JP2023004683A - インクジェット用記録媒体及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 顔料インクを用いた高速印刷時においてビーディングの発生を抑制でき、かつ記録部と非記録部の光沢の差を小さくすることが可能なインクジェット用記録媒体を提供する。【解決手段】 基材、及び、インク受容層を有するインクジェット用記録媒体において、前記インク受容層が、無機粒子、及び、バインダーを含み、前記無機粒子は、アルミナ水和物または気相法アルミナを含み、前記無機粒子の平均一次粒径が5nm以上60nm以下であり、前記インク受容層の表面ゼータ電位が負であることを特徴とする特徴とするインクジェット用記録媒体である。【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット用記録媒体及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法は高精細な画像を得ることができ、多色化が容易なことから写真用の印刷方法として広く使用されている。インクジェット用のインクは、色材として染料を用いた染料インクと、色材として顔料を用いた顔料インクとに大別される。染料インクと比較して顔料インクは印刷物の耐水性や退色性に優れるため、印刷物を長期に保存する場合や光にさらされる掲示物として使用する場合などには顔料インクで印刷することが好ましい。一方で、顔料インクをインクジェット用の記録媒体(特に光沢紙)に印刷するとビーディングと呼ばれる印字部の粒状のムラが発生し、画質が低下しやすいという課題があった。このビーディングは記録媒体の顔料インクの吸収速度が遅いことが原因であると考えられている。そのため、この課題に対してこれまではプリンターのスループットを落とすことで対応していたが、染料インクを使用した場合と比べ印刷速度を遅くしなければならないという課題があった。また、顔料インクは光沢紙に印刷されたときに染料インクと異なり記録媒体の表面に色材である顔料が存在しやすいことから、記録部と非記録部との光沢感の違いが発生しやすいという課題があった。
特許文献1には、微細な無機粒子を含む多孔質層を有することで、光沢性に優れた記録用シートが得られることが記載されている。
特許文献2には、気相法シリカをアルカリ性化合物の存在下で水系溶媒に分散した分散液を基材上に塗布してインク受容層を形成することで、光沢性に優れたインクジェット記録材料が得られることが記載されている。
特開平6-199034号公報 特開2002-144701号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の記録用シートでは、顔料インクで高速印刷するとビーディングが発生しやすいという課題があった。また、特許文献2では、インクジェット記録材料の白紙部の光沢性には優れるが、顔料インクを用いた場合、記録部と非記録部の光沢感の差が大きいという課題があった。
したがって、本発明の目的は顔料インクを用いた高速印刷時においてビーディングの発生を抑制でき、かつ記録部と非記録部の光沢感の差を小さくすることが可能なインクジェット用記録媒体、及び、インクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット用記録媒体は、基材、及び、インク受容層を有するインクジェット用記録媒体において、前記インク受容層が、無機粒子、及び、バインダーを含み、前記無機粒子は、アルミナ水和物または気相法アルミナを含み、前記無機粒子の平均一次粒径が5nm以上60nm以下であり、前記インク受容層の表面ゼータ電位が負であることを特徴とする。
本発明によれば、顔料インクを用いた高速印刷時においてビーディングの発生を抑制でき、かつ記録部と非記録部の光沢感の差を小さくすることが可能なインクジェット用記録媒体、及び、インクジェット記録方法を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、以下、「インクジェット用記録媒体」を単に「記録媒体」と称することがある。
インクジェット用の写真用紙として用いられる光沢紙(記録媒体)はアルミナ水和物や気相法アルミナといった微小な無機粒子を基材に塗布することによって作製されることが一般的である。そのため、本発明では、無機粒子がアルミナ水和物または気相法アルミナを含み、無機粒子の平均一次粒径が5nm以上60nm以下であることを規定している。このように、微小な無機粒子を用いることによって、微小な細孔を有するインク受容層を形成することができ、その結果、光沢性とインクの吸収性を両立する記録媒体を得ることができる。
しかしながら、顔料インクを用いて記録媒体に画像を記録した場合、インク中で分散した顔料の分散粒径がインク受容層の細孔よりも大きいため、顔料インク中の顔料がインク受容層の表面に存在しやすくなる。一般的なインクジェット方式の印刷では微小な液滴を複数回に分けて印刷することによって画像を記録する。顔料インクでは複数回に分けて記録媒体に付与されると、先に付与された記録媒体の表面に存在する顔料インクの上に、さらに後から顔料インクが付与されるため、インクの吸収性が低下し、その結果ビーディングが発生しやすくなるという課題があった。
一方で、ビーディングの発生を抑制するために、インク受容層の細孔の大きさを顔料の分散粒径よりも大きくすることでインク受容層に顔料インクを入り込みやすくすることも考えられる。しかしながら、この場合、インク受容層の大きな細孔のために光沢性が損なわれるという課題があった。
