JP2004195836A - インクジェット画像形成方法及び記録物 - Google Patents

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秀信 大屋
Shinichi Suzuki
眞一 鈴木
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誠 加賀
Teruyuki Fukuda
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Abstract

【課題】本発明の目的は、インク保存性に優れた自己分散顔料インクを用いて、優れたインク吸収性、耐擦性、光沢性、塗膜強度を有するインクジェット画像を提供するインクジェット画像形成方法及び記録物を提供することであり、加えて、高速印字適性を有し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する処理工程に要する時間を短縮したインクジェット画像形成方法を提供することである。
【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するインクジェット記録媒体に、インクを用いて画像を形成した後、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する後処理工程を有するインクジェット画像形成方法であって、該インクの少なくとも1種が、自己分散顔料を含有することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なインクジェット画像形成方法及びそれにより作成した記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット技術の進歩は目覚ましく、プリンター技術、インク技術、専用のインクジェット記録媒体技術の向上と相まって写真画質と呼ばれる様な高画質になっている。この画質向上に伴い、インクジェット画像の保存性が従来の銀塩写真と比較されるようになり、多くの染料インクにおいては、インクジェット画像の耐水性、耐にじみ性の弱さといった色剤の移動を伴う劣化や、耐光性や酸化ガス耐性に対する弱さといった色剤特有の化学反応を伴う劣化が指摘されている。一方、染料インク画像の保存性を改良するため、顔料インクを用いる方法が多く提案されている。
【0003】
上記課題の中で、インクジェット記録画像の画像保存性を向上する目的で現在まで多くの提案がなされている。インクジェット記録媒体としては、例えば、特開昭59−222381号、特開平4−21446号、同10−315448号、同11−5362号、同11−192775号には、インクジェット記録媒体の最表層に、熱可塑性有機高分子粒子からなる層を設け、画像記録後に、熱可塑性有機高分子粒子を溶融、皮膜化し、結果として、高分子の保護膜を形成することにより、耐水性、耐候性の改良及び画像の光沢付与を達成している。また、これらの記録媒体は、インク吸収速度が不十分であり、高速印字適性が不足している。特に、通常の樹脂分散タイプの顔料インクを用いた場合において、インク吸収性の低下が顕著に表れる。
【0004】
一方、顔料は、染料と比べて顔料粒子として存在するため、光の散乱を受けやすく、また印字面での顔料粒子の凝集等により耐擦過性が低下したり、あるいは低光沢性で透明感のない画像を与えるので、印字画像物性や色再現性の点で染料には及ばない欠点があった。
【0005】
上記課題に対し、顔料粒子とラテックス粒子を併用することにより、耐擦過性の改良と画質向上との両立を図る試みが提案されており、例えば、特開平10−287837号、特開平11−49995号、特開2000−169769、特開2000−351931等に記載されており、これらの態様により得られる画像の耐擦過性は確かに改良が見られるが、得られる画像の光沢均一性あるいは透明感に関しては、銀塩写真画像に比較する大きく劣っており、決して満足できる品質とは言い難いのが現状である。
【0006】
この欠点を克服するために、顔料粒子として、分散により分散粒径の小さい顔料インクを調製して、得られる画像特性を向上する試みがなされている。しかしながら、一般的に、一次粒子が小さくなるほど、顔料の分散及び安定性の確保が難しくなり、また粘度上昇等の悪影響があり、実用化には至っていない。
【0007】
一方、顔料の微粒子化技術として、例えば、分散剤なしで分散が可能な顔料(以下、この顔料を自己分散顔料と称す)、あるいは顔料粒子表面を、分散性を有する高分子化合物で被覆した高分子被覆顔料等が知られている。
【0008】
上記自己分散顔料は、例えば、WO97/48769号公報、特開平11−57458号公報、同11−189739号公報、特開2000−265094公報等に記載の顔料粒子表面をスルホン化剤、酸化剤等を用いて修飾する方法、特開平11−49974号公報、特開2000−273383公報、同2000−303014公報等に記載の顔料誘導体をミリングなどの処理で顔料粒子表面に吸着させる方法、特願2000−377068、同2001−1495、同2001−234966に記載の顔料と顔料誘導体を溶媒に溶解した後、貧溶媒中で晶析させる方法等により得ることができ、高分子化合物を用いないで、小粒径で分散安定性の良い顔料インクを調製することができる。
【0009】
上記自己分散顔料を用いた顔料インクは、良好な画質が得られると共に、従来の分散剤を含有する顔料インクに比べて、インク保存性が優れている。しかしながら、得られる画像の耐擦性に劣るという欠点を有している。
【0010】
上記課題に対し、最外層に熱可塑性樹脂層を配したインクジェット記録媒体に、自己分散顔料を含有するインクで記録し、後工程にて自己分散顔料を熱可塑性樹脂層中に移動させて擦過性や耐水性を向上する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
しかしながら、我々の検討では、上記公報記載の技術では下記の3つの課題があり、実用化に際しては更なる改良が必要とされる。
【0012】
すなわち、第1の課題は、高速印字適性が不十分であり、高速印字において、ビーディングやカラーブリードが発生することである。第2の課題は、樹脂の溶融のための後処理工程に要する時間が長いことであり、これでは高速画像形成に適応できないという大きな障害であると考えられる。更に、第3の課題として、上記第2の課題を解決のために、後処理工程処理を加熱ローラや加圧ローラにより行う方法があるが、この場合、画像上に膜はがれや皮膜の膨れが生じたり、記録画像面と接する後処理装置が汚染され、異物による画面故障の要因となるため、連続使用に耐えられないという課題を有している。
【0013】
一方、顔料インクにおいても、用いる分散剤の種類によってはその使用量を減らすことができる。例えば、特定の構成からなるグラフト共重合タイプの分散剤を用いて、画像堅牢性、耐擦過性、インク安定性を改良した水性顔料インクが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特定の分散剤を用いた場合でも、上述した自己分散顔料と同様の利点と課題を併せ持つこととなり、早急な改良が望まれている。
【0014】
【特許文献1】
特開平11−208097号公報 (特許請求の範囲)
【0015】
【特許文献2】
特開平6−100810号公報 (特許請求の範囲)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的はインク保存性に優れた自己分散顔料インクを用いて、優れたインク吸収性、耐擦性、光沢性、塗膜強度を有するインクジェット画像を提供するインクジェット画像形成方法及び記録物を提供することである。更には、高速印字適性を有し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する処理工程に要する時間を短縮したインクジェット画像形成方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0018】
1.少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するインクジェット記録媒体に、インクを用いて画像を形成した後、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する後処理工程を有するインクジェット画像形成方法であって、該インクの少なくとも1種が、自己分散顔料を含有することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【0019】
2.少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するインクジェット記録媒体に、顔料インクを用いて画像を形成した後、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する後処理工程を有するインクジェット画像形成方法であって、該顔料インクの少なくとも1種が、インク中の顔料固形分量に対し、50質量%未満の樹脂または分散剤を含むことを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【0020】
3.前記表層が、カチオン性化合物を含有することを特徴とする前記1または2項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0021】
