JP3752886B2 - 塗布膜面のひび割れ故障が抑制される記録用紙の製造方法 - Google Patents

塗布膜面のひび割れ故障が抑制される記録用紙の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に空隙層を有する記録用紙のひび割れ故障が抑制された記録用紙の製造法に関し、特に、塗布膜面のひび割れが改善された記録用紙の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものである。比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。この方式で従来から問題となっていたノズルの目詰りとメンテナンスについては、インク及び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、さまざまな分野に急速に普及している。
【0003】
このインクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼやけないこと等が要求される。
【0004】
特にインク吸収速度が遅い場合には、2色以上のインク液滴が重なって記録される際に、記録用紙上で液滴がハジキ現象を起こしてムラになったり、また、異なる色の境界領域でのお互いの色が滲んだりして画質を大きく低下させやすいために、記録用紙としては高いインク吸収性を持たせるようにすることが必要である。
【0005】
これらの問題を解決するために、従来から非常に多くの技術が提案されている。
例えば、特開昭52−53012号に記載されている低サイズ原紙に表面加工用の塗料を湿潤させた記録用紙、特開昭55−5830号に記載されている支持体表面にインク吸収性の塗層を設けた記録用紙、特開昭56−157号に記載されている被覆層中の顔料として非膠質シリカ粉末を含有する記録用紙、特開昭57−107873号に記載されている無機顔料と有機顔料を併用した記録用紙、特開昭58−110287号に記載されている2つの空孔分布ピークを有する記録用紙、特開昭62−111782号に記載されている上下2層の多孔質層からなる記録用紙、特開昭59−68292号、同59−123696号及び同60−18383号等に記載されている不定形亀裂を有する記録用紙、特開昭61−135786号、同61−148092号及び同62−149475号等に記載されている微粉末層を有する記録用紙、特開昭63−252779号、特開平1−108083号、同2−136279号、同3−65376号及び同3−27976号等に記載されている特定の物性値を有する顔料や微粒子シリカを含有する記録用紙、特開昭57−14091号、同60−219083号、同60−210984号、同61−20797号、同61−188183号、特開平5−278324号、同6−92011号、同6−183134号、同7−137431号、同7−276789号等に記載されているコロイド状シリカ等の微粒子シリカを含有する記録用紙、及び特開平2−276671号、同3−67684号、同3−215082号、同3−251488号、同4−67986号、同4−263983号及び同5−16517号等に記載されているアルミナ水和物微粒子を含有する記録用紙等が多数知られている。
【0006】
中でも、特開平3−56552号や同7−137434号に記載の無機微粒子と親水性バインダーからなる空隙層をインク吸収層として設けた記録用紙は、高いインク吸収性と光沢性を同時に達成できる技術として好ましいものである。
【0007】
ところでかかる空隙層は通常バインダーに対して微粒子を多量に含むことが空隙を形成するために必要であり、かかる空隙皮膜は非常に剛性が高く固い皮膜になる。この固い皮膜は高いインク吸収性を得るためには必要なことであるが、皮膜の柔軟性が小さいために空隙層の塗布乾燥段階で微小な異物により容易にひび割れを起こしやすいことが判明し、特にインクジェット記録で要求されるような空隙層の乾燥膜厚が25μm以上になるような厚膜においては重大な問題になることが判明した。
【0008】
このような空隙層を有する記録用紙を製造する際には、粗大微粒子そのもの、微粒子の凝集物やその他の添加剤の凝集物など、比較的粗大粒子が塗布液を調整する段階で種々の原因で生成しやすく、これらの粗大粒子は支持体上に塗布乾燥する際に、ひび割れの原因になることが判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、高い光沢性の空隙層を有する記録用紙を製造するに当たって、粗大粒子による塗布膜面のひび割れを極度に改善した記録用紙の製造方法及び記録用紙を提供することにある。また、安価に製造でき、高い空隙率、耐水性及び高光沢性が得られる記録用紙の製造法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記構成によって達成される。
1.下記(1)式で表される粒径R(μm)以上の粒径である粒子の含有個数が10個以内/mlであり、1次粒子の平均粒径が30nm以下の気相法シリカと親水性バインダーを含有する塗布液を非吸水性支持体上に塗布して空隙層を形成する記録用紙の製造方法であって、前記塗布液を支持体上に塗布する前に、孔径が10μm〜75μmであるフィルターで濾過することを特徴とする塗布膜面のひび割れ故障の発生が抑制される記録用紙の製造方法。
(1)式 R=80000/L
Lは空隙層の全乾燥膜厚(μm)を表し、25〜60μmの範囲である。
【0011】
