JP2009226879A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク吸収性、白紙光沢性が優れた顔料インク用インクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】透気性支持体上に、少なくとも上層と下層の2層からなるインク受理層を設け、下層として平均二次粒子径が0.5μm以上の無機微粒子とバインダーからなるインク受理層、上層として少なくとも二次粒子径が500nm未満の無機超微粒子とバインダーからなるインク受理層を順次塗布して設け、さらに上層の上に最低成膜温度が50℃以上である熱可塑性樹脂粒子からなる光沢発現層を設け、該光沢発現層の表面温度を該最低成膜温度以下で乾燥したことを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット記録材料に関し、透気性支持体上に少なくとも上層と下層の2層からなるインク受理層を順次塗布して設け、さらに上層の上に光沢発現層を設けインクジェット記録材料に関し、インク吸収性、白紙光沢性が優れたインクジェット記録材料に関するものである。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。さらに、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。また、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
インクジェット記録材料に要求される特性は、印字濃度、色調の鮮明性、ハジキやムラをなくすためのインク吸収性、汚れをなくすためのインク乾燥性等である。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録材料と称される、支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性結着剤からなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録材料が知られている。
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化、高性能化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなインクジェットプリンタの進歩に伴って、インクジェット記録材料も各種開発されてきている。このインクジェット記録材料に要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インク吸収性が高い)、(2)インクのニジミのないこと(インク吸収性が高い)、(3)インクドットの真円性が高いこと、(4)色濃度が高いこと、(5)印字部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと等が挙げられる。
近年、インクジェット記録の用途の広がりにより、インクジェットプリンタも、最大でもA4判用紙への印字を主目的とする、幅の狭い枚葉印刷を主体とする個人ユースの卓上プリンタから、A1判、A0判といった大判、さらには、それより大きな長尺物まで印字できるワイドプリンタまで幅の広い品揃えとなっており、名刺サイズの印字物から懸垂幕レベルの印字物まで幅広く用いられている。
ワイドプリンタの用途としては、ポスター、グラフィック、看板、懸垂幕等を挙げることができるが、そのほとんどは屋内あるいは屋外での掲示が主体である。そのため、見る人の目を引く必要があるため、マットタイプのインクジェット記録材料よりは光沢タイプのインクジェット記録材料が好ましく用いられている。
また、掲示物の場合、その掲示期間が長期に渡るため、染料インクより保存性に優れた顔料インクが用いられ、事実、現状のワイドプリンタのそのほとんどは顔料インクタイプである。そのため、顔料インクに対応したインクジェット記録材料も提案されている(例えば、特許文献1参照)。ところが、顔料インクの場合、インク自体の保存性は優れるものの、インクが記録材料表面に付着堆積しているだけのため物理的な力に弱く、すなわち印字部表面を擦ったり引っ掻いたりすることにより容易にインクが剥がれてしまい、長期間掲示している間に印字部に多数の傷が発生し画像の品位を落としてしまう。
インク受理層や最表層である保護層に有機顔料を含有させる提案が各種なされているが、そのほとんどは記録材料の搬送性改良を主目的としたものであり、また、表面の耐傷性改良を目的としたものでも印字後印字面を加熱処理し有機顔料を溶融緻密化させるなどの工程を経なければならなかった(例えば、特許文献2〜5参照)。顔料インクによる画像部の耐傷性を改良する手段として有機樹脂微粒子をインク受理層に含有させたインクジェット記録材料も提案されているが、爪等による引っ掻き傷には耐えられるものではなかった(例えば、特許文献6参照)。
特開2005−1373号公報 特開平11−301108号公報 特開2002−292997号公報 特開2003−170658号公報 特開2003−226072号公報 WO2002/034541号パンフレット
本発明の課題は、インク吸収性を実現でき、白紙光沢性が優れた光沢インクジェット記録材料を提供することである。
本発明の上記課題は、透気性支持体上に、少なくとも上層と下層の2層からなるインク受理層を設け、下層として平均二次粒子径が0.5μm以上の無機微粒子とバインダーを主成分とするインク受理層、上層として少なくとも二次粒子径が500nm未満の無機超微粒子とバインダーを主成分とするインク受理層を順次塗布して設け、さらに上層の上に最低成膜温度が50℃以上である熱可塑性樹脂粒子からなる光沢発現層を設け、該光沢発現層の表面温度を該最低成膜温度以下で乾燥したことを特徴とするインクジェット記録材料により達成される。
該無機微粒子が、アルミナ水和物、気相法シリカ、コロイダルシリカから選ばれる少なくとも1種であると好ましい。光沢発現層の乾燥固形分塗工量が0.01〜0.5g/m2であるとさらに好ましい。