4.実質的に色剤を含有しない無色インクを、前記インクジェット記録媒体上、または前記記録画像上に付与する工程を有することを特徴とする前記1または2項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0022】
5.前記自己分散顔料を含有する少なくとも1種のインクが、樹脂を含有することを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0023】
6.前記1〜5項のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法により作成したことを特徴とする記録物。
【0024】
本発明者らは、インク保存性の改良と同時に画像の耐擦性を向上させ、かつ高速での画像形成に適応したインクジェット画像形成方法(以下、単に画像形成方法ともいう)の実現に向け鋭意検討を行った結果、表層に少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有する表層を有するインクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)に、インクを用いて記録画像を形成した後、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する後処理工程を有する画像形成方法であって、該インクの少なくとも1種が、自己分散顔料を含有するインクジェット画像形成方法により達成できることを見い出し本発明に至った次第でる。
【0025】
更に、表層にカチオン性化合物を含有することにより、高速画像形成適性がより向上すること、また、実質的に色剤を含まない無色インクをインクジェット記録媒体上、または記録画像上に付与する工程を別に設けること、あるいは、自己分散顔料を含有する少なくとも1種のインクに、インク安定性を大きく劣化させない範囲で、樹脂を添加することにより、耐擦性を一層向上させ、加えてより高い光沢感を得ることを見い出したものである。
【0026】
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明の少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するインクジェット記録媒体について説明する。
【0027】
本発明で用いることのできる熱可塑性樹脂としては、特に限定はないが、好ましくは、例えば、ポリアクリルエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられ、中でもポリアクリルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。
【0028】
熱可塑性樹脂の選択の基準としては、ガラス転移点(Tg)が挙げられる。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体の使用形態としては、画像記録後に、光沢の発現、画像保存性の向上、耐擦性の向上などの目的のため、熱可塑性樹脂を溶融、軟化、あるいは皮膜化させる後処理を行うのが、本発明の画像形成方法の形態であり、特に好ましい後処理の形態としては、加熱工程を含むものである。この加熱工程を含む後処理で、本発明の目的効果を最大限に発揮するようTgを選択することが好ましい。加えて、Tgは記録媒体製造時、あるいは運搬、保管時に晒される最高温度より高いことが必要がある。なぜならば、製造時にインクが透過するための熱可塑性微粒子による空隙が減少もしくは消失することを避けるためである。また、上記の加熱工程を含む後処理工程の温度は、支持体の熱による変形を防ぐために、支持体の熱による変性を起こす温度以下で行うことが必要があり、Tgは支持体の熱による変性を起こす温度以下が好ましい。
【0029】
以上の観点を考慮すると、熱可塑性微粒子の好ましいTgは50〜150℃であり、より好ましくは70〜120℃である。また、最低造膜温度(MFT)としても、50〜150℃のものが好ましい。
【0030】
本発明において、熱可塑性樹脂として好ましく用いられるのは、インク吸収性の観点から熱可塑性微粒子である。この熱可塑性微粒子の粒子径としては、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5.0μmである。更に好ましくは、0.1〜1.0μmである。熱可塑性微粒子の粒子径が0.05μm未満の場合は、顔料インク中の顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度の低下を招くことになる。また、10μmを越えると、支持体上に塗設する際にインク受容層に隣接する溶媒吸収層との接着性や、塗設乾燥後のインクジェット記録媒体の皮膜強度の点から好ましくない。また、熱可塑性微粒子中の2μm以上の粒子の割合を5.0個数%以下とすることは、インク吸収速度及び光沢発現の観点から好ましい。
【0031】
熱可塑性微粒子の電荷としては、ノニオン性もしくはカチオン性が好ましく、より好ましくはノニオン性である。また、製造時にポリビニルアルコールを保護コロイドとして用いた熱可塑性微粒子が特に好ましい。これらは、重合時に乳化力を制御するため、ノニオン、カチオン系の界面活性剤を添加して製造しても良い。その際、ポリビニルアルコールの重合度が300〜1500であることが記録媒体の製造時のひび割れ故障発生抑制、後処理後の画像膜強度強化等の観点から好ましく、更に好ましくは500〜1500であり、最も好ましいのは800〜1500である。また、ポリビニルアルコールのケン化度は90モル%以下のものが好ましく、その下限は限定しないが20モル%以上が好ましい。
【0032】
熱可塑性微粒子は、環境適性の観点から、水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。
【0033】
用いる熱可塑性微粒子は、臭気および安全性の観点から残存するモノマー成分が少ない方が好ましく、重合体の固形分質量に対して3%以下が好ましく、更に1%以下が好ましく、特には0.1%以下が好ましい。
【0034】
熱可塑性樹脂を含有する表層には、無機微粒子を混合するが、無機微粒子を混合することにより特に以下の好ましい特性が付与される。
【0035】
1)インク吸収速度が大きく、ビーディング、カラーブリード等の画質劣化が起こりにくく、高速印字適性を有している
2)高い光沢画像が得られる
3)加熱工程を有する後処理工程で膜はがれ、膨れ等の故障が発生しない
4)画像表面強度が強い(プリンター内での搬送で傷がつきにくく、また最終画像の表面強度も強い)
5)画像保存時の重ねでの融着がおこりにくい
6)記録媒体の塗布生産性に優れている、特に多層構成の場合、表層を含めた全層を同時に塗布できる
7)筆記性を有している
本発明で用いることのできる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0036】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは表層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0037】
無機微粒子としては、シリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましく、シリカがより好ましい。
【0038】
シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられ、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得られる観点から好ましい。
【0039】
また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0040】
無機微粒子は、その平均粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での平均粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0041】
最も好ましく用いられる一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーなどを用いて吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0042】
本発明では、表層における熱可塑性樹脂と無機微粒子の固形分質量比としては、上記1)〜7)の観点から適宜選択することができるが、2/8〜8/2であることが好ましく、より好ましくは3/7〜7/3であり、更に好ましくは4/6〜6/4である。
【0043】
また、このとき表層中の全固形分に対する無機微粒子の比率が、30〜70質量%であることが、特にインク吸収性の観点から好ましい。
【0044】
表層の形成に用いる塗布液を調製する際に、はじめに熱可塑性微粒子に加えてから無機微粒子を混合する場合、両微粒子の電荷を制御することが上記1)〜7)の観点から重要であり、カチオン性或いはノニオン性の熱可塑性樹脂粒子とカチオン性の無機顔料微粒子の組み合わせを選択することが好ましい。カチオン性の無機顔料微粒子としては、表面が正に帯電しているアルミナ水和物、あるいはカチオン性ポリマーと同時に分散して表面が正に帯電したシリカが好ましい。
【0045】
また、記録媒体表面を電子顕微鏡にて観察される微粒子の個数換算粒径分布において、熱可塑性樹脂粒子に対応するピークと、無機微粒子に対応するピークが各々存在し、両ピーク頂点粒径の差が40nm以上離れていることが、画質、光沢発現の点で好ましい。また、このとき両ピークの重なりは5%以下であることが上記1)〜7)の観点で好ましく、重なり部が全くないことがより好ましい。
