JP2018187841A - インクジェット用記録媒体 - Google Patents

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Takashi Sugiura
喬 杉浦
浅川 浩
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Abstract

【課題】基材の表面にインク受容層を有するマット調のインクジェット用記録媒体であって、記録媒体の傷耐性および染料インク吸収性に優れたインクジェット用記録媒体を提供すること。
【解決手段】基材上に少なくとも二層のインク受容層を有し、基材から最も距離の離れた位置に設けられている最表層のインク受容層が、平均二次粒子径が70〜200nmであるコロイダルシリカと、平均二次粒子径が1.0〜10.0μmである湿式シリカを無機粒子として含有し、その質量配合比がコロイダルシリカ:湿式シリカ=100:10〜100:30であり、最表層のインク受容層の算術平均粗さRaが1.0μm以上であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット用記録媒体に関する。
インクジェット記録方式に用いる塗工紙は、インク受容層に光沢を有するグロス紙と、光沢を有さないマット紙に大別される。
一般的にマット紙はその定義が厳密に定まっていない。現在、75度鏡面光沢度が15%以下であることをマット紙と判断することがあるが、この場合、インク受容層の光沢性が依然として視認されるのが現状である。このことを加味すると、60度鏡面光沢度が5%以下であることが、インク受容層の光沢性が視認されないレベルであり、マット調の面性により近く、厳密なマット紙と位置付けることができる。
特に、このようなマット調のインクジェット用記録媒体に要求される特性としては、記録媒体への傷に対する耐性を有すること、インクの滲みや溢れがなく優れた印字適性を有すること等が挙げられる。これらの特性を向上する為には、インク受容層の改善が必要であり、様々な技術が報告されている。
特許文献1には、記録媒体の最表面層が1.5〜2.5μmの湿式シリカを含有し、その下層に平均二次粒子径が500nm以下の無機粒子を含有した記録媒体の顔料インクの耐傷性が向上することが記載されている。
また、特許文献2には、最表層のインク受容層中の顔料として、合成非晶質シリカとコロイダルシリカを、合成非晶質シリカ:コロイダルシリカ=98:2〜60:40の重量比で含有し、75度鏡面光沢度が15%以下である記録媒体が、マット調を有し、インク発色性が向上する事が記載されている。
特開2007−223306号公報 特開2005−212263号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の記録媒体では、顔料インクの印字部の剥離については記載があるが、用紙自体の傷耐性、及び、インク吸収性に関しては依然として課題であった。
また、特許文献2に記載の記録媒体では、優れた傷耐性とインク吸収性を兼ね備えたマット調のインクジェット用記録媒体はいまだ得られていない。
したがって、本発明の目的は、基材の表面にインク受容層を有するマット調のインクジェット用記録媒体であって、記録媒体の傷耐性および染料インク吸収性に優れたインクジェット用記録媒体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット用記録媒体は、基材上に少なくとも二層のインク受容層を有し、基材から最も距離の離れた位置に設けられている最表層のインク受容層が、平均二次粒子径が70〜200nmであるコロイダルシリカと、平均二次粒子径が1.0〜10.0μmである湿式シリカを無機粒子として含有し、その質量配合比がコロイダルシリカ:湿式シリカ=100:10〜100:30であり、最表層のインク受容層の算術平均粗さRaが1.0μm以上であることを特徴とする。
本発明によれば、マット調の面性を有し、優れた傷耐性および染料インクの吸収性を備えたインクジェット用記録媒体を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明者らが種々の検討を行ったところ、コロイダルシリカと湿式シリカで構成されたインク受容層は優れた傷耐性を有することが分かった。
傷が発生する要因としては、物理的応力によるインク受容層表面の材料の擦過、または、インク受容層中の空隙の潰れが挙げられ、傷耐性を付与する為には上記二つを同時に解決する必要がある。一般的なマット調の記録媒体のインク受容層は、湿式シリカを主体として構成されている。このインク受容層中には多くの空隙が存在すると共に、擦過に対する耐性が弱いことから、傷耐性に改善の余地があった。
上記の課題を解決する為に、湿式シリカとコロイダルシリカを適切な比率で配合して構成されるインク受容層を検討した。コロイダルシリカは、材料として擦過への耐性が強く、また、湿式シリカと配合することで、湿式シリカ間の空隙に入り込み、空隙を減少させることができる。以上から、湿式シリカとコロイダルシリカを適切に配合することで、マット調の面性を有したまま傷耐性を向上させることができる。
[記録媒体]本発明の記録媒体は、基材と、少なくとも二層のインク受容層とを有する。本発明においては、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましい。
以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<基材>
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられるが、本発明においては、どちらを用いても良い。
本発明において、基材のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、0.1μm以上であることが好ましく、更には、0.5μm以上であることがより好ましい。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。紙基材中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
(樹脂層)
本発明において、基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよい。
樹脂層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、セルローストリアセテート、ポリスチレンなどが挙げられる。その中でエチレン、プロピレンを主体とする共重合体などのポリオレフィン類が好ましいが、ポリエチレンが特に好ましい。
本発明において、樹脂層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。本発明において、樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。尚、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。

