JP3644017B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット画像の記録方法に関し、詳しくは、印字部と非印字部との光沢差、印字部のぎらつき感を低減し、かつ印字濃度の高いインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラあるいはコンピュータの普及に伴い、それらの画像を紙面などに記録するためのハードコピー画像記録技術が急速に発達している。これらのハードコピーの究極の目標は、その画質をいかに銀塩写真に近づけるかにあり、特に、色再現性、色濃度、質感、解像度、光沢性、耐光性等を銀塩写真に近づけることが開発の目標となっている。
【0003】
この様なハードコピー記録方式としては、銀塩写真によって画像を表示したディスプレーを直接撮影するものの他にも、昇華型感熱転写方式、インクジェット方式、静電記録方式等、多種多様な記録方式が提案、実用化されている。これらの記録方法のうち、インクジェット方式によるプリンタは、フルカラー化が容易であることや印字騒音が少ないと言う利点を有しているので、近年急速に普及している。
【0004】
インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。また、使用される用途も多岐にわたり、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクが使用される。
【0005】
インクジェット記録方法に用いられる記録媒体は、インク受容層が、例えば、普通紙のように紙等の支持体そのものであるものや、コート紙のように吸収体を兼ねる支持体の上にインク吸収層を塗設したもの、あるいは樹脂被覆紙やポリエステルフィルムのような非吸収性の支持体の上にインク吸収層を塗設したもの等がある。中でも、非吸収性支持体の上にインク吸収層を塗設したタイプの記録媒体は、支持体の表面平滑性が高く、うねりが少ない等の理由から、光沢感、つや感、深み等銀塩写真のような高品位の質感を求められる出力に好ましく用いられる。さらに、高い光沢感やつや感がある光沢型記録媒体としては、非吸収性支持体の上に、インク吸収層としてポリビニルピロリドンやポリビニルアルコール等の水溶性バインダーを塗設した膨潤型記録媒体や、インク吸収層として顔料あるいは顔料とバインダーで微細な空隙構造を形成し、この空隙にインクを吸収させる、いわゆる空隙型記録媒体が用いられる。
【0006】
一方、インクは、色材が溶媒に溶解している染料インクと、色材が溶媒に分散されている分散インクとに大別される。染料インクは溶媒に溶解していることから、発色性が良く、また彩度も高い傾向にあり、銀塩写真画像等の出力に好ましく用いられている。しかし、染料インクは基本的に光褪色が起こりやすく、看板やポスターのように、ある期間の掲示を行う場合には、表面にラミネート処理等を施さなければ、直ぐに褪色してしまうという問題があった。これに対し、分散インクは一般に光褪色が起こりにくく、ポスター等の掲示物の作製に好ましく用いられている。分散インクは、以前は、主に分散安定性の確保の点から、分散粒子の粒径が大きく、銀塩写真調の印刷には全く不向きであったが、昨今の分散技術の進歩により、分散粒径を小さくし、銀塩写真調の印刷も行われるようになった。ここで、分散インクの色材としては、例えば、有機顔料、無機顔料および着色微粒子が用いられる。
【0007】
最近では、インクジェット記録も高精細化が進み、銀塩写真調の高い質感を求める印刷を行うことがしばしばある。このような高い質感を求める印刷を行う場合には、前述した膨潤型記録媒体や空隙型記録媒体のような光沢型記録媒体が好ましく用いられる。
【0008】
上記染料インクを記録する場合には、インク全体がインク吸収層内部に浸透するため、記録後の媒体表面も記録前と殆ど変わらない状態になり、非画像部分と記録部分との境界で違和感が生じることはあまりなかった。これに対して、光沢型記録媒体に分散インクを記録した場合、膨潤型記録媒体のようにインク吸収層に孔が無いか、あるいは空隙型記録媒体のように孔が空いていても、その孔径に比較して色材の粒径の方が大きいために、分散色材の大部分はインク吸収層内部に進入できず、記録媒体表面に露出することになる。この結果、分散インク記録部分では、媒体表面に露出した分散色材により、新たな表面が形成されることになる。したがって、露出した色材の堆積状態により、表面の平滑性が元の媒体表面と変化する結果となる。この平滑性の変化は、光沢感の変化となって現れ、画像の記録部分と非画像部分とで光沢が異なることとなる。1枚の記録媒体内での光沢の違いがあると、非常な違和感となって感じられ、銀塩写真の均質感とはほど遠いものと受け取られてしまう。特に、従来の分散インクでは、記録媒体表面に堆積した色材により、表面平滑性は元の記録媒体表面からかなり粗くなる傾向にあり、光沢感も低くなり、違和感の強い画像になり易いという欠点を有していた。
【0009】
このような違和感を無くす方法として、画像記録後にラミネート処理を行う方法や同じく画像形成後に熱ロールでプレスする方法が知られているが、画像形成後に処理が必要であり手間がかかり、また比較的大きなエネルギーが消費される点や、ラミネート材料や専用の記録媒体が必要であるなどの欠点を有しており、早急な改良手段の開発が要望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、印字部と非印字部との光沢差による違和感を改良し、かつ印字部におけるぎらつき感の低減及び高い印字濃度を得ることができるインクジェット記録方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0012】
1.支持体上に少なくとも1層のインク吸収層を有する記録媒体上に、イエロー顔料インク、マゼンタ顔料インク、シアン顔料インクを用いて記録するインクジェット記録方法において、該記録媒体が、インク吸収層面側表面のJIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢が10〜30%、JISB−0601に規定される中心線平均表面粗さRaが0.6〜4.0μmで、かつブリストー浸透速度が20〜100ml/m2・sec1/2であり、該顔料インクの少なくとも一つが、ゼータ電位の絶対値が30〜100mVの顔料粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0013】
2.前記顔料粒子の最大粒子径(D99)が、300nm未満であることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット記録方法。
【0014】
3.前記顔料粒子の平均粒子径(D50)が、35〜120nmであることを特徴とする前記1又は2項に記載のインクジェット記録方法。
【0015】
4.前記式1で表される400〜700nmにおけるインク吸光度εが、イエローインク、マゼンタインク又はシアンインクで1万以上5万以下、ブラックインクで5万以上15万以下であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0016】
5.前記インクジェット記録媒体が、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0017】
本発明者らは、上記課題を鑑み、形成されたインクジェット出力画像の印字部と非印字部での高低差による光沢差、あるいは印字部のぎらつき感や、所望とする濃度が得られない課題に関し鋭意検討を行った結果、用いる記録媒体の印字面側表面の60度鏡面光沢度を特定の範囲とし、かつ記録媒体の印字面の中心線平均表面粗さRaを特定の値の範囲とし、更にインク吸収速度の一つの指針であるブリストー吸収速度を特定の条件に規定するとともに、少なくとも1色の顔料インクが、ゼータ電位の絶対値が30〜100mVの顔料粒子を含有することにより、顔料インクによる印字の際に起こりがちな印字部と非印字部との質感の違いによる不均質感やぎらつき感を著しく改良させ、銀塩写真のような平滑感、質感が得られるとともに、高い印字濃度を得られることを見いだした。
【0018】
更に、上記の効果は、顔料の粒子径を特定の範囲とすること、特定のインク吸光度を有する顔料粒子を用いること、あるいは記録媒体にカチオン性ポリマーを用いることにより、一層発揮されることを見いだし、本発明に至った次第である。
