JP2006231786A - インクジェット記録材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク吸収性及び発色性に優れ、かつ塗層の表面強度に優れたインクジェット記録材料及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体の少なくとも片面にインク受理層塗液を塗工、乾燥して、少なくとも1層以上インク受理層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受理層塗液中に少なくとも反応性置換基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料と該反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料に関するものであり、特にインク吸収性及び発色性に優れ、かつ塗層の表面強度に優れたインクジェット記録材料及びその製造方法に関するものである。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。インクジェットプリンターやプロッターはコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として開発され、近年、インクジェットプリンターやパーソナルコンピューターの目ざましい進歩やデジタルカメラの普及により、オフィス、商業用途のみならず、ホームユースにおいてもフルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。
これらインクジェット記録装置の高性能化や用途の多様化に伴い、インクジェット記録材料に求められる特性も多種になり、様々な記録材料の開発が行われている。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、紙支持体上に非晶質シリカ等の顔料と水溶性バインダー等からなるインク吸収層を設けた記録材料が知られている。
さらに、光沢性等の良好なインクジェット記録性能を得る等の目的で、無機超微粒子を含有するインクジェット記録材料が提案され、一次粒子径が3nm〜30nmである主として気相法による合成シリカを使用するインクジェット記録材料が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、インク溶媒非吸収性支持体上に、気相法シリカ、ホウ酸またはホウ酸塩、ポリビニルアルコールを含有する第一のインク受理層、アルミナまたはアルミナ水和物、ホウ酸またはホウ酸塩、ポリビニルアルコールを含有する第二のインク受理層を順次積層することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
インクの吸収性および発色性を向上させるために下層にシリカ多孔質層を設け、上層にアルミナまたはアルミナ水和物含有層を有するインクジェット記録材料や下層に吸収性顔料含有層、上層に擬ベーマイトを配した記録材料が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
このようなインクジェット記録材料は、多孔質構造を有することで、インク吸収性を確保しているため、塗層表面の強度とインク吸収性を両立するのが難しい。すなわち、塗層表面強度を確保するには、バインダー成分の増量が必要となるため、インク吸収性が低下し、また、インク吸収性を確保するためには、顔料粒子間の空隙を大きくすることや、顔料粒子の吸油量が多いものを使用する方法等が考えられるが、いずれも塗層表面の強度が低下し、表面が擦られた際には、塗層表面に傷が付いてしまうことがあった。さらにはフルカラー記録の際、使用するインクが多くなるために上記インク受容層の強度が低下し、表面を擦る等により印字された部分が剥がれてしまうといった表面強度に対する問題があった。
これらの問題を解決すべく、支持体上にシリカとシラノール変成PVAおよびカチオン性樹脂からなる塗層を設けたインクジェット記録材料や支持体上に気相法シリカおよびゼラチン、架橋剤により架橋されたゼラチンを含有する塗層を設けたインクジェット記録材料等が提案されているが、インク吸収性と表面強度の両立という点では十分ではなかった(例えば、特許文献6、7)。
高温高湿条件下での経時滲み防止や耐光性、耐ガス性の向上を目的として、分子量1000未満のシランカップリング剤、および分子量1000〜500000のポリマー型シランカップリング剤で表面処理された無機微粒子からなるインクジェット記録材料や耐水性支持体上に気相法シリカとシランカップリング剤を含有するインクジェット記録材料等、インクジェット記録材料にシランカップリング剤を用いることが提案されているが(特許文献8、9参照)、表面強度およびインク吸収性の両立という点においては、不十分であった。
特開平8−174992号公報(第3−6頁) 特開平7−76161号公報(第2−3頁) 特開2002−225423号公報(第2−7頁) 特開平6−55829号公報(第2−3頁) 特開平7−89216号公報(第2−6頁) 特開2000−15924号公報(第2−5頁) 特開2002−264482号公報(第2−10頁) 特開2003−305994号公報(第2−25頁) 特開2000−233572号公報(第2−8頁)
本発明の課題は、インク吸収性及び発色性に優れ、かつ塗層の表面強度に優れたインクジェット記録材料及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、支持体の少なくとも片面にインク受理層塗液を塗工、乾燥して、少なくとも1層以上インク受理層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受理層塗液中に少なくとも反応性置換基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料と該反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録材料である。
該反応性基がエポキシ基であり、かつ該反応性基と反応する官能基がアミノ基であることが好ましい。
該無機粒子が平均二次粒子径500nm以下のアルミナ水和物、気相法シリカ、コロイダルシリカ、湿式粉砕シリカから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
反応性基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料の分散液と反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料の分散液を混合した後、乾固し、その乾固物を再分散した粒子を含有する塗液を支持体に塗工・乾燥して、少なくとも1層以上のインク受理層を設けたことを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法である。
