JP2007152825A - 光記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の内周側と外周側とで膜厚が均一な色素記録層を有する光記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】同心円状又はスパイラル状の溝を設けた基板上に有機色素を含む溶液をスピンコート法により塗布して色素記録層を製膜する工程を有し、半径R_disk(但し、R_diskは40mm以上)の回転する基板上に溶液を吐出するノズルを、基板の内周から外周に滑らかに移動し、溶液吐出を打ち切る位置R_stopを30.0mm≦R_stop≦R_disk−1.0mmとし、吐出中のノズル移動速度平均Vを5mm/sec≦V≦15mm/secとする光記録媒体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は光記録媒体の製造方法に関し、より詳しくは、均一に塗布された色素記録層を有する光記録媒体の製造方法に関する。
従来、CD−R等の追記型光記録媒体の色素記録層を形成する方法としてスピンコート法が知られている。スピンコート法では、通常、基板の最内周側(20mm〜30mm)に所定のノズルの先端から色素溶液を吐出し、すみやかに吐出を停止して、その後、基板を高速(3000rpm〜7000rpm)で回転し、その遠心力で色素溶液を最内周から基板全面に拡げ、色素記録層を形成している。
また、スピンコート法では、基板の最も内周側に形成される色素記録層の膜厚が薄くなりやすく、外周が厚くなりやすい。そこで、特に内周側の色素記録層の膜厚分布を均一にする手法として、ノズルの先端から色素溶液を吐出しつつ、ノズルを基板の外周側から内周側に移動し、且つ、基板の回転数を増大させる手法が報告されている(特許文献1参照)。
特開2000−155994号公報
ところで、近年、情報の大容量化に応じ、記録再生光の短波長化、光記録媒体の高密度化が進み、基板に形成されるトラックピッチの狭小化が進められている。このような状況下で、色素記録層は、膜厚制御性をこれまで以上に高める必要がある。
しかし、従来のスピンコート法では、基板の内周側に吐出した色素溶液を、基板を高速回転することにより基板全面に広げるため、基板の内周側と外周側とで媒体設計上、予期しない色素記録層の膜厚の分布を生じやすい。また、基板の内周側と外周側とでは、塗布された色素溶液の乾燥時間、遠心力等に差があり、色素記録層に不均一性を生じる要因の一つとなっている。また、記録高密度化、短波長化に伴い、さらなる高精度な薄膜化塗布技術が要求されており、スピンドル回転数、回転時間を、より厳密に制御する必要が生じている。
また、製膜条件をより高精度に制御したとしても、特に、青色レーザ(405nm近傍)等の短波長レーザでの記録に使用する記録層を製膜する基板には、種々の課題がある。特に、以下のような、基板の複屈折の問題である。
我々の検討によると青色のレーザを用いた場合、PP信号(本発明では、プッシュプル信号をPP信号という。)は複屈折に非常に大きく依存する。これに対し赤色のレーザ(650nm〜660nm近傍)の場合は複屈折のPP信号への大きな影響は見られなかった。この原因は詳細には定かではないが、以下のように説明できる。
上記定義の複屈折は赤色レーザでも青色レーザでも大きな違いはなく、高々10%程度の違いであることが知られている。ところが、青色レーザは赤色レーザに比べ波長が短いために同じ複屈折であっても位相差に換算したときの差が大きくなる。例えば波長λに対し同じ複屈折BRであったときに、その位相の差δは、
δ=2π・BR/λ
であるので、λがHD−DVDでの405nmではDVDでの650nmの場合に対し約1.6倍の位相差が生じる。光の楕円化は位相差によって決まるため、同じ複屈折でも青色レーザの場合は赤色レーザに比べ大きな楕円化を生じてしまう。
一方、PP信号を生じるのは溝によって回折された光、すなわち一次光と呼ばれるものであるが、この光は回折によって溝方向(周方向)とそれに直交する方向(半径方向)とにやはり位相差を発生する。この位相差が複屈折による位相差と足し合わされる場合は、より大きな楕円化を発生し、打消しあう場合は楕円化は小さくなる。サーボ信号検出の光学系は、途中に偏光ビームスプリッター(PBS)が入っているため、楕円化が大きくなると通過する光量が低下して信号が小さくなる。青色レーザの記録再生の場合、このようにして面内複屈折の符号によってPP信号の大きな違いが発生しているものと推察される。
尚、PP信号は、例えばDVD Specification for Recordable Disc for General ver2.0などにおいてPPb(The radial push−pull amplitude before recording)と記載される信号を意味し、具体的には、以下のとおりである。
信号再生装置(DVD評価機やDVDプレーヤー、DVDレコーダー)のピックアップの4分割フォトディテクターの溝横断信号(ディスク面内の案内溝に、フォーカスをかけて溝横断信号を得る。)の半径方向の差信号((Ia+Ib)−(Ic+Id))のAC成分のpeak to peak値(絶対値)を、和信号(Ia+Ib+Ic+Id)のDC成分で割った値をプッシュプル信号(プッシュプル信号振幅ともいう。)とする。
即ち、
PP信号=((Ia+Ib)−(Ic+Id))のAC成分のpeak to peak値(絶対値)/(Ia+Ib+Ic+Id)のDC成分
である。
尚、Ia、Ib、Ic、Idは、上記4分割フォトディテクターの溝横断信号の出力値を意味する。
本発明は、こうした実状に鑑みなされたものである。
即ち、本発明の目的は、スピンドルを従来よりも低回転数で制御する等により装置に負担をかけずに、そして、従来と同一、あるいはより短いタクト時間で、青色レーザ等の短波長レーザでのPP(プッシュプル)の面内分布を均一にする技術、あるいは、色素薄膜を均一にする技術、もしくは媒体設計上で意図する所望の膜厚分布に塗布する技術を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ディスク基板上にスピンコート法により色素記録層を成膜する際に、ノズルの先端から有機色素を含む溶液を吐出しつつ、ノズルを基板の内周側から所定の半径の外周側までに所定の速度で移動させることにより、従来よりも柔軟に膜厚を制御できること、製造装置に負担をかけないことを見出し、この知見に基づき本発明を完成した。
従来のスピンコート法では、内周と外周で均一に膜厚を塗布するため、溶液吐出を切った後、回転数を時間経過に添って単調に増加させることが一般的である。すなわち、これは内周と外周の膜厚を均一にするためには、スピンコートの原理上、回転数を序所に上げなければならないことを意味している。したがって、例えば、媒体設計上、外周を内周と比較して薄い膜を塗布したい場合は、さらに回転数を上昇させなければならないことがわかる。
また、速い回転数で塗布すれば、タクトタイムを短くすることが可能であることも事実である。しかしながら、より速い回転数、及び回転時間を厳密に制御することは、スピンドルモーター性能上の制限を考えれば、不利であることは明らかである。すなわちスピンドルモーターの性能上限に近い回転数、及び回転時間の制御は困難であるし、モーター回転の急激な加速減速は、部品の寿命を短くしてしまう。一方、低い回転数で長時間回転させる条件を製造条件として採用した場合は、ディスク一枚の塗布に必要なタクトタイムが長くなり、製品生産上は不利益であり、一長一短となる。総合的な利益を確立するためには、タクトタイムを伸ばさずに、回転数を下げることができれば非常に有効である。従来方法では、これが困難であったが、本発明によれば、上記の最大回転数を低減することができ、さらには従来困難であった、外周膜厚を内周よりも、より薄く塗布できるという点においても、より優れた方法である。もちろん従来どおり、内周から外周へ向けて均一に塗布することも可能である。
さらに、我々の検討によると、特に青色レーザなどの短波長での記録再生のためには、PP信号を均一にするために複屈折の分布を一定の範囲に抑えることが重要であり、かつ複屈折が大きくマイナス側の場合はPP信号が著しく小さくなりサーボがかかりにくくなるために、−30よりも+側にすることが好ましい事、そして、複屈折があまり+側に大きな値となると、今度はPP信号が大きくなり過ぎる上、再生信号品質の悪化をもたらす事、従って、面内複屈折(本願発明においては、集光しないで測定した複屈折を面内複屈折といい、本明細書において「複屈折」という場合もある。)が−30nm〜+10nmの範囲であり、かつ樹脂基板全面の面内複屈折の最大値と最小値の差が35nm以下のものを用いれば、PP信号の大きさが十分であり、かつ分布も小さく、再生信号も良好な結果を得ることができることを見出した。
なお、一般に好ましいPP信号は0.35程度より大きな値が必要であり、かつ0.60程度より小さい値である。また安定したサーボ動作のためには半径方向でのPP信号の許容される変動は30%以下が好ましい。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(9)が提供される。
(1) 色素記録層を有する光記録媒体の製造方法であって、同心円状又はスパイラル状の溝を設けた基板上に、少なくとも、有機色素を含む溶液をスピンコート法により塗布して前記色素記録層を製膜する工程を有し、前記色素記録層を製膜する工程において、前記基板の半径をR_disk(但し、R_diskは40mm以上とする。)とし、前記基板を回転させながら該基板上に前記溶液を吐出するノズルを当該基板の内周から外周に滑らかに移動させながら前記溶液を吐出し、前記ノズルからの当該溶液の吐出を打ち切る位置R_stopを、30.0mm≦R_stop≦R_disk−1.0mmとし、吐出中のノズル移動速度平均Vを、5mm/sec≦V≦15mm/secとすることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
