JP2023006635A - インクジェット記録方法、及び、記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光沢感を有し、且つ、記録物の耐擦過性及び発色性の両立が可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】 インクジェット方式の記録ヘッドから顔料を含む顔料インクを付与して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、第1のインク受容層の細孔直径をA(nm)、第2のインク受容層の細孔直径をB(nm)、顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)をC(nm)としたとき、A、B、及びCが下記式(1):A>C>B (1)を満たし、記録媒体の表面の算術平均粗さRaが1.20μm以下であることを特徴とするインクジェット記録方法である。【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット記録方法、及び、記録媒体に関する。
インクジェットプリンターで使用されるインクジェット用記録媒体として、基材上に多孔質のインク受容層を有する記録媒体が知られている。近年では、インクジェット用記録媒体に銀塩写真と同等の高い光沢性が求められている。また、インクジェット記録方法を用いて画像を形成する際に使用するインクの色材としては、高堅牢性の点から顔料を用いることがある。特許文献1には、最表層が無機微粒子を有するインクジェット画像記録媒体に対して、最表層の表面の平均細孔径よりも平均粒径が大きい色材を含有するインクで記録することで、視認性が高い画像を形成することが可能なインクジェット記録方法が記載されている。また、特許文献2には、500nm以下の平均二次粒子径の無機粒子を主体とする層の上に、平均二次粒子径1.5~2.5μmの湿式シリカを主体とする層を設けることで、マット感を有しつつも、得られる画像の発色性を改善することが可能な記録媒体が記載されている。
特開2002-283715号公報 特開2007-223306号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1に記載のインクジェット記録方法では、記録媒体の光沢感や画像の発色性はあるものの、記録部の耐擦過性が十分ではなかった。また、特許文献2に記載の記録媒体は、光沢感を有するものではなく、また、記録部の耐擦過性及び発色性も十分ではなかった。
したがって、本発明の目的は、記録物が光沢感を有し、且つ、記録物の耐擦過性及び発色性の両立が可能なインクジェット記録方法、及び、そのインクジェット記録方法に用いられる記録媒体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明にかかるインクジェット記録方法は、基材、及び、前記基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有する記録媒体の、前記インク受容層を有する面に、インクジェット方式の記録ヘッドから顔料を含む顔料インクを付与して前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インク受容層は、第1のインク受容層と、前記第1のインク受容層の下層に設けられた第2のインク受容層と、を含み、前記第1のインク受容層は、第1の無機粒子を含有し、前記第2のインク受容層は、第2の無機粒子を含有し、前記第1のインク受容層の細孔直径をA(nm)、前記第2のインク受容層の細孔直径をB(nm)、前記顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)をC(nm)としたとき、A、B、及びCが下記式(1):
A>C>B (1)
を満たし、前記インク受容層を有する側の前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが1.20μm以下であることを特徴とする。
また、本発明にかかる記録媒体は、上記のインクジェット記録方法に用いられる記録媒体であって、基材、及び、前記基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有し、前記インク受容層は、第1のインク受容層と、前記第1のインク受容層の下層に設けられた第2のインク受容層と、を含み、前記第1のインク受容層は、第1の無機粒子を含有し、前記第2のインク受容層は、第2の無機粒子を含有し、前記第1のインク受容層の細孔直径をA(nm)、前記第2のインク受容層の細孔直径をB(nm)、前記顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)をC(nm)としたとき、A、B、及びCが下記式(1):
A>C>B (1)
を満たし、前記インク受容層を有する側の前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが1.20μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、記録物が光沢感を有し、且つ、記録物の耐擦過性及び発色性の両立が可能なインクジェット記録方法、及び、そのインクジェット記録方法に用いられる記録媒体を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
顔料インクが有する顔料は、分子レベルの大きさを有する染料インクが有する染料とは異なり、サブミクロンサイズの粒子である。そのため、一般的なインクジェット用光沢紙に顔料インクで記録すると、顔料は染料のように色材がインク受容層内に浸透せず、インク受容層の上に留まる。顔料自身は光や大気による耐性は優れているものの、光沢紙に記録する際は、前述のようにインク受容層の上に顔料が留まるため、記録部を爪等でこすった際に顔料が剥がれ落ちてしまう、所謂、記録部の耐擦過性が染料に対して劣ってしまうという課題がある。
本発明者ら検討したところ、特許文献1に記載の構成の記録媒体では、光沢感を出すために記録媒体の最表層に無機微粒子を用いている。そのため、最表層の細孔径が小さく、記録媒体に顔料インクを付与した際に、顔料の最表層へのアンカー効果が小さく、爪等で記録部を擦った際に、記録媒体から顔料がはがれやすい。また、特許文献2に記載の記録媒体では、最表層に用いられる無機粒子の粒径が非常に大きいため、顔料は染料のようにインク受容層の内部へ入り込むことができるが、最表層に粒径が大きな粒子を用いるため、表面形状が粗くなることで光沢感が損なわれる。また、最表層の光散乱の増大にともない、ヘイズも増大するため、浸透した顔料の発色効率が低下し、記録物の発色性も低下してしまう。
