JP4736182B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂層上に顔料インクにより記録後、加熱及び加圧により透明化処理する画像形成方法に関し、詳しくは表面光沢によるギラツキを改善して画像上に光沢差が生じないようにした高級感のあるインクジェットプリントを与える画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録はインクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易であるという利点を有している。
【0003】
また、近年の技術進歩により、染料インクによるインクジェットプリントの銀塩写真に迫る高画質化や装置の低価格化が、その普及を加速させている。
【0004】
染料は溶媒に可溶であり、色素分子は分子状態もしくはクラスター状態で着色している。従って各分子の環境が似通っているために、その吸収スペクトルはシャープであり高純度で鮮明な発色を示す。更に粒子性がなく、散乱光、反射光が発生しないので、透明性が高く、色相も鮮明である。
【0005】
しかしその一方、光化学反応などにより分子が破壊された場合には分子数の減少がそのまま着色濃度に反映するために耐光性が悪い。染料インクを用いたインクジェット記録画像は高画質だが、経時保存による画像品質低下が大きく、画像保存性の観点で銀塩写真を凌駕する技術が未だ現れていないのが現状である。
【0006】
染料インクに対して、光による退色に強い画像を必要とする用途向けのインクとして、耐光性が良好である顔料を着色剤として用いる顔料インクが使用されている。顔料は溶媒に不溶であり、色素分子は粒子を形成して溶媒に分散した状態で着色に寄与している。表面の分子が光化学反応等により破壊されたとしてもその下部に新たな色素分子層があるので見かけ上の着色力低下が小さく、画像保存性に優れるものの、粒子に起因する散乱光、反射光の影響により光沢性の著しい劣下がみられる。また顔料を色材として用いた場合の特有の現象として、ブロンズという現象がある。
【0007】
これは、顔料本来の色の他に表面に浮き出るブロンズ(光沢)を意味し、しばしば問題となる。このブロンズの色相としては、通常顔料本来の余色が浮き出る。このことからBlue→Red、Green→Violet、Red→Yellow、Yellow→Bluish Greenのようなブロンズが発現する。
【0008】
このようなブロンズ現象で最も顕著な例は、いわゆる金属光沢である。金属光沢には界面ブロンズと干渉ブロンズの二種類がある。界面ブロンズは粒子表面における光の選択的反射によって、反射光の中に顔料の吸収帯の波長成分の割合が大きくなる結果生じる現象である。これに対して干渉ブロンズは接近する物質からの反射光が選択的に干渉することにより生ずるものである。顔料のブロンズは界面ブロンズが主体的である。
【0009】
特開平11−208097号において、最外層が熱可塑性樹脂層である記録媒体に分散剤を含有しない顔料インクにより記録後、顔料粒子を熱可塑性樹脂層中に移動させる技術が開示されている。顔料インクは記録媒体表面に付着後顔料粒子は熱可塑性樹脂層表面に存在し、溶媒成分は記録媒体を構成する各層に吸収される。続いて顔料粒子を熱可塑性樹脂層中に移動させることによって、顔料インク特有の印字部の未印字部に対する浮き上がりが解消され、平滑性向上に起因する光沢向上効果が確認された。しかしながら、顔料インクの熱可塑性樹脂層中への埋め込みが中途半端な場合、印字部、未印字部に画像状の凹凸が発生し、光沢差が生じる。逆に顔料インクの埋め込みが十分に行われた場合、画像表面の平滑性は向上し、印字部と未印字部の光沢差は解消される。しかし、平滑性が高まることにより奥行き感の低下、過度の光沢に起因する表面のぎらつきが発生する場合もある。
【0010】
画質は個人の嗜好に依存する場合もあるが、使用する目的により、高級感のあるプリントとして必要な光沢性や、その他の特性が要求される場合もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、顔料インクを用いてインクジェット記録をおこなった場合の、表面光沢によるギラツキを改善して画像上に光沢差が生じない、かつブロンズ現象を抑制した高級感のあるインクジェットプリントを与える画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0013】
1.支持体上に少なくとも一層のインク受容層を有し、かつ最外層に熱可塑性樹脂粒子を含有する熱可塑性樹脂層を有する記録媒体に、顔料インクをインクジェット法により付着した後、加熱及び加圧を同時に行うことにより、該熱可塑性樹脂層を透明化する画像形成方法において、前記加熱及び加圧は粗面化された熱ローラにより、加熱温度を50〜150℃、ローラにより発生する圧力を1平方センチメートル当たり10〜500Nで行い、かつ、該熱可塑性樹脂層を加熱透明化した後の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さ2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した時の中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4μmであることを特徴とする画像形成方法。
【0015】
2.前記熱ローラが金属ローラ及びシリコンゴムローラから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
【0016】
3.前記熱ローラが金属ローラ及びシリコンゴムローラから選ばれる少なくとも1種のローラであり、かつ該ローラ中に熱源を内蔵していることを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成方法。
【0017】
4.前記熱ローラである金属ローラとシリコンゴムローラ間又は前記熱ローラであるシリコンゴムローラと金属ローラ及びシリコンゴムローラから選ばれる少なくとも1種のローラ間の加圧により形成されるニップ幅が1〜20mmであることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0020】
本発明を更に詳しく説明する。本発明に係る画像形成方法は、熱可塑性樹脂層を有する記録媒体に顔料インクによる記録後、加熱及び加圧を同時におこなうことによって得られる画像の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さ2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した時の中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4μmであることが特徴である。このRaを有する画像を得る方法としては、粗面化した加熱圧ローラを用いる。
