JP4153228B2 - 光情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体の製造方法に関し、特に、ヒートモードによる追記型の光情報記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光情報記録媒体は、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金等の金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層がこの順に積層したものである。そしてこのCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザ光(通常は780nm付近の波長のレーザ光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)によりその部分の光学的特性が変化することにより情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化していない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。
【0003】
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光情報記録媒体が提案されている(例えば、「日経ニューメディア」別冊「DVD」、1995年発行)。このDVD−Rは、照射されるレーザ光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rの半分以下(0.74〜0.8μm)という狭い溝幅で形成された透明な円盤状基板上に、通常、有機色素を含有する記録層、光反射層、および保護層をこの順に積層したディスクを2枚を記録層を内側にして貼り合わせた構造、あるいはこのディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを記録層を内側にして貼り合わせた構造を有している。そして、このDVD−Rへの情報の記録および再生は、可視レーザ光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザ光)を照射することにより行われており、CD−Rより高密度の記録が可能である。
【0004】
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も開始されている。このような状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができる大容量の記録媒体が必要とされている。DVD−Rは現状では大容量の記録媒体としての役割を十分に果たしているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であり、これらの要求に対応できる記録媒体の開発も必要である。このため、DVD−Rよりもさらに短波長の光で高密度の記録を行なうことができる、より大容量の記録媒体の開発が進められている。
【0005】
例えば、特開平4−74690号公報、特開平7−304256号公報、特開平7−304257号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、同2000−113504号公報、同2000−149320号公報、同2000−158818号公報、および同2000−228028号公報には、有機色素を含む記録層を有する光情報記録媒体において、記録層側から光反射層側に向けて波長530nm以下のレーザ光を照射することにより、情報の記録および再生を行う記録再生方法が開示されている。これらの方法では、ポルフィリン化合物、アゾ系色素、金属アゾ系色素、キノフタロン系色素、トリメチンシアニン色素、ジシアノビニルフェニル骨格色素、クマリン化合物、ナフタロシアニン化合物等を含有する記録層を備えた光情報記録媒体に、青色(波長430nm、488nm)または青緑色(波長515nm)のレーザ光を照射することにより情報の記録および再生を行っている。
【0006】
また、現在使用されているCD−Rシステムとの互換性という観点から、2つの異なる波長領域のレーザ光で記録および再生が可能な光情報記録媒体が提案されている。例えば、特開2000−141900号公報、同2000−158816号公報、同2000−185471号公報、同2000−289342号公報、同2000−309165号公報には、CD−Rに用いられる色素とDVD−Rで用いられる色素とを混合して用いることによって、780nm付近の近赤外域のレーザ光、および650nm付近の可視レーザ光の何れのレーザ光によっても記録および再生が可能な光情報記録媒体が提案されている。
【0007】
しかしながら、本発明者の検討によれば、上記公報に記載された光情報記録媒体では、波長450nm以下の短波長レーザ光の照射により情報を記録する場合には、実用上必要とされる感度を得ることができず、また、反射率や変調度等の他の記録特性も満足できるレベルではなく、さらに改良を要することが判明した。特に、上記公報に記載された光情報記録媒体では、波長450nm以下のレーザ光を照射した場合に記録特性の低下が確認された。
【0008】
また、上記公報に記載された光情報記録媒体を作製する際に、最表面層となるカバーシートを記録層上に貼り合わせる場合、記録層が形成された基板を下に設置してカバーシートを貼り合わせようとすると、カバーシートが薄いため、撓みや皺が発生し、貼り合わせた後に反りが生じてしまい光情報記録媒体として実用に供することができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明は、反りの発生が抑制された光情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。すなわち、本発明は、
トラックピッチ200〜400nm、溝深さ10〜150nmのグルーブが形成された基板上に、波長500nm以下のレーザ光により情報の記録が可能な記録層を形成して積層体を作製する工程と、
カバーシートを平面テーブル上に載置し、該カバーシート上にUV硬化樹脂よりなる接着剤を滴下した後、前記積層体を前記記録層が内側になるように、前記カバーシート上に重ねる工程と、
