JP2004299162A - 校正用インクジェット記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】両面ともに、校正対象の印刷用紙に面感が類似し、かつインクジェット印字画像と印刷画像との見栄えが類似した校正用インクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】基紙の両面にJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であるポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層設けた校正用インクジェット記録材料であって、前記両面のポリオレフィン樹脂層がそれぞれ白色顔料を含有し、前記両面に設けられた最外層のインク受容層が1μm以上の平均粒子径を有する顔料を含有する校正用インクジェット記録材料。
【選択図】 無し
【解決手段】基紙の両面にJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であるポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層設けた校正用インクジェット記録材料であって、前記両面のポリオレフィン樹脂層がそれぞれ白色顔料を含有し、前記両面に設けられた最外層のインク受容層が1μm以上の平均粒子径を有する顔料を含有する校正用インクジェット記録材料。
【選択図】 無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コックリングの無く、インク吸収性が良好で、かつ両面ともに印刷校正用に使用されるインクジェット記録材料に関するものである。更に詳しくは、両面ともに校正対象の印刷用紙に面感が類似し、かつインクジェット印字画像と印刷画像との見栄えが類似した、印刷校正用に適した校正用インクジェット記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する両面の樹脂層に白色顔料を含有させた支持体を用い、かつ、支持体の両面にインク受容層を設けたインクジェット記録材料が、特開2001−80208号公報に記載されている(特許文献1参照)。一方、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体を用いたインクジェット記録材料を校正用に用いることが知られている。例えば、特開平10−181194号公報に記載されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの特許文献には、本発明が目的とする校正対象の印刷用紙に面感が類似し、両面とも印刷校正に使用することができる校正用インクジェット記録材料は開示されていない。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−80208号公報(第9頁〜第11頁)
【特許文献2】
特開平10−181194号公報(第2頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、両面ともに、校正対象の印刷用紙に面感が類似し、かつインクジェット印字画像と印刷画像との見栄えが類似した校正用インクジェット記録材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、基紙の両面にJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であるポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層設けた校正用インクジェット記録材料であって、前記両面のポリオレフィン樹脂層がそれぞれ白色顔料を含有し、前記両面に設けられた最外層のインク受容層が1μm以上の平均粒子径を有する顔料を含有することを特徴とする校正用インクジェット記録材料によって基本的に達成された。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の校正用インクジェット記録材料を詳細に説明する。
本発明に用いられるにポリオレフィン樹脂被覆紙(以降、単に樹脂被覆紙と称す)は、基紙の両面にポリオレフィン樹脂層(以降、単に樹脂層と称す)を有する。紙支持体の両面にインク受容層を設けた場合、両面に印字することによって著しいコックリングが発生し、本発明が目的とする両面を校正用に適用することはできない。
【0007】
本発明の樹脂被覆紙は、基紙の両面を被覆する樹脂層にはそれぞれ白色顔料を含有する。従来の樹脂被覆紙は、一方の面の樹脂層のみが白色顔料を含有するのが一般的である。しかし、このような従来の樹脂被覆紙では、本発明が目的とする両面を校正用に適用することはできない。
【0008】
印刷校正用に用いられる印刷用紙として、例えばアート紙、コート紙などが挙げられるが、本発明のインクジェット記録材料は、これらの校正対象印刷用紙に面感(印刷面から受ける視覚的感触)を類似させる必要がある。従って、本発明は、比較的平滑で光沢が高い樹脂被覆紙を用いて、最外層のインク受容層に1μm以上の平均粒子径を有する顔料を含有することによって面感が類似することを見出した。
【0009】
本発明に用いられる樹脂被覆紙は、前記したように比較的平滑で光沢が高いものが好ましく、両面の樹脂層におけるJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であることが必要である。より好ましくは、樹脂被覆紙の中心線平均粗さ(Ra75)が1.5μm以下であるのが好ましく、特に0.1〜1.0μmが好ましく、更に0.1〜0.5μmが好ましい。
【0010】
本発明に用いられる樹脂被覆紙について詳細に説明する。樹脂被覆紙支持体を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0011】
基紙として用いられる原紙は、抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜180g/m2が好ましい。
【0012】
基紙の両面を被覆する樹脂層に用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物が挙げられ、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0013】
上記した樹脂層は、両面ともにそれぞれ白色顔料を含有する。かかる白色顔料として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。好ましい白色顔料は酸化チタンであり、酸化チタンとしてはルチル型またはアナターゼ型の酸化チタンを用いることが好ましい。白色顔料の含有量は、樹脂層中のポリオレフィン樹脂に対して1〜60質量%が好ましく、2〜35質量%がより好ましい。
【0014】
樹脂層中には、更に、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。
【0015】
本発明は、両面印字が可能でかつ両面ともに校正用に適用できる記録材料を目指したものであり、従って、両面ともに校正対象印刷用紙に色合いを類似させる必要があり、樹脂被覆紙の両面の色差(△E*)は、3以下にすることが好ましい。また、この樹脂被覆紙の両面にインク受容層を塗布された記録材料の両面の色差(△E*)は1.5以下にすることが好ましい。ここで、色差(△E*)と
は、JIS−Z8722並びにJIS−Z8720で規定される色の測定方法及び測定光源に従って測定され、JIS−Z8729で規定される明度指数(L*)及び知覚色度指数(a*、b*)の値から、JIS−Z8730で規定される色差を計算したものである。更に具体的には、測定条件はD−n P、(JIS−Z8722中の6.3.2参照)、光源を標準の光D65を用いて行う。
【0016】
樹脂被覆紙の両面の色差を上記範囲内にするためには、前述したように両面の樹脂層にはそれぞれ白色顔料を含有させることが必須であり、白色顔料の種類や含有量、場合によっては更にその他の着色顔料や染料等で調整される。
【0017】
樹脂被覆紙の一般的な製造方法は、走行する原紙上に加熱溶融したポリオレフィン樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その原紙の両面が樹脂により被覆される。樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。樹脂層の厚みとしては、5〜50μmの範囲が適当である。
【0018】
樹脂被覆紙は、前述したように加熱溶融した樹脂を原紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。この際、クーリングロールは樹脂層の表面形状の形成に使用され、樹脂層の表面の中心線平均粗さは、用いるクーリングロールの表面形状を調整することによって得られる。
【0019】
上記した樹脂被覆紙には、帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。また、インク受容層を塗布する面には、予め、ゼラチン等の親水性バインダーからなる下引き層を設けるのが好ましい。
【0020】
本発明に用いられる樹脂被覆紙、校正対象印刷用紙に質感を類似させるため、樹脂被覆紙の厚みは200μm以下であることが好ましい。より好ましくは、樹脂被覆紙の厚みは、50〜180μmである。
【0021】
本発明の校正用インクジェット記録材料は、前述した樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層有する。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有することであり、好ましくは60質量%以上含有することであり、さらに好ましくは65質量%以上含有することである。
【0022】
前記無機微粒子としては、合成シリカ、アルミナ、あるいはアルミナ水和物が好ましく用いられる。特に、インク吸収性の観点から合成シリカが好ましい。平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を用いることによって、印刷校正用に要求される高発色性でかつ高精細な印字画像が得られる。また、印刷校正用に適用する場合、高いインク吸収性が要求される。従って、インク受容層における無機微粒子の塗布量は、10g/m2以上必要であり、好ましく15g/m2以上であり、より好ましくは17g/m2以上である。上限は、40g/m2程度である。
【0023】
本発明に好ましく用いられる合成シリカは、製造法によって気相法シリカ、湿式法シリカに大別することができる。
【0024】
気相法シリカは、乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0025】
湿式法シリカは、製造方法によって更に沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造される。製造過程で粒子成長したシリカ粒子は、凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば日本シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。
【0026】
ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造される。この場合、熟成中に小さなシリカ粒子が溶解し、大きな粒子の一次粒子間に一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、水澤化学(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロジェットとして市販さている。
【0027】
ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。本発明においては、このコロイダルシリカは、インク受容層の無機微粒子として用いられず、インク受容層の上に塗設されるコロイダルシリカ含有層に用いられる。
【0028】
本発明に好ましく用いられる合成シリカは、気相法シリカ、沈降法シリカ、あるいはゲル法シリカである。
【0029】
気相法シリカは、平均一次粒子径が5〜50nmのものが好ましい。より高い光沢を得るためには、5〜20nmでかつBET法による比表面積が90〜400m2/gの気相法シリカが好ましい。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0030】
