JP4964003B2 - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
このインクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと(経時ニジミが良好な事))、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
例えば、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を有するインク受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用媒体が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
これらの記録用媒体、特に、無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなるインク受容層を設けたインクジェット記録用媒体は、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し、且つ高い光沢を示すことができる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、記録された画像のにじみ(経時にじみ)を抑制しつつ、高い画像濃度を保つことができ、耐オゾン性にも優れたインクジェット記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
即ち、前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> 支持体上に、無機微粒子、水溶性樹脂及びカチオン性ポリウレタンである含窒素有機カチオンポリマーを含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体であって、前記含窒素有機カチオンポリマーが、前記インク受容層を前記支持体に平行な平面で2等分したときの支持体から遠い側半分よりも支持体に近い側半分に多く含まれることを特徴とするインクジェット記録媒体である。
<3> 前記インク受容層が、更に、硫黄系化合物を含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載のインクジェット記録媒体である。
<4> 前記硫黄系化合物が、前記支持体から遠い側半分よりも前記支持体に近い側半分に多く含まれることを特徴とする<3>に記載のインクジェット記録媒体である。
<6> 前記インク受容層が2層以上からなり、前記支持体から最も離れた最上層がコロイダルシリカを含有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体である。
<7> 前記無機微粒子が、気相法で合成されたシリカであることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体である。
<9> 前記インク受容層が、更に、架橋剤を含有することを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体である。
<10> 前記架橋剤が、ほう酸であることを特徴とする<9>に記載のインクジェット記録媒体である。
≪インクジェット記録媒体≫
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体上に、無機微粒子及び含窒素有機カチオンポリマーを含有するインク受容層を有し、前記含窒素有機カチオンポリマーが、前記インク受容層を前記支持体に平行な平面で2等分したときの支持体から遠い側半分(以下、「インク受容層の上側半分」ともいう)よりも支持体に近い側半分(以下、「インク受容層の下側半分」ともいう)に多く含まれるように構成されたものである。
本発明において、インク受容層の含窒素有機カチオンポリマーの存在分布は、元素分析により確認することができる。具体的には、SEM−EDX法によるマッピング分析を行い、得られた画像を観察すればよい。この場合、インク受容層の主成分(例えばSi元素)のマッピング分析によりインク受容層全体の存在位置を確認し、続けてN元素のマッピング分析を行い、インク受容層の上側半分と下側半分におけるN元素の量のどちらが多いかをマッピング画像により判定する。
本発明のインクジェット記録媒体は、上記構成とすることにより、記録された画像のにじみ(経時にじみ)を抑制しつつ、高い画像濃度を保つことができ、耐オゾン性をも向上させることができる。インク受容層中の含窒素有機カチオンポリマーの量を、支持体に近い側半分と支持体から遠い側半分とで同じ量となるようにインク受容層を構成した場合、又は、支持体に近い側半分よりも支持体から遠い側半分に多く含まれるようにインク受容層を構成した場合、記録された画像の濃度が低下し、耐オゾン性が悪化する。
本発明のインクジェット記録媒体を製造する方法には特に限定はないが、例えば、後述の本発明のインクジェット記録媒体の製造方法を用いて好適に作製することができる。
本発明の効果をより効果的に得る観点からは、前記含有量比は0〜0.8が好ましく、0〜0.4がより好ましい。
含窒素有機カチオンポリマーを上記含有量比で含有するインク受容層は、例えば、後述の本発明のインクジェット記録媒体の製造方法において、カチオン性エマルションの含有量比〔第1液B中における含有量/第1液A中における含有量〕を後述のとおりに構成することで形成することができる。
一方、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、インク受容層の上側半分における、含窒素有機カチオンポリマーの含有量としては、該上側半分の全固形分に対し、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、4〜12質量%が特に好ましい。
さらに、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、前記上側半分と前記下側半分とを合わせたインク受容層全体における、含窒素有機カチオンポリマーの含有量としては、インク受容層全体の全固形分に対し、1〜15質量%が好ましく、1.5〜12質量%がより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
なお、本発明において、インク受容層の全固形分とは、インク受容層を構成する組成物から水を除いた全成分をさす。
また、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、上側半分の含窒素有機カチオンポリマー/無機微粒子の比率よりも、下側半分の含窒素有機カチオンポリマー/無機微粒子の比率が大きいことが好ましい。
本発明におけるインク受容層は、1層のみから構成されていても、2層以上から構成されていてもよい。インク受容層が2層以上から構成される場合は、前記2層以上からなるインク受容層を、一体として一つのインク受容層とみて上側半分と下側半分とを認定したときに、含窒素有機カチオンポリマーがインク受容層の上側半分よりも下側半分に多く含まれていることが必要である。
この点を考慮すると、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。
