JP3726632B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高画質のインクジェット記録媒体に関し、表面光沢によるギラツキを改善して画像状に光沢差が生じないようにした高級感のあるインクジェットプリントを与えるインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のインクジェット記録の飛躍的な技術革新に伴い、プリント品質は銀塩写真で得られるプリントに匹敵しつつある。インクジェット記録で得られるプリント品質はプリンター、インク、インクジェット記録媒体の3つに依存するが、画質面で見るならば前2者の最近の技術革新が大きく、インクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)の性能の差が最終的なプリント品質において非常に重要になってきている。
【0003】
このため、銀塩写真プリントに近いプリントをインクジェット記録で得るために記録媒体の観点から種々の改良が従来からなされてきている。
【0004】
インクジェット記録媒体としては、紙などのように支持体自身がインク吸収性であるものと支持体の上にインク吸収層を設けたものに大きく区分されるが、前者はインクが支持体中に直接浸透するために高い最高濃度が得られなかったり、支持体自身がインク溶媒を吸収して著しいシワを画像状に発生させるために高級感のあるプリントは得られにくく、インク吸収層設けたものが好ましい。
【0005】
支持体上に設けられるインク吸収層としては大きく膨潤型のインク吸収層と空隙型インク吸収層が知られている。
【0006】
膨潤型インク吸収層はゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンあるいはポリエチレンオキサイドなどの親水性ポリマーを主体として構成されるものである。
【0007】
空隙型インク吸収層は、層中に空隙を有するものであり、その製法にいくつかの種類があるが代表的なものは、少量の親水性ポリマーと多量の微粒子を有する層であり、微粒子同士の間に空隙が形成されて主にここにインクを吸収するものである。
【0008】
面質は個人の嗜好に依存する場合もあるが、使用する目的により、高級感のあるプリントとして必要な光沢性や、その他の特性が要求される場合もある。
【0009】
例えば指紋がつきにくいものにしたい、糊等のベタ付き汚れがつきにくくしたい、反射光が強すぎて鑑賞しずらい状態を避けたい等の場合がある。
【0010】
例えば、表面を半光沢化する為には表面に1μmオーダーの高さの凹凸を形成させるのが一般的であるが、表面を適度に粗面化させて得られた記録媒体にインクジェットで記録した場合には光沢が画像状に変化し光沢度が不均一になりやすい問題がある。この問題は特に高級感の高いインクジェットプリントのプリント品位を損なうために改良が必要である。
【0011】
この原因ははっきりしないがインクジェットで記録した場合、インク吸収層に低蒸発性の有機溶媒が残存するために表面の微細な凹凸に画像状に差が生じる為と推定される。
【0012】
この様な画像状の不均一な光沢差が生じると画像面にギラツキが生じて不自然なプリントになり高級感のあるプリントにならない。
【0013】
この問題は支持体がインク溶媒を吸収しない場合に顕著になるが、支持体がインクを吸収する場合であってもインクジェットで記録した際にわずかに表面に凹凸の差が生じて画像状に光沢差が生じる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、プリント部と非プリント部とで画像状に顕著な光沢差を生じることなく、表面光沢によるギラツキを改善して、しかも画像ムラがない高級感のある画像が得られるインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0016】
1.記録側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmである、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体と、前記支持体上の記録側に設けられ、記録側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が0.8〜4.0μmであり、記録側の表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%であり、空隙を有する多孔質皮膜であって、平均粒径100nm以下の無機微粒子と親水性バインダーの質量比が3:1〜8:1であるインク吸収層と、を有するインクジェット記録媒体。
【0017】
2.インク吸収層の記録側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が0.9〜3.0μmである前記1に記載のインクジェット記録媒体。
【0018】
3.支持体の記録側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が1.0〜4.0μmである前記1に記載のインクジェット記録媒体。
【0019】
4.インク吸収層は硬膜剤を有する前記1乃至3に記載のインクジェット記録媒体。
5.インク吸収層がカチオン媒染剤を有する前記1乃至3に記載のインクジェット記録媒体。
