JP4265491B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、紙基材を支持体に用いたインクジェット記録用紙の波打ち、特に画像記録後のコックリングの良好なインクジェット記録用紙に関する。更には、通紙性に優れ、高光沢で記録画像の見栄えの良好なインクジェット記録用紙に関する。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録用紙に向かって噴出し、インクジェット記録用紙表面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及と、高精細・高速化により、インクジェット記録用紙には、従来以上のインク吸収速度の向上が求められ、さらにはデジタルカメラの登場により、銀塩方式の写真に匹敵する画像の均一性の実現が強く求められている。また、記録画像の品質を写真画像の品質により近づけるために、画像記録濃度や光沢性の更なる向上が望まれている。
一方で、銀塩写真に並ぶ画像を実現するために、インク吐出量も増しており、インク溶媒である水が紙基材まで浸透し、紙基材の伸縮による波打ち(コックリング)を起こし、プリンター通紙時に記録ヘッドと擦れて画像欠陥を生じたり、画像記録後も波打ちが残って見栄えを損なう課題がある。こうした課題を解決するため、ポリエチレンのような合成樹脂を両面に押出しラミネートした樹脂被覆紙が常用されてきた。しかし、樹脂被覆紙を古紙として回収しようとすると皮膜化した樹脂が残り、古紙回収時にトラブルを起こす可能性がある。
樹脂被覆紙を用いないでコックリングを改善する方法としては、記録紙のインク受容層とは反対の面に特定のアスペクト比と粒子径を有する平板状顔料及び接着剤を含有するバックコート層を設けて、記録シートの透気性が低下する事によってインク受容層に付着したインクのZ軸方向への浸透を抑制する方法(例えば特許文献1。)、紙基材の表面に熱可塑性樹脂粒子を塗工して透水性の中間層を形成し、該層上にインク受容層を設ける事によりコックリングを改善し、精細性、光沢の良好な記録紙を得る方法(例えば特許文献2。)、パルプの繊維間結合を少なくし紙の空隙を増すような低密度化薬品を含む基紙を用いる方法(例えば特許文献3。)等が提案されている。
しかし、これらのインクジェット記録用紙であっても、インク量の多い写真画像においては、画像記録後のコックリングを十分に防ぐものではなかった。
特開平5−221115号公報 特開2002−103787号公報 特開2002−103791号公報
以上のような状況に鑑み、本発明は、コックリングの良好なインクジェット記録用紙、中でも高光沢のインクジェット記録用紙を提供するものである。
本発明者等は上記課題について鋭意研究を重ねた結果、下塗り層の顔料として、平均粒子径が4〜50μmでアスペクト比が5〜70の平板状顔料を用いる事によりコックリングを改善できることを見出した。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)紙基材上に、下塗り層、記録層の順に積層したインクジェット記録用紙において、下塗り層が、平均粒子径が4〜50μmであり且つアスペクト比5〜70である平板状顔料と接着剤としての合成樹脂ラテックスを含み、且つ平板状顔料と合成樹脂ラテックスの配合比率が重量比で30/70〜70/30であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
(2)記録層の塗工量が10〜35g/mであり、該記録層(記録層が2層以上ある場合は、少なくもとも上層)が少なくとも平均粒子径0.01〜0.7μmの無機微粒子を含有す(1)記載の光沢タイプのインクジェット記録用紙。
(3)平板状顔料が、雲母、タルク、デラミカオリンから選ばれる少なくとも1種である(1)又は(2)記載のインクジェット記録用紙。
(4)下塗り層が、ジエン系共重合体ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン、エチレン−酢ビ系共重合体エマルジョンから選ばれる接着剤を含有する(1)〜(3)のいずれか一に記載のインクジェット記録用紙。
(5)下塗り層の接着剤が、透湿度500g/m・24hr以下である(1)〜(4)のいずれか一に記載のインクジェット記録用紙。
(6)水性のインクを用いて(1)〜(5)記載のインクジェット記録用紙に記録してなる記録物であって、記録画像におけるインク吐出量の最大値が15g/m以上g/m以上である記録物。
本発明は、紙基材を支持体に用いたインクジェット記録用紙の波打ち、特に画像記録後のコックリングの良好なインクジェット記録用紙である。更に、通紙性に優れ、高光沢で記録画像の見栄えの良好なインクジェット記録用紙である。
(紙基材)
紙基材の主成分であるセルロース繊維原料としては、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)等の機械パルプ、或いは楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。また、高白色度を必要とする場合は、塩素、二酸化塩素、酸素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸等各種漂白法を組み合わせて漂白したパルプが使用できる。中でも、塩素を使用しない所謂ECF漂白やTCF漂白されたパルプは、黄変を起こし難く好ましく使用される。これら単独でも、二種以上の混合で用いても良い。
紙基材は、上記セルロース繊維原料に填料を配合し、抄紙されることにより形成される。填料としては、特に限定するものではないが、一般に印刷用紙で使用される填料、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、ホワイトカーボン、シリカ、表面を界面活性剤で処理したシリカ等を単独、または混合で使用してもよい。
