JP3557821B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性インクを用いて記録を行うカラーインクジェット記録方法に関し、特に画像のハイライト部のドットの粒状性を目立ちにくくして高画質のカラー画像を記録出来、しかも画像シャドー部の白抜けをなくし、高い鮮明度のカラー画像が記録できるインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。この方式で従来から問題となっていたノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インクおよび装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、さまざまな分野に急速に普及している。
【0003】
その詳細は例えば、「インクジェット記録技術の動向(中村孝一編、平成7年3月31日、日本科学情報株式会社発行)」に記載されている。
【0004】
このインクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼやけないこと等が一般的には要求されている。
【0005】
ところで、カラーインクジェット記録で得られる画質を写真に近づけようとする試みが近年数多く行われている。
【0006】
これは大きくインク吸収性層に関係する特性、記録用紙に形成されるドットに起因する画質の改良に関する特性、及び支持体に関係する特性に大きく分けられる。
【0007】
インク吸収性層を改良する試みとしては、インク吸収性層の透明性を高めて印字濃度を向上させる、インク表面の平滑性を高めて光沢性を高める、あるいは最大インク吸収容量を十分確保して、最高濃度域でインクが溢れないようにすること、更にはインク液滴のインク吸収性層中への浸透を早めて液滴間でのビーディングを減少させたりドットの真円度を改善してムラの少ない画像を得ることであり、従来から広範な改良技術が提案されてきている。
【0008】
一方、ドットに起因する画質向上の最大のポイントはドット1個1個が目視で識別できないようにすることであり、そのためにインク液滴をより小液滴化すること、あるいは特にハイライト部でのドットの識別が困難なようにするために反射濃度が低いドットが得られる染料濃度として低濃度のインクを併用すること等がポイントであり、この点を改良するために従来から種々の改良技術が提案されてきている。
【0009】
また、記録用紙としてインクが比較的浸透しやすい普通紙、上質紙、あるいは通常のコート紙やキャストコート紙等では基材中にインクが浸透するため、印字部でのみ記録後にしわが発生してプリント品質を大きく低下させるのが一般的である。また、インクが紙繊維中に浸透したり、不透明性の高い白色顔料含有コート層中に浸透するために、最高濃度が出にくく鮮明な画像が得られにくい欠点がある。
【0010】
更に、ドットの真円度が紙繊維や比較的大きなサイズの白色顔料が存在するために乱れ、これがインクジェット記録する際の画質の劣化の一因にもなっている。
【0011】
以上の点から、インクジェット記録用紙として写真のような高級感のある画質を得るために、水性インクが浸透しにくい、例えば写真用支持体、特に両面をポリオレフィンで被覆した写真用の紙支持体上にインク吸収性層を塗布した記録用紙(たとえばIBM Technical Disclosure Bulletein(Vol.21、No.6、1978年、2502頁)、米国特許3889270号、特開平7−179032号、同7−179025号、同7−32723号及び同8−174992号公報に記載されている)および白色プラスチックフィルム上にインク吸収性層を塗布した記録用紙(たとえば、特開昭61−135783号に記載されている)等が好ましく用いられるようになってきている。
【0012】
ところで、上記写真並の画質を達成するためには、低インク吸水性の支持体上に比較的透明性の高いインク吸収性層を設けることが特に好ましいことではあるが、インク吸収性層の表面がマット化して光沢が低下したり、あるいはインク吸収性層自体がかなり大きなミクロ構造を有している場合などには、光沢の低下以外にインク吸収性層の不透明性が上がり最高濃度が低下して写真様の画質が達成しにくいことが多い。
【0013】
支持体上に設けるインク吸収性層としては従来から数多くのものが知られているが、大きく2つのタイプに分類される。
【0014】
その一つは膨潤型のインク吸収性層であり、親水性バインダーを主体とするインク吸収性層である。これはインク液滴を親水性バインダーの主として膨潤作用により一時的に保持し、印字後徐々にインク中の水や高沸点有機溶媒を蒸発させていくものである。
【0015】
この親水性バインダーを主体とするインク吸収性層を支持体上の設けた膨潤型記録用紙の利点はインク溶媒(水及び高沸点有機溶媒)が完全に蒸発した後では非常に高い光沢性と高い最高濃度が得られ、写真印画紙に近似した質感のプリントが得られる。
【0016】
しかしながら膨潤型記録用紙を用いたインクジェット記録方法においては、インク吸収速度が後述する空隙型記録用紙に比べて著しく遅く、高インク領域でビーディング等を起こして画質が低下しやすい問題がある。また、インク溶媒の中でもとりわけ高沸点有機溶媒の蒸発が極めて遅いために、印字後しばらくは親水性バインダーが膨潤した湿潤状態に長期間置かれることになり、印字後数時間、場合により数日間は印字表面を強く擦ったり紙などを重ねることができない状況にある。この問題は高湿条件下で保存した場合に特に大きい。
【0017】
上記膨潤型とは別の型のインク吸収性層として、インク吸収性層が空隙構造を有する空隙型記録用紙が多数知られている。この記録用紙はインクジェット記録の際にインクをこの空隙に一時的に保持することによりインクを吸収するものであり、インク吸収速度に関する膨潤が他に比べて早く、高インク領域においてインク吸収速度に起因する画質の劣化が少ない。
【0018】
また、この種のインク吸収性層は空隙容量がインク量に対して十分あれば、空隙構造中に有機溶媒が残存していたとしても、少なくとも表面は印字直後に見かけ上乾いた状態になり、表面に触れたりプリント同士を重ね合わせること等も一応可能となる。
【0019】
この種のインク吸収性層としては、通常は無機微粒子を親水性バインダーと共に使用して皮膜中に微小な空隙を形成するのが一般的である。この場合、低屈折率(特に約1.6以下の屈折率が好ましい)でしかも粒径の小さな微粒子(特に200nm以下が好ましい)を使用するのが、皮膜中の光散乱を防止して高い最高濃度を得、しかも光沢性を劣化させないことから好ましい。中でも皮膜中で200nm以下の微粒子状態が得られるシリカを使用した場合、インク吸収性層の透明性、光沢性、そして適切な空隙率が得られることから好ましい。
【0020】
そのような微粒子シリカをインクジェット記録用紙に使用する従来技術として、例えば特公平3−56552号には、1次粒径が10〜30nmの気相法により得られた微粒子シリカを2次凝集させ、BET法による表面積が80〜200m2/gの微粒子を形成させて含有するインク吸収性層を有する記録用紙が記載されている。
【0021】
また、前記特開平8−174992号にはポリオレフィン被覆紙支持体上に、平均粒径が10nm以下の無機微粒子と親水性バインダーを使用し、高い光沢度を得るインクジェット記録用紙が記載されている。
【0022】
