般式(1)または(2)で表される少なくとも1種の染料を、媒体中に溶解および/又は分散してなるインク組成物の製造方法では、少なくとも超音波振動を加える工程によって効果的に安定化が図られて吐出安定性や色相が向上する。
また、本発明では、インクが記録ヘッドで加えられる圧力によって気泡を発生することを防止するため、記録ヘッドで受けるエネルギーと同等かそれ以上の超音波エネルギーを予めインクの製造工程中に加えて気泡を除去しておく製造方法が好ましい。
超音波振動は、通常、振動数20kHz以上、好ましくは40kHz以上、より好ましくは50kHzの超音波である。また超音波振動により液に加えられるエネルギーは、通常、2×10J/m以上、好ましくは5×10J/m以上、より好ましくは1×10J/m以上である。また、超音波振動の付与時間としては、通常、10分〜1時間程度である。
超音波振動を加える工程は、染料を媒体に投入以降であれば何時行っても効果を示す。完成後のインクを一旦保存した後に超音波振動を加えても効果を示す。しかし、染料を媒体中に溶解および/又は分散する際に超音波振動を付加することが、気泡除去の効果がより大きく、尚且つ超音波振動により色素の媒体への溶解および/又は分散が促進されるので好ましい。
即ち、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、染料を媒体中に溶解および/又は分散する工程中でもその工程後であってもいずれの場合にも行うことができる。換言すれば、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、インク調製後に製品となるまでの間に任意に1回以上行うことができる。
本発明においては、媒体中に溶解および/又は分散する工程は、前記染料を全媒体の一部分の媒体に溶解する工程と、残余の媒体を混合する工程とを有することが好ましく、上記少なくともいずれかの工程に超音波振動を加えることが好ましく、染料を全媒体の一部分の媒体に溶解する工程に少なくとも超音波振動を加えることが更に好ましい。
上記残余の溶媒を混合する工程は、単独工程でも複数工程でもよい。
また、本発明によるインク製造に加熱脱気あるいは減圧脱気を併用することは、インク中の気泡除去の効果を上げるので好ましい。加熱脱気工程あるいは減圧脱気工程は、残余の媒体を混合する工程と同時またはその後に実施することが好ましい。
超音波振動を加える工程における、超音波振動発生手段としては、超音波分散機等の公知の装置が挙げられる。
本発明において、媒体としては水もしくは水と水溶性有機溶剤との混合溶剤である水性媒体が好ましい。
本発明に係るインクを作製する際には、濾過により固形分であるゴミを除く工程がインクの安定性向上および色相の向上のために重要である。この作業には濾過フィルターを使用するが、このときの濾過フィルターとは、有効径が1μm以下、好ましくは0.3μm以下、0.05μm以上、特に好ましくは0.3μm以下、0.25μm以上のフィルターを用いる。フィルターの材質としては種々のものが使用できるが、特に水溶性染料のインクの場合には、水系の溶媒用に作製されたフィルターを用いるのが好ましい。中でも特にゴミの出にくい、ポリマー材料で作製されたジャケット型のフィルターを用いるのが好ましい。濾過法としては送液によりジャケットを通過させてもよいし、加圧濾過、減圧濾過のいずれの方法も利用可能である。
また、濾過後には溶液中に空気を取り込むことが多い。この空気に起因する泡もインクジェット記録において画像の乱れの原因となることが多いため、本発明では脱泡工程を別途設ける。脱泡の方法としては、超音波脱泡や減圧脱泡等種々の方法が利用可能である。
これらの作業は、作業時におけるゴミの混入を防ぐため、クリーンルームもしくはクリーンベンチなどのスペースを利用して行うことが好ましい。本発明では特にクリーン度としてクラス100以下のスペースにおいてこの作業を行う。
本発明のインク粘度は、25℃において1〜30mPa・sであることが好ましい。更に好ましくは2〜15mPa・sであり、特に好ましくは2〜10mPa・sである。30mPa・sを超えると記録画像の定着速度が遅くなり、吐出性能も低下する。1mPa・s未満では、記録画像がにじむために品位が低下する。
粘度の調製はインク溶剤の添加量で任意に調整可能である。インク溶剤として例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどがある。
粘度の測定方法は、JISのZ8803に詳細に記載されているが、市販品の粘度計にて簡便に測定することができる。例えば、回転式では東京計器のB型粘度計、E型粘度計がある。本発明では山一電機の振動式VM−100A−L型により25℃にて測定した。粘度の単位はパスカル秒(Pa・s)であるが、通常はミリパスカル秒(mPa・s)を用いる。
本発明で用いるインク組成物は、25℃での静的表面張力が25〜50mN/mであることが好ましい。さらに、25℃での静的表面張力が30〜40mN/mであることが好ましい。インクの静的表面張力が50mN/mを超えると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生(例えば、シアンベタ上に黒文字を印字した場合などに、黒文字からヒモ状に滲みが発生することがある)などのように印字品質が著しく低下する。また、インクの静的表面張力が25mN/mに満たないと、吐出時にハード表面へのインクの付着等が生じ、印字不良となる場合がある。
静的表面張力測定法としては、毛細管上昇法、滴下法、吊環法等が知られているが、本発明においては、垂直板法を静的表面張力測定法として用いる。垂直板法の原理を以下に示す。
ガラスまたは白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液面と板との接する部分に表面張力が下向きに働く。この表面張力は板を吊るしている上向きの力と釣り合わせることで測定することができる。
本発明で用いるインクの動的表面張力は、25℃において25〜50mN/mであることが好ましく、30〜40mN/mであることがさらに好ましい。動的表面張力が50mN/mを超えると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生などのように印字品質が著しく低下する。また、25mN/mに満たないと、吐出時にハード表面へのインクの付着等が生じ、印字不良となる場合がある。