【0019】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録方法では、インク吸収層面側表面のJIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢が10〜30%で、かつJISB−0601に規定される中心線平均表面粗さRaが0.6〜4.0μmで、かつブリストー浸透速度が20〜100ml/m2・sec1/2であるインクジェット記録媒体に、少なくとも1色のゼータ電位の絶対値が30〜100mVの顔料粒子を含有する顔料インクを印字することが特徴である。
【0020】
はじめに、本発明に係るインクジェット記録媒体について説明する。
本発明に係るインクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体という)は、支持体上のインク印字面にインク吸収層を有するものである。
【0021】
本発明に係る記録媒体に用いられる支持体は、吸水性支持体と非吸水性支持体のいずれも用いることができるが、非吸水性支持体がシワの発生が無く、また容易に半光沢面を形成できることから好ましい。
【0022】
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に、紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。
【0023】
紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階または抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
【0024】
非吸水性支持体としては、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。
【0025】
プラスチック樹脂フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは、透明なものまたは半透明なものも使用できるが透明なものが好ましい。
【0026】
本発明に係る記録媒体では、紙支持体の両面をポリエチレン等でラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、かつ低コストで高品質の画像が得られるため、特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について、以下に説明する。
【0027】
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて、木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0028】
上記パルプには、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0029】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は、30〜250g/m2が好ましく、特に50〜200g/m2が好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0030】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他にLLDPE(リニアローデンシティーポリエチレン)やポリプロピレン等も一部使用することができる。特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0031】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って、通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
【0032】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、空隙層やバック層を設けた後、低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、通常、空隙層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0033】
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
【0034】
1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2.引き裂き強度:JIS−P−8116に規定される方法で、縦方向が0.1〜20N、横方向が2〜20Nが好ましい
3.圧縮弾性率≧98.1MPa
4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したとき、80%以上、特に85〜98%が好ましい
6.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい
7.クラーク剛直度:記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm2/100である支持体が好ましい
8.中紙の含水率:中紙に対して、通常2〜100質量%、好ましくは2〜6質量%
本発明の記録媒体においては、インク吸収層面側表面のJIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢が10〜30%で、かつJISB−0601に規定される中心線平均表面粗さRaが0.6〜4.0μmであることが一つの特徴であるが、上記で規定したインク吸収層面側特性値の達成手段としては、その方法として特に制限はないが、下記に記載の方法により、記録媒体表面に不規則または規則的な形状の微粒面状の凹凸を設ける方法が好ましい。
【0035】
本発明における凹凸は、視感的に光沢を著しく低下させることなく、しかもギラツキを防止する観点から、本発明で規定するインク吸収層側の表面に対し、JISB−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均表面粗さRaが0.6〜4.0μm、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%を満足する様な凹凸を付与することが必要である。
【0036】
この凹凸により、表面光沢性が適度に抑制されて不必要なギラツキが無くなり、しかもインクジェット記録した際の光沢度にプリント部分と非プリント部分で大きな差が無くなり、ムラのない視感的に高級感のあるプリントが得られる。
【0037】
本発明で得られるこのような表面特性は、従来、インク吸収層に用いられているマット剤では平坦なインク吸収層の中に、粒径が0.5〜50μm程度の微粒子をマット剤として含有させたのでは得られない。
【0038】
マット剤を含有させた場合には、通常はインク吸収層表面に凸状態が主体に形成される。この凸のみによって光沢をある程度抑制しようとすると、上述の粒径よりもかなり大きなマット剤を使用する必要が生じるが、そうすると表面粗さが大きくなりすぎ、その結果擦り傷がつきやすかったりプリント表面の触感を悪化させる。従って、マット剤をインク吸収層に含有させる方法では、表面粗さ及び光沢度の両方を満足することはできない。
【0039】
前述した如く、本発明に係るインク吸収層の表面の粗さは、JISB−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線表面粗さRaが0.6〜4.0μmであって、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%を満足する様な凹凸であるが、このRaが0.6μm未満であると表面のギラツキの抑制効果がなくなり、また、Raが4.0μmを越えると凹部分にインクがたまりやすくマダラ状のムラが生じやすい。また、インク吸収層が空隙を有する硬い多孔質皮膜である場合には、Raが4.0μmを越えると製造時に皮膜にひび割れが生じやすくなる。好ましくはRaの範囲は0.9〜3.0μmである。
【0040】
また、本発明に係る記録媒体の裏面の中心線表面粗さRaとして、0.6〜2.5μmであることが好ましく、更に好ましくは0.8〜2.2μmである。
【0041】
