JP4357140B2 - インクジェット用記録材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面にインク受容層を有するインクジェット用記録材料の製造方法に関し、更に詳しくは、片面は高光沢でフォトライクな画質を有し、耐傷性が良好であり、他面は耐傷性、印字性、耐ブロッキング性が高く、筆記性を有し、プリンターにおける搬送性に優れたもので、ハガキ用途で片面に印刷する場合にも使用できるインクジェット用記録材料の製造方法に関するものである。特に記録材料を重ねてギロチン等で断裁するときや積載して輸送するときにインク受容層に傷や光沢ムラが発生しにくいインクジェット用記録材料の製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0004】
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報等公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。気相法シリカは、一次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢と高いインク吸収性が得られるという特徴がある。しかし、超微粒子であるが故に、インク受容層表面に傷が発生しやすく、プリンター等での搬送時に重送の問題がある。
【0005】
特開平6−55830号には、インク受容性被覆層の反対面に特定の滑剤を含有させてプリンターの搬送性を向上させる記録用紙が提案されているが、保存時のブロッキング性の問題、インク受容面の傷の問題がある。また、特開平7−179025号には、支持体の裏塗り層に球状微粒子ポリマーを含有させる記録シートが提案されているが、球状微粒子ポリマー単独では製造時、加工時等でインク受容層表面に傷がつきやすく、特にインク受容層に微細な無機微粒子を用いた場合には傷が目立ちやすい問題がある。
【0006】
一方、インクジェット記録材料の支持体としては、従来、紙が一般的に用いられており、紙自体にインク吸収層としての役割を持たせていた。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、紙支持体を用いた記録シートは、光沢、質感、耐水性、印字後のコックリング(皺あるいは波打ち)等の問題があり、耐水性加工された紙支持体、例えば、紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートした樹脂ラミネート紙(ポリオレフィン樹脂被覆紙)、プラスチックフィルム等が用いられるようになってきた。しかしながら、これらの耐水性支持体は、紙支持体と違ってインク受容層を設けた表面の平滑性が高く、裏面と重ねた場合に擦れによるインク受容面に傷が発生しやすく、プリンター時に重送が発生しやすかった。特に支持体自身がインク吸収性が無いためにインク受容層が厚くなっており、光沢も高いので傷の発生しやすく、目立ちやすい問題があった。
【0007】
また、より高いインク吸収性を得るためには、無機微粒子に対するバインダー量の含有比率を小さくすることが必要であるが、この比率を小さくすることによって、益々傷が発生しやすくなった。
【0008】
特に、ハガキのように両面がインクジェット記録適性を有し、表面にフォトライクな高い光沢性、印字画質が要求される場合には表面での搬送性、耐傷性の改良には特に光沢性の低下による制限が有るために難しく、十分な特性が得られなかった。特開平8−260382号公報には、紙基材に顔料層を設けるインクジェット記録用両面記録紙が提案されているが十分な光沢性、印字画像が得られなかった。特開平8−11422号公報にはインク受理層を有する原紙をポリオレフィン樹脂ラミネート層で貼り合わせる提案がなされたが、特に高光沢なインク受容層を有する場合の貼り合わせ時の傷の発生が懸念され、プリンタ搬送性や耐傷性については十分ではなかった。特開2000−301823号公報には紙基材の一方の面に比較的薄い疎水性樹脂層を介して多孔性のインク吸収層を有し、他面に直接インク吸収層を有するインクジェット記録用紙の提案がなされており、好ましい態様として平均粒径が5μm以上のマット剤を多孔性のインク吸収層に含有する記載が有るが、充分な耐傷性を得るには光沢性の低下が大きく、反対面のインク吸収層からの搬送性、耐傷性の改良についての対応記載は無い。特にハガキの宛名面のインク受容層には予め枠線等を印刷するのが一般的であるが、反対面のインク受容層が高光沢でインクジェット用インクの吸収性が高い場合には傷が発生しやすい。また、記録材料をギロチン等でハガキの大きさに断裁する場合や積載して輸送する場合に、特に光沢の高いインク受容層面に傷や、光沢ムラが発生しやすかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、両面にインク受容層を有し、片面のインク受容層が高光沢で、インク吸収性、耐ブロッキング性、及び耐傷性が良好なフォトライクな画質と良好な触感が得られ、他面のインク受容層が耐傷性が高く、印字性、筆記性が良好なインクジェット用記録材料の製造方法を提供することにある。