JP2009241417A - インクジェット記録媒体及び記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷後の画像の色相変化を抑えることが可能なインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】非吸収性支持体の片面に、無機顔料およびバインダーを含むインク受容層を備えるインクジェット記録媒体において、前記非吸収性支持体のインク受容層を有する側とは反対の裏面に吸水性高分子および顔料を含むことを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体及びそれを用いた記録方法に関する。
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および装置も開発されて、各々実用化されている。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化やハード(装置)の発展に伴ない、インクジェット記録用の媒体も各種開発されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、水性染料インクを用いたインクジェットシステムでは、プリント直後からの色相変化が大きく安定するまでに時間がかかる。また、複数枚プリントしインクが十分に乾燥せずに重ねられた場合には、意図する色相とはことなる色相になってしまうという問題がある。
特開平9−234944号公報 特開平10−217601号公報
インクジェットシステムにおいて、特に、非吸水性支持体を用いたインクジェット記録媒体においては、印刷後にインクに含まれる水分を支持体に吸収することができず、表面からの水分の蒸発に伴って、印刷後に色相が変化し、意図する色相とはことなる色相となってしまうという問題の解決が困難である。
本発明は、印刷後の画像の色相変化を抑えることが可能なインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者らは、インクジェット記録媒体の裏面に吸水性を持たることで、プリント後のメディア(印刷後の印刷物)が重ねられたときに、裏面が下のメディアのインク溶媒を吸水し色相変化を抑えることができることを見出した。更に、また、プリント後のメディアが重なった後にメディアに加圧処理をすることでより効果的に色相変化を抑えることができることを見出し、本発明を完成した。
<1> 非吸収性支持体の片面に、無機顔料およびバインダーを含むインク受容層を備えるインクジェット記録媒体において、前記非吸収性支持体の前記インク受容層を有する側とは反対の面に吸水性高分子および顔料を含むことを特徴とするインクジェット記録媒体。
<2> 上記<1>に記載のインクジェット記録媒体において、前記反対の面の吸水量が2〜15g/mであることを特徴とするインクジェット記録媒体。
<3> 上記<1>または<2>に記載のインクジェット記録媒体を用い、印画後に複数枚重ねられた記録媒体に加圧処理をすることを特徴とする記録方法。
本発明によれば、印刷後のインクジェット記録媒体の画像の色相変化を抑えることができる。
本発明のインクジェット記録媒体は、非吸収性支持体の片面に、無機顔料およびバインダーを含むインク受容層を備えるインクジェット記録媒体において、前記非吸収性支持体のインク受容層を有する側とは反対の面に吸水性高分子および顔料を含むことを特徴とする。
本発明は、非吸収性支持体のインク受容層を有する側とは反対の面(裏面)に吸水性高分子及び顔料、特に、吸収性高分子を含むすることにより、印刷後の画像の色相変化を抑えることを可能とする。
以下、本発明のインクジェット記録媒体に用いられる材料について説明する。
本発明のインクジェット記録媒体の裏面には、吸水性高分子及び無機顔料を含む吸水層を有する。必要に応じてその他の層を設けることができる。
≪吸水層≫
本発明における吸水層は、吸水性高分子、無機顔料を含有し、必要に応じてその他の添加剤を添加することができる。
(吸水性高分子)
本発明において、吸水性高分子とは自重の20倍以上の純水を吸収することのできる高分子をいう。
前記吸水性高分子が吸収する水の量は、多いほど良いが、自重の30倍以上がより好ましく、自重の40倍以上が更に好ましい
吸水性高分子としては、例えばポリアクリル酸塩系、ポリアルキレンオキサイド系、でん粉、でん粉/アクリロニトリル共重合体系、水溶性セルロース誘導体、イソブチレン/マレイン酸塩系、PVA/ポリアクリル酸塩共重合体系、酢酸ビニル/アクリル酸メチル共重合体系、酢酸ビニル/マレイン酸モノメチル共重合体系、多糖類/アクリル酸共重合体など一般的に公知の吸水性高分子を用いることができる。
吸水性高分子は、吸水速度および取り扱い性の観点から、ポリアクリル酸塩系、ポリアルキレンオキサイド系、でん粉、水溶性セルロース誘導体が好ましく、ポリアルキレンオキサイド系、水溶性セルロース誘導体がより好ましい。
ポリアクリル酸塩系としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。ポリアルキレンオキサイド系としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等が挙げられる。水溶性セルロース誘導体としては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
(裏面吸水層の吸水速度)
吸水速度は、J.TAPPI紙パルプ試験法No.51−87ブリストー法で、1s後間の純水の転移量で規定する。
本発明における裏面吸水層への純水の転移量は、多いほうが好ましく、2g/m〜15g/mの範囲が好ましく、より好ましくは4g/m〜10g/mである。
転移量が2g/m〜15g/mの範囲であると印刷後の色相変化が少なく好ましい。
本発明における吸水層は十分な水の転移量とカールやブロッキングなどの防止の観点から、吸水性高分子を0.5g/m〜20g/m含有することが好ましく、2g/m〜10g/m含有することがより好ましい。
(顔料)
本発明における吸水層は顔料を含有する。含有することにより、べとつきやブロッキングを防止することができる。
顔料としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、カオリン、雲母などの顔料を用いることができる。
また、更に、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