<インク受容層>
本発明において、インク受容層は二層以上である必要がある。また、インク受容層は、上記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。
尚、以下の記載から、基材から最も距離の離れた位置に設けられているインク受容層を指す場合、「最表層のインク受容層」と明記する。また、最表層のインク受容層と隣接して設けられるインク受容層を指す場合、「下層のインク受容層」と明記する。記載において特に限定しない場合には、「インク受容層」と明記する。
<最表層のインク受容層>
本発明においては、最表層のインク受容層には、コロイダルシリカ、湿式シリカを含むことが必要である。上記に加えて、バインダー、架橋剤も含まれていることが好ましい。コロイダルシリカと湿式シリカの質量配合比は、コロイダルシリカ:湿式シリカ=100:10〜100:30(質量比)であることが必要である。湿式シリカが10部を下回る場合、マット面性を得ることが難しくなり、30部を超える場合、傷耐性が低下する。最表層のインク受容層を形成する際に塗布するコロイダルシリカと湿式シリカの合計塗布量(g/m)は、0.2g/m以上30g/m以下であることが好ましく、0.4g/m以上5g/m以下であることがさらに好ましい。コロイダルシリカと湿式シリカの合計含有量(質量%)は、50質量%以上98質量%以下であることが好ましい。
最表層のインク受容層の算術平均粗さは、1.0μm以上である必要がある。1.0μm未満の場合、マット調の面性を得ることができない場合がある。
最表層のインク受容層の厚みは0.1μm以上30μm以下であることが好ましく、0.3μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。
(コロイダルシリカ)
本発明においては、コロイダルシリカの中でも、球状コロイダルシリカが、傷耐性の効果が高いため好ましい。ここでいう「球状」とは走査型電子顕微鏡によって観察したときのコロイダルシリカ粒子(50個以上100個以下)の平均長径aと平均短径bの比b/aが0.80以上1.00以下の範囲に入ることを意味する。b/aは0.90以上1.00以下がより好ましく、0.95以上1.00以下が特に好ましい。更には、球状のカチオン性コロイダルシリカであることが好ましい。
本発明において、コロイダルシリカの平均一次粒子径は、5nm以上100nm以下が好ましい。ここで、平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときのコロイダルシリカ粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
本発明において、コロイダルシリカの分散状態での平均二次粒子径は、70〜200nmである必要がある。70nmを下回る場合、インク吸収性が低下し、200nmを超える場合、傷耐性が低下する。尚、分散状態での平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
(湿式シリカ)
湿式シリカは湿式法で製造され、湿式法には、沈殿法とゲル化法がある。湿式沈殿法は通常、ケイ酸ソーダと硫酸等を水溶液中で反応させて、SiOを沈殿させる方法で、反応温度や酸の添加速度等の条件によりシリカの一次粒子径等を調整することができる。また、乾燥や粉砕条件等で二次粒子径等も変化させることができる。湿式ゲル化法は一般的に、ケイ酸ソーダと硫酸の同時添加等で反応させて製造されるものであり、シラノール基の脱水縮合等によるシリカ粒子同士の重合が進んで三次元的なハイドロゲル構造になったものである。湿式ゲル化法で製造したシリカは、比較的小さなハイドロゲル構造であるため、湿式沈殿法と比べて比表面積の大きな二次粒子径を製造することが可能である。
本発明において、湿式シリカの平均一次粒子径は、5nm以上100nm以下が好ましい。また、湿式シリカの分散状態での平均二次粒子径は、1.0〜10.0μmである必要がある。1.0μmを下回る場合、マット調の面性を得ることが難しくなり、10.0μmを超える場合、傷耐性が低下する。
<下層のインク受容層>
本発明において、下層のインク受容層は無機粒子を含有することが好ましい。また、上記無機粒子に加えて、バインダー、架橋剤を含有することが好ましい。
下層のインク受容層を形成する際に塗布する無機粒子の合計塗布量(g/m)は、10g/m以上45g/m以下であることが好ましく、15g/m以上35g/m以下であることがさらに好ましい。無機粒子の合計含有量(質量%)は、50質量%以上98質量%以下であることが好ましい。
下層のインク受容層の厚みは10μm以上30μm以下であることが好ましい。上記無機粒子について詳しく説明する。
(無機粒子)
無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下が好ましい。無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。無機粒子は、分散剤によって分散されている状態で、下層のインク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。本発明において、上記無機粒子の分散状態での平均二次粒子径は、100〜500nmであることが好ましい。下層のインク受容層は、平均二次粒子径が100〜500nmである無機粒子を主体とすることが好ましい。具体的には、下層のインク受容層中に占める、無機粒子の含有量(質量%)は、50質量%以上98質量%以下であることが好ましい。
本発明に用いる無機粒子としては、例えば、アルミナ水和物、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらの無機粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。上記無機粒子の中でも、インクの吸収性が高い多孔質構造を形成することができるアルミナ水和物、アルミナ、シリカを用いることが好ましい。
上記アルミナ水和物は、
一般式(X):Al3−n(OH)2n・mH
(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
(バインダー)
本発明において、インク受容層はバインダーを含有することが好ましい。また、バインダーとしては例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、及びポリビニルアルコール、並びに、それらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;カチオン基を用いて上記重合体をカチオン化したもの;カチオン性界面活性剤を用いて上記重合体の表面をカチオン化したもの;カチオン性ポリビニルアルコール下で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの;カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダー;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