気相法シリカは、数nm〜数十nmの一次粒子が網目構造あるいは鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在する。この凝集粒子の平均二次粒子径が500nm以下になるまで分散されるのが好ましく、より好ましくは300nm以下になるまで分散される。下限の粒子径は30nm程度である。ここで、凝集粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
【0031】
気相法シリカの分散方法について説明する。本発明において気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。
【0032】
気相法シリカの分散工程は、分散媒に気相法シリカを添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液を分散装置で分散する二次分散工程からなる。
【0033】
一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。二次分散工程に用いられる分散装置としては、例えば、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、ボールミル等が用いられる。特に、二次分散工程に用いられる分散装置としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機が好ましく、例えば特開平10−310416号、特開2000−239536号、特開2001−207078号公報に記載されている圧力式分散方法を用いることができる。
【0034】
本発明において、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で分散するとは、少なくとも二次分散工程における分散時には、カチオン性化合物が存在すること意味する。好ましくは、二次分散工程の開始前にカチオン性化合物を添加することであり、より好ましくは、一次分散工程で用いられる分散媒に予めカチオン性化合物を添加しておくことである。更に好ましくは、一次分散工程において、カチオン性化合物を含有する分散媒中に、気相法シリカを粉体の状態で添加し混合することである。分散媒に粉体の気相法シリカを混合する装置としては、フロー式連続吸引混合攪拌機を用いることができる。上記した気相法シリカの分散方法を用いることによって、気相法シリカの濃度が18質量%以上、更には19質量%以上の高濃度シリカスラリーの製造が可能となる。
【0035】
気相法シリカの分散に用いられる分散媒は水を主体とするが、少量の有機溶剤(エタノール等の低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。
【0036】
上記した気相法シリカの分散工程では、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散されるのが好ましい。気相法シリカがカチオン化された後は、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤を添加して再度高圧ホモジナイザー等で分散してもよい。
【0037】
本発明において、好ましく用いられる湿式法シリカは、沈降法シリカ及びゲル法シリカであり、より好ましくは、沈降法シリカである。これらの湿式法シリカの平均粒子径(平均二次粒子径)は、通常1μm以上である。本発明は、これらの湿式法シリカを、平均粒子径が500nm以下になるまで粉砕する。好ましくは、平均粒子径が300nm以下になるまで粉砕する。下限の粒子径は30nm程度である。この粉砕工程は、カチオン性化合物の存在下で行うのが好ましい。粉砕された湿式法シリカの粒子径は、前述したように透過型電子顕微鏡あるいはレーザー散乱式の粒度分布計で求めることができる。
【0038】
湿式法シリカの粉砕工程は、分散媒にシリカ微粒子を添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液中のシリカを粉砕する二次分散工程からなる。一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。湿式法シリカの粉砕方法としては、分散媒中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機等を使用することができるが、本発明では特にビーズミル等のメディアミルが好ましく用いられる。
【0039】
本発明において、湿式法シリカをカチオン性化合物の存在下で粉砕するとは、少なくとも粉砕工程(二次分散工程)には、カチオン性化合物が存在すること意味する。好ましくは、粉砕工程の開始前にカチオン性化合物を添加することであり、より好ましくは、一次分散工程で用いられる分散媒に予めカチオン性化合物を添加しておくことである。更に好ましくは、一次分散工程において、カチオン性化合物を含有する分散媒中に、湿式法シリカを粉体の状態で添加し混合することである。分散媒に粉体の湿式法シリカを混合する装置としては、フロー式連続吸引混合攪拌機を用いることができる。
【0040】
湿式法シリカの分散に用いられる分散媒は水を主体とするが、少量の有機溶剤(エタノール等の低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。
【0041】
上記した湿式法シリカの粉砕工程では、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含ませないのが好ましい。湿式法シリカがカチオン化された後は、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤を添加して再度高圧ホモジナイザー等で分散してもよい。
【0042】
本発明に用いられる湿式法シリカは、平均粒子径(平均二次粒子径)が5μm以上のものが好ましい。比較的大きな粒子径のシリカを粉砕することによって、より高濃度での分散が可能となる。本発明に用いられる湿式法シリカの平均粒子径の上限は特に制限されないが、通常湿式法シリカの平均粒子径は200μm以下である。
【0043】
本発明のインク受容層に用いられる湿式法シリカとしては、沈降法シリカが好ましい。前述したように、沈降法シリカは、その二次粒子が緩やかな凝集粒子であるので、粉砕するのに好適である。
【0044】
本発明において、気相法シリカの分散工程及び湿式法シリカの粉砕工程に用いられるカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物、あるいはシランカップリング剤が用いられる。これらのカチオン性化合物の中でも特にカチオン性ポリマー及び水溶性多価金属化合物が好ましく、特にカチオン性ポリマーが好ましい。
【0045】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、あるいは1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号、WO99/64248号公報等に記載されたカチオン性ポリマーが挙げられる。本発明に用いられるカチオン性ポリマーの質量平均分子量は10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、特に好ましくは2千〜3万程度である。
【0046】
上記カチオン性ポリマーの中でも、特にポリジアリルアミン誘導体の構成単位を有するカチオン性ポリマーが好ましく、下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で表される構造を構成単位とするカチオン性ポリマーである。これらのカチオン性ポリマーは、シャロールDC902P(第一工業製薬)、ジェットフィックス110(里田化工)、ユニセンスCP−101〜103(センカ)、PAS−H(日東紡績社)として市販されている。
【0047】
【化1】
【0048】
【化2】
【0049】
【化3】
【0050】
【化4】
【0051】
一般式(1)、(2)、(3)及び(4)において、R1及びR2は各々、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、またはヒドロキシエチル基等の置換アルキル基を表し、Yはラジカル重合可能なモノマー(例えば、スルホニル、アクリルアミド及びその誘導体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等)を表す。また、一般式(3)及び(4)において、n/m=9/1〜2/8、l=5〜10000である。Xはアニオンを表す。
【0052】
一般式(3)又は(4)で示されるポリジアリルアミンの誘導体の具体的な例としては、特開昭60−83882号公報記載のSO2基を繰り返し単位に含む もの、特開平1−9776号公報に記載されているアクリルアミドとの共重合体等が挙げられる。
【0053】
本発明において、カチオン性ポリマーの使用量は合成シリカに対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
【0054】
本発明に用いられる水溶性多価金属化合物としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの中でも特に、アルミニウムあるいは周期表IVa族元素(ジルコニウム、チタン)の水溶性塩が好ましい。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
【0055】
上記以外の水溶性アルミニウム化合物として、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の一般式5、6又は7で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0056】
[Al2(OH)nCl6−n]m ・・一般式5
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・一般式6
Aln(OH)mCl(3n−m) 0<m<3n ・・一般式7
【0057】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。これらの塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、特公平3−24907、同平3−42591号公報にも記載されている。
【0058】
上記した水溶性多価金属塩化合物の添加量は、合成シリカに対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0059】
本発明に用いられるシランカップリング剤としては、特開2000−233572号公報に記載されており、それらの中からカチオン性のものを用いることができる。シランカップリング剤の添加量は、無機微粒子に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0060】
本発明に用いられる無機微粒子として、上記合成シリカ以外にアルミナあるいはアルミナ水和物を用いることができる。アルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγーアルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γーアルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用できる。
【0061】
アルミナ水和物は、Al2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0062】
上記アルミナ水和物の平均一次粒子径は、5〜50nmが好ましく、特に5〜30nmでかつ平均アスペクト比(平均厚さに対する平均粒子径の比)が2以上の平板状の粒子を用いるのが好ましい。
【0063】
本発明において、インク受容層には皮膜としての特性を維持するために有機バインダーを含有するのが好ましい。有機バインダーとしては、各種水溶性ポリマーあるいはポリマーラテックスが好ましく用いられる。水溶性ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル系等やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい有機バインダーは、完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0064】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0065】