本発明における吸水層は、べとつきやブロッキングの防止の観点から、吸水性高分子に対して、無機顔料を5%〜70%含有することが好ましく、10%〜50%含有することがより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明における吸水層は、添加剤として界面活性剤、帯電防止剤、硬膜剤、染料、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、粘度安定剤、pH調節剤などが挙げられ、必要に応じて用いることができる。
前記吸水層は、スライドホッパー方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロール方式、ロッド方式、ワイヤーバー方式等の一般的な塗工方式により支持体上に塗工されて形成される。吸水層の塗工量は、特に制限する必要はないが、0.5〜20g/mが好ましく、2〜10g/mがより好ましい。
≪インク受容層≫
本発明におけるインク受容層は、無機顔料及びバインダーを含有し、必要に応じてその他の添加剤を添加することができる。
(無機顔料)
無機顔料は、無機顔料の微粒子(以下、無機微粒子という。)であることが好ましい。
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が好ましい。
上記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高く、また屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。この様に受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
無機微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、特に10nm以下が好ましい。該平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。
また、無機微粒子のBET法による比表面積は200m/g以上が好ましく、250m/g以上がさらに好ましく、380m/g以上が特に好ましい。無機微粒子の比表面積が200以上m/gであると、インク受像層の透明性が高く、印画濃度を高く保つことが可能である。
本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基の水素結合により粒子同士が付着し易いため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着効果のため、上記の様に平均一次粒子径が20nm以下の場合にはインク受容層の空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
一般にシリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、上記「気相法シリカ」とは、当該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を指す。
気相法シリカは、上記含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmと多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
本発明においては、上記乾式法で得られる気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、更に微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmであるシリカ微粒子が好ましい。
本発明に最も好ましく用いられる無機微粒子は、BET法による比表面積が200m/g以上の気相法シリカである。
(バインダー)
本発明におけるインク受容層は、バインダーを含有する。
バインダーとしては、ポリビニルアルコールを用いることができる。
本発明に用いられるポリビニルアルコールは、特に限定されないが、鹸化度が85mol%以上のものであることが好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度が85mol%より低いと中間調の色相がニュートラルグレーからはずれ好ましくない。また、塗布液の粘度が高く塗布の安定性が低下する。
本発明におけるポリビニルアルコールの重合度は、1500〜3600が好ましく、より好ましくは、2000〜3500である。重合度が1500より小さいとインク受容層のひび割れが起こる傾向となり、3600より大きいと塗布液の粘度が高く好ましくない。
本発明においては、本発明におけるポリビニルアルコール以外の水溶性樹脂を該ポリビニルアルコールと併用することもできる。併用可能な水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、鹸化度が上記範囲以外のポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;親水性のエーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることもできる。
本発明におけるポリビニルアルコールと上述した水溶性樹脂とを併用する場合の本発明におけるポリビニルアルコールと上記水溶性樹脂との合計量に対する本発明におけるポリビニルアルコールの割合は1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がさらに好ましく、6〜12質量%が特に好ましい。
本発明におけるバインダーの含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
前記ポリビニルアルコールは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。この様な三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。
インクジェット記録媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
(無機微粒子とバインダーとの含有比)