一方、インク受容層中に含まれることがある前記コロイダルシリカ層の層厚は、インク吸収性及び光沢の観点から、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。
上記空隙率および細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ポアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
本発明におけるインク受容層は、記録された画像のにじみを抑制する観点、シリカを分散する観点より、必須成分として含窒素有機カチオンポリマーを少なくとも1種含有する。
本発明における含窒素有機カチオンポリマーとしては、特に限定はないが、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好適である。
前記含窒素有機カチオンポリマーとしては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(含窒素有機カチオンモノマー)の単独重合体や、前記含窒素有機カチオンモノマーと他の単量体との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらの含窒素有機カチオンポリマーは、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
カチオン性ポリウレタンの市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス650」「F−8564D」「F−8570D」、日華化学(株)製、「ネオフィックスIJ−150」などを挙げることができる。
シリカ分散の観点からは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド誘導体が好ましく、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。
市販品としては、三洋化成(株)製の「ケミスタット7005」を挙げることができる。
本発明におけるインク受容層は、必須成分として無機微粒子を少なくとも1種含有する。
該無機微粒子は、インク受容層を形成した際に多孔質構造を形成し、インクの吸収性能を向上させる役割を持つ。
特に、該無機微粒子のインク受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録媒体が得られるので好ましい。ここで、微粒子のインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
更に、平均一次粒径が30nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
本発明におけるインク受容層は、水溶性樹脂を少なくとも1種含有することが好ましい。
上記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号、特開昭58−181687号、特開平10−259213号、特開2001−72711号、特開2002−103805号、特開2000−63427号、特開2002−308928号、特開2001−205919号、特開2002−264489号等に記載されたものなどが挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11-165461号公報の[0011]〜[0012]に記載の化合物、特開2001−205919号、特開2002−264489号に記載の化合物なども挙げられる。
尚、透明性を保持する観点からは、無機微粒子特にシリカ微粒子に組み合わされる水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
無機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x:y)〕を最適化することで、インク受容層の膜構造及び膜強度を、さらに向上させることが可能である。
特に、インク受容層の上側半分のx/y比が、下側半分のx/y比以上(上側半分と下側半分でPB比が等しいか、または下側半分の方がバインダーリッチ)であることが好ましく、上側半分と下側半分のPB比が等しいことが特に好ましい。
本発明におけるインク受容層は、耐オゾン性をより向上させる観点からは、硫黄系化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。
前記硫黄系化合物としては、チオエーテル系化合物、チオウレア系化合物、ジスルフィド系化合物、スルフィン酸系化合物、チオシアン酸系化合物、硫黄含有複素環式化合物、及びスルホキシド系化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
チオエーテル系化合物は、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、分子中に、チオエーテル基を1個以上含むものであればよい。
チオエーテル系化合物は炭素原子数が2以上のものが好ましく、4以上のものが更に好ましい。
チオエーテル系化合物は、硫黄原子、炭素原子、水素原子の他に、更に孤立電子対を含む原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子)を含むことが好ましい。
チオエーテル系化合物としては、例えば、次の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
チオウレア系化合物としては、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、「>N−C(=S)−N<」で表される構造を分子中に1個以上有する化合物が挙げられる。
ジスルフィド系化合物としては、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、例えば次の一般式で表される化合物が好ましく、特にDL−α−リポ酸、4,4’−ジチオジモルフォリン、4,4’−ジチオジブタン酸が好ましい。
スルフィン酸系化合物は、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、分子内にスルフィン酸骨格を1個以上含むものであればよい。
本発明に用いられるスルフィン酸化合物としては、次の一般式で表される化合物が好ましい。
スルフィン酸系化合物の具体例を次に示す。
チオシアン酸系化合物としては、チオシアン酸メチル、チオシアン酸エチル、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カルシウム等が挙げられる。
硫黄含有複素環式化合物としては、複素環を構成する原子の一つとして硫黄原子を含む化合物、複素環置換メルカプト化合物及び複素環置換メルカプト化合物のメルカプト基がアルキル基、アリール基、アシル基、スルホニル基などで置換された化合物が挙げられ、この内、次の一般式で表される化合物が好ましい。
Mは、水素原子、アンモニウムイオン、または金属原子を表す。また、Xを含んで構成される5〜7員環を含む基は他の構成要素と縮合して縮合環を形成していてもよい。]