上記課題を解決するために、本発明者らが検討した結果、本発明の構成に至った。具体的には、記録媒体は、基材、及び、前記基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有する。そして、本発明に係るインクジェット記録方法は、この記録媒体の、前記インク受容層を有する面に、インクジェット方式の記録ヘッドから顔料を含む顔料インクを付与して前記記録媒体に画像を記録する。また、インク受容層は、第1のインク受容層と、前記第1のインク受容層の下層に設けられた第2のインク受容層と、を含み、第1のインク受容層は、第1の無機粒子を含有し、第2のインク受容層は、第2の無機粒子を含有する。そして、第1のインク受容層の細孔直径をA(nm)、第2のインク受容層の細孔直径をB(nm)、前記顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)をC(nm)としたとき、A、B、及びCが下記式(1):
A>C>B (1)
を満たし、前記インク受容層を有する側の前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが1.20μm以下である。このような構成のインクジェット記録方法によって、上記の本発明の効果を得ることができる。この本発明に係るインクジェット記録方法によって、上記の本発明の効果が得られる理由は不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。
上層である第1のインク受容層の細孔直径が、インクの顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)よりも大きいため、顔料が第1のインク受容層に入り込むことができる。そのため、顔料の剥がれ落ちが生じにくいため、記録物の耐擦過性が優れる。また、インク受容層を有する側の記録媒体の表面のRaも小さくできるため、記録物の光沢感も損なわない。さらに、第1のインク受容層の下層に設けられる第2のインク受容層の細孔直径はインクの顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)よりも小さい。そのため、第2のインク受容層中に顔料が入り込めず、第1のインク受容層内にのみ顔料を存在させることができるため、高い発色性を得ることができる。
また、第1のインク受容層の細孔直径A(nm)は30nm以上70nm以下であることが好ましい。
第1のインク受容層の細孔直径A(nm)及び第2のインク受容層の細孔直径B(nm)は、いずれも自動比表面積/細孔分布測定装置を用いて測定することができる。もちろん、本発明はこれに限られるものではない。後述する実施例においては、自動比表面積/細孔分布測定装置として、Tristar3000(島津製作所製)を用いて細孔直径A及びBの測定を行った。
インクの顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)は、体積基準の粒子径の平均値、すなわち体積平均粒子径である。顔料のd50は、例えば、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。もちろん、本発明はこれに限られるものではない。後述する実施例においては、動的光散乱方式の粒度分布測定装置として、ナノトラックUPA150EX(日機装製)を用いてd90の測定を行った。
[記録媒体]
本発明のインクジェット記録方法に使用される記録媒体は、基材と、上層(第1のインク受容層)と下層(第2のインク受容層)を含む少なくとも2層のインク受容層を有する。また、本発明の効果が得られる範囲であれば、第1のインク受容層上に別の層を設けてもよいが、第1のインク受容層が最表層であることが好ましい。また、第2のインク受容層と基材との間に別の層を設けてもよい。本発明においては、記録媒体は、インクジェット記録方法に用いられる記録媒体、即ち、インクジェット用記録媒体である。
本発明において、記録物が光沢感を有するために、インク受容層を有する側の記録媒体の表面の算術平均粗さRaは1.20μm以下であることが重要である。また、記録媒体の表面の算術平均粗さRaは0.80μm以下であることが好ましい。また、記録媒体の表面の算術平均粗さRaの下限値は0μm以上である。
本発明において、記録媒体の表面の算術平均粗さRaは、カラー3Dレーザ顕微鏡(製品名:VK-9700、キーエンス社製)の線粗さモードでの測定値である。
記録媒体の表面のRaは、インク受容層に用いられる後述の無機粒子の組成、粒径、及び含有量等によりコントロールすることができる。
以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<基材>
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。記録媒体の表面の算術平均粗さRaを小さくするために、基材は、基紙と樹脂層を有することが好ましい。その場合、樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよいが、両面に設けられていることが好ましい。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。木材パルプの中でも短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも好ましい。紙基材中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
基紙の厚さは、50μm以上130μm以下であることが好ましく、90μm以上120μm以下であることがより好ましい。尚、本発明において、基紙の厚さは、以下の方法で算出することができる。まず、記録媒体の断面をマイクロトームで切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基紙の任意の100点以上の厚さを測定し、その平均値を基紙の厚さとする。尚、本発明におけるその他の層の厚さも同様の方法で算出するものとする。
基紙のJIS P 8118で規定される紙密度は、0.6g/cm以上1.2g/cm以下であることが好ましく、0.7g/cm以上1.2g/cm以下であることがより好ましい。
(樹脂層)
基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよいが、樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)が70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、更には、100%であること、即ち、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
また、樹脂層の厚さは、10μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、樹脂層の厚さは、12μm以上50μm以下であることがより好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の厚さがそれぞれ上記範囲を満足することが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。本発明において、ポリオレフィン樹脂とは、モノマーとしてオレフィンを用いた重合体を意味する。具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