2.前記塗布液がガラス転位温度30℃以下の疎水性ラテックスもしくは融点30℃以下の疎水性有機化合物粒子の乳化分散物を含有することを特徴とする前記1に記載の記録用紙の製造方法
【0013】
3.1次粒子の平均粒径が30nm以下の気相法シリカ及び親水性バインダーを含有し、かつ下記(1)式で表される粒径R(μm)以上の粒径である粒子の含有個数が5個以内/mlである、非吸水性支持体に最も近い空隙層を形成するための塗布液を、平均粒径が30nm以下の気相法シリカ及び親水性バインダーを含有する少なくとも1種の塗布液と共に多層同時塗布して空隙層を形成する記録用紙の製造方法であって、前記塗布液を支持体上に塗布する前に、孔径が10μm〜75μmであるフィルターで濾過することを特徴とする塗布膜面のひび割れ故障の発生が抑制される記録用紙の製造方法
(1)式 R=80000/L
Lは空隙層の全乾燥膜厚(μm)を表し、25〜60μmの範囲である。
【0014】
4.非吸水性支持体上に前記空隙層を形成するための塗布液を塗布した後、15℃以下に一旦冷却してから、20〜70℃の風を吹き付けて乾燥させることを特徴とする前記1〜のいずれかに記載の記録用紙の製造方法
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の空隙層は、インク等の色材の吸収層であって、層の中に空隙を有し、色材の吸収が、吸収層を形成するバインダーの膨潤によって起こるのではなく、主として空隙にインクが収容されることによってインクを吸収する層である。
【0020】
本発明に用いられる微粒子は、気相法により合成された微粒子シリカ及びその表面をカチオン性ポリマーで被覆してカチオン性複合微粒子であり、高い空隙率が得られやすいことから好ましい。
【0024】
微粒子の平均粒径は空隙層を形成することができる程度であれば種々のもの用いることができるが、粒径R以下であることが必要である。本発明の効果を得るには、平均粒径が30nm以下の微粒子を用いるのが好ましい。
30nm以下の微粒子を用いた場合には高い光沢性が得られ易い。
微粒子の下限は特に制限はないが好ましくは5nm以上であり、特に微粒子の平均粒径が5〜30nmである場合が好ましい。
【0025】
インクジェット用記録用紙のインク受容層を形成する無機微粒子としては中でも、1次粒子の平均粒径が30nm以下の気相法シリカが用いられる。
ここで微粒子の平均粒径は、その粒子そのものや空隙層の断面を電子顕微鏡で観察して100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積を測定しその面積に等しい円を仮定したときの直径として求められる。
【0026】
空隙層にはバインダーを用いることが好ましく、特に親水性バインダーが好ましい。用いられる親水性バインダーとしては、従来公知の各種親水性バインダーが用いられるが、無機微粒子がアニオン性かカチオン性かで好ましく用いられる親水性バインダーは異なる。
【0027】
無機微粒子の表面がアニオン性である場合には、ノニオン性バインダー又はアニオン性バインダーが、また、無機微粒子の表面がカチオン性である場合には、ノニオン性バインダー又はカチオン性バインダーが用いられる。これらは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0028】
ノニオン性バインダーの例としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン等が挙げられる。
【0029】
アニオン性の親水性バインダーとしては、カルボキシル基やスルホ基などのアニオン性基を有する親水性ポリマーであり、例えば、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセルロース、寒天、カラギーナン、デキストラン硫酸塩等が挙げられる。
【0030】
カチオン性の親水性バインダーとしては、カチオン変性ポリビニルアルコールやカチオン変性ポリビニルピロリドンなどのノニオン性の水溶性ポリマーをカチオン変性したものや第4級アンモニウム塩基を有する水溶性ポリマーなどが挙げられる。
上記親水性バインダーに対する微粒子の比率は、概ね重量比で2〜10の範囲である。
【0031】
上記空隙層を形成するための塗布液は、製造工程で種々の原因により粗大粒子が形成されやすい。そのような原因として、原材料に元々含まれている粗大粒子に基づくものもあるが、これらは製造過程の段階で比較的容易に取り除くことができるが、特に問題になるのは塗布液を調整する段階で新たに形成される粗大異物である。
【0032】
この塗布液調製段階で形成される粗大異物には大きく、親水性バインダーと無機微粒子分散液又はその他の添加剤を混合する際に生じるショックで形成される凝集物、及び塗布液の表面で乾燥した異物によるものが挙げられる。
【0033】
前者は、無機微粒子が添加剤の溶液と出会った際に局所的に生じる無機微粒子の表面電荷の変化、あるいは添加剤の混合時の局所的な塩濃度の変化などにより引き起こされることが多い。
一方、後者の塗布液の表面で形成された乾燥異物は一般に攪拌で徐々に溶けていくが、空隙層の耐水性が高くなればなるほど溶けにくくなる傾向がある。
【0034】
上記の粗大異物がそのまま含まれた状態で塗布された場合には、乾燥の際に更に大きな粒子を形成する核となり、乾燥後に固い空隙層中でひび割れを起こす原因となるが、このひび割れは全乾燥膜厚に大きく依存し、同じ塗布液を単純に膜厚を変化させて塗布した場合、全乾燥膜厚が多くなるほど急激にひび割れは生じやすいことが判明した。
