JP4577042B2 - オフセット印刷用新聞用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷用新聞用紙に関する。特に、印刷後不透明度が高く、しかも版摩耗等のトラブルも発生しにくい、良好な印刷品質と印刷作業性とを兼ね備えたオフセット印刷用新聞用紙に関する。
新聞用紙の印刷を含め、近年の商業印刷方式は、オフセット印刷が主流となっている。オフセット印刷は通常PS版と呼ばれる刷版を作成し、刷版に湿し水とインキを供給して印刷する方式である。刷版は平版であり、刷版上で画線部は親油性の表面となるように処理され、非画線部は親水性の表面になるように処理されている。この刷版に湿し水とインキを供給すると、画線部にはインキが、非画線部には水が付着した状態となり、この刷版よりブランケットを介して紙にインキを転移させて印刷することができる。
このオフセット印刷では、比較的タックの強いインキを使用するため、強い表面強度が要求される。特に湿し水が用紙表面に付着するため、耐水性があり、湿潤時にも強い表面強度を保つことが要求される。
表面強度の弱い表面を持つ用紙を使用すると、紙表面に塗工された顔料分が溶出し、ブランケット上に顔料など(パイリング物)が堆積する現象(ブランケットパイリング)が起きる場合がある。また、パイリング物が多くなると、ブランケット上にインキがうまく転写されず、印刷部にカスレが発生する現象(印面カスレ)を生じるトラブルが起こる場合がある。
湿し水による湿潤が複数回必要なカラー印刷の導入によって、表面強度に関する要求は厳しさを増している。
また、オフセット印刷では、ブランケット及び新聞用紙表面に水被膜が生じ、疎水性のインキが着肉しにくくなる現象(吸水着肉性の悪化)が見られる場合がある。この現象は、湿し水による湿潤が複数回必要なカラー印刷の場合に特に生じやすい。
また、新聞用紙の場合、即時大量印刷の必要性とコストの要請上、一般のオフセット印刷のように加熱乾燥する方式ではなく、用紙への吸収により乾燥させるコールドオフセットと呼ばれる方式を採用している。
コールドオフセット方式では、インキ中のビヒクル(樹脂分、溶剤)が用紙に浸透しにくい場合、すなわちインキセット性が良好でない場合は、印刷機上でのインキの乾燥が不充分となり、印刷後の用紙のインキが他の用紙に付着する現象(セットオフ)が生じる場合がある。
このセットオフを防ぐため、新聞インキは用紙に浸透しやすい設計とされている。そのため、新聞用紙では、印刷後の不透明度が出にくく、表面の印刷が裏面から透けて見える現象(裏抜け)が生じる場合がある。
近年では、新聞用紙に軽量化(低坪量化)が求められていることから、裏抜けの問題が益々生じやすい状況となっている。特にカラー印刷では、用紙の同一表面に多量のインキが付与されるので裏抜けの問題が生じやすい。したがって、不透明度、特に印刷後にも高い不透明度が維持できる用紙の要求が強まっている。
また、環境面でDIP(脱墨古紙パルプ)の高率配合化が重要視されているが、DIPは、GP(砕木パルプ)やRGP(リファイナ砕木パルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)等のメカニカルパルプに比較し、不透明度が出難い。そのため、DIPを高率配合しても、高い不透明度が得られる用紙の要求が強まっている。
また、新聞用紙では、印刷終了時の胴抜き時に、少量の水で湿った紙面上の水溶性高分子が、ブランケットに張り付いてしまう現象(ネッパリ)が通常のコート紙と比較して起きやすく、場合によっては用紙が破断してしまうこともある。そのため、ネッパリ現象の生じにくい用紙が求められている。
また、新聞用紙では、大量の印刷に耐えられるよう、刷版を摩耗させないような用紙であることが求められる。
さらに、新聞用紙では、印刷後の作業性も重要とされている。特に、印刷部から折り部にいたる間に走行紙が蛇行したり偏ったりする現象(紙流れ)を防ぐ必要から、適度な動摩擦係数が必要であるとされている。
上記のように、多岐にわたるオフセット印刷用新聞用紙の要求特性をみたすことを目的として、従来から様々の試みがなされている。
紙の不透明度を高める観点からは、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、酸化チタンあるいはタルク等の無機顔料を、抄紙時の填料として多量に使うことが行われている。しかし、これらの無機顔料は、オフセット印刷時の湿し水によって容易に紙層内から浸み出し、ブランケットにパイリングする紙粉の主な成分の一つとなる。そのため、抄紙時に無機顔料を用いることによる不透明度の改良には限界があった。
無機顔料を抄紙時に高率配合化せずに印刷後不透明度を向上する手段として、抄紙後に各種顔料を新聞用紙表面に塗工する方法が提案されている。
例えば、不透明度の高い顔料として知られる二酸化チタンを用いる方法(特許文献1参照)が紹介されている。二酸化チタンの塗工は、他の顔料を使用した場合に比較して良好な白紙不透明度を得ることができ、ネッパリ性にも改善効果が認められる。
また、一般塗工紙において通常使用されるカオリンを用いる方法(特許文献2参照)は、カオリンが比較的安価であるという利点がある。また、コロイダルシリカを用いる方法(特許文献3参照)は、ネッパリ性、吸水着肉性等の改良に効果が認められるとされている。
また、サチンホワイトや水和ケイ酸、中空有機顔料を用いると、少量の塗工量で白色度、不透明度、印刷後不透明度への改善効果が認められる(特許文献4〜6参照)。軽質炭酸カルシウムを用いる方法も検討されている(特許文献6の段落[0028]における比較例2参照)。さらに、水和ケイ酸とクレーとの併用(特許文献7)や、シリカゾルと軽質炭酸カルシウムとの併用(特許文献8の段落[0047]における実施例5参照)も試みられている。
特開平11−293591号公報 特開平4−57988号公報 特開2000−160498号公報 特開2000−314097号公報 特開2000−34694号公報 特開2001−164494号公報 特開2004−256950号公報 特開2001−64894号公報
上記抄紙後に各種顔料を新聞用紙表面に塗工する方法は、いずれも印刷後不透明度の向上を企図するものであるが、以下に説明するように、オフセット印刷用新聞用紙の多岐にわたる要求特性を、バランス良く満たすには至っていない。
顔料として二酸化チタンを用いる方法では、白紙の不透明度は良好となるが、吸油量が低いため印刷後の不透明度向上の効果は低い。また、接着剤との相溶性が悪く塗工時に凝集物を生じ易く安定した操業が困難である。
カオリンを用いる方法では、少量の塗工では白色度、不透明度向上の効果が小さい。しかし、板状顔料であるため、塗工量を増加させると摩擦係数が低下して紙流れが発生する問題点がある。コロイダルシリカを用いる方法では、印刷後不透明度向上の効果が小さい。
サチンホワイトや水和ケイ酸、中空有機顔料を用いる方法では、これらの顔料に接着剤が吸収されて結合強度が弱くなるため、ブランケットパイリングが生じやすくなる。そのため、接着剤比率の増加が必要で、結果的に不透明度向上の効果が小さくなり、コスト的にも好ましくない。
軽質炭酸カルシウムを用いる方法では、不透明度向上の効果はコロイダルシリカよりは優れているものの、サチンホワイト、水和ケイ酸、中空有機顔料に比べると劣っている。そのため、軽質炭酸カルシウムで充分な不透明度と吸水着肉性を得ようとすると、少なくとも片面当り0.3g/m以上の塗工量が必要である。しかしながら、塗工量が0.3g/mを超えると、表面強度が弱くなり、ブランケットパイリングが生じやすくなるという問題点がある。
水和ケイ酸とクレーとを併用する方法では、クレーが塗工時に最密構造をとりやすく空隙量を減少させやすいことから、白紙不透明度、印刷後不透明度が向上しにくい。また、摩擦係数、インキセット性が低下する傾向がある。
