JP2023049843A - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インクジェット記録装置を用いて顔料インクを付与した場合に、優れた光沢性と写像性を得ることが可能なインクジェット記録媒体の製造方法を提供すること。【解決手段】 支持体とインク受容層とを有するインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記支持体表面に、シリカ分散液と一価の水溶性金属塩であるキレート剤とを含むインク受容層用の塗工液を塗工する工程と、前記塗工液を乾燥することによって、前記インク受容層を形成する工程と、を有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法である。【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット記録媒体の製造方法に関する。
近年、インクジェット記録方法に用いられるインクには、高いレベルの堅牢性(光、オゾンガス、及び水に対する耐性)を有する画像を記録できることが要求されている。堅牢性の高い画像を得るために、色材として顔料を用いたインク(以下、顔料インクとも称する)が利用される機会が増加している。しかしながら、顔料インクは、色材である顔料が固体であるため、分子の状態で水性媒体中に溶解可能な染料を用いたインク(以下、染料インクとも称する)と比べて、記録される画像の光沢性及び写像性が低くなるといった課題がある。この課題が発生する要因の一つとして、インクジェット記録媒体に顔料インクを付与した際に、顔料インクに含まれる顔料が凝集されることでインクジェット記録媒体に記録された画像の表面の凹凸が大きくなってしまうことが挙げられる。特に、顔料インクに含まれる顔料分散体は、酸や金属イオン(特に二価の金属イオン)と反応し、顔料の凝集が促進されることが知られている。特許文献1では、インクジェット記録用紙の塗工層に、インク中に含まれる金属イオンを捕縛すると考えられるキレート剤を含有させることで、発色性が向上することが開示されている。
特開平9-314985号公報
特許文献1に記載のインクジェット記録用紙の塗工層にはカチオン性のアルミナ水和物が含有されることが記載されている。本発明者らの検討によると、このカチオン性のアルミナ水和物を用いた場合、キレート剤による顔料の凝集抑制効果が十分に発揮されずに、光沢性と写像性を十分に向上させることができないことが分かった。
したがって、本発明の目的は、インクジェット記録装置を用いて顔料インクを付与した場合に、優れた光沢性と写像性を得ることが可能なインクジェット記録媒体の製造方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット記録媒体の製造方法は、支持体とインク受容層とを有するインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記支持体表面に、シリカ分散液と一価の水溶性金属塩であるキレート剤とを含むインク受容層用の塗工液を塗工する工程と、前記塗工液を乾燥することによって、前記インク受容層を形成する工程と、を有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法に関する。
本発明によれば、インクジェット記録装置を用いて顔料インクを付与した場合に、優れた光沢性と写像性を得ることが可能なインクジェット記録媒体の製造方法を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、以下、インクジェット記録媒体を単に「記録媒体」と称することがある。
本発明者らは、画像の光沢性と写像性とを向上させるために、顔料インクに含まれる顔料の凝集を抑制する検討を行った。
種々検討した結果、本発明者らは、以下の構成を採用することで、インクジェット記録装置を用いて顔料インクを付与した場合に優れた光沢性と写像性を得られることを見出した。すなわち、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、支持体表面に、シリカ分散液と一価の水溶性金属塩であるキレート剤とを含むインク受容層用の塗工液を塗工する工程と、前記塗工液を乾燥することによって、前記インク受容層を形成する工程と、を有する。このような製造方法を採用することで、インクジェット記録媒体に記録された画像の光沢性と写像性が向上する理由について本発明者らは次のように推測している。
画像の光沢性と写像性は、記録された画像の表面状態とに相関があることが知られている。顔料インクを用いて従前の記録媒体に付与した場合、まず顔料インクに含まれる水性媒体と水溶性媒質は記録媒体の内部へ浸透することによって、記録媒体の表面において、顔料インク中の固体成分と液体成分の固液分離が進む。このとき、記録媒体の表面における顔料インク中に含まれている顔料の濃度は、固液分離が進むにつれて記録媒体の表面における液体成分の量が少なくなるため、上昇してしまう。そのため、顔料インク中に含まれる顔料と、インク中の水性媒体によってインク受容層中のキレート剤から電離した金属イオンとの接触確率が増加してしまう。
この結果、顔料分散体の塩析が発生し、顔料の凝集を促進してしまうため、画像(インク像)の表面の凹凸が大きくなり、光沢性と写像性が低下してしまうものと本発明者らは推測している。さらに、特許文献1では、記録媒体のインク受容層中にキレート剤と共にアルミナ水和物が含有されている。このアルミナ水和物がカチオン性を有しているため、アルミナ水和物がアニオン性を示すキレート剤の配位子を静電的な相互作用により吸着してしまう。これにより、キレート剤が金属イオンを効果的に捕縛できず、顔料の凝集の抑制を十分に発揮することができなかったため、良好な光沢性と写像性を得ることができなかったものと本発明者らは推測している。