【0035】
従って、特に一般にインクジェット記録用紙のように、空隙層を比較的厚く設ける必要がある場合には、塗布液中の粗大粒子の含有量を管理することが特に必要であり、かかる観点から鋭意検討した結果本発明を見いだすに到ったものである。
【0036】
全乾燥膜厚が約20μm未満の場合、100μm以上の粗大粒子を含む塗布液を塗布した場合であっても異物そのものは膜面に残り、いわゆるマット状態に近い膜面になることはあっても、この異物を核にひび割れを起こすことはあまりないため、プリント品質を大きく低下させることはない。
【0037】
一方、全乾燥膜厚が50μmを越えた場合には30μm程度以上の粗大粒子がひび割れに大きく寄与し、これ以上のサイズの異物を極力減少させないとひび割れが全面に発生してしまう。ひび割れは異物サイズにもよるが、概ね0.1〜2mm程度の大きさのひび割れが起こり、この部分にインクジェット記録されると白抜け状態になってしまいプリント品質を大きく損ねる。
【0038】
本発明においては、得られる乾燥膜厚に応じて管理すべき塗布液中の粗大異物の粒径のサイズを変えることでひび割れの少ない良好な塗膜面を得ることができるものであり、特に全乾燥膜厚として25〜60μmの間の乾燥膜厚の空隙層を形成する場合に好ましく適用される。
【0039】
全乾燥膜厚が25μm未満の場合には上述のごとく、粗大粒子によるひび割れは実際上はあまり問題になりにくく、また、インクジェット記録用紙として使用した場合には、インク吸収量が少ない製品である。
一方、全乾燥膜厚が60μmを越える場合には、非常に細かな微粒子によりひび割れが起きるようになり、実際上かかる微粒子を管理するのは困難になる。
【0040】
本発明においては、塗布液1ml中の(1)式で表される粒径Rμm以上の粗大粒子の個数が10個以下であるようにすることが必要であるが、更に5個以下がより好ましく、特に3個以下にすることが最も好ましい。
【0041】
本発明の記録用紙は、支持体上に少なくとも1層の空隙層を塗布した記録用紙に適用される。
空隙層が単一の層である場合には、上記の如くこの空隙層を形成する塗布液1ml中の(1)式で表される粒径Rμm以上の粗大粒子の個数が10個以下であるようにすれば良い。
【0042】
空隙層が2層以上から構成される場合には、支持体に近い側の空隙層ほど粗大粒子の数を少なく管理する必要があり、支持体に最も近い空隙層を形成する塗布液1ml中が含有する(1)で表されるRμm以上の粒径を有する粗大粒子の個数は5個以内にすることが必要である。特に好ましいのは2個以内である。
上記粗大粒子は、例えばレーザー光散乱の原理に基づいた市販の粒子測定装置を用いて容易に測定することができる。
【0043】
空隙層を形成する塗布液の本発明で規定されるサイズ以上の粗大粒子を10個又は5個以内にするためには、原材料に予め含まれている未溶解性の異物や未分散性の異物を塗布液を調製する前に除去しておくことはもちろんのこと、塗布液の調製段階でできるだけ液面が乾燥したり、あるいは混合時のショックが起きないように添加液を希釈したり添加時間をゆっくり添加するなどの工夫はもちろん必要である。
【0044】
しかし、これ以外にも塗布液中でどうしても生じる異物を除去するために、塗布液の調製後に本発明で規定されるひび割れに関係する粒径以上の粒子を捕集するフィルターを使用して除去することが特に好ましい。本発明においては、孔径が10μm〜75μmのフィルターが用いられる。
そのようなフィルターは1本でも良く、直列で2本以上使用することもでき、さらに、補修できる粒径の異なる種類の違うフィルターを直列で連結して用いることもできる。
【0045】
本発明の記録用紙は、高光沢性で高い空隙率を有するが、ひび割れを軽減させるために、前記親水性バインダーが硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
硬膜剤は、一般的には前記親水性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは親水性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、親水性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0046】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸及びその塩、ほう砂、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0047】
特に好ましい親水性バインダーとしてはポリビニルアルコール及び又はカチオン変成ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸及びその塩、及びエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0048】
最も好ましいのはほう酸及びその塩から選ばれる硬膜剤である。
本発明で、ほう酸又はその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを指し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、及び八ほう酸及びそれらの塩が含まれる。
【0049】
