JP2005174406A - 光情報記録媒体、光情報記録媒体の製造方法、及び光情報記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 厚さ0.7〜2mmの基板上に、ピット又は記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、前記レーザ光の入射面とは反対の面上に、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上のインク吸収性樹脂層を更に有することを特徴とする光情報記録媒体。該光情報記録媒体における前記インク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法又は塗布法により設けられてなることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
"ISOM2000"210〜211頁 "ISOM2001"218〜219頁
また、本発明の他の目的は、印刷可能なインク吸収性樹脂層を有する光情報記録媒体であって、温度や温度が急変した環境での保存後であっても、良好な印刷が可能な光情報記録媒体、該光情報記録媒体の製造方法、及び当該光情報記録媒体を用いた光情報記録方法を提供することにある。
すなわち、本発明の光情報記録媒体は、厚さ0.7〜2mmの基板上に、ピット又は記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有し、前記カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び/又は再生を行う光情報記録媒体であって、
前記レーザ光の入射面とは反対の面上に、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上のインク吸収性樹脂層を更に有することを特徴とする。
また、本発明の光情報記録媒体において、インク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法又は塗布法により設けられることが好ましい態様である。
本発明の情報記録方法は、前記光情報記録媒体が前記記録層を有する場合、前記カバー層側から波長100〜600nmのレーザ光を照射し、当該記録層を物理的或いは化学的に変化させて記録を行うことを特徴とする。
また、印刷可能なインク吸収性樹脂層を有する光情報記録媒体であって、温度や温度が急変した環境での保存後であっても、良好な印刷が可能な光情報記録媒体、該光情報記録媒体の製造方法、及び当該光情報記録媒体を用いた光情報記録方法を提供することができる。
本発明の光情報記録媒体は、厚さ0.7〜2mmの基板上に、ピット又は記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び/又は再生を行う光情報記録媒体であって、
前記レーザ光の入射面とは反対の面上に、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上のインク吸収性樹脂層を更に有することを特徴とする。
ここで、本発明の光情報記録媒体は、少なくとも、基板と、ピット又は記録層と、カバー層と、インク吸収性樹脂層と、を有する態様である。この態様を有する光情報記録媒体としては、予め、ピット(記録部)に情報が書き込まれており、レーザ光の照射により再生のみが可能な再生専用の光情報媒体や、レーザ光の照射により情報の記録及び再生が可能な、追記型若しくは書き換え可能型の光情報記録媒体がある。
まず、これらの必須の部材について順に説明する。
本発明おける基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。
また、基板の厚さは、0.7〜2mmの範囲であることを要し、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
プリグルーブの幅(半値幅)は、上限値が250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、170nm以下であることが更に好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、23nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることが更に好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。
プリグルーブの角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましく、60°以下であることが更に好ましく、50°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることが更に好ましい。
なお、上記のプリグルーブに関する上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
また、本発明の光情報記録媒体が、再生専用の光情報媒体である場合、上記のプリグルーブを形成するのと同時に、所定の情報を示すピットが形成される。
一方、UVレーザーや可視光レーザーでは、本発明のような溝形状を形成するための、良好なマスタリングを行うことが困難である。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
本発明における記録層は、色素を記録物質として含有する色素型とすることが好ましいが、これに限定されず、無機追記型(ライトワンス型)、相変化型、光磁気型、再生専用型等とすることもできる。
従って、記録層に含有される記録物質としては、色素等の有機化合物や相変化金属化合物等が挙げられる。
中でも、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な、色素型の記録層であることが好ましい。かかる色素型の記録層は、記録波長領域に吸収を有する色素を含有していることが好ましい。当該色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、記録層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布の際、塗布液の温度は、23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜50℃の範囲であることが特に好ましい。
また、記録層の厚さは、ランド上(前記基板において凹部)で、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。下限値としては、70nm以上であることが好ましく、90nm以上であることがより好ましく、110nm以上であることが更に好ましい。
