JP3829745B2 - オフセット印刷用紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷用紙の製造方法に関し、詳しくは印刷用紙に吸水抵抗性を付与する方法、及び印刷適性に優れたオフセット印刷用紙、特に、オフセット印刷用新聞用紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷技術は、オフセット印刷化、カラー印刷化、高速大量印刷化、自動化など大きな進歩を遂げてきている。これに伴い、印刷用紙に対しても、作業性、印刷適性の面から各種の物性の改良が求められている。
【0003】
特に、オフセット印刷では、印刷機上で、インキと共に、湿し水が用いられるため、用紙への負担は、従来の凸版印刷の場合に比べて、大きなものとなっている。そのため、オフセット印刷用紙では、適度な吸水抵抗性(言い換えれば、サイズ性)を有することが必要となっている。
【0004】
印刷用紙にサイズ性を付与する方法としては、内添サイズと外添サイズ(表面サイズ)の2通りの方法がある。前者は、いわゆるウェットエンドで、パルプスラリー中に内添サイズ剤(例えば、ロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)など)を添加し、抄紙と同時に紙内部に薬品を含有させる方法である。後者は、抄紙後、サイズプレス、あるいはゲートロールコーターなどに代表される塗工機を用いて、表面サイズ剤(例えば、スチレン/マレイン酸系共重合体、スチレン/アクリル酸系共重合体、オレフィン/マレイン酸系共重合体、ウレタン系共重合体など)を塗工する方法である。
【0005】
しかしながら、内添サイズは、(1)薬品を低濃度パルプスラリーに添加する必要がある、(2)パルプシートへの薬品の定着量が一定しない(薬品の定着量が低い)、(3)白水系が汚れるなどコスト、品質、操業性などの面から多くの問題があった。一方、外添サイズは、このような内添サイズにおける問題がないため、望ましい方法である
また、印刷用紙は、表面強度対策として、澱粉、化工澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、あるいはポリアクリルアミド(PAM)などの水溶性高分子が、表面塗工されているのが一般的である。そのため、外添サイズでは、表面サイズ剤は、これらの材料と併用するのが基本である。例えば、スチレン系モノマーが含まれる水溶性重合体を主体とする表面サイズ剤(スチレン系サイズ剤)を澱粉と併用する処方などは、広く普及している。例えば、特開昭60-185894号公報、特開平5-247888号公報、特開平11-140791号公報などが例として挙げられる。
【0006】
また、表面サイズ剤の代表例として、オレフィン系モノマー(エチレン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン、オクテン、デセンなど)が含まれる水溶性重合体を主体とする表面サイズ剤(オレフィン系サイズ剤)も、よく知られている。例えば、特開昭50-89603号公報に、ジイソブチレン・マレイン酸系の表面サイズ剤、特開昭55-67094号公報、特開昭60-9994号公報に、ジイソブチレン・無水マレイン酸系の表面サイズ剤、特開平2-200896号公報、特開平2-269895号公報、特開平3-8894号公報に、α―オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルを含有する水溶性共重合体からなる表面サイズ剤などが開示されている。
【0007】
表面サイズ剤は、基本的に、疎水性基と親水性基の両方を合わせ持つ材料であるため、発泡性の問題があり、なるべく少量でサイズ性能が高いものが望ましいのは言うまでもない。
【0008】
一方、カラー印刷の増加も顕著な現象であり、用紙のカラー印刷適性(例えば、インキの着肉性の改良など)も必要となっている。特開平11-140791号公報では、水溶性高分子接着剤とスチレン系表面サイズ剤の併用によりカラー印刷適性が向上するが記載されている。
【0009】
印刷用紙の中でも、新聞用紙(新聞巻取紙)は、一般的に、機械パルプや脱墨パルプ(DIP)を主体とする紙であり、中・下級紙に分類される紙でありながら、他方では、新聞印刷は、指定された時間帯の指定された時間内に、指定された部数を確実に印刷しなければならず、一般印刷用紙以上に厳しい品質を要求される紙である。
【0010】
