JP2003048366A - インクジェット画像の定着方法 - Google Patents

インクジェット画像の定着方法

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JP2003048366A
JP2003048366A JP2001240512A JP2001240512A JP2003048366A JP 2003048366 A JP2003048366 A JP 2003048366A JP 2001240512 A JP2001240512 A JP 2001240512A JP 2001240512 A JP2001240512 A JP 2001240512A JP 2003048366 A JP2003048366 A JP 2003048366A
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修二 木田
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Teruyuki Fukuda
輝幸 福田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、光沢性に優れ、かつブロン
ジングが改良されたインクジェット画像の定着方法を提
供することにある。 【解決手段】 インクジェット記録媒体上に、インクの
噴射により印字された画像の定着方法において、画像印
字後5分以内に定着処理を行うことを特徴とするインク
ジェット画像の定着方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録媒体上に印字されたインクジェット記録画像の定着方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録はインクの微小液滴
を種々の作動原理により飛翔させて記録媒体に付着さ
せ、画像、文字などの記録を行うものであるが、比較的
高速、低騒音、多色化が容易であるという利点を有して
いる。
【0003】また、近年の技術進歩により、染料インク
によるインクジェットプリントの銀塩写真に迫る高画質
化や装置の低価格化が、その普及を加速させている。
【0004】染料は溶媒に可溶であり、色素分子は分子
状態もしくはクラスター状態で着色している。従って各
分子の環境が似通っているために、その吸収スペクトル
はシャープであり高純度で鮮明な発色を示す。更に粒子
性がなく、散乱光、反射光が発生しないので、透明性が
高く、色相も鮮明である。
【0005】しかしその一方、光化学反応などにより分
子が破壊された場合には分子数の減少がそのまま着色濃
度に反映するために耐光性が悪い。染料インクを用いた
インクジェット記録画像は高画質だが、経時保存による
画像品質低下が大きく、画像保存性の観点で銀塩写真を
凌駕する技術が未だ現れていないのが現状である。
【0006】染料インクに対して、光による退色に強い
画像を必要とする用途向けのインクとして、耐光性が良
好である顔料を着色剤として用いる顔料インクが使用さ
れている。顔料は溶媒に不溶であり、色素分子は粒子を
形成して溶媒に分散した状態で着色に寄与している。表
面の分子が光化学反応等により破壊されたとしてもその
下部に新たな色素分子層があるので見かけ上の着色力低
下が小さく、画像保存性に優れるものの、粒子に起因す
る散乱光、反射光の影響により光沢性の著しい劣下がみ
られる。また顔料を色材として用いた場合の特有の現象
として、ブロンズという現象がある。
【0007】これは、顔料本来の色の他に表面に浮き出
るブロンズ(光沢)を意味し、しばしば問題となる。こ
のブロンズの色相としては、通常顔料本来の余色が浮き
出る。このことからBlue→Red、Green→V
iolet、Red→Yellow、Yellow→B
luish Greenのようなブロンズが発現する。
【0008】このようなブロンズ現象で最も顕著な例
は、いわゆる金属光沢である。金属光沢には界面ブロン
ズと干渉ブロンズの二種類がある。界面ブロンズは粒子
表面における光の選択的反射によって、反射光の中に顔
料の吸収帯の波長成分の割合が大きくなる結果生じる現
象である。これに対して、干渉ブロンズは、接近する物
質からの反射光が選択的に干渉することにより生ずるも
のである。顔料のブロンズは界面ブロンズが主体的であ
る。
【0009】特開平11−208097号において、最
外層が熱可塑性樹脂層である記録媒体に、分散剤を含有
しない顔料インクにより記録後、顔料粒子を熱可塑性樹
脂層中に移動させる技術が開示されている。顔料インク
は、記録媒体表面に付着後顔料粒子は熱可塑性樹脂層表
面に存在し、溶媒成分は記録媒体を構成する各層に吸収
される。続いて、顔料粒子を熱可塑性樹脂層中に移動さ
せることによって、顔料インク特有の印字部の未印字部
に対する浮き上がりが解消され、平滑性向上に起因する
光沢向上効果が確認された。しかしながら、顔料インク
の熱可塑性樹脂層中への埋め込みが中途半端な場合、印
字部、未印字部に画像状の凹凸が発生し、光沢差が生じ
る。逆に顔料インクの埋め込みが十分に行われた場合、
画像表面の平滑性は向上し、印字部と未印字部の光沢差
は解消される。しかし、平滑性が高まることにより奥行
き感の低下、過度の光沢に起因する表面のぎらつきが発
生する場合もある。
【0010】また、ブロンズを防止する方法の一つとし
て、インクジェット画像記録後、加熱定着する方法が知
られている。例えば、特開平4−234660号には、
顔料インクを用いたインクジェット記録画像に、加熱処
理を施す方法が開示されており、特開平11−2916
11号には、熱可塑性樹脂層を有する記録媒体に、有機
溶媒を塗設し、気化させて表層を形成する方法が開示さ
れている。また、特開2000−85238には、熱可
塑性樹脂を含有する記録媒体に熱可塑性高分子ラテック
スを含有するインクを用いて画像形成した後、融着工程
を経て定着する方法が開示されている。
【0011】しかしながら、インクジェット記録画像の
定着性は、主に、定着温度、定着圧力、記録媒体あるい
はインク中に含有される樹脂のガラス転移点温度等に大
きく影響される。一般に、定着温度を上げることにより
定着性は向上するが、反面、レジンコートした紙支持体
の様な耐熱性が低い記録媒体では、過度に定着温度を高
めると、支持体自身の変形を招く恐れがあり、定着温度
としては、ある規定の温度以下に設定せざるを得ないの
が現状である。この結果、低定着温度により、十分な光
沢性が得られない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光沢性に優
れ、かつブロンジングが改良されたインクジェット画像
の定着方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成により達成された。
【0014】1.インクジェット記録媒体上に、インク
の噴射により印字された画像の定着方法において、画像
印字後5分以内に定着処理を行うことを特徴とするイン
クジェット画像の定着方法。
【0015】2.インクジェット記録媒体上に、インク
の噴射により印字された画像の定着方法において、該イ
ンクジェット記録媒体へのインクの最大打ち込み量が、
20〜35ml/m2であることを特徴とするインクジ
ェット画像の定着方法。
【0016】3.インクジェット記録媒体上に、インク
の噴射により印字された画像の定着方法において、該イ
ンクジェット記録媒体上に噴射されたインク溶媒の少な
くとも50%が残留している状態で定着処理を行うこと
を特徴とするインクジェット画像の定着方法。
【0017】4.前記インクが、水性顔料インクである
ことを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の
インクジェット画像の定着方法。
【0018】5.前記インクジェット記録媒体が、熱可
塑性樹脂粒子を含有する表層と、該表層に隣接して無機
微粒子を含有するインク吸収層とを有することを特徴と
する前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェッ
ト画像の定着方法。
【0019】6.前記インクジェット記録媒体が、熱可
塑性樹脂粒子と無機微粒子とを含有する表層と、該表層
に隣接して無機微粒子を含有するインク吸収層とを有す
ることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載
のインクジェット画像の定着方法。
【0020】7.前記インクジェット記録媒体を、加熱
手段と加圧手段との間隙に、ベルト部材と共に搬送させ
ることを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載
のインクジェット画像の定着方法。
【0021】8.前記インクジェット記録媒体を、3
8.1m/時間以上の速度で搬送することを特徴とする
前記7項に記載のインクジェット画像の定着方法。
【0022】本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討を
行った結果、インクジェット画像の定着方法による光沢
性の改良手段として、1)記録媒体上にインク噴射によ
り画像を形成してから定着処理するまでの時間を、特定
の条件とすること、2)記録材料へのインク打ち込み量
を、特定の範囲に規定すること、3)画像記録された記
録媒体上のインク残存量、即ち有機溶媒残存量を特定の
条件とすることにより、定着処理、特には加熱定着処理
による光沢性改良に顕著な効果を発揮することを見いだ
した。更に、1)熱可塑性樹脂粒子を含有する表層と、
該表層に隣接して無機微粒子を含有するインク吸収層と
を有する記録媒体、あるいは2)熱可塑性樹脂粒子と無
機微粒子とを含有する表層と、該表層に隣接して無機微
粒子を含有するインク吸収層とを有する記録媒体を用い
ることにより、その効果がより発現することを見いだ
し、本発明に至った次第である。
【0023】本発明の詳細について、以下説明する。請
求項1に係る発明においては、インクジェット記録媒体
上に、インクの噴射により印字された画像の定着方法に
おいて、画像印字後5分以内に定着処理を行うことが特
徴であるが、好ましくは1秒〜3分であり、特に好まし
くは1秒〜1分である。画像形成後、上記で規定した範
