JP6230364B2 - 記録媒体 - Google Patents
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Description
本発明の記録媒体は、基材と、第1のインク受容層と、第2のインク受容層とをこの順に有する。本発明の層構成の一例を、図1を用いて説明する。図1に示す記録媒体は、基材(1)と、第1のインク受容層(2)と、第2のインク受容層(3)とを有する。本発明の効果を損なわないのであれば、基材(1)と第1のインク受容層(2)の間や、第1のインク受容層(2)と第2のインク受容層(3)の間や、第2のインク受容層(3)の上に、更に層が設けられていてもよい。また、本発明においては、基材(1)と第1のインク受容層(2)と第2のインク受容層(3)とがこの順に隣接して存在することが好ましい。本発明においては、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましい。以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。本発明においては、基紙と樹脂層を有する基材を用いることが好ましい。その場合、樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよいが、両面に設けられていることが好ましい。
本発明において、インク受容層は、上記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。基材の片面における、全てのインク受容層の合計の膜厚は、30μm以上45μm以下であることが好ましい。
本発明において、第1のインク受容層は、無機粒子と、バインダーとして水酸基を有する水溶性樹脂と水酸基を有さない水溶性樹脂と、架橋剤としてホウ酸とを含有する。第1のインク受容層の膜厚は15μm以上30μm以下が好ましい。
無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下が好ましい。更には、1nm以上30nm以下がより好ましく、3nm以上10nm以下が特に好ましい。本発明において、無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
一般式(X):Al2O3−n(OH)2n・mH2O(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mH2Oは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
一般式(Y):R−SO3H
(一般式(Y)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルケニル基の何れかを表す。Rは、オキソ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシル基で置換されていてもよい。)
で表されるスルホン酸を用いることが、画像の滲みを抑制する効果が得られるため好ましい。本発明においては、上記酸の含有量は、アルミナ水和物及びアルミナの合計の含有量に対して、1.0質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以上1.6質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、第1のインク受容層はバインダーとして、水酸基を有する水溶性樹脂と水酸基を有さない水溶性樹脂を何れも含有する。尚、本発明において、「水溶性樹脂」とは、温度25℃における水に対する溶解度が5質量%以上のものを意味する。
本発明において、水酸基を有さない水溶性樹脂とは、実質的に水酸基を有さない水溶性樹脂を意味する。具体的には、水酸基価が50mgKOH/g以下であることが好ましい。
本発明において、第1のインク受容層は架橋剤として、ホウ酸を含有する。尚、本発明においては、ホウ酸塩もホウ酸に含むものとする。
本発明において、第1のインク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
本発明において、第2のインク受容層は、無機粒子と、バインダーとして水酸基を有する水溶性樹脂と、架橋剤としてホウ酸とを含有する。更に、第2のインク受容層は、条件(1):「水酸基を有さない水溶性樹脂を含有しない」、又は、条件(2):「水酸基を有さない水溶性樹脂を含有するが、第2のインク受容層における、無機粒子の含有量に対する水酸基を有さない水溶性樹脂の含有量が、第1のインク受容層における、無機粒子の含有量に対する水酸基を有さない水溶性樹脂の含有量より小さい」を満足する。第2のインク受容層の膜厚は5μm以上15μm以下が好ましい。
第2のインク受容層の無機粒子としては、第1のインク受容層に使用可能なものとして挙げた無機粒子と同様のものを使用することができる。
本発明において、第2のインク受容層はバインダーとして、水酸基を有する水溶性樹脂を含有する。第2のインク受容層に用いる水酸基を有する水溶性樹脂としては、第1のインク受容層に使用可能なものとして挙げたバインダーと同様のものを使用することができる。
本発明において、第2のインク受容層は架橋剤として、ホウ酸を含有する。第2のインク受容層に用いるホウ酸としては、第1のインク受容層に使用可能なものとして挙げたホウ酸と同様のものを使用することができる。
本発明において、第2のインク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、第1のインク受容層に使用可能なものとして挙げたその他の添加剤と同様のものを使用することができる。
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層用塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