また有機バインダーとして用いられるポリマーラテックスとしては、例えば、アクリル系ラテックスとしては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル類、アクリルニトリル、アクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸等の単独重合体または共重合体、あるいは上記モノマーと、スチレンスルホン酸やビニルスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、ジビニルベンゼン等との共重合体が挙げられる。オレフィン系ラテックスとしては、ビニルモノマーとジオレフィン類のコポリマーからなるポリマーが好ましく、ビニルモノマーとしてはスチレン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等が好ましく用いられ、ジオレフィン類としてはブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0066】
本発明のインク受容層において、有機バインダーを無機微粒子に対して5〜35質量%の範囲で用いるのが好ましく、特に10〜30質量%の範囲で用いるのが好ましく、更に10〜27質量%の範囲で用いるのが好ましい。このように、有機バインダーの比率を低くすることによってインク吸収性が向上する。
【0067】
インク受容層における有機バインダーの比率は、用いられる無機微粒子の種類によって好ましい範囲が適宜選択される。インク受容層に気相法シリカを用いる場合は、有機バインダーの比率は、気相法シリカに対して15〜30質量%が好ましく、16〜27質量%の範囲がより好ましく、特に17〜25質量%の範囲が好ましい。インク受容層に湿式法シリカを用いる場合は、有機バインダーの比率は、湿式法シリカに対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。インク受容層にアルミナあるいはアルミナ水和物を用いる場合は、有機バインダーの比率は、アルミナあるいはアルミナ水和物に対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。
【0068】
本発明において、インク受容層に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは有機バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
【0069】
本発明において、インク受容層には、有機バインダーとともに硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する有機バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
【0070】
インク受容層には、更に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0071】
また、インク受容層には、校正対象の印刷用紙に色合いを類似させやすいために、着色剤として有色染料もしくは有色顔料を用いることができる。好ましい着色剤としては、平均粒子径1μm以下の有色顔料である。
【0072】
有色顔料としては、例えば、チタンブラック、チタニウムイエロー、群青、紺青、コバルト青、カーボンブラック、鉄黒、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化珪素、水酸化アルミニウム、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、染色レーキ、澱粉、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂などの合成樹脂粒子、シリコーン粒子などの有色顔料があげられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の有色顔料として、白色度を向上させて色合いを類似させるため、白色の顔料を使用しても良い。例えば、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、二酸化チタン被覆雲母、硫酸バリウム、モリブデンホワイト、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、石膏、鉛白、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス粉、硫酸バリウム等の無機顔料、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート共重合樹脂等の有機顔料など、公知のものが挙げられる。
【0073】
有色染料としては、例えば、アゾ化合物(ジチゾン、ホルマザン)、キノン系(ナフトキノン、アントラキノン、アクリドン、アントアントロン、インダントレン、ピレンジオン、ビオラントロン)、キノンイミン(アジン、オキサジン、チアジン)、インジゴ染料(インジルビン、オキシインジゴ、チオインジゴ)、硫化染料、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン(フルオラン、フルオレセイン、ローダミン)、フェロセン、フルオレノン、フルギド、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン(カロテン、マレイン酸誘導体、ピロラゾン、スチルベン、スチリル)、ポリメチン(シアニン、ピリジニウム、ピリリウム、キノリニウム、ローダニン)、キサンテン、アリザリン、アクリジン、アクリジノン、カルボスチリル、クマリン、ジフェニルアミン、キナクリドン、キノフタロン、フェノキサジン、フタロペリノン、ポルフィン、クロロフィル、フタロシアニン、クラウン化合物、スクアリリウム、チアフルバレン、チアゾール、ニトロ染料、ニトロソ染料、発色後のロイコ染料などの有機染料など公知のものが挙げられる。
【0074】
上記した着色剤の添加量は、インク受容層中の全固形分質量に対して1質量%以下が好ましい。
【0075】
本発明において、かかるインク受容層の膜面pHが2.0〜6.5であることが好ましい。その理由として、pHが2.0より低いと光沢感が失われ、又6.5を超えると未プリント部が経時で劣化することがあげられる。インク受容層の膜面pHは、J.TAPPI紙パルプ試験方法N0.49に記載の方法に従って、蒸留水を用い、30秒後に測定した表面pHである。
【0076】
インク受容層のpHは、塗布液の段階で調整するのが好ましいが、塗布液のpHと塗布乾燥された状態での膜面pHとは必ずしも一致しないため、塗布液と膜面pHとの関係を予め実験等によって求めておくことが所定の膜面pHにするために必要である。インク受容層塗布液のpHは、酸またはアルカリを適当に組み合わせて行われる。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸が用いられ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、または弱アルカリとして、酢酸ナトリウム等の弱酸のアルカリ金属塩が用いられる。
【0077】
また、本発明において、校正用インクジェット記録材料の不透明度は95%以上であることが好ましい。これによって、両面に印字する際に、印字する面に対してその反対面に印字した画像が透けることが無く、また、校正用インクジェット記録材料の印字した画像の鮮鋭度が上がり、校正対象印刷用紙に印刷した画像との見栄えが類似するので好ましい。校正用インクジェット記録材料の不透明度は、JIS P 8138に記載の方法に従って測定されるものである。
【0078】
本発明の校正用インクジェット記録材料は、最外層のインク受容層に平均粒子径1μm以上の顔料を含有する。中心線平均粗さが2μm以下の樹脂被覆紙と、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層と、上記した最外層のインク受容層に平均粒子径1μm以上の顔料を含有させるという、これらの構成の組み合わせによって、校正対象の印刷用紙に面感を類似させることができる。
【0079】
本発明において、インク受容層は単一層であっても複数層であってもよい。単一層の場合は、その層自体が最外層となり、前記した平均粒子径1μm以上の顔料を含有する。複数層の場合は、少なくとも最外層が1μm以上の顔料を含有する。複数層の場合、最外層以外の層は、前述した顔料は含まない方が好ましい。
【0080】
最外層のインク受容層に含有させる平均粒子径1μm以上の顔料としては、無色または白色の顔料が好ましい。顔料の平均粒子径は2〜10μmが好ましく、特に平均粒子径2〜4μmの顔料が好ましい。また、顔料の分散度(標準偏差/平均粒子径)は、0.2〜10のものが好ましい。顔料の添加量は、顔料が添加されるインク受容層の全固形分に対して通常0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0081】
本発明に用いられる顔料としては、例えば、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、二酸化チタン被覆雲母、硫酸バリウム、モリブデンホワイト、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、石膏、鉛白、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス粉、硫酸バリウム等の無機顔料、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート共重合樹脂等の有機顔料など、公知のものが挙げられる。面感を校正対象の印刷用紙に類似させる目的から無機顔料を用いることが特に好ましい。
【0082】
本発明は、樹脂被覆紙の両面にそれぞれ、前述した無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層有する。該インク受容層は、単一層であっても複数層で構成されていても良い。単一層の場合は、その層が最外層となる。樹脂被覆紙の両面に設けられるインク受容層は、同じ構成であっても、異なっていても良いが、好ましくは、両面とも同じ構成にすることである。
【0083】
本発明において、インク受容層の塗布方法は任意の方法が用いられ、例えばスライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。本発明ではインク受容層塗布組成物の塗液を高濃度で塗布しても良好な面質が得られるのはカーテン方式である。カーテン塗布により支持体の表面形状によらない均一なインク受容層が得られ、インク受容層の乾燥効率が高くなり、乾燥工程での表面の風紋等の発生が少ないので均一な表面と優れたインク吸収性のインクジェット記録材料が得られる。
【0084】
本発明でインク受容層をカーテン方式で塗布する場合には、インク受容層塗布組成物の塗液粘度は一般的には40〜2500mPa・sであり、好ましくは100〜2000mPa・sである。40mPa・sより低いとカーテン膜の延伸時の乱れが発生しやすく、2500mPa・sより高いとカーテン膜の落下点が下流に移動するので空気同伴により塗布むらが発生しやすい。インク受容層塗布組成物の塗布液固形分濃度は、上記の粘度範囲内に調整されるが、一般的には14〜40質量%である。塗布液を高濃度で塗布することで乾燥効率が向上するのに加えて水等が蒸発するときの表面の荒れを抑えることができるので好ましい。
【0085】
【実施例】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
【0086】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量160g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙aとした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して片方の面(第1の面)の樹脂被覆紙層を設けた。もう一方の面(第2の面)にも同様にして樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は0.8であった。
【0087】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の両面にそれぞれ高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥してポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aを作製した。
【0088】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0089】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Bの作製>
ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aにおいて、原紙aを製造する際に、坪量を85g/m2になるように抄造して原紙bを作成した。この原紙bに密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ15μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して第1の面の樹脂被覆紙層を設けた。第2の面にも同様にして樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は0.7であった。この樹脂被覆紙に前述の下引き層を同様に設けて、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Bを作製した。
【0090】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Cの作製>
また、上記のように抄造した原紙aに、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して第1の面の樹脂被覆紙層を設けた。第2の面にも同様にして樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも3μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は0.8であった。この樹脂被覆紙に前述の下引き層を同様に設けて、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Cを作製した。
【0091】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Dの作製>
また、上記のように抄造した原紙aに、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して第1の面の樹脂被覆紙層を設けた。第2の面には、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂を、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は3.4であった。この樹脂被覆紙に前述の下引き層を同様に設けて、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Dを作製した。
【0092】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Eの作製>
また、上記のように抄造した原紙aに、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂を、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して第1の面の樹脂被覆紙層を設けた。第2の面にも同様にして樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は0.9であった。この樹脂被覆紙に前述の下引き層を同様に設けて、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Eを作製した。
【0093】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Fの作製>
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aを製造する際に、両面に樹脂被覆紙層を設けず、第1の面のみ樹脂被覆紙層を設けた以外は同様にして、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Fを作製した。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は5.1であった。
【0094】
<紙支持体Gの作製>
また、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿して紙支持体Gとした。また、この際の両面の色差(△E*)は0.8であった。
【0095】
<実施例1のインクジェット記録材料の作製>
上述したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの第1の面及び第2の面に、インク受容層として下記配合からなる塗布液をスライド塗布装置により塗布量が固形分で22g/m2になるように塗布、乾燥してインク受容層を設け、実施例1のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は、98%であった。
【0096】
<インク受容層配合>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒子径7nm、BET法による比表面積300m2/g、平均二次粒子径200nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
有色顔料A 0.01部
(TB500、大日精化社製)
有色顔料B 0.016部
(TB910、大日精化社製)
マット剤 1部
(湿式シリカP78A、平均粒子径3μm、水澤化学社製)
【0097】
<実施例2のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Bを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は90%であった。
【0098】
<実施例3のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層の気相法シリカとジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマーの代わりに湿式粉砕シリカ分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は97%であった。尚、湿式粉砕シリカ分散液は下記の通り作製した。
【0099】
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000、4部)と沈降法シリカ(ニップシールVN3、平均二次粒子径23μm、100部)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミルに、直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率80容量%、円盤周速10m/秒の条件で1回通過させて、固形分濃度30質量%、平均二次粒子径200nmの湿式粉砕シリカ分散液を得た。
【0100】
<実施例4のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層の気相法シリカの代わりにアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は98%であった。
【0101】
<比較例1のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Cを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は98%であった。
【0102】
<比較例2のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Dを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は93%であった。
【0103】
<比較例3のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Eを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は89%であった。
【0104】
<比較例4のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Fを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は91%であった。
【0105】
<比較例5のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりに紙支持体Gを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例5のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は86%であった。
【0106】
<比較例6のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層の気相法シリカの代わりに湿式シリカ(平均二次粒子径1.5μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例6のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は97%であった。
【0107】
<比較例7のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層のマット剤である湿式シリカP78A(平均粒子径3μm)を用いなかった以外は実施例1と同様にして、比較例7のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は98%であった。
【0108】
上記のようにして作製した実施例1〜4、及び比較例1〜7のインクジェット記録材料において、インク受容層のマット剤の量を1部から4部に変更することで、実施例5〜8、及び比較例8〜14のインクジェット記録材料を得た。
【0109】
実施例1〜4及び比較例1〜7については、校正対象の印刷用紙Aとして三菱製紙社製アート紙(特菱アート両面N(坪量127g/m2))、実施例5〜8及び比較例8〜14については校正対象の印刷用紙Bとして三菱製紙社製コート紙(パールコート(坪量127g/m2))を使用した。
【0110】
実施例1〜8及び比較例1〜14のインクジェット記録材料と校正対象の印刷用紙の評価は、以下に示す方法により行い、結果を表1に示す。
【0111】
<面感評価>
各記録材料の両面の面感を印刷用紙と比較し、感覚的に評価した。校正対象印刷用紙との感覚的違いの少ないものを○、違いがやや感じられるものを△、違いが強く感じられるものを×とした。
【0112】
<見栄え評価>
得られたインクジェット記録材料の両面に、インクジェットプリンター(MC7000C:セイコーエプソン社製)で、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像とJIS−X9201記載の標準画像N3(果物かご)を印字し、印刷物としての色感を総合的に評価した。尚、評価では対象印刷用紙にオフセット印刷で同様の印刷を施したものとの比較で評価した。感覚的違いの少ないものを○、違いがやや感じられるものを△、違いが強く感じられるものを×とした。
【0113】
<鮮鋭度評価>
鮮鋭度評価は、インクジェットプリンター(PM950C:セイコーエプソン社製)で、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像とJIS−X9201記載の標準画像N3(果物かご)を印字し、印刷物としての鮮鋭度を目視にて評価した。鮮鋭度の高いものを○、やや高いものを△、低いものを×とした。
【0114】
【表1】
【0115】