囲の時間で定着処理を行うことにより、光沢性等に対
し、本発明の効果をいかんなく発揮することができる。
定着処理までの時間を5分以上要すると、塗膜の乾燥と
いう観点では問題はないが、光沢度が低下し、所望の光
沢度を得ることが困難となる。
【0024】本発明において、光沢度を判定する指標と
して、C値と呼ばれる像鮮明度が60以上であることが
好ましい。ここで、C値とは、JIS K7105に規
定されている像鮮明度のうち、光学くし2mmを用い反
射法により測定した値をC値とし、写像性の尺度として
定義される。
【0025】本発明でいう写像性とは、皮膜表面に対面
する物体の像を移す皮膜表面の性能を表し、入射画像が
画像表面において、どれだけ正確に反射、あるいは投影
されるかを示す値である。入射画像に対して正確な反射
画像を与えるほど、写像性は高くなり、結果としてC値
は大きくなる。このC値は、鏡面光沢度と表面の平滑性
を併せた効果を示すものであり、反射度が高くなるほ
ど、また平滑性が高くなるほど、C値は大きくなる。
【0026】C値の異なる様々なインクジェット顔料画
像を検討したところ、C値の上昇に伴い、光沢感が得ら
れ、銀塩写真に近似の画像を得ることができることを見
い出した。さらに、C値の上昇に伴い、顔料インク特有
のブロンジング現象が抑制されることが判明した。さら
に、C値の上昇に伴い、耐水性や酸性ガス耐性といった
画像保存性も向上することを見い出した。
【0027】C値が60以上ある顔料画像は、本発明の
目的とする効果を得ることができるが、好ましくは70
〜90、さらに好ましくは75〜90である。
【0028】はじめに、本発明で用いることのできるイ
ンクジェット画像形成方法において、詳細に説明する。
【0029】本発明に係る画像形成方法としては、印字
した画像に定着処理を施すことが特徴であるが、具体的
には、加熱定着装置を用いることが好ましい。
【0030】本発明においては、例えば、インクジェッ
ト顔料画像を形成する場合には、市販されているプリン
ターのように記録材料収納部、搬送部、インクカートリ
ッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであ
れば特に制約はないが、少なくともロール状の記録材料
収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断
部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント
収納部から構成される一連のプリンターセットである
と、インクジェット写真を商用利用する場合に有用であ
る。
【0031】記録ヘッドは、ピエゾ方式、サーマル方
式、コンティニュアス方式のいずれでもよいが、顔料イ
ンクでの安定性の観点からピエゾ方式が好ましい。
【0032】以下に、本発明で用いることのできる定着
部を有するインクジェット画像記録方法の具体的な例を
示す。
【0033】図1は、本発明で用いられるインクジェッ
ト記録装置の一例を示す概略構成図である。図1におい
て、搬送ローラー対21から送り出された記録媒体1は
記録ヘッド3によりインクジェット記録が行われ、カッ
タ61により適宜切断され、第1のローラー対〜第2の
ローラー対まで、たわみを有する状態で搬送され、次い
で、加熱定着手段4に送られ、内部に発熱体43を有す
る加熱ローラー41と加圧ローラー42との間を通過す
ることにより、加熱定着処理が行われる。
【0034】図2は、本発明で用いられるインクジェッ
ト記録装置の他の一例を示す概略構成図で、請求項7に
係る定着部が定着ベルトより構成されている方法であ
る。図2において、搬送ローラー対21から送り出され
た記録媒体1は記録ヘッド3によりインクジェット記録
が行われ、カッタ61により適宜切断され、第1のロー
ラー対〜第2のローラー対まで、たわみを有する状態で
搬送され、次いで、加熱定着手段4に送られ、内部に発
熱体43を有する加熱ローラー41と従動ローラー46
との間に定着ベルト44を設け、その間隙を通過するこ
とにより、加熱定着処理が行われる。
【0035】本発明においては、印字後に定着処理を行
うことが一つの特徴である。その処理としては、画像を
加熱あるいは加圧処理のいずれかを行う方法、あるいは
加熱、加圧を両方行う、あるいは、溶媒や可塑剤を付与
し、さらに加熱する、あるいは、熱可塑性樹脂成分を画
像に供給してから加熱するなどがあり、さらにこれらの
処理を組み合わせたり、複数回行っても良いが、好まし
くは、定着、加熱処理を同時に行う方法である。
【0036】次いで、本発明のインクジェット画像の定
着方法について詳細に説明する。本発明のインクジェッ
ト画像の定着方法として、加熱定着処理であることが好
ましく、その手段として特に制限はないが、定着ベルト
または定着ローラーから構成された定着方法であること
が好ましい。また、加熱定着処理には、本発明の効果が
十分発揮されるだけのエネルギーを画像に与えれば良い
が、加熱する温度としては、特に、顔料画像の場合、画
像を平滑化しうる温度であればよく、60〜200℃の
範囲が好ましく、より好ましくは80〜160℃の範囲
である。
【0037】加熱は、プリンター内蔵の加熱機で行って
も、別に設けた加熱機で行っても良い。加熱手段として
は、定着ローラーの場合も、定着ベルトの場合も加熱ロ
ーラーを用いることが、定着ムラの発生を抑制でき、か
つ小スペースで連続処理ができる点で好ましい。また、
これらの装置は、電子写真の加熱定着機を転用すること
ができ、これらを用いることはコスト的にも有利であ
る。
【0038】加熱ローラーとしては、中空状のローラー
を構成成分として有し、駆動手段により回転するが、そ
の中空部分に熱源として、例えば、ハロゲンランプヒー
ター、セラミックヒーター、ニクロム線等からなる発熱
体が内蔵されることが好ましい。
【0039】また、ローラーは、熱伝導性の高い材料が
好ましく、特には金属ローラーが好ましいが中でもニッ
ケルが好ましく用いられる。
【0040】定着ベルトまたは定着ローラーを用いる場
合の記録材料の搬送速度は、3〜360m/時の範囲が
好ましく、更に好ましくは、10〜200m/時の範囲
が好ましく、更に、請求項8に係る発明では、記録媒体
の搬送速度が38.1m/時以上であることが特徴であ
り、より好ましくは38.1〜150m/時である。こ
れは、高速処理性の観点以外に、画質の観点からも好ま
しい。
【0041】より高い質感、光沢を得るために、加熱と
同時、あるいはその直後に加圧することが好ましい。加
圧する圧力としては、皮膜化が促進されるため9.8×
10 4Pa〜4.9×106Paの範囲が好ましい。
【0042】請求項2に係る発明においては、インクジ
ェット画像の定着方法として、インクジェット記録媒体
へのインクの最大打ち込み量が、20〜35ml/m2
であることが特徴である。
【0043】インクジェット画質として、速乾性に優れ
ていることが要求され、記録媒体中へのインク打ち込み
量が多いほど、水が完全に蒸発するまでに必要な時間が
長くなる。上記課題は、印字するインク量を低減するこ
とにより解決できるが、反面、特に優れた色再現性、画
像濃度を達成するためには、ある程度のインク噴射量が
必要とされてくる。また、乾燥が遅いほど長時間にわた
り色が安定しないため、乾燥に伴う色の変化が少ない
か、速い乾燥速度が求められている。
【0044】本発明者らは、上記課題について鋭意検討
を行った結果、インクの最大打ち込み量を20〜35m
l/m2とすることにより、定着方法を用いるインクジ
ェット画像形成方法において、定着処理までに最適の記
録媒体の乾燥度とすることができ、この結果、高い光沢
性を得ることが判明した。この最適条件を達成する方法
としては、インクとして、請求項4に係る発明である水
性顔料インクを用いること、また記録媒体として、請求
項5又は6に係る発明である表層に熱可塑性樹脂、ある
いは熱可塑性樹脂と無機微粒子を用いて、インク吸収層
の特性を最適化することが、好ましい。
【0045】また、請求項3に係る発明では、インクジ
ェット記録媒体上に噴射されたインク溶媒の少なくとも
50%が残留している状態で定着処理を行うことが特徴
である。本発明において、インクは、主として、顔料あ
るいは染料である着色剤、媒体、例えば、水、有機溶
媒、及び界面活性剤等のその他の添加剤より構成されて
いるが、本発明でいうインク溶媒の少なくとも50%が
残留している状態とは、上記構成からなるインク液滴を
記録媒体上に噴射、着弾させた後、定着処理を施す時点
で、記録媒体中、あるいは記録媒体表面に残留している
インク総溶媒量比率(残留溶媒量/印字溶媒量×100
%)を意味する。本発明では、インク溶媒の少なくとも
50%残留している状態で、定着処理を行うことが特徴
であるが、好ましくは、50〜100%、特に好ましく
は70〜100%であり、この条件下で定着処理を行う
ことにより、光沢性をはじめとして本発明の目的効果を
発揮させることができる。
【0046】次いで、本発明で用いることのできるイン
クジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)及
びインクについて、以下詳細に説明する。
【0047】はじめに、本発明に係るインクジェット記
録媒体について説明する。請求項5に係る発明では、イ
ンクジェット記録媒体が、支持体上に熱可塑性樹脂を含
有している表層と、表層に隣接して無機微粒子を含有す
るインク吸収層からなることが特徴である。
【0048】一般に、インク吸収層としては、大きく別
けて膨潤型と空隙型がある。膨潤型としては、水溶性バ
インダーを用い、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド
等を単独もしくは併用して塗布し、これをインク吸収層
としたものである。
【0049】空隙型としては、微粒子及び水溶性バイン
ダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるもの
が好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカ
が好ましく、特に粒径0.1μm以下のシリカを用いた
ものが好ましい。水溶性バインダーとしては、ゼラチ
ン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポ
リエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが
好ましい。
【0050】上記の2タイプの内、連続高速プリントに
適応するには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適
しており、この点から、本発明においては、空隙型を特
に好ましく用いることができる。
【0051】以下、空隙型インク吸収層について、更に
詳しく説明する。空隙層は、主に親水性バインダーと無
機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来よ
り、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、
例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を
支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互い
に相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および
親水性または疎水性樹脂を含有する塗布液を支持体上に
塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは
適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶
解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性
質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程
でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方
法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗
布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に
空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して、概ね
等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油
滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗
布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られ
ている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が10
0nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによ
って形成されることが、特に好ましい。
【0052】上記の目的で使用される無機微粒子として
は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサ
イト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウ
ム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダル
シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイ
ト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸
化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができ
る。
【0053】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあ
るいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で
観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、そ
の単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個
々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した
ときの直径で表したものである。
【0054】無機微粒子としては、シリカ、及びアルミ
ナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用い
ることが好ましい。
【0055】本発明で用いることのできるシリカとして
は、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリ
カ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いら
れるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子
シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成
された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合
成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけで
なく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポ
リマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくい
ので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物
は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定
形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使
用することができる。
【0056】無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合
する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態で
あるのが好ましい。
【0057】無機微粒子は、その粒径が100nm以下
であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリ
カの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一
次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、
100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜
50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0058】最も好ましく用いられる、一次粒子の平均
粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリ
カとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジル
が市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中
に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットスト
リームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分
散することで、比較的容易に一次粒子まで分散すること
ができる。
【0059】本発明においては、インク吸収層が水溶性
バインダーを含有していることが、好ましい。
【0060】本発明で用いることのできる水溶性バイン
ダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチ
ン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、
ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、
デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、
ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラ
ール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダー
は、二種以上併用することも可能である。
【0061】本発明で好ましく用いられる水溶性バイン
ダーは、ポリビニルアルコールである。
【0062】本発明で好ましく用いられるポリビニルア
ルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる
通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変
性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するア
ニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルア
ルコールも含まれる。
【0063】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビ
ニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のもの
が好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜
5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化
度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.
