JP2022172839A - 記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 顔料インクを用いた高速での画像記録時において、ビーディングの発生を抑制し、かつ画像の記録部及び非記録部において優れた光沢性を有する記録媒体を提供すること。【解決手段】 基材と、インク受容層と、を有する記録媒体であって、式(1)で表される構成単位を表面に有するシリカ粒子を含有することを特徴とする記録媒体である:Y(4-n)(SiOn/2) (1)(式(1)中、Yはアニオン性基を示し、nは1、2、または3である。)。【選択図】 なし

Description

本発明は記録媒体に関する。
近年、更なる生産性向上のためインクジェット記録装置における画像記録の高速化が進んでいる。また、インクジェット記録方法に用いるインクには、高いレベルの堅牢性(耐光性、耐ガス性、耐水性など)を有する画像を記録できることが要求されている。そのため、色材として顔料を用いた顔料インクが利用される機会が増加している。
しかしながら、インクジェット用の記録媒体に顔料インクを記録した場合、顔料インクの記録媒体への浸透速度が遅いことに起因するビーディングと呼ばれる画像ムラが発生することがある。このビーディングを抑制するために、顔料インクを用いる場合は染料インクを用いる場合よりも低速で画像記録を行う必要があった。また、顔料インクによる画像記録では記録媒体上に顔料が堆積するため、顔料インクの記録媒体への浸透速度が遅いことによる顔料の凝集ムラが発生し、その結果、画像の光沢性が低下することがあった。
光沢性を向上するという課題に対しては、これまでいくつかの提案がなされている。
特許文献1及び2では、光沢性とインク吸収性を向上するために、ノニオン性シランカップリング剤で処理したアニオン性シリカを含む記録媒体が提案されている。
特許文献3では、光沢性を向上するために、上層にpHによりアニオン性に調整されたシリカを含有し、下層にホウ酸を含有する記録媒体が提案されている。
特開2005-1377号公報 特開2007-160606号公報 特表2011-502824号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1及び2に記載の記録媒体では、顔料インクで高速に画像記録を行った場合では、ビーディングや記録部及び非記録部の光沢性を十分に改善することができないことが分かった。また、特許文献3に記載の記録媒体では顔料インクの記録部及び非記録部の光沢性を十分に改善することができないことがわかった。
したがって、本発明の目的は、顔料インクを用いた高速での画像記録時において、ビーディングの発生を抑制し、かつ画像の記録部及び非記録部において優れた光沢性を有する記録媒体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明にかかる記録媒体は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられたインク受容層と、を有する記録媒体であって、前記インク受容層が、下記式(1)で表される構成単位を表面に有するシリカ粒子を含有することを特徴とする:
(4-n)(SiOn/2) (1)
(式(1)中、Yはアニオン性基を示し、nは1、2、または3である。)。
本発明によれば、顔料インクを用いた高速での画像記録時において、ビーディングの発生を抑制し、かつ画像の記録部及び非記録部において優れた光沢性を有する記録媒体を提供することができる。また、本発明によれば、良好な画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明者らが検討したところ、インクジェット用の写真用紙として用いられる光沢紙(光沢を有する記録媒体)では、一般的に微小な無機粒子を含む塗工液を基材上に塗布し、塗工液を乾燥させることにより、微小な細孔を有するインク受容層が形成される。顔料インクは染料インクと異なりインク中で色材が分散状態で存在している。この分散粒径が前述の記録媒体の持つ細孔よりも十分大きいため光沢紙に付与された顔料インク中の顔料はインク受容層の表面に存在することとなる。
一般的な家庭用のインクジェット記録装置では微小なインクの液滴を複数回に分けて走査しながら記録媒体に吐出することによって画像を記録する。顔料インクを用いて画像を記録した場合、記録媒体に1回目の走査で先に付与された顔料インクによって、2回目以降の走査で後に付与された顔料インクの記録媒体へのインク吸収性が低下してしまう。その結果、ビーディングが発生しやすいことが本発明者らの検討により判明した。本発明者らは種々検討を行った結果、インク受容層にアニオン性の無機粒子を含有することでビーディングの発生が抑制できることを見出した。これはインク受容層にアニオン性の無機粒子を含有することにより、インク受容層とインクとの接触界面における顔料インク中に含まれるアニオン性の水溶性樹脂の凝集が抑制される。その結果、このアニオン性の水溶性樹脂の凝集によるインク受容層の表面の細孔の目詰まりが抑制され、インク吸収性が改善したため、ビーディングの発生が抑制されたものと考えられる。さらに、インク受容層にアニオン性の無機粒子が含有することで画像の非記録部だけでなく、画像の記録部の光沢性も改善できることを見出した。これは、上記の通り、ビーディングの発生が抑制されたため、インク中の顔料の凝集ムラが抑制され、画像の記録部の表面が平滑化されたものと考えられる。
また、本発明では、インク受容層が下記式(1)で表される構成単位を表面に有するシリカ粒子を含有することが重要である。
(4-n)(SiOn/2) (1)
(式(1)中、Yはアニオン性基を示し、nは1、2、または3である。)。
シリカ粒子が上記式(1)で表される構成単位を有することによって、インク受容層のアニオン性を高めることができるため、インク受容層の表面におけるインク中のアニオン性の水溶性化合物によるインク受容層の細孔の目詰まりを抑制することができる。
