JP2008041187A - 光ディスク貼り合せ方法、光ディスク製造装置及び光ディスクの製造方法 - Google Patents

光ディスク貼り合せ方法、光ディスク製造装置及び光ディスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光ディスクの内周部と外周部とで接着剤の厚さを均一に形成して高い精度でディスク基板を貼り合せ、高性能の光ディスクを製造することができる光ディスク貼り合せ方法および光ディスク製造装置を提供する。
【解決手段】支持台16上に載置された第1基板12の上面内周部12aにエネルギ線硬化樹脂14を塗布して第2基板10を重ね合わせた後、支持台16を回転させて遠心力によりエネルギ線硬化樹脂14を第1基板12と第2基板10との間に展開させるエネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階で、内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14にエネルギ線を照射して、内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14の厚さtが薄くなる前に、内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14を硬化させて、光ディスクの内周部から外周部まで厚さ均一のエネルギ線硬化樹脂14で第1基板12と第2基板10とを貼り合わせる。
【選択図】図4

Description

本発明は、光ディスク貼り合せ方法および光ディスク製造装置に関し、より詳細には、DVD、CD−Rなどの複数枚のディスク基板が貼り合わされた構造を有する光ディスクの光ディスク貼り合せ方法、光ディスク製造装置及び光ディスクの製造方法に関する。
レーザ光を用いて情報を記録し、又は再生するディスク状記録媒体(光情報記録媒体)としては、CD−R(Compact Disc-recordable)、CD-ROM(Compact Disc-read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc-read only memory)、DVD−R(digital versatile disc-recordable)、DVD−RW(digital versatile disc-rewritable)等が知られている。これらの中でDVD-ROM、DVD−R、DVD−RW等のディスク状記録媒体(以下、「光ディスク」ともいう。)は、情報記録基板およびダミー基板などの複数枚(通常、2枚)のディスク基板が接着剤により貼り合された構造とされている。
このような光ディスクとしては、回転可能な保持部材上に載置した第1のディスクの上面に接着剤を塗布して第2のディスクを重ね合わせ、保持部材を回転させて接着剤を2枚のディスク間に展開させた後、紫外線をディスクの内周側から外周側に向かって照射して接着剤を硬化させて貼り合せる製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−48828号公報
高密度で情報が記録、再生されるDVD-ROM、DVD−R、DVD−RWは、例えば、焦点深度が略2μm程度の光ピックアップにより情報が記録、再生されるため、光ディスクの径方向に沿った反り、周方向に沿った面振れ等の寸法誤差の許容範囲が極めて小さく、高い寸法精度での製造が要求される。このため、複数枚のディスク基板が接着剤によって接着される構造の光ディスクでは、光ディスクの内周部から外周部に亘って接着剤の厚さが均一であることが高い寸法精度を維持するために重要となる。
しかし、接着剤が塗布されたディスクを回転させて遠心力により接着剤を2枚のディスク間に展開させる展開方法によると、内周部に比較して外周部に大きな遠心力が作用するため、接着剤の厚さは内周部で薄く、外周部で厚くなる傾向があり、光ディスクの全面に亘って厚さが均一な接着剤層を形成することが困難であった。
特許文献1に開示されているディスク張り合わせ方法および光ディスク製造装置は、接着剤の硬化収縮に起因するディスクの変形を抑制するようにしたものであり、接着剤厚さの均一化を目的とする本発明とは異なる技術である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、光ディスクの内周部と外周部とで接着剤の厚さを均一に形成して高い精度でディスク基板を貼り合せ、高性能の光ディスクを製造することができる光ディスク貼り合せ方法および光ディスク製造装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記光ディスク貼り合せ方法および光ディスク製造装置によって達成される。
(1)エネルギ線硬化樹脂が塗布された第1基板と第2基板とを貼り合わせる光ディスク貼り合せ方法であって、
前記第1基板と第2基板とのうち一方の貼り合わせる面における内周部に前記エネルギ線硬化樹脂を塗布するエネルギ線硬化樹脂塗布工程と、
前記エネルギ線硬化樹脂を介して前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
遠心力により前記エネルギ線硬化樹脂を前記第1基板と前記第2基板との間に展開させるエネルギ線硬化樹脂展開工程と、
展開された前記エネルギ線硬化樹脂を硬化させるエネルギ線硬化樹脂硬化工程と、を有し、
前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階で、前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂にエネルギ線を照射して前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂を硬化させることを特徴とする光ディスク貼り合せ方法。
上記の光ディスク貼り合せ方法によれば、第1基板と第2基板とをエネルギ線硬化樹脂によって貼り合わせるとともに、遠心力によりエネルギ線硬化樹脂を第1基板と第2基板の間に展開させる。このとき、エネルギ線硬化樹脂の展開の初期段階で、エネルギ線を照射して内周部のエネルギ線硬化樹脂を硬化させつつ、エネルギ線硬化樹脂を展開させている。すると、遠心力によってエネルギ線硬化樹脂が十分に硬化しない状態で第1基板及び第2基板の外周方向に移動することがないため、内周部のエネルギ線硬化樹脂の厚さが薄くなることを避けることができる。これにより、光ディスクの内周部から外周部まで、厚さ均一のエネルギ線硬化樹脂で接着して高精度の光ディスクを制作することができる。
