JP4095807B2 - アゾ化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なアゾ化合物、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。また、ディスプレーでは、LCDやPDPにおいて、撮影機器ではCCDなどの撮像素子においてカラーフィルターが使用されている。
これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の着色剤(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現できる吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件に耐えうる堅牢な着色剤がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
【0003】
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
【0004】
このようなインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。
しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす色素を捜し求めることは、極めて難しい。特に、良好なマゼンタ色相を有し、光及び環境中の活性ガス、中でもオゾンなどの酸化性ガスに対して堅牢な着色剤が強く望まれている。
【0005】
従来、アゾ色素のカプラーとしてフェノール、ナフトール、アニリン等が広く使用されてきている。これらのカプラーにより得られる色相の良好なアゾ色素として、特開平11−209673号公報、特許第3020660号公報等に開示された色素が知られているが、光堅牢性が劣るという問題点を有する。これを改良するものとして最近良好な色相を有し光堅牢性を向上させた色素が特願2000−220649号明細書に開示されている。しかし、これらの公報等で知られている着色剤は何れもオゾンなどの酸化性ガスに対する堅牢性は極めて不十分である。
【0006】
本願に係わる発明者らは、オゾン等の酸化性ガスに対して堅牢な色素を開発すべく、従来のフェノール、ナフトール、アニリン等のカプラーから脱却して、含窒素ヘテロ環化合物をカプラーとして使用するという考えに至った。これまでアミノピラゾールジアゾ成分とアニリンカプラーからなるアゾ色素系は、特開昭55−161856号、同61−36362号、同61−152768号、特開平6−145543号、特開平7−224230号、米国特許第4650861号、同4301070号、特表平11−504958号等に開示されているが、先に述べた様に、いずれも色相と各種堅牢性を両立させるにはいたっていない。ピリジンカプラーを有するアゾ色素系としては、特開昭51−83631号、同49−74718号、同58−101158号、特公52−46230号、欧州特許第23309号、ドイツ特許第2719079号、同2307444号、同2513949号、同2525505号、同2832020号に記載されているアゾ色素で公知であるが、ピラゾールジアゾ成分とピリジンカプラーからなるアゾ色素は全く知られていなかった。
【0007】
一方、ピラゾールジアゾ成分とアニリンカプラーからなるアゾ色素は、従来、米国特許第3,336,285号、同3,639,384号及び英国特許第1,566,985号などに記載される方法にしたがって合成されていた。上記の米国特許明細書に記載の方法は、1−アルキル−4−シアノ−ピラゾール−5−イルアゾ色素を、1−アルキル−4−シアノ−5−アミノピラゾールをジアゾ化してカップリングすることによって合成するものである。しかし、この工程におけるジアゾニウム塩は非常に不安定であるため、ジアゾ化してカップリングすることによって色素を高収率かつ高純度で得ることは困難である[Weaver and Shuttleworth, Dyes and Pigments3, 81 (1982)]。また、特公平6−19036号公報に記載されている合成方法で得られる1−アルキル−3−(2級又は3級アルキル)−4−シアノーピラゾールー5−イルアゾ色素では色相が短波でありマゼンタ色素としては満足できない。
【0008】
英国特許第1,566,985号明細書に記載される方法は、1−アルキル−3−アルキル又はアリール−4−シアノーピラゾール−5−イルアゾ色素を、1−アルキル−3−アルキル又はアリールー4−ハロゲノ−5−アミノピラゾールを芳香族カップリング成分とともにジアゾ化及びカップリングして、その後、4位のハロゲンをシアニドで置換することによって合成するものであるが、CuCNやZn(CN)2といった重金属シアニドを使用するものであり、使用後の廃物処理の問題、生成した色素の精製方法等の問題がある。
さらには、ピラゾールジアゾ成分とピリジンカプラーからなるアゾ色素を簡便かつ高収率で製造できる方法はこれまで全く知られていなかった。このように、本発明の化合物の合成に適応可能な合成法にも多くの欠点があった。
さらには、本発明の一般式(1−H1)で表される化合物のピリジンカプラー部のアミノ基に任意の置換基を導入しようとすると反応温度が高温となり、また反応系が複雑になり単離が困難となる場合が多かった。さらには、ピラゾールジアゾ成分とピリジンカプラーからなるアゾ色素を簡便かつ高収率で、水溶性化できる方法も知られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、
(1)有用な化学・医薬・農薬有機化合物中間体となり得る特定の構造の新規な化合物誘導体を提供すること、
(2)三原色の色素として色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ光,熱,湿度及び環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有する新規な染料及びその製造方法を提供すること、
(3)色相と堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与える、インクジェットなどの印刷用のインク組成物、感熱転写型画像形成材料におけるインクシート、電子写真用のトナー、LCD、PDPなどのディスプレイやCCDなどの撮像素子で用いられるカラーフィルター用着色組成物、各種繊維の染色の為の染色液などの各種着色組成物を提供すること、そして
(4)該染料の使用により良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができるインクジェト記録用インクを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、良好な色相と堅牢性の高い色素誘導体を詳細に検討したところ、従来知られていない特定の色素骨格を有する下記一般式(1)で表されるアゾ化合物により、上記目的を達成できることを見出すに至った。
即ち、本発明によれば下記構成のアゾ化合物、その製造方法、及び着色組成物が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
1.下記一般式(1)で表されることを特徴とする化合物。
【0011】
【化9】
【0012】
一般式(1)中:
R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基又はアシル基を表す。各置換基は、さらに置換されていてもよい。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。各置換基はさらに置換されていてもよい。
R4、R5、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。各置換基はさらに置換されていてもよい。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。
A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。
2.前記一般式(1)においてR3はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基である下記一般式(1−R1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【0013】
【化10】
【0014】
一般式(1−R1)中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、A1及びA2は、一般式(1)と同義である。
3.前記一般式(1)のR4は、置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基である下記一般式(1−R2)で表されることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【0015】
【化11】
【0016】
一般式(1−R2)中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、A1及びA2は、一般式(1−R1)と同義である。
4.前記一般式(1)のR4は水素原子である下記一般式(1−R3)で表されることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【0017】
【化12】
一般式(1−R3)中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、A1及びA2は、一般式(1−R1)と同義である。
5.前記一般式(1)のR4、R5、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、又はカルバモイル基である下記一般式(1−R4)で表されることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【0018】
【化13】
一般式(1−R4)中、R1、R2、R3、A1及びA2は、一般式(1−R1)と同義である。
6.前記一般式(1)のR3は水素原子である下記一般式(1−H1)表されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【0019】
【化14】
一般式(1−H1)中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、A1及びA2は、一般式(1)と同義である。
7.前記一般式(1−H1)のR4が水素原子、及びR5とR7が水素原子ではない下記一般式(1−H2)で表されることを特徴とする請求項6に記載の化合物。
【0020】
【化15】
一般式(1−H2)中、R1、R2、R6、A1及びA2は、一般式(1−H1)と同義である。
8.下記方法(1)又は(2)のいずれかの方法により請求項2に記載の一般式(1−R1)の化合物を得ることを特徴とする化合物の製造方法。
方法(1):
(a)下記一般式(2)で表されるアミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する工程、
(b)上記工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を下記一般式(3)で表されるカップリング剤と反応させて、前記一般式(1−H1)で表される化合物を形成する工程、及び
(c)塩基の存在下で、上記工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させて上記一般式(1−R1)で表される化合物を形成する工程を含む方法。
【0021】
【化16】
【0022】
式中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、A1及びA2は上記一般式(1)の場合と同義である。
方法(2):
一般式(1−R4)で表される化合物に求電子反応によって水溶性基を導入する工程を含む方法。
9.請求項8に記載の方法(2)において前記求電子反応がスルホン化であることを特徴とする請求項8に記載の化合物の製造方法。
10.下記方法(3)又は(4)のいずれかの方法により、請求項3に記載の一般式(1−R2)の化合物を得ることを特徴とする化合物の製造方法。
方法(3):
前記一般式(1−H1)の化合物と、前記アルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤とを脱酸素条件下で反応させる方法。
方法(4):
前記一般式(1−H2)の化合物と、前記アルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤と反応させて下記一般式(1−R3)の化合物を製造する工程と、
さらに前記一般式(1−R3)の化合物と前記アルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤とを脱酸素条件下で反応させる工程とを含む方法。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(アゾ化合物)
本発明の化合物は一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)は好ましくは一般式(1−R1)及び一般式(1−H1)である。さらに一般式(1−R1)は好ましくは一般式(1−R2)、一般式(1−R3)、及び一般式(1−R4)である。同様に一般式(1−H1)は好ましくは一般式(1−H2)である。
【0024】
以下に本発明の一般式(1)で表される化合物について詳しく述べる。R1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基を表し、各置換基はさらに置換されていてもよい。
アルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基は、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル及び4−スルホブチルが含まれる。
シクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が含まれる。
【0025】
アラルキル基としては、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アラルキル基の例には、ベンジル基、及び2−フェネチル基が含まれる。
アリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基及びイオン性親水性基が含まれる。アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
【0026】
ヘテロ環基には、置換基を有するヘテロ環基及び無置換のヘテロ環基が含まれる。ヘテロ環基としては、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基の例には、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基及びイオン性親水性基が含まれる。へテロ環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基及び2−フリル基が含まれる。
アシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
【0027】
R2は、水素原子、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
R4,R5,R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、カルバモイル基を表し、各置換基はさらに置換されていてもよい。
アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基に関しては、上記R1と同義である。
アルケニル基には、置換基を有するアルケニル基及び無置換のアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が5〜12のアルケニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基等が含まれる。
スルホニル基としては、アルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル基、及びアリールスルホニル基、例えばフェニルスルホニル基等が含まれる。
ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。
【0028】
R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、又はスルホ基を表し、これら各置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基の詳細は上記R4,R5,R6及びR7の場合と同じである。
A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。置換基を有していてもよい炭素原子の置換基は、上記R4,R5,R6及びR7の場合と同じである。
【0029】
一般式(1)に関して、R1〜R7、A1及びA2が表す好ましい置換基の例を以下に示す。
R1は、アルキル基及びアリール基が好ましい。さらに、アルキル基のうち、イソプロピル基、t−ブチル基が最も好ましい。アリール基では、フェニル基及びピラゾール母核側から見て2位、4位又は6位のいずれかにさらなる置換基を有するフェニル基が好ましい。
R2はシアノ基が最も好ましい。
【0030】
R3は、電子吸引性基で置換されたアリール基又はヘテロ環基が好ましい。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。
【0031】
R3の上記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上のの電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基及びσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられ、好ましくはシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子である。上記ヘテロ環基は、電子吸引性基で置換されていてもいなくてもよい。
【0032】
A1及びA2は、既に述べたように、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。A1とA2が共に炭素原子である場合が、より優れた性能を発揮できる点で好ましい。
炭素原子のさらなる置換基としては、炭素原子数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基が好ましい。また、R4、R5、R6及びR7は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、スルホニル基、アシル基、ヘテロ環基が好ましく、さらにはスルホニル基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基が最も好ましい。
なお、既に述べたことであるが、R4とR5は共に水素原子となることはなく、またR6とR7が共に水素原子となることはない。
【0033】
本発明の一般式(1)で表される化合物を水溶性として用いる場合、R3、R4、R5、R6、及びR7のうち少なくとも2つ以上のスルホ基、又はカルボキシル基で置換されていることが好ましく、さらには3つ以上のスルホ基、又はカルボキシル基で置換されていることがより好ましい。
【0034】
(アゾ化合物の製造方法)
(1−R1)で表される化合物の製造方法について述べる。下記方法(1)又は(2)のいずれかの方法により一般式(1−R1)の化合物は得られる。
方法(1)は、
(a)下記一般式(2)で表されるアミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する工程、
(b)上記工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を下記一般式(3)で表されるカップリング剤と反応させて、前記一般式(1−H1)で表される化合物を形成する工程、及び
(c)塩基の存在下で、上記工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させて上記一般式(1−R1)で表される化合物を形成する工程を含む方法、
を含む。
【0035】
本発明の方法(2)は、一般式(1−R4)で表される化合物に求電子反応によって水溶性基を導入する工程を含む方法である。さらに求電子反応は下記に詳述する方法が好ましい。
【0036】
本発明の方法(1)において、工程(a)で使用するジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウムの希塩酸水溶液を使用するのが好ましい。また、亜硝酸イソペンチル及びニトロシル硫酸なども、ジアゾ化剤として使用することができる。
【0037】
本発明の方法(1)において、工程(b)で使用するカップリング剤としては、一般式(3)で表される含窒素6員ヘテロ環カプラーを用いることが最も好ましい。一般式(3)におけるA1、A2、R4、R5、R6、R7の好ましい例は、一般式(1)の場合と同じである。
【0038】
本発明の方法(1)において、工程(c)で使用するアルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤は、下記一般式(4)、(5)、(6)で表される。
【0039】
【化17】
【0040】