特に重ねて輸送する時やギロチン等での断裁時にも傷や光沢ムラが発生しない、プリンターでの搬送性に優れたインクジェット用記録材料であり、ハガキ用として予め宛名面に印刷する場合に反対面に傷が発生しないインクジェット用記録材料の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、JIS−B−0601で規定されるカットオフ値が0.8mmでの中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜5μmである耐水性支持体上に、平均一次粒径が5〜50nmの気相法シリカ、アルミナ、およびアルミナ水和物の少なくとも1種の無機微粒子と親水性バインダーを含有する少なくとも1層のインク受容層と、コロイダルシリカと親水性バインダーを含有する保護層を同時塗布により設け、該保護層のコロイダルシリカに対する親水性バインダーの固形分質量比をX、保護層の固形分塗布量をYg/mとすると、0.05≦X≦、0.4≦Y≦6g/m、及び0.4≦XY≦2であって、他面に平均二次粒子径が3〜8μmの湿式法シリカ粒子と平均粒子径が100nmより大きい有機粒子および親水性バインダーを含有する少なくとも1層のインク受容層(以後「裏のインク受容層」と記載する)を設けることを特徴とするインクジェット用記録材料の製造方法により達成された。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される耐水性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアサテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、及び紙と樹脂フィルムを貼り合わせたもの、紙の少なくとも片面にポリオレフィン樹脂等の疎水性樹脂をラミネートした樹脂被覆紙が挙げられる。耐水性支持体の厚みは50〜300μm、好ましくは100〜260μmのものが用いられ、耐傷性や搬送性、光沢性からは少なくともインク受容層を設ける面がJIS−B−0601で規定されるカットオフ値が0.8mmでの中心線平均粗さ(Ra)は0.8〜5μmである
【0012】
本発明に好ましく用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙支持体(以降、樹脂被覆紙と称す)について詳細に説明する。本発明に用いられる樹脂被覆紙は、その含水率は特に限定しないが、カール性より好ましくは5.0〜9.0%の範囲であり、より好ましくは6.0〜9.0%の範囲である。樹脂被覆紙の含水率は、任意の水分測定法を用いて測定することができる。例えば、赤外線水分計、絶乾重量法、誘電率法、カールフィッシャー法等を用いることができる。
【0013】
樹脂被覆紙を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。基紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この基紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0014】
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0015】
また、基紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/mが好ましい。
【0016】
基紙を被覆するポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0017】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0018】
樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上にポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その少なくとも片面が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。基本的には裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点からは樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては特に制限はないが、一般に片面で5〜50μmの厚みに表面または表裏両面にコーティングされる。片面だけを樹脂被覆する場合には、得られるインクジェット記録材料のカール性からは樹脂被覆層の厚みは5〜25μm程度が好ましい。
【0019】
本発明の樹脂被覆紙の表のインク受容層が塗設される面(以後樹脂被覆紙の表面と称す)は、主として原紙の片面にポリオレフィン樹脂を押出機で加熱溶融し、基紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。この際、クーリングロールはポリオレフィン樹脂コーティング層の表面形状の形成に使用され、樹脂層の表面はクーリングロール表面の形状により鏡面、微粗面、またはパターン化された絹目状やマット状等に型付け加工することができるが、ひび割れ、耐傷性や搬送性からはJIS−B−0601で規定されるカットオフ値が0.8mmでの中心線平均粗さ(Ra)は0.8〜5μmである
【0020】
本発明の樹脂被覆紙の裏のインク受容層の塗設される面(以後樹脂被覆紙の裏面と称する)は、基紙面のままでも良いが、カール性や印字画像の向上からは主としてポリオレフィン樹脂を押出機で加熱溶融し、基紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。この際プリンターでの搬送性、印字画像からはクーリングロールはJIS−B−0601に規定されるRaが0.8〜5μmになるようにクーリングロール表面の形状により微粗面、またはパターン化された、例えば絹目状やマット状等に型付け加工することが好ましい。
【0021】