(2)前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階は、前記エネルギ線硬化樹脂が前記第1基板と前記第2基板の半径方向距離の15mm〜60mmまで展開する段階であることを特徴とする上記(1)に記載の光ディスク貼り合せ方法。
上記の光ディスク貼り合せ方法によれば、内周部のエネルギ線硬化樹脂の硬化処理を、エネルギ線硬化樹脂が光ディスクの半径方向距離の15mm〜60mmまで展開する展開初期段階に行うことで、内周部のエネルギ線硬化樹脂が遠心力により外周部方向へ移動中に、即ち、内周部のエネルギ線硬化樹脂の厚さが薄なる前に硬化させることができ、光ディスクの全面の厚さのバラツキを効果的に抑制することができる。
(3)前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階は、前記エネルギ線硬化樹脂が前記第1基板と前記第2基板の半径方向距離の15mm〜60mmまで展開する段階であることを特徴とする上記(1)に記載の光ディスク貼り合せ方法。
上記の光ディスク貼り合せ方法によれば、内周部のエネルギ線硬化樹脂の硬化処理を、エネルギ線硬化樹脂が光ディスクの半径方向距離の15mm〜40mmまで展開する展開初期段階に行うことで、内周部のエネルギ線硬化樹脂の厚さが薄くなる前に硬化させることができ、光ディスクの全面の厚さのバラツキを更に効果的に抑制することができる。
(4)前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階は、前記エネルギ線硬化樹脂が前記第1基板と前記第2基板の全面に展開する展開時間の0.5sec〜4.5sec以内の時間であることを特徴とする上記(1)に記載の光ディスク貼り合せ方法。
上記の光ディスク貼り合せ方法によれば、内周部のエネルギ線硬化樹脂の硬化処理を、エネルギ線硬化樹脂が光ディスクの全面に展開する展開時間の0.5sec〜4.5sec以内の時間に行うことで、内周部のエネルギ線硬化樹脂の厚さが薄くなる前に硬化させることができ、光ディスクの全面の厚さのバラツキを効果的に抑制することができる。
(5)前記エネルギ線は、前記エネルギ線硬化樹脂にスポット状に照射されることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の光ディスク貼り合せ方法。
上記の光ディスク貼り合せ方法によれば、エネルギ線が、エネルギ線硬化樹脂にスポット状に照射されるようにしたので、エネルギ線照射による熱発生を局部に限定することができる。これにより、ディスクの熱変形量を小さくして高精度の光ディスクを制作することができる。
(6)前記エネルギ線の照射は、エネルギ量一定の前記エネルギ線を所定の時間照射する連続照射、または時間と共にエネルギ量が変化する前記エネルギ線を照射するステップ照射であることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか1項に記載の光ディスク貼り合せ方法。
上記の光ディスク貼り合せ方法によれば、エネルギ線の照射は、エネルギ量一定のエネルギ線を照射する連続照射、またはエネルギ量が時間と共に変化するエネルギ線を照射するステップ照射としたので、エネルギ線硬化樹脂の展開条件に合わせて最適条件で照射を行い、光ディスクの内周部から外周部まで、エネルギ線硬化樹脂の厚さを均一にして貼り合わせることができる。
(7)前記エネルギ線は、紫外線であることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の光ディスク貼り合せ方法。
上記の光ディスク貼り合せ方法によれば、エネルギ線が紫外線であるので、コンパクトで扱い易く、容易且つ安価に入手可能な一般的な光源を使用して光ディスク貼り合せることができる。
(8)エネルギ線硬化樹脂が塗布された第1基板と第2基板とを貼り合わせて光ディスとする光ディスク製造装置であって、
前記第1基板を回転可能に支持する支持台と、
前記エネルギ線硬化樹脂を前記第1基板と第2基板のいずれか一方の貼り合わせ面における内周部に供給するエネルギ線硬化樹脂供給装置と、
前記エネルギ線硬化樹脂を支持台を回転させることで展開するエネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階で前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂にエネルギ線を照射するエネルギ線照射装置と、
を備えたことを特徴とする光ディスク製造装置。
上記構成の光ディスク製造装置によれば、第1基板と第2基板とをエネルギ線硬化樹脂によって貼り合わせるとともに、遠心力によりエネルギ線硬化樹脂を第1基板と第2基板の間に展開させ際に、エネルギ線硬化樹脂の展開の初期段階で、エネルギ線を照射して内周部のエネルギ線硬化樹脂を硬化させるエネルギ線照射装置を備えている。このため、エネルギ線樹脂展開工程時に、内周部のエネルギ線硬化樹脂を十分に硬化させつつ、第1基板及び第2基板の外周方向に遠心力によって移動させて展開させることができ、内周部のエネルギ線硬化樹脂の厚さが薄くなることを避けることができる。これにより、光ディスクの内周部から外周部まで、厚さ均一のエネルギ線硬化樹脂で接着して高精度の光ディスクを制作することができる。
(9) 前記エネルギ線照射装置は、LED素子から前記エネルギ線をスポット状に照射するLED照射装置であることを特徴とする上記(8)に記載の光ディスク製造装置。
上記構成の光ディスク製造装置によれば、エネルギ線照射装置が、LED素子からエネルギ線をスポット状に照射するLED照射装置であるので、水銀ランプを用いた従来の照射装置と比較してオゾン吸引機構が不要となるなど、小型化することができる。また、熱発生を抑制することによりの熱膨張の影響を低減させ、全面に亘って均一な厚さのエネルギ線硬化樹脂で基板を貼り合わせることができる。
(10) 前記エネルギ線は、紫外線であることを特徴とする上記(8)または(9)に記載の光ディスク製造装置。
上記構成の光ディスク製造装置によれば、エネルギ線が紫外線であるので、コンパクトで扱い易く、容易且つ安価に入手可能な一般的な光源を使用して光ディスク貼り合せることができる。
(11) エネルギ線硬化樹脂が塗布された第1基板と第2基板とを貼り合わせる光ディスクの製造方法であって、