上記複素環置換メルカプト化合物の具体例としては、特開2000−94829号公報段落[0027]〜[0032]に記載された化合物(1−1〜1−32)などが挙げられる。
スルホキシド系化合物は、水溶性の化合物でも油溶性の化合物でもよい。また、低分子でも高分子でもよく、分子中にスルホキシド基を1個以上含むものであればよい。
スルホキシド系化合物は、炭素原子数が2以上のものが好ましく、4以上のものが更に好ましい。
スルホキシド系化合物は、スルホキシド基、炭素原子、水素原子の他に、更に、孤立電子対を含む原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子)を含むことが好ましい。
具体的化合物を以下に示す。
本発明に用いる硫黄原子を含む重合体の合成法としては、重縮合、付加重合、重付加、付加縮合、開環重合、あるいは高分子反応による合成法等が挙げられる。これらのうち、本発明の重合体は付加反応で得られる重合体であることが好ましい。ここで、付加反応とは、炭素−炭素2重結合化合物への求核付加(例えばマイケル付加)、累積2重結合化合物(例えばイソシアネート)への求核付加、開環付加反応、あるいはラジカル付加反応等が挙げられる。
ポリチオウレタン〔例えば2価以上のイソチオシアネート基を有する有機イソチオシアネート化合物(例えば、p−フェニレンジイソチオシアネート、4,4’−メチレンジフェニルイソチオシアネート、イソフタロイルジイソチオシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、オクタメチレンジイソチオシアネート等)とポリオール(例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオ―ル、1,2―プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)との重付加体〕;
ポリアミド−スルフイド〔例えば、メチレンビスアクリルアミドとジチオール(例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、2−メルカプトエチルエーテル)とのマイケル付加体〕;
ポリエーテル−スルフイド〔例えば、ビスエポキシ化合物(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,2,5,6−ジエポキシシンクロオクタン、4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシド等)と前記ジチオール化合物との開環重付加〕;
ポリスルホン−スルフイド〔例えばジビニルスルホンと前記ジチオール化合物との重付加体〕等が挙げられる。
本発明に用いる重合体は、アルキルチオ基を有することが好ましく、さらに親水性基(例えばヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、アンモニオ基、アミジノ基等)を有するものが特に好ましい。
また、上記自己乳化性とは、室温25℃で水系分散媒体に対して0.5%質量以上の濃度で安定して乳化分酸性を有する高分子物質を表し、該濃度は1質量%以上が好ましく、特に3質量%以上がより好ましい。
本発明に用いる重合体は、水溶性であるか、もしくは水系乳化分散物として安定なものである。本発明において、上記水溶性とは室温25℃で水に対して0.1質量%以上の溶解性を有する高分子物質を表し、該溶解性は0.5質量%以上が好ましく、特に1質量%以上がより好ましい。
また、上記自己乳化性とは、室温25℃で水系分散媒体に対して0.5質量%以上の濃度で安定して乳化分散性を有する高分子物質を表し、該濃度は1質量%以上が好ましく、特に3質量%以上がより好ましい。
本発明に用いる重合体の好ましい具体例を次に示す。
すなわち、インク受容層中の硫黄系化合物の含有量比〔インク受容層の上側半分における含有量/インク受容層の下側半分における含有量〕が、1.0未満であることが好ましく、0〜0.6がより好ましく、0(すなわち、上側半分に硫黄系化合物が含まれない形態)が特に好ましい。
一方、記録された画像の濃度をより高く保つ観点からは、インク受容層の上側半分における、硫黄系化合物の含有量としては、該上側半分の全固形分に対し、0〜5質量%が好ましく、0〜3質量%がより好ましく、0質量%(すなわち、上側半分に硫黄系化合物が含まれない形態)が特に好ましい。
さらに、耐オゾン性をより向上させる観点及び画像の濃度をより高く保つ観点からは、前記上側半分と前記下側半分とを合わせたインク受容層全体における、硫黄系化合物の含有量としては、インク受容層全体の全固形分に対し、0.5〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましく、1.5〜3質量%が特に好ましい。
本発明におけるインク受容層は、耐オゾン性をより向上させる観点からは、マグネシウム塩を少なくとも1種含有することが好ましい。
マグネシウム塩としては、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物が挙げられる。
中でも、塩化マグネシウム六水和物が好ましい。
本発明におけるインク受容層が最上層としてコロイダルシリカ層を有する場合、用いるコロイダルシリカの平均一次粒径としては、10nm〜200nmが好ましく、50nm〜150nmがより好ましい。
また、本発明におけるコロイダルシリカは、アニオン性、ノニオン性が好ましい。特にアニオン性が好ましい。含有量としては、0.01g/m2〜5g/m2が好ましい。特に0.05g/m2〜2g/m2が好ましい。
本発明におけるインク受容層は、前記水溶性樹脂を架橋する観点から、架橋剤を少なくとも1種含有することが好ましい。
本発明におけるインク受容層は、特に前記無機微粒子と前記水溶性樹脂とを併用し、さらに該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N'−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
上記の架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋剤の使用量は、水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
本発明におけるインク受容層は、上記マグネシウム塩以外にも、媒染剤として、水溶性多価金属化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。