更に、グルーブ上の記録層の厚さ/ランド上の記録層の厚さの比は、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることが更に好ましく、0.7以上であることが特に好ましい。上限値としては、1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
例えば、記録物質として相変化金属化合物を用いた場合には、このような成膜法を用いて記録層を形成することがで好ましい。ここで、相変化金属化合物としては、SbTe、AgSbTe、InAgSbTe等のいずれを用いてもよい。
本発明におけるカバー層は、上述した記録層又は後述するバリア層上に、接着剤や粘着剤を介して貼り合わされる。
本発明において用いられるカバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
また、カバー層と、接着剤又は粘着剤からなる層と、を合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層の光入射面には、光情報記録媒体の製造時に、光入射面が傷つくことを防止するための保護層(ハードコート層)が設けられていてもよい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、若しくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサからバリア層表面に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、接着層を構成するUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
このような接着剤からなる接着剤層の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
また、カバー層に、予め、粘着剤層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
このような粘着剤からなる粘着剤層の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
本発明におけるインク吸収性樹脂層は、レーザ光の入射面とは反対の面上に設けられる層、つまり、基板の裏面(プリグルーブが設けられていない面)上に設けられる層であって、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上であることを必須とする。
本発明におけるインク吸収性樹脂層とは、微細な穴を有し、その穴を利用してインクを吸収する機能を有する、或いは、インクを吸収し膨潤する機能を有する樹脂層を指す。かかるインク吸収性樹脂層は、インク受容層として機能するため、その表面には、例えば、インクジェットプリンターによる画像の印画が可能となる。
このようなインク吸収性樹脂層の存在により、光情報記録媒体は、基板を中心として、カバー層とインク吸収性樹脂層とで厚みのバランスを取ることができる。そのため、温度や温度が急変した環境下での、収縮率や膨張率の差が現われ難くなり、結果的に、反りの変化量が抑制され、記録再生特性も良好となる。また、反りの変化量が抑制されことから、画像の印画、つまり、印刷を精度よく行うことができる。
ここで、インク吸収性樹脂層の被覆面積率とは、インク吸収性樹脂層が設けられる面、つまり、基板の裏面の総面積に対するインク吸収性樹脂層の被覆割合を指し、例えば、被覆面積率が50%であれば、基板裏面の総面積の50%に相当する領域にインク吸収性樹脂層が設けられていることを示す。なお、基板の裏面に、インク吸収性樹脂層の被覆箇所が複数ある場合には、この被覆面積率は被覆箇所の面積の合計から算出される。
一方、被覆面積率の下限値としては、60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
被覆面積率が50%未満の場合、温度及び湿度の急変時に反りの変化量が大きくなり、反りの変化量を抑制するという効果が表れにくくなる。また、印刷しようとする画像面積が小さくなり、情報量が低下してしまうことがある。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
なお、図1では、面を4等分する2つの直線が0°、90°、180°、270°の角度に設けられているが、これに限定されることはなく、2つの直線が交差することで成す角が90°であれば、設けられる角度は任意である。
加えて、樹脂層の被覆パターンとしては、基板の中心から対称となるように設けられることが好ましい。このように樹脂層の被覆パターンを対称にすることにより、記録再生装置内での高速回転時にバランスがくずれ、振動が発生することを抑制することができる。
インク吸収性樹脂層の厚さの下限値が2μm未満である場合、温度及び湿度の急変時に反りが大きくなり、反りの変化量を抑制するという効果が表れにくくなる。また、100μmより厚い場合、コストの問題や生産性が低下する問題が発生する。
また、面内のバランスを取り、インク吸収性樹脂層を設置する効果をより高めるために、インク吸収性樹脂層の厚さは、各所で均一であることが好ましい。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
具体的には、帝国インキ社製:UV DVCシリーズ、大日精化社製:SCRシリーズ、大日本インキ:SSDシリーズ、DGシリーズなどが挙げられる。
また、インク吸収性樹脂層に所望する色彩を付与するために、これらの樹脂と色材(各種、染料及び顔料)とを併用することも可能である。また、市販の紫外線硬化インクを用いることもできる。
本発明の光情報記録媒体において、インク吸収性樹脂層はスクリーン印刷法を用いて設けられることが好ましい態様である。
また、本発明の光情報記録媒体の製造方法によれば、インク吸収性樹脂層は、スクリーン印刷法を用いて設けられることを特徴とする。
具体的には、スクリーン印刷法により形成された樹脂塗膜は、樹脂に対応する所定の硬化手段、例えば、紫外線の照射により、硬化して、インク吸収性樹脂層が形成される。
このように、スクリーン印刷法を用いることにより、所望する被覆パターン(例えば、画像形状:文字、柄など)を有するインク吸収性樹脂層を、容易に、かつ、正確に、形成することができる。また、多色印刷も可能である。
かかる塗布法において、形成された樹脂塗膜は、所定の硬化手段(電子線の照射、乾燥、又は熱硬化)により、硬化させ、インク吸収性樹脂層となる。
更に、インク吸収性樹脂層は、フィルム状の樹脂を貼り合わせるすることにより形成することもできる。
また、これらの印刷法、塗布法を繰り返す、また、フィルム状樹脂を複数重ねることで、多層構造を有するインク吸収性樹脂層としてもよい。