【0046】
本発明に係る少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有する表層は、加えてバインダーを含有することが好ましい。水溶性バインダーとしては、熱可塑性樹脂の1〜10質量%の範囲で用いることが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、二種以上併用することも可能である。
【0047】
本発明で好ましく用いられる水溶性バインダーは、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0048】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0049】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0050】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0051】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0052】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報、同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0053】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0054】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなどを二種類以上を併用することもできる。
【0055】
更に、本発明に係る表層には、前記水溶性バインダーの硬膜剤を含有することが好ましい。硬膜剤はインク吸収層中の水溶性バインダー間、もしくは水溶性バインダーとインク吸収層中の微粒子と反応し、架橋することを目的に添加することができ、硬膜剤としては、水溶性バインダー及び各微粒子の種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0056】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(例えば、ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(例えば、2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(例えば、1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸およびその塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。特に好ましい水溶性バインダーとして、ポリビニルアルコール及び/またはカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸およびその塩又はエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましく、最も好ましいのは、ほう酸およびその塩から選ばれる硬膜剤である。
【0057】
ほう酸またはその塩としては、ほう素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸およびそれらの塩が含まれる。上記硬膜剤の使用量は、水溶性バインダーの種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や水溶性バインダーに対する比率等により変化するが、通常、水溶性バインダー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。上記硬膜剤は、本発明に係るインク吸収層形成用の水溶性塗布液を塗布する際に、該塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、本発明に係るインク吸収層形成用の水溶性塗布液を塗布しても良い。
【0058】
本発明に係る表層には、画質向上、特に高速画像形成適応性の観点からカチオン性化合物を添加することが、特に好ましい形態である。
【0059】
その理由は明らかにされていないが、以下のように推定している。
本発明に係るインクに含有される自己分散顔料は、通常、粒子表面にアニオン性基を有しており、記録媒体上にインク着弾からインクが吸収される過程で、自己分散顔料とカチオン性化合物が塩を形成する等により、凝集あるいは増粘を引き起こし、その結果、ドット同士の凝集を妨げるものと推察している。
【0060】
本発明において、カチオン性化合物の種類、添加量、濃度は、上記の高速画像形成適応性の観点から好ましい範囲に選択できるが、過剰のカチオン性化合物を用いると、インク吸収の極初期過程で、多量の不溶物を形成する等して表面に顔料が積層し、光沢発現の観点ではあまり好ましく無い。
【0061】
カチオン性化合物としては、例えば、カチオン性ポリマーを用いてアニオン性のインクと結合させ、強固に不動化する方法が好ましく用いられている。このようなカチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基を有する重合物が挙げられ、例えば、「インクジェットプリンター技術と材料」((株)シーエムシー発行、1998年7月)や、特開平9−193532号公報の〔0008〕項に挙げた文献に記載されている化合物を挙げることができる。
【0062】
また、水溶性の多価金属イオンを予めインクジェット記録用紙中に添加しておき、インクジェット記録時に染料を凝固固着させて不動化させる方法も挙げることができ、例えば、ジルコニウム原子を分子内に含む化合物を用いることができる。
【0063】
更に、特開昭55−53591号、同55−150396号、同56−86789号、同58−89391号及び同58−94491号等に記載の水溶性染料と結合して難溶性塩を形成する水溶性多価金属塩を挙げることができる。
【0064】
更に、ジルコニウム元素を含む化合物としては、特開平4−7189号に記載の多孔性顔料と酸塩化ジルコニウム化合物を用いる方法百道いることができ、この方法では、酸塩化ジルコニウム塩の添加により、比較的少量のバインダーで接着強度が得られ、画質向上が図れる利点を有している。
【0065】
上記、カチオン性化合物の中でも、特に分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有することが好ましく、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いるのが好ましい。
【0066】
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体は、支持体を有することが好ましく、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体を用いることができるが、本発明の効果をより発揮させる観点から、非透水性支持体を用いることが好ましい。
【0067】
本発明において用いられる非透水性支持体としては、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。プラスチック樹脂フィルム支持体としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは、透明又は半透明なものも使用できる。
【0068】
本発明において、特に好ましい支持体は、紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
【0069】
以下、本発明で特に好ましい支持体である紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体について説明する。
【0070】
本発明の支持体に用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜70%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0071】
紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
【0072】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分は20%以下であることが好ましい。
【0073】
紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に、70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。
【0074】
紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS P 8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0075】
紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるのと同様のサイズ剤を使用できる。
【0076】
紙のpHは、JIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、pH5〜9であることが好ましい。
【0077】
次に、この紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂について説明する。