上記の微粒子を用いたインク吸収性層を非吸水性支持体上に設けた記録用紙で得られる画像は、従来よりは画質が改善されているとは言え、必ずしも十分であるとは言い難い。
【0023】
特に、かかる微粒子を含有させた空隙構造を非吸水性支持体上に有する記録用紙に水溶性インクを用いてインクジェット記録する際に、高インク吸収性と高光沢性、更には早い乾燥性が達成されるものの、インク液滴が形成するドットのサイズを適切に制御しないと必ずしも良好な画像が得られないことが判明した。
【0024】
すなわち、上記微粒子を用いたインク吸収性層を形成した場合、インク吸収性が早すぎて記録用紙に微小液滴が着弾して形成されるドットの拡がりが不十分になり、その結果、画像のシャドー部でドット同士の完全な重なり合いが少なくなり最高濃度付近で白抜けが生じやすい。最高濃度部ではほんのわずかの白抜けの発生でも、濃度低下を生じやすい。
【0025】
この問題は支持体が吸水性支持体の場合、あるいは支持体が非吸水性支持体の場合であってもインク吸収性層の透明度が低くい場合等には、元々十分高い最高濃度が得られず画像の鮮明度が低いものしか得にくいのであまり大きな課題にはなりにくいが、非吸水性支持体上に透明性が高く、空隙構造を有するインク吸収性層を塗設した記録用紙を用いたインクジェット記録方法においては画質上最も大きな問題である。
【0026】
このような最高濃度部付近の白抜けを防止するためには、小液滴の吐出間隔を白抜けが出ない程度に狭める必要があるが、この場合には単位面積当たりのインク吐出量が増大し、支持体が非吸水性であるのでインクを完全に保持するのに十分な量の空隙量が必要になる。しかしながら、上記インク吸収性層の膜厚を増大させて空隙容量を増加させた場合には、製造コストの上昇による高価格化、インク吸収性層のひび割れの起き易すくなり光沢性が低下する、支持体との接着性の低下しやすくなる不都合が生じる。また、インク吸収性層を必要以上に厚くすることで印字後高湿下で保存した場合に滲みが低下するなどの種々の不都合が生じる。
【0027】
以上の点より、上記記録用紙を用いたインクジェット記録方法においてはドットサイズを適切なものに設定することが特に大きな課題となる。
【0028】
この問題は、低吸水性支持体上に、低い不透明度を有するインク吸収性層が得られる上記微粒子シリカを用いたインク吸収性層を設けた記録用紙の場合、ドットの拡大した分余計に鮮明に識別しやすくなり、写真並の画質を目指すためには適切な拡大率に抑制する必要がある。
【0029】
前記特開平8−174992号および特公平3−56552号には、かかる微粒子シリカを用いて比較的高いインク吸収性と光沢性を有する記録用紙が得られることは記載されているが、上記の課題に対する解決策が与えられていない。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、水性インクを用いて記録を行うカラーインクジェット記録方法において、記録用紙上に形成される最小ドットの粒状性を目立ちにくくして高画質のカラー画像を記録出来、しかも画像シャドー部の白抜けをなくし高い鮮明度のカラー画像が得られるインクジェット記録方法を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0032】
(1) 非吸水性支持体上にインク吸収性層を有する記録用紙に、少なくともイエロー、マゼンタおよびシアンの水溶性インクの小液滴を付着させてドットを形成して記録を行うインクジェット記録方法において、該記録用紙はインク吸収性層に硬膜剤を含有し、かつ、親水性バインダーと30〜200nmの平均粒径を有する2次粒子を含有するインク吸収性層を支持体上に有する記録用紙であり、該水溶性インクは高沸点有機溶媒を10〜40容量%含有し、更に該小液滴を単独で吐出させた時の小液滴が形成するドットの内、最小ドットの直径が60μm以下であり、小液滴の直径(R)に対する記録用紙上に形成されるドットの直径(D1)の比(D1/R)が1.8〜2.2であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0033】
(2) 前記2次粒子がシリカであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録方法。
【0034】
(3) 前記2次粒子が気相法シリカであることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録方法。
【0035】
(4) 前記親水性バインダーがポリビニルアルコールであることを特徴とする前記1〜3のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録方法。
【0036】
(5) 前記インク吸収性層がアニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする前記1〜4のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録方法。
【0037】
(6) 前記インク吸収性層がカチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、または表面がカチオン性である無機微粒子から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする前記1〜5のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録方法。
【0038】
(7) 前記非吸水性支持体が両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体であることを特徴とする前記1〜6のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録方法。
【0039】
以下本発明を詳細に説明する。本発明の記録用紙に用いられる非吸水性支持体としては、プラスチックフィルムや両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体が好ましく用いられる。
【0040】
プラスチックフィルム支持体としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリカーボネート、セロファンなどのプラスチックフィルム支持体等が好ましい。
【0041】
これらのプラスチックフィルムは透明なもの、半透明なものおよび不透明なものを用途に応じて適宜使い分けることが出来る。
【0042】
白色フィルムとする場合、少量の硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料をプラスチックフィルム支持体に含有させて得られた支持体をそのまま用いてもよく、また、透明なフィルム支持体の裏面側またはインク吸収性層側の支持体に近い側に白色顔料(酸化チタン、硫酸バリウムなど)を有する層を設けた支持体であっても良い。
【0043】
また、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体としては従来写真用印画紙で通常用いられているポリエチレンで両面を被覆した紙支持体が好ましい。この場合、インク吸収性層側のポリエチレン樹脂層中にはアナターゼ型またはルチル型の酸化チタンをポリエチレンに対して3〜20重量%含有させるのが、支持体の不透明度や白色度の向上、あるいは得られる画像の鮮鋭性を低下させないことから好ましい。