シリカゾルと軽質炭酸カルシウムとを併用する方法では、シリカゾルの粒径が通常10〜50nmと小さいため、白紙不透明度、印刷後不透明度が向上しにくいという欠点がある。
さらに、新聞用紙のように、顔料を2g/m以下の少量塗工する場合、バインダー分の多くは塗工時に原紙中に吸収され、塗工紙最表面のバインダー分が非常に少ない状態となる。この非常に薄いバインダー膜は、水の付着により容易に浸出し、顔料の結着能力がほとんどなくなってしまう。その結果、ブランケットパイリングがより起こりやすくなるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、印刷後不透明度が高く、しかも版摩耗等のトラブルも発生しにくい、良好な印刷品質と印刷作業性とを兼ね備えたオフセット印刷用新聞用紙を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]原紙の少なくとも一方の面に、顔料と接着剤と表面サイズ剤とを含有する表面処理剤を塗工してなるオフセット印刷用新聞用紙であって、
前記顔料は、平均粒子径1〜5μmの水和ケイ酸の粒子と、該水和ケイ酸の粒子に対する質量比で9/1〜3/7の軽質炭酸カルシウムの粒子からなり、
前記接着剤は、ポリビニルアルコールと、該ポリビニルアルコールに対する質量比で9/1〜5/5の澱粉とからなり、
前記接着剤の含有量は、前記顔料100質量部に対して、30〜100質量部であり、
前記顔料の乾燥塗工量が片面当たり0.3〜2.0g/mであることを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。
[2]前記軽質炭酸カルシウムの粒子形態が立方体状である[1]に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
[3]表面サイズ剤が、下記成分A〜Cの少なくとも1成分を含む[1]又は[2]に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
成分A:オレフィン系不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を構成モノマーとして含む共重合体
成分B:スチレン系不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を構成モノマーとして含む共重合体
成分C:アルケニルコハク酸無水物
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、印刷後不透明度が高く、版摩耗等のトラブルも発生しにくい。すなわち、本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、良好な印刷品質と印刷作業性とを兼ね備えている。
[表面処理剤]
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、原紙に表面処理剤を塗工したものである。表面処理剤には、顔料と接着剤と、表面サイズ剤とが含有されている。
(顔料)
表面処理剤に含有されている顔料は軽質炭酸カルシウムと水和ケイ酸とからなる。これらの顔料を併用することにより、軽質炭酸カルシウムの吸油性の不足を水和ケイ酸によって補うことができ、塗布量を増やすことなく印刷後不透明度を高められる。また、水和ケイ酸の使用は、表面強度を弱めたり、版摩耗を起こしやすくしたりする傾向があるが、軽質炭酸カルシウムの併用によって、版摩耗やブランケットパイリング等のトラブルが生じにくくなる。
水和ケイ酸に対する軽質炭酸カルシウムの質量比は、9/1〜3/7であることが好ましく、8/2〜5/5であることがより好ましく、7/3前後であることが特に好ましい。
軽質炭酸カルシウムが水和ケイ酸に対して9/1以上であれば、表面強度を強くし、ブランケットパイリングを抑制することが効果的に達成できる。また、版摩耗や地汚れ等の印刷トラブルも抑制しやすくなる。
また、軽質炭酸カルシウムが水和ケイ酸に対して3/7以下であれば、印刷後不透明度を向上させることが効果的に達成できる。
軽質炭酸カルシウムとしては、立方体状のものが、セットオフが出難く、かつ印刷後不透明度が高いために最適である。
本発明で使用される軽質炭酸カルシウムとしては、その平均粒子径が、レーザー回折式粒度分布測定装置(「SALD―2000J」:島津製作所)で測定した値で0.2〜5.0μmのものが好ましく、0.3〜1.0μmのものがより好ましい。
平均粒子径が0.2μm未満では、粒子径が可視光の波長以下となるため、光散乱が著しく低下し、不透明度が出にくい傾向がある。一方、平均粒子径が5.0μmを越えると、粒子数の減少に伴う印刷インキの吸着性の低下やブランケットパイリングを生じやすくなる傾向がある。
水和ケイ酸は、湿式法で合成した水和ケイ酸、具体的には、特許第2666638号公報に記載されているように、硫酸ナトリウムの存在下でケイ酸ソーダ水溶液に硫酸を添加し、中和することにより水和ケイ酸を析出せしめて製造したものである。このようにして合成された水和ケイ酸は、近年、特に新聞用紙の不透明度向上対策のために内添用顔料として製紙工場内でオンサイト生産され、俗称ホワイトカーボンと呼ばれて多用されている顔料であり、製造原価面からも有利に使用できるものである。
本発明で使用される水和ケイ酸としては、その平均粒子径が、レーザー回折式粒度分布測定装置(「SALD―2000J」:島津製作所)で測定した値で1〜5μmのものである。
平均粒子径が1μm未満では光散乱性能及び吸油性が低いため、印刷インキの吸着性を低下させることになる。
一方、平均粒子径が5μmを越えると粒子数の減少に伴う印刷インキの吸着性の低下や、ブランケットパイリングが生じやすくなる。また、水和ケイ酸は比較的硬度が大きいので、粒子径が大きすぎると版摩耗が生じやすくなる。この場合、接着剤を多量に使用することにより、ブランケットパイリングや版摩耗の問題は軽減されると考えられるが、接着剤を増やすことは、印刷後不透明度の低下につながるので好ましくない。
平均粒子径が1〜5μmの水和ケイ酸としては、前記した如く湿式法に基づいて製紙工場内で抄紙用填料としてオンサイト生産されているホワイトカーボンをその製造段階で所望の平均粒子径となるように合成して調整したもの、あるいは合成後のホワイトカーボンスラリーをホモミキサー、ディスクリファイナー、コロイドミル、サンドグラインダー等の装置を使用して湿式粉砕処理することで、所望の平均粒子径に調整したものが、原価等を考慮すると望ましい。
平均粒子径が1〜5μmの範囲に調節された水和ケイ酸の粉末は市販されており、製品をそのまま使用することができる。また、市販の粉末製品をそのまま乾式粉砕処理するか、スラリー化して湿式粉砕処理を行い所望の平均粒子径に調整した上で使用することもできる。
なお、オンサイトで合成して得られるホワイトカーボン(水和ケイ酸)スラリーの液相中には、反応副生物であるNa2 SO4 (芒硝)等の塩類が存在しているが、このNa2 SOを含んだ状態でスラリーを湿式粉砕して粒子径調節を行い、顔料として使用することはなんら問題ない。
本発明で使用される水和ケイ酸としては、その吸油量が、JIS K5101で測定した値で100〜250mL/100gのものが好ましく、150〜200mL/100gのものがより好ましい。
吸油量が100mL/100g以上の水和ケイ酸を用いることにより、印刷後不透明度を効果的に向上させることができる。また、吸油量が250mL/100g以下の水和ケイ酸を用いることにより、インキセットが速くなりすぎることによる微小な印刷光沢ムラの発生を防止できる。
顔料全体の乾燥塗工量は、片面当たり0.3〜2.0g/mであり、0.3〜1.5g/mであることが好ましく、0.3〜1.0g/mであることがより好ましい。