この目的で用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンが挙げられるが、プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
【0078】
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。
紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0079】
特に、塗布層側のポリオレフィン層は、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20%、好ましくは2〜15%である。
【0080】
ポリオレフィン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高い着色顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
【0081】
着色顔料としては、例えば、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。また、蛍光増白剤としては、前記インク吸収層で用いる蛍光増白剤と同様の化合物を挙げることができる。
【0082】
紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜50μm、バック層側で10〜40μmの範囲である。表裏のポリエチレンの比率は、インク吸収層の種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のポリエチレンの比率は、厚みで概ね3/1〜1/3である。
【0083】
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下(1)〜(7)の特性を有していることが好ましい。
【0084】
(1)引っ張り強さは、JIS P 8113で規定される強度で縦方向が19.6〜294N、横方向が9.8〜196Nであることが好ましい
(2)引き裂き強度は、JIS P 8116で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい
(3)圧縮弾性率は、9.8kN/cm2が好ましい
(4)不透明度は、JIS P 8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい
(5)白さは、JIS Z 8727で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい
(6)クラーク剛直度は、記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である支持体が好ましい
(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい
(8)インク吸収層を設ける面側の光沢度(75度鏡面光沢度)は、10〜90%が好ましい。
【0085】
また、プリント面質は、好みによるところも有り、例えば、微粗面状の支持体を用いることにより、いわゆる絹目調のプリントを得ることもできる。この場合、特に支持体として、インク吸収層を有する側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した時の中心線平均粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmであるものを用いることが特に好ましい。
【0086】
また、支持体上の表層を含む全インク吸収層の負荷を低減したり、加熱工程を含む後処理工程での温度制約を緩和する目的で、吸水性支持体を用いることもできる。吸水性支持体としては、具体的には、多孔質基材が好ましく用いられる。ここで、多孔質基材とは、インク吸収性を有する支持体が好ましく、主に木材パルプと填料からなる紙基材、コート紙、アート紙等を用いることが出来るが、木材パルプと填料からなる紙基材が好ましく用いられる。
【0087】
本発明に係る吸水性支持体の厚さとしては、フォトプリントにおける写真の風合いを好ましく得るという観点から、200μm以上が好ましく、更に好ましくは200μm〜300μmであり、特に好ましくは200μm〜250μmである。また、取り扱いの点からも、厚さは、300μm以下が好ましい。
【0088】
また、透過光及び反射光のいずれの観賞方式でも使用でき、透過光鑑賞用として、透明感、光沢感、耐光性、保存滲み耐性に優れ、かつ反射光鑑賞用として鮮鋭性、インク吸収性、皮膜強度に優れたインクジェット記録媒体用に、透明支持体を用いることも好ましい。透明支持体としては、インク吸収性のない透明支持体、あるいはインク吸収性の低い透明支持体であり、光線透過率が60%以上、好ましくは80%以上である。光線透過率が60%未満の場合、プリント物を透過では見づらくなり、OHPシート等に用いるのが不適となる。
【0089】
透明支持体としては、各種のプラスチック樹脂フィルム支持体、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム、あるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。プラスチック樹脂フィルムとして好ましい透明支持体は、ポリエステル樹脂フィルムであり、特には、ポリエステル樹脂の主成分が芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸およびグリコールとしてエチレングリコールを用いて得られるポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。前記ポリエステル樹脂フィルムの製造においては、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸のほか、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などと、これらの低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を使用することができる。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールなどがある。なかでもテレフタル酸とエチレングリコールの反応により得られたポリエチレンテレフタレートを主成分とすることが好ましい。
【0090】
主成分がポリエチレンテレフタレートであるとは、ポリエチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上の共重合体、あるいはブレンドされている場合は、ポリエチレンテレフタレートを80質量%以上含有していることをいう。
【0091】
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体は、該表層と支持体の間にインク吸収層を設けることが好ましい。
【0092】
インク吸収層としては、大きく別けて、膨潤型と空隙型とがあり両タイプを用いることができる。
【0093】
膨潤型としては、親水性バインダーとして、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布しこれをインク吸収層としたものを用いることができる。
【0094】
空隙型としては、微粒子及び親水性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に、粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。
【0095】
連続、あるいは高速プリントに適性を持たせるには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、空隙型を特に好ましく用いることができる。
【0096】
以下、空隙型インク吸収層(空隙層ともいう)について更に詳細に説明する。
空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を作製する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが特に好ましい。
【0097】
上記の目的で使用される無機微粒子としては、前述の表層で用いられる無機微粒子と同様のものを用いることができる。
【0098】
また、親水性バインダーとしては、前述の表層で記載した水溶性バインダーと同様の化合物を挙げることができる。
【0099】
インク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般にはインクジェット記録媒体1m2当たり、通常、5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0100】
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と親水性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0101】
インク吸収層は、分子内に前述の第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり、通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0102】