前記平面テーブルを回転させて、前記接着剤を前記カバーシートと前記積層体との間の全面に広げた後、紫外線を照射して当該接着剤を硬化させて、前記カバーシートと前記積層体とを貼り合わせる工程と、
を有することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法である。
ここで、平面テーブル上に載置されたカバーシートは、その接触面において真空吸着もしくは静電吸着等の手段で固定されていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、光情報記録媒体は、基板上に記録層等が形成された積層体を作製し(積層体作製工程)、該積層体の前記記録層が内側になるように、平面テーブル上に載置されたカバーシートと貼り合わせて(貼り合わせ工程)製造される。
以下、当該貼り合わせ工程を中心に本発明の光情報記録媒体の製造方法ついて詳細に説明する。
【0012】
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程は、基板上に記録層等が形成された積層体の記録層上に、前記記録層等の光情報記録媒体の内部を保護するために、カバー層としてのカバーシートを貼り合わせる工程である。カバーシートと積層体との貼り合わせは、接着剤または粘着剤を介して行うことが好ましいが、本発明においてはUV硬化樹脂よりなる接着剤が用いられる。
【0013】
前記カバーシートとしては、透明な材質であれば特に限定されないが、好ましくは、ポリカーボネート、三酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル等の材質からなることが好ましい。
なお、「透明」とは、カバーシートが記録光および再生光を透過する(透過率:90%以上)ほどに透明であることを意味する。
カバーシートの厚さは、0.03〜0.15mmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.10mmの範囲であることがより好ましく、0.07〜0.098mmの範囲であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、貼り合わせ工程におけるカバーシートの取り扱いが容易となり、しかも、コマ収差を抑えることができるという効果が得られる。
【0014】
カバーシートは、積層体と貼り合わせる際に皺などを発生させないため、予め平面テーブル上に載置しておく。カバーシートをこのように載置しておくことで、当該カバーシート貼り合わせ面の平面性が確保されるため、積層体と貼り合わせる際に皺等が発生することを防ぐことが可能となる。
【0015】
カバーシートと積層体との貼り合わせは、以下に説明するようにして行うことができる。
まず、図1に示すように、スピンコーター1の平面テーブル2上にカバーシート3を載置する。その後、接着剤10を滴下する。
平面テーブル2の表面には径の小さい孔2aが設けられており、これらは図示しない排気系に接続されている。排気系の途中にはバルブ(不図示)が設けられており、このバルブにより排気量が調整されてカバーシートの吸着力が調節される。
平面テーブル2の表面に形成された孔2aは、その径が大きすぎると吸着したときにカバーシート3の吸着部分がへこんでしまい作製されるディスク表面に凹凸が発生してしまう場合がある。そのため、孔2aの径は3mm以下とすることが好ましく、2mm以下とすることがより好ましく、1mm以下とすることがさらに好ましい。
また、孔2aは、平面テーブル2の少なくともカバーシート3が設けられる領域に形成されていることが好ましく、回転時にディスクが飛ぶことがないように少なくとも記録エリアでない部分に設けることが好ましい。
【0016】
カバーシート3が載置された状態で、積層体4を貼り合わせる。積層体4は、図面上、記録層が下側になるようにして貼り合わされる。平面テーブル2を回転させて接着剤10をカバーシート3と積層体4との間の全面に広げ、紫外線等を照射して接着剤10を硬化させて、カバーシート3と積層体4とが貼り合わされた光情報記録媒体が作製される。
【0017】
積層体の記録層(該記録層上にバリア層等の層が形成されている場合は、これらの層)をカバーシート上に貼り合わせる際の雰囲気の温度および湿度(相対湿度、以下同様)は、それぞれ、18℃以上および35%RH以上とすることが好ましい。18℃未満または35%RH未満では、貼り合わせに必要な化学的、物理的に十分反応が進まなかったり、常温常湿に放置するとストレス緩和が生じて、製造後の光情報記録媒体に反りが発生し、実用に供することができない場合がある。また、記録層に色素が含有されている場合、このストレスが記録特性に悪影響を及ぼすことがある。
より好ましい温度は20℃以上であり、さらに好ましくは22℃以上、特に好ましくは23℃以上である。
また、より好ましい湿度は32%RH以上であり、さらに好ましくは35%RH以上、特に好ましくは38%RH以上である。
【0018】
温度が高すぎると接着剤や粘着剤の変性が起こったり、光情報記録媒体の特性が変化したり、常温に戻したときの反りが発生したりすることがあり好ましくない。また、記録層に色素が含有される場合、記録特性の変化が大きくなることがあり、特に好ましくない。さらに、記録層に色素が含まれる場合、色素中の含水率が高まり、記録特性に悪影響を及ぼすことがあり特に好ましくない。従って、温度の上限は、50℃以下とすることが好ましく、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは35℃以下である。
また、湿度が高すぎると機器の一部に結露が発生したり、常温に戻したときの反りが発生したりすることがあり好ましくない。従って、湿度の上限は、80%RH以下とすることが好ましく、より好ましくは70%RH以下、さらに好ましくは65%RH以下である。
【0019】
接着剤としては、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特に、本発明においては、UV硬化樹脂を使用する。
塗布する接着剤の量は、最終的に形成される接着層の厚さが、0.1〜100μmの範囲、好ましくは2〜50μmの範囲、より好ましくは5〜30μmの範囲になるように調整する。