一方で特許文献1及び2等の従来技術では無機粒子に非晶質シリカを塩基で中和し、シリカ表面に存在するシラノール基を負に帯電させたアニオン性シリカにノニオン性のシランカップリング剤により処理した変性シリカを用いている。本発明者らの検討によると、これらの変性シリカを用いた場合、ビーディングの発生を十分に抑制することができなかった。これは、非晶質シリカ表面に存在するシラノール基がノニオン性のシランカップリング剤に置換されることによりアニオン性を有するシラノール基が減少する。そして、インク受容層のアニオン性が低下するため、アニオン性の樹脂粒子がインク受容層に目詰まりしやすくなったためであると本発明者らは推測している。更に特許文献3等の従来技術ではシリカをpHの調整によってアニオン化したシリカを用いている。本発明者によるとこのシリカを用いた場合、インク受容層の光沢性や平滑性が得られない課題があった。これは無機粒子を一旦水溶液中に分散し、その分散液を含む塗工液を塗布、乾燥することでインク受容層を形成することが一般的であるが、無機粒子をpHの調整のみでアニオン化した無機粒子は水溶液中での分散が不安定であるためと本発明者らは推定している。
また、上記(1)において、nは2または3であることが好ましい。nが2または3であることによって、シリカ粒子の表面におけるアニオン性基の数が多くなるため、シリカ粒子のアニオン性をより向上させることができ、その結果、インク中の水溶性樹脂による目詰まりをより高いレベルで抑制することができる。
また、上記式(1)において、Yは、下記式(2)で表される基であることが好ましい。
Figure 2022172839000001
Yが上記式(2)で表される基であることで、1つのシラノール基に対して複数のアニオン性基を導入できることができ、ビーディングの発生を更に抑制することができる。
以上のメカニズムのように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、本発明の効果を達成することが可能となる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。
[記録媒体]
記録媒体は、基材と、少なくとも1層のインク受容層とを有する。記録媒体は、インクジェット記録方法に用いる記録媒体、即ち、インクジェット用の記録媒体であることが好ましい。
本発明においては、記録媒体のJIS P 8149:2000で規定される不透明度が97%以上であることが好ましい。
以下、記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<基材>
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。その中でも、基材は基紙と樹脂層を有することが好ましい。その場合、樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよいが、記録媒体のカールを抑制する点から両面に設けられていることが好ましい。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。木材パルプの中でも短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも好ましい。紙基材中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
基紙の厚さは、50μm以上130μm以下であることが好ましく、90μm以上120μm以下であることがより好ましい。尚、本発明において、基紙の厚さは、以下の方法で算出する。まず、記録媒体の断面をマイクロトームで切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基紙の任意の100点以上の厚さを測定し、その平均値を基紙の厚さとする。尚、基紙以外のその他の層の厚さも同様の方法で算出するものとする。
基紙のJIS P 8118で規定される紙密度は、0.6g/cm以上1.2g/cm以下であることが好ましく、0.7g/cm以上1.2g/cm以下であることがより好ましい。
(樹脂層)
基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよい。このとき、樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)が70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、更には、100%であることが特に好ましい。樹脂層の被覆率が100%であるということは、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることを意味する。
また、樹脂層の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましく、35μm以上50μm以下であることがより好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の厚さがそれぞれ上記範囲を満足することが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。本発明において、ポリオレフィン樹脂とは、モノマーとしてオレフィンを用いた重合体を意味する。具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
樹脂層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。尚、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。また、樹脂層中の、白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。25質量%より大きいと、白色顔料の分散安定性が十分に得られない場合がある。
