JP4016859B2 - インクジェット記録媒体とそれを用いたインクジェット画像形成方法 - Google Patents

インクジェット記録媒体とそれを用いたインクジェット画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のインクジェット記録媒体とそれを用いたインクジェット画像形成方法に関し、詳しくは、インク吸収性、塗布故障耐性及び光沢が改良されたインクジェット記録媒体とそれを用いたインクジェット画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット技術の進歩は目覚ましく、プリンター技術、インク技術、専用記録媒体技術が相俟って写真画質と呼ばれるレベルになってきている。画質の向上に伴い、インクジェット画像の保存性を従来の銀塩写真と比較するようになり、多くの染料インクにおいて、インクジェット画像の耐水性、色材の移動を伴う耐にじみ性の劣化、更に耐光性や酸化性ガス耐性の弱さといった色材の化学反応を伴う劣化が指摘されている。
【0003】
染料インク画像の保存性を改良するために多くの提案がされている。インクジェット記録媒体に係る改良方法としては、特公平2−31673号においては、インクジェット記録媒体の最表層に熱可塑性有機高分子粒子からなる層を設け、画像を記録した後に熱可塑性有機高分子粒子を溶融皮膜化し、結果として保護膜を設け、耐水性、耐候性の改良及び画像の光沢付与を達成している。
【0004】
しかし、従来の最表層に熱可塑性有機高分子粒子からなる層を設けたインクジェット記録媒体には、以下の課題がある。第一には、定着処理により光沢付与はするものの、その光沢は銀塩写真に比べ不十分な点である。特に、顔料インクを用いた場合に顕著である。また、高速画像形成を目的に印字後、時間をおかずに加熱定着する場合も、画像欠陥が発生したりして画質が低下する。二つ目は、最表層に熱可塑性有機高分子粒子からなる層を設けることによるインク吸収速度の低下により、カラーブリード、あるいはビーディングが発生し、画質低下を引き起こすことである。特に近年、高速プリント需要に対応すべくプリンターの高速化がなされており、画質劣化はより大きい問題になる。第三番目としては、光沢発現のために、熱可塑性樹脂を添加するが、これがインクジェット記録媒体表面のひび割れを引き起こすことが挙げられる。熱可塑性樹脂はガラス転移点温度が低ければ、記録媒体の塗布乾燥時の温度で、溶融を開始することとなり、塗布膜中でバインダーとして機能することとなるが、印字後に加熱圧処理を行う場合は、インクジェット記録媒体の製造時、製造後の保存温度で熱可塑性樹脂が溶融しないために、ガラス転移点の高い樹脂を選択する必要がある。そのため、実質的なバインダーの減量となる。このため塗布膜強度の低下を引き起こし、ひび割れが発生するものと推定される。熱可塑性樹脂量を減量すればひび割れは軽減されるが、光沢の低減を招く。
【0005】
上記課題に対し、平均粒子径が0.1μm未満の無機微粒子及び平均重合度4000以上のポリビニルアルコール(PVA)からなる、インクジェット記録シートに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。確かにこの技術により、ひび割れ、光沢の改良効果が得られるが、ポリビニルアルコールの重合度の著しい上昇は、インクジェット記録シートを製造するための塗布液の著しい増粘を招き、塗布故障の原因となりやすく、またインク吸収速度や溶融成膜後の光沢が低下することが判明した。また、インクジェット記録媒体の製造において、熱可塑性樹脂を含有することの有用性及びポリビニルアルコールを乳化重合用保護コロイドとして、合成された熱可塑性樹脂を用いることの有用性については何ら記載されておらず、示唆もされていない。
【0006】
また、吸水性バインダーポリマーの媒体中に粒径0.3μm以下の疎水性ポリマー粒子を積層する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。該公報における技術の狙いは、透明支持体を用いた透過性記録媒体の光透過率向上であり、塗膜表面のひび割れ、光沢に加え、画像記録後の加熱処理については何ら記載していないし、示唆もしていない。
【0007】
また、比表面積、粒子径を規定し、バインダーを含有する水系分散体からなるインクジェットコート材料に関する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。該公報においては、染料インクでの耐水性、透明性を向上させることを目的としており、顔料インクを使用した場合の記述や、バインダーを含有する水系分散体の特定の層への添加についての記述はなく、また画像記録後の加熱処理についてもなんら触れられていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−117334号公報 (特許請求の範囲)
【0009】
【特許文献2】
特開平8−318671号公報 (特許請求の範囲)
【0010】
【特許文献3】
特開2000−211243号公報 (特許請求の範囲)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク吸収性、塗布故障耐性及び光沢に優れたインクジェット記録媒体とそれを用いたインクジェット画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の構成により達成される。
【0013】
1.RC(レジンコーテッド)支持体上に、少なくとも2層のインク吸収層を有し、該支持体から最も離れた位置のインク吸収層が熱可塑性樹脂粒子を含有する表層であるインクジェット記録媒体において、該熱可塑性樹脂粒子が、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであって、該熱可塑性樹脂粒子を含有する表層の無機微粒子(F)と水溶性高分子(B)との質量比F/Bが、該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層のF/Bより高いことを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0014】
2.前記インク吸収層の少なくとも1層が、自己架橋性エマルジョンを含有することを特徴とする前記1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0015】
3.RC(レジンコーテッド)支持体上に、少なくとも2層のインク吸収層を有し、該支持体から最も離れた位置のインク吸収層である表層と該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が、各々熱可塑性樹脂粒子を含有するインクジェット記録媒体において、該熱可塑性樹脂粒子のいずれもが、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであって、前記表層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg1が、該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg2より高いことを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0016】
4.前記表層の無機微粒子(F)と水溶性高分子(B)との質量比F/Bが、前記表層に対し支持体側に位置するインク吸収層のF/Bより高いことを特徴とする前記3項に記載のインクジェット記録媒体。
【0017】
