JP2005174406A - 光情報記録媒体、光情報記録媒体の製造方法、及び光情報記録方法 - Google Patents

光情報記録媒体、光情報記録媒体の製造方法、及び光情報記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 温度や温度が急変した環境下での反りの変化量を低減し、記録再生特性が良好な光情報記録媒体を提供する。
【解決手段】 厚さ0.7〜2mmの基板上に、ピット又は記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、前記レーザ光の入射面とは反対の面上に、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上のインク吸収性樹脂層を更に有することを特徴とする光情報記録媒体。該光情報記録媒体における前記インク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法又は塗布法により設けられてなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定波長のレーザ光を用いて記録及び再生を行うことができる光情報記録媒体、光情報記録媒体の製造方法、及び光情報記録方法に関する。
従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金等の金属からなる反射層、更に樹脂製の保護層(カバー層)がこの順に積層したものである。そしてこのCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザ光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的或いは化学的変化(例えば、ピットの生成)によりその部分の光学的特性が変化することにより情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化していない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが提案されている(例えば、「日経ニューメディア」別冊「DVD」、1995年発行)。このDVD−Rは、照射されるレーザ光のトラッキングのための案内溝(プリグルーブ)がCD−Rの半分以下(0.74〜0.8μm)という狭い溝幅で形成された透明な円盤状基板上に、通常、有機色素を含有する記録層、反射層、及び保護層をこの順に積層したディスク2枚を記録層を内側にして貼り合わせた構造、或いはこのディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを記録層を内側にして貼り合わせた構造を有している。そして、このDVD−Rへの情報の記録及び再生は、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)を照射することにより行われており、CD−Rより高密度の記録が可能である。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映開始も開始された。このような状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができる大容量の記録媒体が必要とされている。DVD−Rは現状では大容量の記録媒体としての役割を十分に果たしているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であり、これらの要求に対応できる記録媒体の開発も必要である。このため、DVD−Rよりも更に短波長の光で高密度の記録を行なうことができる、より大容量の記録媒体の開発が進められている。
通常、光情報記録媒体の高密度化は、記録及び再生用レーザの短波長化、対物レンズの高NA化によりビームスポットを小さくすることで達成することができる。最近では、波長680nm、650nm及び635nmの赤色半導体レーザから、更に超高密度の記録が可能となる波長400nm〜500nmの青紫色半導体レーザ(以下、青紫色レーザと称する。)まで開発が急速に進んでおり、それに対応した光情報記録媒体の開発も行われている。特に、青紫色レーザの発売以来、該青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムの開発が検討されており、相変化する記録層を有する書換型光情報記録媒体及び光記録システムは、既に、DVR−Blueシステムとして発表されている(例えば、非特許文献1参照。)。また、有機色素を用いた追記型光情報記録媒体であって、青紫レーザーにより記録・再生を行うDVR−Blueディスクも発表されている(例えば、非特許文献2参照。)。これらの光情報記録媒体により、高密度化という課題に対しては、一定の成果が得られた。
上述のような青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに用いる光情報記録媒体は、青紫色レーザ光を記録層に照射させる際、高NAの対物レンズの焦点を合わせるために、レーザ光が入射する面を有するカバー層を薄化させている(例えば、特許文献1参照。)。ここで、カバー層としては、例えば、基板と同様の材質の薄いフィルムが使用され、接着剤又は粘着剤を用いて記録層に接着されている。カバー層の厚さは、通常、接着剤や粘着剤が硬化し形成された接着層又は粘着層を含め約100μmであるが、照射されるレーザの波長やNAにより最適化される。
このようにカバー層が薄化したことで、上記の光情報記録媒体は、記録層を中心とすると、基板とカバー層との厚みのバランスが偏ったものとなる。これは、例えば、湿度が急激に上昇した環境におかれた場合に、基板は水分の吸収が多く、一方、カバー層の方は水分の吸収が少ないという状況ができ、両層の収縮率や膨張率の差として顕著に現れることになる。このように、基板とカバー層との厚みのバランスが偏り、両層の収縮率や膨張率が異なると、温度や温度が急変した場合に、反りの変化量が大きくなり、結果的に、記録再生特性も低下するという問題を有していた。
"ISOM2000"210〜211頁 "ISOM2001"218〜219頁 特許第3,431,612号公報