また、本発明者らの検討によると、インク受容層の特性によって、記録部と非記録部の光沢感の差が大きくなることが分かった。
このような課題に対して、本発明者らは、インク受容層に含有される無機粒子の種類及びインク受容層の表面ゼータ電位に着目し、検討を行った。その結果、ビーディングの発生を抑制し、かつ、記録部と非記録部の光沢感の差を小さくするには、インク受容層の表面ゼータ電位が負であることが重要であることを見出した。ビーディングの発生を抑制し、かつ、記録部と非記録部の光沢感の差を小さくするメカニズムの詳細は不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。
インクジェット用記録媒体のインク受容層の表面ゼータ電位は正であることが一般的である。これは、インク中に含まれる色材や樹脂がアニオン性を有しており、インク受容層の表面ゼータ電位を正とすることで、アニオン性の色材がインク受容層に定着しやすくなり、その結果、画像の発色性を向上することができるためである。また、インク受容層の表面ゼータ電位を正にするために、インク受容層に含有される無機粒子としてはカチオン性を有する無機粒子を用いることが一般的である。また、インク受容層に用いられる添加剤としてもカチオン性のものが用いられてきた。
これに対して、本発明者らはインク受容層の表面ゼータ電位を負とした。これにより、顔料インク中に含まれる顔料や樹脂の記録媒体のインク受容層とインクの界面での凝集や、顔料や樹脂によるインク受容層の細孔のつまりを抑制することができる。そして、その結果、インク受容層のインク吸収性が維持され、ビーディングの発生を抑制できたものと本発明者らは推測している。また、インク受容層の表面ゼータ電位を負とすることで、顔料インク中に含まれる顔料や樹脂の記録媒体のインク受容層とインクの界面での凝集が抑制されるため、記録部と非記録部の光沢感の差を生じしにくくすることができたものと本発明者らは推測している。
また、インク受容層の表面ゼータ電位を負とした場合、インク中に含まれる顔料のインク受容層での定着性が低下し、画像の発色性が低下しやすくなる。しかしながら、本発明では、無機粒子の平均一次粒径が5nm以上60nm以下であるため、インク受容層に形成される細孔を小さくすることができる。その結果、インク中の顔料をインク受容層の表面に残りやすくすることができるため、インク受容層の表面ゼータ電位を負にしたことによる画像の発色性の低下を抑制することができる。
また、インク受容層の表面ゼータ電位を負にする方法に関しては特に制限はないが、例えば、アニオン性の無機粒子を用いて表面ゼータ電位を調整する方法がある。
一般に、アルミナ水和物及び気相法アルミナはカチオン性の電荷を帯びている。そのため、アルミナ水和物及び気相法アルミナを用いる場合は、アニオン性を帯びるように表面処理やアニオン性の分散剤で分散させる分散処理を行うことが好ましい。これらの処理を行うことによって、無機粒子の表面の微視的に存在していると考えられる両性の電荷状態をアニオン性に統一したり、分散剤の立体反発により実質的にアニオン性の官能基のみがアルミナ水和物及び気相法アルミナといった無機粒子の表面層に存在することができる。その結果、アルミナ水和物及び気相法アルミナといった無機粒子を用いながら、インク受容層の表面ゼータ電位を負にすることができる。
なお、従来技術では無機粒子に非晶質のシリカをアルカリ金属塩存在下で分散した粒子を用いることがある。しかしながら、本発明者らの検討によるとこれらの粒子を用いた場合、ビーディングの発生を十分に抑制することができず、顔料インクを印刷した記録部が非記録部よりも光沢が低くなってしまうという課題があった。これは非晶質のシリカ粒子が全体としてはアニオン性を示してはいるが、微視的にはアニオン性基とカチオン性基が混在しており、わずかに存在するカチオン性基による凝集が生じているためと本発明者らは推測している。
[記録媒体]
本発明の記録媒体は、基材、及び、インク受容層を有する。
本発明においては、記録媒体のJIS P 8149:2000で規定される不透明度は97%以上であることが好ましい。
以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<基材>
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。本発明においては、基紙と樹脂層を有する基材を用いることが好ましい。その場合、樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよいが、両面に設けられていることが好ましい。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。木材パルプの中でも短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも好ましい。紙基材中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
基紙の厚さは、50μm以上130μm以下であることが好ましく、更には、90μm以上120μm以下であることがより好ましい。尚、本発明において、基紙の厚さは、以下の方法で算出することができる。まず、記録媒体の断面をマイクロトームで切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基紙の任意の100点以上の膜厚を測定し、その平均値を基紙の厚さとする。尚、本発明におけるその他の層の膜厚も同様の方法で算出するものとする。