新聞用紙でも、いわゆる表面強度対策として、澱粉、ポリビニルアルコール、あるいはポリアクリルアミドが塗工されている。新聞用紙の塗工方法としては、日本国内では、高速塗工が可能な被膜形成転写方式であるゲートロールコーター(GRC)が用いられているのが普通である。なお、GRCの特徴は、例えば、紙パ技協誌Vol.43,No.4(1989)p36、紙パルプ技術タイムスVol.36,No.12(1993)p20などに簡単にまとめられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、適度なサイズ性(吸水抵抗性)を有し、カラー印刷適性に優れたオフセット印刷用紙、特にオフセット印刷用新聞用紙の提供を課題とした。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、印刷用紙原紙(特に、新聞用紙原紙)に、表面サイズ剤を含む表面処理剤塗工液の温度を20℃以上38℃以下とした表面処理剤塗工液を塗工、乾燥することにより、低塗布量でも、十分なサイズ効果(吸水抵抗性の付与効果)が得られ、かつ優れたカラー印刷適性も得られることを見出すことにより、解決を行った。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、印刷用紙原紙にサイズ剤を含む表面処理剤塗工液の温度を20℃以上38℃以下として、表面処理剤塗工液を塗工、乾燥してなるオフセット印刷用紙の製造方法に関する。本発明の課題は、オフセット印刷用新聞用紙において、さらに厳しい課題であるので、以下に、オフセット印刷用新聞用紙の製造方法について説明する。
【0014】
表面サイズ剤を含む表面処理剤塗工液の温度を38℃以下とすることによって高い吸水抵抗性を付与できる理由については定かでないが、表面サイズ剤を含む表面処理剤塗工液は低温では粘度が高くなるので、紙層内部への浸透が抑制され、表面サイズ剤がより紙層の表面付近に存在することにより、吸水抵抗性を効果的に付与できるものと考えられる。本発明において、表面サイズ剤を含む表面処理剤塗工液の温度は38℃以下である必要があり、より低温である方が高い吸水抵抗性を付与できるが、表面処理剤塗布液の温度が20℃未満であると凝集物を生じる場合があり、好ましくない。
【0015】
本発明で使用する表面処理剤は、下記に示す成分A、及び表面サイズ剤として成分B及び/または成分Cを主体とする表面処理剤であることが好ましい。
成分A:水溶性高分子
成分B:スチレン系モノマーとアニオン性モノマーの共重合体で、スチレン系モノマーが20〜80重量%含まれる水溶性共重合体から成るスチレン系サイズ剤
成分C:オレフィン系モノマーとアニオン性モノマーの共重合体で、オレフィン系モノマーが20〜80重量%含まれる水溶性共重合体から成るオレフィン系サイズ剤
本発明の表面処理剤の成分Aとして用いられる水溶性高分子は表面強度付与等の目的で使用するものである。成分Aとしては、例えば、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類、ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース類などが挙げられる。これらは、単独、もしくは2種類以上混合して用いられる。
【0016】
本発明の表面処理剤の成分Aとして用いられる水溶性高分子は、表面強度向上(言い換えれば、紙粉抑制)の点では、主体的な役割を果たす。しかし、一方で、水溶性高分子は、新聞用紙固有の問題であるネッパリ問題(新聞用紙が大量印刷された際、表面処理剤がブランケットに転移、蓄積して引き起こされるトラブル)の原因ともなる。表面強度向上効果、ネッパリ問題とのバランスを考えれば、成分Aとしては、前述の例の中でも、澱粉類を好ましく使用でき、その中でも、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉が、最も好ましい。
【0017】
本発明の表面処理剤の成分Bとして用いられるものは、スチレン系モノマーとアニオン性モノマーとの共重合体から成るスチレン系サイズ剤である。スチレン系サイズ剤としては、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、シアノスチレンなど)とアニオン性モノマー(例えば、アクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2-エチルアクリル酸、3-tert-ブチルアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso-ブチル、アクリル酸オクテニルなど)、マレイン酸系モノマー(例えば、マレイン酸、メチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ムコン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸tert-ブチル、マレイン酸ジエチルなど))の共重合体などが挙げられる。例えば、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体(なお、(メタ)アクリル酸は、「アクリル酸及び/またはメタクリル酸」を意味する。)、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸半エステル共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体などが該当する。この共重合体は、ナトリウム塩、カリウム塩、あるいはアンモニウム塩の型で使用してもよい。この共重合体は、単独、もしくは2種類以上混合して用いられる。