本発明は、前記の如き問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、温度や温度が急変した環境下での反りの変化量を低減し、記録再生特性が良好な光情報記録媒体、該光情報記録媒体の製造方法、及び当該光情報記録媒体を用いた光情報記録方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、印刷可能なインク吸収性樹脂層を有する光情報記録媒体であって、温度や温度が急変した環境での保存後であっても、良好な印刷が可能な光情報記録媒体、該光情報記録媒体の製造方法、及び当該光情報記録媒体を用いた光情報記録方法を提供することにある。
前記課題は、下記に示す本発明により解決される。
すなわち、本発明の光情報記録媒体は、厚さ0.7〜2mmの基板上に、ピット又は記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有し、前記カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び/又は再生を行う光情報記録媒体であって、
前記レーザ光の入射面とは反対の面上に、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上のインク吸収性樹脂層を更に有することを特徴とする。
また、本発明の光情報記録媒体において、インク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法又は塗布法により設けられることが好ましい態様である。
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、上記の本発明の光情報記録媒体におけるインク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法又は塗布法により設けられることを特徴とする。
本発明の情報記録方法は、前記光情報記録媒体が前記記録層を有する場合、前記カバー層側から波長100〜600nmのレーザ光を照射し、当該記録層を物理的或いは化学的に変化させて記録を行うことを特徴とする。
本発明によれば、温度や温度が急変した環境下での反りの変化量を低減し、記録再生特性が良好な光情報記録媒体、該光情報記録媒体の製造方法、及び当該光情報記録媒体を用いた光情報記録方法を提供することができる。
また、印刷可能なインク吸収性樹脂層を有する光情報記録媒体であって、温度や温度が急変した環境での保存後であっても、良好な印刷が可能な光情報記録媒体、該光情報記録媒体の製造方法、及び当該光情報記録媒体を用いた光情報記録方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光情報記録媒体は、厚さ0.7〜2mmの基板上に、ピット又は記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び/又は再生を行う光情報記録媒体であって、
前記レーザ光の入射面とは反対の面上に、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上のインク吸収性樹脂層を更に有することを特徴とする。
ここで、本発明の光情報記録媒体は、少なくとも、基板と、ピット又は記録層と、カバー層と、インク吸収性樹脂層と、を有する態様である。この態様を有する光情報記録媒体としては、予め、ピット(記録部)に情報が書き込まれており、レーザ光の照射により再生のみが可能な再生専用の光情報媒体や、レーザ光の照射により情報の記録及び再生が可能な、追記型若しくは書き換え可能型の光情報記録媒体がある。
まず、これらの必須の部材について順に説明する。
〔基板〕
本発明おける基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。
また、基板の厚さは、0.7〜2mmの範囲であることを要し、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
また、基板には、記録層が設けられる側の面に、トラッキング用の案内溝又はアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が形成されている。より高い記録密度を達成するためにはCD−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッチのプリグルーブが必要となる。例えば、本発明の光情報記録媒体を、好適な、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合には、形成されるプリグルーブは以下に示す範囲のものであることが好ましい。
プリグルーブのトラックピッチは、上限値が500nm以下であることが好ましく、420nm以下であることがより好ましく、370nm以下であることが更に好ましく、330nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上であることが更に好ましく、260nm以上であることが特に好ましい。
プリグルーブの幅(半値幅)は、上限値が250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、170nm以下であることが更に好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、23nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることが更に好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。
プリグルーブの(溝)深さは、上限値が150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、70nm以下であることが更に好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることが更に好ましく、28nm以上であることが特に好ましい。
プリグルーブの角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましく、60°以下であることが更に好ましく、50°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることが更に好ましい。
なお、上記のプリグルーブに関する上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
これらのプリグルーブの値は、AFM(原子間力顕微鏡)により測定することができる。なお、上記プリグルーブの角度とは、グルーブの溝深さをDとした時、溝形成前の基板の表面を基準とし、その表面からD/10の深さの傾斜部と、溝の最も深い個所からD/10の高さの傾斜部と、を結ぶ直線と、基板面(溝部底面)と、が成す角度である。