具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酪酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、シュウ酸バリウム、ナフトレゾルシンカルボン酸バリウム、酪酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、酪酸銅(II)、シュウ酸銅、フタル酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、ナフテン銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、スルファミン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性チオグリコール酸アルミニウム、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、クエン酸鉄(III)、乳酸鉄(III)三水和物、三シュウ酸三アンモニウム鉄(III)三水和物、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等、アルミニウムミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸亜鉛アンモニウム、亜鉛アンモニウムカーボネート、が挙げられる。これらの水溶性多価金属化合物は2種以上を併用してもよい。本発明において、水溶性多価金属化合物における水溶性とは、20℃の水に1重量%以上溶解することを意味する。
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・式3
本発明におけるインク受容層は、上記含窒素有機カチオンポリマー、マグネシウム塩、及び水溶性多価金属塩以外の他の媒染剤や、各種界面活性剤等、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、特開2005−14593号公報中の段落番号0088〜0117に記載されている成分や、特開2006−321176号公報中の段落番号0138〜0155に記載されている成分等を、適宜選択して用いることができる。
本発明における支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。また、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用いレーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録媒体は、インク受容層に加えて、さらにインク溶媒吸収層、中間層、保護層等を有していてもよい。また、支持体上には、前記インク受容層と支持体との間の接着性を高め、電気抵抗値を適切に調整する等の目的で、下塗層を設けてもよい。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法の第1の形態は、支持体上に、少なくとも、無機微粒子及びカチオン性エマルションを含有する第1液Aと、前記第1液Aと組成が異なる第1液Bと、を支持体側から順に塗布して塗布層を形成する工程と、前記塗布層に、(1)少なくとも前記第1液A及び前記第1液Bを塗布すると同時、(2)少なくとも前記第1液A及び前記第1液Bを塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第2液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程と、を有し、前記塗布層が架橋硬化されてなり、含窒素有機カチオンポリマーを、前記支持体に平行な平面で2等分したときの支持体から遠い側半分よりも支持体に近い側半分に多く含むインク受容層を形成する形態である。
前記形成された塗布層を、前記塗布時の第1液Aの温度及び前記塗布時の第1液Bの温度のいずれか低い方に対し5℃以上低下するように冷却する工程と、冷却された塗布層を乾燥してインク受容層を形成する工程と、を有し、含窒素有機カチオンポリマーを、前記支持体に平行な平面で2等分したときの支持体から遠い側半分よりも支持体に近い側半分に多く含むインク受容層を形成する形態である。
なお、上記第1の形態又は上記第2の形態では、複数の塗布液を多層塗布してインク受容層を形成するが、形成されたインク受容層の層構造としては、前記複数の液同士の界面が認識できるような複数層構造となっていてもよいし、前記複数の液同士の界面が認識できないような単層構造となっていてもよい。
前記第1の形態及び前記第2の形態は、支持体上に、少なくとも、無機微粒子及びカチオン性エマルションを含有する第1液Aと、前記第1液Aと組成が異なる第1液Bと、を支持体側から順に塗布して塗布層を形成する工程を有する(以下この工程を、「塗布層形成工程」ということがある)。
塗布層形成工程においては、支持体上に、少なくとも前記第1液Aと前記第1液Bとの複数の液をこの順に塗布することが必要であるが、さらに、必要に応じて、前記第1液B上に、第1液Cやその他の液を塗布してもよい。また、前記各液の間には、バリアー層液(中間層液)を介在させてもよい。
前記同時重層塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター等、公知の塗布装置を用いて行うことができる。
また、前記逐次塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布装置を用いて行うことができる。
第1液A、の湿分塗布量としては、50〜200ml/m2が好ましく、75〜150ml/m2がより好ましい。また、第1液Aの固形分塗布量としては、5〜25g/m2が好ましく、10〜18g/m2がより好ましい。
第1液Bの湿分塗布量としては、50〜200ml/m2が好ましく、75〜150ml/m2がより好ましい。また、第1液Bの固形分塗布量としては、5〜25g/m2が好ましく、10〜18g/m2がより好ましい。
コロイダルシリカを含有する第1液Cを用いる場合、第1液Cの湿分塗布量としては、10〜150ml/m2が好ましく、20〜100 ml/m2がより好ましい。また、第1液Cの固形分塗布量としては、0.01〜10g/m2が好ましく、0.05〜5g/m2がより好ましい。
以下、第1液A、第1液B、及び必要に応じて用いられる第1液Cについて説明する。
前記第1液Aは、無機微粒子の少なくとも1種及びカチオン性エマルションの少なくとも1種を含有する。
〜カチオン性エマルション〜
ここで、本発明に用いられるカチオン性エマルションについて説明する。
本発明において、カチオン性エマルションとは、カチオン性あるいはカチオン化修飾された水性エマルションであり、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体エマルション;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸の重合体または共重合体等のアクリル系重合体エマルジョン;スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系重合体エマルション;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体エマルション;ウレタン結合を有するウレタン系エマルション等にカチオン基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にてエマルション表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合しエマルション表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの等が挙げられる。これらのカチオン性エマルションの中でも主成分がウレタン系エマルションであるカチオン性エマルションが好ましい。