基紙の表面や裏面に樹脂被覆層を設ける方法は、加熱溶融樹脂を押し出して塗設する以外に電子線硬化樹脂を塗設後、電子線を照射する方法や、ポリオレフィン樹脂エマルジョンの塗液を塗設後乾燥、表面平滑化処理を施す方法等が有る。いずれも凹凸を有する熱ロール等での型付けを行うことで本発明に適応可能な樹脂被覆紙が得られる。
【0022】
本発明に用いられる樹脂被覆紙の表面、裏面には下引き層を設けても良い。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め支持体の樹脂層表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/mが好ましく、20〜300mg/mがより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。また、樹脂被覆紙に下引き層を塗布する前には、コロナ放電することが好ましい。
【0023】
本発明の表のインク受容層に用いられる平均一次粒径が5〜50nmの無機微粒子は、平均一次粒径が5〜50nmの気相法シリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物の少なくとも1種が使用される。
【0024】
本発明において、表のインク受容層に用いられる無機微粒子の量は、10〜35g/mが好ましく、13〜30g/mの範囲がより好ましい。含有量が上記範囲より多くなるとひび割れが生じやすくなり、また少なくなるとインク吸収性が低くなる。
【0025】
一般に、合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがある。通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、(1)ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または(2)このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、(3)シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には(4)シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。
【0026】
本発明に好ましく用いられる気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0027】
本発明の気相法シリカの一次粒子の平均粒径は、5〜50nm、より高い光沢を得るためには、5〜20nmでかつBET法による比表面積が90〜400m/gのものを用いるのが好ましい。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0028】
気相法シリカを用いるとインク吸収性が良好で光沢性が高い記録材料が得られる反面、シリカ表面のシラノール基が少ない為か二次粒子の凝集性が弱く、傷がつきやすい欠点を有している。この欠点により表裏面こすれによる傷の発生等が問題となるが本発明により改良される。
【0029】
本発明のアルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用出来る。
【0030】
本発明で好ましく使用されるアルミナ水和物は、Al・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0031】
本発明に用いられるアルミナ水和物の一次粒子の平均粒径は、5〜50nm、より高い光沢を得るためには、5〜20nmでかつ平均アスペクト比(平均厚さに対する平均粒径の比)が2以上の平板状の粒子を用いるのが好ましい。
【0032】
本発明の表のインク受容層は目的別に2層以上とするのが好ましく、最上層は光沢性と耐傷性の向上を目的とし、下層にはインク吸収性の向上を目的とする。特に耐水性支持体から最も離れた最上層が平均一次粒径5〜50nmのアルミナまたはアルミナ水和物を含有し、他の層が平均一次粒径5〜50nmの気相法シリカを含有することで、光沢性とインク吸収性に優れたインクジェット記録材料が得られる。最上層のインク受容層に用いられるアルミナまたはアルミナ水和物の量は、1〜15g/mが好ましく、1〜10g/mの範囲がより好ましい。含有量が上記範囲より多くなるとインク吸収性が低下しやすくなり、また少なくなると光沢性が低くなる傾向である。
【0033】
本発明で裏のインク受容層には無機粒子として平均二次粒子径が3〜8μmの湿式法シリカ粒子が使用される。粒子には無機粒子、有機粒子、及び複合粒子があるが、特に無機粒子と平均粒子径が100nm(0.1μm)より大きい有機粒子とを併用することでプリンターでの搬送性は良化傾向となる。有機粒子の球形に近い形状と保護層のコロイダルシリカとの組み合わせにより滑りやすくなるためと推測される。一般的に有機粒子は無機粒子よりも水性インクとの親和性が低いので有機粒子の粒径は小さい方が印字画像の微小な白抜けによる濃度むらが改良されるので好ましい。無機粒子、および有機粒子は手触り感や印字面質、及び表のインク受容層の耐傷性からは8μm以下であり、特に6μm以下が好ましい。裏のインク受容層に平均粒子径が100nmより大きい有機粒子と平均二次粒子径が3〜8μmの湿式法シリカ粒子を併用することで筆記性が良好となり、特にH程度の硬い鉛筆でも問題なく筆記出来る。
【0034】
本発明の裏のインク受容層に使用される無機粒子は、平均二次粒子径が3〜8μmの湿式法シリカ粒子である。本発明では無機粒子の表面を樹脂等の有機物で改質した表面改質粒子も無機粒子に含める。
【0035】