片面当たりの顔料全体の乾燥塗工量を0.3g/m以上とすることにより、印刷後不透明度を効果的に向上させることができる。また、2.0g/m以下とすることによりセットオフの発生を抑制できる。
なお、各面に対する顔料の塗工量は同じである必要はなく、原紙に表裏差がある場合や、印刷条件が表裏で異なる場合などには、各面の塗工量を適宜調整することが出来る。
(接着剤)
表面処理剤に含有される接着剤に特に限定はないが、澱粉とポリビニルアルコールとを含むことが好ましい。これらの接着剤を併用することにより、澱粉の接着強度不足をポリビニルアルコールによって補うことができ、接着剤量を増やすことなく、表面強度を高められる。また、ポリビニルアルコールの使用はネッパリおよび残画像の問題を生じさせる傾向があるが、顔料及び澱粉との併用によって、これらのトラブルが生じにくくなる。
総接着剤に占める澱粉とポリビニルアルコールの割合は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
ポリビニルアルコールに対する前記澱粉の質量比が、9/1〜5/5であることが好ましく、7/3〜5/5であることがより好ましく、5/5であることが特に好ましい。
澱粉がポリビニルアルコールに対して9/1以上であれば、ネッパリや残画像などのトラブル解消が効果的に達成できる。澱粉がポリビニルアルコールに対して5/5以下であれば、多量の接着剤を塗布することなく、接着強度を向上させることが効果的に達成できる。
澱粉の種類としては一般的に用いられる生澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、りん酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉、あるいは酵素変性澱粉、疎水基含有澱粉などを用いることが出来る。
ポリビニルアルコール(PVA)としては、ケン価度98%以上の完全けん化型が好ましい。完全けん化型PVAは、分子間で強力な水素結合を作り、また、結晶性が高いため、オフセット印刷時の湿し水に対する耐性が高く、顔料パイリング防止効果が高い。重合度としては、1000〜1700のものが好適である。重合度を1000以上とすることにより、充分なフィルム強度が得やすく、パイリング抑制効果が高まる。また、重合度を1700以下とすることにより、PVA水溶液の粘度が高くなりすぎることがない。粘度が高くなりすぎると、ハンドリングやポンプアップなどに問題が発生する場合がある。また、粘度が高くなりすぎないように塗工液濃度を低下させると、光沢性が損なわれやすくなる。
澱粉とポリビニルアルコール以外の接着剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース類、アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、プルラン等の天然水溶性高分子誘導体類、ポリアクリルアミド等の合成水溶性高分子類、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の合成ラテックス類などを用いることが出来る。
印刷後不透明度向上効果とブランケットパイリング抑制効果とのバランスの観点から、表面処理剤中の総接着剤の含有量は、総顔料100質量部に対して、30〜100質量部であることが好ましく、60〜100質量部であることがより好ましく、60〜80質量部であることがさらに好ましい。
総接着剤の含有量が総顔料100質量部に対して30質量部未満だと、接着剤に由来する印刷後不透明度悪化が少なくなり、印刷後不透明度が向上しやすくなる。しかし、顔料の接着に必要な接着剤量が不足して、ブランケットパイリングが発生しやすくなる。
一方、総接着剤の含有量が総顔料100質量部に対して100質量部を越えると、顔料の接着能力が非常に大きく、ブランケットパイリング抑制効果は高い。しかしながら、顔料層の細孔が接着剤で埋められてしまうために溶剤吸収能力および光散乱能力が低下しやすい。そのため、印刷後不透明度向上効果が小さくなりやすい。
(表面サイズ剤)
表面処理剤に含有される表面サイズ剤は、下記成分A〜Cの少なくとも1成分を含むことが好ましい。
成分A:オレフィン系不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を構成モノマーとして含む共重合体
成分B:スチレン系不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を構成モノマーとして含む共重合体
成分C:アルケニルコハク酸無水物
また、総表面サイズ剤に占める成分A〜Cの割合は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
成分Aは、具体的には、疎水性不飽和モノマーであるオレフィン系不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を主構成要素とする共重合体である。
オレフィン系不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、イソオクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20程度の直鎖、環状または分岐状のオレフィン系不飽和モノマーが挙げられる。
成分Aは、澱粉分子間の結合を阻害する程度が極めて低く、澱粉フィルムの耐水性をほとんど低下させず、ネッパリ現象も抑制しやすいため好適である。
成分Bは、具体的には、疎水性不飽和モノマーであるスチレン系不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を主構成要素とする共重合体である。
スチレン系不飽和モノマーとしては、例えば、スチレンや、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのアルキル基置換スチレン、モノクロロスチレン、モノブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン、さらにはシアノスチレン等が挙げられる。
成分Bは、表面接触角を向上する効果が高く、吸水着肉性も良好としやすいため好ましい。
成分A又は成分Bにおいて、オレフィン系不飽和モノマーまたはスチレン系不飽和モノマーからなる疎水性不飽和モノマーと共重合されるカルボキシ基含有不飽和モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、イタコン酸、イタコン酸ハーフエステル、シトラコン酸、フマル酸等が挙げられる。
本発明で使用する表面サイズ剤において、疎水性不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマーとのモル比については特に限定されないが、疎水性不飽和モノマー1モルに対して0.5〜3モル、好ましくは0.5〜2モルの範囲でカルボキシ基含有不飽和モノマーを共重合するのが望ましい。
カルボキシ基含有不飽和モノマーの割合を0.5モル以上とすることにより、ネッパリ現象を抑制できる。また、カルボキシ基含有不飽和モノマーの割合を3モル以下とすることにより、充分なサイズ効果が得られ、水切れ断紙等の発生を抑制でき、印刷作業性が向上する。
成分A及び/又は成分Bには、上記疎水性不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマーの他に、ジメチルアミノメタクリレート等の第三モノマー成分を少量含んでいても良い。
成分A及び/又は成分Bは、上記モノマー成分と重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤等を混合し、常法に従って溶液重合または乳化重合することによって得られる。