5.前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体上に、水性インクを用いて画像を形成した後、加熱加圧処理することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【0018】
6.前記水性インクが、顔料を含む顔料インクであることを特徴とする前記5項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0019】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、RC(レジンコーテッド)支持体上に、少なくとも2層のインク吸収層を有し、該支持体から最も離れた位置のインク吸収層が熱可塑性樹脂粒子を含有する表層であって、該熱可塑性樹脂粒子が、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであって、該熱可塑性樹脂粒子を含有する表層の無機微粒子(F)と水溶性高分子(B)との質量比F/Bが、該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層のF/Bより高いインクジェット記録媒体、あるいは、RC(レジンコーテッド)支持体上に、少なくとも2層のインク吸収層を有し、該支持体から最も離れた位置のインク吸収層である表層と該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が、各々熱可塑性樹脂粒子を含有するインクジェット記録媒体において、該熱可塑性樹脂粒子のいずれもが、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであって、前記表層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg1が、該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg2より高いインクジェット記録媒体により、インク吸収性、塗布故障耐性及び光沢に優れたインクジェット記録媒体を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0020】
本発明の上記構成に加えて、インク吸収層の少なくとも1層が、自己架橋性エマルジョンを含有すること、あるいはインクジェット記録媒体上に、水性インクを用いて画像を形成した後、加熱加圧処理するインクジェット画像形成方法を用いることにより、上記本発明の目的効果がより一層発揮されることを見出したものである。
【0021】
本発明で規定する構成を有するインクジェット記録媒体によるインク吸収性、塗布故障耐性や光沢が改良される詳細な機構に関しては、未だ明確にはなっていないが、以下のように推測している。すなわち、表層に用いる熱可塑性樹脂粒子として、平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを乳化重合用保護コロイドとして用いて合成された水性エマルジョンを用いると、表層の塗膜強度(例えば、硬度、剛度等)が高まり、その結果、画像印字後の加熱加圧処理により、塗膜が変形し難くなるため、顔料の埋まり込みが制限され光沢の低下を引き起こす。本発明では、表層の水溶性高分子(B)に対する無機微粒子(F)の質量比F/Bを高くすることにより、インクが着弾した後に、表層において色材粒子と溶媒との分離が速やかに行われ、その後の加熱加圧処理工程で表面に残留した色材粒子に対し、効率的にエネルギーを付与することができ、その結果、色材粒子のインクジェット記録媒体への埋め込みが十分に行われ、光沢が向上するものと推測している。
【0022】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)は、RC(レジンコーテッド)支持体上に、少なくとも2層のインク吸収層を有し、該支持体から最も離れた位置のインク吸収層が、熱可塑性樹脂粒子を含有する表層であって、該熱可塑性樹脂粒子が、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであって、該熱可塑性樹脂粒子を含有する表層の無機微粒子(F)と水溶性高分子(B)との質量比F/Bが、該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層のF/Bより高いことが特徴である。また、RC(レジンコーテッド)支持体上に、少なくとも2層のインク吸収層を有し、該支持体から最も離れた位置のインク吸収層である表層と該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が、各々熱可塑性樹脂粒子を含有し、該熱可塑性樹脂粒子のいずれもが、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであって、前記表層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg1が、該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg2より高いことが特徴である。
【0023】
はじめに、本発明に係る表層で用いる熱可塑性樹脂粒子について説明する。
本発明に係る表層で用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられ、中でもスチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。熱可塑性樹脂は、モノマー組成及び、粒径、平均重合度が違う複数の重合体を混合して用いても良い。
【0024】
熱可塑性樹脂を選択するに際し、インク吸収性、加熱加圧による後処理工程後の画像の光沢性、画像堅牢性及び離型性を考慮すべきである。
【0025】
インク吸収性については、熱可塑性樹脂粒子の粒径が0.05μm未満の場合は、例えば、顔料インクを用いる場合には、顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度の低下を招くことになる。また、10μmを越えると、RC支持体上に塗設する際にインク吸収層との接着性や、塗設乾燥後のインクジェット記録媒体の皮膜強度の点から好ましくない。このために好ましい熱可塑性樹脂粒子径としては0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。さらに好ましくは、0.1〜1μmである。
【0026】
また、熱可塑性樹脂の選択の基準としては、ガラス転移点(Tg)が挙げられる。Tgが塗布乾燥温度より低い場合は、例えば、記録媒体製造時の塗布乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透過するための熱可塑性樹脂粒子による空隙が消失してしまう。
【0027】
また、Tgが、支持体の熱による変性を起こす温度以上の場合は、インクによるインクジェット記録を行った後、溶融成膜するために高温での定着操作が必要となり、装置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可塑性樹脂粒子の好ましいTgは、50〜150℃である。また、最低造膜温度(MFT)としては、50〜150℃のものが好ましい。
【0028】
ガラス転移点(Tg)は、温度を変化させる過程において熱膨張係数及び比熱などが不連続的に変化することを利用して公知の方法で測定することができる。
【0029】
熱可塑性樹脂粒子は、環境適性の観点から、水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。この際、ノニオン系分散剤を乳化剤として用いて乳化重合したタイプは好ましく用いることができる形態である。