5%のものが特に好ましい。
【0064】カチオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開昭61−10483号に記載されてい
るような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基
を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有す
るポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有する
エチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケ
ン化することにより得られる。
【0065】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルア
ミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)ア
ンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−
ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられ
る。
【0066】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%であ
る。
【0067】アニオン変性ポリビニルアルコールは、例
えば、特開平1−206088号に記載されているよう
なアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭
61−237681号および同63−307979号に
記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を
有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285
265号に記載されているような水溶性基を有する変性
ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0068】また、ノニオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば、特開平7−9758号に記載されて
いるようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコ
ールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特
開平8−25795号に記載されている疎水性基を有す
るビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合
体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や
変性の種類違いなど二種類以上を併用することもでき
る。
【0069】インク吸収層で用いられる無機微粒子の添
加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、
無機顔料の種類、水溶性バインダーの種類に大きく依存
するが、一般には、記録用紙1m2当たり、通常5〜3
0g、好ましくは10〜25gである。
【0070】また、インク吸収層に用いられる無機微粒
子と水溶性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜
20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが
好ましい。
【0071】また、分子内に第四級アンモニウム塩基を
有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、
インクジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10
g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0072】空隙層において、空隙の総量(空隙容量)
は記録用紙1m2当り20ml以上であることが好まし
い。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のイ
ンク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるも
のの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収され
ず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの
問題が生じやすい。
【0073】インク保持能を有する空隙層において、固
形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明にお
いて、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚
を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好まし
い。
【0074】空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を
用いてインク吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン
樹脂エマルジョン、これに水溶性エポキシ化合物及び/
又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、
更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗
工液を用いてインク吸収層を形成させてもよい。この場
合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネー
ト鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する
粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョ
ンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウ
レタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボ
ネートポリオール及びポリエステルポリオールを有する
ポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応さ
せて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸
基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及
び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビ
ニルアルコールを有することが更に好ましい。上記ポリ
ウレタン樹脂を用いたインク吸収層は、カチオンとアニ
オンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸
収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定
される。
【0075】本発明においては、硬化剤を使用すること
が好ましい。硬化剤は、インクジェット記録媒体作製の
任意の時期に添加することができ、例えば、インク吸収
層形成用の塗布液中に添加しても良いし、あるいは、イ
ンク吸収層形成後に、上記水溶性バインダーの硬化剤を
供給する方法でも良い。
【0076】本発明で用いることのできる硬化剤として
は、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば
特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、そ
の他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バイ
ンダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バ
インダーが有する異なる基同士の反応を促進するような
化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選
択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、
エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタン
ジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジル
シクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジ
ルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテ
ル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデ
ヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール
等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−
ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性
ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘ
キサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメ
チルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0077】ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心
原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的に
は、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、
五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられ
る。
【0078】硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸
およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を
混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホ
ウ砂の混合水溶液である。
【0079】ホウ酸とホウ砂の水溶液はそれぞれは比較
的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混
合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を
濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを
比較的自由にコントロールすることが出来る利点があ
る。
【0080】上記硬化剤の添加量は上記水溶性バインダ
ー1g当たり1〜600mgが好ましい。
【0081】本発明に係るインク吸収層においては、そ
の表層が熱可塑性樹脂、あるいは請求項6に係る発明で
は、熱可塑性樹脂と共に無機微粒子を含有していること
を特徴とするものである。
【0082】本発明でいう表層とは、最表面層に限定さ
れることはなく、本発明の効果が発現する構成であれ
ば、特に限定されるものではない。本発明に係る記録媒
体は、画像記録後、本発明の定着方法に従って、加熱に
より表層に含まれる熱可塑性樹脂を溶融、皮膜化するこ
とで、本発明の効果の多くが発現されるものである。例
えば、染料インクでプリントする場合、画像記録後の加
熱処理の有無で、耐光性、あるいは耐水性が向上するの
であれば、熱可塑性樹脂、あるいは無機微粒子及び熱可
塑性樹脂が含まれている層が最表層でなくとも、その構
成は本発明に該当するものである。
【0083】また、顔料インクでプリントする場合、画
像記録後の加熱処理の有無で画質、例えば光沢性が向上
したり、耐擦性が向上したり、ブロンジングの程度が改
良されていれば、熱可塑性樹脂、あるいは無機微粒子及
び熱可塑性樹脂が含まれている層が最表層でなくとも、
その構成は本発明に該当するものである。
【0084】本発明でいう表層を明示するための好まし
い構成例を以下に列挙するが、本発明に係る層構成は、
これらにのみ限定されるものではない。
【0085】1:支持体上に空隙型インク吸収層を有
し、その上に熱可塑性樹脂、あるいは無機微粒子及び熱
可塑性樹脂が含まれている層が最表層である構成 2:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に熱
可塑性樹脂、あるいは無機微粒子及び熱可塑性樹脂が含
まれている層の上に、表面物性の改良を目的とした薄層
を設けた構成 3:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に熱
可塑性樹脂、あるいは無機微粒子及び熱可塑性樹脂が含
まれている層の上に、有害光をカットする目的で、紫外
線吸収機能を有する薄層を設けた構成 4:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に熱
可塑性樹脂、あるいは無機微粒子及び熱可塑性樹脂が含
まれている層の上に、マット剤を含む層を設けた構成 5:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に熱
可塑性樹脂、あるいは無機微粒子及び熱可塑性樹脂が含
まれている層の上に、剥離可能な層を設けた構成。
【0086】上記に記載の構成例の内で最も好ましい構
成は、本発明の効果を最も発揮できる1項に係る無機微
粒子及び熱可塑性樹脂の含有層が最表層である場合であ
る。
【0087】本発明に係る熱可塑性樹脂、あるいは無機
微粒子及び熱可塑性樹脂を含む表層は、無機微粒子、熱
可塑性樹脂及び必要によりバインダー成分等を含んでも
良い。
【0088】無機微粒子としては、前述の空隙層に用い
ることのできる無機微粒子から選択することができる。
例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸
化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪
酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マ
グネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ア
ルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化ア
ルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウ
ム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0089】好ましい無機微粒子は、シリカ及びアルミ
ナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用い
ることが好ましく、シリカがより好ましい。
【0090】シリカとしては、通常の湿式法で合成され
たシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された
シリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に
好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダル
シリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好まし
く、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い
空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で
用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに粗大凝
集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナま
たはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であっ
てもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任
意の形状のものを使用することができる。無機微粒子と
して、その中でもシリカがより好ましい。
【0091】無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合
する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態で
あるのが好ましい。
【0092】無機微粒子は、その粒径が100nm以下
であることが好ましい。例えば、気相法微粒子シリカの
場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒
子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、10
0nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50
nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0093】本発明で用いることのできる熱可塑性樹脂
としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロニ
トリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアク
リル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢
酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、
これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられる。中で
も、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリル
酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エ
ステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックス
が好ましい。また、熱可塑性樹脂は、モノマー組成及び
粒径、重合度が違う複数の重合体を混合して用いても良
い。
【0094】熱可塑性樹脂を選択するに際しては、イン
ク受容性、加熱及び加圧による定着後の画像の光沢性、
画像堅牢性及び離型性を考慮すべきである。
【0095】インク受容性については、熱可塑性樹脂の