本発明において、基紙のJIS P 8118で規定される紙密度は、0.6g/cm以上1.2g/cm以下であることが好ましい。更には、0.7g/cm以上1.2g/cm以下であることがより好ましい。
(樹脂層)
基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよいが、樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)が70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、更には、100%であること、即ち、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
また、樹脂層の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、樹脂層の厚さは、35μm以上50μm以下であることがより好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の厚さがそれぞれ上記範囲を満足することが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。本発明において、ポリオレフィン樹脂とは、モノマーとしてオレフィンを用いた重合体を意味する。具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
樹脂層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。尚、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。また、樹脂層中の、白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。25質量%より大きいと、白色顔料の分散安定性が十分に得られない場合がある。
<インク受容層>
インク受容層は、無機粒子及びバインダーを含む。インク受容層は単層でもよいし、2層以上の複層でもよい。また、インク受容層は、上記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。本発明においては両面に設けられていることが好ましい。基材の片面における、インク受容層の膜厚は、15μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、30μm以上45μm以下であることがより好ましい。
以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
(無機粒子)
インク受容層は無機粒子を含有する。無機粒子の平均一次粒径は、5nm以上60nm以下である。無機粒子の平均一次粒径は、5nm以上40nm以下がより好ましく、5nm以上30nm以下が特に好ましい。無機粒子の平均一次粒径が上記範囲内であることで、記録媒体の光沢性を向上させることができる。本発明において、無機粒子の平均一次粒径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
無機粒子は、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での無機粒子の平均二次粒径は、10nm以上500nm以下が好ましく、更には、50nm以上300nm以下がより好ましく、100nm以上250nm以下が特に好ましい。尚、分散状態での無機粒子の平均二次粒径は、動的光散乱法により測定することができる。
インク受容層中の無機粒子の含有量(質量%)は、インク受容層の全質量を基準として、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、更には、70質量%以上96質量%以下であることがより好ましい。
インク受容層を形成する際に塗布する無機粒子の塗布量(g/m)は、8g/m以上45g/m以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、好ましいインク受容層の厚さとなりやすい。
本発明の記録媒体は無機粒子として、アルミナ水和物又は気相法アルミナを含む。これにより、記録媒体のインク吸収性と光沢性を向上することができる。また、無機粒子は気相法アルミナを含むことが好ましい。
インク受容層に用いるアルミナ水和物は、
一般式(X):Al3-n(OH)2n・mH
(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
アルミナ水和物は、公知の方法で製造することができる。具体的には、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムの水溶液に、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムの水溶液を加えて中和する方法などが挙げられる。
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、ギブサイト型、ベーマイト型が知られている。尚、アルミナ水和物の結晶構造は、X線回折法によって分析することができる。本発明においては、これらの中でも、ベーマイト型のアルミナ水和物又は非晶質のアルミナ水和物が好ましい。具体例としては、特開平7-232473号公報、特開平8-132731号公報、特開平9-66664号公報、特開平9-76628号公報などに記載されたアルミナ水和物や、市販品としてはDisperal HP14、HP18(以上、サソール製)などを挙げることができる。これらのアルミナ水和物は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、アルミナ水和物のBET法による比表面積が100m/g以上200m/g以下であることが好ましく、125m/g以上175m/g以下であることがより好ましい。ここでBET法とは、試料表面に大きさの分かっている分子やイオンを吸着させて、その吸着量から、試料の比表面積を測定する方法である。本発明においては、試料に吸着させる気体として、窒素ガスを用いる。