抄紙の際には、上記セルロース繊維原料、填料と共に、通常の抄紙で使用される抄紙用薬品、例えば、繊維間結合阻害剤、サイズ剤、サイズ定着剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤(例えば、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂が好ましい。)、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料等を必要に応じて添加することもできる。
本発明では、以下のような表面サイズ剤を使用しても良い。例えばアルキルケテンダイマー系化合物、アルケニ無水コハク酸系化合物、スチレン−アクリル系化合物、高級脂肪酸系化合物、石油樹脂系サイズ剤やロジン系サイズ剤が使用可能で、0.02g/m〜0.3g/m含有することが好ましい。0.02g/m未満ではサイズ効果がなく、0.3g/mを超えるとサイズ発現効果は頭打ちになり、コストアップにつながるため好ましくない。
抄紙を行う手段としては、長網抄紙機、円筒抄紙機、ヤンキー抄紙機、ツインワイヤーフォーマー、傾斜ワイヤーフォーマーなど、ドライヤーとしては、ヤンキードライヤー、多筒式ドライヤーなどが各種公知の抄紙機が使用できる。カレンダー処理など、公知の処理も可能である。
紙基材の坪量としては、40g/m〜210g/mの範囲が好ましい。40g/m未満では、操業上紙切れなどを起こすこと傾向があるため好ましくない。逆に240g/mを超えると紙厚が大きすぎてインクジェット記録用紙には適さない。
紙基材の密度としては、0.55cm〜0.95g/cmが好ましい。因みに、0.55g/cm未満になると紙切れなどの操業上の問題が発生するため好ましくない。また、0.95g/cmを超えるとコックリングを生じ易くなる。
また、サイズ度は、50秒以上、好ましくは、100秒以上である。サイズ度が低いと、コックリングが劣るばかりか下塗り層塗工時に塗液が染みこみ易く紙切れ等の原因となる。
<下塗り層>
(平板状顔料)
本発明は、下塗り層に平均粒子径が4μm〜50μmであり、アスペクト比が5〜70の平板状顔料を用いることを特徴とする。アスペクト比は、平板状顔料の平均粒子径を平板状顔料の厚さで除したものであるが、本発明の効果を発揮するためには平板状顔料のアスペクト比が5〜70であることが必要である。
平板状顔料の平均粒子径の測定方法には、マイクロトラックレーザー回折法やマイクロシーブ網篩法により平均粒子径を求める方法や電子顕微鏡の観察によって求める方法などがある。測定方法によって粒子径の数値に差があるが、マイクロシーブ網篩法と電子顕微鏡が実際の粒子径に近く、マイクロトラックレーザー回折法では実際よりやや大きい値となる。本発明においては、平均粒子径は測定のしやすさ及び再現性を考慮してマイクロトラックレーザー回折法により測定した値を採用した。
平均粒子径が4μm未満のもは、塗工層中での該平板状顔料の配向が支持体に対して平行になりにくく、コックリング防止効果が小さくなる。50μmを超えると平板状顔料の一部が塗工層から突き出たり、平板顔料の厚みが数μm程度となるに伴い、配向した平板状顔料の塗工層中における層数が少なくなり、コックリング防止効果が減少する。
また、アスペクト比が5未満のものは、塗工面に対して平行に配向する割合が低下するためコックリング防止性能が劣り、アスペクト比は大きいほど平板状顔料の塗工層中における層数が大きくなるため高いコックリング防止性能を発揮する。70を越えるものは性能的には使用可能であるが、コストアップとなり工業的に入手し難くなる。特に好ましいものはアスペクト比が10〜50の平板状顔料である。また、このような粒子径とアスペクト比を有する顔料を用いて層形成した時に、顔料の隙間を埋めるためアスペクト比が異なる顔料を2種以上併用する事も可能である。
本発明において、アスペクト比を計算するための平板状顔料の厚さは電子顕微鏡観察により測定した値を使用する。
平板状顔料の厚みは顔料の種類、粉砕方法、平均粒子径によって異なる。顔料の種類と粉砕方法が同じであれば、顔料の平均粒子径が大きくなると厚さも大きくなり、結果としてアスペクト比の大きさはほとんど変化しない。粉砕によって厚さを小さくできるが、どのような粉砕方法であっても粒子径が同時に小さくなるのは避けられない。例えば湿式粉砕された白雲母で平均粒子径が40μmのものは厚さの平均は約2μmとなりアスペクト比は20となる。また平均粒子径20μmまで湿式粉砕すると、厚さが約1μmとなりアスペクト比が20であった。もちろん平均粒子径が20μmといっても2〜60μm程度の粒度分布を有しており、厚さも0.1μm〜数μmの範囲を有するが、平均として1μmであった。
これらの形状を有する平板状顔料を本発明の下塗り層に用いた場合、その塗工層厚みに対し粒子径が小さすぎると、塗工層中の顔料のうち支持体に対して平行に配向するものが少なくなり、結果として塗工量を増大する必要が生じる。本発明者らの検討によると、塗工層厚みに対し20%以上の平均粒子径を有する平板状顔料を用いるのが好ましい。一方、塗工層厚み以上の平均粒子径を有する平板状顔料は、塗工時にその一部が塗工層から突出したり、折曲げ時に塗工層に空隙を形成するような場合があるため、使用時は少量にとどめる方が良い。
本発明で使用する平板状顔料は、平均粒子径およびアスペクト比の条件を満足すれば特に制限するものではないが、例えばフィロケイ酸塩鉱物が挙げられる。
フィロケイ酸塩鉱物に属するものは、板状または薄片状であって明瞭な劈開を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土鉱物がある。これらの中でも産出されるときの粒子が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタルクが好ましい。
雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などの天然雲母が挙げられる。
タルクはろう石ともよばれ、ケイ酸マグネシウムの水和物であり、一般に箔片板状の粒子であり、白雲母同様、本発明の範囲で適宜選択して使用できる。