前記第1基板と第2基板とのうち一方の貼り合わせる面における内周部に前記エネルギ線硬化樹脂を塗布するエネルギ線硬化樹脂塗布工程と、
前記エネルギ線硬化樹脂を介して前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
遠心力により前記エネルギ線硬化樹脂を前記第1基板と前記第2基板との間に展開させるエネルギ線硬化樹脂展開工程と、
展開された前記エネルギ線硬化樹脂を硬化させるエネルギ線硬化樹脂硬化工程と、を有し、
前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階で、前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂にエネルギ線を照射して前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂を硬化させることを特徴とする光ディスクの製造方法。
本発明の光ディスクの製造方法によれば、第1基板と第2基板との間に、エネルギ線硬化樹脂が均一の厚さで形成された光ディスクを提供することができる。
本発明によれば、光ディスクの内周部と外周部とで接着剤(エネルギ線硬化樹脂)の厚さを均一に形成して高い精度でディスク基板を貼り合せ、高性能の光ディスクを製造可能な光ディスク貼り合せ方法および光ディスク製造装置を提供できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
最初に、本発明の貼り合わせ方法、製造装置及び製造方法に適用できる光ディスクを説明する。光ディスクは、DVDやDL(片面2層式)などの情報記録媒体である。
図1は、光ディスクの構成の一例として片面2層式の構成を有するディスク構造を示す拡大部分断面図である。光ディスク1は、第1基板10と第2基板12とを中間層14を介して貼り合わせることで構成される。
第1基板12は、ポリカーボネートなどの透明材料で形成された第1透明基板42を有している。該第1透明基板42の表面には、断面視において凹凸状の第1溝部52が形成されている。第1透明基板42の表面には、第1溝部52の凹凸に沿って第1情報記録層45が形成され、第1情報記録層45上に半透明反射層46が形成されている。
第2基板10は、ポリカーボネートなどの透明材料で形成された第2透明基板40を有し、第2基板10の表面に第2溝部54が形成されている。第2透明基板40には、第2の溝部54に沿って反射層42が形成され、該反射層42上に第2情報記録層43が形成され、第2情報記録層43上にバリア層44が形成されている。
光ディスク1の第1情報記録層45に対して情報を記録する場合は、透明基板42の図中下側の端面42aから第1情報記録層45に向かう方向に記録用のレーザ光Lを照射し、レーザ光Lを第1情報記録層45に結像させて情報(ピット)を記録する。このとき、第1情報記録層45のうち、第1溝部52の凹部に対応した部分に情報が記録される。記録用のレーザ光Lとしては、600nm〜700nm(好ましくは620〜680nm、さらに好ましくは、630〜660nm)の範囲の発振波長を有する半導体レーザビームが用いられる。
第2情報記録層43に対して情報を記録する場合は、第1透明基板42の端面42aから第2情報記録層43に向かう方向に記録用のレーザ光Lを照射し、レーザ光Lを第2情報記録層43に結像させて情報(ピット)を記録する。このとき、第2情報記録層43のうち、第2溝部54の凸部に対応した部分に情報が記録される。
本実施形態は、第1基板12と、第2基板10とを貼り合わせる中間層14としてエネルギ線硬化樹脂を用いている。
図2は本発明の光ディスク製造装置の概略構成図、図3は図2における要部分解斜視図である。
光ディスク製造装置100は、光ディスクの製造過程で使用される装置であり、第2基板10と、エネルギ線硬化樹脂14が塗布された第1基板12とを重ね合わせた後、第2基板10および第1基板12を回転させて遠心力によりエネルギ線硬化樹脂(接着剤)14を2枚の基板10、12間の全面に展開させ、エネルギ線である紫外線を照射してエネルギ線硬化樹脂14を硬化させて貼り合せることで光ディスクを製造する。
図2及び図3に示すように、光ディスク製造装置100は、支持台16と、エネルギ線硬化樹脂供給装置18と、エネルギ線照射装置である紫外線照射装置20とを備える。支持台16は略円柱状の形状を有し、回転駆動装置24によって駆動されて軸心Cを中心として回転可能に構成されている。支持台16の上面には、第1基板12を載置するための平坦な支持面16aが形成されている。
なお、本実施形態では、第1基板12を支持台に載せて、該第1基板12の上に第2基板10を貼り合わせる手順を例に説明するが、第2基板10を支持台に載せて、該第2基板10の上に第1基板12を貼り合わせてもよい。
また、支持面16aには、軸心Cと同じ軸心を有するセンターピン16bが上方に突出して形成されている。センターピン16bは、上方に向かうに従って次第に細くなるテーパー状になっており、第2基板10および第1基板12の中心に形成されたセンター孔22、22が嵌合して第2基板10および第1基板12の位置決めがなされる。
センターピン16bの外周面には、支持面16a上に第2基板10および第1基板12を載置したとき、第2基板10と第1基板12の間に位置する高さに円周方向溝26が形成されている。支持台16には、円周方向溝26に連通する吸引孔28が形成されており、チューブ30を介して真空ポンプなどの吸引装置32に接続されている。吸引装置32は、制御装置34に接続されて吸引圧力や吸引タイミングなどが制御される。
エネルギ線硬化樹脂供給装置18は、第1基板12の内周部12aにエネルギ線硬化樹脂14を供給するためのものであって、支持台16に載置された第1基板12の内周部12aに対応する位置である供給位置と、支持台16から離間した待機位置との間を図示しない移動機構により移動可能となっている。
エネルギ線硬化樹脂供給装置18は制御装置34に接続されており、該制御装置34からの指令に基づいて供給位置へ移動し、所定のタイミングでノズル18aからエネルギ線硬化樹脂14を吐出して第1基板12の内周部12aに供給する。エネルギ線硬化樹脂14は、特に限定されないが、例えば、大日本インキ社製のDAICURE CLEAR SD-640などの紫外線硬化樹脂を用いることができる。
紫外線照射装置20は、エネルギ線硬化樹脂14の硬化に必要な波長帯域(例えば、365nm)の紫外線を照射するためのものであり、支持台16に載置された第1基板12の内周部12aに対応する位置である照射位置と、支持台16から離間した待機位置との間を図示しない移動機構により移動可能となっている。