【0018】
この共重合体において、スチレン系モノマーとアニオン性モノマーの比率は、80:20〜20:80の範囲が望ましい。なお、スチレン系モノマー、アニオン性モノマーは、各々、少なくとも1種類以上用いればよい。また、この共重合体では、本発明に支障のない範囲で、上述のスチレン系モノマー及び/またはアニオン性モノマーと重合可能なモノマーと少量共重合させてもよい。
【0019】
この共重合体の製造方法としては、例えば、水溶液重合法、溶媒重合法、逆相乳化重合法、沈殿重合法、懸濁重合法などの方法を挙げることができる。
【0020】
この共重合体は、0.1万〜100万程度の重量平均分子量であればよく、さらに望ましくは0.1万〜10万の範囲が望ましい。分子量が0.1万より小さい場合、この共重合体は、十分な被膜形成を行えないため、表面強度向上効果の点で好ましくない。他方、分子量が100万より大きい場合、塗工液の高粘度などに由来する操業上の問題を生じる恐れがある。
【0021】
本発明の表面処理剤の成分Cとして用いられるものは、オレフィン系モノマーとアニオン性モノマーの共重合体から成るオレフィン系サイズ剤である。オレフィン系サイズ剤としては、オレフィン系モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、オクテン、デセンなど)とアニオン性モノマー(例えば、アクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2-エチルアクリル酸、3-tert-ブチルアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso-ブチル、アクリル酸オクテニルなど)、マレイン酸系モノマー(例えば、マレイン酸、メチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ムコン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸tert-ブチル、マレイン酸ジエチルなど))の共重合体などが挙げられる。例えば、エチレン/アクリル酸共重合体、イソブチレン/アクリル酸共重合体、n−ブチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、プロピレン/マレイン酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体などが該当する。この共重合体は、ナトリウム塩、カリウム塩、あるいはアンモニウム塩の型で使用してもよい。この共重合体は、単独、もしくは2種類以上混合して用いられる。
【0022】
この共重合体において、オレフィン系モノマーとアニオン性モノマーの比率は、80:20〜20:80の範囲が望ましい。なお、オレフィン系モノマー、及びアニオン性モノマーは、各々、少なくとも1種類以上用いればよい。また、この共重合体では、本発明に支障のない範囲で、上述のオレフィン系モノマー及び/またはアニオン性モノマーと重合可能なモノマーと少量共重合させてもよい。
【0023】
この共重合体の製造方法としては、例えば、水溶液重合法、溶媒重合法、逆相乳化重合法、沈殿重合法、懸濁重合法などの方法を挙げることができる。
【0024】
この共重合体は、0.1万〜100万程度の重量平均分子量であればよく、さらに望ましくは0.1万〜10万の範囲が望ましい。分子量が0.1万より小さい場合、この共重合体は、十分な被膜形成を行えないため、表面強度向上効果の点で好ましくない。他方、分子量が100万より大きい場合、塗工液の高粘度化などに由来する操業上の問題を生じる恐れがある。
【0025】
また、表面処理剤中に、本発明に影響のない範囲で、ネッパリ防止剤、防腐剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、蛍光増白剤、粘度安定化剤、滑剤、防滑剤などの助剤や填料を含有してもよい。
【0026】
本発明で用いられる新聞用紙原紙は、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、セミケミカルパルプなどのメカニカルパルプ(MP)、クラフトパルプ(KP)に代表されるケミカルパルプ(CP)、これらのパルプを含む古紙を脱墨して得られる脱墨パルプ(DIP)、及び抄紙工程からの損紙を離解して得られる回収パルプなどを、単独、あるいは任意の比率で混合し、一般に公知公用の抄紙機によって抄紙されたものである。最近のDIPの高配合化の流れからすると、DIPの配合率は、50〜100重量%の範囲がより好ましい。また、原紙の坪量としては、特に限定されるものではないが、34〜45g/m2程度である。
