JP3773627B2 - 情報記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を用いて情報の記録及び再生を行なうことができるヒートモード型の情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この情報記録媒体は、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、従来のCDの作製に比べて少量のCDを手頃な価格でしかも迅速に提供できる利点を有しており、最近のパーソナルコンピュータの普及に伴ってその需要も増大している。
CD−R型の情報記録媒体の代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属からなる反射層、更に樹脂製の保護層をこの順に積層した層からなる記録エリアを設けたものである。そして光ディスクへの情報の記録は、近赤外域のレーザ光(通常780nm付近の波長のレーザ光)を照射することにより行なわれ、色素記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的な変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学特性を変えることにより情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)も通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を照射することにより行なわれ、色素記録層の光学特性が変化した部位(ピットの生成などによる記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
【0003】
上記CD−R型の情報記録媒体の基板は、通常ポリカーボネートに代表される合成樹脂材料を射出成型あるいは圧縮成型などの方法で成型することによって製造される。これらの成型法は、一般に、予め案内溝や所定の記録信号(所定の凹凸模様)が形成されたスタンパ(金型)を内部に備えた加圧装置に、該装置を加熱しながら樹脂を注入し、加圧することによって、円盤状基板を成型する方法である。そしてスタンパは、その凹凸模様を有する側でその模様が形成された領域よりも内側の位置を、通常円形状の治具を用いて固定することにより、加圧装置内に取り付けられている。このため、成型された円盤状の樹脂基板には、スタンパ上の凹凸模様に対応した模様と共に、その内周側の治具に対応した位置に環状溝が形成される。
【0004】
色素記録層は、通常スピンコート法を利用して形成される。スピンコートは、内周側の端部周辺(中央円孔周縁)に記録層形成用の塗布液を滴下させ、滴下された塗布液を円盤状基板の回転により外側に流延させ、その余剰分を基板の外周端部より振り切る方法で行なわれる。このため、スピンコート法を利用して色素記録層を形成する際には、上記のような環状溝が存在すると塗布液の流れに乱れが生じ、円滑な流延が妨げられる。その結果、記録層の平面性が低下し(所謂塗布むらが生じ)、記録特性が低下するとの問題が生じる。
【0005】
特公平7−118094号公報には、上記のような環状溝による記録特性の低下を改良するために、内周環状溝より外側からスピンコート法を利用して色素記録層を形成してなる情報記録媒体が提案されている。即ち、スピンコート法による色素記録層の形成を該環状溝より外側から行なうことにより、環状溝に影響されることなく、塗布液の円滑な流延が確保されるため、高い平面性を持つ記録層の形成が可能となり、従ってより高い記録特性が得られるとされている。なお、上記公報には、図4に示されているように、具体例として、円孔42が形成された円盤状基板41上にその内周側から外周側に順に、クランピングエリアa(回転軸にディスクを固定するための領域であって、CD−Rの規格で決められた内周側の半径13mm〜外周側の半径16.5mmの領域を言う)、環状溝46、そして塗布型色素記録層43を有する記録エリアb(CD−Rの規格で決められた記録可能領域を言い、内周側の半径23mm〜外周側の半径58mmの領域を言う)が設けられてなる情報記録媒体40が記載されている。即ち、環状溝46は、クランピングエリアaの外周側端部(半径16.5mm)から幅1.25mmで形成されており、塗布液の滴下は、この環状溝46の外周側端部から0.5mm離れた位置から行なわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記公報に記載されている情報記録媒体の性能について更に検討を進めた。それによると、スピンコート法による色素記録層の形成を該環状溝より外側から行なった場合であっても、記録エリアの内周側領域(即ち、プレグルーブが形成されている内周側領域)においては色素記録層の平面性は充分高いとは言えないことが判明した。即ち、環状溝がクランピングエリアより外側にあり、しかも該環状溝より外側の基板上に記録層形成用の塗布液を滴下し、スピンコート法による塗布を行なった場合には、記録エリアの内周側領域の色素記録層においては滴下した塗布液の影響を受け易く、従って、この領域においては、色素記録層の厚みが不均一になり、その結果、満足できる記録特性が得られにくいことがわかった。
