JP4501287B2 - インクジェット記録用紙、インクジェット記録方法およびインクジェット画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用紙、インクジェット記録方法およびインクジェット画像形成方法に関し、特に皮膜形成性とインク吸収性を両立した複合多孔質層を有するインクジェット記録用紙、およびそれを用いたインクジェット記録方法、インクジェット画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録とは、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて記録材料に付着させ、画像、文字などの画像形成を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易であるという等の利点を有している。また、近年の技術進歩により、染料インクによるインクジェットプリントの銀塩写真に迫る高画質化や、装置の低価格化が、その普及をより一層加速させている。
【0003】
インクジェットプリントで用いられる染料は、主に、溶媒に可溶であり、色素分子は分子状態もしくはクラスター状態で着色している。従って、各分子の環境が似通っているために、その吸収スペクトルはシャープであり高純度で鮮明な発色を示す。更に、これらの染料は、粒子性がなく、その結果として、散乱光や反射光が発生しないので、透明性高く、色相も鮮明である。
【0004】
しかしながらその一方では、光化学反応などにより染料の分子が破壊された場合には、分子数の減少がそのまま着色濃度に反映するために、耐光性が悪いという欠点を有している。この様に、染料インクを用いたインクジェット記録画像は、高画質である反面、経時保存による画像品質低下が大きく、画像保存性が悪い。
【0005】
特開昭62−271781号明細書において、熱可塑性樹脂から形成されるインク輸送層とインク保持層を有する記録材料に、染料インクを付与し、次いで加熱によりインク輸送層を透明化処理する技術が開示されている。染料はインク保持層に吸着され、インク保持層の上に位置する熱可塑性樹脂から形成されるインク輸送層が加熱により成膜することで保護層が形成される。これにより、光沢、耐水性、耐光性が向上する。
【0006】
染料インクに対して、光による退色に強い画像を必要とする用途向けのインクとして、耐光性が良好な顔料を着色剤として用いる顔料インクが使用されている。顔料は、溶媒に不溶であり、色素分子は粒子を形成して溶媒に分散した状態で着色に寄与している。表面の分子が光化学反応等により破壊されたとしても、その下部に新たな色素分子層があるので見かけ上の着色力低下が小さく、画像保存性に優れる特性を有しているが、粒子に起因する散乱光、反射光の影響により、光沢性の著しい劣下がみられる。また、顔料を色材として用いた場合の特有の現象として、ブロンズという現象がある。この現象は、顔料本来の色の他に表面に浮き出るブロンズ(光沢)を意味し、しばしば問題となる。
【0007】
このようなブロンズ現象で最も顕著な例としては、いわゆる金属光沢である。金属光沢には、界面ブロンズと干渉ブロンズの二種類がある。界面ブロンズは、粒子表面における光の選択的反射によって、反射光の中に顔料の吸収帯の波長成分の割合が大きくなることにより生じる現象である。これに対して、干渉ブロンズは、接近する物質からの反射光が選択的に干渉することにより生ずるものである。通常、顔料のブロンズは、界面ブロンズが主体的である。
【0008】
特開平11−208097号明細書において、最外層が熱可塑性樹脂層である記録材料に、分散剤を含有しない顔料インクによる画像記録後、顔料粒子を熱可塑性樹脂層中に移動させる技術が開示されている。顔料インクは記録材料表面に付着後、顔料粒子は熱可塑性樹脂層表面に存在し、溶媒成分は記録材料を構成する各層に吸収される。続いて、顔料粒子を熱可塑性樹脂層中に移動させることによって、顔料インク特有の印字部の未印字部に対する浮き上がりやブロンジングが解消され、平滑性向上に起因する光沢向上効果が確認されている。
【0009】
このように、記録材料の表層に熱可塑性樹脂層を設け、記録後成膜処理する技術は、染料画像の保存性を向上する技術として、また顔料画像のブロンジング解消、光沢付与技術として非常に有用である。
【0010】
しかしながら、熱可塑性微粒子からなる層を形成する場合、熱可塑性微粒子が最密充填に近い状態で存在して空隙率が小さくなるため、インク吸収性が悪い。また熱可塑性微粒子の接着性を上げるために水溶性バインダーを混合する場合には、水溶性バインダーがインク溶剤で膨潤するため、更にインク吸収性が低下する。
【0011】
特開昭59−222381号明細書に、熱可塑性微粒子の下層にインク吸収容量の大なる無機顔料層を設けることにより、熱可塑性微粒子層だけからなる記録媒体よりも、インク吸収性を上げる技術が提案されている。確かに、熱可塑性樹脂層単独よりもインク吸収性は向上するが、近年、フォトライクな画像を得るために、淡色インクを用いることで粒状性を改良したプリンターを使用して記録する場合においては、インク吸収性は大幅に不足している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、インク吸収性が良好で、記録後の加熱処理により、高い光沢、良好な耐水性、良好な画像保存性を有するプリントが得られるインクジェット記録用紙を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0014】
1.支持体上に、少なくとも無機微粒子、水溶性樹脂、熱可塑性微粒子および硬膜剤を含有する複合多孔質層を有するインクジェット記録用紙において、該水溶性樹脂がポリビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルアルコールであり、該硬膜剤がほう酸およびその塩又はエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤であり、該無機微粒子と該水溶性樹脂の比率が質量比で3:1〜10:1であり、さらに該熱可塑性微粒子の粒径が該複合多孔質層の平均細孔直径よりも大きく、該複合多孔質層中に含有される該熱可塑性微粒子の総質量が該無機微粒子の総質量よりも少なく、かつ該熱可塑性微粒子のTgが40℃以上であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0015】
2.支持体と前記複合多孔質層の間に無機微粒子を含有する無機多孔質層を形成することを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録用紙。
【0016】
3.支持体が、紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体であって、該ポリオレフィン樹脂層の少なくとも1層は白色顔料を含有することを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録用紙。
【0017】
