JP2013186925A - 情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 下地層を硬くすることで、反りを抑制することができ、急激な環境変化においても反りの変化を非常に小さくすることができる情報記録媒体を提供する。また、多孔質空隙型の受容層でも、受容層内の空隙が収縮することなく、ディスク全体が反ることなく記録・再生時の特性を安定化させることができるプリンタブルディスクを提供する。
【解決手段】 基板2と、下地層4と、受容層5とが、この順で積層されてなる情報記録媒体であって、下地層は、押し込み硬さを55MPa〜125MPaとし、押し込み弾性率を4.5GPa〜13GPaとすることによって、上記課題を解決した。
【選択図】図1

Description

本発明は、文字や写真等を印刷することが可能なプリンタブルディスクに用いることのできる情報記録媒体に関する。
近年、CDやDVDにおいて、情報の再生面とは反対側の面に、インクジェットプリンタで画像の印画ができるようにプリンタブル層が形成された情報記録媒体が開発されている。このような情報記録媒体において、透光性の基板の記録光や再生光が入射する面とは反対側の面に、着色された下地層と水性インクを受容するインク受容層とをこの順に設け、水性インクペンやインクジェットプリンタを用いて水性インクにより描画を施すことを可能とした情報記録媒体が知られている。
従来、この種の情報記録媒体は、保護層の表面又は貼り合わせた基板の表面に水性インクを定着可能としたインク受容層を設けたものであった。インク受容層は、インクを吸収して膨張する紫外線硬化性樹脂からなるものと、顔料等の無機物粒子とバインダを主成分とし、多数の空隙を備え、空隙内にインクを吸収するものとに大別される。そして、写真画質と呼ばれる高品位の描画を可能とするインク受容層を備えた情報記録媒体の多くは、着色された下地層上に前述のように多数の空隙を備えたインク受容層を有するものであり、水性インクペンやインクジェットプリンタにより塗布されたインクを空隙内に吸収して、耐水性の良好な描画を可能とするものである。
特許文献1には、ニジミが少なく高画質で印画することができるプリンタブル層を有し、反りの発生が少ない情報記録媒体の製造方法を提供することを課題とし、少なくとも、微粒子、結合剤、及び架橋剤を含有するインク受容層用塗布液を、下地層上に塗布してプリンタブル層を形成する工程を有するディスク状の情報記録媒体の製造方法であって、インク受容層用塗布液の表面張力が5×10−2N/m以下であることが記載されている。具体的には、受容層内で水滴を発生させないことを課題とし、受容層空隙での水に対する濡れ性を向上させることを目的としている。同文献によれば、水に対する接触角を低く抑えることで、細孔内で水滴が発生しても濡れ拡がるため、毛細管張力を抑えることが可能である。
上記特許文献1に記載の情報記録媒体においては、水に対する濡れ性を上げることで、インクが内部に浸透しやすくなるため、発色低下等が起こりやすいインク受容層用塗付液への界面活性剤の添加により空隙の細孔表面の濡れ性を改善して情報記録媒体の反りの発生を抑制したものであるが、保存状態等により反り抑制効果を安定して得ることが難しかった。
特許文献2には、良好な描画特性と耐水性を持ちつつ、反りの発生を抑制したディスク状の情報記録媒体を提供することを課題とし、透光性の基板の一方の主面上に着色された下地層とインク受容層とをこの順に有するディスク状の情報記録媒体において、インク受容層は、無機微粒子とバインダと架橋剤とを含み、インク受容層を水銀ポロシメータ法で測定したときの空隙の細孔直径分布は、30nm以上に最大ピークを有する情報記録媒体が記載されている。受容層内で水滴を発生させないことを目的とし、空隙径を大きくしたものであり、具体的には、ケルビン方程式より、小さい空隙ほど低い湿度でも水滴が発生するため、できる限り空隙径を大きくすることで水滴を発生しにくくし、結果として収縮を抑えるものである。
上記特許文献2に記載の情報記録媒体は、空隙を大きくすることでインクジェットプリンタから打ち込まれるインク染料が膜の内部に浸透しやすくなってしまい、その結果、定着力が弱まり、発色力が低下しやすくなる。
特許文献3には、他の経時ニジミ等のインク受容性能を低下させることなく、カールが少なく平坦でありプリンター搬送性に優れるインクジェット記録媒体のカール改良方法を提供することを課題とし、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体のカール改良方法であって、支持体上に少なくとも微粒子、カチオン性ポリウレタン樹脂、水溶性樹脂、水溶性多価金属塩化合物、並びにイオウ系有機物及びヒドラジン誘導体の少なくともいずれかを含有する塗布液を塗布して塗布層を形成し、乾燥させてなるインク受容層を形成するインクジェット記録媒体のカール改良方法が記載されている。具体的には、水滴が発生して収縮する力が働いても、硬い強靭な膜にすることにより、結果として、毛細管現象で収縮を抑えることができる。
上記特許文献3に記載のインクジェット記録媒体のカール改良方法は、膜を硬くするため、例えば、架橋剤等を大量に添加するので塗料がゲル化しやすくなり、製造工程において取り扱いが困難である。