本発明の裏のインク受容層に使用される平均粒子径が100nmより大きい有機粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル等やこれらの共重合体、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0036】
インクジェット用記録材料の表の保護層と裏のインク受容層間の静摩擦係数は0.7以下がプリンターでの搬送性からは好ましい。静摩擦係数は、ASTM D−1894−63準拠の摩擦係数測定装置(テスター産業社製、AB−401)により23℃、55%RHの条件で測定される。
【0037】
本発明で裏のインク受容層に含有される有機粒子を平均粒径3〜8μmの湿式法シリカ粒子の0.1〜50質量%とすることでインク吸収性がより良好となるので好ましい。
【0038】
本発明の裏のインク受容層の有機粒子と平均二次粒子径3〜8μmの湿式法シリカ粒子の合計の含有量は1〜12g/mが好ましく、より好ましくは2〜10g/mとすることでインク受容層のひび割れ、印字性、耐傷性がより良好となる。
【0039】
本発明の湿式法シリカ粒子、有機粒子、気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物の平均粒径は、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めた。本発明のアルミナ水和物の一次粒子の平均粒径は、平板状の場合は平面状態で測定される。平板状アルミナ水和物の平均厚さは、アルミナ水和物をフィルム上に塗布したシートの断裁面の観察より得られ、アルミナ水和物のアスペクト比は平均厚みに対する平均粒径の比で得られる。
【0040】
本発明のインクジェット用記録材料はインク受容層上にコロイダルシリカと親水性バインダーを含有する保護層を設ける。本発明ではインク受容層はインクの染料等の色剤を保持する機能を有するのに対し、保護層は主として耐傷性を向上する機能を有するものである。特に、耐水性支持体上に上記の微細な無機微粒子含有のインク受容層を設けた場合でも、上に保護層を設け、他面に平均二次粒子径が3〜8μmの湿式法シリカ粒子、および親水性バインダーを含有する少なくとも1層のインク受容層を設けた本発明のインクジェット用記録材料は、重ねて輸送する場合や積載してギロチンで断裁する場合のように裏のインク受容層面と表の保護層面とが擦れる場合や加圧された場合でも保護層面に傷や光沢ムラが発生しにくくなる。特にハガキ用途で宛名面に枠線等を印刷する場合にも反対面に傷が発生しにくくなる。この場合の印刷とは、凸版方式、凹版方式、平版方式による印刷であり、インク受容層と印刷機のロール等との擦れによる傷が発生しやすい。
【0041】
本発明の保護層のコロイダルシリカに対する親水性バインダーの固形分質量比をX、保護層の固形分塗布量をYg/mとすると、0.05≦X≦、0.4≦Y≦6g/m、0.4≦XY≦2とし、インク吸収層と保護層を同時塗布により設けることでインク吸収性と暗退色性が良好で耐傷性、ギロチン断裁性に優れた記録材料となる。
【0042】
保護層のX及びYを上記のように0.05≦X≦、0.4≦Y≦6g/m、0.4≦XY≦2を満足するようにし、表のインク受容層と保護層を同時塗布で設けることで光沢性、インク吸収性、暗退色性、及び耐傷性が更に良好となる理由は定かではないが、インク受容層と保護層を同時塗布する場合には保護層の親水性バインダーは下層のインク受容層に浸透しにくいために保護層内に均一に分布し、親水性バインダーの固形分質量比Xと塗布量Y、及びXYを本発明の範囲とすることにより、より良好なインク吸収性が得られるのに加えて保護層の均一性が向上することで耐傷性も良化すると推測される。
【0043】
本発明の保護層で使用のコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる二酸化珪素をコロイド状に水中に分散させたものであり、一次粒子の平均粒径は5〜100nm、好ましくは8〜60nmがインク吸収性と透明性から望ましい。市販の球状のものとして日産化学社製、スノーテックス20等、触媒化成工業社製、カタロイドUSB等が挙げられ、鎖状のものとして日産化学社製、スノーテックスUP等が挙げられ、パールネックレス状のものとして日産化学社製、スノーテックスPS−M等が使用出来る。
【0044】
本発明の保護層には、インク受容層で使用可能な各種架橋剤を使用することで塗布、乾燥時に発生する表面欠陥の防止や耐傷性を向上することが可能となるので好ましい。特にほう酸またはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量は保護層を構成する親水性バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。本発明の保護層には紫外線吸収剤、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類等の公知の耐光性改良剤を添加することにより耐光性が改良されるが、インク吸収性からは保護層の全固形分の10質量%程度以下が好ましい。その他、塗布性向上のための界面活性剤、消泡剤、着色剤等も添加可能である。
【0045】
本発明の表のインク受容層や保護層には、皮膜としての特性を維持するためと、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0046】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0047】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0048】