【0007】
従って、本発明の目的は、更に記録特性が改良されたヒートモード型の情報記録媒体を提供することである。特に、記録エリアの内周側領域においても記録特性の低下が少ないヒートモード型の情報記録媒体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者の研究により、環状溝をクランピングエリアより更に内周側に設けた円盤状基板を用いることにより、従来に比べて特に記録エリアの内周側領域で記録特性が改良された情報記録媒体を製造できることが見出された。これは、環状溝をクランピングエリアより更に内周側に設けることによって、記録層形成用塗布液の滴下位置をより記録エリアから離れた位置に設定でき、従って滴下した塗布液が流延して記録エリアに達した時点ではその流れに乱れが少なくなり、より安定した塗布状態が実現されるためと推定される。
【0009】
本発明は、透明な円盤状基板上に、内周側から外周側へ順に、樹脂成型工程において形成された環状溝、スピンコート法による色素溶液の滴下を受けるクランピングエリア、そして該クランピングエリアへの色素溶液の滴下を利用するスピンコート法による塗布で形成されたレーザ記録が可能な塗布型色素記録層を有する記録エリアが設けられてなる情報記録媒体にある。
【0010】
本発明は以下の態様であることが好ましい。
(1)上記環状溝がクランピングエリアの内周側端部よりも更に1〜4mm内周側に設けられている。
(2)上記塗布型色素記録層がスピンコート法によって形成されている。
(3)上記塗布型色素記録層の層厚が、20〜500nm(更に好ましくは、50〜300nm)の範囲にある。
(4)上記塗布型色素記録層の上に更に反射層を有する。
(5)上記塗布型色素記録層の上に反射層、そして保護層を順に有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の情報記録媒体を添付した図面を用いて説明する。
図1は、本発明の情報記録媒体の基板の断面模式図である。
なお、情報記録媒体は、その中心に設定されている回転軸を中心に対称の関係にあるため、図面ではその片側のみを示す。
図1において、1は基板、2は円孔、aはクランピングエリア、そしてbは記録エリアをそれぞれ示す。
クランピングエリアは、CD−Rの規格により決められている。また、記録エリアにおいても同様にCD−Rの規格により決められており、後述するプレグルーブ上に形成された色素記録層がある領域で記録可能な領域を言う。
本発明に係る基板は、環状溝6がクランピングエリアaよりも更に内周側に設けられていることを特徴とする。即ち、図において、円孔2とクランピングエリアaの間の領域に環状溝6が設けられている。
環状溝6は、この領域内であればその位置は特に限定されないが、クランピングエリアaの内周側の端部よりも1〜4mm内周側に設けられていることが好ましい。
上記のような位置に環状溝を持つ基板は、その成型工程においてスタンパを加圧装置に取りつけるための治具の位置を、クランピングエリアよりも内周側となるように設定することによって製造することができる。
環状溝6は、通常その幅が1〜5mm(好ましくは、1〜3mm)の範囲で、深さは、50〜700μmの範囲で設けられる。なお、環状溝は、その溝の縁がアール状に形成されている場合が多いため、そのような場合には、環状溝の幅の測定に際しては、その上面の開口部から溝の深さ方向にほぼ5%の位置が利用される。
【0012】
本発明の情報記録媒体には、上記のような特徴を持つ円盤状基板を用いる。
図2は、本発明に係る円盤状基板上に塗布型色素記録層及び反射層がこの順に設けられた好ましい情報記録媒体の断面模式図である。
また、図3は、本発明に係る円盤状基板上に、塗布型色素記録層及び反射層、そして更にこの上に保護層が設けられた好ましい情報記録媒体の断面模式図である。図2及び図3において、20、30は情報記録媒体、21、31は基板、22、32は円孔、23、33は色素記録層、24、34は反射層、35は保護層、そして26、36は環状溝をそれぞれ表す。
なお、所望により、例えば、支持体と塗布型色素記録層との間には下塗層などを付設することもできる。
【0013】
本発明の情報記録媒体は、例えば、以下に述べるような方法により製造することができる。
本発明の情報記録媒体として図3に示す態様を例にとって、その製造法を詳述する。
まず、図1に示されるような位置に環状溝を有する樹脂製の透明な円盤状基板を製造する。
基板材料としては、例えばポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィンおよびポリエステルなどを挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および価格などの点からポリカーボネートが好ましい。
【0014】
基板上には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブ)が形成されていることが好ましい。
このプレグルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形あるいは押出成形する際に直接基板上に形成されることが好ましい。
プレグルーブの深さは100〜3000Åの範囲にあることが好ましく、またその半値幅は、0.2〜0.9μmの範囲にあることが好ましい。