本発明のインクジェット記録材料及び本発明の製造方法により得られるインクジェット記録材料は、高いインク吸収性と発色性、及び良好な塗層の表面強度を兼ね備える。
以下、本発明のインクジェット記録材料並びにその製造方法を詳細に説明する。
本発明に係わるインク受理層について説明する。
本発明において、少なくとも反応性置換基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料と該反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料を含有する塗液は、インク受理層の最表層の塗工に用いる塗液であることが好ましい。インク受理層の最表層の塗工に用いることにより、表面強度及びインク吸収性が向上するため好ましい。
本発明に用いられるシランカップリング剤は、一方は、シランカップリング剤の分子中に少なくとも反応性基を有し、もう一方はシランカップリング剤の分子中に少なくとも該反応基と反応する官能基を有し、反応性基と該反応基と反応する官能基が互いに反応により共有結合を形成しうるものであれば、特に限定されない。反応性基と該反応基と反応する官能基としては例えば、エポキシ基、チイラン基、イソシアネート基、モノハロゲン化アルキル基、イソチオシアネート基、ラクトン基、アセトアセチル基、アルデヒド基、環状カーボネート基、アミノ基、チオール基、ヒドロキシ基、ヒドラジド基、ビニル基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基などが挙げられる。特に、反応性基が官能基部分に電子不足の部分が存在し、その部分に求核反応を受けることができる官能基であり、また、該反応基と反応する官能基が、官能基に電子が豊富な部分を持ち、該反応基に対し、求核反応をする官能基の組み合わせであると表面強度が向上し、好ましい。そのような反応性基としては、例えば、エポキシ基、チイラン基、イソシアネート基、モノハロゲン化アルキル基、イソチオシアネート基、ラクトン基、アセトアセチル基、アルデヒド基、環状カーボネート基等が挙げられ、これら反応性基と反応する官能基としては、アミノ基、チオール基、ヒドロキシ基、ヒドラジド基、ウレイド基等が挙げられる。これらのうち、表面強度および、インク吸収性の点から反応性基と反応性基と反応する官能基の組み合わせとしては、エポキシ基とアミノ基が特に好ましい。
本発明において用いる、反応性基を有するシランカップリング剤の具体例としては以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006231786
また、本発明において用いる、該反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤の具体例としては以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006231786
本反応に用いるシランカップリング剤の分子量は、無機顔料との反応性および、塗層の表面強度の点から、分子量500以下が好ましく、より好ましくは分子量350以下である。
本反応に用いるシランカップリング剤の添加量は、それぞれ表面処理する顔料の0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。この範囲にすることで、インク吸収性と塗層の表面強度の両立が可能となる。
本発明のインク受理層で使用される無機顔料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されている擬ベーマイトゾルなどのアルミナ水和物、特開平8−72387公報などに記載されている気相法アルミナ、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、平均二次粒子径500nm未満に粉砕した湿式シリカ、その他にもヘクトライト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができ、これらを1種以上使用してもよい。
本発明のインク受理層に含有する無機顔料としては、上記の無機顔料の中でも平均二次粒子径500nm以下のアルミナ水和物、気相法シリカ、コロイダルシリカ、湿式粉砕シリカが好ましい。これらの無機顔料を用いることにより、シランカップリング剤との結合性が向上するため、表面強度及び発色性が向上し、好ましい。
尚、本発明でいう無機顔料の平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折・散乱法を用いた粒度分布計により測定して得られる。また、単分散状態の粒子の場合はその平均一次粒子径が500nm以下の無機顔料を言う。その場合、平均一次粒子径は、無機顔料の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものである。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、一般式Al23・nH2Oにより表すことができる。アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
また、アルミナ水和物の分散液を安定化させるために、通常は種々の酸類が分散液に添加される。このような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
本発明で使用するアルミナ水和物において平均一次粒子径が3nm〜25nmのアルミナ水和物が好ましい。特に好ましい平均一次粒子径は5nm〜20nmのものである。またこれらが連結した平均二次粒子径としては、50nm〜300nmにするのが好ましい。
本発明に用いられる気相法シリカは乾式法シリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は、インク受理層の表面強度、インクの発色の点から5nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは、10nm以上40nm以下、特に好ましくは15nm以上30nm以下である。また、BET法による比表面積は、インク受理層の最表層塗層の表面強度、インク吸収性の点から30m2/g以上300m2/g以下が好ましく、特に好ましくは40m2/g以上150m2/g以下が好ましい。
尚、本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