【0020】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体は支持体上にインク吸収層を有する。
【0021】
本発明の記録媒体に用いられる支持体は、吸水性支持体と非吸水性支持体のいずれも用いることが出来るが、非吸水性支持体がシワの発生が無くまた容易に半光沢面を形成できることから好ましい。
【0022】
支持体がインク溶媒を吸収する吸水性支持体の場合にはシワが発生しやすく、また、インク吸収層に染着した染料も保存中に徐々に支持体中に浸透する為に濃度が下がる傾向にある。
【0023】
これに対して支持体がインクを全く吸収しない非吸水性支持体の上にインク吸収層を設けたインクジェット記録媒体では上記の問題が無く高級感のあるインクジェットプリントが得られる。
【0024】
吸水性支持体としては特に天然パルプを主体とした紙支持体が代表的であるが合成パルプと天然パルプの混合物であってもよい。
【0025】
非吸水性支持体としてはプラスチック樹脂フィルム支持体あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。
【0026】
プラスチック樹脂フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム等が挙げられる。
【0027】
これらのプラスチック樹脂フィルムは透明なものまたは半透明なものも使用できるが透明なものが好ましい。
【0028】
本発明で好ましい支持体は紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
【0029】
特に支持体として紙の両面をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂で被覆した支持体を用い、その上にインク吸収層を設けた記録媒体は、本願の効果上優れている上に、プラスチックフィルムに比べて比較的低コストであること、その重厚感やしなやかさ、平滑性、光沢性などの面で、銀塩写真のプリントに近い高級感のあるプリントとして好ましい。
【0030】
以下、本発明で好ましい支持体である紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体について説明する。
【0031】
本発明の支持体に用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては例えば、LBKP,LBSP,NBKP,NBSP,LDP,NDP,LUKP,NUKPのいずれも用いることが出来るが短繊維分の多いLBKP,NBSP,LBSP,NDP,LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%〜70質量%が好ましい。
【0032】
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0033】
紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム化合物等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
【0034】
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0035】
紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。
【0036】
紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0037】
紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
【0038】
紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい
次に、この紙の両面を被覆するプラスチック樹脂について説明する。
【0039】
この目的で用いられるプラスチック樹脂としては、特に好ましくはポリオレフィン樹脂を用いることができ、ポリオレフィン樹脂としては、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン、プロピレンを主体とする共重合体などのポリオレフィン類が好ましいが、ポリエチレンが特に好ましい。
【0040】
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。
紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0041】
特に塗布層側のポリオレフィン層はルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリオレフィン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0042】
ポリオレフィン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高い顔料や蛍光増白剤を添加することが出来る。
【0043】
着色顔料としては例えば、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。
【0044】