カオリンなどの粘土鉱物や水酸化アルミニウムも一般的には平板結晶と言われており、デラミカオリンなど等のように意識的に結晶層を剥離し平板になるように切りだしたアスペクト比が5以上70以下のものは本発明に含まれる。
これらのうち最も好適な平板状顔料としては白雲母、絹雲母、タルク、デラミカオリンが粒子径の大きさ、アスペクト比、コストなどの点から好適である。これら顔料についてさらに詳述すれば、例えば、白雲母粉末の化学組成は一般式;KO・3Al・6SiO・2HOで表現されるものである。この白雲母原石をハンマーミル等で乾式粉砕後分級して望みの粒子径分布の部分を使用したり、さらにガラスビーズを水中で粉砕媒として用いたサンドミル等の湿式粉砕を行い望みの粒子径分布の雲母を得る。この際アスペクト比を維持するために過大な力がかからないように粉砕したり、超音波をかけながら湿式粉砕(USP3240203)するなどの配慮を施すことにより、アスペクト比の高い雲母粉末を手にいれることができる。通常これらの方法で得られたアスペクト比は電子顕微鏡の観察などによると20〜30である。一部アスペクト比が100程度のものも得られるが、工業的生産が困難であるうえコスト高になってしまう。
下塗り層には、上記平板状顔料の有するコックリング防止効果を損なわない範囲で、酸化亜鉛、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、サチンホワイト等の無機顔料や各種の有機樹脂粒子、中空樹脂粒子等の有機顔料を白色度、隠蔽性の調節等のために併用できる。
(接着剤)
これら平板状顔料を支持体上に層形成するために用いる接着剤としては、各種合成樹脂ラテックス(エマルジョンとも呼称する)、水溶性高分子を例示する事ができるが、水の透過防止性、接着性や、耐水性、耐光性(黄変等)等の耐久性を考慮して選択される。本発明では、水の透過防止性、耐水性の点からは、合成樹脂ラテックスを使用する。例えば、コックリング防止性の点からは、ラテックスクラフト紙に20g/m塗工したときの透湿度が500g/m・24hr以下、さらには250g/m・24hr以下であるのが望ましい。もちろん本発明の効果を阻害しない範囲で、透湿度500g/m・24hr以上の接着剤を混合使用してもよい。なお、上記透湿度は、JIS Z2080(カップ法)B法に準じて、ラテックス未晒両更クラフト紙に20g/m塗工し、塗工面を外側にして測定した。
本発明に用いる合成樹脂ラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、メチルメタクリレートブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックス等のジエン系共重合体ラテックス、スチレンアクリルエマルジョン、(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン等の(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン、酢ビ系エマルジョン、エチレン−酢ビ系エマルジョン、さらには、ポリウレタンやポリエステル、ポリアミド等のエマルジョンが挙げられる。例えば、皮膜強度や耐水性の点からは、伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにスチレンブタジエンラテックス、メチルメタクリレートブタジエンラテックスが好適である。耐候性や耐光性の点からは、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン、エチレン−酢ビ系共重合体エマルジョンが好ましい。
また、合成樹脂ラテックスの粒子径は一般に100nm〜300nmであるが、粒子径150nm以下特に60〜90nm程度の小さい粒子径のラテックスを使用すると成膜性が向上し欠陥の少ない膜ができるため好ましい。合成樹脂ラテックスのガラス転移温度(Tg)およびゲル量(テトラヒドロフランなどの有機溶媒による抽出残量をいう。分子量数十万のポリマー成分が主体)は塗工層のブロッキング、成膜性に影響を与える。低ガラス転移温度かつ低ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングしやすくなるが成膜性は向上する。逆に高ガラス転移温度かつ高ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングはしにくくなるが成膜性は低下する。ガラス転移温度の範囲は、−30度〜50度程度、好ましくは−15度〜30度であり、ゲル量の範囲は30%〜95%程度、好ましくは60%〜90%の範囲で、成膜性とブロッキングのバランスでTgとゲル量が決定される。
これら合成樹脂ラテックスの透湿度を500g/m・24hr以下にするためには、(1)合成時の親水性の共重合成分や乳化剤の量を少なくしたり、(2)粒子径を小さくしたり(150nm以下が好ましい)、(3)ガラス転移温度やゲル量によって成膜性を向上させたり、(4)反応性の界面活性剤を用いてソープフリーとした合成樹脂ラテックスを使用したり、(5)アルカリ可溶性樹脂を用いて被膜形成後に耐水性を付与したりすることにより達成できる。
本発明は、これら平板状顔料と合成樹脂ラテックスの配合比率、重量比で30/70〜70/30の範囲で使用する。平板状顔料が30%未満になると平板状顔料の形成する層数が少なくなったり顔料と顔料の距離が大きすぎるために耐コックリング性が不十分となり、塗工量を増やす必要が生じて非経済的であるうえ、ブロッキングを生じやすくなる。70%を超えると塗工層中に平板状顔料とラテックスの間に空隙が非常に多くなるため耐コックリング性が低下する。
(助剤)
下塗り層には、コックリング防止効果を損なわない範囲で、耐水性や皮膜強度を向上させる架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、pH調整剤、キレート化剤、色味付け用各種染料や顔料、蛍光増白剤、防腐剤、塗工適性を付与するための増粘剤、界面活性剤、消泡剤等を適宜配合できる。