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0103】
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク溶媒吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョンと水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールとを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク溶媒吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。
【0104】
上記ポリウレタン樹脂を用いたインク溶媒吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0105】
本発明においては、インクジェット記録媒体のインク吸収層全体の平均空隙率が40〜70%であること、あるいは前述の表層の空隙率が30〜70%であることが好ましい。
【0106】
インク吸収能を有するインク吸収層全体、あるいは表層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率といい、一つの方法としては、以下の式に従って求めることができる。
【0107】
空隙率=100×〔(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/(全乾燥膜厚)〕
また、下記の方法によっても、インク吸収層全体、あるいは表層の空隙率を測定することができる。例えば、100μmポリエチレンテレフタレート上に、全インク吸収層あるいは表層のみを塗布し、ブリストー測定による飽和転移量、あるいは吸水量測定などによっても簡易に求めることができる。
【0108】
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体の製造方法としては、各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
【0109】
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
【0110】
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
【0111】
塗布および乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、表層に含まれる熱可塑性樹脂が成膜しないように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
【0112】
本発明では、記録媒体の製造工程において、インク吸収層形成後に、水溶性バインダーの硬膜剤を供給する工程を有していることの好ましい。硬膜剤の供給方法として、特に制限はないが、例えば、インク吸収層形成後に、硬膜剤を含む溶液を塗布する方法、硬膜剤を含む溶液をインク吸収層形成済み記録媒体表面にスプレー等で吹き付ける方法等、適宜選択して用いることができる。
【0113】
また、本発明では、その製造過程で35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を有することが好ましい。35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程における湿度は、特に制御する必要はないが、各温度において相対湿度として80%以下に制御することが好ましく、更に50%以下に制御することが好ましい。
【0114】
加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件が好ましいが、更に好ましい例としては、例えば、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、あるいは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬膜反応の促進、あるいは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。加温温度は、先に熱可塑性樹脂のTgについて説明したように、記録媒体の空隙を減少させたり、インク吸収速度を低下させることのないように、用いる熱可塑性樹脂のTgを考慮して決める必要がある。
【0115】
特に、上記の水溶性バインダーの硬膜剤を供給する工程を行うことと、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を併用することは、安定して高いインク吸収速度を得るために特に好ましい。
【0116】
次いで、本発明に係るインクについて説明する。
通常、インクは複数種のカラーインクと少なくとも1種の黒インクからなるインクセットを用いる場合が多い。本発明では、インクセット中の少なくとも1種のインクが、自己分散顔料を含有することを一つの特徴とする。インクセットの中で、いずれのインクに自己分散顔料を含有するかは、特に制約はなく、特定の色のインクにのみ自己分散顔料を含有させても良い。また、顔料濃度の異なる同系色のインクが複数あるインクセット(いわゆる濃淡インク)において、濃度の異なる複数種のインクのうち、一部、或いは全部に自己分散顔料を含有させてもよい。また、自己分散顔料を含まないインクの色剤については、例えば、顔料でも染料でも、特に制約が無い。また、自己分散顔料を含むインクには、他の色剤を併用してもよい。
【0117】
好ましい、インクセットの一例を以下に示すが、本発明に係るインクの構成は、これらに限定されるものではない。
【0118】
1)インクセット中の全インクが、自己分散顔料を含有する
2)インクセット中の黒インクにのみ、自己分散顔料を含有する
次いで、本発明に係る自己分散顔料について説明する。
【0119】
本発明でいう自己分散顔料とは、分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは、表面に極性基を有している顔料粒子である。
【0120】
本発明でいう表面に極性基を有する顔料粒子とは、顔料粒子表面に直接極性基で修飾させた顔料、あるいは有機顔料母核を有する有機物で直接に又はジョイントを介して極性基が結合しているもの(以下、顔料誘導体という)をいう。
【0121】
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
【0122】
本発明において、表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、例えば、WO97/48769号公報、特開平10−110129号公報、特開平11−246807号公報、特開平11−57458号公報、同11−189739号公報、特開平11−323232号公報、特開2000−265094公報等に記載の顔料粒子表面を適当な酸化剤でさせることにより、顔料表面の少なくとも一部に、スルホン酸基もしくはその塩といった極性基を導入する方法が挙げられる。具体的には、カーボンブラックを濃硝酸で酸化したり、カラー顔料の場合は、スルフォランやN−メチル−2−ピロリドン中で、スルファミン酸、スルフォン化ピリジン塩、アミド硫酸などで酸化することにより調製することができる。これらの反応で、酸化が進みすぎ、水溶性となってしまった物は除去、精製することにより、顔料分散体を得ることができる。また、酸化によりスルフォン酸基を表面に導入した場合は、酸性基を必要に応じて、塩基性化合物を用いて中和してもよい。
【0123】
そのほかの方法としては、特開平11−49974号公報、特開2000−273383公報、同2000−303014公報等に記載の顔料誘導体をミリングなどの処理で顔料粒子表面に吸着させる方法、特願2000−377068、同2001−1495、同2001−234966に記載の顔料を顔料誘導体と共に溶媒で溶解した後、貧溶媒中で晶析させる方法等を挙げることができ、いずれの方法でも容易に、表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
【0124】
本発明においては、極性基は、フリーでも塩の状態でも良いし、あるいはカウンター塩を有していても良い。カウンター塩としては、例えば、無機塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム)、有機塩(トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有するカウンター塩である。
【0125】
顔料表面を直接修飾する場合には、顔料表面分子の0.1〜50%の範囲で修飾することが好ましく、より好ましくは0.1〜20%である。
【0126】
顔料誘導体を用いる場合の添加量は、顔料に対して0.1mol%以上、50mol%以下が好ましい。0.1mol%未満では顔料粒子の成長及び凝集を抑制する効果が少なくなり、50mol%を越えると期待する程の効果が得られない。
【0127】
本発明に係るインクにおいては、上記自己分散顔料の他に、公知の色剤を併せて使用することができ、色剤としては、染料、顔料、分散染料、着色樹脂粒子等から選択できる。
【0128】
本発明においては、画像保存性の観点から顔料を主に用いることが好ましく、顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラック等を用いることができる。
【0129】
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0130】