蛍光増白剤としては例えば、ジアルキルアミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビスメチルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベンズオキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベンなどが挙げられる。
【0045】
紙の表裏のポリエチレンの使用量はインク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿および高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはインク吸収層を塗布する側のポリエチレン層が15〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0046】
更に上記ポリエチレンで被覆紙支持体は以下の特性を有していることが好ましい。
【0047】
▲1▼引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kgであることが好ましい、
▲2▼引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g、横方向が20〜200gが好ましい、
▲3▼圧縮弾性率≧9.8×107Pa、
▲4▼不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい、
▲5▼白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい、
▲6▼クラーク剛直度:記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm2/100である支持体が好ましい、
▲7▼原紙中の水分:中紙に対して、4〜10質量%が好ましい。
【0048】
本発明に係るインクジェット記録媒体として、支持体上に設けたインク吸収層側の表面のJIS−B−0601(1982年)に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が0.8〜4.0μm、JIS−Z−8741(1983年)による60度鏡面光沢度が10〜30%であるものが考えられる。
【0049】
インク吸収層側の表面は、規則的又は不規則的な凹凸を有する微粒面であって、JIS−B−0601に規定される測定長さが2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4.0μm、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%を示すような面である。
【0050】
このような面により視感的にも光沢を著しく低下させることなくしかもギラツキを防止することができる。
【0051】
即ち、この表面の凹凸により表面光沢性が適度に抑制されて不必要なギラツキがなくなり、しかもインクジェット記録した際のプリント部分と非プリント部分とで光沢度に大きな差が生じず、ムラの無い視感的に高級感のあるプリントが得られる。
【0052】
本発明に係る記録媒体として、前記Raが0.8μm以上であると表面のギラツキ抑制効果が顕著であり、また、Raが4.0μm以下であれば凸部分にインクが溜まりやすくなる状態を防ぐことができ、よってマダラ状のムラの発生を抑えられる。更に、インク吸収層が空隙を有する硬い多孔質皮膜である場合にはRaが4.0μm以下のほうが製造時に生じやすい皮膜のひび割れが抑えられる。Raの好ましい範囲は0.9〜3.0μmである。
【0053】
この微粒面は例えば高低差が3〜20μmの凹凸を3mmの間隔に5〜30個もたせたものである。微粒面が規則的な形状である場合、3mmの間隔に高低差5〜20μmの凹凸を5〜15個もたせたものが好ましく、微粒面が不規則な形状の場合には、3mmの間隔に高低差が5〜20μmの凹凸を10〜30個もたせたものが好ましい。
【0054】
本発明で得られるような表面特性は、従来インク吸収層に用いられるマット剤のみによっては得られない。
【0055】
平坦なインク吸収層の中に、公知のマット剤を含有させると、通常はインク吸収層表面に主に凸状態が形成される。マット剤により形成される凸のみによって光沢度を所望の値の範囲にコントロールしようとすると、公知のマット剤よりかなり平均粒径の大きなマット剤を使用する必要が生じ、表面粗さが所望の値の範囲にコントロールできず、その結果、本願の効果が得られない上に、擦り傷が付きやすかったり、プリント表面の蝕感を悪化させる。従って、マット剤をインク吸収層に含有させるだけの方法では、表面粗さ及び光沢度の両方を満足させることができず、本発明の表面特性を得ることができない。
【0056】
本発明の記録媒体は表面が特定の大きさの凹凸を持つ微粒面を有することにより得られるものであって、従来のマット剤のみにより得られるものとは異なる。
【0057】
インク吸収層の表面を微粒面とする作製手段としては、例えば、予め、型付け処理を行った支持体を用いてその上にインク吸収層を設けたものであっても良く、又は、平滑な支持体にインク吸収層を設けたうえで表面を型付けしたものであっても良い。後者のようにインク吸収層に後処理する方法によると均一な凹凸が付けにくいことから前者が好ましい。
【0058】