上記一般式(4)において、Rは置換されていてもよいアルキル基を表し、Xはハロゲン原子又はOSO2R'を表す。R'はアルキル基又はフェニル基等のアリール基を表す。
一般式(5)において、Arは電子吸引性基が置換されたフェニル基を表し、ハメットのσp値の合計が0.2以上の置換基で置換されていることが好ましい。
一般式(6)において、Hetはヘテロ環を表し、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、トリアジル基及び2−フリル基が好ましい。
工程(c)で使用する塩基としては、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基及び、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基を使用することができる。
【0041】
前記方法(2)における求電子反応としてはスルホン化、マンニッヒ反応、フリーデルクラフツ反応があり、中でもスルホン化が好ましい。
一般式(1−R4)をスルホン化する方法としては、濃硫酸、10%から60%までの発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化イオウ、アミド硫酸等のスルホン化剤を用いてスルホン化することができる。また、溶剤を用いてもよく、溶剤としては、酢酸、無水酢酸、酢酸エチル、エーテル、四塩化炭素、アセトニトリル、等を用いても良い。
一般式(1−R4)において、R3、R4、R5、R6、及びR7がスルホン化されることが好ましく、R3、R4、R5、R6、及びR7の置換基が、複数のスルホン化されうる反応点のある場合には、置換位置の異なるスルホン化された色素が混入しても良い。この場合、主たるスルホン化された色素に対して、HPLC面積%で、0.1%から20%の範囲で置換位置の異なるスルホン化された色素が混入していても良い。反応温度(摂氏)は−20度から50度までが望ましく、さらに望ましくは−5度から30度の範囲である。反応時間は30分から10時間の間が望ましく、さらに望ましくは1時間から6時間の間である。
【0042】
本発明の化合物の製造方法としては、下記方法(3)又は(4)のいずれかの方法により一般式(1−R2)の化合物を得ることができる。方法(3)は、前記一般式(1−H1)の化合物と、前記アルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤とを脱酸素条件下で反応させる方法である。
【0043】
本発明の方法(4)は、前記一般式(1−H2)の化合物と、前記アルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤と反応させて下記一般式(1−R3)の化合物を製造する工程と、
さらに前記一般式(1−R3)の化合物と前記アルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤とを脱酸素条件下で反応させる工程とを含む方法である。前記アルキル化剤、アリール化剤、又はヘテリル化剤は上述のものが使用できる。
【0044】
一般式(1−R2)の製造方法において、前記脱酸素条件としては、反応系内を窒素、アルゴン等の不活性ガスで満たして製造することが望ましく、さらには反応液内をこれらの不活性ガスでバブリングさせることが好ましい。
【0045】
方法(1)の工程(a)で使用する出発物質である一般式(2)で表されるアミノピラゾールは、米国特許第3,336,285号明細書及びヘテロサイクルズ(Heterocycles),20,519(1983)及び特公平6−19036号公報等に記載されている方法によって合成することができる。
【0046】
方法(1)の工程(b)で用いられるピリジンカプラー(一般式(3)で表されるカップリング剤)は、特開昭51−83631号公報、特開昭49−74718号公報、特公52−46230号公報等に記載されている方法で合成することができる。
【0047】
上述の本発明の製造方法によって、一般式(1)で表されるアゾ化合物(アゾ染料)を合成することができる。本発明のアゾ化合物の具体例(例示化合物1−1〜8−3)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】
【表12】
【0060】
【表13】
【0061】
【表14】
【0062】
【表15】
【0063】
【表16】
【0064】
〔アゾ化合物の用途等〕
本発明の化合物の染料としての用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられ、具体的には、以下に詳述するインクジェット方式記録材料を始めとして、感熱転写型画像記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等があり、好ましくはインクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であり、より好ましくはインクジェット方式記録材料である。また、米国特許4,808,501号明細書、特開平6-35182号公報などに記載されているLCDやCCDなどの固体撮像素子で用いられるカラーフィルター、各種繊維の染色の為の染色液にも適用できる。
本発明のアゾ化合物は、その用途に適した溶解性、熱移動性などの物性を、置換基により調整して使用する。また、本発明のアゾ化合物は、用いられる系に応じて均一な溶解状態、乳化分散のような分散された溶解状態、さらには固体分散状態でも使用することができる。
【0065】
〔インクジェット記録用インク〕
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に本発明のアゾ化合物染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0066】
乾燥防止剤は、インクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
【0067】
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0068】
浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール,ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0069】
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0070】
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0071】
防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
【0072】
pH調整剤としては前記中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。前記pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10と夏用に添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
【0073】