【0044】
本発明においては、高品位なカラー画像を得る観点より、白色フィルム支持体、あるいは両面をポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂で被覆した紙支持体などが好ましく、特に低コストで高級感のあるポリオレフィン樹脂で両面を被覆した紙支持体が最も好ましい。
【0045】
以下、特に好ましく用いられるポリエチレンで両面を被覆した紙支持体について説明する。
【0046】
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP,LBSP,NBKP,NBSP,LDP,NDP,LUKP、NUKPのいずれも用いることが出来るが短繊維分の多いLBKP,NBSP、LBSP,NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPおよび/またはLDPの比率は10重量%以上、70重量%以下が好ましい。
【0047】
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0048】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
【0049】
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500ccが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分重量%と42メッシュ残分の重量%との和が30乃至70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の重量%は20重量%以下であることが好ましい。
【0050】
原紙の坪量は60乃至250gが好ましく、特に90乃至200gが好ましい。原紙の厚さは50乃至250μmが好ましい。
【0051】
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.7乃至1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20乃至200gが好ましい。
【0052】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるサイズ剤と同様のサイズ剤を使用できる。
【0053】
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0054】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他の線状低密度のポリエチレン(LLDPE)やポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0055】
特にインク吸収性層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して概ね3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。
【0056】
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
【0057】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量はインク吸収性層やバック層を設けた後で低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、概ねインク受容層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0058】
更に上記ポリエチレン被覆紙支持体は以下の特性を有していることが好ましい。
【0059】
▲1▼引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2乃至30kg、横方向が1乃至20kgであることが好ましい。
【0060】
▲2▼引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で縦方向が10乃至300g,横方向が20乃至400gが好ましい。
【0061】
▲3▼クラーク剛度:20〜400g/100が好ましい。
【0062】
▲4▼圧縮弾性率≧103kgf/cm2
▲5▼表面平滑度:JIS−P−8119に規定されるベック平滑度が500秒以上、特に1000秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い。
【0063】
▲6▼表面粗さ:JIS−B−0610に規定された方法で測定された断面曲線から、カットオフ値0.8mmの条件で導かれるろ波うねり曲線について、基準調2.5mmとしてろ波最大うねりを測定したときに、その任意の測定点100個で最大うねりが6μm以上の点が5個以内であること、また、10点平均粗さが4μm以内であるのが好ましい。
【0064】
▲7▼表面光沢度:JISZ−8741に規定された方法で60度の角度で測定した時、30%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上。
【0065】
▲8▼表面白色度:JIS−Z−8722に記載された方法で測定し、JIS−Z−8729に従って表示したとき、
【0066】
【外1】
【0067】
▲9▼不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したときに50%以上、特に90%以上、最も好ましくは94%以上が好ましい。
【0068】
前記支持体の厚みは100〜300μm、好ましくは130〜250μmである。
【0069】
上記各種支持体とインク吸収性層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収性層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。
【0070】
本発明においては、支持体上に親水性バインダーと30〜200nmの平均粒径を有する2次粒子をインク吸収性層中に含有する。
【0071】
支持体上に親水性バインダーと平均粒径が30〜200nmの1次粒子を用いた場合には、この粒子内部には全く空隙が形成されず、空隙はもっぱらこの粒子間隙にのみよるために乾燥膜厚が著しく増大して、後述する皮膜脆弱性が悪化しやすくなるだけでなく印字後の経時での滲みが劣化しやすい。
【0072】
また、200nmを越える平均粒径を有する2次粒子を用いた場合、インク吸収性層の光沢度が低下し、鮮明な画像が得られなくなる。
【0073】
一方、30nm未満の平均粒径を有する2次粒子を用いることは1次粒子自体の取り扱い性や安定性が低下したり、あるいは安定な2次凝集体の形成が困難に成りやすい。
【0074】
ここで2次粒子とは、通常は、2次粒子の粒径の1/5〜1/20の粒径を有する1次粒子を凝集させて形成されるものであるが、本発明においては1次粒子として3〜15nmの1次粒子を凝集させるのが好ましい。
【0075】
また、2次粒子の凝集体を形成するのは、記録用紙を製造するどの段階で1次粒子を2次凝集させてもよく、たとえば、あらかじめ凝集している2次粒子の分散物を親水性バインダーと混合して支持体上に塗布してもよく、また、1次粒子の分散液を親水性バインダー水溶液と混合して塗布液を調液する際に2次粒子を形成してもよく、さらには1次粒子の状態で分散されている親水性バインダーを支持体上に塗布し、乾燥過程または乾燥後の熱処理などにより2次粒子の形成をしても良い。