特にインク吸収層が比較的硬い多孔質皮膜である場合には前者が好ましい。従って、予め型付け処理を行った支持体を用いてその上にインク吸収層を設ける場合には、該支持体の表面粗さRaは所望するインク吸収層側の表面の微粒面における凹凸の高低差より高くすることが必要であり、例えば、該支持体の表面粗さRaが1.0〜5.0μmであることが好ましい。
【0059】
本発明の記録媒体は、インク吸収層側の表面のJIS−Z−8741による鏡面光沢度が10〜30%であるが、この表面光沢度は前述した支持体の凹凸や、インク吸収層自体がもつ微細な構造自身及び補助的に使用されるマット剤等によりコントロールできる。
【0060】
前記光沢度が10%未満の場合には表面のマット化度が高すぎて不鮮明な画像になりやすく、またインクジェット記録後に画像表面の僅かの光沢度の差により光沢ムラ(ギラツキ)が目立ちやすくなる傾向がある。
【0061】
一方、前記光沢度が30%を越える場合には一般に画像面の光沢性が高すぎ半光沢面とは言い難くなって高級感のある記録媒体が得られない。
【0062】
このような範囲の光沢度はインク吸収層の最表面層をできるだけ均一な構成にし、光沢を低下させる不要な微粒子を極力少なくすることで得られる。
【0063】
前記インク吸収層の最表面にはマット剤を含有することもできるが、光沢を著しく損なわない範囲内で使用すべきである。また、そのようなマット剤としては平均粒径が5〜30μm程度のものを使用することが好ましい。
【0064】
特に好ましい支持体である、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体の場合には、ポリオレフィン樹脂で紙を被覆した後に表面に型付けするのが好ましい。
【0065】
予め凹凸をポリオレフィン樹脂表面に型付けする代表的な方法は基紙上に溶融したポリオレフィン樹脂を押し出しコーティングした後、型付けローラーに圧接して微細な凹凸の模様付けを行うことにより行われる。
【0066】
この模様付けを行う方法には、溶融押し出しして得られる樹脂コート紙に室温付近でエンボシングカレンダー処理する方法と、ポリオレフィン樹脂の押し出しコーティング時にロール表面に凹凸模様を付したクーリングロールを使用して冷却しながら凹凸を形成する方法があるが、後者が比較的弱い圧力で型付けすることが出来しかもより正確で均質な型付けが出来ることから好ましい。
【0067】
支持体表面とインク吸収層表面の凹凸の関係はインク吸収層の特性にもよるが、インク吸収層が高インク吸収速度を有し、より高画質なプリントが得られる空隙を有する多孔質皮膜である場合には、乾燥膜厚が厚くなるために支持体表面の高低差よりもインク吸収層側の表面の高低差が減少する傾向が大きい。
【0068】
本発明に係る記録媒体として、用いる支持体のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した時の中心線平均粗さRaが1.0〜5.0μmであるものが考えられる。特に好ましくはRaが1.0〜4.0μmである。
【0069】
このような支持体は、そのインク吸収層側の表面のJIS−Z−8741による鏡面光沢度を10〜30%にすればよい。
【0070】
また、本発明の好ましい態様として下記のものが挙げられる。
即ち、インク吸収層を有する側の表面がJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmである支持体上にインク吸収層を有し、該インク吸収層側のインクジェット記録媒体の表面がJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4.0μm、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度を10〜30%であることを特徴とするインクジェット記録媒体である。
【0071】
次に、支持体上に設けられるインク吸収層について説明する。
インク吸収層は支持体の片面のみに設けてても良いが、両面に設けても良い。このとき両面に設けられるインク吸収層は同じものであっても良く異なっていても良い。
【0072】
インク吸収層は前述のごとく、大きく膨潤層型インク吸収層と空隙型インク吸収層に分けられる。
【0073】
膨潤型インク吸収層の特長は高い光沢性が得られることと、膨潤性ポリマーを使用しているために、ポリマーが膨潤できる範囲であれば大容量のインクを吸収できること、低コストで製造できる利点などが挙げられが、膨潤性ポリマーを使用しているので耐光性の点は劣る。
【0074】
一方、空隙型インク吸収層の特長は、インク吸収速度が速くプリント時にムラが生じにくいこと、プリント直後に表面が見かけ上乾いていること、耐水性とインク吸収速度の両者が同時に満足できること等が挙げられる。
【0075】
本発明では高吸収・高乾燥性であり空隙型のインク吸収層であることが画質面からは好ましい。
【0076】
膨潤型インク吸収層は、インク溶媒に対して膨潤性がある親水性ポリマーから主として構成される。そのような親水性ポリマーとしては、ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、アミノ基をフェニルイソシアネートや無水フタル酸等で封鎖した誘導体ゼラチンなど)、ポリビニルアルコール(平均重合度が300〜4000、ケン化度が80〜99.5%が好ましい)、ポリビニルピロリドン、ポリエチオレンオキシド、ヒドロキシルエチルセルロース、寒天、プルラン、デキストラン、アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、アルギン酸等が挙げられ、2種類以上を併用することもできる。