また、気相法アルミナは、気相法により合成したアルミナである。気相法アルミナの具体例としては、AEROXIDE;Alu C、Alu130、Alu65(以上、EVONIK製)などを挙げることができる。
気相法アルミナのBET法による比表面積が50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましい。また、気相法アルミナのBET法による比表面積が150m/g以下が好ましく、120m/g以下がより好ましい。
また、気相法アルミナの平均一次粒径は、5nm以上が好ましく、11nm以上がより好ましい。また、気相法アルミナの平均一次粒径は、30nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。
アルミナ水和物及び気相法アルミナは、水分散液としてインク受容層用塗工液に混合することが好ましく、その分散剤としてアニオン性基を有する分散剤にて分散することが好ましい。
前述の分散剤の含有量は、アルミナ水和物及びアルミナの合計の含有量を基準として、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
また、インク受容層は、アルミナ水和物又は気相法アルミナ以外の無機粒子を含んでもよい。
本発明に用いる無機粒子としては、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらの無機粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。またこれらの無機粒子を分散剤により分散した粒子を用いることが好ましい。
インク受容層に用いるシリカは、その製法により湿式法と乾式法(気相法)に大別される。湿式法としては、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が知られている。一方、乾式法(気相法)としては、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が知られている。本発明においては、乾式法(気相法)により得られるシリカ(以下、「気相法シリカ」ともいう)を用いることが好ましい。これは、気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性が特に高く、また、屈折率が低いので、インク受容層に透明性を付与でき、良好な発色性が得られるためである。具体的に、気相法シリカとしては、アエロジル(日本アエロジル製)、レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などが挙げられる。
気相法シリカのBET法による比表面積は50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、200m/g以上300m/g以下であることがより好ましい。
本発明において、気相法シリカは、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での気相法シリカの平均二次粒子径は、50nm以上300nm以下であることが好ましく、100nm以上250nm以下がより好ましい。尚、分散状態での気相法シリカの粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
無機粒子は混合して使用してもよい。具体的には、複数の無機粒子を、粉体状態で混合、分散して分散液とする方法や、各無機粒子を各々分散し、分散液を混合する方法が挙げられる。本発明においてはどちらの方法を用いてもよいが、好ましくは粉体状態で混合する方法である。本発明において無機粒子として、アルミナ水和物及び気相法アルミナと他の無機顔料を混合する場合、インク受容層に含まれる、アルミナ水和物及び気相法アルミナの含有量(質量%)の合計が、その他の無機粒子の含有量(質量%)に対して、質量比率で40/60以上であることが好ましく、60/40以上であることがより好ましい。
(分散剤)
インク受容層は、無機粒子を分散させる分散剤を含有することが好ましい。そのため、インク受容層用の塗工液において、無機粒子は分散剤で分散された状態で含有されていることが好ましい。本発明において分散剤とは無機粒子の水溶液中での分散状態を安定化させることのできる材料を意味する。分散剤は無機粒子の含有量を基準として0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。分散剤の重合度は750以下であることが好ましく、250以下であることがより好ましい。
分散剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、これらの誘導体や共重合体が挙げられる。また、分散剤は、カルボキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有することが好ましく、スルホン酸基を有することがより好ましい。これらの官能基を有する分散剤で無機粒子の表面処理を行うことによって、効率的にインク受容層の表面ゼータ電位を負にすることができる。これらの分散剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
