JP2014028517A - 記録媒体及び画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材とインク受容層とを有する記録媒体であって、前記インク受容層が、無機粒子を含有し、前記記録媒体の表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さが0.8μm以上であり、前記記録媒体の表面が、幅が30μm以下、長さが500μm以下の開口部を有し、前記開口部の、前記記録媒体の表面1mm2当たりの個数が、5個以上30個以下であることを特徴とする記録媒体。
【選択図】 図1
Description
本発明の記録媒体は、基材とインク受容層とを有する。本発明においては、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましい。
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。本発明においては、基紙と樹脂層を有する基材を用いることが好ましい。これは、基紙が樹脂によって被覆されることで、基材にインク中の水分が浸透しにくく、コックリングが抑制されるためである。尚、樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよいが、両面に設けられていることが好ましい。また、基材のインク受容層側の面が、樹脂によって被覆されていることが好ましい。
本発明において、インク受容層は基材の少なくとも一方の面に形成される。インク受容層は基材の両面に形成されてもよい。本発明において、インク受容層は無機粒子を含有する。詳細は後述するが、本発明において、インク受容層は、基材の上に、インク受容層用塗工液を塗工することで形成することができる。その際の塗工量としては、乾燥塗工量で5g/m2以上50g/m2以下であることが好ましい。塗工量が5g/m2以上であると、インク吸収性が高く、上記ブロンズ現象の抑制効果が高い。塗工量が50g/m2以下であると、インク受容層を形成する際の乾燥が早く、生産性が高い。以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
本発明において、インク受容層は無機粒子を含有する。無機粒子としては、平均一次粒子径が、1nm以上であることが好ましい。また、平均一次粒子径が1μm未満であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。更には、平均一次粒子径が3nm以上10nm以下であることが好ましい。本発明において、無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
一般式(X):Al2O3−n(OH)2n・mH2O
(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mH2Oは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
一般式(Y):R−SO3H
(一般式(Y)中、Rは水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のアルケニル基の何れかを表す。Rは、オキソ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシル基で置換されていてもよい。)
で表されるスルホン酸を用いることが、画像の滲みを抑制する効果が得られるため好ましい。
本発明において、インク受容層は更にバインダーを含有することが好ましい。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。
本発明において、インク受容層は、更に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてPVAを用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸及びホウ酸塩を用いることが好ましい。
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきた材料以外のその他の材料を含有してもよい。その他の添加剤としては、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
本発明の記録媒体において、基材の作製方法としては、一般的に用いられている紙の作製方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。ポリオレフィン樹脂を被覆する方法としては、基材の片面又は両面に溶融したポリオレフィン樹脂を押し出しコーティングする方法が挙げられる。更に、両面がポリオレフィン樹脂で被覆された基材を、凹凸を有するロールなどを押し付けることによって、所望の表面粗さの凹凸模様をつけることができる。この凹凸模様をつける方法としては、樹脂をコーティングした後に、エンボシングカレンダー処理をする方法と、樹脂のコーティング時に、表面に凹凸を有するクーリングロールを押しつけながら冷却する方法などが挙げられる。後者の方法の方が、より正確で均質な凹凸模様を弱い圧力でつけることができるため好ましい。
本発明の記録媒体において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、無機粒子を含むインク受容層用塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、本発明の記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
本発明の画像記録方法は、上記で説明した記録媒体に対し、インクを付与することで記録を行う画像記録方法である。本発明においては、インクジェット方式により記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であることが好ましく、更には、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式のインクジェット記録方法がより好ましい。
本発明の画像記録方法に用いるインクは、従来から用いられているものを何れも好ましく使用することができる。本発明においては、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクであることが好ましい。
<基材の作製>
(基材A〜Fの作製)
軽質炭酸カルシウム20部を、広葉樹晒クラフトパルプ100部のスラリー中に添加し、カチオン澱粉2部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.3部を添加し、十分に混合した後、長網多筒式抄紙機を用いて水分が10質量%になるまで乾燥させた。得られた抄紙原料の両面に、サイズプレスを用いて、7質量%酸化澱粉溶液を4g/m2塗布し、水分が7質量%になるまで乾燥させ、坪量110g/m2の基紙を作製した。得られた基紙の両面に、高密度ポリエチレン20部と低密度ポリエチレン70部からなる樹脂組成物を、片面当たり30g/m2の塗工量となるように溶融押し出し塗布した。そして、塗布直後に、表面に凹凸を有するクーリングロールを用いて、基紙を冷却しながら、基紙のポリエチレン表面を型付け処理し、坪量170g/m2の基材を得た。上記型付け処理の際に、クーリングロールを押し付ける圧力やクーリングロールの凹凸の高さを調整することで、基材表面の算術平均粗さRaが異なる基材A〜Fを得た。得られた基材の表面の算術平均粗さを、JIS B 0601:2001に準じて、表面粗さ測定機Surfcorder SE3500(小坂研究所製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