また、本発明の光情報記録媒体が、再生専用の光情報媒体である場合、上記のプリグルーブを形成するのと同時に、所定の情報を示すピットが形成される。
このような溝形状を有するプリグルーブ(及びピット)を有する基板を作製するには、射出成型時に用いるスタンパが、高精度なマスタリングにより形成されることが必要である。このマスタリングには、上述の溝形状を達成するために、DUV(波長330nm以下、深紫外線)レーザーや、EB(電子ビーム)によるカッティングが用いられることが好ましい。
一方、UVレーザーや可視光レーザーでは、本発明のような溝形状を形成するための、良好なマスタリングを行うことが困難である。
なお、後述する光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
〔記録層〕
本発明における記録層は、色素を記録物質として含有する色素型とすることが好ましいが、これに限定されず、無機追記型(ライトワンス型)、相変化型、光磁気型、再生専用型等とすることもできる。
従って、記録層に含有される記録物質としては、色素等の有機化合物や相変化金属化合物等が挙げられる。
中でも、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な、色素型の記録層であることが好ましい。かかる色素型の記録層は、記録波長領域に吸収を有する色素を含有していることが好ましい。当該色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
このような記録層は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基板上又は後述する光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10〜40℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、下限値が、15℃以上であり、20℃以上であることが更に好ましく、23℃以上であることが特に好ましい。また、下限値としては、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一とすることができる。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、記録層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
塗布の際、塗布液の温度は、23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜50℃の範囲であることが特に好ましい。
このようにして形成された記録層の厚さは、グルーブ(前記基板において凸部)上で、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましく、180nm以下であることが特に好ましい。下限値としては、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、70nm以上であることが更に好ましく、90nm以上であることが特に好ましい。
また、記録層の厚さは、ランド上(前記基板において凹部)で、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。下限値としては、70nm以上であることが好ましく、90nm以上であることがより好ましく、110nm以上であることが更に好ましい。
更に、グルーブ上の記録層の厚さ/ランド上の記録層の厚さの比は、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることが更に好ましく、0.7以上であることが特に好ましい。上限値としては、1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
塗布液が結合剤を含有する場合、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。
また、記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
以上、記録層が色素型記録層である場合の溶剤塗布法について述べたが、記録層は記録物質の物性に合わせ、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
例えば、記録物質として相変化金属化合物を用いた場合には、このような成膜法を用いて記録層を形成することがで好ましい。ここで、相変化金属化合物としては、SbTe、AgSbTe、InAgSbTe等のいずれを用いてもよい。
〔カバー層〕
本発明におけるカバー層は、上述した記録層又は後述するバリア層上に、接着剤や粘着剤を介して貼り合わされる。
本発明において用いられるカバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
また、カバー層は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤及び/又は500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
カバー層の厚さは、記録及び再生のために照射されるレーザ光の波長やNAにより、適宜、規定されるが、本発明においては、0.01〜0.5mmの範囲内であり、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。
また、カバー層と、接着剤又は粘着剤からなる層と、を合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層の光入射面には、光情報記録媒体の製造時に、光入射面が傷つくことを防止するための保護層(ハードコート層)が設けられていてもよい。
カバー層を貼り合せるために用いられる接着剤は、例えば、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特に、UV硬化樹脂を使用することが好ましい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、若しくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサからバリア層表面に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、接着層を構成するUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