本実施形態の紫外線照射装置20は、内蔵するLED素子から紫外線を照射するLED方式の照射装置であり、エネルギ線硬化樹脂14にスポット状の紫外線を照射して硬化させる。紫外線照射装置20をLED方式の照射装置とすることにより、従来の水銀ランプを用いた照射装置と比較して小型且つ長寿命であり、また発生熱量を抑制することができる。紫外線のスポット径は、特に限定されないが、直径3mm乃至8mmである。紫外線照射装置20は制御装置34に接続されており、紫外線の照度、照射タイミング、照射方式(連続照射やステップ照射)などが制御される。
次に、本実施形態の作用を図4および図5に基づいて説明する。図4は基板の貼り合せ工程を説明する工程図、図5は基板の回転と紫外線照射の関係を示すグラフである。
図4(a)に示すように、支持台16のセンターピン16bに第1基板12のセンター孔22を嵌合させて支持面16a上に第1基板12を位置決めして載置する。そして、図示しない移動機構によりエネルギ線硬化樹脂供給装置18を供給位置へ移動させた後、回転駆動装置24により支持台16をゆっくりと回転させながら、ノズル18aからエネルギ線硬化樹脂14を吐出して第1基板12の上面内周部12aに供給してリング状に塗布する。
このとき、エネルギ線硬化樹脂14は、センター孔22から半径方向に所定距離だけ離間した位置に供給されるので、エネルギ線硬化樹脂14のセンター孔22からの流下が防止される。換言すれば、第1基板12のセンター孔22近傍には、エネルギ線硬化樹脂14が塗布されていない部分がある。
次いで、図4(b)に示すように、第2基板10のセンター孔22をセンターピン16bに嵌合させ、エネルギ線硬化樹脂14を介して第2基板10と第1基板12とを重ね合わせる。第2基板10および第1基板12は、センター孔22がセンターピン16bと嵌合することにより位置決めされるので、精度よく重ね合わされる。
第1基板12の上面内周部12aにリング状に供給されたエネルギ線硬化樹脂14は、第2基板10および第1基板12を回転させることによりエネルギ線硬化樹脂14に作用する遠心力によって半径方向外方に展開される。しかし、第2基板10および第1基板12を単に回転させるだけでは、リング状に塗布されたエネルギ線硬化樹脂14の内側(センター孔22近傍)にはエネルギ線硬化樹脂14が展開されず、センター孔22近傍に未塗布部が残ることになり、好ましくない。
そこで、第2基板10および第1基板12の回転に先立って、或いは回転初期の段階で吸引装置32を作動させ、吸引孔28およびチューブ30を介して第2基板10と第1基板12の間に位置する円周方向溝26から空気を吸引する。第1基板12の上面内周部12aにリング状に塗布されたエネルギ線硬化樹脂14は、円周方向溝26から吸引される空気流に伴って半径方向内方に移動し、センター孔22近傍の未塗布部にも塗布される。これにより、エネルギ線硬化樹脂14が内周側に展開する。
吸引装置32の吸引強度や吸引タイミング、第2基板10および第1基板12の回転速度などを、制御装置34で適宜制御することにより、リング状に塗布されたエネルギ線硬化樹脂14がセンター孔22から流下することなく、また吸引孔28から吸引されることなく、センター孔22の縁部まで塗布される。
次いで、図4(c)に示すように、回転駆動装置24を作動させて支持台16と共に第2基板10および第1基板12を回転させると、第2基板10および第1基板12間にある未硬化のエネルギ線硬化樹脂14は、遠心力により外周方向に展開を開始する。
エネルギ線硬化樹脂14の展開初期段階で、紫外線照射装置20から紫外線を内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14にスポット照射して内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14を硬化させる。エネルギ線硬化樹脂14に作用する遠心力は、内周側12aより外周側12bの方が大きいので、エネルギ線硬化樹脂14が外周側12bに偏在して内周側12aのエネルギ線硬化樹脂14の厚さtが薄くなる傾向があるが、内周側12aのエネルギ線硬化樹脂14の厚さtが薄くなる前の展開初期段階において、内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14を硬化させることにより外周側12bへの移動を抑制して、内周側12aのエネルギ線硬化樹脂14の厚さtが所定の厚さとなるように制御する。
ここで、展開初期段階とは、具体的には、エネルギ線硬化樹脂14が第2基板10と第1基板12の半径方向距離Rの15mm〜60mmまで展開する段階であり、好ましくは、半径方向距離Rの15mm〜40mmまで展開する段階、或いは、エネルギ線硬化樹脂14が基板10、12の全面に展開する展開時間の0.5sec〜4.5sec以内の時間とするのがよい。
そして、図4(d)に示すように、エネルギ線硬化樹脂14が第2基板10と第1基板12の間に展開した後、紫外線照射装置20を半径方向に移動させるなどして全面のエネルギ線硬化樹脂14を硬化させて第2基板10と第1基板12とを貼り合わせる。このとき、余剰のエネルギ線硬化樹脂14aは、第2基板10および第1基板12の径方向外方に排除される。
紫外線照射装置20から照射する紫外線の照度、照射タイミング、照射方式(連続照射やステップ照射)および支持台16の回転速度などは、制御装置34で適宜制御することにより、基板10、12の全面に亘ってエネルギ線硬化樹脂14の厚さtを均一にすることができる。
本実施形態の光ディスク製造装置100によれば、光ディスクの内周部と外周部とでエネルギ線硬化樹脂(中間層)14の厚さを均一に形成して高い精度で基板10、12を貼り合せるので、高性能の光ディスクを製造することができる。
また、本発明に係る光ディスク貼り合せ方法によれば、支持台16上に載置された第1基板12の上面内周部12aにエネルギ線硬化樹脂14を塗布して第2基板10を重ね合わせ、支持台16を回転させて遠心力によりエネルギ線硬化樹脂14を第1基板12と第2基板10との間に展開させる。このエネルギ線硬化樹脂14の展開の初期段階で、エネルギ線を照射して内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14を硬化させて第1基板12と第2基板10を貼り合わせるようにしたので、内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14が遠心力により外周方向に移動して厚さtが薄くなる前に、内周部12aのエネルギ線硬化樹脂14を硬化させることができる。これにより、光ディスクの内周部から外周部まで、厚さ均一のエネルギ線硬化樹脂14で接着して高精度の光ディスクを制作することができる。