【0021】
画像表面を粗面化する方法としては、支持体を予め製造する段階において、その表面に粗面化加工を施す技術、又はインク受容能を有する塗布液を塗工及び乾燥した後に、粗面化加工を施す技術等が挙げられるが、何れも記録媒体製造時の負荷を増加させることとなり好ましくない。
【0022】
この他に記録媒体を粗面化する方法として、インク吸収層にマット剤を添加する方法がある。すなわち、平坦なインク吸収層中に、公知のマット剤を含有させると、通常はインク吸収層表面に凸状態が形成される。マット剤により形成される凸のみによって光沢度を所望の値の範囲にコントロールしようとすると、公知のマット剤よりかなり平均粒径の大きなマット剤を使用する必要が生じ、画像表面の光沢感が所望の範囲にコントロールできず、擦り傷がつきやすく、プリント表面の触感を悪化させることとなり、本発明の効果が得られない。本発明に係る熱ローラは金属シリンダ及び/又はシリコンゴムローラにより構成されている。そのうち金属シリンダは鉄やアルミニウムのような一般的な素材でよい。熱耐久性、離型性を高める目的でテトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等により被覆されていることが好ましい。
【0023】
これらの樹脂の厚さは20〜200μmが好ましい。厚すぎると熱応答性に劣り、薄すぎると機械的強度が低下かつ、表面を粗面化することが困難となる。
【0024】
上記加熱ローラを粗面化する方法としては、サンドブラスト、回転させたローラの表面をサンドペーパー、布、紙等で擦ってもよい。サンドブラスト法による場合、投射材として砂、アルミナ、カーボンダム等の200Mesh以上の大きな粒径を使用するのが好ましい。
【0025】
ローラはシリンダ内部に熱源を内蔵しており、この熱源は線状のヒータを有し、ローラの表面温度を50〜150℃に加熱させるものである。
【0026】
本発明に係る熱ローラにおいて、上下ローラ間に圧力を加え、ローラを変形させ、いわゆるニップを形成する。ニップ幅としては1〜20mm、好ましくは1.5〜7mmである。
【0027】
本発明に係る熱ローラ間に発生する圧力は1平方センチメートル当たり10〜500N必要だが、これより圧力が低いと加熱加圧により顔料粒子が熱可塑性樹脂層に十分に押し込まれず、また圧力が高すぎると顔料粒子の押し込みは十分だが、平滑性、光沢性が高すぎ、ぎらついた画像となる。
【0028】
本発明に係る支持体としては、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを貼り合わせた複合支持体を用いることができる。
【0029】
上記支持体と空隙層の接着強度を大きくする等の目的で、空隙層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明の記録媒体は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録媒体であってもよい。
【0030】
本発明に係るインクジェット記録媒体では原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
【0031】
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることが出来るが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0032】
上記パルプには不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0033】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
【0034】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30乃至70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0035】
原紙の坪量は、30乃至250gが好ましく、特に50乃至200gが好ましい。原紙の厚さは40乃至250μmが好ましい。
【0036】
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.7乃至1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20乃至200gが好ましい。
【0037】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるサイズ剤と同様のサイズ剤を使用できる。
【0038】
原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0039】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0040】
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
【0041】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は空隙層やバック層を設けた後で低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、通常空隙層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0042】
更に上記ポリエチレンで被覆紙支持体は以下の特性を有していることが好ましい。
1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1乃至20kgであることが好ましい
2.引き裂き強度はJIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g、横方向が20乃至200gが好ましい
3.圧縮弾性率≧98.1 MPa
4.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい
5.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*がL*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい
6.クラーク剛直度:記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm2/100である支持体が好ましい
7.原子中の水分:中紙に対して4〜100質量%が好ましい。
【0043】
本発明の記録媒体の空隙層および下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種の親水性層を支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての層を一回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0044】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0045】
本発明に係るインクジェット記録媒体は、支持体及び最表層で熱可塑性樹脂からなる、インク受容層及び、色材とインク溶媒成分がインク受容層表面で分離したのちにインク溶媒成分が吸収される、熱可塑性樹脂層に隣接する溶媒吸収層により構成されている。
【0046】
本発明に係るインク受容層としては、顔料インクによる記録後、加熱及び加圧を同時に行うことにより溶融し、被膜化する実質的に熱可塑性微粒子より構成される。
【0047】
本発明における熱可塑性微粒子としては、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル及びこれらの共重合体が用いられる。熱可塑性樹脂を選択するにあたり、考慮すべき点は、インク受容性、加熱加圧による定着後の光沢及び、画像堅牢性等がある。インク受容性については、熱可塑性微粒子が小さい場合は、顔料インク中の顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、実質的な吸収速度の低下を招くことになる。また大きすぎる場合は、支持体上に塗設する際に隣接する溶媒吸収層との接着性や、塗設乾燥後の膜強度の点から好ましくない。このために好ましい熱可塑性微粒子径としては0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。
【0048】
また、熱可塑性微粒子の選択の基準としてはガラス転移点Tgが挙げられる。Tgが極端に低い場合は、例えば記録媒体製造時の塗布乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透過するための熱可塑性微粒子による空隙が消失してしまう。またTgが極端に高い場合は、顔料インクによるインクジェット記録後溶融成膜するために高温での定着操作が必要となり、装置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可塑性微粒子の好ましいTgは50〜150℃である。
【0049】
また、画像形成後、記録画像はその経時保存による画質劣化をできるだけ抑制する必要がある。顔料インクを用いた場合は、染料インクの様な比較的短期間での濃度低下、変色を気にする必要はないが、未印字部の変色をできるだけ抑制する観点で熱可塑性微粒子を選択する必要がある。
【0050】
本発明に係る最表層の熱可塑性樹脂層に隣接する顔料インクの溶媒吸収層は空隙が形成されていることが必要だが、これは各種の無機固体微粒子を皮膜中に含有させることによって形成される。
【0051】
上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等が用いられる。
【0052】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙型のインク吸収層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、100個の任意粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径はその投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0053】
濃度の高い画像が形成され、鮮明な画像が記録でき、かつ低コストで製造できる等の点からすると、固体微粒子として、気相法により合成された微粒子シリカ、コロイダルシリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
【0054】
アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0055】
現在、このような気相法によって合成された微粒子シリカは市販されており、市販の微粒子シリカには日本アエロジル社の各種のアエロジルがある。
【0056】
本発明の効果を得るためには、無機微粒子の粒径に特に制限はないが100nm以下が好ましく、空隙層を形成するために最も適する粒径は化合物によって異なる。例えば、上記気相法シリカの場合、1次粒子の状態で分散された無機微粒子の1次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)では、4〜20nmが最も好ましく用いることができる。
【0057】
また、溶媒吸収層としては、上記無機微粒子を用いる他に、例えば特開昭59−148583号、同55−51583号、同58−72495号等に記載されている各種親水性樹脂とシリカとの配合液によりなるインク受容層、特開平9−150574号、同10−181189号に記載されているアルキレンオキサイド含有又は、ポリカーボネイトを含有するウレタン樹脂エマルジョン等を用いることもできる。
【0058】
本発明に係る記録媒体の熱可塑性樹脂層及び溶媒吸収層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。
【0059】
空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性が遅いなどの問題が生じやすい。
【0060】
空隙容量の上限は特に制限されないが、空隙型のインク吸収層の膜厚を概ね50μm以下にすることがひび割れ等の皮膜の物理特性を悪化させないためには必要で、この点からすると、空隙容量を40ml/m2以上とすることは難しい。
【0061】
本発明において、空隙容量はJ.TAPPI紙パルプ試験方法、No.51−87、紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)に記載された方法で測定したとき、吸収時間2秒における液体転移量(ml/m2)で表される。なお、上記の測定方法では、測定に純水(イオン交換水)が使用されているが、測定面積の判別を容易にするために、2%未満の水溶性染料を含有させてもよい。