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0131】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0132】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0133】
これらの顔料は、必要に応じて顔料分散剤を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。
【0134】
顔料の分散方法としては、その方法に特に制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい方法である。
【0135】
顔料インクに含まれる上記顔料粒子の平均粒径は、300nm以下が好ましく、更に好ましくは30〜200nmであり、特に好ましくは30〜150nmである。
【0136】
インクとして好ましい形態は、水系インク組成物であり、水溶性有機溶媒を併用することが好ましく、水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
【0137】
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
【0138】
本発明に係るインクは、アセチレン系界面活性剤を含有することが好ましい。アセチレン系界面活性剤としては、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物が好ましい。また、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物としては、Air Products社製サーフィノール82、サーフィノール104、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485等を好ましく用いられる。
【0139】
インク組成物は、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微粒子、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜添加することもできる。
【0140】
インク組成物は、その飛翔時の表面張力として20mN/m以上が好ましく、インク吸収速度が大きく、従って画質の劣化がなく、加熱処理後に光沢の高い画像が得られ、且つ加熱操作迄の或いはそのものによって膜はがれ等の不具合の起こらないために、少なくとも1種のインクの表面張力が25〜50mN/mであることが好ましく、特に30〜45mN/mであることが、より好ましい。
【0141】
また、粒状感を向上させ、階調性豊かで高光沢な画像を得るために、記録インクセットのうち、少なくとも1色のインクは、色材濃度の異なる2種以上のインクを用いて記録することも好ましい。特に、Y、M、C、Bkのうち、好ましくは2色以上、より好ましくは3色以上について、色材濃度の異なる2種以上のインクを用いることが好ましく、このとき両者の色材濃度比(淡インク/濃インク)は0.5〜0.1が好ましい。
【0142】
また、インクセットの色剤濃度の異なるインク組成物において、濃インクの表面張力(γa)と淡インクの表面張力(γb)の比が、1.2≦γa/γb≦0.8であることが好ましく、更に好ましくは、1.1≦γa/γb≦0.9である。広い濃度範囲にわたって滑らかな階調性を表現し、かつ広い濃度域で光沢性や耐擦過性を保持するには、濃度の異なるインクの表面張力がなるべく同じであるのが好ましい。
【0143】
また、さらに光沢性の高い画像、ざらつき感のない画像および耐擦過性に優れた画像を得るため、記録インクには熱可塑性樹脂を含有させることは、本発明の好ましい態様である。特に、自己分散顔料を含有するインクに熱可塑性樹脂を添加することは高速画像適性と画像耐擦性の観点から好ましい。
【0144】
添加する熱可塑性微粒子については、上記の記録媒体表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいは微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。このとき、インク保存安定性や、上記添加のための目的を十分に発揮するように、熱可塑性樹脂微粒子の平均粒径が10nm〜200nmに調整することが好ましく、インク中の顔料の平均粒径の0.2倍〜2倍の範囲で選択すると安定性の観点で更に好ましい。また、添加する熱可塑性微粒子は、50℃〜200℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
【0145】
特に、黒インクに熱可塑性樹脂粒子を添加すると、指紋付着性、最大濃度高上の観点から特に好ましい。
【0146】
本発明においては、画像の全面もしくは特定の部位に、色剤を実質的に含まない無色インクを吐出することが好ましい態様の1つである。特に、未印字領域にのみ、色剤を実質的に含まない無色インクを吐出することは、光沢の一様性を向上させる上で、特に好ましい。光沢の一様性は、白地を含む画像の全領域で高光沢が得られ、光沢感に差がない高品位な画像を得る観点で、重要な特性である。また、未印字領域にのみ、色剤を実質的に含まない無色インクを吐出することにより、全面に色剤を実質的に含まない無色インクを吐出する場合に比べ、総インク量を軽減する観点でも好ましい。特に、高いインク吸収速度を有する表層に熱可塑性樹脂および無機微粒子を混合して用いる本発明に係る記録媒体において、色剤を実質的に含まない無色インクを併用することは最も好ましい形態である。
【0147】
色剤を実質的に含まない無色インクは、上記のように画像の全面もしくは特定の部位に吐出可能であり、特に、画像濃度が0.5以下の部位を選択し、吐出することは好ましく、このとき、該領域内の未印字部を更に選択して吐出することが、特に好ましい。
【0148】
色剤を実質的に含まない無色インクは、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、先に説明したインクに添加する場合に用いることのできる熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。また、色剤を実質的に含まない無色インクは、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。また、色剤を実質的に含まない無色インクは、インクジェットノズル、好ましくは専用のノズルを用いて吐出することが好ましい。また、色剤を実質的に含まない無色インクと他の記録インクとは相互作用が少ない方が好ましく、混合しても増粘や、析出が起こらないものを選択する方が高品位画像を安定に得られる点で好ましい。
【0149】
本発明のインクジェット画像形成方法においては、市販されているプリンターのように記録媒体収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェット記録ヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録媒体収納部、搬送部、インクジェット記録ヘッド、切断部及び後処理工程、例えば、加圧部及び/または加熱部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットでり、インクジェット写真を商用利用する場合に有用である。
【0150】
インクジェット記録ヘッドは、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式のいずれでもよい。インクが樹脂を含有している場合には、吐出安定性の観点からピエゾ方式が好ましく、高速プリンタを小型装置で実現するには、インクジェット記録ヘッドのノズル集積度を高められるサーマル方式が好ましく、インク組成、プリンタ設計の仕様に応じて選択することができる。
【0151】
次いで、本発明のインクジェット画像形成方法に係る後処理工程について説明する。
【0152】
本発明のインクジェット画像形成方法は、前記構成からなるインクジェット記録媒体に、インクジェットにより少なくとも1種が自己分散顔料を含むインクを吐出した後、後処理工程で処理を施すことが特徴である。
【0153】
後処理工程としては、記録媒体中の該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化することで、画像の耐擦性を改良し、高い光沢画像を得られるものであれば限定はなく、加熱、加圧、あるいは樹脂の可塑剤付与等の工程を単独あるいは組み合わせて用いることができる。特に、加熱工程を用いることは、処理速度、環境適性上好ましく、加熱処理と同時に加圧処理を行う方法(加熱加圧処理)が特に好ましい。
【0154】
加圧処理工程においては、0.5〜20MPaの圧力、好ましくは5〜15MPaの圧力をかけることが好ましい。
【0155】
加熱処理工程においては、加熱温度は、本発明の効果が十分発揮されること、処理速度が早いこと、周辺環境に影響を受けにくいこと、装置コストが低いこと、安全性が高いこと、記録媒体の変型や故障を引き起こさないこと、色剤の変質を起こさないこと等を考慮して決められる。特に、記録媒体の支持体としてレジンコート紙を特に好ましく用いることができるが、支持体のレジンが変型しない温度に設定することは、特に重要である。一般的には、50〜220℃の範囲で適用することが好ましい。また、記録媒体の支持体としてレジンコート紙を用いる場合は、50〜150℃、好ましくは70〜120℃の範囲がよい。