下塗り層用塗液は、平板状顔料を水中分散し合成樹脂ラテックスと混合するか、合成樹脂ラテックス中で分散し、所定の固形分に調成する。このとき必要に応じて、デンプン、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を保護コロイドとして用いたり、ポリカルボン酸などの分散剤、消泡剤、界面活性剤等の助剤を添加したりすることができる。このようにして調成した塗液を紙支持体上に塗工し乾燥する場合、乾燥温度は合成樹脂が十分に成膜する熱量を与えれば十分であるため一般の塗工紙と同等の乾燥条件でよい。
これら下塗り層の塗工量は5〜50g/mの範囲が好適で、さらに好ましくは10〜30g/mの範囲である。塗工量が5g/mに満たないと平板状顔料の層形成が不充分となるためコックリング防止効果が低下し、50g/mを超えるような場合コックリング防止効果の向上が頭打ちとなるので非経済的である。
下塗り層を形成するための塗工設備として特に限定はしないが、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター等から任意に選択することができる。特に、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーターなどの塗工表面をスクレイプする塗工方式が、平板状顔料の配向を促す傾向があるので好ましい。
<記録層>
本発明は、上記下塗り層上に記録層を形成する。記録層は、顔料とバインダーを含有し、必要に応じてカチオン性染料定着剤等各種助剤を配合して用いられる。
記録層には、比較的粒子径の大きな顔料(例えば平均粒子径1μm〜13μm)を用いた光沢度の低いマットタイプのもの、記録層に粒子径の小さい顔料(例えば平均粒子径0.010μm〜0.7μm)を用いた光沢タイプのもの、更には光沢タイプのなかでも記録層の最表層を鏡面ドラムに圧接して仕上げるキャストタイプのものなど、様々な形態がある。記録層は、1層であってもよいし、2層以上あっても構わないが、写真画像を記録する場合、2層以上の記録層を有することが好ましい。
紙基材を用いたインクジェット記録用紙は、インク溶媒が紙基材に浸透することによってコックリングが発生するので、本発明は、紙基材を用いたものであれば、形態を特に限定するものではない。しかしながら、光沢タイプのインクジェット記録用紙は、高級感のある画像、特に写真に近い画質を要求されることが多く、また、そのような画像を記録する場合はインク量が多くなることから、コックリングの問題が顕著である。更に、光沢タイプのインクジェット記録用紙は、光沢性を付与するために、表面の平滑性を高めたものが多く、コックリングが発生すると、コックリングが目立ってしまいやすい。本発明は、コックリングの問題が大きかった光沢タイプのインクジェット記録用紙において、高光沢と耐コックリング性を両立可能であり、作用効果が優れるので、好ましい。
(顔料)
顔料としては、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、コロイダルシリカ、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、ハイドロタルサイト等が例示でき、これらを1種もしくはそれ以上併用することもできる。中でも、非晶質シリカ、アルミナ、ゼオライトを主成分として含有させることがインク吸収性が優れるので好ましい。顔料は、インク吸収性、光沢度、平滑性、白色度等、要望品質に応じて、種類、粒子径を選択して使用できる。
これらの顔料のうち、平均粒子径1μmから13μmのものを主顔料として用いると記録層の光沢はなく、マットタイプのインクジェット記録用紙となる。
光沢タイプのインクジェット記録用紙にするには、平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料を主顔料として含む層を設ける必要がある。なお、2層以上とする場合には、上層、下層とも平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料を含む層として形成すると、光沢性が高くなる傾向にあるが、下層に比較的大粒子径の顔料、上層に平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料を含む層の層構成にすると、下層がインク溶媒を多く吸収するのでより好ましい。
光沢タイプに適した平均粒子径が0.01〜0.7μmの微細顔料としては、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物、アルミナ酸化物、およびアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。このなかで、気相法シリカとアルミナ酸化物が好ましく選択される。アルミナ酸化物の中では気相法(フュームド)アルミナ酸化物が好ましい。
気相法シリカは、フュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシランなどのシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。
メソポーラスシリカとは、1.5〜100nmに平均細孔径を有するシリカ多孔体である。また、アルミニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、マンガン原子等を導入したメソポーラスシリカも使用できる。多孔体の物性としては特に限定されないが、BET比表面積(窒素吸着比表面積)は200〜1500m/gが好ましく、細孔容積としては0.5〜4cc/gが好ましい。メソポーラスシリカの合成方法は特に限定されないが、米国特許第3556725号明細書に記載されている、シリカのアルコキシドをシリカ源として、長鎖のアルキルを含む4級アンモニウム塩をテンプレートとした合成方法、特表平5−503499号公報等に記載されているアモルファスシリカ粉末やアルカリシリケート水溶液をシリカ源として、長鎖のアルキル基を有する4級アンモニウム塩、あるいはホスホニウム塩をテンプレートとする水熱合成法、特開平4−238810号公報等に記載されているシリカ源としてカネマイト等の層状ケイ酸塩を、長鎖のアルキルアンモニウムカチオン等をテンプレートとしてイオン交換法により合成する方法、更にドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン、ノニオン系界面活性剤等をテンプレートとして、シリカ源として水ガラス等をイオン交換した活性シリカを用いて合成する方法などである。ナノポーラスシリカ前駆体からのテンプレートの除去方法としては高温で焼成する方法、有機溶媒で抽出する方法が挙げられる。