動的表面張力測定方法としては、例えば「新実験化学講座、第18巻、界面とコロイド」[(株)丸善、p.69〜90(1977)]に記載されるように、振動ジェット法、メニスカス落下法、最大泡圧法等が知られており、さらに、特開平3−2064号公報に記載されているような液膜破壊法が知られているが、本発明においては、動的表面張力測定法として、バブルプレッシャー差圧法を用いている。以下、その測定原理と方法を説明する。
界面活性剤を添加した溶液を撹拌して均一とし、溶液中で気泡を生成すると、新たな気−液界面が生成され、溶液中の界面活性剤分子が水の表面に一定速度で集まってくる。バブルレート(気泡の生成速度)を変化させたとき、生成速度が遅くなれば、より多くの界面活性剤が泡の表面に集まってくるため、泡がはじける直前の最大泡圧が小さくなり、バブルレートに対する最大泡圧(表面張力)が検出できる。本発明における動的表面張力測定では、大小2本のプローブを用いて溶液中で気泡を生成させ、2本のプローブの最大泡圧状態での差圧を測定し、動的表面張力を算出する。
静的表面張力および動的表面張力の調整は、表面張力調整剤を用いることにより行うことができ、上記範囲とすることが可能である。
表面張力調整剤としては、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物など)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。なかでも、前記した一般式(I)、(II)又は(III)で表されるノニオン系界面活性剤、とくに一般式(II)又は(III)で表されるノニオン系界面活性剤が静的表面張力および動的表面張力の調整目的の表面張力調整剤にも好ましい。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少なくいことから、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているアニオン性界面活性剤や疎水性部位の中央付近に親水性基を有するアニオン性またはノニオン性界面活性剤、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤(一般式(II)又は(III)で表されるノニオン系界面活性剤がその例)が好ましい。
この目的のための界面活性剤の含有量は、インクに対して0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量である。
本発明のインクは、25℃で測定した伝導度が0.01〜10S/mの範囲であることが好ましい。特に好ましい範囲は伝導度が0.05〜5S/mの範囲である。
伝導度の測定方法は、市販の飽和塩化カリウムを用いた電極法により測定可能である。
伝導度は主に水系溶液中のイオン濃度によってコントロール可能である。塩濃度が高い場合、限外濾過膜などを用いて脱塩することができる。また、塩等を加えて伝導度調節する場合、種々の有機物塩や無機物塩を添加することにより調節することができる。
無機物塩としては、ハロゲン化物カリウム、ハロゲン化物ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、サッカリン酸カリウム、フタル酸カリウム、ピコリン酸ナトリウム等の有機化合物を使用することもできる。
また、後述される水性媒体の成分を選定することによっても伝導度を調整し得る。
本発明のインクは、25℃の粘度に対する10℃の粘度の変化率が、250%以下であり、かつ25℃の表面張力に対する10℃の表面張力の変化率が130%以下であることが好ましい。粘度の変化率が250%を超えるか、又は表面張力の変化率が130%を超えると、吐出安定性が著しく低下してしまう。さまざまな環境下でも安定な吐出性能を得るためには物性変動ができるだけ少ないことが非常に重要である。特に粘度、表面張力は厳密にコントロールされなければならない。
25℃の粘度に対する10℃の粘度の変化率は、より好ましくは200%以下であり、更に190%以下であることが好ましく、25℃での表面張力に対する10℃の表面張力の変化率は、より好ましくは125%以下であり、更に120%以下であることが好ましい。
本発明において、25℃の粘度に対する10℃の粘度の変化率、および25℃の表面張力に対する10℃の表面張力の変化率を算出するには以下の式を用いる。
Figure 2007204632
本発明に係るマゼンタ染料を含有し、且つ上記した組成とインク物性を有するインクジェット記録用インクを用いた画像は、インクの滲みも低いレベルに抑制される。本発明の典型的な態様では、支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料に対するにじみが明視距離での目視検知出来ないレベルにある。また、ゼラチン含有硬化層を画像記録層とする受像材料に対しても、明視距離での目視検知不能のにじみレベルである。特に高湿、高温のもとで保存された場合にも、本発明に係るマゼンタインクによる描画像は、優れた滲み耐性を有している。
滲みの原因は、染料の性質のほかに、インクの物性調整や渇き防止のために添加されている補助溶媒、例えばグリセリン、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ルモノブチルエ−テルなどの含有量と種類、残留溶媒量、像構造、二次色(レッドとブル−)の重なり具合などの諸要因に係っている。インク処方において滲みを改良するには、染料の選択のほかに、補助溶媒量の減量、インクの表面張力の最適化(30〜37mN/m、好ましくは30〜35mN/m)が効果的である。
滲みの程度は受像紙により異なるが、本発明のインクは受像紙の種類を変えても滲まないことにも特徴がある。インク処方設計により滲みを改良するためには染料の溶解度が低い溶剤を使用することが好ましい。一般式(1)または(2)で表される染料の場合、例えばグリセリン、PFG(プロピレングリコ−ルモノプロピルエ−テル)を用いることが好ましい。滲みを改良するための別の方法としては媒染力を強化することであり,媒染のためのアンカ−化合物を導入することである。具体的にはベタイン化合物を用いることにより媒染剤と染料の相互作用強化をすることである。