特許文献4には、インク吸収性、得られる画像の鮮明性、場合によって色再現範囲などの本来的特性に優れると共に、高速におけるプリンターの搬送性、広環境下でのカール防止性に優れたインクジェット記録シートを提供することを課題とし、支持体の片面にインク受容層、もう片面に背面層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該背面層が、ガラス転移点50℃以上の非水溶性樹脂を主成分とし、変性シリコーンオイルを含有するインクジェット記録シートが記載されている。具体的には、レーベル面と反対の面(記録面側)にハードコート等の層を設けることにより、多孔質受容層が収縮しても反りを相殺できるものである。
上記特許文献4は、記録面には記録・再生のレーザ光が照射されるため、多孔質受容層の多孔質膜がレーザ光の妨げとなり、記録面に多孔質受容層を形成することは困難である。例えば、紫外線硬化型の樹脂膜を設けても、高い湿度よりも高い温度で収縮する膜になってしまうことになる。
特開2006−102993号公報 特開2009−158017号公報 特開2008−213485号公報 特開2004−001374号公報
このように、特にプリンタブルの多孔質受容層の小さな空隙にプリンターのインクを吸収・定着させると、この受容層は、内部の空隙が収縮しディスク全体が反ってしまい、記録・再生時の特性の悪化に影響を及ぼす恐れがある。湿度が急変すると反りの変位が大きくなりやすい。この場合、インクの吸収量から受容層の厚みはこれ以上薄くすることはできず、また、受容層の硬さを変更しようとすると塗料の品質や印刷性能の低下を招き、印字後の発色も劣化してしまうために受容層を改良するには困難なものとなっていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、急激な温度や湿度等の環境変化によるディスクの反りを抑える情報記録媒体を提供することにある。
本発明者は、ディスクの反りを抑える研究を重ねたところ、下地層を硬くすることで、反りの抑制に有効な、押し込み硬さと押し込み弾性率の範囲を見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための本発明に係る情報記録媒体は、基板と、下地層と、受容層とが、この順で積層されてなる情報記録媒体であって、前記下地層は、押し込み硬さを55MPa〜125MPaとし、押し込み弾性率を4.5GPa〜13GPaとすることを特徴とする。
この発明によれば、下地層の押し込み硬さを、55MPa〜125MPaとし、押し込み弾性率を、4.5GPa〜13GPaとするので、下地層を硬くすることで、反りを抑制することができる。具体的には、プリンタブル等に用いられている受容層の多孔質空隙型の小さな空隙にプリンターインクを吸収・定着させても、受容層内の空隙が収縮してディスク全体が反ることがなく、記録・再生時の特性に影響を及ぼすことがない。
本発明に係る情報記録媒体において、前記下地層は、押し込み硬さを85MPa〜125MPaとし、押し込み弾性率を8GPa〜12.5GPaとすることが好ましい。
この発明によれば、下地層の押し込み硬さを85MPa〜125MPaとし、押し込み弾性率を8.0GPa〜12.5GPaとするので、反りを十分に抑えることができる。また、BD−Rの反り規格であるサドンチェンジでの高湿から低湿での急激な反りの変化を低減することができる。
本発明に係る情報記録媒体において、前記下地層は白色インクを含むことが好ましい。
この発明によれば、下地層は白色インクを含むので、下層の反射層等の金属色を隠蔽して白色の地色により、その表面に積層された受容層に吸着されたインクの発色性を向上させることができ、色彩を際立たせることができる。
本発明に係る情報記録媒体において、前記下地層の厚みが、8μm〜16μmであることが好ましい。
この発明によれば、下地層の厚みが8μm未満であると、隠蔽する効果が弱くなり、基材の色が透け、そのため、プリンタブル層の本質的な機能である白さが出ないことになる。また、本発明の課題である反りの抑制にも効果が発揮されない。一方、厚みが16μmを超えると、材料費が増えコスト高になり、下地層が硬化しづらくなるため結着強度が低下する。これに対し、結着強度を上げようとすると硬化する時間が延び生産面で問題が生じることになる。したがって、下地層の厚みを8μm〜16μmとすることで、白さや反りの抑制効果、生産性、膜の密着強度等を満足することが出来る。
本発明に係る情報記録媒体において、前記下地層に含有される顔料の成分比率が重量比で、40〜55であることが好ましい。
この発明によれば、下地層に含有される顔料の成分比率が重量比で、40〜55であるので、白さが高い下地層で、且つきれいな膜が形成可能な塗料になる。重量比が40未満であると、隠蔽性の弱い下地になってしまい基材の色が透けやすく、白さが得られず、一方、重量比が55を超えると、隠蔽性は高い下地が出来るものの、流動性が低い塗料になってしまい基材上にきれいな下地層を形成できない。
本発明に係る情報記録媒体において、前記下地層に含有される樹脂成分比率が重量比で、35〜50であることが好ましい。
この発明によれば、下地層に含有される樹脂成分の成分比率が重量比で、35〜50であるので、強靭で反りの少ない膜になる。重合比が35未満であると、脆弱な膜になってしまい、一方、重量比が50を超えると、結着性は十分得られ強靭な膜が形成されるが、樹脂は硬化過程で収縮する性質があるため、膜が形成されたときに大きく収縮して反り等が悪化する恐れがある。