粒径が0.05μm未満の場合は、顔料インク中の顔料
粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度の
低下を招くことになる。また、10μmを越えると、塗
設乾燥後のインクジェット記録媒体の皮膜強度の点及び
光沢劣化の点から好ましくない。このために好ましい熱
可塑性樹脂径としては好ましくは0.05〜10μm、
より好ましくは0.1〜5μmである。さらに好ましく
は、0.1〜1μmである。
【0096】また、熱可塑性樹脂の選択の基準として
は、ガラス転移点(Tg)が挙げられる。Tgが塗布乾
燥温度より低い場合は、例えば、記録媒体製造時の塗布
乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透過するた
め、熱可塑性樹脂による空隙が消失してしまう。またT
gが、支持体の熱による変性を起こす温度以上の場合
は、顔料インクによるインクジェット記録後、溶融、成
膜するためには、高温での定着操作が必要となり、装置
上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可塑
性樹脂の好ましいTgは50〜150℃である。
【0097】また、最低造膜温度(MFT)としては、
50〜150℃のものが好ましい。熱可塑性樹脂は、環
境適性の観点からは水系に分散されたものが好ましく、
特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好まし
い。この際、ノニオン系分散剤を乳化剤として用いて乳
化重合したタイプは、好ましく用いることができる形態
である。また、用いる熱可塑性樹脂は、臭気および安全
性の観点から、残存するモノマー成分が少ない方が好ま
しく、重合体の固形分に対して3質量%以下が好まし
く、さらに1質量%以下が好ましい、さらに好ましくは
0.1質量%以下である。
【0098】無機微粒子および熱可塑性樹脂を含む表層
の場合、熱可塑性樹脂/無機微粒子の固形分質量比とし
ては、90/10〜10/90の範囲から選択でき、好
ましくは70/30〜30/70の範囲であり、より好
ましくは60/40〜40/60の範囲である。
【0099】表層に含有される熱可塑性樹脂の固形分量
としては、2g/m2以上、20g/m2以下であること
が好ましく、より好ましくは2〜15g/m2の範囲、
特に好ましくは2.5〜10g/m2の範囲である。熱
可塑性樹脂の固形分量が少なすぎると、充分な皮膜が形
成されず、顔料を充分に皮膜中に分散することができな
い。このため、画質、光沢が充分に向上しない。また、
熱可塑性樹脂の固形分量が多すぎると、短時間の加熱工
程で熱可塑性樹脂を完全に皮膜化できず、微粒子のまま
残り不透明性がありかえって画質が低下する。また、イ
ンク吸収速度も低下させてしまい境界にじみが発生し問
題となる。
【0100】無機微粒子および熱可塑性樹脂を含む表層
用塗布液は、無機微粒子および熱可塑性樹脂を同時に分
散しても良いし、各々分散調製したものを、塗布液調製
時に混合する方法でもよい。
【0101】本発明で用いることのできる支持体として
は、従来からインクジェット記録媒体に用いられている
支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキ
ャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持
体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これら
を張り合わせた複合支持体等を、適宜選択して用いるこ
とができる。
【0102】本発明に係る記録媒体では、支持体とイン
ク吸収層との接着強度を高める等の目的で、インク吸収
層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処
理等を行うことが好ましい。さらに、本発明に係る記録
媒体は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録
用紙であってもよい。
【0103】本発明に係る記録媒体では、原紙支持体の
両面をポリエチレン等でラミネートした紙支持体を用い
ることが、記録画像が写真画質に近く、かつ低コストで
高品質の画像が得られるため、特に好ましい。そのよう
なポリエチレンでラミネートした紙支持体について、以
下に説明する。
【0104】紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプ
を主原料とし、必要に応じて、木材パルプに加えてポリ
プロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエ
ステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプ
としては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、
LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いる
ことができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、
LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ま
しい。ただし、LBSPおよびまたはLDPの比率は1
0質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0105】上記パルプには、不純物の少ない化学パル
プ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いら
れ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプ
も有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテ
ンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸
化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白
剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散
剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加する
ことができる。
【0106】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSF
の規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後
の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッ
シュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が
30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量
%は、20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪
量は、30〜250g/m2が好ましく、特に50〜2
00g/m2が好ましい。原紙の厚さは40〜250μ
mが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレン
ダー処理して、高平滑性を与えることもできる。原紙密
度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)
が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−814
3に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙
表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤
としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤
を使用できる。原紙のpHは、JIS−P−8113で
規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9で
あることが好ましい。
【0107】原紙表面および裏面を被覆するポリエチレ
ンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)およ
び/または高密度のポリエチレン(HDPE)である
が、他にLLDPE(リニアローデンシティーポリエチ
レン)やポリプロピレン等も一部使用することができ
る。特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用
印画紙で広く行われているように、ルチルまたはアナタ
ーゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明
度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン
含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、
好ましくは4〜13質量%である。
【0108】ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用い
ることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し
出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行
って、通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹
目面を形成した物も本発明で使用できる。
【0109】原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、空
隙層やバック層を設けた後、低湿および高湿下でのカー
ルを最適化するように選択されるが、通常、空隙層側の
ポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜
30μmの範囲である。
【0110】更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体
は、以下の特性を有していることが好ましい。
【0111】1.引っ張り強さ:JIS−P−8113
で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向
が10〜200Nであることが好ましい 2.引き裂き強度:JIS−P−8116に規定される
方法で、縦方向が0.1〜20N、横方向が2〜20N
が好ましい 3.圧縮弾性率≧98.1MPa 4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定さ
れる条件で、20秒以上が光沢面としては好ましいが、
いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い 5.表面粗さ:JIS−B−0601に規定される表面
粗さが、基準長さ2.5mm当たり、最大高さは10μ
m以下であることが好ましい 6.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法
で測定したとき、80%以上、特に85〜98%が好ま
しい 7.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*
*、b*が、L*=80〜95、a*=−3〜+5、b*
=−6〜+2であることが好ましい 8.表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される6
0度鏡面光沢度が、10〜95%であることが好ましい 9.クラーク剛直度:記録媒体の搬送方向のクラーク剛
直度が50〜300cm2/100である支持体が好ま
しい 10.中紙の含水率:中紙に対して、通常2〜100質
量%、好ましくは2〜6質量% 本発明に係る記録媒体は、染料インク、顔料インク、水
系インク、油性インク、ホットメルトインクのいずれに
も使用可能だが、特に、水系染料インク、水系顔料イン
ク、油性顔料インクに適しており、水系染料インク、水
系顔料インクにより適しており、その中でも、水系顔料
インクが最も適している。
【0112】次に、本発明のインクジェット記録媒体の
製造方法について説明する。インクジェット記録媒体の
製造方法としては、インク吸収層を含む各構成層を、各
々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択
して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができ
る。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング
法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティン
グ法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あ
るいは米国特許第2,761,419号、同第2,76
1,791号公報に記載のホッパーを使用するスライド
ビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ま
しく用いられる。
【0113】同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度と
しては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5
〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましく
は10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン
塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの
範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa
・sの範囲である。
【0114】また、塗布液の15℃における粘度として
は、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,
000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは
3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ま
しいのは10,000〜30,000mPa・sであ
る。
【0115】塗布および乾燥方法としては、塗布液を3
0℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成し
た塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で
乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾
燥時おいて、表層に含まれる熱可塑性樹脂が製膜しない
ように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調
製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、
乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜
50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後
の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点か
ら、水平セット方式で行うことが好ましい。
【0116】次に、本発明で用いることのできるインク
ジェット画像形成方法について説明する。
【0117】画像記録に用いるインクとしては、水系イ
ンク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク
組成物等を用いることができるが、水系インク組成物
(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含
有する水系インクジェット記録液等)を、特に好ましく
用いることができる。
【0118】インクに用いられる着色剤としては、水溶
性染料、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、あ
るいは分散染料、顔料等を用いることができる。
【0119】請求項4に係る発明では、着色剤として顔
料を用いた水性顔料インクを用いることが特徴であり、
これは画像保存性の観点から特に好ましい。顔料インク
で用いる顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有
機顔料およびカーボンブラック等を好ましく用いること
ができる。
【0120】不溶性顔料としては、特に限定するもので
はないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェ
ニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アン
トラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソ
インドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、
チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニ
ン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0121】好ましく用いることのできる具体的顔料と
しては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタまたはレッ
ド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッ
ド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメン
トレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピ
グメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、
C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレ
ッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、
C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメン
トレッド122、C.I.ピグメントレッド123、
C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメント
レッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.
