JP4345411B2 - オフセット印刷用新聞用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、カラー印刷適性に優れたオフセット印刷用新聞用紙に関するものである。
新聞用紙(新聞巻取紙)は、メカニカルパルプや脱墨パルプを主体とする紙であり、中・下級紙に分類される紙でありながら、他方で、新聞印刷は、指定された時間帯の指定された時間内に、指定された大量の部数を確実に印刷する必要があり、一般印刷用紙以上に厳しい品質を要求される紙である。
近年、新聞印刷は、オフセット印刷方式がそのほとんどを占めるようになってきている。一方、サテライト型、あるいはタワープレス型のオフセット方式のカラー印刷機の普及に伴い、新聞のカラー面の増加も大きな傾向である。
しかしながら、オフセット印刷時に紙面へ湿し水が転移することによって、澱粉等の表面処理剤が溶出し、このためにネッパリトラブルと呼ばれる新聞用紙がブランケットに取られ表面が剥離したり、断紙を引き起こす問題がある。このネッパリトラブルを抑制し、サイズ性を付与する方法として、例えば、澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性共重合体から成る表面処理剤を塗布した新聞印刷用紙が開示されている(特許文献1)が、特に中性新聞用紙においてはこの方法では十分なサイズ性を付与することは困難であり、色ズレの抑制も不十分であった。
このような状況の中、色ズレやネッパリトラブルのない新聞用紙の製造技術の確立が望まれている。
特開平9-13298号公報
本発明者らは、四色カラーオフセット印刷時の色ズレの発生は新聞用紙が湿し水を吸収しパルプ繊維が膨潤することが原因であることを見出した。すなわち、四色カラーオフセット印刷においては、湿し水の付着量は白黒印刷の約4倍になるので、湿し水の転移により新聞用紙の伸長が大きくなり、その結果網点のズレが発生し、印面の画像が不鮮明になる色ズレという問題が発生し易くなる。また、脱墨パルプの高配合率化による砕木パルプの配合率の低下、中性抄紙化、新聞用紙の軽量化によりパルプ繊維が膨潤し易くなり、色ズレは発生し易くなっている。さらに、湿し水の付着量の増加は表面処理剤の溶出を促進し、ネッパリトラブルが発生し易くなる。
そこで、本発明では、新聞用紙原紙に表面処理剤を塗布することにより、カラー印刷時の色ズレやネッパリトラブルが改善され、印刷適性に優れたオフセット印刷用新聞用紙を提供することを課題とした。
本発明者等は、優れた四色カラー印刷品質と走行性を有するオフセット印刷用新聞用紙を得るべく鋭意研究を重ねた結果、カチオン性澱粉とスチレン系サイズ剤を含有する表面処理剤を新聞用紙原紙に塗布することにより、湿し水転移後の紙の伸長と表面処理剤の溶出を抑制し、カラー印刷時の色ズレとネッパリトラブルを同時に解決できることを見出した。
本発明により、カラー印刷時の色ズレやネッパリトラブルが改善され、印刷適性に優れたオフセット印刷用新聞用紙が得られる。
本発明は、新聞用紙原紙にカチオン性澱粉とスチレン系サイズ剤を含有する表面処理剤を塗布、乾燥、カレンダー処理することによって得られるオフセット印刷用新聞用紙である。
中性新聞用紙は硫酸バンドの含有量が少ないために、パルプ繊維のカルボキシル基とアルミニウムイオンの相互作用が減少するので、湿潤強度が低下する。また、自己サイズ性が低いために、点滴吸水度等の吸水抵抗性が低い。従って、酸性新聞用紙に比較すると、吸水抵抗性を付与することが困難である。しかしながら、本発明の表面処理剤は中性新聞用紙に適用しても、吸水抵抗性及び湿潤強度の付与に顕著な効果を示す。
四色カラーオフセット印刷機の1胴目から4胴目までに紙が通過する時間は、印刷速度によって変化するが、通常1秒以内であり、この間の湿し水の吸収によるパルプ繊維の膨潤が着肉不良、色ズレ、テンション不良の原因であると考えられるので、1秒以内の膨潤性を低減できる表面処理剤を使用することによりカラー印刷適性を顕著に改善できると考えられる。
一般的な表面サイズ剤であるスチレン系サイズ剤では吸水抵抗性は付与できるものの、強度の面では逆に低下させる傾向にある。また、表面紙力剤である各種変成澱粉やポリアクリルアミドなどは、強度を向上させることは可能であるものの、吸水抵抗性を向上させることはほとんどできない。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、カチオン性澱粉とスチレン系サイズ剤を含有する表面処理剤を新聞用紙原紙に塗布すると、吸水抵抗性の付与と湿潤強度の向上を同時に達成することができ、色ズレを顕著に抑制できることを見出した。
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、点滴吸水度(Japan TAPPI No.33に準拠、滴下水量1μlで測定)として10〜300秒の範囲の吸水抵抗性を有することが好ましい。さらに、ネッパリ強度に関しては、本発明のカチオン性澱粉とスチレン系サイズ剤から成る表面処理剤はイオンコンプレックスを形成しており、カチオン性基を有しているので、新聞用紙原紙に塗布後にパルプ繊維に吸着する。それ故に湿し水が転移した後にも表面処理剤の溶出率が少ないので、ネッパリ強度も低くなる。後述のネッパリ試験法において、ネッパリ強度が100gf/3cm(0.98N/3cm)以下のものが望ましい。