上記したバインダーの中でも、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基または第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下が好ましく、85mol%以上98mol%以下がより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じた水酸基のモル数の割合であり、本発明においては、JIS−K6726の方法で測定した値を用いるものとする。また、ポリビニルアルコールの平均重合度は、2,000以上が好ましく、2,000以上5,000以下がより好ましい。 インク受容層用塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
(架橋剤)
架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
架橋剤の使用量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。本発明においては、架橋剤の含有量が、バインダーの含有量に対して、1.0質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましい。
更に、バインダーがポリビニルアルコールであり、架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種である場合には、ポリビニルアルコールの含有量に対する、ホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量が、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
[記録媒体の製造方法]
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層用塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
<基材の作製方法>
本発明において、基紙の作製方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
基紙の上に樹脂層を設ける方法、即ち、基紙を樹脂で被覆する方法としては、溶融押出法、ウェットラミネーション、ドライラミネーションなどが挙げられる。中でも、基紙の片面又は両面に溶融した樹脂を押し出しコーティングする溶融押出法が好ましい。例えば、搬送されてきた基紙と、押出ダイから押し出された樹脂を、ニップローラと冷却ローラーとの間のニップ点において接触させ、ニップで圧着することで樹脂層を基紙上にラミネートする方法(押出コーティング方法ともいう)が広く採用されている。溶融押出法により、樹脂層を設ける際には、基紙と樹脂層の接着がより強固となるように、前処理を施してもよい。前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネートなどのアンカーコート処理などが挙げられる。中でも、コロナ放電処理が好ましい。また、樹脂層に白色顔料を含有する場合は、樹脂と白色顔料を混合したもので、基紙を被覆すればよい。
上記のようにして作製した基材を、インク受容層を形成する前に、巻芯にロール状に巻き取る工程を有することが好ましい。巻芯は、直径が50mm以上300mm以下のものが好ましく用いられる。また、巻き取る際の張力としては、50N/m以上800N/m以下が好ましい。尚、巻き取る際の張力は、巻き始めから巻き終わりまで一定でもよい。また、巻き始めの圧力集中を緩和するために、巻き始めから巻き終わりにかけて徐々に張力を低下させてもよい。
<インク受容層の形成方法>
本発明の記録媒体において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、本発明の記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
[実施例]
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<実施例1>
[記録媒体の作製]
<基材の作製>
カナダ標準濾水度が450mLCSFのLBKP80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFのNBKP20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.030部を混合し、固形分の含有量が3.0質量%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させ、更に、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、膜厚が100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン70部と、高密度ポリエチレン20部と、酸化チタン10部とからなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/mとなる様に、基紙の片面に塗工した。尚、この面を基材の表面とする。更に、低密度ポリエチレンを、基紙のもう一方の面に塗工することで、基材を得た。この時、基材の算術平均粗さが表1に記載の値となるようにした。算術平均粗さは、平均粗さ測定機(小坂研究所製)を用いて測定した。
(分散液Aの調製)
純水中に、コロイダルシリカ水溶液(K303C、Clariant製、平均二次粒子径100nm)、湿式シリカ(Gasil 23F、PQcorporation製、平均二次粒子径5.0μm)、シラノール変性PVA(R―1130、クラレ製)を、コロイダルシリカ:湿式シリカ:PVA=100:15:11(固形分質量比)となるように添加し、その後、マグネチックスターラーで5分間撹拌した。この水溶液中に、PVA:ホウ酸=11:1.2(固形分質量比)となるようにホウ酸を添加して、分散液A(固形分の含有量は10.0質量%)を調製した。
(分散液Bの調製)
アルミナ水和物DISPERSAL HP14(サソール製)とPVA235(クラレ製)を、アルミナ水和物:PVA=100:13(固形分質量比)となるように混合し、マグネチックスターラーで5分間撹拌した。この水溶液中に、PVA:ホウ酸=13:0.75(固形分質量比)となるようにホウ酸を添加して分散液Bを調製した。分散液B中のアルミナ水和物の平均二次粒子径は150nmであった。
<記録媒体の作製>
(下層のインク受容層の作製)
上記で得た基材上に、上記で調製した分散液Bを塗工した。塗工後、80℃の熱風で乾燥し、下層のインク受容層を得た。このとき、乾燥塗工量は25g/mであった。
(最表層のインク受容層の作製)