【0027】
この新聞用紙原紙は、必要に応じて、一般に公知公用の製紙用填料、抄紙用薬品を適宜含有してもよい。例えば、填料としては、ホワイトカーボン、クレー、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、合成樹脂填料(塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体系樹脂など)などを添加できる。特に中性抄紙においては、炭酸カルシウムが有効である。
【0028】
また、抄紙用薬品としては、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などのろ水性/歩留まり向上剤、ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤、AKD、ASAなどのサイズ剤、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、紫外線防止剤、退色防止剤、消泡剤などの助剤などを含有してもよい。
【0029】
本発明で使用する新聞用紙原紙の物性は、オフセット印刷機で印刷できるものである必要があり、通常の新聞用紙程度の引張り強度、引裂き強度、伸び、白色度、不透明度などの物性を有するものであればよい。
【0030】
この新聞用紙原紙は、内添サイズを施した原紙を用いてもよい。本発明では、前述したような内添に伴う問題を解決する意味もあるので、どちらかと言えば、内添サイズを施していない原紙を用いた方が、本発明の効果をより発揮させることができる。すなわち、本発明の表面処理剤の外添により、内添サイズを行わなくても、内添サイズと同程度、あるいは、それ以上の吸水抵抗性を付与させることが可能である。例えば、本発明の表面処理剤は、点滴吸水度法(Japan TAPPI No.33 に準拠した方法。紙面に水1μlを滴下し、水滴が紙面に吸収されるまでの時間を測定する方法)で、10秒未満の新聞用紙において、十分に適用可能である。
【0031】
また、本発明の新聞用紙原紙は、酸性抄きの新聞用紙原紙でもよいし、中性、あるいはアルカリ性抄きの新聞用紙原紙であってもよい。本発明の表面処理剤は、特に、中性、あるいはアルカリ性抄きの新聞用紙原紙の場合に、その効果の発揮の程度が大きい。
【0032】
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、上記の水溶性高分子とサイズ剤を主体に構成される表面処理剤を20℃以上38℃以下の比較的低温で新聞用紙原紙に塗布、乾燥することにより得られる。
【0033】
本発明において表面処理剤の塗布量は、製造される新聞用紙の品質(サイズ性、カラー印刷適性など)に応じて決定されるべきであり、特に限定されるものではないが、塗布量(両面あたり)は0.1〜1.5g/m2程度が適当である。例えば、塗布量が0.1g/m2未満の場合、サイズ性付与、及び表面強度向上の点で、表面処理剤の効果が十分に発揮されない。一方、塗布量が1.5g/m2より高い場合、いわゆるネッパリ問題を引き起こす可能性が高くなる。なお、本発明の表面処理剤において使用する水溶性高分子が澱粉類である場合、その表面強度向上効果などから考えると、表面処理剤の塗布量は0.2〜1.2g/m2程度が適当である。
【0034】
本発明において、表面処理剤を塗工するための装置(塗工機)は、通常の製紙用塗工装置であれば特に限定されるものではないが、例えば、2ロールサイズプレスコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、エアーナイフコーターなどの装置が挙げられる。これらの装置の中でも、ゲートロールコーターに代表される被膜転写型コーターが望ましく、新聞用紙の場合、これらの装置の中でも、ゲートロールコーター(GRC)が一般的であり、本発明でも最も好ましく使用される。
【0035】
本発明において表面処理剤の塗工速度は、通常の新聞用紙抄紙機の抄速程度であればよく、800〜1800m/分の範囲が適当である。
【0036】
本発明のオフセット印刷用紙の製造において、表面処理剤を塗布、乾燥後、オフセット印刷に適した紙厚、平滑性を得るために、カレンダー処理をすることが望ましい。カレンダーとしては、通常のハードニップカレンダー、あるいは高温ソフトニップカレンダー(例えば、紙パルプ技術タイムスVol.43,No.1(2000)p23などにまとめられている。)が挙げられる。今後の新聞用紙の軽量化を考えれば、本発明では、ソフトニップカレンダーをより好ましく使用される。カラー印刷適性の点からすると、ソフトニップカレンダー処理と組み合わせるのが好ましい。
【0037】