【0030】
本発明に係る表層に用いる熱可塑性樹脂粒子は、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであることが特徴の1つである。また、本発明においては、本発明に係る上記熱可塑性樹脂粒子を、表層に対し支持体側に位置するインク吸収層に用いることも特徴の1つである。その際、表層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg1が、表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg2より高いことが特徴である。
【0031】
本発明で好ましく用いられる平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0032】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、ケン化度が70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0033】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0034】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0035】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0036】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0037】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0038】
また、本発明に係る表層あるいは後述するインク吸収層においては、自己架橋型エマルジョンを含有することが好ましい。
【0039】
本発明でいう自己架橋型エマルジョンとは、架橋反応基を有する単量体(モノマー)から形成された樹脂からなるエマルジョンで、線形構造のみならず、3次元架橋構造を有する樹脂を含むエマルジョンとして定義される。自己架橋型エマルジョンとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル重合体ラテックス、或いはこれら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合ラテックスであり、例えば、アミノ基とエポキシ基を有し水揮発後に耐水性を有する膜を形成するエマルジョンが挙げられる。自己架橋型エマルジョンの具体例として、例えば、クラリアントポリマー社製のアクリル共重合エマルジョンであるモビニール747、モビニール760H、モビニール4700、モビニール761H、モビニール718、モビニール2000、モビニール3410、酢酸ビニル共重合エマルジョンであるモビニール771H、モビニール78H、酢酸ビニル−アクリル共重合エマルジョンであるアプレタン2200等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。本発明に係る自己架橋型エマルジョンに含まれる樹脂粒子の粒径としては、100〜500nmであることが好ましく、更に好ましくは100〜300nmである。
【0040】
次いで、本発明に係る表層で用いる水溶性高分子及び無機微粒子につて説明する。
【0041】
水溶性高分子(B:水溶性バインダーともいう)としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
【0042】
本発明で好ましく用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0043】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールとしては、上述の熱可塑性樹脂の乳化重合用保護コロイドとして用いるのと同様の平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0044】
次いで、無機微粒子(F)について説明する。
本発明で用いることのできる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0045】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは表層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0046】
無機微粒子としては、シリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましく、シリカがより好ましい。
【0047】
シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられ、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得られる。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0048】
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0049】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーなどにより吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0050】
本発明においては、熱可塑性樹脂粒子を含有する表層の無機微粒子(F)と水溶性高分子(B)との質量比F/Bが、表層に対し支持体側に位置するインク吸収層のF/Bより高いこと特徴であり、好ましくは表層のF/Bが、表層に対し支持体側に位置するインク吸収層のF/Bに対し1.01〜2.0倍であり、特に好ましくは1.2〜1.8倍である。
【0051】
また、本発明に係る表層におけるF/Bとしては4〜15の範囲が好ましく、より好ましくは5〜12の範囲であり、更に好ましくは5〜10の範囲である。
【0052】
本発明でいう水溶性高分子(B)量とは、表層あるいは後述のインク吸収層を構成する水溶性高分子(高分子バインダー)量を意味し、熱可塑性樹脂粒子の調製に使用されている乳化重合用保護コロイドとしての平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールの含有量は含まないものとする。
【0053】
本発明においては、表層に無機微粒子及び熱可塑性樹脂を含む構成が特徴であるが、好ましい理由として以下の点を挙げることができる。
【0054】
1)インク吸収速度が大きく、ビーディング、カラーブリード等の画質劣化が起こりにくく、高速印字適性を有している
2)画像表面強度が強い
3)画像保存時の重ねでの融着がおこりにくい
4)表層の塗布生産性に優れている
5)筆記性を有している
本発明に係る表層には、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0055】
本発明に係る表層の膜厚としては、3〜15μmであることが好ましい。
表層の膜厚の測定方法としては、表層を設けた記録媒体断面を正確に垂直方向に切断した後、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて観察する方法を挙げることができる。
【0056】
本発明のインクジェット記録媒体においては、支持体と上記表層との間に、インク溶媒を吸収する少なくとも1層のインク吸収層を設ける。
【0057】