樹脂層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。尚、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。また、樹脂層中の、白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。25質量%より大きいと、白色顔料の分散安定性が十分に得られない場合がある。
樹脂層の算術平均粗さRaは、0.01μm以上0.40μm以下であることが好ましく、更には、0.01μm以上0.30μm以下であることがより好ましい。樹脂層の算術平均粗さRaの測定方法は前述の記録媒体の表面の算術平均粗さRaと同様である。
<インク受容層>
インク受容層は、上記基材の少なくとも一方の面に設けられていればよい。すなわち、インク受容層は、基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。インク受容層の厚さは、18μm以上55μm以下であることが好ましく、18μm以上50μm以下であることがより好ましい。
インク受容層の乾燥塗工量は、18.0g/m以上55.0g/m以下であることが好ましく、18.0g/m以上50.0g/m以下であることがより好ましい。ここでいうインク受容層の乾燥塗工量とは、インク受容層が複層の場合は全ての層の合計の乾燥塗工量を意味する。
以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
(第1のインク受容層(上層))
上層である第1のインク受容層の厚さは、1μm以上5μm以下であることが好ましく、1μm以上4μm以下であることがより好ましい。
第1のインク受容層の表面ゼータ電位は負であることが好ましく、-3mV以下であることがより好ましく、-5mV以下であることが特に好ましい。第1のインク受容層のゼータ電位の下限値については特に制限はないが、例えば、-10mVとすることができる。また、第1のインク受容層の表面ゼータ電位を上記の範囲内に調整することで、光沢性に優れた記録媒体に顔料インクを付与した場合であってもビーディングの発生を抑制することが可能となる。第1のインク受容層の表面ゼータ電位を負とするために、無機粒子としてはアニオン性の無機粒子を用いることが好ましい。
(表面ゼータ電位)
本発明において、表面ゼータ電位とは固体である第1のインク受容層の表面と液体との界面に生じる電位を指す。本発明では、ゼータ電位計(製品名:ELS-Z2(大塚電子社製))と平板試料用セルを用いて第1のインク受容層の表面ゼータ電位の測定を行った。光散乱のモニター粒子を含むモニター粒子分散液には、モニター粒子であるポリスチレンラテックス(大塚電子社製)を、10mMのNaCl溶液により300倍に希釈したものを用いた。さらに、インク受容層と同じpHになるように、pHを低くする場合は0.1MのHCl溶液を、pHを高くする場合は0.1MのNaOH溶液を用いて、モニター粒子分散液のpHの調整を行った。
(無機粒子)
第1のインク受容層は無機粒子を含有することが好ましい。第1のインク受容層に含有される無機粒子を第1の無機粒子と称することがある。無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下が好ましく、8nm以上45nm以下がより好ましく、11nm以上40nm以下が特に好ましい。本発明において、無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
無機粒子は、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、50nm以上500nm以下が好ましく、50nm以上300nm以下がより好ましく、50nm以上190nm以下が特に好ましい。尚、分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
第1のインク受容層中の無機粒子の含有量(質量%)は、第1のインク受容層の全質量を基準として、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、70質量%以上96質量%以下であることがより好ましい。
第1の無機粒子としては、例えば、アルミナ水和物、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらの無機粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。上記無機粒子の中でも、インクの吸収性が高い多孔質構造を有するインク受容層を形成することができる点から、第1の無機粒子は、アルミナ水和物、アルミナ、またはシリカであることが好ましく、気相法シリカであることがより好ましい。気相法シリカは2次粒子が異方性の高い構造を有しているため、多孔質のインク受容層を形成した際の空隙率を他の無機粒子に比べて非常に大きくすることができる。したがって、小さな粒子でも大きな細孔径を得ることができるため、粒子の粗大化による記録媒体表面の粗面化を抑制しつつ、大きな細孔を有するインク受容層を形成することができる。
気相法シリカとしては、アエロジル(日本アエロジル製)、レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などが挙げられる。
気相法シリカのBET法による比表面積は50m/g以上250m/g以下であることが好ましく、50m/g以上220m/g以下であることがより好ましい。
気相法シリカは、分散剤によって分散されている状態で、第2のインク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。
インク受容層に用いるアルミナ水和物は、
一般式(X):Al3-n(OH)2n・mH
(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
アルミナ水和物は、公知の方法で製造することができる。具体的には、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムの水溶液に、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムの水溶液を加えて中和する方法などが挙げられる。
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、ギブサイト型、ベーマイト型が知られている。尚、アルミナ水和物の結晶構造は、X線回折法によって分析することができる。本発明においては、これらの中でも、ベーマイト型のアルミナ水和物又は非晶質のアルミナ水和物が好ましい。具体例としては、特開平7-232473号公報、特開平8-132731号公報、特開平9-66664号公報、特開平9-76628号公報などに記載されたアルミナ水和物や、市販品としてはDisperal HP14、HP18(以上、サソール製)などを挙げることができる。これらのアルミナ水和物は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、アルミナ水和物のBET法で求められる比表面積が100m/g以上200m/g以下であることが好ましく、125m/g以上175m/g以下であることがより好ましい。ここでBET法とは、試料表面に大きさの分かっている分子やイオンを吸着させて、その吸着量から、試料の比表面積を測定する方法である。本発明においては、試料に吸着させる気体として、窒素ガスを用いる。