上記硬膜剤の使用量は親水性バインダーの種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や親水性バインダーに対する比率等により変化するが、概ね親水性バインダー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0050】
上記硬膜剤は、空隙層を構成する塗布液を塗布する際に空隙層形成の塗布液中及び又は空隙層に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加しても良く、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、前記空隙層を形成する塗布液を塗布したり、さらには空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗布液を塗布乾燥後に硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして空隙層に硬膜剤を供給することができるが、好ましくは製造上の効率から、空隙層を形成する塗布液又はこれに隣接する層の塗布液中に硬膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給するのが好ましい。
【0051】
空隙層を形成するのが超微粒子シリカ及びポリビニルアルコールである特に好ましい態様においては、空隙層を形成する塗布液中に予め硬膜剤を添加しておき、一定時間(好ましくは10分以上、特に好ましくは30分以上)経過してから支持体上に塗布・乾燥するとより高い空隙率を皮膜の脆弱性を悪化させることなく達成することができる。
【0052】
更に本発明の記録用紙には、ひび割れを更に改善するために、ガラス転移温度が30℃以下の疎水性ラテックス又は融点が30℃以下の疎水性有機化合物の乳化分散された油滴を含有するのが好ましい。
【0053】
ガラス転移温度が30℃以下の疎水性ラテックスは、乳化重合法で重合されたポリマーラテックスであり、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリアクリル酸エステル系ラテックス、ポリメタクリル酸エステル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系ラテックス、シリコン系ラテックス等が好ましく用いられる。
【0054】
上記重合体ラテックスの例としては、例えば、ポリ酢酸ビニルラテックス、酢酸ビニル/エチレンラテックス(9/1)、酢酸ビニル/メタクリル酸エチルラテックス(5/5)、酢酸ビニル/アクリル酸−n−ブチルエステルラテックス(5/5)、塩化ビニル/アクリル酸ブチルラテックス(4/6)、アクリル酸ブチルラテックス、アクリル酸エチル/メタクリル酸ブチル/スチレン(40/55/5)、アクリル酸エチル/アクリル酸ブチル/HEMA(3/6/1)、スチレン/アクリル酸ブチル/HEMA(15/80/5)、シリコンラテックス等を挙げることができる。かっこ内の共重合のモル比を表し、HEMAはヒドロキシエチルメタクリレートを表す。
【0055】
ラテックスの平均粒径は、本発明で規定するR(μm)より小さければどのようなものも用いることができるが、本発明の効果上100nm以下が好ましい。
【0056】
前記の油滴を形成する疎水性化合物としては、融点が30℃以下の通常、疎水性高沸点有機溶媒と呼ばれている有機化合物が用いられる。
このような疎水性有機化合物としては、例えばフタル酸エステル類(ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−イソデシルフタレート等)、リン酸エステル類(例えばトリクレジルホスフェート、トリオクチルフォスフェート等)、脂肪酸エステル類(ステアリン酸ブチル、セバチン酸ビス(2−エチルヘキシル)、エチレングリコールジステアレート等)、アミド類(N,N−ジエチルラウリルアミド、N,N−ジエチル−2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシブタンアミド)等)、エーテル類(エチレングリコールジブチルエーテル、デシルエーテル等)、シリコンオイル、流動パラフィン、ポリ−2−エチルヘキシルメタクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリルアミド等の疎水性ポリマー等を挙げることができる。
【0057】
上記疎水性化合物は、一般に高速回転ホモジナイザーや高圧ホモジナイザーなどにより、親水性バインダー中に、好ましくは界面活性剤の存在下に乳化分散させて用いられる。この際、酢酸エチルや酢酸プロピルなどの低沸点有機溶媒の存在下で乳化分散するのがより微小な油滴を得る観点から好ましい。
【0058】
この際、融点が30℃以上の他の疎水性化合物(例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、白地調整のための着色油溶性染料など)を使用することもできるが、使用量は油滴を形成する融点が30℃以下の疎水性有機化合物の50重量%以下であるのが好ましい。
【0059】
上記の疎水性ラテックス及び乳化分散された油滴の平均粒径は5μm以下、特に1μm以下が好ましく、最も好ましくは0.05〜0.5μmである。
また添加量は、無機粒子の全量に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%であり添加層は全ての空隙層であることも、また、一部の添加層であることもできる。
【0060】