4.複合多孔質層に用いられる無機微粒子が気相法シリカまたはコロイダルシリカであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0018】
5.複合多孔質層に用いられる無機微粒子の平均粒径が0.004〜0.1μmであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0019】
6.複合多孔質層に用いられる熱可塑性微粒子が塩化ビニル系、スチレン系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エチレン系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、塩化ビニル−塩化ビニリデン系、塩化ビニル−アクリル系、塩化ビニリデン−アクリル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系の材料から選択されるラテックス粒子であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0020】
7.複合多孔質層に用いられる熱可塑性微粒子の平均粒径が0.01〜10μmであることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0021】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙に、顔料インクを用いて記録を行うインクジェット記録方法。
【0022】
9.前記1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙に、顔料インクを用いて記録した後、加熱処理を行うインクジェット画像形成方法。
【0023】
以下、本発明のインクジェット記録用紙について詳細に説明する。
本発明者は前記の問題について検討した結果、インク保持層を無機微粒子と熱可塑性微粒子を含有する複合多孔質層とすることで、大幅にインク吸収性を改善し、記録後の加熱処理により、高い光沢、良好な耐水性、良好な画像保存性をうることができることを見出して本発明に到ったものである。複合多孔質層の平均細孔直径よりも粒径の大きな熱可塑性微粒子を使用することで、空隙を埋めないようにし、更に添加量を無機微粒子の質量よりも少なくすることで、空隙率の大きな多孔質層を形成することができることがわかった。これら複合多孔質層の平均細孔直径は、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)を用いて初期圧10.34kPaの条件で測定したものである。又、熱可塑性微粒子が融着を起こして空隙率を低下させないため、熱可塑性微粒子のTgは40℃以上であることが必要である。このような無機微粒子の質量が熱可塑性微粒子の質量よりも多い複合多孔質層を用いても、記録後の緻密化処理により良好な成膜性を有しており、インク吸収性と成膜性を両立することができることを発見した。
【0024】
本発明に係わるインクジェット記録用紙は、支持体上に、インク保持層として、少なくとも無機微粒子および熱可塑性微粒子からなる複合多孔質層を有するものである。
【0025】
本発明の複合多孔質層に用いられる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0026】
濃度の高い画像形成、鮮明な画像記録及び低コストでの製造等の観点からすると、無機微粒子としては、シリカが好ましい。
【0027】
シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得られるので好ましい。
【0028】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは複合多孔質層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0029】
本発明の効果を得るためには、支持体上の無機微粒子は、上記平均粒径が0.1μm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、0.004〜0.1μmのものが好ましく、より好ましくは0.004〜0.05μm、最も好ましくは0.004〜0.02μmである。
【0030】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が0.004〜0.02μmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより容易に吸引分散することで比較的容易に一次粒子まで分散することが出来る。
【0031】
本発明の複合多孔質層に用いられる熱可塑性微粒子は記録用紙上で粒子形状を保持し粒子間に空隙を有しているものが好ましい。
【0032】
上記の目的で使用される熱可塑性微粒子としては、熱可塑性を有するものであれば特に制限はないが、被膜性、被膜強度、光沢等の点から、塩化ビニル系、スチレン系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エチレン系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、塩化ビニル−塩化ビニリデン系、塩化ビニル−アクリル系、塩化ビニリデン−アクリル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系の材料から選択されるラテックス粒子が好ましく、これらを単独あるいは混合して用いられる。
【0033】
本発明における熱可塑性微粒子のガラス転移温度(Tg)は記録媒体のインク吸収性や、記録画像の加熱緻密化の容易性、光沢等の点から、40℃以上であることが必要で、40℃から150℃の範囲にあることが好ましく、更には50℃から130℃の範囲がより好ましい。40℃以下の場合は、記録材料の製造あるいは記録材料の保存において、熱可塑性微粒子が部分的に融着を起こす結果、インク吸収性が劣化し、150℃以上の場合は、記録後の加熱処理による緻密化が容易ではない。
【0034】
本発明における熱可塑性微粒子の粒径は特に制限はないが、平均粒径で表したとき、通常0.01μmから10μmの範囲にあるものが使用される。平均粒径が0.01μmよりも小さいとインク吸収性が悪化したり、ひび割れたりする。10μmよりも大きいと加熱緻密化後の光沢や耐水性が低下することから好ましくない。更に均一な膜を得るために0.1μmから1μmの範囲にあるものが好ましい。
【0035】
これら熱可塑性微粒子の平均粒径は動的光散乱法により求めた。
本発明の複合多孔質層には親水性樹脂をバインダーとして添加することが好ましく、親水性樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0036】
これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂はポリビニルアルコールである。
【0037】