そこで、本発明者らはアニオン性を示すシリカに着目した。一般的にインクジェット記録媒体のインク受容層に含有されるシリカとしては、アルカリ処理したアニオン性のシリカ、または、表面にカチオン性のポリマーを吸着させたアニオン性のシリカが用いられる。カチオン性ポリマーを吸着させたアニオン性のシリカであったとしても、シリカの表面が一部水側に配向したカチオン性のポリマー部位により僅かにカチオン性を示すものの、アルミナ水和物と比べるとカチオン性は弱いと考えられる。よって、シリカを含むインク受容層にキレート剤を含有させた場合、キレート剤が、シリカに吸着することなく、金属イオンを効果的に捕縛することが可能となる。また、インク中の色材である顔料の塩析は二価の金属イオンによって顕著に発生するため、キレート剤として一価の水溶性金属塩を用いることで、二価の金属イオンよりも、キレート剤由来の一価の金属イオンによる顔料の塩析を抑制することができる。このため、本発明では、支持体表面に、シリカ分散液と一価の水溶性金属塩であるキレート剤とを含む塗工液を塗工して、その塗工液を乾燥することによって、インク受容層を形成する。その結果、顔料の凝集が抑制されるため、記録された画像の表面の凹凸が小さくなり、光沢性と写像性の向上が可能となると考えられる。
以上のメカニズムのように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、本発明の効果を達成することが可能となる。
[記録媒体]
記録媒体は、支持体とインク受容層とを有する。
記録媒体のJIS P 8149:2000で規定される不透明度が97%以上であることが好ましい。
以下、記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<支持体>
支持体としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。本発明においては、基紙と樹脂層を有する支持体を用いることが好ましい。その場合、樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよいが、両面に設けられていることが好ましい。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。木材パルプの中でも短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも好ましい。基紙中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
本発明において、基紙の厚さは、50μm以上130μm以下であることが好ましく、更には、90μm以上120μm以下であることがより好ましい。尚、本発明において、基紙の厚さは、以下の方法で算出する。まず、記録媒体の断面をマイクロトームで切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基紙の任意の100点以上の厚さを測定し、その平均値を基紙の厚さとする。尚、本発明におけるその他の層の厚さも同様の方法で算出するものとする。
本発明において、基紙のJIS P 8118で規定される紙密度は、0.6g/cm以上1.2g/cm以下であることが好ましい。更には、0.7g/cm以上1.2g/cm以下であることがより好ましい。
(樹脂層)
本発明において、基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよい。樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)は70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、更には、100%であること、即ち、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
また、本発明において、樹脂層の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、樹脂層の厚さは、35μm以上50μm以下であることがより好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の厚さがそれぞれ上記範囲を満足することが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。本発明において、ポリオレフィン樹脂とは、モノマーとしてオレフィンを用いた重合体を意味する。具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
本発明において、樹脂層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。本発明において、樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。尚、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。また、樹脂層中の、白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。25質量%より大きいと、白色顔料の分散安定性が十分に得られない場合がある。
本発明において、樹脂層のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、0.12μm以上0.18μm以下であることが好ましく、更には、0.13μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。
本発明において、樹脂層の算術平均粗さRaが、記録媒体の表面の算術平均粗さRaより大きいこと(Ra>Ra)が好ましい。また、樹脂層の算術平均粗さRaと記録媒体の表面の算術平均粗さRaの差ΔRa(=Ra-Ra)が、0.03μm以上0.05μm以下であることが好ましい。
また、本発明において、樹脂層のJIS B 0601:2001で規定される粗さ曲線要素の平均長さRSmは、0.01mm以上0.20mm以下であることが好ましく、更には、0.04mm以上0.15mm以下であることがより好ましい。
<インク受容層>
