JP4538938B2 - 紙用表面処理剤及びオフセット印刷用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面粘着性、インク着肉性、塗工適性に優れるとともに、オフセット印刷後の裏抜けの少ない表面処理剤及びそれを塗工したオフセット印刷用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷技術は、オフセット印刷化、カラー印刷化、高速大量印刷化、自動化など大きな進歩を遂げてきている。これに伴い、印刷用紙に対しても、作業性、印刷適性の面から各種の物性の改良が求められている。
【0003】
特に、新聞印刷用紙(新聞用紙、新聞巻取紙)は、一般的に、機械パルプや脱墨パルプ(以下、「脱墨パルプ」を「DIP」と略す)を主体とする紙であり、中・下級紙に分類される紙でありながら、他方では、指定された時間内に、指定された部数を確実に印刷しなければならず、一般印刷用紙以上に厳しい品質を要求される紙である。最近の新聞印刷用紙は、軽量化、DIPの高配合化などが求められており、これらの品質要求を克服しながら各種の改良を行う必要がある。このような観点から、新聞印刷用紙の改良は一般印刷用紙に比較してかなり厳しいものとなっている。
【0004】
新聞印刷についても、近年、印刷の高速化の要求、カラー紙面の要求、多品種印刷の要求、自動化の要求などの点から、新聞印刷へのコンピューターシステム導入と相まって凸版印刷からオフセット印刷への転換が急速に進んでいる。
【0005】
このオフセット印刷の普及により、新聞印刷用紙に対して、凸版印刷用の新聞印刷用紙とは異なった品質が要求されている。例えば、1)表面粘着性が小さい、すなわち剥離性がよいこと、2)ブランケットに紙粉の堆積が少ないこと、3)吸水抵抗性が適度に保たれオフセット印刷時に湿し水による紙切れがないこと、4)印刷インクのセット性が適度であること、5)不透明度が高く裏抜けしないこと、6)摩擦係数が適度であることなどの品質である。これらの要求品質の中でも、特に、1)表面粘着性の低下、2)吸水抵抗性の向上、3)印刷インクの着肉性の向上、4)不透明度が高く裏抜けしないことなどが重要な課題となっている。
【0006】
しかし、機械パルプやDIPの含有率の高い新聞印刷用紙は、機械パルプの含有率が低く、広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPと略す)の含有率が高い一般印刷用紙とは異なり、微細化した繊維が多く、紙粉の問題が発生しやすい。また、機械パルプの含有率が高い場合、微細化した繊維同士の結合力は弱く、紙表面の状態は粗であるので紙表面から紙粉が脱落して印刷時にブランケットに紙粉の堆積が増加する傾向がある。
【0007】
新聞印刷用紙の軽量化については、例えば、1989年には、坪量46g/m2の新聞印刷用紙が96%を占めていたが、1993年には、坪量43g/m2の新聞印刷用紙が約80%を占めるに至っている。軽量化の進展により、新聞印刷用紙の不透明度の低下、紙力の低下などの問題が生じている。そのため、このような不透明度の低下、紙力の低下などを補うために、無機や有機の填料、顔料を増配しなければならない。しかし、填料あるいは顔料の増配は、用紙自体が薄く、軽くなっていることと相まって、填料あるいは顔料をより脱離しやすくする。特に、湿し水を用いるオフセット印刷の場合には、湿し水がパルプの繊維間結合を弱くすることから、その脱離の傾向はさらに大きいものとなっている。これらの脱離の傾向は、新聞印刷用紙のさらなる軽量化の進展に伴って、さらに深刻な問題となってきており、例えば、坪量40g/m2未満の新聞印刷用紙の改良は、坪量43g/m2以上の新聞印刷用紙の改良より非常に困難となっている。
【0008】
さらに、DIPの高配合化により、DIP由来の微細繊維、填料あるいは顔料の増加を招き、軽量化と相まって紙粉の増加、紙力の低下などの問題が生じる。これらの問題もDIPの配合率が上昇するほど重大な問題となっている。以上述べたように、新聞印刷用紙の最近の傾向は、特に表面強度の点で大きなマイナス要因となっている。
【0009】
新聞印刷用紙の表面強度の改良は、大別して非塗工による対策と塗工による対策が知られている。
【0010】
非塗工による対策は、原料配合の変更、抄紙条件の変更、紙力増強剤の増量などによる方法である。しかし、これらの方法では、オフセット新聞印刷用紙への厳しい品質要求に対応することは困難である。
【0011】
一方、塗工による対策は、澱粉、化工澱粉(酸化澱粉、澱粉誘導体など)やポリビニルアルコールなどの表面処理剤を、新聞印刷用原紙に表面塗工(外添)する方法であり、表面強度の改良に有効な手段となっている。
【0012】