本発明に係る情報記録媒体において、前記受容層が多孔質空隙型であることが好ましい。
この発明によれば、多孔質空隙型の受容層を採用しているプリンタブルにおける反りを防止することができる。具体的には、多孔質の小さな空隙にプリンターのインクを吸収・定着させることにより、銀塩写真に匹敵するプリンタブルの反りを抑制することができる。
本発明に係る情報記録媒体において、前記基板と前記下地層の間に、防湿層、カバー層から選択される1種以上を備えることが好ましい。
この発明によれば、基板と下地層の間に、防湿層、カバー層から選択される1種以上を備えるので、各種特性に優れる情報記録媒体を得ることができる。
上記課題を解決するための本発明に係るプリンタブルディスクは、上記の情報記録媒体を用いることを特徴とする。
この発明によれば、CDRやDVDR等の光ディスクのレーベル面側に、インクジェットプリンタで印字が可能なプリンタブルディスクにおける反りを防止することができる。
本発明に係る情報記録媒体によれば、下地層を硬くすることで、サドンチェンジでの高湿から低湿の反りを抑制することができ、急激な環境変化においても反りの変化を低減することができる。
本発明に係るプリンタブルディスクによれば、多孔質空隙型の受容層でも、受容層内の空隙が収縮することなく、ディスク全体が反ることなく記録・再生時の特性を安定化させることができる。その結果、CDRやDVDR等の光ディスクのレーベル面側に、インクジェットプリンタで印字が可能な性能の高いプリンタブルを得ることが可能となる。
本発明に係る情報記録媒体の断面図である。 従来技術と本発明に係る情報記録媒体との比較図である。 反りのメカニズムを示すグラフである。
以下、本発明に係る情報記録媒体について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に限定解釈されるものではない。
[情報記録媒体]
本発明に係る情報記録媒体1は、図1に示すように、少なくとも、基板2と、下地層4と、インク受容層5とを有するプリンタブル層を有する。基板2と下地層4の間に中間層としての防湿層3を設けることができる。情報記録媒体1は、磁気媒体、光媒体、半導体媒体等が挙げられ、形態としては、ディスク状、カートリッジ収納型等が挙げられるが、いずれであってもよい。カートリッジ収納型の場合、リムーバブルであることが好ましい。特に、ディスク状の媒体で光情報記録媒体(光ディスク)が好ましい。
光ディスクの場合、CD、DVD、青紫色レーザで記録再生する光ディスク等、いずれであってもよい。青紫色レーザで記録する媒体の場合、DVD等の貼り合わせのタイプと、基板上に記録層とカバー層とが形成され、カバー層側からレーザ光が入射するタイプ等があるが、いずれであってもよい。プリンタブル層を形成する箇所は、レーザ光が入射する面の反対側が一般的である、レーザ光が入射する側であっても入射エリア以外の領域であればいずれであっても形成することができる。本発明に係る情報記録媒体は、ROM型でも、書き換え可能型、追記型等のいずれであってもよい。
本発明に係る情報記録媒体の厚みとしては、1.0mm〜1.4mm、好ましくは、1.1mm〜1.3mmである。1.0mm未満であると、曲げたときに欠陥が発生しやすく、また、1.4mmを超えると、リムーバブル性に劣ることがある。
[プリンタブル層]
以下、各構成要素について詳しく説明する。
(インク受容層)
インク受容層5は、無機微粒子とバインダと架橋剤とを含むことができる。インク受容層5は、例えば、無機微粒子がアルミナであり、バインダがポリビニルアルコールであり、架橋剤がホウ素化合物であることが好ましい。紫外線硬化性樹脂材料中やその他の樹脂材料中に気相法無機粉末、例えば、気相法アルミナを含有させ、その他の添加剤を添加して得られる塗布液を下地層4上に、例えば、スピンコート法等により塗布し乾燥して形成される。気相法アルミナは、塩化アルミニウムや金属アルミニウム等を気化させ、これを気相で酸化性ガスにより酸化して得られるアルミナ微粒子(酸化アルミニウム微粒子)において、結晶型が無定型、β型、γ型、δ型、θ型等のいわゆる遷移アルミナである。
他の無機材料についてもこれに準じて、気相法無機微粒子(気相法金属酸化物粉末等)を得ることができる。特に、気相法無機微粒子としてアルミナ粒子のγ型の結晶型を用いると、この結晶型はインクを付着するのに適した形状を有しているため、この結晶型のアルミナ微粒子を含有した多孔質層であれば、インクを速やかに吸収させることができる。
気相法アルミナ(気相法無機微粒子)を含有する塗布液は、この気相法アルミナの代わりに通常の湿式法アルミナ(水性無機粉末)を含有する以外は、同様にして得られる塗布液に比べて、その粘度を高くすることができ、これによりスピンコート法等による塗布膜の膜厚を厚くすることができる。その結果、その塗布膜の多孔質膜だけで、インクを吸収させ、保持・定着させることができる。
インク受容層5に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンオキサイド(polyethylenoxide)、ポリビニルアルコール(polyvinyl
alcohol)、ポリビニルメチルエーテル(polyvinyl methyl ether)、ポリビニルホルマール(polyvinylformal)、カルボキシビニルポリマー(carboxyvinyl