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。尚、インクジェット用インクの表面張力は20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。またインクジェット用インクの粘度は30mN/m以下が好ましい。更に20mN/m以下に調整することがより好ましい。
界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0074】
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
【0075】
本発明のアゾ染料化合物を水性媒体に分散させる場合は、特開平11-286637号、特願平2000-78491号、同2000-80259号、同2000-62370号等の各公報記載のように色素と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特願平2000-78454号、同2000-78491号、同2000-203856号,同2000-203857号等の各公報記載のように高沸点有機溶媒に溶解した本発明の染料を水性媒体中に分散することが好ましい。本発明の染料を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法,使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、上記公報の記載を参照して適宜選択することができる。あるいは、アゾ染料を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、先述の特許以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特願2000−87539号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
【0076】
水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、これら水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0077】
インクジェット記録用インク100質量部中は、本発明のアゾ化合物を0.2〜10質量部含有するのが好ましい。また、本発明のインクジェット用インクには、前記アゾ化合物とともに、他の着色剤を併用してもよい。2種類以上の着色剤を併用する場合は、全着色剤の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
【0078】
本発明のインクジェット記録用インクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
適用できるイエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0079】
適用できるシアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料; インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
【0080】
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
【0081】
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用してもよい。具体的には、特願2000-363090、同2000-315231、同2000-354380、同2000-343944、同2000-268952、同2000-299465、同2000-297365の各明細書に記載された方法を好ましく用いることができる。
【0082】
以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0083】
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
【0084】
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
【0085】
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0086】
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
【0087】
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0088】
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0089】
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント,ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0090】
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0091】
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−136648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(摂氏40度以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。またガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加してもカールを防止することができる。
【0092】
本発明のインクはインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0093】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例中、温度は摂氏温度を表す。
(合成例1)
化合物(1−1)の合成
(1)化合物(1−1a)の合成
5−アミノ−3−tert−ブチル−4−シアノピラゾール(1)8g(48.7mmol)、濃塩酸15ml、水50mlを内温5度で攪拌し、亜硝酸ナトリウム3.36g(48.7mmol)を10分間で分割添加した。そのまま10分間攪拌後、カプラー成分(2)21.3g(40.6mmol)に酢酸ナトリウム50g、DMF50ml、酢酸エチル50mlを加えて攪拌し、内温5度に冷却してあった三つ口フラスコに上記ジアゾニウム塩を10分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、さらに反応液をそのまま30分攪拌させた後、飽和食塩水300mlを加え、析出した化合物(1−1a)を吸引濾過し、単離した。収量24.2g、収率85%。
【0094】
(2)化合物1−1の合成
染料(1−1a)28.0g(40mmol)にヘテリル化剤(3)8.8g(52mmol)、炭酸カリウム5.5g、DMAc100mlを加え、100度で1時間加熱攪拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、飽和食塩水400mlを加え、析出した染料(1−1)を吸引濾過にて単離した。さらにこの粗結晶をアセトニトリル溶媒で再結晶した。収量33.3g、収率80%。λmax=545nm(DMF溶液)。m/Z(POSI)=834。