記録媒体のインク吸収層としては、大きく別けて、膨潤型と空隙型とがある。
膨潤型としては、親水性バインダーとして、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布しこれをインク吸収層としたものを用いることができる。
【0058】
空隙型としては、微粒子及び親水性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に、粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。
【0059】
連続、あるいは高速プリントに適性を持たせるには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、空隙型を特に好ましく用いることができる。
【0060】
以下、空隙型インク吸収層(空隙層ともいう)について更に詳細に説明する。
空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を作製する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが特に好ましい。
【0061】
上記の目的で使用される無機微粒子としては、前述の表層で用いられる無機顔料微粒子と同様のものを用いることができる。
【0062】
また、親水性バインダーとしては、前述の表層で記載した水溶性高分子と同様の化合物を挙げることができる。
【0063】
インク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般にはインクジェット記録媒体1m2当たり、通常、5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0064】
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子(F)と水溶性樹脂(B)の比率F/Bは、質量比で通常2〜20であり、特に3〜10であることが好ましい。
【0065】
インク吸収層は、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0066】
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0067】
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク溶媒吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョンと水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールとを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク溶媒吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。
【0068】
上記ポリウレタン樹脂を用いたインク溶媒吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0069】
本発明においては、インクジェット記録媒体のインク吸収層全体の平均空隙率が40〜70%であること、あるいは前述の表層の空隙率が30〜70%であることが好ましい。
【0070】
インク吸収能を有するインク吸収層全体、あるいは表層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率といい、一つの方法としては、以下の式に従って求めることができる。
【0071】
空隙率=100×〔(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/(全乾燥膜厚)〕
また、下記の方法によっても、インク吸収層全体、あるいは表層の空隙率を測定することができる。例えば、100μmポリエチレンテレフタレート上に、全インク吸収層あるいは表層のみを塗布し、ブリストー測定による飽和転移量、あるいは吸水量測定などによっても簡易に求めることができる。
【0072】
次いで、本発明に係るインクジェット記録媒体で用いるRC支持体について説明する。
【0073】
本発明で用いるRC支持体としては、特に紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
【0074】
以下、本発明で特に好ましい支持体である紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体について説明する。
【0075】
本発明の支持体に用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜70%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0076】
紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
【0077】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分は20%以下であることが好ましい。
【0078】
紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に、70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。
【0079】
紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS P 8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0080】
紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるのと同様のサイズ剤を使用できる。
【0081】
紙のpHは、JIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、pH5〜9であることが好ましい。
【0082】
次に、この紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂について説明する。
この目的で用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンが挙げられるが、プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
【0083】
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。
紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0084】
特に、塗布層側のポリオレフィン層は、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20%、好ましくは2〜15%である。
【0085】
ポリオレフィン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高い着色顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
【0086】
着色顔料としては、例えば、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。
【0087】