表1から、基紙の両面にJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であるポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層設けたインクジェット記録材料において、前記両面の樹脂被覆層がそれぞれ酸化チタンを含有することを特徴とするインクジェット記録材料である実施例1〜8のインクジェット記録材料は、印刷校正用に使用した場合、その表面の組成が全く異なるにも関わらず、本番印刷後の印刷物に極めて近い面感を実現でき、校正用に適したインクジェット記録材料であることが分かる。それに対し、比較例1〜14では印刷用紙に近い面感を得られず、見栄えも全く異なり、校正用途には不適であることが分かる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を実施することにより印刷校正用に適しインクジェット適性のある校正用インクジェット記録材料を提供することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コックリングの無く、インク吸収性が良好で、かつ両面ともに印刷校正用に使用されるインクジェット記録材料に関するものである。更に詳しくは、両面ともに校正対象の印刷用紙に面感が類似し、かつインクジェット印字画像と印刷画像との見栄えが類似した、印刷校正用に適した校正用インクジェット記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する両面の樹脂層に白色顔料を含有させた支持体を用い、かつ、支持体の両面にインク受容層を設けたインクジェット記録材料が、特開2001−80208号公報に記載されている(特許文献1参照)。一方、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体を用いたインクジェット記録材料を校正用に用いることが知られている。例えば、特開平10−181194号公報に記載されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの特許文献には、本発明が目的とする校正対象の印刷用紙に面感が類似し、両面とも印刷校正に使用することができる校正用インクジェット記録材料は開示されていない。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−80208号公報(第9頁〜第11頁)
【特許文献2】
特開平10−181194号公報(第2頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、両面ともに、校正対象の印刷用紙に面感が類似し、かつインクジェット印字画像と印刷画像との見栄えが類似した校正用インクジェット記録材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、基紙の両面にJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であるポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層設けた校正用インクジェット記録材料であって、前記両面のポリオレフィン樹脂層がそれぞれ白色顔料を含有し、前記両面に設けられた最外層のインク受容層が1μm以上の平均粒子径を有する顔料を含有することを特徴とする校正用インクジェット記録材料によって基本的に達成された。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の校正用インクジェット記録材料を詳細に説明する。
本発明に用いられるにポリオレフィン樹脂被覆紙(以降、単に樹脂被覆紙と称す)は、基紙の両面にポリオレフィン樹脂層(以降、単に樹脂層と称す)を有する。紙支持体の両面にインク受容層を設けた場合、両面に印字することによって著しいコックリングが発生し、本発明が目的とする両面を校正用に適用することはできない。
【0007】
本発明の樹脂被覆紙は、基紙の両面を被覆する樹脂層にはそれぞれ白色顔料を含有する。従来の樹脂被覆紙は、一方の面の樹脂層のみが白色顔料を含有するのが一般的である。しかし、このような従来の樹脂被覆紙では、本発明が目的とする両面を校正用に適用することはできない。
【0008】
印刷校正用に用いられる印刷用紙として、例えばアート紙、コート紙などが挙げられるが、本発明のインクジェット記録材料は、これらの校正対象印刷用紙に面感(印刷面から受ける視覚的感触)を類似させる必要がある。従って、本発明は、比較的平滑で光沢が高い樹脂被覆紙を用いて、最外層のインク受容層に1μm以上の平均粒子径を有する顔料を含有することによって面感が類似することを見出した。
【0009】
本発明に用いられる樹脂被覆紙は、前記したように比較的平滑で光沢が高いものが好ましく、両面の樹脂層におけるJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であることが必要である。より好ましくは、樹脂被覆紙の中心線平均粗さ(Ra75)が1.5μm以下であるのが好ましく、特に0.1〜1.0μmが好ましく、更に0.1〜0.5μmが好ましい。
【0010】
本発明に用いられる樹脂被覆紙について詳細に説明する。樹脂被覆紙支持体を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0011】
基紙として用いられる原紙は、抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜180g/m2が好ましい。
【0012】
基紙の両面を被覆する樹脂層に用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物が挙げられ、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0013】
上記した樹脂層は、両面ともにそれぞれ白色顔料を含有する。かかる白色顔料として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。好ましい白色顔料は酸化チタンであり、酸化チタンとしてはルチル型またはアナターゼ型の酸化チタンを用いることが好ましい。白色顔料の含有量は、樹脂層中のポリオレフィン樹脂に対して1〜60質量%が好ましく、2〜35質量%がより好ましい。
【0014】
樹脂層中には、更に、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。
【0015】
本発明は、両面印字が可能でかつ両面ともに校正用に適用できる記録材料を目指したものであり、従って、両面ともに校正対象印刷用紙に色合いを類似させる必要があり、樹脂被覆紙の両面の色差(△E*)は、3以下にすることが好ましい。また、この樹脂被覆紙の両面にインク受容層を塗布された記録材料の両面の色差(△E*)は1.5以下にすることが好ましい。ここで、色差(△E*)と
は、JIS−Z8722並びにJIS−Z8720で規定される色の測定方法及び測定光源に従って測定され、JIS−Z8729で規定される明度指数(L*)及び知覚色度指数(a*、b*)の値から、JIS−Z8730で規定される色差を計算したものである。更に具体的には、測定条件はD−n P、(JIS−Z8722中の6.3.2参照)、光源を標準の光D65を用いて行う。
【0016】
樹脂被覆紙の両面の色差を上記範囲内にするためには、前述したように両面の樹脂層にはそれぞれ白色顔料を含有させることが必須であり、白色顔料の種類や含有量、場合によっては更にその他の着色顔料や染料等で調整される。
【0017】
樹脂被覆紙の一般的な製造方法は、走行する原紙上に加熱溶融したポリオレフィン樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その原紙の両面が樹脂により被覆される。樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。樹脂層の厚みとしては、5〜50μmの範囲が適当である。
【0018】
樹脂被覆紙は、前述したように加熱溶融した樹脂を原紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。この際、クーリングロールは樹脂層の表面形状の形成に使用され、樹脂層の表面の中心線平均粗さは、用いるクーリングロールの表面形状を調整することによって得られる。
【0019】
上記した樹脂被覆紙には、帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。また、インク受容層を塗布する面には、予め、ゼラチン等の親水性バインダーからなる下引き層を設けるのが好ましい。
【0020】
本発明に用いられる樹脂被覆紙、校正対象印刷用紙に質感を類似させるため、樹脂被覆紙の厚みは200μm以下であることが好ましい。より好ましくは、樹脂被覆紙の厚みは、50〜180μmである。
【0021】
本発明の校正用インクジェット記録材料は、前述した樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層有する。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有することであり、好ましくは60質量%以上含有することであり、さらに好ましくは65質量%以上含有することである。
【0022】
前記無機微粒子としては、合成シリカ、アルミナ、あるいはアルミナ水和物が好ましく用いられる。特に、インク吸収性の観点から合成シリカが好ましい。平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を用いることによって、印刷校正用に要求される高発色性でかつ高精細な印字画像が得られる。また、印刷校正用に適用する場合、高いインク吸収性が要求される。従って、インク受容層における無機微粒子の塗布量は、10g/m2以上必要であり、好ましく15g/m2以上であり、より好ましくは17g/m2以上である。上限は、40g/m2程度である。
【0023】
本発明に好ましく用いられる合成シリカは、製造法によって気相法シリカ、湿式法シリカに大別することができる。
【0024】
気相法シリカは、乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0025】
湿式法シリカは、製造方法によって更に沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造される。製造過程で粒子成長したシリカ粒子は、凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば日本シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。
【0026】
ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造される。この場合、熟成中に小さなシリカ粒子が溶解し、大きな粒子の一次粒子間に一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、水澤化学(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロジェットとして市販さている。
【0027】
ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。本発明においては、このコロイダルシリカは、インク受容層の無機微粒子として用いられず、インク受容層の上に塗設されるコロイダルシリカ含有層に用いられる。
【0028】
本発明に好ましく用いられる合成シリカは、気相法シリカ、沈降法シリカ、あるいはゲル法シリカである。
【0029】
気相法シリカは、平均一次粒子径が5〜50nmのものが好ましい。より高い光沢を得るためには、5〜20nmでかつBET法による比表面積が90〜400m2/gの気相法シリカが好ましい。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0030】
気相法シリカは、数nm〜数十nmの一次粒子が網目構造あるいは鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在する。この凝集粒子の平均二次粒子径が500nm以下になるまで分散されるのが好ましく、より好ましくは300nm以下になるまで分散される。下限の粒子径は30nm程度である。ここで、凝集粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
【0031】
気相法シリカの分散方法について説明する。本発明において気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。
【0032】
気相法シリカの分散工程は、分散媒に気相法シリカを添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液を分散装置で分散する二次分散工程からなる。
【0033】
一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。二次分散工程に用いられる分散装置としては、例えば、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、ボールミル等が用いられる。特に、二次分散工程に用いられる分散装置としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機が好ましく、例えば特開平10−310416号、特開2000−239536号、特開2001−207078号公報に記載されている圧力式分散方法を用いることができる。