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0038】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。
【0039】
ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0040】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号広報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0041】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0042】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0043】
アニオン変性ポリビニルアルコールは例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号広報、および同63−3079799号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0044】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0045】
ポリビニルアルコールは重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0046】
本発明の複合多孔質層に用いられる無機微粒子または熱可塑性微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、複合多孔質層の空隙率、微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0047】
また、無機微粒子と水溶性樹脂の比率は質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0048】
本発明のインクジェット記録用紙は、光沢性に優れ、皮膜の脆弱性を劣化させずに高い空隙率を得るために、前記水溶性樹脂が硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
【0049】
硬膜剤は、一般的には前記水溶性樹脂と反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性樹脂が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0050】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸およびその塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
【0051】
特に好ましい水溶性樹脂としてはポリビニルアルコールおよびまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが挙げられ、これらを使用する場合には、ほう酸およびその塩又はエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0052】
最も好ましいのはほう酸およびその塩から選ばれる硬膜剤である。
本発明で、ほう酸またはその塩としては、ほう素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸およびそれらの塩が含まれる。
【0053】
上記硬膜剤の使用量は水溶性樹脂の種類、硬膜剤の種類、微粒子の種類や水溶性樹脂に対する比率等により変化するが、通常水溶性樹脂1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0054】
上記硬膜剤は、本発明の複合多孔質層形成用水溶性塗布液を塗布する際に、該塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、本発明の複合多孔質層形成用水溶性塗布液を塗布しても良い。また、本発明の複合多孔質層形成用水溶性塗布液(硬膜剤非含有)を塗布・乾燥した後で硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして供給することができるが、これらの中で、好ましくは製造効率の観点から、本発明の複合多孔質層形成用水溶性塗布液中に硬膜剤を添加して塗布する方法が好ましい。
【0055】
本発明においては、前記のように複合多孔質層の平均細孔直径よりも大きな熱可塑性微粒子を使用することで、形成された空隙を埋めないようにし、更に添加量を無機微粒子の質量よりも少なくすることで、空隙率の大きな多孔質層を形成することができ、それにより本発明の効果がもたらされる。
【0056】
本発明に係るインクジェット記録用紙の少なくとも無機微粒子および熱可塑性微粒子からなる複合多孔質層及び無機微粒子からなる無機多孔質層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0057】
空隙容量の上限は特に制限されないが、空隙を有する層(本発明の複合多孔質層または該層より支持体側に設けられる無機微粒子からなる無機多孔質層)の膜厚を概ね60μm以下にすることが、ひび割れ等の皮膜の物理特性を悪化させないために好ましい。
【0058】
インク保持能を有する空隙層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、(インク保持能を有する空隙層の)空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0059】
本発明において、空隙容量はJ.TAPPI 紙パルプ試験方法 No.51−87 紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)に記載された方法で測定したとき、吸収時間2秒における液体転移量(ml/m2)で表される。なお、上記の測定方法では、測定に純水(イオン交換水)が使用されているが、測定面積の判別を容易にするために、2%未満の水溶性染料を含有させてもよい。
【0060】
本発明に関る支持体としては、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体を用いることができる。
【0061】
上記支持体と空隙層の接着強度を大きくする等の目的で、空隙層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明の記録媒体は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録媒体であってもよい。
【0062】
本発明のインクジェット記録用紙の支持体は、JIS−P8138に規定される不透明度が94%以上の支持体であることが好ましい。
【0063】
不透明度が94%未満だと、一方の側の画像が反対面から見た場合に透けて見えやすくなる。好ましくは支持体の不透明度が95%以上であり、特に好ましくは96%以上である。