本発明に係る記録媒体は、インク吸収層表面に規則的な形状または不規則な形状の比較的大きな凹凸を有するものであるが、例えば、この凹凸は予め型付け処理を行った支持体にインク吸収層を設けたものであってもよく、あるいは平滑な支持体に、インク吸収層を設けた後、表面を型付けしたものであってもよいが、インク吸収層に後処理する際は、均一な凹凸が付けにくいことから前者が好ましい。又、インク吸収層が比較的硬い多孔質皮膜である場合には、後者が好ましい。
【0042】
特に好ましい支持体である紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆した支持体の場合には、ポリエチレン樹脂で紙を被覆した後に表面に彫刻するのが好ましい。
【0043】
予め凹凸をポリエチレン樹脂表面に型付けする代表的な方法は、基紙上に溶融したポリエチレン樹脂を押し出しコーティングした後、型付けローラーに圧接してして微細な凹凸の模様付けを行うことにより行われる。
【0044】
この模様付けを行う方法には、溶融押し出しして得られる樹脂コート紙に室温付近でエンボシングカレンダー処理する方法と、ポリエチレン樹脂の押し出しコーティング時にロール表面に模様を彫刻したクーリングロールを使用して、冷却しながら凹凸を形成する方法があるが、後者が比較的弱い圧力で型付けすることができ、しかもより正確で均質な型付けができることから好ましい。
【0045】
支持体表面とインク吸収層表面の凹凸の関係は、インク吸収層の特性にもよるが、インク吸収層が高インク吸収速度を有し、より高画質なプリントが得られる空隙を有する多孔質皮膜である場合には、乾燥膜厚が厚くなるために支持体表面の高低差が減少する傾向が大きい。
【0046】
予め凹凸を表面に設けた支持体にインク吸収層を塗布して得られるインクジェット記録用紙の場合、支持体の表面の粗さは所望するインク吸収層の表面の凹凸の高低差より高くすることが必要であり、支持体の表面の粗さは、JISB−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmである不規則または規則的な形状である支持体であることが好ましい。特に好ましい支持体のRaは、1.0〜4.0のものである。
【0047】
このような支持体を用いて作製した本発明に係る記録媒体は、結果として、インク吸収層側の表面のJIS−Z−8741による鏡面光沢度を10〜30%にすることが必要であり、好ましくはインク吸収層表面に上記凹凸が形成されている。
【0048】
表面光沢度は、支持体の上述した凹凸やインク吸収層自体が持つ微細な構造自身および補助的に使用されるマット剤により影響を受ける。
【0049】
光沢度が10%未満の場合には、表面のマット化度が高すぎて不鮮明な画像に成りやすかったり、インクジェット記録後に画像表面の僅かの光沢度の差により光沢ムラ(ギラツキ)が目立ちやすくなる傾向がある。
【0050】
一方、光沢度が30%を越える場合には、一般に画像面の光沢性が高く半光沢面とは言い難くなる。特に好ましい光沢度は12〜25%の範囲である。
【0051】
このような範囲の光沢度はインク吸収層の最表面層を出来るだけ均一な構成にすることで光沢を低下させる不要な微粒子を極力少なくすることで得られる。
【0052】
上記インク吸収層の最表面にはいわゆるマット剤を含有することも出来るが、光沢を著しく損なわない範囲内で使用すべきである。また、そのようなマット剤としては平均粒径が通常5〜30μm程度のものを使用することが好ましい。
【0053】
次に、支持体上に設けられるインク吸収層について説明する。インク吸収層は支持体の片面のみに設けても良いが、両面に設けても良い。このとき両面に設けられるインク吸収層は同じものであっても良く異なっていても良い。
【0054】
また、本発明に係る記録媒体では、ブリストー浸透速度が20〜100ml/m2・sec1/2であることが特徴であり、好ましくは30〜70ml/m2・sec1/2である。ブリストー浸透速度が20ml/m2・sec1/2未満であると、記録媒体表面でインクの凝集を引き起こし、光沢性低下を引き起こし、また100ml/m2・sec1/2を越えると、濃度低下を引き起こす。
【0055】
本発明でいうブリストー浸透速度とは、J.TAPPI紙パルプ試験方法 No.51−87の紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)に基づき、ここに記載されている試験装置(ブリストー試験機)を用いて、速度設定を0.2mm/s(即ち、接触時間5秒)に定めて測定することができる。ブリストー試験機を使用して転移量の測定を行った場合、転移量V(ml/m2)は、実際に紙等に浸透した量(ml/m2)と、浸透には無関係で表面の凹凸による粗さ指数Vr(ml/m2)に分けられる。通常のインクジェット用記録シートでは光沢性が高く表面の平滑性も高いことから粗さ指数Vrの値は小さく、更に接触時間5秒の転移量と比較すると無視できるほどに小さい。
【0056】
よって、本発明でいう吸収量とは、J.TAPPI紙パルプ試験方法 No.51−87に記載のブリストー試験機を使用して接触時間5秒の転移量とすることができる。
【0057】
測定に際しては、測定の便宜を図るために使用する蒸留水又は純水を着色することも可能である。着色にはJ.TAPPI紙パルプ試験方法 No.51−87ブリストー法に記載のあるマラカイトグリーンの他にダイレクトブルー199等の水溶性染料も好ましく用いることができる。
【0058】
更に詳しく、ブリストー法によるインク液の紙に対する浸透速度の測定原理を示す。
【0059】
インクを40μlマイクロシリンジで採量して、p(ノズルのギャップ)=1mm、w(ノズルの幅)=1.75cmのノズル口から、υ(紙の移動速度)=0.5〜50mm/secのスピードで回転する紙上に、浸透転移させる。この時の転移長がL(cm)のとき、インク浸透量Vは下式2で求められる。
【0060】
【数2】
【0061】
その時の転移時間tは、t=p/υ=1.0/υ(sec)
である。インクの浸透が紙の毛細管内に、インクの浸透ぬれで進行する時の理論式として、下記のルーカス・ウォシュバーンの関係式(式3)が知られている。
【0062】
【数3】
【0063】
式中、γ:紙の毛細管半径γ、L:インクの表面張力、θ:インクの液との接触角、η:インクの粘度従って、Vと√tが比例することが予想される。実際には紙の表面の粗さに起因して、瞬間的にインク転移が生じる。この転移量をV0とすると下式4となり、
【0064】
【数4】
【0065】
浸透速度はd(V−V0)/d√t(ml/m2・sec1/2)と求められる。本発明において、記録媒体のブリストー浸透速度を25ml/m2・sec1/2以上とする方法としては、例えば、後述の無機微粒子の種類、添加量、あるいは親水性バインダーの種類、添加量等の構成条件を適宜選択、あるいは組み合わせることにより達成することができる。
【0066】
本発明に係るインクジェット記録媒体について、上記に説明した以外の構成因子について、以下説明する。
【0067】
本発明に係るインク吸収層は、親水性バインダーを主たる構成成分とするいわゆる膨潤型のインク吸収層であっても、また、少量のバインダーと微粒子を多く含有する空隙型のインク吸収層であってもよいが、インク吸収性が良好である観点から、空隙型インク吸収層が好ましい。
【0068】
空隙型インク吸収層は、少量のバインダーと微粒子から主として形成されるが、本発明で用いられる微粒子としては、無機微粒子が、より高い発色濃度を与え、かつより小粒径の微粒子が得られやすい点から好ましい。
【0069】
本発明に係る記録媒体で好ましく用いられる無機微粒子について説明する。
無機微粒子としては、従来インクジェット記録用紙で公知の各種の固体微粒子を用いることができる。
【0070】
無機微粒子の例としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0071】
上記微粒子は、1次粒子のままでバインダー中に均一に分散された状態で用いられることも、また、2次凝集粒子を形成してバインダー中に分散された状態で添加されても良いが、後者がより好ましい。
【0072】