新聞印刷用紙への表面処理剤の塗工は、経済的な側面からオンマシーン塗工が一般的であり、高速塗工が可能な被膜形成転写方式であるゲートロールコーターが用いられている。このゲートロールコーター方式の特徴は、例えば、紙パ技協誌 第43巻第4号(1989)p.36、紙パルプ技術タイムスVol.36 No.12(1993)p.20などに簡単にまとめられているが、一般印刷用紙で用いられている2本ロールサイズプレス方式と比較して、塗工液を効率よく紙表面にとどめることが可能であり紙表面の改良に効果的である。すなわち、2本ロールサイズプレス方式では、原紙は塗工液のポンド(液溜り)中を通過するため、塗工液の原紙への浸透が非常に大きいのに対し、ゲートロールコーター方式では、塗工液があらかじめ被膜を形成しその膜が転写されるため、塗工液の原紙への浸透がかなり抑制される。そのため、ゲートロールコーター方式では、塗工層が原紙表面に均一に形成される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したように、新聞印刷用紙の最近の傾向(軽量化、あるいはDIPの高配合化の進展)は、表面強度の点で大きなマイナス要因となっており、塗工による対策においても表面処理剤の塗布量を増加させる必要が生じている。従来から常用されている澱粉、加工澱粉やポリビニルアルコールなどの表面処理剤を多量に用いた場合、表面強度の向上効果は認められるものの、その表面処理剤が水で湿潤された状態では表面粘着性を示すため、新聞印刷用紙の製造時あるいは印刷時に、表面粘着性に起因するトラブル(いわゆる「ネッパリ」と呼ばれる現象)を起こす問題があった。また、このネッパリ問題は、表面処理剤をゲートロールコーターのようなフィルム転写方式で塗工を行った場合、2本ロールサイズプレスと比較してより顕著で深刻な問題であった。さらに4色カラー印刷では、新聞印刷用紙の同一印刷面が4回の湿し水で湿潤されるため、ブランケット及び紙表面に水皮膜が生じやすく疎水性のインクが着肉しにくい現象がみられた。
【0014】
また、新聞印刷用紙に吸水抵抗性がないと、オフセット印刷時に湿し水が用紙内部に容易に浸透してしまうため、その部分の強度が低下し、印刷時の張力により断紙(以下、水切れ断紙と呼ぶ)が起こりやすく、印刷時の重要な問題となっている。
【0015】
さらに、印刷された新聞を読む時に、裏側に印刷された文字やカラー写真画像などが透けて見える、いわゆる“裏抜け”は非常にわずらわしいことである。
【0016】
従って、ゲートロールコーターのようなフィルム転写方式による塗工において、新聞印刷用紙における表面強度の改善(紙粉の抑制)、表面粘着性(ネッパリ)の低下、インク着肉性の向上、裏抜け対策は極めて重要な課題である。
【0017】
これらに関して、例えば、特開平6-57688号公報、及び特開平6-192995号公報などに、表面処理剤に添加して表面粘着性を改善するような粘着防止剤が開示されている。すなわち、特開平6-57688号公報では、有機フルオロ化合物から成る粘着防止剤が、一方、特開平6-192995号公報では、置換コハク酸及び/または置換コハク酸誘導体を有効成分とする粘着防止剤が開示されている。これらの粘着防止剤を使用することによりネッパリが低減するので、表面処理剤の塗布量を増やすのに有効である。しかし、これらの粘着防止剤の使用においては、1)塗工材料が表面処理剤と粘着防止剤の2成分になるため塗工時の泡立ちが著しい、2)コスト上昇の要因になる、3)カラー印刷時の墨の着肉が悪化するなどの問題のあることが認められた。
【0018】
特開平5-59689号公報、特開平5-295693号公報には、ポリビニルアルコールとポリエーテル化合物から成る紙用サイジング剤が開示されている。特に、特開平5-59689号公報には、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体とポリビニルアルコールから成る組成物を新聞印刷用原紙に塗布すると、表面強度が改良され、かつオフセット印刷時の粘着性の低い新聞印刷用紙が得られることが開示されている。この組成物は、澱粉類やポリビニルアルコールを単独で塗布した場合に比較して、表面粘着性をある程度改善できるものの、さらに軽量化、DIP高配合化が進んだ場合、満足できるインク着肉性と表面粘着性を得ることはできなかった。
【0019】
さらに、本発明者らは、特願平11-233238号において、コロイダルシリカを新聞用紙の表面塗工剤として使用することによって表面粘着性を顕著に低減できることを見出した。しかしながら、コロイダルシリカ単独の塗工液をゲートロールコーターにて新聞用紙に塗工する場合、コロイダルシリカ塗工液の粘度が5mPa・s未満で極めて低いため、十分な塗布量を得ることができない。さらに、ロール上に転写された塗工液の幅方向のプロファイルが悪いので、塗工紙の塗工皮膜のプロファイルが均一でなく、また、ロール上に転写された塗工液皮膜の乾燥が速いため、ボトムロールとトップロールの間でスリップを起こすといった塗工適性にも大きな問題のあることが判明した。
【0020】