本発明の裏のインク受容層の親水性バインダーとしては、表のインク受容層で使用されるものと同様の親水性バインダー、及びゼラチン、ポリビニルピロリドン、プルラン等やこれらの誘導体が使用されるが、好ましくはゼラチン、ポリビニルアルコールである。
【0049】
本発明の表のインク受容層が親水性バインダーを無機微粒子に対して10〜25重量%含有し、裏のインク受容層が親水性バインダーを有機粒子と無機粒子の合計に対して30〜120重量%含有することでインク吸収性、耐傷性、搬送性がより良好となる。
【0050】
本発明において好ましくは、インク受容層に水溶性の金属化合物を含有することによって、ひび割れを防止することができる。従って、インク吸収性を向上させるために親水性バインダー量の更なる低減及び無機微粒子付着量の更なる増量が可能となる。
【0051】
水溶性の金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩として、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
【0052】
本発明において好ましくは、インク受容層に耐水性を向上させるためにカチオンポリマーを含有させるのが好ましい。カチオンポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000以上が好ましく、更に5,000〜10万程度が好ましい。
【0053】
これらのカチオンポリマーの使用量は、表のインク受容層では無機微粒子に対して、裏のインク受容層では有機粒子と無機粒子に対して0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%である。
【0054】
本発明において好ましくは、インク受容層に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01重量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは親水性バインダーに対して10〜50重量%の範囲で用いることができる。
【0055】
本発明において、インク受容層には、親水性バインダーと共に硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して、0.1〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30重量%である。
【0056】
本発明において、インク受容層には、更に、界面活性剤、硬膜剤の他に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0057】
本発明において、表のインク受容層と保護層の塗布方法は、表のインク受容層と保護層を同時塗布する場合は、スライドビードコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター等の塗布装置が使用出来、連続塗布の場合は、上記の塗布装置の組み合わせや、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ブレードコーター等と上記の塗布装置により連続で塗布することができる。本発明で同時塗布とは各層をほぼ同時に塗布することであり、連続塗布とは下層塗布後乾燥工程無しで短時間後(通常十秒程度以内)に連続で上層を塗布することである。保護層の均一性からはインク受容層と保護層を同時塗布するほうが好ましい。裏のインク受容層の塗布方法は特に限定されずに上記の塗布装置等で塗布可能である。
【0058】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0059】
実施例1
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン100質量%の樹脂に対して、10質量%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。樹脂被覆紙の表面のRaは1.9μmであった。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70質量部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30質量部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。樹脂被覆紙の裏面の樹脂被覆面のRaは1.3μmであった。
【0060】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/mとなるように塗布乾燥して支持体を作成した。尚、部とは、質量部を表す。
【0061】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0062】
上記樹脂被覆紙の裏面に下記組成の裏のインク受容層塗布液をスライドビードテストコーターで湿式シリカとポリエチレン粒子の塗布量が固形分で、5g/mになるように塗布、乾燥した。続いて樹脂被覆紙の表面に下記の表のインク受容層塗布液、保護層塗布液をスライドビードテストコーターによりインク受容層の気相法シリカの塗布量が固形分で20g/m、保護層が固形分で4g/mになるように同時塗布し、乾燥した。
【0063】
<裏のインク受容層塗布液>
湿式シリカ 100部
水澤化学工業社製P78A、平均二次粒子径3μm)
ポリエチレン粒子 10部
平均粒子径0.15μm)
ゼラチン 80部
(ニッタゼラチン社製、IK−2000)
界面活性剤 0.3部
【0064】