本発明において、インク受容層は単層でもよいし、2層以上の複層でもよい。また、インク受容層は、上記支持体の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。本発明においては両面に設けられていることが好ましい。支持体の片面における、インク受容層の厚さは、15μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、30μm以上45μm以下であることがより好ましい。また、本発明においては、記録媒体の紙面pHは、7.0以上であることが好ましい。紙面pHが7.0以上であることで、キレート剤の酸解離が進みやすくなり、金属イオンを効果的に捕縛できる。さらに、記録媒体の表面ゼータ電位は、負であることが好ましい。記録媒体の表面ゼータ電位が負であると、アニオン性の顔料インク中の顔料と反応しにくくなり、顔料の凝集をより抑制することができる。
以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
(無機粒子)
本発明において、インク受容層は無機粒子としてシリカを含有する。シリカの平均一次粒子径は、50nm以下が好ましく、1nm以上30nm以下がより好ましく、3nm以上10nm以下が特に好ましい。本発明において、シリカの平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
本発明において、シリカは、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に含まれる。分散状態でのシリカの平均二次粒子径は、0.1nm以上500nm以下が好ましく、1.0nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上250nm以下が特に好ましい。尚、分散状態でのシリカの平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
本発明において、インク受容層中に占める、シリカの含有量(質量%)は、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、更には、70質量%以上96質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、インク受容層を形成する際に塗布するシリカの塗布量(g/m)は、8g/m以上45g/m以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、好ましいインク受容層の厚さとなりやすい。
本発明に用いられるシリカは、その製法により湿式法と乾式法(気相法)に大別される。湿式法としては、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が知られている。一方、乾式法(気相法)としては、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が知られている。本発明においては、乾式法(気相法)により得られるシリカ(以下、「気相法シリカ」ともいう)を用いることが好ましい。これは、気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性が特に高く、また、屈折率が低いので、インク受容層に透明性を付与でき、良好な発色性が得られるためである。具体的に、気相法シリカとしては、アエロジル(日本アエロジル製)、レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などが挙げられる。
本発明において、気相法シリカのBET法による比表面積は50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、200m/g以上350m/g以下であることがより好ましい。
本発明において、気相法シリカは、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での気相法シリカの粒子径は、50nm以上300nm以下であることがより好ましい。尚、分散状態での気相法シリカの粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
また、無機粒子として、シリカと共に、インクジェット記録媒体に用いられる公知の無機粒子を用いてもよい。
(バインダー)
本発明において、インク受容層はバインダーを含有することが好ましい。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。
本発明においては、インク吸収性の観点から、インク受容層中の、バインダーの含有量が、無機粒子の含有量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、インク受容層の結着性の観点から、上記比率は、5.0質量%以上が好ましく、8.0質量%以上がより好ましい。
バインダーとしては例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、及びポリビニルアルコール、並びに、それらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン-酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;カチオン基を用いて上記重合体をカチオン化したもの;カチオン性界面活性剤を用いて上記重合体の表面をカチオン化したもの;カチオン性ポリビニルアルコール下で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの;カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダー;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