【0064】
紙支持体を用いて不透明度が94%以上にするためには、紙の坪量を増加させたり紙中に白色顔料を添加することなどで達成することが出来る。紙の坪量は白色顔料の有無によって異なるが、概ね1m2当たり100〜300gの範囲である。白色顔料を使用しない場合には通常150〜300gであり、好ましくは200〜300g、特に好ましくは220〜300gである。
【0065】
白色顔料を使用する場合には、その使用量により大きく変わるが、概ね100〜250g、好ましくは150〜200gである。
【0066】
紙中に使用される白色顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0067】
白色プラスチックフィルムを用いるときは、フィルム樹脂中に白色顔料を添加して不透明度を94%以上にする必要がある。
【0068】
この白色顔料としては、酸化チタンや硫酸バリウムなどが挙げられるが、この場合、この白色顔料自身で隠蔽性を出す場合と、白色顔料を核としてフィルムを製膜する過程で延伸して膜中に気泡を形成してこの気泡による散乱で隠蔽性を出す2つの方法がある。
【0069】
プラスチックフィルムとしては、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等が好ましく用いられる。これらのプラスチックフィルムの厚みは概ね120〜300μm、好ましくは150〜250μmである。
【0070】
白色顔料の使用量はその粒径や種類で広範に変わるが概ねプラスチック樹脂に対して1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。プラスチック樹脂フィルムは2枚以上を重ね合わせたものであっても良く、この場合、その種類が同じであっても異なっていても良い。
【0071】
紙の片面或いは両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体は、不透明度を94%以上にするために、坪量が100〜250g、好ましくは120〜220gの紙支持体の片面または両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体が用いられる。
【0072】
プラスチック樹脂は前記のプラスチックフィルム支持体で用いられるものを使用することが出来るが、紙支持体上に溶融押し出し法で容易に製造することが出来る点からポリオレフィン樹脂が好ましく、特にポリエチレン樹脂が最も好ましい。特に好ましいポリエチレンで被覆した樹脂層の厚みは通常5〜60μm、好ましくは10〜50μmである。この場合、表裏のポリエチレン層の厚みは同じであっても異なっていても良い。
【0073】
また、上記以外に疎水性樹脂分散液を紙上に塗布して疎水性被膜を形成したものであってもよい。そのような疎水性樹脂分散液としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリルアミド、スチレン、ヒドロキシルエチルメタクリレート、塩化ビニル、ビニルエーテル、エチレン、スチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、ブタジエン等の共重合可能なモノマーの単独または2種以上のモノマーを乳化重合して得られる。
【0074】
この場合のプラスチック樹脂の厚みは概ね2〜40μm、好ましくは3〜20μmである。
【0075】
不透明度を94%以上にするためには紙中およびプラスチック樹脂中のいずれかには前記の白色顔料を含有させるのが好ましい。
【0076】
本発明のインクジェット記録用紙では原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
【0077】
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることが出来るが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0078】
上記パルプには不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0079】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
【0080】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30乃至70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0081】
原紙の坪量は、30乃至250gが好ましく、特に50乃至200gが好ましい。原紙の厚さは40乃至250μmが好ましい。
【0082】
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.7乃至1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20乃至200gが好ましい。
【0083】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
【0084】
原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0085】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0086】
特に、空隙層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0087】
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
【0088】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は空隙層やバック層を設けた後で低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、通常空隙層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0089】
更に上記ポリエチレン被覆紙支持体は以下の特性を有していることが好ましい。
【0090】
1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1乃至20kgであることが好ましい
2.引き裂き強度はJIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g、横方向が20乃至200gが好ましい
3.圧縮弾性率≧98.1MPa
4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5.表面粗さ:JIS−B−0601に規定された表面粗さが、基準長さ2.5mm当たり最大高さは10μm以下であることが好ましい
6.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい
7.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*がL*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい
8.表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢度が10〜95%であることが好ましい
9.クラーク剛直度:記録用紙の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm2/100である支持体が好ましい
10.中紙の含水率:中紙に対して通常2〜100質量%、好ましくは2〜6質量%
本発明の記録材料の空隙層および下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種の親水性層を支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を一回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0091】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0092】
次に本発明の染料インクについて説明する。
着色剤としては、インクジェットで公知の水溶性直接染料、酸性染料、反応性染料、塩基性染料から選ばれるものであって、これらを単独あるいは複数の種類併用しても良い。
【0093】
これらの染料は、所望に応じて、適宜選択して使用される溶媒中に溶解して使用する。以下に代表的染料を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
〈直接染料〉
C.I.ダイレクトイエロー1、4、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、100、110、120、132、142、144;
C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、47、48、51、62、63、75、79、80、81、83、89、90、94、95、99、220、224、227、243;
C.I.ダイレクトブルー1、2、6、8、15、22、25、71、76、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、163、165、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、236、237;
C.I.ダイレクトブラック2、3、7、17、19、22、32、38、51、56、62、71、74、75、77、105、108、112、117、154
〈酸性染料〉
C.I.アシッドイエロー2、3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、99;
C.I.アシッドオレンジ56、64;
C.I.アシッドレッド1、8、14、18、26、32、37、42、52、57、72、74、80、87、115、119、131、133、134、143、154、186、249、254、256;
C.I.アシッドバイオレット11、34、75;
C.I.アシッドブルー1、7、9、29、87、126、138、171、1 75、183、234、236、249;
C.I.アシッドグリーン9、12、19、27、41;
C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、48、52、58、60、94、107、109、110、119、131、155
〈反応性染料〉
C.I.リアクティブイエロー1、2、3、13、14、15、17、37、42、76、95、168、175;
C.I.リアクティブレッド2、6、11、21、22、23、24、33、45、111、112、114、180、218、226、228、235;
C.I.リアクティブブルー7、14、15、18、19、21、25、38、49、72、77、176、203、220、230、235;
C.I.リアクティブオレンジ5、12、13、35、95;
C.I.リアクティブブラウン7、11、33、37、46;
C.I.リアクティブグリーン8、19;
C.I.リアクティブバイオレット2、4、6、8、21、22、25;
C.I.リアクティブブラック5、8、31、39
〈塩基性染料〉
C.I.ベーシックイエロー11、14、21、32;
C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13;
C.I.ベーシックバイオレット3、7、14;
C.I.ベーシックブルー3、9、24、25
本発明のインクに用いることの出来る染料としては、この他にキレート染料及びいわゆる銀色素漂白法感光材料(例えばチバガイギー製チバクローム)に用いられるアゾ染料を挙げることが出来る。
【0095】
キレート染料に関しては例えば英国特許1,077,484号の記載を参考にすることが出来る。
【0096】
銀色素漂白法感光材料アゾ染料に関しては、例えば英国特許1,039,458号、同1,004,957号、同1,077,628号、米国特許2,612,448号の記載を参考にすることが出来る。
【0097】
本発明のインクに用いる水溶性染料の含有量は、インク全質量に対して、1〜10質量%であるのが好ましい。
【0098】
本発明では、着色剤として分散染料を用いることができる。これらの分散染料は、所望に応じて適宜選択して使用される溶媒中に分散して使用する。代表的な例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0099】
本発明に好ましく用いられる分散染料としては、例えば
C.I.Disperse Yellow3、4、5、7、9、13、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224;
C.I.Disperse Orange1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142;
C.I.Disperse Red1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328;
C.I.Disperse Violet1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、 36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77;
C.I.Disperse Green9;
C.I.Disperse Brown1、2、4、9、13、19;
C.I.Disperse Blue3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333;
C.I.Disperse Black1、3、10、24;
等が挙げられる。
【0100】