本発明のインクジェット記録用紙の空隙層及び必要に応じて設けられるその他の層には、前記した以外に各種の添加剤を添加することができる。
例えば、染料を固定化するための各種のカチオン性ポリマー、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同58−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0061】
本発明の記録用紙の空隙容量は概ね20〜60ml/m2であり、50ml/m2以上が好ましく、空隙層の空隙率は概ね0.5〜0.8である。
【0062】
本発明で記録用紙の支持体としては、従来主としてインクジェット用記録用紙として公知の紙支持体、プラスチック支持体、複合支持体など適宜使用できるが、より高い濃度で鮮明な画像を得るためには支持体中に水などの溶媒が浸透しない非吸水性支持体を用いるのが好ましい。非吸水性支持体としては、例えば透明又は不透明のプラスチック支持体又は紙の表面をプラスチック樹脂で被覆した支持体等が挙げられる。
【0063】
透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、約10〜200μmが好ましい。透明支持体のインク受容層側及びバック層側には公知の下引き層を設けることが、インク受容層やバック層と支持体の接着性の観点から好ましい。
【0064】
また、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0065】
上記支持体とインク受容層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明の記録シートは必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0066】
本発明のインクジェット記録用紙では原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
【0067】
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率は10重量%以上、70重量%以下が好ましい。
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0068】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0069】
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分重量%と42メッシュ算分の重量%との和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の重量%は20重量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0070】
原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0071】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特にインク受容層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して概ね3〜20重量%、好ましくは4〜13重量%である。
【0072】
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。
【0073】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量はインク受容層やバック層を設けた後で低質及び高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、概ねインク受容層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0074】
更に上記ポリエチレン被覆紙支持体は以下の特性を有していることが好ましい。
▲1▼引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kgが好ましい。
▲2▼引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g、横方向が20〜200gが好ましい。
▲3▼圧縮弾性率≧103Kgf/cm2
▲4▼表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い。
▲5▼不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい。
【0075】
本発明の記録用紙の空隙層及び下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種の親水性層を支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0076】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0077】
空隙層を形成する塗布液を支持体上に塗布した後の乾燥は、通常温風乾燥するのが一般的であるが、本発明においては、特に塗布後に一旦15℃以下に冷却した後に20〜70℃の風を吹きつけて急速に乾燥するのが膜面に液よりが発生しにくくひび割れが起きにくいことから好ましい。
【0078】