本発明によりインク吸収性、白紙光沢性が優れたインクジェット記録材料が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のインクジェット記録材料は、透気性支持体上に、少なくとも上層と下層の2層からなるインク受理層を設け、下層として平均二次粒子径が0.5μm以上の無機微粒子と樹脂バインダーからなるインク受理層、上層として少なくとも二次粒子径が500nm未満の無機超微粒子とバインダーからなるインク受理層を順次塗布して設け、さらに上層の上に最低成膜温度が50℃以上である熱可塑性樹脂粒子からなる光沢発現層を設け、該光沢発現層の表面温度を該最低成膜温度以下で乾燥したことを特徴とするインクジェット記録材料である。本発明の光沢発現層は最低成膜温度(MFT)が50℃以上である熱可塑性樹脂粒子からなる。ここで熱可塑性樹脂粒子とは媒質中に分散状態にあるポリマー微粒子のことであり、アクリル系エマルジョン、アクリル−スチレン系エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、塩素化ポリオレフィン系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元共重合体エマルジョン、SBRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、カルボキシル化SBRラテックス、カルボキシル化NBRラテックス、カルボキシル化MBRラテックス、水溶性ウレタン系樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。また熱可塑性樹脂粒子のモノマー組成、粒子径、重合度の異なる複数の重合体を混合して使用することもできる。
本発明に使用する熱可塑性樹脂粒子は最低成膜温度(MFT)が50℃以上である。優れた白紙光沢性を得るためには、最低成膜温度(MFT)が70℃以上のものを用いるのが好ましい。最低成膜温度(MFT)とは熱可塑性樹脂粒子が結合して成膜するのに最低必要な温度を意味する。この最低成膜温度(MFT)は室井宗一著「高分子ラテックスの化学」(高分子刊行会、1987年出版)等に記載されているように温度勾配板法により測定することができる。
本発明に使用する熱可塑性樹脂粒子の粒子径は特に制限はないが、通常0.01〜0.5μmの範囲にあるものが使用される。上記範囲内ではインク吸収性、白紙光沢性が優れる。
本発明の光沢発現層の乾燥固形分量は0.01〜0.5g/m2である。より優れたインク吸収性を得るためには、乾燥固形分量は0.02〜0.3g/m2であることが好ましい。
本発明に係るインク受理層で用いられる無機超微粒子とは、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合は、平均二次粒子径が500nm未満の無機超微粒子をいう。例えば、特開平1−97678号公報、特開平2−275510号公報、特開平3−281383号公報、特開平3−285814号公報、特開平3−285815号公報、特開平4−92183号公報、特開平4−267180号公報、特開平4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、特開昭61−19389号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、特開平10−181191号公報、特開平10−272833号公報、特開2001−199158号公報及び特開2002−331747号公報に記載されているような、機械的に粉砕した湿式法シリカ、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。さらに好ましくは、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ水和物のコロイド粒子である。
なお、本発明でいう無機超微粒子の平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものであり、無機超微粒子の平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折・散乱法を用いた粒度分布計により測定して得られる。
一般にシリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al23約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法及び気相法がある。その中で、気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法であり、該気相法で製造された非晶質シリカを気相法シリカという。
気相法シリカは、一般には火炎加水分解法によって作られる。具体的には、四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、例えば、日本アエロジル(株)からアエロジルとして市販されており入手することができる。
本発明に係わる無機超微粒子に用いられる平均二次粒径500nm未満に粉砕した湿式法シリカとは、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均二次粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子を、カチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm未満、好ましくは50〜400nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を示す。ここでいう粉砕された湿式法シリカの平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。
コロイダルシリカは湿式法で合成された一次粒子径が数nm〜100nm程度の合成シリカであり、その形状は、一般的に球状または球状に近い形状をしている。本発明に係わるコロイダルシリカは、小さいシリカ粒子が鎖状に連結した細長い形状、または三次元網目構造を有している非球状のものがより好ましい。細長い形状の粒子とは三次元方向には伸長を有さず、同一平面内に伸長したものをいう。細長い形状の粒子には、ほぼ真っ直ぐなもの、屈曲しているもの、分枝を有するもの、環を有するもの等が含まれる。これに対し、三次元網目構造を有する粒子とは、これら細長い形状の粒子が文字通り三次元的に絡まった網目状構造を有するものを指す。
アルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al23・nH2
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を超え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を超え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでも良く、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
本発明のインクジェット記録材料には、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミナ水和物としては、カタロイドAS−1、カタロイドAS−2、カタロイドAS−3(以上、触媒化成工業(株))アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業(株))、M−200(以上、水澤化学工業(株))、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル(株))などを挙げることができる。
本発明において用いられるアルミニウム酸化物超微粒子は、γ型結晶であるγ型酸化アルミニウム微粒子が好ましく用いられる。γ型結晶は結晶学的に分類すると、さらにγグループとδグループに分けることができる。δグループの結晶形態を有する超微粒子の方が好ましい。
γ型結晶微粒子のアルミニウム酸化物は、一次粒子の平均粒子径を10nm程度にまで小さくすることが可能であるが、一般に、一次粒子は二次凝集形態(以下、二次粒子と記す)を形成して、数千から数万nmにまで粒子径が大きくなる。このような大粒子径のγ型アルミナ結晶微粒子を使用すると、インク受理層の印字性、吸収性は良好であるものの、透明性に欠け、塗膜欠陥が発生しやすくなることがある。
γ型酸化アルミニウム超微粒子ゾルを得るには、通常、数千から数万nmの二次粒子となっているγ型酸化アルミニウム結晶をビーズミルや超音波ホモジナイザー、高圧式ホモジナイザー等の粉砕手段によって、被膜性、透明性が良好である平均二次粒子径が200nm以下、好ましくは100nm以下の超微粒子になるまで粉砕することが好ましい。粉砕手段としては、異物混入による欠点発生や透明性低下等の少ない超音波ホモジナイザーや高圧式ホモジナイザーを用いる方法が好ましい。γ型酸化アルミニウム結晶超微粒子は、インク吸収性に優れ、乾燥性、インク定着性等の印字品質も良く、超微粒子化することで、高比率でインク受理層の最表層に含有させても透明性に優れたインクジェット記録材料を得ることができる。
γ型酸化アルミニウム結晶微粒子は、市販品として、δグループに属する酸化アルミニウムC(日本アエロジル(株))、γグループに属するAKP−G015(住友化学(株))などとして入手できる。
また、インク受理層はバインダーを含有させる。バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体;カゼイン、ゼラチン及びそれらの変性物、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、アルギン酸、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ無水マレイン酸またはその共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸またはその共重合体、親水性ポリウレタン樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係わるインク受理層に含有するバインダーの配合量は、該インク受理層のインク吸収性を阻害しない範囲であれば特に制限されない。好ましくは、無機微粒子100質量部に対して2〜100質量部である。さらに好ましくは、2〜50質量部である。無機超微粒子の場合は、無機超微粒子100質量部に対して2〜25質量部である。
本発明に係わるインク受理層は、下層、上層の2層以外に他のインク受理層を積層して形成しても良く、各インク受理層の構成は異なっても良く特に限定されない。複数層のインク受理層とすることで、より高い表面光沢やインク吸収性が得られる場合がある。
本発明においてインク受理層には、種々の添加剤を含有させることもできる。添加剤としては、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、架橋剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などが挙げられる。
本発明に係わるインク受理層は、支持体にインク受理層の塗液を塗布し、引き続き乾燥することにより形成される。インク受理層の塗液を塗布する装置には、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター、サイズプレス、スプレーなどの各種装置をオンマシンあるいはオフマシンで用いることができる。
本発明において、塗液塗工後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができるが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
本発明において、インク受理層を塗工、乾燥後、平坦化をコントロールしたり表面光沢をさらに高めたりする目的で、カレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。