(2) 前記ノズルからの前記溶液の吐出を打ち切る時点で、前記基板の最内周部分における塗布した溶液の乾燥が開始していることを特徴とする前記(1)記載の光記録媒体の製造方法。
(3) 前記色素記録層を製膜する工程において、前記基板上に直接又は他の層を介して、前記溶液を塗布する前に、予め、当該溶液又は所定の溶媒を用いて当該基板の全面又は前記他の層を非乾燥状態にすることを特徴とする前記(1)記載の光記録媒体の製造方法。
(4) 前記ノズルから前記溶液を吐出しつつ、当該基板の回転数を増大させながら、当該ノズルを前記基板の半径(R_disk)の2分の1(R_disk/2)より大きい位置である外周側から、当該基板の半径(R_disk)の2分の1(R_disk/2)より小さい位置である内周側に移動させることを特徴とする前記(3)記載の光記録媒体の製造方法。
(5) 前記溶液は、前記有機色素とフッ素系溶媒とを含むことを特徴とする前記(1)記載の光記録媒体の製造方法。
(6) 前記色素記録層を製膜する工程において、フッ素系溶媒に対する前記有機色素の濃度が0.4%〜2.0%の範囲で調製した前記溶液を前記基板上に塗布し、前記溶液を吐出するノズルが前記基板の最内周に位置するときに当該基板を500rpm以上で回転し、且つ、前記溶液の吐出を停止した後に、前記基板を最大回転速度2000rpm以上7000rpm以下の範囲で回転することを特徴とする前記(1)記載の光記録媒体の製造方法。
(7) 前記(1)乃至(6)のいずれかに記載された光記録媒体の製造方法により製造されたことを特徴とする光記録媒体。
(8) ポリカーボネート樹脂よりなる基板上に少なくとも情報を記録する前記記録層及び反射層を有し、該記録層、該反射層を挟んで前記基板に対向する位置に対向基板を接着し、かつ前記基板を通して青色レーザで情報の記録再生を行う光記録媒体であって、前記基板の650nm±5nmの波長で測定した対向基板接着前の面内複屈折が、ユーザーが記録再生に使用する領域において−30nm〜+10nmの範囲であり、かつ最大値と最小値の差が35nm以下であることを特徴とする前記(7)記載の光記録媒体。
(9) 650nm±5nmの波長で測定した面内複屈折が、ユーザーが記録再生に使用する領域において−30nm〜+10nmの範囲であり、かつ最大値と最小値の差が35nm以下であることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂より成る青色レーザで情報の記録再生を行う光記録媒体に用いる基板。
本発明によれば、設計で定めた所望の膜厚どおりに制御され、かつ、タクトタイムを延ばさず、さらには、製造装置に負担をかけずに媒体を製造することが可能となる。また、同手法により、設計上、意図した膜厚の色素記録層を有する光記録媒体が得られる。
また、本発明によれば、例えば青色レーザによる記録再生においても、ユーザーが使用する領域でPP信号が大きく、安定なサーボ特性が得られやすくなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法により製造が可能な光記録媒体としては、色素記録層を有する追記型の光記録媒体のいずれにも適用することができ、特に限定されないが、記録・再生用のレーザ光の入射方向によって、基板面入射型と膜面入射型とに分けることができる。現在実用化されている光記録媒体の具体例としては、例えば、ポリカーボネート基板が1.2mmであるCD−R、ポリカーボネートの厚さを半分(0.6mm)にし、2枚の基板を貼合わせるDVD−R、DVD+Rが挙げられる。
ここで、膜面入射型の光記録媒体の製造方法の場合は、通常、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を用いて、射出成形または圧縮成形等により基板を成形する工程と、成形した基板上に、スパッタリング等により反射層を形成する工程と、反射層上にスピンコート法により有機色素を含む色素記録層を製膜する工程と、さらにこの上に保護層(又は、カバー層)を設ける工程とを有している。
一方、基板面入射型の光記録媒体の場合は、通常、基板を成形する工程と、スピンコート法により色素記録層を製膜する工程と、反射層、保護層をこの順に設ける工程とを有している。光記録媒体を構成する各層については後述する。
次に、スピンコート法により、同心円状又はスパイラル状の溝を設けた基板上に、直接又は他の層を介して、有機色素を含む色素記録層を製膜する工程について説明する。
図1は、本実施の形態において使用するスピンコート装置を説明するための図である。図1に示すように、スピンコート装置100は、有機色素を含む溶液(以下、「塗布液」と称することがある。)を供給する塗布液供給装置10と、中央部に中心孔を設け、所定の半径(R_disk)を有するディスク状の基板Sを水平に保持するとともに所定の回転数で回転するスピナーヘッド装置20と、基板Sの外周縁部から外側に放出された余分な塗布液が周辺に飛散するのを防止する飛散防止装置30とを有している。
塗布液供給装置10は、塗布液を先端から吐出するノズル11と、ノズル11を支持するアーム12とを有し、図示しないハンドリング機構によって、待機位置から基板Sの上方の位置に旋回移動し、所定量の塗布液を、ノズル11を通して基板S表面上に吐出する。
スピナーヘッド装置20は、着脱可能な固定具21により、基板Sを回転テーブル22上に水平に保持するとともに、図示しない駆動モータにより、所定の回転数で回転する。スピナーヘッド装置20により回転する基板S上に、塗布液供給装置10のノズル11から吐出した塗布液は、基板Sの表面上を外周側に流延する。余分の塗布液は基板Sの外周縁部で振り切られ、次いで塗膜を乾燥し、基板S表面上に色素記録層を製膜する。
飛散防止装置30は、基板Sの外周縁部から外側に放出された塗布液の飛散を防止するコータカバー31と、遠心力で振り切られた塗布液のミストが、基板S及び回転テーブル22の下側に回り込むのを防止する整流部材32とを有する。インナーカップ41は、スピンコートの際に基板Sの外周縁部から外側に放出された余剰の塗布液を回収する。コータカップ42の下側に設けた排気口から、塗布液中の溶剤等のガスが排気される。
次に、スピンコート装置100の動作を説明する。スピンコート装置100に基板Sを投入し、スピナーヘッド装置20の回転テーブル22上に固定具21により水平に保持する。次に、図示しない駆動モータを低速回転し、塗布液供給装置10のノズル11から塗布液を基板S上に円環状又は螺旋上に吐出してから駆動モータを高速回転し、回転テーブル22と一緒に基板Sを高速回転して、基板S上の塗布液を展延する。このとき、余剰の塗布液を遠心力によって振り切り、振り切られた塗布液はコータカバー31にぶつかり、インナーカップ41内に吐出する。また、塗布液供給装置10のアーム12は、ノズル11の先端が塗布液を吐出しながら、基板Sの内周側から外周側に所定の速度で移動するように旋回する。
続いて、スピンコート装置100を用いて、色素記録層を製膜する工程について説明する。
(1)初めに、基板Sを回転テーブル22上に固定具21により水平に保持する。ノズル11を保持する半径位置には特に制限はないが、ディスク全面に均一に溶液を塗布するためには、基板の半径R_diskの2分の1(R_disk/2)より大きい位置とすることが好ましい。次に、図示しない駆動モータを回転し、回転開始後、上記の位置から溶液の吐出を開始する。次に回転テーブル22と一緒に基板Sを回転するのと並行して、塗布液供給装置10のアーム12を旋回し、ノズル11の先端を、基板Sの最内周側(例えば、基板の半径(r)20mm)の位置まで初期の回転速度を維持、あるいは増加させながら滑らかに移動させる。
溶液吐出開始時の基板Sの回転数は、通常、100rpm〜300rpmが好ましい。最内周位置到達時の回転数は500rpm〜2000rpmが好ましい。
回転数が、これよりも遅い場合は、例えば内周位置での全回転数が少なく、半径方向の均一性が損なわれる可能性があり、また低い回転数で周方向の均一性を確保するためには、吐出時間を長くする必要があり、好ましくない。逆に回転数が、これよりも速い場合は、内周部の膜厚が極端に薄くなり、極端な場合、ノズル11から吐出された液がディスク面での大きい遠心力により生じる力で、弾かれてしまう可能性があり、塗布できなくなる可能性があり、好ましくない。ここまでの段階に至るノズル11の移動、回転速度の制御の方法は、様々考えられるが、この段階でディスク全面を塗液が完全に覆うことが均一塗布を達成する上で好ましい。
(2)次に、基板Sの回転数を500rpm〜2000rpmに保持したまま、引き続き塗布液を吐出しながら、アーム12を旋回して、ノズル11の先端を基板Sの最内周側から外周側R_stopまで所定の速度(ノズル11の移動速度平均V)で滑らかに移動させる。R_stopにノズル11が到達すると同時に、溶液の吐出は停止させる。(ノズル11自体は動いていても良いが、溶液の吐出停止は必須)ノズル11移動の途中における回転数は、最内周の回転速度をそのまま維持するか、内周の膜厚、乾燥状態を制御するために緩やかに上昇させてもよい。
ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)は、30mm以上が好ましく、さらに好ましくは40mm以上である。ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)を40mm以上とすると、所望の膜厚(OD値)にするのに必要とされる最高回転数が3000rpm前後〜2000rpmと安定して低い最高回転数による膜厚の最適化が可能となる(ディスク半径60mmの場合)。