【0034】
本発明において、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で分散するとは、少なくとも二次分散工程における分散時には、カチオン性化合物が存在すること意味する。好ましくは、二次分散工程の開始前にカチオン性化合物を添加することであり、より好ましくは、一次分散工程で用いられる分散媒に予めカチオン性化合物を添加しておくことである。更に好ましくは、一次分散工程において、カチオン性化合物を含有する分散媒中に、気相法シリカを粉体の状態で添加し混合することである。分散媒に粉体の気相法シリカを混合する装置としては、フロー式連続吸引混合攪拌機を用いることができる。上記した気相法シリカの分散方法を用いることによって、気相法シリカの濃度が18質量%以上、更には19質量%以上の高濃度シリカスラリーの製造が可能となる。
【0035】
気相法シリカの分散に用いられる分散媒は水を主体とするが、少量の有機溶剤(エタノール等の低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。
【0036】
上記した気相法シリカの分散工程では、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散されるのが好ましい。気相法シリカがカチオン化された後は、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤を添加して再度高圧ホモジナイザー等で分散してもよい。
【0037】
本発明において、好ましく用いられる湿式法シリカは、沈降法シリカ及びゲル法シリカであり、より好ましくは、沈降法シリカである。これらの湿式法シリカの平均粒子径(平均二次粒子径)は、通常1μm以上である。本発明は、これらの湿式法シリカを、平均粒子径が500nm以下になるまで粉砕する。好ましくは、平均粒子径が300nm以下になるまで粉砕する。下限の粒子径は30nm程度である。この粉砕工程は、カチオン性化合物の存在下で行うのが好ましい。粉砕された湿式法シリカの粒子径は、前述したように透過型電子顕微鏡あるいはレーザー散乱式の粒度分布計で求めることができる。
【0038】
湿式法シリカの粉砕工程は、分散媒にシリカ微粒子を添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液中のシリカを粉砕する二次分散工程からなる。一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。湿式法シリカの粉砕方法としては、分散媒中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機等を使用することができるが、本発明では特にビーズミル等のメディアミルが好ましく用いられる。
【0039】
本発明において、湿式法シリカをカチオン性化合物の存在下で粉砕するとは、少なくとも粉砕工程(二次分散工程)には、カチオン性化合物が存在すること意味する。好ましくは、粉砕工程の開始前にカチオン性化合物を添加することであり、より好ましくは、一次分散工程で用いられる分散媒に予めカチオン性化合物を添加しておくことである。更に好ましくは、一次分散工程において、カチオン性化合物を含有する分散媒中に、湿式法シリカを粉体の状態で添加し混合することである。分散媒に粉体の湿式法シリカを混合する装置としては、フロー式連続吸引混合攪拌機を用いることができる。
【0040】
湿式法シリカの分散に用いられる分散媒は水を主体とするが、少量の有機溶剤(エタノール等の低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。
【0041】
上記した湿式法シリカの粉砕工程では、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含ませないのが好ましい。湿式法シリカがカチオン化された後は、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤を添加して再度高圧ホモジナイザー等で分散してもよい。
【0042】
本発明に用いられる湿式法シリカは、平均粒子径(平均二次粒子径)が5μm以上のものが好ましい。比較的大きな粒子径のシリカを粉砕することによって、より高濃度での分散が可能となる。本発明に用いられる湿式法シリカの平均粒子径の上限は特に制限されないが、通常湿式法シリカの平均粒子径は200μm以下である。
【0043】
本発明のインク受容層に用いられる湿式法シリカとしては、沈降法シリカが好ましい。前述したように、沈降法シリカは、その二次粒子が緩やかな凝集粒子であるので、粉砕するのに好適である。
【0044】
本発明において、気相法シリカの分散工程及び湿式法シリカの粉砕工程に用いられるカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物、あるいはシランカップリング剤が用いられる。これらのカチオン性化合物の中でも特にカチオン性ポリマー及び水溶性多価金属化合物が好ましく、特にカチオン性ポリマーが好ましい。
【0045】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、あるいは1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号、WO99/64248号公報等に記載されたカチオン性ポリマーが挙げられる。本発明に用いられるカチオン性ポリマーの質量平均分子量は10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、特に好ましくは2千〜3万程度である。
【0046】
上記カチオン性ポリマーの中でも、特にポリジアリルアミン誘導体の構成単位を有するカチオン性ポリマーが好ましく、下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で表される構造を構成単位とするカチオン性ポリマーである。これらのカチオン性ポリマーは、シャロールDC902P(第一工業製薬)、ジェットフィックス110(里田化工)、ユニセンスCP−101〜103(センカ)、PAS−H(日東紡績社)として市販されている。
【0047】
【化1】
【0048】
【化2】
【0049】
【化3】
【0050】
【化4】
【0051】
一般式(1)、(2)、(3)及び(4)において、R1及びR2は各々、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、またはヒドロキシエチル基等の置換アルキル基を表し、Yはラジカル重合可能なモノマー(例えば、スルホニル、アクリルアミド及びその誘導体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等)を表す。また、一般式(3)及び(4)において、n/m=9/1〜2/8、l=5〜10000である。Xはアニオンを表す。
【0052】
一般式(3)又は(4)で示されるポリジアリルアミンの誘導体の具体的な例としては、特開昭60−83882号公報記載のSO2基を繰り返し単位に含む もの、特開平1−9776号公報に記載されているアクリルアミドとの共重合体等が挙げられる。
【0053】
本発明において、カチオン性ポリマーの使用量は合成シリカに対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
【0054】
本発明に用いられる水溶性多価金属化合物としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの中でも特に、アルミニウムあるいは周期表IVa族元素(ジルコニウム、チタン)の水溶性塩が好ましい。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
【0055】
上記以外の水溶性アルミニウム化合物として、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の一般式5、6又は7で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0056】
[Al2(OH)nCl6−n]m ・・一般式5
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・一般式6
Aln(OH)mCl(3n−m) 0<m<3n ・・一般式7
【0057】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。これらの塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、特公平3−24907、同平3−42591号公報にも記載されている。
【0058】
上記した水溶性多価金属塩化合物の添加量は、合成シリカに対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0059】
本発明に用いられるシランカップリング剤としては、特開2000−233572号公報に記載されており、それらの中からカチオン性のものを用いることができる。シランカップリング剤の添加量は、無機微粒子に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0060】
本発明に用いられる無機微粒子として、上記合成シリカ以外にアルミナあるいはアルミナ水和物を用いることができる。アルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγーアルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γーアルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用できる。
【0061】
アルミナ水和物は、Al2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0062】
上記アルミナ水和物の平均一次粒子径は、5〜50nmが好ましく、特に5〜30nmでかつ平均アスペクト比(平均厚さに対する平均粒子径の比)が2以上の平板状の粒子を用いるのが好ましい。
【0063】
本発明において、インク受容層には皮膜としての特性を維持するために有機バインダーを含有するのが好ましい。有機バインダーとしては、各種水溶性ポリマーあるいはポリマーラテックスが好ましく用いられる。水溶性ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル系等やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい有機バインダーは、完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0064】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0065】
また有機バインダーとして用いられるポリマーラテックスとしては、例えば、アクリル系ラテックスとしては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル類、アクリルニトリル、アクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸等の単独重合体または共重合体、あるいは上記モノマーと、スチレンスルホン酸やビニルスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、ジビニルベンゼン等との共重合体が挙げられる。オレフィン系ラテックスとしては、ビニルモノマーとジオレフィン類のコポリマーからなるポリマーが好ましく、ビニルモノマーとしてはスチレン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等が好ましく用いられ、ジオレフィン類としてはブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0066】
本発明のインク受容層において、有機バインダーを無機微粒子に対して5〜35質量%の範囲で用いるのが好ましく、特に10〜30質量%の範囲で用いるのが好ましく、更に10〜27質量%の範囲で用いるのが好ましい。このように、有機バインダーの比率を低くすることによってインク吸収性が向上する。
【0067】