本発明には、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で、該気相法シリカの平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは50〜400nm、更に好ましくは100〜300nmに分散したものが使用できる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカとカチオン性化合物及び分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
本発明において、湿式法シリカは、製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカ等に分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカ二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ株式会社からニップシールとして、株式会社トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。この場合、熟成中に小さなシリカ粒子が溶解し、大きな粒子の一次粒子間に一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、水澤化学工業株式会社からミズカシルとして、グレースジャパン株式会社からサイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業株式会社からスノーテックスとして市販されている。また、その他の方法として、アルコキシド加水分解法などにより、コロイダルシリカはつくられている。
尚、本発明における湿式合成シリカとは前記の沈降法或いはゲル法により製造されたシリカを示し、コロイダルシリカとは前記のゾル法シリカやアルコキシド加水分解法により製造されたシリカを示す。
本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは50〜400nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ超微粒子を使用することが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより超微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録材料の生産性も向上する。吸油量は、JIS K5101の記載に基づき測定される。
本発明の平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ無機顔料を得る具体的な方法としては、まず水中でシリカ粒子とカチオン性化合物を混合(添加はどちらが先であっても、また同時でも良い)しても良く、又それぞれの分散液あるいは水溶液を混合しても良く、のこぎり歯状ブレード型撹拌機、プロペラ羽根型撹拌機、またはローターステーター型撹拌機等の撹拌装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散物の固形分濃度は高いほうが好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、より強い機械的手段を与えることによって、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えばボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
本発明において、シランカップリング剤にて表面処理された無機顔料をインク受理層塗液中に含有する方法として、例えば、無機顔料の分散液に反応性基を有するシランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液と、それとは別に無機顔料の分散液に反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液を混合し、そのままインク受理層塗液を作製する方法、無機顔料の分散中に反応性基を有するシランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液を乾固した物と、それとは別に無機顔料の分散中に反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液を乾固した物を混合した後、その混合物を再分散し、インク受理層塗液を作製する方法、無機顔料の分散中に反応性基を有するシランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液と、それとは別に無機顔料の分散中に反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液を混合した後、乾固し、その乾固物を再分散し、インク受理層塗液を作製する方法等が挙げられるが、インク受理層塗液を作製する簡便さと表面強度向上の点から無機顔料の分散中に反応性基を有するシランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液と、それとは別に無機顔料の分散中に反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液を混合した後、乾固し、さらにその乾固物を再分散し、インク受理層塗液を作製する方法が好ましい。
本発明において、シランカップリング剤を混合することにより表面処理した無機顔料の分散液を乾固する方法としては、スプレードライ、フリーズドライ、熱源による加熱、熱風や赤外線により分散液を加熱する蒸発乾燥法などが挙げられるが、特に限定されない。
再分散する方法としては、必要であれば乾式粉砕した後、湿式分散することが好ましく、のこぎり歯状ブレード型撹拌機、プロペラ羽根型撹拌機、またはローターステーター型撹拌機等の撹拌装置による分散や、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等のより強い機械的手段を与えた分散方法が使用できる。
再分散時には、上記の気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物等の分散剤を使用してもよい。