第1のインク受容層に用いるアルミナとしては、気相法アルミナが好ましい。気相法アルミナとしては、γ-アルミナ、α-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、χ-アルミナなどを挙げることができる。これらの中でも、画像の光学濃度やインク吸収性の観点から、γ-アルミナを用いることが好ましい。気相法アルミナの具体例としては、AEROXIDE;Alu C、Alu130、Alu65(以上、EVONIK製)などを挙げることができる。
気相法アルミナのBET法で求められる比表面積が50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましい。また、150m/g以下が好ましく、120m/g以下がより好ましい。
また、気相法アルミナの平均一次粒子径は、5nm以上が好ましく、11nm以上がより好ましい。また、30nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。
本発明に用いるアルミナ水和物及びアルミナは、水分散液として第1のインク受容層用塗工液に混合することが好ましく、その分散剤として酸を使用することが好ましい。酸としては、
一般式(Y):R-SO
(一般式(Y)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルケニル基の何れかを表す。Rは、オキソ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシル基で置換されていてもよい。)
で表されるスルホン酸を用いることが、画像の滲みを抑制する効果が得られるため好ましい。上記酸の含有量は、アルミナ水和物及びアルミナの合計の含有量を基準として、1.0質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以上1.6質量%以下であることがより好ましい。
無機粒子は混合して使用してもよい。具体的には、複数の無機粒子を、粉体状態で混合、分散して分散液とする方法が挙げられる。
(バインダー)
第1のインク受容層はバインダーを含有することが好ましい。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。以下、第1のインク受容層に含有されるバインダーを第1のバインダーとも称することがある。
インク吸収性の観点から、第1のインク受容層中の、バインダーの含有量が、第1の無機粒子の含有量を基準として、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、インク受容層の結着性の観点から、第1のインク受容層中の、バインダーの含有量が、第1の無機粒子の含有量を基準として、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましい。
バインダーとしては例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、及びポリビニルアルコール、並びに、それらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン-酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;カチオン基を用いて上記重合体をカチオン化したもの;カチオン性界面活性剤を用いて上記重合体の表面をカチオン化したもの;カチオン性ポリビニルアルコール下で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの;カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダー;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
上記したバインダーの中でも、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61-10483号公報に記載されているような、第1~3級アミノ基または第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下が好ましく、85mol%以上98mol%以下がより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じた水酸基のモル数の割合であり、本発明においては、JIS-K6726の方法で測定した値を用いるものとする。また、ポリビニルアルコールの平均重合度は、2,000以上が好ましく、2,000以上5,000以下がより好ましい。尚、本発明において平均重合度は、JIS-K6726の方法で求めた粘度平均重合度を用いるものとする。
インク受容層用塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
(架橋剤)
第1のインク受容層は更に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
架橋剤の使用量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。第1のインク受容層中の、架橋剤の含有量が、第1のバインダーの含有量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましい。
更に、バインダーがポリビニルアルコールまたはその誘導体であり、架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種である場合には、インク受容層中のホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量が、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の合計の含有量を基準として、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
第1のインク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
(第2のインク受容層(下層))
下層である第2のインク受容層の厚さは、3μm以上55μm以下であることが好ましい。
(無機粒子)