溶液重合の溶媒としては、エチルアルコールやプロピルアルコール等のアルコール類、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン等の低級ケトン類、酢酸エチル等の有機溶媒が単独または混合して使用される。有機溶媒は、重合反応終了後、常法に従って除去され、アンモニア水溶液や水酸化ナトリウム水溶液等が添加される。また、水溶性溶剤であれば、水と混合して使用することも出来る。
成分Aの質量平均分子量は、1000〜10000であることが好ましく、5000〜7000であることがより好ましい。成分Aの質量平均分子量を10000以下とすることにより、澱粉の分子間結合を阻害しにくく、ネッパリ現象を生じにくくできる。一方、質量平均分子量を1000以上とすることにより、サイズ剤として機能が確保され、充分なサイズ性が得られる。そのため、印刷時の湿し水によりブランケットパイリング、印面カスレ、さらには水切れ断紙などのトラブルを発生しにくくなる傾向にある。
なお、表面サイズ剤の質量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液として、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算して求めた値である。成分Bの質量平均分子量については特に限定されるものではないが、10000〜50000が好ましく、20000〜30000がより好ましい。
成分A及び成分Bを、より具体的な共重合体として例示するならば、成分Aとしては、エチレン/アクリル酸共重合体、イソブチレン/アクリル酸共重合体、n-ブチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、プロピレン/マレイン酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体などが挙げられる。また、成分Bとしては、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体などが挙げられる。
成分Cのアルケニル基は、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数が6〜36のものが好ましく、炭素数8〜20のものがより好ましい。
炭素数が6未満の場合、疎水性が弱く所望のサイズ効果を得にくい傾向がある。一方、炭素数が36を越えると、融点が高くなりすぎ、塗工後の乾燥工程で溶融しないため澱粉又はパルプ繊維との反応が起こりにくく、サイズ効果が発現しにくくなる傾向がある。
成分Cを、より具体的な共重合体として例示するならば、オクテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ペンタデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物などが挙げられる。
成分Cは、摩擦係数低下及びネッパリ現象を抑制しやすいため好適である。
成分A、成分B、及び成分C以外の表面サイズ剤としては、カルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を構成単位としないエマルジョン型ポリマーからなるサイズ剤や、アルキルケテンダイマー系サイズ剤等が挙げられる。
表面サイズ剤の乾燥塗工量は、原紙の片面当たり0.005〜0.15g/m2が好ましく、0.015〜0.05g/m2がより好ましい。片面当たりの表面サイズ剤の乾燥塗工量を0.005g/m2以上とすることにより、サイズ剤としての効果が効果的に得られ、充分な耐水性が得られる。そのため、塗工された顔料のブランケットパイリングが発生しにくくなる。他方、乾燥塗工量を0.15g/m2以下とすることにより、乾燥時のバインダー強度が確保されやすく、塗工された顔料やレイセルなどがブランケットに取られにくくなる。なお、各面に対する表面サイズ剤塗工量は同じである必要はなく、原紙に表裏差がある場合などには、各面の塗工量を適宜、本発明の範囲において調整することが出来る。
(その他の成分)
表面処理剤には、顔料と接着剤と表面サイズ剤に加えて、耐水化剤類、消泡剤類、スライムコントロール剤類、染料類などを適宜配合しても差し支えない。
[原紙]
本発明のオフセット印刷用新聞用紙における原紙には、化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP等)等を単独または任意の比率で混合した原料パルプを使用することができる。
また、抄紙時に、ホワイトカーボン、クレー、無定形シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの製紙用填料を適宜添加することができる。また、必要に応じて、内添サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、歩留り向上剤、耐水化剤、紫外線吸収剤等の公知公用の抄紙用薬品を添加することができる。
原紙の抄造条件についても、特に限定はなく、公知公用の抄紙機にて抄紙することができる。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機を、適宜選択して使用できる。
原紙の坪量は、30〜75g/m2であることが好ましく、35〜55g/m2であることがより好ましく、35〜50g/m2であることがさらに好ましい。
原紙の物性としては、オフセット印刷機で印刷可能である必要があり、通常の新聞用紙程度の引張り強度、引裂き強度、伸びなどの物性を有するものであれば良い。
原紙の抄紙方式としては、酸性抄紙、中性抄紙等のいずれの方式でも良いが、特に中性抄紙によって得られる、紙面および紙内部pH(原紙pH)が6.0以上の原紙がオフセット印刷用新聞用紙として好適である。中性抄紙においては、硫酸バンドの使用量が酸性抄紙と比べて少ないため、表面処理剤液中への酸性成分の戻りがほとんどなく、循環させる表面処理剤液のpH変動が小さくなり塗料安定性が高くなる。また、損紙処理において、抄紙pHが高い中性抄紙の場合には炭酸カルシウムの溶解が抑えられるため、発泡やスケール生成などのトラブルが発生しにくくなる。
[塗工等]
表面処理剤を原紙へ塗工するための塗工装置としては、特に限定されるものではないが、例えばインクラインまたはバーティカルツーロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーターなどのロールコーター、トレーリング、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエル等のベベルタイプやベントタイプのブレードコーターロッドブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、グラビアコーターなどの公知公用の装置が適宜使用される。なお、表面処理剤を塗布後の湿潤塗被層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用できる。
本発明のオフセット印刷用新聞用紙の製造に際しては、表面処理剤塗液の塗被層の形成後に、各種キャレンダー装置にて平滑化処理を施すことが好ましい。
かかるキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダー等の一般に使用されているキャレンダー装置を適宜使用できる。
また、キャレンダー装置は、コーターと別であるオフタイプとコーターと一体となっているオンタイプがあるが、どちらにおいても使用できる。キャレンダー装置の剛性ロールとしては、金属もしくはその表面に硬質クロムメッキ等で鏡面処理したロールを適宜使用できる。弾性ロールとしては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂ロール、コットン、ナイロン、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールを適宜使用できる。