【0062】
本発明に係るインクジェット記録媒体の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。
【0063】
本発明のインクにおいては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、さらに粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防錆剤、防腐剤等を添加することもできる。
【0064】
本発明において、顔料の分散安定性を向上するため界面活性剤を含有させることが好ましい。本発明のインクに好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0065】
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0066】
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0067】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0068】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0069】
本発明において用いる顔料インクには必要に応じて顔料分散剤を含有させてもよい。使用できる顔料分散剤としては、例えば高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。
【0070】
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0071】
本発明の顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましく用いられる。
【0072】
本発明のインクに使用する顔料分散体の平均粒径は10nm以上200nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましく10nm以上50nm以下がさらに好ましい。顔料分散体の平均粒径が100nmを越えると光沢メディアに記録した画像では光沢感の劣化が起こり、トランスペアレンシーメディアに記録した画像では著しい透明感の劣化が起こる。また、顔料分散体の平均粒径が10nm未満になると顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
【0073】
顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来る。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
【0074】
本発明におけるインクは、ラテックスを含有しても良い。本発明におけるラテックスとは媒質中に分散状態にあるポリマー粒子のことを指す。ポリマーの種類の例としてはスチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体およびアクリル変性フッ素樹脂等があるが、なかでもアクリル酸エステル、ポリウレタンおよびシリコン−アクリル共重合体が好ましい。
【0075】
ラテックスの製造に用いられる乳化剤としては低分子量の界面活性剤が用いられるのが一般的であるが、中では高分子量の界面活性剤(例えば可溶化基がポリマーにグラフト結合しているタイプや可溶化基を持つ部分と不溶性の部分を連結させたブロックポリマーのタイプ等がある)を乳化剤として用いたり、あるいは可溶化基をラテックスの中心ポリマーに直接結合させることにより乳化剤を用いずに分散されているラテックスも存在する。この乳化剤に高分子量の界面活性剤を用いるラテックスおよび乳化剤を使用しないラテックスはソープフリーラテックスと呼ばれている。本発明に使用するラテックスとしては乳化剤の種類、形態を問わないが、インクの保存安定性に優れるソープフリーラテックスを用いることがより好ましい。
【0076】
また、最近は中心ポリマーが均一であるラテックス以外にポリマー粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
【0077】
本発明におけるラテックスの平均粒径は150nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
【0078】
ラテックスの平均粒子径は光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。
【0079】
本発明におけるラテックスの固形分添加量はインクの全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下であり、0.3質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。添加量0.1質量%未満では耐水性に関して十分な効果を発揮することが難しく、また10質量%を越えると経時でインク粘度の上昇や顔料分散粒径の増大が起こりやすいなどインク保存性の点で問題が生じることが多い。
【0080】
本発明においては電気伝導度調節剤を用いることもでき、例えば塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミン等の水性アミン等が挙げられる。
【0081】
本発明におけるインクにはこの他に防腐剤、防黴剤、粘度調整剤等を必要に応じて含有しても良い。
【0082】
本発明のインクジェット記録方法で使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0083】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。尚、実施例中で%は特に断りのない限り質量%を示す。
【0084】
〈酸化チタン分散液−1の調製〉
平均粒径が0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業:W−10)をpH7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社:PVA235、平均重合度3500)500g、カチオン性ポリマー(P−1)の150g及びサンノブコ株式会社消泡剤SN381を10g含有する水溶液90リットルに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後全量を100リットルに仕上げて均一な酸化チタン分散液−1を得た。