上記無機微粒子の形状は本発明では特に制約を受けず、球状、棒状、針状、平板状、数珠状の物であっても良い。無機微粒子は、その平均粒径は3〜200nmのものが好ましい。平均粒径が200nmを越える微粒子を使用した場合には記録用紙の光沢性が低下したり、あるいは表面での光散乱による最高濃度の低下が生じたりして鮮明な画像が得にくくなる。平均粒径の下限は特に限定されないが粒子の製造上の観点から概ね3nm以上、特に6nm以上が好ましい。特に好ましい無機微粒子は、その平均粒径が10〜100nmである。
【0073】
上記において、微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、多数個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0074】
本発明に係る無機微粒子としては、無機微粒子と少量の有機物(低分子化合物でも、高分子化合物でもよい)とからなる複合粒子でも、実質的には無機微粒子と見なす。この場合も乾燥被膜中に観察される最高次粒子の粒径をもってしてその無機微粒子の粒径とする。
【0075】
上記無機微粒子と少量の有機物との複合粒子における有機物/無機微粒子の質量比は、概ね1/100〜1/4である。
【0076】
本発明に係る無機微粒子としては、低コストであることや高い反射濃度が得られる観点から低屈折率の微粒子であることが好ましく、シリカ、中でも気相法で合成されたシリカまたはコロイダルシリカがより好ましい。また、カチオン表面処理された気相法シリカ、カチオン表面処理されたコロイダルシリカ及びアルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等も用いることができる。
【0077】
空隙型のインク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり、通常3〜30g、好ましくは5〜25gである。空隙型インク吸収層に用いられる無機微粒子とポリビニルアルコールの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0078】
本発明に係る記録媒体のインク吸収層は、単一の層構成を有するインク吸収層であっても多層構成からなるインク吸収層であっても良いが、環境湿度が変化した際の色変化がより少ない多層構成のインク吸収層がより好ましい。
【0079】
本発明に係る記録媒体のインク吸収層では、硬膜剤を含有しても良い。
硬膜剤としては、前述のホウ酸も硬膜作用を有するがこれ以外に、エポキシ系硬膜剤(例えば、ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(例えば、2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(例えば、1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミ明礬、イソシアネート化合物等が挙げられる。
【0080】
硬膜剤の使用量は、ポリビニルアルコールの種類及び量、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類等により変化するが、通常ポリビニルアルコール1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0081】
請求項5に係る発明では、記録媒体がカチオン性ポリマーを含有していることが特徴である。
【0082】
カチオン性ポリマーとしては公知のポリマーを使用することができ、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙げられるが、特に、特開平10−193776号公報、同10−217601号公報、同11−20300号公報および特願平10−178126号公報等に記載されているものが好ましい。
【0083】
本発明においては、カチオン性ポリマーは特に限定なく使用可能であるが、特に好ましいものは、重量平均分子量が2000〜10万のものである。
【0084】
ポリマー媒染剤としては第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー媒染剤が好ましい。
【0085】
本発明に好ましく用いられるカチオン性ポリマーは、より好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体である。
【0086】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0087】
【化1】
【0088】
【化2】
【0089】
第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0090】
【化3】
【0091】
以下に本発明に好ましく用いられるカチオン性ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
【化4】
【0093】
【化5】
【0094】
【化6】
【0095】
【化7】
【0096】
特に、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は通常10モル%以上、好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
【0097】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であっても良い。
【0098】
第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明には使用できる。
【0099】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0100】
本発明に係る記録媒体のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、前記した以外に各種の添加剤を添加することができる。
【0101】
上記の添加剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0102】
本発明に係る記録媒体において、多孔質層及び下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種の親水性層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に、全ての親水性バインダー層を1回の塗布で形成する多層同時塗布方法が好ましい。
【0103】
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0104】
次いで、本発明に係る顔料インクについて説明する。
本発明においては、少なくとも1色の顔料インクが、ゼータ電位の絶対値が30〜100mVの顔料粒子を含有することが特徴であり、好ましくはゼータ電位の絶対値が35〜80mVの顔料粒子を含有することである。ゼータ電位の絶対値が30mVより小さいと、印字した後記録媒体上で顔料粒子の凝集を生じ、光沢性が低下し、逆に100mVより大きいと印字した画像のぎらつきを引き起こし、好ましい質感を得ることができなくなる。
【0105】
本発明において、顔料粒子を上記で規定したゼータ電位を付与する方法として、特に制限はないが、例えば、顔料分散時に用いる界面活性剤の種類や添加量、電荷を有する添加剤の添加等を適宜選択することにより、所望のゼータ電位を得ることができる。本発明に係るゼータ電位は、例えば、ELS−800(大塚電子(株)製)を用いて測定することができる。
【0106】
本発明で用いることのできる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩を挙げることができる。
【0107】
また、本発明で用いることのできる分散手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を用いることができる。また、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい。
【0108】
請求項2に係る発明では、顔料粒子の最大粒子径(D99)が、300nm未満であることが特徴であり、また請求項3に係る発明では、顔料粒子の平均粒子径(D50)が、35〜120nmであることが特徴である。
【0109】