本発明において、基紙の作製方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
本発明の記録媒体において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、本発明の記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
<基材の作製>
カナダ標準濾水度が450mLCSFのLBKP80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFのNBKP20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.030部を混合し、固形分の含有量が3.0質量%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/m2となるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させ、更に、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m2、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、膜厚が100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン70部と、高密度ポリエチレン20部と、酸化チタン10部とからなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/m2となる様に、基紙の片面に塗工した。尚、この面を基材の表面とする。更に、低密度ポリエチレン50部からなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/m2となる様に、基紙のもう一方の面に塗工することで、両面が樹脂被覆された基材を得た。
純水160.0g中に、アルミナ水和物DISPERAL HP14(サソール製)40.0g、メタンスルホン酸0.6g(アルミナ水和物の固形分に対して1.5質量%)を添加した。その後、ミキサーで30分間撹拌し、無機粒子としてアルミナ水和物を含有する無機粒子分散液1(固形分の含有量は20.0質量%)を調製した。無機粒子分散液1中のアルミナ水和物の平均一次粒子径は130nmであった。
水酸基を有する水溶性樹脂を含有する水溶液(何れも固形分の含有量が8.0質量%)として、
・樹脂水溶液A1:ポリビニルアルコ−ル水溶液(重合度3,500、けん化度88mol%であるPVA235(クラレ製))
を用意した。
・樹脂水溶液B1:ポリビニルピロリドン水溶液(分子量400,000、ガラス転移点178℃であるK−60(ISPジャパン製))
・樹脂水溶液B2:ポリアクリル酸水溶液(分子量1,000,000、ガラス転移点120℃。和光純薬製)
・樹脂水溶液B3:ポリアクリルアミド水溶液(分子量1,000,000、ガラス転移点180℃。和光純薬製)
・樹脂水溶液B4:ポリエチレンオキシド水溶液(分子量1,000,000、ガラス転移点16℃。和光純薬製)
を用意した。
上記で得た基材上に、第1の塗工液、第2の塗工液を、この順になるようにカーテンコーターで同時塗工し、温度60〜100℃の熱風で乾燥し、記録媒体を得た。このとき、それぞれ膜厚(μm)が表1に記載の値となるようにした。第1及び第2の塗工液は、上記で調製した無機粒子分散液(固形分の含有量が20.0質量%)やバインダー水溶液(固形分の含有量が8.0質量%)と、架橋剤であるホウ酸水溶液(固形分の含有量が5.0質量%)とを、固形分の比率が表1の比率となるように混合したものをそれぞれ用いた。
本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のA〜Cを好ましいレベルとし、D及びEを許容できないレベルとした。尚、下記の各評価において、記録媒体に画像を記録する際は、インクジェット記録装置はPIXUS Pro9000MarkII(キヤノン製)に、インクカートリッジBCI−7e(キヤノン製)を装着して記録した。その際の記録条件は、温度:23℃、相対湿度:50%とした。尚、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約22ngのインクを付与する条件で記録された画像を、記録デューティが100%であると定義するものである。
上記で得られた各記録媒体に、上記インクジェット記録装置を用いて、記録デューティが100%のブラックのベタ画像を記録し、分光光度計Spectrolino(Gretag Macbeth製)を用いて、画像の光学濃度を測定した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
A:光学濃度が2.3以上であった
B:光学濃度が2.2以上2.3未満であった
C:光学濃度が2.1以上2.2未満であった
D:光学濃度が2.0以上2.1未満であった
E:光学濃度が2.0未満であった。
上記で得られた各記録媒体に対して、上記インクジェット記録装置を用いて、10ポイント及び48ポイントの文字“A”を白抜き(インクを付与しない)にした、シアンとマゼンタの2次色(ブルー)の画像を記録した。このとき、シアンの記録デューティを100%、マゼンタの記録デューティを100%とした。得られた画像を、温度:30℃、相対湿度:90%の高湿条件で25日間保存し、画像の白抜き部分を目視で観察することで、画像の耐湿性を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
A:10ポイント及び48ポイントの文字の何れにおいても、白抜き文字部への色の滲み出しは観察されなかった