無機微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)とバインダー(y)との含有比〔PB比(x/y)、バインダー1質量部に対する無機微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、上記PB比(x/y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、インクジェット記録媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。更にシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要である。この様な観点より、上記PB比(x/y)としては5/1以下が好ましく、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは、2/1以上であることが好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子とポリビニルアルコールとをPB比(x/y)が2/1〜5/1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
(架橋剤)
本発明におけるインク受容層は架橋剤を含むことができる。本発明におけるインク受容層は、該架橋剤によるポリビニルアルコール及び必要に応じて用いられる水溶性樹脂の架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
上記架橋剤としては、インク受容層に含まれるバインダー(特に、ポリビニルアルコール及び必要に応じて用いられる水溶性樹脂)との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二ホウ酸塩(例えば、Mg、Co)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四ホウ酸塩(例えば、Na・10HO)、五ホウ酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特にホウ酸又はホウ酸塩が好ましく、これを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが最も好ましい。
本発明においては、上記架橋剤は、1.0質量部に対して、0.05〜0.50質量部含有されることが好ましく、0.08〜0.30質量部含有されることがより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲であると、バインダーを効果的に架橋してひび割れ等を防止することができる。
前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合などには、ホウ素化合物以外の下記化合物も架橋剤として用いることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。上記の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
(水溶性アルミニウム化合物)
本発明におけるインク受容層は水溶性アルミニウム化合物を含むことができる。水溶性アルミニウム化合物を用いることにより形成画像の耐水性及び耐経時にじみの向上を図ることができる。
水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。これらの中でも、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の式1、2又は3で示され、例えば〔Al(OH)153+ 、〔Al(OH)204+ 、〔Al13(OH)345+ 、〔Al21(OH)603+ 、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
〔Al(OH) Cl6−n 5<m<80 、 1<n<5 式1
〔Al(OH) AlCl 1<n<2 式2
Al(OH) Cl(3n−m) 0<m<3n、 5<m<8 式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、大明化学(株)よりアルファインの名でまた他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
本発明におけるインク受容層において、上記水溶性アルミニウム化合物の含有量としては、インク受容層を構成する全固形分の0.1〜20質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、特に2〜4質量%が最も好ましくい。水溶性アルミニウム化合物の含有量が2〜4質量%の範囲にあると光沢度、耐水性、耐ガス性、耐光性の向上効果が得られる。
(ジルコニウム化合物)
本発明におけるインク受容層はジルコニウム化合物を含むことができる。ジルコニウム化合物を用いることにより耐水性向上効果が得られる。
本発明に用いられるジルコニウム化合物としては、特に限定されず種々の化合物が使用できるが、例えば、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。特に酢酸ジルコニルが好ましい。
本発明におけるインク受容層において、上記ジルコニウム化合物の含有量としては、インク受容層を構成する全固形分の0.05〜5.0質量%が好ましく、0.1〜3.0質量%がより好ましく、特に0.5〜2.0質量%が最も好ましくい。ジルコニウム化合物の含有量 が0.5〜2.0質量%の範囲にあるとインクの吸収性を低下させることなく耐水性を向上させることが可能である。
本発明においては、上述した水溶性アルミニウム化合物及びジルコニウム化合物以外のその他の水溶性多価金属化合物を併用することもできる。その他の水溶性多価金属化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。
具体的には、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
(他の成分)
本発明におけるインク受容層は、必要に応じて下記成分を含有させて構成される。
即ち、インク色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位の内、1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報;