冷却せずに直接温風や熱風を吹き付けた場合、塗布液の粘度が低くなりすぎて吹き付けられた風により局所的に液よりが起きやすく、液が余計に厚くなった部分でひび割れが顕著になる。
【0079】
塗布するに当たっては通常、30〜50℃の塗布液を塗布するのがこの場合の粘度は5〜100cpであり塗膜温度を15℃以下に冷却して液を増粘させることで液よりを防止しひび割れが抑制される。
【0080】
一旦冷却された後は温風や熱風を吹き付けても水分蒸発潜熱により膜温度がそれほど蒸発しないために液よりが防止できる。
冷却後の乾燥温度は20〜70℃の風を好ましくは2〜5分間吹き付けて乾燥される。乾燥するための風は塗膜面にひび割れを起こさないために適当なサイズのフィルターを通して異物を極力取り除いた風を吹きつけるのが好ましい。
【0081】
本発明の記録用紙をインクジェット用として用いる場合、インクジェット記録用紙を用いて画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が好ましく用いられる。
上記水性インクとは、下記着色剤及び液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。着色剤としてはインクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料あるいは水分散性顔料が使用できる。
【0082】
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶媒、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。
【0083】
これらの多くの水溶性有機溶媒の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0084】
その他の水性インクの添加剤としては、例えばpH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤、等が挙げられる。
水性インク液は記録用紙に対する濡れ性を良好にするために、20℃において、25〜60dyn/cm、好ましくは30〜50dyn/cmの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。
【0085】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾重量%を示す。
【0086】
実施例1
予め均一に分散されている1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業社製:A200)の20%水溶液A1(pH=2.5、エタノール1重量%含有)450リットルを、カチオン性ポリマーP−1を12重量%、n−プロパノール5重量%、及びエタノールを2重量%含有する水溶液C1(pH=2.5、サンノブコ社製消泡剤SN381を2g含有)100リットルに、室温で攪拌しながら添加した。
【0087】
次に、5%ホウ酸水溶液4リットルを攪拌しながら徐々に添加した。
次いで、三和工業社製の高圧ホモジナイザーで500kg/cm2の圧力で分散して均一でほぼ透明な分散液をB1を得た。
この分散液は30μmの濾過精度を持つ、アドバンテックス東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行った。
【0088】
次に上記の分散液B1を使用して以下のように添加剤を順次混合して塗布液(CS1)を調製した(調液量は50リットル調製し、以下の値は塗布液1リットル当たりの数値を示す)。
【0089】
シリカ分散液B1 620ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)5%水溶液 265ml
シリコン分散液(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY−22−839) 30ml
ラテックス分散液(大日本インキ化学工業社製、ボンコートSFC−55(Tg=0℃)) 20ml
純水(全量を1000mlに仕上げる)
また、上記の中から、シリコン分散液を除いた以外はCS1と同様にして塗布液CS2を調整した。
【0090】
塗布液CS2から更に疎水性ラテックスを除いた以外はCS2と同じにして塗布液CS3を調整した。
【0091】
また、塗布液CS2の疎水性ラテックス20mlに代えて、疎水性有機化合物として下記のように調整した流動パラフィン(20℃で液体状態)分散液20mlを添加した以外はCS2と同じにして塗布液CS4を調整した。
【0092】
(流動パラフィン分散液の調整)
流動パラフィン10gを酢酸エチル15mlに溶解したものを、1.8gの酸処理ゼラチン及び1.1gのサポニンを含有する60mlの水と混合・乳化分散し、水で全量90mlに仕上げた。
【0093】
得られたそれぞれの塗布液をアドバンテックス東洋社製のフィルターTCWタイプ(孔径は表1に示す3種類のものを使用した)を用いて濾過して単層インクジェット記録用紙用の塗布液を得た。
【0094】
得られた塗布液を、純水で5倍に希釈して、野崎産業社製のハイアック/ロイコインテリジェントパーティクルカウンター8000Aを用い、19μm以上、32μm以上、65μm以上、200μm以上の粒径の個数を調べ、塗布液1ml当たりの個数に換算して表1に示した。
【0095】
【化1】
Figure 0003752886
【0096】
【表1】
Figure 0003752886