B:48ポイントの文字では、白抜き文字部への色の滲み出しは観察されなかったが、10ポイントの文字では、白抜き文字部への色の滲み出しが僅かに見られたが気にならないレベルであった
C:10ポイント及び48ポイントの文字の何れにおいても、白抜き文字部への色の滲み出しが僅かに見られたが気にならないレベルであった
D:48ポイントの文字では、白抜き文字部への色の滲み出しが僅かに見られ、10ポイントの文字では、白抜き文字部への色の滲み出しが見られ、文字が潰れている部分があった
E:10ポイント及び48ポイントの文字の何れにおいても、白抜き文字部への色の滲み出しが顕著に見られ、文字が潰れている部分があった。
記録媒体に、上記インクジェット記録装置を用いて、記録デューティが150%、200%、250%、300%、350%のグリーン色のベタ画像5つを記録した。このとき、シアンの記録デューティとイエローの記録デューティを同じにし、合わせて上記の記録デューティになるようにした。例えば、記録デューティが350%のグリーン色のベタ画像は、シアンの記録デューティが175%、イエローの記録デューティが175%とした。得られた画像におけるビーディング現象の発生の有無を目視で確認することで、インク吸収性を評価した。尚、ビーディング現象とは、記録媒体に吸収される前のインク滴同士が合体する現象で、インク吸収性と相関が高いことが知られている。記録デューティが高い画像でもビーディング現象が発生しなければインク吸収性が高いと判断することができる。評価結果を表2に示す。
A:記録デューティが350%の画像でもビーディング現象が発生していなかった
B:記録デューティが350%の画像ではビーディング現象が発生していたが、300%の画像では発生していなかった
C:記録デューティが300%の画像ではビーディング現象が発生していたが、250%の画像では発生していなかった
D:記録デューティが250%の画像ではビーディング現象が発生していたが、200%の画像では発生していなかった
E:記録デューティが200%の画像でもビーディング現象が発生していた。
上記インクジェット記録装置を、搬送ローラーの圧力を1.7kgf〜2.2kgfまで調整できるように改造した。このインクジェット記録装置を用いて、記録媒体全面に、ブラックのベタ画像(記録デューティが100%)を記録した。記録後の記録媒体について、搬送ローラーによる搬送傷の発生の有無を目視で観察することで、記録媒体の耐搬送傷性を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
A:搬送ローラーの圧力が2.2kgfでも、搬送傷は観察されなかった
B:搬送ローラーの圧力が2.0kgfでは搬送傷は観察されなかったが、2.2kgfでは搬送傷が観察された
C:搬送ローラーの圧力が1.8kgfでは搬送傷は観察されなかったが、2.0kgfでは搬送傷が観察された
D:搬送ローラーの圧力が1.7kgfでは搬送傷は観察されなかったが、1.8kgfでは搬送傷が観察された
E:搬送ローラーの圧力が1.7kgfでも搬送傷が観察された。
Claims (6)
- 基材と、第1のインク受容層と、第2のインク受容層とをこの順に有する記録媒体であって、
前記第1のインク受容層は、無機粒子と、水酸基を有する水溶性樹脂と、水酸基を有さない水溶性樹脂と、ホウ酸とを含有する第1の塗工液によって形成され、
前記第1の塗工液における、前記無機粒子の含有量に対する前記水酸基を有する水溶性樹脂の含有量の質量比率が、5.0質量%以上17.0質量%以下であり、
前記第1の塗工液における、前記無機粒子の含有量に対する前記水酸基を有さない水溶性樹脂の含有量の質量比率が、1.0質量%以上15.0質量%以下であり、
前記第2のインク受容層は、無機粒子と、水酸基を有する水溶性樹脂と、ホウ酸とを含有する第2の塗工液によって形成され、かつ、以下の条件(1)又は(2)を満足し、
前記水酸基を有さない水溶性樹脂が、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミドから選択される少なくとも1種であることを特徴とする記録媒体。
条件(1):前記第2の塗工液は、水酸基を有さない水溶性樹脂を含有しない。
条件(2):前記第2の塗工液は、水酸基を有さない水溶性樹脂を含有するが、前記第2の塗工液における、前記無機粒子の含有量に対する前記水酸基を有さない水溶性樹脂の含有量が、前記第1の塗工液における、前記無機粒子の含有量に対する前記水酸基を有さない水溶性樹脂の含有量より小さい。 - 前記第1の塗工液における、前記無機粒子の含有量に対する前記水酸基を有する水溶性樹脂と前記水酸基を有さない水溶性樹脂の合計の含有量の質量比率が、10質量%以上19質量%以下である請求項1に記載の記録媒体。
- 前記第1の塗工液における、水酸基を有さない水溶性樹脂の含有量(質量%)が、水酸基を有する水溶性樹脂の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.1倍以上3.0倍以下である請求項1又は2に記載の記録媒体。
- 前記水酸基を有する水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体から選択される少なくとも1種である請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録媒体。
- 前記水酸基を有する水溶性樹脂の水酸基価が500mgKOH/g以上であり、前記水酸基を有さない水溶性樹脂の水酸基価が50mgKOH/g以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載の記録媒体。
- 前記無機粒子が、アルミナ水和物、アルミナ、及びシリカから選択される少なくとも1種である請求項1乃至5の何れか1項に記載の記録媒体。
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