【0076】
本発明においては、2次粒子の平均粒径は支持体上に形成されたインク吸収性層における2次粒子の平均粒径を言う。そのような2次粒子の平均粒径は、インク吸収性層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の2次粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。
【0077】
ここで、個別の2次粒子の粒径は、その粒子を電子顕微鏡で観察してその投影像の面積を測定し、その面積に等しい円を仮定した時の直径として求められる。
【0078】
本発明に使用できる2次凝集で形成された微粒子としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、合成ヘクトライトおよびシリカ等の無機微粒子等が挙げられるが、特にシリカが好ましい。又シリカの表面をアルミナで処理したアルミナ変性シリカも好ましく使用できる。
【0079】
シリカ微粒子は表面のシラノール基による水素結合により粒子自身が凝集しやすく、特に本発明の様に親水性バインダーの存在下で凝集を行わせた場合には比較的緩い凝集(軟凝集)が形成され高い空隙率が達成される。
【0080】
シリカ微粒子は製造法により乾式法と湿式法に大別される。乾式法微粒子シリカとしてはハロゲン化珪素の高温での気相法加水分解による方法、およびケイ砂とコークスを電気炉でアーク法により加熱還元気化しこれを空気酸化する方法が知られている。また、湿式法シリカとしては珪酸塩の酸分解により活性シリカを生成した後、適度に重合させて凝集・沈殿させて得られる。
【0081】
本発明の記録用紙においては皮膜の造膜性、すなわち皮膜の塗布乾燥時のひび割れがなく膜付き性が良好である点から気相法シリカが最も好ましい。
【0082】
本発明においては15nm以下の平均粒径の1次粒子であることが好ましいが、特に10nm以下の1次粒子が光沢性と空隙率の高さから最も好ましい。
【0083】
上記1次粒子を凝集させて30〜200nmの平均粒径を有する2次粒子を形成するには種々の方法がある。例えば、均一な1次粒子の分散液のpHを変えたり無機イオンを添加して粒子の凝集を起こす方法、微粒子と水素結合などの弱い結合をし得る親水性バインダー水溶液を添加して凝集を起こさせる方法、1次粒子の均一皮膜をいったん形成した後に凝集促進剤を塗布したり含浸させたり、熱処理などにより凝集を起こす方法、あるいはこれらの方法を組み合わせる方法等がある。
【0084】
また、2次凝集粒子の形成時点は前述のごとく、親水性バインダーとの混合前や混合後、塗布乾燥時、あるいは乾燥後のいずれでも最適な方法を選択して行うことができる。
【0085】
本発明の記録用紙において、上記微粒子と組み合わせて用いられる親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ゼラチンおよびゼラチン誘導体、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、プルラン、カゼイン、デキストラン等を用いることができるが、インクが含有する高沸点有機溶媒や水に対する膨潤性や溶解性が低い親水性バインダーを使用するのが印字直後の皮膜強度の点から好ましい。
【0086】
本発明では特にポリビニルアルコールが好ましく、中でも平均重合度が1000以上、最も好ましくは平均重合度が2000以上のポリビニルアルコールである。また、好ましいポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%、特に80〜100%が好ましい。
【0087】
本発明の記録用紙のインク吸収性層を形成するための微粒子と親水性バインダーの比率は親水性バインダーの種類や微粒子の種類や粒径、親水性バインダーと無機微粒子との相互作用の大きさ等により変わり得るが、一般には親水性バインダーに対して微粒子が重量比で4〜10倍である。
【0088】
特にインク中の高沸点有機溶媒の比率が30容量%を越えるインクや、インクの最大吐出量が記録用紙1m2当たり25mlを越えるような場合には親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は重量比で5〜10が好ましい。
【0089】
上記記録用紙のインク吸収性層中には前記親水性バインダーと架橋し得る硬膜剤を添加するのがインク吸収性層の造膜性の改良、皮膜の耐水性、および本発明の目的である印字後の皮膜強度を改善する点で好ましい。そのような硬膜剤としてはエポキシ基、エチレンイミノ基、活性ビニル基等を含有する有機硬膜剤、クロムみょうばん、ほう酸、あるいはほう砂等の無機硬膜剤が挙げられる。
【0090】
親水性バインダーがポリビニルアルコールである場合には特に、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ系硬膜剤、ほう酸またはほう砂が好ましい。硬膜剤の添加量は上記親水性バインダー1g当たり1〜200mg、好ましくは2〜100mgである。
【0091】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収性層側の任意の層中には、必要に応じて各種の添加剤を含有させることが出来る。
【0092】
例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0093】
本発明のインクジェット記録方法においては、水溶性インクが酸性染料または直接染料である場合が特に好ましいが、この場合、アニオン系界面活性剤をインク吸収性層中に含有せしめておくことがインク液滴が記録用紙に着弾してドットを形成する際にドットの直径を拡大させる方向に作用するために好ましい。
【0094】
そのようなアニオン系界面活性剤としては従来公知の殆どのアニオン系界面活性剤を本発明では使用する事ができる。
【0095】
以下に本発明で使用することのできるアニオン系界面活性剤の具体例を示す。
【0096】
【化1】
【0097】
上記の中でも、特に表面張力の低下能の大きな界面活性剤が好ましく、0.1重量%水溶液の25℃における表面張力が40dyne/cm以下になるような界面活性剤が好ましく用いられる。
【0098】
上記アニオン系界面活性剤は2種類以上を併用することもできる。
【0099】
アニオン系界面活性剤の使用量は、界面活性剤の種類、インク吸収性層の空隙容量、微粒子の粒径、親水性バインダーの種類、微粒子と親水性バインダーとの比率、インクの粘度や表面張力、およびインク液滴の容量などにより変化し得るが、一般には記録用紙1m2当たり0.002〜1g、好ましくは0.01〜0.5gの範囲である。
【0100】
本発明の記録用紙のインク吸収性層側の任意の構成層中には、画像の滲み防止の目的で、各種のカチオン性物質を含有することが好ましい。
【0101】
そのようなカチオン性物質としては、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、および表面がカチオン性の微粒子が挙げられる。
【0102】
カチオン性界面活性剤としては例えば以下の化合物を挙げることができる。
【0103】
【化2】
【0104】
【化3】
【0105】
カチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基を有するポリマーが好ましく、このポリマーはそれ自身が水溶性であっても、また、例えば、特開昭57−36692号公報に記載されているような塩基性のカチオン性ラテックスポリマーであってもよい。
【0106】
カチオン性ポリマーの具体例を以下に示す。(各モノマーの比率はモル比を表す。)
【0107】
【化4】
【0108】
【化5】
【0109】
上記カチオン性ポリマーの添加量は、記録用紙1m2当たり0.2〜10g、好ましくは0.5〜5gの範囲である。
【0110】
更に、表面がカチオン性である微粒子としては、カチオン変性シリカあるいはアルミナ微粒子が挙げられる。これらの微粒子は平均粒径が10〜100nmのものが好ましく用いられる。
【0111】
上記カチオン性物質の添加量は、記録用紙1m2当たり0.1〜10g、好ましくは2〜5gの範囲である。
【0112】
本発明のインクジェット記録用紙におけるインク記録面側の塗布固形分の量は概ね5〜40g/m2が好ましく、10〜30g/m2がより好ましい。
【0113】
また、記録用紙のインク吸収性層の空隙容量は20〜30ml/m2が好ましい。ここで空隙容量は本発明においては、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87(紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法))に記載された方法で記録用紙のインク吸収性層側を測定した時、吸収時間が2秒における液体転移量(ml/m2)で表される。なお、この時使用する液体は純水(イオン交換水)であるが、測定面積の判別を容易にするために2%未満の水溶性染料を含有していても良い。
【0114】
記録用紙のインク吸収容量は、単にインクを吸収させてインクの溢れが生じたり乾燥性が問題にならないようにする観点からは、できるだけ多いことが望ましい。
【0115】
しかしながら、本発明においてはインク吸収性層が実質的に非膨潤性であるために上記空隙容量がインクの吸収容量に実質的に等しい。従って空隙容量を増加させることは必然的にインク吸収性層の膜厚を増加させることになるが、これは本願のごとく非吸水性支持体を使用した記録用紙を用いる場合には後述のごとく種々の問題を生じる。
【0116】
そのために一般には空隙容量が30ml以下が好ましい。下限は特に限定されず、液滴が少なくなれば一般には必要とされる空隙容量も減少する。
【0117】
しかし、一般的にオンデマンド型インクジェット記録において液滴直径として20μm程度が安定に液滴形成できる条件であることを考慮すると空隙容量は20ml/m2以上である。
【0118】
本発明の記録用紙のインク吸収性層側とは反対側にはカール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けることが好ましい。
【0119】
バック層の構成は支持体の種類や厚み、インク吸収性層の構成や厚みによっても変わるが一般には親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。
【0120】
また、バック層には他の記録用紙とのくっつき防止、筆記性改良、さらにはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化できる。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機または無機の微粒子である。
【0121】
次に本発明のインクジェット記録方法に用いられる水溶性インクについて以下に説明する。
【0122】
水溶性インクとして、通常イエロー、マゼンタおよびシアンのインクを用いて記録されるが、これに加えてブラックのインクを使用することもできる。
【0123】
また、各色のインクは単一のものであってもよくそれぞれ濃度の異なるインクを2種以上組み合わせて用い、特に低濃度部でドットをより目立ちにくくするために低濃度部用に染料濃度を低めた低濃度インクを高濃度インクと併用することもできる。
【0124】
本発明に用いられる水溶性インクは、通常は水溶性染料及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体である。水溶性染料としてはインクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料が使用できるが直接染料、または酸性染料が好ましく、従来インクジェットで公知の各種の水溶性染料を使用することができる。
【0125】
水溶性インクの溶媒は水を主体としてなるが、インク液が乾燥した際に染料が析出してノズル先端やインク供給経路での目詰まりを防止するために、通常沸点が約120℃以上で室温で液状の高沸点有機溶媒が使用される。高沸点有機溶媒は水が蒸発した際に染料などの固形成分が析出して粗大析出物の発生を防止する作用を持つために室温で水よりはるかに低い蒸気圧を有することが要求される一方で水に対して混和性が高い必要がある。
【0126】
そのような目的で高沸点有機溶媒としては高沸点の有機溶媒が通常多く使用されるが、具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(平均分子量が約300以下)等のアルコール類が挙げられる。また、上記した以外にも、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等も使用できる。
【0127】
これらの多くの高沸点有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールやグリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0128】
上記高沸点有機溶媒は、通常インク中に10〜40容量%の範囲で用いられる。10容量%未満の場合には染料の乾燥時の析出防止効果が一般に小さくなり、また、40容量%を超える場合には染料の溶解性が低下したり印字後の有機溶媒の蒸発に時間を要して皮膜強度が低下したり滲みが悪化しやすい。好ましくは15〜35容量%の範囲で含有される。
【0129】
ここでインク中の高沸点有機溶媒比率は、インクが含有する高沸点有機溶媒の容量%で表され、例えば高沸点有機溶媒単独で測定した時の量が10mlである溶媒をインク100ml中に含有している場合に10%として表示したものとする。また、高沸点有機溶媒が2種類以上である場合、それぞれの高沸点有機溶媒の比率を加算して表す。
【0130】
水溶性インクが含有するその他の添加剤としては、例えばpH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤、等が挙げられる。
【0131】
水溶性インク液は記録用紙に対する濡れ性を良好にするため及びインクジェットノズルからの吐出を安定化させる目的で、25℃において、25〜50dyne/cm、好ましくは28〜40dyne/cmの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。
【0132】
また、水性インクの粘度は通常25℃において2〜8cp、好ましくは2.5〜5cpである。
【0133】
水性インクのpHは通常4〜10の範囲である。
【0134】