接着剤は、例えば、バリア層からなる被貼り合わせ面上に、所定量塗布し、その上に、カバー層を載置した後、スピンコートにより接着剤を、被貼り合わせ面とカバー層との間に均一になるように広げた後、硬化させることが好ましい。
このような接着剤からなる接着剤層の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
また、カバー層を貼り合せるために用いられる粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製のコロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製のデスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
粘着剤は、バリア層からなる被貼り合わせ面上に、所定量、均一に塗布し、その上に、カバー層を載置した後、硬化させてもよいし、予め、カバー層の片面に、所定量を均一に塗布して粘着剤塗膜を形成しておき、該塗膜を被貼り合わせ面に貼り合わせ、その後、硬化させてもよい。
また、カバー層に、予め、粘着剤層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
このような粘着剤からなる粘着剤層の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
〔インク吸収性樹脂層〕
本発明におけるインク吸収性樹脂層は、レーザ光の入射面とは反対の面上に設けられる層、つまり、基板の裏面(プリグルーブが設けられていない面)上に設けられる層であって、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上であることを必須とする。
本発明におけるインク吸収性樹脂層とは、微細な穴を有し、その穴を利用してインクを吸収する機能を有する、或いは、インクを吸収し膨潤する機能を有する樹脂層を指す。かかるインク吸収性樹脂層は、インク受容層として機能するため、その表面には、例えば、インクジェットプリンターによる画像の印画が可能となる。
このようなインク吸収性樹脂層の存在により、光情報記録媒体は、基板を中心として、カバー層とインク吸収性樹脂層とで厚みのバランスを取ることができる。そのため、温度や温度が急変した環境下での、収縮率や膨張率の差が現われ難くなり、結果的に、反りの変化量が抑制され、記録再生特性も良好となる。また、反りの変化量が抑制されことから、画像の印画、つまり、印刷を精度よく行うことができる。
このような、本発明におけるインク吸収性樹脂層は、上記に示す、所定の厚さ、所定の被覆面積率の範囲であれば、どのような被覆パターンを有していてもよい。この被覆パターンは、かかるインク吸収性樹脂層に印刷しようとする画像を考慮し、その画像の大きさ同等若しくはより大きなものであればよい。
ここで、インク吸収性樹脂層の被覆面積率とは、インク吸収性樹脂層が設けられる面、つまり、基板の裏面の総面積に対するインク吸収性樹脂層の被覆割合を指し、例えば、被覆面積率が50%であれば、基板裏面の総面積の50%に相当する領域にインク吸収性樹脂層が設けられていることを示す。なお、基板の裏面に、インク吸収性樹脂層の被覆箇所が複数ある場合には、この被覆面積率は被覆箇所の面積の合計から算出される。
本発明において、被覆面積率の上限値としては特に言及していないが、インク吸収性樹脂層を形成する面の端部への印刷の困難さやコストの問題、更には、反りの発生の観点から、99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることが更に好ましく、85%以下であることが特に好ましい。
一方、被覆面積率の下限値としては、60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
被覆面積率が50%未満の場合、温度及び湿度の急変時に反りの変化量が大きくなり、反りの変化量を抑制するという効果が表れにくくなる。また、印刷しようとする画像面積が小さくなり、情報量が低下してしまうことがある。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
また、インク吸収性樹脂層の被覆パターンとしては、面内のバランスを取り、インク吸収性樹脂層を設置する効果をより高めるために、例えば、図1に示す図を用いて、下記のように調整されることが好ましい。即ち、図1のように、インク吸収性樹脂層が設けられる面(基板の裏面)をその中心を通る2つの直線で4等分した場合、分割された4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差の割合{(1−最小値/最大値)×100}が、50%以内となるように調整されることが好ましく、30%以内となることがより好ましく、15%以内となることが更に好ましい。より具体的には、領域Aにおけるインク吸収性樹脂層の被覆面積率が20%で最大値であり、領域Bにおけるインク吸収性樹脂層の被覆面積率が15%で最小値であれば、その差の割合は、(1−15/20)×100で、25%となる。
なお、図1では、面を4等分する2つの直線が0°、90°、180°、270°の角度に設けられているが、これに限定されることはなく、2つの直線が交差することで成す角が90°であれば、設けられる角度は任意である。
加えて、樹脂層の被覆パターンとしては、基板の中心から対称となるように設けられることが好ましい。このように樹脂層の被覆パターンを対称にすることにより、記録再生装置内での高速回転時にバランスがくずれ、振動が発生することを抑制することができる。
また、インク吸収性樹脂層の厚さとしては、上記のように、下限値が2μm以上であることを要し、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましい。また、上限値としては、上記のように、100μm以下であることを要し、70μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることが更に好ましい。
インク吸収性樹脂層の厚さの下限値が2μm未満である場合、温度及び湿度の急変時に反りが大きくなり、反りの変化量を抑制するという効果が表れにくくなる。また、100μmより厚い場合、コストの問題や生産性が低下する問題が発生する。