キャレンダー仕上げにおける、剛性ロールの温度、キャレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、キャレンダー前の紙水分等の条件は、要求される品質に応じて適宜選択される。
なお、キャレンダーによる仕上げ後に、塗被紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を適宜組合せて使用することも勿論可能である。
[動摩擦係数]
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、JISP−8147による動摩擦係数が0.5〜0.8であることが好ましく、0.55〜0.75であることがより好ましい。動摩擦係数を0.5以上とすることにより、新聞オフセット輪転印刷機においてテンションが掛かりやすくなり、紙流れ等のトラブルが発生しにくくなる。一方、0.8以下とすることにより、しわなどのトラブルの発生を防止できる。
動摩擦係数は、例えば、表面サイズ剤の種類を適切に選択することにより調整できる。表面サイズ剤として成分A、成分B、及び成分Cの何れか1以上を用いると、動摩擦係数が比較的大きくなる傾向がある。一方、表面サイズ剤として、アルキルケテンダイマーを用いると、動摩擦係数が比較的小さくなる傾向がある。
動摩擦係数は、その他、内添填料の含有量によっても調整することができる。
[接触角]
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、紙表面と水との接触角が水滴下後1秒後の値で80°以上であることが好ましく、80゜〜100゜であることがより好ましく、90゜〜100゜であることがさらに好ましい。
本発明者らは、オフセット印刷時の塗工層中の顔料の剥離を抑制させる方法を検討した結果、バインダー膜の水に対する接触角を上げる方法が最良である事を見出した。さらに、水滴下後1秒後の接触角が80°以上であれば、紙表面に水が乗らず、バインダー分が溶け出しにくくなるため顔料の剥離が抑制され、パイリングが発生しにくくなることを見出した。
水滴下後の経時での接触角は、表面サイズ剤を添加することで高められる。また、疎水基を含有する澱粉を接着剤として使用すると、水滴下後の経時での接触角低下がより効果的に抑えられる。
接触角は、その他、内添サイズ剤、表面処理剤の塗布量によっても調整することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ固形分質量部および固形分質量%を示す。なお、実施例10〜14は参考例である。
(水和ケイ酸の自製品)
水和ケイ酸の自製品は、以下のように調製した。まず、市販のケイ酸カレットより調製したシリカ濃度191g/L、SiO/NaOのモル比2.84のケイ酸ナトリウム水溶液10.76mと、5w/v%濃度の硫酸ナトリウム水溶液7.77mと、7.50mの工業用水とを、35mの反応槽に入れ、水溶液の温度を50℃とした。
この水溶液を攪拌しながらケイ酸ナトリウムを中和するのに必要な硫酸の40%に相当する硫酸(20w/v%濃度、1.68m)、を9分間かけて連続的に添加した。硫酸の添加後、攪拌を継続したまま25分かけて90℃まで昇温し、その温度状態を10分間保持して熟成した。次いで、ケイ酸ナトリウムを中和するのに必要な残りの硫酸(20w/v%濃度、2.52m)を40分間かけて連続的に添加して10%濃度の水和ケイ酸スラリーを得た。
得られた水和ケイ酸スラリーを、直径1mmのガラスビーズを用い、サンドグラインダーにて湿式破砕し、粉砕直後に20w/v%硫酸を滴下してスラリーpHが3〜5となるよう調整し、塗料用水和ケイ酸スラリーを得た。この際、平均粒子径が所望の大きさとなるよう、サンドグラインダーの処理時間と回転数を適宜調整した。
(紡錘状軽質炭酸カルシウムの自製品)
紡錘状軽質炭酸カルシウムの自製品は、以下のように調製した。まず、反応槽内下部に多数の開孔を有する気体溜を装着した反応槽に固形分濃度10質量%の水酸化カルシウムスラリーを装填し、該気体溜よりパルプ製造プラントにおけるアルカリ蒸解工程で使用する蒸解液(NaOH+NaS)の回収工程に装備されている石灰キルンの排ガスに含まれる炭酸ガスの微細気泡を供給して炭酸化反応を行わせ、平均粒子径が4.8μmの紡錘状軽質炭酸カルシウムスラリーを得た。得られた軽質炭酸カルシウムスラリーを直径1mmのガラスビーズを用い、サンドグラインダーにて湿式破砕し、平均粒子径が1.8μmの塗料用軽質炭酸カルシウムスラリーを得た。
(実施例1)
針葉樹クラフトパルプ10部、サーモメカニカルパルプ40部、脱墨古紙パルプ50部の割合で混合して離解し、レファイナーでフリーネス120mlC.S.F.(カナダ標準フリーネス)に調製したパルプスラリーに、対絶乾パルプ当りカチオン化澱粉(商品名;P3Y、PIRAAB STARCH Co., Ltd.製)を0.5%、填料としてホワイトカーボンを2%、酸性ロジンサイズ剤(商品;SPGK、荒川化学工業株式会社製)を0.6%添加し、硫酸バンドで抄紙pHを4.5に調整後、得られた紙料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙し、米坪40g/m2、酸性ロジンサイズ剤含有率が対パルプ当り0.4%である塗工紙原紙を得た。なお、内添サイズ剤の含有率は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて測定した。
一方、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製、吸油量44mL/100g、平均粒子径0.5μm)70部、上記製法で得た平均粒子径2μmの水和ケイ酸(自製品、吸油量170mL/100g)30部、酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)25部、ポリビニルアルコール(PVA)(商品名;PVA117、クラレ株式会社製、重合度1700)25部、成分Aである表面サイズ剤(商品名;OT25、荒川化学工業株式会社製、質量平均分子量6000、オレフィンマレイン酸溶液)3.0部からなる固形分濃度20%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計1.5g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例2)
表面処理剤塗液中の立方体状軽質炭酸カルシウムの配合量を50部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸の配合量を50部とした以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例3)
表面処理剤塗液中の立方体状軽質炭酸カルシウムの配合量を30部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸の配合量を70部とした以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例4)
表面処理剤塗液中の立方体状軽質炭酸カルシウム70部を、柱状軽質炭酸カルシウム(商品名;TP−123CS、奥多摩工業株式会社、吸油量30mL/100g、平均粒子径1.0μm)70部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例5)
表面処理剤塗液中の立方体状軽質炭酸カルシウム70部を、上記製法で得た紡錘状軽質炭酸カルシウム(自製品、吸油量40mL/100g、平均粒子径1.8μm)70部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例6)