I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッ
ド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.
ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0122】オレンジまたはイエロー用の顔料として
は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.
I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエ
ロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.
ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー
15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグ
メントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー9
4、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられ
る。
【0123】グリーンまたはシアン用の顔料としては、
例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグ
メントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー1
5:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグ
メントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が
挙げられる。
【0124】これらの顔料には、必要に応じて顔料分散
剤を用いてもよく、用いることのできる顔料分散剤とし
ては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキ
ルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハ
ク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリ
オキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリ
ンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン
脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはス
チレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、ア
クリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸
誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フ
マル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブ
ロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩を
挙げることができる。
【0125】顔料の分散方法としては、例えば、ボール
ミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテ
ータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジ
ナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシ
ェーカー等の各種分散機を用いることができる。また、
顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を
使用すること、フィルターを使用することも好ましい。
【0126】顔料インク中の顔料粒子の平均粒径は、イ
ンク中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性などを考
慮して選択するが、加えて本発明の画像形成方法では、
光沢向上、質感向上の観点からも粒径を適宜選択するこ
とが好ましい。本発明において、光沢性あるいは質感が
向上する理由は、現段階では定かでは無いが、形成され
た画像において、顔料は熱可塑性樹脂が溶融した皮膜中
で、好ましい状態で分散された状態にあることと関連し
ていると推測している。高速処理を目的とした場合、短
時間で熱可塑性樹脂を溶融、皮膜化し、更に顔料を充分
に皮膜中に分散しなければならない。このとき、顔料の
表面積が大きく影響し、それゆえ平均粒径に最適領域が
あると考察している。
【0127】顔料インクとして好ましい形態である水系
インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ま
しい。本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒とし
ては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エ
タノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシ
ャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シク
ロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコ
ール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、
ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘ
キサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコ
ールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレング
リコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール
モノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノール
アミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、
N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレン
ジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペ
ンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレ
ントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素
環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロ
リドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、ス
ルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ス
ルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニト
リル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶
媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、
多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用するこ
とが、特に好ましい。
【0128】水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併
用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量とし
ては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜
35質量%である。
【0129】インク組成物は、必要に応じて、吐出安定
性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存
安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じ
て、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力
調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい
剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例え
ば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメ
タクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、または
メラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、流動パラフィ
ン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェー
ト、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノ
ニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、
同57−87988号及び同62−261476号に記
載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57
−87989号、同60−72785号、同61−14
6591号、特開平1−95091号及び同3−133
76号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−4
2993号、同59−52689号、同62−2800
69号、同61−242871号および特開平4−21
9266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン
酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭
酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
【0130】インク組成物は、その飛翔時の粘度として
40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下で
あることがより好ましい。また、インク組成物はその飛
翔時の表面張力として、20mN/m以上が好ましく、
30〜45mN/mであることがより好ましい。
【0131】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0132】実施例1 《インクジェット記録媒体の作製》以下に示す手順に従
って、インクジェット記録媒体を作製した。
【0133】〔無機微粒子分散液の調製〕 (シリカ分散液−1の調製)1次粒子の平均粒径が約
0.03μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業株式
会社:A50)125kgを、三田村理研工業株式会社
製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDS
を用いて、硝酸でpHを2.5に調整した215Lの純
水中に室温で吸引分散した後、固形分濃度40質量/体
積%の分散液に仕上げ、シリカ分散液−1を調製した。
【0134】(シリカ分散液−2の調製)カチオン性ポ
リマー(P−1)0.56kgを、27.2kgのイオ
ン交換水に溶解し、上記シリカ分散液−1の63.0L