【0156】
加熱加圧処理としては、特に制限はないが、一対の加熱加圧ローラ、あるいは一対の加熱加圧ベルト、あるいはローラ/ベルト組み合わせ等からなる加熱加圧装置を用いることが好ましい。
【0157】
加熱加圧ローラとしては、金属製の金属ローラでも、あるいは金属製の芯金の周囲に弾性体からなる被覆層および必要に応じて表面層(離型層ともいう)を形成したものであり、芯金は、例えば、鉄製、アルミニウム製、SUS製等の円筒体で構成されている。芯金の表面には、被覆層が設けられている。被覆層としては、耐熱性の高い弾性体であれば用いることができ、例えば、ゴム硬度45°(JIS−A)のHTV(HighTemperature Vulcanization)シリコーンゴムが所望の厚さをもって形成することができ、また他の材料を使用することができる。被覆層のその上には離型層が設けられており、例えば、RTV(Room Temperature Vulcanization)シリコーンゴムの他に、Vitonなどのフッ素ゴムや、PFA(パーフルオロアルコキシビニールエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合樹脂)などのフッ素樹脂を被覆して用いることができる。
【0158】
また、表面層としては、シリコーンゴム以外にも、Vitonなどのフッ素ゴムや、PFA(パーフルオロアルコキシビニールエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合樹脂)などのフッ素樹脂を被覆してもよい。
【0159】
また、上記金属ローラの一方の芯金内部には、発熱体が内蔵されており、ローラ間に記録媒体を通すことによって、加熱処理と加圧処理とを同時に施したり、あるいは必要に応じて、2つの加熱ローラを用いて記録媒体を挟んで加熱してもよい。加熱ローラ内には熱源として、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等からなる発熱体が内蔵されている。
【0160】
本発明において、好ましい圧力(ニップ圧)を達成するには、例えば、加圧ローラー両端に、ニップ間隙を考慮して、所望のニップ圧が得られるように特定の張力を有するバネを選択して設置すればよい。この時のバネとしては、例えば、張力が0.2〜10MPaのものをローラー長さに応じて選択し使用することができる。
【0161】
ニップ圧の測定方法は、例えば、加圧ロールにかけている力を、感圧紙等で測定したニップ面積で除することにより求めることができ、あるいは加圧ローラ間に感圧紙からなる圧力測定紙をはさみ加圧して、その圧力測定紙の濃度よりニップ圧を求めることもできる。圧力測定紙としては、例えば、FPD301(富士フィルム社製)極超低圧用感圧紙を挙げることができる。
【0162】
加熱加圧ローラを用いる場合の記録媒体の搬送速度は、1〜15mm/秒の範囲が好ましい。これは、高速処理性の観点以外に、画質の観点からも好ましい。
【0163】
次いで、本発明の画像形成方法で用いることのできる装置の一例を示す。
図1は、本発明で用いることのできる加熱加圧処理を行う加熱加圧ローラーを有するインクジェット記録装置の一例を示す。また、図2には、本発明で用いることのできる加熱加圧処理を行う加熱加圧ベルトを有するインクジェット記録装置の他の一例を示す。
【0164】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0165】
《記録媒体の作製》
〔塗布液の調製〕
(シリカ分散液の調製)
一次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げた。
【0166】
次に、カチオン性ポリマーP−1を1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、上記シリカ分散液の69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。この混合液を、三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシリカ分散液を調製した。
【0167】
【化1】
Figure 2004195836
【0168】
(下層用塗布液1の調製)
上記シリカ分散液600mlを40℃で攪拌しながら、以下の各添加剤を順次混合して下層用塗布液1を調製した。
【0169】
Figure 2004195836
(表層用塗布液1の調製)
熱可塑性微粒子(アクリル系ラテックス、Tg82℃、個数平均粒子径160nm、固形分25%)を純水にて粘度調整して用いた。
【0170】
(表層用塗布液2の調製)
上記下層用塗布液1を調製した後、43℃で30分撹拌した後、熱可塑性微粒子(アクリル系ラテックス、Tg76℃、個数平均粒子径145nm、固形分30%)を、熱可塑性微粒子/フィラー(シリカ)の固形分比が5/5になるように15分かけて添加して、表層塗布液1を調製し、10μmのフィルターで濾過を行った後、塗布に使用した。
【0171】
〔記録媒体1の作製〕
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタン含有)に、下層塗布液1をスライドホッパーで塗布した後、乾燥して記録媒体1を作製した。なお、シリカの付量が24g/m2となるように、塗布条件を調整した。
【0172】
〔記録媒体2の作製〕
上記記録媒体1において、シリカの付量を21g/m2に変更して、下地試料を作製した。この下地試料の上に、前記調製した表層用塗布液1を熱可塑性樹脂の固形分付き量が3g/m2になるように塗布、乾燥して記録媒体2を作製した。
【0173】
〔記録媒体3の作製〕
上記記録媒体1で用いた支持体上に、支持体側から第1層とし前記下層塗布液1、その上に第2層目として前記表層用塗布液2をスライドホッパーで同時塗布した後、乾燥して記録媒体3を作製した。なお、塗布は、下層はシリカの付量が18g/m2となるように、また表層はシリカの付量が3g/m2となるように行った。
【0174】
〔記録媒体4の作製〕
(表層塗布液3の調製)
前記表層塗布液2の調製において、シリカ分散液の調製に用いたカチオンポリマーP−1を添加せず、同量の純水で置換したシリカ分散液を用いた以外は同様にして、表層塗布液3を調製した。
【0175】
前記記録媒体1において、シリカの付量を18g/m2に変更した下地試料を作製し、この下地試料の上に、上記表層用塗布液3をシリカの付量が3g/m2となるように塗布、乾燥して記録媒体4を作製した。
【0176】
《有色インクセットの調製》
〔インクセット1の調製:自己分散顔料含有インク〕
(各顔料分散液1の調製)
C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3を、各々公知の方法に従い、スルフォラン中でスルファミン酸にて酸化した。次いで、遠心分離操作及び限外濾過処理により精製し、固形分20質量%のイエロー、マゼンタ及びシアン顔料分散体1を得た。
【0177】
また、カーボンブラックを濃硝酸でで酸化した後、遠心分離操作及び限外濾過処理により精製し、固形分20質量%のブラック顔料分散体1を得た。
【0178】
(各色インクの調製)
下記の各組成物からなる各色インクを調製した。
【0179】
各色顔料分散液1 15.0質量%
エチレングリコール 20.0質量%
ジエチレングリコール 10.0質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上のようにして、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの全色インクが、自己分散顔料を含むインクセット1を調製した。
【0180】
〔インクセット2の調製〕
上記インクセット1の調製において、各色インクに熱可塑性微粒子分散液(アクリル系ラテックス、Tg76℃、個数平均粒子径145nm、固形分30質量%)を、インクに対して3質量%添加し、その分の純水を減じて顔料濃度調整をした以外は同様にして、インクセット2を調製した。
【0181】
〔インクセット3の調製:比較インクセット〕
(顔料分散液の調製)
〈イエロー顔料分散液2の調製〉
Figure 2004195836
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔料分散液2を得た。得られたイエロー顔料の平均粒径は112nmであった。
【0182】
〈マゼンタ顔料分散液2の調製〉
Figure 2004195836
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔料分散液2を得た。得られたマゼンタ顔料の平均粒径は105nmであった。
【0183】
〈シアン顔料分散液2の調製〉
Figure 2004195836
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、シアン顔料分散液2を得た。得られたシアン顔料の平均粒径は87nmであった。
【0184】
〈ブラック顔料分散液2の調製〉
Figure 2004195836
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、ブラック顔料分散液2を得た。得られたブラック顔料の平均粒径は75nmであった。
【0185】
(インクの調製)
〈イエローインク3の調製〉
イエロー顔料分散液2 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、イエローインク3を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は120nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0186】