第2のインク受容層は無機粒子を含有することが好ましい。第2のインク受容層に含有される無機粒子を第2の無機粒子と称することがある。無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下が好ましい。更には、1nm以上35nm以下がより好ましく、1nm以上30nm以下が特に好ましい。本発明において、無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。また、第2の無機粒子の平均一次粒子径は、第1の無機粒子の平均一次粒子径よりも小さいことが好ましい。また、第2の無機粒子の平均一次粒子径と第1の無機粒子の平均一次粒子径との差((第2の無機粒子の平均一次粒子径)-(第1の無機粒子の平均一次粒子径))は5nm以上であることがより好ましい。
第2の無機粒子は、分散剤によって分散されている状態で、第2のインク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、50nm以上500nm以下が好ましく、更には、50nm以上300nm以下がより好ましく、50nm以上170nm以下が特に好ましい。尚、分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。第2の無機粒子の平均二次粒子径は、第1の無機粒子の平均二次粒子径よりも小さいことが好ましい。また、第2の無機粒子の平均二次粒子径と第1の無機粒子の平均二次粒子径との差((第2の無機粒子の平均二次粒子径)-(第1の無機粒子の平均二次粒子径))は50nm以上であることがより好ましい。
第2のインク受容層中に占める、第2の無機粒子の含有量(質量%)は、第2のインク受容層の全質量を基準として50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、70質量%以上96質量%以下であることがより好ましい。
第2の無機粒子としては、前述の第1の無機粒子と同様の種類の無機粒子を用いることができる。また、第2の無機粒子は第1の無機粒子と同じであっても異なっていてもよい。
第2のインク受容層中に用いられる気相法シリカのBET法による比表面積は50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、50m/g以上380m/g以下であることがより好ましい。
本発明において、気相法シリカは、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。
また、第2のインク受容層中に用いられるアルミナ水和物のBET法で求められる比表面積が100m/g以上200m/g以下であることが好ましく、125m/g以上175m/g以下であることがより好ましい。
第2のインク受容層に用いるアルミナとしては、気相法アルミナが好ましい。気相法アルミナとしては、前述の第1のインク受容層に用いられる気相法アルミナと同様のものを使用することができる。
第2のインク受容層中に用いられる気相法アルミナのBET法で求められる比表面積が50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましい。また、150m/g以下が好ましく、120m/g以下がより好ましい。
また、気相法アルミナの平均一次粒子径は、5nm以上が好ましく、11nm以上がより好ましい。また、30nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。
本発明に用いるアルミナ水和物及びアルミナは、水分散液としてインク受容層用塗工液に混合することが好ましく、その分散剤として酸を使用することが好ましい。酸としては、
一般式(Y):R-SO
(一般式(Y)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルケニル基の何れかを表す。Rは、オキソ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシル基で置換されていてもよい。)
で表されるスルホン酸を用いることが、画像の滲みを抑制する効果が得られるため好ましい。本発明においては、上記酸の含有量は、アルミナ水和物及びアルミナの合計の含有量を基準として、1.0質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以上1.6質量%以下であることがより好ましい。
(その他材料)
下層である第2のインク受容層は、上層である第1のインク受容層と同様のバインダー、架橋剤、その他の添加剤を含有することができる。なお、第2のインク受容層はバインダーを含有することが好ましく、以下、第2のインク受容層に含有されるバインダーを第2のバインダーとも称することがある。
<下塗り層>
基材と第2のインク受容層との密着性を向上する目的で、基材と第2のインク受容層との間に、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、水溶性ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどを含有することが好ましい。下塗り層の厚さは、0.01μm以上5μm以下が好ましい。
<バックコート層>
本発明においては、基材のインク受容層が設けられる面とは反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上する目的でバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、白色顔料やバインダーなどを含有することが好ましい。バックコート層の厚さは、乾燥塗工量が、1g/m以上25g/m以下となるようにすることが好ましい。
[記録媒体の製造方法]
記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層用の塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法であることが好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
<基材の作製方法>
基紙の作製方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
基紙の上に樹脂層を設ける方法、即ち、基紙を樹脂で被覆する方法としては、溶融押出法、ウェットラミネーション、ドライラミネーションなどが挙げられる。中でも、基紙の片面又は両面に溶融した樹脂を押し出しコーティングする溶融押出法が好ましい。例えば、搬送されてきた基紙と、押出ダイから押し出された樹脂を、ニップローラと冷却ローラーとの間のニップ点において接触させ、ニップで圧着することで樹脂層を基紙上にラミネートする方法(押出コーティング方法ともいう)が広く採用されている。溶融押出法により、樹脂層を設ける際には、基紙と樹脂層の接着がより強固となるように、前処理を施してもよい。前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネートなどのアンカーコート処理などが挙げられる。中でも、コロナ放電処理が好ましい。また、樹脂層に白色顔料を含有する場合は、樹脂と白色顔料を混合したもので、基紙を被覆すればよい。