本発明において、樹脂層のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、0.12μm以上0.18μm以下であることが好ましく、更には、0.13μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。
<インク受容層>
インク受容層は単層でもよいし、2層以上の複層でもよい。また、インク受容層は、上記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。基材の片面における、インク受容層の厚さは、15μm以上60μm以下であることが好ましく、30μm以上45μm以下であることがより好ましい。
インク受容層の表面のpHは7.0以下であることが好ましい。インク受容層の表面のpHが7.0以下とすることで、インク受容層の表面のシラノール基のプロトンの乖離が生じにくく、シラノール基とバインダーとしてPVAの水酸基との相互作用によって、インク受容層において平滑な表面を形成しやすい。本発明におけるインク受容層の表面のpHはTAPPI紙パルプ試験方法No.49-1に記載の方法にて測定を行ったものであり、イオン交換水を用いてインク受容層を湿潤後30秒後のpHの値である。
以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
(無機粒子)
インク受容層は無機粒子を含有する。無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下が好ましい。更には、1nm以上30nm以下がより好ましく、3nm以上10nm以下が特に好ましい。本発明において、無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
無機粒子は、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、0.1nm以上500nm以下が好ましく、1.0nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上250nm以下が特に好ましい。尚、分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
インク受容層の塗工液中において、無機粒子を等電点よりもマイナスの電荷を有するpH領域で分散することが好ましい。一般的に気相法シリカではpH2.5以下である。
インク受容層中における無機粒子の含有量(質量%)は、インク受容層の全質量を基準として、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、70質量%以上96質量%以下であることがより好ましい。
インク受容層を形成する際に塗布する無機粒子の塗布量(g/m)は、8g/m以上45g/m以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、好ましいインク受容層の厚さとなりやすい。
本発明において、インク受容層は無機粒子として前記式(1)で表される構成単位を表面に有するシリカ粒子を含む。
インク受容層に用いるシリカは、その製法により湿式法と乾式法(気相法)に大別される。湿式法としては、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が知られている。一方、乾式法(気相法)としては、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が知られている。乾式法(気相法)により得られるシリカ(以下、「気相法シリカ」ともいう)を用いることが好ましい。これは、気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性が特に高く、また、屈折率が低いので、インク受容層に透明性を付与でき、良好な発色性が得られるためである。具体的に、気相法シリカとしては、アエロジル(日本アエロジル製)、レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などが挙げられる。
本発明において、気相法シリカのBET法による比表面積は50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、200m/g以上350m/g以下であることがより好ましい。
気相法シリカは、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での気相法シリカの粒子径は、50nm以上300nm以下であることがより好ましい。尚、分散状態での気相法シリカの粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
インク受容層は、上記のシリカ以外に、その他の無機粒子を含んでもよいが、インク受容層に含有される無機粒子の全質量を基準として上記のシリカ粒子を50質量%以上含有することが好ましい。
シリカ以外の無機粒子としては、気相法シリカ、気相法アルミナ、アルミナ水和物、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
(シランカップリング剤)
上記式(1)で表される構成単位を表面に有するシリカ粒子は、シランカップリング剤によってシリカの表面処理を行うことによって得されることが好ましい。
シリカの表面処理に用いられるカップリング剤は、特に制限されるものではなく、公知の種々のカップリング剤が使用可能であるが、シリカとの反応性に優れているという点から、シランカップリング剤を使用することが好ましい。
このシランカップリング剤としては、例えば、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリヒドロキシシリルプロピルメチルホスネートナトリウム塩、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、3-(トリヒドロキシシリル)-1-プロパンスルホン酸などが挙げられる。シランカップリング剤は、単独で使用しても、2種類以上併用してもよい。
シランカップリング剤は、1分子に対して2または3つのアニオン性基を有することが好ましい。