D99値、D50値は、分布関数dG=F(D)×dDの積分曲線において、それぞれ顔料粒子の全粒子数の0.99(99個数%)、0.5(50個数%)に等しい粒径を表す。なお、Gは顔料粒子数、Dは顔料粒子の粒径を表す。
【0110】
上記関係式を、更に図を用いて説明する。
図1は、顔料粒子の粒径(D)が横座標にプロットされ、与えられた寸法の各顔料粒子の粒子数関数(G)が縦座標にプロットされている座標系において、顔料分散液の粒径の分布関数の曲線を実線として示す。さらに、同じ座標系において、50%および99%粒子数関数の点および粒径の関連する点D50およびD99がクロスにより表されている分布関数の積分を破線曲線を示す。
【0111】
顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来る。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うこと、あるいは、分析用超遠心機により(たとえばW.Maechtle、Makromol.Chem.185巻(1984年)、1025〜1039ページ参照)求めることができる。
【0112】
請求項2に係る発明では、顔料粒子の最大粒子径(D99)が、300nm未満であることが特徴であるが、好ましくは50〜290nmであり、さらに好ましくは70〜250nmである。顔料粒子の最大粒子径(D99)が、300nm以上になると、粗大顔料粒子に起因する光沢性の劣化を引き起こすため好ましくない。
【0113】
また、請求項3に係る発明では、顔料粒子の平均粒子径(D50)が、35〜120nmであることが特徴であるが、好ましくは50〜90nmである。顔料粒子の平均粒子径(D50)が、120nmを越えると粗大顔料粒子に起因する光沢性の劣化を引き起こすため好ましくなく、逆に35nm未満であると、顔料粒子が記録媒体の空隙部に埋まるため、所望の印字濃度を得ることができない。
【0114】
本発明において、顔料粒子の平均粒子径(D50)を規定の範囲にする方法として、特に制限はないが、例えば、前述の様に、顔料粒子分散時の分散剤、分散手段、分散条件等を適宜選択することにより、所望の平均粒子径を有する顔料分散体を得ることができる。
【0115】
また、顔料粒子の最大粒子径(D99)を規定の範囲にする方法として、特に制限はないが、例えば、前述の様に、顔料粒子分散時の分散剤、分散手段、分散条件等を適宜選択する方法、分散後に遠心分離処理あるいはフィルター濾過処理等による粗大粒子分離手段を組み合わせることによる達成することができる。
【0116】
請求項4に係る発明では、顔料インクとして、前記式(1)で表される400〜700nmにおけるインク吸光度εが、イエローインク、マゼンタインク又はシアンインクで1万以上5万以下、ブラックインクで5万以上15万以下である顔料を用いることが特徴である。
【0117】
本発明でいうインク吸光度εとは、前記式(1)で定義される値であり、具体的には、吸収波長400〜700nmにおける5nm当たりの吸光度を60点積分した値である。
【0118】
イエローインク、マゼンタインク又はシアンインクでは、1万以上5万以下であることが特徴の一つであるが、好ましくは1.2万以上4.5万以下であり、また、ブラックインクでは5万以上15万以下であることが特徴であるが、好ましくは7万以上14万以下である。
【0119】
本発明において、インク吸光度εを測定するには、例えば、インクを適当な溶媒で希釈した後、市販の分光光度計、例えば、日立製作所製330型自記分光光度計、同U−3210型自記分光光度計、同U−3410等を用いて、測定波長域400〜700nmで、5nm毎に吸光度を測定し、前記式(1)に則り積分吸光度を求め、その吸光度に希釈倍率を掛けあわせて、インク吸光度εを求めることができる。
【0120】
本発明で好ましく用いることのできる顔料としては、上記で規定するインク吸光度εの範囲を有する顔料であれば特に制限はない。
【0121】
本発明においては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0122】
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0123】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0124】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0125】
本発明において用いる顔料インクには、必要に応じて前述の顔料分散剤を含有させてもよい。また、顔料の分散方法としては、前述の各種方法を適宜選択して用いることができる。
【0126】
次いで、本発明に係る顔料インクについて、上記に説明した以外の構成因子について、以下説明する。
【0127】
本発明におけるインクには、ラテックスを含有しても良い。本発明におけるラテックスとは媒質中に分散状態にあるポリマー粒子のことを指す。ポリマーの種類としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体およびアクリル変性フッ素樹脂等があるが、なかでもアクリル酸エステル、ポリウレタンおよびシリコン−アクリル共重合体が好ましい。
【0128】
ラテックスの製造において、用いられる乳化剤としては、低分子量の界面活性剤が一般的であるが、高分子量の界面活性剤(例えば、可溶化基がポリマーにグラフト結合しているタイプや可溶化基を持つ部分と不溶性の部分を連結させたブロックポリマーのタイプ等がある)を乳化剤として用いることができる。また、可溶化基をラテックスの中心ポリマーに直接結合させることにより乳化剤を用いずに分散されているラテックスも存在する。上記のような乳化剤として高分子量の界面活性剤を用いるラテックスおよび乳化剤を使用しないラテックスは、ソープフリーラテックスと呼ばれている。本発明に使用するラテックスとしては、乳化剤の種類、形態を問わないが、インクの保存安定性に優れるソープフリーラテックスを用いることがより好ましい。
【0129】
また、最近は中心ポリマーが均一であるラテックス以外にポリマー粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
【0130】
本発明におけるラテックスの平均粒径は150nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
【0131】
ラテックスの平均粒子径は光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。
【0132】
本発明におけるラテックスの固形分添加量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。添加量0.1質量%未満では耐水性に関して十分な効果を発揮することが難しく、また10質量%を越えると経時でインク粘度の上昇や顔料分散粒径の増大が起こりやすいなどインク保存性の点で問題が生じることが多い。
【0133】
本発明では、顔料インクが、重量平均分子量3,000〜30,000の水溶性高分子化合物を0.3〜10質量%含有することが好ましい。
【0134】
本発明でいう水溶性高分子とは、例えば、天然水溶性高分子であるトウモロコシ、小麦等のデンプン類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アラビアゴムなどの多糖類、ゼラチン、カゼイン、ケラチン等の蛋白質物質などが挙げられる。
【0135】
更に、水溶性高分子の好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。
【0136】
水溶性高分子の分子量は、3,000〜30,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜20,000であり、特に好ましくは3,000〜10,000である。3,000未満では顔料粒子の成長及び凝集を抑制する効果が少なくなり、光沢性の改良効果が低下し、また、30,000を越えると粘度上昇、溶解不良、インクの保存安定性、吐出安定性を損なう結果を招きやすくなり好ましくない。
【0137】
水溶性高分子の添加量は、顔料インク質量に対して0.3〜10質量%であることが特徴であるが、好ましくは0.6〜4.0質量%である。0.3%未満では、顔料粒子の成長及び凝集を抑制する効果が少なくなり、光沢性の改良効果が低下し、また、10質量%を越えると粘度上昇、溶解不良、インクの保存安定性、吐出安定性を損なう結果を招きやすくなり好ましくない。