本発明のインクで用いる分散染料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に混合して分散機により分散して用いる。
【0101】
分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。
【0102】
次に本発明の顔料インクについて詳しく説明する。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0103】
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0104】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0105】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0106】
本発明に使用できるインク溶剤としては水溶性の有機溶媒が好ましく、具体的にはアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナトリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0107】
これらのインク溶剤は単独で用いても、また併用して用いても良い。
本発明の顔料インクにおいて、25℃における表面張力が30mN/m以下の溶媒を加えると、記録媒体上に印字した際のドット径が拡大することにより、より大きな本発明の効果が得られるため好ましい。25℃における表面張力が30mN/m以下の溶媒としては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(28.8)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(27.7)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(30)、1−メトキシ−2−プロパノール(27.1)、ブチルセロソルブ(27.4)、1,2−ペンタンジオール(23.2)、ヘキシレングリコール(27)、1,2−ヘキサンジオール(28)が挙げられる。
【0108】
本発明において、分散安定性を向上するため、インクは界面活性剤を含有することが必要である。本発明のインクに好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0109】
本発明においては必要に応じて顔料分散剤を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例えば高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶で、アルカリ可溶型樹脂であり、約pH6以下で凝集を開始する。pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸、及び鉱酸が挙げられる。
【0110】
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0111】
本発明の顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましく用いられる。
【0112】
本発明のインクに使用する顔料分散体の平均粒径は10nm以上200nm以下であることが好ましく、10nm以上150nm以下がより好ましく30nm以上120nm以下がさらに好ましい。顔料分散体の平均粒径が200nmを越えると光沢メディアに記録した画像では光沢感の劣化が起こり、トランスペアレンシーメディアに記録した画像では著しい透明感の劣化が起こる。また、顔料分散体の平均粒径が10nm未満になると顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
【0113】
顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来る。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
【0114】
本発明におけるインクは、ラテックスを含有しても良い。本発明におけるラテックスとは媒質中に分散状態にあるポリマー粒子のことを指す。ポリマーの種類の例としてはスチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコンーアクリル共重合体およびアクリル変性フッ素樹脂等があるが、なかでもアクリル酸エステル、ポリウレタンおよびシリコン−アクリル共重合体が好ましい。
【0115】
ラテックスの製造に用いられる乳化剤としては低分子量の界面活性剤が用いられるのが一般的であるが、中では高分子量の界面活性剤(例えば可溶化基がポリマーにグラフト結合しているタイプや可溶化基を持つ部分と不溶性の部分を連結させたブロックポリマーのタイプ等がある)を乳化剤として用いたり、あるいは可溶化基をラテックスの中心ポリマーに直接結合させることにより乳化剤を用いずに分散されているラテックスも存在する。この乳化剤に高分子量の界面活性剤を用いるラテックスおよび乳化剤を使用しないラテックスはソープフリーラテックスと呼ばれている。本発明に使用するラテックスとしては乳化剤の種類、形態を問わないが、インクの保存安定性に優れるソープフリーラテックスを用いることがより好ましい。
【0116】
また、最近は中心ポリマーが均一であるラテックス以外にポリマー粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
【0117】
本発明におけるラテックスの平均粒径は150nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
【0118】
ラテックスの平均粒子径は光散乱法式やレーザードップラー法式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。
【0119】
本発明におけるラテックスの固形分添加量はインクの全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下であり、0.3質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。添加量0.1質量%未満では耐水性に関して十分な効果を発揮することが難しく、また10質量%を越えると経時でインク粘度の上昇や顔料分散粒径の増大が起こりやすいなどインク保存性の点で問題が生じることが多い。
【0120】
本発明においては電気伝導度調節剤を用いることもでき、例えば塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミン等の水性アミン等が挙げられる。
【0121】
本発明におけるインクにはこの他に防腐剤、防黴剤、粘度調整剤等を必要に応じて含有しても良い。
【0122】
本発明におけるインクは、画像堅牢性が高く、カールの発生が少ないことから顔料インクが好ましい。
【0123】