なお、前記カチオン性エマルションは、インク受容層を形成した際、本発明における含窒素有機カチオンポリマーを構成することができる。含窒素有機カチオンポリマーについては、前記インク受容層の項で説明したとおりであり、好ましい範囲も同様である。
なお、本発明において、第1液A中の全固形分とは、第1液Aから水を除いた全成分をさす。他の液についても同様である。
この場合、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、第1液A中における硫黄系化合物の含有量としては、該第1液Aの全固形分に対し、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、4〜10質量%が特に好ましい。
また、第1液Aの塗布においては、前述の水溶性多価金属塩(好ましくは、塩基性ポリ塩化アルミニウム)を含む液をインライン混合した後に塗布することも好ましい。
無機微粒子、硫黄系化合物、水溶性樹脂、架橋剤、媒染剤、水溶性多価金属塩等の各成分の詳細については、前述の<インク受容層>の項で説明したとおりであり、好ましい形態も同様である。分散剤については後述する。
本発明において、少なくとも無機微粒子とカチオン性エマルションとを含有する第1液Aは、例えば、以下のようにして調製できる。
即ち、気相法シリカ微粒子と分散剤とを水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(例えば、ほう酸)、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)、及び、カチオン性エマルションを加え、更に、前記水溶性多価金属塩(例えば、塩基性ポリ水酸化アルミニウム)を加えて、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。
なお、水溶性多価金属塩は、塗布直前にインライン混合により加えてもよい。
また、上記の分散には、液液衝突型分散機(例えば、スギノマシン社製アルティマイザー)を用いることもできる。
得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
上記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的におこなうという点から、撹拌型分散機、コロイドミル分散機または高圧分散機が好ましい。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
前記第1液Bは、前記第1液Aと組成が異なる液である。
例えば、形成されたインク受容層中の含窒素有機カチオンポリマーが、該インク受容層の上側半分よりも下側半分に多く含まれるように形成する観点からは、第1液B中のカチオン性エマルションの含有量を、第1液A中のカチオン性エマルションの含有量より少なくすることが好ましい。
すなわち、カチオン性エマルションの含有量比〔第1液B中における含有量/第1液A中における含有量〕が、1.0未満であることが必要である。
さらに、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、前記含有量比は0〜0.7が好ましく、0〜0.4がより好ましく、0(すなわち、塗布液Bがカチオン性エマルションを含まない形態)が特に好ましい。
すなわち、硫黄系化合物の含有量比〔第1液B中における含有量/第1液A中における含有量〕が、1.0未満であることが必要である。
この場合、硫黄系化合物の含有量比〔第1液B中における含有量/第1液A中における含有量〕は、0〜0.6が好ましく、0〜0.3がより好ましく、0(すなわち、塗布液Bが硫黄系化合物を含まない形態)が特に好ましい。
また、第1液Bの塗布においては、前述の水溶性多価金属塩(好ましくは、塩基性ポリ塩化アルミニウム)を含む液をインライン混合した後に塗布することも好ましい。
無機微粒子、硫黄系化合物、水溶性樹脂、分散剤、媒染剤、界面活性剤、水溶性多価金属塩等の各成分の詳細については、前述の<インク受容層>の項で説明したとおりであり、好ましい形態も同様である。分散剤については、前述の第1液Aの説明で述べたとおりであり、好ましい範囲も同様である。
また、第1液Bについても、前述の第1液Aと同様の方法により調製できる。
以下、必要に応じて用いられることがある第1液Cについて説明する。
第1液Cは、コロイダルシリカを含有することが好ましい。コロイダルシリカを含有する第1液Cを、前記第1液Bの上に更に塗布することで、前述のインク受容層中の最上層としてコロイダルシリカ層を形成することができる。これにより、形成されたインク受容層の光沢度をより向上させることができる。
コロイダルシリカについては、前述の<インク受容層>の項で説明したとおりであり、好ましい範囲も同様である。
第1液Cは、例えば、コロイダルシリカをイオン交換水に添加し、混合、撹拌することにより調製できる。
前記第1の形態は、前記塗布層形成工程で形成された塗布層に、
(1)少なくとも前記第1液A及び前記第1液Bを塗布すると同時、
(2)少なくとも前記第1液A及び前記第1液Bを塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、
のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第2液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程を有する(以下、この工程を、「硬化工程」ということがある)。
前記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター等の公知の塗布装置を用いて行うことができる。
本発明においては、前記第1液A、及び前記第1液B(更に、必要に応じ前記第1液C)を、支持体側からこの順となるように、同時塗布(重層塗布)又は1層ずつ塗布して塗布層を形成した後、形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に、(i)該塗布層上に更に第2液を塗布する方法、(ii)スプレー等により噴霧する方法、(iii)前記塗布層が形成された支持体を第2液中に浸漬する方法、が挙げられる。
ここで、架橋硬化工程における前記第2液について説明する。
〜塩基性化合物〜
本発明における第2液は、塩基性化合物を少なくとも1種含有する。
塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、ヒドロキシアンモニウム、1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミンなど)、1〜3級アニリン(例えば、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)、等が挙げられる。
なお、塩基性化合物は、二種以上を併用することができる。
本発明における第2液は、金属化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。
この場合のマグネシウム塩の添加量としては、第2液の全質量に対し、0.1〜1質量%が好ましく、0.15〜0.5質量%がより好ましい。
