JP4315614B2 - インクジェット用記録シートの断裁方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性支持体上にインク受容層を設けた、インク吸収性と質感の良好なインクジェット用記録シートの断裁方法に関し、更に詳しくは、インクジェット用記録シートの断裁時にインク受容層の断裁端の表面に傷が発生せず、ギロチン刃の寿命が長い断裁方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に水等の溶剤膨潤性のバインダーからなる膨潤性インク受容層や、非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔性インク受容層を設けてなる記録材料が知られている。インク吸収性からは多孔性のものが好ましい。
【0003】
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0004】
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報等公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。気相法シリカは、一次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢と高いインク吸収性が得られるという特徴がある。しかし、超微粒子であるが故に、インク受容層表面に傷や光沢むらが発生しやすい問題がある。
【0005】
また、特開昭62−174183号、特開平2−276670号、特開平5−32037号、特開平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。しかし、白紙光沢性は良好であるがインク吸収性が不十分であり、インク受容層表面には傷が発生しやすかった。
【0006】
一方、インクジェット記録材料の支持体としては、従来、紙が一般的に用いられており、紙自体にインク吸収層としての役割を持たせていた。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、紙支持体を用いた記録シートは、光沢、質感、耐水性、印字後のコックリング(皺あるいは波打ち)等の問題があり、耐水性加工された紙支持体、例えば、紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートした樹脂ラミネート紙(ポリオレフィン樹脂被覆紙)、プラスチックフィルム等が用いられるようになってきた。しかしながら、これらの耐水性支持体は、紙支持体と違ってインク受容層を設けた表面の平滑性が高く、製造時、仕上げ時、及び取り扱い時にインク受容面に傷や光沢むらが発生しやすかった。更に支持体自身にインク吸収性が無いためにインク受容層が厚くなっており、平滑性、光沢が高いので更に傷が発生しやすく、光沢むらが目立ちやすい。特に厚手のポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムや樹脂被覆紙を支持体として用いた場合には剛直性が高く、質感に優れたインクジェット記録材料が得られるが、インク受容層に微細な無機微粒子を用いた場合には、特にギロチンでの断裁時にインク受容層の断裁端に傷や粉落ちが発生しやすく、また、無機微粒子が研磨効果を有するためにギロチン刃の摩耗が大きく刃の寿命が短くなってしまう問題があった。
【0007】
特開平10−278414号公報には、記録シートの一面と他面との間のJIS−P8147に基づく静摩擦係数が0.8以下であるインクジェット記録用シートによりギロチンカッター断裁時の寸法精度改良の提案がなされている。しかしながら、微細な無機微粒子をインク受容層に用いた高い剛直度の記録用紙のギロチン断裁時にギロチンの刃の摩耗が激しくなる事、インク受容層の断裁端に傷が発生しやすい事、および合い紙使用によるそれらの対応については記載されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐水性支持体上に無機微粒子と親水性バインダーを含有するインク受容層を設けた、インク吸収性と質感の良好なインクジェット用記録シートのギロチン断裁時にインク受容層の断裁端に傷や光沢むらが発生しにくく、ギロチン刃の寿命も長いインクジェット用記録シートの断裁方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、主として以下の手段により断裁することで達成された。
【0010】
(1)耐水性支持体の少なくとも片面に一次粒子の平均粒径0.1μm以下の無機微粒子、および親水性バインダーを含有するインク受容層を設けたインクジェット用記録シートの断裁方法であり、各記録シートの間にJIS−P8143に基づくクラーク剛直度が60cm3/100以下の合い紙を挿入してギロチンで断裁することを特徴とするインクジェット用記録シートの断裁方法。
【0011】
(2)前記インクジェット用記録シートのJIS−P8143に基づくクラーク剛直度が80cm/100以上である上記(1)に記載のインクジェット用記録シートの断裁方法。