蛍光増白剤としては、例えば、ジアルキルアミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビスメチルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベンズオキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベン等が挙げられる。
【0088】
紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜50μm、バック層側で10〜40μmの範囲である。表裏のポリエチレンの比率は、インク吸収層の種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のポリエチレンの比率は、厚みで概ね3/1〜1/3である。
【0089】
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下(1)〜(7)の特性を有していることが好ましい。
【0090】
(1)引っ張り強さは、JIS P 8113で規定される強度で縦方向が19.6〜294N、横方向が9.8〜196Nであることが好ましい。
【0091】
(2)引き裂き強度は、JIS P 8116で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい。
【0092】
(3)圧縮弾性率は、9.8kN/cm2が好ましい。
(4)不透明度は、JIS P 8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい。
【0093】
(5)白さは、JIS Z 8727で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい。
【0094】
(6)クラーク剛直度は、記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である支持体が好ましい。
【0095】
(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい。
(8)インク吸収層を設ける光沢度(75度鏡面光沢度)は10〜90%が好ましい。
【0096】
本発明の画像形成方法においては、インクとして水性インクを用いることが特徴である。画像形成に用いる水性インクとは、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録インクであり、着色剤としては、本発明においては、画像保存性の観点から顔料を用いることが好ましい。顔料インク中の顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラックを好ましく用いることができる。
【0097】
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0098】
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0099】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0100】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0101】
本発明で使用できる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。
【0102】
顔料の分散方法としては、その方法に特に制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0103】
本発明に係る顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい方法である。
【0104】
顔料インクとして好ましい形態である水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0105】
水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
【0106】
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
【0107】
本発明に用いる顔料インクは、アセチレン系界面活性剤を含有することが好ましい。該アセチレン系界面活性剤としては、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物が好ましい。
【0108】
また、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物としては、Air Products社製サーフィノール82、サーフィノール104、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485等を好ましく用いられる。
【0109】
インク組成物は、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微粒子、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜添加することもできる。
【0110】
特に、熱可塑性微粒子を添加することは、本発明の効果を得るうえで好ましい。熱可塑性微粒子については、上記の記録媒体表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいは微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。熱可塑性微粒子の平均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、より好ましくは、インク中の顔料の平均粒径の0.2倍〜2倍の範囲で選択すると安定性の観点で好ましい。添加する熱可塑性微粒子は、50℃〜200℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
【0111】
インク組成物は、その飛翔時の粘度として40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。
【0112】
インク組成物は、その飛翔時の表面張力として20mN/m以上が好ましく、30〜45mN/mであることが、より好ましい。
【0113】
インク中の顔料固形分濃度は、0.1〜10%の範囲で選択でき、写真画像を得るには、顔料固形分濃度を各々変化した、いわゆる濃淡インクを用いることが好ましく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃淡インクを各々用いることは特に好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも、色再現性上好ましい。
【0114】
本発明のインクジェット画像を形成するには、市販されているプリンターのように記録媒体収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録媒体収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び加熱加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであると、インクジェット写真を商用利用する場合に有用である。
【0115】
記録ヘッドは、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式のいずれでもよいが、顔料インクでの安定性の観点からピエゾ方式が好ましい。
【0116】
次いで、本発明の画像形成方法に係る加熱加圧処理について説明する。