上記で得た下層のインク受容層上に、上記で調製した分散液Aを塗工した。塗工後、120℃の熱風で乾燥し、最表層のインク受容層を得た。乾燥塗工量は3g/mであった。
<実施例2>
分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から10部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例3>
分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から30部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例4>
コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(クォートロンPL−2、扶桑化学工業製、平均二次粒子径70nm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例5>
コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(スノーテックOU−P、日産化学製、平均二次粒子径200nm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例6>
湿式シリカ(Gasil 23F)を湿式シリカ(NIPGEL AZ−200、東ソー・シリカ製、平均二次粒子径1.0μm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例7>
湿式シリカ(Gasil 23F)を湿式シリカ(Gasil 23FJ、PQ corporation製、平均二次粒子径10.0μm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例8>
実施例1で得られた記録媒体に対して、キャレンダ機(由利ロール機械社製)を使用して、インク受容層の算術平均粗さを1.0μmにした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例9>
アルミナ水和物(HP14)をROBO MICS(特殊機化工業製)で粉砕処理したアルミナ水和物(HP14)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例10>
アルミナ水和物(HP14)をPulverisette 6で粉砕処理した湿式シリカ(Gasil 23FJ)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例11>
基材の算術平均粗さを0.4μmになるように変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例12>
湿式シリカ(Gasil 23F)を湿式シリカ(NIPGEL AZ−200)に変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から10部に変更し、得られた記録媒体に対して、キャレンダ機(由利ロール機械社製)を使用して、インク受容層の算術平均粗さを1.0μmにした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例13>
コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(スノーテックOU−P)に変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から30部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例14>
湿式シリカ(Gasil 23F)をGasil 23FJに変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から30部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例15>
アルミナ水和物(HP14)をPulverisette 6で粉砕処理した湿式シリカ(Gasil 23F)に変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から30部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例16>
コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(スノーテックOU−P)に変更し、湿式シリカ(Gasil 23F)をGasil 23FJに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例17>
アルミナ水和物(HP14)をPulverisette 6で粉砕処理した湿式シリカ(Gasil 23F)に変更し、コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(スノーテックOU−P)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例18>
アルミナ水和物(HP14)をPulverisette 6で粉砕処理した湿式シリカ(Gasil 23F)に変更し、湿式シリカ(Gasil 23F)をGasil23FJに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例19>
アルミナ水和物(HP14)をPulverisette 6で粉砕処理した湿式シリカ(Gasil 23F)に変更し、分散液A中の湿式シリカ(Gasil 23F)をGasil23FJに変更し、コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(スノーテックOU−P)に変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から30部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<実施例20>
アルミナ水和物(HP14)をコロイダルシリカ(K303C)に変更し、分散液A中のコロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(クォートロンPL−2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例1>
湿式シリカ(Gasil 23F)を湿式シリカ(NIPGEL AZ−200)に変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から7部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例2>
分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から35部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例3>
コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(クォートロンPL−3、扶桑化学工業(株)製、平均二次粒子径60nm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例4>
コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(クォートロンPL−20、扶桑化学工業(株)製、平均二次粒子径230nm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例5>
湿式シリカ(Gasil 23F)をPulverisette 6で粉砕処理した湿式シリカ(Gasil 23F)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例6>
湿式シリカ(Gasil 23F)を湿式シリカ(Gasil IJ45、PQ corporation製、平均二次粒子径13.0μm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例7>
分散液Aを塗工した後、下記凝固液で凝固処理し、塗工層が湿潤状態にあるうちに、100℃に加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着し、乾燥した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。凝固液としては、蟻酸カルシウム(朝日化学工業社製)5%、染料定着剤(商品名:ダイフィックスYK−50、大和化学社製)1%を含有した液を用いた。
<比較例8>
湿式シリカ(Gasil 23F)を湿式シリカ(NIPGEL AY−200、東ソー・シリカ(株)社製、平均二次粒子径2.3μm)に変更し、分散液A中のコロイダルシリカの比率を、100部から0部に変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から100部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例9>
コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(クォートロンPL−1、扶桑化学工業(株)製、平均二次粒子径33.4nm)に変更し、湿式シリカ(Gasil 23F)をPulverisette 6で粉砕処理した湿式シリカ(Gasil 23F)に変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から100部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例10>
アルミナ水和物(HP14)を湿式シリカ(ファインシールX−12、トクヤマ製、平均二次粒子径10.0μm)に変更し、コロイダルシリカ(K303C)をコロイダルシリカ(クォートロンPL−2)に変更し、湿式シリカ(Gasil 23F)を合成非晶質シリカ(ミズカシルP−50、水澤化学工業製、平均二次粒子径8.5μm)に変更し、分散液A中の湿式シリカの比率を、15部から250部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
[評価]
本発明においては、下記の各評価項目の評価基準の○、△を好ましいレベルとし、×を許容できないレベルとした。尚、下記の各評価において、記録媒体に画像を記録する際は、インクジェット記録装置はPIXUS MP990(キヤノン製)に、インクカートリッジBCI−321(キヤノン製)を装着して記録した。その際の記録条件は、温度:23℃、相対湿度:50%とした。
(マット調の面性評価)
記録媒体の60度鏡面光沢度を測定し、その測定値よりマット調の面性を評価した。尚、光沢度の測定は、Gloss Meter VG2000(日本電色工業(株))を使用した。
○:記録媒体の60度鏡面光沢度が3%以下である。
△:記録媒体の60度鏡面光沢度が3%より大きく5%以下である。
×:記録媒体の60度鏡面光沢度が5%より大きい。
(傷耐性の評価)
記録媒体に、上記インクジェット記録装置を用いて、「写真用紙光沢ゴールド」モードでブラックのベタ画像を記録した。その後、25℃、50%R.H.(相対湿度)環境で1日間保存した後、画像記録面を、半径が0.25mmの端子を使用し、ひっかき試験を行うことで傷耐性を評価した。尚、ひっかき条件は、ひっかき距離が2mmで負荷荷重が50gで行った。
○:ひっかき試験後に、傷付きがほとんど観察されず、実用上問題のないレベルである。
△:ひっかき試験後に、傷付きがわずかに観察されるが、実用上問題のないレベルである。
×:ひっかき試験後に、傷付きがはっきりと観察され、実用上問題のあるレベルである。
(インク吸収性の評価)
記録媒体に、上記インクジェット記録装置を用いて、「写真用紙光沢ゴールド」モードでブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像を記録した。画像記録面を25℃、50%R.H.(相対湿度)環境で1日間保存した後、画像記録面のビーディング現象の有無を目視で確認することで、インク吸収性を評価した。尚、ビーディング現象とは、記録媒体に吸収される前のインク滴同士が合体する現象で、インク吸収性と相関が高いことが知られている。
○:ビーディング現象が発生しておらず、実用上問題のないレベルである。
△:ビーディング現象が発生していたが、実用上問題のないレベルである。
×:ビーディング現象が発生していたが、実用上問題のあるレベルである。
上記の結果から分かるように、本発明では、光沢度が低いマット調の面性を有しながら、優れた傷耐性と染料インクの吸収性を有するインクジェット用記録媒体を提供することが可能となる。

Claims (3)

  1. 基材上に少なくとも二層のインク受容層を有し、基材から最も距離の離れた位置に設けられている最表層のインク受容層が、平均二次粒子径が70〜200nmであるコロイダルシリカと、平均二次粒子径が1.0〜10.0μmである湿式シリカを無機粒子として含有し、その質量配合比がコロイダルシリカ:湿式シリカ=100:10〜100:30であり、最表層のインク受容層の算術平均粗さRaが1.0μm以上であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  2. 前記最表層のインク受容層と隣接して設けられる下層のインク受容層が、平均二次粒子径が100〜500nmである無機粒子を主体とすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記基材の算術平均粗さRaが0.5μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用記録媒体。
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