【0012】
(3)耐水性支持体の少なくとも片面に一次粒子の平均粒径0.1μm以下の無機微粒子、および親水性バインダーを含有するインク受容層を設けた、JIS−P8143に基づくクラーク剛直度が80cm3/100以上のインクジェット用記録シートの断裁方法であり、記録シートと合い紙との間のJIS−P8147に基づく静摩擦係数が最大で0.7である合い紙を記録シートの間に挿入してギロチンで断裁することを特徴とするインクジェット用記録シートの断裁方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される耐水性支持体は、透明、半透明、または不透明の各種プラスチックフィルム、樹脂被覆紙、合成紙等が挙げられる。
【0014】
本発明で好ましく用いられる二軸延伸プラスチックフィルムについて詳細に説明する。
【0015】
二軸延伸プラスチックフィルムに用いられるポリマーは特に制限はなく、ポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリスチレン類、ポリエーテル類、ポリビニル類、ポリウレタン類、ポリアセタール類、ポリスルホネート類等の熱可塑性ポリマーが挙げられる。特にコスト、熱安定性からポリエステル類が好ましく、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレンテレフィタレート等が挙げられる。
【0016】
従来から二軸延伸プラスチックフィルムの製造時には滑り性や空気逃げ性が悪いとフィルム巻き取りの巻き姿が悪化するという問題が有り、生産速度が上げる場合の弊害であった。それを防ぐ目的で光沢性、平坦性を多少犠牲にして、表面を粗面化して滑り性や空気逃げ性を改良したものが用いられてきた。表面を粗面化するには、ポリエステル等のポリマーに酸化珪素、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ガラス粒子、クレー、タルク、硫酸バリウム等の無機粒子、耐熱性高分子材料からなる有機粒子を添加する方法、ポリマー合成時にカルシウム、リチウム等を含む微粒子を析出させる方法が知られている。
【0017】
本発明の二軸延伸プラスチックフィルムには前記の粒子以外にステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて用いられる。
【0018】
二軸延伸プラスチックフィルムの製造方法は、従来公知の製造法に準じて製造されるが、所定量の前記の粒子を含有するポリマーを溶融製膜して非晶質の未延伸フィルムを得、二軸方向に延伸して熱固定し、必要であれば弛緩処理して製造される。二軸延伸プラスチックフィルムは二層以上の構成でもよく、例えば前記の粒子Aを含む層と粒子を含まない層を同時に溶融押し出しで製膜した後上記と同様に二軸延伸して製造される。本発明で用いられる二軸延伸プラスチックフィルムの厚さは、質感からは好ましくは得られるインクジェット用記録シートのJIS−P8143に基づくクラーク剛直度が80cm3/100以上となるように選択されるが、150μm以上が一般的である。
【0019】
本発明に用いられる二軸延伸プラスチックフィルムのインク受容層が塗設される面に下引き層を設けても良い。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め支持体に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/m2が好ましく、20〜300mg/m2がより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。また、下引き層を塗布する前には、コロナ放電することが好ましい。
【0020】
本発明における二軸延伸プラスチックフィルムのインク受容層を設ける面の反対面(以降、「裏面」という)には、インクジェット記録性賦与、カール、及び帯電防止耐傷性を改良する目的で無機微粒子、親水性バインダー、およびポリマーラテックス等の少なくとも何れかを含有する裏塗り層を塗設してもよい。裏塗り層の塗設量は一般的には固形分で0.02〜30g/m2であり、インクジェット適性賦与の場合は5〜30g/m2が好ましい。裏塗り層には、更に無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。無機微粒子としてはインク受容層で使用されるものと同様のものが使用できるが、ギロチン裁断の場合のギロチン刃の摩耗は無機微粒子含有の裏塗り層により悪化するが本発明により大幅に改良される。
【0021】
本発明で支持体として好ましく用いられる、基紙の両面にポリオレフィン樹脂等をラミネートした樹脂被覆紙について説明する。
【0022】
本発明において好ましく用いられる樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0023】
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0024】
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が一般的であるが、剛直度からは60〜250g/m2が好ましい。