本発明のインク受理層には、バインダーを含有するのが好ましい。バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体;カゼイン、ゼラチンおよびそれらの変性物、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、アルギン酸、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸またはその共重合体等の親水性バインダー、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリウレタン樹脂ラテックス、アルキッド樹脂ラテックス、不飽和ポリエステル樹脂ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス等のラテックス系バインダー、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤、ポリビニルブチラール等が挙げられ、これらを1種以上使用できる。これらのうち、接着力、成膜性等の点から、ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体が好ましい。
本発明のインク受理層に使用されるバインダーの配合量としては、無機顔料の総和100質量部に対して、3〜70質量部、好ましくは、5〜50質量部である。
本発明のインク受理層には、顔料インクと染料インクを併用するインクジェット記録方式に適用する場合には上記の他、カチオン性化合物を含有することもできる。また、これらに添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、ラジカル開始剤、架橋剤、湿潤力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
本発明において、インク受理層の乾燥塗工量の範囲は5〜50g/m2、より好ましくは7〜30g/m2であり、インク受理層の乾燥塗工量をこの範囲にすることで表面強度を低下させずにインク吸収性をより効率的に得ることができ、好ましい。
本発明においてインク受理層は、支持体上に塗液を塗布・乾燥して形成される。層を設ける際に塗工する方法は特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により塗工することができる。
本発明において、塗液塗工後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができるが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
本発明において、インク受理層を塗工、乾燥後、平坦化をコントロールしたり表面光沢をさらに高めたりする目的で、キャストコート法やカレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。
本発明に用いる支持体は透明、半透明および不透明のいずれであっても良く、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙、ガラス板など、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることが出来るが、これらに限定されるものではない。
本発明において支持体として用いる紙としては、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどの木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造された紙、更に紙に、澱粉、ポリビニルアルコールなどでのサイズプレスやアンカーコート層を設けた紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙などの塗工紙も含まれる。この様な紙および塗工紙に、そのまま本発明における塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を使用しても良い。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例に於いて示す「部」および「%」は特に明示しない限り質量部および質量%を示す。
実施例に用いたインク受理層の塗液において、インク受理層に使用する無機顔料の平均二次粒子径はレーザー光回折・散乱法(マイクロトラック9320HRA、Leeds&Northrup社製)にて測定した。
<支持体1>
濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を水に混合してスラリーを調製後、長網抄紙機を用いて坪量105g/m2で抄造し、透気性及びインク溶媒吸収性を有する紙支持体である支持体1を得た。
<支持体2>
LBKP50部とNBSP50部の混合物を濾水度300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、紙力増強剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、紙基体を作製し、さらに紙基体の表面(顔料層及びインク受理層が設けられる側)に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、5%の割合でアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で20μmの厚さになるように押し出しコーティングした後、微粗面化処理したクーリングロールを用いて表面光沢度を60%とし、透気性及びインク溶媒吸収性を有さない支持体である支持体2を作製した。
<無機顔料分散液1>
水400部に、濃度60%硝酸2部、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm、BET法による比表面積160m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型撹拌機を使用して、撹拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3部を滴下し、固形分濃度20.6%の無機顔料分散液1を作製した。尚、レーザー光回折・散乱法にて測定したアルミナ水和物微粒子の平均二次粒子径は150nmであった。
<無機顔料分散液2>
無機顔料分散液1において3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いた以外は、無機顔料分散液1と同様にして固形分濃度20.6%の無機顔料分散液2を作製した。尚、レーザー光回折・散乱法にて測定したアルミナ水和物微粒子の平均二次粒子径は150nmであった。
<無機顔料分散液3>
水400部に、固形分濃度50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)8部、気相法シリカ(平均一次粒子径16nm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型撹拌機を使用して、撹拌しながら、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3部を滴下し、予備分散液を作製した。得られた予備分散液を高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20.9%の無機顔料分散液3を作製した。尚、レーザー光回折・散乱法にて測定した気相法シリカ微粒子の平均二次粒子径は400nmであった。