polymer)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、メチルセルロース(methyl
cellulose)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(sodium carboxymethyl cellulose)、ポリビニルピロリドン(polyvinylprrolidon)等が挙げられ、必要に応じて溶剤等の添加剤を添加して用いられる。
インク受容層5は、親水性樹脂材料であり、紫外線硬化性又は熱硬化性からなる。紫外線硬化性樹脂材料は、上記の樹脂材料のうち少なくとも1種と、光重合モノマーと、光重合開始剤と、さらに必要に応じて他の添加剤を配合して得られる親水性紫外線硬化性樹脂が用いられる。光重合開始剤の代わりに熱重合開始剤を用いることにより、熱硬化性樹脂材料にすることもできる。塗布液にするには必要に応じて溶剤を添加して粘度を調整する。
インク受容層5は、多数の空孔を有し、この空孔にインクが吸収(例えば、スポンジが水を吸うように)、保持されて定着される。このように空孔が生じるのは、塗布膜が乾燥する過程や、特に硬化型の樹脂ではその硬化の過程で、樹脂が収縮し、気相法アルミナ等の微粒子との間に空隙が生じるためと考えられる。
特に、気相法アルミナ微粒子は、成膜した状態でプラスの電荷を帯びている。このような気相法アルミナ微粒子に、インクジェット方式に用いられるインクとしてマイナスの電荷を帯びたインク(マイナスの電荷を帯びた粒子を含有するインク)を使用する。このインクを、気相法アルミナ微粒子を含有した多孔質層に付着させると、アルミナ微粒子とインクとが電気的に引き合うため、インクをインク受容層5中に保持できる。
インク受容層5は、インクを吸収し定着させるが、その表面にインクが留まるのを抑制ないし防止してインクを定着させる。そのために、例えば、水性インクを滴下し、30分後に手で触れてもインクがにじまない程度に、そのインクが浸透して表面に残るのが少なく、定着するのに十分な親水性を有する気相法アルミナ含有樹脂膜を形成すればよい。すなわち、インクの乾燥により単にインクが付着した状態ではなく、容易に消すことができない程度にインクが定着可能な膜であればよい。
インク受容層5の表面に印刷されたインクは、表面からみればその付着面積を縮小することなく、インク受容層の内部に定着する。このようなインク受容層5は気相法アルミナの含有量が多い樹脂膜ほど表面の粘着性がなくなり、付与されたインクも表面には残り難いので、情報記録媒体を積み重ねてこのインク受容層5に接触させても粘着することがない。
インク受容層5の水銀ポロシメータ法による空隙の細孔直径分布の最大ピークの測定は、Quantachrome社製のPore
Master 60GT(PM60GT−11)を用い、情報記録媒体試料からインク受容層5を物理的に剥離させ、剥離片を水銀ポロシメータで測定する。そして、X軸を細孔直径、Y軸を細孔数にとった細孔直径分布のグラフより、最大ピークの細孔直径を読むことにより行うことができる。細孔直径分布の最大ピークは、10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm以上で、上限は40nm以下であることが好ましい。
10nmより小さい空隙の場合では、インクジェットプリンタなどから打ち込まれたインクの吸収速度が遅くなってしまい、印字した画像が滲んでしまうことがある。空隙径が大きくなればなるほど、インクの吸収速度が速くなるため、高精細な画像が得られるが、40nmを超えると、インクが膜の内部に浸透してしまい鮮やかな発色が得られなくなってしまう。
(下地層)
下地層4の押し込み硬さは、55MPa〜125MPa、好ましくは85MPa〜125MPaである。押し込み硬さが55MPa未満であると、強度が不十分で、反りの変化を抑制できなくなり、125MPaを超えると、強度は十分だが、強度を上げるために下地層材料に添加される顔料が増えすぎてしまい、樹脂成分が不足して結着強度が弱くなり、結果としてきれいな膜が形成されにくくなる。押し込み硬さとは、ある荷重を加えたときの変形量の大きさから求めた硬さであり、塑性変形成分をいう。
下地層4の押し込み弾性率は、4.5GPa〜13GPa、好ましくは8.0GPa〜12.5GPaである。押し込み弾性率が4.5GPa未満であると、強度が不十分で、基材や受容層の反りの変化を抑制できなくなり、13GPaを超えると、強度は十分だが、強度を上げるために下地層材料に添加される顔料が増えすぎてしまい、樹脂成分が不足して結着強度が弱くなり、結果としてきれいな膜が形成されにくくなる。押し込み弾性率とは、ある荷重を加え変形させた状態から荷重を下げて変形が回復する量を求めたものであり、弾性変形成分をいう。
下地層4は、顔料や染料等により着色されている。特に、白色に着色すると、下層の反射層の金属色を隠蔽して白色の地色により、その表面に積層されたインク受容層5に吸着されたインクの発色性を向上させることができ、色彩を際立たせることができる。下地層4は、具体的には、紫外線硬化性樹脂材料中やその他の樹脂材料中に、微粉シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、亜鉛華、コロイダルシリカ、カーボンブラック、ベンガラ等の無機顔料や、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、メチルセルロース等の有機材料の微粉末を添加剤として配合し、さらに必要に応じて溶剤を添加して得られる塗布液の塗布により形成される。