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号、同第4980275号公報等に記載のものが挙げられる。
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
これら褪色防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。褪色防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。褪色防止剤の添加量としては、インク受容層形成液の0.01〜10質量%が好ましい。
本発明において、インク受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有することができる。上記高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、該水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
上記高沸点有機溶剤のインク受容層形成液中における含有量としては、0.05〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6質量%である。
また、無機微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
(支持体)
支持体としては、非吸収性の支持体を用いる。非吸収性とは、水及びインクジェット記録用インクに含まれる溶媒を吸収しないことを言い、特に、水を吸収しないことを言う。
プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。またCD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用い、レーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。この様な材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜200μmが好ましい。
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。該光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記の様な支持体が挙げられる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に、銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜300μmが好ましい。
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用するのが好ましい。
次に、レジンコート紙など紙支持体に用いられる原紙について述べる。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好適に用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれている様に、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。更にポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られる様なマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
支持体には、その裏面には前記吸水層のほかに、必要に応じて、本発明に効果を損なわない範囲で、その他の層を設けてもよい。
本発明のインクジェット記録媒体は、例えば、前記樹脂被覆紙(ポリエチレン被覆紙)に用いて、インク受容層を設ける側とは反対側である裏面に、後述の吸水層用塗布液を公知の方法により塗布、乾燥して吸水層を形成し、続いて、前記吸水層が形成された側とは反対側のオモテ側に、後述のインク受容層用塗布液を塗布、乾燥させてインク受容層を形成することにより製造することができる。
また、本発明のインクジェット記録媒体は、例えば、樹脂被覆紙の吸水層が形成された側と反対側に、少なくとも無機顔料とバインダーとを含むインク受容層塗布液Aを塗布し、(a)該塗布による塗布層の形成と同時、又は(b)該塗布により塗設された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pHが7.1以上の塩基性溶液(溶液B)を付与し、溶液Bが付与された塗布層を架橋硬化させる方法によって形成されてもよい。
架橋剤は、無機顔料を少なくとも含む塗布液A及び溶液Bの少なくとも一方に含有すればよい。この場合、インク受容層を多孔質に形成でき、これを溶液Bの付与により架橋硬化されるので、インク吸収性に優れるだけでなく、層の割れやひび割れ防止などの点で好ましい。これより、本発明における前記樹脂被覆紙と組み合わせて構成されると、インク受容層の割れ及びひび割れ等が緩和され、インク受容層の脆性をより向上させることができる。
無機顔料(例えば気相法シリカ)とバインダー(例えばポリビニルアルコール)とを含有するインク受容層形成用の塗布液は、例えば以下のようにして調製できる。
すなわち、気相法シリカ等の無機顔料と分散剤とを水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、ビーズミル(例えば(株)シマエンタープライズ製の「KD−P」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。塗布液に安定性を付与するために、アンモニア水等でpH=9.2程度に調節すること、又は分散剤を用いることが好ましい。
上記において、前記ビーズミルの代わりに、超音波分散機((株)エスエムテー)を用いて、例えば45℃に加熱して20時間保持して分散を行なうことにより調製することもできる。塗布液に安定性を付与するために、アンモニア水等でpH=9.2程度に調節すること、又は分散剤を用いることが好ましい。
得られた塗布液は、均一なゾル状態であり、これを下記の塗布方法で樹脂被覆紙上に塗布し、乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