上記したバインダーの中でも、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61-10483号公報に記載されているような、第1~3級アミノ基または第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下が好ましく、85mol%以上98mol%以下がより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じた水酸基のモル数の割合であり、本発明においては、JIS-K6726の方法で測定した値を用いるものとする。また、ポリビニルアルコールの平均重合度は、2,000以上が好ましく、2,000以上5,000以下がより好ましい。尚、本発明において平均重合度は、JIS-K6726の方法で求めた粘度平均重合度を用いるものとする。
インク受容層用塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
(キレート剤)
本発明において、インク受容層は一価の水溶性金属塩であるキレート剤を含む。また、インク受容層にキレート剤を含有させるために、インク受容層用の塗工液はキレート剤を含む。
前記塗工液中に含まれるキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸(DHEDDA)、1,3プロパンジアミン四酢酸(1,3PDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グルコン酸、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA,HIDA)、ウラミル二酢酸(VDA)、ジメチルグリオキシム、フィチン酸、クエン酸、1,2-ビス(o-アミノフェノキシド)エタン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸(BAPTA)、上記酸の一価の水溶性金属塩などが挙げられる。
また、前記キレート剤のpHは、7.0以上が好ましい。また、インク受容層用の塗工液中における前記キレート剤の含有量は、塗工液の乾燥後の重量を基準として、2.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましい。前記キレート剤の含有量が、2.0質量%以上であることで顔料インクまたはインク受容層に含まれる二価の金属イオンを十分な量を捕縛しやすくなるため、顔料の凝集をより抑制しやすくなる。また、前記キレート剤の含有量が、10質量%以下であることで、キレート剤に含まれる一価の金属イオンによる顔料分散体の塩析が生じにくくなるため、顔料の凝集をより抑制することができる。
また、キレート剤はシリカ分散液への分散前、分散中、及び分散後のいずれの時点で添加しても効果がある。
また、シリカ分散液とキレート剤を混合することによってシリカの凝集及び沈殿を生じることがある。このことが塗工時に影響を与える場合には、インク受容層用の塗工液をシリカ分散液とキレート剤を含む水溶液に分け、片方の液を塗工したのちに同じ面にもう一方の液を重ねて塗工してもよい。塗工の順序は特に指定はないが、シリカ分散液を先に塗工し、その次に同じ面にキレート剤を含む水溶液を塗工することが好ましい。
(架橋剤)
本発明において、インク受容層は更に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
インク受容層における架橋剤の含有量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。本発明においては、インク受容層中の、架橋剤の含有量が、バインダーの含有量を基準として、1.0質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
更に、バインダーがポリビニルアルコールであり、架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種である場合には、インク受容層中の、ポリビニルアルコールの含有量を基準とした、ホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量が、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
<下塗り層>
本発明においては、支持体とインク受容層との密着性を向上する目的で、支持体とインク受容層との間に、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、水溶性ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどを含有することが好ましい。下塗り層の厚さは、0.01μm以上5μm以下が好ましい。
<バックコート層>
本発明においては、支持体のインク受容層が設けられる面とは反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上する目的でバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、白色顔料やバインダーなどを含有することが好ましい。バックコート層の厚さは、乾燥塗工量が、1g/m以上25g/m以下となるようにすることが好ましい。
[記録媒体の製造方法]
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層用塗工液を支持体に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
<支持体の作製方法>
本発明において、支持体に用いられる基紙の作製方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