【0025】
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂や電子線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0026】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0027】
本発明において好ましく用いられる支持体である樹脂被覆紙は、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その両面が樹脂により被覆される。また、電子線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク受容層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などを有し、特に光沢面が優位に用いられる。裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては、質感から好ましくは得られるインクジェット用記録シートのJIS−P8143に基づくクラーク剛直度が80cm3/100以上となるように選択され、基紙の厚さにも影響されるが一般的には5〜60μmの樹脂被覆層厚みに表面または表裏両面にコーティングされる。
【0028】
本発明の樹脂被覆紙には、上記の二軸延伸プラスチックフィルムの場合と同様な裏塗り層を設けても良い。但し、無機微粒子を含有するとギロチン刃の寿命は短くなるが本発明により大幅に改良される。
【0029】
本発明の耐水性支持体上のインク受容層に無機微粒子を使用したインクジェット用記録シート、特にJIS−P8143に基づくクラーク剛直度が80cm3/100以上のインクジェット用記録シートでギロチン断裁時のインク受容層に断裁端の傷が発生しやすくなり、ギロチン刃の寿命が短くなる理由は、断裁時に記録シートの切断部が刃の移動方向(下方向)へたわみにくいので切断面のインク受容層の無機微粒子が刃と接触して研磨剤として働いて刃の寿命が短くなり、インク受容層自身が傷や光沢むらが発生しやすいのに加えて刃からインク受容層にかかる力がたわみにより緩和されにくいので断裁端に傷や光沢むらが発生しやすいと推測される。尚、本発明でインクジェット用記録シートのクラーク剛直度が80cm3/100以上とは記録シートの各方向で測定した値の中で最も低い剛直度の値が80cm3/100以上という意味であり、80cm3/100以上であれば質感が良好となる。好ましくは100cm3/100以上である。上限は特に無いが、プリンター搬送性、記録シートの取り扱い性、及びコストからは300cm3/100以下が好ましい。
【0030】
本発明の合い紙は、▲1▼JIS−P8143で規定されるクラーク剛直度が60cm3/100以下のもの、または▲2▼記録シートのインク受容層との静摩擦係数が最大で0.7のもの、が使用される。好ましくは▲1▼、▲2▼の特性を兼ね備えた合い紙が使用される。一般に筆記用、印刷用やコピー用に用いられている普通紙、印刷用紙、コピー用紙が使用可能であり、パルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられ、一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。クラーク剛直度の下限は、合い紙として使用する場合にしわが入らないで取り扱い上問題のない10cm3/100以上が好ましい。インクジェット用記録シートの間に本発明の合い紙を入れることでギロチン刃の摩耗が緩和され、インク受容層の断裁端の傷の発生が防止される理由は不明であるが、▲1▼の合い紙の場合にはギロチン断裁時に合い紙が微小な変形を起こし、上に乗っている記録シートが若干持ち上がり気味に移動しやすくなり、インク受容層の無機微粒子がギロチン刃に押しつけられる力が低下するためと推測される。▲2▼の合い紙の場合は、接触している記録シートと合い紙との間の静摩擦係数を0.7以下とすることで合い紙と記録シートにかかる力により記録シートが移動しやすくなり、インク受容層の無機微粒子がギロチン刃に押しつけられる力が小さくなるためと推測される。合い紙のクラーク剛直度が60cm3/100より大きく、接触している記録シートと合い紙の間の静摩擦係数が0.7より大きいとギロチン刃の摩耗の改良が得られない理由は、合い紙のクラーク剛直度が高いために断裁時に刃から合い紙にかかる力による合い紙の変形が起きにくく、静摩擦係数が大きいので記録シートが横に移動しにくくなり、記録シートへかかる力が緩和されにくいためにインク受容層の無機微粒子がギロチン刃に押しつけられる力が低下しないためと推測される。尚、本発明で合い紙のクラーク剛直度が60cm3/100以下とは、合い紙の最も高い方向での剛直度が60cm3/100以下という意味であり、一般的には紙の抄造方向で最も高い値となる。
【0031】