【0077】
膨潤型インク吸収層には親水性ポリマーの膨潤性に影響を与えない範囲で無機微粒子や有機微粒子等の微粒子を含有させても良いが親水性バインダーに対して通常100質量%以下である。
【0078】
膨潤層に設けられる親水性ポリマーの使用量は記録媒体1m2当たり通常3〜20g、好ましくは5〜15gである。
【0079】
空隙型インク吸収層はインク吸収層に空隙を有するもので、無機微粒子と少量の親水性ポリマーを含有する空隙を有する多孔質皮膜のものが好ましい。
【0080】
このような無機微粒子の例としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることが出来る。
【0081】
その様な無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、また、2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
【0082】
本発明においては、特に微細な空隙が形成出来る観点より、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカまたは擬ベーマイトが好ましく、特に平均粒径(ここでいう平均粒径とはインク吸収層中、1次粒子で存在する場合は、1次粒子の平均粒径を、2次凝集粒子の状態で存在する場合は2次凝集粒子の平均粒径を指す)が100nm以下の、気相法により合成されたシリカ、コロイダルシリカおよび擬ベーマイトが好ましい。更には、平均粒径が100nm以下の気相法により合成されたシリカが、本発明の効果をより奏する点で特に好ましい。
【0083】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0084】
空隙層に用いられる親水性ポリマーとしては、膨潤型インク吸収層で用いられる親水性ポリマーと同様のものが用いられるが、好ましい親水性ポリマーはポリビニルアルコールである。
【0085】
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0086】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。
【0087】
ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0088】
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と親水性バインダーの比率は質量比で通常2:1〜10:1であり、特に、3:1〜8:1が好ましい。
【0089】
無機微粒子の親水性バインダーに対する比率を上記の如く大きい値にすることでインク吸収層は高空隙率を達成することができる。好ましい空隙率は40〜80%であり、特に50〜70%が好ましい。空隙率は以下の式に従って得られた値である。
【0090】
空隙率=100×〔(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/全乾燥膜厚〕
また、上記空隙層が親水性ポリマーとしてポリビニルアルコールを含有する場合には皮膜の造膜性を改善し、また皮膜の強度を高めるために、硬膜剤を添加することが好ましく、例えば、エポキシ化合物、ほう酸又はその塩が挙げられ、中でもほう酸又はその塩を含有されることが好ましい。ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸、四ほう酸、五ほう酸およびそれらの塩が含まれる。
【0091】
ホウ酸またはその塩の使用量は、塗布液の無機微粒子や親水性ポリマーの量により広範に変わり得るが、親水性ポリマーに対して通常1〜60質量%、好ましくは5〜40質量%である。
【0092】
本発明においては、インク吸収速度は速く画像のムラが少なく、また親水性ポリマーの使用量が比較的少ないためにカールの発生が比較的少ないことからもインク吸収層が空隙を有する多孔質皮膜であるのが好ましい。
【0093】
本発明のインクジェット記録媒体のインク吸収層には上記以外の各種の添加剤を添加することが出来る。
【0094】
中でもカチオン媒染剤は印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。カチオン媒染剤としては第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
【0095】
好ましいポリマー媒染剤は上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
【0096】
上記以外に、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたは非イオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0097】
支持体上にインク吸収層を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。
【0098】