本発明のインクジェット記録材料に用いられる支持体としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗工紙、クラフト紙、含浸紙など透気性の支持体を挙げることができるが、特に制限されず、好ましくは、いわゆる原紙を用いることができる。例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、結着剤及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙である。該原紙をそのまま本発明のインクジェット記録材料に係わる吸水性支持体としても良いし、さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていても良い。また、このような原紙に、そのままインク受理層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を利用して平坦化処理をした後にインク受理層を設けても良い。
本発明のインク受理層は、上層、下層を含め3層以上あっても良い。インク受理層の乾燥固形分塗布量は、塗布する無機超微粒子、無機微粒子によって異なる。気相法シリカと、アルミナ水和物を重層する際の総乾燥固形分量は、6〜30g/m2が好ましく、8〜25g/m2がより好ましい。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例に於いて示す「部」及び「%」は特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
<支持体>
濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部からなる木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を1%スラリーに調製後、長網抄紙機を用いて坪量105g/m2で抄造し支持体1を得た。
<インク受理層塗液1>
合成非晶質シリカ(平均二次粒子径4.0μm)100部、4%ホウ砂水溶液250部をのこぎり歯状ブレード型撹拌機を用いて水250部に混合し、これに50%ポリウレタン樹脂ラテックス(平均一次粒子径50nm、Tg−50℃)を100部、水酸化ナトリウム0.5部を混合し、固形分濃度22.9%のインク受理層塗液1を調製した。
<インク受理層塗液2>
合成非晶質シリカ(平均二次粒子径2.5μm)100部をのこぎり歯状ブレード型撹拌機を用いて水400部に混合し、これに10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液250部、水酸化ナトリウム0.5部を混合し、固形分濃度16.7%のインク受理層塗液2を調製した。
<アルミナ水和物の合成>
純水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、95℃で4時間加水分解を行った。その後、酢酸24gを加え、95℃にて40時間撹拌した後、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して分散し、固形分濃度が16%になるように濃縮して、白色の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。なお、レーザー光回折・散乱法にて測定したアルミナ水和物微粒子の平均二次粒子径は180nmであった。
このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均一次粒子径を測定したところ、約20nmであり、アスペクト比6の平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物であった。
<インク受理層塗液3>
上記の16%の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を用いて、該アルミナ水和物分散液622部、これに4%ホウ酸水溶液13.1部、10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液62.9部、水1.6部を混合し、固形分濃度15.2%のインク受理層塗液3を調製した。
<インク受理層塗液4>
水472部に、固形分濃度50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部、沈降法シリカ(BET法による比表面積130m2/g、平均一次粒子径16nm、平均二次粒子径6μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して予備分散液を作製した。得られた予備分散液をビーズミルで処理して、シリカ濃度17.7%の湿式シリカ分散液を得た。この分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られた湿式シリカ微粒子の平均二次粒子径は250nmであった。こうして得たシリカ分散液580部に固形分濃度4%ホウ酸水溶液20部、固形分濃度10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液200部を混合し、固形分濃度15.4%のインク受理層塗液4を調製した。
<インク受理層塗液5>
水472部に、固形分濃度50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部、沈降法シリカ(BET法による比表面積130m2/g、平均一次粒子径16nm、平均二次粒子径6μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して予備分散液を作製した。得られた予備分散液をビーズミルで処理して、シリカ濃度17.7%の湿式シリカ分散液を得た。この分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られた湿式シリカ微粒子の平均二次粒子径は550nmであった。こうして得たシリカ分散液580部に固形分濃度4%ホウ酸水溶液20部、固形分濃度10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液200部を混合し、固形分濃度15.4%のインク受理層塗液5を調製した。
<インク受理層塗液6>