活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物とは、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体であり、例えば特開平2001−354408号公報などに記載されている方法で得ることが可能である。
アルミナ酸化物とは、一般的に結晶性を有する酸化アルミナとも呼ばれる。具体的には、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有する酸化アルミナが挙げられる。本発明は光沢感、インク吸収性から気相法アルミナ酸化物、γ、δ、θ結晶を有するアルミナ酸化物が好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ酸化物(フュームドアルミナ)が最も好ましい。
気相法アルミナ酸化物とは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成されたアルミナであり、結果として高純度のアルミナ粒子を形成する。これら粒子の1次粒子サイズはナノオーダーであり、非常に狭い粒子サイズ分布(粒度分布)を示す。かかる気相法アルミナ酸化物は、カチオン表面チャージを有する。インクジェット塗工における気相法アルミナ酸化物の使用は、例えば米国特許第5,171,626号公報に示されている。
アルミナ水和物とは、特に限定するものではないが、インク吸収速度や成膜性の観点からベーマイトか擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918号公報など)などが挙げられる。
上記微細顔料の形態は、高いインク吸収性、及び塗工層の成膜性、平滑性を得る目的で上記顔料の凝集粒子分散体が主に好ましく用いられる。平均粒子径は、0.01〜0.7μmが必要である。インク吸収速度などの観点から平均1次粒子径0.003〜0.040μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.01〜0.4μmの凝集体顔料がより好ましい。インク中の染料や顔料を固定しやすく、かつ高いインク吸収速度、印字濃度、光沢を得るためには、平均1次粒子径0.005〜0.020μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.4μm以下の顔料がさらに好ましい。
平均粒子径0.01〜0.7μmの顔料は、たとえば機械的手段で強い力、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により得ることが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等が挙げられる。粒子径を小さくする為に、分級と繰り返し粉砕を行なうことができる。
本発明でいう記録層に用いる顔料の平均粒子径は、顔料が粉体、スラリー状に関係なく、まず3%の顔料水分散液を200g調整し、続いて市販のホモミキサーで1000rpm、30分間を攪拌分散した後、直ちに電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒子径である(1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の粒子のマーチン径を測定し平均したもの。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
(接着剤)
記録層に含有するバインダーとしては、インクジェット記録用として公知のバインダーの中であれば使用できる。例えば、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷん、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、スチレンーブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート、スチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。このなかで、特に顔料との接着性からポリビニルアルコールが好ましく選択される。このなかで、成膜性とインク吸収性のバランスから重合度2000以上のポリビニルアルコールが好ましく、重合度3600〜5000のポリビニルアルコールがより好ましい。なお、インク吸収性などを改善する意味で2種以上のバインダー(例えば、水溶性樹脂と水溶性樹脂、水溶性樹脂とラテックスなど)を併用しても良い。
(カチオン性化合物)