そこで、本発明では、表面粘着性(ネッパリ)、インク着肉性、塗工適性に優れるとともに、オフセット印刷後の裏抜けの少ない紙用表面処理剤及びその表面処理剤を含有する塗工層を設けたオフセット印刷用紙の提供を課題とした。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、コロイダルシリカ水分散液に粘性改良剤を添加し、固形分濃度10重量%、25℃におけるブルックフィールド粘度を5〜150mPa・sとすることにより塗工適性が改善された紙用表面処理剤が得られることを見出した。さらに、印刷用原紙に、コロイダルシリカ及び粘性改良剤、若しくはコロイダルシリカ、無機塩及び粘性改良剤を主成分とする紙用表面処理剤を含有した塗工層を設けることにより表面粘着性(ネッパリ)、インク着肉性に優れるオフセット印刷用紙が得られることを見出した。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の紙用表面処理剤に用いられるコロイダルシリカは、通常、無水ケイ酸を20〜40%含有し、酸化ナトリウムとして換算したナトリウムの含有率は1%以下で、pHは9.5〜10.5のコロイダルシリカである。無水ケイ酸は水分散液中でSiO2・XH2Oの形であり、粒径5〜100nmのコロイド粒子となっており、粒径が非常に小さいので容易に紙面に浸透し、紙を構成する繊維への吸着力あるいは付着力が強く、また粒子相互の付着力も強いものである。
【0023】
また、本発明の紙用表面処理剤に用いられる粘性改良剤は、レオロジーモディファイヤー(粘度調整剤、保水剤)とも言われ、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダ等の天然物、アクリルポリマー系の合成高分子化合物などである。シリカゾル溶液に、これらの粘性改良剤を少量添加することにより、ブルックフィールド粘度及びハーキュレス粘度を上昇させ、塗布量の調整、保水性向上、塗工表面の均一化、ゲートロール上の塗工液皮膜の乾燥速度抑制等が可能となり、ゲートロール塗工適性が向上する。特に、アクリルポリマー系及びカルボキシメチルセルロースの粘性改良剤は有効である。アクリルポリマー系の粘性改良剤は、アクリルポリマーを界面活性剤が取り囲んだミセル構造の合成樹脂エマルジョンであるが、pHが8〜10のアルカリ領域のシリカゾル溶液に添加すると、糸状の水溶性ポリマーとなり、粘度が上昇し、保水剤としての性能を発揮する。具体的には、アルコガムL−29K、アルコガムL−29W(日本エヌエスシー株式会社製)、ソマレックス270、ソマレックス280(ソマール株式会社製)、プライマルTT−935(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。また、カルボキシメチルセルロースとしては、サンローズA10SHG(日本製紙株式会社製)が挙げられる。
【0024】
さらに、本発明で用いられる無機塩は、酸と塩基の中和反応などにより得られる塩である。固体では多くの場合、イオン結晶となっている。本発明で使用する無機塩は、白色度及び不透明度を向上させる機能も付与することが好ましいため、白色結晶が最も望ましい。さらに、無機塩には、水溶性の無機塩と非水溶性の無機塩があるが、水溶性の無機塩が望ましい。具体的には、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられるが、コスト、性能を考慮するとナトリウム塩が好ましく、硫酸ナトリウムが最も好ましい。
【0025】
コロイダルシリカに対する無機塩の比率は、コロイダルシリカ中の固形分100重量部に対して5〜100重量部が望ましい。5重量部未満では本発明の効果が低下してしまい、100重量部を超えるとコロイダルシリカの本来の特性が損なわれてしまう。
【0026】
本発明では、無機塩は、塗工液の調製中にコロイダルシリカ溶液に添加してもよいし、コロイダルシリカ製造時に副生成物として生成する無機塩を使用しても良い。
【0027】
通常、コロイダルシリカは、珪酸ナトリウム(水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸と高温下で反応させ、加水分解反応と珪酸の重合化によるシリカ粒子の成長により、10〜100nmのコロイド溶液として得られる。この反応時に、副生成物として、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウムなどの無機塩が生成するので、この無機塩を含有したコロイダルシリカを表面処理剤として利用できる。この場合、脱塩・精製処理をしないため、低コストの無機塩含有コロイダルシリカ溶液が得られ、かつ本発明の効果を十分に発揮するものである。
【0028】
無機塩の添加により不透明度が向上し、裏抜けが改善される理由は明らかではないが、以下のように推定される。紙用表面処理剤溶液中で水溶性無機塩は溶解しているが、塗布、乾燥の過程で水分の減少と共に微結晶として析出する。この微結晶は無水ケイ酸のコロイド粒子に吸着、あるいは接着されることで安定して存在する。析出した微結晶は紙表面のみならず紙内部にも生成しており、それにより光の乱反射が強くなる結果、不透明度が向上すると共に裏抜けが改善される。
【0029】
コロイダルシリカに対する粘性改良剤の配合比率は、コロイダルシリカ中の固形分100重量部に対して0.1〜45重量部が望ましい。0.1重量部未満では本発明の効果が低下してしまい、45重量部を超えるとコロイダルシリカの本来の特性が損なわれてしまう。
【0030】