R_stopが30mm未満では、所望の膜厚(OD値)にするために必要な塗布中の最高回転数が7000rpmを超えて上昇してしまい、本出願の効果が著しく小さくなる恐れがある。またR_stop位置の上限は特に存在しないが、ディスク外周端まで溶液を吐出させると、外周エッジによる不必要な溶液はじきや、ディスク裏面まで液が回りこむ可能性があるので、ディスク半径(R_disk)よりも1mm以上内周で溶液の吐出を停止させることが好ましい。R_stopの位置を変化させることにより、膜厚の内外分布のフレキシブルな制御が可能となる。
また、ノズル11の外周への上記移動速度平均Vは、通常、5mm/sec〜15mm/secが好ましい。ノズル11の移動速度平均Vが5mm/sec以上であれば、内周の乾燥が遅くなりすぎないので好ましい。これよりもノズル11移動が遅すぎると、溶液濃度が薄いままで保持されるため、内周の乾燥開始が遅れ、タクト時間が遅くなったり、膜厚が薄くなりすぎるので、好ましくない。一方、ノズル11の移動速度平均Vが15mm/sec以下であれば、次工程で記述する最高到達回転数を実用上好ましい範囲に制御(2000rpm〜7000rpm)することで、外周の膜厚をフレキシブル、特に薄めに制御できるので好ましい。ノズル11の移動速度平均Vが15mm/secを超えた場合は、内周の乾燥が始まる前に溶液吐出が終了してしまうため、ディスク内外での溶液の乾燥を自由に制御することができず、本発明の効果が小さくなったり、ほとんどなくなったりするので好ましくない。
尚、ノズル11の移動速度平均Vは、一定の速度(1つのステップで移動させる)であってもよいし、段階的にノズル11の移動速度を変化させ(複数のステップでノズル11の移動速度を設定して、例えば、極めて緩やかにノズル11の移動速度を変える等)、それらの平均値であってもよい。
後述するように、上記工程で、所望の膜厚(OD値)とするために必要とされる最高到達回転数は、ノズル11の移動速度平均Vとも相関がある。即ち、ノズル11の移動速度平均Vが大きいほど、所望の膜厚(OD値)とするためには大きな最高回転数が必要となる。
従って、ノズル11の移動平均速度Vは、上記最高回転数を低減する効果をより発揮させるためには、より好ましくは13m/s以下、さらに好ましくは10m/s以下である。
(3)溶液吐出停止後も引き続き、さらに図示しない回転モータの回転数を最高回転数にまで増加させ、基板Sの全面が乾燥するまで、最高回転数を保持する。乾燥終了後、速やかに回転モータの回転を停止する。かかる最高回転数は、通常、2000rpm〜7000rpmである。
前述の回転数が遅ければ、乾燥時間が長くなりすぎたり、所望の値よりも膜厚が厚くなりすぎるので好ましくない。また、回転数が速ければ、乾燥時間は短くなるが、使用するモーターの制約により最高回転数は制限される。またスピンドルモーター能力上限に近い回転、及び急激な加減速は、回転機器の寿命を縮めたり、モーターに対する微小な応答時間のずれが、膜厚の制御を困難にするので好ましくない。従って、最高回転数は、7000rpm以下が好ましく、より好ましくは5000rpm以下である。また、基板回転の最高回転数に達するタイミングは、塗布した溶液がディスク全体に展開し、その後、塗布した溶液の乾燥状態が、内周で始まった後のタイミングに設定されていることが好ましい。
尚、ノズル11の先端が基板Sの所定の半径(R_stop)に到達し、塗布液の吐出を打ち切る時点において、基板Sの最内周に塗布した塗布液の乾燥が始まるように、塗布液の濃度、吐出量、基板Sの回転数が調整される方が好ましい。尚、ここで乾燥とは、基板S上に吐出した塗布液中の溶媒が蒸発し、物質状態が液体から固体へと変化する過程をいう。例えば可視光記録用色素の場合、乾燥、非乾燥状態の遷移は、ディスク回転中においても色素色の変化として目視により確認できる。
上述した塗布液の濃度は、使用する溶媒、色素記録膜の厚さ等に応じて種々選択され特に限定されないが、通常、0.2%〜2%、好ましくは、0.5%〜1.8%である。濃度が薄い場合は溶液粘度が低くなり、膜厚が著しく薄くなったり、あるいは乾燥時間が長くなり好ましくない。逆に、濃度が濃すぎる場合は、膜厚が必要以上に厚くなったり、色素自体が溶け難くなり、その結果析出が起こりやすくなることから好ましくない。
ノズル11の先端から吐出する塗布液の吐出量は、塗布液の濃度、色素記録膜の厚さ等に応じて種々選択され特に限定されないが、通常、0.05g/sec〜0.2g/secである。また、吐出量の合計は、通常、1.0g以下である。
吐出速度は少なすぎると、ノズル11から吐出させることそれ自体が困難になるし、仮に連続的な吐出が可能であったとしても、ディスク全面を覆うためには、ディスク全回転数を増やす必要があり好ましくない。吐出速度が多い場合は、不必要な溶液を使用するだけなので好ましくない。
全吐出量に関しても、ほぼ同様であり、吐出が少なすぎる場合は、ディスク全面を覆うことが困難になり、好ましくない。逆に吐出量が多すぎる場合は、溶液を無駄にするだけなので経済的観点から好ましくない。
本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法において、上述した工程を経て色素記録層を製膜する際に、予め、有機色素を含む溶液又は所定の溶媒を用いて、基板Sの全面を非乾燥状態にしておいても良い。以下、かかる基板Sの全面を非乾燥状態にするためあらかじめ塗布する、有機色素を含む溶液又は所定の溶媒を、「前処理用の溶液又は所定の溶媒」という。ここで、液の非乾燥状態とは、本発明において、ディスクの回転時に、溶液もしくは溶媒が溝を横切ってディスク面上を流動できる状態である。
この前処理用の溶液又は所定の溶媒は具体的には、例えば、以下の操作により、基板Sの全面を非乾燥状態にすることができる。
先ず、基板Sを回転テーブル22上に固定具21により水平に保持した後、塗布液供給装置10のアーム12を旋回し、ノズル11の先端を、基板Sの所定の半径(r)位置に移動する。半径(r)位置は、特に限定されないが、通常、基板Sの半径(R_disk)の2分の1(R_disk/2)より大きい位置である。例えば、基板Sの半径が60mmの場合は、通常、30mm〜59mm(R_disk−1mm)の範囲で適宜選択する。
続いて、図示しない駆動モータを、例えば、200rpm程度の低速で回転し、基板Sを回転する。次に、有機色素を含む溶液を、ノズル11から吐出する。次に、有機色素を含む溶液をノズル11から吐出しながらノズル11を基板Sの内周側の所定の半径(R_disk)位置に移動する。その半径(r)位置は、特に限定されないが、通常、基板Sの半径(R_disk)の2分の1(R_disk/2)より小さい位置であり、最内周側が好ましい。例えば、基板Sの半径が60mmの場合は、半径(r)位置は20mmである。
ノズル11が基板Sの内周側の所定の半径(r)位置に到達後、基板Sの回転数を、例えば、900rpm程度に増大し、基板Sの全面に有機色素を含む溶液を拡げ、基板Sの全面を非乾燥状態にする。尚、有機色素を含む溶液の代わりに、溶媒のみを使用することもできる。
このように、色素記録層を製膜する際に、予め、有機色素を含む前処理用の溶液又は所定の溶媒を用いて、基板Sの全面を非乾燥状態にすることにより、後工程の色素記録層を製膜する工程において、均一な色素記録層を製膜することができる。
上記の方法により色素記録層を製膜する基板は、適度な加工性と剛性を有するプラスチック、金属、ガラス等を用いることができる。基板面入射型の光記録媒体の場合は、基板は入射するレーザ光に対して透明である必要がある。膜面入射型の光記録媒体では、通常、レーザ光が基板を透過することがないので、基板はレーザ光に対して透明である必要はない。
基板は、金属、ガラスでは、表面に光や熱硬化性の薄い樹脂層を設け、そこに、溝を形成する必要がある。この点、プラスチック材料を用い、射出成型によって、基板の形状、特に円盤状、と表面の案内溝を一挙に形成するほうが製造上は好ましい。
射出成型できるプラスチック材料としては、従来、CDやDVDで用いられたポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。基板の厚さとしては0.5mm〜1.2mm程度とするのが好ましい。その中で、一般的には、ポリカーボネート樹脂を材料とする基板が使用される。
ポリカーボネート樹脂は、記録再生光に対し透明であり、射出成形により溝、ピット等の細かいパターンを正確に転写することが可能であり、必要十分な耐熱性、強度を有しており、かつ汎用樹脂であるため低コストである等光学記録媒体の基板として多くの利点を持っている。基板の作成方法としては、高速で、かつ転写性にも優れた射出成形が好ましい。
一方で、ポリカーボネート樹脂からなる基板の欠点としては複屈折を有することが挙げられる。この欠点が問題となるのは、基板面入射型の光記録媒体においてである。複屈折は構造に起因する固有複屈折と射出成形に起因する分子配向の両因子の積で表されるため、射出成形の条件である程度制御可能であることが知られている。複屈折は記録再生光を楕円化させ信号に悪影響を及ぼすことが知られており、例えばDVD等の規格でも一定の値以下に抑えることが求められている。