【0085】
【化1】
【0086】
〈シリカ分散液−1の調製〉
1次粒子の平均粒径が0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業株式会社:A300)125kgを三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に調整した620リットルの純水中に室温で分散した後に、全量を694リットルに純水で仕上げた。この分散液を希釈した粒子の電子顕微鏡写真を撮影したところ、ほとんどの粒子が0.01μm以下の平均粒径であり1次粒子まで分散されていることを確認した(ほとんどの粒子とは85〜90%の粒子のことをいう)。
【0087】
〈シリカ分散液−2の調製〉
カチオン性ポリマー(P−2)を1.41kg、エタノール4.2リットルを含有する溶液(pH=2.3)18リットルに25〜30℃の温度範囲で、シリカ分散液−1の69.4リットルを攪拌しながら20分かけ添加し、ついでホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液(pH=7.3)7.0リットルを約10分かけて添加し、前記の消泡剤SN381を1g添加した。この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで24.5MPaの圧力で2回分散し、全量を純水で97リットルに仕上げてほぼ透明なシリカ分散液−2を調製した。
【0088】
【化2】
【0089】
〈塗布液の調製〉
第1層、第2層、第3層の塗布液を以下の手順で調製した。
【0090】
第1層用塗布液
シリカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0091】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235
(平均重合度:3500))の7%水溶液 194.6ml
酸化チタン分散液−1 33ml
第一工業株式会社製:ラテックスエマルジョン・AE−803 18ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。塗布液pHは4.4であった。
【0092】
第2層用塗布液
シリカ分散液−2の650mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0093】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235
(平均重合度3500))の7%溶液 201.6ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。塗布液pHは4.4であった。
【0094】
第3層塗布液
シリカ分散液−2の650mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0095】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235
(平均重合度3500))の7%水溶液 201.6ml
シリコン分散液(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製・
BY−22−839) 15ml
サポニン50%水溶液 4ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。塗布液のpHは4.5であった。
【0096】
上記のように得られた塗布液を下記のフィルターで濾過した。
第1層と第2層:東洋濾紙株式会社製TCP10で2段濾過、
第3層:東洋濾紙株式会社製TCP30で2段濾過。
【0097】
第1層(50μm)、第2層(100μm)、第3層(50μm)の順になるように各層を、両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタン含有)に塗布した。括弧内はそれぞれ湿潤膜厚を示し、第1層〜第3層は同時塗布した。
【0098】
塗布はそれぞれの塗布液を40℃で3層式スライドホッパーで塗布を行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒冷却した後、25℃の風(相対湿度15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60℃の雰囲気下で2分間調湿して試料を巻き取り溶媒吸収層のみの記録媒体を得た。
【0099】
次に以下の処方により熱可塑性樹脂層用の塗工液を調製した。
AT−2000(スチレン−アクリル酸共重合ラテックス
(Tg:80℃、MFT:85℃(株)昭和高分子製)) 50%
AS−7180 3%
(アクリル系共重合体Na塩水溶液(株)東亞合成化学工業製)
水 47%
前記溶媒吸収層のみ有する記録媒体上に熱可塑性樹脂層用の塗工液を前記スライドホッパーで、乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗布を行い、上記と同様の乾燥条件で記録媒体の作製を行った。
【0100】
〈記録媒体への画像記録〉
(イエロー顔料分散体の調製)
C.I.ピグメントイエロー128 150g
スチレン−アクリル−メタクリル酸メチル共重合体
(分子量10,000、酸価160) 70g
エチレングリコール 100g
グリセリン 80g
イオン交換水 200g
を混合し、0.3mmのジルコニアビーズで体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ(株)製システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔料分散体を得た。得られたイエロー顔料分散体の平均粒径は125nmであった。尚、顔料インク分散体平均粒径の測定はゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いた。
【0101】
(マゼンタ顔料分散体の調製)
C.I.ピグメントレッド122 100g
デモールC 63g
グリセリン 100g
イオン交換水 130g
を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ(株)製システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔料分散体を得た。得られたマゼンタ顔料分散体の平均粒径は65nmであった。
【0102】
(シアン顔料分散体の調製)