さらに、本発明の紙用表面処理剤にコロイダルシリカ本来の特性を損なわない範囲で有機バインダーを混合させてもよい。本発明で用いられる有機バインダーとしては、澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、ジアルデヒド澱粉、カチオン化澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、ケイ素変性澱粉などの澱粉類、ポリビニルアルコールなどのポリビニル化合物、ポリアクリルアミド、ケイ素変性ポリアクリルアミド類、カゼインなどの水溶性有機バインダー、スチレン、ブタジエン、メチルメタアクリレート、アクリロニトリルなどのモノマーから重合体として得られる合成樹脂ラテックスなどが挙げられる。
【0031】
コロイダルシリカに対する有機バインダーの比率は、コロイダルシリカ中の固形分100重量部に対して5〜100重量部が望ましく、5〜70重量部が特に望ましい。5重量部未満では本発明の効果が低下してしまい、100重量部を超えるとコロイダルシリカの本来の特性が損なわれてしまう。
【0032】
さらに、本発明の紙用表面処理剤には表面サイズ剤を添加しても良い。表面サイズ剤としては、ロジン、ロジンエマルジョン、パラフィンワックスエマルジョン、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、シリコン樹脂エマルジョン、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸−マレイン酸エステル共重合体、オレフィン−マレイン酸共重合体などが挙げられる。これらの内、特にスチレン−アクリル酸共重合体が好ましい。
【0033】
コロイダルシリカに対する表面サイズ剤の比率は、コロイダルシリカ中の固形分100重量部に対して5〜40重量部が望ましい。5重量部未満では本発明の効果が低下してしまい、40重量部を超えるとコロイダルシリカの本来の特性が損なわれてしまう。
【0034】
本発明においては、本発明の目的を損なわせない範囲で所望の用紙物性に適合させるため、無機顔料を併用することは差し支えない。
【0035】
このような目的で用いられる無機顔料は、製紙用の填料、顔料として通常使用される炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、シリカ、ホワイトカーボン、二酸化チタン等である。特に、二酸化チタンは少量の添加でも不透明度が向上するので好ましい。
【0036】
二酸化チタンは、製紙用として通常使用される、比重3.8〜4.2程度の二酸化チタン及び水和二酸化チタンが好ましい。結晶の形態は、ルチル型あるいはアナタース型のいずれもが使用できる。二酸化チタンのコロイダルシリカに対する比率は、コロイダルシリカの種類、原紙の組成、原紙中の内添剤の量と種類等により変動するが、通常コロイダルシリカ中の固形分100重量部に対して5〜40重量部で、不透明度及び裏抜け防止に最大の効果が発現する。
【0037】
次に、本発明の紙用表面処理剤を含有する塗工層を設けたオフセット印刷用紙について詳細に説明するが、本発明が最も有効に作用する新聞印刷用紙を具体例として記載した。
【0038】
本発明で用いる新聞印刷用原紙は、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、セミケミカルパルプなどのメカニカルパルプ(MP)、クラフトパルプ(KP)に代表されるケミカルパルプ(CP)及びこれらのパルプを含む故紙を脱墨して得られる脱墨パルプ(DIP)及び抄紙工程からの損紙を離解して得られる回収パルプなどを、単独あるいは任意の比率で混合したパルプを常法に従い抄紙したものである。本発明の効果が顕著なのは、坪量37g/m2〜45g/m2の範囲で抄造した原紙である。坪量46g/m2以上の原紙の場合、その原紙は表面強度を十分に持っていると考えられ、また、オフセット印刷時における湿し水に起因する用紙の寸法変化、あるいは強度低下も無視できる程度であると考えられるので、必ずしも、薬品の外添により表面強度を改良する必要はない。
【0039】
一方、本発明で用いる原紙のDIPの配合率については、0〜100重量%の任意の範囲で配合することができる。最近のDIP高配合化の流れからすると、30〜100重量%の範囲がより好ましい。特に、DIPを70重量%以上配合した用紙に対し本発明は有効である。
【0040】
この新聞印刷用原紙には、填料としてクレー、カオリン、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機填料、あるいは塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、尿素ホルマリン系樹脂、メラミン系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合体系樹脂などの合成樹脂から製造される有機填料を添加できる。特に中性抄紙には炭酸カルシウムが有効である。
【0041】
また、必要に応じて、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などのろ水性あるいは歩留まり向上剤;硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、耐水化剤、紫外線防止剤、退色防止剤、消泡剤などの助剤などを含有してもよい。この原紙の物性は、オフセット印刷機で印刷できるものである必要があり、通常の新聞印刷用紙程度の引張り強度、引裂き強度、伸びなどの物性を有するものであればよい。