〈マゼンタインク3の調製〉
マゼンタ顔料分散液2 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、マゼンタインク3を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は113nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0187】
〈シアンインク3の調製〉
シアン顔料分散液3 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、シアンインク3を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0188】
〈ブラックインク3の調製〉
ブラック顔料分散液3 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、ブラックインク3を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0189】
〔インクセット4の調製〕
特開平6−100810号公報に記載方法に準じて、親水性パーツとしてアクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレートを含み、疎水性パーツとしてスチレン、エチルアクリレートを含むグラフト共重合体1を用いて、下記の組成からなるイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各顔料分散液4を調製した。
【0190】
なお、顔料としては、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3及びカーボンブラックを用いた。
【0191】
顔料 15.0質量%
グラフト共重合体1 4.0質量%
モノエタノールアミン 2.5質量%
ジエチレングリコール 20質量%
イオン交換水 37.5質量%
上記調製した各顔料分散体4を用いて、上記インクセット3と同様の方法により、Y、M、C、Bkインクを調製した。
【0192】
《無色インクの調製》
Figure 2004195836
純水を加えて、100質量%に仕上げた
《インクジェット画像形成》
図2に記載の加圧処理と加熱処理とを同時に行う加熱加圧ベルト対を有し、5個の記録ヘッドを装備したインクジェットプリンターに、上記調製した顔料インクセット(4色)と無色インクとをセットし、前記作製した記録媒体1〜4に、表1に記載の組み合わせでイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各ベタ画像、縦及び横に1cm幅でY、M、C、B、G、R、Bkの帯を各々描いた格子状テストチャートを出力した。
【0193】
なお、画像4、9の作成については、無色インクを画像全面に2ml/m2の量を吐出した。他の画像には、無色インクは使用してない。
【0194】
インクジェット記録を行った後、プリンター内の加圧加熱装置にて処理した。このとき加熱ベルト表面の温度は、110℃、搬送速度は10mm/秒に設定した。
【0195】
《上記調製した各インク及び形成画像の評価》
〔インク保存性の評価〕
各インクセットの代表として各マゼンタ顔料インクについて、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いて分散粒径を測定した後、マゼンタ顔料インク100mlを蒸発が起こらない様に密閉したサンプル瓶に入れ、60℃の恒温槽に1週間停滞させ、その後、ゼータサイザー1000を使用して、再度分散粒径を測定し、その粒径変化率を求め、下記の基準に則り、インク保存性の評価を行った。
【0196】
5:分散粒径変化率が5%未満である
4:分散粒径変化率が5〜10%未満である
3:分散粒径変化率が10〜25%未満である
2:分散粒径変化率が25〜50%未満である
1:分散粒径変化率が50%以上である
〔インク吸収性の評価〕
上記インクジェット画像形成方法で作成した各色の格子状テストチャートについて、白地部(未印字部)と各色印字部との境界における色滲みを目視観察し、下記の基準に則りインク吸収性の評価を行った。
【0197】
4:全ての色の境界部で、ほとんど色にじみの発生が認められない
3:1、2色でわずかな色にじみが観察された
2:数色において、境界での色にじみが観察されたが、実用上許容の範囲にある
1:数色にわたり、かなり激しい境界色にじみの発生が認められ、実用上問題となる品質
〔画像耐擦性の評価〕
上記形成した各画像のうち、ブラックベタ画像部を、25℃、50%RHの雰囲気下で、スクラッチ強度試験機 HEIDON−18(HEIDON社製)を用い、測定針は0.1mmRのサファイヤ針を用いて、スクラッチ強度の測定を行った。測定は、0〜10gの荷重を10cmの範囲で変化させた引掻き試験を3回行い、画像に傷が入る最小荷重(g)をスクラッチ強度と定義し、その測定値を耐傷性の尺度とした。
【0198】
〔C値の測定〕
出力した各画像の各色ベタ画像部(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)について、スガ試験機社製の写像性測定機(ICM−1DP)を用いてC値の測定を行い、4色の平均値を求めた。なお、測定としては、通常、反射角は45°で行うが、本例では60°にて測定した。
【0199】
〔膜はがれの評価〕
上記加熱加圧処理を行った後の画像面を目視観察して、膜はがれの有無を確認した結果、画像2については、画像表面の膜はがれが発生し、更に加熱ベルトにも剥離膜が付着したが、他の画像では全く発生しなかった。
【0200】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0201】
【表1】
Figure 2004195836
【0202】
表1より明らかなように、本発明に係る構成からなるインクジェット記録媒体とインクを用いたインクジェット画像形成方法は、比較例に対し、形成した画像のインク吸収性、画像耐擦性、光沢性(C値)及び加熱加圧処理時の塗膜強度に優れ、更に、本発明に係るインクの保存性に優れていることが分かる。
【0203】
【発明の効果】
本発明により、インク保存性に優れた自己分散顔料インクを用いて、優れたインク吸収性、耐擦性、光沢性、塗膜強度を有するインクジェット画像を提供するインクジェット画像形成方法及び記録物を提供することができた。加えて、高速印字適性を有し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する処理工程に要する時間を短縮したインクジェット画像形成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられるインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図。
【図2】本発明で用いられるインクジェット記録装置の他の一例を示す概略構成図。
【符号の説明】
1、1a 記録媒体
2 記録媒体の搬送手段
21 搬送ローラ対
3 記録ヘッド
34 記録媒体保持部
4 加熱加圧手段
41 加熱ローラー
42 圧着ローラー
43 発熱体
44 加熱ベルト
45 下部圧着ベルト
46 従動ローラー
5 温度センサ
6 記録媒体の切断手段
61、62 カッタ
7 たるみ形成手段
71 第1のローラー対
72 第2のローラー対

Claims (6)

  1. 少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するインクジェット記録媒体に、インクを用いて画像を形成した後、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する後処理工程を有するインクジェット画像形成方法であって、該インクの少なくとも1種が、自己分散顔料を含有することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
  2. 少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するインクジェット記録媒体に、顔料インクを用いて画像を形成した後、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、または皮膜化する後処理工程を有するインクジェット画像形成方法であって、該顔料インクの少なくとも1種が、インク中の顔料固形分量に対し、50質量%未満の樹脂または分散剤を含むことを特徴とするインクジェット画像形成方法。
  3. 前記表層が、カチオン性化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット画像形成方法。
  4. 実質的に色剤を含有しない無色インクを、前記インクジェット記録媒体上、または前記記録画像上に付与する工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット画像形成方法。
  5. 前記自己分散顔料を含有する少なくとも1種のインクが、樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法により作成したことを特徴とする記録物。
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