<表のインク受容層塗布液>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m/g)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 22部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0065】
<保護層塗布液>
コロイダルシリカ 100部
(日産化学社製、スノーテックス20)
ポリビニルアルコール 10部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 2部
【0066】
上記のようにして作製された記録材料を23℃、55%RHの環境で一昼夜放置後、搬送性、表のインク受容層の耐傷性、耐ブロッキング性、ギロチン断裁傷性、表と裏のインク吸収性、及び白紙部光沢性を下記の方法で評価した。その結果を表2に示す。
【0067】
<白紙部光沢性>
記録材料の表のインク受容層の印字前の白紙部光沢感を斜光で観察し、下記の基準で評価した。
○:カラー写真並の高い光沢感が有る。
△:アート、コート紙並の光沢感が有る。
×:上質紙並の沈んだ光沢感が有る。
【0068】
<インク吸収性>
インクジェット用記録材料の表の保護層と裏のインク受容層面に23℃、55%RHの条件でセイコーエプソン社製インクジェットプリンターMJ−5100Cで黒ベタ印字を行ってインク吸収性を評価した。
○;5秒未満で印字部の光沢が無くなった。
△;5秒以上10秒未満で光沢が無くなった。
×;光沢が無くなるまでに10秒以上かかった。
【0069】
<搬送性>
23℃、55%RHの条件でセイコーエプソン社製インクジェットプリンターMJ−5100Cで100枚連続印字を行って搬送性を評価した。
○;重送が全く発生しなかった。
△;重送が1〜2回発生した。
×;重送が3回以上発生した。
【0070】
<インク受容層の耐傷性>
印字していないインクジェット用記録材料を表面を上に2枚重ね、その上に100gの分銅を置いた状態で下の記録材料を抜き出した後、表のインク受容層面の傷を目視で観察した。
○;表のインク受容層面の傷付きが認められなかった。
△;表のインク受容層面の傷付きが若干認められたが実用上は問題無し。
×;表のインク受容層面の傷付きが著しく実用に耐えない。
【0071】
<耐ブロッキング性>
インクジェット用記録材料の表のインキ受容層面にインクジェットプリンターMJ−5100Cで黒ベタ印字を行って10分後に同じインクジェット用記録材料の裏面を重ね合わせ5g/cmの加重をかけて1時間放置後に重ねた記録材料を剥離して評価した。
○;記録材料が簡単に剥離し、インクの転移も無い。
△;記録材料の剥離にやや力が必要で、インクの転移も若干有る。
×;記録材料の剥離に力が必要でインクの転移も多い。
【0072】
<ギロチン断裁端傷の評価>
刃先角が25°のギロチン刃を使用して各インクジェット用記録材料500枚を積載した枚葉束をA4サイズ4束に断裁し、上層10枚の記録材料のインク受容層表面の断裁端傷、光沢むらの評価を以下の基準で行い、最も悪い評価を結果とした。
○;断裁傷が全く発生しなかった。
△;やや微小な傷が発生したが実使用可能。
×;断裁傷が発生し、実使用で問題であった。
【0073】
実施例3、参考例1〜
実施例1で保護層のコロイダルシリカとポリビニルアルコールの質量比、塗布量を表1のように代えた以外は実施例1と同様にして実施例3、および参考例1〜のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0074】
実施例6
実施例1で保護層の球状コロイダルシリカを鎖状のもの(日産化学社製、スノーテックスUP)に代えた以外は実施例1と同様にして実施例6のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0075】
実施例7
実施例1で保護層の球状コロイダルシリカをパールネックレス状のもの(日産化学社製、スノーテックスPS−M)に代えた以外は実施例1と同様にして実施例7のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0076】
実施例8
実施例1でインク受容層を下記組成とし、アルミナを固形で25g/mになるように塗布した以外は実施例1と同様にして実施例8のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
【0077】
<インク受容層塗布液>
アルミナ 100部
(γ−アルミナ、平均一次粒径15nm)
硝酸 1部
ほう酸 1部
ポリビニルアルコール 15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
N−メチルチオウレア 4部
両性界面活性剤 0.3部
(ベタイン系;日本サーファクタント社製、スワノールAM)
【0078】
実施例9
実施例1でインク受容層を下記組成の2層とし、下層の気相法シリカを固形で17g/m、上層のアルミナ水和物を固形で8g/mになるように保護層とともに3層を同時塗布した以外は実施例1と同様にして実施例9のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
【0079】
<インク受容層下層塗布液>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径15nm)
ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド 2部
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
両性界面活性剤 0.3部
(ベタイン系;日本サーファクタント社製、スワノールAM)
【0080】