下地層4に用いられる樹脂としては、ポリエチレンオキサイド(polyethylenoxide)、ポリビニルアルコール(polyvinyl
alcohol)、ポリビニルメチルエーテル(polyvinyl methyl ether)、ポリビニルホルマール(polyvinylformal)、カルボキシビニルポリマー(carboxyvinyl
polymer)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、メチルセルロース(methyl
cellulose)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(sodium carboxymethyl cellulose)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl
prrolidon)等が挙げられる。また、必要に応じて溶剤等の添加剤を添加して用いられる。
下地層4としては、主に紫外線硬化性樹脂材料からなり、紫外線硬化性樹脂材料としては、上記の樹脂材料のうち少なくとも1種と、光重合モノマーと、光重合開始剤と、さらには必要に応じて他の添加剤を配合して得られる親水性紫外線硬化性樹脂が用いられる。光重合開始剤の代わりに熱重合開始剤を用いることにより、熱硬化性樹脂材料にすることもできる。塗布液にするには必要に応じて溶剤を添加して粘度調整する。
下地層4の厚みは、8μm〜16μmであることが好ましい。下地層4の厚みが8μm未満であると、隠蔽する効果が弱くなり基材の色が透けてしまい、プリンタブル層の本質的な機能である白さが出ないことになる。加えて、反りの抑制効果も得られない、厚みが16μmを超えると、材料費が増えコスト高となり、下地層が硬化しづらくなるため結着強度が低下したり、結着強度を上げようとすると硬化する時間が延びたりして生産面で問題が生じる。
下地層に含有される顔料の成分比率が重量比で、40〜55であることが好ましい。重量比がこの範囲にあると、白さが高い下地層で、且つきれいな膜が形成可能な塗料になるので好ましい。また、 下地層に含有される樹脂成分比率が重量比で、35〜50であることが好ましい。重量比がこの範囲にあると、強靭で反りの少ない膜になるので好ましい。
(基板)
基板2は、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、単独でも併用してもよい。中でも、耐湿性、寸法安定性、及び低価格等の点から、ポリカーボネートが好ましい。また、基板2の厚さは、1.0〜1.4mm、好ましくは、1.1〜1.3mmである。
(防湿層)
基板2と下地層4の間に中間層としての防湿層3を設けることができる。防湿層を設けることにより、水分の放出を防止し、反りを抑制することができる。
(中間層)
様々な機能を有する中間層を設け、層間の密着性を高めたり、情報記録媒体の反りを調整することができる。
<記録層>
透光性基板の一方の主面にクランピングエリアが設けられている。このクランピングエリアの外周側が情報記録(データ記録)領域となる。このデータ記録領域には、トラッキングガイド用の案内溝が形成されている。次に、透光性基板の案内溝が形成されている一方の主面上に、例えば、スピンコート法等の手段でシアニン色素やメチン色素のような有機色素等の色素溶液が塗布され、乾燥され、色素膜からなる記録層が形成されている。
追記型の場合、記録層に用いる色素は特に限定されないが、使用可能な色素の例としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、イミダゾキノキサリン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、メロシアニン系色素、オキソノール系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素及びニトロソ化合物を挙げることができる。中でも、シアニン色素、フタロシアニン系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、オキソノール系色素及びイミダゾキノキサリン系色素等が挙げられる。
記録層は単層でも重層でもよい。また、記録層の厚みは、通常、20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜200nmの範囲にある。書き換え可能型の場合、記録層は、結晶状態と非晶状態の少なくとも2つの状態をとり得るAg、Al、Te、Sbの1種以上の相変化型の光記録材料からなることが好ましい。なお、記録層上には、必要に応じて、誘電体層等が形成される。
<反射層>
記録層に、金、アルミニウム、銀、銅、パラジウム等の単体金属膜や、これら各々の合金膜、さらにはこれらの単体金属や合金に微量成分が添加された微量成分含有金属の金属膜からなる反射層を形成することができる。