【0042】
また、本発明の新聞印刷用原紙は、酸性の新聞印刷用原紙であってもよいし、中性あるいはアルカリ性新聞印刷用原紙であってもよい。
【0043】
本発明の新聞印刷用紙は、新聞印刷用原紙の片面、あるいは両面に本発明の紙用表面処理剤を含む塗工液をゲートロールコーターなどのオンマシーン塗工機により塗工することにより製造される。
【0044】
本発明の紙用表面処理剤の塗布量は、製造される印刷用紙に対して求められる表面強度付与の程度に応じて決定されるものであり、特に限定されるものではないが、表面強度付与の観点からすれば、塗布量が0.1〜1.0g/m2(片面あたり)の範囲で有効にその効果を発揮する。塗布量が0.1g/m2未満では、本発明の紙用表面処理剤が十分な塗工層を形成しないため紙粉堆積の改良が不十分である。他方、塗布量が1.0g/m2を超える場合は、表面粘着性の悪化が懸念される。
【0045】
本発明の紙用表面処理剤は、塗工機として、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーターなどの被膜転写型のコーターを用いるのが好ましく、特にゲートロールコーターを用いる時、その効果を大きく発揮する。すなわち、前述したように、従来用いられている紙用表面処理剤は、ゲートロールコーターでは、十分な表面強度を持たせると粘着性に問題が生ずるものであったが、本発明の紙用表面処理剤は、この方式でも、前述の塗布量領域で、抄紙速度600〜1800m/分の範囲でオンマシーン塗工することにより効率よく表面強度と表面粘着性を改善することが可能である。
【0046】
また、本発明の紙用表面処理剤は、ゲートロールコーター塗工適性も優れているので、新聞印刷用原紙に、オンマシーンゲートロールコーターにより両面塗工を行うのが最も望ましい。
【0047】
新聞印刷用紙の場合、用紙の表面の平滑度は低く、ゲートロールコーター方式による比較的低塗布量領域では、用紙表面に無機材料からなる塗工層を設けることは困難であると考えられてきた。しかしながら、本発明の紙用表面処理剤は、抄紙速度600〜1800m/分と高速の抄紙速度で、かつ比較的低塗布量でも、粘着性の少ない表面強度、吸水抵抗性及びインク着肉性付与効果が認められるという優れた特徴がある。
【0048】
本発明の紙用表面処理剤を含有する塗工層を設けた新聞印刷用紙は、摩擦係数が向上することも確認されている。従って、特に防滑剤を配合させる必要もない。新聞印刷用紙に適用した場合、製造される新聞印刷用紙の動摩擦係数は、0.40〜0.70の範囲にあることが望ましい。
【0049】
本発明の紙用表面処理剤を含有する塗工層を設けた新聞印刷用紙は、表面強度を広い範囲でコントロールすることが可能なので、印刷時に使用する各種インクに幅広く対応することができる。例えば、油性インク中に湿し水を混入させたエマルジョンインクなどの特殊インク、水なし平版用のタック性の高いインクなどへの対応も可能である。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を、本発明の効果が最も現れる新聞印刷用紙について実施例及び比較例に従って、詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、説明中、パーセントは重量パーセントを示し、重量比は乾燥固形分比率を示す。
【0051】
実施例及び比較例で製造した新聞印刷用紙について、塗布量、表面粘着性、インク着肉性、不透明度、塗工適性を以下に示す方法にて測定し、総合評価を行った。
【0052】
・塗布量の測定:塗布量(片面当たり)はアプリケータロール上の液膜の厚さを測定し、転移率を95%として計算した。
【0053】
・表面粘着性の測定:新聞印刷用紙を4×6cmに2枚切り取り、1枚の塗工面を温度20℃の水に5秒間浸漬した後、塗工面同士を密着させた。外側両面に新聞印刷用原紙を重ね、50kg/m2の圧力でロールに通し、20℃、65%RHで24時間調湿した。これを3×6cmの試料片とした後、水に浸漬されない上部2cm分を引張り試験機のクランプでつかみ、引張り速度30mm/分の条件で180°方向に剥離した。初期の剥離強度の高い値をピーク値とした。次に安定した剥離強度の値を安定値とした。剥離強度の測定値が大きいほど、剥がれにくい、すなわち、粘着性が強い。本発明の新聞印刷用紙では、剥離強度の安定値が15.0gf/3cm以下のものを“剥離性が良好である、即ち表面粘着性が少ない”とした。
【0054】
・インク着肉性の測定:インク着肉性はプリュフバウ印刷試験機により行った。プリュフバウ印刷試験機のゴムロールに一定量の墨インキをのせ、新聞印刷用紙(印刷面積: 4×20cm)に、印圧:15N/m、印刷速度:6.0m/秒で印刷した。この時、新聞印刷用紙の中央部2×20cm部分に湿し水が接触し、その0.15秒後に印刷される。そして、両端の湿し水が付着していない印刷部(DRY印刷部)及び中央部の湿し水が付着した印刷部(WET印刷部)の印刷濃度をマクベス濃度計で測定した。インク着肉性評価はDRY印刷濃度値からWET印刷濃度値を差し引いた値で行った。すなわち、この印刷濃度差が小さい程、DRY印刷濃度とWET印刷濃度の差は小さく、WET印刷部は湿し水の影響をあまり受けていないことを意味し、差が大きい程、WET印刷部は湿し水の影響を大きく受けインク着肉性が劣ることを示している。