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、新聞用紙原紙、好ましくは中性新聞用紙原紙に、下記の成分A、成分Bの2成分を主体とする表面処理剤を塗布、乾燥、カレンダー処理することにより得られる。
成分A:カチオン性澱粉
成分B:スチレン系モノマーとアニオン性モノマーから合成された水溶性共重体から成るスチレン系サイズ剤
成分Aと成分Bの混合比は重量比で1:20〜20:1が好ましい。この範囲を超えて成分Aが多くなると吸水抵抗性が低下する。また、この範囲を超えて成分Bが多くなると強度が低下する。すなわち、この混合比の範囲内であれば色ズレを抑制することが可能となる。
本発明で用いられる成分Aのカチオン性澱粉は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、及び第3級アミノ基とハロゲン化アルキル基等のカチオン基が付加された澱粉で、カチオン基以外にアニオン基も導入された両性澱粉であっても良い。カチオン基の置換度は、0.005〜0.05程度が望ましい。置換度が0.005未満の場合には吸水抵抗性が低下し、0.05を超えるような多量のカチオン基の導入は非常に困難である。原料澱粉の種類は特に限定するものではないが、タピオカ、コーン、ポテト、ワキシーメイズなどの一般的な工業用澱粉を使用することができ、特にタピオカが好ましい。
本発明で使用するカチオン性澱粉は、濃度2%、60℃におけるB型粘度が5〜150cpsの範囲であることが望ましい。B型粘度が5cps未満では成分Bのスチレン系サイズ剤と形成されるイオンコンプレックスの粘度が低く、紙表面に留まらずに紙層中にまで浸透し易いので、吸水抵抗性が低下する。逆にB型粘度が150cpsを超える場合には、成分Bのスチレン系サイズ剤と形成されるイオンコンプレックスの粘度が高すぎて、高速塗工時のゲートロールコーターでのボイリングが発生してしまう。このボイリングとは、ゲートロールコーターのポンドに溜まっている表面処理剤の塗工液のハイシェア粘度が高い場合に、塗工液が空気を取り込んで、あたかも沸騰している様な状態になり、塗工ムラや操業不良を引き起こすトラブルである。
本発明の表面処理剤で用いられる成分Bは、スチレン系モノマーとアニオン性モノマーの水溶性共重合体から成るスチレン系サイズ剤である。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、シアノスチレンなどが挙げられる。
アニオン性モノマーとしては、例えば、アクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2-エチルアクリル酸、3-tert-ブチルアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso-ブチル、アクリル酸オクテニルなど)、マレイン酸系モノマー(例えば、マレイン酸、メチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ムコン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸tert-ブチル、マレイン酸ジエチルなど)が挙げられる。
成分Bとして用いられる水溶性共重合体は、具体的には、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体(なお、(メタ)アクリル酸は、「アクリル酸及び/またはメタクリル酸」を意味する。)、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸半エステル共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体などが該当する。この共重合体は、ナトリウム塩、カリウム塩、あるいはアンモニウム塩として使用してもよい。この共重合体は、単独、または2種類以上混合して用いられる。
この共重合体において、スチレン系モノマーとアニオン性モノマーの比率は、重量比で80:20〜20:80の範囲が望ましい。なお、スチレン系モノマー、及びアニオン性モノマーは、各々、少なくとも1種類以上用いればよい。また、この共重合体では、本発明に支障のない範囲で、上述のスチレン系モノマー及び/またはアニオン性モノマーと重合可能なモノマーと少量共重合させてもよい。
本発明の表面処理剤は、成分A、成分B以外に水溶性高分子を含有させてもよい。特に表面強度を必要とする場合には、水溶性高分子をバインダーとして含有させることが好ましい。水溶性高分子としては、例えば、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(ヒドロキシエチル化澱粉など)、アニオン性澱粉などの澱粉類、ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース類などが挙げられる。これらは、単独、または2種類以上混合して用いられる。