【0138】
本発明に係る水溶性高分子は、顔料分散時に添加しても、分散後に添加してもいずれでも良い。また、本発明に係る顔料インクにおいては、上述の水溶性高分子を2種以上用いても良い。
【0139】
本発明においては電気伝導度調節剤を用いることもでき、例えば塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミン等の水性アミン等が挙げられる。
【0140】
本発明のインク及び必要に応じて設けられる構成層においては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、さらに粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防錆剤、防腐剤等を添加することもでき、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0141】
本発明のインクジェット記録方法で使用できるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0142】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
【0143】
《記録媒体1の作製》
〔支持体1の作製〕
含水率が6.5質量%、坪量170g/m2の写真用原紙の裏面に、押し出し塗布法により密度が0.92の低密度ポリエチレンを20μmの厚さで塗布し、コロナ放電を行った後、Tgが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
【0144】
次いで、表側(インク吸収層塗設面側)にアナターゼ型酸化チタン5.5質量%含有する密度が0.92の低密度ポリエチレンを14μmの厚さで溶融押し出し塗布法で塗布して両面をポリエチレンで被覆し、溶融押し出し塗布直後に、インク吸収層塗設面側に、鏡面クーリングロールを使用して、冷却しながら表側のポリエチレン表面に型付け処理を行った。次いで、この表面にコロナ放電を行った後、架橋剤を含有するゼラチン下引き層を0.03g/m2塗布して支持体1を作製した。
【0145】
〔各分散液の調製〕
(酸化チタン分散液−1の調製)
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)をpH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製:PVA235)500g、カチオン性ポリマー(例示化合物P−9)の150gおよび10gのサンノブコ株式会社消泡剤SN381を含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて、均一な酸化チタン分散液−1を調製した。
【0146】
(シリカ分散液−1の調製)
1次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業株式会社製:A300)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=3.0に調整した600Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を660Lに純水で仕上げて、シリカ分散液−1を調製した。
【0147】
(シリカ分散液−2の調製)
カチオン性ポリマー(例示化合物P−9)1.29kgと、エタノール4.2Lと、n−プロパノール1.5Lとを含有する水溶液(pH=2.3)15Lに、上記シリカ分散液−1の66.0Lを攪拌しながら添加し、次いで、ホウ酸260gとホウ砂230gとを含有する水溶液7.0Lを添加し、前記の消泡剤SN381を1g添加した。
【0148】
この混合液を、三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で90Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
【0149】
(蛍光増白剤分散液−1の調製)
チバガイギー株式会社製の油溶性蛍光増白剤UVITEX−OBの400gを、ジイソデシルフタレート9000gおよび酢酸エチル12Lに加熱溶解し、これを酸処理ゼラチン3500g、カチオン性ポリマー(例示化合物P−9)、サポニン(50%水溶液)6,000mlを含有する水溶液65Lに添加混合し、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで乳化分散し、減圧で酢酸エチルを除去した後、全量を100Lに仕上げて、蛍光増白剤分散液−1を調製した。
【0150】
(マット剤分散液−1の調製)
総研科学株式会社製のメタクリル酸エステル系単分散マット剤MX−1500(平均粒径15μm)の156gを、前記PVA235を3g含有する純水7L中に添加し、高速ホモジナイザーで分散して全量を7.8Lに仕上げ、マット剤分散液−1を調製した。
【0151】
〔インク吸収層塗布液の調製〕
第1層、第2層、第3層のインク吸収層塗布液を以下の手順で調製した。
【0152】
(第1層塗布液の調製)
上記シリカ分散液−2の560mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合して第1層塗布液を調製した。
【0153】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)
の10%水溶液 0.6ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)
の5%水溶液 260ml
蛍光増白剤分散液−1 22ml
酸化チタン分散液−1 40ml
第一工業株式会社製:ラテックスエマルジョン・AE−803 24ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0154】
(第2層塗布液の調製)
上記シリカ分散液−2の650mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合して第2層塗布液を調製した。
【0155】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)
の10%水溶液 0.6ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)
の5%水溶液 270ml
蛍光増白剤分散液−1 30ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0156】
(第3層塗布液の調製)
上記シリカ分散液−2の650mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合して第3層塗布液を調製した。
【0157】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)
の10%水溶液 0.6ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)
の5%水溶液 270ml
シリコン分散液(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製:
BY−22−839) 3.5ml
サポニン50%水溶液 4ml
マット剤分散液−1 10ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0158】
上記のようにして調製した各塗布液を、下記のフィルターで濾過した。
第1層、第2層:東洋濾紙株式会社製TCP10を2段で濾過
第3層 :東洋濾紙株式会社製TCP30を2段で濾過
〔インク吸収層の塗布〕
上記のようにして調製した各塗布液を、40℃で3層式スライドホッパーで塗布を行い、塗布直後に8℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃の風で60秒間、45℃の風で60秒間、50℃の風で60秒間順次乾燥した後、23度、相対湿度40〜60%で調湿して記録媒体1を作製した。
【0159】
〔記録媒体1の表面特性〕
(表面の中心線表面粗さの測定)