【0055】
・不透明度の測定:不透明度はJIS P 8138に基づき、ハンター反射率計を使用して、緑色フィルターを用いて、新聞印刷用紙の試験片を白色板(反射率89%)の上に重ねた時の反射率R0.89と黒色板(反射率0.5%以下)の上に重ねた時の反射率R0を測定し、次式で不透明度(%)を算出した。
不透明度(%)=R0/R0.89×100
【0056】
・塗工適性の評価:実施例及び比較例に示した塗工液サンプルを新聞印刷用紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、塗工速度300m/分、ロール圧1.6kg、周速95%、乾燥温度120℃の条件で塗工した。この時の塗工液のブルックフィールド粘度(B型粘度)を測定した。また、塗工時におけるゲートロールコーターのボトムロールに転写された塗工液皮膜の幅方向プロファイルの均一性を目視により観察した。
◯;プロファイルが良好である。△;プロファイルが劣る。×;プロファイルが非常に劣る。
さらに、ボトムロールに転写された塗工液皮膜の乾燥性は、回転しているロールに直接手を当て乾燥度合いを評価した。尚、乾燥性が低い程、ロールの滑りが少なく塗工適性は良好であり、乾燥性が高い程、ロール滑りが多くなり、塗工適性は悪くなる。
◯;乾燥性が低くロール滑りがない。△;乾燥性が高くロール滑りが多い。×;乾燥性が極めて高くロール滑りが甚だしい。
【0057】
・総合評価:◯;良い。△;劣る。×;非常に劣る。
【0058】
<新聞印刷用原紙の製造>
DIP(脱墨パルプ)70部、TMP(サーモメカニカルパルプ)20部、GP(グランドパルプ)5部、KP(クラフトパルプ)5部の割合で混合離解し、フリーネスを200mlに調製した混合パルプをベルベフォーマー型抄紙機にて、抄紙速度1100m/分で抄紙し、未サイズ、ノーカレンダーの新聞印刷用原紙を得た。この原紙は、坪量43g/m2、密度0.65g/cm3、白色度51%、平滑度20秒、静摩擦係数0.45、動摩擦係数0.56であった。また、この原紙は内添サイズ剤を含まず、点滴吸水度は8秒であった。
【0059】
[実施例1(参考)]
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−40、日産化学工業(株)製)の40%水溶液を調製した。次に、アクリルポリマー系の粘性改良剤(商品名:ソマレックス270、ソマール(株)製)の30%エマルジョン液を調製した。そして、コロイダルシリカに対して粘性改良剤の比率が重量比で100対3.2となるように混合し、12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。得られた表面処理剤塗工液を、前述の新聞印刷用原紙の両面にゲートロールコーターを用いて、塗工速度300m/分で塗工し、さらにスーパーカレンダー処理を行い新聞印刷用紙を得た。この新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0060】
[実施例2(参考)]
アクリルポリマー系の粘性改良剤としてアルコガムL−29K(日本エヌエスシー(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして新聞印刷用紙を製造し、得られた新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0061】
[実施例3(参考)]
アクリルポリマー系の粘性改良剤としてプライマルTT−935(ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして新聞印刷用紙を製造し、得られた新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0062】
[実施例4(参考)]
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−40、日産化学工業(株)製)の40%水溶液を調製した。次に、有機バインダーとして酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ(株)製)の12%溶液を調製した。さらに、アクリルポリマー系の粘性改良剤としてソマレックス270(ソマール(株)製)の30%エマルジョン液を調製した。そして、コロイダルシリカに対して粘性改良剤の比率が重量比で100対3.2、コロイダルシリカに対して有機バインダーの比率が重量比で100対5となるように混合し、12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。得られた表面処理剤塗工液を、前述の新聞印刷用原紙の両面にゲートロールコーターを用いて、塗工速度300m/分で塗工し、さらにスーパーカレンダー処理を行い新聞印刷用紙を得た。この新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0063】
[実施例5]