気相法シリカ(平均一次粒子径12nm、平均二次粒子径120nm、BET法による比表面積300m2/g、分散度0.3)100部をホモジナイザーを用いて水500部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液200部、4%ホウ酸水溶液20部、25%塩基性ポリ水酸化アルミニウム水溶液20部を混合し、固形分濃度15.0%のインク受理層塗液6を調製した。
<インク受理層塗液7>
20%パールネックレス状コロイダルシリカ(平均一次粒子径20nm、平均二次粒子径140nm)618部に4%ホウ酸水溶液16.3部、10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液65.1部を混合し、固形分濃度18.7%のインク受理層塗液7を調製した。
<光沢発現層塗液1>
水177部に、熱可塑性ポリウレタン系樹脂粒子(MFT:84℃、平均一次粒子径10nm、カチオン性、固形分濃度30%)3部を混合し、さらにノニオン系界面活性剤0.3部を混合し、固形分濃度0.67%の光沢発現層塗液1を調製した。
<光沢発現層塗液2>
水177部に、熱可塑性ポリウレタン系樹脂粒子(MFT:55℃、平均一次粒子径10nm、アニオン性、固形分濃度32%)2.8部を混合し、さらにノニオン系界面活性剤0.3部を混合し、固形分濃度0.66%の光沢発現層塗液2を調製した。
<光沢発現層塗液3>
水172部に、熱可塑性ポリウレタン系樹脂粒子(MFT:40℃、平均一次粒子径20nm、アニオン性、固形分濃度35%)2.5部を混合し、さらにノニオン系界面活性剤0.29部を混合し、固形分濃度0.67%の光沢発現層塗液3を調製した。
<光沢発現層塗液4>
水182部に、熱可塑性アクリル系樹脂粒子(MFT:220℃、アニオン性、固形分濃度40%)2.3部を混合し、さらにノニオン系界面活性剤0.3部を混合し、固形分濃度0.66%の光沢発現層塗液4を調製した。
<光沢発現層塗液5>
水178部に、熱可塑性スチレン−アクリル系樹脂粒子(MFT:110℃、アニオン性、固形分濃度50%)1.8部を混合し、さらにノニオン系界面活性剤0.3部を混合し、固形分濃度0.67%の光沢発現層塗液5を調製した。
(実施例1)
上記で作製した支持体1の上にインク受理層塗液1を乾燥固形分12g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥しインク受理層1を形成した。さらに、インク受理層1上に、インク受理層塗液3を乾燥固形分16g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥しインク受理層3を形成した。さらにその上に光沢発現層塗液1を乾燥固形分0.1g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥し、実施例1のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例2)
実施例1でインク受理層3を用いる代わりにインク受理層4を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例2のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例3)
実施例1でインク受理層3を用いる代わりにインク受理層6を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例3のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例4)
実施例1でインク受理層3を用いる代わりにインク受理層7を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例4のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例5)
実施例1でインク受理層1を用いる代わりにインク受理層2を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例5のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例6)
実施例1で光沢発現層塗液1を用いる代わりに光沢発現層塗液2を用い、光沢発現層塗液を乾燥させる熱風の温度を100℃にした以外は実施例1と同一条件で実施例6のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例7)
実施例1で光沢発現層塗液1を用いる代わりに光沢発現層塗液4を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例7のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例8)
実施例1で光沢発現層塗液1を用いる代わりに光沢発現層塗液5を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例8のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例9)
実施例1で光沢発現層塗液1の乾燥固形分を0.25g/m2にした以外は実施例1と同一条件で実施例9のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例10)
実施例1で光沢発現層塗液1の乾燥固形分を0.45g/m2にした以外は実施例1と同一条件で実施例10のインクジェット記録材料を作製した。
(実施例11)
実施例1で光沢発現層塗液1の乾燥固形分を0.6g/m2にした以外は実施例1と同一条件で実施例11のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例1)
実施例1でインク受理層塗液3を用いる代わりにインク受理層塗液5を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例1のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例2)