反射層の一つである光反射層には、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質が用いられる。反射率は、70%以上であることが好ましい。反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独でも併用してもよく、また、合金として用いることができる。中でも、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al、及びステンレス鋼が好ましい。より好ましくは、Au、Ag、Al、又はこれらの合金であり、さらに好ましくは、Au、Ag、又はこれらの合金である。光反射層の層厚は、通常、10〜300nmの範囲、好ましくは、50〜200nmの範囲である。
<保護層>
反射層を覆うように基板2の内周から外周の全面に亘って紫外線硬化性樹脂等を使用して得られる紫外線硬化性樹脂層等からなる保護層を形成してもよい。
反射層又は記録層上には、記録層等を物理的および化学的に保護する目的で保護層を設けることが好ましい。なお、DVD−R型の光情報媒体の製造の場合と同様の形態、すなわち、二枚の基板を、記録層を内側にして貼り合わせる構成をとる場合は、必ずしも保護層の積層は必要ではない。保護層の材料としては、SiO2、MgF2、SnO2、Si34などの無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を用いることができる。保護層の層厚は、通常、0.1〜100μmの範囲である。
透光性基板と記録層と反射層とでデータ記録部が構成されている。データ記録部は、透光性基板2の他方の主面側からレーザ光が照射されることで、データ情報の記録または再生が行なわれる。
以上説明したように、本発明に係る情報記録媒体1は、下地層4の押し込み硬さを、55MPa〜125MPaとし、押し込み弾性率を、4.5GPa〜13GPaとすることにより、図2に示すように、従来技術と比較して格段に反りを低減することができる。なお、図2中、上段は従来技術を示し、下段は本発明を示している。
以下、本発明について実施例と比較例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明は制限されない。
(実施例1)
ポリビニルアルコール(平均重合度3,000、平均ケン化度88mol%)の6wt%水溶液80.0部の中へ、20wt%の硝酸水溶液を0.5部と乳酸を0.1部加え、この水溶液を良く振り混ぜながら、気相法シリカ粉末(アエロジル200)を17.8部加え、ボールミルで3日分散させた。
その後、塩化酸化ジルコニウム・8水和物0.5部を溶かした水溶液1.0部を加え、ボールミルで3日分散させることで多孔質受容層となる塗工液Aを得た。
次に、白色顔料と体質顔料成分が重量比で45.0wt%、感光性樹脂及び感光性モノマーの成分が45.0wt%、重合開始剤等が10wt%の溶液をボールミルで2日分散させることで白色インク下地層となる塗工液Bを得た。
次に、半値幅0.2μm、深さ0.15μm、トラックピッチ0.74μmの溝状のトラッキングガイドが直径の46〜117mmφの範囲に形成された外形120mmφ、内径15mmφ、厚み0.6mmのポリカーボネート製の透光性基板を用意した。
この透光性基板の前記トラッキングガイドが形成された面に、溶剤で溶解したシアニン色素をスピンコートし、乾燥させて、平均膜厚70nmの色素膜からなる記録層を形成した。
この上に、銀をスパッタリングし、厚さ100nmの反射層を形成した。次にスピンコート法により紫外線硬化樹脂を塗布し、これに外形120mmφ、内径15mmφ、厚み0.6mmのポリカーボネート製の透光性基板を貼りあわせて紫外線を照射し、硬化させて、厚さ1.2mmのいわゆるDVD−Rを得た。
次に、塗工液Bをスクリーン印刷法により前記のDVD−Rの反射膜面側に半径11mm〜59mmの範囲で印刷した。続いて、これに紫外線を照射し硬化させて、厚さ10μmの白色インク下地層を形成した。
次に、塗工液Aをスピンコート法により前記の白色インク下地層の上に半径11mm〜60mmの範囲で塗工し塗膜を設け、続いてこの塗膜に60℃の温度を与えて乾燥させ、膜厚25μmの多孔質膜を形成した。
次に、多孔質膜が形成されたDVD−Rを70℃30%RHの環境下で24時間処理して、DVD−Rを完成させた。
このDVD−Rディスクを25℃90%RHの環境下に96時間放置し、すぐに25℃40%RHの環境下に移して5分後のディスクの反り角を測定した。
DVD−Rの反り角の測定は、株式会社日本電子光学製の光ディスク反り自動測定装置「S2HH−20N」(商品名)を用いて、光情報記録媒体の中心から半径57mmにおける反り角を10°ごとに、36点で測定した平均値で求め、+0.10degとなった。
下地層の強度の測定は、株式会社エリオニクス製の超微少押し込み硬さ試験機「ENT−2100」を用いて65°のダイヤモンド圧子を荷重10mNで押し込むことで、押し込み硬さと押し込み弾性率を求めた。
(実施例2)〜(実施例9)
塗工液Bの顔料と樹脂の成分比の条件や下地層の印刷膜厚を表1に示す数値に変えた以外は、実施例1と同様にして、押し込み硬さと押し込み弾性率を求めた。
(比較例1)〜(比較例5)
塗工液Bの顔料と樹脂の成分比の条件や下地層の印刷膜厚を表1に示す数値に変えた以外は、実施例1と同様にして、押し込み硬さと押し込み弾性率を求めた。
[測定結果]
<押し込み硬さ、押し込み弾性率、反り増加量>