本発明で、インクジェット用記録シートと合い紙との静摩擦係数が0.7以下とは、記録シートと合い紙の各面の組み合わせで最大の値が0.7を意味する。一般的にはインク受容層と合い紙との間の静摩擦係数が最大となるが、その対応としては、各表面に適度の粗さを賦与する方法、潤滑性賦与剤を含有させる方法等があるが、インク受容層への潤滑性賦与剤の添加はインクジェット特性、特にインク吸収性の低下になりやすく、インク受容層の表面の粗さを大きくすると印字精度や面質が低下しやすいので、合い紙への潤滑性賦与剤の使用や表面を粗くする方法で対応するほうが好ましい。抄造後のカレンダー等の表面処理をしないか緩くして表面粗さを残すか、特に潤滑性賦与剤として一般的にポリエチレン、パラフィン、ポリエステル系等のワックス類、ステアリン酸、ステアリン酸塩等の合い紙への添加や塗布が好ましい。
【0032】
図1は一般的なギロチン刃の断面図であり、刃先角、刃の背部、および刃の腹部を記載する。本発明でギロチン刃の刃先角は、一般的には15〜30°であるが、好ましくは18〜25°とすることでよりインク受容層の断裁端傷の発生が防止出来、ギロチン刃の寿命を伸ばすことが可能となる。一般的にはインク受容層の断裁端の傷は図1のギロチン刃の腹部により断裁された方の端部に発生しやすい。断裁時にギロチン刃の背部はインク受容層表面に対して垂直に降下して切断されるのでインク受容層端面に傷が発生しにくいのに対し、ギロチン刃の腹部側のインク受容層端面には、インク受容層に対して斜めに押しつけられるので傷が発生しやすいと推測される。
【0033】
本発明において、インク受容層に使用される一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の無機微粒子としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0034】
高い印字濃度、鮮明な画像、安い製造コストの点では合成シリカ、アルミナやアルミナ水和物が選択され、中でも気相法シリカ、アルミナ水和物が好ましい。
【0035】
本発明のインク受容層に含有される無機微粒子は、インク受容層の全固形分に対して50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有するものである。92重量%より多くなるとインク受容層の強度が低下し、ひび割れが発生しやすく、製造工程、加工工程に粉体が飛散する問題が発生する他、印字品を扱う場合に傷が発生しやすい。50重量%より少ないとインク吸収性が低下する。
【0036】
本発明で用いられる合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがある。通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、▲1▼ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または▲2▼このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、▲3▼シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には▲4▼シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。
【0037】
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0038】
本発明の気相法シリカの一次粒子の平均粒径は、5〜50nmが好ましく、より高い光沢を得るためには、5〜30nmであり、BET法の比表面積が50〜400m2/gのものを用いるのが好ましい。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0039】
気相法シリカを用いるとインク吸収性が良好で光沢性が高い記録材料が得られる反面、シリカ表面のシラノール基が少ない為か二次粒子の凝集性が弱く、傷がつきやすい欠点を有している。この欠点により裁断時の傷の発生や粉落ちが問題となるが、本発明により解消することが可能となる。
【0040】
本発明のインク受容層は目的別に2層以上とするのが好ましく、最上層は光沢性と耐傷性の向上を目的とし、下層にはインク吸収性の向上を目的とする。特に耐水性支持体から最も離れた最上層が平均一次粒径5〜30nmのアルミナまたはアルミナ水和物を含有し、他の層が平均一次粒径5〜30nmの気相法シリカを含有することで、光沢性とインク吸収性に優れたインクジェット記録材料が得られる。最上層のインク受容層に用いられるアルミナまたはアルミナ水和物の量は、1〜15g/m2が好ましく、1〜10g/m2の範囲がより好ましい。含有量が上記範囲より多くなるとインク吸収性が低下しやすくなり、また少なくなると光沢性が低くなる傾向である。
【0041】
本発明のインク受容層で使用されるアルミナやアルミナ水和物は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者の何れかを使用してもよいし、併用してもよい。特にアスペクト比2以上の板状アルミナ水和物が好ましい。
【0042】
本発明のアルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用出来る。
【0043】