次に本発明のインクジェット記録する方法について記す。本発明のインクジェット記録方法では、特定の色についてインク用ノズル先端より小液滴を単独で吐出させた時の小液滴の直径(R)に対する記録用紙上に形成されるドットの直径(D1)の比(D1/R)が1.8〜2.2であることが必要である。
【0135】
ここで、小液滴の直径は以下の方法により求められる直径を言う。
【0136】
すなわち、23℃で相対湿度が85%±2%に管理された環境条件下に、A4サイズの上質紙を24時間以上放置して紙の含水量を平衡状態にさせたものを準備し、その重量(W1g)を精秤する。
【0137】
ついでインクジェット記録に使用するインクジェット記録装置を用いて、同じ環境条件で既知の液滴数(n×106個)だけ、インクが溢れて流れない様に紙を搬送しながらベタ印字し、印字直後に紙の重量(W2g)を測定する。
【0138】
別にインクの比重(d)を求めておき、これから小液滴径R(μm)を以下の式に従って求める。
【0139】
R(μm)=100×((6/π)×(W2−W1)/(n×d))1/3
この時、(W2−W1)が0.1g以上になるように液滴数として適切な条件を設定して行う。
【0140】
一方記録用紙上に得られたドットの直径は以下の方法で算出されるものを言う。すなわち、各液滴が他の液滴と重なり合わない条件でまばらに印字する。記録用紙上に得られたドットについて、顕微鏡などにより拡大して投影し、それぞれの投影像の面積を求める。次にこの面積に等しい円を仮定した時にその直径を各ドットの直径とする。これを任意の100個のドットについて行いその単純平均値をドット径(D1)とする。
【0141】
本発明のインクジェット記録方法において、D1/Rは単一液滴がドットに成る時の直径の拡大率(α)であるが、この拡大率が本発明においては、1.8〜2.2であることが必要である。
【0142】
αが1.8未満の時には、最小ドットサイズが白抜けをなくすために吐出間隔を密にしなければならず、このため、記録紙単位面積当たりの吐出量が増えてインク吸収性層中の染料と有機溶媒量が増加する。そのために印字後の滲みが悪化しやすい。特に印字後、高沸点有機溶媒が完全に蒸発しない状態で高湿状態で保存した場合に滲みが起きやすい。
【0143】
一方、αが2.2を超える場合には、最高濃度部での白抜けは発生しにくいが液滴を最小化してもドットのサイズが大きくなるために、特にハイライト部でドット粒状性が目立ちやすくなる。
【0144】
αとして特に好ましいのは1.9〜2.1である。
【0145】
αを上記の範囲内にすることは、種々の手段を単独もしくは組み合わせて行うことができる。以下にドットサイズをコントロールする方法の例を示す。
【0146】
▲1▼界面活性剤:アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤は一般にドットサイズを拡大する方向に作用するが、これらの界面活性能によりその程度が変わる。また、カチオン界面活性剤は一般にドットサイズの拡がりを抑制する方向に作用するものが多い。これらの両者の界面活性剤を併用して適切なドットサイズを得るのは好ましい手段の一つである。
【0147】
▲2▼微粒子のサイズ:一般に微粒子化することでドットサイズは拡がらなくなる傾向がある。
【0148】
▲3▼親水性バインダーに対する微粒子の比率:この比率が小さくなると、ドットサイズが縮小する傾向がある。
【0149】
4.油滴の添加:インク吸収性層中に油滴を含有させておくとサイズは拡大される傾向がある。油滴のサイズは0.1〜0.5μmが好ましく、添加量はインク吸収性層の空隙容量に対して5〜30容量%が好ましい。
【0150】
▲5▼表面層に実質的に親水性バインダーからなる層または親水性バインダーに対する微粒子の比率が極端に低い層(例えば2倍以下)を薄層(乾燥膜厚で2μm以下)塗設することでドットサイズは縮小する傾向がある。
【0151】
この場合表層の乾燥膜厚はインクの吸収速度が低下し、高濃度域での画像ムラが発生しやすくならないよう2μm以下、好ましくは1μm以下にする必要がある。
【0152】
6.インク吸収性層中にカチオン性ポリマーまたはカチオン性微粒子を添加:ドットサイズは抑制される方向になる。
【0153】
7.インク吸収性層の親水性バインダーの硬膜:親水性バインダーと反応し得る硬膜剤を添加し硬膜度を上げることによりドット径は拡大する傾向にある。
【0154】
8.インク吸収性層の塗布後の乾燥時にいったん冷却してゲルに近い状態を経由してから乾燥するとドットサイズが拡大する傾向がある。
【0155】
上記の各種の方法は2以上を組み合わせて適用することもできる。
【0156】
本発明のインクジェット記録方法において、記録用紙のインク吸収性層は一般に厚くすれば厚くするほどインク吸収容量が増加して微細に吐出しても、高インク領域でインクが溢れることが少なくなるが、一方で、画像のハイライト部位では余分な空隙が多すぎるために、経時での滲みが劣化しやすい。
【0157】
また、インク吸収性層の膜厚が厚くなるに従って、皮膜のヘイズが増加し、特に最高濃度域で白抜けが発生しない割に最高濃度が出にくいといった問題を生じやすい。
【0158】
このヘイズの問題は主として使用するバインダーの種類や2次粒子の種類や粒径にも依存するが膜厚にも大きく依存する。このためできるだけ薄くするのが好ましい。また、皮膜の脆弱性や支持体との接着性の観点からもインク保持量が維持できさえすれば可能な限り薄くするのが好ましい。
【0159】
この観点よりインク吸収性層の容量は前述のごとく記録用紙1m2当たり20〜30mlにするのが好ましく、従ってこの空隙容量で完全にインクを吸収しきれるインクの液滴径や吐出条件を決める必要がある。
【0160】
この観点から特に好ましいのは、液滴径が30μm以下の液滴径で最小ドット、すなわちハイライトの画像を形成するドットが吐出されることである。
【0161】
この場合、概ね60μm以下の最小ドットがハイライト部に形成されるために実質的なドットに起因する粒状性が目立ちにくくなる。
【0162】
本発明のインクジェット記録方法において、前記水溶性インクが、少なくともマゼンタおよびシアンについて、各々濃度が2倍以上異なる2種類のインクで記録する方式において、ハイライト部では低濃度のインクが使用されるためにドットの識別がしにくくなるが、本発明はかかる記録方式を採用した場合も適用できる。この場合更にハイライト部のドットの識別性が目立ちにくくなり好ましい。
【0163】
本発明のインクジェット記録方法において、記録方法としては、従来公知の各種の方式を用いることができ、その詳細はたとえば、インクジェット記録技術の動向(中村孝一編、平成7年3月31日、日本科学情報株式会社発行)に記載されている。
【0164】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0165】
実施例1
平均粒径が気相法により合成された約7nmの1次粒子シリカ粉末150gを純水1000ml中に添加し、高速ホモジナイザーで分散して青白い澄明な分散液を得た。次にこのシリカ水分散液(I)中に、平均重合度が4000でケン化度が88%の2%ポリビニルアルコール水溶液(II)(例示界面活性剤AS−4を0.1重量%、酢酸エチルを8重量%含有)1000mlを徐々に添加した。ついで硬膜剤として4%ほう砂水溶液28mlを添加し、高速ホモジナイザーにて分散して白色半透明状の塗布液を得た。(この液はシリカをポリビニルアルコールに対して重量比で7.5倍である)