第2液は、アルカリ溶液として用いることで硬膜を促進でき、pH7.1以上に調製されるのが好ましく、より好ましくはpH8.0以上であり、特に好ましくはpH9.0以上である。前記pHが7.1以上であると、第1液A及び/又は第1液Bに含まれることがある水溶性樹脂の架橋反応をより進めることができ、ブロンジングやインク受容層のひび割れをより効果的に抑制できる。
前記第2の形態は、前記塗布層形成工程で形成された塗布層を、前記塗布時の第1液Aの温度及び前記塗布時の第1液Bの温度のいずれか低い方に対し5℃以上低下するように冷却する工程(以下、「冷却工程」ともいう)と、冷却された塗布層を乾燥してインク受容層を形成する工程(以下、「乾燥工程」ともいう)と、を有する。
冷却工程においては、0〜10℃低下するように冷却することが好ましく、0〜5℃以上低下するように冷却することがより好ましい。
ここで、塗布層の温度は、膜面の温度を測定することにより測定する。
前記第1の形態及び前記第2の形態において、支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体上に画像を記録するためのインクジェットの記録方式については特に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等を用いることができる。また、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
≪インクジェット記録媒体の作製≫
<支持体の作製>
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
下記組成に示した、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」とを混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、分散液に(5)ポリビニルアルコール溶解液とを30℃で加え、第1液B(上層用)を調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1):(5))は、4.0:1であり、第1液B(上層用)のpHは、3.4で酸性を示した。
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・ 8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・ 1.0部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) ・・・0.78部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)「ZA−30」 ・・・ 0.48部
(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニウム)
(5)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 ・・・ 31.2部
〜溶解液の組成〜
・PVA235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)
・・・ 2.2部
・イオン交換水 ・・・ 28.2部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P)・・・ 0.7部
(協和発酵ケミカル(株))
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製) ・・・ 0.1部
下記組成に示した、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」と、(5)「30%メチオニンスルホキシド」と、を混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて、分散させた後、分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、分散液に(6)ホウ酸と、(7)ポリビニルアルコール溶解液と、(8)「スーパーフレックス650」と、を30℃で加え、第1液A(下層用)を調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1):(7))は、4.0:1であり、第1液A(下層用)のpHは、3.8で酸性を示した。
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・ 8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・ 1.0部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) ・・・0.78部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)「ZA−30」 ・・・ 0.24部
(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニウム)
(5)30%メチオニンスルホキシド(硫黄系化合物) ・・・ 1.76部
(6)ホウ酸(架橋剤) ・・・ 0.4部
(7)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 ・・・ 31.2部
〜溶解液の組成〜
・PVA235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)
・・・ 2.2部
・イオン交換水 ・・・ 28.2部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P)・・・ 0.7部
(協和発酵ケミカル(株))
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製) ・・・ 0.1部
(8)「スーパーフレックス650」(カチオン性エマルション、第一工業製薬(株)製) ・・・ 3.1部
下記組成を混合し撹拌して、第1液C(最上層用)を調製した。
〜 第1液C(最上層用)の組成 〜
(1)PL−3L(扶桑化学(株)製コロイダルシリカ、平均一次粒子径32nm)
・・・ 2.5部
(2)イオン交換水 ・・・97.5部
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行った後、該オモテ面に、以下のようにして、第1液A(下層用)、第1液B(上層用)、及び、第1液C(最上層用)をエクストルージョンダイコーターにて同時重層塗布して塗布層を形成した。
具体的には、上記同時重層塗布においては、第1液A(下層用)を96ml/m2で、下記インライン液を6.0ml/m2の速度でインライン混合した後下層に塗布し、第1液B(上層用)を91ml/m2で、下記インライン液を6.0ml/m2の速度でインライン混合した後上層に塗布し、第1液C(最上層用)0.1ml/m2、を最上層に塗布した(層構成は、第1液C(最上層用)/第1液B(上層用)/第1液A(下層用)/支持体である)。
(1)アルファイン83(大明化学工業株式会社製) ・・・ 2.0部
(2)イオン交換水 ・・・ 7.8部
(3)ハイマックスSC−505E(ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物、ハイモ(株)製) ・・・ 0.2部