沈降法シリカ微粒子ファインシールX37(トクヤマ製)100部、ポリビニルアルコールPVA117(クラレ製)37部、SBRラテックスHITEC E1000(東邦化学工業製)63部をイオン交換水に分散して、固形分の含有量が20質量%の塗工液を調製した。この塗工液を、上記で得た基紙の両面に、固形分塗工量が15g/m2となるように、エアーナイフコーターで塗塗工し、更に、スーパーカレンダーで処理して、坪量150g/m2で表面が平滑な基材Gを得た。
(インク受容層用塗工液1の調製)
イオン交換水中に、アルミナ水和物Disperal HP14(サソール製)の含有量が20質量%となるように添加した。次に、アルミナ水和物固形分100部に対して、固形分換算で、1.5部となるようにメタンスルホン酸を添加、攪拌した後、アルミナ水和物の含有量が27質量%となるように、適宜イオン交換水で希釈してコロイダルゾルを得た。得られたコロイダルゾルに含まれる、アルミナ水和物の平均粒子径をゼータ電位・粒径測定システムELS Z−2(大塚電子製)を用いて測定したところ、144nmであった。
上記(インク受容層用塗工液1の調製)において、ポリビニルアルコール固形分100部に対して、ホウ酸の固形分が12部、7部、2部、1部となる様に、3.0質量%ホウ酸水溶液をそれぞれ添加した以外は同様にして、インク受容層用塗工液2〜5を調製した。
上記(インク受容層用塗工液1の調製)において、沈降法シリカ微粒子ファインシールX37(トクヤマ製)を添加しなかった以外は同様にして、インク受容層用塗工液6を調製した。
表2の基材とインク受容層用塗工液の組合せで、基材上にインク受容層用塗工液を乾燥時の塗工量が35g/m2となるように塗工し、温度100℃、風速10m/秒の熱風で乾燥して記録媒体を得た。得られた記録媒体の表面の算術平均粗さを、JIS B 0601:2001に準じて、表面粗さ測定機Surfcorder SE3500(小坂研究所製)を用いて測定した。また、得られた記録媒体の「幅が30μm以下、長さが500μm以下の開口部の、記録媒体の表面1mm2当たりの個数」を、上述の方法で導出した。このとき、記録媒体の表面が大きく荒れていたりして、測定ができなかったものは“NO”と記載した。
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、A及びBを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。尚、下記の各評価において、インクジェット記録装置はPIXUS MP990(キヤノン製)を用い、インクカートリッジBCI−321(キヤノン製)を装着した。尚、記録条件は、温度:23℃、相対湿度:50%とした。また、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約11ngのインクを1滴付与する条件で記録された画像を、記録デューティが100%であると定義するものである。
上記で得られた記録媒体について、上述の方法でL* 1及びL* 2を測定し、L* 2/L* 1を算出した。そして、L* 2/L* 1が0.3以上のもの、即ち、ラスター面を有するものをA評価とし、L* 2/L* 1が0.3未満のもの、即ち、ラスター面を有さないものをC評価とした。結果を表3に示す。
上記で得られた各記録媒体を、温度30℃、相対湿度:80%の環境下に6時間保存した後、上記インクジェット記録装置を用いて、キヤノン写真用紙光沢ゴールドモード(色補正なし)にて、シアン及びブラックのベタ画像(記録デューティは100%)を記録した。得られたシアンのベタ画像及びブラックのベタ画像について、それぞれ目視でブロンズ現象の発生の有無を観察し、評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表3に示す。
A:何れの画像においても、ブロンズ現象が発生していなかった
B:何れかの画像において、ブロンズ現象が発生していた
C:何れの画像においても、ブロンズ現象が発生していた。
上記で得られた各記録媒体に、上記インクジェット記録装置を用いて、写真用紙 光沢ゴールドモード(色補正なし)にて、ブラックのベタ画像(記録デューティは100%)を記録した。得られた画像の光学濃度を、光学反射濃度計 530分光濃度計(X−Rite製)を用いて測定し、評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表3に示す。
A:光学濃度が2.2以上であった
B:光学濃度が2.0以上2.2未満であった
C:光学濃度が2.0未満であった。
上記で得られた記録媒体のうち、記録媒体19、31、及び32について、10cm×10cmのブルーのベタ画像(記録デューティは200%)を記録し、得られた画像の皺の状態を目視で確認することで、コックリングの評価を行った。その結果、記録媒体32は、記録媒体19及び31よりコックリングが発生していた。
Claims (6)
- 基材とインク受容層とを有する記録媒体であって、
前記インク受容層が、無機粒子を含有し、
前記記録媒体の表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さが0.8μm以上であり、
前記記録媒体の表面が、幅が30μm以下、長さが500μm以下の開口部を有し、
前記開口部の、前記記録媒体の表面1mm2当たりの個数が、5個以上30個以下であることを特徴とする記録媒体。 - 前記記録媒体の表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さが2.5μm以下である請求項1に記載の記録媒体。
- 前記基材の前記インク受容層側の面が、ポリオレフィン樹脂によって被覆されている請求項1又は2に記載の記録媒体。
- 前記基材のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さが1.2μm以上3.5μm以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録媒体。
- 前記インク受容層が、更に、平均粒子径が1μm以上の粒子と、ポリビニルアルコールと、ホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種とを含有し、
前記インク受容層中の、前記ポリビニルアルコールの含有量に対する、前記ホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量が、2質量%以上7質量%以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載の記録媒体。 - 金属フタロシアニン色材を含有するインクを記録媒体に付与する画像記録方法において、
前記記録媒体が請求項1乃至5の何れか1項に記載の記録媒体であることを特徴とする画像記録方法。
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