本発明の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上述の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。かかる他の任意の層としては、例えば、基板と記録層との間に設けられる光反射層(後述)、記録層とカバー層との間に設けられるバリア層(後述)、光反射層と記録層との間に設けられる界面層などが挙げられる。
なお、これら必須及び任意の層は、いずれも、単層でもよいし、多層構造を有してもよい。
本発明において、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、基板と記録層との間に、光反射層を形成することが好ましい。
光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を、真空蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
本発明においては、記録層とカバー層との間にバリア層を形成することが好ましい。
該バリア層は、記録層の保存性を高める、記録層とカバー層との接着性を向上させる、反射率を調整する、熱伝導率を調整する、等のために設けられる。
バリア層に用いられる材料としては、記録及び再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に、制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料であり、誘電体であることが好ましい。
具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、ZnS、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZuO、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga2O3が好ましく、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga2O3がより好ましい。
本発明におけるバリア層の厚さは、1〜200nmの範囲であることが好ましく、2〜100nmの範囲であることがより好ましく、3〜50nmの範囲であることが更に好ましい。
本発明の光情報記録方法のように、上記の構成の光情報記録媒体に対し、適した波長のレーザ光を照射して記録を行うことにより、良好で安定な記録再生特性を付与することができる。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
また、情報の記録は本発明の光情報記録媒体のグルーブに行ってもよいし、ランドに行ってもよいが、グルーブの方が好ましい。
更に、上記の波長領域のレーザー光によって、情報の再生も行われる。
まず、光情報記録媒体を所定の線速度(0.5〜10m/秒)、又は、所定の定角速度にて回転させながら、カバー層側から対物レンズを介して青紫色レーザ(例えば、波長405nm)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を所定の定線速度で回転させながら、青紫色レーザ光をカバー層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
<光情報記録媒体の製造>
(基板)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mm(中心孔直径)でスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ320nm、溝幅107nm、溝深さ35nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を用いた。
基板のプリグルーブ上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのAPC光反射層(Ag:98.1質量%、Pd:0.9質量%、Cu:1.0質量%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
下記化学式で表わされる色素A:2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。そして、光反射層上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、記録層(グルーブ上の厚さ140nm、ランド上の厚さ190nm)を形成した。
その後、記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、RFスパッタリングによりZnO−Ga2O3(ZnO:Ga2O3=7:3(質量比))からなる、厚さ5nmのバリア層を形成した。
カバー層としては、内径15mm、外径120mmで、片面に粘着剤が塗設してあるポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:80μm)を用い、該粘着剤層とポリカーボネート製フィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定した。
そして、バリア層上に、該バリア層と粘着剤層とが当接するようにカバー層を載置した後、そのカバー層を押し当て部材にて圧接して、貼り合わせた。
レーザ光の入射面(カバー層表面)とは反対の面、即ち、基板の裏面上に、図2に示す被覆パターンのインク吸収性樹脂層を形成した。なお、図2において、インク吸収性樹脂層が設けられた領域は、ハッチング部分として示した。具体的には、紫外線硬化樹脂(UV SP−8101913、帝国インキ社製)を用い、スクリーン印刷機にて、内周直径41mmから外周直径117mmの領域(被覆面積率84.6%)に樹脂塗膜を形成した。その後、樹脂塗膜に紫外線を照射して硬化させた。形成されたインク吸収性樹脂層の厚さは10μmであった。
なお、実施例1について、図1に示す、4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差を算出したところ、0%であった。
これらの工程により、実施例1の光情報記録媒体が作製された。なお、上記の光情報記録媒体を製造する各工程は、全て、25℃45%RHの条件で行った。
(1)ラジアルチルト(r−tilt)値の測定及び反りの評価
上記の方法で得られた光情報記録媒体を、25℃45%RHの条件で48時間保存したた後、光情報記録媒体全体としての反りの状態を、半径方向の傾き(ラジアルチルト値)を測定することで評価した。ラジアルチルト値は、DLD4000(ジャパンEM社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1中では初期のデータとして表記した。