またプレグルーブの形成をプレグルーブ層を設けることにより行ってもよい。プレグルーブ層の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステル、トリエステルおよびテトラエステルのうちの少なくとも一種のモノマー(またはオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用いることができる。
プレグルーブ層は、例えば、まず精密に作られたスタンパ上に上記のアクリル酸エステルおよび重合開始剤からなる混合液を塗布し、さらにこの塗布液層上に基板を載せた後、基板またはスタンパを介して紫外線を照射し、塗布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させた後、次いで、基板をスタンパから剥離することにより得ることができる。
この場合のプレグルーブ層の層厚は一般に、0.05〜100μmの範囲にあり、好ましくは0.1〜50μmの範囲である。
【0015】
なお、記録層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上および記録層の変質防止などの目的で、下塗層が設けられてもよい。
下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。
下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0016】
基板上には、次に、塗布型色素記録層が設けられる。
色素記録層に用いる色素は特に限定されない。使用可能な色素の例としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、イミダゾキノキサリン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、メロシアニン系色素、オキソノール系色素、アルミニウム系・ジインモニウム系色素及びニトロソ化合物を挙げることができる。
これらの色素のうちでは、シアニン色素、フタロシアニン系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、オキソノール系色素及びイミダゾキノキサリン系色素が好ましい。
色素記録層の形成は、前記色素、及び所望により退色防止剤、更に結合剤を溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成したのち乾燥することにより行なわれることができる。
【0017】
色素記録層を形成するための塗布液の溶剤の例としては、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独または二種以上を適宜併用することができる。
塗布液中には更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0018】
結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、色素に対して一般に0.01〜50倍量(重量比)の範囲にあり、好ましくは、0.1〜5倍量(重量比)の範囲にある。
このようにして調製される塗布液の濃度は一般に0.01〜10重量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5重量%の範囲にある。
【0019】
塗布液の基板上への塗布は、スピンコート法を利用することが有利である。そしてこの場合の塗布液の滴下位置は、前記のように本発明に係る基板がクランピングエリアよりも内周側に環状溝を有するため、この環状溝より外周側に設定される。そして特に内周側の記録エリアにある記録層形成時の塗布液の乱れをより低減させるために、塗布液の滴下位置は、できる限り記録エリアから離れた内周側の位置に設定されることが好ましい。好ましくは、記録エリアの最内周側の位置から5mm以上、更に好ましくは8mm以上、特に10mm以上離れた内側の位置に設定される。即ち、塗布液の滴下位置をクランピングエリアの外周側端部から環状溝の外周側の端部までの範囲に設定することができる。
なお、塗布液の滴下位置を上記のような範囲に設定した場合には、塗布液がクランピングエリア上に塗布され、例えば、図2または図3に示されるように、色素記録層が形成されることになる。しかし、形成された色素記録層23、33は極めて薄いため、これによる性能への影響などは殆どない。
なお、塗布液を滴下すると、その位置から色素記録層が外周側に形成されるため、塗布液の滴下位置は色素記録層の最内周径に対応する。
色素記録層の層厚は一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にある。また、色素記録層は基板の片面のみならず両面に設けられていてもよい。
【0020】
上記記録層の上には、情報の再生時における反射率の向上の目的で、反射層が設けられる。
反射層の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。特に好ましくはAuである。
反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより記録層の上に形成することができる。