上記作製した記録媒体1の表面の中心線表面粗さを下記に示す方法により測定した。中心線平均粗さRa(μm)は、非接触3次元表面解析装置(WYKO社RST/PLUS)を用いて測定した。なおRaの定義は、JIS表面粗さ(B0601)に従った。測定は、30cm×30cmの各試料について、3cm間隔で碁盤目上に100分割し、各正方形領域の中心について測定を行ない、100回の測定からその平均値と標準偏差を求めた。中心線平均粗さ(Ra)は、得られた粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さ2.5mmの部分を抜き取り、カットオフ値を0.8mmとして、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、式(数5)によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表した。
【0160】
【数5】
【0161】
上記方法で測定した記録媒体1表面の中心線表面粗さは、0.4μmであった。
【0162】
(表面の60度鏡面光沢度の測定)
上記作製した記録媒体1の表面を、JIS−Z−8741に従って60度鏡面光沢度を測定した結果、60度鏡面光沢度は35%であった。なお、測定には、日本電色工業社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いた。
【0163】
(表面のブリストー浸透速度の測定)
ブリストー浸透速度は、J.TAPPI紙パルプ試験方法 No.51−87の紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)に則り測定を行った。
【0164】
試験液40μlをマイクロシリンジで採取して、p(ノズルのギャップ)=1mm、w(ノズルの幅)=1.75cmのノズル口から、υ(紙の移動速度)=20mm/secのスピードで回転する記録媒体1上に、浸透移動させる。この時の転移長がL(cm)のとき、インク浸透量Vを前記式3で求めた。また、その時の転移時間tは、t=p/υ=1.0/υ(sec)で求めた。
【0165】
なお、試験液としては、イオン交換水に染料ダイレクトブルー199を0.1%添加した水溶液を用いた。
【0166】
試験液の浸透が紙の毛細管内に、浸透ぬれで進行する時の理論式として知られている前記のルーカス・ウォシュバーンの関係式(式3)と前記式4より求めた転移量V0を用いて、浸透速度をd(V−V0)/d√t(ml/m2・sec1/2)を算出した。以上のようにして算出した記録媒体1のブリストー浸透速度は、61ml/m2・sec1/2であった。
【0167】
《記録媒体2の作製》
上記記録媒体1の作製において、支持体1に代えて、下記支持体2を用いた以外は同様にして、記録媒体2を作製した。
【0168】
(支持体2の作製)
支持体1の作製において、表側のポリエチレンを溶融押し出し塗布直後に、鏡面クーリングロールに代えて、表面に不規則形状の凹凸を有するクーリングロールに変更して、冷却しながら表側のポリエチレン表面に型付け処理を行った以外は同様にして支持体2を作製した。
【0169】
以上のようにして作製した記録媒体2の表面特性を、記録媒体1で用いた同様の方法で測定した結果、表面の中心線表面粗さは4.5μm、表面の60度鏡面光沢度は7%、ブリストー浸透速度は61ml/m2・sec1/2であった。
【0170】
《記録媒体3の作製》
上記記録媒体1の作製において、支持体1に代えて、下記支持体3を用い、かつ前記インク吸収層第1層、第2層、第3層のバインダー(ポリビニルアルコール)と無機微粒子(シリカ粒子)との混合比を適宜変更し、ブリストー浸透速度が16ml/m2・sec1/2である記録媒体3を作製した。
【0171】
(支持体3の作製)
支持体2の作製において、表側の型付け処理で用いたクーリングロール表面の不規則形状の凹凸の個数を0.6倍に変更した以外は同様にして、支持体3を作製した。
【0172】
以上のようにして作製した記録媒体3の表面特性を、記録媒体1で用いた同様の方法で測定した結果、表面の中心線表面粗さは2.8μm、表面の60度鏡面光沢度は18%であった。
【0173】
《記録媒体4の作製》
上記記録媒体3の作製において、前記インク吸収層第1層、第2層、第3層のバインダー(ポリビニルアルコール)と無機微粒子(シリカ粒子)との混合比を適宜変更し、ブリストー浸透速度が120ml/m2・sec1/2である記録媒体4を作製した。
【0174】
《記録媒体5の作製》
上記記録媒体3の作製において、前記インク吸収層第1層、第2層、第3層のバインダー(ポリビニルアルコール)と無機微粒子(シリカ粒子)との混合比を適宜変更し、ブリストー浸透速度が61ml/m2・sec1/2である記録媒体5を作製した。
【0175】
《記録媒体6〜9の作製》
上記記録媒体5の作製において、表面の中心線表面粗さ、表面の60度鏡面光沢度、ブリストー浸透速度を表1に記載の特性値となるように、支持体表側のクーリングロール表面の不規則形状凹凸の個数を変更した支持体4、5及びインク吸収層におけるバインダーと無機微粒子比率を適宜変更して、記録媒体6〜9を作製した。
【0176】
《記録媒体10の作製》
前記記録媒体5の作製において、インク吸収層の形成で用いた各分散液中のカチオン性ポリマー(P−9)を除いた以外は同様にして、記録媒体10を作製した。
【0177】
以上のようにして作製した各記録媒体の特性値を表1に示す。
【0178】
【表1】
【0179】
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散した後、遠心分離により未分散粗粒子を除いて、イエロー顔料分散体1を得た。
【0180】
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散した後、遠心分離により未分散粗粒子を除いて、マゼンタ顔料分散体1を得た。
【0181】
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散した後、遠心分離により未分散粗粒子を除いて、シアン顔料分散体1を得た。
【0182】
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散した後、遠心分離により未分散粗粒子を除いて、ブラック顔料分散体1を得た。
【0183】
〔インクの調製〕
(イエローインク1の調製)
イエロー顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合し、十分に攪拌した後に、孔径1μmのミリポアフィルター濾過機を2度通過させ、イエローインク1を調製した。得られたインクの吸光度εを前述の方法で測定した結果、13,000であった。
【0184】
(マゼンタインク1の調製)
マゼンタ顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合し、十分に攪拌した後に、孔径1μmのミリポアフィルター濾過機を2度通過させ、マゼンタインク1を調製した。得られたインクの吸光度εは、15,000であった。
【0185】
(シアンインク1の調製)
シアン顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合し、十分に攪拌した後に、孔径1μmのミリポアフィルター濾過機を2度通過させ、シアンインク1を調製した。得られたインクの吸光度εは、26,000であった。
【0186】
(ブラックインク1の調製)
ブラック顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合し、十分に攪拌した後に、孔径1μmのミリポアフィルター濾過機を2度通過させ、ブラックインク1を調製した。得られたインクの吸光度εは、98,000であった。
【0187】
〔各インクのゼータ電位、D99、D50の測定〕
(ゼータ電位の測定)
上記調製した各インクを、顔料粒子濃度として0.01%となるように純水で希釈した後、ELS−800(大塚電子(株)製)を用いて、ゼータ測定した。
【0188】
以上の方法により測定した顔料インクセット1のそれぞれのインクのゼータ電位は、以下の通りである。
【0189】
イエローインク1 −67mV
マゼンタインク1 −63mV
シアンインク1 −66mV
ブラックインク1 −61mV
(D99、D50の測定)