これは、シリカ粒子の表面により多くのアニオン性基を導入でき、その結果、表面処理されたシリカ粒子の静電的または立体的な斥力をより効果的に発現し、より分散性が高くすることができるためである。その中でも、シランカップリング剤が3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物であることが好ましい。理由は定かではないが、静電的または立体的な斥力を発現させる部分と水性媒体と親和性を有する部分を適正なバランスで導入できるためであると本発明者らは推測している。
シリカ粒子をシランカップリング剤で表面処理する場合における、シランカップリング剤の量は、表面処理前のシリカ粒子の量を基準として、1~8質量%であるが好ましく、より好ましくは1~3質量%である。シランカップリング剤の添加量が上記の範囲内であることで、シリカ粒子の表面処理による細孔体積の減少を抑制しつつ、シリカ粒子のインク受容層用の塗工液中における分散安定性を向上させることができる。その結果、形成されるインク受容層の表面の光沢性とインク吸収性を両立することができる。
シランカップリング剤がシリカ粒子の表面に結合していることは固体ケイ素NMRなどで適宜分析することができる。
(バインダー)
インク受容層はバインダーを含有することが好ましい。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。
インク吸収性の観点から、インク受容層中におけるバインダーの含有量は、無機粒子の含有量を基準として、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。また、インク受容層の結着性の観点から、インク受容層中におけるバインダーの含有量は、5.0質量%以上であることが好ましく、8.0質量%以上であることがより好ましい。
バインダーとしては例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、及びポリビニルアルコール、並びに、それらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン-酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;カチオン基を用いて上記重合体をカチオン化したもの;カチオン性界面活性剤を用いて上記重合体の表面をカチオン化したもの;カチオン性ポリビニルアルコール下で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの;カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダー;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
その中でも、バインダーとしてポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体を用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61-10483号公報に記載されているような、第1~3級アミノ基または第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下であることが好ましく、85mol%以上98mol%以下であることがより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じた水酸基のモル数の割合であり、本発明においては、JIS-K6726の方法で測定した値を用いるものとする。また、ポリビニルアルコールの平均重合度は、2,000以上であることが好ましく、2,000以上5,000以下であることがより好ましい。尚、本発明において平均重合度は、JIS-K6726の方法で求めた粘度平均重合度を用いるものとする。
インク受容層用の塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
(架橋剤)
インク受容層は更に架橋剤を含有することが好ましい。インク受容層に架橋剤を含有させることによって、インク受容層用の表面のpHが7.0以下であっても、高いアニオン性を保ちつつ、インク受容層のクラックを抑制することが出来る。
架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸またはホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、インク受容層用の塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
架橋剤の使用量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。インク受容層中における架橋剤の含有量は、バインダーの含有量を基準として、1.0質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
更に、バインダーがポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体であり、架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種である場合には、インク受容層中におけるホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量は、ポリビニルアルコール及びその誘導体の含有量を基準として、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
<下塗り層>
基材とインク受容層との密着性を向上する目的で、基材とインク受容層との間に、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、水溶性ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどを含有することが好ましい。下塗り層の厚さは、0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。