また、上記の方法で得られた光情報記録媒体を、25℃45%RHの条件で48時間保存した後、25℃90%RHで24時間保存し、続いて、25℃45%RHの環境へと移し、その試料について、30分経過毎に、上記と同様の方法でラジアルチルトを測定した。これにより求められたラジアルチルトの最大値を表1に示す。なお、表1中では急変後のデータとして表記した。
上記の方法で得られた光情報記録媒体を、25℃45%RHの条件で48時間保存したた後、403nmレーザ、NA0.85ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数66MHz、線速5.28m/sにて、ランダム信号を記録、再生しスペクトルアナライザー(パルステックMSG2)にてジッターを測定した。なお、本評価は、本発明の光情報記録方法を用いたものであり、記録はグルーブ上に行った。また、記録パワー5.2mW、再生パワー0.4mWであった。結果を表1に示す。なお、表1中では初期のデータとして表記した。ここで、ジッターが10%以下であると、実用上好ましいことを指す。
また、上記の方法で得られた光情報記録媒体を、25℃45%RHの条件で48時間保存した後、25℃90%RHで24時間保存し、続いて、25℃45%RHの環境へと移し、その試料について、30分経過毎に、上記と同様の方法でジッターを測定した。これにより求められたジッターの最大値を表1に示す。なお、表1中では急変後のデータとして表記した。
上記のラジアルチルトの評価において、保存環境の急変化により、最も反りの大きかった状態の光情報記録媒体を用い、インク吸収性樹脂層の表面に、インクジェットプリンタ(EPSON製、PM970)にて、印刷を行った。印刷後の画像を目視により評価した。印刷が正常に行なわれたものを〇、印刷ムラが発生したものを×とした。評価結果を表1に示す。
実施例1におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを、図3のように、文字の形状となる領域(実施例1のインク吸収性樹脂層の被覆面積の10%に相当)のみインク吸収性樹脂層が設けられないような被覆パターンへと変化させて被覆面積率を76.2%にした他は、実施例1と同様にして、実施例2の光情報記録媒体を作製した。なお、図3において、インク吸収性樹脂層が設けられた領域は、ハッチング部分として示した。また、実施例2について、図1に示す、4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差を算出したところ、約10%であった。
続いて、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1のインク吸収性樹脂層を2層重ね、厚さを20μmにした他は、実施例1と同様にして、実施例2の光情報記録媒体を作製した。また、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを、図4のように、中心角θ=75°の扇形領域4つが、等間隔で放射状に形成された被覆パターンへと変化させて被覆面積率を61.9%にした他は、実施例1と同様にして、実施例4の光情報記録媒体を作製した。なお、図4において、インク吸収性樹脂層が設けられた領域は、ハッチング部分として示した。また、実施例4について、図1に示す、4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差を算出したところ、0%であった。
続いて、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1におけるインク吸収性樹脂層を設けなかった他は、実施例1と同様にして、比較例1の光情報記録媒体を作製した。また、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1におけるインク吸収性樹脂層の被覆パターンを、図5のように、中心角θ=20°の扇形領域6つが、等間隔で放射状に形成された被覆パターンへと変化させて被覆面積率を42.3%にした他は、実施例1と同様にして、比較例2の光情報記録媒体を作製した。なお、図5において、インク吸収性樹脂層が設けられた領域は、ハッチング部分として示した。また、比較例2について、図1に示す、4つの領域A〜Dにおける、インク吸収性樹脂層の被覆面積率の最大値と最小値との差を算出したところ、50%であった。
続いて、得られた光情報記録媒体を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
一方、比較例1、2の光情報記録媒体は、初期におけるラジアルチルトやジッターの数値は実用上問題ないものの、急変後との変化量が大きいため、反りや記録再生特性が保存環境に著しく影響されることが明らかとなった。また、比較例1、2の光情報記録媒体は、反りが大きく、外周部においてインクジェットヘッドが接触したことにより発生したと思われる、印刷ムラが発生していたことが明らかとなった。
2 中心孔
3 インク吸収性樹脂層
Claims (6)
- 厚さ0.7〜2mmの基板上に、ピット又は記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び/又は再生を行う光情報記録媒体であって、
前記レーザ光の入射面とは反対の面上に、厚さが2〜100μmであり、かつ、被覆面積率が50%以上のインク吸収性樹脂層を更に有することを特徴とする光情報記録媒体。 - 前記インク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法により設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
- 前記樹脂層が塗布法により設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
- 請求項1に記載の光情報記録媒体の製造方法であって、
前記インク吸収性樹脂層がスクリーン印刷法により設けられることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1に記載の光情報記録媒体の製造方法であって、
前記インク吸収性樹脂層が塗布法により設けられることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1に記載の光情報記録媒体が前記記録層を有する場合、前記カバー層側から波長100〜600nmのレーザ光を照射し、当該記録層を物理的或いは化学的に変化させて記録を行うことを特徴とする光情報記録方法。
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-
2003
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