表面処理剤塗液中の平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部を、上記製法で得た平均粒子径4.8μmの水和ケイ酸(自製品、吸油量220mL/100g)30部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例7)
表面処理剤塗液中の平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部を、上記製法で得た平均粒子径1.2μmの水和ケイ酸(自製品、吸油量130mL/100g)30部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例8)
表面処理剤塗液の配合比と塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
すなわち、立方体状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部、酸化トウモロコシ澱粉22部、ポリビニルアルコール22部、成分Aである表面サイズ剤1.67部からなる固形分濃度25%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計2.6g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量42.6g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例9)
表面処理剤塗液の配合比と塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
すなわち、立方体状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部、酸化トウモロコシ澱粉50部、ポリビニルアルコール50部、成分Aである表面サイズ剤6.0部からなる固形分濃度18%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計1.2g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量41.2g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例10)
表面処理剤塗液にポリビニルアルコールを用いなかったことと、塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
すなわち、立方体状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部、酸化トウモロコシ澱粉80部、成分Aである表面サイズ剤3.0部からなる固形分濃度 21%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計1.8g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量41.8 g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例11)
表面処理剤塗液における酸化トウモロコシ澱粉とポリビニルアルコールとの比率を変更したことと、塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
すなわち、立方体状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部、酸化トウモロコシ澱粉66.5部、ポリビニルアルコール3.5部、成分Aである表面サイズ剤3.0部からなる固形分濃度20%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計1.7g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量41.7g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例12)
表面処理剤塗液中の酸化トウモロコシ澱粉の配合量を15部、ポリビニルアルコールの配合量を35部とした以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例13)
表面処理剤塗液における接着剤と顔料との比率を変更したことと、塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
すなわち、立方体状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部、酸化トウモロコシ澱粉12.5部、ポリビニルアルコール12.5部、成分Aである表面サイズ剤3.0部からなる固形分濃度19%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計1.28g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量41.3g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例14)
表面処理剤塗液における接着剤と顔料との比率を変更したことと、塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
すなわち、立方体状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部、酸化トウモロコシ澱粉60部、ポリビニルアルコール60部、成分Aである表面サイズ剤3.0部からなる固形分濃度22%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計2.28g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量42.3g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例15)
表面処理剤塗液中の成分Aである表面サイズ剤3.0部を、成分Bである表面サイズ剤(商品名;GS−25、荒川化学工業株式会社製、質量平均分子量20000)3.0部とした以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用塗工紙を得た。
(実施例16)
表面処理剤塗液中の成分Aである表面サイズ剤3.0部を、成分Bであるスチレンアクリレートエマルジョン系)表面サイズ剤(商品名;SE2066、星光PMC株式会社製、質量平均分子量100000)3.0部とした以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例17)
表面処理剤塗液中の成分Aである表面サイズ剤3.0部を、アルキルケテンダイマー(AKD)系表面サイズ剤(商品名;SS389、星光PMC株式会社製)3.0部とした以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用塗工紙を得た。
(実施例18)
表面処理剤塗液中の成分Aである表面サイズ剤3.0部を、アルケニルコハク酸無水物(ASA)系表面サイズ剤(商品名;SP864、荒川化学工業株式会社製)3.0部とした以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(実施例19)
表面処理剤塗液中の成分Aである表面サイズ剤3.0部を、成分Aと成分Bの混合物であるサイズ剤(商品名;SS2800、星光PMC株式会社製、質量平均分子量30000)とした以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例1)
酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)100部からなる固形分濃度10%の表面処理剤塗液を調製した。この表面処理剤塗液をゲートロールコーターで、乾燥後の塗工量が両面合計0.7g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥した以外は、実施例1と同様にして坪量40.7g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例2)
酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)25部、ポリビニルアルコール(商品名;PVA117、クラレ株式会社製、重合度1700)25部、成分Aである表面サイズ剤(商品名;OT−25、荒川化学工業株式会社製)4.8部からなる固形分濃度6%の表面処理剤塗液を調製した。この表面処理剤塗液をゲートロールコーターで、乾燥後の塗工量が両面合計0.5g/m2となるように両面に塗布、乾燥した以外は、実施例1と同様にして坪量40.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例3)
表面処理剤塗液中の立方体状軽質炭酸カルシウム70部と平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部を、立方体状軽質炭酸カルシウム100部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例4)
表面処理剤塗液中の立方体状軽質炭酸カルシウム70部と平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部を、平均粒子径2μmの水和ケイ酸100部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例5)
表面処理剤塗液中の立方体状軽質炭酸カルシウム70部と平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部を、上記製法で得た平均粒子径4.8μmの水和ケイ酸(自製品、吸油量220mL/100g)100部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例6)
平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部を、上記製法で得た平均粒子径0.5μmの水和ケイ酸(自製品、吸油量100mL/100g)30部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例7)
平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部を、上記製法で得た平均粒子径15μmの水和ケイ酸(自製品、吸油量300mL/100g)30部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例8)
平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部を、上記製法で得た平均粒子径25μmの水和ケイ酸(自製品、吸油量400mL/100g)30部に代えた以外は、実施例1と同様にして坪量41.5g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例9)
表面処理剤塗液の配合比と塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
すなわち、立方体状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部、酸化トウモロコシ澱粉20部、ポリビニルアルコール20部、成分Aである表面サイズ剤0.67部からなる固形分濃度40%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計6.2g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量46.2g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(比較例10)
表面処理剤塗液の配合比と塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を得た。
すなわち、立方体状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径2μmの水和ケイ酸30部、酸化トウモロコシ澱粉125部、ポリビニルアルコール125部、成分Aである表面サイズ剤15部からなる固形分濃度7%の表面処理剤塗液を調製した。
この表面処理剤塗液を上記の塗工紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを使用して、乾燥後の塗工量が両面合計0.7g/m2となるように両面に略均等に塗布、乾燥後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行い、坪量40.7g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
上記のようにして得た実施例および比較例となるオフセット印刷用新聞用紙について、下記の物性を測定し、その結果を表1〜表6に示した。また、これらの表には、上記の処方から導かれる質量比、塗工量等を併せて記載した。
(紙内部pH)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙をOPP粘着テープ(商品名;#4267テサテープ株式会社)と同じ幅に断裁し、その両面にOPP粘着テープを貼りあわせ、30mm/秒の速さで180°ピールし、紙層を2分割した。
分割面の紙面pH(紙内部pH)を、紙面測定用pH計(型式MPC、共立理化学研究所製)にて測定した。すなわち、前記紙面測定用pH計に付属の、pH測定範囲が4.6〜6.8であるBCP溶液での発色、またはpH測定範囲が6.0〜8.0であるBTB溶液での発色を、標準板と対比させて測定した。
(接触角)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙について、23℃、50%RH雰囲気下で、動的表面接触角測定装置(ダイナミックアブソープションテスタ DAT1100、Fibro社製)を用い、水滴を滴下後1秒後の表面接触角を測定した。
(印刷後不透明度)
JAPAN TAPPI No.45に準拠した。なお、実施例1の坪量を基準とし、異なる坪量のサンプルに対しては、0.6%/坪量1g/mとして坪量補正を行なった。
(版摩耗)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙について、大部分がベタ画線部のアルミ版とブランケット(DAYインターナショナル製DAYブランケット8891)をセットしたオフセット印刷機(三菱リソピアL−BT3−1100)を用いて、墨ベタのモノクロ印刷を行い、10000部印刷を行った後、版を洗浄液で拭き取り、版画線部の白化度合い(画線部着色部の摩耗により白く見えてくる度合い)を目視にて判定した。
評価は次の5段階評価で行った。
5:版画線部が全く白化しない。
4:版画線部がごく僅かに白化する。
3:版画線部が僅かに白化する。実用上問題ない。
2:版画線部が明確に白化する。印刷条件によっては問題が発生する場合がある。
1:版画線部が激しく白化する。実用上使用不可。