C.I.ピグメントブルー15:3 100g
デモールC 63g
ジエチレングリコール 100g
イオン交換水 125g
を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ(株)製システムゼータミニ)を用いて分散した後、20,000rpmで30分間遠心分離処理を行い、シアン顔料分散体を得た。得られたシアン顔料分散体の平均粒径は55nmであった。
【0103】
(ブラック顔料分散体の調製)
Hostfine Black T(クラリアント(株)製、
平均粒径50nm) 167g
ラテックス4(スーパーフレックス460、第一工業製薬(株)製)78.9g
エチレングリコール 200g
トリエチレングリコールモノメチルエーテル 120g
オルフィンGXL(日信化学(株)製) 4g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 2g
以上をイオン交換水で1000gに仕上げ、1μmのミリポアフィルターを2度通過させて顔料インクを調製した。
【0104】
(記録媒体への記録)
ノズル粒径20μm、駆動周波数12kHz、1色当りのノズル数128、同色ノズル密度180dpi(dpiとは2.54cm当たりのドットの数を表す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットを使用して、上記顔料インクにより各色の均一ベタ画像パターンをイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について作製した。
【0105】
続いて画像パターンを付与したサンプルについて、直径30mmφの円柱状の鉄シリンダ(上ローラ)と、シリコンゴムローラ(直径30mmφの下ローラ)が共に、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルエーテル共重合体により被覆され、鉄シリンダ内にヒータを内蔵されている定着装置を用いて、鉄ローラが画像表面に接するように、加熱及び加圧処理をおこなった。尚、鉄ローラに被覆するテトラフロロエチレン−パーフロロアルキルエーテル共重合体の被覆膜厚を100μmとし、回転させたローラ表面に粗さの異なるサンドペーパーを押し当てて、粗面化した。これを用いて印字後の画像を加熱圧定着した試料101〜108を作製した。画像形成後の表面粗さRa値を表1に記載した。印字後の画像への加熱温度、圧力、それらの付与方法についても表1に記載した。
【0106】
上記処理をおこなった画像について、質感及び印字部のブロンズについて目視評価をおこなった結果を表1に示す。
【0107】
質感及びブロンズの目視判定基準を以下に示す。
質感
◎:印字部、未印字部の光沢差なく、ぎらつきがない
○:印字部、未印字部の光沢差なく、多少ぎらつきがあるが実用上問題ない
△:印字部、未印字部の光沢差ないが、画像全体がぎらつき実用上問題あり
×:未印字部の光沢高く、印字部光沢低い。
【0108】
ブロンズ
◎:ブロンズがほとんど感じられない
○:若干のブロンズがみられるが、実用上問題がない
△:実用上問題のあるブロンズがみられる
×:著しいブロンズがみられる。
【0109】
【表1】
【0110】
画像表面粗さRa値が低い試料101は、ブロンズは解消され、印字部、未印字部の光沢差がないものの、過度の平滑感に起因すると思われるぎらつきがみられる。一方、Ra値が1.4及び3.7と大きくなった試料102、103は印字の有無による光沢差がなく、ぎらつきも感じられず、ブロンズも解消されている。これに対してRa値が更に大きくなった試料104は、ブロンズは若干発生し、表面の平滑性の変化に起因する光沢感の著しい低下がみられる。
【0111】
試料105及び106は定着時の温度又は圧力を試料101〜104から変化させ、定着後のRa値が試料102と同じになるように加熱ローラの表面を粗面化し画像形成をおこなった。試料102に対してRa値は同じだが、光沢差やぎらつきの程度、ブロンズの発生の度合いは変化しているが実用上の問題がないレベルである。これは定着処理後の表面粗さだけでなく、顔料粒子が熱可塑性樹脂層中でどのように分布しているかという点も画質に影響を及ぼしていることを示唆する現象と推定できる。
【0112】
試料107及び108が加熱と加圧のタイミングを分離し画像形成を行ったものであるが、試料107については、印字部と未印字部の光沢差、試料108については印字の有無によらない光沢の低さを招き、ブロンズも解消できないことがわかる。
【0113】
【発明の効果】
実施例で実証した如く、本発明による画像形成方法は顔料インクを用いてインクジェット記録を行った場合の印字部と未印字部の光沢差を生じることなく、ブロンズが抑えられた高級感のある画像が得られる。
Claims (4)
- 支持体上に少なくとも一層のインク受容層を有し、かつ最外層に熱可塑性樹脂粒子を含有する熱可塑性樹脂層を有する記録媒体に、顔料インクをインクジェット法により付着した後、加熱及び加圧を同時に行うことにより、該熱可塑性樹脂層を透明化する画像形成方法において、前記加熱及び加圧は粗面化された熱ローラにより、加熱温度を50〜150℃、ローラにより発生する圧力を1平方センチメートル当たり10〜500Nで行い、かつ、該熱可塑性樹脂層を加熱透明化した後の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さ2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した時の中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4μmであることを特徴とする画像形成方法。
- 前記熱ローラが金属ローラ及びシリコンゴムローラから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記熱ローラが金属ローラ及びシリコンゴムローラから選ばれる少なくとも1種のローラであり、かつ該ローラ中に熱源を内蔵していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記熱ローラである金属ローラとシリコンゴムローラ間又は前記熱ローラであるシリコンゴムローラと金属ローラ及びシリコンゴムローラから選ばれる少なくとも1種のローラ間の加圧により形成されるニップ幅が1〜20mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成方法。
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