記録層にはカチオン性化合物を含有せしめることが好ましい。カチオン性化合物としては、例えば、1)ポリエチレンアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類、またはその誘導体、2)第2級アミン基や第3級アミン基、第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、4)ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、5)ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、6)エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−SO共重合物、8)ジアリルアミン−SO共重合物、9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、10)アリルアミン塩の重合物、11)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、12)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、13)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムなどのアルミニウム塩等の一般市販されるものが挙げられる。なお、カチオン性化合物の添加量としては、顔料100質量部に対し、1〜30質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。また、記録層を2層以上とする時は、少なくとも上層にカチオン性化合物を含有させることが好ましい。
顔料としてシリカ系を使用する場合は、シリカとカチオン性化合物を混合し凝集させることによって得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を0.01〜0.7μm、好ましくは0.01〜0.4μmに粉砕したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子であることが好ましい。この場合、カチオン性化合物は、上記のカチオン性化合物から適宜選択される。特にインク中の染料や顔料の定着性、分散性から1)5員環アミジン類、2)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムなどのアルミニウム塩が好ましい。
記録層を形成するための記録層用塗工液は、上記顔料と親水性バインダー、必要により併用されるカチオン性化合物を含有する水を溶媒とした水系塗工液として調整される。顔料と親水性バインダーの比率は、質量比で100/50〜100/2の範囲であるとよい。インク吸収性と塗膜強度のバランスから100/30〜100/5が好ましく、100/25〜100/10がさらに好ましい。なお、記録層には顔料と親水性バインダー、必要により併用されるカチオン性化合物の他に、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
(マイクロポーラスな記録層)
光沢タイプのインクジェット記録用紙の場合、記録層用塗工液を塗工と同時、或いはその後に増粘またはゲル化させ、乾燥することにより得られるマイクロポーラスな記録層を形成することが好ましい。記録層用塗工液を塗工と同時、或いはその後に増粘またはゲル化させる方法としては、特に限定するものではない。例えば、(a)記録層に配合した親水性バインダーと架橋反応可能な架橋剤を用いて増粘またはゲル化させる方法、(b)電子線などのエネルギーを供給することにより増粘またはゲル化させる方法、(c)親水性バインダーとして、温度条件によって親水性と疎水性を示す感温性高分子化合物を用い、温度変化させることにより増粘またはゲル化させる方法などが挙げられる。
(a)記録層に配合した親水性バインダーと架橋反応可能な架橋剤を用いて増粘またはゲル化させる方法としては、前記例示した親水性バインダーと、該親水性バインダーを架橋反応可能な架橋剤を組み合わせて使用する。例えば、架橋剤を予め記録層塗布面に塗布・含浸させておき、記録層用塗工液を塗布する、記録層用塗工液に架橋剤を配合して塗布する、記録層用塗工液を塗布後、架橋剤を塗布する方法などにより製造するとよい。中でも、架橋剤を予め塗布しておくことが、増粘またはゲル化が均一な記録層が得られるため、好ましい。
架橋剤としては、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる、中でも、ホウ素化合物は、増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。このなかで、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及び親水性バインダーの種類にもよるが、0.01〜1.5g/m程度の含有するとよい。1.5g/mより多いと親水性バインダーとの架橋密度が高くなり、塗膜が硬くなって折り割れしやすくなる。また、0.01g/mより少ないと親水性バインダーとの架橋が弱く、塗料のゲル化も弱くなって塗膜がひび割れやすくなる。
(b)電子線などのエネルギーを供給することにより増粘またはゲル化させる方法としては、記録層用のバインダーとして、ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性バインダーを用い、前記微細顔料100質量部に対して、親水性バインダー1〜100質量部の割合で含有する塗工液を塗布し、ついで電子線を照射して該塗布された塗工液をハイドロゲル化させた後、乾燥して形成して記録層を形成するとよい。
ラジカル重合性の不飽和結合を有さず、かつ水溶液に電子線を照射することによりハイドロゲルを形成する親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン、及びこれらの水溶性誘導体、並びにこれらの共重合体などが例示でき、これらを単独使用、或いは併用するとよい。
電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが採用され、電子線を照射する際の加速電圧は50〜300kV程度が適当である。電子線の照射量は1〜200kGy程度の範囲で調節するのが好ましい。1kGy未満では塗工層をゲル化させるのに不十分であり、200kGyを越えるような照射は紙基材や塗工層の劣化や変色をもたらす恐れがあるため好ましくない。
(c)親水性バインダーとして、温度条件によって親水性と疎水性を示す感温性高分子化合物を用い、温度変化させることにより増粘またはゲル化させる方法としては、バインダーとして、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物を用いるとよい。