CS1:ラテックス=有、シリコン=有
CS2:ラテックス=有、シリコン=無
CS3:ラテックス=無、シリコン=無
CS4:mp30℃以下 疎水性有機化合物粒子=有、シリコン=無
【0097】
次に各塗布液を湿潤膜厚を変化させてそれぞれ乾燥膜厚が20μm、35μm、50μm、65μmになるように下記の厚さが240μmの支持体に塗布した。
支持体:170g/m2の原紙両面をポリエチレンで被覆した紙支持体。
原紙の記録面側には厚さ約35μmのポリエチレン層中に9重量%のアナターゼ型二酸化チタンを含有し、原紙の裏面は厚さ約30μmのポリエチレン層が被覆。
表裏のポリエチレン層の上にはそれぞれゼラチンが下引層として0.1g/1m2塗布。
記録面側の支持体の75度光沢度は32%、裏面の光沢度は23%。
【0098】
塗布はそれぞれの塗布液を40℃でスライドホッパーで塗布を行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却して塗膜温度を10℃以下にさせてから、20〜30℃の風で60秒間、45℃の風で60秒間、50℃の風で60秒間順次乾燥した。
【0099】
得られた試料のひび割れ状況を目視及びルーペで観察し塗膜面0.3m2当たりのひび割れ個数を調べた。結果を表2に示す。
【0100】
それぞれの乾燥膜厚の時の、本発明の式(1)に従って得られるひび割れに関係する粒径は以下の通りである。
乾燥膜厚 粒径(R)
20μm 200μm
35μm 65μm
50μm 32μm
65μm 19μm
【0101】
【表2】
Figure 0003752886
【0102】
ひび割れ点数は、0.5m2当たり、概ね10個以内であれば実用上は大きな問題はない。
表1、及び表2の結果から、乾燥膜厚=20μmになるように塗布した場合には、塗布液1ml中に含まれるR≧200μmの粒子がいずれも10個以下であり良好な膜面が得られることがわかる。
【0103】
表1及び表2の結果から、乾燥膜厚=35μmになるように塗布する場合、50μm又は25μmのフィルターで濾過した塗布液{CS1(c)(d)とCS2(c)(d)}は、塗布液1ml中のR≧65μmの粒子数が10個以下なので、塗膜面のひび割れ点数が10個以下であり、良好な膜面が得られる。
尚、R≧65μmの粒子数が10個/1mlを越える塗布液{CS1(a)(b)とCS2(a)(b)}を用いると、いずれも膜面に11個以上/0.5m2のひび割れが発生している。
【0104】
乾燥膜厚が50μm及び65μmになるように塗布した試料においては、それぞれR≧32μm、R≧19μmの粒子数がいずれの場合においても、10個以上になりいずれの試料にもひび割れが多発している。
【0105】
本発明に係る疎水性有機化合物粒子を含有する塗布液CS4を用いた場合は、これを含まない塗布液CS3を用いた場合よりもひび割れが少なく、また、本発明に係る疎水性ラテックスを含有する塗布液CS2を用いた場合は、更にひび割れが少なく、非常に良好な膜面を得易くなる傾向にある。
【0106】
実施例2
実施例1で使用した塗布液CS2{(b)、(c)、(d)}を用い、実施例1で濾過した液を更に25μmのフィルターで2回濾過した液{(b)’、(c)’、(d)’}を使用して実施例1と同様の評価を行った。
塗布液中の粒子数を表3に示す。
【0107】
【表3】
Figure 0003752886
【0108】
次に、実施例1と同様にして支持体上に塗布して記録用紙を得た。記録用紙の膜面を調べ、表4に示す結果を得た。
【0109】
【表4】
Figure 0003752886
【0110】
表3及び表4の結果から、乾燥膜厚が20μm及び35μmになるように塗布した場合、いずれの塗布液にも対応するR(それぞれ200μm、65μm)以上の粒径を有する粗大粒子は塗布液1ml中にいずれも0個であり、膜面のひび割れも全くない。
【0111】
乾燥膜厚が50μmになるように塗布した場合、対応するR≧32μm以上の粗大粒子は塗布液(c)’と(d)’が1ml中に10個以下になり、膜面のひび割れも10個以下で品質上許容できるレベルになる。
塗布液(b)’を用いた場合には1mlの塗布液中に粗大粒子が10個を越え、ひび割れも急に増大する。
【0112】
実施例3
実施例1で作成したシリカ分散液B1において、シリカを日本アエロジル社製の1次粒子の平均粒径が0.007μmである気相法シリカA300とA200の1:1の混合したものに変えた以外は実施例1と同様にしてシリカ分散液B2を作成した。
【0113】
次に、多層式インクジェット記録用紙を作成するために以下の4種類の塗布液を作成した。
【0114】
第1層用塗布液の作成(塗布液1リットル当たりの量)
シリカ分散液B2 650ml
蛍光増白剤分散液(下記) 30ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)5%水溶液 270ml
ラテックス分散液(大日本インキ化学工業社製、ボンコートSFC−55(Tg=0℃)) 20ml
純水(全量を1000mlに仕上げる)
【0115】
第2層用塗布液(塗布液1リットル当たりの量)
シリカ分散液B2 650ml
蛍光増白剤分散液(下記) 30ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)5%水溶液 270ml
ラテックス分散液(大日本インキ化学工業社製、ボンコートSFC−55(Tg=0℃)) 20ml
純水(全量を1000mlに仕上げる)
【0116】