水溶性高分子、カチオン性澱粉、スチレン系サイズ剤の3者の配合比は特に規定はしないが、通常水溶性高分子100重量部に対して、カチオン性澱粉1〜20重量部、スチレン系サイズ剤1〜20重量部の範囲が好ましい。
本発明の表面処理剤は、本発明の影響のない範囲で、ネッパリ防止剤、防腐剤、消泡剤、滑剤、防滑剤、紫外線防止剤、退色防止剤、蛍光増白剤、粘度安定化剤などの助剤、澱粉類以外の水溶性高分子(ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、カルボキシルメチルセルロース類など)、表面サイズ剤(アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、オレフィン系共重合体など)を含有していてもよい。
本発明で用いられる新聞用紙原紙は、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、セミケミカルパルプ(SCP)などの機械パルプ、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)に代表される化学パルプ、これらのパルプを含む古紙を脱墨して得られる脱墨パルプ(DIP)、及び抄紙工程からの損紙を離解して得られる回収パルプなどを、単独、あるいは任意の比率で混合し、一般に公知公用の抄紙機によって抄紙されたものである。最近の環境保護への関心の高まりによるDIPの高配合化への要求の観点から、DIPの配合率は50〜100重量%の範囲がより好ましい。
本発明の新聞印刷用紙原紙は、必要に応じて、填料として、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、クレー、シリカ、タルク、酸化チタン、合成樹脂填料(塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体系樹脂など)などを使用できる。本発明の効果は中性新聞用紙において顕著であるので、新聞用紙原紙は填料として炭酸カルシウムを含有することが好ましい。填料の紙重量当たりの含有率は2〜15重量%が好ましい。本発明の表面サイズ剤は高いフィルム性により紙表面に留まることによりサイズ性を発現するので、2%未満ではその効果が顕著ではなく、填料配合比が増加して塗料の浸透性が高くなるとその効果が顕著になるが、15%を超えると原紙自体の吸水性が高くなり表面サイズ剤の塗布のみによって吸水抵抗性の付与が困難になり、内添サイズとの併用が必要になる。
また、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン性澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などのろ水性/歩留まり向上剤;ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、無水アルケニルコハク酸(ASA)、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などの内添サイズ剤;硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、紫外線防止剤、退色防止剤などの助剤などを含有してもよい。
本発明で使用する新聞印刷用紙原紙は、酸性抄の新聞印刷用紙原紙でもよいし、中性抄、あるいはアルカリ性抄の新聞用紙原紙であってもよいが、本発明は中性抄、あるいはアルカリ性抄の新聞用紙原紙に適用した時、その効果は顕著である。また、新聞印刷用紙原紙の坪量としては、特に限定されるものではないが、33〜45g/m程度である。
本発明の表面処理剤は、前述の新聞印刷用紙原紙に、通常の製紙用塗工装置で塗布すればよい。例えば、2ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、スプレー塗工機などの装置が挙げられる。これらの装置の中でも、ゲートロールコーターに代表される被膜転写型コーターが望ましく、新聞印刷用紙の場合、これらの装置の中でも、ゲートロールコーター(GRC)が一般的であり、本発明でも最も好ましく使用される。
本発明の表面処理剤を塗工する際の塗工速度は、通常の新聞用紙を製造できる抄紙機の抄速程度であればよく、800〜1800m/分の範囲が好ましい。900m/分以上の高速で塗工することにより、表面処理剤が紙層中に十分に浸透する前に乾燥されるので、表層付近に存在する表面処理剤が多く、水を吸収した時の紙表層に存在する繊維の膨潤をより効果的に抑制するものと考えられる。
本発明の表面処理剤の塗布量は、オフセット印刷用新聞用紙の品質に応じて決定されるべきであり、特に限定されるものではないが、塗布量(両面当たり)としては0.05〜2.0g/mの範囲が適当である。塗布量が0.05g/m未満の場合、用紙の表面強度が不足する恐れがある。一方、塗布量が2.0g/mより高い場合、オフセット印刷用新聞用紙特有の問題であるネッパリ問題(新聞用紙が大量印刷された際、塗工材料がブランケットに転移、蓄積することにより引き起こされる粘着性トラブル)を引き起こす可能性が高くなる。