基紙の上に樹脂層を設ける方法、即ち、基紙を樹脂で被覆する方法としては、溶融押出法、ウェットラミネーション、ドライラミネーションなどが挙げられる。中でも、基紙の片面又は両面に溶融した樹脂を押し出しコーティングする溶融押出法が好ましい。例えば、搬送されてきた基紙と、押出ダイから押し出された樹脂を、ニップローラと冷却ローラーとの間のニップ点において接触させ、ニップで圧着することで樹脂層を基紙上にラミネートする方法(押出コーティング方法ともいう)が広く採用されている。溶融押出法により、樹脂層を設ける際には、基紙と樹脂層の接着がより強固となるように、前処理を施してもよい。前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネートなどのアンカーコート処理などが挙げられる。中でも、コロナ放電処理が好ましい。また、樹脂層に白色顔料を含有する場合は、樹脂と白色顔料を混合したもので、基紙を被覆すればよい。
上記のようにして作製した支持体を、インク受容層を形成する前に、巻芯にロール状に巻き取る工程を有することが好ましい。巻芯は、直径が50mm以上300mm以下のものが好ましく用いられる。また、巻き取る際の張力としては、50N/m以上800N/m以下が好ましい。尚、巻き取る際の張力は、巻き始めから巻き終わりまで一定でもよい。また、巻き始めの圧力集中を緩和するために、巻き始めから巻き終わりにかけて徐々に張力を低下させてもよい。
<インク受容層の形成方法>
本発明の記録媒体の製造方法において、支持体表面に、インク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、支持体表面に、シリカ分散液と一価の水溶性金属塩であるキレート剤とを含むインク受容層用の塗工液を塗工する。そして、支持体表面に塗工された前記塗工液を乾燥することで、インク受容層が形成され、記録媒体を得ることができる。インク受容層用の塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[記録媒体の作製]
<支持体の作製>
カナダ標準濾水度が450mLCSFのLBKP80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFのNBKP20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.030部を混合し、固形分の含有量が3.0質量%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させる。そして、更に、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、厚さが100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン70部と、高密度ポリエチレン20部と、酸化チタン10部とからなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/mとなる様に、基紙の片面に塗工した。尚、この面を支持体の表面とする。更に、低密度ポリエチレンを、基紙のもう一方の面に塗工することで、支持体を得た。
<インク受容層用塗工液の調製>
(無機粒子分散液1の調製)
純水349.3g中に、気相法シリカAEROSIL50(日本アエロジル社製)149.7g、8N水酸化カリウム1.1gを添加した。その後、ロボミックス(プライミクス社製)で3000rpmの回転数で10分間撹拌した後にCLEAMIX(エム・テック株式会社製)、無機粒子として気相法シリカを含有する無機粒子分散液1(固形分の含有量は30.0%)を調製した。無機粒子分散液1中の気相法シリカの平均一次粒子径は230nmであった。
(インク受容層用の塗工液1の調製)
無機粒子分散液1に含まれる無機粒子100質量部に対してポリビニルアルコール(クラレ社製 重合度3500)を10部、ヘキサメチレンジアミン4酢酸Na(EDTA4Na)を1.6質量部、純水を固形分の含有量が20%となるように調製し、インク受容層用の塗工液1を得た。
(インク受容層用の塗工液2の調製)
ヘキサンメチレンジアミン4酢酸Naの量を0.6部に変更した以外はインク受容層用の塗工液1と同様の調製を行い、インク受容層用の塗工液2を得た。
(インク受容層用の塗工液3の調製)
ヘキサンメチレンジアミン4酢酸Naの量を0.7部に変更した以外はインク受容層用の塗工液1と同様の調製を行い、インク受容層用の塗工液3を得た。
(インク受容層用の塗工液4の調製)
ヘキサンメチレンジアミン4酢酸Naの量を2.6部に変更した以外はインク受容層用の塗工液1と同様の調製を行い、インク受容層用の塗工液4を得た。
(インク受容層用の塗工液5の調製)
ヘキサンメチレンジアミン4酢酸Naの量を2.8部に変更した以外はインク受容層用の塗工液1と同様の調製を行い、インク受容層用の塗工液5を得た。
(インク受容層用の塗工液6の調製)
キレート剤をクエン酸三ナトリウム(クエン酸3Na)に変更した以外はインク受容層用の塗工液1と同様の調製を行い、インク受容層用の塗工液6を得た。
(インク受容層用の塗工液8の調製)
キレート剤を1,2-ビス(o-アミノフェノキシド)エタン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸(BAPTA4K)に変更した以外はインク受容層用の塗工液1と同様の調製を行い、インク受容層用の塗工液8を得た。
(インク受容層用の塗工液9の調製)
キレート剤をヒドロキシエチルイミノ二酢酸2Na(HIDA4Na)に変更した以外はインク受容層用の塗工液1と同様の調製を行い、インク受容層用の塗工液9を得た。
(インク受容層用の塗工液12の調製)
キレート剤を添加しないことを変更した以外はインク受容層用の塗工液1と同様の調製を行い、インク受容層用の塗工液12を得た。
(無機粒子分散液2の調整)
純水343.5g中に、気相法シリカAEROSIL50(日本アエロジル社製)145.6g、ポリジアリルアミン系カチオン性樹脂(第一工業製薬社製、商品名:シャロールDC902)を10.9g添加した。その後、ロボミックス(プライミクス社製)で3000rpmの回転数で30分間撹拌し、無機粒子として気相法シリカを含有する無機粒子分散液1(固形分の含有量は30.0%)を調製した。無機粒子分散液1中の気相法シリカの平均一次粒子径は230nmであった。
(インク受容層用の塗工液7の調製)