次に、175g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚さ245μm、記録面側の35μmの厚みのポリエチレン層中にアナターゼ型二酸化チタンを14重量%含有。裏面のポリエチレン層は厚みは25μm)を用意した。
【0166】
上記ポリエチレン被覆紙の不透明度は96.8%、表面光沢度(75度鏡面光沢度)は90.9%、インク吸収性層側の面をJIS−B−0610に従って測定した時の断面曲線から得られるカットオフ値0.8mmの条件で導かれるろ波うねり曲線について基準長2.5mmとしてろ波最大うねりを測定したときの任意の測定点100個で最大ウネリが6μm以上の点が1個であり10点平均粗さが1.2μm、インク吸収性層側の面のベック平滑度は2200秒であった。
【0167】
裏面側にTg=65℃のアクリル系ラテックス樹脂を固形分として0.6g/m2と平均粒径が約2μmのシリカを0.04g/m2を含有するバック層を塗設した。
【0168】
上記のようにして得られた40℃の塗布液を、上記のポリエチレン被覆紙の記録面側に塗布し、塗布皮膜温度が15℃以下に成るようにいったん冷却して塗布液をゲル化させた(20秒間)。ついで23℃の風を20秒間、30℃の風を40秒間、40℃の風を60秒間、更に45℃の風を90秒間順次吹き付けて乾燥し、さらに25℃、相対湿度50%の雰囲気を30秒間通過させて調湿して記録用紙−1を作製した。
【0169】
次に、記録用紙−1において、以下の通り変更した記録用紙−2〜10を記録用紙−1と同様にして作製した。
【0170】
記録用紙−2:
平均粒径が7nmの1次粒子に変え、平均粒径が13nmの1次粒子のシリカに変更した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0171】
記録用紙−3:
平均粒径が7nmの1次粒子に変え、平均粒径が20nmの1次粒子のシリカに変更した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0172】
記録用紙−4:
例示アニオン系界面活性剤AS−4を除去した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0173】
記録用紙−5:
例示アニオン界面活性剤AS−4を例示アニオン界面活性剤AS−1に変更(濃度は同一)した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0174】
記録用紙−6:
ポリビニルアルコール水溶液(II)のポリビニルアルコール濃度を0.8%に変更した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。(この液はシリカをポリビニルアルコールに対して重量比で3.0倍である)
記録用紙−7:
記録用紙−1の硬膜剤をほう砂から1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルに変更(添加量は同一)した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0175】
記録用紙−8:
記録用紙−1のアニオン系界面活性剤AS−4に加えて、例示カチオン系界面活性剤KS−2をAS−4の50%(重量比率)添加した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0176】
記録用紙−9:
記録用紙−1において、カチオン系の例示ポリマーKP−1を親水性バインダーに対して20重量%添加した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0177】
記録用紙−10:
記録用紙−1において、流動パラフィンの乳化分散物(オイルの平均粒径は約0.2μm)を流動パラフィンが親水性バインダーの5重量%に成るように添加した以外は記録用紙−1と同様にして作製した。
【0178】
上記の様にして得られた記録用紙を38℃、相対湿度40〜60%で5日間保存した。
【0179】
上記記録用紙の各々について、2次粒子の平均粒径、空隙容量、および光沢度を測定し、表1に示す結果を得た。
【0180】
なお、2次粒子の平均粒径は各記録用紙の表面を電子顕微鏡で観察し、各々の記録用紙の任意の100個の粒子について、それぞれその投影面積を求めてその面積に等しい円を仮定した時の直径として個々の粒子の粒径を求め、100個の粒子の粒径の単純平均として各記録用紙の2次粒子の平均粒径を求めた。
【0181】
また、空隙容量は、熊谷理機工業株式会社製、Bristow試験機II型(加圧式)を使用し、接触時間2秒間における転移量を空隙容量として求めた。
【0182】
光沢度は、日本電色工業株式会社製変角光度計(VGS−101DP)で75度鏡面光沢を測定した。
【0183】
一方、インクジェット記録液−1用として以下の組成のインクを調整した。
【0184】
イエローインク Y−1(高沸点有機溶媒比率:26.7%)
C.I.ダイレクトイエロー 86 2.0g
ジエチレングリコール 22.3ml
グリセリン 4.4ml
純水(イオン交換水)で100mlに仕上げる。
【0185】
マゼンタインク M−1(高沸点有機溶媒比率:25.2%)
下記マゼンタ染料−1 1.9g
ジエチレングリコール 17.1ml
グリセリン 8.1ml
純水(イオン交換水)で100mlに仕上げる。
【0186】
シアンインク C−1(高沸点有機溶媒比率:23.3%)
C.I.ダイレクトブルー 199 2.4g
ジエチレングリコール 16.1ml
グリセリン 7.2ml
純水(イオン交換水)で100mlに仕上げる。
【0187】
マゼンタ染料−1
【0188】
【化6】
【0189】
上記インク液を使用して、ピエゾ振動子によってインクを吐出させるオンデマンド型インクジェット記録ヘッド(ノズル径=22μm。各インクとも液滴直径=約23μm、液滴容積=約6.4×10−6μlになるように吐出条件をそれぞれ調整した。)によって吐出密度を変化させながら各インク単独でのベタ印字を行い、白抜けが生じない吐出密度(最低吐出密度)を調べた。
【0190】
また、その時の3つの各インクを組み合わせてベタ印字した時のインク量を最大吐出量として調べた。
【0191】
一方、各インクの液滴をそれぞれ単独で0.5mm間隔で吐出した試料を作製し、そのドットの直径を調べた。
【0192】
ドットの直径は以下の手順で測定した。
【0193】
印字されたプリントサンプルをキーエンス株式会社製のビデオマクロスコープ(コントローラーVH−5910)と長焦点レンズ(VH−W200)を組み合わせてドットの拡大像をCCDカメラで撮影し、このデータをパソコンに取り込んで画像処理を行って直径を求めた。ここで直径は前述のごとく1個のドットについてその面積を測定し、その面積に等しい円を仮定したときに直径として求め、任意の100個のドットについて単純平均してドットの直径として求めた。
【0194】
また、上記のサンプルの各々について、20人の被験者に、観察距離60cmの距離で観察してもらいドット識別人数を調べた。得られた結果を表1に示す。
【0195】
更に、各インク単独で、各々印字後の反射濃度が0.5になるように吐出させたサンプルを40℃、相対湿度80%の状態で1週間保存し、保存後の反射濃度を再度測定した。保存前と保存後の滲みによる反射濃度変化(ΔD)を求めた。以上の結果を表1にまとめて示す。表中、Y、M、Cはそれぞれイエロー、マゼンタ、およびシアンの各インク単独で吐出した時の測定値を表す。