第1透明基板42及び第2透明基板40としては、従来の光ディスクの基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。 具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
これらの樹脂を用いた場合、射出成形を用いて第1透明基板42及び第2透明基板40を作製することができる。
また、第1透明基板42及び第2透明基板40の厚さは、0.7〜2mmの範囲であり、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
また、第1透明基板42に形成される第1溝部52並びに第2透明基板40に形成される第2溝部54のトラックピッチは、上限値が500nm以下であることが好ましく、420nm以下であることがより好ましく、370nm以下であることがさらに好ましく、330nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上であることがさらに好ましく、260nm以上であることが特に好ましい。
第1溝部52及び第2溝部54の幅(半値幅)は、上限値が250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、170nm以下であることがさらに好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、23nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。
第1溝部52及び第2溝部54の(溝)深さは、上限値が150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、70nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、28nm以上であることが特に好ましい。
第1溝部52及び第2溝部54の角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましく、60°以下であることがさらに好ましく、50°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることがさらに好ましい。
なお、第1溝部52及び第2溝部54に関する上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
これら第1溝部52及び第2溝部54の値は、AFM(原子間力顕微鏡)により測定することができる。
そして、例えば第1溝部52の角度とは、第1溝部52の溝深さをDとした時、溝形成前の第1透明基板42の表面を基準とし、その表面からD/10の深さの傾斜部と、溝の最も深い個所からD/10の高さの傾斜部とを結ぶ直線と、第1透明基板42の面(溝部の底面)とのなす角度である。これは、第2溝部54の角度も同様である。
また、第1及び第2の実施の形態に係る光ディスク10A及び10Bが、再生専用の光ディスクである場合、上記の第1溝部52及び第2溝部54を形成するのと同時に、所定の情報を示すピットが形成される。
なお、第1透明基板42及び第2透明基板40の表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
第1情報記録層45及び第2情報記録層43は、色素を記録物質として含有する色素型とすることが好ましい。第1情報記録層45及び第2情報記録層43に含有される記録物質としては、色素等の有機化合物や相変化金属化合物等が挙げられる。
中でも、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な、色素型の第1情報記録層45及び第2情報記録層43であることが好ましい。色素型の第1情報記録層45及び第2情報記録層43は、記録波長領域に吸収を有する色素を含有していることが好ましい。当該色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられ、中でも、オキソノール色素が好ましい。オキソノール色素を含有させることで長期間にわたり安定した記録再生特性の維持を実現することができる。
ここで、第1情報記録層45及び第2情報記録層43にて使用されるオキソノール色素について説明する。
オキソノール色素の具体例としては、F.M.Harmer著、Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds、John&Wiley&Sons、New York、London、1964年刊に記載のもの等が挙げられる。
オキソノール色素は、該当する活性メチレン化合物とメチン源(メチン染料にメチン基を導入するために用いられる化合物)との縮合反応によって合成することができる。
この種の化合物についての詳細は、特公昭39−22069号公報、同43−3504号公報、同52−38056号公報、同54−38129号公報、同55−10059号公報、同58−35544号公報、特開昭49−99620号公報、同52−92716号公報、同59−16834号公報、同63−316853号公報、同64−40827号公報、並びに英国特許第1133986号明細書、米国特許第3247127号明細書、同4042397号明細書、同4181225号明細書、同5213956号明細書、同5260179号明細書を参照することができる。また、特開昭63−209995号公報、特開平10−309871号公報、特開2002−249674号公報にも記載されている。
オキソノール色素は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。また、既述のオキソノール色素とこれ以外の色素化合物とを併用してもよい。併用する色素は、アゾ色素(金属イオンとの錯体化したものを含む)、ピロメテン色素、シアニン色素等が例として挙げられる。
色素は、熱分解温度が100℃〜350℃の範囲にあるものが好ましい。さらには、150℃〜300℃の範囲にあるものが好ましい。さらには、200℃から300℃の範囲にあるものが好ましい。