また、面内のバランスを取り、インク吸収性樹脂層を設置する効果をより高めるために、インク吸収性樹脂層の厚さは、各所で均一であることが好ましい。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
本発明におけるインク吸収性樹脂層は、例えば、赤外線、紫外線、電子線などの照射により硬化する、放射線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、熱乾燥性樹脂等の樹脂からなり、好ましくは、紫外線硬化樹脂である。
具体的には、帝国インキ社製:UV DVCシリーズ、大日精化社製:SCRシリーズ、大日本インキ:SSDシリーズ、DGシリーズなどが挙げられる。
また、インク吸収性樹脂層に所望する色彩を付与するために、これらの樹脂と色材(各種、染料及び顔料)とを併用することも可能である。また、市販の紫外線硬化インクを用いることもできる。
次に、インク吸収性樹脂層の形成方法について説明する。
本発明の光情報記録媒体において、インク吸収性樹脂層はスクリーン印刷法を用いて設けられることが好ましい態様である。
また、本発明の光情報記録媒体の製造方法によれば、インク吸収性樹脂層は、スクリーン印刷法を用いて設けられることを特徴とする。
具体的には、スクリーン印刷法により形成された樹脂塗膜は、樹脂に対応する所定の硬化手段、例えば、紫外線の照射により、硬化して、インク吸収性樹脂層が形成される。
このように、スクリーン印刷法を用いることにより、所望する被覆パターン(例えば、画像形状:文字、柄など)を有するインク吸収性樹脂層を、容易に、かつ、正確に、形成することができる。また、多色印刷も可能である。
また、本発明においては、インク吸収性樹脂層が、上記樹脂材料を適当な溶剤に溶かして塗布液を調製したのち、この塗布液を塗布する塗布法を用いて設けられることも好ましい。
かかる塗布法において、形成された樹脂塗膜は、所定の硬化手段(電子線の照射、乾燥、又は熱硬化)により、硬化させ、インク吸収性樹脂層となる。
更に、インク吸収性樹脂層は、フィルム状の樹脂を貼り合わせるすることにより形成することもできる。
また、これらの印刷法、塗布法を繰り返す、また、フィルム状樹脂を複数重ねることで、多層構造を有するインク吸収性樹脂層としてもよい。
〔その他の層〕
本発明の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上述の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。かかる他の任意の層としては、例えば、基板と記録層との間に設けられる光反射層(後述)、記録層とカバー層との間に設けられるバリア層(後述)、光反射層と記録層との間に設けられる界面層などが挙げられる。
なお、これら必須及び任意の層は、いずれも、単層でもよいし、多層構造を有してもよい。
〔光反射層〕
本発明において、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、基板と記録層との間に、光反射層を形成することが好ましい。
光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を、真空蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属或いはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、或いは二種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Al或いはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Ag或いはこれらの合金である。
〔バリア層(中間層)の形成工程〕
本発明においては、記録層とカバー層との間にバリア層を形成することが好ましい。
該バリア層は、記録層の保存性を高める、記録層とカバー層との接着性を向上させる、反射率を調整する、熱伝導率を調整する、等のために設けられる。
バリア層に用いられる材料としては、記録及び再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に、制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料であり、誘電体であることが好ましい。
具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、ZnS、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZuO、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga23が好ましく、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga23がより好ましい。
また、バリア層は、真空蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンプレーティングなどの真空成膜法により形成することができる。中でも、スパッタリングを用いることがより好ましく、RFスパッタリングを用いることが更に好ましい。
本発明におけるバリア層の厚さは、1〜200nmの範囲であることが好ましく、2〜100nmの範囲であることがより好ましく、3〜50nmの範囲であることが更に好ましい。
以上のように、本発明の光情報記録媒体は、基板、記録層、カバー層に加え、光入射面とは反対の面に、所定の厚さ、所定の被覆面積率のインク吸収性樹脂層を有している。上述のように、本発明の光情報記録媒体は、このインク吸収性樹脂層の存在により、反りの変化量が抑制され、記録再生特性も良好となる効果を有する。
本発明の光情報記録方法は、前記本発明の光情報記録媒体が記録層を有する態様である場合、カバー層側から波長100〜600nmのレーザ光を照射し、記録層を物理的或いは化学的に変化させて記録を行うことを特徴とする。
本発明の光情報記録方法のように、上記の構成の光情報記録媒体に対し、適した波長のレーザ光を照射して記録を行うことにより、良好で安定な記録再生特性を付与することができる。
記録波長(レーザ光波長)のより好ましくは、下限値が200nm以上であり、300nm以上であることが更に好ましく、350nm以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、500nm以下であることがより好ましく、450nm以下であることが更に好ましく、420nm以下であることが特に好ましい。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