本発明のインクジェット記録媒体のインク吸収層を有する側と反対側にはカール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けることができる。
【0099】
バック層の構成は支持体の種類や厚み、表側の構成や厚みによっても変わるが一般には親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。
【0100】
また、バック層には他の記録媒体とのくっつき防止、筆記性改良、さらにはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化することが好ましい。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機または無機の微粒子である。
【0101】
これらのバック層は予め設けていても良く、本発明の塗布組成物を塗布した後で設けてもよい。
【0102】
インク吸収層の塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0103】
支持体としてポリオレフィン樹脂コート紙を使用する場合には、乾燥は概ね0〜80℃の範囲で乾燥することが好ましい。80℃を越えるとポリオレフィン樹脂が軟化して搬送を困難にしたり記録層表面の光沢にムラが出たりする。好ましい乾燥温度は0〜60℃である。
【0104】
【実施例】
以下に実施例を挙げ本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾質量%を示す。
【0105】
実施例1
含水率が6.5質量%の坪量170g/m2の写真用原紙の裏面に押し出し塗布法により密度が0.92の低密度ポリエチレンを30μmの厚さで塗布した。ついで表側にアナターゼ型酸化チタン5.5質量%含有する密度が0.92の低密度ポリエチレンを35μmの厚さで溶融押し出し塗布法で塗布して両面をポリエチレンで被覆した支持体を作製した。溶融押し出し塗布直後に表面の表面に種々の規則的な凹凸の高さを有するクーリングロールを使用して冷却しながらポリエチレン表面に種々の型付け処理を行った。型付けの違いは密度及び凹凸の高さを調整することで行った。
【0106】
表側にコロナ放電を行いゼラチン下引き層を0.3g/m2、裏面にもコロナ放電を行った後ラテックス層を厚みが0.2g/m2に成るように塗布した。
【0107】
次に、表側に下記の組成の塗布液を調製した。
「酸化チタン分散液−1の調製」
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)をpH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製:PVA235)500g、カチオン性ポリマー(p−1)の150gおよびサンノブコ株式会社消泡剤・SN381を10gを含有する水溶液90Lに添加し高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社性)で分散したあと全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液−1を得た。
【0108】
「シリカ分散液−1の調製」
1次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業株式会社製:A300)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=3.0に調整した600Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を660Lに純水で仕上げた。
【0109】
「シリカ分散液−2の調製」
カチオン性ポリマー(P−1)を1.29kg、エタノール4.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)15Lに、シリカ分散液−1の66.0Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、前記の消泡剤SN381を1g添加した。
【0110】
この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で90Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
【0111】
「蛍光増白剤分散液−1の調製」
チバガイギー株式会社製の油溶性蛍光増白剤UVITEX−OB・400gをジイソデシルフタレート9000gおよび酢酸エチル12Lに加熱溶解し、これを酸処理ゼラチン3500g、カチオン性ポリマー(P−1)、サポニン50%水溶液・6,000mlを含有する水溶液65Lに添加混合して三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで乳化分散し、減圧で酢酸エチルを除去した後全量を100Lに仕上げた。
【0112】
「マット剤分散液−1の調製」
総研科学株式会社製のメタクリル酸エステル系単分散マット剤MX−1500(平均粒径15μm)の156gを前記PVA235を3g含有する純水7L中に添加し、高速ホモジナイザーで分散し全量を7.8Lに仕上げた。
【0113】
「塗布液の調製」
第1層、第2層、第3層の塗布液を以下の手順で調製した。
【0114】
第1層用塗布液:
シリカ分散液−2の560mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0115】
Figure 0003726632
【0116】
第2層用塗布液:
シリカ分散液−2の650mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0117】
▲1▼ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)
の10%水溶液: 0.6ml
▲2▼ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)
の5%水溶液: 270ml
▲3▼蛍光増白剤分散液−1: 30ml
▲4▼純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0118】
第3層用塗布液:
シリカ分散液−2の650mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0119】
▲1▼ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)
の10%水溶液: 0.6ml
▲2▼ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)
の5%水溶液: 270ml
▲3▼シリコン分散液(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製・
BY−22−839): 3.5ml
▲4▼サポニン50%水溶液: 4ml
▲5▼マット剤分散液−1: 10ml
▲6▼純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0120】
上記のようにして得られた塗布液を、下記のフィルターで濾過した。
第1層と第2層:東洋濾紙株式会社製TCP10で2段
第3層 :東洋濾紙株式会社製TCP30で2段
ポリオレフィンで両面を被覆した上記の支持体に、第1層(40μm)、第2層(110μm)、第3層(30μm)の順になるように各層を同時塗布した。かっこ内はそれぞれの湿潤膜厚を示す。
【0121】
塗布はそれぞれの塗布液を40℃で3層式スライドホッパーで塗布を行い、塗布直後に8℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃の風で60秒間、45℃の風で60秒間、50℃の風で60秒間順次乾燥した後、23度、相対湿度40〜60%で調湿して記録媒体を得た。第一層から第三層は多孔性被膜であることを確認した。尚、このとき微粒子と親水性バインダーの質量比は6.5であり、空隙率は記録媒体−1〜10の何れも約60%であった。
【0122】
得られた各記録媒体について▲1▼インク吸収層側の表面の平均粗さ(Ra)および▲2▼インク吸収層側の表面の光沢度(60度)を測定した。
【0123】
また、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンター・PM770Cにて黒色ベタ印字および緑色ベタ印字を行って、▲3▼黒色ベタ印字部分の60度光沢度を測定した。また、▲4▼緑色ベタ印字部分のムラおよび▲5▼黒色ベタ印字部と未印字部の光沢差を目視で判定した。
【0124】
結果を表1に示す。
表中、緑ベタ印字部ムラ、黒色ベタ印字部と未印字部の光沢差の目視判定の基準は以下による。
【0125】
緑ベタ印字部ムラ:
A:ムラが識別できない
B:ややムラが感じられるが実用上問題なし
C:実用上問題有り
黒ベタ印字部と未印字部の光沢差:
A:光沢差は殆ど感じられない
B:やや光沢差はあるが実用上問題なし
C:実用上問題あり
D:著しく大きな問題である
尚、平均粗さ(Ra)、鏡面光沢度:本願明細書で規定した方法で測定
【0126】
【化1】
Figure 0003726632
【0127】
【表1】
Figure 0003726632
【0128】
Ra:インク吸収層側の表面の粗さ
表1の結果から、Ra=0.8〜4.0μmであって印字前のインク吸収層側の表面の鏡面光沢度が10〜30%の範囲内にある本発明の記録媒体−1〜6は黒ベタ部との光沢差が小さく画像状にギラツキが殆ど生じないことがわかる。
【0129】
また本発明の記録媒体−1〜6は表面の凹凸による緑ベタ印字部でのムラが少なく高品位な微粒面のプリントが得られることがわかる。中でも、Ra=0.9〜3.0μm、光沢度が12〜25%の記録媒体−1〜4がより良好であることがわかる。
【0130】
これに対して、記録媒体−7(Raが0.8μm未満、光沢度=13.2%)では印字部分の光沢度の上昇が大きく、画像状にギラツキが問題になる。
【0131】
また、記録媒体−8(Ra=1.34μm、光沢度が10%未満)でも同様に光沢差が大きく、元々の光沢が低い分だけ、視感的に光沢差は顕著になってプリント品位を大きく損なう。
【0132】
更に、記録媒体−9(Raが4μmを越える)では凹凸差が高すぎて緑部分のムラが顕著であり、高品位なプリントが得られない。
【0133】
更に、記録媒体−9ではサイズが0.5〜2mm程度の微少クラックが記録媒体1m2当たり約40点生じていた(記録媒体−1〜8では3〜10点)。(目視で評価)
実施例2
実施例1で用いた支持体を作製するにあたり、所望のクーリングロールで型付け処理して、支持体のRaを表2に示すような不規則な凹凸形状にした支持体を用意した。この支持体を用いる以外は実施例1と同様にして表2に示す記録媒体を作製した。