(吸水着肉性)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙から巾2cmの試料ストリップを切り取り、これをサンプル台紙(OK特アートポスト 256g/m)に貼りつけ、RI印刷試験機(明製作所製)にて、墨インキ(サカタインクス株式会社製)を0.4cc展開させ、ゴムロールと練りロール間をキスタッチにして、その間に水を0.2cc滴下後、印刷を行い、墨ベタ印刷面の黒色濃度をカラー反射濃度計(X−RITE404G、X RITE Inc.製)にて測定した。
(動摩擦係数)
JIS P 8147に準拠した。
(ネッパリ)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙について、非画線部のみのアルミ版とブランケット(DAYインターナショナル製DAYブランケット8891)をセットしたオフセット印刷機(三菱リソピアL−BT3−1100)を用いて、インキをのせずに1〜4胴すべてで水刷りを行い、200部印刷を行った後、水供給を停止し、塗工紙のブランケットへの貼りつき度合いを目視にて判定した。評価は次の5段階評価で行った。
5:繊維の取られが全く発生しない。
4:ごくわずかに繊維の取られが発生。
3:繊維の取られは発生するが、実用上問題のないレベル。
2:一部で紙層破壊発生。
1:全面で紙層破壊発生。
(ドライ表面強度)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙を貼り付けたサンプル台紙を作成し、RI印刷試験機にて、印刷インキ(T&K TOKA株式会社製)を0.4cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。
5:繊維の取られが全くみられず、白抜けが発生しない。
4:ごくわずかに繊維の取られが発生し、白抜け部がわずかに(1〜5個所程度)みられる。
3:一部で繊維の取られが発生するが、実用上問題のないレベル。白抜け部は6〜20個所程度。
2:全面で繊維の取られがみられ、白抜け部面積率が5%未満。
1:全面で繊維の取られがみられ、白抜け部面積率が5%以上。
(ウェット表面強度)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙を貼り付けたサンプル台紙を作成し、RI印刷試験機にて、湿らせたガーゼで水を付けたゴムロールで塗工紙面に水を付けた後、直ちに印刷インキ(T&K TOKA株式会社製)を0.5cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。
5:繊維の取られが全くみられず、白抜けが発生しない。
4:ごくわずかに繊維の取られが発生し、白抜け部がわずかに(1〜5個所程度)みられる。
3:一部で繊維の取られが発生するが、実用上問題のないレベル。
2:全面で繊維の取られがみられ、白抜け部面積率が5%未満。
1:全面で繊維の取られがみられ、白抜け部面積率が5%以上。
(インキセット)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙を貼り付けたサンプル台紙を作成する。インキ練り用のゴムロールと金属ロールを1段目にセットしたRI印刷試験機にて印刷インキ(T&K TOKA株式会社製)0.5ccを練った後、インキ練り用ゴムロールをはずし、インキ練り用金属ロールを洗浄する。圧胴にサンプル台紙をセットし、RI印刷機の3段目に前述のインキを練ったゴムロール、1段目にインキ転写用片面塗工紙を巻いたゴムロールを装着し、3段目で印刷されたサンプルが転写紙にタッチしたところで一旦印刷をとめ、そこから一定時間ごとに2〜3cmづつ印刷を進めて、その濃度変化を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。なお、下記において基準品とは比較例1で得たオフセット印刷用新聞用紙である。
5:基準品と比較して、印刷終了後のインキロール表面を転写した紙の印刷部インキ濃度が明確に低い。
4:基準品と比較して、印刷終了後のインキロール表面を転写した紙の印刷部インキ濃度が同程度。
3:基準品と比較して、印刷終了後のインキロール表面を転写した紙の印刷部インキ濃度が僅かに高いが、実用上問題のないレベル。
2:基準品と比較して、印刷終了後のインキロール表面を転写した紙の印刷部インキ濃度がやや高い。
1:基準品と比較して、印刷終了後のインキロール表面を転写した紙の印刷部インキ濃度が明確に高い。
(ブランケットパイリング)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙について、前記オフセット印刷機を使用して、カラー4色刷りを行い、5000部印刷を行った後、ブランケット非画線部への紙粉の堆積度合いを目視にて判定した。評価は次の5段階評価で行った。
5:紙粉の発生がほとんど認められない。
4:紙粉の発生がわずかに認められる。
3:紙粉の発生がやや認められるが、実用上問題のないレベル。
2:紙粉の発生が明確に認められる。
1:ブランケット上に紙粉が多く堆積している。
(印面カスレ)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙について、前記オフセット印刷機を使用し、連続2000部の墨単色印刷を行った後、印刷面のカスレの度合いを目視にて判定した。
5:印刷面のインキ濃度が高く、カスレの発生が認められない。
4:わずかにカスレが発生するが、インキ濃度は全体的に高い。
3:カスレの発生がやや認められるが、実用上問題のないレベル。
2:カスレの発生が明確に認められ、印刷面のインキ濃度が全体的にやや低い。
1:カスレの程度が多く、印刷面のインキ濃度が全体的に低い。
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表1〜表6に示したように、各実施例で得たオフセット印刷用新聞用紙は、いずれも印刷後不透明度が高く、しかも版摩耗等のトラブルも発生しにくいものであった。これに対して、各比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙は、印刷後不透明度が低いか、印刷後不透明度が高くても、他の要求特性に問題のあるものであった。

Claims (3)

  1. 原紙の少なくとも一方の面に、顔料と接着剤と表面サイズ剤とを含有する表面処理剤を塗工してなるオフセット印刷用新聞用紙であって、
    前記顔料は、平均粒子径1〜5μmの水和ケイ酸の粒子と、該水和ケイ酸の粒子に対する質量比で9/1〜3/7の軽質炭酸カルシウムの粒子からなり、
    前記接着剤は、ポリビニルアルコールと、該ポリビニルアルコールに対する質量比で9/1〜5/5の澱粉とからなり、
    前記接着剤の含有量は、前記顔料100質量部に対して、30〜100質量部であり、
    前記顔料の乾燥塗工量が片面当たり0.3〜2.0g/mであることを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。
  2. 前記軽質炭酸カルシウムの粒子形態が立方体状である請求項1に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  3. 表面サイズ剤が、下記成分A〜Cの少なくとも1成分を含む請求項1又は請求項2に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
    成分A:オレフィン系不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を構成モノマーとして含む共重合体
    成分B:スチレン系不飽和モノマーとカルボキシ基含有不飽和モノマー若しくはその塩を構成モノマーとして含む共重合体
    成分C:アルケニルコハク酸無水物
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