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−40、日産化学工業(株)製)の40%水溶液を調製した。次に、無機塩として硫酸ナトリウムの12%水溶液を調製した。そして、コロイダルシリカに対して硫酸ナトリウムの固形分比率が重量比で65対35となるように両者を混合し、12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。有機バインダーとして、酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ(株)製)の12%溶液を調製した。さらに、粘性改良剤としてカルボキシメチルセルロース(商品名:サンローズA10SHG、日本製紙(株)製)の3%水溶液を調製した。そして、コロイダルシリカに対して粘性改良剤の比率が重量比で100対11、コロイダルシリカに対して有機バインダーの比率が重量比で100対65となるように混合し、12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。得られた表面処理剤塗工液を、前述の新聞印刷用原紙の両面にゲートロールコーターを用いて、塗工速度300m/分で塗工し、さらにスーパーカレンダー処理を行い新聞印刷用紙を得た。この新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0064】
[実施例6]
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−40、日産化学工業(株)製)の40%水溶液を調製した。次に、無機塩として硫酸ナトリウムの12%水溶液を調製した。そして、コロイダルシリカに対して硫酸ナトリウムの固形分比率が重量比で65対35となるように両者を混合し、12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。有機バインダーとしてポリビニルアルコール(商品名:PVA117、(株)クラレ製)の12%溶液を調製した。さらに、粘性改良剤としてカルボキシメチルセルロース(商品名:サンローズA10SHG、日本製紙(株)製)の3%水溶液を調製した。そして、コロイダルシリカに対して粘性改良剤の比率が重量比で100対11、コロイダルシリカに対して有機バインダーの比率が重量比で100対65となるように混合し、12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。得られた表面処理剤塗工液を、前述の新聞印刷用原紙の両面にゲートロールコーターを用いて、塗工速度300m/分で塗工し、さらにスーパーカレンダー処理を行い新聞印刷用紙を得た。この新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0065】
[実施例7]
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−40、日産化学工業(株)製)の40%水溶液を調製した。次に、無機塩として硫酸ナトリウムの12%水溶液を調製した。そして、コロイダルシリカに対して硫酸ナトリウムの固形分比率が重量比で65対35となるように両者を混合し、12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。有機バインダーとしてスチレン・ブタジエン共重合体エマルジョンラテックス(商品名:LX407 FT2196、日本ゼオン(株)製)の12%溶液を調製した。さらに、粘性改良剤としてカルボキシメチルセルロース(サンローズA10SHG、日本製紙(株)製)の3%水溶液を調製した。そして、コロイダルシリカに対して粘性改良剤の比率が重量比で100対11、コロイダルシリカに対して有機バインダーの比率が重量比で100対65となるように混合し、12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。得られた表面処理剤塗工液を、前述の新聞印刷用原紙の両面にゲートロールコーターを用いて、塗工速度300m/分で塗工し、さらにスーパーカレンダー処理を行い新聞印刷用紙を得た。この新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0066】
[比較例1]
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−40、日産化学工業(株)製)の40%水溶液を水で希釈して12%濃度の表面処理剤塗工液を調製した。得られた表面処理剤塗工液を、前述の新聞印刷用原紙の両面にゲートロールコーターを用いて、塗工速度300m/分で塗工し、さらにスーパーカレンダー処理を行い新聞印刷用紙を得た。この新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0067】
[比較例2]
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−40、日産化学工業(株)製)の20%濃度の表面処理剤塗工液を使用した以外は比較例1と同様にして新聞印刷用紙を製造し、得られた新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し表1に示した。
【0068】