この感温性高分子化合物を用いた場合、感温点以上の温度で塗工を行い、感温点以下に冷却することにより、塗工した層が増粘またはゲル化され、その後乾燥して記録層を形成するとよい。このような感温性高分子化合物としては、特開2003−40916号公報に開示されている、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる感温性高分子化合物が例示できる。
上記のように、マイクロポーラスな記録層は、調製した記録層用塗工液を塗布後、該塗工液の層が減率乾燥部になる(減率乾燥速度を示す)前に、増粘またはゲル化(例えば、架橋剤、電子線、冷却などによる増粘またはゲル化)させ、乾燥を行ない記録層を得る。これは、塗料を乾燥初期に増粘またはゲル化させることで乾燥時の熱風による塗工層のひび割れを防ぎ、また基材への塗料のしみ込みを防止する大きな効果を有する。
記録層用塗工液の塗工量は、10〜35g/m、好ましくは15〜30g/mである。塗布量が少ないと、高精細且つ高速の昨今のプリンターではインク吸収速度が不足するおそれがあり、多すぎると塗膜のひび割れの制御が困難である。
インク吸収速度とインク吸収容量のバランスから、記録層の塗布量は後で述べる最表層塗布量の3倍以上が好ましい。7倍以上がさらに好ましく、10〜60倍は最も好ましい範囲である。
また、0.01〜0.7μmの微細顔料の塗工層の上に、さらにアニオン性コロイダルシリカ、カチオン性コロイダルシリカなどのコロイド状粒子を含有する光沢発現層を形成して、さらに高光沢なインクジェット記録用紙とすることもできる。
記録層用塗工液を塗布する塗工装置としては、塗料の物性及び塗工量の点から前計量法の塗工方法が好適である。前計量法の塗工方法としては、リップコーター、カーテンコーター、スライドビード、スライドホッパー、およびスロットダイなどのダイコーター等、各種公知のものが挙げられる。また、二層以上塗工する場合にはWet on Wet(下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)で塗工することが好ましい。
本発明の記録層の乾燥方法は特に限定はしない。従来から塗工機で使用されている乾燥装置が利用でき、例えば、熱風乾燥、ガスヒーター乾燥、高周波乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥、レーザー乾燥等の各種加熱乾燥方式が好ましく、適宜使用される。このなかで、熱風乾燥がコストの面で有利であるため好ましく採用される。また、最表層(記録層の最上層や、記録層上に形成された光沢発現層)をキャスト仕上げして、高光沢とすることも可能である。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。勿論、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%を示す。
実施例1
[紙基材1の作製]
ろ水度350mlCSFのLBKP100部のパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウム(商品名:PC,白石カルシウム社製)を8部となるように添加し、対パルプ当たり、澱粉1.0部、アルケニル無水コハク酸0.1部、硫酸バンド0.5部を添加し、長網抄紙機を用いて抄紙し、表面サイズ剤として澱粉(商品名:エースA,王子コーンスターチ社製)とポリビニルアルコールの4/1混合物を4.5g/mとなるようにサイズプレスにて塗布し、坪量が180g/m、厚み223μm(緊度0.81、サイズ度106秒)の紙基材1を得た。
[下塗り層塗工液1の調整]
平板状顔料として白雲母(平均粒子径20μm、アスペクト比20〜30、(株)山口雲母工業所製、商品名:マイカA21)100重量部、分散剤(ポリアクリル酸系分散剤、三洋化成(株)製、商品名:キャリボンL400)0.3重量部、水100重量部をカウレス分散機を用い回転数2000rpmで2時間分散した。得られた白雲母分散液60重量部と合成樹脂ラテックス(SBRラテックス、Tg8℃、ゲル量70%、日本ゼオン(株)製、商品名:0X1060、ラテックス単独での透湿度160g/m・24hr、固形分50%)40重量部を混合して固形分比で顔料/合成樹脂ラテックス=60/40となるように下塗り層塗料を調成した。
[シリカ微粒子の水分散液−1の調整]
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(平均1次粒子径:約0.008μm,日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.09μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)13部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%のシリカ微粒子の水分散液を調製した。
[記録層塗工液1]
平均粒子径2.4μmの湿式法シリカ(平均1次粒子径:約0.009μm、トクヤマ社製,商品名:ファインシール F−80)100部に、バインダーとしてポリビニールアルコール(クラレ社製,商品名:PVA−224)17部、シリル変性ポリビニールアルコール(クラレ社製,商品名:R−1130)18部、カチオン性化合物としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(日東紡社製、商品名:PAS−J−81)1部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:15%)を調整した。
[記録層塗工液2]