本発明のアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0044】
本発明のアルミナまたはアルミナ水和物の分散助剤は酸性化合物が用いられ、乳酸、酢酸、蟻酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、塩化アルミニウム等の酸が使用されるが、無機酸が低温粘度がより高くなり、好ましい。本発明の一般的な添加量はアルミナまたはアルミナ水和物に対して0.1〜5重量%である。酸で分散されたアルミナ、またはアルミナ水和物を使用することでバインダーの架橋剤としてほう酸、またはほう酸塩を使用しても塗布液特性が良好であり、塗布性も良好となる結果、白紙部光沢性、インク吸収性が良好となるので好ましい。
【0045】
本発明において、インク受容層の無機微粒子の量は、10〜35g/m2が好ましく、13〜30g/m2の範囲がより好ましい。無機微粒子の量が上記範囲より多くなるとひび割れが生じやすくなり、また少なくなるとインク吸収性が低くなる。
【0046】
本発明の無機微粒子の一次粒子の平均粒径とは、一次粒子が判別できる程度まで分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として平均粒径を求めた。二次粒子も同様にして緩いせん断力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めた。
【0047】
本発明のインク受容層は、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを有しているが、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。気相法シリカの分散には、高圧ホモジナイザー、ボールミル等の一般に知られている分散機を用いることができる。
【0048】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0049】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0050】
また、親水性バインダー以外のバインダーも併用することができるが、親水性バインダーに対して20重量%以下であることが好ましい。親水性バインダーの量は、インク受容層の35重量%以下がインク吸収性からは好ましい。特に10〜25重量%がより好ましいが、巻き取り保管時の伸縮によりインク受容層に擦れ等による傷が発生しやすくなるので本発明による対応が必要となる。
【0051】
本発明では、好ましくはインク受容層に両性界面活性剤を含有させることで傷の発生が改良される。両性界面活性剤としては、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホアンモニウムベタイン型、アミノ酸型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリニウムベタイン型等が挙げられ、米国特許第3,843,368号、特開昭59−49535号、同昭63−236546号、同平5−303205号、同平8−262742号、同平10−282619号公報等に記載されている。
【0052】
インク受容層に両性界面活性剤を添加することにより、インク受容層表面に擦れ傷や光沢むらが発生するのを防止することが出来る理由は不明であるが、両性界面活性剤によりインク受容層の無機微粒子の構造が適度に柔軟になり、擦れ等の外力を緩和するために傷が発生しにくくなるためと推測される。
【0053】
両性界面活性剤の量は、一般的にはインク受容層の0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。0.05重量%より少ないと巻き取り保管時の擦れ傷等の防止効果が少なく、10重量%より多いとインク受容層の強度が低下しひび割れが発生しやすくなる。
【0054】
本発明において好ましくは、インク受容層に水溶性の金属化合物を含有することによって、ひび割れを防止することができる。
【0055】
水溶性の金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩として、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
【0056】
本発明において、耐水性を向上させるためにカチオンポリマーを含有させるのが好ましい。カチオンポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000以上が好ましく、更に5,000〜10万程度が好ましい。
【0057】
これらのカチオンポリマーの使用量は無機微粒子に対して1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%である。
【0058】
本発明において好ましくは、インク受容層に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01重量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは親水性バインダーに対して10〜50重量%の範囲で用いることができる。