を撹拌しながら添加し、次いで、6%ホウ酸水溶液(p
H=6.5)8.8Lを添加し、消泡剤SN381(サ
ンノプコ株式会社製)を1g添加した。この混合液を、
6%硝酸水溶液でpHを4.4に調整した後、三和工業
株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で
99.7Lに仕上げて、シリカ分散液−2を調製した。
【0135】
【化1】
【0136】〔熱可塑性樹脂溶液の調製〕ノニオン系界
面活性剤を乳化剤として乳化重合したスチレン−アクリ
ル系ラテックスポリマー(Tg78℃、平均粒径0.3
μm、固形分濃度40%、ノニオン系)と同じくノニオ
ン系界面活性剤を乳化剤として乳化重合したアクリル酸
エステル−メタアクリル系ラテックスポリマー(Tg7
3℃、平均粒径0.15μm、固形分濃度30%、ノニ
オン系)とを、6%硝酸水溶液でpH4.7に調整し、
これを熱可塑性樹脂溶液とした。
【0137】〔各塗布液の調製〕以下に記載の様にして
各塗布液を調製した後、各塗布液を市販のフィルター
(東洋濾紙株式会社製TCP10あるいはTCP30)
を用いて濾過した。
【0138】(下層塗布液1の調製)40℃で攪拌しな
がら、前記調製したシリカ分散液−2の710mlに、
以下の添加剤を順次混合して、下層塗布液1を調製し
た。
【0139】 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203) の10%水溶液 3ml ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)4.8%及び ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245) の1.84%を含む水溶液 273ml 純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0140】(上層塗布液1の調製)前記調製した熱可
塑性樹脂溶液を上層塗布液1とした。
【0141】(上層塗布液2の調製)前記調製した熱可
塑性樹脂溶液及び前記下層塗布液1を用いて、熱可塑性
樹脂と無機微粒子の固形分比率が40:60となるよう
に混合した後、43℃での粘度が45mPa・sとなる
ように水を添加して、これを上層塗布液2とした。
【0142】〔インクジェット記録媒体の作製〕 (試料1の作製)コニカ(株)製インクジェットペーパ
ー フォトライクQP(以下、フォトライクQPと略
す)上に、上層塗布液1を、熱可塑性樹脂の固形分量と
して2.0g/m2となる条件で、ワイヤーバーを用い
て、塗布、乾燥を行った。塗布条件は、塗布液を、40
℃に加温して塗布し、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾ
ーンで20秒冷却した後、25℃の風(相対湿度15
%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で6
0秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順
次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60℃の雰
囲気下で2分間調湿して、試料1を作製した。
【0143】(試料2の作製)両面をポリエチレンで被
覆した紙支持体(RC紙ともいい、厚みが220μm
で、インク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレン
に対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)
に、支持体側から順に、第1層として前記下層塗布液1
を湿潤膜厚200μmで、第2層として前記上層塗布液
1(熱可塑性樹脂の平均粒径:0.3μm)を熱可塑性
樹脂の固形分量として3.0g/m2となる条件で、ス
ライドホッパーを用いて2層同時塗布及び乾燥を行っ
た。なお、各塗布液は、40℃に加温して塗布し、塗布
直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒冷却した後、
25℃の風(相対湿度15%)で60秒間、45℃の風
(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿
度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相
対湿度が40〜60℃の雰囲気下で2分間調湿した後、
試料を巻き取って、試料2を作製した。
【0144】(試料3の作製)上記試料2の作製におい
て、第1層の塗布液を下層塗布液1(湿潤膜厚140μ
m)及び第2層塗布液として上層塗布液2(湿潤膜厚6
0μm)を用い、熱可塑性樹脂の固形分量を3.0g/
2となる条件で塗布した以外は同様にして、試料3を
作製した。
【0145】 《インクの作製》 〔水系顔料インクの調製〕 (顔料分散液の調製) 〈イエロー顔料分散体1の調製〉 C.I.ピグメントイエロー74 20質量% スチレン−アクリル酸共重合体(分子量10,000、酸価120) 12質量% ジエチレングリコール 15質量% イオン交換水 53質量% 上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズ
を体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社
製 システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔
料分散体1を得た。得られたイエロー顔料の平均粒径は
112nmであった。
【0146】 〈マゼンタ顔料分散体1の調製〉 C.I.ピグメントレッド122 25質量% ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製) 固形分で18質量% ジエチレングリコール 15質量% イオン交換水 42質量% 上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズ
を体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社
製 システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔
料分散体1を得た。得られたマゼンタ顔料の平均粒径は
105nmであった。
【0147】 〈シアン顔料分散体1の調製〉 C.I.ピグメントブルー15:3 25質量% ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製) 固形分として15質量% グリセリン 10質量% イオン交換水 50質量% 上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズ
を体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社
製 システムゼータミニ)を用いて分散し、シアン顔料
分散体1を得た。得られたシアン顔料の平均粒径は87
nmであった。
【0148】 〈ブラック顔料分散体1の調製〉 カーボンブラック 20質量% スチレン−アクリル酸共重合体(分子量7,000、酸価150) 10質量% グリセリン 10質量% イオン交換水 60質量% 上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズ
を体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社
製 システムゼータミニ)を用いて分散し、ブラック顔
料分散体1を得た。得られたブラック顔料の平均粒径は
75nmであった。
【0149】 (顔料インクの調製) 〈イエロー濃インク1の調製〉 イエロー顔料分散体1 15質量% エチレングリコール 20質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 54.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー濃インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は120n
mであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0150】 〈イエロー淡インク1の調製〉 イエロー顔料分散体1 3質量% エチレングリコール 25質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 61.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー淡インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は118n
mであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0151】 〈マゼンタ濃インク1の調製〉 マゼンタ顔料分散体1 15質量% エチレングリコール 20質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 54.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ濃インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は113n
mであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0152】 〈マゼンタ淡インク1の調製〉 マゼンタ顔料分散体1 3質量% エチレングリコール 25質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 61.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ淡インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は110n
mであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0153】 〈シアン濃インク1の調製〉 シアン顔料分散体1 10質量% エチレングリコール 20質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 59.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるシアン濃インク1
を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmで
あり、表面張力γは36mN/mであった。
【0154】 〈シアン淡インク1の調製〉 シアン顔料分散体1 2質量% エチレングリコール 25質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.2質量% イオン交換水 62.8質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるシアン淡インク1
を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は92nmで
あり、表面張力γは33mN/mであった。
【0155】 〈ブラック濃インク1の調製〉 ブラック顔料分散体1 10質量% エチレングリコール 20質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 59.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるブラック濃インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nm
であり、表面張力γは35mN/mであった。
【0156】 〈ブラック淡インク1の調製〉 ブラック顔料分散体1 2質量% エチレングリコール 25質量% ジエチレングリコール 10質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 62.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるブラック淡インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は89nm