【0020】
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサから供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、接着層を構成するUV硬化樹脂は、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」などのUV硬化樹脂を挙げることができる。
【0021】
なお、カバーシートとして、粘着剤が貼り合わせ面に塗布されたものを使用することもできる。
当該粘着剤としては、アクリル系粘着剤や、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)等のゴム系粘着剤を適宜選択して用いることができる。
当該粘着剤は、カバーシートの貼り合わせ面に予め塗布されていることが好ましい。粘着剤の塗布量としては、接着剤の場合と同様とすることが好ましい。
【0022】
また、カバーシートの光入射面側に、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、塩化ビニルフィルム、塩化ビニリデンフィルム等からなる保護フィルムを設置しておくと、真空吸着の跡がカバーシートの光入射面に付きにくくなり、傷の発生を防ぐことができる。
【0023】
作製された光情報記録媒体は、これを平面テーブルから持ち上げて搬送する必要があるが、平面テーブルの孔内は真空状態となっているため、密着して取り外しにくくなることがある。かかる場合は、排気系から孔へ気体を流して光情報記録媒体を押し出すことで取り外しやすくなる。このとき使用する気体は、光情報記録媒体を汚さないように防塵フィルタを通したり、ドライ工程を経るなどして清浄な状態とすることが好ましい。また、気体の種類としては、圧縮空気などが好ましい。
【0024】
上記以外の吸着の方法としては、カバーシートに静電気を帯びさせて電気的引力により平面テーブル上に載置する静電吸着法を適用してもよい。
また、平面テーブルとしては、既述のスピンコーターに設けられている平面テーブルに限定されず、カバーシートと積層体とを貼り合わせる際にカバーシートをその平面性を保って固定できるものであればよい。
【0025】
以上の貼り合わせ工程により、反り発生が抑制され、十分実用に供することが可能な光情報記録媒体が製造される。
【0026】
ところで、貼り合わせ工程でカバーシートと貼り合わされる積層体は、積層体作製工程を経て製造される。具体的には、トラックピッチ200〜400nm、溝深さ10〜150nmのグルーブが形成された基板上に、波長500nm以下のレーザ光により情報の記録が可能な記録層を形成する記録層形成工程等を経て製造される。
ここで、基板と記録層との間に光反射層を形成する光反射層形成工程等を設けたり、記録層上にバリア層等の種々の層を形成する工程を適宜設けてもよい。
以下、積層体作製工程の具体例として、基板上に、光反射層、記録層を形成した積層体の製造方法について説明する。
【0027】
<積層体作製工程>
(光反射層形成工程)
光反射層形成工程は、後述する基板のグルーブが形成された面に光反射性物質からなる光反射層を形成する工程である。
前記基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、1.1±0.3mmとすることが好ましい。
【0028】
基板表面には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(グルーブ)が形成されている。プリグルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲にとすることを必須とし、好ましくは、250〜350nmの範囲とする。また、プリグルーブの深さ(溝深さ)は、10〜150nmの範囲とすることを必須とし、好ましくは、50〜100nmの範囲とする。
上記のようなトラックピッチおよび溝深さとすることで、従来のCD−R(コンパクトディスク)やDVD−R(デジタルヴァーサタイルディスク)より高い記録密度を達成することができる。
【0029】
なお、後述する光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0030】
光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
【0031】
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
【0032】
(記録層形成工程)
記録層形成工程は、前記光反射層上に波長500nm以下のレーザ光により情報の記録が可能な記録層を形成する工程である。当該記録層には、記録物質としての色素を含有していることが好ましい。
当該記録層に含有される色素としては、波長500nm以下のレーザ光により情報の記録を可能とする色素であれば特に限定されず、例えば、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
【0033】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0034】
記録層は、色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に形成された光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
【0035】
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0036】
結合剤を使用する場合に、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0037】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
【0038】
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0039】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0040】