【0059】
本発明において、インク受容層には、親水性バインダーと共に硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して、0.1〜40重量%gが好ましく、より好ましくは0.5〜30重量%である。
【0060】
本発明において、インク受容層には、更に、傷の発生を緩和するために平均粒径が1〜20μm程度の各種の有機粒子、無機粒子が無機微粒子の5質量%程度以下で添加される。好ましくは、1〜10μm、10〜20μmの大小2種類の球状粒子が使用される。その他、界面活性剤、硬膜剤の他に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0061】
本発明のインクジェット用記録材料は、インク受容層の下方、中間あるいは上方に、支持体との接着改良やインク受容層の保護のために、下塗り層、中間層、保護層、膨潤層等を設けてもよい。
【0062】
本発明において、インク受容層、下塗り層、保護層、および裏塗り層の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、部、及び%は各々質量部、及び質量%を表す。
【0064】
実施例1
膜厚200μmの二軸延伸ポリエステルフィルムに高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥して支持体を作成した。
【0065】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0066】
上記支持体の下引き層面に下記組成のインク受容層塗布液をスライド塗布装置で連続塗布し乾燥した。下記に示すインク受容層塗布液は、気相法シリカが9重量%の固形分濃度になるように調製した。この塗布液を塗布量が固形分で、20g/m2になるように塗布、乾燥して実施例1で使用のインクジェット用記録シートを作製した。
【0067】
<インク受容層塗布液>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m2/g)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
球状粒子 0.5部
(旭硝子社製シリカ粒子H121、平均一次粒径12μm)
球状粒子 1部
(積水化学社製ポリスチレン、SBX−6、平均一次粒径6μm)
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
カチオン性ポリマー媒染剤 4部
(里田化工社製、ジェットフィックス30)
両性界面活性剤 0.5部
(ベタイン系;日本サーファクタント社製、スワノールAM)
【0068】
<合い紙Aの作製>
LBKP60%、NBKP40%からなるスラリー中にタルク5部を添加し、カチオン澱粉0.5部、合成オリゴマー内添サイズ剤0.2部添加した原料を抄造、乾燥した後、サイズプレスにより酸化澱粉を両面で乾燥固形分が1g/m2になるように塗布、乾燥して坪量が50g/m2の上質紙を製造した。得られた上質紙にエアーナイフコーターでステアリン酸カルシウムを片面で乾燥固形分が1g/m2になるように両面塗布、乾燥して合い紙Aとした。クラーク剛直度は22cm3/100であった。
【0069】
上記のようにして作製されたインクジェット用記録シートについて、クラーク剛直度、インク吸収性、断裁端傷性、ギロチン刃の寿命、合い紙との静摩擦係数を下記の方法で評価した。その結果を表1に示す。
【0070】
<クラーク剛直度>
各インクジェット用記録シート、及び合い紙のJIS−P8143に基づくクラーク剛直度を測定した。インクジェット用記録シートは最も低い値を選択し、合い紙は最も高い値を選択した。
【0071】
<インク吸収性>
インクジェット用記録シートを20℃、65%RHの条件でセイコーエプソン社製インクジェットプリンターMJ−5100Cで黒ベタ印字し、30秒後に印字面にPPC用紙を重ねて軽く圧着し、剥がしてPPC用紙へのインクの裏写りを評価した。
○;全く裏写り無し。
△;やや裏写り有り。
×;明らかに裏写り有り。
【0072】
<断裁端傷性>
ギロチン刃の刃先角を23°、28°の2種類を使用して各インクジェット用記録シート500枚の間に合い紙(クラーク剛直度25cm3/100、)を挿入した枚葉束をA4サイズ4束に断裁し、上層10枚の記録シートのインク受容層表面の断裁端傷の評価を以下の基準で行い平均を結果とした。
○;断裁端に傷が全く発生しなかった。
△;断裁端に微小な傷や光沢むらが発生したが実使用可能。
×;断裁端に傷が発生し、実使用で問題であった。
【0073】
<ギロチン刃の寿命>
断裁端傷性評価と同様にして刃先角23°のギロチンによる断裁を繰り返し、断裁出来なくなるまでに断裁して得られたA4サイズのインクジェット用記録シートの枚数を積算し、以下の基準で評価した。尚、境界の枚数、例えば20万枚前後は○〜△と表示する。
◎;30万枚より多い。
○;20〜30万枚程度。
△;10〜20万枚程度。
×;10万枚より少ない。
【0074】
<静摩擦係数>