本発明のオフセット新聞印刷用紙は、表面処理剤を塗布、乾燥後、オフセット印刷に適した紙厚、平滑性を得るために、カレンダー処理をすることが好ましい。カレンダーとしては、通常のハードニップカレンダー、あるいは高温ソフトニップカレンダー(例えば、紙パルプ技術タイムスVol.43,No.1(2000)p23などにまとめられている。)が挙げられる。今後の新聞用紙の軽量化を考えれば、本発明のオフセット印刷用新聞用紙では、ソフトニップカレンダーをより好ましく使用される。カラー印刷適性の点からすると、本発明の表面処理剤は、ソフトニップカレンダー処理と組み合わせることが好ましい。
本発明のオフセット新聞印刷用紙の物性は、通常の新聞印刷用紙程度の引張り強度、引裂き強度、伸び、不透明度、摩擦係数などの物性を有するものであればよい。
本発明の表面処理剤は、イオンコンプレックスを形成することにより効果的な吸水抵抗性、及びネッパリ強度の低下を付与すると考えられる。すなわち、成分A(カチオン性を有する)と成分B(アニオン性を有する)がイオンコンプレックスを形成し、新聞用紙原紙に塗布すると、成分Bの疎水性置換基を外側に向けて配向した被膜を作り、紙表面に疎水性バリヤー層が得られるものと考えられる。吸水性の向上の点だけから言えば、成分Bだけでも、吸水性を向上させることができると考えられるが、成分Aが、紙表面上で成分Bをイオン的あるいは化学的面などから効果的に保持しており、被膜形成(言い換えれば、吸水性向上)に非常に効果的に働いていると思われる。
また、成分Aは、成分Bの保持作用の他に、湿潤強度の向上にも大きく寄与していると考えられる。すなわち、成分Aはカチオン性基を有しているので、新聞用紙原紙に塗布後にパルプ繊維に吸着し、オフセット印刷時に湿し水が転移した際にも表面処理剤の溶出を低下させ、ネッパリ強度を低下させると考えられる。
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、当然のことながら、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中、部及び%は、特に断らない限り、各々重量部、重量%を示す。
実施例、比較例にて成分A(カチオン性澱粉)、成分B(スチレン系サイズ剤)は、以下のものを使用した。
<成分A(カチオン性澱粉)>
A−1:両性澱粉(商品名:Cato3210、National Starch and Chemicals社製)
A−2:カチオン性澱粉(商品名:Amiloflex-T45、Abebe社製)
A―3:カチオン性澱粉(商品名:Amiloflex-T35、Abebe社製)
A−4:カチオン性澱粉(商品名:Amiloflex-T2200、Abebe社製)
A−5:カチオン性澱粉(商品名:ネオタック40T、日澱化学製(株))
A−6:カチオン性澱粉(商品名:Cato350、National Starch and Chemicals社製)
A−7:カチオン性澱粉(商品名:マイクロキャット、National Starch and Chemicals社製)
<成分B(スチレン系サイズ剤)>
B−1:スチレン・メタクリル酸共重合体(商品名:KN520、ハリマ化成(株)製)
B−2:スチレン・マレイン酸共重合体(商品名:NS25、荒川化学工業(株)製)
なお、B−1〜B−2のスチレン系モノマーの比率は20〜80重量%の範囲にあるのは言うまでもない。
<新聞用紙原紙の製造>
DIP50部、TMP30部、KP10部、GP10部の割合で混合離解し、カナダ標準フリーネス(CSF)150mlに調製したパルプスラリーに、填料として炭酸カルシウムを対絶乾パルプ重量当たり2.5%となるように添加し、ベルベフォーマー型抄紙機にて抄紙し、無サイズ、カレンダー未処理の坪量42g/mの新聞用紙原紙を得た。(点滴吸水度:3秒)
<新聞用紙の製造>
[実施例1]
カチオン性澱粉としてA−1とスチレン系サイズ剤としてB−1を1:1の配合比となるように調製した混合水溶液を、その固形分が対酸化澱粉当たり20%となるように酸化澱粉水溶液(商品名:SK-20、日本コーンスターチ(株)製、濃度6.0%)に混合して表面処理剤を調製した。得られた表面処理剤を、前述の新聞用紙原紙に、ゲートロールコーターで塗工(塗工速度:1200m/分、両面塗工)し、塗工後、カレンダー処理を行い、オフセット印刷用新聞用紙を得た。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、下記の項目を評価し、結果を表1に示した。
・点滴吸水度:Japan TAPPI No.33(吸収性の紙の吸水速度試験方法)に準じて、滴下水量1μlで測定した。
・ネッパリ強度:新聞用紙を4×6cmの寸法で2枚切り取り、塗工面を温度20℃の水に5秒間浸漬後、塗工面同士を貼り合わせた。これに、合紙を当てて、50kgf/mの圧力でロール処理し、25℃、60%RHで24時間調湿した。試験片を3×6cmとした後、引張り試験機で、引張り速度:30mm/分の条件で測定を行った。測定値が大きいほど、剥がれにくい(逆に言い方をすると、粘着性が強い)ことを意味する。