ところが先に述べた通り、特に、基板面入射型の青色レーザ記録用の記録層においては、記録再生信号品質にとっては全く問題の無いレベルの複屈折であってもPP信号に影響を与える。そのために十分なPP信号を得るために基板の複屈折は−30nm乃至それより大きくなくてはならず、再生信号品質を確保するためには+10nm乃至それより小さい必要があり、かつPP信号の分布を小さくするためには最大値と最小値の差を35nm以下にする必要がある。複屈折においてより好ましくは−25nmより大きい値であり、かつ+5nmより小さい値である。複屈折の最大値と最小値の差は30nm以下であることがより好ましい。さらに好ましくは25nm以下である。
尚、本発明での複屈折は対向基板貼合わせ直前の値で定義される。これは貼合わせた状態での複屈折測定が非常に困難だからである。貼合わせたディスク(例えば、市販のディスク)から貼合わせる直前の複屈折を測定するには、貼合わせを剥がし、記録層、反射層を除去することで基板そのものの複屈折が測定可能となる。複屈折は貼合わせ工程によっても変化するが、我々の検討では以下に述べる実験群4の図9に示すように貼合わせ後の複屈折も貼合わせ直前の複屈折とよく相関しているために、貼合わせ直前の複屈折を規定することで、最終的な特性を規定することが可能である。
このように規定することにより、実際のプロセスでは成形後に加熱や対向基板との接着を行うために、各々のプロセスで基板複屈折の変動が起こる貼合わせ後の複屈折の目安、即ち、完成したディスク構成での複屈折を所望の範囲とすることが可能となる目安が得られるのである。
上記の本願発明を満たす基板は、具体的には、以下に挙げられる方法により、実現可能である。即ち、
(1)樹脂の組成の調整
(2)樹脂温度を通常よりも高めに設定する、
(3)金型温度を通常よりも高めに設定する、
等の樹脂の流動性を高め、樹脂の配向性を調整できる公知の方法に加えて、
(4)金型の型締め圧を冷却中に適切な範囲で変化させる
ことにより、複屈折の絶対値や符号をディスク面内で調整できる。そして、複屈折のディスク面内のプロファイルを最適化できるのである。
(有機色素)
ここで、色素記録層に含まれる有機色素としては、特に限定されないが、通常、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等の大環状アザアヌレン系色素;シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン系色素;ピロメテン系色素、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素等が挙げられる。さらに、スチルベン、(カルボ)スチリル、クマリン、ピロン、カルコン、トリアゾール、スルホニルイミン系、アズラクトン系化合物等及びこれらの混合物が挙げられる。
色素記録層に使用される有機色素は、350nm〜900nm程度の可視光〜近赤外域に最大吸収波長λmaxを有する。また、青色レーザ用の光記録媒体の場合は、青色〜近マイクロ波レーザでの記録に適する色素化合物が好ましい。具体的には、通常、CD−Rに用いられるような波長770nm〜830nm程度の近赤外レーザ(代表的には、780nm、830nm等)や、DVD−Rに用いられるような波長620nm〜690nm程度の赤色レーザ(代表的には、635nm、660nm、680nm等)、あるいは、波長405nmや515nm等のいわゆる青色レーザ等での記録に適する色素がより好ましい。
有機色素は一種でもよいし、同じ種類のものや異なる種類のものを二種以上混合して用いても良い。さらに、複数の波長の記録光に対し、各々での記録に適する有機色素を併用して、複数の波長域でのレーザ光による記録に対応する光記録媒体とすることもできる。
また、色素記録層は、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
(溶媒)
上述した有機色素を含む溶液を調製するために使用する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒;2,2,3,3−テトロフルオロ−1−プロパノール、オクタフルオロペンタノール等のフッ素系溶媒;乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒等が好適に使用される。
さらに、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;シクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
これらの中でも、フッ素系溶媒が好ましい。上述した溶剤は、使用する有機色素の溶解性を考慮して単独または二種以上を適宜併用することができる。
尚、色素記録層の厚さは、記録方法等により、適した膜厚が異なるため、特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常、5nm以上、好ましくは10nm以上であり、特に好ましくは20nm以上である。但し、光を透過させる必要があるため、通常、3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。特に660nm未満の短波長レーザ用途には、100nm以下が好ましく、より好ましくは60nm以下である。
(光記録媒体)
次に、光記録媒体について説明する。
上述したように、本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法が適用できる光記録媒体としては、記録・再生用のレーザ光の入射方向によって、基板面入射型と膜面入射型とに分けることができる。
膜面入射型の光記録媒体の場合は、通常、中央部に中心孔を設け、所定の半径(R)を有するディスク状の基板の上に、反射層、色素記録層、及び保護層(又は、カバー層)をこの順に設ける構造を有している。ここで、色素記録層と保護層との間に無機材料(例えば、ZnS/SiO)で形成されるバッファー層を設けてもよい。また、基板面入射型の光記録媒体の場合は、通常、基板上に、色素記録層、反射層、保護層をこの順に設ける構造を有している。尚、基板面入射型の光記録媒体には、基板上にハードコート層を設けてもよい。また、膜面入射型の光記録媒体には、保護層上にハードコート層を設けてもよい。
次に、光記録媒体を構成する各層について説明する。尚、色素記録層については、既に説明したので、ここでは省略する。
基板には、通常、トラッキング用の案内溝が形成されている。トラックピッチは、光記録媒体の記録再生に用いるレーザ光の波長によって異なる。具体的には、CD系の光記録媒体では、トラックピッチは、通常1.5μm〜1.6μmである。DVD系(赤色レーザ用)の光記録媒体では、トラックピッチは、通常0.7μm〜0.8μmである。青色レーザ用の光記録媒体では、トラックピッチは、通常0.2μm〜0.5μmである。一方、溝の深さも光記録媒体の記録再生に用いるレーザ光の波長によって異なる。具体的には、CD系の光記録媒体では、溝深さは、通常10nm〜300nmである。DVD系の光記録媒体では、溝深さは、通常10nm〜200nmである。青色レーザ用の光記録媒体では、溝深さは、通常10nm〜130nmである。
反射層の材料としては、再生光の波長において充分高い反射率を有する材料、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd等の金属を、単独あるいは合金にして用いることができる。これらの中でもAu、Al、Agは反射率が高く、反射層の材料として適している。また、これらの金属を主成分とした上で、加えて他の材料を含有させても良い。ここで主成分とは、含有率が50%以上のものをいう。
主成分以外の他の材料としては、例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Ta、Ti、Pt、Pd、Nd等の金属及び半金属を挙げることができる。中でもAgを主成分とするものは、コストが安い点、高反射率が出やすい点、後述する印刷受容層を設けた場合に地色が白く美しいものが得られる点等から、特に好ましい。例えば、AgにAu、Pd、Pt、Cu、及びNdから選ばれる一種以上を0.1原子%〜5原子%程度含有させた合金は、高反射率、高耐久性、高感度且つ低コストであり好ましい。
具体的には、例えば、AgPdCu合金、AgCuAu合金、AgCuAuNd合金、AgCuNd合金等である。金属以外の材料としては、低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、これを反射層として用いることも可能である。
反射層の膜厚は、好ましくは50nm〜300nmである。反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために、公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
また、青色レーザ用の光記録媒体の場合は、特に、青色波長域で高反射率を示すものとして、例えば、Au、Ag、Al、Cu及びこれらを主成分とする合金が挙げられる。より好ましくは、λ=405nmでの反射率が高く、吸収が小さい合金である。例えば、Agを主成分として、Au、Cu、希土類元素(特に、Nd)、Nb、Ta、V、Mo、Mn、Mg、Cr、Bi、Al、Si、Ge等を0.01原子%〜10原子%添加することで、水分、酸素、硫黄等に対する耐食性が高めることができ好ましい。この他に、誘電体層を複数積層した誘電体ミラーを用いることも可能である。