<バックコート層>
基材のインク受容層が設けられる面とは反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上する目的でバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、白色顔料やバインダーなどを含有することが好ましい。バックコート層の厚さは、乾燥塗工量が、1g/m以上25g/m以下となるようにすることが好ましい。
[記録媒体の製造方法]
記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層用塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法であることが好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
<基材の作製方法>
基紙の作製方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
基紙の上に樹脂層を設ける方法、即ち、基紙を樹脂で被覆する方法としては、溶融押出法、ウェットラミネーション、ドライラミネーションなどが挙げられる。中でも、基紙の片面又は両面に溶融した樹脂を押し出しコーティングする溶融押出法が好ましい。例えば、搬送されてきた基紙と、押出ダイから押し出された樹脂を、ニップローラと冷却ローラーとの間のニップ点において接触させ、ニップで圧着することで樹脂層を基紙上にラミネートする方法(押出コーティング方法ともいう)が広く採用されている。溶融押出法により、樹脂層を設ける際には、基紙と樹脂層の接着がより強固となるように、前処理を施してもよい。前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネートなどのアンカーコート処理などが挙げられる。中でも、コロナ放電処理が好ましい。また、樹脂層に白色顔料を含有する場合は、樹脂と白色顔料を混合したもので、基紙を被覆すればよい。
上記のようにして作製した基材を、インク受容層を形成する前に、巻芯にロール状に巻き取る工程を有することが好ましい。巻芯は、直径が50mm以上300mm以下のものが好ましく用いられる。また、巻き取る際の張力としては、50N/m以上800N/m以下が好ましい。尚、巻き取る際の張力は、巻き始めから巻き終わりまで一定でもよい。また、巻き始めの圧力集中を緩和するために、巻き始めから巻き終わりにかけて徐々に張力を低下させてもよい。
<インク受容層の形成方法>
記録媒体において、基材上にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用の塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工する。さらに、基材上に塗工された塗工液を乾燥することで、インク受容層を形成し、記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
[インクジェット記録方法]
インクジェット記録方法は、上記の記録媒体のインク受容層を有する側の表面に、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを付与して、前記記録媒体に画像を記録する。記録媒体に付与されるインクは、水性顔料インク及び水性染料インクのうちの少なくとも一方であることが好ましく、水性顔料インクであることがより好ましい。
インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。その中でも、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式であることが好ましい。
<インク>
インクジェット記録方法に用いるインクは、従来から用いられているインクを使用することができる。その中でも、水、または、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクであることが好ましい。
水としては、イオン交換水や純水などの脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、従来、インクジェット用のインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、アルキルエーテルアセテート類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
また、インクに含有される色材としては、公知の顔料や染料を用いることができる。その中でも顔料は画像の退色性に優れるため、好ましい。
顔料としては、アゾ顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、メチン・アゾメチン顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料等が挙げられる。
インクは、さらにアニオン性の水溶性樹脂を含むことが好ましい。
水溶性樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、これらの誘導体および共重合体が挙げられ、アニオン性の官能基としてはカルボニル基、スルホ基、ホスホン基などが挙げられる。
<インク中のその他の成分>
インクには、保湿性などの維持のために、上記した成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性を有する常温で固体の化合物を含有させてよい。インク中のこのような化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
また、インクには、上記した成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[記録媒体の作製]