上記のようにして作製した基材を、インク受容層を形成する前に、巻芯にロール状に巻き取る工程を有することが好ましい。巻芯は、直径が50mm以上300mm以下のものが好ましく用いられる。また、巻き取る際の張力としては、50N/m以上800N/m以下が好ましい。尚、巻き取る際の張力は、巻き始めから巻き終わりまで一定でもよい。また、巻き始めの圧力集中を緩和するために、巻き始めから巻き終わりにかけて徐々に張力を低下させてもよい。
<インク受容層の形成方法>
基材上にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。また、基材上に、第1のインク受容層用塗工液と第2のインク受容層用塗工液を塗工する際、第1のインク受容層用塗工液と第2のインク受容層用塗工液を別々に塗工してもよいし、同時に塗工してもよい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、基材、及び、前記基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有する記録媒体の、前記インク受容層を有する面に、インクジェット方式の記録ヘッドから顔料を含む顔料インクを付与して前記記録媒体に画像を記録する。
インクジェット方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。その中でも、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式であることが好ましい。
(顔料インク)
次に、本発明のインクジェット記録方法に用いることができる顔料インクについて説明する。
顔料インクは、微粒子化顔料を用いて分散媒体中に分散させた本発明の微粒子化顔料分散体の他、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有してなるものであることが好ましい。水としては、イオン交換水や純水などの脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、従来、インクジェット用のインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、アルキルエーテルアセテート類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
(顔料)
顔料としては、公知の顔料を用いることができる。例えば、アゾ顔料、キナクリドン顔料、アンスラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、メチン・アゾメチン顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料等が挙げられる。
また、顔料の体積基準の粒径分布の90%累積値(d90)をD(nm)としたとき、前記第1のインク受容層の細孔直径A及びDが下記式(2):
A>D (2)
を満たすことが好ましい。顔料のd90は、前述の顔料のd50と同様に、動的光散乱方式の粒度分布測定装置によって測定することができる。
また、顔料の平均一次粒子径は20nm以上60nm以下であることが好ましい。顔料の平均一次粒子径は、顔料分散体やインクを純水により適宜希釈した後、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて観察した顔料の粒子を形成する最小単位の粒子径について、必要に応じて画像処理を行い、100点以上を測定した一次粒子径の平均値である。後述する実施例においては、走査型電子顕微鏡(日立超高性能分析走査電子顕微鏡SU-70、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察を行い、一次粒子径の測定を行った。
(その他の材料)
インクには、保湿性などの維持のために、上記した材料の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性を有する常温で固体の化合物を含有させてよい。インク中のこのような化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
また、インクには、上記した材料以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
[インクジェット記録装置、及び、インクカートリッジ]
インクジェット記録装置は、インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備え、前記インク収容部に収容されたインクが上記で説明した顔料インクである。また、インクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した顔料インクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室で構成されるものが挙げられ、必要に応じて、負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室を設けてもよい。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たずに収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[記録媒体の作製]
<基材の作製>
カナダ標準濾水度が450mLCSFのLBKP80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFのNBKP20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.030部を混合し、固形分の含有量が3.0質量%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させる。更に、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、厚さが100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン70部と、高密度ポリエチレン20部と、酸化チタン10部とからなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/mとなる様に、基紙の片面に塗工した。尚、この面を基材の表面とする。更に、低密度ポリエチレンを、基紙のもう一方の面に塗工することで、基材を得た。
<インク受容層用塗工液の調製>
(気相法シリカ分散液1の調製)
イオン交換水中に、気相法シリカ(平均一次粒子径7nm)を固形分の含有量が20質量%となるように添加した。次に、気相法シリカの固形分100部に対して、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマー5.0部を加えて撹拌した。更に、気相法シリカの固形分の含有量が、15質量%となるようにイオン交換水を加え、クレアミクス(エムテクニック製)で10000rpmの回転速度で15分間撹拌し、平均二次粒子径130nmの気相法シリカ分散液1を得た。この気相法シリカ分散液1中の気相法シリカはカチオン性である。