実施例1〜9、すなわち、下地層に含有される顔料の成分比率が重量比で、40.9〜52.2、下地層に含有される樹脂成分比率が重量比で、39.1〜50.0、且つ下地層の厚みが7μm〜16μmである場合の各種物性の測定結果を表1に示した。
表1から明らかなように、実施例1〜9は、押し込み硬さ59MPa〜125MPa、押し込み弾性率4.8GPa〜12.5GPa、反り増加量+0.01〜+0.30であった。
一方、比較例1〜5、すなわち、下地層に含有される顔料の成分比率が重量比で、37.5〜54.2、下地層に含有される樹脂成分比率が重量比で、37.5〜54.2、且つ下地層の厚みが5μm〜18μmである場合の各種物性の測定結果を表1に示した。
表1から明らかなように、比較例1〜5は、押し込み硬さ41MPa〜131MPa、押し込み弾性率3.7GPa〜12.8GPa、反り増加量+0.01〜+0.39であった。
<ヒビ、シワ>
膜状態を検討するため、ヒビ、シワの状態を測定した。膜のヒビ、シワの状態は、目視した。膜状態の評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に示した。
○:ヒビやシワが全く無く、きれいな膜状態である。
△:小さなヒビやシワが部分的に発生した膜状態である。
×:大きなヒビやシワが全面に発生した膜状態である。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜9は、ヒビ、シワ状態ともに良好であった。一方、比較例1〜5は、ヒビ、シワ状態ともによい結果が得られなかった。
[考察]
(実施例1〜4)
実施例2〜4は、実施例1に対して、下地層の顔料比率を増やして樹脂比率を減らしたものである。顔料比率を増やしたため、押し込み硬さ、押し込み弾性率ともに、実施例1より上がっており、硬く変形しにくく且つ変形が戻りやすい下地状態になっている。この効果によって、反りの増加量は、実施例1に比べて小さく、許容量である+0.35degよりはるかに小さい範囲に収まった。実施例2と実施例3を比較すると、顔料の比率が50%以上で樹脂比率が少なくなっているため、膜の結着強度が低下して受容層に、小さなヒビがわずかに生じてしまった。
(実施例5〜6)
実施例5〜6は、実施例1に対して、下地層の顔料比率を減らして樹脂比率を増やしたものである。顔料比率を減らしたため、押し込み硬さ、押し込み弾性率ともに、実施例1より下がっており、変形しやすく且つ変形が戻りにくい下地状態になっている。この影響によって、反りの増加量は実施例1に比べて大きくなってしまったが、許容量である+0.35degよりはるかに小さい範囲に収まった。これらの実施例は、実施例1に比べて顔料比率が少なく樹脂比率が多くなっているため、膜の結着強度はより強靭になり実施例1と同様に、受容層にヒビは全く見られなかった。
(実施例7)
実施例7は、実施例1に対して、下地層の膜厚を薄くしたものである。そのため、下地層の硬化が進んで押し込み硬さや押し込み弾性率は向上した。しかし、膜厚が実施例1に比べて薄くなっているため、受容層の変形を緩和する効果が、実施例1よりも弱くなってしまい、結果として反り増加量は実施例1よりも増加したが、許容量である+0.35degよりはるかに小さい範囲に収まった。実施例1に比べて膜厚が薄く硬化が十分進んだため、膜の結着強度はより強靭になり実施例1と同様に、受容層にヒビは全く見られなかった。
(実施例8)
実施例8は、実施例1に対して、下地層の膜厚を厚くしたものである。そのため、下地層の硬化が進みにくくなり押し込み硬さや押し込み弾性率は低下した。しかし、膜厚が実施例1に比べて厚くなっているため、受容層の変形を緩和する効果が実施例1よりも強くなり、結果として反り増加量は実施例1よりも減少し、許容量である+0.35degよりはるかに小さい範囲で収まった。実施例1と同様に、膜の結着強度は十分確保されて受容層にヒビは全く見られなかった。
(実施例9)
実施例9は、実施例1、実施例8に対して、下地層の膜厚をさらに厚くしたものである。そのため、下地層の硬化が進みにくくなり、押し込み硬さや押し込み弾性率はさらに低下した。膜厚が、実施例1や実施例8に比べて厚くなっているが、受容層の変形を緩和する効果が、実施例1や実施例8に比べて弱くなり、結果として反り増加量は実施例1よりも増加した。ただし、許容量である+0.35degより小さい範囲で収まった。実施例1と同様に、顔料比率、樹脂比率ともに45%であり、膜の結着強度は十分確保されて受容層にヒビは全く見られなかった。しかし、膜厚が16μmと厚くなっているため下地層の硬化が進みにくくなり、下地層と基材(防湿膜)との結着力が弱く、下地層に小さなシワがわずかに見られた。
(比較例1)
比較例は、実施例1に対して、下地層の顔料比率を増やして樹脂比率を減らしたものである。実施例3よりもさらに顔料比率を増やしたため、押し込み硬さ、押し込み弾性率ともに、実施例3より上がっており、硬く変形しにくく且つ変形が戻りやすい下地状態になっている。この効果によって、反りの増加量は許容量である+0.35degよりはるかに小さい範囲に収まった。しかし、樹脂比率が37.5%と少ないため、膜の結着強度が低下して受容層に大きなヒビが全面に生じてしまった。また、下地層と基材(防湿膜)との結着力が弱く、下地層に小さなシワが見られた。
(比較例2〜3)