<基材の作製>
カナダ標準濾水度が450mLCSFのLBKP80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFのNBKP20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.030部を混合し、固形分の含有量が3.0質量%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させる。更に、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、厚さが100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン70部と、高密度ポリエチレン20部と、酸化チタン10部とからなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/mとなる様に、基紙の片面に塗工した。尚、この面を基材の表面とする。更に、低密度ポリエチレンを、基紙のもう一方の面に塗工することで、基材を得た。
<インク受容層用の塗工液の調製>
(シリカ分散液A~Fの調整)
表1に示す種類及び量のシランカップリング剤を純水に入れ、pH3~4となるようにメタンスルホン酸を適宜添加してpHを調整した後、10分間撹拌してシランカップリング剤を加水分解させ活性化を行った。得られた加水分解されたシランカップリング剤とシリカ粒子(商品名:AEROSIL200、日本アエロジル社製、平均一次粒子径7~20nm)をミキサー(商品名:T.K.ロボミックス、プライミクス社製)に投入し、5,000rpmの条件で30分間撹拌して、シリカ(固形分)の含有量が25%のシリカ分散液A~Fを得た。
Figure 2022172839000002
[シランカップリング剤]
・3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、信越シリコーン製
・3-トリヒドロキシシリルプロピルメチルホスネートナトリウム塩、Gelest社製
・N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩、Gelest社製
・3-(トリヒドロキシシリル)-1-プロパンスルホン酸、Gelest社製
(シリカ分散液G)
攪拌機、温度計、還流冷却器、および滴下ロートを備えた装置に、平均一次粒子径50nm、固形分40%のアニオン性コロイダルシリカ(商品名:カタロイドSI-45P、触媒化成工業(株)製)985部を仕込み、75℃まで加熱した。次いで、撹拌下で75℃に保ちながら、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン15部を15分間かけて滴下し、同温度で30分間保温して反応を完結させた。これを冷却して、カップリング剤で処理した39.4%のシリカ分散液Gを得た。
(シリカ分散液H)
シリカ分散液Gとカチオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK-L、日産化学工業(株)製)とを、それらの固形分の質量比(アニオン性コロイダルシリカ/カチオン性コロイダルシリカ)が5/95になるように混合し、固形分濃度が35質量%となるように純水で調整して、シリカ分散液Hを得た。
(シリカ分散液I)
気相法シリカ(AEROSIL 200 日本アエロジル社製、平均一次粒子径7~20nm)100質量部、水酸化カリウム1部を加え、固形分濃度が20質量%になるように純水中に投入した。その後、(商品名:T.K.ロボミックス、プライミクス社製)で30分間撹拌し、シリカ分散液Iを得た。
(インク受容層用の塗工液1~5、7~9の調整)
下記表2に記載の組み合わせで、シリカ分散液A~F100部に対してポリビニルアルコール(商品名:POVAL95-88、(クラレ社製、重合度3500))を25部、ホウ酸を3部加えた。そして、塗工液のpHが表2に記載の値となるように8Nの水酸化カリウムを添加し、固形分濃度が15質量%となるように純水で調整してインク受容層用の塗工液1~5、7~9を得た。
Figure 2022172839000003
(インク受容層用の塗工液6の調整)
シリカ分散液A100部に対してポリビニルアルコール(商品名:PVA235、(クラレ社製、重合度3500))を25部、塗工液のpHが6.0となるように8Nの水酸化カリウムを添加し、固形分濃度が15質量%となるように純水で調整してインク受容層用の塗工液6を得た。
(インク受容層用の塗工液10の調整)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた装置に、脱イオン水641部、ポリオキシエチレン(n=5)ラウリルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩(乳化剤)9部、および、モノマー組成物(スチレン:108部、メタクリル酸メチル108部、アクリル酸n-ブチル:50部、メタクリル酸:34部)の内10部を仕込み、窒素気流下で75℃まで加熱した。次いで、撹拌下で75℃に保ちながら、過硫酸アンモニウム1.5部を溶解させた脱イオン水溶液10部を加えて重合反応を開始した。次いで、75℃に保ちながら残りのモノマー組成物290部を2時間かけて滴下した。さらに同温度で1時間保温して重合反応を完結させた。冷却後、10%アンモニア水でpHを8.0に調節し、脱イオン水で希釈して固形分30%、ガラス転移温度70℃、平均粒子径0.053μmの共重合体エマルジョンを得た。得られた共重合体エマルジョンを、シリカ分散液G100部に対して10部加え、固形分濃度が30質量%となるように純粋で調整してインク受容層用の塗工液10を得た。
(インク受容層用の塗工液11の調整)
シリカ分散液H100部に対してポリビニルアルコール(商品名:POVAL95-88、(クラレ社製、重合度3500))を15部加え、固形分濃度が30質量%となるように純水で調整してインク受容層用の塗工液10を得た。