なお、インクジェット記録用インクの調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
本発明のインクによって描画される記録紙および記録フィルムについて説明する。本発明では、公知の被記録材、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等を用いることができる。
以下に本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙および記録フィルムについて説明する。記録紙および記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。支持体としては、これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
支持体にそのまま受像層およびバックコート層を設けて本発明のインクの受像材料としてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、受像層およびバックコート層を設けて受像材料としてもよい。さらに支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテンおよびそれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙およびプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられる受像層について述べる。受像層は、多孔質材料や水性バインダーが含有される。また、受像層には顔料を含むのが好ましく、顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法(気相法)によって得られる無水珪酸および湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能である。
上記顔料を受像層に含有する記録紙としては、具体的には、特開平10−81064号、同10−119423、同10−157277、同10−217601、同11−348409、特開2001−138621、同2000−43401、同2000−211235、同2000−309157、同2001−96897、同2001−138627、特開平11−91242、同8−2087、同8−2090、同8−2091、同8−2093、同8−174992、同11−192777、特開2001−301314などに開示されたものを用いることができる。
受像層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独または2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
受像層は、顔料および水性バインダーの他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐ガス性向上剤、界面活性剤、硬膜剤その他の添加剤を含有することができる。
受像層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が滲み防止の点で好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、滲みのない優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド等が挙げられる。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
耐光性向上剤、耐ガス性向上剤としては、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、チオエーテル化合物、チオ尿素化合物、チオシアン酸化合物、アミン化合物、ヒンダードアミン化合物、TEMPO化合物、ヒドラジン化合物、ヒドラジド化合物、アミジン化合物、ビニル基含有化合物、エステル化合物、アミド化合物、エーテル化合物、アルコール化合物、スルフィン酸化合物、糖類、水溶性還元性化合物、有機酸、無機酸、ヒドロキシ基含有有機酸、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、ヘテロ環化合物、水溶性金属塩、有機金属化合物、金属錯体等があげられる。
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものがあげられる。
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
硬膜剤としては特開平1−161236号公報の222頁、特開平9−263036号、特開平10−119423号、特開2001−310547号に記載されている材料などを用いることが出来る。
その他の受像層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
記録紙および記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
インクジェット記録紙および記録フィルムの構成層(バック層を含む)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。ポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止できる。
本発明のインクに適用されるインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、およびインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット)方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
下記マゼンタ染料[M−1]3.5gに下記の成分を加え、さらに脱イオン水を加えて100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌混合した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しインク1を調製した。
インク1:
染料M−1 3.5g
尿素 2.4g
トリエチレングリコール 1.9g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.4g