<無機顔料分散液4>
水250部に、固形分濃度50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)8部、沈降法シリカ(BET法による比表面積130m2/g、平均一次粒子径16nm、平均凝集粒子径6μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型撹拌機を使用して、撹拌しながら、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3部を滴下し、予備分散液を作製した。得られた予備分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度29.6%の無機顔料分散液4を作製した。尚、レーザー光回折・散乱法にて測定したシリカ微粒子の平均二次粒子径は400nmであった。
<無機顔料分散液5>
固形分濃度20%コロイダルシリカ(単分散粒子、平均一次粒子径120nm)500部にのこぎり歯状ブレード型撹拌機を使用して、撹拌しながら、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3部を滴下し、固形分濃度20.5%の無機顔料分散液5を作製した。
<無機顔料分散液6>
無機顔料分散液1において、分散後のアルミナの平均二次粒子径を600nmに調整した以外は、無機顔料分散液1と同様にして無機顔料分散液6を作製した。
<無機顔料分散液7>
無機顔料分散液2において、分散後のアルミナの平均二次粒子径を600nmに調整した以外は、無機顔料分散液2と同様にして無機顔料分散液7を作製した。
<無機顔料分散液8>
無機顔料分散液2において3−アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いた以外は、無機顔料分散液2と同様にして無機顔料分散液8を作製した。尚、レーザー光回折・散乱法にて測定したアルミナ水和物微粒子の平均二次粒子径は150nmであった。
<無機顔料分散液9>
無機顔料分散液2において3−アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレアを用いた以外は、無機顔料分散液2と同様にして無機顔料分散液9を作製した。尚、レーザー光回折・散乱法にて測定したアルミナ水和物微粒子の平均二次粒子径は150nmであった。
<無機顔料分散液10>
無機顔料分散液1において3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートを用いた以外は、無機顔料分散液1と同様にして無機顔料分散液10を作製した。尚、レーザー光回折・散乱法にて測定したアルミナ水和物微粒子の平均二次粒子径は150nmであった。
<無機顔料分散液11>
水500部に合成非晶質シリカ(平均粒子径6μm、吸油量250ml/100g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型撹拌機を使用して、撹拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3部を滴下し、固形分濃度17.1%の無機顔料分散液11を作製した。
<無機顔料分散液12>
無機顔料分散液11において、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いた以外は無機顔料分散液11と同様にして無機顔料分散液12を作製した。
<無機顔料分散液13>
無機顔料分散液1において、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、エチルトリエトキシシランを用いた以外は無機顔料分散液1と同様にして無機顔料分散液13を作製した。
<無機顔料分散液14>
無機顔料分散液1において、シランカップリング剤を用いない以外は無機顔料分散液1と同様に固形分濃度20.2%の無機顔料分散液14を作製した。
<インク受理層塗液1>
無機顔料分散液1を250部、無機顔料分散液2を250部、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)100部、界面活性剤0.3部、水35部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液1を調製した。
<インク受理層塗液2>
無機顔料分散液1を250部、無機顔料分散液3を250部、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)125部、界面活性剤0.3部、水26部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液2を調製した。
<インク受理層塗液3>
無機顔料分散液1を250部、無機顔料分散液4を250部、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)125部、界面活性剤0.3部、水150部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液3を調製した。
<インク受理層塗液4>
無機顔料分散液1を250部、無機顔料分散液5を250部、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)100部、界面活性剤0.3部、水35部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液4を調製した。
<インク受理層塗液5>
無機顔料分散液6を250部、無機顔料分散液7を250部、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)100部、界面活性剤0.3部、水35部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液5を調製した。
<インク受理層塗液6>
インク受理層塗液1において、無機顔料分散液2の代わりに無機顔料分散液8を用いた以外は、インク受理層塗液1と同様にして固形分濃度17.5%のインク受理層塗液6を調整した。
<インク受理層塗液7>
インク受理層塗液1において、無機顔料分散液2の代わりに無機顔料分散液9を用いた以外は、インク受理層塗液1と同様にして固形分濃度17.5%のインク受理層塗液7を調整した。
<インク受理層塗液8>
インク受理層塗液1において、無機顔料分散液1の代わりに無機顔料分散液10を用いた以外は、インク受理層塗液1と同様にして固形分濃度17.5%のインク受理層塗液8を調整した。