<インク受容層上層塗布液>
アルミナ水和物 100部
(平均一次粒径14nm、アスペクト比5の平板状粒子)
硝酸 1部
カチオン性ポリマー媒染剤 4部
(里田化工社製、ジェットフィックス30)
ほう酸 1部
ポリビニルアルコール 15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
両性界面活性剤 0.5部
(ベタイン系;日本サーファクタント社製、スワノールAM)
【0081】
参考例4
参考例1で使用の耐水性支持体の表面の中心線平均粗さをクーリングロール表面の粗さを変更して0.2μmとした以外は参考例1と同様にして参考例4のインクジェット用記録材料を得た。評価結果を表2に示す。
【0082】
参考例5
実施例9で2層のインク受容層をスライドビード塗布装置で同時塗布した後、5秒後にカーテンコーターで保護層を塗布し、15℃で30秒間、40℃で2分間乾燥した以外は実施例9と同様にして参考例5のインクジェット用記録材料を作成した。評価結果を表2に示す。
【0083】
参考例6
参考例1でインク受容層を塗布、乾燥した後で保護層を塗布、乾燥した以外は参考例1と同様にして参考例6のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0084】
実施例13
実施例1で、裏のインク受容層のポリエチレン粒子を平均粒子径2.5μmのものに代えた以外は実施例1と同様にして実施例13のインクジェット用記録材料を得、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0085】
実施例14
実施例1で、裏のインク受容層のポリエチレン粒子を平均粒子径8μmのものに代えた以外は実施例1と同様にして実施例14のインクジェット用記録材料を得、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0086】
実施例15
実施例1で、裏のインク受容層の平均二次粒子径3μmの湿式シリカに代えて平均二次粒子径8μmの湿式シリカ(水澤化学工業社製P78D)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例15のインクジェット用記録材料を得、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0087】
参考例7
参考例1で保護層の塗布量を固形分で1g/mとした以外は参考例1と同様にして参考例7のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0088】
参考例8
実施例1で裏のインク受容層塗布液のポリエチレン粒子を抜いた以外は実施例1と同様にして参考例8のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0089】
比較例1
参考例8で保護層を設けなかった以外は参考例8と同様にして比較例1のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0090】
比較例2
実施例1で保護層のコロイダルシリカを抜いてポリビニルアルコール単独で固形分0.4g/m塗布した以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット用記録材料を得た。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0091】
【表1】
Figure 0004357140
【0092】
【表2】
Figure 0004357140
【0093】
上記結果から明らかなように、本発明の実施例のインクジェット用記録材料は優れた光沢度を有し、良好なインク吸収性、搬送性、耐ブロッキング性、耐傷性、及びギロチン断裁端傷性を有する。比較例1は参考例8で保護層のない場合であり、搬送性、耐傷性、及びギロチン断裁端傷性が大きく劣る。比較例2は実施例1で保護層のコロイダルシリカを抜き、ポリビニルアルコール単独の場合であり、インク吸収性、ギロチン断裁端傷性、及び耐ブロッキング性は実使用下限であるが、搬送性が大きく劣った。参考例1〜8のインクジェット用記録材料は搬送性、耐傷性およびギロチン断裁端傷性の評価が不十分であり、総合的評価としてもやや不満足な結果であった。
【0094】
【発明の効果】
本発明によれば、フォトライクな高い光沢を有し、インク吸収性、耐ブロッキング性、プリンター搬送性、及び耐傷性が良好であり、ハガキ用途でも使用可能なインクジェット用記録材料が得られた。

Claims (1)

  1. JIS−B−0601で規定されるカットオフ値が0.8mmでの中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜5μmである耐水性支持体上に、平均一次粒径が5〜50nmの気相法シリカ、アルミナ、およびアルミナ水和物の少なくとも1種の無機微粒子と親水性バインダーを含有する少なくとも1層のインク受容層と、コロイダルシリカと親水性バインダーを含有する保護層を同時塗布により設け、該保護層のコロイダルシリカに対する親水性バインダーの固形分質量比をX、保護層の固形分塗布量をYg/mとすると、0.05≦X≦、0.4≦Y≦6g/m、及び0.4≦XY≦2であって、他面に平均二次粒子径が3〜8μmの湿式法シリカ粒子と平均粒子径が100nmより大きい有機粒子および親水性バインダーを含有する少なくとも1層のインク受容層を設けることを特徴とするインクジェット用記録材料の製造方法。
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