また、情報の記録は本発明の光情報記録媒体のグルーブに行ってもよいし、ランドに行ってもよいが、グルーブの方が好ましい。
更に、上記の波長領域のレーザー光によって、情報の再生も行われる。
より具体的には、本発明の光情報記録媒体(追記型)と、本発明の光情報記録方法と、を用いた情報の記録、再生は、例えば、次のようにして行われる。
まず、光情報記録媒体を所定の線速度(0.5〜10m/秒)、又は、所定の定角速度にて回転させながら、カバー層側から対物レンズを介して青紫色レーザ(例えば、波長405nm)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を所定の定線速度で回転させながら、青紫色レーザ光をカバー層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
上述のような500nm以下の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(実施例1)
<光情報記録媒体の製造>
(基板)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mm(中心孔直径)でスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ320nm、溝幅107nm、溝深さ35nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を用いた。
(光反射層の形成)
基板のプリグルーブ上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのAPC光反射層(Ag:98.1質量%、Pd:0.9質量%、Cu:1.0質量%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
(記録層の形成)
下記化学式で表わされる色素A:2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。そして、光反射層上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、記録層(グルーブ上の厚さ140nm、ランド上の厚さ190nm)を形成した。
Figure 2005174406
記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間隔をあけながら支持し、80℃で1時間保持して行った。
(バリア層の形成)
その後、記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、RFスパッタリングによりZnO−Ga23(ZnO:Ga23=7:3(質量比))からなる、厚さ5nmのバリア層を形成した。
(カバー層の貼り合わせ)
カバー層としては、内径15mm、外径120mmで、片面に粘着剤が塗設してあるポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:80μm)を用い、該粘着剤層とポリカーボネート製フィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定した。
そして、バリア層上に、該バリア層と粘着剤層とが当接するようにカバー層を載置した後、そのカバー層を押し当て部材にて圧接して、貼り合わせた。
(インク吸収性樹脂層の形成)
レーザ光の入射面(カバー層表面)とは反対の面、即ち、基板の裏面上に、図2に示す被覆パターンのインク吸収性樹脂層を形成した。なお、図2において、インク吸収性樹脂層が設けられた領域は、ハッチング部分として示した。具体的には、紫外線硬化樹脂(UV SP−8101913、帝国インキ社製)を用い、スクリーン印刷機にて、内周直径41mmから外周直径117mmの領域(被覆面積率84.6%)に樹脂塗膜を形成した。その後、樹脂塗膜に紫外線を照射して硬化させた。形成されたインク吸収性樹脂層の厚さは10μmであった。
なお、実施例1について、図1に示す、4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差を算出したところ、0%であった。
これらの工程により、実施例1の光情報記録媒体が作製された。なお、上記の光情報記録媒体を製造する各工程は、全て、25℃45%RHの条件で行った。
<光情報記録媒体の評価>
(1)ラジアルチルト(r−tilt)値の測定及び反りの評価
上記の方法で得られた光情報記録媒体を、25℃45%RHの条件で48時間保存したた後、光情報記録媒体全体としての反りの状態を、半径方向の傾き(ラジアルチルト値)を測定することで評価した。ラジアルチルト値は、DLD4000(ジャパンEM社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1中では初期のデータとして表記した。
また、上記の方法で得られた光情報記録媒体を、25℃45%RHの条件で48時間保存した後、25℃90%RHで24時間保存し、続いて、25℃45%RHの環境へと移し、その試料について、30分経過毎に、上記と同様の方法でラジアルチルトを測定した。これにより求められたラジアルチルトの最大値を表1に示す。なお、表1中では急変後のデータとして表記した。
(2)ジッター評価
上記の方法で得られた光情報記録媒体を、25℃45%RHの条件で48時間保存したた後、403nmレーザ、NA0.85ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数66MHz、線速5.28m/sにて、ランダム信号を記録、再生しスペクトルアナライザー(パルステックMSG2)にてジッターを測定した。なお、本評価は、本発明の光情報記録方法を用いたものであり、記録はグルーブ上に行った。また、記録パワー5.2mW、再生パワー0.4mWであった。結果を表1に示す。なお、表1中では初期のデータとして表記した。ここで、ジッターが10%以下であると、実用上好ましいことを指す。
また、上記の方法で得られた光情報記録媒体を、25℃45%RHの条件で48時間保存した後、25℃90%RHで24時間保存し、続いて、25℃45%RHの環境へと移し、その試料について、30分経過毎に、上記と同様の方法でジッターを測定した。これにより求められたジッターの最大値を表1に示す。なお、表1中では急変後のデータとして表記した。
(3)印刷評価