第1情報記録層45及び第2情報記録層43に用いる色素(「既述のオキソノール色素」又は「既述のオキソノール色素及びこれと併用する色素」)のアモルファス膜の光学特性上、複素屈折率の係数n(実部:屈性率)、k(虚部:消衰係数)は、好ましくは、2.0≦n≦3.0、0.005≦k≦0.30である。さらに好ましくは、2.1≦n≦2.7、0.01≦k≦0.15である。最も好ましくは、2.15≦n≦2.50、0.03≦k≦0.10である。
第1情報記録層45及び第2情報記録層43には、さらに耐光性を向上させるための種々の褪色防止剤を含有することができる。褪色防止剤の代表例としては、特開平3−224793号公報に記載の一般式(III)、(IV)もしくは(V)で表される金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩や特開平2−300287号公報や特開平2−300288号公報に示されているニトロソ化合物、特開平10−151861号公報に示されているTCNQ誘導体等を挙げることができる。
第1情報記録層45及び第2情報記録層43の形成は、既述のオキソノール色素、さらに所望によりクエンチャ、結合剤等を溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を第1透明基板42の表面及び第2透明基板40の表面に塗布して塗膜を形成したのち、乾燥することにより行うことができる。前記塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;シクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノ−ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレンングリコールモノエチルエーテル、プロピレンングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する化合物の溶解性を考慮して単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等の各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤の例としては、例えばゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子を挙げることができる。
第1情報記録層45及び第2情報記録層43の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、既述のオキソノール色素を始めとした色素の量に対して一般に0.01〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液の色素濃度は一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。第1情報記録層45及び第2情報記録層43はそれぞれ単層でも重層でもよい。第1情報記録層45及び第2情報記録層43の層厚は一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にある。
次に、半透明反射層46及び反射層48について説明すると、反射層48の材料である光反射性物質は、レーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。
これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼であり、特に好ましいものはAgである。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは2種以上の組み合わせで、又は合金として用いてもよい。反射層48は、例えば上記反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより第1情報記録層45上、第2情報記録層43上及び第2透明基板40上に形成することができる。
そして、半透明反射層46の層厚は、2〜150nmの範囲にあることが好ましい。また、反射層48の層厚は、一般には10〜300nmの範囲にあり、好ましくは50〜200nmの範囲である。
次に、バリア層44は、第2情報記録層43等を物理的及び化学的に保護する目的で設けられる。このバリア層44は、第1透明基板42や第2透明基板40のうち、第1情報記録層45及び第2情報記録層43が設けられていない部分にも耐傷性、耐湿性を高める目的で設けられてもよい。
バリア層44に用いられる材料としては、例えば、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si34、ZnO−Ga23等の無機物質;熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質;を挙げることができる。
バリア層44は、真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けることができる。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を使用する場合には、これらを適当な溶剤に溶解した塗布液を調製したのち、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによっても形成することができる。これらの塗布液中には、さらに帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。バリア層44の層厚は、一般には1nm〜10μmの範囲にある。
次に、中間層14は、上述したように、少なくとも第1情報記録層45と第2情報記録層43との間に設けられる。
中間層14及び接着層48の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、感圧式両面テープ等や、SiO2等の無機材料等が挙げられる。また、これらの材料を単独又は混合してもよいし、一層だけではなく多層膜にして用いてもよい。このような中間層14は、スピンコート法やキャスト法、スパッタ法により形成することができる。中間層14の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは10〜70μmである。