無機粒子分散液2に含まれる無機粒子100質量部に対してポリビニルアルコール(クラレ社製 重合度3500)を10部、ヘキサメチレンジアミン4酢酸Na(EDTA4Na)を1.6質量部、純水を固形分の含有量が20%となるように調整し、インク受容層用の塗工液7を得た。
(インク受容層用の塗工液10の調製)
純水249.4質量部中に特開平7-89221号公報記載のアルミナ水和物Aを18質量部、イミダゾリウム化合物9質量部(四国化成社製、商品名キュアゾールSFZ)、エチレンジアミン4酢酸Na(EDTA4Na)(キシダ化学社製)を6部、ポリアクリルアマイド(星光化学社製、商品名XコートP-170)を17.6部添加し、スターラーで30分間撹拌した後に、TKホモミキサーで8000rpm、30分間分散処理を行い、インク受容層用の塗工液10を調製した。
(無機粒子分散液3の調製)
アルミナ水和物DISPERAL HP30(サソール社製)100質量部、メタンスルホン酸0.5質量部を固形分の含有量が25質量%になるように純水中に投入した。その後、ロボミックス(プライミクス社製)で3000rpmの回転数で30分間撹拌し、無機粒子分散液3を得た。
無機粒子分散液3中のアルミナ水和物の平均一次粒子径は150nmであった。
(インク受容層用の塗工液11の調製)
無機粒子分散液3に含まれる無機粒子100部に対してポリビニルアルコール(クラレ社製 重合度3500)を10部、ヘキサメチレンジアミン4酢酸Na(EDTA4Na)を1.6質量部、純水を固形分の含有量が20%となるように調整した。
<記録媒体の作製>
(記録媒体1)
上記で得た支持体表面に、上記で調製したインク受容層用の塗工液1を乾燥塗工量が35g/mになるように塗工した。更に、塗工後、80℃の熱風で乾燥し、記録媒体1を得た。
(記録媒体2~12)
インク受容層用の塗工液を2~12に変更した以外は、記録媒体1と同様にして記録媒体2~12をそれぞれ作製した。
<記録媒体の紙面pHの測定>
記録媒体の紙面pHは、作製した記録媒体のインク受容層側の表面にマイクロピペットを用いて40μL滴下したのちに、pH測定装置(HORIBA社製、製品名:LAQUA)を用いて測定を行った。それぞれの記録媒体の紙面pHの測定結果を表1に示す。
<記録媒体の表面ゼータ電位の測定>
本発明において、表面ゼータ電位とは固体の記録媒体表面と液体との界面に生じる電位を指す。本発明では、ゼータ電位計(製品名:ELS-Z2(大塚電子社製))、平板試料用セルを用いて記録媒体のインク受容層側の表面ゼータ電位の測定を行った。モニター粒子溶液はモニター粒子としてポリスチレンラテックス(大塚電子社製)を用い、10mMNaCl溶液により300倍に希釈し、pHを測定する記録媒体と同じpHになるように酸性側は0.1M HCl溶液を、アルカリ性側は0.1M NaOH溶液を用いて調製を行った。それぞれの記録媒体の表面ゼータ電位は、表1に示す。
[評価]
本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のAA~Bを好ましいレベルとし、C、Dを許容できないレベルとした。尚、下記の各評価において、記録媒体に画像を記録する際は、インクジェット記録装置はPro-10S(キヤノン製)に、インクカートリッジPGI-73(キヤノン製)を装着して記録した。その際の記録条件は、温度:23℃、相対湿度:50%とした。尚、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約22ngのインクを1滴付与する条件で記録された画像を、記録Dutyが100%であると定義するものである。
(画像記録部の光沢性及び写像性の評価)
記録媒体に上記インクジェット記録装置を用い、記録デューティが200%のシアン画像を、総スキャン数が8回の条件で画像を記録した。光沢度及び写像性の測定対象には、上記で得られた画像を、常温常圧(温度25℃、相対湿度50%)の環境に1時間載置した後のものを用いた。そして、光沢度計(商品名「表面反射アナライザーRA-532H」、キヤノン製)を用いて、ベタ画像の20°光沢(光沢性)、及び、鏡面光沢性(写像性)を測定した。
また、画像記録部の写像性と光沢性の評価は、キレート剤を含有したインク受容層用の塗工液を用いて作製した記録媒体1~11と、キレート剤を含有しないインク受容層用の塗工液を用いて作製した記録媒体12とを比較として、その差分で行った。なお差分が5未満は測定装置の測定精度のばらつきの範囲とみなし効果がないと判断している。
[光沢性]
AA:差分が15以上である
A:差分が10以上、15未満である
B:差分が5以上、10未満である
C:差分が0以上、5未満である
D:差分が0未満である
[写像性]
AA:差分が12以上である
A:差分が10以上、12未満である
B:差分が5以上、10未満である
C:差分が0以上、5未満である
D:差分が0未満である
Figure 2023049843000001

Claims (4)

  1. 支持体とインク受容層とを有するインクジェット記録媒体の製造方法であって、
    前記支持体表面に、シリカ分散液と一価の水溶性金属塩であるキレート剤とを含むインク受容層用の塗工液を塗工する工程と、
    前記塗工液を乾燥することによって、前記インク受容層を形成する工程と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 前記塗工液中における前記キレート剤の含有量が、前記塗工液の乾燥後の重量を基準として、2.0質量%以上8.0質量%以下である請求項1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記インクジェット記録媒体の紙面pHが7.0以上である請求項1又は2記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  4. 前記インクジェット記録媒体の表面ゼータ電位が負である請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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