(バインダー)
インク受容層はバインダーを含有する。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。
本発明においては、インク吸収性の観点から、インク受容層中の、バインダーの含有量が、無機粒子の含有量を基準として、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、インク受容層の結着性の観点から、インク受容層中の、バインダーの含有量が、無機粒子の含有量を基準として、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましい。
バインダーとしては例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、及びポリビニルアルコール、並びに、それらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン-酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダー;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
上記したバインダーの中でも、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下が好ましく、85mol%以上98mol%以下がより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じた水酸基のモル数の割合であり、本発明においては、JIS-K6726の方法で測定した値を用いるものとする。また、ポリビニルアルコールの平均重合度は、2,000以上が好ましく、2,000以上5,000以下がより好ましい。尚、本発明において平均重合度は、JIS-K6726の方法で求めた粘度平均重合度を用いるものとする。
インク受容層用塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
(架橋剤)
本発明において、インク受容層は更に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
架橋剤の使用量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。本発明においては、インク受容層中の、架橋剤の含有量が、バインダーの含有量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。更に、バインダーがポリビニルアルコール及びその誘導体であり、架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種である場合には、インク受容層中の、ホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量が、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の合計の含有量を基準として、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
<下塗り層>
本発明においては、基材とインク受容層との密着性を向上する目的で、基材とインク受容層との間に、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、水溶性ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどを含有することが好ましい。下塗り層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下が好ましい。
<バックコート層>
本発明においては、基材のインク受容層が設けられる面とは反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上する目的でバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、白色顔料やバインダーなどを含有することが好ましい。バックコート層の膜厚は、乾燥塗工量が、1g/m以上25g/m以下となるようにすることが好ましい。
[記録媒体の製造方法]
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層用塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
<基材の作製方法>
本発明において、基紙の作製方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
基紙の上に樹脂層を設ける方法、即ち、基紙を樹脂で被覆する方法としては、溶融押出法、ウェットラミネーション、ドライラミネーションなどが挙げられる。中でも、基紙の片面又は両面に溶融した樹脂を押し出しコーティングする溶融押出法が好ましい。例えば、搬送されてきた基紙と、押出ダイから押し出された樹脂を、ニップローラと冷却ローラーとの間のニップ点において接触させ、ニップで圧着することで樹脂層を基紙上にラミネートする方法(押出コーティング方法ともいう)が広く採用されている。溶融押出法により、樹脂層を設ける際には、基紙と樹脂層の接着がより強固となるように、前処理を施してもよい。前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネートなどのアンカーコート処理などが挙げられる。中でも、コロナ放電処理が好ましい。また、樹脂層に白色顔料を含有する場合は、樹脂と白色顔料を混合したもので、基紙を被覆すればよい。