【0095】
【化18】
【0096】
合成例1と同様の合成方法で下記化合物を合成した。結果を下記表に示す。
【0097】
【表17】
【0098】
(合成例2)
化合物(2−1)の合成
(1)化合物(2−1a)の合成
5−アミノ−3−tert−ブチル−4−シアノピラゾール(1)8g(48.7mmol)、濃塩酸15ml、酢酸8ml、プロピオン酸12mlを内温5度で攪拌させ、亜硝酸ナトリウム3.36g(48.7mmol)を水10mlに溶解させ10分間で滴下した。そのまま30分間攪拌後、カプラー成分(2)18.5g(40.6mmol)にピリジン100mlを加えて攪拌し、内温5度に冷却し、上記ジアゾニウム塩を30分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、さらに反応液を30分攪拌させた後、飽和食塩水300mlを加え、析出した化合物(4−5)を吸引濾過し単離した。収量17.6g、収率75%。
【0099】
(2)化合物2−1の合成
化合物(4−5)21,4g(40mmol)にヘテリル化剤(3)17g(100mmol)、炭酸カリウム5.5g、DMAc100mlを加え、110度で4時間加熱攪拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、飽和食塩水400mlを加え、析出した化合物(2−1)を吸引濾過にて単離した。さらにこの粗結晶をアセトニトリル溶媒で再結晶した。収量15.4g、収率48%。λmax=558nm(DMF溶液)。m/Z(POSI)=802。
【0100】
【化19】
【0101】
合成例2と同様の合成方法で下記化合物を合成した。結果を下記表に示す。
【0102】
【表18】
【0103】
(合成例3)
化合物(2−1)の合成
化合物(2−4)37.3g(56mmol)にヘテリル化剤(3)18.9g(112mmol)、炭酸カリウム20g、DMSO210mlを加え、窒素バブリングをさせながら、100度で4時間加熱攪拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、析出した化合物(2−1)を吸引濾過にて単離し、得られた結晶をDMSO200mlで洗浄した。この結晶を、水1500mlに分散させ、吸引ろ過、水洗浄を行って化合物(2−1)を得た。収量29g、収率65%。λmax=558nm(DMF溶液)。m/Z(POSI)=802。
【0104】
【化20】
【0105】
(合成例4)
化合物(6−4)の合成
30%発煙硫酸90mlを入れた三口フラスコに内温15度前後を維持させながら、色素(2−1)30g(37.5mmol)を30分間で分割添加させた。添加終了後、反応液を激しく攪拌させながら、内温20度で5時間反応させた。反応液を5度に冷却し、純水10mlを注意深く滴下した。反応温度は30度以下を保った。滴下終了後、冷飽和食塩水800ml中に徐々に滴下して、粗色素を晶析させた。このとき、同時に濃NaOH水溶液(NaOH70gを純水200mlに溶解させたもの)を同時滴下させた。晶析中の内温は、40度以下に保った。滴下終了後、析出した色素をろ過分取した。ろ過物は飽和食塩水300mlで洗った。得られた粗色素(6−4)をメタノール/エタノール=1/1(v/v)600mlに溶解させ、熱時ろ過後、ろ液にメタノール/エタノール=1/1(v/v)120mlに溶解させた酢酸カリウム溶液を滴下し、再結晶操作を行った後、ろ過後に得られた色素を脱塩膜で脱塩後、純度の高い色素(6−4)を35g得た。収率72.3%。λmax=560nm(DMSO)。
【0106】
【化21】
【0107】
(合成例5)
前記合成例と同様の合成方法で下記化合物を合成した。結果を下記表に示す。
【0108】
【表19】
【0109】
【表20】
【0110】
(合成例6)
化合物(2−1)の合成
(1)化合物(4−5)の合成
5−アミノ−3−tert−ブチルー4−シアノピラゾール(1)7.55g(46mmol)、濃塩酸15ml、酢酸/プロピオン酸=2/3(v/v)20mlを内温5度で攪拌させ、亜硝酸ナトリウム3.36g(48mmol)を水10mlに溶解させ、10分間で分割添加した。そのまま10分間攪拌後、カプラー成分(2)20.0g(44mmol)にピリジン100mlを加えて攪拌し、内温5度に冷却してあった三つ口フラスコに上記ジアゾニウム塩を10分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、さらに反応液をそのまま30分攪拌させた後、1NHCl水溶液110mlと氷600gを混合させた中に滴下し、析出した化合物(4−5)を吸引濾過し、単離した。収量26.2g、収率88%。
【0111】
(2)化合物(2−1)の合成
前記化合物(4−5)30.0g(56mmol)にヘテリル化剤(2−クロロベンゾチアゾール)(3)58.4ml(224mmol)、炭酸カリウム62g、DMSO210mlを加え、窒素バブリングをさせながら、100度で4時間加熱攪拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、析出した化合物(2−1)を吸引濾過にて単離し、得られた結晶をDMSO200mlで洗浄した。この結晶を、水1500mlに分散させ、吸引ろ過、水洗浄を行って化合物(2−1)を得た。収量63g、収率80%。λmax=558nm(DMF溶液)。m/Z(POSI)=802。
【0112】
実施例6において、窒素バブリングのみを行わず、後の操作は全く同様にして化合物(2−1)を製造した場合、その収率は45%であった。
【0113】
(合成例7)
化合物(2−1)の合成
化合物(2−4)37.3g(56mmol)にヘテリル化剤(2−クロロベンゾチアゾール)(3)18.9g(112mmol)、炭酸カリウム20g、DMSO210mlを加え、窒素バブリングをさせながら、100度で4時間加熱攪拌させた。反応終了後、室温まで冷却し、析出した化合物(2−1)を吸引濾過にて単離し、得られた結晶をDMSO200mlで洗浄した。この結晶を、水1500mlに分散させ、吸引ろ過、水洗浄を行って化合物(2−1)を得た。収量29g、収率65%。λmax=558nm(DMF溶液)。m/Z(POSI)=802。
【0114】
合成例7において、窒素バブリングのみを行わず、後の操作は全く同様にして化合物(2−1)を製造した場合には、その収率は50%であった。
【0115】
上記合成例から、いずれの場合においても反応系から酸素を遮断して反応させることが収率において有効であることが明らかである。
【0116】
(実施例1)
(水性インクの調製)
下記の成分を30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した後、平均孔径0.8μ、直径47mmのミクロフィルターを用いて加圧濾過して、インク液Aを調製した。
−インク液Aの組成−
・化合物(具体的化合物例2−14) 5質量部
・ジエチレングリコール 9質量部
・テトラエチレングルコールモノブチルエーテル 9質量部
・グリセリン 7質量部
・ジエタノールアミン 2質量部
・水 70質量部
【0117】
前記アゾ化合物を、下記表10に示すように変更した以外は、インク液Aの調製と同様にして、インク液B〜Hを調製した。