(気相法シリカ分散液2の調製)
気相法シリカ(平均一次粒子径7nm)を気相法シリカ(平均一次粒子径20nm)に変更した以外は、気相法シリカ分散液1と同様の方法で調製し、平均二次粒子径190nmの気相法シリカ分散液2を得た。
(気相法シリカ分散液3の調製)
気相法シリカ(平均一次粒子径7nm)を気相法シリカ(平均一次粒径16nm)に変更した以外は、気相法シリカ分散液1と同様の方法で調製し、平均二次粒子径160nm気相法シリカ分散液3を得た。
(気相法シリカ分散液4の調製)
気相法シリカ(平均一次粒子径7nm)を気相法シリカ(平均一次粒径30nm)に変更した以外は、気相法シリカ分散液1と同様の方法で調製し、平均二次粒子径230nm気相法シリカ分散液4を得た。
(気相法シリカ分散液5の調製)
イオン交換水中に、気相法シリカ(平均一次粒径30nm)を固形分の含有量が20質量%となるように添加した。次に、気相法シリカの固形分100部に対して、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマー5.0部を加えて撹拌した。更に、気相法シリカの固形分の含有量が、15質量%となるようにイオン交換水を加え、TKロボミクス(プライミクス製)で2000rpmの回転速度で15分間撹拌し、平均二次粒子径270nmの気相法シリカ分散液5を得た。この気相法シリカ分散液1中の気相法シリカはカチオン性である。
(気相法シリカ分散液6の調製)
イオン交換水中に、気相法シリカ(平均一次粒径30nm)を固形分の含有量が20質量%となるように添加した。次に、気相法シリカの固形分100部に対して、水酸化カリウム1.0部を加えて撹拌した。更に、気相法シリカの固形分の含有量が、15質量%となるようにイオン交換水を加え、クレアミクス(エムテクニック製)で10000rpmの回転速度で15分間撹拌し、平均二次粒子径190nmの気相法シリカ分散液6を得た。この気相法シリカ分散液6中の気相法シリカはアニオン性である。
(アルミナ水和物分散液1の調製)
イオン交換水中に、アルミナ水和物 DISPERAL HP14(サソール製、平均一次粒径14nm)を固形分の含有量が25質量%となるように添加した。次に、アルミナ水和物の固形分100部に対して、メタンスルホン酸1.4部を加えて撹拌した。更に、アルミナ水和物の固形分の含有量が、21質量%となるようにイオン交換水を加え、平均二次粒子径が140nmのアルミナ水和物分散液1を得た。このアルミナ水和物分散液1中のアルミナ水和物はカチオン性である。
(アルミナ水和物分散液2の調製)
イオン交換水中に、アルミナ水和物 DISPERAL80(サソール製、平均一次粒径80nm)を固形分の含有量が25質量%となるように添加した。次に、アルミナ水和物の固形分100部に対して、メタンスルホン酸1.4部を加えて撹拌し、更に、アルミナ水和物の固形分の含有量が、21質量%となるようにイオン交換水を加え、平均二次粒子径が400nmアルミナ水和物分散液2を得た。このアルミナ水和物分散液2中のアルミナ水和物はカチオン性である。
(湿式シリカ分散液1の調製)
イオン交換水中に、湿式シリカ(平均一次粒径7nm)を固形分の含有量が25質量%となるように添加した。次に、湿式シリカの固形分100部に対して、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマー5.0部を加えて撹拌し、更に、非晶質シリカの固形分の含有量が、21質量%となるようにイオン交換水を加え、平均二次粒子径6500nm湿式シリカ分散液を得た。この湿式シリカ分散液1中の湿式シリカはカチオン性である。
(インク受容層用塗工液1の調製)
上記で調製した気相法シリカ分散液1と、ポリビニルアルコ-ル水溶液(PVA235(クラレ製)の固形分の含有量を8質量%に調製したもの)と、ホウ酸水溶液(固形分の含有量が3質量%)とを、固形分の質量比(気相法シリカ:ポリビニルアルコール:ホウ酸)が100:23:5となるように混合し、インク受容層用塗工液1を得た。
(インク受容層用塗工液2の調製)
上記で調製したアルミナ水和物分散液1と、ポリビニルアルコ-ル水溶液(PVA235(クラレ製)の固形分の含有量を8質量%に調製したもの)と、ホウ酸水溶液(固形分の含有量が3質量%)とを、固形分の質量比(アルミナ水和物:ポリビニルアルコール:ホウ酸)が100:10:2となるように混合し、インク受容層用塗工液2を得た。
(インク受容層用塗工液3~7の調製)
上記で調製した気相法シリカ分散液2~6と、ポリビニルアルコ-ル水溶液(PVA235(クラレ製)の固形分の含有量を8質量%に調製したもの)と、ホウ酸水溶液(固形分の含有量が3質量%)とを、固形分の質量比(気相法シリカ:ポリビニルアルコール:ホウ酸)が100:23:5となるように混合し、インク受容層用塗工液3~7をそれぞれ得た。
(インク受容層用塗工液8の調製)
上記で調製したアルミナ水和物分散液2と、ポリビニルアルコ-ル水溶液(PVA235(クラレ製)の固形分の含有量を8質量%に調製したもの)と、ホウ酸水溶液(固形分の含有量が3質量%)とを、固形分の質量比(アルミナ水和物:ポリビニルアルコール:ホウ酸)が100:10:2となるように混合し、インク受容層用塗工液8を得た。
(インク受容層用塗工液9の調製)
上記で調製した湿式シリカ分散液1と、ポリビニルアルコ-ル水溶液(PVA235(クラレ製)の固形分の含有量を8質量%に調製したもの)と、ホウ酸水溶液(固形分の含有量が3質量%)とを、固形分の質量比(湿式シリカ:ポリビニルアルコール:ホウ酸)が100:23:5となるように混合し、インク受容層用塗工液9を得た。
<記録媒体の作製>
基材上に、上記で調製したインク受容層用塗工液1~9を表1に記載の種類及び乾燥塗工量となるように塗工した。このとき、まず、基材上に、第2のインク受容層用塗工液を塗工し、その後150℃の熱風で乾燥することで、第2のインク受容層を形成した。そして、第2のインク受容層上に、第1のインク受容層用塗工液を塗工し、その後150℃の熱風で乾燥することで、第1のインク受容層を形成し、記録媒体を得た。
<顔料分散液の調製>
酸価が150mgKOH/gで、重量平均分子量が8,000のスチレン-アクリル酸エチル-アクリル酸共重合体(樹脂分散剤)を準備した。この共重合体20.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和し、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。顔料(モナク1100、キャボット製)20.0部、樹脂分散剤の水溶液10.0部、及び純水75.0部を混合した。この混合物と、0.3mm径のジルコニアビーズ200部を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら5時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が20.0%、樹脂分散剤の含有量が2.0%の顔料分散液を調製した。顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)及び90%累積値(d90)を動的光散乱法により求めたところ、それぞれ36nm及び55nmであった。