インク受容層における有機バインダーの比率は、用いられる無機微粒子の種類によって好ましい範囲が適宜選択される。インク受容層に気相法シリカを用いる場合は、有機バインダーの比率は、気相法シリカに対して15〜30質量%が好ましく、16〜27質量%の範囲がより好ましく、特に17〜25質量%の範囲が好ましい。インク受容層に湿式法シリカを用いる場合は、有機バインダーの比率は、湿式法シリカに対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。インク受容層にアルミナあるいはアルミナ水和物を用いる場合は、有機バインダーの比率は、アルミナあるいはアルミナ水和物に対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。
【0068】
本発明において、インク受容層に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは有機バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
【0069】
本発明において、インク受容層には、有機バインダーとともに硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する有機バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
【0070】
インク受容層には、更に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0071】
また、インク受容層には、校正対象の印刷用紙に色合いを類似させやすいために、着色剤として有色染料もしくは有色顔料を用いることができる。好ましい着色剤としては、平均粒子径1μm以下の有色顔料である。
【0072】
有色顔料としては、例えば、チタンブラック、チタニウムイエロー、群青、紺青、コバルト青、カーボンブラック、鉄黒、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化珪素、水酸化アルミニウム、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、染色レーキ、澱粉、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂などの合成樹脂粒子、シリコーン粒子などの有色顔料があげられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の有色顔料として、白色度を向上させて色合いを類似させるため、白色の顔料を使用しても良い。例えば、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、二酸化チタン被覆雲母、硫酸バリウム、モリブデンホワイト、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、石膏、鉛白、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス粉、硫酸バリウム等の無機顔料、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート共重合樹脂等の有機顔料など、公知のものが挙げられる。
【0073】
有色染料としては、例えば、アゾ化合物(ジチゾン、ホルマザン)、キノン系(ナフトキノン、アントラキノン、アクリドン、アントアントロン、インダントレン、ピレンジオン、ビオラントロン)、キノンイミン(アジン、オキサジン、チアジン)、インジゴ染料(インジルビン、オキシインジゴ、チオインジゴ)、硫化染料、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン(フルオラン、フルオレセイン、ローダミン)、フェロセン、フルオレノン、フルギド、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン(カロテン、マレイン酸誘導体、ピロラゾン、スチルベン、スチリル)、ポリメチン(シアニン、ピリジニウム、ピリリウム、キノリニウム、ローダニン)、キサンテン、アリザリン、アクリジン、アクリジノン、カルボスチリル、クマリン、ジフェニルアミン、キナクリドン、キノフタロン、フェノキサジン、フタロペリノン、ポルフィン、クロロフィル、フタロシアニン、クラウン化合物、スクアリリウム、チアフルバレン、チアゾール、ニトロ染料、ニトロソ染料、発色後のロイコ染料などの有機染料など公知のものが挙げられる。
【0074】
上記した着色剤の添加量は、インク受容層中の全固形分質量に対して1質量%以下が好ましい。
【0075】
本発明において、かかるインク受容層の膜面pHが2.0〜6.5であることが好ましい。その理由として、pHが2.0より低いと光沢感が失われ、又6.5を超えると未プリント部が経時で劣化することがあげられる。インク受容層の膜面pHは、J.TAPPI紙パルプ試験方法N0.49に記載の方法に従って、蒸留水を用い、30秒後に測定した表面pHである。
【0076】
インク受容層のpHは、塗布液の段階で調整するのが好ましいが、塗布液のpHと塗布乾燥された状態での膜面pHとは必ずしも一致しないため、塗布液と膜面pHとの関係を予め実験等によって求めておくことが所定の膜面pHにするために必要である。インク受容層塗布液のpHは、酸またはアルカリを適当に組み合わせて行われる。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸が用いられ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、または弱アルカリとして、酢酸ナトリウム等の弱酸のアルカリ金属塩が用いられる。
【0077】
また、本発明において、校正用インクジェット記録材料の不透明度は95%以上であることが好ましい。これによって、両面に印字する際に、印字する面に対してその反対面に印字した画像が透けることが無く、また、校正用インクジェット記録材料の印字した画像の鮮鋭度が上がり、校正対象印刷用紙に印刷した画像との見栄えが類似するので好ましい。校正用インクジェット記録材料の不透明度は、JIS P 8138に記載の方法に従って測定されるものである。
【0078】
本発明の校正用インクジェット記録材料は、最外層のインク受容層に平均粒子径1μm以上の顔料を含有する。中心線平均粗さが2μm以下の樹脂被覆紙と、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層と、上記した最外層のインク受容層に平均粒子径1μm以上の顔料を含有させるという、これらの構成の組み合わせによって、校正対象の印刷用紙に面感を類似させることができる。
【0079】
本発明において、インク受容層は単一層であっても複数層であってもよい。単一層の場合は、その層自体が最外層となり、前記した平均粒子径1μm以上の顔料を含有する。複数層の場合は、少なくとも最外層が1μm以上の顔料を含有する。複数層の場合、最外層以外の層は、前述した顔料は含まない方が好ましい。
【0080】
最外層のインク受容層に含有させる平均粒子径1μm以上の顔料としては、無色または白色の顔料が好ましい。顔料の平均粒子径は2〜10μmが好ましく、特に平均粒子径2〜4μmの顔料が好ましい。また、顔料の分散度(標準偏差/平均粒子径)は、0.2〜10のものが好ましい。顔料の添加量は、顔料が添加されるインク受容層の全固形分に対して通常0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0081】
本発明に用いられる顔料としては、例えば、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、二酸化チタン被覆雲母、硫酸バリウム、モリブデンホワイト、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、石膏、鉛白、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス粉、硫酸バリウム等の無機顔料、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート共重合樹脂等の有機顔料など、公知のものが挙げられる。面感を校正対象の印刷用紙に類似させる目的から無機顔料を用いることが特に好ましい。
【0082】
本発明は、樹脂被覆紙の両面にそれぞれ、前述した無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層有する。該インク受容層は、単一層であっても複数層で構成されていても良い。単一層の場合は、その層が最外層となる。樹脂被覆紙の両面に設けられるインク受容層は、同じ構成であっても、異なっていても良いが、好ましくは、両面とも同じ構成にすることである。
【0083】
本発明において、インク受容層の塗布方法は任意の方法が用いられ、例えばスライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。本発明ではインク受容層塗布組成物の塗液を高濃度で塗布しても良好な面質が得られるのはカーテン方式である。カーテン塗布により支持体の表面形状によらない均一なインク受容層が得られ、インク受容層の乾燥効率が高くなり、乾燥工程での表面の風紋等の発生が少ないので均一な表面と優れたインク吸収性のインクジェット記録材料が得られる。
【0084】
本発明でインク受容層をカーテン方式で塗布する場合には、インク受容層塗布組成物の塗液粘度は一般的には40〜2500mPa・sであり、好ましくは100〜2000mPa・sである。40mPa・sより低いとカーテン膜の延伸時の乱れが発生しやすく、2500mPa・sより高いとカーテン膜の落下点が下流に移動するので空気同伴により塗布むらが発生しやすい。インク受容層塗布組成物の塗布液固形分濃度は、上記の粘度範囲内に調整されるが、一般的には14〜40質量%である。塗布液を高濃度で塗布することで乾燥効率が向上するのに加えて水等が蒸発するときの表面の荒れを抑えることができるので好ましい。
【0085】
【実施例】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
【0086】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量160g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙aとした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して片方の面(第1の面)の樹脂被覆紙層を設けた。もう一方の面(第2の面)にも同様にして樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は0.8であった。
【0087】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の両面にそれぞれ高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥してポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aを作製した。
【0088】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0089】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Bの作製>
ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aにおいて、原紙aを製造する際に、坪量を85g/m2になるように抄造して原紙bを作成した。この原紙bに密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ15μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して第1の面の樹脂被覆紙層を設けた。第2の面にも同様にして樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は0.7であった。この樹脂被覆紙に前述の下引き層を同様に設けて、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Bを作製した。
【0090】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Cの作製>
また、上記のように抄造した原紙aに、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して第1の面の樹脂被覆紙層を設けた。第2の面にも同様にして樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも3μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は0.8であった。この樹脂被覆紙に前述の下引き層を同様に設けて、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Cを作製した。