本発明のオフセット印刷用新聞用紙の吸水抵抗性(サイズ性)は、製品に求められる仕様により、適宜決定されればよく、特に限定されるものではない。前述の点滴吸水度法で限定すれば、点滴吸水度が10〜1000秒の範囲であればよく、さらに好ましくは15〜300秒の範囲である。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を、実施例にて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中、部及び%は、特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を示す。
【0039】
<新聞用紙原紙の製造>
DIP60部(ろ水度180ml)、TMP(ろ水度100ml)30部、NBKP(ろ水度600ml)10部の割合で混合離解し、ろ水度110mlに調製したパルプスラリーに、填料としてホワイトカーボンを絶乾パルプ重量当たり1%となるように添加し、ベルベフォーマー型抄紙機にて酸性抄紙し、無サイズ、カレンダー未処理の坪量42g/m2の新聞用紙原紙を得た。この新聞用紙原紙の点滴吸水度は6秒であった。
【0040】
[実施例1]
酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ(株)製)100部に対して、表面サイズ剤として、スチレン・アクリル酸系サイズ剤(商品名:ハイコートG−7015、ハリマ化成(株)製)20部とオレフィン系サイズ剤(商品名:AK−505、星光化学工業(株)製)2部となるように混合し得られた表面処理剤塗工液を36℃に調整して、前述の新聞用紙原紙に、ゲートロールコーターで塗工(塗工速度:1200m/分、両面塗工)し、塗工後、高温ソフトニップカレンダー処理(ロール温度110℃、線圧130kN/m)を行い、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0041】
[実施例2]
表面処理剤塗工液の温度を26℃にして表面処理を行ったこと以外は実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0042】
[比較例1]
表面処理剤塗工液の温度を44℃にして表面処理を行ったこと以外は実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0043】
[実施例3]
酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ(株)製)100部に、表面サイズ剤としてスチレン系サイズ剤(商品名:AK−542、星光化学工業(株)製)20部の溶液を混合し得られた表面処理剤塗工液を、温度30℃に調整して、前述の新聞用紙原紙に、ゲートロールコーターで塗工(塗工速度:1200m/分、両面塗工)し、塗工後、高温ソフトニップカレンダー処理(ロール温度110℃、線圧130kN/m)を行い、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0044】
[比較例2]
表面処理剤塗工液の温度を40℃にして塗工したこと以外は実施例3と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0045】
実施例1〜3及び比較例1〜2で製造したオフセット印刷用新聞用紙について後述する方法にて点滴吸水度を測定し、結果を表1に示した。
・点滴吸水度の測定:オフセット印刷用新聞用紙のF面について、Japan TAPPI No.33(吸収性の紙の吸水速度試験方法)に準じて、滴下水量1μlで測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
表1より明らかなように、表面処理剤塗工液の温度を20〜40℃にして塗工した本発明の実施例の新聞用紙は、比較例と同等の塗布量でも高い吸水抵抗性を有し、印刷適性に優れるものであった。
Claims (1)
- 印刷用原紙に、下記に示す成分A、及び表面サイズ剤として成分B及び/または成分Cを主体とする表面処理剤塗工液を、該塗工液の温度を 20 ℃以上 38 ℃以下にした後、塗工、乾燥してなるオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
成分A:酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉から選ばれる澱粉
成分B:スチレン系モノマーとアニオン性モノマーの共重合体で、スチレン系モノマーが 20 〜 80 重量%含まれる水溶性共重合体から成るスチレン系サイズ剤
成分C:オレフィン系モノマーとアニオン性モノマーの共重合体で、オレフィン系モノマーが 20 〜 80 重量%含まれる水溶性共重合体から成るオレフィン系サイズ剤
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