【0196】
【表1】
【0197】
表1に示す結果から、2次粒子径が30〜200nmであり、かつドットの拡大率(α)が1.8〜2.2の範囲内にある記録方法に従がっている記録用紙−1、2、5、7〜10では、白抜けが出ない吐出密度で印字した場合、高光沢で、各色の最大記録インク量で印字しても空隙容量以内に収まっており画像のどの部分でもインクが溢れることのない鮮明な画像が得られることがわかる。
【0198】
また上記の記録方法による記録画像のハイライトのドットも良好で60cmの観察距離で見た場合のシアン単独ドットの識別性も良好であることがわかる。
【0199】
これに対して、200nmを超える2次粒子からなる記録用紙−3を使用した場合には光沢性が大きく低下して鮮明な画像が得られなくなり、ドット拡大率が2.2を超えてドットの粒状性も悪化していることがわかる。
【0200】
また、ドット拡大率が1.8未満である記録用紙−4および6を使用した場合には、ドットの拡大率が不十分で最高濃度域でインク吸収容量が不足する。
【0201】
比較例1
実施例1で作製した記録用紙−4および−6で塗布の際の湿潤膜厚を増加させて、それぞれ空隙容量が35ml/m2にした記録用紙−4A、および記録用紙−6Aを作製した。実施例1と同様に評価し、表2に示す結果を得た。
【0202】
【表2】
【0203】
これらはベタ印字で白抜けがなく、かつ3色の最大印字部でもインク吸収容量を持っているが、高湿度の保存による滲みが本発明の記録方法に従った場合より劣化している。
【0204】
参考例1
実施例1で使用したインクジェット記録装置においてインクジェット記録ヘッドをノズル径=31μm、各インクの吐出される液滴径が約32μm、液滴容積=約17×10−6μlになるように吐出条件をそれぞれ調整したヘッドに変えた。
【0205】
また記録用紙は、実施例1で作製した記録用紙−1〜10において湿潤膜厚をそれぞれ1.2倍にして塗布して得られた記録用紙−1B〜10Bを使用した。実施例1と同様にして評価し、表3に示す結果を得た。
【0206】
【表3】
【0207】
表3の結果から、液滴径を31μmになるようなノズルを使用した場合でも本発明のインクジェット記録方法に関わる記録用紙−1B、2B、5B、7B〜10Bを使用した場合には、実施例1同様、白抜けがない条件で印字した場合、滲みがあまり劣化しない範囲で最大インクを吸収できることがわかる。
【0208】
これに対して、αが1.8未満である記録用紙−4B、6Bでは最大インク量を吸収しきれないことがわかる。
【0209】
比較例1で作製した記録用紙−4Aおよび6Aを使用して繰り返したが、最大インク吸収領域でのインク吸収量はほぼ十分であるが、比較例1と同様に高湿度での保存による滲みが悪化していた。
【0210】
参考例2
実施例1で使用したインクジェット記録装置においてインクジェット記録ヘッドをノズル径=36μm、各インクの吐出される液滴径が約36μm、液滴容積=約24×10−6μlになるように吐出条件をそれぞれ調整したヘッドに変えた。
【0211】
また記録用紙は、実施例1で作製した記録用紙−1〜6において湿潤膜厚をそれぞれ1.3倍にして塗布して得られた記録用紙−1C〜6Cを使用した。実施例1と同様に評価し、表4に示す結果を得た。
【0212】
【表4】
【0213】
表4に示す結果から、液滴径を36μmに増した場合、本発明の記録方法に関わる記録用紙−1Cおよび5Cを使用した場合には実施例2と同様に、高光沢で最大吐出時にも十分なインク吸収容量を持つことがわかる。
【0214】
ドット径の増大に伴い実施例1や2に比べてハイライトの粒状性が悪化しているが記録用紙−1Cおよび−5Cならば半数以上の人が粒状度を許容している。
【0215】
比較例2C及び3Cではドットの粒状性が低下し、又比較例4C及び6Cではドットの粒状性は良好なものの必要とされる最大吐出インク量に対して、空隙容量が不足し、最大インク量でインクの溢れが起きてしまう。
【0216】
比較例2
実施例1で作製した記録用紙において、支持体をポリエチレンで両面を被覆した紙支持体から以下の支持体に変化した以外は記録用紙−1と同様にして記録用紙−1D,1E,および1Fを作製した。
【0217】
記録用紙−1D:
坪量が100gの上質紙
記録用紙−1E:
坪量が140gの上質紙の上に、塗布液1L当たりゼラチン70gと硫酸バリウム350gを含有する液を乾燥膜厚が35μmになるように塗布したいわゆる写真用バライタ紙。
【0218】
記録用紙−1F:
坪量が120gでコッブ吸水度が40g/m2であるキャストコート紙。
【0219】
得られた記録用紙について各インク単独でそれぞれ840dpiでベタ印字して得られた試料の反射濃度を測定した。また、実施例1に記載した方法と同様の方法で滲みの評価を行った。得られた結果を表5に示す。
【0220】
【表5】
【0221】
表5に示す結果から、吸水性支持体を用いた場合には、最高反射濃度が低下して高い鮮明な画像が得られにくいことがわかる。また、高湿状態で保存することで、染料が支持体中に徐々に浸透し反射濃度が低下することがわかる。
【0222】
【発明の効果】
以上、本発明のインクジェット記録方法を用いれば、高い最高濃度と鮮明度を有し、ハイライト部の粒状性を目立ちにくくした高画質のカラー画像が得られる。
Claims (7)
- 非吸水性支持体上にインク吸収性層を有する記録用紙に、少なくともイエロー、マゼンタおよびシアンの水溶性インクの小液滴を付着させてドットを形成して記録を行うインクジェット記録方法において、該記録用紙はインク吸収性層に硬膜剤を含有し、かつ、親水性バインダーと30〜200nmの平均粒径を有する2次粒子を含有するインク吸収性層を支持体上に有する記録用紙であり、該水溶性インクは高沸点有機溶媒を10〜40容量%含有し、更に該小液滴を単独で吐出させた時の小液滴が形成するドットの内、最小ドットの直径が60μm以下であり、小液滴の直径(R)に対する記録用紙上に形成されるドットの直径(D1)の比(D1/R)が1.8〜2.2であることを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記2次粒子がシリカであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録方法。
- 前記2次粒子が気相法シリカであることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録方法。
- 前記親水性バインダーがポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク吸収性層がアニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク吸収性層がカチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、または表面がカチオン性である無機微粒子から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録方法。
- 前記非吸水性支持体が両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録方法。
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