各インクジェット用記録シートと合い紙とのJIS−P8147の水平方向に基づく静摩擦係数を測定し、各表裏の組み合わせで最大の静摩擦係数の数値を選択した。
【0075】
<質感>
各インクジェット用記録シートの質感を10人により下記の基準で評価し、平均を評価結果とした。
◎;非常に良好。
○;良好。
△;やや劣る。
×;劣る。
【0076】
実施例2
実施例1で合い紙Aの代わりに下記の合い紙Bを用いてギロチン断裁した以外は実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0077】
<合い紙Bの作製>
LBKP30%、NBKP70%からなるスラリー中にタルク5部を添加し、カチオン澱粉0.5部、合成オリゴマー内添サイズ剤0.2部添加した原料を抄造、乾燥した後、サイズプレスにより酸化澱粉を両面で乾燥固形分が1g/m2になるように塗布、乾燥して坪量が125g/m2の上質紙を製造した。得られた上質紙にエアーナイフコーターでステアリン酸カルシウムを片面で乾燥固形分が1g/m2になるように両面塗布、乾燥して合い紙Aとした。クラーク剛直度は80cm3/100であった。
【0078】
実施例3
実施例1の合い紙Aの作製でステアリン酸カレウシウムを塗布しないで坪量が80g/m2の上質紙を作製し、合い紙Cとして使用してギロチン断裁した以外は実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。合い紙Cのクラーク剛直度は45cm3/100であった。
【0079】
実施例4
実施例1で二軸延伸ポリエステルフィルムの代わりに下記のポリオレフィン樹脂被覆紙を用いた以外は実施例1と同様にして実施例4で使用のインクジェット用記録材料を得、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0080】
支持体として、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50部と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)50部のパルプ配合からなる170g/m2の基紙の表面に低密度ポリエチレン(70部)と高密度ポリエチレン(20部)と酸化チタン(10部)からなる樹脂組成物を、30g/m2、溶融押し出し塗布し、反対面側に低密度ポリエチレン(50部)と高密度ポリエチレン(50部)を35g/m2溶融押し出し塗布し、クーリングロール処理により樹脂被覆紙を得た。尚、裏面の中心線平均粗さは1.5μmであった。
【0081】
実施例5
実施例1でインク受容層を下記組成の支持体に近い下層、及び粒子として2種の球状粒子を用いた上層の2層とし、下層の気相法シリカを固形分14g/m2、上層のアルミナ水和物を固形分6g/m2になるように塗布した以外は実施例1と同様にして実施例5で使用のインクジェット用記録シートを得た。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0082】
<インク受容層下層塗布液>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径12nm、BET法による比表面積200m2/g)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
カチオン性ポリマー媒染剤 4部
(里田化工社製、ジェットフィックス30)
両性界面活性剤 0.3部
(ベタイン系、スワム)
【0083】
<インク受容層上層塗布液>
アルミナ水和物 100部
(擬ベーマイト、平均一次粒径15nm、アスペクト比5の平板状)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
球状粒子 1部
(旭硝子社製シリカ粒子H121、平均一次粒径12μm)
球状粒子 1部
(積水化学社製ポリスチレン、SBX−6、平均一次粒径6μm)
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
カチオン性ポリマー媒染剤 4部
(里田化工社製、ジェットフィックス30)
両性界面活性剤 0.3部
(ベタイン系;日本サーファクタント社製、スワノールAM)
【0084】
実施例6
実施例1の二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に高周波コロナ放電処理を施した後下記の裏塗り層塗布液を固形分で0.8g/m2塗布、乾燥したものを用いた以外は実施例1と同様にして実施例6で使用のインクジェット用記録シートを得た。実施例1と同様に評価結果を表1に示す。
【0085】
<裏塗り層塗布液>
湿式シリカ(平均一次粒径20nm) 100部
ポリビニルアルコール 50部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0086】
実施例7
実施例1で膜厚170μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた以外は同様にして実施例7で使用のインクジェット用記録シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0087】