上記のラジアルチルトの評価において、保存環境の急変化により、最も反りの大きかった状態の光情報記録媒体を用い、インク吸収性樹脂層の表面に、インクジェットプリンタ(EPSON製、PM970)にて、印刷を行った。印刷後の画像を目視により評価した。印刷が正常に行なわれたものを〇、印刷ムラが発生したものを×とした。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを、図3のように、文字の形状となる領域(実施例1のインク吸収性樹脂層の被覆面積の10%に相当)のみインク吸収性樹脂層が設けられないような被覆パターンへと変化させて被覆面積率を76.2%にした他は、実施例1と同様にして、実施例2の光情報記録媒体を作製した。なお、図3において、インク吸収性樹脂層が設けられた領域は、ハッチング部分として示した。また、実施例2について、図1に示す、4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差を算出したところ、約10%であった。
続いて、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1のインク吸収性樹脂層を2層重ね、厚さを20μmにした他は、実施例1と同様にして、実施例2の光情報記録媒体を作製した。また、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを、図4のように、中心角θ=75°の扇形領域4つが、等間隔で放射状に形成された被覆パターンへと変化させて被覆面積率を61.9%にした他は、実施例1と同様にして、実施例4の光情報記録媒体を作製した。なお、図4において、インク吸収性樹脂層が設けられた領域は、ハッチング部分として示した。また、実施例4について、図1に示す、4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差を算出したところ、0%であった。
続いて、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1におけるインク吸収性樹脂層を設けなかった他は、実施例1と同様にして、比較例1の光情報記録媒体を作製した。また、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを、図5のように、中心角θ=20°の扇形領域6つが、等間隔で放射状に形成された被覆パターンへと変化させて被覆面積率を42.3%にした他は、実施例1と同様にして、比較例2の光情報記録媒体を作製した。なお、図5において、インク吸収性樹脂層が設けられた領域は、ハッチング部分として示した。また、比較例2について、図1に示す、4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差を算出したところ、50%であった。
続いて、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2005174406
表1の結果から、実施例1〜4の光情報記録媒体は、比較例1、2の光情報記録媒体と比較して、ラジアルチルト及びジッターのいずれにおいても、初期と急変後との変化量が小さいことが判明した。また、反りの変化量が小さいため、実施例1〜4の光情報記録媒体には、インク吸収性樹脂層に良好な印刷できたことも明らかとなった。
一方、比較例1、2の光情報記録媒体は、初期におけるラジアルチルトやジッターの数値は実用上問題ないものの、急変後との変化量が大きいため、反りや記録再生特性が保存環境に著しく影響されることが明らかとなった。また、比較例1、2の光情報記録媒体は、反りが大きく、外周部においてインクジェットヘッドが接触したことにより発生したと思われる、印刷ムラが発生していたことが明らかとなった。
インク吸収性樹脂層が設けられる面を、その中心を通る2つの直線で4等分した状態を示す上面概略図である。 実施例1におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを示した上面概略図である。 実施例2におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを示した上面概略図である。 実施例4におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを示した上面概略図である。 比較例2におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを示した上面概略図である。
符号の説明
1 基板
2 中心孔
3 インク吸収性樹脂層

Claims (6)

  1. 厚さ0.7〜2mmの基板上に、ピット又は記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び/又は再生を行う光情報記録媒体であって、
    前記レーザ光の入射面とは反対の面上に、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上のインク吸収性樹脂層を更に有することを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 前記インク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法により設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 前記樹脂層が塗布法により設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  4. 請求項1に記載の光情報記録媒体の製造方法であって、
    前記インク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法により設けられることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  5. 請求項1に記載の光情報記録媒体の製造方法であって、
    前記インク吸収性樹脂層が塗布法により設けられることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  6. 請求項1に記載の光情報記録媒体が前記記録層を有する場合、前記カバー層側から波長100〜600nmのレーザ光を照射し、当該記録層を物理的或いは化学的に変化させて記録を行うことを特徴とする光情報記録方法。
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