保護層の材料は、反射層を外力から保護するものであれば、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の有機材料;酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF、SnO等の無機材料が挙げられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いる場合は、適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を反射層の上に塗布して乾燥させれば、保護層を形成することができる。紫外線硬化性樹脂を用いる場合は、そのまま反射層の上に塗布するか、または適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を反射層の上に塗布し、紫外線光を照射して硬化させることによって、保護層を形成することができる。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は、単独で用いても、複数種を混合して用いても良い。また、保護層は、単層として形成しても、多層として形成してもよい。
保護層の形成方法としては、色素記録層と同様に、スピンコート法やキャスト法等の塗布法や、スパッタリング法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、中でもスピンコート法が好ましい。保護層の膜厚は、その保護機能を果たすためにはある程度の厚さが必要とされるため、一般に0.1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。但しあまり厚すぎると、効果が変わらないだけでなく保護層の形成に時間がかかったりコストが高くなるおそれがあるので通常100μm以下であり、好ましくは30μm以下である。なお、保護層に樹脂(例えば、ポリカーボネート)や金属等の板状の部材を用いる場合には、これら部材を、接着剤を用いて、記録層、バッファー層または反射層に接着すればよい。
また、膜面入射型の青色レーザ用の光記録媒体の場合は、保護層(又は、カバー層)は、記録再生光に対して透明で複屈折の少ない材料が選ばれ、通常は、プラスチック板(シートと呼ぶ)を接着剤で貼り合せるか、塗布後、光、放射線、または熱等で硬化して形成する。保護層は、記録再生光波長に対して透過率70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
シート剤として用いられるプラスチックは、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル、三酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート等である。接着には、光、放射線硬化、熱硬化樹脂や、感圧性の接着剤が用いられる。接着剤としてはアクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用できる。
例えば、青色レーザ用の光記録媒体の保護層(又は、カバー層)を形成する場合は、保護層(又は、カバー層)を構成する光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調整した後、この塗布液を色素記録層または界面層上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜上にポリカーボネートシートを重ね合わせる。その後、必要に応じて重ね合わせた状態で、媒体を回転させる等して塗布液をさらに延伸展開した後、UVランプで紫外線を照射して硬化させる。あるいは、感圧性接着剤をあらかじめシートに塗布し、このシートを色素記録層あるいは界面層上に重ね合わせた後、適度な圧力で押さえつけて圧着する。また、塗布法によって保護層を形成する場合には、スピンコート法、ディップ法等が用いられるが、特に、スピンコート法を用いることが多い。塗布による保護層の材料としては、ウレタン、エポキシ、アクリル系の樹脂等を用い、塗布後、紫外線、電子線、放射線を照射し、ラジカル重合もしくは、カチオン重合を促進して硬化する。
また、光記録媒体としては、2個の色素記録層を有する2層型の光記録媒体が挙げられる。2層型の光記録媒体は、通常、記録再生光が入射する側から、第1基板、第1色素記録層、第1(半透明)反射層、透明接着層、第2色素記録層、第2反射層及び第2基板を、この順番に積層した構造を有する。
第1基板と第1色素記録層を構成する材料としては、前述した本発明の基板及び(有機色素)と同様なものが挙げられる。
第1(半透明)反射層は、ある程度の光透過率を持つ反射層である。つまり、記録再生光の吸収が小さく、光透過率が40%以上あり、かつ適度な光反射率(通常、30%以上)を持つ反射層である。例えば、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせることができる。また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、第1(半透明)反射層の上層(ここでは透明接着層)の浸み出しにより第1色素記録層が影響されないよう遮断性を持つことが望ましい。
高透過率を確保するために、第1(半透明)反射層の厚さは通常、50nm以下が好適である。より好適には30nm以下である。更に好ましくは25nm以下である。但し、第1色素記録層が第1(半透明)反射層の上層により影響されないために、ある程度の厚さが必要であり、通常3nm以上とする。より好ましくは5nm以上とする。
第1(半透明)反射層の材料としては、再生光の波長で反射率が適度に高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属等の金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く、第1(半透明)反射層の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分を含んでいても良い。また、第1(半透明)反射層としてSiからなる層を用いることも可能である。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
透明接着層は、透明である必要があるほか、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。透明接着層の屈折率(記録光又は再生光の波長に対する屈折率)は、通常1.40以上1.80以下である。また、透明接着層は、第2色素記録層にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、透明接着層は通常、樹脂からなるため第2色素記録層と相溶しやすく、これを防ぎダメージを抑えるために両層の間に後述のバッファー層を設けることが望ましい。さらに、透明接着層は、第1(半透明)反射層にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために両層の間に公知の無機系又は有機系の保護層を設けることもできる。
透明接着層の膜厚は正確に制御することが好ましい。透明接着層の膜厚は、通常5μm以上が好ましい。2層の色素記録層に別々にフォーカスサーボをかけるためには両記録層の間にある程度の距離がある必要がある。フォーカスサーボ機構にもよるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上が必要である。
一般に、対物レンズの開口数が高いほどその距離は小さくてよい傾向がある。但し、あまり厚いと2層の色素記録層にフォーカスサーボを合わせるのに時間を要し、また対物レンズの移動距離も長くなるため好ましくない。また硬化に時間を要し生産性が低下する等の問題があるため、通常、100μm以下が好ましい。
透明接着層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等を挙げることができる。
透明接着層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを第1(半透明)反射層上に塗布し、乾燥(加熱)することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外光を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂には様々な種類があり、透明であればいずれも用いうる。またそれらの材料を単独であるいは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜にして用いても良い。
塗布方法としては、色素記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。或いは、粘度の高い樹脂はスクリーン印刷等によっても塗布形成できる。紫外線硬化性樹脂は、生産性を20℃〜40℃において液状であるものを用いると、溶媒を用いることなく塗布でき好ましい。また、粘度は20mPa・s〜1000mPa・sとなるように調製するのが好ましい。なお、感圧式両面テープを用い、積層構造間にそのテープを挟んで押圧することによって接着層を形成することもできる。
紫外線硬化性接着剤としては、ラジカル系紫外線硬化性接着剤とカチオン系紫外線硬化性接着剤があるが、いずれも使用可能である。ラジカル系紫外線硬化性接着剤としては、公知の全ての組成物を用いることができ、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、本発明では、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
第2色素記録層は、入射した光ビームのパワーが第1色素記録層や第1(半透明)反射層の存在等で減少し、約半分程度のパワーで記録するために、通常、片面型記録媒体(例えば、CD−R、DVD−R、DVD+R)等に用いる記録層よりも高感度であることが必要である。また、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素を用いることが望ましい。