また、無機顔料(例えば、気相法シリカ)と分散剤とからなる水分散物の調製は、気相法シリカ水分散液を予め調製し、調製した水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて前記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
前記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を、分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50nm以下の水分散液を得ることができる。
また、前記製造工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
また、前記塗布液の分散性を向上させるために分散剤を添加してもよい。分散剤としては特に限定されず、公知のカオチン性樹脂を用いることができる。分散剤の無機微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行なうことができる。
前記溶液Bは、塗布液Aの塗布と同時、又は塗布液Aを塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に該塗布層に付与される。すなわち、塗布液Aの塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間に溶液Bが導入され、これにより架橋硬化された多孔質層を好適に製造できる。
溶液Bには、必要に応じて、架橋剤、媒染剤などを含有することができる。
溶液Bは、アルカリ溶液として用いることで、硬膜を促進でき、pH7.1以上に調整されるのが好ましく、より好ましくはpH7.5以上であり、特に好ましくはpH7.9以上である。pHが前記範囲内であると、塗布液A中のバインダーの架橋反応が良好に行なわれ、ブロンジングの発生防止やインク受容層へのひび割れ等の欠陥の発生防止に好適である。
なお、上記の方法において、「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
このとき、乾燥は一般に40〜180℃の温度領域で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行なうことができる。乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は前記範囲が適当である。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、既述の本発明のインクジェット記録媒体を用いた、印画後に複数枚重ねられたインクジェット記録媒体に加熱処理をすることを特徴とする。
印画後、オモテ面インク受容層に含まれるインク溶媒由来の水分、溶剤などの吸収を促進する目的で、プリント後に複数枚のインクジェット記録媒体にそのオモテ面と裏面が接した状態で加圧処理を施すことにより、色相変化を顕著に抑制できる点で好ましい。
加圧処理の方法としては、0.01kPa〜10kPaの範囲の圧力を、100m秒以上の時間かけられる方式であれば、どのような方式でもよく、例えばゴム製あるいは金属性のローラーにはさむ方式、シート状のもので挟み込む方式などを用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
≪耐水性支持体の作製≫
<耐水性支持体Aの作製>
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
ついで前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン性でんぷん(日本NSC製 CATO 304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学社製、ポリアクロンST−13)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製 サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製:アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
前記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6kg/cmに設定して乾燥を行なった後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製:KL−118)を1g/m塗布して乾燥し、カレンダー処理を行った。なお、原紙の坪量は166g/mで抄造し、厚さ160μmの原紙(基紙)を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ25μmとなるようにコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「ウラ面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施した。
その後、下記組成の吸水層用塗布液Aを乾燥質量が2g/mとなるように塗布した。
[吸水層用塗布液A組成]
(1)メタノール 95部
(2)ポリアルキレンオキサイド系樹脂(アクアコークTWB:住友精化(株)) 5部
(3)無機顔料(ミズカシルP526 :水澤化学工業(株)) 0.5部
更に、熱可塑性樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、東京インキ(株)製の群青を0.3%の含有量に調整し、更に(株)日本化学工業所製の蛍光増白剤「Whiteflour PSN conc」を0.08%の含有量となるように調整したMFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み25μmとなるように押出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、耐水性支持体Aを作製した。
<耐水性支持体Bの作製>
耐水性支持体Aの作製工程において、裏面の吸水層用塗布液を下記組成の吸水層用塗布液Bに変更した以外は同様にして耐水性支持体Bを作製した。
[吸水層用塗布液B組成]
(1)メタノール 20部
(2)純水 75部
(3)ヒドロキシプロピルセルロース 5部
(4)無機顔料(ミズカシルP526 :水澤化学工業(株)) 0.5部
<耐水性支持体Cの作製>