本発明のインクジェット記録方法で使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0124】
本発明におけるインクジェット記録した記録用紙を加熱により熱可塑性微粒子を加熱緻密化処理して画像を得る画像形成方法としては、熱可塑性微粒子の最低造膜温度以上の温度で行えばよく、その加熱手段としては特に制限はない。加熱は記録物の表面または裏面、更には両面からでも良い。また、加熱処理時に加圧処理を併用しても良い。この時、加熱処理による溶融が加圧処理により促進されるため、樹脂の緻密化が促進され、より短時間に処理が行える。好ましくは、ラミネート等に用いられるロール状の熱ロールを通過させ、その後冷却ロールを通過させて加熱処理を完了させる。この時ロールの表面を鏡面にすればより平滑な表面が得られ、ロールの表面に形状をもたせればマット状の表面を得ることも可能である。
【0125】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中では(%)は特に断りのない限り質量%を示す。
【0126】
実施例1
《インクジェット画像記録媒体の作製》
〈シリカ分散液−1の調製〉
1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げてシリカ分散液−1を調製した。
【0127】
〈シリカ分散液−2の調製〉
カチオンポリマー(P−1)を1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、シリカ分散液−1の69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。
【0128】
この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
【0129】
【化1】
【0130】
〈シリカ塗布液の調製〉
ついで上記のようにして得られたシリカ分散液−2を使用して、下記のシリカ塗布液を調製した。
【0131】
シリカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
(1)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液:6ml
(2)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の7%水溶液:185ml
(3)純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0132】
〈熱可塑性微粒子塗布液の調製〉
ポリビニルアルコールをノニオン系乳化剤として用いて乳化重合したスチレン−アクリル系ラテックスポリマー(Tg78℃、平均粒径250nm、固形分濃度40%)を、6%硝酸水溶液でpH4.7に調整し、スチレン−アクリル系の熱可塑性微粒子塗布液を調製した。
【0133】
〈複合微粒子塗布液の調製〉
熱可塑性微粒子塗布液とシリカ塗布液を固形分質量比率が2/1になるようにして複合微粒子塗布液を調製した。
【0134】
〈インクジェット画像記録媒体1の作製〉
厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチレン中に8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;インク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックスポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、ポリエチレンコート紙側からシリカ塗布液、複合微粒子塗布液を、湿潤膜厚がそれぞれ120μm、120μmに成るように同時塗布し、約7℃に一度冷却した後、20〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、インクジェット画像記録媒体1を作製した。
【0135】
〈インクジェット画像記録媒体2の作製〉
インクジェット画像記録媒体1の作製において、複合微粒子塗布液の熱可塑性微粒子塗布液とシリカ塗布液の固形分質量比率を2/3とした以外は同様にして、インクジェット画像記録媒体2を作製した。
【0136】
〈インクジェット画像記録媒体3の作製〉
インクジェット画像記録媒体1の作製において、複合微粒子塗布液の熱可塑性微粒子塗布液とシリカ塗布液の固形分質量比率を1/2とした以外は同様にして、インクジェット画像記録媒体3を作製した。
【0137】
〈インクジェット画像記録媒体4の作製〉
インクジェット画像記録媒体1の作製において、複合微粒子塗布液を熱可塑性微粒子塗布液とした以外は同様にして、インクジェット画像記録媒体4を作製した。
【0138】
〈インクジェット画像記録媒体5の作製〉
インクジェット画像記録媒体1の作製において、複合微粒子塗布液をシリカ塗布液とした以外は同様にして、インクジェット画像記録媒体5を作製した。
【0139】
〈インクジェット画像記録媒体6、7の作製〉
インクジェット画像記録媒体1の作製において、熱可塑性微粒子と無機微粒子を表1のように変えた以外は同様にして、インクジェット画像記録媒体6、7を作製した。
【0140】
ここで得られたインクジェット画像記録媒体1〜7の表面を、走査型電子顕微鏡により観察したところ、インクジェット画像記録媒体1〜7のいずれにおいても空隙孔の存在が確認された。
【0141】
《印字試験》
以下の様にしてインク組成物を調製し、印字試験を行った。
【0142】
(イエロー顔料分散液)
C.I.ピグメントイエロー74 95g
デモールC(花王(株)製) 65g
エチレングリコール 100g
イオン交換水 120g
を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、イエロー顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は122nmであった。尚、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000により行った。
【0143】
(マゼンタ顔料分散液)
C.I.ピグメントレッド122 105g
ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)60g
グリセリン 100g
イオン交換水 130g
を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、マゼンタ顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は85nmであった。
【0144】
(シアン顔料分散液)
C.I.ピグメントブルー15:3 100g
デモールC 68g
ジエチレングリコール 100g
イオン交換水 125g
を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は105nmであった。
【0145】
〈イエローインクの作製〉