上記で作製した支持体1の上にインク受理層塗液1を乾燥固形分12g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥しインク受理層1を形成した。さらに、インク受理層1上に、光沢発現層塗液1を乾燥固形分0.1g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥し、比較例2のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例3)
実施例1で光沢発現層塗液1を用いる代わりに光沢発現層塗液3を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例3のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例4)
上記で作製した支持体1の上にインク受理層塗液3を乾燥固形分16g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥しインク受理層3を形成した。さらに、インク受理層3上に、光沢発現層塗液1を乾燥固形分0.1g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥し、比較例4のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例5)
上記で作製した支持体の上にインク受理層塗液1を乾燥固形分12g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥しインク受理層1を形成した。さらに、インク受理層1上に、インク受理層塗液3を乾燥固形分16g/m2になるようにメイヤバーを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥して比較例5のインクジェット記録材料を作製した。
表面温度測定
実施例1〜11、比較例1〜4において、各光沢発現層の乾燥直後の表面温度を非接触型温度計((株)キーエンス社製、IT2−60)を用いて測定し、結果を表1の「表面温度」の項に示した。
評価
実施例1〜11、比較例1〜5で作製したインクジェット記録材料のインク吸収性、表面光沢を下記試験方法により評価を行った。
<試験方法>
(1)インク吸収性
実施例、比較例で作製したインクジェット記録材料にセイコーエプソン(株)製「PX−7500(プリンタ設定:EPSON写真用紙、推奨設定)」を用いて、黒、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーン各色のベタ印字及びその中に白抜き文字を設けたパターン等からなる画像を印字し、ベタ印字部分の均一性、隣り合ったベタ印字部の境界部や白抜き文字の鮮鋭性等を目視で観察して、1〜10の数値で評価した。1は最もインクの吸収性が悪いことを表し、数値が大きくなるほどインクの吸収性が良好で、10は最もインクの吸収性が良好なことを示す。6以上であれば実用上問題ない。結果を表1の「インク吸収性」の項に示した。
(2)表面光沢
表面光沢はJIS−Z8741に準拠し、(株)村上色彩技術研究所製デジタル光沢計GM−26D型を用いて入反射角度が75度で測定し、結果を表1の「光沢度」の項に示した。光沢度が70%以上であれば掲示物として視認性が良好であり、見栄えのする画像を印字することができる。
Figure 2009226879
表1中、実施例1〜11に示す様に、透気性支持体上に、少なくとも上層と下層の2層からなるインク受理層を設け、下層として平均二次粒子径が0.5μm以上の無機微粒子とバインダーからなるインク受理層、上層として少なくとも二次粒子径が500nm未満の無機超微粒子とバインダーからなるインク受理層を順次塗布して設け、さらに上層の上に最低成膜温度が50℃以上である熱可塑性樹脂粒子からなる光沢発現層を設け、該光沢発現層の表面温度を該最低成膜温度以下で乾燥を行って作製されたインクジェット記録材料は、白紙光沢が非常に高く、かつ良好なインク吸収性を兼ね備えていた。
実施例1〜4の比較により、上層のインク受理層中に用いる無機超微粒子をアルミナ水和物、気相法シリカ、コロイダルシリカから選ばれる少なくとも1種にすることで、良好なインク吸収性と高白紙光沢が得られ、好ましい。
また、実施例1及び実施例9〜11の比較により、光沢発現層の乾燥固形分塗工量を0.01〜0.5g/m2とすることにより、インク吸収性と高白紙光沢が得られさらに好ましい。
比較例1においては、上層インク受理層中の無機超微粒子の平均二次粒子径が大きいために白紙光沢が低下し、比較例2、5においては、無機超微粒子を含む上層インク受理層もしくは光沢発現層がないため、白紙光沢が低下した。また比較例3においては、光沢発現層に含まれる熱可塑性樹脂粒子の最低成膜温度が50℃未満であり、光沢発現層の乾燥時の表面温度が再生造膜温度より高いため、インク吸収性が低下した。比較例4においては、下層インク受理層がないため、インク吸収性が不十分であった。

Claims (3)

  1. 透気性支持体上に、少なくとも上層と下層の2層からなるインク受理層を設け、下層として平均二次粒子径が0.5μm以上の無機微粒子とバインダーを主成分とするインク受理層、上層として少なくとも二次粒子径が500nm未満の無機超微粒子とバインダーを主成分とするインク受理層を順次塗布して設け、さらに上層の上に最低成膜温度が50℃以上である熱可塑性樹脂粒子からなる光沢発現層を設け、該光沢発現層の表面温度を該最低成膜温度以下で乾燥したことを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 該無機超微粒子が、アルミナ水和物、気相法シリカ、コロイダルシリカから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のインクジェット記録材料。
  3. 該光沢発現層の乾燥固形分塗工量が0.01〜0.5g/m2である請求項1記載のインクジェット記録材料。
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