・ボイリング:ボイリング発生時の塗液面の高さが、ゲートロールコーターのインナーロールとアウターロールを超える場合をボイリング発生とした。○:ボイリングは見られなかった。×:ボイリングが発生し、塗布量ムラが発生した
・色ズレ:オフセット輪転機(東芝オフセット輪転機:OA-4B2T-600)を使用し、カラー4色印刷(紅、藍、黄、墨の色順)を行い、4色目の墨単色部、4色重ね合わせた重色部の色ズレについて、一胴目と四胴目(紅と墨)のドット差を測定して色ズレの評価を行った。○:色ズレが0.2mm以下である。×:色ズレが0.2mmを超える。
・カチオン性澱粉のB型粘度:カチオン性澱粉水溶液の固形分濃度を2%に調製し、温度60℃の条件でB型粘度を測定した。
[実施例2]
カチオン性澱粉としてA−2を用いた以外は実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
[実施例3]
カチオン性澱粉としてA−3を用いた以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
[実施例4]
カチオン性澱粉としてA−4を用いた以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
[実施例5]
カチオン性澱粉としてA−5を用いた以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
[実施例6]
カチオン性澱粉としてA−6を用いた以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
参考例7]
カチオン性澱粉としてA−7を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
[比較例1]
カチオン性澱粉の代りに酸化澱粉(商品名:SK-20、日本コーンスターチ(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
[比較例2]
カチオン性澱粉の代りに重量平均分子量100万、カチオンモノマーのモル比が2%のカチオンポリアクリルアミドを使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
[比較例3]
カチオン性澱粉を使用しないで、表面サイズ剤B−1を対酸化澱粉当たり20%となるように混合した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
[比較例4]
カチオン性澱粉を使用しないで、表面サイズ剤B−2を対酸化澱粉当たり20%となるように混合した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。得られたオフセット印刷用新聞用紙について、実施例1と同様の項目を評価し、結果を表1に示した。
Figure 0004345411

表1より明らかなように、実施例1〜7のオフセット印刷用新聞用紙は、吸水抵抗性に優れ、ネッパリ強度が低く、色ズレの少ない優れた印刷適性を有するものであった。ただし、濃度2%、60℃におけるB型粘度が150cpsを超えたカチオン性澱粉を使用した参考例7においてはボイリングが発生した。これに対して、カチオン性澱粉を使用していない比較例1〜4のオフセット印刷用新聞用紙は色ズレが大きく印刷適性に劣っていた。特にカチオン性ポリアクリルアミドを使用した比較例2のオフセット印刷用新聞用紙はネッパリ強度が高く、印刷作業性に問題があった。

Claims (5)

  1. 新聞用紙原紙に、下記の成分A及び成分Bの2成分を含有する表面処理剤をゲートロールコーターにて速度900m/分以上で塗布、乾燥、カレンダー処理して得られるオフセット印刷用新聞用紙。
    成分A:濃度2%、60℃におけるB型粘度が5〜150cpsの範囲であるカチオン性澱粉(但しグラフト澱粉重合体を除く)
    成分B:スチレン系モノマーとアニオン性モノマーから合成された水溶性共重合体から成るスチレン系サイズ剤
  2. 新聞用紙原紙が中性新聞用紙原紙である請求項1記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  3. 成分Aと成分Bが重量比で1:20〜20:1の範囲である請求項1ないし2記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  4. 表面処理剤が成分A、成分Bに加えて水溶性高分子を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  5. 点滴吸水度(Japan TAPPI No.33に準拠、滴下水量1μlで測定)が10〜300秒及び/またはネッパリ強度が100gf/3cm(0.98N/3cm)以下である請求項1〜4のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙。
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