<インク受理層塗液9>
無機顔料分散液11を250部、無機顔料分散液2を250部、固形分濃度10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、平均重合度1700)250部、界面活性剤0.3部を混合し、固形分濃度14.8%のインク受理層塗液9を調製した。
<インク受理層塗液10>
無機顔料分散液1を250部と無機顔料分散液2を250部を混合し、105℃にて乾燥し、乾固させた後、水400部、濃度60%硝酸0.5部と混合し、のこぎり歯状ブレード型撹拌機を使用して予備分散液を得た。こうして得られた予備分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度20.5%の無機顔料分散液を作製した。さらにこうして得られた無機顔料分散液500部、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)100部、界面活性剤0.3部、水33部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液10を調製した。
<インク受理層塗液11>
インク受理層塗液1において、無機顔料分散液2の代わりに無機顔料分散液13を用いた以外は、インク受理層塗液1と同様にして固形分濃度17.5%のインク受理層塗液11を調整した。
<インク受理層塗液12>
無機顔料分散液1を250部、無機顔料分散液14を250部、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)100部、界面活性剤0.3部、水30部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液12を調製した。
<インク受理層塗液13>
無機顔料分散液14を500部、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)100部、界面活性剤0.3部、水24部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液13を調製した。
<インク受理層塗液14>
無機顔料分散液14を500部にのこぎり歯状ブレード型撹拌機を使用して、撹拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3部、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3部を添加し、固形分濃度8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)100部、界面活性剤0.3部、水52部を混合し、固形分濃度17.5%のインク受理層塗液14を調製した。
<インク受理層塗液15>
インク受理層塗液1において、無機顔料分散液1の代わりに無機顔料分散液2を用いた以外は、インク受理層塗液1と同様にして固形分濃度17.5%のインク受理層塗液15を調整した。
<インク受理層塗液16>
合成非晶質シリカ(平均二次粒子径4μm、吸油量280ml/100g)100部をのこぎり歯状ブレード型撹拌機を用いて水400部に混合し、これに固形分濃度10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液250部を混合し、固形分濃度16.7%のインク受理層塗液16を調製した。
上記で作製した支持体1の上にインク受理層塗液1を乾燥固形分14g/m2になるように、エアーナイフコーターで塗工、熱風により乾燥し、実施例1のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液2を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例2のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液3を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例3のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液4を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例4のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液5を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例5のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液6を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例6のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液7を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例7のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液8を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例8のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液9を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例9のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液10を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例10のインクジェット記録材料を作製した。
支持体1の上にインク受理層塗液16を乾燥塗工量が6g/m2となるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥した。こうして得たインク受理層上に、さらにインク受理層塗液10を乾燥塗工量が8g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗工、乾燥して、実施例11のインクジェット記録材料を作製した。
実施例1で支持体1を用いる代わりに支持体2を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例12のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例1)