(1)ホウ酸 ・・・ 1.3部
(2)炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製) ・・・ 5.0部
(3)ジルコゾールAC−7(炭酸ジルコニールアンモニウム、第一稀元素化学工業(株)製) ・・・ 2.5部
(4)イオン交換水 ・・・ 85.2部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) ・・・ 6.0部
(花王(株)製「エマルゲン109P」(10%水溶液)、HLB値13.6)
以上で得られたインクジェット記録媒体について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
以下のようにして、マゼンタ及びシアンの耐オゾン性の評価を行った。
それぞれ純正インクセットを装填したインクジェットプリンター(エプソン(株)製の「PMA−820」)を用いて、各記録媒体上にマゼンタのベタ画像を印画し、23℃、60%RH、オゾン濃度10ppmの雰囲気で72時間サンプルを保管した。保管前と保管後のマゼンタ濃度の残存率から下記の判断基準に従って、マゼンタの耐オゾン性を評価した。
また、上記と同様にしてシアンのベタ画像を印画し、シアンの耐オゾン性を評価した。
〜判定基準〜
A:75%以上
B:60〜75%
C:60%以下
上記インクジェットプリンタPMA−820を用いて、黒ベタの印画を行ない、得られた黒部濃度を反射濃度計(Xrite938、Xrite社製)にて測定した。
インクジェットプリンター(商品名:MP−950、キャノン(株)製)を用いて、各インクジェット記録用シート上にマゼンタインクとブラックインクとを隣あわせにした格子状の線状パターン(線幅0.28nm)を印画し、23℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に14日間保管した後、下記の判断基準に従って、にじみ(経時ニジミ)を評価した。
〜判定基準〜
A:大きな変化がみられない
B:若干の変化が観測される
C:大きく変化がみられる
印画前のインクジェット記録用媒体のインク受容層表面における測定角度60度での光沢(度)を、デジタル変角光沢度計(UGV−50DP,スガ試験機(株)製)にて測定した。
得られた記録媒体の断面をミクロトームにより切り出し、SEM−EDX(日立製作所製S−2150にEDX装置を組み合わせたもの)を用いてSi元素およびN元素のマッピング分析を行った。Si元素のマッピング画像よりインク受容層の存在位置を確認し、N元素マッピング画像と並べて観察した。
〜判断基準〜
○:インク受容層下側半分のN元素>上側半分のN元素
×:インク受容層下側半分のN元素≦上側半分のN元素
得られたインクジェット記録媒体の断面をミクロトームにより切り出し、SEM−EDX(日立製作所製S−2150にEDX装置を組み合わせたもの)を用いてSi元素およびS元素のマッピング分析を行った。Si元素のマッピング画像よりインク受容層の存在位置を確認し、S元素マッピング画像と並べて観察した。
〜判断基準〜
○:インク受容層下側半分のS元素>上側半分のS元素
×:インク受容層下側半分のS元素≦上側半分のS元素
実施例1において、第1液C(最上層用)を用いなかった以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2において、第2液の組成を下記組成に変更した以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
〜 第2液の組成 〜
(1)ホウ酸 ・・・ 1.3部
(2)炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製) ・・・ 5.0部
(3)塩化マグネシウム(商品名:ホワイトにがりNS、ナイカイ塩業株式会社製)
・・・ 2.5部
(4)イオン交換水 ・・・ 87.7部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) ・・・ 6.0部
(花王(株)製「エマルゲン109P」(10%水溶液)、HLB値13.6)
前記実施例1における支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行った後、上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥して支持体を作製した(以下、下引き層が形成された面を「オモテ面」ということがある)。尚、部とは、固形分の質量部を表す。
・石灰処理ゼラチン ・・・ 100部
・スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 ・・・ 2部
・クロム明ばん ・・・ 10部
具体的には、上記同時重層塗布においては、第1液A(下層用)を96ml/m2で、前記インライン液を2.0ml/m2の速度でインライン混合した後下層に塗布し、第1液B(上層用)を91ml/m2で、前記インライン液を2.0ml/m2の速度でインライン混合した後上層に塗布し、第1液C(最上層用)0.1ml/m2、を最上層に塗布した(層構成は、第1液C(最上層用)/第1液B(上層用)/第1液A(下層用)/支持体である)。
また、塗布時の各液の温度を膜面温度計により確認したところ、第1液A(下層用)、第1液B(上層用)、第1液C(最上層用)とも、30℃であった。
以上で得られたインクジェット記録媒体について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2の第1液B(上層用)の調製において、第1液B(上層用)の組成に、更に、30%メチオニンスルホキシド0.59部を加え、第1液A(下層用)の30%メチオニンスルホキシドを1.17部に変更した以外は実施例2と同様にして第1液B(上層用)を調製し、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。得られたインクジェット記録媒体について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2の第1液B(上層用)の調製において、第1液B(上層用)の組成に、更に、スーパーフレックス650(カチオン性エマルション、第一工業製薬(株)製)1.03部を加え、第1液A(下層用)のスーパーフレックス650を2.07部に変更した以外は実施例2と同様にして第1液B(上層用)を調製し、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。得られたインクジェット記録媒体について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2において、第1液B(上層用)を下層に、第1液A(下層用)を上層に塗布した以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2における、第1液A(下層用)及び第1液B(上層用)を同時重層塗布する工程を、前記第1液A(下層用)を187ml/m2で、前記インライン液を24.2ml/m2の速度でインライン混合した後、単層で塗布する工程に変更した以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2における、第1液A(下層用)及び第1液B(上層用)の組成を、それぞれ下記組成に変更した以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・ 8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・ 1.0部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) ・・・0.78部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)「ZA−30」 ・・・ 0.48部