本発明の画像形成方法は、上記構成からなるインクジェット記録媒体に、インクジェットによりインクを吐出した後、加熱加圧定着処理を施すことが特徴であるが、加熱加圧条件としては、0.5〜5MPaの圧力と、70〜130℃の温度条件であることが好ましい。
【0117】
本発明で用いることのできる加熱加圧処理方法としては、特に制限はないが、一対の加熱加圧ローラ、一対の加熱加圧ベルト、あるいは画像記録面に接する面側に加熱加圧ベルト、裏面側に接する部材が保持ローラからなる加熱加圧装置を用いることが好ましい。
【0118】
加熱加圧ローラとしては、金属製の金属ローラでも、あるいは金属製の芯金の周囲に弾性体からなる被覆層および必要に応じて表面層(離型層ともいう)を形成したものであり、芯金は、例えば、鉄製、アルミニウム製、SUS製等の円筒体で構成されている。芯金の表面には、被覆層が設けられている。被覆層としては、特に、離型性を有するシリコーン樹脂が好ましく、例えば、溶剤付加型、または縮合硬化型シリコーン等のような硬化型シリコーンを用いて作製されたシリコーン樹脂である。特に好ましくは、溶剤付加型シリコーンである。
【0119】
上記記載の溶剤付加型シリコーンは、両末端、あるいは、両末端及び鎖中に、ビニル基を有する直鎖状メチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させて得られる。
【0120】
溶剤付加型シリコーンの具体例としては、例えば、信越シリコーン社製のKS−887、KS−779H、KS−778、KS−835、X−62−2456、X−62−2494、X−62−2461、KS−3650、KS−3655、KS−3600、KS−847、KS−770、KS−770L、KS−776A、KS−856、KS−775、KS−830、KS−830E、KS−839、X−62−2404、X−62−2405、KS−3702、X−62−2232、KS−3503、KS−3502、KS−3703、KS−5508等が挙げられる。
【0121】
縮合硬化型シリコーンの具体例としては、例えば、信越シリコーン社製のKS−881、KS−882、KS−883、X−62−9490、X−62−9028等のシリコーンが好ましく用いられる。
【0122】
また、上記金属ローラの一方の芯金内部には、発熱体が内蔵されており、ローラ間に記録媒体を通すことによって、加熱処理と加圧処理とを同時に施したり、あるいは必要に応じて、2つの加熱ローラを用いて記録媒体を挟んで加熱してもよい。加熱ローラ内には熱源として、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等からなる発熱体が内蔵されている。
【0123】
加熱加圧装置に用いられるベルト基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、基材の厚さは10〜100μmが好ましい。また、基材の材質としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。
【0124】
基材がローラ、ベルトのいずれによらず、シリコーン樹脂層の厚さとしては、1〜50μmであることが好ましく、更に好ましくは10〜30μmである。
【0125】
本発明において、上記で規定する圧力(ニップ圧)を達成するには、例えば、加圧ローラー両端に、ニップ間隙を考慮して、所望のニップ圧が得られるように特定の張力を有するバネを選択して設置すればよい。この時のバネとしては、例えば、張力が0.2〜10MPaのものをローラー長さに応じて選択し使用することができる。
【0126】
ニップ圧の測定方法は、例えば、加圧ローラにかけている力を、感圧紙等で測定したニップ面積で除することにより求めることができ、あるいは加圧ローラ間に感圧紙からなる圧力測定紙をはさみ加圧して、その圧力測定紙の濃度よりニップ圧を求めることもできる。圧力測定紙としては、例えば、FPD301(富士フィルム社製)極超低圧用感圧紙を挙げることができる。
【0127】
加熱加圧ローラ、あるいは加熱加圧ベルトを用いる場合の記録媒体の搬送速度は、1〜15mm/秒の範囲が好ましい。これは、高速処理性の観点以外に、画質の観点からも好ましい。
【0128】
次いで、本発明の画像形成方法で用いることのできる装置の一例を示す。
図1は、本発明で用いることのできる加熱加圧処理を行う加熱加圧ローラーを有するインクジェット記録装置の一例を示す。また、図2には、本発明で用いることのできる加熱加圧処理を行う加熱加圧ベルトを有するインクジェット記録装置の他の一例を示す。
【0129】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0130】
実施例1
《記録媒体の作製》
〔記録媒体101の作製〕
以下に示す手順に従って、記録媒体101を作製した。
【0131】
(シリカ分散液−1の調製)
1次粒子の平均粒径が約12nmの気相法シリカ(トクヤマ社製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、純水で全量を694Lに仕上げて、シリカ分散液−1を調製した。
【0132】
(シリカ分散液−2の調製)
下記カチオン性ポリマー(P−1)1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含む水溶液(pH=2.3)18Lに、上記調製したシリカ分散液−1の69.4Lを攪拌しながら添加し、次いで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含む水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。この混合液を、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げて、シリカ分散液−2を調製した。
【0133】
【化1】
Figure 0004016859
【0134】
(下層塗布液1の調製)
40℃で攪拌しながら、前記調製したシリカ分散液−2の600mlに、以下の添加剤を順次混合して、下層塗布液を調製した。
【0135】
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶
Figure 0004016859
純水で全量を1000mlに仕上げた。
【0136】
この下層塗布液1のシリカ(F)/PVA(B)は5.0である。
(上層塗布液1の調製)
上記下層塗布液1を40℃で攪拌しながら、そこへ重合度1000のポリビニルアルコール(PVA)を用いて、乳化重合させることによって得られた熱可塑性樹脂粒子であるメチルメタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体(ガラス転移点80℃、平均粒径150nm)分散液を、熱可塑性樹脂粒子とシリカの固形分質量比が50:50となるように添加し、更にシリカ(F)/PVA(B)が8.0となるように、PVA203及びPVA235を添加して、上層塗布液1を調製した。
【0137】
(塗布)
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(RC原紙:厚み220μmでインク吸収面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に支持体側から順に、第1層として前記下層塗布液を湿潤膜厚が200μmとなるように、第2層として前記上層塗布液を熱可塑性樹脂の固形分質量が3.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行って記録媒体101を作製した。