上記シリカ微粒子の水分散液−1の100部に、バインダーとして重合度4500、ケン化度98%のポリビニールアルコール25部、カチオン変性アクリル樹脂5部を混合し、5%の水溶液を調整した。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材1に下塗り層塗料を、固形分として塗工量15g/mになるように、メイヤーバーで手塗りした後、熱風循環乾燥機を用いて乾燥させた。該塗工層上に、記録層塗工液1の塗工量が15g/mになるように塗工乾燥し、第1記録層を得、さらに記録層塗工液2を塗工量が2.5g/mになるように塗工し、該塗工層が湿潤状態にある間に鏡面ロールに圧接して塗工面を鏡面形成した後乾燥し、第2記録層を得、光沢タイプのインクジェット記録用紙を作製した。
比較例1
不定形顔料として水酸化アルミニウム(平均粒子径20μm、アスペクト比1.5〜3、昭和電工(株)製、商品名:ハイジライトH31)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光沢タイプのインクジェット記録用紙を製造した。
比較例2
平板状顔料として白雲母(平均粒子径82μm、アスペクト比20〜30、山口雲母工業所製、商品名:マイカB72)を用いたこと以外は実施例1と同様に光沢タイプのインクジェット記録用紙を製造した。
比較例3
平板状顔料の代わりに粒状炭酸カルシウム(平均粒子径3.5μm、備北粉化(株)製、商品名:ソフトンBF−100)を用いた以外は実施例1と同様にして光沢タイプのインクジェット記録用紙を製造した。
比較例4
実施例1において、下塗り層の平板状顔料を白雲母(平均粒子径5μm、アスペクト比20〜30、山口雲母工業所製、商品名:マイカA11)に、接着剤をポリビニルアルコール(クラレ製、PVA105)に代えた以外は同様にして光沢タイプのインクジェット記録用紙を製造した。
[評価方法]
(平均粒子径)
島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−1100 V2.0((株)島津製作所製)によって水中に分散させた顔料の粒子径を以下の方法で測定した。なお、本発明中における粒子径は平均粒子径(積算体積率が50%の粒子径)である。
測定範囲:1〜150μmまたは0.1〜45μm
屈折率 :1.6
計算方法:直接計算法
測定回数:4回
測定間隔:2秒
印字濃度、光沢度および光沢感は、以下に示す方法で評価した。
(印字濃度)
市販のインクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−950C、印字モード:PM写真用紙きれいモード)で黒のベタ印字し、マクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定した。
(光沢度)
JIS P−8142に準じて、白紙の75°光沢を測定した。
(光沢感)
光沢感は、市販のインクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−950C、印字モード:PM写真用紙きれいモード)と顔料インクプリンターであるEPSON社製インクジェットプリンター、商標:PX−G900(EPSON写真用紙きれいモード)を用い、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、印字部に対して横の角度から目視し、以下の4段階で評価した。
◎:銀塩写真と同レベルの光沢感がある。
○:銀塩写真よりやや劣るレベルの光沢感がある。
△:一般市販の光沢インクジェット記録用紙と同レベルの光沢感がある。
×:一般市販の光沢インクジェット記録用紙より劣るレベルの光沢感がある。
(コックリング)
市販のインクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−950C、印字モード:PM写真用紙きれいモード/記録画像におけるインク吐出量の最大値が15g/m以上になる印字条件)で印字1時間後の波打ちを目視評価した。
◎:コックリングが全くない。
○:注視すると、わずかにコックリングが生じていることが判る。問題ないレベル。
△:少しコックリングが生じている。問題ありのレベル。
×:コックリングが発生している。
Figure 0004265491
本発明のインクジェット記録用紙は、マット紙から光沢紙まで広範囲な光沢を有し、さらに高画質な写真調の記録にも適用可能であり、コックリングの良好なインクジェット記録用紙を提供することができる。

Claims (6)

  1. 紙基材上に、下塗り層、記録層の順に積層したインクジェット記録用紙において、下塗り層が、平均粒子径が4〜50μmであり且つアスペクト比5〜70である平板状顔料と接着剤としての合成樹脂ラテックスを含み、且つ平板状顔料と合成樹脂ラテックスの配合比率が重量比で30/70〜70/30であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 記録層の塗工量が10〜35g/mであり、該記録層(記録層が2層以上ある場合は、少なくもとも上層)が少なくとも平均粒子径0.01〜0.7μmの無機微粒子を含有す請求項1記載の光沢タイプのインクジェット記録用紙。
  3. 平板状顔料が、雲母、タルク、デラミカオリンから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
  4. 下塗り層が、ジエン系共重合体ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン、エチレン−酢ビ系共重合体エマルジョンから選ばれる接着剤を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 下塗り層の接着剤が、透湿度500g/m・24hr以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 水性のインクを用いて請求項1〜5記載のインクジェット記録用紙に記録してなる記録物であって、記録画像におけるインク吐出量の最大値が15g/m以上である記録物。

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