また、分散条件を調整すること以外は同様の方法で、表2に記載の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)及び90%累積値(d90)を有する顔料分散液をそれぞれ作製した。
<インクの調製>
上記の顔料分散液50.0部にエチレングリコールを20.0部、アセチレノールE100を0.2部、イオン交換水29.8部を混合して、十分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのフィルターにて加圧ろ過を行い、インクを得た。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。アセチレノールE100は、グリフィン法により求められるHLB値が13である。
Figure 2023006635000001
Figure 2023006635000002
[評価]
<得られる画像の発色性>
前述の表2に記載のd50及びd90を有する各インクをインクジェットプリンター(商品名:PRO-10S、キヤノン製)に搭載し、得られた記録媒体のそれぞれの記録面に、写真用紙 光沢ゴールド、色補正なしモードにて、ベタ印字を行った。これらの光学濃度を光学反射濃度計(商品名:530分光濃度計、X-Rite製)を用いてそれぞれ測定した。得られた光学濃度から、得られる画像の発色性の評価を行った。評価基準が以下の通りである。評価結果を表3に示した。
3:2.00以上であった。
2:1.80以上2.00未満であった。
1:1.80未満であった。
<記録部の擦過性>
上記の発色性の評価と同じインクジェット記録装置を使用し、表1に記載の記録媒体1~9に、記録デューティが100%である、1.0インチ×0.5インチのベタ画像を記録した。記録の10分後及び1日後に、記録物のベタ画像(記録部)の上にシルボン紙及び面圧40g/cmの分銅をそれぞれ置き、ベタ画像とシルボン紙を擦り合わせた。シルボン紙及び分銅を取り除いた後、非記録部の汚れの状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐擦過性を評価した。評価結果を表3に示した。
4:10分後及び1日後では白地部に汚れはなかった。
3:10分後では白地部に汚れはほとんどなく、かつ、1日後では白地部に汚れはなかった。
2:10分後及び1日後では白地部に汚れはほとんどなった。
1:10分後では白地部に汚れはあったが、目立たないレベルであり、かつ、1日後では白地部に汚れはほとんどなかった。
<記録媒体の表面の光沢感>
得られた記録媒体に関して、光沢計VG2000(日本電色工業製)を用い、JIS Z 8741に規定される75度の鏡面光沢度を測定した。測定は記録媒体表面の任意の5点を選択して行い、その平均値を算出した。得られた鏡面光沢度から記録媒体の表面のマット感を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表3に示した。
3:75度の鏡面光沢度が20.0%以上であった。
2:75度の鏡面光沢度が3.0%以上20.0%未満であった。
1:75度の鏡面光沢度が3.0%以下であった。
Figure 2023006635000003

Claims (9)

  1. 基材、及び、前記基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有する記録媒体の、前記インク受容層を有する面に、インクジェット方式の記録ヘッドから顔料を含む顔料インクを付与して前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インク受容層は、第1のインク受容層と、前記第1のインク受容層の下層に設けられた第2のインク受容層と、を含み、
    前記第1のインク受容層は、第1の無機粒子を含有し、
    前記第2のインク受容層は、第2の無機粒子を含有し、
    前記第1のインク受容層の細孔直径をA(nm)、前記第2のインク受容層の細孔直径をB(nm)、前記顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)をC(nm)としたとき、A、B、及びCが下記式(1):
    A>C>B (1)
    を満たし、
    前記インク受容層を有する側の前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが1.20μm以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記第1のインク受容層の厚みが1μm以上5μm以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記顔料の体積基準の粒子径分布の90%累積値(d90)をD(nm)としたとき、前記A及びDが下記式(2):
    A>D (2)
    を満たす請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記Aが30nm以上70nm以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記インク受容層を有する側の前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが0.80μm以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記顔料の平均一次粒子径が20nm以上60nm以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記第1の無機粒子が気相法シリカである請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記第1のインク受容層の表面ゼータ電位が負である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法に用いられる記録媒体であって、
    基材、及び、前記基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有し、
    前記インク受容層は、第1のインク受容層と、前記第1のインク受容層の下層に設けられた第2のインク受容層と、を含み、
    前記第1のインク受容層は、第1の無機粒子を含有し、
    前記第2のインク受容層は、第2の無機粒子を含有し、
    前記第1のインク受容層の細孔直径をA(nm)、前記第2のインク受容層の細孔直径をB(nm)、前記顔料の体積基準の粒子径分布の50%累積値(d50)をC(nm)としたとき、A、B、及びCが下記式(1):
    A>C>B (1)
    を満たし、
    前記インク受容層を有する側の前記記録媒体の表面の算術平均粗さRaが1.20μm以下であることを特徴とする記録媒体。
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