【0118】
(画像記録及び評価)
インク液A〜Hを用いて、インクジェットプリンター(PM−700C、セイコーエプソン(株)製)で、フォト光沢紙(富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパー、スーパーフォトグレード)に画像を記録した。
得られた画像について、色相と光堅牢性を評価した。
色相については、目視にて最良、良好及び不良の3段階で評価した。評価結果を下記表21に示す。下記表21中、〇は色相が最良;△は良好であったことを示し、×は色相が不良であったことを示す。
光堅牢性については、記録した直後の画像濃度Ciを測定した後、ウェザーメーター(アトラスC.165)を用いて、画像にキセノン光(8万5千ルクス)を7日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度の差から色素残存率({(Ci−Cf)/Ci}×100%)を算出し、評価した。画像濃度は反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定した。色素残存率は、反射濃度が1、1.5、及び2.0の3点で測定した。
評価結果を下記表に示す。下記表中、いずれの濃度においても色素残存率が80%以上の場合を〇、2点が80%未満の場合を△、すべての濃度で80%未満の場合を×として示した。
耐オゾンガス性については、記録した直後の画像を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に24時間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合を○、1又は2点が70%未満を△、全ての濃度で70%未満の場合を×として、三段階で評価した。
【0119】
【表21】
【0120】
【表22】
【0121】
【化22】
【0122】
【化23】
【0123】
前記表に示すように、インク液A〜Dから得られたマゼンタ画像は、インク液E〜Hから得られたマゼンタ画像よりも鮮明であった。また、インク液A〜Dを用いて得られた画像は、光堅牢性が優れていた。
【0124】
更に、インク液A〜Dを用いて、インクジェットプリンター(PM−700C、セイコーエプソン(株)製)により、スーパーファイン専用光沢紙(MJA4S3P、セイコーエプソン(株)製)に画像を記録した。得られた画像の色相と光堅牢性を評価したところ、いずれも前記表と同様の結果が得られた。
【0125】
(実施例2)
(インク試料101の作製)
アゾ化合物(具体的化合物例2−8;油溶性化合物)5.63g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.04gを、下記高沸点有機溶媒(S−2)4.22g、下記高沸点有機溶媒(S−11)5.63g及び酢酸エチル50ml中に70℃にて溶解させた。この溶液中に500mlの脱イオン水をマグネチックスターラーで撹拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒分散物を作製した。次にこの粗粒分散物を、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC)にて600barの圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更にでき上がった乳化物をロータリーエバポレーターにて酢酸エチルの臭気が無くなるまで脱溶媒を行った。こうして得られた疎水性染料の微細乳化物に、ジエチレングリコール140g、グリセリン50g、SURFYNOL465(AirProducts&Chemicals社)7g、脱イオン水900mlを添加してインク試料101を作製した。
【0126】
【化24】
【0127】
(インク試料102〜105の作製)
インク試料101のアゾ化合物(具体的化合物例2−8;油溶性化合物)を下記表のアゾ化合物(油溶性化合物)に変更した以外は、試料101と同様に試料102〜105を作製した。こうして得られた試料101〜105の乳化分散インクの体積平均粒子サイズをマイクロトラックUPA(日機装株式会社)を用いて測定した。この結果を下記表23に示す。
【0128】
(画像記録及び評価)
インク試料101〜105及び比較試料(前記インク液E〜H)について下記評価を行った。その結果を下記表24に示す。
尚、表24において、「色調」、「紙依存性」、「耐水性」及び「耐光性」は、各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙(富士写真フイルム(株)製;インクジェットペーパー、フォトグレード)に画像を記録した後で評価したものである。
【0129】
<色調>
記録した画像の390〜730nm領域のインターバル10nmによる反射スペクトルを測定し、これをCIE L*a*b*色空間系に基づいて、a*、b*を算出した。マゼンタとして好ましい色調を下記のように定義した。
【0130】
好ましいa*:76以上、
好ましいb*:−30以上0以下
A:a*、b*ともに好ましい領域
B:a*、b*の一方のみ好ましい領域
C:a*、b*のいずれも好ましい領域外
【0131】
<紙依存性>
前記フォト光沢紙に形成した画像と、別途にPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が小さい場合をA(良好)、両画像間の差が大きい場合をB(不良)として、二段階で評価した。
【0132】
<耐水性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、30秒間水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが無いものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
【0133】
<耐光性>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を3日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0134】
<耐オゾン性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に24時間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0135】
【表23】
【0136】
【表24】
【0137】
上記表から明らかなように、本発明のインクジェット用インクは発色性、色調に優れ、紙依存性が小さく、耐水性及び耐光性に優れるものであった。
【0138】
(実施例3)
実施例2で作製した同じインクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例2と同様な結果が得られた。
【0139】
(実施例4)
(水性インクの調製)
下記の成分に脱イオン水を加え1Lとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後必要に応じてKOH 10mol/LにてpH=9に調整し、平均孔径0.25μのミクロフィルターを用いて減圧濾過してマゼンタ用インク液Aを調製した。
・本発明のアゾ化合物(例示化合物2−17) 8.5g/L