であり、表面張力γは36mN/mであった。
【0157】(染料インクの調製)以下に記載の方法に
従って、染料インクを調製した。
【0158】 〈イエローインク〉 C.I.Acid Yellow23 11質量% ジエチレングリコール 25質量% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量% 水で100質量%に仕上げる 〈マゼンタインク〉 C.I.Direct Red227 10質量% ジエチレングリコール 29質量% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量% 水で100質量%に仕上げる 〈シアンインク〉 C.I.Direct Blue199 13質量% ジエチレングリコール 25質量% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量% 水で100質量%に仕上げる 〈ブラックインク〉 C.I.Food Black2 10質量% ジエチレングリコール 25質量% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量% 水で100質量%に仕上げる 《インクジェット画像の作成》上記作製した記録媒体の
種類及びインクの種類を組み合わせて、印字から定着処
理までの時間及び定着処理時のインク溶媒の残留量を表
1に記載のように変化させて、インクジェット画像1〜
12を作成した。
【0159】なお、インクジェットプリンターは、染料
インクを用いる場合には、4色対応ヘッドを用い、顔料
インクを使用する水準では、8色対応ヘッドを用いて、
インクジェットプリンターMC−2000(セイコーエ
プソン株式会社製)により、前記図1に記載の構成で、
定着ローラー方式の加熱定着部を有するプリンターを用
いて各々の画像形成を行った。定着、加圧ローラーは、
直径φ50mm×幅394.4mmで内径φ24mmの
中空アルミローラーを用い、一方のローラーの中空の部
分には、加熱用として市販のハロゲンランプを設置し加
熱ローラーとした。この加熱ローラーと加圧ローラーを
用い、加熱ローラーの温度を120℃、線圧100N/
cm2で加熱及び加圧処理を行った。また、搬送速度
は、表1に記載の印字から定着処理までの時間に対応す
るよう適宜調整した。ちなみに、印字から定着処理まで
の時間が4分である条件は、搬送速度として48m/時
間で行い、7分である条件は、搬送速度27m/時間で
行った。
【0160】印字画像は、イエロー、マゼンタ、シアン
及びブラックの各ウエッジ画像、縦及び横に1cm巾で
Y、M、C、B、G、R、Bkの帯を各々描いた格子状
テストチャート及び人物ポートレート像をプリントし
た。なお、印字の際のインクの最大打ち込み量は、18
ml/m2で行った。
【0161】《出力画像の評価》以上のように出力した
画像1〜12について、以下の各評価を行った。
【0162】(定着処理時の残留溶媒量の測定)印字直
後及び定着直前の印字済み試料のBkの帯部を、1cm
×1cm切り出し、それぞれの質量をW1、W2とし、更
にW1の試料を120℃で1時間加熱処理した後の質量
をW3とし、下式より定着処理時の残留溶媒量を測定し
た。
【0163】残留溶媒量(%)=(W1−W2)/(W1
−W3)×100 (光沢性の評価)評価サンプルの黒ベタチャート部の画
像を写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機械社製)
で反射60度、光学くし2mmでの写像性(光沢値C値
%)を測定した。評価は、以下の基準によって行った。
【0164】5:C値%が66以上 4:C値%が61〜65 3:C値%が60〜51 2:C値%が50〜41 1:C値%が40以下 上記評価ランクにおいて、3以上が実用上好ましいラン
クと判断した。
【0165】(ブロンジング)プリント後の試料を23
℃、80%RHで7日間保存した後、ブロンジングの評
価を下記の4段階に目視で評価した。
【0166】◎:全くブロンジングが発生していない ○:わずかに黒ベタ部にブロンジングの発生が見られる △:黒ベタ部に実用上許容できる限界のブロンジングが
発生 ×:黒ベタ部の全面にブロンジングが発生し、実用上許
容できないレベル。
【0167】
【表1】
【0168】表1より明らかなように、本発明の印字
後、加熱ローラーを用いた定着処理を行うまでの時間が
5分以内である試料、印字した溶媒の50%以上が残留
している状態で定着処理を行った試料は、比較品に対
し、光沢度に優れ、ブロンジングの発生が少ないことが
判る。更に、下層にインク吸収層を設け、表層に熱可塑
性樹脂を含有した記録媒体、あるいは表層に熱可塑性樹
脂と無機微粒子を併用下記録媒体、インクとして水性顔
料インクを用いることにより、その効果がより一層発揮
されていることが判る。
【0169】実施例2 実施例1において、インクの最大打ち込み量、印字から
定着までの時間を表2記載のように変化した以外は同様
にして、インクジェット画像形成を行いインクジェット
画像13〜21を作成し、実施例1に記載の方法で光沢
性及びブロンジングの評価を行い、得られた結果を表2
に示す。
【0170】
【表2】
【0171】表2より明らかなように、インクの最大打
ち込み量を20〜35ml/m2の範囲で行った試料
は、比較品に対し、光沢性に優れ、ブロンジングの発生
が少ないことが判る。加えて、インク印字から定着処理
までの時間を5分以内で行うことによりその効果が一層
発揮されていることが判る。
【0172】実施例3 実施例1において、インクジェットプリンターとしてM
C−2000(セイコーエプソン株式会社製)を用い、
前記図2に記載の構成で、定着ベルト方式の加熱定着部
を有するプリンターを用いて各々の画像形成を行った。
定着ベルトは、加熱ローラーとして、直径φ50mm×
幅394.4mmで内径φ24mmの中空アルミローラ
ーを用い、ローラーの中空の部分には、加熱用として市
販のハロゲンランプを設置し加熱ローラーとした。この
一対の加熱ローラーと加圧ローラー間に、表面に剥離紙
用離型剤を塗布したφ65mm×239mmのシームレ
スニッケルベルトをセットし、これを2対用意して、定
着ベルトとした。
【0173】加熱ローラーの温度を120℃、線圧10
0N/cm2で加熱及び加圧処理を行った。また、搬送
速度は、表3に記載の印字から定着処理までの時間に対
応するよう適宜調整した。ちなみに、印字から定着処理
までの時間が4分である条件は、搬送速度として48m
/時間で行い、7分である条件は、搬送速度27m/時
間で行った。
【0174】次いで、実施例1に記載の方法に従い、イ
ンクジェット画像形成を行って、インクジェット画像2
2〜33を作成し、実施例1と同様の方法で、光沢性、
ブロンジングの評価を行い、得られた結果を表3に示
す。
【0175】
【表3】
【0176】表3より明らかなように、本発明の条件で
定着処理を行った試料は、実施例1(定着ローラー)と
同様に、比較例に対し、光沢性に優れ、ブロンジングの
発生が少ないことがわかり、更に、それぞれの条件は、
実施例1の定着ローラーを用いた定着方法に対しても、
改良効果に優れていることが判る。
【0177】
【発明の効果】本発明により、光沢性に優れ、かつブロ
ンジングが改良されたインクジェット画像の定着方法を
提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる加熱ローラーを有するイン
クジェット記録装置の一例を示す概略構成図。
【図2】本発明で用いられる定着ベルトを有するインク
ジェット記録装置の他の一例を示す概略構成図。
【符号の説明】
1 記録媒体 1a たるみ部 2 記録媒体の搬送手段 21 搬送ローラー対 3 記録ヘッド 34 記録媒体保持部 4 加熱定着手段 41 加熱ローラー 42 加圧ローラー 43 発熱体 44 定着ベルト 45 下部ベルト 46 従動ローラー 5 温度センサ 6 記録媒体の切断手段 61、62 カッタ 7 たるみ形成手段 71 第1のローラー対 72 第2のローラー対
フロントページの続き (72)発明者 加賀 誠 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 福田 輝幸 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 宮本 不二夫 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC06 HA44 2H086 BA03 BA05 BA13 BA15 BA32 BA33 BA34

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェット記録媒体上に、インクの
    噴射により印字された画像の定着方法において、画像印
    字後5分以内に定着処理を行うことを特徴とするインク
    ジェット画像の定着方法。
  2. 【請求項2】 インクジェット記録媒体上に、インクの
    噴射により印字された画像の定着方法において、該イン
    クジェット記録媒体へのインクの最大打ち込み量が、2
    0〜35ml/m2であることを特徴とするインクジェ
    ット画像の定着方法。
  3. 【請求項3】 インクジェット記録媒体上に、インクの
    噴射により印字された画像の定着方法において、該イン
    クジェット記録媒体上に噴射されたインク溶媒の少なく
    とも50%が残留している状態で定着処理を行うことを
    特徴とするインクジェット画像の定着方法。
  4. 【請求項4】 前記インクが、水性顔料インクであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット画像の定着方法。
  5. 【請求項5】 前記インクジェット記録媒体が、熱可塑
    性樹脂粒子を含有する表層と、該表層に隣接して無機微
    粒子を含有するインク吸収層とを有することを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット
    画像の定着方法。
  6. 【請求項6】 前記インクジェット記録媒体が、熱可塑
    性樹脂粒子と無機微粒子とを含有する表層と、該表層に
    隣接して無機微粒子を含有するインク吸収層とを有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    インクジェット画像の定着方法。
  7. 【請求項7】 前記インクジェット記録媒体を、加熱手
    段と加圧手段との間隙に、ベルト部材と共に搬送させる
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    インクジェット画像の定着方法。
  8. 【請求項8】 前記インクジェット記録媒体を、38.
    1m/時間以上の速度で搬送することを特徴とする請求
    項7に記載のインクジェット画像の定着方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004181957A (ja) * 2002-12-04 2004-07-02 Hewlett-Packard Development Co Lp 多孔質媒体用の密封可能トップコート
US7513942B2 (en) 2004-03-16 2009-04-07 Fujifilm Corporation Fine particle dispersion, ink composition using the same, and ink-jet recording method
JP2009113292A (ja) * 2007-11-05 2009-05-28 Fujifilm Corp 顔料インク用インクジェット記録媒体
JP2016052786A (ja) * 2008-12-09 2016-04-14 セイコーエプソン株式会社 画像記録方法、画像記録システム

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