比較例2〜3は、実施例1に対して、下地層の顔料比率を減らして樹脂比率を増やしたものである。実施例6よりもさらに顔料比率を減らしたため、押し込み硬さ、押し込み弾性率ともに、実施例6より下がっており、変形しやすく且つ変形が戻りにくい下地状態になっている。この影響によって、反りの増加量は、実施例6に比べて大きくなってしまい、許容量である+0.35deg以上となってしまった。これらの実施例は、実施例1に比べて顔料比率が少なく樹脂比率が多くなっているため、膜の結着強度はより強靭になり実施例1と同様に、受容層にヒビは全く見られなかった。
(比較例4)
比較例4は、実施例1に対して、下地層の膜厚を厚くしたものである。実施例9よりもさらに膜厚を厚くしたため、下地層の硬化が不十分となってしまい押し込み硬さや押し込み弾性率は低下した。結果として反り増加量は許容量である+0.35deg以上となってしまった。実施例1と同様に、顔料比率、樹脂比率ともに45%であるが、硬化が不十分な状態となってしまったため受容層に小さなヒビがわずかに見られた。加えて、下地層と基材(防湿膜)との結着力が弱く、下地層全面に大きなシワが見られた。
(比較例5)
比較例5は、実施例1に対して、下地層の膜厚を薄くしたものである。実施例7よりもさらに膜厚を薄くしたため、下地層の硬化が進んだ効果と下地層が薄くなった影響が相殺されて押し込み硬さや押し込み弾性率は、実施例1とほぼ同等となった。しかし、膜厚が実施例1に比べてかなり薄くなっているため、受容層の変形を緩和する効果が実施例1よりもかなり弱くなってしまい、結果として反り増加量は実施例1よりも大きく増加した。許容量である+0.35degより小さい範囲に収まったが、ほぼ許容量になってしまった。実施例1に比べて膜厚が薄く硬化が十分進んだため、膜の結着強度はより強靭になり実施例1同様に受容層にヒビは全く見られなかった。下地層の膜厚が薄いため、基材(防湿膜)との結着力が弱くなってしまい下地層に小さなシワがわずかに見られた。
[反りのメカニズム]
本発明に係る情報記録媒体の反りのメカニズムについて詳細に検討した。具体的には、23℃50%RHの環境下で72時間静置し十分になじませた状態で、反り角を測定した。次いで、測定したディスクを23℃90%RHの環境下に移し、直後、10分後、1時間後、3時間後、6時間後の反り角をそれぞれ測定した。次いで、測定したディスクを23℃50%RHの環境下に移し、直後、10分後、1時間後、3時間後、1日後、2日後の反り角をそれぞれ測定した。最後に、23℃50%RHの環境下で1ヶ月経過したディスクの反り角を測定した。なお、反り角はディスク半径位置57mmの反りを10°ごとに36点で測定した平均値で求めた。その結果を図3に示す。
図3の折れ線グラフにおいて、菱形は基板のみからなり、三角形は基板と下地層からなり、四角形は受容層のみからなり、丸形は基板と、下地層と、受容層からなる。図3において、菱形(基板のみからなる層)と三角形(基板と下地層からなる層)の折れ線グラフを比較すると、両者の反り挙動はほとんど変化なく、下地層は反りには影響を及ぼさないことがわかる。
図3のA範囲の低湿から高湿及び高湿保持の段階は、多孔質受容層自体が毛細管現象により収縮して反りが増加することがわかる。一方、B範囲の高湿から低湿での上昇は、膜中に貯蔵された水分の急激な放出により膜が収縮するために反りが一旦増加することがわかる。
以上より、下地層が受容層の膨張、収縮による応力変化を受け止めて、ディスク全体の反りの挙動に大きく影響を及ぼしていることがわかる。
1 情報記録媒体
2 基板
3 防湿層
4 下地層
5 インク受容層

Claims (9)

  1. 基板と、下地層と、受容層とが、この順で積層されてなる情報記録媒体であって、
    前記下地層は、押し込み硬さを55MPa〜125MPaとし、押し込み弾性率を4.5GPa〜13GPaとすることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記下地層は、押し込み硬さを85MPa〜125MPaとし、押し込み弾性率を8GPa〜12.5GPaとすることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 前記下地層は白色インクを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。
  4. 前記下地層の厚みが、8.0μm〜16μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  5. 前記下地層に含有される顔料の成分比率が重量比で、40〜55であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  6. 前記下地層に含有される樹脂成分比率が重量比で、35〜50であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  7. 前記受容層が多孔質空隙型であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  8. 前記基板と前記下地層の間に、防湿層、カバー層から選択される1種以上を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の情報記録媒体を用いることを特徴とするプリンタブルディスク。
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