【0138】
〔記録媒体102〜117の作製〕
上記記録媒体101の作製において、上層塗布液1の熱可塑性樹脂粒子の調製に用いたポリビニルアルコールの重合度を表1に記載の用に変更し、更に、シリカ及び水溶性バインダーであるPVA203及びPVA235を添加を適宜調整して表1に記載の上層のF/Bである上層塗布液2〜17と、シリカ及び水溶性バインダーであるPVA203及びPVA235を添加を適宜調整して表1に記載の下層のF/Bとなるように変更した下層塗布液2〜4を用いた以外は同様にして、記録媒体102〜117を作製した。
【0139】
なお、試料108の上層塗布液8及び試料109の下層塗布液4においては、水溶性バインダーの30質量%相当量のアクリルシリコーン系樹脂(自己架橋性樹脂、平均粒径250nm)を添加した。
【0140】
Figure 0004016859
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔料分散体1を得た。得られたイエロー顔料の平均粒径は112nmであった。
【0141】
Figure 0004016859
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔料分散体1を得た。得られたマゼンタ顔料の平均粒径は105nmであった。
【0142】
Figure 0004016859
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、シアン顔料分散体1を得た。得られたシアン顔料の平均粒径は87nmであった。
【0143】
Figure 0004016859
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、ブラック顔料分散体1を得た。得られたブラック顔料の平均粒径は75nmであった。
【0144】
(インクの調製)
〈イエロー濃インク1の調製〉
イエロー顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー濃インク1を作製した。該インク中の顔料の平均粒径は120nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0145】
〈イエロー淡インク1の調製〉
イエロー顔料分散体1 3質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 61.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー淡インク1を作製した。該インク中の顔料の平均粒径は118nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0146】
〈マゼンタ濃インク1の調製〉
マゼンタ顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ濃インク1を作製した。該インク中の顔料の平均粒径は113nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0147】
〈マゼンタ淡インク1の調製〉
マゼンタ顔料分散体1 3質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 61.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ淡インク1を作製した。該インク中の顔料の平均粒径は110nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0148】
〈シアン濃インク1の調製〉
シアン顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン濃インク1を作製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0149】
〈シアン淡インク1の調製〉
シアン顔料分散体1 2質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.2質量%
イオン交換水 62.8質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン淡インク1を作製した。該インク中の顔料の平均粒径は92nmであり、表面張力γは33mN/mであった。
【0150】
〈ブラック濃インク1の調製〉
ブラック顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック濃インク1を作製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0151】
〈ブラック淡インク1の調製〉
ブラック顔料分散体1 2質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 62.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック淡インク1を作製した。該インク中の顔料の平均粒径は89nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0152】
《インクジェット画像形成》
インクジェットプリンタは8色対応ヘッドを用いて、図2のプリンターを用いて各々の画像形成を行った。印字画像は縦及び横に1cm巾でイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブルー(B)、グリーン(G)、レッド(R)、ブラック(K)の帯状テストチャート及び人物ポートレート像をプリントした。
【0153】
また画像形成後の加熱処理は、ベルト型定着ローラ表面温度120℃にて処理し、表層の熱可塑性樹脂を溶融皮膜化し、画像形成した。
【0154】
図2は、実施例で使用したベルト型加熱定着ローラーを有するインクジェット記録装置を示す概略構成図である。
【0155】
図2において、8色対応ヘッドにインク(Y、M、C、K)をセットし、ロール幅12.7cmロール状の記録媒体をセットし、記録媒体は8.9cm毎に内蔵カッターにて切断した。このようにしてL版相当のプリントを連続して作成した。
【0156】
また、上記同様の画像をデジタルミニラボQD−21 PLUS(コニカ社製)を用い、コニカカラーQAペーパータイプA7(コニカ社製)上に出力し、現像処理して比較用のカラー銀塩写真画像を作製した。
【0157】
《記録媒体及び出力画像の評価》
(ひび割れ耐性の評価)
上記作製した各記録媒体のインク吸収層塗設面100cm2について、10倍ルーペを用いて観察を行い、発生しているひび割れ数を計測し、下記の基準に則りひび割れ耐性の評価を行った。
【0158】
◎:ひび割れの発生が全く認められない
○:ひび割れの発生数が1〜3個であり、実用上問題はない
△:ひび割れの発生数が4〜10個であり、実用上の許容限界を超えている
×:ひび割れの発生数が11個以上であり、実用上極めて問題がある
(光沢の評価)
上記インクジェット画像形成方法で印字した人物ポートレート像を、同時に作製した比較用のカラー銀塩写真画像と対比観察し、下記の基準に則り光沢の評価を行った。
【0159】
◎:比較のカラー銀塩写真画像を上回る非常に高い光沢を有している
○:比較のカラー銀塩写真画像と同等の光沢感を有している
△:比較のカラー銀塩写真画像に対し、劣る光沢感である
×:比較のカラー銀塩写真画像に対し、著しく劣る光沢感である
(インク吸収性の評価)
Y、M、C、B、G、R、Kの帯状テストチャートの境界における色にじみの発生の有無を目視評価し、下記の基準に則りインク吸収性の評価を行った。