1,2ヘキサンジオール 1.2g
2−ピロリドン 1.1g
グリセリン 10.2g
トリエタノールアミン 0.2g
プロキセルXL II 1.0g
添加剤1 1.8g
上記に脱イオン水を加えてトータル量を100gとした。
Figure 2007204632
Figure 2007204632
インク2:
前記インク1と同じ処方において、グリセリンを2,2’チオジエタノールに置き換えた以外はインク1と同様にしてインク2を調製した。
インク3:
前記インク1と同じ処方において、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを2,2’チオジエタノールに変更した以外はインク1と同様にしてインク3を調製した。
インク4:
前記インク2と同じ処方において、染料M−1を下記染料M−2変更した以外は、インク2と同様にしてインク4を調製した。
Figure 2007204632
インク5:
前記インク3と同じ処方において、染料M−1を染料M−2に変更した以外は、インク3と同様にしてインク5を調製した。
インク6:
前記インク1と同じ処方において、トリエチレングリコールモノブチルエーテルをジメチルスルホキシドに変更した以外はインク1と同様にしてインク6を調製した。
インク7:
前記インク1と同じ処方において、脱イオン水、染料M-1、プロキセルXLII、添加剤1以外を全て2,2’チオジエタノールに変更した以外はインク1と同様にしてインク7を調製した。
インク8:
前記インク1と同じ処方においてトリエチレングリコールモノブチルエーテルおよびグリセリンを2,2’チオジエタノールに変更した以外はインク1と同様にしてインク8を調製した。
インク9:
前記インク1と同じ処方において、2−ピロリドンをジメチルスルホキシドに変更した以外はインク1と同様にしてインク6を調製した。
得られた各インクを、インクジェットプリンターPM−A700(EPSON社製)のマゼンタインクカートリッジに詰めた。このとき、染料の溶解からインク装填を行うまでの工程はクリーンベンチを用いてクリーン度1000以下のスペースで行った。
作製したインクカートリッジをPM−A700プリンタに装填して富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパー「画彩」光沢仕上げにマゼンタインクのみで画像を印刷した。
得られた画像のオゾン(O)耐性について調べた。具体的には、前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が5.0ppmに設定されたボックス内に3日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5および2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。 何れの濃度でも色素残存率が90%以上の場合をA、1又は2点が90%未満をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとして、三段階で評価した。得られた結果を下記表に示す。「半値幅中心の変化」とは、反射濃度1.0の部分のオゾン処理前後の反射スペクトルの半値幅の中心の波長の変化を指す。
吐出安定性については、カートリッジをプリンターにセットし、全ノズルからのインクの吐出状態を確認した後、A4紙20枚出力し、以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
Figure 2007204632

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物および水溶性有機溶剤を少なくとも含むインク組成物であって、前記水溶性有機溶剤中、チオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物が10質量%以上80質量%以下を占めることを特徴とするインク組成物。
    Figure 2007204632
    一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基又はアシル基を表す。各置換基は、さらに置換されていてもよい。R2は、水素原子、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。各置換基はさらに置換されていてもよい。R4、R5、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。各置換基はさらに置換されていてもよい。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。
  2. 下記一般式(2)で表される化合物および水溶性有機溶剤を少なくとも含むインク組成物であって、前記水溶性有機溶剤中、チオエーテルもしくはスルホキシド部位を有する化合物が10質量%以上80質量%以下を占めることを特徴とするインク組成物。
    Figure 2007204632
    一般式(2)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わす。また、R1とR、またはR3とR4が結合して5または6員環を形成してもよい。aおよびeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、aおよびe が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。b、c、dは、各々独立にR1、R2と同義であり、aとb、または、eとdで互いに縮環していてもよい。Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。Qは、水素原子、脂肪族基、アリール基またはヘテロ環基を表す。但し、一般式(2)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
  3. 請求項1または2に記載のインク組成物を用いることを特徴とする記録方法。
  4. インクジェット記録方法であることを特徴とする請求項3に記載の記録方法。
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