(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニウム)
(5)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 ・・・ 31.2部
〜溶解液の組成〜
・PVA235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)
・・・ 2.2部
・イオン交換水 ・・・ 28.2部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P)・・・ 0.7部
(協和発酵ケミカル(株))
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製) ・・・ 0.1部
(6)ホウ酸(架橋剤) ・・・ 0.4部
(7)下記のチオエーテル化合物 ・・・ 1.5部
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・ 8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・ 1.0部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) ・・・0.78部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)「ZA−30」 ・・・ 0.48部
(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニウム)
(5)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 ・・・ 31.2部
〜溶解液の組成〜
・PVA235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)
・・・ 2.2部
・イオン交換水 ・・・ 28.2部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P)・・・ 0.7部
(協和発酵ケミカル(株))
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製) ・・・ 0.1部
(6)ホウ酸(架橋剤) ・・・ 0.4部
また、上記表1中、「支持体側から遠い側半分」「支持体側に近い側半分」の欄は、含窒素有機カチオンポリマー、硫黄系化合物、及び塩化マグネシウムの各成分が、インク受容層中のどの位置に含まれているかを示したものである。
また、上記表1中、「カチオンポリマーの含有量比」及び「硫黄系化合物の含有量比」の欄は、それぞれ、含窒素有機カチオンポリマー及び硫黄系化合物の、インク受容層中における含有量比〔インク受容層の上側半分における含有量/インク受容層の下側半分における含有量〕を示したものである。
一方、含窒素有機カチオンポリマーを上側半分にのみ含有させた比較例1、及び、含有量比〔インク受容層の上側半分における含有量/インク受容層の下側半分における含有量〕が1.0である比較例2では、画像濃度が低下し、耐オゾン性が悪化した。また、含窒素有機カチオンポリマーを含有させなかった比較例3では、にじみが悪化した。
Claims (11)
- 支持体上に、無機微粒子、水溶性樹脂及びカチオン性ポリウレタンである含窒素有機カチオンポリマーを含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体であって、前記含窒素有機カチオンポリマーが、前記インク受容層を前記支持体に平行な平面で2等分したときの支持体から遠い側半分よりも支持体に近い側半分に多く含まれることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 前記支持体に近い側半分における、前記含窒素有機カチオンポリマーの含有量が、該支持体に近い側半分の全固形分に対し、2〜25質量%である請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層が、更に、硫黄系化合物を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記硫黄系化合物が、前記支持体から遠い側半分よりも前記支持体に近い側半分に多く含まれることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層が、更に、マグネシウム塩を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層が2層以上からなり、前記支持体から最も離れた最上層がコロイダルシリカを含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記無機微粒子が、気相法で合成されたシリカであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層が、更に、架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項8の
いずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。 - 前記架橋剤が、ほう酸であることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録媒体。
- 支持体上に、少なくとも、無機微粒子、水溶性樹脂及びカチオン性ポリウレタンエマルションを含有する第1液Aと、前記第1液Aと組成が異なる第1液Bと、を支持体側から順に塗布して塗布層を形成する工程と、
前記塗布層に、(1)少なくとも前記第1液A及び前記第1液Bを塗布すると同時、(2)少なくとも前記第1液A及び前記第1液Bを塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第2液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程と、
を有し、
前記塗布層が架橋硬化されてなり、カチオン性ポリウレタンである含窒素有機カチオンポリマーを、前記支持体に平行な平面で2等分したときの支持体から遠い側半分よりも支持体に近い側半分に多く含むインク受容層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
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