上記のようにして作製した基材を、インク受容層を形成する前に、巻芯にロール状に巻き取る工程を有することが好ましい。巻芯は、直径が50mm以上300mm以下のものが好ましく用いられる。また、巻き取る際の張力としては、50N/m以上800N/m以下が好ましい。尚、巻き取る際の張力は、巻き始めから巻き終わりまで一定でもよい。また、巻き始めの圧力集中を緩和するために、巻き始めから巻き終わりにかけて徐々に張力を低下させてもよい。
<インク受容層の形成方法>
本発明の記録媒体において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、本発明の記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法や低温の除湿した乾燥空気に当てることにより乾燥させる低温除湿乾燥などがある。
(インク受容層の表面ゼータ電位)
本発明において表面ゼータ電位とは固体の記録媒体表面と液体との界面に生じる電位を指す。本発明ではELS-Z2(大塚電子社製)、平板試料用セルを用いて測定を行った。モニター粒子溶液はモニター粒子としてポリスチレンラテックス(大塚電子社製)を用い、10mM NaCl溶液により300倍に希釈し、pHを測定する記録媒体と同じpHになるように酸性側は0.1M HCl溶液を、アルカリ性側は0.1M NaOH溶液を用いて調整を行った。後述の実施例においても上記の測定装置及び測定方法でインク受容層の表面ゼータ電位を測定した。本発明にかかる記録媒体は上記の方法にて測定したインク受容層の表面ゼータ電位が負であることが必要である。また、インク受容層の表面ゼータ電位は-5mV以下であることが好ましい。なお、インク受容層が2層以上の複層である場合、本発明におけるインク受容層の表面ゼータ電位とは、記録媒体の最表面に存在するインク受容層の表面ゼータ電位を意味する。
(インク受容層の表面のpH)
インク受容層の表面のpHは、付与されるインクの凝集の観点から、6以上10以下であることが好ましく、8以上10以下であることがより好ましい。インク受容層の表面のpHを上記の範囲内にすることで、インク受容層にインクの着弾した時のインク中に含まれる顔料等の固形分の凝集を抑制し、本発明の効果をより効率的に得ることができる。インク受容層の表面のpHはTAPPI No.49-1に記載の方法で測定することができる。後述の実施例においても上記のTAPPI No.49-1に記載の測定方法でインク受容層の表面のpHを測定した。
[インクジェット記録方法]
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて上述の記録媒体に付与し、記録媒体上に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与することによりインクを吐出する方式や、インクに熱エネルギーを付与することによりインクを吐出する方式を挙げることができる。インクとしては、水及び顔料含有する水性インク(水性顔料インク)を用いる。
(水性顔料インク)
水性顔料インクは、通常、水及び顔料を含有する。水性顔料インクには、必要に応じて、水溶性有機溶剤及びその他の成分をさらに含有させることができる。その他の成分としては、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤などを挙げることができる。
水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
顔料としては、公知の顔料を用いることができる。顔料の平均粒径は、50nm以上180nm以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[記録媒体の作製]
<基材の作製>
カナダ標準濾水度が450mLCSFのLBKP80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFのNBKP20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.030部を混合し、固形分の含有量が3.0質量%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させ、更に、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、膜厚が100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン70部と、高密度ポリエチレン20部と、酸化チタン10部とからなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/mとなる様に、基紙の片面に塗工した。尚、この面を基材の表面とする。更に、低密度ポリエチレンを、基紙のもう一方の面に塗工することで、基材を得た。
<インク受容層用塗工液の調製>
(無機粒子分散液1の調製)
アルミナ水和物DISPERAL HP14(サソール社製)100質量部、ポリアクリル酸Na10質量部を固形分の含有量が20質量%になるように純水中に投入した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子分散液1を得た。