【0134】
実施例1と同様に評価し、以下の表2に結果を示す。
【0135】
【表2】
Figure 0003726632
【0136】
表2の結果から明らかなように、実施例1と同様、本発明の記録媒体は本発明の効果が得られることが分かる。
【0137】
実施例3
実施例1において、各試料のインク吸収層の第3層のマット剤を除いた以外は、実施例1と同様にして試料を作製し、実施例1と同様な評価をした結果、、実施例1と同様に本発明の記録媒体は本発明の効果が得られた。
【0138】
参考例
実施例1で用いた支持体において、ポリエチレンを溶解押し出し塗布法で塗布して両面をポリエチレンで被覆した支持体を作製するにあたり、溶融押し出し塗布直後に平滑なクーリングロールを使用して冷却した。即ち、表面を型付け処理することなしに作製する以外は実施例1で作製した支持体と同じ方法で支持体を作製した。
【0139】
このようにして作製した支持体の上に実施例1における記録媒体−1の作製と同様にして第1層から第3層を同時塗布した。塗布はそれぞれの塗布液を40℃で3層式スライドホッパーで塗布を行い、塗布直後に8℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃の風を吹きつけ、表面がべたつかない程度まで乾燥した後、表面に種々の規則的な凹凸の高さを有するクーリングロールを使用して冷却した後、23℃相対湿度40〜60%で調湿して表3に示す記録媒体を得た。各々の記録媒体につて、▲1▼インク吸収層側の表面の平均粗さ(Ra)および▲2▼インク吸収層側の表面の光沢度(60度)を測定し、また▲3▼黒色ベタ印字部分の60度光沢度を測定し、▲4▼緑色ベタ印字部分のムラ、▲5▼黒色ベタ印字部と未印字部の光沢差を目視で判定した。
【0140】
尚、上記記録媒体については、インク吸収性の評価を行った。
インク吸収性の評価
インク吸収層の吸水量を以下の方法で測定し、インク吸収性の評価を行った。
【0141】
10cm四方の各々の記録媒体について、乾燥時の質量(a)を測定した。その後に純水に30秒間浸し、表面の水を拭いて浸水後の質量(b)を測定した。
【0142】
インク吸収層のない支持体のみの質量(c)を測定した。
その後、以下の式にしたがって吸水率を計算した。なお、本参考例で用いた支持体は非吸水性支持体であるため支持体自身の吸水量はゼロとした。
【0143】
吸水率=(b−a)/(a−c)(各記録媒体の吸水率は表3に示す)
以下に評価結果を示す。
【0144】
【表3】
Figure 0003726632
【0145】
尚、実施例1で作製した記録媒体−1〜10についても同じく吸水率を測定した結果、記録媒体−1〜10とも何れもほぼ1.30であった。
【0146】
表3の結果から明らかなように、ムラ及び光沢に関して記録媒体−21〜30について、実施例1における記録媒体−1〜10と同じ傾向を示す。但し、空隙率が低下すると推定される記録媒体−21〜30の吸水率は、実施例1の記録媒体−1〜10の吸水率より、やや小さくなっていることが分かる。
【0147】
【発明の効果】
本発明によるインクジェット記録媒体は、プリント部と非プリント部とで画像状に顕著な光沢差を生じることなく、表面光沢によるギラツキを改善して、しかも画像ムラがなく高級感のある画像が得られ、優れた効果を有する。

Claims (5)

  1. 記録側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmである、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体と、
    前記支持体上の記録側に設けられ、記録側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が0.8〜4.0μmであり、記録側の表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%であり、空隙を有する多孔質皮膜であって、平均粒径100nm以下の無機微粒子と親水性バインダーの質量比が3:1〜8:1であるインク吸収層と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記インク吸収層の記録側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が0.9〜3.0μmであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記支持体の記録側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線粗さ(Ra)が1.0〜4.0μmであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記インク吸収層は硬膜剤を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記インク吸収層がカチオン媒染剤を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載のインクジェット記録媒体。
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