各顔料インクを0.01%顔料濃度に希釈し、顔料インク液滴をポリエチレンテレフタレートフィルム上に滴下、乾燥させた後、真空蒸着装置として、JFD−7000型(日本電子社製)を用いて試料を作製し、FE−SEMとしては、S−5000H型(日立製作所製)を用いて加速電圧2.0kVにて顔料粒子個数が1000個以上となるように視野数を選び観察した。画像は、デジタル化し接続されたファイリング装置(VIDEOBANK)に転送しMOディスク中に保存した。続いて、LUZEX−III型(ニレコ社製)画像処理装置にて粒子の重なりや接触がある場合はマニュアル操作にて粒子を抽出し、それぞれの粒子について、粒径測定を行い、平均値を求めた。
【0190】
上記の方法で測定した1,000個の粒径測定データを基に、図1で示す横座標が粒径(D)、縦座標が粒子数関数(G)からなる粒径分布曲線1及び分布関数の積分曲線2を作成し、積分曲線2より、粒子数関数で50個数%、99個数%に対応する粒径点D50及びD99を測定した。
【0191】
以上の方法で求めた顔料インクセット1のD50、D99は、以下の通りである。
【0192】
イエローインク1 D50:74nm D99:229nm
マゼンタインク1 D50:71nm D99:230nm
シアンインク1 D50:77nm D99:235nm
ブラックインク1 D50:79nm D99:241nm
《顔料インクセット2〜9の調製》
上記顔料インクセット1の調製において、各顔料分散体1調製時の界面活性剤の種類及び添加量、遠心分離の条件あるいは有無、分散強度と、各顔料インク調製時のフィルターの孔径、濾過回数とを適宜調整及び組み合わせて、表2に記載のゼータ電位、D50、D99の各特性を有する顔料インクセット2〜9を調製した。
【0193】
《顔料インクセット10の調製》
上記顔料インクセット1の調製において、各顔料分散体1調製時に用いた顔料を下記に記載の顔料及びその含有量を適宜変更した以外は同様にして、顔料インクセット10を調製した。括弧内の数値は、インク吸光度である。
【0194】
イエロー顔料:C.I.ピグメントイエロー128(ε:9,500)
マゼンタ顔料:C.I.ピグメントレッド48(ε:8,700)
シアン顔料:C.I.ピグメントブルー16(ε:9,000)
ブラック顔料:カーボンブラック(ε:43,000)
《顔料インクセット11の調製》
上記顔料インクセット1の調製において、各顔料分散体1調製時に用いた顔料を下記に記載の顔料及びその含有量を適宜変更した以外は同様にして、顔料インクセット11を調製した。括弧内の数値は、インク吸光度である。
【0195】
イエロー顔料:C.I.ピグメントイエロー74(ε:55,000)
マゼンタ顔料:C.I.ピグメントレッド144(ε:53,000)
シアン顔料:C.I.ピグメントブルー60(ε:60,000)
ブラック顔料:カーボンブラック(ε:165,000)
以上により調製したインクセット1〜11の各色インクのゼータ電位、D50、D99を、まとめて表2に示す。
【0196】
【表2】
【0197】
《画像印字》
表3に記載の記録媒体と顔料インクセットとの組み合わせにより、ノズル孔径20μm、駆動周波数12kHz、1色当たりのノズル数128、同色間のノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを搭載し、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタを使用して、各記録媒体上に反射濃度として1.0及び最大濃度を与える各単色画像パターンの印字画像1〜20を出力した。なお、本発明で言うdpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数をいう。
【0198】
《印字画像の特性評価》
以上のようにして作成した印字画像について、下記の各特性評価を行った。
【0199】
(光沢差の評価)
各印字画像について、印字部と非印字部の光沢差を下記に記載の基準に則り目視観察して、光沢差の評価を行った。
【0200】
◎:全色のインク画像で、印字部に著しい光沢感があり、非印字部との差が全く気にならない
○:全色のインク画像で、印字部に光沢感があり、非印字部との光沢感の差が気にならない
△:一部のインク画像で、印字部で光沢感が少なく、やや非画像部との差が気になるが実用上許容範囲にある
×:全色に亘り、印字部に光沢感が全くなく、また非画像部との差が著しい
(ブロンジングの評価)
プリント後の試料を23℃、80%RHで7日間保存した後、ブロンジングの評価を下記の5段階に目視で評価した。
【0201】
◎:全くブロンジングが発生していない
○:やや黒ベタ部にブロンジングの発生が見られる
△:黒ベタ部に実用上許容できる限界のブロンジングが発生
×:黒ベタ部全面に実用上許容できないレベルのブロンジングが発生
(最高濃度の評価)
印字画像のうち、マゼンタ画像の最高印字濃度部分を、光学濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて濃度測定を行い、下記に記載の判定基準に則りラック付を行った。
【0202】
○:最高濃度が、2.10以上である
△:最高濃度が、1.90以上2.10未満である
×:最高濃度が、1.90未満である
以上により得られた各評価結果を表3に示す。
【0203】
【表3】
【0204】
表3より明らかなように、インク吸収層面側表面の60度鏡面光沢が10〜30%、Raが0.6〜4.0μm、ブリストー浸透速度が20〜100ml/m2・sec1/2であるインクジェット記録媒体に、ゼータ電位の絶対値が−30〜−100mVの顔料粒子を含有する顔料インクを用いて印字した本発明の試料は、比較例に対し、光沢差、耐擦性、最高濃度及びプリンタ搬送性に優れいていることが判る。更に、用いる顔料インクにおいて、顔料粒子の最大粒子径(D99)が、300nm未満であること、顔料粒子の平均粒子径(D50)が、35〜120nmであること、顔料のインク吸光度εがイエローインク、マゼンタインク又はシアンインクで1万以上5万以下、ブラックインクで5万以上15万以下であること、あるいは記録媒体がカチオン性ポリマーを含有することによりその効果がより一層発揮されていることを確認することができた。
【0205】
実施例2
実施例1の記録媒体とインクセットとの組み合わせにおいて、インクセットで用いる顔料粒子のゼータ電位として、正の電荷をとるように、顔料の種類及び界面活性剤を変更して、同様の評価を行った結果、ゼータ電位として、+30〜+100の表面特性を有する顔料粒子を用いることにより、実施例1と同様の効果を確認することができた。
【0206】
【発明の効果】
本発明により、印字部と非印字部との光沢差による違和感を改良し、かつ印字部でのぎらつき感の低減及び高い印字濃度を得ることができるインクジェット記録方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るD50、D99を表す粒径の分布関数曲線。
【符号の説明】
1 顔料分散液の粒径分布曲線
2 粒径の分布関数の積分曲線
3 D99の表示
4 D50の表示
Claims (5)
- 支持体上に少なくとも1層のインク吸収層を有する記録媒体上に、イエロー顔料インク、マゼンタ顔料インク、シアン顔料インクの各顔料インクを用いて記録するインクジェット記録方法において、該記録媒体が、インク吸収層面側表面のJIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢が10〜30%、JISB−0601に規定される中心線平均表面粗さRaが0.6〜4.0μmで、かつブリストー浸透速度が20〜100ml/m2・sec1/2であり、該顔料インクの少なくとも一つが、ゼータ電位の絶対値が30〜100mVの顔料粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記顔料粒子の最大粒子径(D99)が、300nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記顔料粒子の平均粒子径(D50)が、35〜120nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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