第2色素記録層の膜厚は、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、十分な変調度を得るためには通常10nm以上が好ましく、より好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは50nm以上である。但し、適度な反射率を得るためには厚すぎない必要があるため、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。ここで、第2色素記録層の膜厚は、通常、厚膜部における膜厚をいう。尚、第1色素記録層と第2色素記録層とに用いる材料は同じでも良いし異なっていてもよい。
第2反射層の材料としては、前述したものと同様な材料が挙げられる。第2反射層は、高反射率である必要がある。また、高耐久性であることが望ましい。高反射率を確保するために、第2反射層の厚さは通常、20nm以上が好適である。より好適には30nm以上である。更に好ましくは50nm以上である。但し、生産のタクトタイムを短くし、コストを下げるためにはある程度薄いことが好ましく、通常400nm以下とする。より好ましくは300nm以下とする。
第2基板は、2層型の光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。即ち、機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるものを用いることができる。
また、第2基板は、複数の層から成るものであっても良く、例えばガラスや樹脂等の基板上に、光硬化樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も第2基板として使用できる。尚、第1基板が十分な形状安定性を備えていない場合は、第2基板は特に形状安定性が高い必要がある。この点で吸湿性が小さいことが望ましい。
第2基板は特には透明である必要はない。このような材料としては、第1基板に用いうる材料と同じものが用い得るほか、例えば、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分とした例えばMg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板等を用いることができる。
なお、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点から、上述の樹脂が好ましく、特に、ポリカーボネートが好ましい。耐薬品性、低吸湿性等の点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性等の点からは、ガラス基板が好ましい。
2層型の光記録媒体に十分な剛性を持たせるために、第2基板はある程度厚いことが好ましく、厚さは0.3mm以上が好ましい。但し薄いほうが記録再生装置の薄型化に有利であり、好ましくは3mm以下である。より好ましくは1.5mm以下である。
また、第2基板の溝の深さ(溝深さ)は、第1基板の溝の深さが、一般的な色素系光記録媒体の溝の深さよりも浅くなるようにするのが好ましい。
ここでは、透明接着層と第2色素記録層との間に中間層としてのバッファー層を設けることが好ましい。バッファー層は2つの層の混和を防止し、相溶を防ぐものである。バッファー層が混和現象を防止する以外の他の機能を兼ねていても良い。また必要に応じてさらに他の中間層を挟んでも良い。
バッファー層の材料は、第2色素記録層や透明接着層と相溶せず、かつ、ある程度の光透過性をもつ必要があるが、公知の無機物及び有機物が用いうる。特性面からは、好ましくは無機物が用いられる。例えば、金属又は半導体、金属又は半導体の酸化物、窒化物、硫化物、酸硫化物、フッ化物又は炭化物、もしくは非晶質カーボン、等が用いられる。中でも、ほぼ透明な誘電体からなる層や、ごく薄い金属層(合金を含む)が好ましい。
その他、バッファー層作製時に第2色素記録層の有機色素を溶解しないようなものであれば樹脂層でも構わない。特に、真空蒸着やCVD法で作製可能な高分子膜が有用である。
バッファー層の厚さは通常2nm以上200nm以下であり、特に、金属の場合は光の透過率を過度に低下させるため、20nm以下程度が好ましい。なお、このほか、第1(半透明)反射層と透明接着層との間等に中間層としてのバッファー層を設けてもよい。
さらに、2層型の光記録媒体において、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。また、光記録媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。
さらに、記録層を3層以上としても良い。また、本層構成の光記録媒体を2枚、第1基板を外側にして貼合わせて、記録層を4層有する、より大容量媒体とすることもできる。
なお、これら光記録媒体の基板鏡面側(記録光又は再生光の入射面)に、表面保護やゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹脂層や、無機系薄膜(例えば、SiO)等を成膜してもよい。
また、これら光記録媒体には、必要に応じて、記録光又は再生光の入射面ではない面に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、或いは各種筆記具にて記入(印刷)が可能な印刷受容層を設けてもよい。
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
金属キレート錯体(色素A)と金属キレート錯体(色素B)の重量比50:50を溶媒TFP(2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール:旭硝子株式会社製)に、重量濃度1.4(wt%)になるように加えて、有機色素を含む塗布溶液を調液した。溶媒として塗布欠陥を避けるために、直径0.1μmフィルターを通して溶液を濾過した後、トラックピッチ0.74μm、幅320nm、深さ160nmの案内溝を有する、厚さ0.6mm、基板の半径R_diskが60mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、上記の有機色素を含む溶液をスピンコート法により塗布した。塗布装置はオリジン電気株式会社製DVD−WO色素コーターラインを使用した。具体的な塗布条件は下記の通りである。
尚、色素Aと色素Bとは、図示していないが6配位の金属キレート錯体色素である。
(色素A)
Figure 2007152825
(色素B)
Figure 2007152825
温度:25℃
湿度:45%
コーターカップの排気速度:0.0m/s〜3.0m/s
ノズル内径:0.3mm(ユニコントロール株式会社製23G)
全吐出量:0.45g
次に、具体的な操作をプロセスチャートを用いて説明する。図2は、本実施例において、スピンコート法により色素を含む溶液を基板上に塗布する工程を示すプロセスチャートである。
(Step0)
先ず、塗布コーターを低速(200rpm程度)で回転する。次に、上述した有機色素を含むTFP溶液を、アームに取り付けた吐出用ノズル(ユニコントロール株式会社製23G:内径0.3mm)から、基板の半径(r)57mmの位置に吐出する。押出圧力を調整し、上記有機色素を含むTFP溶液の吐出量を0.08g/secにした。
(Step1)
次に、ノズルを25mm/secで、基板の最内周側(基板の半径(r)20mm)の位置に移動する。
(Step2)
ノズルが基板の最内周側(基板の半径(r)20mm)の位置に到達後、その位置に1.5sec間停止し、同時に基板の回転数を900rpmに増大し、基板の全面に有機色素を含むTFP溶液を拡げ、ポリカーボネート基板の全面を非乾燥状態にした。
続いて、下記(Step3)〜(Step4)により、ポリカーボネート基板上に上記有機色素を含むTFP溶液を塗布し、色素記録層を製膜した。
(Step3)
前述した(Step2)の状態に続き、基板の回転数を保持したまま(900rpm)、有機色素を含むTFP溶液を吐出しながらノズルを一定の速度(10.9mm/sec:以下の表2より、Step2からStep3で、半径38mmの距離を3.5秒で移動した。)で外周側に移動した。ノズルが基板の半径(r)=42mmの位置に到達した段階で有機色素を含むTFP溶液の吐出を打ち切り(R_stop=42mm)、その後、ノズルを基板の半径(r)=58mmの位置まで移動した。
有機色素を含むTFP溶液の吐出を打ち切ると同時に、基板の回転数を滑らかに2200rpmまで増大した。
(Step4)
ノズルを基板の半径(r)=58mmの位置まで移動した後、塗布したTFP溶液の乾燥がR_diskのおよそ半分のところに達するときに、さらに基板の回転数を3000rpm(最高回転数)に増大(最高回転数)し、基板の全面が乾燥するまで、最高回転数を保持する。乾燥終了後、速やかに回転を停止した。
尚、図2に示すプロセスチャートにおけるスピンコートの実際の条件を表1〜表4に示す。
尚、本発明の製膜条件のすべての表中の下記の項目の意味する内容は、以下のとおりである。
AST(s):各ステップで所定回転数に到達するまでの秒数
CNT(s):各ステップで所定回転数を保持する秒数
Move(s):各ステップで所定位置への移動が終了するまでの秒数
WAIT(s):各ステップで所定位置で停止している秒数
ON/OFF:各ステップで溶液を吐出する場合=ON、吐出しない場合=OFF