[比較例3]
酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ(株)製)の10%水溶液を表面処理剤塗工液として用いた以外は、比較例1と同様にして新聞印刷用紙を製造し、得られた新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し、表1に示した。
【0069】
[比較例4]
アニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハリコートN−240、ハリマ化成(株)製)の10%水溶液を表面処理剤塗工液として用いた以外は、比較例1と同様にして新聞印刷用紙を製造し、得られた新聞印刷用紙について、塗布量、B型粘度、表面粘着性、インク着肉性、不透明度を測定し、同時に塗工適性も評価し表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例5〜7のコロイダルシリカ、無機塩、有機バインダーと粘性改良剤を塗工したものも、サンプル紙が貼り付かないほど表面粘着性が低く、不透明度も高くインク着肉性も優れたものであった。また、B型粘度も30mPa・s前後で適正な粘度であり、塗布量も0.51〜0.55g/m2の範囲で適正な塗布量が得られた。さらに、ゲートロールのボトムロールに転写された塗工液皮膜の幅方向プロファイル及び塗工液皮膜の乾燥性も良好であった。
【0072】
比較例1のコロイダルシリカのみを塗工したものでは、剥離強度は低いものの、インク着肉性も若干劣っており不透明度も低下していた。また、粘度も2mPa・sで極めて低いため、塗布量も0.15g/m2で十分な塗布量が確保されなかった。さらに、ゲートロールのボトムロールに転写された塗工液皮膜の幅方向プロファイルも不均一であり、ボトムロールに転写された塗工液皮膜の乾燥が速すぎてロールのスリップが認められた。
【0073】
比較例2のコロイダルシリカ20%濃度の塗工液を塗工したものでは、剥離強度は低いものの、インク着肉性も若干劣っており不透明度も低下していた。また、粘度も4mPa・sで極めて低いため、塗布量も0.20g/m2で十分な塗布量が確保されなかった。さらに、ゲートロールのボトムロールに転写された塗工液皮膜の幅方向プロファイルも極めて不均一であり、ボトムロールに転写された塗工液皮膜の乾燥も速すぎてロールのスリップも多かった。
【0074】
比較例3の酸化澱粉のみを塗工したものでは、粘度は45mPa・sで適正な粘度であり、塗布量も0.52g/m2で適正塗布量が確保されていた。また、ゲートロールのボトムロールに転写された塗工液皮膜の幅方向プロファイル及び塗工液皮膜の乾燥性は良好であった。しかしながら、剥離強度は高く、インク着肉性も劣っており不透明度も低下していた。
【0075】
比較例4のアニオン性ポリアクリルアミドを塗工したものでは、粘度は35mPa・sで適正な粘度であり、塗布量も0.53g/m2で適正な塗布量が確保されていた。また、ゲートロールのボトムロールに転写された塗工液皮膜の幅方向プロファイル及び塗工液皮膜の乾燥性は良好であった。しかしながら、剥離強度は高く、インク着肉性も劣っており不透明度も低下していた。
【0076】
さらに、得られた新聞印刷用紙の動/静摩擦係数については、例えば、実施例1の新聞印刷用紙では、動摩擦係数=0.61、静摩擦係数=0.55であったのに対し、比較例3の新聞印刷用紙では動摩擦係数=0.50、静摩擦係数=O.51であり、本発明の表面処理剤を塗工した新聞印刷用紙の動/静摩擦係数は向上した。尚、動/静摩擦係数の測定は、JAPAN TAPPI No.30-79(紙および板紙の摩擦係数試験方法)に従った。
【0077】
【発明の効果】
コロイダルシリカ及び粘性改良剤、若しくはコロイダルシリカ、粘性改良剤及び無機塩を一定の比率で含有する表面処理剤の開発によって、以下の特性を備えたオフセット印刷用紙が得られた。
1)表面粘着性が小さい
2)ブランケットに紙粉の堆積が少ない
3)吸水抵抗性が適度に保たれオフセット印刷時に水切れがない
4)印刷インクのセット性が適度である
5)不透明度が高く裏抜けしない
6)摩擦係数が適度である
7)ゲートロール塗工適性が優れている
Claims (3)
- オフセット印刷用原紙に、コロイダルシリカ、無機塩及びアクリルエマルジョン系高分子化合物またはカルボキシメチルセルロースから選ばれる粘性改良剤を含有し、固形分濃度10重量%、25℃におけるブルックフィールド粘度が5〜150mPa・sである紙用表面処理剤を含有した塗工層を、皮膜転写型コーターで塗布量0.1〜1.0g/m 2 (片面あたり)の範囲で設けたオフセット印刷用紙。
- 粘性改良剤の配合比率がコロイダルシリカの固形分100重量部に対して0.1〜20重量部である請求項1記載のオフセット印刷用紙。
- 無機塩が硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウム、硫酸アルミニウムより選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載のオフセット印刷用紙。
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