反射層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲にあり、好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ましくは50〜300nmの範囲である。
【0021】
保護層は、記録層などを物理的および化学的に保護する目的で反射層の上に設けられる。なお、基板の記録層が設けられていない側にも耐傷性、耐湿性を高める目的で保護層を設けることもできる。
保護層に用いられる材料の例としては、SiO、SiO2 、MgF2 、SnO2 、Si3 N4 等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して反射層上及び/または基板上にラミネートすることにより保護層を形成することができる。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により保護層を設けてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのち、この塗布液を塗布し、乾燥することによって保護層を形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによっても保護層を形成することができる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。
保護層の層厚は一般には0.1〜100μmの範囲にある。
【0022】
本発明の情報記録媒体は、上述した構成からなる単板であってもよいが、更に二枚の円盤状基板のうちの少なくとも一方に上記構成を有する基板を用いて、これらを色素記録層が内側となるように向い合わせ、接着剤等を用いて接合することにより、貼り合せタイプの情報記録媒体とすることもできる。あるいはまた、二枚の円盤状基板のうちの少なくとも一方に上記構成を有する基板を用いて、リング状内側スペーサとリング状外側スペーサとを介して接合することにより、エアーサンドイッチタイプの情報記録媒体とすることもできる。
本発明の情報記録媒体は上記のような方法で製造することができる。
上記構成からなる単板の情報記録媒体は、市販のCDプレーヤで再生することができる。
なお、本発明の情報記録媒体は、追記型デジタル・ビデオ・ディスク(所謂DVD−R)として構成することもできる。この場合には、DVDの規格が適応される。それによるとクランピングエリアは、基板の内周側の半径11mm〜外周側の半径16.5mmの領域が該当する。従って環状溝は、この領域のクランピングエリアよりも内周側に設けられている。
【0023】
本発明の情報記録方法は、上記情報記録媒体を用いて、例えば、次のように行われる。
まず、情報記録媒体を定線速度または定角速度にて回転させながら、基板側から半導体レーザ光などの記録用の光を照射する。通常CDフォーマットでは、1.2〜1.4m/秒の範囲の定線速度にて記録用のレーザ光が照射されるが、これの2倍速、4倍速、6倍速及び8倍速にて行なうこともできる。
レーザ光の照射によって、記録層と反射層との界面に空洞が形成される(空洞の形成は、記録層または反射層の変形、あるいは両層の変形を伴って形成される)か、基板が肉盛り変形する、あるいは記録層に変色、会合状態の変化等により屈折率が変化することにより情報が記録されると考えられる。記録光としては500nm〜850nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザービームが用いられる。用いられるレーザービーム波長は好ましくは500nm以上、800nm以下である。特に、CR−D型の情報記録媒体においては、770〜790nmの範囲の波長が適している。
上記のように記録された情報の再生は、記録後の情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザ光を基板側から照射して、その反射光を検出することにより行なわれる。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例と比較例を記載する。
[実施例1]
【0025】
【化1】
【0026】
上記の構造式で示されるシアニン色素2gを2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール100ccに溶解し、記録層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を、表面にスパイラル状のプレグルーブ及び環状溝が射出成形により形成されたポリカーボネート基板(直径:120mm、厚さ:1.2mm、帝人(株)のポリカーボネート(商品名:パンライトAD5503))のそのプレグルーブ側の表面に、スピンコートにより塗布液の滴下位置を下記のように設定して塗布し、色素記録層(厚さ(グルーブ内):約200nm)を形成した。
【0027】
プレグルーブ;トラックピッチ:1.6μm、プレグルーブ幅:0.4μm、
プレグルーブの深さ:0.16μm
環状溝;環状溝の中心:クランピングエリア(半径13mm〜半径16.5mm)の内側端部より3.0mm内側の位置(即ち、内周側半径9.375mmで外周側半径10.625mmの環状溝)