(インク受容層用塗工液1の調整)
無機粒子分散液1に含まれる無機顔料100質量部に対してポリビニルアルコール(クラレ社製 重合度3500)を10質量部、ホウ酸0.01質量部を加え、純水を固形分の含有量が15質量%になるように加えた。さらに0.1M水酸化ナトリウム溶液を用いてpH8になるよう調整し、インク受容層用塗工液1を調整した。
<記録媒体1の作製>
上記で得た基材上に、上記で調製したインク受容層用塗工液1を乾燥塗工量が35g/mになるように塗工した。更に、塗工後、80℃の熱風で乾燥し、記録媒体1を得た。
<記録媒体2の作製>
インク受容層用塗工液を0.1M水酸化ナトリウム溶液によりpHを10になるよう調整した以外は記録媒体1と同様にして記録媒体2を作製した。
<記録媒体3の作製>
インク受容層用塗工液を0.1M水酸化ナトリウム溶液によりpHを6になるよう調整した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体3を作製した。
(無機粒子分散液2の調製)
アルミナ水和物DISPERAL HP14(サソール社製)100質量部、ヘキサメタリン酸5質量部を固形分の含有量が20質量%になるように純水中に投入した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子分散液2を得た。
(無機粒子分散液3の調製)
アルミナ水和物DISPERAL HP14(サソール社製)100質量部、ポリスチレンスルホン酸Na10質量部を固形分の含有量が20質量%になるように純水中に投入した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子分散液3を得た。
(無機粒子分散液4の調整)
気相法アルミナ AEROXIDE AluC(EVONIK社製)100質量部、ポリアクリル酸Na10質量部を固形分の含有量が20質量%になるように純水中に投入した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子分散液4を得た。
(無機粒子分散液5の調整)
アルミナ水和物DISPERAL 40(サソール社製)100質量部、ポリスチレンスルホン酸Na10質量部を固形分の含有量が20質量%になるように純水中に投入した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子分散液5を得た。
(無機粒子分散液6の調整)
アルミナ水和物DISPERAL 14(サソール社製)100質量部、酢酸2質量部を固形分の含有量が20質量%になるように純水中に投入した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子分散液6を得た。
(無機粒子分散液7の調整)
非晶質シリカAEROSIL200(EVONIK社製)100質量部、水酸化ナトリウム1質量部を固形分の含有量が20質量%になるように純水中に投入した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子分散液7を得た。
(無機粒子分散液8の調整)
アルミナ水和物DISPERAL 60(サソール社製)100質量部、ポリスアクリル酸Na10質量部を固形分の含有量が20質量%になるように純水中に投入した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子分散液8を得た。
<記録媒体4の作製>
無機粒子分散液2に変更した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体4を作製した。
<記録媒体5の作製>
無機粒子分散液3に変更した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体5を作製した。
<記録媒体6の作製>
無機粒子分散液4に変更した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体6を作製した。
<記録媒体7の作製>
無機粒子分散液5に変更した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体7を作製した。
<記録媒体8の作製>
水溶性樹脂をポリビニルピロリドン(第一工業製薬製 ピッツコールK-120L)に変更した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体8を作製した。
<記録媒体9の作製>
インク受容層用塗工液1を0.1M水酸化ナトリウム溶液によりpHを5になるよう調整した以外は記録媒体1と同様にして記録媒体9を作製した。
<記録媒体10の作製>
無機粒子分散液6に変更した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体10を作製した。
<記録媒体11の作製>
無機粒子分散液7に変更し、ポリビニルアルコールの部数を25部に変更した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体11を作製した。
<記録媒体12の作製>
無機粒子分散液8に変更した以外は記録媒体1と同様の方法で記録媒体12を作製した。
表1に記録媒体1~12の材料構成を示した。
[評価]