(インク受容層用の塗工液12の調整)
シリカ分散液I100部に対してポリビニルアルコール(商品名:POVAL95-88、(クラレ社製、重合度3500))を25部加え、固形分濃度が15質量%となるように純粋で調整してインク受容層用の塗工液12を得た。また、シランカップリング剤の立体的な構造の効果により、インク受容層用の塗工液の乾燥収縮も緩和され、クラックの抑制に効果的であった。
<記録媒体の作製>
(記録媒体1~11の作製)
上記で得た基材上に、上記で調製したインク受容層用の塗工液1~11を乾燥塗工量が35g/mになるように塗工した。更に、塗工後、80℃の熱風で乾燥し、記録媒体1~11を得た。上記作製方法で得られた記録媒体のインク受容層の表面のpHをTAPPI紙パルプ試験方法No.49-1に記載の方法で測定した。インク受容層の表面のpHの測定結果を下記表3に示す。
(記録媒体12の作製)
上記で得た基材上に、ホウ砂(0.16g/m)およびPVP(K-90)ポリ(ビニルピロリドン)バインダー(0.16g/m)を含む下引き層用の塗工液をコーティングし、乾燥させた。下引き層上にインク受容層用の塗工液12を乾燥塗工量が35g/mになるように塗工した。更に、塗工後、80℃の熱風で乾燥し、記録媒体12を得た。記録媒体1と同様の方法で、記録媒体12のインク受容層の表面のpHを測定し、インク受容層の表面のpHの測定結果を表3に示す。
Figure 2022172839000004
(実施例1~9、及び、比較例1~3)
上記の得られた記録媒体1~12を以下の方法によって評価した。
[評価]
(ビーディングの評価)
上記で得られた記録媒体1~12の顔料インクを用いた高速での画像記録時におけるビーディングを評価した。インクジェット記録装置としては、製品名:Proー10S(キヤノン社製)の記録方法を改造したものを使用した。改造後の記録方法は、キャリッジ速度が12.5インチ/秒で、印刷のパス数を可変とした。ここでいうパス数とは記録Dutyをパス数分分割して印刷することを意味し、この記録装置における100%Dutyとは、600dpi四方に30.4ngのインクを付与することを意味する。
まず、記録媒体1~12のそれぞれに、上記インクジェット記録装置を用いて、記録Dutyが140%、120%、100%のグリーン色のベタ画像を総走査回数(総スキャン回数)の変更を行いながら記録を行った。走査毎に、記録Dutyを総走査回数で割った分のインクの付与を行った。総走査回数が少ないほど単位時間あたりに付与されるインク量が増えるため、印刷速度が速い(高速での画像記録)ということができる。得られた画像におけるビーディング現象の発生の有無を目視で確認した。尚、ビーディング現象とは、記録媒体に吸収される前のインク滴同士が合体する現象で、インク吸収性と相関が高いことが知られている。記録Dutyが高い画像でもビーディング現象が発生しなければインク吸収性が高いと判断することができる。評価基準は以下の通りとした。
AA:総走査回数が3回の140%Dutyの画像でもビーディング現象が発生していなかった。
A:総走査回数が3回の140%Dutyの画像ではビーディング現象がみられたが、総走査回数が3回の120%Dutyの画像ではビーディング現象は発生していなかった。
B:総走査回数が3回の120%Dutyの画像ではビーディング現象がみられたが、総走査回数が4回の100%Dutyの画像ではビーディング現象は発生していなかった。
C:総走査回数が3回の100%Dutyの画像ではビーディング現象がみられたが、総走査回数が3回の80%Dutyの画像ではビーディング現象は発生していなかった。
D:総走査回数が3回の80%Dutyの画像でもビーディング現象がみられた。
(画像の記録部の光沢性の評価)
上記で得られた記録媒体1~12の顔料インクを用いた高速での画像記録時における光沢性を評価した。インクジェット記録装置としては、ビーディング評価と同様の装置を用いた。
まず、記録媒体1~12のそれぞれに、上記インクジェット記録装置を用いて、記録Dutyが100%でブラック色のベタ画像を総走査回数3回で記録を行った。
AA:20°光沢が30以上である。
A:20°光沢が25以上、30未満である。
B:20°光沢が20以上、25未満である。
C:20°光沢が15以上、20未満である。
D:20°光沢が15未満である。
(記録媒体(画像の非記録部)の光沢性の評価)
作製した記録媒体1~12のインク受容層が存在する側の表面の白紙部(非記録部)の表面の20°光沢を光沢計(商品名:VG2000、(日本電色工業社製))を用いて測定した。
AA:20°光沢が20以上である。
A:20°光沢が15以上、20未満である。
B:20°光沢が10以上、15未満である。
C:20°光沢が3以上、10未満である。
D:20°光沢が3未満である。
Figure 2022172839000005

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられたインク受容層と、を有する記録媒体であって、
    前記インク受容層が、下記式(1)で表される構成単位を表面に有するシリカ粒子を含有することを特徴とする記録媒体:
    (4-n)(SiOn/2) (1)
    (式(1)中、Yはアニオン性基を示し、nは1、2、または3である。)。
  2. 前記インク受容層の表面のpHが7.0以下である請求項1に記載の記録媒体。
  3. 前記インク受容層は、ホウ酸またはホウ酸塩を含有する請求項1または2に記載の記録媒体。
  4. 前記nが2または3であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記録媒体。
  5. 前記Yが、下記式(2)で表される基である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の記録媒体。
    Figure 2022172839000006
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