次に、本発明の効果を具体的に確認するため、上記実施形態で示す手順で作成した光ディスクと、従来の手法により作成した光ディスクとについて、下記に示す条件に基づいて、展開されたエネルギ線硬化樹脂の状態を比較する試験を行った。本試験ではエネルギ線として紫外線を使用し、エネルギ線硬化樹脂として紫外線硬化樹脂を使用した。紫外線硬化樹脂として、大日本インキ社製のDAICURE CLEAR SD-640を使用した。
実施例1から5の光ディスクは、エネルギ線硬化樹脂の展開初期段階で内周部のエネルギ線硬化樹脂に紫外線を照射する本発明に係る貼り合せ方法の手順に従って作成した。
比較例1の光ディスクは、エネルギ線硬化樹脂の展開初期段階では、紫外線を照射せずに、基板の回転開始後に内周部のエネルギ線硬化樹脂に紫外線を照射を所定時間だけ照射した。
図6は、従来の貼り合せ方法による光ディスクの半径方向位置rとエネルギ線硬化樹脂厚さtとの関係を示すグラフである。図7は、エネルギ量一定の紫外線を連続照射して貼り合せた本発明の光ディスクの半径方向位置rとエネルギ線硬化樹脂厚さtとの関係を示すグラフである。図8は、照射のエネルギー量を段階的に高くしたステップ照射により貼り合せた本発明の光ディスクの半径方向位置rとエネルギ線硬化樹脂厚さtとの関係を示すグラフである。
実施例及び比較例の試験の結果を図9に示す。
実施例1は、展開時の基板の回転数を2800rpmに、4.67秒で立ち上げた。紫外線を照射する照射装置としては照射スポット径10mmを使用し、基板の回転中心から半径方向28mmの位置に固定して照射を行った。紫外線照射の条件は、一定のエネルギー量で紫外線を照射した。基板の回転開始から2秒後に紫外線内周部のエネルギ線硬化樹脂に紫外線を照射を開始し、回転開始から4秒後に紫外線の照射を終了した。エネルギ線硬化樹脂の展開後の厚さを基板中心から半径方向の距離ごとに平均値で求め、そのうち最大のものを最大平均厚さ(Tmax)とし、最小のものを最小平均厚さ(Tmin)とすると、最大平均厚さが50μmであり、最小平均厚さ(Tmin)が48μmであった。そして、展開したエネルギ線硬化樹脂の厚さのふれ具合を示すため、最大平均厚さと最小平均厚さとの差をふれ幅とすると、ふれ幅が2μmとなり、エネルギ線硬化樹脂の厚さがほぼ均一であることが確認できた。
実施例2は、展開時の基板の回転数を2800rpmに、5.0秒で立ち上げた。紫外線を照射する照射装置としては照射スポット径10mmを使用し、基板の回転中心から半径方向28mmの位置に固定して照射を行った。紫外線照射の条件は、一定のエネルギー量で紫外線を照射した。基板の回転開始から2秒後に紫外線内周部のエネルギ線硬化樹脂に紫外線を照射を開始し、回転開始から4秒後に紫外線の照射を終了した。すると、本実施例では、最大平均厚さが51μmであり、最小平均厚さ(Tmin)が48μmであり、この結果、ふれ幅が3μmとなり、エネルギ線硬化樹脂の厚さがほぼ均一であることが確認できた。
実施例3は、展開時の基板の回転数を2800rpmに、5.0秒で立ち上げた。紫外線を照射する照射装置としては照射スポット径10mmを使用し、基板の回転中心から半径方向28mmの位置に固定して照射を行った。紫外線照射の条件は、照射のエネルギー量を段階的に高くするステップ照射Aを行った。基板の回転開始から2秒後に紫外線内周部のエネルギ線硬化樹脂に紫外線を照射を開始し、回転開始から4秒後に紫外線の照射を終了した。すると、本実施例では、最大平均厚さが51μmであり、最小平均厚さ(Tmin)が48μmであり、この結果、ふれ幅が3μmとなり、エネルギ線硬化樹脂の厚さがほぼ均一であることが確認できた。
実施例4は、展開時の基板の回転数を2800rpmに、5.0秒で立ち上げた。紫外線を照射する照射装置としては照射スポット径10mmを使用し、基板の回転中心から半径方向28mmの位置に固定して照射を行った。紫外線照射の条件は、照射のエネルギー量を段階的に高くするステップ照射Bを行った。基板の回転開始から2秒後に紫外線内周部のエネルギ線硬化樹脂に紫外線を照射を開始し、回転開始から4秒後に紫外線の照射を終了した。すると、本実施例では、最大平均厚さが51μmであり、最小平均厚さ(Tmin)が48μmであり、この結果、ふれ幅が3μmとなり、エネルギ線硬化樹脂の厚さがほぼ均一であることが確認できた。
実施例5は、展開時の基板の回転数を2800rpmに、4.67秒で立ち上げた。紫外線を照射する照射装置としては照射スポット径10mmを使用し、基板の回転中心から半径方向28mmの位置に固定して照射を行った。紫外線照射の条件は、照射のエネルギー量を段階的に高くするステップ照射Bを行った。基板の回転開始から2秒後に紫外線内周部のエネルギ線硬化樹脂に紫外線を照射を開始し、回転開始から4秒後に紫外線の照射を終了した。すると、本実施例では、最大平均厚さが53μmであり、最小平均厚さ(Tmin)が48μmであり、この結果、ふれ幅が5μmとなり、エネルギ線硬化樹脂の厚さがほぼ均一であることが確認できた。
比較例1は、展開時の基板の回転数を2800rpmに、5.0秒で立ち上げた。紫外線を照射する照射装置としては照射スポット径10mmを使用し、基板の回転中心から半径方向28mmの位置に固定して照射を行った。紫外線照射の条件は、照射のエネルギー量を段階的に高くするステップ照射Bを行った。基板の回転開始から2秒後に紫外線内周部のエネルギ線硬化樹脂に紫外線を照射を開始し、回転開始から4秒後に紫外線の照射を終了した。すると、本実施例では、最大平均厚さが51μmであり、最小平均厚さ(Tmin)が48μmであり、この結果、ふれ幅が3μmとなり、エネルギ線硬化樹脂の厚さがほぼ均一であることが確認できた。
尚、本発明は、前述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
また、本発明においては、DVDやDLなどの光ディスクを貼り合わせるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、貼り合わせて制作される他の形態のディスクにおいても同様に適用することができる。