第3層用塗布液(塗布液1リットル当たりの量)
シリカ分散液B2 620ml
蛍光増白剤分散液(下記) 20ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)5%水溶液 270ml
ラテックス分散液(大日本インキ化学工業社製、ボンコートSFC−55(Tg=0℃)) 10ml
純水(全量を1000mlに仕上げる)
【0117】
第4層用塗布液(塗布液1リットル当たりの量)
シリカ分散液B1 600ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)5%水溶液 270ml
界面活性剤(サポニン)10%水溶液 10ml
カチオン性界面活性剤(S−1)5%水溶液 10ml
シリコン分散液(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY−22−839) 20ml
純水(全量を1000mlに仕上げる)
【0118】
蛍光増白剤分散液:3%の酸処理ゼラチン水溶液100ml(サポニンを4g、カチオン性ポリマーP−9を2g含有)中に、チバガイギー社製の油溶性蛍光増白剤(UVITEX−OB)0.6gとジイソデシルフタレート12gを酢酸エチル25mlに加熱溶解した液を添加し、超音波ホモジナイザーで乳化分散し、全量を純水で140mlに仕上げる。
【0119】
【化2】
Figure 0003752886
【0120】
上記の各塗布液の粘度は、40℃で30〜40cp、15℃で1万〜2万の粘度であった。
【0121】
上記のようにして得られた塗布液を、実施例1で使用した支持体上に全乾燥膜厚がそれぞれ20μm、35μm、50μm及び65μm(第1層〜第4層の乾燥膜厚はそれぞれ等しくなるように塗布した)になるように実施例1と同じ塗布装置を用い、同じ乾燥条件で4層同時塗布した。
【0122】
塗布に先立って、それぞれの塗布液の内、第2層〜第4層の塗布液は実施例1で使用した孔径が25μmのフィルターで2回濾過した後、10μmのフィルターで1回濾過した。
【0123】
一方、第1層の塗布液は下記の表5に示すような濾過を行った。第1層〜第4層の塗布液の最大粒子数を表5に示す。
【0124】
【表5】
Figure 0003752886
【0125】
得られた記録用紙についてひび割れを調べ、表6に示す結果を得た。
【0126】
【表6】
Figure 0003752886
【0127】
濾過しない(e)を使用した記録用紙においては、20μmの乾燥膜厚でも、第1層の塗布液が1ml中に含有するR≧200μmの粒子数が6個で膜面のひび割れは14個発生している。
【0128】
塗布液(f)を使用した場合、乾燥膜厚が20μm及び35μmで塗布した場合、対応するRμm以上(それぞれ200μm及び65μm以上)の粗大粒子数が5個以下となり、塗布面のひび割れは許容範囲内にある。しかし、乾燥膜厚が50μmと65μmの場合には、対応するRμm以上の粗大粒子数が5個を越え、膜面のひび割れも許容範囲外になる。
【0129】
塗布液(g)を使用した場合には、乾燥膜厚が20μm、35μm、及び50μmで塗布した場合に対応するRμm以上の粗大粒子数が5個以下になり、良好な膜面が得られる。
【0130】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的厚い空隙層を支持体上に塗布した場合であってもひび割れ故障の発生が抑制され、良好な塗布膜面の記録用紙が得られる。

Claims (4)

  1. 下記(1)式で表される粒径R(μm)以上の粒径である粒子の含有個数が10個以内/mlであり、1次粒子の平均粒径が30nm以下の気相法シリカと親水性バインダーを含有する塗布液を非吸水性支持体上に塗布して空隙層を形成する記録用紙の製造方法であって、前記塗布液を支持体上に塗布する前に、孔径が10μm〜75μmであるフィルターで濾過することを特徴とする塗布膜面のひび割れ故障の発生が抑制される記録用紙の製造方法。
    (1)式 R=80000/L
    Lは空隙層の全乾燥膜厚(μm)を表し、25〜60μmの範囲である。
  2. 前記塗布液がガラス転位温度30℃以下の疎水性ラテックスもしくは融点30℃以下の疎水性有機化合物粒子の乳化分散物を含有することを特徴とする請求項1に記載の記録用紙の製造方法
  3. 1次粒子の平均粒径が30nm以下の気相法シリカ及び親水性バインダーを含有し、かつ下記(1)式で表される粒径R(μm)以上の粒径である粒子の含有個数が5個以内/mlである、非吸水性支持体に最も近い空隙層を形成するための塗布液を、平均粒径が30nm以下の気相法シリカ及び親水性バインダーを含有する少なくとも1種の塗布液と共に多層同時塗布して空隙層を形成する記録用紙の製造方法であって、前記塗布液を支持体上に塗布する前に、孔径が10μm〜75μmであるフィルターで濾過することを特徴とする塗布膜面のひび割れ故障の発生が抑制される記録用紙の製造方法
    (1)式 R=80000/L
    Lは空隙層の全乾燥膜厚(μm)を表し、25〜60μmの範囲である。
  4. 非吸水性支持体上に前記空隙層を形成するための塗布液を塗布した後、15℃以下に一旦冷却してから、20〜70℃の風を吹き付けて乾燥させることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の記録用紙の製造方法
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