実施例8
実施例1で膜厚130μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた以外は同様にして実施例5で使用のインクジェット用記録シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0088】
比較例1
実施例1で、合い紙Aを使用しないでインクジェット用記録シート500枚だけでギロチン断裁した以外は実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0089】
比較例2
実施例1で、インクジェット用記録シートを500枚重ねた上に合い紙Aを500枚重ねてギロチン断裁した以外は実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0090】
比較例3
実施例1で、合い紙Aの代わりに下記の合い紙Dを使用してギロチン断裁した以外は実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0091】
<合い紙Dの作製>
LBKP30%、NBKP70%からなるスラリー中にタルク5部を添加し、カチオン澱粉0.5部、合成オリゴマー内添サイズ剤0.2部添加した原料を抄造、乾燥した後、サイズプレスにより酸化澱粉を両面で乾燥固形分が1g/m2になるように塗布、乾燥して坪量が125g/m2の上質紙を製造し、合い紙Dとした。クラーク剛直度は74cm3/100であった。
【0092】
比較例4
実施例6で、合い紙Aを使用しないでインクジェット用記録シート500枚だけでギロチン断裁した以外は実施例6と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0093】
比較例5
実施例8で断裁時に合い紙を使用しなかった以外は実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
Figure 0004315614
【0095】
結果:
本発明の実施例1〜7のインクジェット用記録シートは、インク吸収性、質感に優れ、ギロチン断裁による断裁端傷性、ギロチン刃寿命が良好な結果であった。実施例8はクラーク剛直度が58cm3/100であり、質感は低いが他の特性、断裁性は良好であった。各実施例ではギロチンの刃先角は28°よりも23°の方が断裁端傷性が良好であった。実施例1で使用のインクジェット用記録シートを合い紙無しで断裁した比較例1は断裁端傷性に劣り、ギロチン刃寿命が短く使用不可であった。実施例1でインクジェット用記録シート500枚上に合い紙500枚を重ねて断裁した比較例2は比較例1同様に断裁端傷性に劣り、ギロチン刃寿命が短く使用不可であった。実施例1でクラーク剛直度とインクジェット用記録シートとの静摩擦係数が高い合い紙に代えた比較例3は断裁端傷性に劣り、ギロチン刃寿命が短かった。裏塗り層を設けたインクジェット用記録シートで合い紙を使用しなかった比較例4は断裁端傷性に劣り、ギロチン刃寿命が短く実使用不可であった。インクジェット用記録材料の剛直度が58cm3/100で合い紙を使用しなかった比較例5は質感が低く、ギロチン断裁による断裁端傷性、ギロチン刃寿命が劣った。尚、実施例6、及び比較例4で使用のインクジェット用記録シートは温度、湿度の環境変化によるカール性が良好で裏塗り面の鉛筆筆記性も良好であった。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、インクジェット用記録シートの断裁時にインク受容層の断裁端の表面に傷が発生せず、ギロチン刃の寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられるギロチン刃の1例を示す概略断面図。
【符号の説明】
1 ギロチン刃
2 刃先角
3 刃の背部
4 刃の腹部

Claims (3)

  1. 耐水性支持体の少なくとも片面に一次粒子の平均粒径0.1μm以下の無機微粒子、および親水性バインダーを含有するインク受容層を設けたインクジェット用記録シートの断裁方法であり、各記録シートの間にJIS−P8143に基づくクラーク剛直度が60cm/100以下の合い紙を挿入してギロチンで断裁することを特徴とするインクジェット用記録シートの断裁方法。
  2. 前記インクジェット用記録シートのJIS−P8143に基づくクラーク剛直度が80cm/100以上である請求項1に記載のインクジェット用記録シートの断裁方法。
  3. 耐水性支持体の少なくとも片面に一次粒子の平均粒径0.1μm以下の無機微粒子、および親水性バインダーを含有するインク受容層を設けた、JIS−P8143に基づくクラーク剛直度が80cm/100以上のインクジェット用記録シートの断裁方法であり、記録シートと合い紙との間のJIS−P8147に基づく静摩擦係数が最大で0.7である合い紙を各記録シートの間に挿入してギロチンで断裁することを特徴とするインクジェット用記録シートの断裁方法。
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