上記で得られたインクジェット記録媒体1~12のインク受容層の表面pH及び表面ゼータ電位を測定した。また、インクジェット記録媒体1~12の高速印刷時におけるビーディング、記録部と非記録部の写像性、及び、光沢性を評価した。測定結果及び評価結果を表2に示した。インクジェット記録装置としては、Pro-10S(キヤノン社製)の記録処理方法を改造した装置を使用した。記録方法は、キャリッジ速度が12.5インチ/秒で、印刷のパス数を可変とした。本装置における100%Dutyとは、600dpi四方に22ngのインクを付与することを意味する。
(ビーディングの評価)
記録媒体1~12に、上記インクジェット記録装置を用いて、記録デューティが100%、150%、200%のグリーン色のベタ画像を総スキャン回数の変更を行いながら印刷をそれぞれ行った。各スキャン毎に300%を総スキャン数で割った分のインクの付与を行った。総スキャン回数が少ないほど単位時間あたりに付与されるインク量が増えるため印刷速度が速いということができる。得られた画像におけるビーディングの発生の有無を目視で確認した。
5:総スキャン数が2回の200%の画像でもビーディングが発生していなかった。
4:総スキャン数が2回の200%の画像ではビーディングがみられたが、総スキャン数が3回の200%の画像ではビーディングは発生していなかった。
3:総スキャン数が3回の200%の画像ではビーディングがみられたが、総スキャン数が4回の300%の画像ではビーディングは発生していなかった。
2:総スキャン数が4回の200%の画像ではビーディングがみられたが、総スキャン数が4回の250%の画像ではビーディングは発生していなかった。
1:総スキャン数が4回の150%の画像ではビーディングがみられたが、総スキャン数が4回の100%の画像ではビーディングは発生していなかった。
(記録部と非記録部の写像性の評価)
記録部と非記録部の光沢感の差を、記録部と非記録部の写像性を用いて評価した。記録媒体1~12に上記インクジェット記録装置を用い、記録デューティが200%のブラック画像を、総スキャン数が4回の条件でそれぞれ印刷した。画像が形成された記録部の写像性と画像が形成されていない非記録部の写像性を測定し、差分の計算を行った。記録部と非記録部の写像性は写像性測定装置(スガ試験機(株)製ICM-1T)を用いて、入射角60°、受光角60°、光学くし幅2.0mmの条件にて測定し、C値を求めた。
5:記録部と非記録部のC値の差が10未満である。
4:記録部と非記録部のC値の差が10以上、15未満である。
3:記録部と非記録部のC値の差が15以上、20未満である。
2:記録部と非記録部のC値の差が20以上、30未満である。
1:記録部と非記録部のC値の差が30以上、または測定不可である。
(光沢性の評価)
記録媒体1~12の20°光沢をVG2000 (日本電色工業社製)を用いてそれぞれ測定した。
5:20°光沢が25%以上である。
4:20°光沢が15%以上25未満である。
3:20°光沢が7%以上15未満である。
2:20°光沢が3%以上7未満である。
1:20°光沢が3未満である。
20°光沢が3未満では反射光がなく、マット調の質感となり光沢紙として使用するのは困難であり、3以上7未満ではわずかに反射光を目視で感じ取ることができるが、光沢紙としては光沢感が足りず光沢紙としての使用に適さない。
Figure 2023004683000001

Claims (9)

  1. 基材、及び、インク受容層を有するインクジェット用記録媒体において、
    前記インク受容層が、無機粒子、及び、バインダーを含み、
    前記無機粒子は、アルミナ水和物または気相法アルミナを含み、
    前記無機粒子の平均一次粒径が5nm以上60nm以下であり、
    前記インク受容層の表面ゼータ電位が負であることを特徴とする特徴とするインクジェット用記録媒体。
  2. 前記インク受容層の表面のpHが6以上10以下である請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記インク受容層の表面のpHが8以上10以下である請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  4. 前記バインダーが、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールの誘導体である請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
  5. 前記無機粒子が気相法アルミナを含む請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
  6. 前記インク受容層が、カルボキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分散剤を含む請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
  7. 前記分散剤がスルホン酸基を有する請求項6に記載のインクジェット用記録媒体。
  8. 前記インク受容層の表面のゼータ電位が-5mV以下である請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体。
  9. 水及び顔料を含む水性顔料インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体が、請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェット用記録媒体であることを特徴とするインクジェット記録方法。
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