溝の幅:1.25mm、溝の深さ:120μm
塗布液の滴下位置;環状溝の外周端部から0.5mm外側の位置
(記録エリアの最内周側の位置(半径23mmの位置)から11.125mm内周側に離れた位置)
【0028】
次に、色素記録層上に、Auをスパッタして、膜厚が100nmの反射層を形成した。更に反射層上に、UV硬化性樹脂(商品名:SD−220、大日本インキ化学工業(株)製)を塗布し、紫外線を照射して層厚8μmの保護層を形成した。
以上の工程により、基板、色素記録層、反射層及び保護層からなる本発明に従うCD−R型の情報記録媒体(以下、サンプル)を製造した(図3参照)。
【0029】
[実施例2]
実施例1において、色素記録層形成用塗布液の滴下位置を下記のように変更した以外は同様にして本発明に従うCD−R型の情報記録媒体を製造した。
塗布液の滴下位置;クランピングエリアの外周端部から1.5mm内側の位置(即ち、クランピングエリア上で記録エリアの最内周側の位置(半径23mmの位置)から7.5mm内周側に離れた位置)
【0030】
[比較例1]
実施例1において、環状溝が下記の位置に設けられたポリカーボネート基板を用い、かつ色素記録層形成用塗布液の滴下位置を下記のように変更した以外は同様にして比較用のCD−R型の情報記録媒体を製造した(図4参照、但し、図4には、反射層及び保護層は設けられていない)。
環状溝;環状溝の中心:クランピングエリア(半径13mm〜半径16.5mm)の外側端部より0.625mm外側の位置(即ち、内周側半径16.5mmで外周側半径17.75mmの環状溝)
溝の幅:1.25mm、溝の深さ:120μm
塗布液の滴下位置;環状溝の外周端部から0.5mm外側の位置
(即ち、記録エリアの最内周側の位置(半径23mmの位置)から4.75mm内周側に離れた位置)
【0031】
[情報記録媒体としての評価]
得られたサンプルを波長786nmでディスク全面に記録を行なった後、OMT2000(パルステック社製)を用いて記録エリアの内周側(半径23mm)にて3TピットジッターをTIA(ヒューレットパッカード社製)にて測定した。ジッター値は小さいほど記録信号が均一であることを示す。
評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
上記表1の結果から、環状溝をクランピングエリアよりも内周側に設けた基板を用いて製造した本発明に従うサンプル(実施例1及び2)の場合には、クランピングエリアの外周側に接するように環状溝を設けた従来の基板を用いて製造した比較用のサンプル(比較例1)の場合に比べて、記録エリアの内周側の色素記録層のジッター値が小さいことが示されており、このことから、本発明に係る基板を用いることにより、内周側の記録エリアにおける記録特性を改良できることがわかる。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係る基板は、環状溝がクランピングエリアよりも内周側に設けられているため、スピンコートによる塗布液の滴下位置を基板の記録エリアから更に離れた位置に設定できる。従って、滴下した塗布液の乱れによって生じる、特に記録エリアの色素記録層の内側領域の塗布ムラの発生を回避でき、より均一な色素記録層の形成が可能となる。これによって、更に高い記録特性を持つ情報記録媒体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の情報記録媒体の基板の断面模式図を示す。
【図2】図2は、基板上に色素記録層及び反射層をこの順に有する本発明の情報記録媒体の断面模式図を示す。
【図3】図3は、基板上に色素記録層、反射層、そして保護層をこの順に有する本発明の情報記録媒体の基板の断面模式図を示す。
【図4】図4は、従来の情報記録媒体の断面模式図を示す。
【符号の説明】
20、30、40 情報記録媒体
1、21、31、41 基板
2、22、32、42 円孔
23、33 43 色素記録層
24、34 反射層
25、35 保護層
6、26、36、46 環状溝
a クランピングエリア
b 記録エリア
Claims (4)
- 透明な円盤状基板上に、内周側から外周側へ順に、樹脂成型工程において形成された環状溝、スピンコート法による色素溶液の滴下を受けるクランピングエリア、そして該クランピングエリアへの色素溶液の滴下を利用するスピンコート法による塗布で形成されたレーザ記録が可能な塗布型色素記録層を有する記録エリアが設けられてなる情報記録媒体。
- 上記環状溝がクランピングエリアの内周側端部よりも更に1〜4mm内周側に設けられている請求項1に記載の情報記録媒体。
- 前記塗布型色素記録層の層厚が、20〜500nmの範囲にある請求項1に記載の情報記録媒体。
- 前記塗布型色素記録層の上に更に反射層を有する請求項1に記載の情報記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19062897A JP3773627B2 (ja) | 1997-06-30 | 1997-06-30 | 情報記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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