Up/Down:ノズルを吐出高さに移動する=Down、ノズルを待機高さへ待避する=Up
Figure 2007152825
Figure 2007152825
尚、本実施例1においては、ノズル移動速度平均Vは、10.9mm/secである。
Figure 2007152825
Figure 2007152825
ポリカーボネート基板は、上述した操作により有機色素を含むTFP溶液を塗布した後、75℃恒温オーブンで20分間乾燥した。乾燥後、ポリカーボネート基板上に製膜した色素記録層を、波長598nmの光学メータにより吸光度(OD値)を測定したところ、基板の内周側(24mm)から外周側(59mm)で、所望の平均膜厚(OD値が0.70であった。)の色素記録層が製膜されていた。尚、吸光度(OD値)の測定は、三菱化学エンジニアリング株式会社製「DVD−R膜厚検査機」で行い、あらかじめポリカーボネート基板のみの吸光度を差し引いた値を、吸光度(OD値)ゼロ点の値として測定した。
この結果から、ポリカーボネート基板上には、所望の膜厚の色素記録層が、最高回転数3000rpmという、通常よりも低回転数で、タクトタイム15.2秒という短いタクトタイムを達成し、基板の内周側から外周側に良好に製膜できることが分かった。
(比較例1)
比較のため、(StepA)〜(StepD)に示すように、従来から行われているスピンコート法により、実施例1で使用したポリカーボネート基板上に色素記録層を製膜した。スピンコート法の条件は下記の通りである。
温度:25℃
湿度:45%
コーターカップの排気速度:0.0m/s〜3.0m/s
ノズル内径:0.5mm(ユニコントロール株式会社製21G)
全吐出量:0.45g
次に、具体的な操作をプロセスチャートを用いて説明する。図3は、本比較例において、スピンコート法により色素を含む溶液を基板上に塗布する工程を示すプロセスチャートである。
(StepA)
先ず、塗布コーターを低速(150rpm程度)で回転する。次に、実施例1と同様な方法で調液した有機色素を含むTFP溶液を、内径が実施例1の場合より相対的に大きい吐出用ノズル(ユニコントロール株式会社製21G:内径0.5mm)から、基板の半径(r)30mmの位置に1.5sec間吐出する。押出圧力を調整し、有機色素を含むTFP溶液の吐出量を0.2g/secにした。その後、有機色素を含むTFP溶液を吐出したまま、吐出用ノズルを基板の最内周近傍、即ち、半径(r)24mmの位置迄移動し、TFP溶液の吐出を打ち切った。有機色素を含むTFP溶液の吐出時間は合計2.6secである。
(StepB)
続いて、有機色素を含むTFP溶液の吐出を打ち切った吐出用ノズルを基板の半径(r)30mmの位置迄移動するとともに、基板の回転数を1200rpm迄増大し、有機色素を含むTFP溶液を基板の全面に拡げた。
(StepC)
さらに、基板の回転数を滑らかに4000rpmまで増大し、基板の内周側から外周側へ向けて順次乾燥が開始した。
(StepD)
さらに、基板の回転数を最大回転数7000rpm迄増大し、最外周部まで乾燥させた。乾燥終了後、速やかに基板の回転を停止する。
実施例1の場合と同様に、ポリカーボネート基板は、上述した操作により有機色素を含むTFP溶液を塗布した後、75℃恒温オーブンで20分間乾燥した。乾燥後、ポリカーボネート基板上に製膜した色素記録層を、実施例1と同様に吸光度(OD値)を測定したところ、基板の内周側(24mm)から外周側(59mm)に実施例1と同様の、所望の平均膜厚の色素記録層が製膜されていた。この結果より、従来から行われているスピンコート法により、膜厚が均一な有機色素を含む色素記録層を製膜するためには、基板を高速(最大回転数7000rpm)で回転させる必要があることが分かる。
尚、図3に示すプロセスチャートにおけるスピンコートの実際の条件を表5〜表8に示す。
Figure 2007152825
Figure 2007152825
Figure 2007152825
Figure 2007152825
尚、本比較例1において、最大回転数を4000rpmに変えた場合(表5のStepDの回転数)には、外周側の膜厚が厚すぎて、好ましい結果が得られなかった。
以下の実験群1〜実験群3の表9〜表11におけるOD(ave.)とは、半径24mm〜半径59mmで測定した598nmでの吸光度の平均値である。
(実験群1)実験番号1〜実験番号7
実施例1において、ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)を表9のようになるように、実施例1の表3のStep2の時間を変化させた。それと共に、所望の膜厚(OD値)になるように基板の最高回転数(実施例1の表1のStep4の基板回転数)を表9に示したように設定した以外は実施例1と同様にして色素記録層を製膜した。その結果を図4に示すように、ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)と、所望の膜厚を形成するのに必要な最高回転数とは相関があることがわかる。ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)を40mm以上とすると、所望の膜厚(OD値)にするのに必要とされる最高回転数が3000rpm前後〜2000rpmと安定して低い最高回転数による膜厚の最適化が可能となる。それに対し、ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)30mm未満とすると、所望の膜厚(本実験群においてはOD値=0.67±0.01)にするために必要な塗布中の最高回転数が6000rpmを超えて上昇した。従って、本発明の効果を十分に得るためには、ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)を30mmよりも大きくすることが必要であり、より好ましくは40mm以上、つまり、Rが60mmの本実験群においては、ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)を当該基板の半分よりも大きくすることが好ましいことがわかる。
Figure 2007152825
(実験群2)実験番号8〜実験番号11
実施例1において、色素濃度を1.3wt%にし、ノズル移動速度平均Vを表10に記載するように変え、それに対応させてノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)を42.0mmになるように、実施例1の表3のStep2の時間をそれぞれ設定した以外は実施例1と同様にして色素記録層を製膜した。図5に示すように、ノズル移動速度平均Vと所望の膜厚(本実験群においてはOD値=0.67〜0.68)にするために必要な最高回転数とは相関があることがわかる。ノズル移動速度平均Vを大きく設定するほど、所望の膜厚(OD値)にするために必要な最高回転数が大きくなった。ノズル11の移動速度平均Vが、15mm/secを越える場合には、必要となる最高回転数が5000rpmを越えるため、好ましくないことがわかる。
Figure 2007152825
(実験群3)実験番号12〜実験番号15
実施例1において、色素濃度を1.2wt%にし、ノズル移動速度平均Vを表11に記載するように変え、それに対応させて、ノズル11から塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)を42.0mmにした以外は実施例1と同様にして色素記録層を製膜した。図6に示すように、ノズル移動速度平均Vと膜厚とは相関があり、ノズル移動速度平均Vが大きくなるほど、膜厚(OD値)が大きくなることがわかる。本実験群において、所望の膜厚(OD値)は0.65(±0.01)であるから、ノズル移動速度平均Vが5mm/sec以上であれば、所望の膜厚(OD値)よりも極端には小さくならないので好ましい。尚、実験群3において、色素濃度を1.30wt%、1.40wt%と1.50wt%にし、ノズル移動速度平均Vを6.73mm/sとしたところ、膜厚(OD値)は、それぞれ、0.66、0.68そして0.72と、最高回転数3000rpmで目的とする膜厚の良好な色素記録層の製膜ができた。
Figure 2007152825
以上説明したように、本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法によれば、スピンコート法により基板S上に塗布した塗布液の内周側と外周側との乾燥時間の差が減少し、厚さが均一な色素記録層を製膜することができる。その結果、内外均一性に優れた光記録媒体を製造することができる。
さらに、ノズルの先端から吐出する有機色素を含む溶液の吐出量とタクトタイムを増大せずに、基板S上に塗布液を効率よく流延させるためのスピンコート装置の最高回転数を低減することができるため、駆動モータの負担が小さくプロセス上においても安定な製造方法を提供することができる。尚、本実験群1〜3のスピンコートのプロセスチャートは、表1〜表4と同じStep総数で設定した。
(実験群4)
予備実験
トラックピッチ0.4μm、深さ65nm、幅0.22μmの案内溝を有するスタンパーを用い、ポリカーボネートの射出成形により厚さ0.6mmの基板を作成した。成形条件は固定金型温度、可動金型温度、樹脂温度を変更することで複屈折の分布を様々に変化させ、これらの基板を70℃40分加熱させて、Dr.Schwab社製のARGUSで波長650nmでの複屈折を、測定半径を変えながら測定した結果を図7に示す。これらの基板を、UV硬化型接着剤(ソニーケミカル製SK7100)を用いて、0.6mmの対向基板を貼合わせ、Dr.Schwab社製のARGUSで波長650nmでの貼合わせ後の面内複屈折を測定した結果を図7に示す。