【0091】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Dの作製>
また、上記のように抄造した原紙aに、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して第1の面の樹脂被覆紙層を設けた。第2の面には、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂を、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は3.4であった。この樹脂被覆紙に前述の下引き層を同様に設けて、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Dを作製した。
【0092】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Eの作製>
また、上記のように抄造した原紙aに、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂を、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して第1の面の樹脂被覆紙層を設けた。第2の面にも同様にして樹脂被覆紙層を設けた。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は両面とも0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は0.9であった。この樹脂被覆紙に前述の下引き層を同様に設けて、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Eを作製した。
【0093】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Fの作製>
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aを製造する際に、両面に樹脂被覆紙層を設けず、第1の面のみ樹脂被覆紙層を設けた以外は同様にして、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Fを作製した。樹脂被覆層の中心線平均粗さRa75は0.4μmであった。また、この際の両面の色差(△E*)は5.1であった。
【0094】
<紙支持体Gの作製>
また、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿して紙支持体Gとした。また、この際の両面の色差(△E*)は0.8であった。
【0095】
<実施例1のインクジェット記録材料の作製>
上述したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの第1の面及び第2の面に、インク受容層として下記配合からなる塗布液をスライド塗布装置により塗布量が固形分で22g/m2になるように塗布、乾燥してインク受容層を設け、実施例1のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は、98%であった。
【0096】
<インク受容層配合>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒子径7nm、BET法による比表面積300m2/g、平均二次粒子径200nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9000)
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
有色顔料A 0.01部
(TB500、大日精化社製)
有色顔料B 0.016部
(TB910、大日精化社製)
マット剤 1部
(湿式シリカP78A、平均粒子径3μm、水澤化学社製)
【0097】
<実施例2のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Bを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は90%であった。
【0098】
<実施例3のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層の気相法シリカとジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマーの代わりに湿式粉砕シリカ分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は97%であった。尚、湿式粉砕シリカ分散液は下記の通り作製した。
【0099】
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000、4部)と沈降法シリカ(ニップシールVN3、平均二次粒子径23μm、100部)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミルに、直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率80容量%、円盤周速10m/秒の条件で1回通過させて、固形分濃度30質量%、平均二次粒子径200nmの湿式粉砕シリカ分散液を得た。
【0100】
<実施例4のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層の気相法シリカの代わりにアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は98%であった。
【0101】
<比較例1のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Cを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は98%であった。
【0102】
<比較例2のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Dを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は93%であった。
【0103】
<比較例3のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Eを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は89%であった。
【0104】
<比較例4のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりにポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Fを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は91%であった。
【0105】
<比較例5のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりに紙支持体Gを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例5のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は86%であった。
【0106】
<比較例6のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層の気相法シリカの代わりに湿式シリカ(平均二次粒子径1.5μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例6のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は97%であった。
【0107】
<比較例7のインクジェット記録材料の作製>
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層のマット剤である湿式シリカP78A(平均粒子径3μm)を用いなかった以外は実施例1と同様にして、比較例7のインクジェット記録材料を作製した。この記録材料の不透明度は98%であった。
【0108】
上記のようにして作製した実施例1〜4、及び比較例1〜7のインクジェット記録材料において、インク受容層のマット剤の量を1部から4部に変更することで、実施例5〜8、及び比較例8〜14のインクジェット記録材料を得た。
【0109】
実施例1〜4及び比較例1〜7については、校正対象の印刷用紙Aとして三菱製紙社製アート紙(特菱アート両面N(坪量127g/m2))、実施例5〜8及び比較例8〜14については校正対象の印刷用紙Bとして三菱製紙社製コート紙(パールコート(坪量127g/m2))を使用した。
【0110】
実施例1〜8及び比較例1〜14のインクジェット記録材料と校正対象の印刷用紙の評価は、以下に示す方法により行い、結果を表1に示す。
【0111】
<面感評価>
各記録材料の両面の面感を印刷用紙と比較し、感覚的に評価した。校正対象印刷用紙との感覚的違いの少ないものを○、違いがやや感じられるものを△、違いが強く感じられるものを×とした。
【0112】
<見栄え評価>
得られたインクジェット記録材料の両面に、インクジェットプリンター(MC7000C:セイコーエプソン社製)で、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像とJIS−X9201記載の標準画像N3(果物かご)を印字し、印刷物としての色感を総合的に評価した。尚、評価では対象印刷用紙にオフセット印刷で同様の印刷を施したものとの比較で評価した。感覚的違いの少ないものを○、違いがやや感じられるものを△、違いが強く感じられるものを×とした。
【0113】
<鮮鋭度評価>
鮮鋭度評価は、インクジェットプリンター(PM950C:セイコーエプソン社製)で、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像とJIS−X9201記載の標準画像N3(果物かご)を印字し、印刷物としての鮮鋭度を目視にて評価した。鮮鋭度の高いものを○、やや高いものを△、低いものを×とした。
【0114】
【表1】
【0115】
表1から、基紙の両面にJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であるポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層設けたインクジェット記録材料において、前記両面の樹脂被覆層がそれぞれ酸化チタンを含有することを特徴とするインクジェット記録材料である実施例1〜8のインクジェット記録材料は、印刷校正用に使用した場合、その表面の組成が全く異なるにも関わらず、本番印刷後の印刷物に極めて近い面感を実現でき、校正用に適したインクジェット記録材料であることが分かる。それに対し、比較例1〜14では印刷用紙に近い面感を得られず、見栄えも全く異なり、校正用途には不適であることが分かる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を実施することにより印刷校正用に適しインクジェット適性のある校正用インクジェット記録材料を提供することが可能となる。
Claims (3)
- 基紙の両面にJIS−B0601で規定されるカットオフ値0.8mmの中心線平均粗さ(Ra75)が2μm以下であるポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の両面にそれぞれ、平均一次粒子径が50nm以下でかつ平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層設けた校正用インクジェット記録材料であって、前記両面のポリオレフィン樹脂層がそれぞれ白色顔料を含有し、前記両面に設けられた最外層のインク受容層が1μm以上の平均粒子径を有する顔料を含有することを特徴とする校正用インクジェット記録材料。
- 前記無機微粒子が合成シリカ、アルミナおよびアルミナ水和物のうち少なくとも1種である請求項1に記載の校正用インクジェット記録材料。
- 前記校正用インクジェット記録材料の不透明度が95%以上である請求項1または2に記載の校正用インクジェット記録材料。
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