【0160】
◎:全ての色の境界部でほとんど色にじみの発生なし
○:1、2色でわずかに境界の色にじみがみられるが実用上問題なし
△:数色で境界での色にじみが発生。
【0161】
×:数色でかなり激しい境界色にじみが発生
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0162】
【表1】
Figure 0004016859
【0163】
表1より明らかなように、上層(表層)に乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された熱可塑性樹脂粒子を含有し、上層のF/Bが下層のF/Bより高い本発明の記録媒体を用いることにより、比較例に対し、ひび割れの発生が少なく、かつ光沢及びインク吸収性に優れていることが分かる。
【0164】
実施例2
《記録媒体の作製》
(エマルジョン樹脂の調製)
5%ポリビニルアルコール水溶液(平均重合度1000、けん化度88.5モル%)400gをpH=3.5に調整し、攪拌しながらメタクリル酸メチル50gとアクリル酸ブチル50gを添加して60℃に昇温した後、5%過硫酸アンモニウム水溶液10gを添加して重合を開始した。15分後、メタクリル酸メチル100gとアクリル酸ブチル100gとを3時間かけて徐々に添加し、5時間後、重合率が99.9%となったところで冷却した。これをpH7.0に中和し、エマルジョン樹脂E−1を合成した。このエマルジョンを真空乾燥器にて60℃で乾燥し、示差走査熱量計によりTgを測定したところ、15℃であった。
【0165】
上記エマルジョン樹脂E−1の調製において、ポリビニルアルコールの平均重合度を表2に記載のように変更した以外は同様にして、エマルジョン樹脂E−2〜E−5を調製した。
【0166】
【表2】
Figure 0004016859
【0167】
(下層塗布液の調製)
実施例1に記載の試料110の作製に用いた下層塗布液2において、上記調製したエマルジョン樹脂E−1〜E−5を、下層塗布液に含まれるポリビニルアルコールの20質量%相当添加した以外は同様にして、下層塗布液5〜9を調製した。
【0168】
(記録媒体201〜205の作製)
実施例1に記載の試料110の作製において、下層塗布液2に代えて、上記調製した下層塗布液5〜9を用いた以外は同様にして、記録媒体201〜205を作製した。
【0169】
(下層塗布液の調製)
実施例1に記載の試料107の作製に用いた下層塗布液1において、上記調製したエマルジョン樹脂E−1〜E−5を、下層塗布液に含まれるポリビニルアルコールの20質量%相当添加した以外は同様にして、下層塗布液10〜14を調製した。
【0170】
(記録媒体206〜210の作製)
実施例1に記載の試料107の作製において、下層塗布液1に代えて、上記調製した下層塗布液10〜14を用いた以外は同様にして、記録媒体206〜210を作製した。
【0171】
《インクジェット画像形成及び評価》
上記作製した記録媒体201〜210と、実施例1で作製した記録媒体107、110について、実施例1に記載の方法と同様にしてインクジェット画像の形成を行った後、実施例1に記載の方法に準じて、ひび割れ耐性、光沢及びインク吸収性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
【0172】
【表3】
Figure 0004016859
【0173】
表3より明らかなように、上層(表層)及び下層に乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された熱可塑性樹脂粒子を含有し、表層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg1が、表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg2より高い構成からなる本発明の記録媒体は、比較例に対し、ひび割れの発生が少なく、かつ光沢及びインク吸収性に優れていることが分かる。更に、上記構成に加えて、上層のF/Bが下層のF/Bより高い本発明の記録媒体を用いることにより、上記効果がより一層発揮されていることが分かる。
【0174】
【発明の効果】
本発明により、インク吸収性、塗布故障耐性及び光沢に優れたインクジェット記録媒体とそれを用いたインクジェット画像形成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられるインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図。
【図2】本発明で用いられるインクジェット記録装置の他の一例を示す概略構成図。
【符号の説明】
1、1a 記録媒体
2 記録媒体の搬送手段
21 搬送ローラ対
3 記録ヘッド
34 記録媒体保持部
4 加熱加圧手段
41 加熱ローラー
42 圧着ローラー
43 発熱体
44 加熱ベルト
45 下部圧着ベルト
46 従動ローラー
5 温度センサ
6 記録媒体の切断手段
61、62 カッタ
7 たるみ形成手段
71 第1のローラー対
72 第2のローラー対

Claims (6)

  1. RC(レジンコーテッド)支持体上に、少なくとも2層のインク吸収層を有し、該支持体から最も離れた位置のインク吸収層が熱可塑性樹脂粒子を含有する表層であるインクジェット記録媒体において、該熱可塑性樹脂粒子が、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであって、該熱可塑性樹脂粒子を含有する表層の無機微粒子(F)と水溶性高分子(B)との質量比F/Bが、該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層のF/Bより高いことを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記インク吸収層の少なくとも1層が、自己架橋性エマルジョンを含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. RC(レジンコーテッド)支持体上に、少なくとも2層のインク吸収層を有し、該支持体から最も離れた位置のインク吸収層である表層と該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が、各々熱可塑性樹脂粒子を含有するインクジェット記録媒体において、該熱可塑性樹脂粒子のいずれもが、乳化重合用保護コロイドとして平均重合度が1500〜4000のポリビニルアルコールを用いて合成された水性エマルジョンであって、前記表層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg1が、該表層に対し支持体側に位置するインク吸収層が含有する水性エマルジョンのガラス転移点Tg2より高いことを特徴とするインクジェット記録媒体。
  4. 前記表層の無機微粒子(F)と水溶性高分子(B)との質量比F/Bが、前記表層に対し支持体側に位置するインク吸収層のF/Bより高いことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体上に、水性インクを用いて画像を形成した後、加熱加圧処理することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
  6. 前記水性インクが、顔料を含む顔料インクであることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット画像形成方法。
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