耐水性支持体Aの作製工程において、裏面の吸水層用塗布液を下記組成の吸水層用塗布液Cに変更した以外は同様にして耐水性支持体Cを作製した。
[吸水層用塗布液C組成]
(1)酢酸エチル 95部
(2)ポリアクリル酸塩系樹脂(アクアキープ10SH−NF:住友精化(株)) 5部
(3)無機顔料(ミズカシルP526 :水澤化学工業(株)) 0.5部
<耐水性支持体Dの作製>
耐水性支持体Aの作製工程において、裏面の吸水層の乾燥重量が0.4g/mになるようにすること以外は耐水性支持体Aと同様にして、耐水性支持体Dを作製した。
<耐水性支持体Eの作製>
耐水性支持体Aの作製工程において、裏面の吸水層用塗布液を下記組成の吸水層用塗布液Dに変更した以外は同様にして耐水性支持体Eを作製した。
[吸水層用塗布液D組成]
(1)純水 95部
(2)ポリビニルアルコール(PVA220:クラレ(株)) 5部
(3)無機顔料(ミズカシルP526 :水澤化学工業(株)) 0.5部
<耐水性支持体Fの作製>
耐水性支持体Aの作製工程において、裏面の吸水層用塗布液を下記組成の吸水層用塗布液Eに変更した以外は同様にして耐水性支持体Fを作製した。
[吸水層用塗布液E組成]
(1)メタノール 95部
(2)ポリアルキレンオキサイド系樹脂(アクアコークTWB:住友精化(株)) 5部
<耐水性支持体Gの作製>
耐水性支持体Aの作製工程において、裏面に吸水層を設けないこと以外同様にして耐水性支持体Gを作製した。
≪インクジェット記録用シートの作製≫
<インク受容層用塗布液の調製>
下記組成の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」とを混合し、超音波分散機((株)エスエムテー製)を用いて分散させた後、分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、これに下記(5)ホウ酸と、(6)ポリビニルアルコール水溶液、(7)界面活性剤を30℃で加え、インク受容層用塗布液を調製した。
〈インク受容層用塗布液の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 62.8部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) 0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)「ZA−30」(酢酸ジルコニル、第一稀元素化学工業(株)製) 0.54部
(5)ホウ酸(架橋剤) 0.37部
(6)ポリビニルアルコール(日本酢ビポバール製:JM33)7%水溶液溶解液 29部
(7)界面活性剤(エマルゲン109P) 0.07部

−インクジェット記録用シートAの作製−
前記支持体Aのオモテ面にコロナ放電処理を行った後、インク受容層塗布液22g/mになるようにスライドビードコーターで塗布した。塗布後5℃で1分間冷却後40℃で乾燥をおこない、インクジェット記録用シートAを作製した。
−インクジェット記録用シートB〜Gの作製−
前記支持体B〜Gについても、インクジェット記録用シートAと同様に行って、インクジェット記録用シートB〜Gを作製した。
≪画像印刷≫
上記それぞれインクジェット記録用シートA〜Gを用い、下記条件で印刷し、評価を行った。
セイコーエプソン社製のプリンタA820を用い、上記で得られたインクジェット記録用シートをLサイズに5枚カットし、すべてのインク受容層形成面側に、グレーベタの連続プリントを行って、評価サンプルを作製した。その際、グレー濃度が約1.7になるように画像データの階調を調整した。
また、インクジェット記録用シートAおよびBについては、上記評価サンプル以外に、さらに、インクジェット記録用シートA、Bを用いて、上記同様に5枚連続プリントし、印刷直後に1kPaの圧力で10秒間加圧処理をして評価サンプルを作製した。
[評価]
<色相変化評価方法>
評価サンプルを排出トレイに重なったままの状態で10分間放置し、一番上の記録シートと3枚目の記録シートの色相を測定し、その差を色差(ΔE)とした。
ここで、色相の測定は、分光光度計(スペクトロリノ、グレタグマクベス社製)を用い、光源F8、視野角2度の条件でLを測定することにより行った。
得られた色差(ΔE)から、以下の評価基準に従って色相変化を評価した。
〜評価基準〜
A・・・ ΔE<2:色相変化がほとんど認識できない
B・・・2≦ΔE<4:色相変化がわかるがあまり目立たない
C・・・4≦ΔE<7:色相変化がかなり目立つ
D・・・7≦ΔE :色相変化が大きく問題となるレベル
<ブロッキング評価方法>
評価サンプルを重ねてアクリル板に挟み、5kgの錘をのせて、30℃80%RHの環境下で2日間放置した。2日後に取り出し、5枚のシートの張り付き程度に応じて下記の基準でランク付けした。
〜評価基準〜
A・・張り付きがまったく起こっていない。
B・・わずかに張り付いているが、簡単にはがすことができ問題ない。
C・・張り付いており、簡単にははがすことができないまたははがした時に一部がやぶれる。
<搬送性評価方法>
前記評価サンプルの画像印刷時にプリンタ内で問題なく搬送されているかどうかを下記基準で評価した。
〜評価基準〜
A・・搬送性に問題ない。
B・・わずかに搬送性が劣っており、グレー画像にムラが発生する。
C・・搬送時に位置ずれがおおきく問題になる。
Figure 2009241417
表1から明らかな通り、比較のインクジェット記録用シートは色相変化、ブロッキング、搬送性を全て満たすものはなかった。一方、本発明のインクジェット記録用シートは全般的に良好であり、インクジェット記録用シートA,Bに印刷した後に加圧処理を加えた本発明は特に優れていることが判った。

Claims (3)

  1. 非吸収性支持体の片面に、無機顔料およびバインダーを含むインク受容層を備えるインクジェット記録媒体において、前記非吸収性支持体の前記インク受容層を有する側とは反対の面に吸水性高分子および顔料を含むことを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 請求項1に記載のインクジェット記録媒体において、前記反対の面の吸水量が2〜15g/mであることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録媒体を用い、印画後に複数枚重ねられた記録媒体に加圧処理をすることを特徴とする記録方法。
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