記録層を形成した後は、バリア層として、Zn、Si、Ti、Te、Sm、Mo、Ge等のいずれか1以上からなる酸化物、窒化物、炭化物、硫化物等の材料からなる層を形成してもよい。前記バリア層を構成する材料としては、ZnS−SiO2のようにハイブリット化していてもよい。バリア層は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング等により形成すること可能で、その厚さは、1〜100nmとすることが好ましい。
【0041】
以上のようにして、光反射層、記録層等が形成された積層体が製造される。
【0042】
次に、本発明で得られた光情報記録媒体への情報の記録方法および記録した情報の再生方法について説明する。
光情報記録媒体への情報の記録は、例えば、次のように行われる。
まず、光情報記録媒体を定線速度にて回転させながら、カバーシート側から記録用の500nm以下のレーザ光を照射する。このレーザ光の照射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性が変化する。この光学的特性の変化により、情報が記録される。
【0043】
500nm以下の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長約430nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
【0044】
一方、記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら、情報の記録に使用したレーザと同一波長もしくはそれ以下の波長のレーザ光をカバーシート側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
【0045】
【実施例】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のグルーブ(溝深さ30nm、幅15nm、トラックピッチ340nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂からなる基板のグルーブを有する面上に、Ar雰囲気中で、DCスパッタリング(Unaxis社製Cube)によりAgからなる反射層(厚さ100nm)を形成した。
【0047】
下記化学式で表わされる2gの色素(化合物1)を2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素塗布液を調製した。調製した色素塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃50%RHの条件で反射層上に塗布した。その後、23℃50%RHで1時間保存して、記録層(溝内での厚さ:100nm、ランド部での厚さ:70nm)を形成した。
【0048】
【化1】
【0049】
記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、40℃で1時間保持して行った。
【0050】
その後、記録層上に、RFスパッタリングによりZnS/SiO2(ZnS:SiO2=8:2(質量比))からなるバリア層(厚さ50nm)を形成して、積層体を作製した(積層体作製工程)。バリア層の形成条件は下記の通りとした。
パワー・・・4kW、
圧力・・・2×10-2hPa、
時間・・・10秒間
【0051】
ポリカーボネートからなるカバーシート(帝人製ピュアエース:外径120mm、内径15mm、厚さ85μm)をスピンコーターの平面テーブル上に載置し、カバーシート上に接着剤(大日本インキ製 SD318)を環状にディスペンスし、ノズル固定のまま、ディスクを略1周回転した。なお、カバーシートの固定は、図1に示す原理を用い、真空吸着により行った。
その後、基板を内周ボスに合わせて重ねて設置し、回転数を2000〜7000rpmまで変化させて回転させ、接着剤を全面に広げ、かつ余分な接着剤を振り飛ばした。回転させながら紫外線を照射し接着剤を硬化させて、基板を貼り合わせて(貼り合わせ工程)光情報記録媒体を作製した。
作製した光情報記録媒体の貼り合わせ層(接着剤からなる層)を観察したところ、厚みは25μmで気泡もなく良好な密着性を有していた。カバー層と接着層との厚さの合計は概略110μmであった。
【0052】
〔比較例1〕
積層体を載置し、その上にカバーシートを重ねて貼り合わせた以外は、実施例と同様にして光情報記録媒体を作製した。
【0053】
(光情報記録媒体の評価)
実施例1および比較例1で作製された光情報記録媒体について、光情報記録媒体全体としての反りの状態(ラジアルチルト値)をDLD4000(ジャパンEM(株)製)により測定した。
その結果、実施例1および比較例1の光情報記録媒体では、それぞれ、0.62°および0.85°であり、実施例1の方が反りの発生が抑制されていた。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、反りの発生が抑制された光情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 貼り合わせ工程において使用されるスピンコーターによる貼り合わせ方法を説明する図である。
【符号の説明】
1…スピンコーター
2…平面テーブル
2a…孔
3…カバーシート
4…積層体
10…接着剤
Claims (1)
- トラックピッチ200〜400nm、溝深さ10〜150nmのグルーブが形成された基板上に、波長500nm以下のレーザ光により情報の記録が可能な記録層を形成して積層体を作製する工程と、
カバーシートを平面テーブル上に載置し、該カバーシート上にUV硬化樹脂よりなる接着剤を滴下した後、前記積層体を前記記録層が内側になるように、前記カバーシート上に重ねる工程と、
前記平面テーブルを回転させて、前記接着剤を前記カバーシートと前記積層体との間の全面に広げた後、紫外線を照射して当該接着剤を硬化させて、前記カバーシートと前記積層体とを貼り合わせる工程と、
を有することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
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