・ジエチレングリコール 150g/L
・尿素 37g/L
・グリセリン 130g/L
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/L
・トリエタノールアミン 6.9g/L
・ベンゾトリアゾール 0.08g/L
・サーフィノール465 10g/L
・PROXEL XL2 3.5g/L
【0140】
前記アゾ色素を、下記表に示すように変更した以外は、インク液Aの調製と同様にして、インク液B〜Dを調製した。
【0141】
(画像記録及び評価)
インク液A〜Dをインクジェットプリンター(PM−670C、セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに詰め、同機にてインクジェットペーパーフォト光沢紙EX(富士写真フイルム(株)製)に画像を記録した。
得られた画像について、色相、紙依存性、耐水性、光堅牢性、耐オゾンガス性、紙依存性を評価した。
<色相>
色相については、目視にて最良、良好及び不良の3段階で評価した。評価結果を下記表に示す。下記表中、〇は色相が最良;△は良好であったことを示し、×は色相が不良であったことを示す。
<紙依存性>
前記フォト光沢紙に形成した画像と、別途にPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が小さい場合をA(良好)、両画像間の差が大きい場合をB(不良)として、二段階で評価した。
【0142】
<耐水性>
前記フォト光沢紙に画像を形成した反射濃度約1.0のサンプルを、1時間室温乾燥した後、イオン交換水に3分間浸せきし、室温にて自然乾燥させ、サンプルの濃度変化をもとに評価した。ほとんど変化が無いものをA、濃度低下が認められたものをB、濃度低下が大きいものをCとして、三段階で評価した。
同様な実験をPPC用普通紙上に形成した画像に対しても実施した。
【0143】
<耐光性>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000ルクス)を7日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。
何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0144】
<耐オゾン性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0145】
【表25】
【0146】
上記表に示すように、インク液A〜Dから得られたマゼンタ画像は、インク液a〜dから得られたマゼンタ画像よりも鮮明であった。また、インク液A〜Dを用いて得られた画像は、光堅牢性、耐オゾンガス性が優れていた。
【0147】
(実施例5)
更に、インク液A〜Dを用いて、インクジェットプリンター(PM−670C、セイコーエプソン(株)製)により、PM写真紙<光沢>(KA420PSK、セイコーエプソン(株)製)に画像を記録した。得られた画像の色相、紙依存性、耐水性、光堅牢性、耐オゾンガス性を評価したところ、いずれも実施例4と同様の結果が得られた。
【0148】
(実施例6)
実施例4で作製した同じインクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例4と同様な評価を行ったところ、実施例4、5と同様な結果が得られた。
【0149】
【発明の効果】
本発明によれば、
(1)三原色の色素として色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ光,熱,湿度及び環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有する新規な化合物及びその製造方法が提供され、
(2)色相と堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与える、インクジェットなどの印刷用のインク組成物、感熱転写型画像形成材料におけるインクシート、電子写真用のトナー、LCDやCCDで用いられるカラーフィルター用着色組成物、各種繊維の染色のための染色液などの各種着色組成物が提供され,そして
(3)該染料の使用により良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンに対して堅牢性の高い画像を形成することができるインクジェット記録用インクを提供される。
Claims (12)
- 下記一般式(1)で表されることを特徴とする化合物。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
R3は、電子吸引性基で置換されたアリール基又は電子吸引性基で置換されていてもいなくてもよいヘテロ環基を表す。
R4、R5、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルボキシル基、スルホ基、又はカルバモイル基を表す。各置換基はさらに置換されていてもよい。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。
A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。 - 前記一般式(1)のR3において、該電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
- 前記一般式(1)のR1は、アルキル基、又はアリール基であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
- 前記一般式(1)のR2は、シアノ基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
- 前記一般式(1)のA1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
- 下記方法(1)の方法により請求項1に記載の一般式(1)の化合物を得ることを特徴とする化合物の製造方法。
方法(1):
(a)下記一般式(2)で表されるアミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する工程、
(b)上記工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を下記一般式(3)で表されるカップリング剤と反応させて、下記一般式(1−H1)で表される化合物を形成する工程、及び(c)塩基の存在下で、上記工程(b)で形成された化合物をアリール化剤又はヘテリル化剤と反応させて上記一般式(1)で表される化合物を形成する工程を含む方法。
- 下記方法(2)の方法により請求項1に記載の一般式(1)の化合物を得ることを特徴とする化合物の製造方法。
方法(2):請求項8に記載の一般式(1−R4)で表される化合物に求電子反応によって水溶性基を導入する工程を含む方法。 - 下記方法(3)の方法により、請求項6に記載の一般式(1−R2)の化合物を得ることを特徴とする化合物の製造方法。
方法(3):請求項9に記載の一般式(1−H1)の化合物と、アリール化剤、又はヘテリル化剤とを脱酸素条件下で反応させる方法。
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