尚、図7では、記録層、反射層を設けずに基板のみを貼合わせすることで、測定光を透過させて測定を可能にし、基板単板と対応させた、貼合わせた状態のディスクの面内複屈折の測定したのである。図7より、貼合わせ前と貼合わせ後の複屈折には相関がみられることがわかる。つまり、この結果は、貼合わせ前の基板の複屈折から、貼合わせ後の複屈折が見積もれる事を意味するのである。
さらに、波長405nm、NA(開口数)0.65のテスター(パルステック社製)を用い、線速度6.61m/s、再生パワー0.4mWで当該ディスクの測定半径を変えながらPP信号を測定したところ、図8の結果となった。
図8より、PP信号と面内複屈折とは相関があることがわかる。尚、PP信号は、十分なサーボ特性を確保するために、0.35以上であることが好ましく、また、0.6以下程度とすれば、記録信号にPP信号が大きいことに起因するノイズが十分低くすることができることから、良好な記録信号が確保しやすいと考えられる。図8により、貼合わせ前の面内複屈折を−30nm〜10nmとすることにより、上記の良好なPP信号を確保できる可能性があることがわかる。
実験群4実施例1
トラックピッチ0.4μm、深さ65nm、幅0.22μmの案内溝を有するスタンパーを用い、ポリカーボネートの射出成形により厚さ0.6mmの基板を作成した。成形条件は固定金型温度を130℃、可動金型温度を110℃とした。尚、冷却中の型締め圧は、10kNから70kNに変化させた。この基板上に、下記の構造式で示される色素C(林原生物化学研究所製 BLD−5000−1)1.2wt%のTFP溶媒溶液をスピンコート法し、色素記録層を製膜した。その後70℃で40分加熱し、溶媒を除去した。その上に120nmのAg反射膜をスパッタリングで堆積させ、UV硬化型接着剤(ソニーケミカル製SK7100)を用いて、反射膜上に0.6mmの対向基板を貼合わせた。
(色素C)
Figure 2007152825
同じ基板を70℃40分加熱させて、Dr.Schwab社製のARGUSで波長650nmでの複屈折を測定した結果を図9に示す。図9より、ユーザー使用領域である25mm〜およそ58mmまでのいずれの領域においても、複屈折が、最小で約−20nm、最大で約−5nmと、小さく、また、複屈折の最大値と最小値の差が15nmと小さく良好であることがわかる。
波長405nmの青色レーザを搭載した、NA(開口数)0.65のテスター(パルステック社製)を用い、線速度6.61m/s、再生パワー0.4mWでPP信号を測定したところ、図10の結果となった。PP信号は、ユーザー使用領域全体で0.40〜0.50と十分大きく、また、ユーザー使用領域全体でのPP信号の差が小さく、非常に良好な特性であることがわかる。
実験群4比較例1
トラックピッチ0.4μm、深さ65nm、幅0.22μmの案内溝を有するスタンパーを用い、ポリカーボネートの射出成形により厚さ0.6mmの基板を作成した。成形条件は固定金型温度を125℃、可動金型温度を107℃とした。尚、冷却中の型締め圧は、20kNから50kNに変化させた。この基板上に、実験群4の実施例1と同様に色素記録層を製膜した。その後70℃で40分加熱し、溶媒を除去した。その上に120nmのAg反射膜をスパッタリングで堆積させ、UV硬化型接着剤(ソニーケミカル製SK7100)を用いて、反射膜上に0.6mmの対向基板を貼合わせた。
同じ基板を70℃40分加熱させて、Dr.Schwab社製のARGUSで波長650nmでの複屈折を測定した結果を図9に示す。実験群4の実施例1とは異なり、ユーザー使用領域の内周側の半径25mmから半径40mmまでに、複屈折が+10nmから0nmと大きく変化し、さらに半径40mmから半径50mmで、複屈折が0nmから−30nmを下回る値と大きく変化し、さらに外周に向かって複屈折が−10nmまで変化する、という複屈折の大きな分布(複屈折の最大値と最小値の差が40nmを越えている。)を示すことがわかる。
波長405nmの青色レーザを搭載した、NA(開口数)0.65のテスター(パルステック社製)を用い、線速度6.61m/s、再生パワー0.4mWでPP信号を測定したところ、図10の結果となった。PP信号が、ユーザー領域全体で0.35を下回る値から0.55まで、大きく分布を有し、好ましくないことがわかった。
以上により、固定金型温度、可動金型温度、樹脂温度、さらには成形時の冷却中の金型の型締め圧を適切に変化させることにより、複屈折を小さくし、ユーザー領域全体での複屈折を所定の範囲まで小さくすることが可能であること、そうすることにより、青色レーザで再生しても、十分大きく、半径方法での変動が十分小さいPP信号を得ることができることがわかる。
スピンコート装置を説明するための図である。 実施例において、スピンコート法により色素を含む溶液を基板上に塗布する工程を示すプロセスチャートである。 比較例において、スピンコート法により色素を含む溶液を基板上に塗布する工程を示すプロセスチャートである。 実験群1において、ノズルから塗布液の吐出を打ち切る半径位置(R_stop)と、所望の膜厚を形成するのに必要な最高回転数との関係を説明する図である。 実験群2において、ノズル移動速度平均Vと所望の膜厚にするために必要な最高回転数との関係を説明する図である。 実験群3において、ノズル移動速度平均Vと膜厚(OD値)との関係を説明する図である。 実験群4の予備実験において、貼合わせ前と貼合わせ後の複屈折の相関を説明する図である。 実験群4の予備実験において、貼合わせ前とPP信号との相関を説明する図である。 実験群4の実施例1と比較例1の基板のみの複屈折のディスク半径依存性を説明する図である。 実験群4の実施例1と比較例1の貼合わせディスクのPP信号のディスク半径依存性を説明する図である。
符号の説明
10…塗布液供給装置、11…ノズル、12…アーム、20…スピナーヘッド装置、21…固定具、22…回転テーブル、30…飛散防止装置、31…コータカバー、32…整流部材、41…インナーカップ、42…コータカップ、100…スピンコート装置

Claims (9)

  1. 色素記録層を有する光記録媒体の製造方法であって、同心円状又はスパイラル状の溝を設けた基板上に、少なくとも、有機色素を含む溶液をスピンコート法により塗布して前記色素記録層を製膜する工程を有し、前記色素記録層を製膜する工程において、前記基板の半径をR_disk(但し、R_diskは40mm以上とする。)とし、前記基板を回転させながら該基板上に前記溶液を吐出するノズルを当該基板の内周から外周に滑らかに移動させながら前記溶液を吐出し、前記ノズルからの当該溶液の吐出を打ち切る位置R_stopを、30.0mm≦R_stop≦R_disk−1.0mmとし、吐出中のノズル移動速度平均Vを、5mm/sec≦V≦15mm/secとすることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  2. 前記ノズルからの前記溶液の吐出を打ち切る時点で、前記基板の最内周部分における塗布した溶液の乾燥が開始していることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。
  3. 前記色素記録層を製膜する工程において、前記基板上に直接又は他の層を介して、前記溶液を塗布する前に、予め、当該溶液又は所定の溶媒を用いて当該基板の全面又は前記他の層を非乾燥状態にすることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。
  4. 前記ノズルから前記溶液を吐出しつつ、当該基板の回転数を増大させながら、当該ノズルを前記基板の半径(R_disk)の2分の1(R_disk/2)より大きい位置である外周側から、当該基板の半径(R_disk)の2分の1(R_disk/2)より小さい位置である内周側に移動させることを特徴とする請求項3記載の光記録媒体の製造方法。
  5. 前記溶液は、前記有機色素とフッ素系溶媒とを含むことを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。
  6. 前記色素記録層を製膜する工程において、フッ素系溶媒に対する前記有機色素の濃度が0.4%〜2.0%の範囲で調製した前記溶液を前記基板上に塗布し、前記溶液を吐出するノズルが前記基板の最内周に位置するときに当該基板を500rpm以上で回転し、且つ、前記溶液の吐出を停止した後に、前記基板を最大回転速度2000rpm以上7000rpm以下の範囲で回転することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載された光記録媒体の製造方法により製造されたことを特徴とする光記録媒体。
  8. ポリカーボネート樹脂よりなる基板上に少なくとも情報を記録する前記記録層及び反射層を有し、該記録層、該反射層を挟んで前記基板に対向する位置に対向基板を接着し、かつ前記基板を通して青色レーザーで情報の記録再生を行う光記録媒体であって、前記基板の650nm±5nmの波長で測定した対向基板接着前の面内複屈折が、ユーザーが記録再生に使用する領域において−30nm〜+10nmの範囲であり、かつ最大値と最小値の差が35nm以下であることを特徴とする請求項7記載の光記録媒体。
  9. 650nm±5nmの波長で測定した面内複屈折が、ユーザーが記録再生に使用する領域において−30nm〜+10nmの範囲であり、かつ最大値と最小値の差が35nm以下であることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂より成る青色レーザーで情報の記録再生を行う光記録媒体に用いる基板。
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