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液11を用いた以外は実施例1と同一条件で、比較例1のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例2)
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液12を用いた以外は実施例1と同一条件で、比較例2のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例3)
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液13を用いた以外は実施例1と同一条件で、比較例3のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例4)
実施例1でインク受理層塗液1を用いる代わりにインク受理層塗液14を用いた以外は実施例1と同一条件で、比較例1のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例5)
実施例1でインク受理層塗液3を用いる代わりにインク受理層塗液15を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例5のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例6)
上記で作製した支持体1の上にインク受理層塗液16を乾燥固形分14g/m2になるように、エアーナイフコーターで塗工、熱風により乾燥し、比較例6のインクジェット記録材料を作製した。
<評価>
実施例1〜12,比較例1〜6で作製したインクジェット記録材料に、顔料インクを用いたプリンタであるセイコーエプソン株式会社製MC−10000(顔料インク使用、プリンタ設定:MC光沢用紙、きれい)を用いて画像を印刷し、インクの発色性、インク吸収性について評価を行った。評価に用いた画像は黒、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーン各色のベタ印字およびその中に白抜き文字を設けたパターンなどからなる。
インク吸収性は、ベタ印字部分の均一性、隣り合ったベタ印字部の境界部や白抜き文字の鮮鋭性などを目視で観察して評価し、1〜10の数値で表した。1は最もインクの吸収性が悪いことを表し、数値が大きくなるほどインクの吸収性が良好で、10は最もインクの吸収性が良好なことを示す。結果を表1の「インク吸収性」に示した。
インク発色性は、黒ベタ印字部分の濃度を濃度計(マクベスRD918)を用いて測定した。数値が高い方がインクの発色性が良好である。結果を表1の「インク発色性」に示した。
インク受理層の表面強度に関しては、学振式堅牢度試験機(テスター産業(株)製)を用いて、黒布をつけ、荷重200gの条件で表面を30回こすり、表面強度(傷つき、粉落ち)の程度を目視により判定し、1〜5の数値で表した。1は最も表面強度が悪いことを表し、数値が大きくなるほど表面強度が良好で、5は最も表面強度が良好なことを示す。結果を表1の「表面強度」に示した。
Figure 2006231786
表1中、実施例1〜12に示す様に、支持体の少なくとも片面に、少なくとも1層以上インク受理層の塗液を塗工・乾燥して形成されたインクジェット記録材料において、少なくとも該インク受理層の最表層に用いるインク受理層塗液中に反応性置換基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料と該反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料を含有することで、高いインク吸収性と発色性、及び塗層の表面強度を得ることが可能となる。
実施例1、6、7の比較より、反応性基がエポキシ基であり、かつ反応性基と反応する置換基がアミノ基であると表面強度が向上し、好ましい。
実施例1〜5、9の比較より、無機粒子が平均二次粒子径500nm以下のアルミナ水和物、気相法シリカ、コロイダルシリカ、湿式粉砕シリカから選ばれる少なくとも1種であるとインクの発色性が向上し、好ましい。
実施例1、10の比較により、反応性基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料の分散液と反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料の分散液を混合した後、その乾固物を再分散した粒子を含有する塗液を支持体に塗工・乾燥して、少なくとも1層以上のインク受理層を設けた場合には、表面強度及びインクの吸収性がさらに向上し、好ましい。
表1中、比較例3、6では、シランカップリング剤の処理が全くないため、インク吸収性、インク発色性及び塗層の表面強度が悪く、また比較例1、2、5においては、表面処理に用いたシラン誘導体には反応性基と反応する置換基がないため、表面強度、インクの吸収性が悪く、比較例4では、反応性基を持つシランカップリング剤及び、反応性基と反応する置換基を持つシランカップリング剤を後から添加しているため、塗層強度、インク発色性に対する効果が不十分である。

Claims (4)

  1. 支持体の少なくとも片面にインク受理層塗液を塗工、乾燥して、少なくとも1層以上インク受理層を設けたインクジェット記録材料において、該インク受理層塗液中に少なくとも反応性置換基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料と該反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 該反応性基がエポキシ基であり、かつ該反応性基と反応する官能基がアミノ基であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録材料。
  3. 該無機粒子が平均二次粒子径500nm以下のアルミナ水和物、気相法シリカ、コロイダルシリカ、湿式粉砕シリカから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録材料。
  4. 反応性基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料の分散液と反応性基と反応する官能基を有するシランカップリング剤により表面処理された無機顔料の分散液を混合した後、乾固し、その乾固物を再分散した粒子を含有する塗液を支持体に塗工・乾燥して、少なくとも1層以上のインク受理層を設けたことを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
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