光ディスクの構造を説明する部分拡大断面図である。 本発明の光ディスク製造装置の概略構成図である。 図1における要部分解斜視図である。 基板の貼り合せ工程を説明する工程図であり、(a)はエネルギ線硬化樹脂が第1基板の内周部に供給された状態を示す断面図、(b)は第2基板が重ね合わされた状態を示す断面図、(c)は第1基板および第2基板が回転してエネルギ線硬化樹脂が展開を開始すると共に紫外線が内周部に照射される状態を示す断面図、(d)は第1基板及び第2基板が均一厚さのエネルギ線硬化樹脂で貼り合わされて余剰のエネルギ線硬化樹脂が廃棄される状態を示す断面図である。 基板の回転と紫外線照射の関係を示すグラフである。 従来の貼り合せ方法による光ディスクの半径方向位置とエネルギ線硬化樹脂厚さとの関係を示すグラフである。 エネルギ量一定の紫外線を連続照射して貼り合せた本発明の光ディスクの半径方向位置とエネルギ線硬化樹脂厚さとの関係を示すグラフである。 紫外線のエネルギ量が時間と共にステップ状に変化するステップ照射により貼り合せた本発明の光ディスクの半径方向位置とエネルギ線硬化樹脂厚さとの関係を示すグラフである。 実施例及び比較例を示す表である。
符号の説明
10 第2基板
12 第1基板
14 エネルギ線硬化樹脂(中間層)
16 支持台
18 エネルギ線硬化樹脂供給装置
20 紫外線照射装置(LED照射装置、エネルギ線照射装置)
100 光ディスク製造装置
R 基板の半径方向距離

Claims (12)

  1. エネルギ線硬化樹脂が塗布された第1基板と第2基板とを貼り合わせる光ディスク貼り合せ方法であって、
    前記第1基板と第2基板とのうち一方の貼り合わせる面における内周部に前記エネルギ線硬化樹脂を塗布するエネルギ線硬化樹脂塗布工程と、
    前記エネルギ線硬化樹脂を介して前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
    遠心力により前記エネルギ線硬化樹脂を前記第1基板と前記第2基板との間に展開させるエネルギ線硬化樹脂展開工程と、を有し、
    前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階で、前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂にエネルギ線を照射して前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂を硬化させることを特徴とする光ディスク貼り合せ方法。
  2. 前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階は、前記エネルギ線硬化樹脂が前記第1基板と前記第2基板の半径方向距離の15mm〜60mmまで展開する段階であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク貼り合せ方法。
  3. 前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階は、前記エネルギ線硬化樹脂が前記第1基板と前記第2基板の半径方向距離の15mm〜40mmまで展開する段階であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク貼り合せ方法。
  4. 前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階は、前記エネルギ線硬化樹脂が前記第1基板と前記第2基板の全面に展開する展開時間の0.5sec〜4.5sec以内の時間であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク貼り合せ方法。
  5. 前記エネルギ線は、前記エネルギ線硬化樹脂にスポット状に照射されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光ディスク貼り合せ方法。
  6. 前記エネルギ線の照射は、エネルギ量一定の前記エネルギ線を所定の時間照射する連続照射、または時間と共にエネルギ量が変化する前記エネルギ線を照射するステップ照射であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光ディスク貼り合せ方法。
  7. 前記エネルギ線は、紫外線であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光ディスク貼り合せ方法。
  8. 展開された前記エネルギ線硬化樹脂を硬化させるエネルギ線硬化樹脂硬化工程をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光ディスク貼り合せ方法。
  9. エネルギ線硬化樹脂が塗布された第1基板と第2基板とを貼り合わせて光ディスとする光ディスク製造装置であって、
    前記第1基板を回転可能に支持する支持台と、
    前記エネルギ線硬化樹脂を前記第1基板と第2基板のいずれか一方の貼り合わせ面における内周部に供給するエネルギ線硬化樹脂供給装置と、
    前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階で前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂にエネルギ線を照射するエネルギ線照射装置と、
    を備えたことを特徴とする光ディスク製造装置。
  10. 前記エネルギ線照射装置は、LED素子から前記エネルギ線をスポット状に照射するLED照射装置であることを特徴とする請求項9に記載の光ディスク製造装置。
  11. 前記エネルギ線は、紫外線であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の光ディスク製造装置。
  12. エネルギ線硬化樹脂が塗布された第1基板と第2基板とを貼り合わせる光ディスクの製造方法であって、
    前記第1基板と第2基板とのうち一方の貼り合わせる面における内周部に前記エネルギ線硬化樹脂を塗布するエネルギ線硬化樹脂塗布工程と、
    前記エネルギ線硬化樹脂を介して前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
    遠心力により前記エネルギ線硬化樹脂を前記第1基板と前記第2基板との間に展開させるエネルギ線硬化樹脂展開工程と、
    展開された前記エネルギ線硬化樹脂を硬化させるエネルギ線硬化樹脂硬化工程と、を有し、
    前記エネルギ線硬化樹脂展開工程の初期段階で、前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂にエネルギ線を照射して前記内周部の前記エネルギ線硬化樹脂を硬化させることを特徴とする光ディスクの製造方法。
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