イエロー顔料分散液 113g
エチレングリコール 100g
グリセリン 72g
ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g
これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させイエローインクを作製した。pHは8.2であった。
【0146】
〈シアンインクの作製〉
シアン顔料分散液 113g
エチレングリコール 100g
グリセリン 72g
ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g
これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させシアンインクを作製した。pHは8.3であった。
【0147】
〈マゼンタインクの作製〉
マゼンタ顔料分散液 113g
エチレングリコール 100g
1,2−ヘキサンジオール 100g
ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g
これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させマゼンタインクを作製した。pHは8.5であった。
【0148】
〈ブラックインクの作製〉
Hostfine Black T 167g
(クラリアント(株)製、平均粒子径50nm)
1,2−ヘキサンジオール 150g
エチレングリコール 220g
ジエチレングリコール 90g
レベノールWX(花王(株)製) 3g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g
これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させブラックインクを作製した。pHは8.6であった。
【0149】
印字は、インクジェットプリンターPM770C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて黒ベタ画像の印字を行った。印字後120℃に加熱した熱ロールにより圧熱して熱可塑性微粒子の緻密化処理を行った。
【0150】
以下に、作製したインクジェット画像記録媒体試料のインク吸収性と印字後に緻密化処理を行った前記画像の光沢度を評価した。
【0151】
(インク吸収性)
J.TAPPIパルプ試験方法No.51−87紙又は板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)に記載された方法で、熊谷理機工業株式会社製Bristow試験機II型(加圧式)を使用し、エチレングリコール/ジエチレングリコール/1,2−ヘキサンジオール/水=24/17/5/54の質量比で混合した溶液を用いて、インクジェット画像記録媒体の接触時間0.08秒間における転移量を求めた。尚、上記J.TAPPIパルプ試験方法では、押し付け圧0.1MPaが標準であるが、吸収性の良好な紙はこの荷重では測定中に紙が破れてしまうため、押し付け圧を0.05MPaとした他は、上記方法に準じた。又用いた混合溶液には、水溶性染料(ダイワ化成(株)製 Acid Red 52)を質量比で2%添加して用いた。評価は以下の基準により行った。
【0152】
液体転移量 10ml以上 ○
液体転移量 5ml以上、10ml未満 △
液体転移量 5ml未満 ×
(光沢度)
サンプル画像を写像性測定機ICM−IDP(スガ試験機械(株)製)で反射60度、光学くし2mmでの写像性(光沢値C値%)を測定した。評価は、以下の基準により行った。
【0153】
光沢値C値% 50以上 ○
光沢値C値% 50未満、40以上 △
光沢値C値% 40未満 ×
その結果を表1に示す。
【0154】
【表1】
【0155】
【発明の効果】
インク吸収性が良好で、高い光沢、良好な耐水性、良好な画像保存性を有するインクジェット記録用紙が得られた。
Claims (9)
- 支持体上に、少なくとも無機微粒子、水溶性樹脂、熱可塑性微粒子および硬膜剤を含有する複合多孔質層を有するインクジェット記録用紙において、該水溶性樹脂がポリビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルアルコールであり、該硬膜剤がほう酸およびその塩又はエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤であり、該無機微粒子と該水溶性樹脂の比率が質量比で3:1〜10:1であり、さらに該熱可塑性微粒子の粒径が該複合多孔質層の平均細孔直径よりも大きく、該複合多孔質層中に含有される該熱可塑性微粒子の総質量が該無機微粒子の総質量よりも少なく、かつ該熱可塑性微粒子のTgが40℃以上であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 支持体と前記複合多孔質層の間に無機微粒子を含有する無機多孔質層を形成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
- 支持体が、紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体であって、該ポリオレフィン樹脂層の少なくとも1層は白色顔料を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
- 複合多孔質層に用いられる無機微粒子が気相法シリカまたはコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 複合多孔質層に用いられる無機微粒子の平均粒径が0.004〜0.1μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 複合多孔質層に用いられる熱可塑性微粒子が塩化ビニル系、スチレン系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エチレン系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、塩化ビニル−塩化ビニリデン系、塩化ビニル−アクリル系、塩化ビニリデン−アクリル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系の材料から選択されるラテックス粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 複合多孔質層に用いられる熱可塑性微粒子の平均粒径が0.01〜10μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙に、顔料インクを用いて記録を行うインクジェット記録方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙に、顔料インクを用いて記録した後、加熱処理を行うインクジェット画像形成方法。
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